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JP2016033187A - 水性樹脂組成物 - Google Patents

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JP2016033187A
JP2016033187A JP2014156268A JP2014156268A JP2016033187A JP 2016033187 A JP2016033187 A JP 2016033187A JP 2014156268 A JP2014156268 A JP 2014156268A JP 2014156268 A JP2014156268 A JP 2014156268A JP 2016033187 A JP2016033187 A JP 2016033187A
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JP
Japan
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group
mass
acid
meth
acrylate
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JP2014156268A
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English (en)
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正浩 梶川
Masahiro Kajikawa
正浩 梶川
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DIC Corp
Original Assignee
DIC Corp
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Publication date
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Abstract

【課題】セルロースナノファイバーを高濃度で含有し、良好な流動性を有し、かつ貯蔵安定性に優れたセルロースナノファイバーの水分散体である水性樹脂組成物を提供する。【解決手段】ポリエステル系樹脂中でセルロースを微細化して得られたセルロースナノファイバー含有のマスターバッチ(A)、ポリオキシアルキレン鎖、アミド基、水酸基及びアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基を有する共重合樹脂(B)、及び水(C)を含有することを特徴とする水性樹脂組成物を用いる。【選択図】なし

Description

本発明は、セルロースナノファイバーを高濃度で含有し、良好な流動性を有し、かつ貯蔵安定性に優れた水性樹脂組成物に関するものである。
近年開発されたセルロースナノファイバーは、植物由来の天然原料ナノフィラーであり、低比重かつ高強度な樹脂用複合材料として注目されている。また、ポリエステル系樹脂中でセルロースを微細化して得られたセルロースナノファイバーを高濃度で含有するマスターバッチが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
ここで、セルロースナノファイバーを水系の組成物に応用する際には、水中にセルロースナノファイバーを分散したものを調製する必要があるが、セルロースが水酸基を多く有するため、粘度が極端に高くなったり、セルロースナノファイバーが凝集したりして、セルロースナノファイバーが均一に分散し、流動性を有するセルロースナノファイバーの水分散体を得ることが困難であった。また、流動性を有するセルロースナノファイバー分散体を得るため、大量の水を用いることで粘度低下は図れるが、高濃度に含有するセルロースナノファイバーの水分散体は得られないという問題もあった。
そこで、セルロースナノファイバーを高濃度で含有し、良好な流動性を有し、かつ貯蔵安定性に優れたセルロースナノファイバーの水分散体である水性樹脂組成物が求められていた。
特許第5273313号公報
本発明が解決しようとする課題は、セルロースナノファイバーを高濃度で含有し、良好な流動性を有し、かつ貯蔵安定性に優れたセルロースナノファイバーの水分散体である水性樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、ポリエステル系樹脂中でセルロースを微細化して得られたセルロースナノファイバー含有のマスターバッチを、ポリオキシアルキレン鎖、アミド基、水酸基又はアミノ基を有する共重合樹脂を用いて水中に分散することで、セルロースナノファイバーを高濃度で含有し、良好な流動性を有し、かつ貯蔵安定性に優れたセルロースナノファイバーの水分散体である水性樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、ポリエステル系樹脂中でセルロースを微細化して得られたセルロースナノファイバー含有のマスターバッチ(A)、ポリオキシアルキレン鎖、アミド基、水酸基及びアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基を有する共重合樹脂(B)、及び水(C)を含有することを特徴とする水性樹脂組成物に関する。
本発明の水性樹脂組成物は、セルロースナノファイバーを高濃度で含有し、良好な流動性を有し、かつ優れた貯蔵安定性を有するため、各種用途に好適に用いることができる。例えば、コンクリートの混和剤等の建築材料用添加剤、自動車部品、航空機部品、電子・電気部品、建築材料、容器・包装部材、生活用品、スポーツ・レジャー用品などが挙げられる。
本発明の水性樹脂組成物は、ポリエステル系樹脂中でセルロースを微細化して得られたセルロースナノファイバー含有のマスターバッチ(A)、ポリオキシアルキレン鎖、アミド基、水酸基及びアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基を有する共重合樹脂(B)、及び水(C)を含有するものである。
前記マスターバッチ(A)は、セルロースナノファイバーを高濃度に含有するものである。前記セルロースナノファイバーの原料となるセルロースとしては、例えば、パルプ、綿、紙、レーヨン・キュプラ・ポリノジック・アセテート等の再生セルロース繊維、バクテリア産生セルロース、ホヤ等の動物由来セルロースなどが挙げられる。また、これらのセルロースは、必要に応じて表面を化学修飾処理したものであってもよい。
パルプとしては、木材パルプであっても、非木材パルプであってもよい。木材パルプとしては、機械パルプと化学パルプとがあり、これらの中でもリグニン含有量の少ない化学パルプが好ましい。また、化学パルプとしては、例えば、サルファイドパルプ、クラフトパルプ、アルカリパルプ等が挙げられる。非木材パルプとしては、例えば、藁、バガス、ケナフ、竹、葦、楮、亜麻等を原料としたものが挙げられる。
綿は、主に衣料用繊維に用いられる植物であり、綿花、綿繊維、綿布のいずれも用いることができる。
紙はパルプから繊維を取り出し漉いたもので、新聞紙、廃牛乳パック、コピー済み用紙等の古紙を用いることができる。
また、前記セルロースとして、セルロースを破砕し一定の粒径分布を有したセルロース粉末を用いてもよい。このセルロース粉末としては、例えば、日本製紙株式会社製「KCフロック」、旭化成ケミカルズ株式会社製「セオラス」、FMCバイオポリマー社製「アビセル」等の市販品が挙げられる。
前記ポリエステル系樹脂としては、下記一般式(1)で表される1種以上のポリオールと、下記一般式(2)で表される1種以上のポリカルボン酸とを反応させて得られたポリエステルが挙げられる。
A−(OH)m・・・(1)
[式中、Aは酸素原子を含んでいても良い炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族基又はヘテロ環芳香族基を表す。また、mは2〜4の整数を表す。]
B−(COOH)n・・・(2)
[式中、Bは炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族基又はヘテロ環芳香族基を表す。また、nは2〜4の整数を表す。]
前記一般式(1)で表されるポリオールの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンチルグリコール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、2−エチル−1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ヘプタンジオール、水素化ビスフェノ−ルA、ビスフェノールAとプロピレンオキシド又はエチレンオキシドの付加物、1,2,3,4−テトラヒドロキシブタン、グリセリン、トリメチロ−ルプロパン、1,3−プロパンジオール、1,2−シクロヘキサングリコール、1,3−シクロヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、パラキシレングリコール、ビシクロヘキシル−4,4’−ジオール、2,6−デカリングリコール、2,7−デカリングリコール、エチレングリコールカーボネ−ト、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。これらのポリオールは、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
一般式(2)で表されるポリカルボン酸の具体例としては、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ハロゲン化マレイン酸、ハロゲン化無水マレイン酸等、アコニット酸等の不飽和二塩基酸及びその無水物;フタル酸、無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ニトロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸及びこれらのエステル等があり、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、ヘット酸、1,1−シクロブタンジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、コハク酸無水物、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン二酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等の飽和二塩基酸及びその無水物などが挙げられる。また、これらの二塩基酸のエステル化物も挙げられる。これらのポリカルボン酸は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
また、上記のポリオールとポリカルボン酸に加えて、モノアルコール、モノカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸を用いてもよい。
前記モノアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、2−ブタノール、3−ブタノール、n−アミルアルコール、n−ヘキサノール、イソヘキサノール、n−ヘプタノール、イソヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、イソオクタノール、n−ノナノール、イソノナノール、n−デカノール、イソデカノール、イソウンデカノール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、トリデシルアルコール、ベンジルアルコールステアリルアルコール等が挙げられる。これらのモノアルコールは、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
前記モノカルボン酸としては、安息香酸、ヘプタン酸、ノナン酸、カプリル酸、ノナン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリル酸等が挙げられる。これらのモノカルボン酸は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
前記ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、p―ヒドロキシ安息香酸等が挙げられる。これらのヒドロキシカルボン酸は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
また、前記ポリエステル系樹脂としては、ポリエステルを変性して得られる変性ポリエステル樹脂を用いてもよい。変性ポリエステル樹脂としては、ウレタン変性ポリエステル、アクリル変性ポリエステル、エポキシ変性ポリエステル、シリコーン変性ポリエステル等が挙げられる。
また、前記ポリエステル系樹脂としては、直鎖状でもよく、多分岐状ポリエステルでもよい。
前記ポリエステル系樹脂のエステル基濃度は、6mmol/g以上が好ましく、6〜14mmol/gの範囲がより好ましく、6〜20mmol/gの範囲がさらに好ましく、6〜30mmol/gの範囲が特に好ましい。
前記ポリエステル系樹脂の酸価は、10以上が好ましく、10〜300の範囲がより好ましく、10〜200の範囲がさらに好ましく、10〜100の範囲が特に好ましい。
6mmol/g以上のエステル基濃度であり、かつ酸価が10以上であると好ましい。
前記ポリエステル系樹脂の水酸基価は、10以上が好ましく、10〜1000の範囲がより好ましく、10〜800の範囲がさらに好ましく、10〜500の範囲が特に好ましい。
また、前記ポリエステル系樹脂のエステル基濃度、酸価及び水酸基価は、上記の範囲が好ましいが、エステル基濃度が6mmol/g以上であり、かつ酸価が10以上であるものがより好ましく、エステル基濃度が6mmol/g以上であり、酸価が10以上であり、かつ水酸基価が10以上であるものがさらに好ましい。
前記ポリエステル系樹脂は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
前記マスターバッチ(A)を得るために行うポリエステル系樹脂中でのセルロースの微細化は、ポリエステル系樹脂中にセルロースを添加し、機械的に箭断力を与えることにより行うことができる。箭断力を与える方法としては、例えば、ビーズミル、超音波ホモジナイザー、一軸押出機、二軸押出機等の押出機、バンバリーミキサー、グラインダー、加圧ニーダー、2本ロール等の混練機などを用いる方法が挙げられる。これらの中でも高粘度の樹脂中でも安定した剪断力を得られることから、加圧ニーダーが好ましい。
上記の微細化方法により、セルロースはセルロースナノファイバー化する。得られるセルロースナノファイバーのサイズとしては、例えば、長軸方向に100〜1,000,000nm、短軸方向に5〜1,000nmである。
前記マスターバッチ(A)中の前記セルロース含有比率は、任意に設定することができるが、10〜90質量%の範囲が好ましく、20〜70質量%の範囲がより好ましく、30〜60質量%の範囲がより好ましい。
前記共重合樹脂(B)は、ポリオキシアルキレン鎖、アミド基、水酸基及びアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基を有するものである。これらの官能基は、1種有していても、2種以上有していても構わない。
前記共重合樹脂(B)の製造方法としては、例えば、ポリオキシアルキレン鎖を有する重合性単量体(b1−1)、アミド基を有する重合性単量体(b1−2)、水酸基を有する重合性単量体(b1−3)及びアミノ基を有する重合性単量体(b1−4)からなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基を有する重合性単量体(b1)と、前記重合性単量体(b1)と共重合可能な重合性単量体(b2)とを共重合する方法が挙げられる。なお、前記重合性単量体(b1)は、ポリオキシアルキレン鎖、アミド基、水酸基及びアミノ基のいずれかの官能基を有するものであるが、これらの官能基のうち2種以上を有する重合性単量体であってもよい。
ポリオキシアルキレン鎖を有する重合性単量体(b1−1)としては、例えば、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールのモノ(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシブチレン−ポリオキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート等のブロック構造のオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート;ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート等のランダム構造のオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート;メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリブチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリブチピレングリコール(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールのモノ(メタ)アクリレートの水酸基をアルコキシ化したものなどが挙げられる。
アミド基を有する重合性単量体(b1−2)としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−プロポキシメチルアクリルアミド、N−ドデシルアクリルアミド、6−(メタ)アクリルアミドヘキサン酸、(メタ)アクリロイルモルホリン、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−[2,2−ジメチル−3−(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド等が挙げられる。
水酸基を有する重合性単量体(b1−3)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するアルキル(メタ)アクリレート;1,5−ペンタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート等の2価アルコールのモノ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート等の3価のアルコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート、あるいは、これらのアルコール性水酸基の一部をε−カプロラクトンで変性した水酸基を有するモノ及びジ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の1官能の水酸基と3官能以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、あるいは、該化合物をさらにε−カプロラクトンで変性した水酸基を有する多官能(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
アミノ基を有する重合性単量体(b1−4)としては、例えば、2−アミノエチル(メタ)アクリレート、2−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、アリルアミン等が挙げられる。
前記重合性単量体(b2)としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、1,1−ジフェニルエチレン等の芳香族ビニル化合物;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−ヘキシルマレイミド、N−オクチルマレイミド、N−ドデシルマレイミド、N−ステアリルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;無水マレイン酸、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基を有する重合性単量体;N−ビニル−2−ピロリドン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等の複素環を有する重合性単量体;N−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、N−ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル化合物;などが挙げられる。これらの重合性単量体(b2)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
前記重合性単量体(b2)の中でも、前記重合性単量体(b1−1)〜(b1−4)との共重合が容易であり、セルロースナノファイバーを高濃度で含有し、良好な流動性を有し、かつ貯蔵安定性に優れた水性樹脂組成物が得られることから、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、N−フェニルマレイミド、スチレンが好ましい。
なお、本発明において、「(メタ)アクリルアミド」とは、「メタクリルアミド」及び「アクリルアミド」の一方又は両方をいい、「(メタ)アクリレート」とは、「メタクリレート」及び「アクリレート」の一方又は両方をいう。
前記共重合樹脂(B)の具体的な製造方法としては、前記官能基を有する重合性単量体(b1)と、この重合性単量体(b1)と共重合可能な重合性単量体(b2)とを、有機溶剤中、重合開始剤存在下で重合させる方法が挙げられる。前記有機溶剤としては、例えば、エステル系溶剤、芳香族系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤が挙げられるが、重合温度、重合反応後の脱溶剤等を考慮すると、エステル系溶剤又はケトン系溶剤が好ましい。具体的には、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、シクロへキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が好ましい。
前記重合開始剤としては、例えば、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート、アルキルパーオキシカーボネート等の過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸化合物などが挙げられる。
前記共重合樹脂(B)中のポリオキシアルキレン鎖、アミド基、水酸基及びアミノ基の官能基濃度は、前記共重合樹脂(B)に対するセルロースナノファイバーの比率を高くでき、本発明の水性樹脂組成物中のセルロースナノファイバーの含有率を高くできることから、0.1〜15mmol/gの範囲が好ましく、0.15〜10mmol/gの範囲がより好ましく、0.2〜5mmol/gの範囲がさらに好ましい。なお、この官能基濃度は、前記共重合樹脂(B)の原料として用いた重合性単量体の仕込み量から算出したものであり、ポリオキシアルキレン鎖、アミド基、水酸基及びアミノ基の中で2種以上の官能基を有する場合は、それらの合計で官能基濃度を算出したものである。
また、前記共重合樹脂(B)の重量平均分子量は、セルロースナノファイバーの分散性を向上できることから、5,000〜150,000の範囲が好ましい。なお、本発明における重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した値である。
前記共重合樹脂(B)の原料となる前記重合性単量体(b1)及び前記重合性単量体(b2)の合計中の前記重合性単量体(b1)の使用比率は、水性樹脂組成物中のセルロースナノファイバーの水分散性及び貯蔵安定性が向上することから、5〜90質量%の範囲が好ましい。
前記マスターバッチ(A)を、前記共重合樹脂(B)を用いて、水中に分散する方法であるが、前記マスターバッチ(A)と前記共重合樹脂(B)とを混合後、50〜150℃の範囲で攪拌溶解する。溶解時間は30分以上行うことが好ましい。均一になった時点で50℃以下の温度でイオン交換水を添加して水溶化を行う。水溶化の後は脱溶剤を行って、所望とする不揮発分、pHに調整を行うことによって、高濃度にセルロースナノファイバーを含有する水性樹脂組成物が得られる。
また、前記共重合樹脂(B)に加えて、ポリオキシアルキレン鎖、アミド基、水酸基又はアミノ基以外の官能基を有する共重合樹脂(B’)を併用してもよい。前記共重合樹脂(B’)としては、例えば、カルボキシル基を官能基として有するものが挙げられる。前記共重合樹脂(B’)にカルボキシル基を導入するために、原料として用いる重合性単量体としては、無水マレイン酸、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。これらの重合性単量体と、上述した重合性単量体(b2)とを前記重合性単量体(b1−1)〜(b1−4)を用いずに共重合することにより、前記共重合樹脂(B’)が得られる。また、前記共重合樹脂(B’)は、その原料として、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等の塩基性重合性単量体を用いることが好ましい。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。
(製造例1:ポリエステル系樹脂(1)の製造)
窒素ガス導入管、還流コンデンサ及び攪拌機を備えた2Lのガラス製フラスコに、ジエチレングリコール758.2質量部(7.14mol、仕込みモル比0.53)、アジピン酸652.6質量部(4.47mol、仕込みモル比0.33)及び無水マレイン酸183.9質量部(1.88mol、仕込みモル比0.14)を仕込み、窒素気流下で加熱を開始した。内温200℃にて、常法により脱水縮合反応を行った。反応物の酸価が13になったところで、直ちに150℃まで冷却し、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを原料全量に対し100ppm添加した。さらに室温まで冷却することによって、ポリエステル系樹脂(1)を得た。このポリエステル系樹脂(1)は、エステル基濃度が9.1mmol/gであり、酸価が12であり、水酸基価が89であった。
ポリエステル系樹脂のエステル基濃度、酸価及び水酸基価は下記の方法により求めた。
〔エステル基濃度の計算方法〕
エステル基濃度は下記計算式(1)により求めた。
エステル基濃度(mmol/g)=生成エステル基量(mol)/[仕込みモノマー量(wt)−生成水量(wt)]×1000・・・(1)
製造例1で得られたポリエステル系樹脂(1)を例にエステル基濃度の計算方法をさらに詳しく説明する。生成エステル基量は、仕込みモノマーの全量がエステル化反応するものとして計算した。
生成エステル基量=アジピン酸4.47mol×2+無水マレイン酸1.88mol×2=12.70mol
次に、生成水量もエステル基と同様に仕込みモノマーの全量がエステル化反応するものとして計算した。
生成水量=(アジピン酸4.47mol×2+無水マレイン酸1.88mol)×18.02=194.98
上記で求めた値から、ポリエステル系樹脂(1)のエステル基濃度は下記計算式(2)により求められる。
エステル基濃度(mmol/g)=12.70mol/[1594.70−194.98]×1000=9.1・・・(2)
〔酸価及び水酸基価の測定〕
酸価及び水酸基価は、13C−NMRスペクトルにおける、末端構造およびエステル結合に由来する各ピークの面積比から求めた。測定装置は、日本電子株式会社製「JNM−LA300」を用い、試料の10質量%重クロロホルム溶液に緩和試薬としてCr(acac)310mgを加え、ゲートデカップリング法による13C−NMRの定量測定を行なった。積算は4,000回行なった。
(製造例2:セルロースナノファイバー含有マスターバッチ(1)の製造)
製造例1で得られたポリエステル系樹脂(1)600質量部及びセルロースパウダー(日本製紙株式会社製「KCフロック W−100」)400質量部を、加圧ニーダー(株式会社モリヤマ製「DS1−5GHH−H」)を用いて60rpmで300分間加圧混練を行い、セルロースの微細化処理を行うことで、ポリエステル系樹脂(1)とセルロースナノファイバー(以下、「CNF」と略記する。)との混錬物であるマスターバッチ(1)を得た。得られたマスターバッチ(1)を、セルロースが0.1質量%の濃度となるようにアセトンに懸濁し、特殊機械工業株式会社製「TKホモミキサーA型」を用いて、15000rpmで20分間分散処理を行い、ガラス上に広げてアセトンを乾燥し、走査型電子顕微鏡にてセルロースの微細化状態を確認した。確認の結果、100nmより細かく解れていることが確認でき、良好なCNFが得られていることが確認できた。
(製造例3:ポリオキシエチレン鎖を有する共重合樹脂の製造)
攪拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、イソプロピルアルコール123質量部を仕込み80℃に昇温した。これに、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(新中村化学工業株式会社製「NKエステル M−230G」;オキシエチレンの繰り返し単位数:23)66.4質量部、フェニルマレイミド66.4質量部、スチレン113.2質量部及び重合開始剤(和光純薬工業株式会社製「V−59」;2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル))6.2質量部をイソプロピルアルコール246質量部に溶解したものを2時間かけて滴下し、77〜83℃で反応を行った。次いで、反応容器内を80℃で120分間ホールドした後、その温度を30℃以下に冷却した。得られたポリオキシエチレン鎖を有する共重合樹脂の不揮発分は39.5質量%であり、ポリオキシエチレン鎖を官能基とする官能基濃度は0.25mmol/gであった。
(製造例4:アミド基を有する共重合樹脂の製造)
攪拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、イソプロピルアルコール123質量部を仕込み80℃に昇温した。これに、アクリルアミド66.4質量部、フェニルマレイミド66.4質量部、スチレン113.2質量部及び重合開始剤(和光純薬工業株式会社製「V−59」;2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル))6.2質量部をイソプロピルアルコール246質量部に溶解したものを2時間かけて滴下し、77〜83℃で反応を行った。次いで、反応容器内を80℃で120分間ホールドした後、その温度を30℃以下に冷却した。得られたアミド基を有する共重合樹脂の不揮発分は39.6質量%であり、アミド基を官能基とする官能基濃度は3.8mmol/gであった。
(製造例5:水酸基を有する共重合樹脂の製造)
攪拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、イソプロピルアルコール123質量部を仕込み80℃に昇温した。これに、2−ヒドロキシエチルメタクリレート66.4質量部、フェニルマレイミド66.4質量部、スチレン113.2質量部及び重合開始剤(和光純薬工業株式会社製「V−59」;2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル))6.2質量部をイソプロピルアルコール246質量部に溶解したものを2時間かけて滴下し、77〜83℃で反応を行った。次いで、反応容器内を80℃で120分間ホールドした後、その温度を30℃以下に冷却した。得られた水酸基を有する共重合樹脂の不揮発分は39.4質量%であり、水酸基を官能基とする官能基濃度は2.1mmol/gであった。
(製造例6:アミノ基を有する共重合樹脂の製造)
攪拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、イソプロピルアルコール123質量部を仕込み80℃に昇温した。これに、2−メチルアミノエチルメタクリレート66.4質量部、フェニルマレイミド66.4質量部、スチレン113.2質量部及び重合開始剤(和光純薬工業株式会社製「V−59」;2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル))6.2質量部をイソプロピルアルコール246質量部に溶解したものを2時間かけて滴下し、77〜83℃で反応を行った。次いで、反応容器内を80℃で120分間ホールドした後、その温度を30℃以下に冷却した。得られたアミノ基を有する共重合樹脂の不揮発分は39.5質量%であり、アミノ基を官能基とする官能基濃度は1.7mmol/gであった。
上記の製造例3〜6で得られた共重合樹脂の酸価及び重量平均分子量は下記の方法により求めた。
(実施例1:水性樹脂組成物(1)の調製)
攪拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、製造例3で得られたポリオキシエチレン鎖を有する共重合樹脂(不揮発分39.5質量%)253質量部(樹脂として100質量部)及びイソプロピルアルコール100質量部を仕込み、攪拌しながら100℃に昇温した。均一であることを確認後、製造例2で得られたマスターバッチ(1)125質量部(CNFとして50質量部)を添加した。その後攪拌をしながら100℃で2時間加温を行った。次いで、50℃以下に冷却し、イオン交換水1,000質量部を添加して、さらに30分攪拌した。
次いで、70℃に昇温して、減圧(0.080〜0.095MPa)下で、約60分かけて脱溶剤した後、冷却し、イオン交換水を添加して不揮発分を35質量%に調整することによって、CNFを含有する水性樹脂組成物(1)を得た。この水性樹脂組成物(1)の粘度は、5,000mPa・sであった。
(実施例2:水性樹脂組成物(2)の調製)
攪拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、製造例4で得られたアミド基を有する共重合樹脂(不揮発分39.6質量%)253質量部(樹脂として100質量部)及びイソプロピルアルコール100質量部を仕込み、攪拌しながら100℃に昇温した。均一であることを確認後、製造例2で得られたマスターバッチ(1)125質量部(CNFとして50質量部)を添加した。その後攪拌をしながら100℃で2時間加温を行った。次いで、50℃以下に冷却し、イオン交換水1,000質量部を添加して、さらに30分攪拌した。
次いで、70℃に昇温して、減圧(0.080〜0.095MPa)下で、約60分かけて脱溶剤した後、冷却し、イオン交換水を添加して不揮発分を35質量%に調整することによって、CNFを含有する水性樹脂組成物(2)を得た。この水性樹脂組成物(2)の粘度は、3,000mPa・sであった。
(実施例3:水性樹脂組成物(3)の調製)
攪拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、製造例5で得られた水酸基を有する共重合樹脂(不揮発分39.4質量%)253質量部(樹脂として100質量部)及びイソプロピルアルコール100質量部を仕込み、攪拌しながら100℃に昇温した。均一であることを確認後、製造例2で得られたマスターバッチ(1)125質量部(CNFとして50質量部)を添加した。その後攪拌をしながら100℃で2時間加温を行った。次いで、50℃以下に冷却し、イオン交換水1,000質量部を添加して、さらに30分攪拌した。
次いで、70℃に昇温して、減圧(0.080〜0.095MPa)下で、約60分かけて脱溶剤した後、冷却し、イオン交換水を添加して不揮発分を35質量%に調整することによって、CNFを含有する水性樹脂組成物(3)を得た。この水性樹脂組成物(3)の粘度は、6,000mPa・sであった。
(実施例4:水性樹脂組成物(4)の調製)
攪拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、製造例6で得られたアミノ基を有する共重合樹脂(不揮発分39.5質量%)253質量部(樹脂として100質量部)及びイソプロピルアルコール100質量部を仕込み、攪拌しながら100℃に昇温した。均一であることを確認後、製造例2で得られたマスターバッチ(1)125質量部(CNFとして50質量部)を添加した。その後攪拌をしながら100℃で2時間加温を行った。次いで、50℃以下に冷却し、イオン交換水1,000質量部を添加して、さらに30分攪拌した。
次いで、70℃に昇温して、減圧(0.080〜0.095MPa)下で、約60分かけて脱溶剤した後、冷却し、イオン交換水を添加して不揮発分を35質量%に調整することによって、CNFを含有する水性樹脂組成物(4)を得た。この水性樹脂組成物(4)の粘度は、3,000mPa・sであった。
(比較例1:水性樹脂組成物(R1)の調製)
製造例3で得られたポリオキシエチレン鎖を有する共重合樹脂(不揮発分39.5質量%)253質量部(樹脂として100質量部)を50℃に加温後、水性CNF(株式会社ダイセル製「セリッシュ KY−100G」、CNF10質量%の水分散液)50質量部(CNFとして5質量部)添加し、水分散化を行い継続して30分攪拌を行ない、ポリオキシエチレン鎖を有する共重合樹脂の水分散体(R1)を得た。この水分散体(R1)の不揮発分は34.6質量%であり、粘度は、2,000mPa・sであった。
上記の実施例1〜4及び比較例1で得られた水性樹脂組成物(1)〜(4)及び(R1)について、下記の評価を行った。
[分散性の評価]
水性樹脂組成物を300メッシュのステンレス製金網でろ過し、金網に残った不揮発分と、ろ液中の不揮発分をそれぞれ測定し、金網に残った不揮発分及びろ液中の不揮発分の合計中の金網に残った不揮発分の比率を算出し、ろ過残質量比率(%)とした。得られたろ過残質量比率(%)の値から、下記の基準にしたがって分散性を評価した。
○:ろ過残質量比率が1%以下である。
×:ろ過残質量比率が1%を超える。
[貯蔵安定性の評価]
水性樹脂組成物を常温で貯蔵し、貯蔵1週間後及び貯蔵3週間後の液の様子を目視で観察し、下記の基準にしたがって貯蔵安定性を評価した。
○:CNFの沈降及び凝集が見られなかった。
×:CNFの沈降又は凝集が見られた。
なお、比較例1の水性樹脂組成物(R1)については、貯蔵1週間後にCNFの凝集が見られたため、貯蔵3週間後の評価は行わなかった。
実施例1〜4及び比較例1で得られた水性樹脂組成物(1)〜(4)及び(R1)の組成及び評価結果を表1に示す。なお、組成中の共重合樹脂は、樹脂固形分の配合量を示す。
Figure 2016033187
表1に示した評価結果から、本発明の水性樹脂組成物である実施例1〜4のものは、CNF量が7.7質量%と高濃度に含有するものであった。また、粘度も3,000mPa・s〜6,000mPa・sの範囲であり、低粘度で極めて良好な流動性を示すものであった。さらには、CNFの凝集がなく、貯蔵安定性にも優れていることが確認できた。
一方、比較例1の水性樹脂組成物は、CNFとポリエステル系樹脂との混錬物であるマスターバッチを用いずに調製したものであるが、粘度は2,000mPa・sと低いもののCNF量が1.7質量%と極めて低いことが確認できた。また、常温での貯蔵1週間でCNFの凝集を生じ、貯蔵安定性に問題があることも確認できた。

Claims (4)

  1. ポリエステル系樹脂中でセルロースを微細化して得られたセルロースナノファイバー含有のマスターバッチ(A)、ポリオキシアルキレン鎖、アミド基、水酸基及びアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基を有する共重合樹脂(B)、及び水(C)を含有することを特徴とする水性樹脂組成物。
  2. 前記共重合樹脂(B)中のポリオキシアルキレン鎖、アミド基、水酸基及びアミノ基の官能基濃度が0.1〜15mmol/gの範囲である請求項1記載の水性樹脂組成物。
  3. 前記ポリエステル系樹脂のエステル基濃度が6mmol/g以上であり、かつ酸価が10以上である請求項1又は2記載の水性樹脂組成物。
  4. 前記セルロースの含有量が3質量%以上である請求項1〜3のいずれか1項記載の水性樹脂組成物。
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