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JP2016038984A - 固体酸化物形電気化学装置 - Google Patents

固体酸化物形電気化学装置 Download PDF

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JP2016038984A
JP2016038984A JP2014160456A JP2014160456A JP2016038984A JP 2016038984 A JP2016038984 A JP 2016038984A JP 2014160456 A JP2014160456 A JP 2014160456A JP 2014160456 A JP2014160456 A JP 2014160456A JP 2016038984 A JP2016038984 A JP 2016038984A
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大 西島
Masaru Nishijima
大 西島
悦也 池田
Etsuya Ikeda
悦也 池田
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Abstract

【課題】空気極の被毒を低減して、電力性能が低下を抑制することができる固体酸化物形電気化学装置を提供すること。【解決手段】燃料電池1の燃料電池カセット7に用いられる空気極絶縁フレーム23は、Si等の汚染物質を含んでいるが、この空気極絶縁フレーム23の表面(例えば両主面)には、例えばGDCからなる汚染防止層46が形成されている。従って、燃料ガスが、空気極絶縁フレーム23周囲を通過して空気流路35にリークした場合でも、空気極絶縁フレーム23に含まれる汚染物質が、空気極絶縁フレーム23中から燃料ガス中に流出することを抑制できる。これにより、燃料ガス中に含まれた汚染物質による空気極55の被毒を低減できるので、空気極55の電力性能の低下を抑制できる。【選択図】図4

Description

本発明は、例えば電解質体と空気極と燃料極とを有する固体酸化物形燃料電池や固体酸化物形電解装置などの固体酸化物形電気化学装置に関する。
従来、燃料電池として、例えば固体電解質(固体酸化物)を用いた固体酸化物形燃料電池(以下SOFCとも記す)が知られている。
このSOFCでは、発電単位として、例えば固体電解質層の一方の側に燃料極を設けるとともに、他方の側に酸化剤極(空気極)を設けた板状の単セルが知られている。
また、この種のSOFCでは、単セルを内部に収容した燃料電池セル(燃料電池カセット)が使用されており、更に、所望の電圧を得るために、複数の燃料電池カセットを積層した燃料電池スタック(セルスタック)が開発されている(特許文献1参照)。
上述した燃料電池カセットとしては、例えば図9に示すように、上下一対のインターコネクタP1、P2の間に、単セルP3を配置したものがあり、空気極P4側には酸化剤ガス(例えば空気、詳しくは酸素ガス)が供給される空気流路P5が設けられ、燃料極P6側には燃料ガス(例えば水素ガス)が供給される燃料流路P7が設けられている。
また、単セルP3の(平面方向における)周囲には、平面視で例えば四角枠状の枠部(隔壁部)P8が設けられており、この枠部P8には、積層方向(同図上下方向)に貫くように、酸化剤ガスの流路P9や燃料ガスの流路P10が設けられている。
この枠部P8は、例えば、マイカ製の空気極絶縁フレームP11と、(単セルP3が接合された)金属製のセパレータP12と、金属製の燃料極フレームP13と、マイカ製の燃料極絶縁フレームP14とが積層されたものである。
従って、上述した燃料電池カセットでは、酸化剤ガスは、酸化剤ガスの流路(導入側の流路)P9を通り、空気極絶縁フレームP11に設けられた連通路(図示せず)を介して、空気流路P5に導入される。なお、図示しないが、発電後の酸化剤ガスは、空気流路P5から、他の連通路を介して他の酸化剤ガスの流路に排出される。
一方、燃料ガスは、燃料ガスの流路(導入側の流路)P10を通り、燃料極絶縁フレームP14に設けられた連通路P15を介して、燃料流路P7に導入される。なお、図示しないが、発電後の燃料ガスは、燃料流路P7から、他の連通路を介して他の燃料ガスの流路に排出される。
なお、燃料ガスとしては、通常、例えば天然ガス等の原料ガスを水蒸気を用いて改質した改質ガスが使用されており、この改質ガス中には水蒸気が含まれている。
特開2013−51128号公報
しかしながら、上述した従来技術では、空気流路P5と燃料ガスの流路P10とは、枠部P8によって分離されているものの、若干の燃料ガスは、燃料ガスの流路P10から、枠部P8を構成する空気極絶縁フレームP11の周囲などを通って、空気流路P5に漏出(リーク)することがあった。なお、このリークするガスをクロスリークガスと称する。
また、このクロスリークガスは、扁平筒型や円筒型の単セルを備える固体酸化物形燃料電池の場合でも、燃料極に燃料ガスを供給する流路につながる連通路と空気極に接する酸化剤ガス流路とを隔てている部分にシール(例えば、ガラスシールやコンプレッションシール等)を備えている場合には発生することがある。
更に、例えばマイカからなる空気極絶縁フレームP11には、通常、空気極P4を汚染する物質(例えばSiのような汚染物質)が含まれており、しかも、燃料ガスに水蒸気が含まれる場合には、Si等は水蒸気中に蒸散され易いので、燃料ガスのリークに伴ってこの汚染物質が空気流路P5にリークして、空気極P4が被毒される恐れがあった。
これは、ガラスシールの場合も同様であり、ガラスに含まれるSiのような汚染物質によって、空気極P4が被毒される恐れがあった。
この空気極P4が被毒されると、電極性能(特に出力電圧)が低下するという問題があった。そして、この電極性能が低下すると、単セルP8の寿命(従って燃料電池の寿命)が短くなってしまう。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、空気極の被毒を低減して、電力性能が低下することを抑制できる固体酸化物形電気化学装置を提供することを目的とする。
(1)本発明の第1態様の固体酸化物形電気化学装置は、空気極及び燃料極と、前記空気極と前記燃料極との間に配置された電解質体と、を有する単セルを備え、前記空気極に接するガスの流路である空気極流路と、前記燃料極に接するガスの流路である燃料極流路とを備えるとともに、前記空気極流路と前記燃料極流路とのガスの流路が分離された構造を有する固体酸化物形電気化学装置において、前記燃料極流路と連通する連通ガス流路と、前記連通ガス流路と前記空気極流路とを隔てる隔壁部と、を備え、前記隔壁部は、前記空気極を汚染する物質を含むシール部材を含み、前記シール部材のうち前記シール部材に隣接する他の部材に対向する面の少なくとも一部に、前記物質による前記空気極の被毒を防止する汚染防止層が形成されていることを特徴とする。
本第1態様では、燃料極に接するガス(以下燃料極側ガスと記すこともある)の流路である燃料極流路と連通する連通ガス流路と、その連通ガス流路と空気極に接するガス(以下空気極側ガスと記すこともある)の流路である空気極流路とを隔てる隔壁部と、を備えている。また、その隔壁部は、空気極を汚染する物質(以下汚染物質と称することもある)を含むシール部材を含んでおり、しかも、シール部材のうちシール部材に隣接する他の部材に対向する面の少なくとも一部には、汚染物質による空気極の被毒を防止する汚染防止層が形成されている。
従って、燃料極側ガスが、隔壁部を構成するシール部材の周囲等を通過して空気極流路に漏出(リーク)した場合でも、シール部材の表面に形成された汚染防止層によって、シール部材に含まれる汚染物質が、リークした燃料極側ガス中に蒸散や飛散等によって流出することを抑制できる。これにより、リークした燃料極側ガス中に含まれた汚染物質による空気極の被毒を低減できるので、空気極の電力性能(特に出力電圧)の低下を抑制できる。その結果、単セル、従って、固体酸化物形電気化学装置の寿命が延びる(即ち耐久性が向上する)という顕著な効果を奏する。
なお、汚染防止層は、「燃料極側ガス(特に水蒸気を含む燃料極側ガス)によって、汚染物質がシール部材中から外部に流出すること」を抑制する機能を有しているので、シール部材の表面に形成する汚染防止層の面積は、広い方が好ましい。例えば他の部材に対向する面の全面を全て覆うように形成することが望ましい。
また、前記汚染物質としては、例えば、Si、アルカリ元素(例えばK、Na)、S、Cr、B、Clや、それらを含有する物質(例えばそれらの化合物)、炭化物系アルコール等の炭素系化合物が挙げられる。
具体的には、S系化合物としては、SOx、Si系化合物としては、シロキサン、炭化物系化合物としては、CH、CHO、CH1634(ジエチレングリコールモノドデシルエーテルなどが挙げられる。
(2)本発明の第2態様の固体酸化物形電気化学装置では、前記シール部材の前記連通ガス流路側の表面及び前記空気極流路側の表面の少なくとも一方に、前記汚染防止層が形成されている。
本第2態様では、シール部材において、他の部材に対向する面だけではなく、更に、シール部材の連通ガス流路側の表面及び空気極流路側の表面の少なくとも一方に、汚染防止層が形成されているので、シール部材に含まれる汚染物質の外部(詳しくは空気極流路側)への流出をより効果的に抑制できる。
(3)本発明の第3態様の固体酸化物形電気化学装置では、前記シール部材の表面全体を覆うように、前記汚染防止層が形成されている。
本第3態様では、シール部材の表面全体を覆うように、汚染防止層が形成されているので、シール部材に含まれる汚染物質の外部(詳しくは空気流路側)への流出をより一層効果的に抑制できる。
(4)本発明の第4態様の固体酸化物形電気化学装置は、板状の前記単セルを積層したスタック構造を有し、前記連通ガス流路は、前記積層した方向に延びるように配置されて前記隔壁部を介して前記空気極流路と隣接しており、前記シール部材は、板状であって、前記シール部材の両主面の少なくとも一方に、前記汚染防止層が形成されている。
本第4態様では、固体酸化物形電気化学装置の構成を例示しており、本発明は、このような構成の装置に好適に適用できる。
(5)本発明の第5態様の固体酸化物形電気化学装置では、前記汚染防止層は、アルミナ、GDC、SDC、ジルコニア、ZnO、及びCuOの少なくとも1種を含む材料からなる。
本第5態様では、汚染防止層は、空気極を汚染しにくい、アルミナ、GDC(ガドリニウム ドープセリア)、SDC(サマリウム ドープセリア)、ジルコニア、ZnO、及びCuOの少なくとも1種を含む材料からなるので、好適に空気極の汚染を防止できる。
このうち、GDCは、汚染物質であるSi等を捕集する機能に優れており、Si等の流出を効果的に抑制できる。
なお、汚染防止層は、上述した材料を主成分とすることが好ましく、更に、上述した材料から構成されると一層好適である。
また、シール部材にSi等の汚染物質が含まれると、その汚染物質によって空気極が被毒され易いので、汚染防止層はシール部材よりも汚染物質の含有量が少ないことが好ましく、特に汚染物質を含まないことが最も好ましい。
(6)本発明の第6態様の固体酸化物形電気化学装置では、前記シール部材は、弾性体である。
本第6態様では、シール部材は弾性体であるので、前記他の部材等でシール部材を押圧することによって、好適にガスの漏出を抑制できる(ガスシールできる)。
つまり、シール部材は、コンプレッションシール材として用いることができる。
なお、シール部材の弾性としては、前記他の部材より弾性の程度が大きいもの(例えばヤング率が大きなもの)を採用できる。
(7)本発明の第7態様の固体酸化物形電気化学装置では、前記シール部材は、マイカ又はバーミキュライトからなる。
本第7態様は、シール部材として使用される材料(例えばセラミックガスケット)を例示したものである。マイカ又はバーミキュライトは、弾性に富むとともに、耐熱性が高く、高温下(例えば500℃〜900℃の範囲)でも好適にガスシールを行うことができる。
ここで、マイカ(雲母)とは、層状ケイ酸塩鉱物の一種であり、主成分は、SiO・Al・KO及び結晶水である。
なお、一般的なマイカの化学組成は、IM2−31−010Aで表される。ここで、Iは主として、K、Na、Caであり、Mは主として、Al、Mg、Fe、Li、Tiであり、□は空孔で、Tは主として、Si、Al、Fe、Aは主として、OHである。なお、マイカには、通常、前記化学式の成分に加え、微量な例えばエポキシ系化合物やシリコン系化合物からなる接着剤成分が存在する。
また、弾性体のマイカとしては、硬質マイカであるKを主成分としたマスコバイト[KAl(SiAl)O10(OH)]や、軟質マイカであるMgを主成分としたフロゴパイト[KMg(SiAl)O10(OH)]が挙げられるが、このうち、軟質マイカは、耐熱性(耐熱分解性)に優れているので、高温で運転される燃料電池に使用される。
なお、バーミキュライトとは、周知のように、原料の蛭石を加熱し焼結処理して得られるものである。
(8)本発明の第8態様の固体酸化物形電気化学装置は、酸化剤ガスと燃料ガスとを用いて発電を行う燃料電池であり、前記空気極流路に酸化剤ガスを供給するとともに、前記燃料極流路に前記連通ガス流路を介して燃料ガスを供給する構成を有する。
本第8態様は、固体酸化物形電気化学装置として、酸化剤ガスと燃料ガスとを用いて発電を行う燃料電池(固体酸化物形燃料電池:SOFC)を例示したものである。
燃料電池に本発明を適用することにより、燃料ガスが隔壁部からリークして空気極に到達した場合でも、空気極の被毒を抑制することができる。それにより、空気極の電極性能の低下を抑制でき、よって、燃料電池の耐久性を高めることができる。
なお、前記燃料ガスとは、燃料となる還元剤(例えば水素)を含むガスを示し、酸化剤ガスとは、酸化剤(例えば酸素)を含むガス(例えば空気)を示している。
この燃料ガスとしては、水素ガス、又は、各種の原料ガスから(例えば水蒸気によって水素リッチにする)改質によって得られる改質ガスが挙げられる。なお、原料ガスとしては、例えば天然ガス(例えばLNG)、都市ガス、LPG、灯油、メタノール、バイオメタノールなどを採用できる。
また、燃料電池としては、例えば、ZrO系セラミックなどを電解質とする固体酸化物形燃料電池(SOFC)、高分子電解質膜を電解質とする固体高分子形燃料電池(PEFC)、Li−Na/K系炭酸塩を電解質とする溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)、リン酸を電解質とするリン酸形燃料電池(PAFC)などの燃料電池が挙げられる。
(9)本発明の第9態様の固体酸化物形電気化学装置は、原料ガスを電解して電解ガスを生成する電解装置であり、前記燃料極流路に前記連通ガス流路を介して原料ガスを供給し、前記空気極と前記燃料極との間に電圧を印加することによって、前記空気極側にて第1電解ガスを発生させるとともに、燃料極側にて第2電解ガスを発生させる構成を有する。
本第9態様は、固体酸化物形電気化学装置として、原料ガスを電解して電解ガスを生成する電解装置(固体酸化物形電解装置:SOEC)を例示したものである。
電解装置に本発明を適用することにより、原料ガスが隔壁部からリークして空気極に到達した場合でも、空気極の被毒を抑制することができる。それにより、電解装置の耐久性を高めることができる。
なお、前記原料ガスとしては、水蒸気や炭化水素ガスが挙げられる。例えば炭化水素ガスとしては、前記原料ガスと同様なガス、例えば、天然ガス(例えばLNG)、都市ガス、LPG、灯油、メタノール、バイオメタノールなどが挙げられる。また、第1電解ガスとしては、酸素ガスが挙げられ、第2電解ガスとしては、水素ガスが挙げられる。
実施例1の燃料電池(燃料電池スタック)の斜視図である。 燃料電池スタックを積層方向に破断して示す(即ち図1のA−A断面を示す)断面図である。 燃料電池カセットを分解して示す斜視図である。 燃料電池カセットを積層方向に破断し、拡大してその一部を示す(即ち図1のA−A断面の一部を示す)断面図である。 汚染防止層を備えた空気極絶縁フレームを示し、(a)はその平面図、(b)は(a)のB−B断面を示す断面図、(c)は(a)のC−C断面を示す断面図である。 セパレータに接合された単セルを示す斜視図である。 実施例2の燃料電池に用いられる汚染防止層を備えた空気極絶縁フレームを、積層方向(厚み方向)に沿って破断し、その一部を拡大して示す断面図である。 実施例3の電解装置における電解カセットを積層方向に破断し、拡大してその一部を示す(即ち図1のA−A断面に相当する一部を示す)断面図である。 従来技術の説明図である。
以下、本発明が適用された固体酸化物形電気化学装置として、燃料電池及び電解装置を例に挙げて説明する。
本実施例1では、燃料電池として、固体酸化物形燃料電池を例に挙げて説明する。なお、以下では、固体酸化物形を省略する。
a)まず、本実施例1の燃料電池の概略構成について説明する。
図1に示す様に、本実施例1の燃料電池1は、燃料ガス(例えば水素)と酸化剤ガス(例えば空気、詳しくは空気中の酸素)との供給を受けて発電を行う装置である。なお、図面においては、酸化剤ガスは「O」で示し、燃料ガスは「F」で示す。また、「IN」はガスが導入されることを示し、「OUT」はガスが排出されることを示す(以下同様)。
この燃料電池1は、図1の上下方向の両端に配置されたエンドプレート3、5と、その間に配置された層状(板状)の複数(例えば20段)の燃料電池セル7(以下燃料電池カセットと記す)とが積層された燃料電池スタックである。
エンドプレート3、5及び各燃料電池カセット7には、それらを積層方向(図1の上下方向)に貫く複数(例えば8個)の貫通孔9a、9b、9c、9d、9e、9f、9g、9h(9と総称する)が設けられている。
そして、各貫通孔9に配置された各ボルト11a、11b、11c、11d、11e、11f、11g、11h(11と総称する)と各ボルト11に螺合する各ナット13とによって、エンドプレート3、5と各燃料電池カセット7とが一体に固定されている。
また、ボルト11のうちの特定(4本)のボルト11b、11d、11f、11hには、軸方向(図1の上下方向)に沿って、酸化剤ガス又は燃料ガスが流れる内部流路15b、15d、15f、15h(15と総称する)が形成されている。
更に、前記各ボルト11b、11d、11f、11hには、各ボルト11b、11d、11f、11hが貫挿される各貫通孔9b、9d、9f、9hと各内部流路15とがそれぞれ連通するように、各ガスの通過が可能な連通孔(図示せず)が設けられている。
なお、ボルト11bの内部流路15b及び貫通孔9bは燃料ガスの排出に用いられ、ボルト11dの内部流路15d及び貫通孔9dは酸化剤ガスの排出に用いられ、ボルト11fの内部流路15f及び貫通孔9fは燃料ガスの導入に用いられ、ボルト11hの内部流路15h及び貫通孔9hは酸化剤ガスの導入に用いられる。
ここで、図2に示すように、燃料電池1を積層方向に貫く燃料ガスの流路、即ち、ボルト11bの内部流路15b及び貫通孔9bからなる流路と、ボルト11fの内部流路15f及び貫通孔9fからなる流路が、本発明の連通ガス流路に該当する。
b)次に、燃料電池カセット7の構成について、詳しく説明する。
図3及び図4に示すように、燃料電池カセット7は、金属製のインターコネクタ21と、空気極絶縁フレーム23と、金属製のセパレータ25と、金属製の燃料極フレーム27と、燃料極絶縁フレーム29と、金属製のインターコネクタ31等が積層されたものである。
このうち、セパレータ25には、後述するように、固体電解質層51と燃料極53と空気極55とが積層された単セル33(図4参照)が接合されている。
なお、積層された各部材21〜31には、各ボルト11が挿通される各貫通孔9が形成されている。
以下、各構成について、更に詳しく説明する。
インターコネクタ21、31は、導電性を有する板材(例えばSUS430等のステンレス鋼等の金属板)からなる。このインターコネクタ21、31は、単セル33間の導通を確保し、且つ、単セル33間(従って燃料電池カセット7間)でのガスの混合を防止するものである。
図4に示すように、インターコネクタ21、31の空気極55側(図4下側)の表面には、空気極55に接触するように、空気極55側に突出する凸部である多数の空気極集電体37が構成されている。この空気極集電体37は、平面視で縦横に複数列(格子状に)配置されている。
つまり、インターコネクタ21、31と空気極55との間において、空気極絶縁フレーム23の枠内には、酸化剤ガスが流れる空気流路35が設けられており、この空気流路35内に多数の空気極集電体37が間隔をあけて配置されている。これにより、酸化剤ガス、平面視で各空気極集電体37の周囲を通過することができる。
同様に、インターコネクタ21、31の燃料極53側(図4上側)の表面には、燃料極53に接触するように、燃料極53側に突出する凸部である多数の燃料極集電体41が構成されている。この燃料極集電体41は、平面視で縦横に複数列(格子状に)配置されている(図3参照)。
つまり、インターコネクタ21、31と燃料極53との間において、燃料極絶縁フレーム29の枠内には、燃料ガスが流れる燃料流路39が設けられ、この燃料流路39内に多数の燃料極集電体41が間隔をあけて配置されている。これにより、燃料ガスは、平面視で各燃料極集電体41の周囲を通過することができる。
なお、空気流路35における空気の流れる方向は図4の紙面と垂直方向であり、燃料流路39における燃料ガスの流れる方向は図4の左右方向(左から右)である。
また、図示しないが、エンドプレート3、5の内側(単セル33側)の表面にも、前記インターコネクタ21、31と同様に、内側に突出するように、空気極集電体37又は燃料極集電体41を備えている。
なお、本実施例1では、インターコネクタ21、31やエンドプレート3、5と一体に、空気極集電体37又は燃料極集電体41を設けたが、インターコネクタ21、31やエンドプレート3、5とは別体の、周知の各種の空気極集電体や燃料極集電体を用いてもよい。
図3に戻り、空気極絶縁フレーム23は、電気絶縁性を有する四角枠状の厚みが例えば1mmの板材であり、軟質マイカからなるマイカフレームである。なお、空気極絶縁フレーム23は、軟質マイカからなる弾性体であるので、ボルト11及びナット13によって押圧されてコンプレッションシールとして機能する。
前記空気極絶縁フレーム23には、(平面視で)その中央部に、空気流路35を構成する方形の開口部23aが形成されている。なお、この空気極絶縁フレーム23中には、汚染物質であるSi等が含まれている。
また、空気極絶縁フレーム23において、一対の貫通孔9(9d、9h)が設けられた各辺の枠部分には、各貫通孔9と連通するように、それぞれ長尺の連通孔43d、43hが設けられている。更に、空気極絶縁フレーム23には、各連通孔43d、43hと開口部23aとを連通するように、空気が通過する部分(連通部)として、複数の溝45d、45hが設けられている。
特に本実施例1では、図4及び図5に示すように、空気極絶縁フレーム23の両主面に、詳しくは空気極絶縁フレーム23の厚み方向(図4の上下方向)の両面側に、空気極絶縁フレーム23中のSi等の汚染物質が外部に流出することを防止する汚染防止層46a、46b(46と総称する)が形成されている。
この汚染防止層46は、厚さ5μm〜100μmの範囲(例えば20μm)であり、両主面の全面(詳しくは対向する部材と密着する表面)を覆うように形成されている。
汚染防止層46の材料としては、例えば、Si等の汚染物質は含まれていない材料を用いる。なお、汚染防止層46の材料としては、空気極絶縁フレーム23中のSi等の汚染物質の含有量より汚染物質の含有量の少ない材料を使用することもできる。
具体的には、ここでは、例えばGDCを用いるが、GDCを一部含む材料(例えば主成分とする材料)を用いてもよい。また、アルミナ、SDC、ジルコニア、ZnO、及びCuOの少なくとも1種、或いは、その1種を含む材料を用いてもよい。
図3に戻り、セパレータ25は、四角枠状の導電性を有する板材(例えばSUS430等のステンレス鋼等の金属板)である。このセパレータ25には、図6に示すように、その中央部の方形の開口部25aに沿った内周縁部(下面側)に、単セル33の外周縁部(上面側)がろう付け接合されている。つまり、単セル33は、セパレータ25の開口部25aを閉塞するように接合されている。
ここで、前記単セル33について説明する。
単セル33は、いわゆる燃料極支持膜形タイプの構造を有しており、薄膜の固体電解質層51と、その一方の側(図6の下方)に形成された燃料極(アノード)53と、他方の側(図5の上方)に形成された薄膜の空気極(カソード)55とが一体に積層されたものである。
なお、平面視で空気極55は固体電解質層51より小さい(内側にある)ので、セパレータ25は、固体電解質層51の外周縁部の上面に接合されている。
空気極55は多孔質の層であり、この空気極55を構成する材料としては、金属、金属の酸化物、金属の複合酸化物を挙げることができる。金属としては、Pt、Au、Ag、Pd、Ir、Ru等の金属やそれらの合金が挙げられる。金属の酸化物としては、La、Sr、Ce、Co、Mn、Fe等の酸化物、例えばLa、SrO、Ce、Co、MnO、FeOが挙げられる。複合酸化物としては、La、Pr、Sm、Sr、Ba、Co、Fe、Mn等を含有する複合酸化物(La1−xSrCoO系複合酸化物、La1−xSrFeO系複合酸化物、La1−xSrCo1−yFe系複合酸化物、La1−xSrMnO系複合酸化物、Pr1−xBaCoO系複合酸化物、Sm1−xSrCoO系複合酸化物)などを使用できる。
固体電解質層51は固体酸化物からなる層であり、燃料電池1の運転時(発電時)に、空気極55に導入される酸化剤ガス(酸素)をイオンとして移動させることができるイオン伝導性を有する。
固体電解質層51を構成する材料としては、例えば、ジルコニア系、セリア系、ペロブスカイト系の電解質材料が挙げられる。ジルコニア系材料では、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、スカンジア安定化ジルコニア(ScSZ)、及びカルシア安定化ジルコニア(CaSZ)を挙げることができ、一般的には、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)が使用される例が多い。セリア系材料では、いわゆる希土類元素添加セリアが、ペロブスカイト系材料では、ランタン元素を含有するペロブスカイト型複酸化物が使われる。
燃料極53は多孔質の層である。この燃料極53を構成する材料としては、例えば、Ni及びFe等の金属と、Sc、Y等の希土類元素のうちの少なくとも1種により安定化されたジルコニア等のZrO系セラミック、CeO系セラミックなどのセラミックとの混合物が挙げられる。また、Ni等の金属、或いは、Niと前記セラミックとのサーメットやNi基合金を使用できる。
なお、燃料極53としては、図示しないが、電子の授受により触媒反応を起こす機能層とこれを支持する支持層とからなっていてもよい。
図3に戻り、燃料極フレーム27は、導電性を有する例えばSUS430等のステンレスなどからなる四角枠状の板材である。
燃料極絶縁フレーム29は、空気極絶縁フレーム23と同様に、電気絶縁性を有する四角枠状の板材であり、軟質マイカからなるマイカフレームである。
この燃料極絶縁フレーム29には、空気極絶縁フレーム23と同様に、中央部の燃料流路39を構成する方形の開口部29aと、一対の貫通孔9(9b、9f)と連通する長尺の各連通孔57b、57fと、各連通孔57b、57fと開口部29aとを連通する各溝59b、59fが設けられている。
なお、貫通孔9の周囲を構成する部材、例えば、エンドプレート3、5の一部(貫通孔9の周囲の部分)、インターコネクタ21、31の一部(貫通孔9の周囲の部分)、空気極絶縁フレーム23、セパレータ25、燃料極フレーム27、燃料極絶縁フレーム29等から、本発明における隔壁部60(図4参照)が構成されている。
c)次に、燃料電池1の製造方法について説明する。
[各部材の作製工程]
まず、例えばSUS430からなる板材を打ち抜いて、インターコネクタ21、31、燃料極フレーム27、セパレータ25、エンドプレート3、5を作製した。
また、インターコネクタ21、31の両主面や、エンドプレート3、5の内側(単セル33側)の表面を研削して、凸状に空気極集電体37や燃料極集電体41を作製した。
また、周知の軟質マイカからなるマイカシートに対して、パンチング加工や溝加工などによって、前記図3に示す枠形状の空気極絶縁フレーム23と燃料極絶縁フレーム29を作製した。
[汚染防止層46の作製工程]
平均粒径0.5μmのGDC粉末50gとビヒクル50gを3本ロールにて混合して、GDCペーストを作製した。ビヒクルは、エトセル10gと溶剤としてα−テルピネオールを100g混合して作製した。
また、空気極絶縁フレーム23の主面の形状と同様なマスク形状のスクリーンマスクを作製した。
そして、このスクリーンマスクを用いて、空気極絶縁フレーム23の一方の主面に対して、スクリーン印刷にて、GDCペーストを印刷し、その後、100℃で30分乾燥を行った。
同様にして、スクリーンマスクを用いて、空気極絶縁フレーム23の他方の主面に対して、スクリーン印刷にて、GDCペーストを印刷し、その後、100℃で30分乾燥を行った。
なお、乾燥後の(片側の)印刷厚み(塗布層の厚み)は、30μm〜50μmであった。
[単セル33の作製工程]
単セル33を、定法に従って作製した。
具体的には、燃料極53の材料を用いて、燃料極スラリーを作製した。そして、この燃料極スラリーを用いて、周知のドクターブレード法によって燃料極グリーンシートを作製した。
また、固体電解質層51の材料を用いて、固体電解質スラリーを作製した。そして、この固体電解質スラリーを用いて、ドクターブレード法によって固体電解質グリーンシートを作製した。
次に、燃料極グリーンシート上に、固体電解質グリーンシートを積層した。そして、その積層体を焼成して焼結させて、焼結積層体を形成した。
また、空気極55の材料を用いて、空気極ペーストを作製した。
次に、前記焼結積層体における固体電解質層51の表面に、空気極ペーストを印刷した。そして、その印刷した空気極ペーストを焼成して空気極55を形成した。
これにより単セル33が完成した。なお、単セル33は、セパレータ25にろう付けして固定した。
[燃料電池1の組み付け工程]
次に、上述したインターコネクタ21、31、(汚染防止層46となる塗布層を備えた)空気極絶縁フレーム23、燃料極フレーム27、燃料極集電体41、燃料極絶縁フレーム29等を、前記図3に示すように配置して積層し、各燃料電池カセット7を組み付けた。
そして、このような各燃料電池カセット7を積層するとともに、その積層方向の両方の端部に、エンドプレート3、5を積層して、積層体を構成した。
そして、この積層体の貫通孔9にボルト11を嵌め込むとともに、各ボルト11にナット13を螺合させて締め付けて、積層体を押圧して一体化して固定した。これにより、燃料電池1の組付体を作製した。
そして、上述したようにして組み付けた燃料電池1の組付体に対して、空気流路35に空気2L/min、燃料流路39に窒素2L/minを流しながら、電気炉にて、炉温800℃まで2時間かけて昇温し、その後、空気流路35に空気2L/min、燃料流路39に水素2L/minを流した状態で800℃で2時間保持した。これによって、汚染防止層46が焼成されて形成される。
その後、自然冷却することによって燃料電池1を完成した。
d)次に、本実施例1の効果について説明する。
本実施例1では、空気極絶縁フレーム23として、Si等の汚染物質を含むマイカフレームを用いるが、この空気極絶縁フレーム23の両主面には、例えばGDCからなる汚染防止層46が形成されている。
従って、燃料ガスが、空気極絶縁フレーム23周囲等(例えば主面側の表面)を通過して空気流路35に漏出(リーク)した場合でも、空気極絶縁フレーム23の表面に形成された汚染防止層46により、空気極絶縁フレーム23に含まれる汚染物質が、空気極絶縁フレーム23中から燃料ガス中に蒸散や飛散等によって流出することを抑制できる。これにより、リークした燃料ガスによる空気極55の被毒を低減できるので、空気極55の電力性能(特に出力電圧)の低下を抑制できる。その結果、単セル33、従って、燃料電池1の寿命が延びる(即ち耐久性が向上する)という顕著な効果を奏する。
(変形例)
本実施例1の変形例としては、空気極絶縁フレーム23の両主面の一方のみに汚染防止層61を設けてもよい。
また、空気極絶縁フレーム23の主面の全面ではなく、その一部に汚染防止層46を設けてもよい。
なお、汚染防止層46は、平面視で燃料ガスが通過する貫通孔9f、9bの全周を囲むように設けることが好ましい。
次に、実施例2について説明するが、前記実施例1と同様な内容の説明は省略する。
なお、実施例1と同様な構成には、同様な番号を付して説明する。
本実施例2では、図7に示すように、空気極絶縁フレーム23の全周(全表面)に、汚染防止層61が形成されている。
つまり、空気極絶縁フレーム23の両主面だけではなく、貫通孔9側の表面や、空気流路35側の表面や、酸化剤ガス(空気)の流路である溝45d、45hの表面にも、汚染防止層61が形成されている。
本実施例2では、前記実施例1と同様な効果を奏するとともに、実施例1よりも、一層汚染防止の効果が大きいという利点がある。
なお、他の例として、貫通孔9側表面又は空気流路35側の表面のどちらか一方のみに、汚染防止層61を形成してもよい。また、貫通孔9側表面や空気流路35側の表面の全表面ではなく、その一部に汚染防止層61を形成してもよい。
次に、実施例3について説明するが、前記実施例1と同様な内容の説明は省略する。
なお、実施例1と同様な構成には、同様な番号を付して説明する。
本実施例3では、固体酸化物形電気化学装置として、固体酸化物形電解装置(SOEC)を例に挙げて説明する。(以下固体酸化物形は省略する)
図8に示すように、本実施例3の電解装置71は、電解の単位である電解装置カセット73として、前記実施例1と同様に、金属製のインターコネクタ21、31と、空気極絶縁フレーム23と、金属製のセパレータ25と、金属製の燃料極フレーム27と、燃料極絶縁フレーム29と、金属製のインターコネクタ31等が積層されたものである。
このうち、セパレータ25には、固体電解質層51と燃料極53と空気極55とが積層された単セル33が接合されている。
本実施例3においても、前記実施例1と同様に、空気極絶縁フレーム23の両主面に汚染防止層46が形成されている。なお、汚染防止層46は、実施例2のように全周に設けられていてもよく、実施例1、2の変形例のように設けられていてもよい。
この電解装置71では、空気極55と燃料極53との両電極間で、空気極側が+(陽極)、燃料極51が−(陰極)となるように電圧が印加された状態で、貫通孔9fから、原料ガスとして例えば水蒸気が提供されると、空気極55側にて酸素ガスが発生し、燃料極53側で水素ガスが発生する。
本実施例3においても、前記実施例1、2と同様な効果(即ち空気極55の被毒を抑制する効果)を奏する。
[実験例]
次に、本発明の効果を確認した実験例について説明する。
<実験例1>
本実験例1では、下記のようにして本発明例の試料(試料No.1、2)を作製するとともに、本発明の範囲外の試料(試料No.3)を作製し、燃料電池の耐久性(劣化率)を調べた。
具体的には、本発明例として、前記実施例1と同様にして、GDCからなる汚染防止層(塗布層)を備えた空気極絶縁フレーム(試料No.1のGDC印刷ガスケット)を作製した。
また、他の本発明例として、平均粒径1.0μmのアルミナ粉末50gと(実施例1と同様な)ビヒクル50g及び溶剤100gとを用いて、アルミナペーストを作製した。このアルミナペーストを用いて、実施例1と同様にして、アルミナからなる汚染防止層(塗布層)を備えた空気極絶縁フレーム(試料No.2のアルミナ印刷ガスケット)を作製した。
更に、比較例として、汚染防止層を備えていない空気極絶縁フレーム(試料No.3の無印刷ガスケット)を作製した。
そして、前記GDC印刷ガスケット2枚、アルミナ印刷ガスケット2枚、無印刷ガスケット2枚を組み込んだ6段の燃料電池、即ち、試料No.1、2、3に対応するように各2枚の単セルが3組積層された燃料電池スタックを作製した。
次に、電気炉内に燃料電池スタックを配置し、空気流路に空気2L/min、燃料流路に窒素2L/minを流しながら、電気炉にて、炉温800℃まで2時間かけて昇温し、その後、空気流路に空気2L/min、燃料流路に水素2L/minを流した状態で800℃で2時間保持した。
その後、700℃に炉温を降温し、発電電流30Aにて、負荷一定で、500時間の通電耐久実験を行った。
そして、この実験の際には、後述するように、各単セルにおける電圧(セル電圧)の推移を記録し、各単セルの初期電圧と500時間後の電圧との差から劣化率を算出した。その結果を下記表1に記す。
なお、劣化率とは、「[{(初期電圧−耐久後電圧)÷初期電圧}÷耐久時間]×1000時間」で定義されるものであり、実際の耐久時間を用いて1時間当たりの劣化率を計算し、1000時間を乗算することで1000時間後の劣化率を計算により求めるものである。
表1では、2枚(n=2)の単セルを備える燃料電池スタックにおいて、耐久前の電圧(初期電圧)を各単セルごとに測定し、500時間耐久後の電圧(耐久後電圧)を各単セルごとに測定し、2枚の単セルの電圧変化の平均値を用い、上記計算式を用いて劣化率を計算した値を示している。
この表1から明らかなように、本発明例の場合(試料No.1、2)には、劣化率は0.94以下と小さく、比較例に比べて劣化の程度が少なく好適であった。
特に、GDCを汚染防止層に用いたもの(試料No.1)は、劣化率が0.78と非常に小さく一層好適である。
<実験例2>
本実験例2では、下記のようにして、燃料電池の空気極における被毒の状態を調べた。
具体的には、本実験例2では、前記実験例1における発電後の6段の燃料電池スタックを解体し、前記試料No.1〜3のガスケットが配置されている位置に対する単セル、詳しくは空気極における酸化剤ガスの流入側の端部に対して、各単セルについて同様の位置から平面視で1辺1cmの正方形の試料片を切り出した。
そして、その試料片の空気極側の表面に対して、蛍光X線分析にて、空気極の不純物の質量%(mass%)を求めた。その結果を、下記表2に記す。
この表2から明らかなように、本発明例の場合(試料No.1、2)には、空気極において、不純物である(Si、Al、Mg、Ca、Cl、S)の含有量(質量%)が、比較例に比べて少なく好適であった。即ち、空気極を汚染する汚染物質(Si、Cl、S)の含有量が、比較例に比べて少なく好適であった。
特に、GDCを汚染防止層に用いたもの(試料No.1)は、汚染物質の含有量が非常に少なく一層好適である。
[本発明と実施例との対応関係]
本発明の電解質体が固体電解質層に、シール部材が空気極絶縁フレームに、他の部材がセパレータ、インターコネクタ、エンドプレートに、燃料極側ガスが燃料ガス又は原料ガスに、空気極側ガスが酸化剤ガスに、燃料極流路が燃料流路に、空気極流路が空気流路に、それぞれ該当する。
以上、本発明の実施例等について説明したが、本発明は、前記実施例等に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。
(1)例えば、前記実施例1、2では、空気極絶縁フレームに、酸化剤ガスの流路となる溝を設けたが、溝の無い平板状の空気極絶縁フレームを用いてもよい。この場合には溝の機能を有する酸化剤ガスの流路を別に設ければよい。例えば空気極絶縁フレームに積層するように、例えば(空気極絶縁フレームと同様な形状の)金属製の空気極プレートを配置し、この空気極プレートに酸化剤ガスの流路を設ければよい。
(2)また、単セルで発電された電気は、例えば集電体及びインターコネクタ及びエンドプレートを介して外部に取り出すことができるが、この場合、インターコネクタ及びエンドプレートと集電体とは、別部材で構成しても、一体の部材として構成してもよい。
(3)更に、空気極絶縁フレームとしては、マイカ以外に、バーミキュライトを用いることができる。
(4)本発明は、例えば、ZrO系セラミックなどを電解質とする固体酸化物形燃料電池(SOFC)、高分子電解質膜を電解質とする固体高分子形燃料電池(PEFC)、Li−Na/K系炭酸塩を電解質とする溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)、リン酸を電解質とするリン酸形燃料電池(PAFC)などの燃料電池の燃料電池スタックに適用できる。
1、71…燃料電池(燃料電池スタック)
3、5…エンドプレート
7、73…燃料電池カセット
9、9a、9b、9c、9d、9e、9f、9g、9h…貫通孔
21、31…インターコネクタ
23…空気極絶縁フレーム
33…単セル
35…空気極流路(空気流路)
39…燃料極流路(燃料流路)
46、61…汚染防止層
51…固体電解質層
53…燃料極
55…空気極
60…隔壁部

Claims (9)

  1. 空気極及び燃料極と、前記空気極と前記燃料極との間に配置された電解質体と、を有する単セルを備え、
    前記空気極に接するガスの流路である空気極流路と、前記燃料極に接するガスの流路である燃料極流路とを備えるとともに、前記空気極流路と前記燃料極流路とのガスの流路が分離された構造を有する固体酸化物形電気化学装置において、
    前記燃料極流路と連通する連通ガス流路と、前記連通ガス流路と前記空気極流路とを隔てる隔壁部と、を備え、
    前記隔壁部は、前記空気極を汚染する物質を含むシール部材を含み、
    前記シール部材のうち前記シール部材に隣接する他の部材に対向する面の少なくとも一部に、前記物質による前記空気極の被毒を防止する汚染防止層が形成されていることを特徴とする固体酸化物形電気化学装置。
  2. 前記シール部材の前記連通ガス流路側の表面及び前記空気極流路側の表面の少なくとも一方に、前記汚染防止層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物形電気化学装置。
  3. 前記シール部材の表面全体を覆うように、前記汚染防止層が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の固体酸化物形電気化学装置。
  4. 前記固体酸化物形電気化学装置は、板状の前記単セルを積層したスタック構造を有し、
    前記連通ガス流路は、前記積層した方向に延びるように配置されて前記隔壁部を介して前記空気極流路と隣接しており、
    前記シール部材は、板状であって、前記シール部材の両主面の少なくとも一方に、前記汚染防止層が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体酸化物形電気化学装置。
  5. 前記汚染防止層は、アルミナ、GDC、SDC、ジルコニア、ZnO、及びCuOの少なくとも1種を含む材料からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の固体酸化物形電気化学装置。
  6. 前記シール部材は、弾性体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の固体酸化物形電気化学装置。
  7. 前記シール部材は、マイカ又はバーミキュライトからなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の固体酸化物形電気化学装置。
  8. 前記固体酸化物形電気化学装置は、酸化剤ガスと燃料ガスとを用いて発電を行う燃料電池であり、
    前記空気極流路に酸化剤ガスを供給するとともに、前記燃料極流路に前記連通ガス流路を介して燃料ガスを供給する構成を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の固体酸化物形電気化学装置。
  9. 前記固体酸化物形電気化学装置は、原料ガスを電解して電解ガスを生成する電解装置であり、
    前記燃料極流路に前記連通ガス流路を介して原料ガスを供給し、前記空気極と前記燃料極との間に電圧を印加することによって、前記空気極側にて第1電解ガスを発生させるとともに、燃料極側にて第2電解ガスを発生させる構成を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の固体酸化物形電気化学装置。
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