JP2016102777A - 磁場計測方法及び磁場計測装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】計測領域に存在する原磁場を特定する新たな手法を提案すること。【解決手段】光源部2は、計測領域に配置されたガスセル3に、進行方向がz軸方向であり電場の振動方向がy軸方向である直線偏光を照射する。偏光計4は、ガスセル3を透過した光の光学特性を検出する。磁場発生器7は、z軸成分、y軸成分、z軸方向及びy軸方向に直交するx軸成分を可変とする人工磁場を計測領域に印加する。そして、演算制御部5は、x軸成分、y軸成分、及びz軸成分を変えた複数の組み合わせの人工磁場であってz軸成分を周期的に変化させた人工磁場を磁場発生器7に発生させ、偏光計4の検出結果に基づき磁化値を算出し、磁化値の時間変化とz軸成分の時間変化との比が所定の極値条件を満たしたときの人工磁場を用いて計測領域に存在する原磁場を算出する。【選択図】図1
Description
本発明は、磁場を計測する磁場計測方法等に関する。
心臓からの磁場(心磁)や脳からの磁場(脳磁)といった生体が発する磁場(生体磁場)等の微弱な磁場を計測するための装置として、アルカリ金属原子が封入されたガスセルに直線偏光を照射し、偏光面の回転によって磁場を計測する光ポンピング式の磁気センサーを用いたものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
光ポンピング式の磁気センサーを用いた微弱磁場の計測では、ガスセルが配置された計測領域に存在する例えば地磁気や都市ノイズ等の環境による磁場(原磁場と称す)をキャンセルする必要がある。原磁場が存在すると、その影響を受けて計測対象物が発生した磁場に対する感度が低下したり、計測精度の低下を招くためである。
本発明は、こうした事情に鑑みなされたものであり、計測領域に存在する原磁場を特定する新たな手法を提案することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例]本適用例に係る磁場計測方法は、第一方向と第二方向と第三方向とは互いに直交し、直線偏光を出射する光源部と、計測領域に配置されて電場の振動方向が前記第二方向である前記直線偏光が前記第三方向に沿って照射され、磁場に応じて前記直線偏光の光学特性を変化させる媒体と、前記光学特性を検出する光学検出器と、前記計測領域に人工磁場を印加する磁場発生器と、を備えた磁場計測装置が、前記計測領域の磁場を計測する磁場計測方法であって、前記第一方向〜第三方向の人工磁場成分を変えた複数の組み合わせの人工磁場であり、前記第三方向の人工磁場成分を周期的に変化させた人工磁場を前記磁場発生器に発生させることと、前記媒体の磁化ベクトルの前記第一方向の成分である磁化値を前記光学検出器の検出結果に基づいて算出することと、前記磁化値の時間変化と前記第三方向の人工磁場成分の時間変化との比が所定の極値条件を満たしたときの前記人工磁場を用いて、前記計測領域に存在する原磁場を算出することと、を含むことを特徴とする。
本適用例によれば、計測対象物から発する磁場が存在することになる計測領域における環境に由来する原磁場を求めることができる。
上記適用例に記載の磁場計測方法において、前記原磁場を算出することは、前記所定の極値条件を満たしたときの前記計測領域の磁場がゼロ磁場であることに基づいて、前記原磁場を算出することを含むことが好ましい。
この方法によれば、原磁場を正確に求めることができる。
この方法によれば、原磁場を正確に求めることができる。
上記適用例に記載の磁場計測方法において、前記人工磁場を発生させることは、前記第三方向の人工磁場成分をカットオフ角振動数以下の周期で変化させることを含むことが好ましい。
この方法によれば、原磁場を簡便且つ正確に求めることができる。
この方法によれば、原磁場を簡便且つ正確に求めることができる。
上記適用例に記載の磁場計測方法において、所定のターゲット磁場に対する前記原磁場の差分の磁場を、前記磁場発生器に発生させることと、前記計測領域に磁場を発生する計測対象物を接近させることと、前記差分の磁場を発生させている間の前記光学検出器の検出結果を用いて、前記計測対象物が発生した磁場を計測することと、を更に含むことが好ましい。
この方法によれば、計測領域における原磁場の影響を相殺して、計測対象物が発する磁場を正確に計測することができる。
この方法によれば、計測領域における原磁場の影響を相殺して、計測対象物が発する磁場を正確に計測することができる。
[適用例]本適用例の磁場計測装置は、第一方向と第二方向と第三方向とは互いに直交し、直線偏光を出射する光源部と、電場の振動方向が前記第二方向である前記直線偏光が前記第三方向から照射され、照射された前記直線偏光を透過して、磁場に応じて光学特性が変化する計測領域に配置された媒体と、前記光学特性を検出する光学検出器と、前記第一方向、前記第二方向、前記第三方向の各成分を可変とする人工磁場を前記計測領域に印加する磁場発生器と、前記第一方向〜第三方向の人工磁場成分を変えた複数の組み合わせの人工磁場であり、前記第三方向の人工磁場成分を周期的に変化させた人工磁場を前記磁場発生器に発生させることと、前記媒体の磁化ベクトルの前記第一方向の成分である磁化値を前記光学検出器の検出結果に基づいて算出することと、前記磁化値の時間変化と前記第三方向の人工磁場成分の時間変化との比が所定の極値条件を満たしたときの前記人工磁場を用いて、前記計測領域に存在する原磁場を算出することを実行する演算制御部と、を備えたことを特徴とする。
本適用例によれば、計測対象物から発する磁場が存在することになる計測領域における環境に由来する原磁場を求めることが可能な磁場計測装置を提供することができる。
上記の課題を解決するための第1の発明は、第三方向に、電場の振動方向が前記第三方向に直交する第二方向である直線偏光を出射する光源部と、前記直線偏光を透過し、磁場に応じて光学特性が変化する計測領域に配置された媒体と、前記光学特性を検出する光学検出器と、前記第三方向、前記第二方向、前記第三方向及び前記第二方向に直交する第一方向の各成分を可変とする人工磁場を前記計測領域に印加する磁場発生器とを備えた装置が、前記計測領域の磁場を計測するための磁場計測方法であって、前記第一方向〜第三方向の人工磁場成分を変えた複数の組み合わせの人工磁場であり、前記第三方向の人工磁場成分を周期的に変化させた人工磁場を前記磁場発生器に発生させることと、前記媒体の磁化ベクトルの前記第一方向の成分である磁化値を前記光学検出器の検出結果に基づいて算出することと、前記磁化値の時間変化と前記第三方向の人工磁場成分の時間変化との比が所定の極値条件を満たしたときの前記人工磁場を用いて、前記計測領域に存在する原磁場を算出することと、を含む磁場計測方法である。
また、他の発明として、第三方向に、電場の振動方向が前記第三方向に直交する第二方向である直線偏光を出射する光源部と、前記直線偏光を透過し、磁場に応じて光学特性が変化する計測領域に配置された媒体と、前記光学特性を検出する光学検出器と、前記第三方向、前記第二方向、前記第三方向及び前記第二方向に直交する第一方向の各成分を可変とする人工磁場を前記計測領域に印加する磁場発生器と、前記第一方向〜第三方向の人工磁場成分を変えた複数の組み合わせの人工磁場であり、前記第三方向の人工磁場成分を周期的に変化させた人工磁場を前記磁場発生器に発生させることと、前記媒体の磁化ベクトルの前記第一方向の成分である磁化値を前記光学検出器の検出結果に基づいて算出することと、前記磁化値の時間変化と前記第三方向の人工磁場成分の時間変化との比が所定の極値条件を満たしたときの前記人工磁場を用いて、前記計測領域に存在する原磁場を算出することとを実行する演算制御部と、を備えた磁場計測装置を構成することとしてもよい。
この第1の発明等によれば、媒体が配置された計測領域に、第一方向〜第三方向の人工磁場成分を変えた複数の組み合わせの人工磁場であって、第三方向の人工磁場成分を周期的に変化させた人工磁場を発生させる。そして、複数の人工磁場毎に得られた検出結果に基づき媒体の磁化値を算出し、磁化値の時間変化と第三方向の人工磁場成分の時間変化との比が所定の極値条件を満たしたときの人工磁場を用いて計測領域に存在する原磁場を算出することができる。
また、第2の発明は、第1の発明において、前記原磁場を算出することは、前記所定の極値条件を満たしたときの前記計測領域の磁場がゼロ磁場であることに基づいて、前記原磁場を算出することを含む、磁場計測方法である。
この第2の発明によれば、極値条件を満たしたときの計測領域の磁場がゼロ磁場であることに基づいて、計測領域に存在する原磁場を算出することができる。
また、第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記人工磁場を発生させることは、前記第三方向の人工磁場成分をカットオフ角振動数以下の周期で変化させることを含む、磁場計測方法である。
この第3の発明によれば、第三方向の人工磁場成分をカットオフ角振動数以下の周期で変化させて人工磁場を発生させ、原磁場を算出することができる。
また、第4の発明は、第1〜第3の何れかの発明において、所定のターゲット磁場に対する前記原磁場の差分の磁場を、前記磁場発生器に発生させることと、前記計測領域に磁場を発生する計測対象物を接近させることと、前記差分の磁場を発生させている間の前記光学検出器の検出結果を用いて、前記計測対象物が発生した磁場を計測することと、を更に含む磁場計測方法である。
この第4の発明によれば、計測領域に存在する原磁場を相殺して計測領域に所定のターゲット磁場を形成した上で、計測対象物を計測領域に接近させて計測対象物が発する磁場を計測することができる。
以下、本発明の磁場計測方法及び磁場計測装置を実施するための一形態について説明する。なお、以下説明する実施形態によって本発明が限定されるものではなく、本発明を適用可能な形態が以下の実施形態に限定されるものでもない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付す。
[全体構成]
図1は、本実施形態の磁場計測装置1の全体構成例を示す図である。また、図2は、磁場計測装置1を構成する光源部2、ガスセル3、及び偏光計4の配置関係の概略を示す図である。本実施形態の磁場計測装置1は、心磁を計測する心磁計や脳磁を計測する脳磁計に用いられる。この磁場計測装置1には、光ポンピング式の磁気センサーとして、ポンプ光の照射をプローブ光の照射によって兼ねるいわゆるワンビーム方式の磁気センサーが組み込まれ、非線形磁気光学回転(Nonlinear Magneto Optical Rotation:NMOR)を利用して磁場の計測を行う。なお、ワンビーム方式のものに限らず、ポンプ光を照射するための光源部とプローブ光を照射するための光源部とを分離した、いわゆるツービーム方式の構成としてもよい。
図1は、本実施形態の磁場計測装置1の全体構成例を示す図である。また、図2は、磁場計測装置1を構成する光源部2、ガスセル3、及び偏光計4の配置関係の概略を示す図である。本実施形態の磁場計測装置1は、心磁を計測する心磁計や脳磁を計測する脳磁計に用いられる。この磁場計測装置1には、光ポンピング式の磁気センサーとして、ポンプ光の照射をプローブ光の照射によって兼ねるいわゆるワンビーム方式の磁気センサーが組み込まれ、非線形磁気光学回転(Nonlinear Magneto Optical Rotation:NMOR)を利用して磁場の計測を行う。なお、ワンビーム方式のものに限らず、ポンプ光を照射するための光源部とプローブ光を照射するための光源部とを分離した、いわゆるツービーム方式の構成としてもよい。
図1に示すように、磁場計測装置1は、光源部2と、ガスセル3と、光学検出器としての偏光計4と、演算制御部5と、磁場発生器7とを備える。ここで、図2に示すように、光源部2によってポンプ光及びプローブ光として照射される直線偏光(照射光)の進行方向である第三方向をz軸方向、この直線偏光の電場の振動方向である第二方向をy軸方向、z軸方向及びy軸方向に直交する第一方向をx軸方向と定義し、光源部2、ガスセル3、偏光計4が配置される空間を直交3軸のxyz座標空間として表す。
光源部2は、光源21と偏光板23とで構成され、z軸方向に伝播し、y軸方向に沿って振動する直線偏光を照射光として出射する。光源21は、ガスセル3に封入された気体原子の超微細構造準位の遷移に対応した周波数のレーザービームを発生させるレーザー発生装置である。具体的には、レーザービームの波長は、ガスセル3内の気体原子(例えばセシウムやカリウム、ルビジウム等)のD1線の超微細構造量子数FとF´(=F−1)間の状態遷移に相当する波長である。偏光板23は、光源21からのレーザービームを所定の方向に偏光させ、直線偏光にする素子である。光源部2から出射された照射光は、例えば光ファイバー等により導かれてガスセル3に照射される。
ガスセル3は、カリウム(K)やルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)等のアルカリ金属原子が気体の状態で封入されたガラス製の素子である。アルカリ金属原子は、光源部2からの照射光(ポンプ光)により励起(光ポンピング)され、ガスセル3を透過する光の偏光面を磁場の強さに応じて回転させる媒体としての性質を有する。このガスセル3は、図1中に二点鎖線で示す磁気シールド8の内部に配置される。磁気シールド8は、一定以上の磁気を遮蔽し、磁気シールド8の外部に比べて磁気を低減させた空間を形成するためのものであり、計測に際し、磁気シールド8の内部においてガスセル3が配置された計測領域(ガスセル3の周辺領域)に心臓や脳等の計測対象物としての被検者の部位が位置付けられる。後述する通り、計測領域は、磁気シールド8内に設置された磁場発生器7によって所定のターゲット磁場(例えばゼロ磁場)にすることができる。磁場計測装置1は、計測領域の磁場をターゲット磁場の状態とした後、被検者の測定部位を当該計測領域に配置することで、測定部位が発する磁場を測定する。従って、磁場計測装置1には、磁場形成装置が含まれているとも言える。なお、ガスセル3内の気体原子は磁場の計測時に気体の状態であればよく、常時気体の状態でなくてもよい。また、ガスセル3の材質は、ガラスに限らず照射光を透過する材質であればよく、樹脂等であってもよい。本明細書では、ガスセル3など計測領域に存在する磁場を計測領域の磁場(Bx,By,Bz)と称する。
偏光計4は、偏光分離器41と2つの光検出器431,433とで構成され、ガスセル3を透過した照射光(プローブ光)を互いに直交する2つの偏光成分に分離し、それぞれの光強度を検出する。偏光分離器41は、ガスセル3からの照射光を、直交するα軸及びβ軸(図3を参照)の各軸方向の成分に分離する素子である。分離された一方の偏光成分は光検出器431に導かれ、他方の偏光成分は光検出器433に導かれる。この偏光分離器41は、例えばウォラストンプリズムや偏光ビームスプリッター等で構成される。光検出器431,433は、偏光分離器41によって分離された偏光成分を受光し、受光光量に応じた信号を発生して演算制御部5の信号処理部51に出力する。
演算制御部5は、CPU(Central Processing Unit)等のマイクロプロセッサー、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、IC(Integrated Circuit)メモリー等を用いて構成され、装置各部の動作を統括的に制御する。この演算制御部5は、信号処理部51と、磁場算出部53と、補正磁場設定部55とを備え、計測領域に所定のターゲット磁場(例えばゼロ磁場)を形成するための磁場形成処理(図8を参照)を行う。また、演算制御部5は、フラッシュメモリーやハードディスク等の記憶部を有し、プログラムを実行することで磁場形成処理を実現する構成とするならば、当該プログラムを当該記憶部に読み出し可能に記憶する。
また、演算制御部5には、必要な情報を入力するための入力部61や、磁場の計測結果等を表示するための表示部63が適宜接続される。入力部61は、ボタンスイッチやレバースイッチ、ダイヤルスイッチ等の各種スイッチ、タッチパネル、キーボード、マウス等の入力装置で構成される。表示部63は、LCD(Liquid Crystal Display)やELディスプレイ(Electroluminescence display)等の表示装置で構成される。
信号処理部51は、プローブ光がガスセル3を透過することで回転した偏光面の回転角度を算出することによって、計測領域の磁場を計測する。この信号処理部51は、光検出器431,433からの信号を処理し、次式(1),(2)に従ってα軸及びβ軸の各軸方向の成分の二乗和W+と二乗差W-とを算出する。Eαはα軸方向の成分の光強度を表し、Eβはβ軸方向の成分の光強度を表す。
磁場算出部53は、信号処理部51が算出した二乗差W-の振幅が所定の極値条件を満たしたときの人工磁場を用いて、計測領域に存在する原磁場を算出する。この磁場算出部53は、人工磁場制御部531と、振幅検出部533とを有する。人工磁場制御部531は、磁場発生器7を制御し、x軸、y軸、及びz軸の各軸方向の人工磁場成分を変えた複数の組み合わせの人工磁場であって、z軸方向の人工磁場成分(z軸成分と称す)に所定の交流成分を重畳させることでz軸成分を周期的に変化させた人工磁場を、計測領域に順次発生させる。振幅検出部533は、信号処理部51が算出した二乗差W-の時間変化からその振幅及び位相を抽出することによって、二乗差W-の時間変化とz軸成分の時間変化との比を検出する。この振幅検出部533は、ロックインアンプ等を用いて構成できる。
補正磁場設定部55は、磁場算出部53が算出した原磁場を相殺する補正磁場を設定し、磁場発生器7を制御して計測領域に補正磁場を発生させることで計測領域にゼロ磁場を形成する。
磁場発生器7は、x軸、y軸、及びz軸の各軸方向に磁場を印加するための3軸ヘルムホルツコイルで構成され、磁気シールド8の内部においてガスセル3を挟んで各軸方向に1組ずつ配置された一対のコイルと、これらコイルに電流を供給する電流供給部とを含む。磁場発生器7は、計測領域に任意の3次元方向の磁場を発生させることができる。本明細書では、磁場発生器7により発生された磁場を人工磁場(Ax,Ay,Az)と称する。
なお、z軸方向は、本発明における第三方向であるが、図2に示すように照射光(ポンプ光)は光源部2から必ずしもz軸方向に出射されることに限定されない。出射後にガスセル3に対してz軸方向から照射光(ポンプ光)が入射すればよい。
[原理]
以上のように構成される磁場計測装置1において、光源部2からのポンプ光がガスセル3に照射されると、ガスセル3内の気体原子がスピン偏極する。このスピン偏極によって超微細構造量子数FからF´(=F−1)にエネルギーが遷移した時に生じる磁気モーメントの確率分布は、その直線偏光の振動方向であるy軸方向に沿って伸びる楕円体形状となる。この偏った確率分布を「アライメント」といい、アライメントを生じさせることを「光ポンピングする」という。計測領域がゼロ磁場の場合、生じたアライメントはポンプ光の振動方向であるy軸方向に沿ったままであるが、計測領域に計測対象物である例えば生体が発する心磁や脳磁等の磁場が印加されると、アライメントは歳差運動を行う。その結果、直線偏光の偏光面は、その進行方向であるz軸方向を回転軸として、計測領域の磁場に応じた角度で回転する。
以上のように構成される磁場計測装置1において、光源部2からのポンプ光がガスセル3に照射されると、ガスセル3内の気体原子がスピン偏極する。このスピン偏極によって超微細構造量子数FからF´(=F−1)にエネルギーが遷移した時に生じる磁気モーメントの確率分布は、その直線偏光の振動方向であるy軸方向に沿って伸びる楕円体形状となる。この偏った確率分布を「アライメント」といい、アライメントを生じさせることを「光ポンピングする」という。計測領域がゼロ磁場の場合、生じたアライメントはポンプ光の振動方向であるy軸方向に沿ったままであるが、計測領域に計測対象物である例えば生体が発する心磁や脳磁等の磁場が印加されると、アライメントは歳差運動を行う。その結果、直線偏光の偏光面は、その進行方向であるz軸方向を回転軸として、計測領域の磁場に応じた角度で回転する。
図3は、偏光面の回転を説明する図である。上記したように、アライメントは、計測領域の磁場(ガスセル3が受ける磁場)に応じて歳差運動する。そして、ポンプ光による光ポンピング作用と、気体原子がガスセル3の内壁と衝突する等して起こる緩和作用とが加わることによって、アライメントは、図3中にハッチングを付した楕円体で示すように、y軸に対して磁場の強さに応じた角度(θ)だけ回転した配置で定常状態となる。
このアライメントにより、ガスセル3を通過するプローブ光は線形二色性の作用を受ける。線形二色性とは、アライメントに沿った方向(Θpの方向)と、アライメントに垂直な方向(Θsの方向)とで直線偏光の透過率が異なる性質をいう。具体的には、アライメントに沿った方向よりもアライメントに垂直な方向の成分が多く吸収されるため、プローブ光の偏光面は、アライメントに沿った方向に近づくように回転する。
例えば、本実施形態では、ガスセル3に入射するプローブ光は、電場の振動方向がy軸方向であるベクトルE0の直線偏光であり、アライメントは、プローブ光のうちのΘp方向の成分を透過率tpで透過し、Θs方向の成分を透過率tsで透過する。線形二色性によりtp>tsであるため、ガスセル3を透過したプローブ光の偏光面はΘp方向に近づくように回転し、ベクトルE1に沿ったものとなる。具体的に、ベクトルE0のアライメントに沿った成分をE0Pと表記し、ベクトルE0のアライメントと直線偏光の進行方向とに垂直な方向に沿った成分をE0sと表記し、ベクトルE1のアライメントに沿った成分をE1Pと表記し、ベクトルE1のアライメントと直線偏光の進行方向とに垂直な方向に沿った成分をE1sと表記した場合、E1P=tpE0PとE1s=tsE0sとの関係にある。
アライメントに沿った方向と、プローブ光の振動方向とが成す角(以下、「アライメント方位角」という。)をθとすると、ベクトルE1のΘp方向及びΘs方向の各成分は次式(3)によって算出され、(α,β)の座標系における各成分は、次式(4)によって算出される。
図4は、アライメント方位角θとプローブ光の検出結果との関係を示す図である。図4において二乗差W-の値に着目すると、二乗差W-は、アライメント方位角θに対して180度を周期として振動する。そして、二乗差W-は、アライメント方位角θが−45度から45度の範囲では、アライメント方位角θに対してほぼ線形変化しているため、高い感度が得られる。また、その線形変化の中心が0度であって、その線形変化の範囲が他(二乗和W+など)と比べて広いため、計測領域に生じる磁場を計測するには好適である。心磁や脳磁等の生体磁場は微弱であり、アライメント方位角θは小さいことから、二乗差W-を用いれば偏光面の回転角度を高感度に観測できる。但し、上記したように、計測領域に原磁場が存在するとその影響を受けて感度が低下し、計測精度の低下を招く。本実施形態では、磁場の計測は、磁気シールド8によって計測領域への磁場の侵入が抑制された環境下で行われるが、磁気シールド8によっては、磁場の侵入を完全には遮蔽できない。完全に磁気を遮蔽できる磁気シールドは、装置が大がかりであり、費用も高額な上、設置コストや運用コストも高い。そこで、本実施形態では、磁気シールド8を用いることとする。但し、そもそも原磁場が低い場合や原磁場が安定している場合には、磁気シールド8すら用いずに本実施形態を構成することもできる。
ここで、二乗差W-は、ガスセル3内で生じたアライメントのスピン偏極度(Mx,My,Mz)のx軸成分Mx(以下、「スピン偏極度Mx」と表記する。)の値とほぼ比例するため、スピン偏極度Mxを用いて表すことができる。スピン偏極度(Mx,My,Mz)は、ガスセル3内における気体原子の磁化ベクトルに相当する。以下、磁化ベクトルのx軸成分を示す磁化値としてスピン偏極度Mxを用い、計測領域の磁場のx軸成分、y軸成分、及びz軸成分(絶対的な磁束密度Bx,By,Bz)とスピン偏極度Mxとの関係について検討した。
光ポンピングにより生じたアライメントのスピン偏極度(Mx,My,Mz)の時間発展は、次式(5)〜(7)に示すブロッホ方程式(Bloch equations)で近似される。γFは、ガスセル3内の気体原子(アルカリ金属原子)の種類で決まる磁気回転比を表す。また、Γ0はスピン偏極度(Mx,My,Mz)の緩和速度を表し、Γpは光ポンピング速度を表す。スピン偏極度の緩和速度Γ0と光ポンピング速度Γpとは、角振動数と同じ単位系で表され、具体的にはラジアン毎秒(rad/s)の単位を有する。又、カットオフ角振動数ωCはスピン偏極度の緩和速度Γ0と光ポンピング速度Γpとの和である(ωC=Γ0+Γp)。
ポンプ光及びプローブ光は、定常的に一定のパワーでガスセル3に照射されるため、スピン偏極度(Mx,My,Mz)の定常解は、上記式(5)〜(7)の左辺をそれぞれゼロとおいて解くことができる。解は、次式(8)〜(11)で表される。
上記式(8)のスピン偏極度MxをBzで微分した微分値∂Mx/∂Bzは、次式(12)で表される。
上記式(12)にて表される微分値∂Mx/∂Bzは、検出量(磁場のz成分Bz)の変化に対する出力(磁化値Mx)の変化を示しているので、検出感度を意味している。即ち、微分値∂Mx/∂Bzが最大となる条件で、磁場計測装置1の計測感度は最大となる。上記式(12)の分母はBxやByがどんな値であってもこれらの値の4乗で増えて行く。一方、上記式(12)の分子はBxやByの2乗で変化するので、BxとByとに関しては、Bx=By=0のときに微分値∂Mx/∂Bzは最大となる。このときの微分値∂Mx/∂Bzは、次式(13)にて表される。
By=0[nT]で、Bx及びBzの各値を変化させると、図5に示される様になる。又、Bx=By=0[nT]で、Bzの各値を変化させると、図6に示される様になる。図5及び図6に示すように、微分値∂Mx/∂Bzの分布には極大値が1つ現れ、微分値∂Mx/∂Bzは、Bx=By=0の場合にBz=0のときに極大(最大)となる。したがって、計測領域がゼロ磁場(Bx,By,Bzの各値がゼロ)の場合に、z軸方向(プローブ光の進行方向)に沿った磁場の変化に対するスピン偏極度Mx(つまりは二乗差W-)の変化が最も大きく、感度は最大となる。逆を言うと、計測領域に於ける外部磁場などの原磁場を最小とするには、微分値∂Mx/∂Bzが最大となる様に人工磁場を調整すれば良いことになる。
ここで、微分値∂Mx/∂Bz(スピン偏極度Mxの時間変化とBzの時間変化との比)は、二乗差W-の時間変化とBzの時間変化との比に置き換えることができる。そこで、本実施形態の磁場形成処理では、x軸成分、y軸成分、及びz軸成分を変えた複数の組み合わせの人工磁場であって、z軸成分を周期的に変化させた人工磁場を計測領域に順次発生させ、スピン偏極度Mxの時間変化とBzの時間変化との比である微分値∂Mx/∂Bzが最大となる人工磁場を探す。この際に、z軸成分の角振動数ωはカットオフ角振動数ωC以下の値とすることが望ましい。カットオフ角振動数ωCはスピン偏極度Mxの緩和速度Γ0と光ポンピング速度Γpとの和であり(ωC=Γ0+Γp)、本実施形態ではおおむね100Hz程度となっている。即ち、人工磁場のz軸成分は、ω<ωC=Γ0+Γpの関係を満たすのが好ましく、本実施形態では、角振動数ωは100Hz以下である。z軸成分の角振動数ωはカットオフ角振動数ωc以下の値とすると、dMx/dtが概ねゼロとみなす事ができ、前述した式(5)の左辺をゼロと近似する事が正当化される。即ち、ω<ωC=Γ0+Γpの関係を満たすと、計測領域に存在する原磁場を正確に計測する事が可能になる。但し、磁場計測装置1は一次のローパスフィルターの様に振る舞うので、カットオフ角度振動数ωC付近のゲインと位相とは角振動数ωの増加と共に緩やかに減少して行く。このため、実際には重畳される周期関数の角振動数ωはカットオフ角振動数ωCよりも一割程度大きくとも構わない。
具体的な計測方法としては、人工磁場のx軸成分Axとy軸成分Ayとを固定磁場とし、z軸成分は周期関数で表さる磁場を印加して、スピン偏極度Mxの時間変化とBzの時間変化との比を計測する。これを様々な水準で計測し、微分値∂Mx/∂Bzが最大となる人工磁場を特定する。例えば、第1測定として、Ax=0、Ay=0、Azを0の周りの振動磁場として(一例として、Az=sinωt)、第1の微分値∂Mx/∂Bzを計測する。次に、第2測定として、Ax=0、Ay=0、Azを1の周りの振動磁場として(一例として、Az=1+sinωt)、第2の微分値∂Mx/∂Bzを計測する。次に、第3測定として、Ax=0、Ay=0、Azを−1の周りの振動磁場として(一例として、Az=−1+sinωt)、第3の微分値∂Mx/∂Bzを計測する。次に、第4測定として、Ax=0、Ay=1、Azを0の周りの振動磁場として(一例として、Az=sinωt)、第4の微分値∂Mx/∂Bzを計測する。次に、第5測定として、Ax=0、Ay=1、Azを1の周りの振動磁場として(一例として、Az=1+sinωt)、第5の微分値∂Mx/∂Bzを計測する。次に、第6測定として、Ax=0、Ay=1、Azを−1の周りの振動磁場として(一例として、Az=−1+sinωt)、第6の微分値∂Mx/∂Bzを計測する。次に、第7測定として、Ax=0、Ay=−1、Azを0の周りの振動磁場として(一例として、Az=sinωt)、第7の微分値∂Mx/∂Bzを計測する。次に、第8測定として、Ax=0、Ay=−1、Azを1の周りの振動磁場として(一例として、Az=1+sinωt)、第8の微分値∂Mx/∂Bzを計測する。次に、第9測定として、Ax=0、Ay=−1、Azを−1の周りの振動磁場として(一例として、Az=−1+sinωt)、第9の微分値∂Mx/∂Bzを計測する。この様にAy=0を中心として、多くの測定を繰り返し、こうして得られた多くの微分値∂Mx/∂Bzから、微分値∂Mx/∂Bzが最大となる人工磁場を特定する。換言すると、各組み合わせの複数の人工磁場毎に、偏光計4の検出結果に基づき信号処理部51が算出した二乗差W-の周期変化から振幅を抽出することによって、微分値∂Mx/∂Bzを検出する。そして、微分値∂Mx/∂Bzが極大値となる極値条件を満たしたときの人工磁場を用いて原磁場を算出する。人工磁場を変化させながら微分値∂Mx/∂Bzの極大値を求める処理は、公知の最適化処理を用いることで実現できる。上述の如く、微分値∂Mx/∂Bzが最大となる人工磁場を探すには、人工磁場のy軸成分Ayをゼロの近傍から探して行くのが効率性の面から好ましい。
図7は、計測領域の磁場B=(Bx,By,Bz)の座標系と、磁場発生器7により発生させた人工磁場A=(Ax,Ay,Az)の座標系との関係を示す図である。図7に示すように、計測領域の磁場B=(Bx,By,Bz)の各成分は、原磁場C=(Cx,Cy,Cz)に人工磁場A=(Ax,Ay,Az)の各成分をベクトル加算することで算出できる。算出式を次式(14)に示す。
上記したように、微分値∂Mx/∂Bzが極大値となり極値条件を満たしたとき、すなわち、抽出した振幅が最大となったときの計測領域の磁場はゼロ磁場(B=0)であることから、原磁場C(Cx,Cy,Cz)は、上記式(14)の関係から、当該極値条件を満たしたときの人工磁場Ah(Ahx,Ahy,Ahz)を用いて次式(15)〜(17)により表される。
[処理の流れ]
図8は、磁場形成処理の処理手順を示すフローチャートである。磁場計測装置1は、磁気シールド8内に被検者を搬入して生体磁場の計測を行う前に、図8に示す磁場形成処理を行う。
図8は、磁場形成処理の処理手順を示すフローチャートである。磁場計測装置1は、磁気シールド8内に被検者を搬入して生体磁場の計測を行う前に、図8に示す磁場形成処理を行う。
図8に示すように、磁場形成処理では、先ず、磁場算出部53が、計測領域に存在する原磁場Cを算出する(ステップS1)。具体的な処理手順としては、先ず、人工磁場制御部531が、上記した複数の組み合わせの人工磁場を磁場発生器7により計測領域に順次発生させ、振幅検出部533がその都度計測結果として得られる二乗差W-の振幅を抽出する。そして、磁場算出部53は、二乗差W-の振幅が最大となったときの人工磁場Ahを用いて上記式(15)〜(17)により原磁場Cを算出する。
続いて、補正磁場設定部55が、ターゲット磁場T(Tx,Ty,Tz)からステップS1で算出した原磁場Cを減算して補正磁場T−Cを設定する(ステップS3)。そして、補正磁場設定部55は、設定した補正磁場T−Cを磁場発生器7に発生させることにより、原磁場Cを相殺して計測領域にターゲット磁場Tを形成する(ステップS5)。本実施形態では、一例としてターゲット磁場T=(0,0,0)として補正磁場T−Cを設定し、計測領域にゼロ磁場を形成する。
以上説明したように、本実施形態によれば、計測領域に存在する原磁場を算出することができる。また、計測領域において原磁場を相殺してゼロ磁場を形成し、その上で磁気シールド8内に被検者を搬入して生体磁場の計測を行うことができる。これによれば、生体磁場を感度良く高精度に計測することが可能となる。
なお、上記した実施形態では、磁気モーメントに偏極を生じさ、透過する光の偏光面を磁場の強さに応じて回転させる媒体としてアルカリ金属原子が気体の状態で封入されたガスセル3を用いることとしたが、アルカリ金属原子以外の媒体を用いてもよい。例えば、窒素による格子欠陥を設けたダイヤモンドといった固体素子を媒体として用いる構成としてもよい。また、本発明の磁場計測方法及び磁場計測装置は、磁気センサー以外にも、ミリサイズの小型のガスセルを用いた原子発振器にも適用が可能である。
また、ターゲット磁場をゼロ磁場とする実施形態を説明したが、ターゲット磁場はゼロ磁場以外の任意の磁場とすることができる。
1…磁場計測装置、2…光源部、3…ガスセル、4…光学検出器としての偏光計、5…演算制御部、7…磁場発生器、8…磁気シールド、21…光源、23…偏光板、41…偏光分離器、51…信号処理部、53…磁場算出部、55…補正磁場設定部、61…入力部、63…表示部、431,433…光検出器、531…人工磁場制御部、533…振幅検出部。
Claims (5)
- 第一方向と第二方向と第三方向とは互いに直交し、直線偏光を出射する光源部と、計測領域に配置されて電場の振動方向が前記第二方向である前記直線偏光が前記第三方向に沿って照射され、磁場に応じて前記直線偏光の光学特性を変化させる媒体と、前記光学特性を検出する光学検出器と、前記計測領域に人工磁場を印加する磁場発生器と、を備えた磁場計測装置が、前記計測領域の磁場を計測する磁場計測方法であって、
前記第一方向〜第三方向の人工磁場成分を変えた複数の組み合わせの人工磁場であり、前記第三方向の人工磁場成分を周期的に変化させた人工磁場を前記磁場発生器に発生させることと、
前記媒体の磁化ベクトルの前記第一方向の成分である磁化値を前記光学検出器の検出結果に基づいて算出することと、
前記磁化値の時間変化と前記第三方向の人工磁場成分の時間変化との比が所定の極値条件を満たしたときの前記人工磁場を用いて、前記計測領域に存在する原磁場を算出することと、
を含む磁場計測方法。 - 前記原磁場を算出することは、前記所定の極値条件を満たしたときの前記計測領域の磁場がゼロ磁場であることに基づいて、前記原磁場を算出することを含む、
請求項1に記載の磁場計測方法。 - 前記人工磁場を発生させることは、前記第三方向の人工磁場成分をカットオフ角振動数以下の周期で変化させることを含む、
請求項1又は2に記載の磁場計測方法。 - 所定のターゲット磁場に対する前記原磁場の差分の磁場を、前記磁場発生器に発生させることと、
前記計測領域に磁場を発生する計測対象物を接近させることと、
前記差分の磁場を発生させている間の前記光学検出器の検出結果を用いて、前記計測対象物が発生した磁場を計測することと、
を更に含む請求項1〜3の何れか一項に記載の磁場計測方法。 - 第一方向と第二方向と第三方向とは互いに直交し、
直線偏光を出射する光源部と、
電場の振動方向が前記第二方向である前記直線偏光が前記第三方向から照射され、照射された前記直線偏光を透過して、磁場に応じて光学特性が変化する計測領域に配置された媒体と、
前記光学特性を検出する光学検出器と、
前記第一方向、前記第二方向、前記第三方向の各成分を可変とする人工磁場を前記計測領域に印加する磁場発生器と、
前記第一方向〜第三方向の人工磁場成分を変えた複数の組み合わせの人工磁場であり、前記第三方向の人工磁場成分を周期的に変化させた人工磁場を前記磁場発生器に発生させることと、前記媒体の磁化ベクトルの前記第一方向の成分である磁化値を前記光学検出器の検出結果に基づいて算出することと、前記磁化値の時間変化と前記第三方向の人工磁場成分の時間変化との比が所定の極値条件を満たしたときの前記人工磁場を用いて、前記計測領域に存在する原磁場を算出することを実行する演算制御部と、
を備えた磁場計測装置。
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2015
- 2015-05-27 JP JP2015107152A patent/JP2016102777A/ja active Pending
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