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JP2016102093A - 塩基性の求核化合物を含有するマイクロカプセルの製造方法 - Google Patents

塩基性の求核化合物を含有するマイクロカプセルの製造方法 Download PDF

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JP2016102093A JP2014241761A JP2014241761A JP2016102093A JP 2016102093 A JP2016102093 A JP 2016102093A JP 2014241761 A JP2014241761 A JP 2014241761A JP 2014241761 A JP2014241761 A JP 2014241761A JP 2016102093 A JP2016102093 A JP 2016102093A
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尚也 小坂
Naoya Kosaka
尚也 小坂
直幸 宮永
Naoyuki Miyanaga
直幸 宮永
稔 初鹿
Minoru Hatsuka
稔 初鹿
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Abstract

【課題】塩基性の求核化合物を含有する安定なマイクロカプセルを、生分解性ポリマーの分子量を保持したまま簡便に製造する方法を提供すること。
【解決手段】(A)生分解性ポリマー、塩基の求核化合物、および溶媒としてハロゲン化炭化水素を含む第1の相を調製する工程、(B)前記第1の相と水相である第2の相とを混合してエマルジョンを調製する工程、および(C)得られたエマルジョンを水中乾燥する工程を含む塩基性の求核化合物を含有するマイクロカプセルの製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、塩基性の求核化合物を含有するマイクロカプセルの製造方法に関し、より詳細には、ハロゲン化炭化水素を溶媒として用いることを特徴とする製造方法に関する。
これまでに、治療に有用な薬物を、生分解性ポリマーなどのマイクロカプセル中に封入し、徐放または遅延放出製剤とするドラッグデリバリーシステムが種々開発されている。たとえば、乳酸−グリコール酸共重合体などの生分解性ポリマーを用いたマイクロカプセルでは、カプセル殻となる生分解性ポリマーのベンジルアルコールおよび酢酸エチル溶液に、封入する薬物を溶解、分散または乳化し、溶媒をクエンチ液である酢酸エチル水溶液で洗浄・乾燥することにより、マイクロカプセルを得る方法が開示されている(特許文献1)。
一方、塩基性の求核化合物であるリスペリドンは、統合失調症などの治療に用いられている、セロトニン・ドパミン・アンタゴニスト(SDA:serotonin-dopamine antagonist)と呼ばれる非定型抗精神病薬であり、生分解性ポリマーの加水分解を促進する作用を有する。このため、マイクロカプセルの殻形成ポリマーの分子量を制御することを目的に、酢酸エチル溶液に溶解した生分解性ポリマー溶液と、リスペリドンをベンジルアルコールに溶解した溶液とを混合した有機相を調製し、これを25±5℃の温度下で、十分な持続時間保持することにより出発物質に見合った分子量損失を促し、その後に乳化工程を行う方法が開示されている(特許文献2)。
特表平9−505308号公報 特表2003−534268号公報
特許文献1の方法では、リスペリドンのポリマー暴露時間をできるだけ短くすることが教示されているが、それでもなお乳酸−グリコール酸共重合体などの生分解性ポリマーが分解してしまい、安定した分子量のポリマーを有するマイクロカプセルの製造が困難であるという問題があった。生分解性ポリマーの分子量は分解速度を決定する要因のひとつであるため、安定した分子量を維持することはきわめて重要である。また、特許文献2の方法は、出発材料の生分解性ポリマーの分子量から、必要な保持時間を算出し、所望の分子量を得るために、適宜設定しなければならないという、繁雑なものであった。
したがって、本発明は、塩基性の求核化合物を含有する安定なマイクロカプセルを、生分解性ポリマーの分子量を保持したまま簡便に製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、塩基性の求核化合物のマイクロカプセルの製造において、ハロゲン化炭化水素を溶媒として用いることにより、生分解性ポリマーの分解を抑えられることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
[1]塩基性の求核化合物を含有するマイクロカプセルの製造方法であって、
(A)生分解性ポリマー、塩基性の求核化合物、および溶媒としてハロゲン化炭化水素を含む第1の相を調製する工程、
(B)前記第1の相と水相である第2の相とを混合してエマルジョンを調製する工程、および
(C)得られたエマルジョンを水中乾燥する工程
を含む製造方法、
[2]前記第1の相および前記第2の相の少なくともいずれかが冷却される上記[1]記載の製造方法、
[3]工程(A)が、生分解性ポリマーのハロゲン化炭化水素溶液と、塩基性の求核化合物のハロゲン化炭化水素溶液とをそれぞれ別々に調製し、工程(B)の直前に混合して第1の相を調製するものである上記[1]または[2]記載の製造方法、
[4]工程(A)における混合がスタティックミキサーを用いて行われる上記[3]記載の製造方法、
[5]工程(B)における混合が、スタティックミキサー、ホモミキサーまたは高圧ホモミキサーによって(A)工程と連続して行われる前記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の製造方法、
[6]ハロゲン化炭化水素が、ジクロロメタンまたはクロロホルムである上記[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法、および
[7]生分解性ポリマーが、乳酸−グリコール酸共重合体である上記[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法、および
[8]塩基性の求核化合物が、リスペリドン、オキシブチニンまたはナルトレキソンである上記[1]〜[7]のいずれかに記載の製造方法
に関する。
本発明によれば、マイクロカプセルの製造過程における生分解性ポリマーの分解を抑制し、塩基性の求核化合物を含有する安定なマイクロカプセルを、生分解性ポリマーの分子量を極力保持したまま簡便に製造することができる。
乳酸−グリコール酸共重合体の分子量変化率を示すグラフである。 乳酸−グリコール酸共重合体の分子量変化率を示すグラフである。
本発明によれば、塩基性の求核化合物を含有するマイクロカプセルの製造は、(A)生分解性ポリマー、塩基性の求核化合物、および溶媒としてハロゲン化炭化水素を含む第1の相を調製する工程、(B)前記第1の相と水相である第2の相とを混合してエマルジョンを調製する工程、および(C)得られたエマルジョンを水中乾燥する工程を含む方法により製造することができる。
本明細書において、「マイクロカプセル」とは、粒子のマトリクスまたは結合剤として作用するポリマーを含む粒子を意味する。マイクロカプセルポリマーマトリックス内に分散または溶解した活性剤または他の物質を含有してもよい。ポリマーは、好ましくは生分解性で生物適合性である。「生分解性」とは、体内で容易に分解、代謝される性質を意味し、「生体適合性」とは、身体に有毒ではない、薬学的に許容され得る性質を意味する。
塩基性の求核化合物としては、例えば、リスペリドン、オキシブチニンまたはナルトレキソンなどが挙げられる。
リスペリドンは、式:
Figure 2016102093
で表される化学名:3−{2−[4−(6−フルオロ−1,2−ベンズイソキサゾール−3−イル)ピペリジノ]エチル}−6,7,8,9−テトラヒドロ−2−メチル−4H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−4−オンのベンズイソキサゾール誘導体である。リスペリドンは、セロトニン・ドパミン・アンタゴニスト(SDA:serotonin-dopamine antagonist)と呼ばれる非定型抗精神病薬であり、ドパミンD2受容体およびセロトニン5−HT2A受容体の両方に拮抗作用を示す。この両作用により統合失調症の陽性症状と陰性症状の両方に改善作用を示す。
オキシブチニンは、式:
Figure 2016102093
で表される化学名:α−フェニルシクロヘキサングリコール酸4−(ジエチルアミノ)−2−ブチニルの抗コリン作動薬である。
ナルトレキソンは、式:
Figure 2016102093
で表される化学名:4,5α−エポキシ−3,14−ジヒドロキシ−17−(シクロプロピルメチル)モルフィナン−6−オンの麻酔拮抗薬である。
生分解性ポリマーとしては、ポリ(グリコール酸)、ポリ−D,L−乳酸、ポリ−L−乳酸、それらの共重合体ならびにその塩があげられ、乳酸−グリコール酸共重合体(Poly(DL-Lactic-co-glicolide))が好ましく、これらは公知の方法により製造することができ、また種々の市販されているものを使用することもできる。
乳酸−グリコール酸共重合体の塩としては、たとえばナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属などを含む無機塩基、トリエチルアミンなどの有機アミン類、アルギニンなどの塩基性アミン類などの有機塩基、あるいは亜鉛、鉄、銅などの遷移金属との塩および錯塩などがあげられる。
また、乳酸−グリコール酸共重合体の分子量は、通常、重量平均分子量Mwで30000〜150000が好ましく、60000〜100000がより好ましい。
生分解性ポリマーの溶媒としては、ハロゲン化炭化水素を用いる。ハロゲン化炭化水素を用いることにより、生分解性ポリマー、特に乳酸−グリコール酸共重合体の分解を抑制することができる。本明細書においては、ハロゲン化炭化水素は、少なくとも1つのハロゲン原子で置換された炭素数1〜4のアルカンまたはアルケンを意味し、少なくとも1つのハロゲン原子で置換された炭素数1〜2のアルカンがより好ましい。ハロゲン化炭化水素の具体例としては、ジクロロメタン、クロロホルムなどがあげられ、ジクロロメタンがより好ましい。
本発明の一つの実施態様によれば、塩基性の求核化合物としてリスペリドンを用いる場合、マイクロカプセルにおけるリスペリドンの含有量は、1〜60質量%が好ましく、35〜45質量%がより好ましい。リスペリドンの含有量がマイクロカプセルの重量に対して1質量%未満では臨床量を満たすには多量のマイクロカプセル製剤を投与する必要がある。リスペリドンの含有量がマイクロカプセルの重量に対して60質量%を超えるとリスペリドンの溶解に時間がかかったり、溶け残りが生じないよう溶媒量を多くする必要があり、乳化時間が長時間におよぶ問題が生じる。その他の塩基性の求核化合物についても、マイクロカプセルへの含有量は、有効量を考慮して、当業者が適宜設定することができる。
本発明の一つの実施態様によれば、工程(A)は、特に限定されるものではないが、生分解性ポリマーのハロゲン化炭化水素溶液と、塩基性の求核化合物のハロゲン化炭化水素溶液とをそれぞれ別々に調製し、工程(B)の直前に混合して第1の相を調製することが好ましい。これにより、生分解性ポリマーと塩基性の求核化合物との相互作用を極力抑えることができる。
生分解性ポリマーのハロゲン化炭化水素溶液、および塩基性の求核化合物を含む第1の相は、いずれも調製後直ちに使用することが好ましい。また、生分解性ポリマーのハロゲン化水素溶液、および塩基性の求核化合物を含む第1の相は、室温でもよいが、冷却することが好ましい。冷却は、最終的な第1の相を調製する前の成分を冷却してなしてもよいし、第1の相の調製過程を冷却することによりなしてもよい。
本発明のさらなる実施態様によれば、生分解性ポリマーのハロゲン化炭化水素溶液と塩基性の求核化合物のハロゲン化炭化水素溶液との混合は、一般的な混合手段を用いることができるが、スタティックミキサーを用いて行うことが、混合後、工程(B)までの時間を無くすことができる点から好ましい。この場合には、第1の相の冷却は、スタティックミキサーに冷却手段を備える(たとえばスタティックミキサーの外側に冷却水を流す漕を設けるなど)ことにより、スタティックミキサーで2液を混合中に冷却してもよい。
工程(B)における第2の相は、水相であり、親水性コロイドまたは界面活性剤を添加して、エマルジョンを安定化し、エマルジョン中のマイクロカプセルのサイズを調節することが好ましい。このような親水性コロイドまたは界面活性剤として使用し得る化合物の例としては、特に限定されるものではないが、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、Tween80、Tween20などがあげられる。
第2の相における親水性コロイドまたは界面活性剤の濃度は、エマルジョンの安定化に十分な量とすべきであり、マイクロカプセルの最終的なサイズに影響し得る。通常、第2の相における親水性コロイドまたは界面活性剤の濃度は、親水性コロイドまたは界面活性剤の種類によって異なるが、ポリビニルアルコールであれば、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。ポリビニルアルコールの濃度が、0.01質量%未満では、マイクロカプセルの粒子同士が互いに凝集しあい塊になる傾向があり、10質量%を超えると、乳化時に生じた泡が水中乾燥時の液面を覆い塞ぎ、有機溶媒の蒸発の妨げとなりマイクロカプセル中の残留溶媒が増加する懸念がある。
また、本発明の一実施態様では、第1の相または第2の相の少なくともいずれかを冷却することが好ましい。第1の相を調製前の各成分を冷却しておくことにより冷却しても良いし、第2の相を調製後冷却しておいても良い。これらのいずれかの相を冷却することにより、工程(B)の混合後の生分解性ポリマーの分子量低下を防止することができる。本明細書における「冷却」とは、たとえば15℃よりも低い温度とすることであり、15℃以下とすることが好ましく、5℃以下とすることがより好ましい。
また、本発明の一実施態様では、工程(B)における混合が、各種乳化機、例えば、スタティックミキサー、ホモミキサーまたは高圧ホモジナイザーによって、上述の工程(A)に連続して行われることが好ましい。連続的に実施することで、生分解性ポリマーの分解を抑制することができる。
本発明におけるエマルジョンの乾燥工程は、水中乾燥、凍結乾燥、減圧乾燥など有機溶媒が蒸発する方法が挙げられる。より好ましくは、エマルジョンの乾燥工程は、水中乾燥である。
本発明の一実施態様においては、すべての工程、とりわけ第1の相の調製工程、第2の相と塩基性の求核化合物を含む第1の相との混合工程については、冷却下で行うことが好ましく、15℃以下で行うことがさらに好ましく、5℃以下がより好ましい。各工程を15℃より高い温度で行う場合、本発明の生分解性ポリマーの分子量維持効果を十分に発揮できない可能性がある。また、エマルジョンの乾燥工程についても、水中乾燥をする場合には15℃以下で行うことが好ましい。
本発明の製造方法により得られるマイクロカプセルは、乾燥前と乾燥後、または少なくとも乾燥後に適切な篩により篩過することにより、注射剤などの医薬用途に利用可能な製剤とすることができる。
以下、実施例および比較例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1
リスペリドン2g、乳酸−グリコール酸共重合体(乳酸:グリコール酸=3:1、重量平均分子量97000/PLGA)3gをジクロロメタン20mLに溶解した。溶解後すぐに、この液を10mL/分の速さで、0.1質量%のポリビニルアルコール(PVA)水溶液を1000mL/分の速さで、送液し、パイプラインホモミキサー(プライミクス(株)製)を用いて乳化してO/Wエマルジョンを得た(乳化時間:2分間)。すべての作業は室温(20〜28℃)で行った。
つぎに、得られたエマルジョンを、プロペラ撹拌機で室温(20〜28℃)で3時間撹拌し、水中乾燥により溶媒を蒸発させた。
溶媒を除去した後、150μmの篩を用いて篩過し、篩過液を回収し、つぎに25μmの篩で篩過した。得られた篩上の残存物に水1Lをゆっくりかけて洗浄し、その後、凍結乾燥を行い、さらに425μmの篩で篩過し、マイクロカプセル2.1gを得た。
比較例1
リスペリドンを4gをベンジルアルコール12.68gに溶解した溶液(a)と、乳酸−グリコール酸共重合体(乳酸:グリコール酸=3:1、重量平均分子量97000/PLGA)6gを酢酸エチル30gに溶解した溶液(b)とを調製した。事前に1質量%のポリビニルアルコール(PVA)に6.5質量%となるように酢酸エチルを添加した溶液(c)を調製した。溶液(a)と溶液(b)を混合後すぐに10mL/分の速さで、溶液(c)を50mL/分の速さで送液しパイプラインホモミキサー(プライミクス(株)製)を用いて乳化し、O/Wエマルジョンを得た(乳化時間:4.5分間)。
つぎに、得られたエマルジョンに2.5%酢酸エチル水溶液2500mLを添加し、プロペラ攪拌機で室温で3時間攪拌し、水中乾燥により溶媒を蒸発させた。
溶媒を除去した後、25μmの篩を用いて篩過し、残留物を水1Lで洗浄した。得られたマイクロカプセルを25%エタノール溶液400mLに分散し、1時間、攪拌・洗浄した。これを150μmの篩で篩過し、篩過液を回収し、つぎに25μmの篩で篩過した。得られた篩上の残存物を回収し、その後、凍結乾燥を行い、さらに425μmの篩で篩過し、マイクロカプセル0.4gを得た。
試験例1
実施例1および比較例1において得られたマイクロカプセルにおける乳酸−グリコール酸共重合体の重量平均分子量を以下の方法で測定した。約40mgのマイクロカプセルを、5mLのテトラヒドロフランで溶解して試料溶液を得た。ついで、10μLの試料溶液を分子ふるいカラム(東ソー(株)製:TSK−GEL SUPER H4000×2本、H2000×1本、カラム温度40℃)を装備したクロマトグラフィーに供し、テトラヒドロフランの移動相にて流速0.6mL/分の速度で展開し、重量平均分子量を測定した。それぞれの分子量変化率は、2.2%および13.9%であった。分子量変化率は、次の式で算出した。
分子量変化率(%)=(各時点でのPLGAの重量平均分子量−原料のPLGAの重量平均分子量)/原料のPLGAの重量平均分子量×100
実施例2
リスペリドン1.5g、乳酸−グリコール酸共重合体(乳酸:グリコール酸=3:1、重量平均分子量97000/PLGA)2.44gをジクロロメタン12mLに溶解した。溶解後すぐに、この液を10mL/分の速さで、15℃に冷却した0.1質量%のポリビニルアルコール(PVA)水溶液を1000mL/分の速さで送液し、パイプラインホモミキサー(プライミクス(株)製)を用いて乳化O/Wエマルジョンを得た(乳化時間:1.2分間)。
つぎに、得られたエマルジョンを、プロペラ撹拌機で15℃で3時間攪拌し、水中乾燥により溶媒を蒸発させた。
溶媒を除去した後、150μmの篩を用いて篩過し、篩過液を回収し、つぎに25μmの篩で篩過した。得られた篩上の残存物に水1Lをゆっくりかけて洗浄し、その後、凍結乾燥を行い、さらに425μmの篩で篩過し、マイクロカプセル1.2gを得た。
実施例3
リスペリドン2g、乳酸−グリコール酸共重合体(乳酸:グリコール酸=3:1、重量平均分子量97000/PLGA)3gをジクロロメタン20mLに溶解した。溶解後すぐに、この液を10mL/分の速さで、5〜10℃に冷却した0.1質量%のポリビニルアルコール(PVA)水溶液を1000mL/分の速さで送液し、パイプラインホモミキサー(プライミクス(株)製)を用いて乳化し、O/Wエマルジョンを得た(乳化時間:2分間)。
つぎに、得られたエマルジョンを、プロペラ撹拌機で5〜10℃で3時間攪拌し、水中乾燥により溶媒を蒸発させた。
溶媒を除去した後、150μmの篩を用いて篩過し、篩過液を回収し、つぎに25μmの篩で篩過した。得られた篩上の残存物に水1Lをゆっくりかけて洗浄し、その後、凍結乾燥を行い、さらに425μmの篩で篩過し、マイクロカプセル1.6gを得た。
試験例2
試験例1と同様にして、実施例2および実施例3において得られたマイクロカプセルにおける乳酸−グリコール酸共重合体の重量平均分子量を測定した。それぞれの分子量変化率は、2.5%および0.0%であった。
実験例1:乳酸−グリコール酸共重合体の分子量の変化(リスペリドンの場合)
表1の処方にしたがい、リスペリドンと溶媒からなる溶液(a)および乳酸−グリコール酸共重合体(乳酸:グリコール酸=3:1、重量平均分子量97000/PLGA)と溶媒からなる溶液(b)を調製した。各処方において溶液(a)および(b)を混合し、4℃、25℃および37℃にて保管し、サンプル中の乳酸−グリコール酸共重合体の重量平均分子量を調製後0(調製直後)、1、3、6、21、24時間で測定した。
乳酸−グリコール酸共重合体の重量平均分子量の測定は、溶液約100mgをテトラヒドロフラン5mLに溶解して試料溶液とし、試験例1に準じて行った。
Figure 2016102093
この結果より、処方1の乳酸−グリコール酸共重合体の分子量の低下は、処方2と比較して緩やかであり、とりわけ、4℃での処方1では調製後3時間までほとんど低下しなかった(図1)。このことより、ジクロロメタンを溶媒として使用することにより、乳酸−グリコール酸共重合体のような生分解性ポリマーの分子量の変化を有意に抑えられることがわかる。
実験例2:乳酸−グリコール酸共重合体の分子量の変化(オキシブチニンの場合)
表2の処方にしたがい、オキシブチニンと溶媒からなる溶液(a)および乳酸−グリコール酸共重合体(乳酸:グリコール酸=3:1、重量平均分子量78000/PLGA)と溶媒からなる溶液(b)を調製した。各処方において溶液(a)および(b)を混合し、4℃、25℃および37℃にて保管し、サンプル中の乳酸−グリコール酸共重合体の重量平均分子量を調製後0(調製直後)、1、3、6、21、24時間で測定した。
乳酸−グリコール酸共重合体の重量平均分子量の測定は、溶液約100mgをテトラヒドロフラン5mLに溶解して試料溶液とし、試験例1に準じて行った。
Figure 2016102093
この結果より、処方3の乳酸−グリコール酸共重合体の分子量の低下は24時間経過後もほとんどなく、一方、処方4では経時的に緩やかに低下した(図2)。このため、ジクロロメタンを溶媒として使用することにより、乳酸−グリコール酸共重合体のような生分解性ポリマーの分子量の変化を有意に抑えられることがわかる。
本明細書において、「マイクロカプセル」とは、粒子のマトリクスまたは結合剤として作用するポリマーを含む粒子を意味する。マイクロカプセルポリマーマトリクス内に分散または溶解した活性剤または他の物質を含有してもよい。ポリマーは、好ましくは生分解性で生物適合性である。「生分解性」とは、体内で容易に分解、代謝される性質を意味し、「生体適合性」とは、身体に有毒ではない、薬学的に許容され得る性質を意味する。
比較例1
リスペリドン4gをベンジルアルコール12.68gに溶解した溶液(a)と、乳酸−グリコール酸共重合体(乳酸:グリコール酸=3:1、重量平均分子量97000/PLGA)6gを酢酸エチル30gに溶解した溶液(b)とを調製した。事前に1質量%のポリビニルアルコール(PVA)に6.5質量%となるように酢酸エチルを添加した溶液(c)を調製した。溶液(a)と溶液(b)を混合後すぐに10mL/分の速さで、溶液(c)を50mL/分の速さで送液しパイプラインホモミキサー(プライミクス(株)製)を用いて乳化し、O/Wエマルジョンを得た(乳化時間:4.5分間)。

Claims (8)

  1. 塩基性の求核化合物を含有するマイクロカプセルの製造方法であって、
    (A)生分解性ポリマー、塩基性の求核化合物、および溶媒としてハロゲン化炭化水素を含む第1の相を調製する工程、
    (B)前記第1の相と水相である第2の相とを混合してエマルジョンを調製する工程、および
    (C)得られたエマルジョンを水中乾燥する工程
    を含む製造方法。
  2. 前記第1の相および前記第2の相の少なくともいずれかが冷却される請求項1記載の製造方法。
  3. 工程(A)が、生分解性ポリマーのハロゲン化炭化水素溶液と、塩基性の求核化合物のハロゲン化炭化水素溶液とをそれぞれ別々に調製し、工程(B)の直前に混合して第1の相を調製するものである請求項1または2記載の製造方法。
  4. 工程(A)における混合がスタティックミキサーを用いて行われる請求項3記載の製造方法。
  5. 工程(B)における混合が、スタティックミキサー、ホモミキサーまたは高圧ホモジナイザーによって工程(A)と連続して行われる請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. ハロゲン化炭化水素が、ジクロロメタンまたはクロロホルムである請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 生分解性ポリマーが、乳酸−グリコール酸共重合体である請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 前記塩基性の求核化合物が、リスペリドン、オキシブチニンまたはナルトレキソンである請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
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