JP2016033917A - 全固体二次電池、電池用電極シート、電池用電極シートの製造方法、固体電解質組成物、固体電解質組成物の製造方法、および全固体二次電池の製造方法 - Google Patents
全固体二次電池、電池用電極シート、電池用電極シートの製造方法、固体電解質組成物、固体電解質組成物の製造方法、および全固体二次電池の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】イオン伝導度の低下を抑制しつつ、耐湿性及び経時安定性に優れた全固体二次電池、電池用電極シート、電池用電極シートの製造方法、固体電解質組成物、固体電解質組成物の製造方法及び全固体二次電池の製造方法を提供する。
【解決手段】正極活物質層、無機固体電解質層及び負極活物質層をこの順に有する全固体二次電池であって、正極活物質層、無機固体電解質層および負極活物質層の少なくとも1層が、少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物、及び、周期律表第1族もしくは第2族に属する金属を含みかつイオン伝導性を有する無機固体電解質をそれぞれ含有する全固体二次電池、電池用電極シート、電池用電極シートの製造方法、固体電解質組成物、固体電解質組成物の製造方法及び全固体二次電池の製造方法。
【選択図】図1
【解決手段】正極活物質層、無機固体電解質層及び負極活物質層をこの順に有する全固体二次電池であって、正極活物質層、無機固体電解質層および負極活物質層の少なくとも1層が、少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物、及び、周期律表第1族もしくは第2族に属する金属を含みかつイオン伝導性を有する無機固体電解質をそれぞれ含有する全固体二次電池、電池用電極シート、電池用電極シートの製造方法、固体電解質組成物、固体電解質組成物の製造方法及び全固体二次電池の製造方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、全固体二次電池、電池用電極シート、電池用電極シートの製造方法、固体電解質組成物、固体電解質組成物の製造方法、および全固体二次電池の製造方法に関する。
現在、電気自動車や家庭用蓄電池などに用いられる中・大型蓄電池として、軽量でエネルギー密度が大きいリチウムイオン電池が使用されている。リチウムイオン電池は電解液に有機電解液を用いているため、液漏れや発火の危険性があった。近年、安全性や信頼性の確保の観点から、可燃性の有機電解液を不燃性の無機固体電解質に置き換えた全固体二次電池の研究が行われている。無機固体電解質には、硫化物系固体電解質と酸化物系固体電解質がある。硫化物系固体電解質では、室温で有機電解液と同等の10−3S/cm台のイオン伝導度が実現されている。
全固体二次電池は無機電解質を電極で挟んだ構造をとる。電極は、粉末状の活物質、固体電解質(SE)、導電助剤などの混合物からなる電極活物質にバインダーおよび溶媒を添加してスラリーを調製し、このスラリーを集電体の表面に塗工して膜形状にすることにより得られる。無機電解質層は、SE粉末にバインダーを添加して塗膜形状のSE層を作製する方法で調製できる。バインダーには、イオン伝導を阻害せず、かつ電極活物質粒子との結着性や集電体との密着性が良好であることが要求される。さらに可撓性に優れたバインダーを用いれば、シート状に作製された電極やSE層をロール状に巻取ることができるので、量産性に優れる。
全固体二次電池の電極は、粉末状固体電解質および粉末状電極活物質を、混合および成型して作製することができる。しかし、粉末の混合物を原料とするため、イオン伝導パスおよび電子伝導パスの欠陥が多く発生し、電池性能が低下する問題があった。加えて、充放電サイクルの繰り返しにより電極全体が膨張収縮して、粒子間の接触が悪くなって粒界抵抗が発生し、充放電特性が低下する問題があった。
可撓性を保持したまま、電極活物質粒子との結着性や集電体との密着性が良好なバインダーとして、例えば、特許文献1には、シリコーン構造の一部が極性基で置換されたシリコーン樹脂が提案されている。
一方、無機固体電解質は、空気中の水分と反応してイオン伝導度が低下するという問題があり、イオン伝導を阻害することなく、無機電解質粒子の表面を疎水化し、空気中の水分の浸入を良好に抑制することができるバインダーが求められる。例えば、特許文献2には、正極および負極と、正極および負極に挟まれて位置する硫化物固体電解質と、硫化物固体電解質を被覆する液状物質(絶縁性の油)とを備える全固体電池が提案されている。この全固体電池によれば、硫化物固体電解質を用いて導電率を確保しながら、大気中の水分との反応による硫化水素の発生を防止することができるとされている。
全固体二次電池に対して求められる昨今益々高まる高性能化の要求を考慮すると、これらの要求に応え、それを満足する技術の開発が求められる。
そこで本発明は、無機固体電解質が有するイオン伝導を阻害することなく無機固体電解質粒子の表面を疎水化して、一層性能が向上した全固体二次電池、電池用電極シート、電池用電極シートの製造方法、固体電解質組成物、固体電解質組成物の製造方法、および全固体二次電池の製造方法を課題とする。
より具体的には、無機固体電解質粒子の表面を疎水化して、イオン伝導度の低下を抑制しつつ、耐湿性および経時安定性に優れた全固体二次電池、電池用電極シート、電池用電極シートの製造方法、固体電解質組成物、固体電解質組成物の製造方法、および全固体二次電池の製造方法を課題とする。
そこで本発明は、無機固体電解質が有するイオン伝導を阻害することなく無機固体電解質粒子の表面を疎水化して、一層性能が向上した全固体二次電池、電池用電極シート、電池用電極シートの製造方法、固体電解質組成物、固体電解質組成物の製造方法、および全固体二次電池の製造方法を課題とする。
より具体的には、無機固体電解質粒子の表面を疎水化して、イオン伝導度の低下を抑制しつつ、耐湿性および経時安定性に優れた全固体二次電池、電池用電極シート、電池用電極シートの製造方法、固体電解質組成物、固体電解質組成物の製造方法、および全固体二次電池の製造方法を課題とする。
本発明の課題は、以下の手段によって達成された。
<1>正極活物質層、無機固体電解質層および負極活物質層をこの順に有する全固体二次電池であって、正極活物質層、無機固体電解質層および負極活物質層の少なくとも1層が、少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物、および、周期律表第1族もしくは第2族に属する金属を含みかつイオン伝導性を有する無機固体電解質をそれぞれ含有する全固体二次電池。
<2>少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物が、下記式(1)で表される環状シロキサン化合物、または、下記組成式(2)で表されるかご状シルセスキオキサン化合物である<1>に記載の全固体二次電池。
<1>正極活物質層、無機固体電解質層および負極活物質層をこの順に有する全固体二次電池であって、正極活物質層、無機固体電解質層および負極活物質層の少なくとも1層が、少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物、および、周期律表第1族もしくは第2族に属する金属を含みかつイオン伝導性を有する無機固体電解質をそれぞれ含有する全固体二次電池。
<2>少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物が、下記式(1)で表される環状シロキサン化合物、または、下記組成式(2)で表されるかご状シルセスキオキサン化合物である<1>に記載の全固体二次電池。
式(1)および組成式(2)中、Rはそれぞれ独立に、水素原子または1価の有機基を表す。nは3〜6の整数を表す。aは8〜16の整数を表す。複数のRは互いに同一でも異なってもよい。
<3>少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物が、下記式(H−1)〜(H−3)のいずれかで表される環状シロキサン化合物、および下記式(Q−1)〜(Q−8)のいずれかで表されるかご状シルセスキオキサン化合物からなる群より選択される<1>または<2>に記載の全固体二次電池。
<3>少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物が、下記式(H−1)〜(H−3)のいずれかで表される環状シロキサン化合物、および下記式(Q−1)〜(Q−8)のいずれかで表されるかご状シルセスキオキサン化合物からなる群より選択される<1>または<2>に記載の全固体二次電池。
式(H−1)〜(H−3)および式(Q−1)〜(Q−8)中、Rは水素原子または1価の有機基を表す。複数のRは互いに同一であっても異なってもよい。
<4>Rの少なくとも1つの1価の有機基が、フッ素原子を含む基、極性基を含む基、重合性基または重合性基を含む基である<2>または<3>に記載の全固体二次電池。
<5>Rの少なくとも1つの1価の有機基が、フッ素原子を含む基、基の末端に極性基を有する基、ビニル基、アリル基、または、基の末端に重合性基を有する基である<2>〜<4>のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
<6>Rの少なくとも1つの1価の有機基が、極性基を含む基である<2>〜<5>のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
<7>Rの1価の有機基が、フッ素原子、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルアミノ基、シリル基、アルキル基、アリール基、極性基または重合性基が置換していてもよい、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基またはヘテロアリール基である<2>〜<6>のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
<8>極性基または重合性基が、下記A群から選択される基である<4>〜<7>のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
<4>Rの少なくとも1つの1価の有機基が、フッ素原子を含む基、極性基を含む基、重合性基または重合性基を含む基である<2>または<3>に記載の全固体二次電池。
<5>Rの少なくとも1つの1価の有機基が、フッ素原子を含む基、基の末端に極性基を有する基、ビニル基、アリル基、または、基の末端に重合性基を有する基である<2>〜<4>のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
<6>Rの少なくとも1つの1価の有機基が、極性基を含む基である<2>〜<5>のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
<7>Rの1価の有機基が、フッ素原子、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルアミノ基、シリル基、アルキル基、アリール基、極性基または重合性基が置換していてもよい、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基またはヘテロアリール基である<2>〜<6>のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
<8>極性基または重合性基が、下記A群から選択される基である<4>〜<7>のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
〔A群〕
(極性基)
カルボキシ基、スルホ基、ホスフェート基、ヒドロキシ基、CON(RN)2、シアノ基、N(RN)2、メルカプト基
ここで、RNは水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。
(重合性基)
エポキシ基、オキセタニル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、アリル基
(極性基)
カルボキシ基、スルホ基、ホスフェート基、ヒドロキシ基、CON(RN)2、シアノ基、N(RN)2、メルカプト基
ここで、RNは水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。
(重合性基)
エポキシ基、オキセタニル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、アリル基
<9>少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物が、下記式(Q−9)で表されるかご状シルセスキオキサン化合物である<1>〜<3>のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
式(Q−9)中、R11は、下記A1群、A2群およびA3群から選択される基を表す。
〔A1群〕
水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、フッ素原子を有するアルキル基、フッ素原子を有するアリール基
〔A2群〕
重合性基または末端に重合性基を有する基
〔A3群〕
末端に極性基を有する基
水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、フッ素原子を有するアルキル基、フッ素原子を有するアリール基
〔A2群〕
重合性基または末端に重合性基を有する基
〔A3群〕
末端に極性基を有する基
<10>8つのR11が、A1群から選択される基の少なくとも1つ、A2群から選択される基の少なくとも1つ、およびA3群から選択される基の少なくとも1つをそれぞれ含む<9>に記載の全固体二次電池。
<11>A1群における基が、下記式(3)で表される<9>または<10>に記載の全固体二次電池。
<11>A1群における基が、下記式(3)で表される<9>または<10>に記載の全固体二次電池。
式(3)中、L1は炭素数1〜6のアルキレン基または炭素数6〜10のアリーレン基を表し、L2は、途中へテロ原子で分断されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、または、炭素数6〜10のアリーレン基を表す。Xは−Si(RN)2−、−N(RN)−、−O−、−S−、−OC(=O)−、−C(=O)O−、−NHC(=O)O−または−OC(=O)NH−を表す。ここで、RNは水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。R12はフッ素原子を有する炭素数1〜10のアルキル基またはフッ素原子を有する炭素数6〜12のアリール基を表す。
<12>A2群における重合性基が、ビニル基、アリル基、エポキシ基、オキセタニル基、メタクリロイル基、アクリロイル基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリルアミド基、アクリルアミド基またはスチリル基のいずれかである<9>〜<11>のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
<13>A3群における極性基が、カルボキシ基、スルホ基、ホスフェート基、ヒドロキシ基、N(RN)2またはメルカプト基のいずれかであり、RNが水素原子、アルキル基、またはアリール基である<9>〜<12>のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
<14>A3群における末端に極性基を有する基が、下記式(4)で表される<9>〜<13>のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
<12>A2群における重合性基が、ビニル基、アリル基、エポキシ基、オキセタニル基、メタクリロイル基、アクリロイル基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリルアミド基、アクリルアミド基またはスチリル基のいずれかである<9>〜<11>のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
<13>A3群における極性基が、カルボキシ基、スルホ基、ホスフェート基、ヒドロキシ基、N(RN)2またはメルカプト基のいずれかであり、RNが水素原子、アルキル基、またはアリール基である<9>〜<12>のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
<14>A3群における末端に極性基を有する基が、下記式(4)で表される<9>〜<13>のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
式(4)中、L1は炭素数1〜6のアルキレン基または炭素数6〜10のアリーレン基を表し、L2は、途中へテロ原子で分断されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、または、炭素数6〜10のアリーレン基を表す。Xは−Si(RN)2−、−N(RN)−、−O−、−S−、−OC(=O)−、−C(=O)O−、−NHC(=O)O−または−OC(=O)NH−を表す。R13はカルボキシ基、スルホ基、ホスフェート基、ヒドロキシ基またはN(RN)2を表す。ここで、RNは水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。
<15>式(Q−9)で表されるかご状シルセスキオキサン化合物において、1分子中に存在する全てのR11の個数を100としたとき、A1群、A2群およびA3群のR11の各個数比が、A1群:A2群:A3群=50〜90:1〜50:0〜20である<9>〜<14>のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
<16>少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物の含有量が、無機固体電解質100質量部に対して0.01質量部以上20質量部以下である<1>〜<15>のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
<17>正極活物質層、負極活物質層および無機固体電解質層の少なくとも1つの層が、さらにリチウム塩を含有する<1>〜<16>のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
<18>無機固体電解質が、酸化物系無機固体電解質である<1>〜<17>のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
<19>無機固体電解質が、硫化物系無機固体電解質である<1>〜<17>のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
<20>少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物、および、周期律表第1族もしくは第2族に属する金属を含みかつイオン伝導性を有する無機固体電解質をそれぞれ含有する固体電解質組成物。
<21>さらに、架橋剤を含有する<20>に記載の固体電解質組成物。
<22>さらに、架橋促進剤として、熱ラジカル重合開始剤または熱カチオン重合開始剤を含有する<20>または<21>に記載の固体電解質組成物。
<23>(B)無機固体電解質の粒子の表面が、少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物によって被覆されてなる<20>〜<22>のいずれか1つに記載の固体電解質組成物。
<24>少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物、および、周期律表第1族もしくは第2族に属する金属を含みかつイオン伝導性を有する無機固体電解質の粒子を、炭化水素溶媒またはハロゲン化炭化水素溶媒中で混合して混合物を得る工程、および、
混合物を乾燥させることにより、無機固体電解質の粒子の表面に、少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物を被覆する工程、
を有する固体電解質組成物の製造方法。
<25> <20>〜<24>のいずれか1つに記載の固体電解質組成物が、集電体上に製膜されてなる電池用電極シート。
<26> <20>〜<24>のいずれか1つに記載の固体電解質組成物を、集電体上に製膜する電池用電極シートの製造方法。
<27> <26>に記載の電池用電極シートの製造方法を経由して全固体二次電池を製造する全固体二次電池の製造方法。
<15>式(Q−9)で表されるかご状シルセスキオキサン化合物において、1分子中に存在する全てのR11の個数を100としたとき、A1群、A2群およびA3群のR11の各個数比が、A1群:A2群:A3群=50〜90:1〜50:0〜20である<9>〜<14>のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
<16>少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物の含有量が、無機固体電解質100質量部に対して0.01質量部以上20質量部以下である<1>〜<15>のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
<17>正極活物質層、負極活物質層および無機固体電解質層の少なくとも1つの層が、さらにリチウム塩を含有する<1>〜<16>のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
<18>無機固体電解質が、酸化物系無機固体電解質である<1>〜<17>のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
<19>無機固体電解質が、硫化物系無機固体電解質である<1>〜<17>のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
<20>少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物、および、周期律表第1族もしくは第2族に属する金属を含みかつイオン伝導性を有する無機固体電解質をそれぞれ含有する固体電解質組成物。
<21>さらに、架橋剤を含有する<20>に記載の固体電解質組成物。
<22>さらに、架橋促進剤として、熱ラジカル重合開始剤または熱カチオン重合開始剤を含有する<20>または<21>に記載の固体電解質組成物。
<23>(B)無機固体電解質の粒子の表面が、少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物によって被覆されてなる<20>〜<22>のいずれか1つに記載の固体電解質組成物。
<24>少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物、および、周期律表第1族もしくは第2族に属する金属を含みかつイオン伝導性を有する無機固体電解質の粒子を、炭化水素溶媒またはハロゲン化炭化水素溶媒中で混合して混合物を得る工程、および、
混合物を乾燥させることにより、無機固体電解質の粒子の表面に、少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物を被覆する工程、
を有する固体電解質組成物の製造方法。
<25> <20>〜<24>のいずれか1つに記載の固体電解質組成物が、集電体上に製膜されてなる電池用電極シート。
<26> <20>〜<24>のいずれか1つに記載の固体電解質組成物を、集電体上に製膜する電池用電極シートの製造方法。
<27> <26>に記載の電池用電極シートの製造方法を経由して全固体二次電池を製造する全固体二次電池の製造方法。
本発明の全固体二次電池は、正極活物質層、無機固体電解質層、および負極活物質層の少なくとも1つの層にシロキサン結合を有する環状化合物を用いることによって、耐湿性と経時安定性に優れ、かつ優れたイオン伝導度を実現することができる。
このような効果を実現することができた理由として以下のことが推定される。シロキサン結合を有する環状化合物は、シロキサンの持つ疎水効果により水分子を透過しにくい上、分子内または分子間に適度な空隙を有しているので、周期律表第1族もしくは第2族に属する金属イオン(特にLiイオン)を透過しそれより分子サイズが大きい水分子は透過しにくい性質を有するためと推定される。
本発明の固体電解質組成物の製造方法、電池用電極シートの製造方法および全固体二次電池の製造方法によれば、上記の、固体電解質組成物、電池用電極シートおよび全固体二次電池を好適に製造することができる。
このような効果を実現することができた理由として以下のことが推定される。シロキサン結合を有する環状化合物は、シロキサンの持つ疎水効果により水分子を透過しにくい上、分子内または分子間に適度な空隙を有しているので、周期律表第1族もしくは第2族に属する金属イオン(特にLiイオン)を透過しそれより分子サイズが大きい水分子は透過しにくい性質を有するためと推定される。
本発明の固体電解質組成物の製造方法、電池用電極シートの製造方法および全固体二次電池の製造方法によれば、上記の、固体電解質組成物、電池用電極シートおよび全固体二次電池を好適に製造することができる。
本発明の全固体二次電池は、正極活物質層、無機固体電解質層および負極活物質層をこの順に有する全固体二次電池であって、少なくともそのいずれかの層が、(A)少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物、および、(B)周期律表第1族もしくは第2族に属する金属を含みイオン伝導性を有する無機固体電解質をそれぞれ含有する。
以下、図面を参照してその好ましい実施形態について説明する。なお、本明細書において、「固体電解質組成物」とは、無機の固体電解質を含む組成物を意味する。
以下、図面を参照してその好ましい実施形態について説明する。なお、本明細書において、「固体電解質組成物」とは、無機の固体電解質を含む組成物を意味する。
図1は、本発明の好ましい実施形態に係る全固体二次電池(リチウムイオン二次電池)を模式化して示す断面図である。本実施形態の全固体二次電池10は、負極側からみて、負極集電体1、負極活物質層2、無機固体電解質層3、正極活物質層4、正極集電体5を、この順で有する。各層はそれぞれ接触しており、積層した構造をとっている。このような構造を採用することで、充電時には、負極側に電子(e−)が供給され、そこにリチウムイオン(Li+)が蓄積される。一方、放電時には、負極に蓄積されたリチウムイオン(Li+)が正極側に戻され、作動部位6に電子が供給される。図示した例では、作動部位6に電球を採用しており、放電によりこれが点灯する。
正極活物質層4、負極活物質層2の厚さは、目的とする電池容量に応じて定めることができる。一般的な素子の寸法を考慮すると、1μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましい。上限としては、1000μm以下が好ましく、400μm以下がより好ましい。
一方、無機固体電解質層3は正負極の短絡を防止しつつ、できる限り薄いことが望ましい。本発明の効果が顕著に発現するには、無機固体電解質層3の厚さは、1μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましい。上限としては、1000μm以下が好ましく、400μm以下がより好ましい。
図1では、上記のとおり、集電体、活物質層および固体電解質層からなる積層体を「全固体二次電池」と称しているが、製品化する際には、この積層体を二次電池用電極シートとして、筐体(ケース)に収納して全固体二次電池(例えばコイン電池、ラミネート電池など)としてもよい。
一方、無機固体電解質層3は正負極の短絡を防止しつつ、できる限り薄いことが望ましい。本発明の効果が顕著に発現するには、無機固体電解質層3の厚さは、1μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましい。上限としては、1000μm以下が好ましく、400μm以下がより好ましい。
図1では、上記のとおり、集電体、活物質層および固体電解質層からなる積層体を「全固体二次電池」と称しているが、製品化する際には、この積層体を二次電池用電極シートとして、筐体(ケース)に収納して全固体二次電池(例えばコイン電池、ラミネート電池など)としてもよい。
<固体電解質組成物>
本発明の固体電解質組成物は、(A)少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物、および、(B)周期律表第1族もしくは第2族に属する金属を含みかつイオン伝導性を有する無機固体電解質をそれぞれ含有する。(A)および(B)の詳細については後述する。
本発明の固体電解質組成物は、上記負極活物質層、正極活物質層、および無機固体電解質層の少なくとも1層の構成材料として用いることが好ましく、なかでも、無機固体電解質層、正極活物質層、および負極活物質層の全ての構成材料として用いることが好ましい。
本発明の固体電解質組成物は、(A)少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物、および、(B)周期律表第1族もしくは第2族に属する金属を含みかつイオン伝導性を有する無機固体電解質をそれぞれ含有する。(A)および(B)の詳細については後述する。
本発明の固体電解質組成物は、上記負極活物質層、正極活物質層、および無機固体電解質層の少なくとも1層の構成材料として用いることが好ましく、なかでも、無機固体電解質層、正極活物質層、および負極活物質層の全ての構成材料として用いることが好ましい。
特に、本発明の(A)少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物は、電解質が無機固体電解質であることによって、電解液や有機固体電解質とは異なり、無機固体電解質の粒子表面と直接、吸着、イオンもしくは電子的相互作用などの相互作用をすることができ、効果的な被覆が可能となり、無機固体電解質の酸化還元による劣化を抑制することが可能である。
(無機固体電解質)
無機固体電解質とは、無機の固体電解質のことであり、固体電解質とは、その内部においてイオンを移動させることができる固体状の電解質のことである。主たるイオン伝導性材料として有機物を含むものではないことから、有機固体電解質(PEOなどに代表される高分子電解質、LiTFSIなどに代表される周期律表第1族または第2族に属する金属のイオンの有機塩である有機電解質塩など)とは明確に区別される。また、無機固体電解質は定常状態では固体であるため、通常カチオンおよびアニオンに解離または遊離していない。この点で、電解液やポリマー中でカチオンおよびアニオンに解離または遊離している周期律表第1族または第2族に属する金属のイオンの無機塩である無機電解質塩(LiPF6、LiBF4、LiFSI、LiClなど)とも明確に区別される。無機固体電解質は周期律表第1族または第2族に属する金属のイオンの伝導性を有するものであれば特に限定されず、電子伝導性を有さないものが一般的である。
無機固体電解質とは、無機の固体電解質のことであり、固体電解質とは、その内部においてイオンを移動させることができる固体状の電解質のことである。主たるイオン伝導性材料として有機物を含むものではないことから、有機固体電解質(PEOなどに代表される高分子電解質、LiTFSIなどに代表される周期律表第1族または第2族に属する金属のイオンの有機塩である有機電解質塩など)とは明確に区別される。また、無機固体電解質は定常状態では固体であるため、通常カチオンおよびアニオンに解離または遊離していない。この点で、電解液やポリマー中でカチオンおよびアニオンに解離または遊離している周期律表第1族または第2族に属する金属のイオンの無機塩である無機電解質塩(LiPF6、LiBF4、LiFSI、LiClなど)とも明確に区別される。無機固体電解質は周期律表第1族または第2族に属する金属のイオンの伝導性を有するものであれば特に限定されず、電子伝導性を有さないものが一般的である。
本発明において、無機固体電解質は、周期律表第1族もしくは第2族に属する金属のイオン伝導性を有する。上記無機固体電解質は、この種の製品に適用される固体電解質材料を適宜選定して用いることができる。無機固体電解質は(i)硫化物系無機固体電解質と(ii)酸化物系無機固体電解質が代表例として挙げられ、本発明では、いずれも好ましい。
(i)硫化物系無機固体電解質
硫化物系無機固体電解質は、硫黄(S)を含有し、かつ、周期律表第1族または第2族に属する金属のイオン伝導性を有し、かつ、電子絶縁性を有するものが好ましい。硫化物系無機固体電解質は、元素として少なくともLi、SおよびPを含有し、リチウムイオン伝導性を有しているものが好ましいが、目的または場合に応じて、Li、SおよびP以外の他の元素を含んでもよい。
例えば、下記式(S−E)で示される組成を満たすリチウムイオン伝導性無機固体電解質が挙げられる。
硫化物系無機固体電解質は、硫黄(S)を含有し、かつ、周期律表第1族または第2族に属する金属のイオン伝導性を有し、かつ、電子絶縁性を有するものが好ましい。硫化物系無機固体電解質は、元素として少なくともLi、SおよびPを含有し、リチウムイオン伝導性を有しているものが好ましいが、目的または場合に応じて、Li、SおよびP以外の他の元素を含んでもよい。
例えば、下記式(S−E)で示される組成を満たすリチウムイオン伝導性無機固体電解質が挙げられる。
Laa a1Maa b1Pc1Sd1Aaa e1 式(S−E)
式(S−E)中、LaaはLi、NaおよびKから選択される元素を表し、Liが好ましい。Maaは、B、Zn、Sn、Si、Cu、Ga、Sb、AlおよびGeから選択される元素を表す。なかでも、B、Sn、Si、Al、Geが好ましく、Sn、Al、Geがより好ましい。Aaaは、I、Br、Cl、Fを表し、I、Brが好ましく、Iが特に好ましい。a1〜e1は各元素の組成比を示し、a1:b1:c1:d1:e1は1〜12:0〜1:1:2〜12:0〜5を満たす。a1はさらに、1〜9が好ましく、1.5〜4がより好ましい。b1は0〜0.5が好ましい。d1はさらに、3〜7が好ましく、3.25〜4.5がより好ましい。e1はさらに、0〜3が好ましく、0〜1がより好ましい。
式(S−E)において、Laa、Maa、P、SおよびAaaの組成比は、好ましくはb1、e1が0であり、より好ましくはb1=0、e1=0でかつa1、c1およびd1の比(a1:c1:d1)がa1:c1:d1=1〜9:1:3〜7であり、さらに好ましくはb1=0、e1=0でかつa1:c1:d1=1.5〜4:1:3.25〜4.5である。各元素の組成比は、後述するように、硫化物系無機固体電解質を製造する際の原料化合物の配合量を調整することにより制御できる。
硫化物系無機固体電解質は、非結晶(ガラス)であっても結晶化(ガラスセラミックス化)していてもよく、一部のみが結晶化していてもよい。例えば、Li、PおよびSを含有するLi−P−S系ガラス、またはLi、PおよびSを含有するLi−P−S系ガラスセラミックスを用いることができる。
硫化物系無機固体電解質は、[1]硫化リチウム(Li2S)と硫化リン(例えば五硫化二燐(P2S5))、[2]硫化リチウムと単体燐および単体硫黄の少なくとも一方、または[3]硫化リチウムと硫化リン(例えば五硫化二燐(P2S5))と単体燐および単体硫黄の少なくとも一方、の反応により製造することができる。
硫化物系無機固体電解質は、[1]硫化リチウム(Li2S)と硫化リン(例えば五硫化二燐(P2S5))、[2]硫化リチウムと単体燐および単体硫黄の少なくとも一方、または[3]硫化リチウムと硫化リン(例えば五硫化二燐(P2S5))と単体燐および単体硫黄の少なくとも一方、の反応により製造することができる。
Li−P−S系ガラスおよびLi−P−S系ガラスセラミックスにおける、Li2SとP2S5との比率は、Li2S:P2S5のモル比で、好ましくは65:35〜85:15、より好ましくは68:32〜77:23である。Li2SとP2S5との比率をこの範囲にすることにより、リチウムイオン伝導度を高いものとすることができる。具体的には、リチウムイオン伝導度を好ましくは1×10−4S/cm以上、より好ましくは1×10−3S/cm以上にすることができる。上限は特にないが、1×10−1S/cm以下が実際的である。
具体的な化合物例としては、例えばLi2Sと、第13族〜第15族の元素の硫化物とを含有する原料組成物を用いてなるものを挙げることができる。具体的には、Li2S−P2S5、Li2S−LiI−P2S5、Li2S−LiI−Li2O−P2S5、Li2S−LiBr−P2S5、Li2S−Li2O−P2S5、Li2S−Li3PO4−P2S5、Li2S−P2S5−P2O5、Li2S−P2S5−SiS2、Li2S−P2S5−SnS、Li2S−P2S5−Al2S3、Li2S−GeS2、Li2S−GeS2−ZnS、Li2S−Ga2S3、Li2S−GeS2−Ga2S3、Li2S−GeS2−P2S5、Li2S−GeS2−Sb2S5、Li2S−GeS2−Al2S3、Li2S−SiS2、Li2S−Al2S3、Li2S−SiS2−Al2S3、Li2S−SiS2−P2S5、Li2S−SiS2−P2S5−LiI、Li2S−SiS2−LiI、Li2S−SiS2−Li4SiO4、Li2S−SiS2−Li3PO4、Li10GeP2S12などが挙げられる。そのなかでも、Li2S−P2S5、Li2S−GeS2−Ga2S3、Li2S−SiS2−P2S5、Li2S−SiS2−Li4SiO4、Li2S−SiS2−Li3PO4、Li2S−LiI−Li2O−P2S5、Li2S−Li2O−P2S5、Li2S−Li3PO4−P2S5、Li2S−GeS2−P2S5、Li10GeP2S12からなる結晶質、非結晶質もしくは結晶質と非晶質混合の原料組成物が、高いリチウムイオン伝導性を有するので好ましい。
このような原料組成物を用いて硫化物固体電解質材料を合成する方法としては、例えば非晶質化法を挙げることができる。非晶質化法としては、例えば、メカニカルミリング法および溶融急冷法を挙げることができ、なかでもメカニカルミリング法が好ましい。常温での処理が可能になり、製造工程の簡略化を図ることができるからである。
(ii)酸化物系無機固体電解質
酸化物系無機固体電解質は、酸素(O)を含有し、かつ、周期律表第1族または第2族に属する金属のイオン伝導性を有し、かつ、電子絶縁性を有するものが好ましい。
酸化物系無機固体電解質は、酸素(O)を含有し、かつ、周期律表第1族または第2族に属する金属のイオン伝導性を有し、かつ、電子絶縁性を有するものが好ましい。
具体的な化合物例としては、例えばLixaLayaTiO3〔xaは0.3≦xa≦0.7を満たし、yaは0.3≦ya≦0.7を満たす。〕(LLT)、LixbLaybZrzbMbb mbOnb(MbbはAl、Mg、Ca、Sr、V、Nb、Ta、Ti、Ge、In、Snの少なくとも1種以上の元素であり、xbは5≦xb≦10を満たし、ybは1≦yb≦4を満たし、zbは1≦zb≦4を満たし、mbは0≦mb≦2を満たし、nbは5≦nb≦20を満たす。)、LixcBycMcc zcOnc(MccはC、S、Al、Si、Ga、Ge、In、Snの少なくとも1種以上の元素であり、xcは0≦xc≦5を満たし、ycは0≦yc≦1を満たし、zcは0≦zc≦1を満たし、ncは0≦nc≦6を満たす。)、Lixd(Al,Ga)yd(Ti,Ge)zdSiadPmdOnd(ただし、1≦xd≦3、0≦yd≦1、0≦zd≦2、0≦ad≦1、1≦md≦7、3≦nd≦13)、Li(3−2xe)Mee xeDeeO(xeは0以上0.1以下の数を表し、Meeは2価の金属原子を表す。Deeはハロゲン原子または2種以上のハロゲン原子の組み合わせを表す。)、LixfSiyfOzf(1≦xf≦5、0<yf≦3、1≦zf≦10)、LixgSygOzg(1≦xg≦3、0<yg≦2、1≦zg≦10)、Li3BO3−Li2SO4、Li2O−B2O3−P2O5、Li2O−SiO2、Li6BaLa2Ta2O12、Li3PO(4−3/2w)Nw(wはw<1)、LISICON(Lithium super ionic conductor)型結晶構造を有するLi3.5Zn0.25GeO4、ペロブスカイト型結晶構造を有するLa0.55Li0.35TiO3、NASICON(Natrium super ionic conductor)型結晶構造を有するLiTi2P3O12、Li(1+xh+yh)(Al,Ga)xh(Ti,Ge)(2−xh)SiyhP(3−yh)O12(ただし、0≦xh≦1、0≦yh≦1)、ガーネット型結晶構造を有するLi7La3Zr2O12(LLZ)等が挙げられる。またLi、PおよびOを含むリン化合物も望ましい。例えばリン酸リチウム(Li3PO4)、リン酸リチウムの酸素の一部を窒素で置換したLiPON、LiPOD1(D1は、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Ru、Ag、Ta、W、Pt、Au等から選ばれた少なくとも1種)等が挙げられる。また、LiA1ON(A1は、Si、B、Ge、Al、C、Ga等から選ばれた少なくとも1種)等も好ましく用いることができる。
本発明においては、LixaLayaTiO3、LixbLaybZrzbMbb mbOnb、Li3.5Zn0.25GeO4、LiTi2P3O12、Li(1+xh+yh)(Al,Ga)xh(Ti,Ge)(2−xh)SiyhP(3−yh)O12、Li3PO4、LiPON、LiPOD1、LiA1ON、LixcBycMcc zcOnc、Li(3−2xe)Mee xeDeeO、LixfSiyfOzfおよびLixgSygOzgがより好ましい。
また、上記式(S−E)で示される組成を満たす硫化物系無機固体電解質も好ましい。
また、上記式(S−E)で示される組成を満たす硫化物系無機固体電解質も好ましい。
無機固体電解質の体積平均粒子径は特に制限されないが、0.01μm以上が好ましく、0.1μm以上がより好ましい。上限としては、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましい。
無機固体電解質の体積平均粒子径の測定は、以下の手順で行う。
無機固体電解質を、水(水に不安定な物質の場合はヘプタン)を用いて20mlサンプル瓶中で1質量%の分散液を希釈調製する。希釈後の分散試料は、1kHzの超音波を10分間照射し、その直後に試験に使用する。この分散液試料を用い、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920(商品名、HORIBA社製)を用いて、温度25℃で測定用石英セルを使用してデータ取り込みを50回行い、体積平均粒子径を得る。その他の詳細な条件等は必要によりJISZ8828:2013「粒子径解析−動的光散乱法」の記載を参照する。1水準につき5つの試料を作製し、その平均値を採用する。
無機固体電解質を、水(水に不安定な物質の場合はヘプタン)を用いて20mlサンプル瓶中で1質量%の分散液を希釈調製する。希釈後の分散試料は、1kHzの超音波を10分間照射し、その直後に試験に使用する。この分散液試料を用い、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920(商品名、HORIBA社製)を用いて、温度25℃で測定用石英セルを使用してデータ取り込みを50回行い、体積平均粒子径を得る。その他の詳細な条件等は必要によりJISZ8828:2013「粒子径解析−動的光散乱法」の記載を参照する。1水準につき5つの試料を作製し、その平均値を採用する。
平均体積粒子径の測定は、後述の少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物で被覆された無機固体電解質、正極もしくは負極活物質などの固体微粒子においても同様である。
無機固体電解質の固体電解質組成物中の固形成分における濃度は、電池性能と界面抵抗の低減・維持効果の両立を考慮したとき、全固形成分100質量部に対して、5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましく、20質量部以上であることが特に好ましい。上限としては、同様の観点から、99.9質量部以下が好ましく、99.5質量部以下がより好ましく、99質量部以下が特に好ましい。
ただし、後述する正極活物質または負極活物質とともに用いるときには、その総和が上記の濃度範囲であることが好ましい。
上記無機固体電解質は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ただし、後述する正極活物質または負極活物質とともに用いるときには、その総和が上記の濃度範囲であることが好ましい。
上記無機固体電解質は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<シロキサン結合を有する環状化合物>
本発明では、全固体二次電池を作製するために使用する固体電解質組成物に、少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物を含有する。
ここで、固体電解質組成物中に、少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物を含むが、固体電解質組成物を用いて全固体二次電池を作製する過程で、これらの環状化合物は、架橋反応などにより、架橋体、オリゴマーもしくはポリマーとなって存在してもよい。
本発明では、全固体二次電池を作製するために使用する固体電解質組成物に、少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物を含有する。
ここで、固体電解質組成物中に、少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物を含むが、固体電解質組成物を用いて全固体二次電池を作製する過程で、これらの環状化合物は、架橋反応などにより、架橋体、オリゴマーもしくはポリマーとなって存在してもよい。
少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物はどのような環状構造であっても構わない。例えば、単環であっても、架橋環(ハシゴ型構造も含む)、スピロ環であっても、かご状構造の環、複数の環がランダムに互いに結合した環であっても構わない。
本発明では、単環のシロキサン化合物とシルセスキオキサンと称される環状のシロキサン化合物が好ましい。
本発明では、単環のシロキサン化合物とシルセスキオキサンと称される環状のシロキサン化合物が好ましい。
ここで、「シルセスキオキサン」とは、3官能性シランを加水分解することで得られる(RSiO1.5)nの構造を持つネットワーク型ポリマーまたは多面体クラスターである。各ケイ素原子が3個の酸素原子と結合し、各酸素原子が2個のケイ素原子と結合している。ケイ素原子数に対する酸素原子数が1.5であることから、1.5個(sesqui)の酸素を有する意味で、Sil−sesquioxaneと称される。
本発明において、かご状構造とは、立体モデル構造として見るとき、少なくとも1つの環の環平面上もしくは環平面内に、少なくとも1つの別の環が位置し、これらの環同士は、2つ以上の連結基(−O−または−O−Si(R)2−など)を介して結合しており、分子全体として、立体的に、内部空間を有する「かご」のような構造である。このかご状構造は、共有結合した原子で形成された複数の環によって容積(環で取り囲まれた分子内空間の容積)が定まり、容積内に位置する点は環を通過せずには容積から離れることができないような構造となっている。
本発明では、これらの環状シロキサン化合物のうち、単環のシロキサン化合物とかご状構造のシルセスキオキサン化合物がより好ましく、下記式(1)で表される化合物または下記組成式(2)で表されるかご状シルセスキオキサン化合物がなかでも好ましい。
式(1)および組成式(2)中、Rはそれぞれ独立に、水素原子または1価の有機基を表す。nは3〜6の整数を表す。aは8〜16の整数を表す。複数のRは互いに同一でも異なってもよい。
Rにおける1価の有機基は、ケイ素原子に結合可能な基であれば、どのような有機基でも構わない。このような1価の有機基としては、以下の基が挙げられる。
アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20で、例えばメチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチル、ペンチル、ヘプチル、1−エチルペンチル、ベンジル、2−エトキシエチル、1−カルボキシメチル、トリフルオロメチル等)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20で、例えば、ビニル、アリル、オレイル等)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20で、例えば、エチニル、ブタジイニル、フェニルエチニル等)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜30、より好ましくは炭素数3〜20で、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル等)、シクロアルケニル基(好ましくは炭素数5〜30、より好ましくは炭素数5〜20で、例えばシクロペンテニル、シクロヘキセニル等)、アリール基(好ましくは炭素数6〜26、より好ましくは炭素数6〜18で、例えば、フェニル、1−ナフチル、4−メトキシフェニル、2−クロロフェニル、3−メチルフェニル等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20で、少なくとも1つの酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有する5または6員環のヘテロ環基がより好ましく、エポキシ基、オキセタニル基を含み、例えば、2−ピリジル、4−ピリジル、2−イミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、2−チアゾリル、2−オキサゾリル等)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20で、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、ベンジルオキシ等)、アルケニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20で、例えば、ビニルオキシ、アリルオキシ等)、アルキニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20で、例えば、2−プロペニルオキシ、4−ブチニルオキシ等)、シクロアルキルオキシ基(好ましくは炭素数3〜30、より好ましくは炭素数3〜20で、例えば、シクロプロピルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、4−メチルシクロヘキシルオキシ等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜26、より好ましくは炭素数6〜18で、例えば、フェノキシ、1−ナフチルオキシ、3−メチルフェノキシ、4−メトキシフェノキシ等)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20で、例えば、イミダゾリルオキシ、ベンゾイミダゾリルオキシ、チアゾリルオキシ、ベンゾチアゾリルオキシ、トリアジニルオキシ、プリニルオキシ)、
アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20で、例えば、エトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル等)、シクロアルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数4〜30、より好ましくは炭素数4〜20で、例えば、シクロプロピルオキシカルボニル、シクロペンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数6〜20で、例えば、フェニルオキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニル等)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20で、アルキルアミノ基、アルケニルアミノ基、アルキニルアミノ基、シクロアルキルアミノ基、シクロアルケニルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含み、例えば、アミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチルアミノ、N−アリルアミノ、N−(2−プロピニル)アミノ、N−シクロヘキシルアミノ、N−シクロヘキセニルアミノ、アニリノ、ピリジルアミノ、イミダゾリルアミノ、ベンゾイミダゾリルアミノ、チアゾリルアミノ、ベンゾチアゾリルアミノ、トリアジニルアミノ等)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20で、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールのスルファモイル基が好ましく、例えば、N,N−ジメチルスルファモイル、N−シクロヘキシルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル等)、アシル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20で、例えば、アセチル、シクロヘキシルカルボニル、ベンゾイル等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20で、例えば、アセチルオキシ、シクロヘキシルカルボニルオキシ、ベンゾイルオキシ等)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20で、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールのカルバモイル基が好ましく、例えば、N,N−ジメチルカルバモイル、N−シクロヘキシルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル等)、カルバモイルオキシ基(好ましくは炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20で、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールのカルバモイルオキシ基が好ましく、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ等)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、好ましくは炭素数2〜20で、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、イソプロポキシカルボニルアミノ、2−エチルヘキシルオキシカルボニルアミノ等)、
アシルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20のアシルアミノ基、例えば、アセチルアミノ、シクロヘキシルカルボニルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、スルホンアミド基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20で、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールのスルホンアミド基が好ましく、例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、N−メチルメタンスルホンアミド、N−シクロヘキシルスルホンアミド、N−エチルベンゼンスルホンアミド等)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20で、例えば、メチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオ、ベンジルチオ等)、シクロアルキルチオ基(好ましくは炭素数3〜30、より好ましくは炭素数3〜20で、例えば、シクロプロピルチオ、シクロペンチルチオ、シクロヘキシルチオ、4−メチルシクロヘキシルチオ等)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜26、より好ましくは炭素数6〜18で、例えば、フェニルチオ、1−ナフチルチオ、3−メチルフェニルチオ、4−メトキシフェニルチオ等)、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールスルホニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20で、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、シクロヘキシルスルホニル、ベンゼンスルホニル等)、
シリル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20で、アルキル、アリール、アルコキシおよびアリールオキシが置換したシリル基が好ましく、例えば、トリエチルシリル、トリフェニルシリル、ジエチルベンジルシリル、ジメチルフェニルシリル等)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20で、アルキル、アリール、アルコキシおよびアリールオキシが置換したシリルオキシ基が好ましく、例えば、トリエチルシリルオキシ、トリフェニルシリルオキシ、ジエチルベンジルシリルオキシ、ジメチルフェニルシリルオキシ等)、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、カルボキシ基、スルホ基、ホスフェート基(リン酸基)、ホスホニル基、ホスホリル基、ホウ酸基が挙げられる。
これらの各基は、さらに上記の基で置換されていてもよい。
なお、アルキル基、アルケニル基等を含む場合、これらは直鎖状でも分岐状でもよく、置換されていても無置換でもよい。また、アリール基、ヘテロ環基等を含む場合、それらは単環でも縮環でもよく、置換されていても無置換でもよい。また、1価の有機基は、直鎖状よりも、分岐構造または環構造を有することが特に好ましい。
なお、アルキル基、アルケニル基等を含む場合、これらは直鎖状でも分岐状でもよく、置換されていても無置換でもよい。また、アリール基、ヘテロ環基等を含む場合、それらは単環でも縮環でもよく、置換されていても無置換でもよい。また、1価の有機基は、直鎖状よりも、分岐構造または環構造を有することが特に好ましい。
本発明における少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物は、無機固体電解質を水や酸化還元から保護する目的から、少なくとも1つのRが疎水的であることが好ましく、例えば、疎水性を高めるもしくは疎水性が高い置換基が導入されていることがより好ましい。
このような基もしくは疎水性の高い置換基を有する基の結合手に水素原子を置換した化合物として求めたLogPが、好ましくは2以上、より好ましくは2.5以上である基が好ましい。上限は特に定めないが、一般的に10未満が好ましい。
このような基としては、飽和炭化水素基、フッ素置換飽和炭化水素基等が挙げられる。例えば、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルキレン基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数3〜30のシクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数4〜12のヘテロアリール基などが挙げられ、これらにフッ素原子が置換した基なども好ましく挙げられる。
このような基もしくは疎水性の高い置換基を有する基の結合手に水素原子を置換した化合物として求めたLogPが、好ましくは2以上、より好ましくは2.5以上である基が好ましい。上限は特に定めないが、一般的に10未満が好ましい。
このような基としては、飽和炭化水素基、フッ素置換飽和炭化水素基等が挙げられる。例えば、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルキレン基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数3〜30のシクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数4〜12のヘテロアリール基などが挙げられ、これらにフッ素原子が置換した基なども好ましく挙げられる。
ここで、LogPは、分配係数P(Partition Coefficient)の常用対数を意味し、ある化学物質が油(一般的に1−オクタノール)と水の2相系の平衡でどのように分配されるかを定量的な数値として表す物性値であり、次式で表される。
LogP = Log(Coil/Cwater)
上記式において、Coilは油相中のモル濃度を表し、Cwaterは水相中のモル濃度を表す。LogPの値が0をはさんでプラスに大きくなると油溶性が増し、マイナスで絶対値が大きくなると水溶性が増す。LogPは化学物質の水溶性と負の相関があり、親疎水性を見積るパラメータとして広く利用されている。その定義から考えて分配実験で実測するのが原則であるが、実験自体がかなり手間がかかるため、構造式からの推算は有効な手段である。
このため、計算によるLogPの推算値のLogPが多用されている。
本明細書では、LogP値は、CambridgeSoft社製ChemDrawProver.12.0により計算された値である。
本明細書では、LogP値は、CambridgeSoft社製ChemDrawProver.12.0により計算された値である。
本発明では、少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物は、無機固体電解質の表面を保護する目的で使用される。例えば、大気との接触による水分の影響から保護することや、活物質または導電助剤との接触による酸化還元の影響から保護することを目的とする。この観点から、本発明における少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物は無機固体電解質の表面に局在化していることが好ましい。また、少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物と無機固体電解質との相互作用を高めて吸着性を向上させるために、極性基が置換基として導入されていることがより好ましい。
ここで、シロキサンそのものは本来疎水的であるが、極性基が無機固体電解質との濡れ性を向上させ、しかも無機固体電解質の表面により効果的、効率的に吸着し、無機固体電解質の表面を保護するので長期間にわたって本発明の効果が維持できる。
一方、本発明における少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物が重合性基を有することで、加熱工程により架橋を形成するため、耐熱性とイオン伝導性に優れたコート層とすることができる。加熱工程は、無機固体電解質の乾燥時でもよいし、固体電解質組成物を塗膜化した電極シート作製時でもよいし、またセル作製後でもよい。加熱温度は100℃以上が好ましく、150℃以上がより好ましく、200℃以上が最も好ましい。
このような観点から、Rは以下の基が好ましい。
Rの少なくとも1つの1価の有機基は、フッ素原子を含む基、極性基を含む基、重合性基または重合性基を含む基が好ましい。
また、Rの少なくとも1つの1価の有機基は、フッ素原子を含む基、基の末端に極性基を有する基、ビニル基、アリル基、または、基の末端に重合性基を有する基がより好ましい。
また、Rの少なくとも1つの1価の有機基は、フッ素原子を含む基、基の末端に極性基を有する基、ビニル基、アリル基、または、基の末端に重合性基を有する基がより好ましい。
ここで、フッ素原子を含む基、極性基を含む基、重合性基を含む基とは、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロアリール基などに置換基としてフッ素原子、極性基または、重合性基が置換した基である。
極性基は、ヘテロ原子を有する基が好ましく、ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子が好ましい。極性基は、基の結合手を水素原子で置換した化合物として求めたLogPが好ましくは1以下、より好ましくは0以下、さらに好ましくは−0.5以下である。
上記に挙げた基のうち、電子求引性基、電子供与性基、解離性基として分類される基も好ましい。
極性基としては、なかでも、カルボキシ基、スルホ基、ホスフェート基、ヒドロキシ基、CON(RN)2、シアノ基、N(RN)2、メルカプト基が好ましい。ここで、RNは水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。
このうち無機固体電解質への吸着性に優れる点でカルボキシ基が最も好ましい。
RNのアルキル基としては、炭素数1〜10が好ましく、炭素数1〜6がより好ましく、炭素数1〜3が特に好ましい。RNのアリール基としては、炭素数6〜12が好ましく、炭素数6〜10がより好ましい。
上記に挙げた基のうち、電子求引性基、電子供与性基、解離性基として分類される基も好ましい。
極性基としては、なかでも、カルボキシ基、スルホ基、ホスフェート基、ヒドロキシ基、CON(RN)2、シアノ基、N(RN)2、メルカプト基が好ましい。ここで、RNは水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。
このうち無機固体電解質への吸着性に優れる点でカルボキシ基が最も好ましい。
RNのアルキル基としては、炭素数1〜10が好ましく、炭素数1〜6がより好ましく、炭素数1〜3が特に好ましい。RNのアリール基としては、炭素数6〜12が好ましく、炭素数6〜10がより好ましい。
また、重合性基は、上記に挙げた基のうち、重合反応が可能な基である。なお、重合は、熱でも光でも構わないが、通常、膜化は加熱工程で行われるため、熱による重合反応が可能な基が好ましい。
重合性基としては、エポキシ基、オキセタニル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、アリル基が好ましい。
なお、(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基、メタクリロイル基の総称であり、いずれか一方もしくはこれらが混合する場合も包含する。(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基も同様の意味で使用する。
重合性基としては、エポキシ基、オキセタニル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、アリル基が好ましい。
なお、(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基、メタクリロイル基の総称であり、いずれか一方もしくはこれらが混合する場合も包含する。(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基も同様の意味で使用する。
本発明では、これらの好ましい極性基、重合性基を、以下のようにA群と称す。
〔A群〕
(極性基)
カルボキシ基、スルホ基、ホスフェート基、ヒドロキシ基、CON(RN)2、シアノ基、N(RN)2、メルカプト基
ここで、RNは水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。
(重合性基)
エポキシ基、オキセタニル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、アリル基
(極性基)
カルボキシ基、スルホ基、ホスフェート基、ヒドロキシ基、CON(RN)2、シアノ基、N(RN)2、メルカプト基
ここで、RNは水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。
(重合性基)
エポキシ基、オキセタニル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、アリル基
本発明では、このうち、複数存在するRの少なくとも1つが極性基を含む基が好ましい。
全てのRは、1価の有機基が好ましく、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基またはヘテロアリール基がより好ましく、これらの各基はさらに置換基を有してもよい。このような置換基としては、1価の有機基として例示した基が挙げられるが、本発明では、なかでも、フッ素原子、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルアミノ基、シリル基、アルキル基、アリール基、極性基または重合性基が好ましい。
ここで、アルキル基の炭素数は、1〜30が好ましく、1〜10がより好ましい。シクロアルキル基の炭素数は、3〜30が好ましく、3〜12がより好ましく、アルケニル基の炭素数は2〜30が好ましく、2〜10がより好ましい。アリールの炭素数は6〜18が好ましく、6〜12がより好ましく、ヘテロアリール基の炭素数4〜12が好ましい。
Rの好ましい範囲に関しては、後述の式(Q−9)のR11における好ましい範囲が、Rにおいてもそのまま適用される。
(単環の環状シロキサン化合物)
式(1)で表される環状シロキサン化合物において、nは3〜6の整数を表すが、3〜5の整数が好ましい。
なお、本発明では、立体構造における異性体は、どのようなものでも構わない。例えば、6員環のような椅子型、舟型であっても、これらの混合であっても構わない。
式(1)で表される環状シロキサン化合物において、nは3〜6の整数を表すが、3〜5の整数が好ましい。
なお、本発明では、立体構造における異性体は、どのようなものでも構わない。例えば、6員環のような椅子型、舟型であっても、これらの混合であっても構わない。
式(1)で表される環状シロキサン化合物は、下記式(H−1)〜(H−3)のいずれかで表される化合物が好ましい。
式(H−1)〜(H−3)中、Rは、式(1)におけるRと同義であり、好ましい範囲も同じである。
(かご状シルセスキオキサン化合物)
本発明におけるかご状シルセスキオキサン化合物は、組成式(2)で表される化合物のうち、かご状構造を有する化合物が好ましい。
本発明では、かご状シルセスキオキサン化合物を1種もしくは2種以上併用してもよい。なお、複数種(2種以上)のかご状シルセスキオキサン化合物を使用する場合は、同じかご形状の化合物を2種使用してもよいし、異なるかご形状の化合物をそれぞれ1種ずつ使用してもよい。
本発明におけるかご状シルセスキオキサン化合物は、組成式(2)で表される化合物のうち、かご状構造を有する化合物が好ましい。
本発明では、かご状シルセスキオキサン化合物を1種もしくは2種以上併用してもよい。なお、複数種(2種以上)のかご状シルセスキオキサン化合物を使用する場合は、同じかご形状の化合物を2種使用してもよいし、異なるかご形状の化合物をそれぞれ1種ずつ使用してもよい。
かご状シルセスキオキサン化合物を用いて得られる膜は、よりイオン伝導性に優れ、耐熱性、耐湿性などを示す。これは、組成式(2)におけるaにより、カゴ構造の分子サイズが自由に調整でき、aを8〜16の整数とすることで、金属イオンは通過するが、水分子は通過しない、サイズ排除効果が生じ、これに加えて、疎水的なシロキサン結合により水分子が反発する表面エネルギー効果によるものと推定される。
組成式(2)のaは8、10、12、14または16が好ましい。このうち、得られる膜がより優れたイオン伝導性および耐湿性を示す点では、aが8、10、12がより好ましく、一方、合成容易性の観点からは、8がより好ましい。
本発明では、組成式(2)で表されるかご状シルセスキオキサン化合物は、以下の式(Q−1)〜(Q−8)のいずれかで表される化合物がなかでも好ましい。
式(Q−1)〜(Q−8)中、Rは、式(1)におけるRと同義であり、好ましい範囲も同じである。
式(Q−1)〜(Q−8)で表される化合物のうち、式(Q−6)で表される化合物が、特に好ましい。
式(Q−6)で表される化合物のなかでも好ましい化合物は、下記式(Q−9)で表される。
式(Q−6)で表される化合物のなかでも好ましい化合物は、下記式(Q−9)で表される。
式(Q−9)中、R11は、下記A1群、A2群およびA3群から選択される基を表す。
〔A1群〕
水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、フッ素原子を有するアルキル基、フッ素原子を有するアリール基
〔A2群〕
重合性基または末端に重合性基を有する基
〔A3群〕
末端に極性基を有する基
水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、フッ素原子を有するアルキル基、フッ素原子を有するアリール基
〔A2群〕
重合性基または末端に重合性基を有する基
〔A3群〕
末端に極性基を有する基
なお、重合性基、極性基は、Rにおける重合性基、極性基と同義であり、好ましい範囲も同じである。また、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基もRにおけるものと同義であり、好ましい範囲も同じである。
A1群における基は、下記式(3)で表される基が好ましい。
式(3)中、L1は炭素数1〜6のアルキレン基または炭素数6〜10のアリーレン基を表し、L2は、途中へテロ原子で分断されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、または、炭素数6〜10のアリーレン基を表す。Xは−Si(RN)2−、−N(RN)−、−O−、−S−、−OC(=O)−、−C(=O)O−、−NHC(=O)O−または−OC(=O)NH−を表す。ここで、RNは水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。RNのアルキル基としては、炭素数1〜10が好ましく、炭素数1〜6がより好ましく、炭素数1〜3が特に好ましい。RNのアリール基としては、炭素数6〜12が好ましく、炭素数6〜10がより好ましい。R12はフッ素原子を有する炭素数1〜10のアルキル基またはフッ素原子を有する炭素数6〜12のアリール基を表す。
A2群における重合性基は、ビニル基、アリル基、エポキシ基、オキセタニル基、メタクリロイル基、アクリロイル基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリルアミド基、アクリルアミド基またはスチリル基が好ましい。
A3群における極性基は、カルボキシ基、スルホ基、ホスフェート基、ヒドロキシ基、N(RN)2またはメルカプト基が好ましく、カルボキシ基、N(RN)2がより好ましい。
ここで、RNは水素原子、アルキル基、またはアリール基を表す。RNの好ましい範囲はA1群におけるRNと同義であり、好ましい範囲も同じである。
ここで、RNは水素原子、アルキル基、またはアリール基を表す。RNの好ましい範囲はA1群におけるRNと同義であり、好ましい範囲も同じである。
A3群における末端に極性基を有する基は、下記式(4)で表される基が好ましい。
式(4)中、L1は炭素数1〜6のアルキレン基または炭素数6〜10のアリーレン基を表し、L2は、途中へテロ原子で分断されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、または、炭素数6〜10のアリーレン基を表す。Xは−Si(RN)2−、−N(RN)−、−O−、−S−、−OC(=O)−、−C(=O)O−、−NHC(=O)O−または−OC(=O)NH−を表す。R13はカルボキシ基、スルホ基、ホスフェート基、ヒドロキシ基またはN(RN)2を表す。RNの好ましい範囲はA1群におけるRNと同義であり、好ましい範囲も同じである。
本発明では、8つのR11が、A1群から選択される基の少なくとも1つ、A2群から選択される基の少なくとも1つを有するものが好ましい。
本発明では、8つのR11が、A1群から選択される基の少なくとも1つ、A2群から選択される基の少なくとも1つ、およびA3群から選択される基の少なくとも1つをそれぞれ含むものがより好ましい。
本発明では、8つのR11が、A1群から選択される基の少なくとも1つ、A2群から選択される基の少なくとも1つ、およびA3群から選択される基の少なくとも1つをそれぞれ含むものがより好ましい。
ここで、1分子中に存在する全てのR11の個数を100としたとき、A1群、A2群およびA3群のR11の各個数が、A1群:A2群:A3群=0〜100:0〜100:0〜30が好ましく、50〜90:1〜50:0〜20がより好ましく、50〜80:10〜50:1〜20である場合がさらに好ましく、50〜70:30〜50:5〜10である場合が特に好ましい。
このような範囲は、イオン伝導性、耐湿性、および経時安定性を向上させる点で好ましく、本発明の効果を、効果的に奏する。
本発明で使用されるかご状シルセスキオキサン化合物は、シグマアルドリッチ社、Hybrid Plastics社から購入できるものを使用してもよい。また、Polymers,20,67−85(2008)、Journal of Inorganic and Organometallic Polymers,11(3),123−154(2001)、Journal of Organometallic Chemistry,542,141−183(1997)、Journal of Macromolecular Science A.Chemistry,44(7),659−664(2007)、Chem.Rev.,95,1409−1430(1995)、Journal of Inorganic and Organometallic Polymers,11(3),155−164(2001)、Dalton Transactions,36−39(2008)、Macromolecules,37(23), 8517−8522(2004)、Chem.Mater.,8,1250−1259(1996)などに記載された任意の方法で合成してもよい。
(A)少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物の具体的態様を、下記表1および表2に示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
なお、記載された基が化学構造式で示されているものは、結合手に波線をクロスさせて示した。
なお、記載された基が化学構造式で示されているものは、結合手に波線をクロスさせて示した。
表1および表2中、R1、R2、およびR3は、少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物のケイ素上の置換基〔式(1)、組成式(2)のRに相当〕を示す。表の最右列にR1、R2およびR3の1分子中の個数比を示す。例えば、例示化合物(A−1)では1分子中個数比(R1/R2/R3)を(R1/R2/R3)=6.0/6.0/0.0と示しているが、式(Q−1)で表されるシルセスキオキサンの12個のRのうち、6個が置換基R1であるフェニル基に置換され、残り6個が置換基R2であるビニル基に置換されていることを示す。なお、比が小数となっている化合物については、混合物が混在しており、混合物の平均の比を示したものである。ここで、置換基R1はA1群に相当し、置換基R2はA2群の重合性基に相当し、置換基R3はA3群の極性基に相当する。例示化合物(A−1)では、1分子中に存在する全てのRの個数を100として計算すると、A1群、A2群およびA3群のR11の各個数が、A1群:A2群:A3群=50:50:0となる。
式(1)で表される環状シロキサン化合物の具体的態様を以下に示す。
本発明における少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物は、固体電解質組成物中に、全固形分100質量部に対して、0.1〜20質量部含有するのが好ましく、0.5〜10質量部含有するのがより好ましく、1〜5質量部含有するのがさらに好ましい。
また、無機固体電解質100質量部に対して、0.01〜20質量部が好ましく、0.1〜15質量部がより好ましく、1〜10質量部がさらに好ましい。
また、無機固体電解質100質量部に対して、0.01〜20質量部が好ましく、0.1〜15質量部がより好ましく、1〜10質量部がさらに好ましい。
(電解質塩[支持電解質])
本発明の固体電解質組成物には電解質塩(支持電解質)を含有させてもよい。電解質塩としては(C)リチウム塩が好ましい。リチウム塩としては、通常この種の製品に用いられるリチウム塩が好ましく、特に制限はないが、例えば、下記の(L−1)、(L−2)、および(L−3)に挙げるものが好ましい。
本発明の固体電解質組成物には電解質塩(支持電解質)を含有させてもよい。電解質塩としては(C)リチウム塩が好ましい。リチウム塩としては、通常この種の製品に用いられるリチウム塩が好ましく、特に制限はないが、例えば、下記の(L−1)、(L−2)、および(L−3)に挙げるものが好ましい。
(L−1)無機リチウム塩
LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiSbF6等の無機フッ化物塩
LiClO4、LiBrO4、LiIO4等の過ハロゲン酸塩
LiAlCl4等の無機塩化物塩等
LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiSbF6等の無機フッ化物塩
LiClO4、LiBrO4、LiIO4等の過ハロゲン酸塩
LiAlCl4等の無機塩化物塩等
(L−2)含フッ素有機リチウム塩
LiCF3SO3等のパーフルオロアルカンスルホン酸塩
LiN(CF3SO2)2、LiN(CF3CF2SO2)2、LiN(FSO2)2、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)等のパーフルオロアルカンスルホニルイミド塩
LiC(CF3SO2)3等のパーフルオロアルカンスルホニルメチド塩
Li[PF5(CF2CF2CF3)]、Li[PF4(CF2CF2CF3)2]、Li[PF3(CF2CF2CF3)3]、Li[PF5(CF2CF2CF2CF3)]、Li[PF4(CF2CF2CF2CF3)2]、Li[PF3(CF2CF2CF2CF3)3]等のフルオロアルキルフッ化リン酸塩等
LiCF3SO3等のパーフルオロアルカンスルホン酸塩
LiN(CF3SO2)2、LiN(CF3CF2SO2)2、LiN(FSO2)2、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)等のパーフルオロアルカンスルホニルイミド塩
LiC(CF3SO2)3等のパーフルオロアルカンスルホニルメチド塩
Li[PF5(CF2CF2CF3)]、Li[PF4(CF2CF2CF3)2]、Li[PF3(CF2CF2CF3)3]、Li[PF5(CF2CF2CF2CF3)]、Li[PF4(CF2CF2CF2CF3)2]、Li[PF3(CF2CF2CF2CF3)3]等のフルオロアルキルフッ化リン酸塩等
(L−3)オキサラトボレート塩
リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムジフルオロオキサラトボレート等
リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムジフルオロオキサラトボレート等
これらのなかで、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiSbF6、LiClO4、Li(Rf1SO3)、LiN(Rf1SO2)2、LiN(FSO2)2およびLiN(Rf1SO2)(Rf2SO2)が好ましく、LiPF6、LiBF4、LiN(Rf1SO2)2、LiN(FSO2)2およびLiN(Rf1SO2)(Rf2SO2)などのリチウムイミド塩がさらに好ましい。ここで、Rf1、Rf2はそれぞれパーフルオロアルキル基を表す。
リチウム塩の含有量は、無機固体電解質100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、0.5質量部以上がより好ましい。上限としては、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
なお、電解液に用いる電解質塩は、1種を単独で使用しても、2種以上を任意に組み合わせてもよい。
なお、電解液に用いる電解質塩は、1種を単独で使用しても、2種以上を任意に組み合わせてもよい。
(分散媒体)
本発明に係る固体電解質組成物においては、上記の各成分を分散させる分散媒体を用いてもよい。全固体二次電池を作製する際、固体電解質組成物を均一に塗布して製膜する観点から、固体電解質組成物に分散媒体を加えてペースト状にすることが好ましい。全固体二次電池の固体電解質層を形成する際には、分散媒体は乾燥によって除去される。分散媒体としては、例えば、アルコール溶媒、エーテル溶媒(水酸基含有エーテル化合物を含む)、アミド溶媒、ケトン溶媒、芳香族溶媒、脂肪族溶媒(炭化水素溶媒またはハロゲン化炭化水素溶媒)、ニトリル溶媒などの水溶性有機溶媒が挙げられる。具体例としては、下記のものが挙げられる。
本発明に係る固体電解質組成物においては、上記の各成分を分散させる分散媒体を用いてもよい。全固体二次電池を作製する際、固体電解質組成物を均一に塗布して製膜する観点から、固体電解質組成物に分散媒体を加えてペースト状にすることが好ましい。全固体二次電池の固体電解質層を形成する際には、分散媒体は乾燥によって除去される。分散媒体としては、例えば、アルコール溶媒、エーテル溶媒(水酸基含有エーテル化合物を含む)、アミド溶媒、ケトン溶媒、芳香族溶媒、脂肪族溶媒(炭化水素溶媒またはハロゲン化炭化水素溶媒)、ニトリル溶媒などの水溶性有機溶媒が挙げられる。具体例としては、下記のものが挙げられる。
アルコール溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、1−プロピルアルコール、2−プロピルアルコール、2−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、ソルビトール、キシリトール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオールなどが挙げられる。
エーテル溶媒(水酸基含有エーテル化合物を含む)としては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、シクロヘキシルメチルエーテル、アニソール、テトラヒドロフラン、アルキレングリコールアルキルエーテル(エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等)などが挙げられる。
アミド溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、2−ピロリジノン、ε−カプロラクタム、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロパンアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミドなどが挙げられる。
ケトン溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどが挙げられる。
芳香族溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。
脂肪族溶媒としては、炭化水素溶媒では、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、オクタン、ペンタン、シクロペンタンなどが挙げられる。
また、ハロゲン化炭化水素溶媒では、クロロホルム、塩化メチレン、塩化エチレンなどが挙げられる。
また、ハロゲン化炭化水素溶媒では、クロロホルム、塩化メチレン、塩化エチレンなどが挙げられる。
芳香族のハロゲン化炭化水素溶媒としては、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどが挙げられる。
ニトリル溶媒としては、アセトニトリルが挙げられる。
本発明においては、エーテル溶媒、ケトン溶媒、芳香族溶媒、脂肪族溶媒を用いることが好ましく、なかでも炭化水素溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒がより好ましく、炭化水素溶媒が最も好ましい。分散媒体は常圧(1気圧)での沸点は、50℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましい。上限は220℃以下が好ましく、180℃以下がさらに好ましい。上記分散媒体は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において、固体電解質組成物における分散媒体の量は、固体電解質組成物の粘度と乾燥負荷とのバランスで任意の量とすることができる。一般的に、固体電解質組成物中、20〜99質量%が好ましい。
(D)架橋剤
本発明における少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物が重合性基を有する場合、架橋を促進させる目的で架橋剤を加えてもよい。架橋反応はラジカル重合反応、カチオン重合反応、エポキシ−カルボン酸付加反応、エンチオール反応、ジスルフィド結合形成反応などを使用することができる。このような架橋反応に用いることができる架橋剤は、例えば多価アクリレート、多価エポキシ、多価カルボン酸、多価チオール、硫黄もしくは硫黄化合物などが使用できる。
本発明における少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物が重合性基を有する場合、架橋を促進させる目的で架橋剤を加えてもよい。架橋反応はラジカル重合反応、カチオン重合反応、エポキシ−カルボン酸付加反応、エンチオール反応、ジスルフィド結合形成反応などを使用することができる。このような架橋反応に用いることができる架橋剤は、例えば多価アクリレート、多価エポキシ、多価カルボン酸、多価チオール、硫黄もしくは硫黄化合物などが使用できる。
本発明では、架橋剤は、他の機能を発現するもの(例えば、固体電解質活性)が本来の機能に加え、架橋作用するものであってもよく、例えば、無機固体電解質のLi/P/S系ガラスは、上記の硫黄化合物に分類される。
架橋剤の添加量は無機固体電解質100質量部に対して、0〜5質量部が好ましく、より好ましくは0〜1質量部である。本発明の少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物に対して、0〜50質量部が好ましく、より好ましくは0〜10質量部である。架橋反応は、正極活物質層、負極活物質層、または無機固体電解質層の組成物を塗布した後の乾燥段階で行ってもよいし、加熱プレス工程で行ってもよい。
架橋剤の添加量は無機固体電解質100質量部に対して、0〜5質量部が好ましく、より好ましくは0〜1質量部である。本発明の少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物に対して、0〜50質量部が好ましく、より好ましくは0〜10質量部である。架橋反応は、正極活物質層、負極活物質層、または無機固体電解質層の組成物を塗布した後の乾燥段階で行ってもよいし、加熱プレス工程で行ってもよい。
(E)架橋促進剤
本発明における少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物が重合性基を有する場合、架橋を促進させる目的で架橋促進剤を加えてもよい。ラジカル重合を促進させる目的で熱ラジカル重合開始剤、カチオン重合を促進させる目的で熱カチオン重合開始剤(例えばアゾ系ラジカル開始剤、過酸化物系ラジカル開始剤等)、エポキシ−カルボン酸付加反応を促進させる目的で、アミン化合物やアンモニウム塩等が挙げられる。
本発明における少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物が重合性基を有する場合、架橋を促進させる目的で架橋促進剤を加えてもよい。ラジカル重合を促進させる目的で熱ラジカル重合開始剤、カチオン重合を促進させる目的で熱カチオン重合開始剤(例えばアゾ系ラジカル開始剤、過酸化物系ラジカル開始剤等)、エポキシ−カルボン酸付加反応を促進させる目的で、アミン化合物やアンモニウム塩等が挙げられる。
(F)バインダー
固体電解質組成物には本発明における少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物に加えて、任意のバインダーを加えてもよい。バインダーは、正極もしくは負極活物質と固体電解質の結着性を高める。バインダーとしては例えば、フッ素系ポリマー(ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンジフルオリド、ポリビニリデンジフルオリドとペンタフルオロプロピレンの共重合物など)、炭化水素系ポリマー(スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、水添ブタジエンゴム、水添スチレンブタジエンゴム)、アクリル系ポリマー(ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチルとポリメタクリル酸の共重合物など)、ウレタン系ポリマー(ジフェニルメタンジイソシアネートとポリエチレングリコールの重縮合物など)、ポリイミド系ポリマー(4,4’−ビフタル酸無水物と3−アミノベンジルアミンの重縮合物など)などを用いることができる。
固体電解質組成物には本発明における少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物に加えて、任意のバインダーを加えてもよい。バインダーは、正極もしくは負極活物質と固体電解質の結着性を高める。バインダーとしては例えば、フッ素系ポリマー(ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンジフルオリド、ポリビニリデンジフルオリドとペンタフルオロプロピレンの共重合物など)、炭化水素系ポリマー(スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、水添ブタジエンゴム、水添スチレンブタジエンゴム)、アクリル系ポリマー(ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチルとポリメタクリル酸の共重合物など)、ウレタン系ポリマー(ジフェニルメタンジイソシアネートとポリエチレングリコールの重縮合物など)、ポリイミド系ポリマー(4,4’−ビフタル酸無水物と3−アミノベンジルアミンの重縮合物など)などを用いることができる。
(正極活物質)
次に、本発明の全固体二次電池の正極活物質層を形成するための固体電解質組成物(以下、正極用組成物とも称す。)に用いられる正極活物質について説明する。
正極活物質は、可逆的にリチウムイオンを挿入・放出できるものが好ましい。その材料は、特に制限はなく、遷移金属酸化物や、硫黄などのLiと複合化できる元素などでもよい。なかでも、遷移金属酸化物を用いることが好ましく、遷移金属元素としてCo、Ni、Fe、Mn、CuおよびVから選択される1種以上の元素を有することがより好ましい。
遷移金属酸化物の具体例としては、(MA)層状岩塩型構造を有する遷移金属酸化物、(MB)スピネル型構造を有する遷移金属酸化物、(MC)リチウム含有遷移金属リン酸化合物、(MD)リチウム含有遷移金属ハロゲン化リン酸化合物、(ME)リチウム含有遷移金属ケイ酸化合物等が挙げられる。
次に、本発明の全固体二次電池の正極活物質層を形成するための固体電解質組成物(以下、正極用組成物とも称す。)に用いられる正極活物質について説明する。
正極活物質は、可逆的にリチウムイオンを挿入・放出できるものが好ましい。その材料は、特に制限はなく、遷移金属酸化物や、硫黄などのLiと複合化できる元素などでもよい。なかでも、遷移金属酸化物を用いることが好ましく、遷移金属元素としてCo、Ni、Fe、Mn、CuおよびVから選択される1種以上の元素を有することがより好ましい。
遷移金属酸化物の具体例としては、(MA)層状岩塩型構造を有する遷移金属酸化物、(MB)スピネル型構造を有する遷移金属酸化物、(MC)リチウム含有遷移金属リン酸化合物、(MD)リチウム含有遷移金属ハロゲン化リン酸化合物、(ME)リチウム含有遷移金属ケイ酸化合物等が挙げられる。
(MA)層状岩塩型構造を有する遷移金属酸化物の具体例として、LiCoO2(コバルト酸リチウム[LCO])、LiNi2O2(ニッケル酸リチウム)LiNi0.85Co0.10Al0.05O2(ニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム[NCA])、LiNi0.33Co0.33Mn0.33O2(ニッケルマンガンコバルト酸リチウム[NMC])、LiNi0.5Mn0.5O2(マンガンニッケル酸リチウム)が挙げられる。
(MB)スピネル型構造を有する遷移金属酸化物の具体例として、LiCoMnO4、Li2FeMn3O8、Li2CuMn3O8、Li2CrMn3O8、Li2NiMn3O8が挙げられる。
(MC)リチウム含有遷移金属リン酸化合物としては、例えば、LiFePO4、Li3Fe2(PO4)3等のオリビン型リン酸鉄塩、LiFeP2O7等のピロリン酸鉄類、LiCoPO4等のリン酸コバルト類、Li3V2(PO4)3(リン酸バナジウムリチウム)等の単斜晶ナシコン型リン酸バナジウム塩が挙げられる。
(MD)リチウム含有遷移金属ハロゲン化リン酸化合物としては、例えば、Li2FePO4F等のフッ化リン酸鉄塩、Li2MnPO4F等のフッ化リン酸マンガン塩、Li2CoPO4F等のフッ化リン酸コバルト類が挙げられる。
(ME)リチウム含有遷移金属ケイ酸化合物としては、例えば、Li2FeSiO4、Li2MnSiO4、Li2CoSiO4等が挙げられる。
本発明の固体電解質組成物に使用することができる正極活物質の体積平均粒子径(球換算平均粒子径)は特に限定されない。なお、0.1μm〜50μmが好ましい。正極活物質を所定の粒子径にするには、通常の粉砕機や分級機を用いればよい。焼成法によって得られた正極活物質は、水、酸性水溶液、アルカリ性水溶液、有機溶剤にて洗浄した後使用してもよい。正極活物質の体積平均粒子径は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920(商品名、HORIBA社製)を用いて測定することができる。
正極活物質の濃度は特に限定されないが、正極用組成物中、全固形成分100質量部に対して、10〜90質量部が好ましく、20〜80質量部がより好ましい。
上記正極活物質は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(負極活物質)
次に、本発明の全固体二次電池の正極活物質層を形成するための固体電解質組成物(以下、負極用組成物とも称す。)に用いられる負極活物質について説明する。
負極活物質は、可逆的にリチウムイオンを挿入・放出できるものが好ましい。その材料は、特に制限はなく、炭素質材料、酸化錫や酸化ケイ素等の金属酸化物、金属複合酸化物、リチウム単体やリチウムアルミニウム合金等のリチウム合金、および、SnやSi、In等のリチウムと合金形成が可能な金属等が挙げられる。なかでも炭素質材料またはリチウム複合酸化物が信頼性の点から好ましく用いられる。また、金属複合酸化物としては、リチウムを吸蔵、放出可能であることが好ましい。その材料は、特には制限されないが、構成成分としてチタンまたはリチウム、もしくはこれらの両方を含有していることが、高電流密度充放電特性の観点で好ましい。
次に、本発明の全固体二次電池の正極活物質層を形成するための固体電解質組成物(以下、負極用組成物とも称す。)に用いられる負極活物質について説明する。
負極活物質は、可逆的にリチウムイオンを挿入・放出できるものが好ましい。その材料は、特に制限はなく、炭素質材料、酸化錫や酸化ケイ素等の金属酸化物、金属複合酸化物、リチウム単体やリチウムアルミニウム合金等のリチウム合金、および、SnやSi、In等のリチウムと合金形成が可能な金属等が挙げられる。なかでも炭素質材料またはリチウム複合酸化物が信頼性の点から好ましく用いられる。また、金属複合酸化物としては、リチウムを吸蔵、放出可能であることが好ましい。その材料は、特には制限されないが、構成成分としてチタンまたはリチウム、もしくはこれらの両方を含有していることが、高電流密度充放電特性の観点で好ましい。
負極活物質として用いられる炭素質材料とは、実質的に炭素からなる材料である。例えば、石油ピッチ、アセチレンブラック(AB)等のカーボンブラック、天然黒鉛、気相成長黒鉛等の人造黒鉛、およびPAN(ポリアクリロニトリル)系の樹脂やフルフリルアルコール樹脂等の各種の合成樹脂を焼成した炭素質材料を挙げることができる。さらに、PAN系炭素繊維、セルロース系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、脱水PVA(ポリビニルアルコール)系炭素繊維、リグニン炭素繊維、ガラス状炭素繊維、活性炭素繊維等の各種炭素繊維類、メソフェーズ微小球体、グラファイトウィスカー、平板状の黒鉛等を挙げることもできる。
これらの炭素質材料は、黒鉛化の程度により難黒鉛化炭素材料と黒鉛系炭素材料に分けることもできる。また炭素質材料は、特開昭62−22066号公報、特開平2−6856号公報、同3−45473号公報に記載される面間隔や密度、結晶子の大きさを有することが好ましい。炭素質材料は、単一の材料である必要はなく、特開平5−90844号公報に記載の天然黒鉛と人造黒鉛の混合物、特開平6−4516号公報に記載の被覆層を有する黒鉛等を用いることもできる。
負極活物質として適用される金属酸化物および金属複合酸化物としては、特に非晶質酸化物が好ましく、さらに金属元素と周期律表第16族の元素との反応生成物であるカルコゲナイトも好ましく用いられる。ここでいう非晶質とは、CuKα線を用いたX線回折法で、2θ値で20°〜40°の領域に頂点を有するブロードな散乱帯を有するものを意味し、結晶性の回折線を有してもよい。2θ値で40°以上70°以下に見られる結晶性の回折線の内で最も強い強度が、2θ値で20°以上40°以下に見られるブロードな散乱帯の頂点の回折線強度の100倍以下が好ましく、5倍以下がより好ましく、結晶性の回折線を有さないことが特に好ましい。
上記非晶質酸化物およびカルコゲナイドからなる化合物群のなかでも、半金属元素の非晶質酸化物およびカルコゲナイドがより好ましく、周期律表第13(IIIB)族〜15(VB)族の元素、Al、Ga、Si、Sn、Ge、Pb、Sb、Biの1種単独あるいはそれらの2種以上の組み合わせからなる酸化物およびカルコゲナイドが特に好ましい。好ましい非晶質酸化物およびカルコゲナイドの具体例としては、例えば、Ga2O3、SiO、GeO、SnO、SnO2、PbO、PbO2、Pb2O3、Pb2O4、Pb3O4、Sb2O3、Sb2O4、Sb2O5、Bi2O3、Bi2O4、SnSiO3、GeS、SnS、SnS2、PbS、PbS2、Sb2S3、Sb2S5、SnSiS3が好ましく挙げられる。また、これらは、酸化リチウムとの複合酸化物、例えば、Li2SnO2であってもよい。
負極活物質の体積平均粒子径は、0.1μm〜60μmが好ましい。所定の粒子径にするには、任意の粉砕機や分級機が用いられる。例えば、乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、衛星ボールミル、遊星ボールミル、旋回気流型ジェットミルや篩などが好適に用いられる。粉砕時には水、あるいはメタノール等の有機溶媒を共存させた湿式粉砕も必要に応じて行うことができる。所望の粒子径とするためには分級を行うことが好ましい。分級方法としては特に限定はなく、篩、風力分級機などを必要に応じて用いることができる。分級は乾式、湿式ともに用いることができる。負極活物質粒子の体積平均粒子径は、前述の正極活物質の体積平均粒子径の測定方法と同様の方法により測定することができる。
負極活物質はチタン原子を含有することも好ましい。より具体的にはLi4Ti5O12がリチウムイオンの吸蔵放出時の体積変動が小さいことから急速充放電特性に優れ、電極の劣化が抑制されリチウムイオン二次電池の寿命向上が可能となる点で好ましい。
また、下記式(N−M)で表される負極活物質を含んでいることも好ましい。
SixxMnm (1−xx) 式(N−M)
式(N−M)中、xxは0.01以上1未満の数を表し、モル分率を意味する。Mnmはカルコゲン元素、半金属元素、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素もしくは遷移金属元素のいずれか、またはこれらの組み合わせを表す。
Mnmは、好ましくは、O、S、Seなどのカルコゲン元素や、B、Geなどの半金属元素、Li、Naなどのアルカリ金属元素、Mg、Caなどのアルカリ土類金属元素、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cuなどの遷移金属元素から選択することができる。また、これらの元素を2つ以上の組合せたものであってもよい。
なかでも、カルコゲン元素や遷移金属元素が好ましく、遷移金属元素がより好ましい。遷移金属元素のなかでも、第一遷移金属元素が好ましく、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cuがより好ましく、Ti、Mn、Fe、Co、Niが特に好ましい。
なかでも、カルコゲン元素や遷移金属元素が好ましく、遷移金属元素がより好ましい。遷移金属元素のなかでも、第一遷移金属元素が好ましく、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cuがより好ましく、Ti、Mn、Fe、Co、Niが特に好ましい。
xxは0.1以上1未満が好ましく、0.1以上0.99以下がより好ましく、0.2以上0.98以下がさらに好ましく、0.3以上0.95以下が特に好ましい。
負極活物質の濃度は特に限定されないが、負極用組成物中、全固形成分100質量部に対して、10〜90質量部が好ましく、20〜80質量部がより好ましい。
上記負極活物質は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、上記の実施形態では、固体電解質組成物に正極活物質または負極活物質を含有させる例を考慮して説明したが、本発明はこれにより限定して解釈されるものではない。例えば、上記少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物を含まない組成物として正極活物質または負極活物質を含むペーストを調製してもよい。このとき、上記の無機固体電解質を含有させることが好ましい。このような、常用される正極材料ないし負極材料と組み合わせて、上記本発明の好ましい実施形態に係る固体電解質組成物を用い無機固体電解質層を形成してもよい。また、正極および負極の活物質層には、適宜必要に応じて導電助剤を含有させてもよい。一般的な電子伝導性材料として、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブなどの炭素繊維や金属粉、金属繊維、ポリフェニレン誘導体などを含ませることができる。
上記電子伝導性材料は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記電子伝導性材料は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の固体電解質組成物は、(B)無機固体電解質の粒子の表面が、(A)少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物によって被覆されている。このような固体電解質組成物は、本発明の固体電解質組成物の製造方法により製造することができる。
<固体電解質組成物の製造方法>
本発明の固体電解質組成物の製造方法は、(A)少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物、および、(B)周期律表第1族もしくは第2族に属する金属を含みかつイオン伝導性を有する無機固体電解質の粒子を、炭化水素系溶媒またはハロゲン化炭化水素系溶媒中で混合して混合物を得る工程、および、この混合物を乾燥させることにより、(B)無機固体電解質の粒子の表面に、(A)少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物を被覆する工程、を有する。
本発明の固体電解質組成物の製造方法は、(A)少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物、および、(B)周期律表第1族もしくは第2族に属する金属を含みかつイオン伝導性を有する無機固体電解質の粒子を、炭化水素系溶媒またはハロゲン化炭化水素系溶媒中で混合して混合物を得る工程、および、この混合物を乾燥させることにより、(B)無機固体電解質の粒子の表面に、(A)少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物を被覆する工程、を有する。
(A)少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物および(B)無機固体電解質の粒子を混合する工程は既知の混練機で行うことができる。混練機により十分混合、分散させ、固体電解質組成物とする。得られた固体電解質組成物(分散物)を乾燥させることにより、無機固体電解質の粒子の表面に、(A)少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物が被覆された状態となる。これにより無機固体電解質の粒子の表面を疎水化することができ、かつ、金属イオンのイオン伝導は良好なものとすることができる。
以下に、固体電解質組成物の製造方法を、全固体電池作製プロセスの一例を示すことで、より詳細に説明する。
(分散)
本発明の固体電解質組成物は、機械分散または粉砕処理を行ってもよい。固体電解質組成物中の無機固体電解質を粉砕する方法としては、例えば機械分散法が挙げられる。機械分散法としては、ボールミル、ビーズミル、プラネタリミキサ―、ブレードミキサ―、ロールミル、ニーダー、ディスクミル等が用いられる。
本発明の固体電解質組成物は、機械分散または粉砕処理を行ってもよい。固体電解質組成物中の無機固体電解質を粉砕する方法としては、例えば機械分散法が挙げられる。機械分散法としては、ボールミル、ビーズミル、プラネタリミキサ―、ブレードミキサ―、ロールミル、ニーダー、ディスクミル等が用いられる。
ボールミルによる分散の場合、ボールミルのボールの材質は、メノー、シンタードアルミナ、タングステンカーバイト、クローム鋼、ステンレンススチール、ジルコニア、プラスチックポリアミド、ナイロン、窒化珪素、テフロン(登録商標)等が挙げられる。ボールミルの分散中、使用するボールは同一のものを用いてもよいし、異なるボールを2種以上用いてもよい。また、分散の途中で、ボールを追加することや、形状・大きさ・材質の異なるボールに変更してもよい。容器に対する好ましいボールの量は特に指定されず、満充填してもよい。固体電解質組成物の分散物中には、機械分散による衝撃で発生するボールや装置由来のコンタミの量は特に指定されない。コンタミ量は10ppm以下に抑えることもできる。
機械分散または粉砕処理において、無機固体電解質は単一または2種以上を同時に分散することもできる。分散は1段階であっても2段階以上であってもよい。また、各段階の間で正極もしくは負極活物質、無機固体電解質、バインダー、分散剤、分散媒体、導電助剤、リチウム塩等の添加をすることもできる。分散を多段階で行う場合、各段階での分散に係る装置のパラメータ(分散時間、分散スピード、分散基材等)を変えることもできる。
分散方法は分散媒体を含有する湿式分散であっても、分散媒体を有さない乾式分散であってもよいが、本発明では、分散媒体として、炭化水素系溶媒またはハロゲン化炭化水素系溶媒を使用する湿式分散である。
分散方法は分散媒体を含有する湿式分散であっても、分散媒体を有さない乾式分散であってもよいが、本発明では、分散媒体として、炭化水素系溶媒またはハロゲン化炭化水素系溶媒を使用する湿式分散である。
一般に、分散媒体は分散中に無機固体電解質の一部を溶かすものであってもよい。この場合、溶解部は乾燥時に加熱することで元の無機固体電解質に再生することもできる。ままた、分散媒体が含水溶媒(水分100ppm以上)の場合においても、分散後に加熱乾燥または真空加熱乾燥して無機固体電解質を再生させることもできる。
分散時間は特に指定されないが一般的には10秒から10日である。分散温度も特に指定されないが一般的には−50℃から100℃の範囲である。
上記のように分散された無機固体電解質の体積平均粒子径は、特に制限されるものではないが、0.01μm以上が好ましく、0.05μm以上がより好ましく、0.1μm以上がさらに好ましい。上限としては、500μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましく、50μmがさらに好ましく、10μm以下が特に好ましく、5μm以下が最も好ましい。体積平均粒子径は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920(商品名、HORIBA社製)を用いて測定することができる。
無機固体電解質は分散工程の前後で元の形状を維持していてもよいし、形状が変化していてもよい。
無機固体電解質は分散工程の前後で元の形状を維持していてもよいし、形状が変化していてもよい。
本発明の固体電解質組成物の製造方法では、上記のようにして製造した固体電解質組成物(分散物)を乾燥させることにより、無機固体電解質の粒子の表面に、(A)少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物が被覆された状態とした固体電解質組成物が得られる。乾燥方法は、送風乾燥、加熱乾燥、真空乾燥などいずれの方法も用いることができる。
本発明の固体電解質分散物を使用して、電池用電極シート、固体電解質シートなどの電池用シート、さらには全固体二次電池を製造する場合、上記の本発明の固体電解質組成物の製造方法における乾燥は、直ちに乾燥させるのではなく、塗布後に、塗布膜を形成した後に乾燥させるのが好ましい。
以下に、本発明の固体電解質分散物を使用した全固体電池作製プロセスをさらに説明する。
(塗布)
塗布する固体電解質組成物は、上記で調製した固体電解質組成物の分散物をそのまま使用してもよいが、上記分散操作で用いた分散媒体またはこれとは異なる溶媒を追加したり、一度乾燥させた後、上記分散操作で用いた分散媒体とは異なる分散媒体で再分散させてもよい。
塗布に使用する固体電解質組成物は、分散過程の違いにより、粒子の分散度や体積平均粒子径の異なる2種類以上のスラリーを混合して調整してもよい。
塗布に使用する固体電解質組成物は、無機固体電解質と分散媒体のみを分散させた後、正極もしくは負極活物質を後添加してもよいし、正極もしくは負極活物質と無機固体電解質および分散媒体を一括で分散してもよい。ここで、バインダー等の添加剤を使用する場合、バインダー等の添加剤の添加は、無機固体電解質の分散前でもよいし、後でもよい。
塗布する固体電解質組成物は、上記で調製した固体電解質組成物の分散物をそのまま使用してもよいが、上記分散操作で用いた分散媒体またはこれとは異なる溶媒を追加したり、一度乾燥させた後、上記分散操作で用いた分散媒体とは異なる分散媒体で再分散させてもよい。
塗布に使用する固体電解質組成物は、分散過程の違いにより、粒子の分散度や体積平均粒子径の異なる2種類以上のスラリーを混合して調整してもよい。
塗布に使用する固体電解質組成物は、無機固体電解質と分散媒体のみを分散させた後、正極もしくは負極活物質を後添加してもよいし、正極もしくは負極活物質と無機固体電解質および分散媒体を一括で分散してもよい。ここで、バインダー等の添加剤を使用する場合、バインダー等の添加剤の添加は、無機固体電解質の分散前でもよいし、後でもよい。
塗布は湿式塗布および乾式塗布のいずれでもよい。ロッドバーコーティング(バーコート法)、リバースロールコーティング、ダイレクトロールコーティング、ブレードコーティング、ナイフコーティング、エクストルージョンコーティング、カーテンコーティング、グラビアコーティング、ディップコーティング、スクイーズコーティングなどを用いることができる。
塗布のスピードは無機固体電解質組成物の粘度によって変更することができる。
塗布膜は塗布の始まりから終わりまで均一な膜厚であることが望ましい。バーコート法を用いた塗布の場合、一般的には塗布の最初は厚く終わりになるに従って薄くなる、また中心部よりも周辺部に従って薄くなる傾向がある。これらを防ぐためにバーコートと塗布台のクリアランスが塗り始めよりも塗り終わりにしたがって大きくなるように設計することもできる。具体的には、塗布台にスリットが彫られており、塗布初期に比べ後期においてスリット溝が深くなるような設計が考えられる。ここで、スリット上に被塗布支持体を設置する。塗布バーは塗布台に対して水平を維持する。このようにすることで徐々にクリアランスを広くすることができる。また、塗膜が乾燥しきらないうちに振動を与え、塗膜の膜厚バラつきを均質化する方法もある。
塗布膜は塗布の始まりから終わりまで均一な膜厚であることが望ましい。バーコート法を用いた塗布の場合、一般的には塗布の最初は厚く終わりになるに従って薄くなる、また中心部よりも周辺部に従って薄くなる傾向がある。これらを防ぐためにバーコートと塗布台のクリアランスが塗り始めよりも塗り終わりにしたがって大きくなるように設計することもできる。具体的には、塗布台にスリットが彫られており、塗布初期に比べ後期においてスリット溝が深くなるような設計が考えられる。ここで、スリット上に被塗布支持体を設置する。塗布バーは塗布台に対して水平を維持する。このようにすることで徐々にクリアランスを広くすることができる。また、塗膜が乾燥しきらないうちに振動を与え、塗膜の膜厚バラつきを均質化する方法もある。
正極活物質層、無機固体電解層および負極活物質層を乾燥させながら段階的に塗布したり、複数の異なる層を湿式のまま重層塗布を行うこともできる。異なる層を塗布する場合には隣接する層とは異なる溶媒または分散媒体で塗布することもできる。
無機固体電解質層で使用する無機固体電解質は、前述の硫化物系無機固体電解質と酸化物系無機固体電解質、元素組成および結晶構造において、1種であっても2種以上であってもよい。また、電極層(正極もしくは負極活物質層)に接する部分と無機固体電解質層内部で異なる無機固体電解質を用いてもよい。
(乾燥)
塗布により作製した電池用電極シート、固体電解質シート、それらを組み合わせた2層以上のシートおよび電池シートは塗布溶媒または分散媒体を乾燥させる。乾燥方法は、送風乾燥、加熱乾燥、真空乾燥などいずれの方法も用いることができる。
塗布により作製した電池用電極シート、固体電解質シート、それらを組み合わせた2層以上のシートおよび電池シートは塗布溶媒または分散媒体を乾燥させる。乾燥方法は、送風乾燥、加熱乾燥、真空乾燥などいずれの方法も用いることができる。
(プレス)
塗布して電池用電極シートを形成または全固体二次電池を作製した後に加圧してもよい。加圧方法としては油圧シリンダープレス機等が挙げられる。加圧の圧力としては一般的には50MPa〜1500MPaの範囲である。加圧と同時に加熱を行ってもよい。加熱温度としては一般的には30℃〜300℃の範囲である。
また、無機固体電解質のガラス転移温度よりも高い温度でプレスすることもできる。一方、無機固体電解質とバインダーが共存する場合、バインダーのガラス転移温度よりも高い温度でプレスすることもできる。ただし、一般的にはバインダーの融点を越えない温度である。
加圧は塗布溶媒または分散媒体をあらかじめ乾燥させた状態で行ってもよいし、溶媒または分散媒体が残存している状態で行ってもよい。
塗布して電池用電極シートを形成または全固体二次電池を作製した後に加圧してもよい。加圧方法としては油圧シリンダープレス機等が挙げられる。加圧の圧力としては一般的には50MPa〜1500MPaの範囲である。加圧と同時に加熱を行ってもよい。加熱温度としては一般的には30℃〜300℃の範囲である。
また、無機固体電解質のガラス転移温度よりも高い温度でプレスすることもできる。一方、無機固体電解質とバインダーが共存する場合、バインダーのガラス転移温度よりも高い温度でプレスすることもできる。ただし、一般的にはバインダーの融点を越えない温度である。
加圧は塗布溶媒または分散媒体をあらかじめ乾燥させた状態で行ってもよいし、溶媒または分散媒体が残存している状態で行ってもよい。
加圧中の雰囲気としては大気下、乾燥空気下(露点−20℃以下)、不活性ガス中(たとえばアルゴン、ヘリウム、窒素など)などいずれでもよい。
プレス時間は短時間(例えば数時間以内)で高い圧力をかけてもよいし、長時間(1日以上)かけて中程度の圧力をかけてもよい。電池用電極シートまたは固体電解質シート以外、例えば全固体二次電池の場合には、中程度の圧力をかけ続けるために、全固体二次電池の拘束具(ネジ締め圧等)を用いることもできる。
プレス圧は塗布シート面に対して均一であっても異なる圧であってもよい。
プレス圧は被圧部の面積や膜厚に応じて変化させることができる。また同一部位を段階的に異なる圧力で変えることもできる。
プレス面は平滑であっても粗面化されていてもよい。
プレス時間は短時間(例えば数時間以内)で高い圧力をかけてもよいし、長時間(1日以上)かけて中程度の圧力をかけてもよい。電池用電極シートまたは固体電解質シート以外、例えば全固体二次電池の場合には、中程度の圧力をかけ続けるために、全固体二次電池の拘束具(ネジ締め圧等)を用いることもできる。
プレス圧は塗布シート面に対して均一であっても異なる圧であってもよい。
プレス圧は被圧部の面積や膜厚に応じて変化させることができる。また同一部位を段階的に異なる圧力で変えることもできる。
プレス面は平滑であっても粗面化されていてもよい。
(貼り合わせ)
異なる層を貼り合わせる際には双方の接する面が有機溶剤および有機物等により濡れていることも好ましい。電極間の貼り合わせにおいては、固体電解質層を両方の層もしくは片方の層に塗布し、それらが乾く前に貼り合わせてもよい。
貼り合わせ時の温度は、室温でもそれ以上の温度として無機固体電解質のガラス転移温度に近くてもよい。
異なる層を貼り合わせる際には双方の接する面が有機溶剤および有機物等により濡れていることも好ましい。電極間の貼り合わせにおいては、固体電解質層を両方の層もしくは片方の層に塗布し、それらが乾く前に貼り合わせてもよい。
貼り合わせ時の温度は、室温でもそれ以上の温度として無機固体電解質のガラス転移温度に近くてもよい。
(初期化)
プレス圧を高めた状態で初充放電を行い、その後、全固体二次電池の一般使用圧力になるまで圧力を開放する。
プレス圧を高めた状態で初充放電を行い、その後、全固体二次電池の一般使用圧力になるまで圧力を開放する。
<集電体(金属箔)>
正極および負極の集電体は、化学変化を起こさない電子伝導体を用いることが好ましい。正極の集電体は、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタンなどの他にアルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンまたは銀を処理させたものが好ましく、そのなかでも、アルミニウム、アルミニウム合金がより好ましい。負極の集電体は、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタンが好ましく、アルミニウム、銅、銅合金がより好ましい。
正極および負極の集電体は、化学変化を起こさない電子伝導体を用いることが好ましい。正極の集電体は、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタンなどの他にアルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンまたは銀を処理させたものが好ましく、そのなかでも、アルミニウム、アルミニウム合金がより好ましい。負極の集電体は、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタンが好ましく、アルミニウム、銅、銅合金がより好ましい。
上記集電体の形状は、通常フィルムシート状のものが使用されるが、ネット、パンチされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の成形体なども用いることができる。上記集電体の厚みは、特に限定されないが、1μm〜500μmが好ましい。また、集電体表面は、表面処理により凹凸を付けることも好ましい。
<電池用電極シートおよびその製造方法>
本発明の電池用電極シートは、集電体上に、本発明の固体電解質組成物が製膜されてなる。例えば、正極用の電極シートを一例にすると、集電体である金属箔上に、正極活物質を含む本発明の固体電解質組成物を市販のコーター等を使用して塗布することにより正極活物質層を形成する。塗膜を乾燥した後、例えばロールプレスによって圧力を印加することが望ましい。このようにして電池用電極シートを作製することができる。
さらに正極活物質層の上面に無機固体電解質層用組成物を塗布することにより膜形成された電極シートとしてもよいし、またさらに、無機固体電解質層の上に、負極用活物質を含む組成物を塗布し、乾燥した後、ロールプレスしてなる電池用電極用シートとしてもよい。
本発明の電池用電極シートは、集電体上に、本発明の固体電解質組成物が製膜されてなる。例えば、正極用の電極シートを一例にすると、集電体である金属箔上に、正極活物質を含む本発明の固体電解質組成物を市販のコーター等を使用して塗布することにより正極活物質層を形成する。塗膜を乾燥した後、例えばロールプレスによって圧力を印加することが望ましい。このようにして電池用電極シートを作製することができる。
さらに正極活物質層の上面に無機固体電解質層用組成物を塗布することにより膜形成された電極シートとしてもよいし、またさらに、無機固体電解質層の上に、負極用活物質を含む組成物を塗布し、乾燥した後、ロールプレスしてなる電池用電極用シートとしてもよい。
<全固体二次電池およびその製造方法>
本発明の電池用電極シートの製造方法を経由して全固体二次電池を製造してもよい。上記のようにして製造される正極用電極シート上に、さらに、負極材料となる組成物を塗布することにより負極活物質層を形成する。次に、この負極の活物質の膜の上に集電体(金属箔)を付与する。このようにして全固体二次電池を作製することができる。なお、上記の各組成物の塗布方法はコーター、アプリケーター等の任意の方法で行うことができる。このとき、正極活物質層をなす組成物、無機固体電解質層をなす組成物および負極活物質層をなす組成物のそれぞれの塗布の後に、加熱処理を施すことが好ましい。加熱温度は特に限定されないが、30℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましい。上限は、300℃以下が好ましく、250℃以下がより好ましい。これにより、全固体二次電池において、各層間の良好な結着性、および非加圧での良好なイオン伝導性を得ることができる。
本発明の電池用電極シートの製造方法を経由して全固体二次電池を製造してもよい。上記のようにして製造される正極用電極シート上に、さらに、負極材料となる組成物を塗布することにより負極活物質層を形成する。次に、この負極の活物質の膜の上に集電体(金属箔)を付与する。このようにして全固体二次電池を作製することができる。なお、上記の各組成物の塗布方法はコーター、アプリケーター等の任意の方法で行うことができる。このとき、正極活物質層をなす組成物、無機固体電解質層をなす組成物および負極活物質層をなす組成物のそれぞれの塗布の後に、加熱処理を施すことが好ましい。加熱温度は特に限定されないが、30℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましい。上限は、300℃以下が好ましく、250℃以下がより好ましい。これにより、全固体二次電池において、各層間の良好な結着性、および非加圧での良好なイオン伝導性を得ることができる。
<全固体二次電池の用途>
本発明に係る全固体二次電池は種々の用途に適用することができる。適用態様は特に限定されないが、例えば、電子機器に搭載する場合、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、コードレスフォン子機、ページャー、ハンディーターミナル、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、電気シェーバー、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、メモリーカードなどが挙げられる。その他民生用として、自動車、電動車両、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、ロードコンディショナー、時計、ストロボ、カメラ、医療機器(ペースメーカー、補聴器、肩もみ機など)などが挙げられる。さらに、各種軍需用、宇宙用として用いることができる。また、太陽電池と組み合わせることもできる。
本発明に係る全固体二次電池は種々の用途に適用することができる。適用態様は特に限定されないが、例えば、電子機器に搭載する場合、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、コードレスフォン子機、ページャー、ハンディーターミナル、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、電気シェーバー、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、メモリーカードなどが挙げられる。その他民生用として、自動車、電動車両、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、ロードコンディショナー、時計、ストロボ、カメラ、医療機器(ペースメーカー、補聴器、肩もみ機など)などが挙げられる。さらに、各種軍需用、宇宙用として用いることができる。また、太陽電池と組み合わせることもできる。
なかでも、高容量かつ高レート放電特性が要求されるアプリケーションに適用されることが好ましい。例えば、今後大容量化が予想される蓄電設備等においては高い信頼性が必須となりさらに電池性能の両立が要求される。また、電気自動車などは高容量の二次電池を搭載し、家庭で日々充電が行われる用途が想定され、過充電時に対して一層の信頼性が求められる。本発明によれば、このような使用形態に好適に対応してその優れた効果を発揮することができる。
全固体二次電池とは、正極、負極、電解質がともに固体で構成された二次電池を言う。換言すれば、電解質としてカーボネート系の溶媒を用いるような電解液型の二次電池とは区別される。このなかで、本発明は無機全固体二次電池を前提とする。全固体二次電池には、電解質としてポリエチレンオキサイド等の高分子化合物を用いる有機(高分子)全固体二次電池と、上記のLLTやLLZ等を用いる無機全固体二次電池とに区分される。なお、無機全固体二次電池に高分子化合物を適用することは妨げられず、正極活物質、負極活物質、無機固体電解質粒子のバインダーとして高分子化合物を適用することができる。
無機固体電解質とは、上述した高分子化合物をイオン伝導媒体とする電解質(高分子電解質)とは区別されるものであり、無機化合物がイオン伝導媒体となるものである。具体例としては、上記のLLTやLLZが挙げられる。無機固体電解質は、それ自体が陽イオン(Liイオン)を放出するものではなく、イオンの輸送機能を示すものである。これに対して、電解液ないし固体電解質層に添加して陽イオン(Liイオン)を放出するイオンの供給源となる材料を電解質と呼ぶことがあるが、上記のイオン輸送材料としての電解質と区別するときにはこれを「電解質塩」または「支持電解質」と呼ぶ。電解質塩としては例えばLiTFSIが挙げられる。
無機固体電解質とは、上述した高分子化合物をイオン伝導媒体とする電解質(高分子電解質)とは区別されるものであり、無機化合物がイオン伝導媒体となるものである。具体例としては、上記のLLTやLLZが挙げられる。無機固体電解質は、それ自体が陽イオン(Liイオン)を放出するものではなく、イオンの輸送機能を示すものである。これに対して、電解液ないし固体電解質層に添加して陽イオン(Liイオン)を放出するイオンの供給源となる材料を電解質と呼ぶことがあるが、上記のイオン輸送材料としての電解質と区別するときにはこれを「電解質塩」または「支持電解質」と呼ぶ。電解質塩としては例えばLiTFSIが挙げられる。
本発明において「組成物」というときには、2種以上の成分が均一に混合された混合物を意味する。ただし、実質的に均一性が維持されていればよく、所望の効果を奏する範囲で、一部において凝集や偏在が生じていてもよい。また、特に固体電解質組成物というときには、基本的に電解質層を形成するための材料となる組成物(典型的にはペースト状)を指し、この組成物を硬化して形成した電解質層はこれに含まれないものとする。
以下に、実施例に基づき本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明がこれにより限定して解釈されるものではない。以下の実施例において「部」および「%」というときには、特に断らない限り質量基準である。
実施例中、例示化合物(A−3)、(A−5)、(A−10)、(A−26)はHybridPlastics社からそれぞれ製品番号MS0840、FL0578、MA0702、EP0409の名称で購入した。また、例示化合物(A−52)〔ドデカフェニル置換ポリシルセスキオキサン(CAS:18923−59−6)〕はアルドリッチ社から製品番号544205の名称で購入した。
(合成例1)
・例示化合物(A−6)の合成
電子グレード濃塩酸2000g、n−ブタノール12L、イオン交換水4000gの混合溶液を10℃に冷却し、これにビニルトリエトキシシラン840gとメチルトリエトキシシラン786gの混合溶液を20分間かけて滴下した。その後さらに、25℃で18時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、電子グレードメタノール300mLで洗浄した。洗浄後、結晶をテトラヒドロフラン4000mLに溶解し、攪拌しながら電子グレードメタノール4000mL、続いてイオン交換水8000mLを滴下した。析出した結晶を濾取、乾燥して白色固体の例示化合物(A−6)105gを得た。1H−NMR測定(300MHz,CDCl3)の結果、6.08〜5.88および0.28〜0.18ppmに多重線が観測され、この積分比からメチル/ビニル比=3.9/4.1と算出された。得られたシルセスキオキサン化合物は、上記式(Q−6)で表されるかご状シルセスキオキサン化合物の混合物であった。
・例示化合物(A−6)の合成
電子グレード濃塩酸2000g、n−ブタノール12L、イオン交換水4000gの混合溶液を10℃に冷却し、これにビニルトリエトキシシラン840gとメチルトリエトキシシラン786gの混合溶液を20分間かけて滴下した。その後さらに、25℃で18時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、電子グレードメタノール300mLで洗浄した。洗浄後、結晶をテトラヒドロフラン4000mLに溶解し、攪拌しながら電子グレードメタノール4000mL、続いてイオン交換水8000mLを滴下した。析出した結晶を濾取、乾燥して白色固体の例示化合物(A−6)105gを得た。1H−NMR測定(300MHz,CDCl3)の結果、6.08〜5.88および0.28〜0.18ppmに多重線が観測され、この積分比からメチル/ビニル比=3.9/4.1と算出された。得られたシルセスキオキサン化合物は、上記式(Q−6)で表されるかご状シルセスキオキサン化合物の混合物であった。
(合成例2)
・例示化合物(A−12)の合成
電子グレード濃塩酸2200g、n−ブタノール12L、イオン交換水4500gの混合溶液を10℃に冷却し、これにビニルトリエトキシシラン840gとフェニルトリエトキシシラン950gの混合溶液を45分間かけて滴下した。その後さらに、25℃で12時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、電子グレードメタノール300mLで洗浄した。洗浄後、結晶をテトラヒドロフラン3500mLに溶解し、攪拌しながら電子グレードメタノール3500mL、続いてイオン交換水8000mLを滴下した。析出した結晶を濾取、乾燥して白色固体の例示化合物(A−12)121gを得た。1H−NMR測定(300MHz,CDCl3)の結果、6.08〜5.88および7.23〜6.88ppmに多重線が観測され、この積分比からフェニル/ビニル比=4.0/4.0と算出された。得られたシルセスキオキサン化合物は、上記式(Q−6)で表されるかご状シルセスキオキサン化合物の混合物であった。
・例示化合物(A−12)の合成
電子グレード濃塩酸2200g、n−ブタノール12L、イオン交換水4500gの混合溶液を10℃に冷却し、これにビニルトリエトキシシラン840gとフェニルトリエトキシシラン950gの混合溶液を45分間かけて滴下した。その後さらに、25℃で12時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、電子グレードメタノール300mLで洗浄した。洗浄後、結晶をテトラヒドロフラン3500mLに溶解し、攪拌しながら電子グレードメタノール3500mL、続いてイオン交換水8000mLを滴下した。析出した結晶を濾取、乾燥して白色固体の例示化合物(A−12)121gを得た。1H−NMR測定(300MHz,CDCl3)の結果、6.08〜5.88および7.23〜6.88ppmに多重線が観測され、この積分比からフェニル/ビニル比=4.0/4.0と算出された。得られたシルセスキオキサン化合物は、上記式(Q−6)で表されるかご状シルセスキオキサン化合物の混合物であった。
(合成例3)
・例示化合物(A−13)の合成
電子グレード濃塩酸530g、n−ブタノール3.5L、イオン交換水1000gの混合溶液を10℃に冷却し、これにビニルトリエトキシシラン50gと2−(トリフルオロメチル)エチルトリメトキシシラン62gの混合溶液を30分間かけて滴下した。その後さらに、50℃で6時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、イソプロパノール50mLで洗浄した。洗浄後、結晶をテトラヒドロフラン300mLに溶解し、攪拌しながらイソプロパノール300mL、続いてイオン交換水750mLを滴下した。析出した結晶を濾取、乾燥して白色固体の例示化合物(A−13)5.3gを得た。1H−NMR測定(300MHz,CDCl3)の結果、6.08〜5.88および1.90〜0.20ppmに多重線が観測され、この積分比からビニル/2−(トリフルオロメチル)エチル比=4.0/4.0と算出された。得られたシルセスキオキサン化合物は、上記式(Q−6)で表されるかご状シルセスキオキサン化合物の混合物であった。
・例示化合物(A−13)の合成
電子グレード濃塩酸530g、n−ブタノール3.5L、イオン交換水1000gの混合溶液を10℃に冷却し、これにビニルトリエトキシシラン50gと2−(トリフルオロメチル)エチルトリメトキシシラン62gの混合溶液を30分間かけて滴下した。その後さらに、50℃で6時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、イソプロパノール50mLで洗浄した。洗浄後、結晶をテトラヒドロフラン300mLに溶解し、攪拌しながらイソプロパノール300mL、続いてイオン交換水750mLを滴下した。析出した結晶を濾取、乾燥して白色固体の例示化合物(A−13)5.3gを得た。1H−NMR測定(300MHz,CDCl3)の結果、6.08〜5.88および1.90〜0.20ppmに多重線が観測され、この積分比からビニル/2−(トリフルオロメチル)エチル比=4.0/4.0と算出された。得られたシルセスキオキサン化合物は、上記式(Q−6)で表されるかご状シルセスキオキサン化合物の混合物であった。
(合成例4)
・例示化合物(A−15)の合成
合成例1で合成した例示化合物(A−6)3.5gと3−メルカプトプロピオン酸1.0gをテトラヒドロフラン100mLに溶解した。窒素気流下60℃に加温した後、ジ−t−ブチルペルオキシド0.05gを加えて1時間加熱攪拌した。得られた反応液をイソプロパノール300mLと水100mLの混合液で再沈した。これを濾取、乾燥して白色固体の例示化合物(A−15)2.3gを得た。1H−NMR測定(300MHz,CDCl3)の結果より、メチル/ビニル/2−(2−カルボキシエチルチオ)エチル比=3.9/3.0/1.1と算出された。得られたシルセスキオキサン化合物は、上記式(Q−6)で表されるかご状シルセスキオキサン化合物の混合物であった。
・例示化合物(A−15)の合成
合成例1で合成した例示化合物(A−6)3.5gと3−メルカプトプロピオン酸1.0gをテトラヒドロフラン100mLに溶解した。窒素気流下60℃に加温した後、ジ−t−ブチルペルオキシド0.05gを加えて1時間加熱攪拌した。得られた反応液をイソプロパノール300mLと水100mLの混合液で再沈した。これを濾取、乾燥して白色固体の例示化合物(A−15)2.3gを得た。1H−NMR測定(300MHz,CDCl3)の結果より、メチル/ビニル/2−(2−カルボキシエチルチオ)エチル比=3.9/3.0/1.1と算出された。得られたシルセスキオキサン化合物は、上記式(Q−6)で表されるかご状シルセスキオキサン化合物の混合物であった。
(合成例5)
・例示化合物(A−16)の合成
3−メルカプトプロピオン酸の代わりにN,N−ジメチル−N−メルカプトエチルアミン0.8gを用いたこと以外は合成例4と同様にして例示化合物(A−16)を合成した。1H−NMR測定(300MHz,CDCl3)の結果より、メチル/ビニル/2−(2−N,N−ジメチルエチルチオ)エチル比=3.9/2.7/1.4と算出された。得られたシルセスキオキサン化合物は、上記式(Q−6)で表されるかご状シルセスキオキサン化合物の混合物であった。
・例示化合物(A−16)の合成
3−メルカプトプロピオン酸の代わりにN,N−ジメチル−N−メルカプトエチルアミン0.8gを用いたこと以外は合成例4と同様にして例示化合物(A−16)を合成した。1H−NMR測定(300MHz,CDCl3)の結果より、メチル/ビニル/2−(2−N,N−ジメチルエチルチオ)エチル比=3.9/2.7/1.4と算出された。得られたシルセスキオキサン化合物は、上記式(Q−6)で表されるかご状シルセスキオキサン化合物の混合物であった。
(合成例6)
・例示化合物(A−35)の合成
合成例3で合成した例示化合物(A−13)1.3gとチオリンゴ酸0.32gをテトラヒドロフラン100mLに溶解した。窒素気流下60℃に加温した後、ジ−t−ブチルペルオキシド0.01gを加えて2時間加熱攪拌した。得られた反応液をアセトニトリル200mLと水60mLの混合液で再沈した。これを濾取、乾燥して白色固体の例示化合物(A−35)0.9gを得た。1H−NMR測定(300MHz,CDCl3)の結果より、2−(トリフルオロメチル)エチル/ビニル/2−(1,2−ジカルボキシエチルチオ)エチル比=4.0/3.0/1.0と算出された。得られたシルセスキオキサン化合物は、上記式(Q−6)で表されるかご状シルセスキオキサン化合物の混合物であった。
・例示化合物(A−35)の合成
合成例3で合成した例示化合物(A−13)1.3gとチオリンゴ酸0.32gをテトラヒドロフラン100mLに溶解した。窒素気流下60℃に加温した後、ジ−t−ブチルペルオキシド0.01gを加えて2時間加熱攪拌した。得られた反応液をアセトニトリル200mLと水60mLの混合液で再沈した。これを濾取、乾燥して白色固体の例示化合物(A−35)0.9gを得た。1H−NMR測定(300MHz,CDCl3)の結果より、2−(トリフルオロメチル)エチル/ビニル/2−(1,2−ジカルボキシエチルチオ)エチル比=4.0/3.0/1.0と算出された。得られたシルセスキオキサン化合物は、上記式(Q−6)で表されるかご状シルセスキオキサン化合物の混合物であった。
(合成例7)
・例示化合物(A−36)の合成
チオリンゴ酸の代わりにN,N−ジメチル−N−2−メルカプトエチルアミン0.21gを用いたこと以外は合成例6と同様にして例示化合物(A−36)を合成した。1H−NMR測定(300MHz,CDCl3)の結果より、2−(トリフルオロメチル)エチル/ビニル/2−(2−N,N−ジメチルアミノエチルチオ)エチル比=4.0/2.5/1.5と算出された。得られたシルセスキオキサン化合物は、上記式(Q−6)で表されるかご状シルセスキオキサン化合物の混合物であった。
・例示化合物(A−36)の合成
チオリンゴ酸の代わりにN,N−ジメチル−N−2−メルカプトエチルアミン0.21gを用いたこと以外は合成例6と同様にして例示化合物(A−36)を合成した。1H−NMR測定(300MHz,CDCl3)の結果より、2−(トリフルオロメチル)エチル/ビニル/2−(2−N,N−ジメチルアミノエチルチオ)エチル比=4.0/2.5/1.5と算出された。得られたシルセスキオキサン化合物は、上記式(Q−6)で表されるかご状シルセスキオキサン化合物の混合物であった。
(合成例8)
・例示化合物(A−58)の合成
2,4,6,8−テトラメチル−2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサン(東京化成工業(株)製)10.0gをクロロベンゼン200mLに溶解した。これに3−メルカプトプロピオン酸5.2gを加え、重合開始剤としてV−601(和光純薬工業(株)製)0.12gを加えて60℃で1時間加熱攪拌した。得られた反応液をエタノール200mLとイソプロパノール60mLの混合液で再沈した。これを濾取、乾燥して白色固体の例示化合物(A−58)4.9gを得た。1H−NMR測定(300MHz,CDCl3)の結果より、メチル/ビニル/2−(2−カルボキシエチルチオ)エチル比=4.0/2.0/2.0と算出された。得られた環状シロキサン化合物は、上記式(H−2)で表される単環のシロキサン化合物である。
・例示化合物(A−58)の合成
2,4,6,8−テトラメチル−2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサン(東京化成工業(株)製)10.0gをクロロベンゼン200mLに溶解した。これに3−メルカプトプロピオン酸5.2gを加え、重合開始剤としてV−601(和光純薬工業(株)製)0.12gを加えて60℃で1時間加熱攪拌した。得られた反応液をエタノール200mLとイソプロパノール60mLの混合液で再沈した。これを濾取、乾燥して白色固体の例示化合物(A−58)4.9gを得た。1H−NMR測定(300MHz,CDCl3)の結果より、メチル/ビニル/2−(2−カルボキシエチルチオ)エチル比=4.0/2.0/2.0と算出された。得られた環状シロキサン化合物は、上記式(H−2)で表される単環のシロキサン化合物である。
(硫化物系固体電解質:Li/P/S系ガラスの合成)
アルゴン雰囲気下(露点−70℃)のグローブボックス内で、硫化リチウム(Li2S、Aldrich社製、純度>99.98%)2.42g、五硫化二リン(P2S5、Aldrich社製、純度>99%)3.90gをそれぞれ秤量し、メノウ製乳鉢に投入した。Li2SおよびP2S5はモル比でLi2S:P2S5=75:25とした。この投入物を、メノウ製乳棒を用いて、5分間混合した。
その後、ジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径5mmのジルコニアビーズを66個投入し、上記の混合物を全量投入し、アルゴン雰囲気下で容器を完全に密閉した。フリッチュ社製遊星ボールミルP−7に容器をセットし、25℃で、回転数510rpmで20時間メカニカルミリングを行うことで黄色粉体の硫化物固体電解質(Li/P/Sガラス)6.20gを得た。体積平均粒子径は、1.3μmであった。体積平均粒子径の測定は、前述の(無機固体電解質)に記載した方法で行った。
アルゴン雰囲気下(露点−70℃)のグローブボックス内で、硫化リチウム(Li2S、Aldrich社製、純度>99.98%)2.42g、五硫化二リン(P2S5、Aldrich社製、純度>99%)3.90gをそれぞれ秤量し、メノウ製乳鉢に投入した。Li2SおよびP2S5はモル比でLi2S:P2S5=75:25とした。この投入物を、メノウ製乳棒を用いて、5分間混合した。
その後、ジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径5mmのジルコニアビーズを66個投入し、上記の混合物を全量投入し、アルゴン雰囲気下で容器を完全に密閉した。フリッチュ社製遊星ボールミルP−7に容器をセットし、25℃で、回転数510rpmで20時間メカニカルミリングを行うことで黄色粉体の硫化物固体電解質(Li/P/Sガラス)6.20gを得た。体積平均粒子径は、1.3μmであった。体積平均粒子径の測定は、前述の(無機固体電解質)に記載した方法で行った。
(固体電解質組成物の調製)
ジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径5mmのジルコニアビーズを180個投入し、無機固体電解質LLT((株)豊島製作所製)9.0g、例示化合物(A−3)の30%溶液2.7g(固形分0.8g)、LiTFSI(Aldrich社製)0.2gを加え、分散媒体として、ヘプタン15.0gを投入した後に、フリッチュ社製遊星ボールミルP−7に容器をセットし、回転数300rpmで2時間混合を続け、固体電解質組成物S−1を得た。
ジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径5mmのジルコニアビーズを180個投入し、無機固体電解質LLT((株)豊島製作所製)9.0g、例示化合物(A−3)の30%溶液2.7g(固形分0.8g)、LiTFSI(Aldrich社製)0.2gを加え、分散媒体として、ヘプタン15.0gを投入した後に、フリッチュ社製遊星ボールミルP−7に容器をセットし、回転数300rpmで2時間混合を続け、固体電解質組成物S−1を得た。
固体電解質組成物S−2〜S−16、T−1およびT−2も、下記表3に示す固体電解質、シロキサン結合を有する環状化合物もしくはシリコーン樹脂、リチウム塩および分散媒体に置き換え、かつ、下記表3に記載の含有量(表3では、組成物中の全固形分を100質量部としたときの質量部)に変更した以外は固体電解質組成物S−1と同様の方法で調製した。
<表3の注>
表中の「−」は未使用または0質量部を意味する。
LLT:Li0.33La0.55TiO3(体積平均粒子径3.25μm)
LLZ:Li7La3Zr2O12(体積平均粒子径5.06μm,(株)豊島製作所製)
Li/P/S:上記で合成したLi/P/S系ガラス(体積平均粒子径1.3μm)
LiTFSI〔LiN(CF3SO2)2〕
PDMS:ポリジメチルシリコーン(アルドリッチ社製 粘度1000cSt)
PDMS(末端メタクリル):メタクリル変性ポリジメチルシリコーン(信越シリコーン社製X−22−164E)
表中の「−」は未使用または0質量部を意味する。
LLT:Li0.33La0.55TiO3(体積平均粒子径3.25μm)
LLZ:Li7La3Zr2O12(体積平均粒子径5.06μm,(株)豊島製作所製)
Li/P/S:上記で合成したLi/P/S系ガラス(体積平均粒子径1.3μm)
LiTFSI〔LiN(CF3SO2)2〕
PDMS:ポリジメチルシリコーン(アルドリッチ社製 粘度1000cSt)
PDMS(末端メタクリル):メタクリル変性ポリジメチルシリコーン(信越シリコーン社製X−22−164E)
(二次電池正極用組成物の調製)
プラネタリーミキサー(TKハイビスミックス、PRIMIX社製)に、下記表4に記載の正極活物質100質量部、アセチレンブラック5質量部、上記で得られた下記表4に記載の固体電解質組成物75質量部、N−メチルピロリドン270質量部を加え、40rpmで1時間撹拌した。
プラネタリーミキサー(TKハイビスミックス、PRIMIX社製)に、下記表4に記載の正極活物質100質量部、アセチレンブラック5質量部、上記で得られた下記表4に記載の固体電解質組成物75質量部、N−メチルピロリドン270質量部を加え、40rpmで1時間撹拌した。
(二次電池負極用組成物の調製)
プラネタリーミキサー(TKハイビスミックス、PRIMIX社製)に、下記表4に記載の負極活物質100質量部、アセチレンブラック5質量部、上記で得られた下記表4に記載の固体電解質組成物75質量部、N−メチルピロリドン270質量部を加え、40rpmで1時間撹拌した。
プラネタリーミキサー(TKハイビスミックス、PRIMIX社製)に、下記表4に記載の負極活物質100質量部、アセチレンブラック5質量部、上記で得られた下記表4に記載の固体電解質組成物75質量部、N−メチルピロリドン270質量部を加え、40rpmで1時間撹拌した。
(二次電池用正極の作製)
上記で得られた二次電池正極用組成物を厚み20μmのアルミ箔上に、目的とするクリアランスを有するアプリケーターにより塗布し、80℃で1時間加熱し、さらに110℃で1時間加熱し、塗布溶媒を乾燥させた。その後、ヒートプレス機を用いて、目的とする密度になるように加熱および加圧し、二次電池用正極を得た。
上記で得られた二次電池正極用組成物を厚み20μmのアルミ箔上に、目的とするクリアランスを有するアプリケーターにより塗布し、80℃で1時間加熱し、さらに110℃で1時間加熱し、塗布溶媒を乾燥させた。その後、ヒートプレス機を用いて、目的とする密度になるように加熱および加圧し、二次電池用正極を得た。
(二次電池用電極シートの作製)
上記で得られた二次電池用正極上に、上記で得られた下記表4に記載の固体電解質組成物を、目的とするクリアランスを有するアプリケーターにより塗布し、80℃で1時間加熱し、さらに110℃で1時間加熱し、乾燥させた。その後、上記で得られた下記表4に記載の二次電池負極用組成物をさらに塗布し、80℃で1時間加熱し、さらに110℃で1時間加熱し、乾燥させた。負極層上に厚み20μmの銅箔を合わせ、ヒートプレス機を用いて、目的とする密度になるように加熱および加圧し、二次電池用電極シートを得た。
上記で得られた二次電池用正極上に、上記で得られた下記表4に記載の固体電解質組成物を、目的とするクリアランスを有するアプリケーターにより塗布し、80℃で1時間加熱し、さらに110℃で1時間加熱し、乾燥させた。その後、上記で得られた下記表4に記載の二次電池負極用組成物をさらに塗布し、80℃で1時間加熱し、さらに110℃で1時間加熱し、乾燥させた。負極層上に厚み20μmの銅箔を合わせ、ヒートプレス機を用いて、目的とする密度になるように加熱および加圧し、二次電池用電極シートを得た。
<耐湿性評価>
作製した直後の電極シートに対して、電極シートを25℃、相対湿度50%の恒温恒湿下で6時間経過した後のイオン伝導度の変化を示す。
A:耐湿試験後にイオン伝導度の減少がみられない
B:耐湿試験後にイオン伝導度が100%未満、80%以上を維持
C:耐湿試験後にイオン伝導度が80%未満、60%以上を維持
D:耐湿試験後にイオン伝導度が60%未満、20%以上を維持
E:耐湿試験後にイオン伝導度が20%未満
作製した直後の電極シートに対して、電極シートを25℃、相対湿度50%の恒温恒湿下で6時間経過した後のイオン伝導度の変化を示す。
A:耐湿試験後にイオン伝導度の減少がみられない
B:耐湿試験後にイオン伝導度が100%未満、80%以上を維持
C:耐湿試験後にイオン伝導度が80%未満、60%以上を維持
D:耐湿試験後にイオン伝導度が60%未満、20%以上を維持
E:耐湿試験後にイオン伝導度が20%未満
<経時安定性評価>
作製した直後の電極シートに対して、電極シートを25℃露点−40℃の恒温恒湿下で2週間経過した後のイオン伝導度の変化を示す。
A:経時安定試験後にイオン伝導度の減少がみられない
B:経時安定試験後にイオン伝導度が100%未満、80%以上を維持
C:経時安定試験後にイオン伝導度が80%未満、60%以上を維持
D:経時安定試験後にイオン伝導度が60%未満、20%以上を維持
E:経時安定試験後にイオン伝導度が20%未満
作製した直後の電極シートに対して、電極シートを25℃露点−40℃の恒温恒湿下で2週間経過した後のイオン伝導度の変化を示す。
A:経時安定試験後にイオン伝導度の減少がみられない
B:経時安定試験後にイオン伝導度が100%未満、80%以上を維持
C:経時安定試験後にイオン伝導度が80%未満、60%以上を維持
D:経時安定試験後にイオン伝導度が60%未満、20%以上を維持
E:経時安定試験後にイオン伝導度が20%未満
<イオン伝導度の測定>
上記で得られた電極シートを直径14.5mmの円板状に切り出し、スペーサーとワッシャーを組み込んだステンレス製の2032型コインケースに入れてコイン電池を作製した。コイン電池の外部より、電極間に圧力をかけることができる治具に挟み、各種電気化学的測定に用いた。得られたコイン電池を用いて、30℃の恒温槽中、交流インピーダンス法によりイオン伝導度を求めた。
コイン電池の加圧に用いた試験装置を図2に示す。切り出した電池シート15をコインケース14に収容してコイン電池13を作製した。次に、コイン電池13を上部支持板11および下部支持板12の間に配置し、ネジSによって、コイン電池13を加圧した。電極間の圧力は500kgf/cm2とした。
上記で得られた電極シートを直径14.5mmの円板状に切り出し、スペーサーとワッシャーを組み込んだステンレス製の2032型コインケースに入れてコイン電池を作製した。コイン電池の外部より、電極間に圧力をかけることができる治具に挟み、各種電気化学的測定に用いた。得られたコイン電池を用いて、30℃の恒温槽中、交流インピーダンス法によりイオン伝導度を求めた。
コイン電池の加圧に用いた試験装置を図2に示す。切り出した電池シート15をコインケース14に収容してコイン電池13を作製した。次に、コイン電池13を上部支持板11および下部支持板12の間に配置し、ネジSによって、コイン電池13を加圧した。電極間の圧力は500kgf/cm2とした。
固体電解質シートの耐湿性、経時安定性ならびにイオン伝導度の測定結果を表4に示す。表4において、セル構成において活物質の記載のないもの(「−」符号のもの)は、上記二次電池用電極シートにおいて、負極活物質層および正極活物質層を省略した電極シートを用いたことを意味する。
また、表4では、正極活物質層を正極、固体電解質層を電解質、負極活物質層を負極とそれぞれ簡略化して示す。
また、表4では、正極活物質層を正極、固体電解質層を電解質、負極活物質層を負極とそれぞれ簡略化して示す。
<表4の注>
試験No.:cで始まるものが比較例
LMO:LiMn2O4 マンガン酸リチウム
LTO:Li4Ti5O12 チタン酸リチウム
(商品名「エナマイトLT−106」、石原産業(株)製)
NMC:Li(Ni1/3Mn1/3Co1/3)O2
ニッケル、マンガン、コバルト酸リチウム
黒鉛:日本黒鉛工業(株)製の球状化黒鉛粉末
試験No.:cで始まるものが比較例
LMO:LiMn2O4 マンガン酸リチウム
LTO:Li4Ti5O12 チタン酸リチウム
(商品名「エナマイトLT−106」、石原産業(株)製)
NMC:Li(Ni1/3Mn1/3Co1/3)O2
ニッケル、マンガン、コバルト酸リチウム
黒鉛:日本黒鉛工業(株)製の球状化黒鉛粉末
上記表4からわかるように、本発明におけるシロキサン結合を有する環状化合物を無機固体電解質に用いた試験No.101〜122では、耐湿性および経時安定性のいずれにおいても「C」以上の評価であり、また、いずれも0.09mS/cm以上のイオン伝導度を得ることができた。シリコーン樹脂を用いた試験No.c11、c12の場合に比べ、優れた特性を得ることができた。
特に、側鎖にフッ素原子を有する基を有する試験No.105、112、116、117では、耐湿性が全て「A」であった。側鎖に、重合性基のビニル基を有する試験No.106、107、110、111、112、113、114、116、117、119および重合性基のエポキシ基を有する試験No.115、121では、経時安定性が全て「B」以上であり、側鎖にビニル基やエポキシ基を有しない試験No.105より経時安定性が優れていた。さらに側鎖の末端に、カルボキシ基、N(RN)2等の極性基を有する試験No.113、114、116、117では、経時安定性が全て「A」であった。この4つの試験材のうち、フッ素原子を有する基、ビニル基、およびカルボキシ基あるいはN(CH3)2の全てを有する試験No.116、117は耐湿性および経時安定性のいずれにおいても「A」であり、高いイオン伝導度を得ることができた。
特に、側鎖にフッ素原子を有する基を有する試験No.105、112、116、117では、耐湿性が全て「A」であった。側鎖に、重合性基のビニル基を有する試験No.106、107、110、111、112、113、114、116、117、119および重合性基のエポキシ基を有する試験No.115、121では、経時安定性が全て「B」以上であり、側鎖にビニル基やエポキシ基を有しない試験No.105より経時安定性が優れていた。さらに側鎖の末端に、カルボキシ基、N(RN)2等の極性基を有する試験No.113、114、116、117では、経時安定性が全て「A」であった。この4つの試験材のうち、フッ素原子を有する基、ビニル基、およびカルボキシ基あるいはN(CH3)2の全てを有する試験No.116、117は耐湿性および経時安定性のいずれにおいても「A」であり、高いイオン伝導度を得ることができた。
また、固体電解質層と、正極活性物質層および負極活性物質層に異なったシロキサン結合を有する環状化合物を使用した実験No.120においても、正極活性物質層および負極活性物質層では、側鎖の末端に、重合性基のビニル基と、極性基のカルボキシ基を有し、固体電解質層では、重合性基のエポキシ基を有するため、耐湿性は「B」で、経時安定性は「A」であった。
さらに、試験No.101〜118と119〜122の比較、特に試験No.106と119の比較から、無機固体電解質が、硫化物系固体電解質の方が、酸化物系固体電解質より経時安定性およびイオン電導度に優れていることがわかる。
1 負極集電体
2 負極活物質層
3 無機固体電解質層
4 正極活物質層
5 正極集電体
6 作動部位
10 全固体二次電池
11 上部支持板
12 下部支持板
13 コイン電池
14 コインケース
15 電池シート
S ネジ
2 負極活物質層
3 無機固体電解質層
4 正極活物質層
5 正極集電体
6 作動部位
10 全固体二次電池
11 上部支持板
12 下部支持板
13 コイン電池
14 コインケース
15 電池シート
S ネジ
Claims (27)
- 正極活物質層、無機固体電解質層および負極活物質層をこの順に有する全固体二次電池であって、該正極活物質層、該無機固体電解質層および該負極活物質層の少なくとも1層が、少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物、および、周期律表第1族もしくは第2族に属する金属を含みかつイオン伝導性を有する無機固体電解質をそれぞれ含有する全固体二次電池。
- 前記Rの少なくとも1つの1価の有機基が、フッ素原子を含む基、極性基を含む基、重合性基または重合性基を含む基である請求項2または3に記載の全固体二次電池。
- 前記Rの少なくとも1つの1価の有機基が、フッ素原子を含む基、基の末端に極性基を有する基、ビニル基、アリル基、または、基の末端に重合性基を有する基である請求項2〜4のいずれか1項に記載の全固体二次電池。
- 前記Rの少なくとも1つの1価の有機基が、極性基を含む基である請求項2〜5のいずれか1項に記載の全固体二次電池。
- 前記Rの1価の有機基が、フッ素原子、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルアミノ基、シリル基、アルキル基、アリール基、極性基または重合性基が置換していてもよい、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基またはヘテロアリール基である請求項2〜6のいずれか1項に記載の全固体二次電池。
- 前記極性基または重合性基が、下記A群から選択される基である請求項4〜7のいずれか1項に記載の全固体二次電池。
〔A群〕
(極性基)
カルボキシ基、スルホ基、ホスフェート基、ヒドロキシ基、CON(RN)2、シアノ基、N(RN)2、メルカプト基
ここで、RNは水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。
(重合性基)
エポキシ基、オキセタニル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、アリル基 - 8つのR11が、前記A1群から選択される基の少なくとも1つ、前記A2群から選択される基の少なくとも1つ、および前記A3群から選択される基の少なくとも1つをそれぞれ含む請求項9に記載の全固体二次電池。
- 前記A1群における基が、下記式(3)で表される請求項9または10に記載の全固体二次電池。
- 前記A2群における重合性基が、ビニル基、アリル基、エポキシ基、オキセタニル基、メタクリロイル基、アクリロイル基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリルアミド基、アクリルアミド基またはスチリル基のいずれかである請求項9〜11のいずれか1項に記載の全固体二次電池。
- 前記A3群における極性基が、カルボキシ基、スルホ基、ホスフェート基、ヒドロキシ基、N(RN)2またはメルカプト基のいずれかであり、RNが水素原子、アルキル基、またはアリール基である請求項9〜12のいずれか1項に記載の全固体二次電池。
- 前記A3群における末端に極性基を有する基が、下記式(4)で表される請求項9〜13のいずれか1項に記載の全固体二次電池。
- 前記式(Q−9)で表されるかご状シルセスキオキサン化合物において、1分子中に存在する全てのR11の個数を100としたとき、A1群、A2群およびA3群のR11の各個数が、A1群:A2群:A3群=50〜90:1〜50:0〜20である請求項9〜14のいずれか1項に記載の全固体二次電池。
- 前記少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物の含有量が、前記無機固体電解質100質量部に対して0.01質量部以上20質量部以下である請求項1〜15のいずれか1項に記載の全固体二次電池。
- 前記正極活物質層、前記負極活物質層および前記無機固体電解質層の少なくとも1つの層が、さらにリチウム塩を含有する請求項1〜16のいずれか1項に記載の全固体二次電池。
- 前記無機固体電解質が、酸化物系無機固体電解質である請求項1〜17のいずれか1項に記載の全固体二次電池。
- 前記無機固体電解質が、硫化物系無機固体電解質である請求項1〜17のいずれか1項に記載の全固体二次電池。
- 少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物、および、周期律表第1族もしくは第2族に属する金属を含みかつイオン伝導性を有する無機固体電解質をそれぞれ含有する固体電解質組成物。
- さらに架橋剤を含有する請求項20に記載の固体電解質組成物。
- さらに、架橋促進剤として、熱ラジカル重合開始剤または熱カチオン重合開始剤を含有する請求項20または21に記載の固体電解質組成物。
- 前記無機固体電解質の粒子の表面が、前記少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物によって被覆されてなる請求項20〜22のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
- 少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物、および、周期律表第1族もしくは第2族に属する金属を含みかつイオン伝導性を有する無機固体電解質の粒子を、炭化水素溶媒またはハロゲン化炭化水素溶媒中で混合して混合物を得る工程、および、
前記混合物を乾燥させることにより、前記無機固体電解質の粒子の表面に、前記少なくとも1種のシロキサン結合を有する環状化合物を被覆する工程、
を有する固体電解質組成物の製造方法。 - 請求項20〜24のいずれか1項に記載の固体電解質組成物が、集電体上に製膜されてなる電池用電極シート。
- 請求項20〜24のいずれか1項に記載の固体電解質組成物を、集電体上に製膜する電池用電極シートの製造方法。
- 請求項26に記載の電池用電極シートの製造方法を経由して全固体二次電池を製造する全固体二次電池の製造方法。
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