JP2016017951A - 落下試験装置および落下試験方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】落下物体と試験対象物との間で力が作用しているときの落下物体が試験対象物から受ける力を高精度に測定する。【解決手段】重力によって落下する球体の内部に埋め込まれたコーナーキューブプリズムに光を照射する。球体が試験対象物と衝突したとき、または球体が流体である試験対象物の中を落下しているときのコーナーキューブプリズムからの反射光の状態変化を光波干渉計によって検出する。光波干渉計で検出された反射光の状態変化に基づいて、球体の変位速度を導出し、導出した変位速度から球体の加速度を導出し、導出した加速度に基づいて球体が試験対象物から受ける力を導出する。【選択図】図1
Description
本発明は、落下試験装置および落下試験方法に関する。
物体の水との衝突や、水への突入は、複雑な非線形の現象であり、これらを調べることは、造船や海洋工学、航空宇宙工学などの分野で特に重要な課題となっている。
既存の落下試験装置は、金属球体等の落下物体を試験対象物に落下衝突させ、試験対象物に作用する衝撃力を、試験対象物の下部に設置したロードセル(力センサ)で測定するものである。
一方、力センサを用いずに被測定物の力学的特性を測定する手法として、例えば特許文献1に記載の材料試験方法が知られている。特許文献1には、被測定物に錘体を取り付けて、被測定物をばね要素とする質量―ばね系を構成し、質量―ばね系を加振して、錘体に作用する慣性力と錘体の変位とを測定し、慣性力と変位とに基づいて被測定物の力学的特性を評価する方法が記載されている。また、特許文献1には、錘体の変位速度を光波干渉計により計測し、計測した錘体の変位速度を微分して求めた加速度から慣性力を算出すると共に、計測した錘体の変位速度を積分して錘体の変位を算出することが記載されている。
また、重力加速度を、高精度かつ安定に測定する手法として、特許文献2には、マイケルソン干渉計の2つの鏡に相当する物体を別々に自由落下させ、それらの間の変位の時間変化を干渉計の出力で計測する自由落下装置が記載されている。
従来のロードセル(力センサ)を用いた落下試験装置においては、ロードセル(力センサ)の動的校正法は確立されていない。また、落下物体の衝突時に試験対象物自体が加速度運動することが予想され、試験対象物自身の慣性力も測定に含まれてしまう。上記の問題から、ロードセル(力センサ)を用いた従来の落下試験装置による衝撃力の測定精度は低く、最高でも数%程度と推定される。
本発明は、1つの側面として、落下物体と試験対象物との間で力が作用しているときの、落下物体が試験対象物から受ける力を高精度に測定することを目的とする。
本発明に係る落下試験装置は、反射部を備えた落下物体と、前記反射部に光を照射する光源を有し、落下している前記落下物体と試験対象物との間で力が作用しているときの前記反射部からの反射光の状態変化を検出する光波干渉計と、前記光波干渉計で検出された前記反射部からの反射光の状態変化に基づいて、前記落下物体の加速度を導出し、導出した前記加速度に基づいて前記落下物体が前記試験対象物から受ける力を導出する導出部と、を含む。
本発明に係る落下試験装置において、前記反射部は、入射する光の方向と同じ方向に光を反射させる光学部品を含んでいてもよく、前記光学部品が前記落下物体の内部に埋め込まれていてもよい。また、前記落下物体は球体であってもよく、前記光学部品はコーナーキューブプリズムを含んでいてもよい。前記コーナーキューブプリズムの光学的頂点と、前記コーナーキューブプリズムが埋め込まれた状態の前記球体の重心とが一致していることが好ましい。また、前記反射部は、前記落下物体の粗面とされた表面部分によって構成されていてもよい。
本発明に係る落下試験装置は、ガイド方向に伸長するガイド部と、前記ガイド方向に沿って移動可能に前記ガイド部に取り付けられた可動部と、を含む直動軸受を更に含み得る。この場合において、前記落下物体は、前記可動部に支持され、運動方向が拘束されている。また、前記ガイド部の前記ガイド方向が鉛直方向に対して傾斜していてもよく、この場合において、前記落下物体の運動方向が鉛直方向に対して傾斜した方向に拘束される。また、落下物体の運動方向が拘束されている場合には、前記落下物体は、鉛直軸に対して非対称な形状を有していてもよい。
本発明に係る落下試験装置において、前記光波干渉計は、鉛直方向上側から前記反射部に向けて光を照射する光学系を有する第1の光波干渉計と、鉛直方向下側から前記反射部に向けて光を照射する光学系を有する第2の光波干渉計と、を含んでいてもよい。この場合には、前記反射部は、鉛直方向上側から照射された光を反射する第1のコーナーキューブプリズムと、鉛直方向下側から照射された光を反射する第2のコーナーキューブプリズムと、を含んでいてもよい。また、前記落下物体は球体であってもよく、鉛直方向上側から照射された光を前記第1のコーナーキューブプリズムに導入するための第1の開口部と、鉛直方向下側から照射された光を前記第2のコーナーキューブプリズムに導入するための第2の開口部と、を含んでいてもよい。この場合において、前記第1の開口部および前記第2の開口部の少なくとも一方は、前記球体の曲率と同じ曲率を有する球面形状を有する透明な蓋で塞がれていてもよい。
本発明に係る落下試験装置において、前記導出部は、前記落下物体が前記試験対象物と衝突するときの前記落下物体に作用する衝撃力を、前記落下物体が前記試験対象物から受ける力として導出してもよい。
本発明に係る落下試験装置において、前記導出部は、前記試験対象物である流体と、前記流体の中を落下する前記落下物体と、の間に作用する摩擦力を、前記落下物体が前記試験対象物から受ける力として導出してもよい。
本発明に係る落下試験装置は、前記落下物体を前記試験対象物である流体とともに収容する容器と、前記落下物体を前記容器の内部において鉛直方向上方に向けて打ち上げる打ち上げ機を更に含んでいてもよい。この場合において、前記導出部は、前記打ち上げ機によって鉛直方向上方に向けて打ち上げられて前記流体の中を運動する前記落下物体と、前記流体と、の間に作用する摩擦力を、前記落下物体が前記試験対象物から受ける力として導出してもよい。
本発明に係る落下試験装置において、前記導出部は、前記光波干渉計で検出された前記反射部からの反射光の状態変化に基づいて、前記落下物体の終端速度を導出し、導出した前記終端速度に基づいて前記流体の粘性係数を導出してもよい。
本発明に係る落下試験方法は、落下物体に備えられた反射部に光を照射し、落下している前記落下物体と試験対象物との間で力が作用しているときの前記反射部からの反射光の状態変化を光波干渉計によって検出し、前記光波干渉計で検出された前記反射部からの反射光の状態変化に基づいて、前記落下物体の加速度を導出し、導出した前記加速度に基づいて前記落下物体が前記試験対象物から受ける力を導出する、というものである。
本発明に係る落下試験方法において、前記反射部をコーナーキューブプリズムで構成し、前記落下物体として、内部に前記コーナーキューブプリズムを埋め込んだ球体を用いてもよい。
本発明に係る落下試験方法において、ガイド方向に伸長するガイド部と、前記ガイド方向に沿って移動可能に前記ガイド部に取り付けられた可動部と、を含む直動軸受の前記可動部に前記落下物体を固定することにより、前記落下物体の運動方向を拘束してもよい。また、前記ガイド部の前記ガイド方向を鉛直方向に対して傾斜させ、前記落下物体の運動方向を鉛直方向に対して傾斜した方向に拘束してもよい。落下物体の運動方向を拘束した場合には、前記落下物体として、鉛直軸に対して非対称な非球状体を用いてもよい。
本発明に係る落下試験方法において、鉛直方向上側から前記反射部に向けて光を照射する光学系を有する第1の光波干渉計と、鉛直方向下側から前記反射部に向けて光を照射する光学系を有する第2の光波干渉計と、を用いて、前記反射部からの反射光の状態変化を検出してもよい。
本発明に係る落下試験方法において、前記落下物体が前記試験対象物と衝突するときの前記落下物体に作用する衝撃力を、前記落下物体が前記試験対象物から受ける力として導出してもよい。
本発明に係る落下試験方法において、前記試験対象物である流体と、前記流体の中を落下する前記落下物体との間に作用する摩擦力を、前記落下物体が前記試験対象物から受ける力として導出してもよい。
本発明に係る落下試験方法において、前記光波干渉計で検出された前記反射部からの反射光の状態変化に基づいて、前記落下物体の終端速度を導出し、導出した前記終端速度に基づいて前記流体の粘性係数を導出してもよい。
本発明によれば、落下物体と試験対象物との間で力が作用しているときの、落下物体が試験対象物から受ける力を高精度に測定することが可能となる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。各図面において、同一または対応する構成要素には同一の参照符号を付与している。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る落下試験装置10の構成を示す図である。落下試験装置10は、容器70に収容された試験対象物としての水71に、自由落下する球体50を衝突させたときに、球体50が水面から受ける衝撃力などを光波干渉計を用いて測定するものである。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る落下試験装置10の構成を示す図である。落下試験装置10は、容器70に収容された試験対象物としての水71に、自由落下する球体50を衝突させたときに、球体50が水面から受ける衝撃力などを光波干渉計を用いて測定するものである。
図2Aは、落下試験装置10において用いられる球体50の上面図、図2Bは、図2Aにおける2B−2B線に沿った断面図である。球体50の主な材質は、一例として、SUS440で定められたステンレス鋼であり、表面は焼き戻し処理が施されている。球体50の直径Dは、一例として、30.2mmである。なお、球体50の材質は、特に限定されるものではなく、金属、樹脂、ゴムなどあらゆる材料で構成することが可能である。また球体50のサイズも適宜変更することが可能である。
球体50の内部には、コーナーキューブプリズム51が埋め込まれている。コーナーキューブプリズム51は、自身に入射する光の方向に関わらず、入射方向へ180°折り返す光学部品である。球体50の上部には、開口部52が設けられており、開口部52においてコーナーキューブプリズム51が露出している。コーナーキューブプリズム51の光学的頂点(光波干渉計による測定点)は球体50全体の重心、すなわちコーナーキューブプリズム51を装着した状態の球体50の重心と一致している。これにより、光波干渉計によって常に球体50の重心の速度、加速度を測定することが可能となり、球体50の落下中の姿勢変動による影響が低減される。本実施形態において、コーナーキューブプリズム51を含む球体50全体の質量Mは、約93.88gである。
球体50にコーナーキューブプリズム51を埋め込む際には、エポキシ系接着剤(スタイキャスト)を用いた。ほぼ球形となる球体50の重心位置と、コーナーキューブプリズム51の光学的頂点(光波干渉計による測定点)とが、0.1mmの精度で一致するようにした。球体50の姿勢変動がもたらす測定誤差については、ズレの成分のうち、光波干渉計の信号光に並行な成分はコサイン誤差となるので比較的小さいが、光波干渉計の信号光に垂直な成分はサイン誤差となるので比較的大きくなる。なお、コーナーキューブプリズム51と同様の機能を有する光学部品であるキャッツアイを、コーナーキューブプリズム51に代えて用いてもよい。
球体50にコーナーキューブプリズム51を埋め込む際には、エポキシ系接着剤(スタイキャスト)を用いた。ほぼ球形となる球体50の重心位置と、コーナーキューブプリズム51の光学的頂点(光波干渉計による測定点)とが、0.1mmの精度で一致するようにした。球体50の姿勢変動がもたらす測定誤差については、ズレの成分のうち、光波干渉計の信号光に並行な成分はコサイン誤差となるので比較的小さいが、光波干渉計の信号光に垂直な成分はサイン誤差となるので比較的大きくなる。なお、コーナーキューブプリズム51と同様の機能を有する光学部品であるキャッツアイを、コーナーキューブプリズム51に代えて用いてもよい。
図1に示すように、落下試験装置10は、レーザ光源12、無偏光ビームスプリッタ21、偏光ビームスプリッタ22、ミラー23、球体50の内部に装着されたコーナーキューブプリズム51、球体50の外部に配置されたコーナーキューブプリズム24、グラントムソンプリズム31、32、光検出器33、34およびデジタイザ35を含む光波干渉計を備えている。
本実施形態において、レーザ光源12として、ゼーマン型2周波He-Neレーザを用いている。レーザ光源12は、偏光が互いに直交し且つ周波数が異なる2つのレーザ光L1およびL2を重ね合わせたレーザ光Lrestを出射する。レーザ光L1の周波数をf1とし、レーザ光L2の周波数をf2(>f1)とする。
レーザ光源12から出射されたレーザ光Lrestは、無偏光ビームスプリッタ21によって、光軸方向および光軸方向と直交する方向に分岐される。無偏光ビームスプリッタ21によって光軸方向と直交する方向に反射されたレーザ光Lrestは、グラントムソンプリズム32に入射する。
グラントムソンプリズム32は、直線偏光を得るための光学部品である。レーザ光Lrestは、グラントムソンプリズム32を透過した後、光検出器34に入射する。光検出器34は、受光した光の強度に応じた電気信号を生成するフォトダイオード等の光電変換素子である。光検出器34によって生成された電気信号は、デジタイザ35に供給される。
無偏光ビームスプリッタ21を透過して光軸方向に進行するレーザ光Lrestは、偏光ビームスプリッタ22に入射し、周波数f1のレーザ光L1と周波数f2のレーザ光L2に分割される。レーザ光L1は、偏光ビームスプリッタ22を透過して光軸方向に進行し、レーザ光L2は、偏光ビームスプリッタ22によって光軸方向と直交する方向に反射される。
レーザ光L2は、コーナーキューブプリズム24に入射する。コーナーキューブプリズム24は、自身に入射する光の方向に関わらず、入射方向へ180°折り返す光学部品である。レーザ光L2は、コーナーキューブプリズム24によって反射され、再び偏光ビームスプリッタ22に入射する。周波数f2のレーザ光L2は、光波干渉計における参照光として利用される。一方、偏光ビームスプリッタ22を透過したレーザ光L1は、ミラー23によって反射され、鉛直方向下方に向けて進行し、球体50内部のコーナーキューブプリズム51に入射する。
球体50は、落下前の初期状態において、円環状の電磁石62による磁力によって電磁石62に吸着され、静止状態を維持している。球体50は、内部に設けられたコーナーキューブプリズム51が、レーザ光L1を受光し得るように、開口部52が鉛直方向上方に向けられた状態で電磁石62に保持されている。球体50が落下を開始してから水71に衝突して水没するまでの期間、レーザ光L1を球体50内部のコーナーキューブプリズム51に照射し続けることが可能である。球体50と電磁石62との間には、緩衝用のラバー61が設けられている。なお、本実施形態において、球体50の落下距離(すなわち球体50から水面までの距離)は、およそ136mmである。
球体50内部に入射したレーザ光L1は、コーナーキューブプリズム51によって180°折り返される。コーナーキューブプリズム51によって反射されたレーザ光をレーザ光L3とする。球体50が自由落下している場合には、レーザ光L3の周波数f3は、レーザ光L1の周波数f1に対して、球体50の落下速度に応じたドップラーシフト周波数fd分だけ小さくなり、f3=f1−fdとなる。周波数f3のレーザ光L3は、光波干渉計における信号光として利用される。
コーナーキューブプリズム51から出射されたレーザ光L3は、ミラー23によって反射され、再び偏光ビームスプリッタ22に入射する。信号光としてのレーザ光L3は、参照光としてのレーザ光L2と重ね合わせられ、信号光と参照光の周波数の差分に相当する周波数fbeatのビートを生ずる干渉光を生じる。この干渉光をレーザ光Lbeatとする。すなわち、コーナーキューブプリズム51で反射された信号光としてのレーザ光L3に生じた状態変化(レーザ光L3のドップラーシフトによる周波数変化または位相変化)が、光波干渉計が干渉光を生ずることによって検出される。
ミラー25は、レーザ光Lbeatをグラントムソンプリズム31に向けて反射させる。レーザ光Lbeatは、グラントムソンプリズム31を透過した後、光検出器33に入射する。光検出器33は、受光した光の強度に応じた電気信号を生成するフォトダイオード等の光電変換素子である。光検出器33によって生成された電気信号は、デジタイザ35に供給される。
デジタイザ35は、光検出器33および34から出力される電気信号を、所定のサンプリング周期でデジタル信号に変換して記録する。本実施形態において、デジタイザ35としてナショナルインスツルメンツ社のNI PCI−5105が用いられている。デジタイザ35は、各チャンネルのサンプル数が5M、サンプルレートが30M/S、振幅分解能が8bitの設定とされている。すなわち、デジタイザ35による1回の測定時間は、約0.167秒とされる。
レーザダイオード41は、自身が出射するレーザ光L4の光軸が、自由落下する球体50の移動経路と交差する位置に配置されている。光検出器42は、受光した光の強度に応じた電気信号を生成するフォトダイオード等の光電変換素子であり、自由落下する球体50の移動経路を間に挟んでレーザダイオード41の反対側に配置されている。光検出器42によって生成された電気信号は、AD変換器43によってデジタル信号に変換され、コンピュータ44に入力される。コンピュータ44は、落下する球体50がレーザ光L4を遮断するタイミングにおいてAD変換器43から供給される信号に基づいて、測定データの記録を開始すべきトリガ信号を生成し、これをDA変換器45に供給する。DA変換器45は、コンピュータ44から供給されたトリガ信号をアナログ信号に変換し、パルス幅の短いアナログのトリガ信号を生成し、これをデジタイザ35およびハイスピードカメラ46に供給する。
デジタイザ35は、DA変換器45から出力されたアナログのトリガ信号を受信すると、光検出器33および34から出力される電気信号のサンプリングを開始する。デジタイザ35によって記録された光検出器33および34の出力信号は、コンピュータ44に供給される。
ハイスピードカメラ46は、球体50と水71との衝突前後における水面付近の画像を記録するために用いられる。本実施形態において、ハイスピードカメラ46の解像度は135424ピクセルとされ、フレームレートは15000fpsとされている。ハイスピードカメラ46は、DA変換器45からトリガ信号を受信すると撮影を開始する。ハイスピードカメラ46による撮影と、デジタイザ35によるデータのサンプリングを、トリガ信号を起点として同時に開始することで、デジタイザ35に記録されたデータとハイスピードカメラによって撮影された画像との対応付けが可能となる。
なお、球体50は、本発明における落下物体に対応し、コーナーキューブプリズム51は本発明における反射部に対応する。レーザ光源12、無偏光ビームスプリッタ21、偏光ビームスプリッタ22、ミラー23、球体50の内部に装着されたコーナーキューブプリズム51、球体50の外部に配置されたコーナーキューブプリズム24、グラントムソンプリズム31、32、光検出器33、34およびデジタイザ35を含む光波干渉計は、本発明における光波干渉計に対応する。コンピュータ44は、本発明における導出部に対応する。
以下に、落下試験装置10の動作について説明する。以下の説明において、球体50の速度、加速度及び動的な力の向きは、鉛直方向上向きを正とする。
球体50は、初期状態において電磁石62によって静止状態で保持される。電磁石62の電源がオフされると磁力の発生が停止され、球体50は落下を開始する。電磁石62の電源は手動で操作される。落下中の球体50が、レーザダイオード41から出射されたレーザ光L4と交差すると、DA変換器45からトリガ信号が出力され、デジタイザ35によるデータのサンプリングおよびハイスピードカメラ46による撮影が開始される。
コンピュータ44は、デジタイザ35によって記録された光検出器34の出力波形から、各時刻におけるレーザ光Lrestの周波数frestを導出する。周波数frestは、レーザ光源12から出射されたレーザ光L2の周波数f2とレーザ光L1の周波数f2の差分|f2−f1|として観測され、一定の値をとる。また、コンピュータ44は、デジタイザ35によって記録された光検出器33の出力波形から、各時刻におけるレーザ光Lbeatの周波数fbeatを導出する。周波数fbeatは、参照光としてのレーザ光L2の周波数f2と、信号光としてのレーザ光L3の周波数f3=f1−fdとの差分|f2−(f1−fd)|として観測される。なお、球体50が静止状態にあるときには、周波数frestと周波数fbeatは一致する。本実施形態では、周波数frestおよびfbeatを導出するために、本発明者らにより開発・考案されたZero-Crossing Fitting Method (ZFM) を用いてそれぞれ計算される。ZFMは、測定区間内にある全てのゼロクロス点の時刻情報を使うことにより、測定区間の両端のゼロクロス点の時刻情報だけを使う従来手法よりも格段に高精度な周波数推定を可能とした手法である。なお、周波数frestおよびfbeatを導出するために、一般的な周波数カウンタを用いることも可能である。
コンピュータ44は、導出した各時刻における周波数frestおよびfbeatを、下記の(1)式に代入することによって、各時刻におけるドップラーシフト周波数fdを導出する。
fd=−(fbeat−frest) ・・・(1)
fd=−(fbeat−frest) ・・・(1)
続いて、コンピュータ44は、導出した各時刻におけるドップラーシフト周波数fdを、下記の(2)式に代入することによって各時刻における球体50の変位速度vを導出する。
v=λair・fd/2 ・・・(2)
ただし、λairは、球体50に入射するレーザ光L1の波長である。
v=λair・fd/2 ・・・(2)
ただし、λairは、球体50に入射するレーザ光L1の波長である。
コンピュータ44は、(2)式に基づいて算出した各時刻における球体50の変位速度vを数値積分することにより、各時刻における球体50の位置(変位量)xを導出する。また、コンピュータ44は、各時刻における球体50の変位速度vを数値微分することにより、各時刻における球体50の加速度aを導出する。
球体50に作用するすべての力Fmassは、重力−Mgと、水面から受ける力Fwaterとからなり、下記の(3)式によって表される。
Fmass=−Mg+Fwater ・・・(3)
ただし、gは重力加速度であり、Mは球体50の質量である。球体50に作用するすべての力Fmassは、球体50の質量Mと加速度aとの積と一致する。すなわち、Fmass=Maが成立する。コンピュータ44は、Fmass=Maより、各時刻における球体50に作用するすべての力Fmassを導出する。
Fmass=−Mg+Fwater ・・・(3)
ただし、gは重力加速度であり、Mは球体50の質量である。球体50に作用するすべての力Fmassは、球体50の質量Mと加速度aとの積と一致する。すなわち、Fmass=Maが成立する。コンピュータ44は、Fmass=Maより、各時刻における球体50に作用するすべての力Fmassを導出する。
球体50が水面から受ける力Fwaterは、下記の(4)式によって表される。
Fwater=Fmass+Mg ・・・(4)
コンピュータ44は、算出された各時刻における球体50に作用するすべての力Fmassを(4)式に代入することにより、各時刻おける球体50が水面から受ける力Fwaterを導出する。
なお、測定対象とする力が、空気抵抗と比較して、十分に大きい場合は、空気抵抗は無視できる。測定対象とする力が、空気抵抗と比較して、十分には大きくない場合は、空気抵抗を考慮する必要がある。空気抵抗が無視できないならば、Fwaterには、空気抵抗が含まれていると想定される。また、後述するように、空気抵抗が測定対象とする力である場合もありえる。
Fwater=Fmass+Mg ・・・(4)
コンピュータ44は、算出された各時刻における球体50に作用するすべての力Fmassを(4)式に代入することにより、各時刻おける球体50が水面から受ける力Fwaterを導出する。
なお、測定対象とする力が、空気抵抗と比較して、十分に大きい場合は、空気抵抗は無視できる。測定対象とする力が、空気抵抗と比較して、十分には大きくない場合は、空気抵抗を考慮する必要がある。空気抵抗が無視できないならば、Fwaterには、空気抵抗が含まれていると想定される。また、後述するように、空気抵抗が測定対象とする力である場合もありえる。
図3A〜3Cおよび図4A〜4Cは、落下試験装置10によって取得された各測定値の時間変化の一例を示すグラフである。図3A〜3Cおよび図4A〜4Cに示すグラフにおいて、時間及び位置の始点は、初めて動的な力が観測された点としている。変位速度、加速度及び動的な力の向きは鉛直方向上向きを正としている。図3A〜3Cおよび図4A〜4Cにはレーザ光Lbeatが水しぶきによって途切れる前、つまり周波数fbeatが正確に測定されている期間のデータのみが示されている。
図3Aは、周波数fbeatおよび周波数frestの時間変化を示すグラフである。周波数frestは、各時刻において一定であるのに対して、周波数fbeatは、球体50の速度変化に応じて変化する。
図3Bは、球体50の変位速度vの時間変化を示すグラフである。各時刻における変位速度vは、各時刻における周波数fbeatおよびfrestを(1)式に代入することによってドップラーシフト周波数fdを求め、fdを(2)式に代入することによって取得したものである。
図3Cは、球体50の位置xの時間変化を示すグラフである。各時刻における位置xは、各時刻における変位速度vを数値積分することによって取得したものである。
図4Aは、球体50の加速度aの時間変化を示すグラフである。各時刻における加速度aは、各時刻における変位速度vを数値微分することによって取得したものである。
図4Bは、球体50に作用するすべての力Fmassの時間変化を示すグラフである。各時刻におけるFmassは、球体50の質量Mと各時刻における加速度aとの積を導出することによって取得したものである。
図4Cは、球体50が水面から受ける力Fwaterの時間変化を示すグラフである。各時刻におけるFwaterは、各時刻におけるFmassを(4)式に代入することによって取得したものである。なお、重力加速度gを9.799m/s2とした。
図5は、球体50の変位速度vおよび球体50が水面から受ける力Fwaterの時間変化を示すグラフと、ハイスピードカメラ46によって撮影された画像とを対応させて表示した図である。図5において、時刻tが0.06ms、1.19ms、5.20ms、11.67msのときの画像が示されている。なお、図5に示す変位速度vおよびFwaterのグラフは、それぞれ、図3Bおよび図4Cに示したものと同じである。図5に示すように、球体50が水面と衝突するとき、球体50が水面から受ける力Fwaterは、最大値まで急激に増加した。時刻tが1.23msのときに力Fwaterは、最大値である約1.0Nとなった。このとき、球体50の位置xは、−2.0mmであった。レーザ光Lbeatは、時刻tが11.6ms、位置xが−19.0mmのときに、観測不能となった。
図6は、落下試験装置10を用いて、球体50が水面から受ける力Fwaterの時間変化を7回測定した結果を示すグラフである。7回の測定結果は、互いに略一致した。すなわち、本発明の実施形態に係る落下試験装置10によれば、球体50の位置、変位速度、加速度および慣性力を高い再現性を有して測定することが可能である。
以下において、本実施形態に係る落下試験装置10によって取得される球体50が水面から受ける力Fwaterの瞬時値の不確かさについて考察する。球体50が水面から受ける力Fwaterの瞬時値の不確かさの要因としては、以下のものが挙げられる。
(1)光軸のずれ:光軸の不確かさの主原因は1mradの信号光の傾きである。これによる相対的な慣性力の不確かさは約5×10−7ほどであり、これは無視可能である。
(2)質量測定の不確かさ:電子天秤を用いた時の質量測定の不確かさは約0.01gであり、これは可動部全体の質量の0.01%である。これは、Fwaterが最大値1.0Nに達した時に0.1mNとなり、無視可能である。
(3)重力加速度のぶれ:重力加速度gは0.01%の不確かさを含んで9.799 m/s2と推定される。これは、無視可能である。
(4)光波干渉計のノイズ
(5)周波数推定時に生じる誤差
(6)周波数から力の計算時に生じる誤差
(1)光軸のずれ:光軸の不確かさの主原因は1mradの信号光の傾きである。これによる相対的な慣性力の不確かさは約5×10−7ほどであり、これは無視可能である。
(2)質量測定の不確かさ:電子天秤を用いた時の質量測定の不確かさは約0.01gであり、これは可動部全体の質量の0.01%である。これは、Fwaterが最大値1.0Nに達した時に0.1mNとなり、無視可能である。
(3)重力加速度のぶれ:重力加速度gは0.01%の不確かさを含んで9.799 m/s2と推定される。これは、無視可能である。
(4)光波干渉計のノイズ
(5)周波数推定時に生じる誤差
(6)周波数から力の計算時に生じる誤差
(4)〜(6)で示される不確かさの要因を個々に推定するのは困難である。しかしながら、球体50の水面への衝突前後でこれらの要因は、ほぼ変化しないものと考えられる。水面から10〜50mm程度の自由落下中におけるFwaterの7回の測定結果の平均偏差と標準偏差は、それぞれ、約0.5mNおよび約8.1mNであった。よって(4)〜(6)の不確かさの合計は、この標準偏差となり、8mNと推定される。不確かさとしては、(4)〜(6)が支配的であるため、Fwaterの瞬時値における不確かさは8mNと推定される。これは、Fwaterの最大値1.0Nの0.8%である。
空気抵抗Fairは、球体50の空気抗力係数Cd=0.5を用いると、速度1.5m/sのとき、約0.5mNであると推測される。これは、本実施形態に係る落下試験装置10において取得された落下速度−1.5m/s付近におけるFwaterの7回の測定(図6参照)における平均値と一致する。すなわち、本実施形態に係る落下試験装置10によれば、球体50に作用する外部からの力として空気抵抗の測定も可能である。
以上の説明から明らかなように、本発明の第1の実施形態に係る落下試験装置10によれば、落下物体である球体50が試験対象物である水71に衝突したときの、球体50が水から受ける衝撃力を高精度に測定することが可能となる。また、刻々と変化する落下中の球体50の位置、変位速度および加速度も正確に測定することが可能である。これらの正確な測定データは、例えば、数値的なシミュレーションの妥当性や能力を議論するための参照データとして活用することが可能である。なお、上記の説明では、試験対象物として水を用いる場合を例示したが、試験対象物は水以外の流体または固体であってもよい。
なお、図1では、信号光を一本のみとする場合を例示しているが、互いに角度が異なる3本の信号光を使うことにより、三次元での測定が可能となる。その場合、3本の信号光の角度差が大きいほど、測定範囲(測定可能な高さ方向の範囲)は、小さくなる。ただし、3本の信号光の角度差が大きいほど、三次元測定の精度は高くなる。測定では、常にコーナーキューブプリズムの光学的頂点の、それぞれの信号光に並行な成分の、速度、位置、加速度が測定される。基本形としては、1本の信号光は、鉛直方向に設定し、それに対して、僅かに角度を持たせて2本の信号光を導入することが望ましい。こうして、鉛直方向の信号光に加え、それと角度が異なる2本の信号光を追加で使うことにより、落下物体の水平面内の2自由度の速度、位置、加速度の精密測定が可能となる。
なお、図1では、信号光を一本のみとする場合を例示しているが、互いに角度が異なる3本の信号光を使うことにより、三次元での測定が可能となる。その場合、3本の信号光の角度差が大きいほど、測定範囲(測定可能な高さ方向の範囲)は、小さくなる。ただし、3本の信号光の角度差が大きいほど、三次元測定の精度は高くなる。測定では、常にコーナーキューブプリズムの光学的頂点の、それぞれの信号光に並行な成分の、速度、位置、加速度が測定される。基本形としては、1本の信号光は、鉛直方向に設定し、それに対して、僅かに角度を持たせて2本の信号光を導入することが望ましい。こうして、鉛直方向の信号光に加え、それと角度が異なる2本の信号光を追加で使うことにより、落下物体の水平面内の2自由度の速度、位置、加速度の精密測定が可能となる。
[第2の実施形態]
図7は、本発明の第2の実施形態に係る落下試験装置10Aの構成を示す図である。なお、図7において、第1の実施形態に係る落下試験装置10(図1参照)と同一または対応する構成要素には、同一の参照符号を付与し、重複する説明は省略する。
図7は、本発明の第2の実施形態に係る落下試験装置10Aの構成を示す図である。なお、図7において、第1の実施形態に係る落下試験装置10(図1参照)と同一または対応する構成要素には、同一の参照符号を付与し、重複する説明は省略する。
第1の実施形態に係る落下試験装置10では、落下物体として球体50を用い、水面から受ける力の向きが落下物体の運動の方向と同じ方向となる場合の、落下物体が水面から受ける力の運動方向成分を精密に測定するものであった。これに対して、第2の実施形態に係る落下試験装置10Aは、落下物体として鉛直軸に対して非対称な形状を有する非球状体56を用い、水面から受ける力の向きが落下物体の運動の方向と著しく異なる方向となる場合の、落下物体が水面から受ける力の運動方向成分を精密に測定するものである。
落下試験装置10Aにおいて、落下物体である非球状体56は、静圧空気直動軸受250によって支持される。静圧空気直動軸受250は、ガイド方向である鉛直方向に伸長するガイド部252と、ガイド部252におけるガイド方向に沿って移動可能にガイド部252に取り付けられた可動部251と、を含む。可動部251のガイド部252への取り付け面の摩擦抵抗は極めて小さく、非球状体56の鉛直方向の運動に与える影響は殆どない。可動部251には、水平方向に伸びるリンク253の一端が接続され、リンク253の他端には、鉛直方向に伸びるリンク254の一端が接続されている。リンク254の他端には、非球状体56が接続されている。リンク253とリンク254との接続部には、コーナーキューブプリズム51が固定されている。可動部251がガイド部252に沿って鉛直方向に落下すると、これに伴って非球状体56も鉛直方向に落下する。すなわち、非球状体56の運動方向は静圧空気直動軸受250によって拘束される。コーナーキューブプリズム51は、非球状体56とともに鉛直方向に落下する。すなわち、コーナーキューブプリズム51および非球状体56は、これらが一体となった剛体として運動する。
なお、静圧空気直動軸受250に、非接触のリニアモータを組み込み、任意の初速を簡便に与えられるようにすることは有効である。その際に、リニアモータ駆動時および非駆動時に、リニアモータが発生する力を、あらかじめ同じ光波干渉計を用いて精密に測定しておくことは重要である。リニアモータが発生する力は、可動部251の慣性力から、可動部251が空気中を運動する際の空気の摩擦抵抗および重力を差し引くことにより精密に測定することが可能である。可動部251の慣性力は、可動部251の全質量と、可動部251の加速度との積として求めることができる。
静圧直動空気軸受にリニアモータを組み込んだ落下試験装置における特性評価は下記の文献にあるボイスコイルモータの特性試験と同様な方法が好適である。
Y. Fujii, K. Maru and T. Jin, “Method for evaluating the electrical and mechanical characteristics of a voice coil actuator”, Precision Engineering, Vol.34, No.4, pp.802-806, 2010
また、任意の初速設定に留まらず、リニアモータを駆動させ、落下物体を任意の速度パターンで運動させ、その際に、落下物体が流体から受ける力、落下物体の位置、速度を、精密に測定することも可能である。その際、落下物体(軸受可動部等、一体となって運動するものを含む)に被試験流体から受ける力は、[物体に流体から受ける力] = [物体の加速度と質量の積] - [物体にリニアモータから受ける力]として求めることができる。なお、物体の加速度には、前述のように、重力加速度を含む。
なお、静圧空気直動軸受250に、非接触のリニアモータを組み込み、任意の初速を簡便に与えられるようにすることは有効である。その際に、リニアモータ駆動時および非駆動時に、リニアモータが発生する力を、あらかじめ同じ光波干渉計を用いて精密に測定しておくことは重要である。リニアモータが発生する力は、可動部251の慣性力から、可動部251が空気中を運動する際の空気の摩擦抵抗および重力を差し引くことにより精密に測定することが可能である。可動部251の慣性力は、可動部251の全質量と、可動部251の加速度との積として求めることができる。
静圧直動空気軸受にリニアモータを組み込んだ落下試験装置における特性評価は下記の文献にあるボイスコイルモータの特性試験と同様な方法が好適である。
Y. Fujii, K. Maru and T. Jin, “Method for evaluating the electrical and mechanical characteristics of a voice coil actuator”, Precision Engineering, Vol.34, No.4, pp.802-806, 2010
また、任意の初速設定に留まらず、リニアモータを駆動させ、落下物体を任意の速度パターンで運動させ、その際に、落下物体が流体から受ける力、落下物体の位置、速度を、精密に測定することも可能である。その際、落下物体(軸受可動部等、一体となって運動するものを含む)に被試験流体から受ける力は、[物体に流体から受ける力] = [物体の加速度と質量の積] - [物体にリニアモータから受ける力]として求めることができる。なお、物体の加速度には、前述のように、重力加速度を含む。
第2の実施形態に係る落下試験装置10Aでは、運動方向が鉛直方向に拘束された状態で落下する非球状体56の位置、変位速度、加速度および慣性力が、第1の実施形態に係る落下試験装置10によるプロセスと同じプロセスで取得される。
第2の実施形態に係る落下試験装置10Aによれば、落下物体が鉛直軸に対して非対称な形状とされ、水面から受ける力の向きが落下物体の運動の方向と著しく異なる方向となる場合の、落下物体が水面から受ける力の運動方向成分を精密に測定することが可能である。
[第3の実施形態]
図8は、本発明の第3の実施形態に係る落下試験装置10Bの構成を示す図である。なお、図8において、第1の実施形態に係る落下試験装置10(図1参照)および第2の実施形態に係る落下試験装置10A(図7参照)と同一または対応する構成要素には、同一の参照符号を付与し、重複する説明は省略する。
図8は、本発明の第3の実施形態に係る落下試験装置10Bの構成を示す図である。なお、図8において、第1の実施形態に係る落下試験装置10(図1参照)および第2の実施形態に係る落下試験装置10A(図7参照)と同一または対応する構成要素には、同一の参照符号を付与し、重複する説明は省略する。
第1の実施形態に係る落下試験装置10は、球体50を自由落下させ、水面に対して垂直方向に球体50を衝突させた場合の、球体50が水面から受ける力の運動方向成分を精密に測定するものであった。これに対して、第3の実施形態に係る落下試験装置10Bは、落下物体を水面に対して斜め方向から衝突させた場合の、落下物体が水面から受ける力の運動方向成分を精密に測定するものである。
本実施形態に係る落下試験装置10Bにおいは、第2の実施形態の場合と同様、落下物体として非球状体56が用いられ、非球状体56の運動方向が静圧空気直動軸受250によって拘束される。本実施形態において、静圧空気直動軸受250のガイド部252によるガイド方向は、鉛直方向に対して傾斜している。可動部251がガイド部252のガイド方向に沿って運動することにより、非球状体56は鉛直方向に対して傾斜した方向に運動する。従って、非球状体56は、容器70に収容された水71の水面に対して斜め方向から衝突する。コーナーキューブプリズム51は、非球状体56と一体となって運動する。無偏光ビームスプリッタ22を透過したレーザ光L1は、非球状体56の運動方向に進行するようにミラー23による反射角度が調整される。
第3の実施形態に係る落下試験装置10Bでは、運動方向が鉛直方向に対して斜め方向に拘束された状態で落下する非球状体56の位置、変位速度、加速度および慣性力が、第1の実施形態に係る落下試験装置10によるプロセスと同じプロセスで取得される。
第3の実施形態に係る落下試験装置10Bによれば、落下物体を水面に対して斜め方向から衝突させた場合の、落下物体が水面から受ける力の運動方向成分を精密に測定することが可能である。
[第4の実施形態]
図9は、本発明の第4の実施形態に係る落下試験装置10Cの構成を示す図である。なお、図9において、第1の実施形態に係る落下試験装置10(図1参照)と同一または対応する構成要素には、同一の参照符号を付与し、重複する説明は省略する。
図9は、本発明の第4の実施形態に係る落下試験装置10Cの構成を示す図である。なお、図9において、第1の実施形態に係る落下試験装置10(図1参照)と同一または対応する構成要素には、同一の参照符号を付与し、重複する説明は省略する。
第1の実施形態に係る落下試験装置10は、互いに異なる周波数を有する2つのレーザ光L1およびL2を出射する2周波型のレーザ光源12を備えた光波干渉計を有するものであった。これに対して、第4の実施形態に係る落下試験装置10Cは、単一の周波数のレーザ光を出射する1周波型のレーザ光源12Aを備えた光波干渉計を有する。
レーザ光源12Aは、周波数f1のレーザ光L1を出射する。レーザ光源12Aの光軸方向前方には、アイソレータ14が配置されている。アイソレータ14は、一方向の光のみを透過し、逆方向の光を遮断する光学部品である。すなわち、レーザ光源12Aから出射されたレーザ光L1はアイソレータ14を透過する一方、レーザ光源12側とは反対側からアイソレータ14に入射する光は遮断される。
アイソレータ14を透過したレーザ光L1は、無偏光ビームスプリッタ26により分岐され、一方は、光軸方向に進行してミラー23に入射し、他方は光軸方向と直交する方向に反射されコーナーキューブプリズム24に入射する。コーナーキューブプリズム24で180°折り返されたレーザ光L1は、参照光として再び無偏光ビームスプリッタ26に入射する。
ミラー23によって反射されたレーザ光L1は、鉛直方向上側から球体50の内部に入射する。球体50の内部に入射したレーザ光L1は、コーナーキューブプリズム51によって180°折り返される。コーナーキューブプリズム51によって反射されたレーザ光をレーザ光L3とする。球体50が落下し、球体50に変位が生じると、当該変位に応じてレーザ光L3の位相がシフトする。レーザ光L3は、光波干渉計における信号光として利用される。
レーザ光L3は、ミラー23によって反射され、再び無偏光ビームスプリッタ26に入射する。無偏光ビームスプリッタ26によって光軸方向と直交する方向に反射されたレーザ光L3は、参照光としてのレーザ光L1と重ね合わせられ、光検出器36に入射する。光検出器36は、受光した光の強度に応じた電気信号を生成するフォトダイオード等の光電変換素子である。光検出器36によって生成された電気信号は、デジタイザ35に供給される。
上記したように、レーザ光L3の位相は、球体50の変位に応じて変化する。従って、球体50の落下中において、レーザ光L1とレーザ光L3とを重ね合わせて干渉させると、球体50の位置に応じて光の明暗が交互に出現する。より具体的には、球体50にλ/2の変位が生じる毎に、光の強弱が反転する。コンピュータ44は、デジタイザ35に記録された光検出器36の出力波形において、光の強弱の出現回数をカウントする所謂フリンジカウンティングを行うことにより、各時刻における球体50の位置xを導出する。また、コンピュータ44は、算出した各時刻における球体50の位置xを数値微分することにより、各時刻における球体50の変位速度vを導出する。また、コンピュータ44は、算出した各時刻における球体50の変位速度vを更に数値微分することにより、各時刻における球体50の加速度aを導出する。更にコンピュータ44は、第1の実施形態の場合と同様、加速度aから、球体50に作用するすべての力Fmassおよび球体50が水71から受ける力Fwaterを導出する。
以上のように、第4の実施形態に係る落下試験装置10Cによれば、光波干渉計に1周波レーザを用いているので、2周波レーザを用いる場合と比較して安価な装置構成とすることが可能となる。
[第5の実施形態]
図10は、本発明の第5の実施形態に係る落下試験装置10Dの構成を示す図である。図10において、第1の実施形態に係る落下試験装置10(図1参照)と同一または対応する構成要素には、同一の参照符号を付与し、重複する説明は省略する。
図10は、本発明の第5の実施形態に係る落下試験装置10Dの構成を示す図である。図10において、第1の実施形態に係る落下試験装置10(図1参照)と同一または対応する構成要素には、同一の参照符号を付与し、重複する説明は省略する。
第5の実施形態に係る落下試験装置10Dは、内部にコーナーキューブプリズムが埋め込まれていない球体を用いる場合に適用し得る構成を有するものである。また、第5の実施形態に係る落下試験装置10Dは、ベース330に固定された固体である試験対象物340に球体50Aを衝突させたときの、球体50Aが試験対象物340から受ける力を測定するものとして構成されている。
球体50Aの表面全体は粗面となっている。ミラー23によって反射され、鉛直方向下方に向かうレーザ光は、凸レンズ301によって集光され、球体50Aに照射される。球体50Aの表面を粗面とすることで、球体50Aに照射されたレーザ光の球体50Aの表面での反射は、拡散反射となる。球体50Aの表面が凸レンズ301の焦点付近にある場合、球体50Aの表面で散乱されたレーザ光は、凸レンズ301でコリメートされる。凸レンズ301の焦点距離が長いほど計測範囲は長くなる。凸レンズ301の焦点位置を、球体50Aが試験対象物340と衝突する時の球体50Aの上面の位置に合わせておくことで、球体50Aと試験対象物340との衝突前後における位置、変位速度、加速度および慣性力を、第1の実施形態に係る落下試験装置10と同様に取得することが可能である。
落下試験装置10Dにおいて、レーザ光源12の光軸方向前方には、ビームエキスパンダ310が配置されている。ビームエキスパンダ310は、レーザ光源12から出射されたレーザ光の径を拡大する光学部品である。偏光ビームスプリッタ22とコーナーキューブプリズム24との間および偏光ビームスプリッタ22とミラー23との間にはそれぞれ、1/4波長板320および321が設けられている。光学系をこのように構成することで、光検出器33および34から第1の実施形態と同様の出力波形を得ることができる。
落下試験装置10Dでは、球体50の位置、速度、加速度および慣性力が、第1の実施形態に係る落下試験装置10によるプロセスと同じプロセスで取得される。落下試験装置10Dにおいて、球体50Aが試験対象物340に衝突したときの、球体50Aが試験対象物340から受ける力は、上記第1の実施形態におけるFwaterに対応する。落下試験装置10Dにおいて、コンピュータ44は、(4)式に基づいて、Fwaterを球体50Aが試験対象物340から受ける動的な衝撃力として導出する。
以上のように、第5の実施形態に係る落下試験装置10Dによれば、内部にコーナーキューブプリズムが埋め込まれていない球体を用いて測定を行うことが可能である。なお、球体50Aの材質は、表面を粗面とすることができるものであれば特に限定されない。また、本実施形態に係る落下試験装置10Dの構成によれば、落下物体の姿勢変動が測定に影響を与えないので、鉛直軸に対して非対称である形状を有する物体を落下物体として用いることができる。
なお、図10の例では、落下物体が固体の試験対象物に落下・衝突する際の相互関係を調べる装置構成を示したが、固体の試験対象物の替わりに、図1に示すような液体の試験対象物を用いてもよい。また、固体の対象物として、力センサを置くことにより、力センサの衝撃応答特性を高精度に調べることが可能となる。力センサの受感部に、コーナーキューブプリズムを埋め込んだ鋼球等を落下させることにより、衝突期間中に時々刻々変化する受感部に作用する力を高精度に測定することが可能となる。これと、力センサの出力信号の時系列を比較することにより、力センサの衝撃応答特性を評価することができる。同様に、前述の市販のロードセル(力センサ)を用いた落下試験装置等の精度評価、特性評価を行うこともできる。
なお、図10の例では、落下物体が固体の試験対象物に落下・衝突する際の相互関係を調べる装置構成を示したが、固体の試験対象物の替わりに、図1に示すような液体の試験対象物を用いてもよい。また、固体の対象物として、力センサを置くことにより、力センサの衝撃応答特性を高精度に調べることが可能となる。力センサの受感部に、コーナーキューブプリズムを埋め込んだ鋼球等を落下させることにより、衝突期間中に時々刻々変化する受感部に作用する力を高精度に測定することが可能となる。これと、力センサの出力信号の時系列を比較することにより、力センサの衝撃応答特性を評価することができる。同様に、前述の市販のロードセル(力センサ)を用いた落下試験装置等の精度評価、特性評価を行うこともできる。
[第6の実施形態]
図11は、本発明の第6の実施形態に係る落下試験装置10Eの構成を示す図である。なお、図11において、第1の実施形態に係る落下試験装置10(図1参照)と同一または対応する構成要素には、同一の参照符号を付与し、重複する説明は省略する。
図11は、本発明の第6の実施形態に係る落下試験装置10Eの構成を示す図である。なお、図11において、第1の実施形態に係る落下試験装置10(図1参照)と同一または対応する構成要素には、同一の参照符号を付与し、重複する説明は省略する。
上記の第1の実施形態に係る落下試験装置10では、球体50が水71に突入した後は、レーザ光を球体50内のコーナーキューブプリズム51に照射し続けることは困難であり、球体50が水71に突入した後のデータを取得することは困難である。これに対して、第6の実施形態に係る落下試験装置10Eは、球体が水71に突入した後も各種データの取得を可能とする構成を有する。
図12は、第6の実施形態に係る落下試験装置10Eに用いられる球体50Bの断面図である。球体50Bは、2つのコーナーキューブプリズム51aおよび51bを有する。コーナーキューブプリズム51aは、鉛直方向上側から球体50Bに入射するレーザ光を反射させるために用いられ、コーナーキューブプリズム51bは、鉛直方向下側から球体50Bに入射するレーザ光を反射させるために用いられる。図12では、2つのコーナーキューブプリズム51a、51bの幾何学的頂点同士を、ほぼ一致させるような配置になっている。コーナーキューブプリズム51a、51bの光学的頂点はコーナーキューブプリズム51a、51bの内側にある。2つのコーナーキューブプリズム51a、51bの光学的頂点同士を一致させるには、例えば,両方のコーナーキューブプリズム51a、51bの頂点部を、光学的頂点を含む平面で切断し、貼り合わせると良い。なお、切断面は、黒く塗装し、光を反射しにくいようにすることが望ましい。
また、球体50Bは、鉛直方向上側からのレーザ光を球体50Bの内部に導入するための開口部52aと、鉛直方向下側からのレーザ光を球体50Bの内部に導入するための開口部52bとを有する。下側の開口部52bは、照射されたレーザ光を透過させる蓋53で塞がれている。蓋53は、球体50Bと同じ曲率を有する球面形状を有している。このように、開口部52bを、球面形状を有する蓋53で塞ぐことにより、球体50Bは、ほぼ完全な球形となり、取得される各データの汎用性が向上する。なお、開口部52bを塞ぐ蓋53として凸レンズを使用した場合には、コーナーキューブプリズム51bで反射されて球体50Bの外部に放射される光が広がってしまい、十分な強度の信号光を得ることができない。そこで、本実施形態では、蓋53としてメニスカスレンズを使用している。蓋53としてメニスカスレンズを使用することで、コーナーキューブプリズム51bで反射されて球体50Bの外部に放射される光を平行光に戻すことが可能となる。なお、上側の開口部52aにも同様の蓋を設けてもよい。球体50Bの上側および下側に球体50Bの曲率に合わせた蓋を付けることにより、ほぼ完全な球形の物体に作用する流体からの力を測定することが可能になる。図11に示すように、球体50Bは、上側の開口部52aが鉛直方向上側に向けられ、下側の開口部52bが鉛直方向下側に向けられた状態で電磁石62に保持される。
図11に示すように、第6の実施形態に係る落下試験装置10Eは、鉛直方向下側から球体50Bにレーザ光を照射する光波干渉計の構成要素として、無偏光ビームスプリッタ201、ミラー202、偏光ビームスプリッタ203、ミラー204、コーナーキューブプリズム205、ミラー206、グラントムソンプリズム231および光検出器233を更に備えている。
無偏光ビームスプリッタ201は、レーザ光源12から出射されたレーザ光Lrestを、鉛直方向上側から球体50Bに照射する経路と鉛直方向下側から球体50Bに照射する経路とに分岐させる。無偏光ビームスプリッタ201によって、球体50Bの下側に導かれたレーザ光Lrestは、ミラー202によって進行方向が90°曲げられ、偏光ビームスプリッタ203に入射する。
偏光ビームスプリッタ203は、レーザ光Lrestを周波数f1のレーザ光L1と周波数f2のレーザ光L2とに分割する。レーザ光L2は、コーナーキューブプリズム205によって180°折り返され、再び偏光ビームスプリッタ203に入射する。レーザ光L2は、光波干渉計における参照光として利用される。
ミラー204は、容器70内に設けられ、偏光ビームスプリッタ203を透過したレーザ光L1を、鉛直方向下側から上側に向けて反射させる。ミラー204によって反射されたレーザ光L1は、鉛直方向下側から球体50Bの内部に入射する。球体50B内部に入射したレーザ光L1は、コーナーキューブプリズム51bによって180°折り返される。コーナーキューブプリズム51bによって反射されたレーザ光をレーザ光L3bとする。球体50Bが落下している場合には、レーザ光L3bの周波数f3bは、レーザ光L1の周波数f1に対して、球体50Bの落下速度に応じたドップラーシフト周波数fdだけ大きくなり、f3b=f1+fdとなる。レーザ光L3bは、光波干渉計における信号光として利用される。
レーザ光L3bは、ミラー204によって反射され、再び偏光ビームスプリッタ203に入射する。信号光としてのレーザ光L3bは、参照光としてのレーザ光L2と重ね合わせられ、信号光と参照光の周波数の差分に相当する周波数fbeat2のビートを生ずる干渉光を生じる。この干渉光をレーザ光Lbeat2とする。
ミラー206は、レーザ光Lbeat2をグラントムソンプリズム231に向けて反射させる。レーザ光Lbeatは、グラントムソンプリズム231を透過した後、光検出器233に入射する。光検出器233は、受光した光の強度に応じた電気信号を生成するフォトダイオード等の光電変換素子である。光検出器233によって生成された電気信号は、デジタイザ35に供給される。容器70は、レーザ光L1、L3b、L4が透過し得るように透明な側面を有するものが用いられる。
このように、落下試験装置10Eは、鉛直方向上側からコーナーキューブプリズム51aに向けてレーザ光を照射する光学系を有する上側の光波干渉計と、鉛直方向下側からコーナーキューブプリズム51bに向けて光を照射する光学系を有する下側の光波干渉計と、を有する。
コンピュータ44は、上側の光波干渉計によって有効な測定値が得られる期間における球体50Bの位置、変位速度、加速度および慣性力を、光検出器33の出力信号から求めた周波数fbeatに基づいて導出する。上側の光波干渉計では、例えば、球体50Bに水滴が覆いかぶさり、信号光の強度が保持できなくなるまでの期間において測定が可能である。一方、コンピュータ44は、上側の光波干渉計によって有効な測定値が得られなくなった後の期間における球体50Bの位置、変位速度、加速度および慣性力を、下側の光波干渉計の光検出器233の出力信号から求めた周波数fbeat2に基づいて導出する。下側の光波干渉計では、例えば、球体50Bと水71との間に、気泡等がなくなり、信号光が十分に得られるようになった時点から測定が可能である。上側の光波干渉計によって有効な測定値が得られなくなった時点において球体50Bと水71との間に気泡等がなくなっていることが想定され、下側の光波干渉計が測定可能な状態になっていることが期待できる。このように、球体50Bの上側からレーザ光を照射する光波干渉計と、球体50Bの下側からレーザ光を照射する光波干渉を用いることにより、一方の光波干渉計での測定が不能となる期間を他方の光波干渉計で補完することが可能となる。球体50Bの位置、変位速度、加速度および慣性力を導出するプロセスは、第1の実施形態に係る落下試験装置10におけるプロセスと同様である。
以上の説明から明らかなように、第6の実施形態に係る落下試験装置10Eによれば、球体50Bが水没し、鉛直方向上側から球体50Bに向けて光を照射する光学系を有する光波干渉計による観測が不能となった後も、鉛直方向下側から球体50Bに向けて光を照射する光学系を有する光波干渉計によって球体50Bの位置、変位速度、加速度および慣性力を正確に測定することが可能である。
[第7の実施形態]
図13は、本発明の第7の実施形態に係る落下試験装置10Fの構成を示す図である。なお、図13において、第1の実施形態に係る落下試験装置10(図1参照)と同一または対応する構成要素には、同一の参照符号を付与し、重複する説明は省略する。
図13は、本発明の第7の実施形態に係る落下試験装置10Fの構成を示す図である。なお、図13において、第1の実施形態に係る落下試験装置10(図1参照)と同一または対応する構成要素には、同一の参照符号を付与し、重複する説明は省略する。
第1の実施形態に係る落下試験装置10では、球体50が水71に突入したときの、球体50が水面から受ける力を精密に測定するものであった。これに対して、第7の実施形態に係る落下試験装置10Fは、落下中の球体50と流体である気体との間に作用する摩擦力を測定するものである。
落下試験装置10Fは、試験対象物としての気体76を断熱気密状態で収容するチャンバ75を有する。チャンバ75は、内部に収容される気体の種類、圧力および温度を制御する機能を有する。球体50および球体50を静止状態で保持する電磁石62は、気体76とともにチャンバ75内に収容される。チャンバ75の上面には、透明な窓(図示せず)が設けられており、チャンバ75の内部に収容された球体50へのレーザ光の照射や、球体50で反射されたレーザ光の取り出しが可能となっている。
球体50は、初期状態において電磁石62によってチャンバ75内において静止状態で保持される。電磁石62の電源がオフされると磁力の発生が停止され、球体50はチャンバ75内を落下する。落下試験装置10Fでは、チャンバ75内を落下する球体50の位置、変位速度、加速度および慣性力が、第1の実施形態に係る落下試験装置10によるプロセスと同じプロセスで取得される。落下中の球体50と気体76との間に作用する摩擦力は、上記第1の実施形態におけるFwaterに対応する。落下試験装置10Fにおいて、コンピュータ44は、(4)式に基づいて、Fwaterを球体50と気体76との間に作用する摩擦力として導出する。
このように、第7の実施形態に係る落下試験装置10Fによれば、流体である気体76中を落下する球体50の時々刻々と変化する、位置、変位速度、加速度および慣性力を精密に測定することが可能であり、これにより、球体50と気体76との間に作用する摩擦力を精密に測定することが可能である。得られた上記各データから気体76の各種の力学的なパラメータを導出することが可能である。なお、特に球体50の落下速度が速い場合には、光検出器33の出力信号の周波数をゼロに近づけないようにするために、レーザ光源12から出射される2つのレーザ光のうち、周波数が低い方のレーザ光を信号光として用いることが好ましい。
[第8の実施形態]
図14は、本発明の第8の実施形態に係る落下試験装置10Gの構成を示す図である。なお、図14において、第1の実施形態に係る落下試験装置10(図1参照)と同一または対応する構成要素には、同一の参照符号を付与し、重複する説明は省略する。
図14は、本発明の第8の実施形態に係る落下試験装置10Gの構成を示す図である。なお、図14において、第1の実施形態に係る落下試験装置10(図1参照)と同一または対応する構成要素には、同一の参照符号を付与し、重複する説明は省略する。
第1の実施形態に係る落下試験装置10では、球体50が水71に突入したときの、球体50が水面から受ける力を測定するものであった。これに対して、第8の実施形態に係る落下試験装置10Gは、球体50と流体である水との間に作用する摩擦力を測定するものである。
落下試験装置10Gにおいて、球体50および球体50を静止状態で保持する電磁石62は、容器70内に収容された試験対象物としての水71の中に設けられている。また、水71の表面には、光学窓72が設けられており、球体50に照射されるレーザ光は、光学窓72を介して水中に導入され、球体50内部のコーナーキューブプリズム51で反射されたレーザ光は、光学窓72を介して水中から取り出される。水71の表面に光学窓72を設けることで、水面に生じる波によるレーザ光への影響を除去することが可能となる。容器70は、レーザ光L4が透過し得るように透明な側面を有するものが用いられる。
球体50は、初期状態において電磁石62によって水71内に静止状態で保持される。電磁石62の電源がオフされると磁力の発生が停止され、球体50は水中を落下する。落下試験装置10Gでは、水中を落下する球体50の位置、変位速度、加速度および慣性力が、第1の実施形態に係る落下試験装置10によるプロセスと同じプロセスで取得される。水中を落下する球体50と水71との間に作用する摩擦力は、上記第1の実施形態におけるFwaterに対応する。落下試験装置10Gにおいて、コンピュータ44は、(4)式に基づいて、Fwaterを球体50と水71との間に作用する摩擦力として導出する。
このように、第8の実施形態に係る落下試験装置10Gによれば、流体である水71中を落下する球体50の時々刻々と変化する、位置、変位速度、加速度および慣性力を精密に測定することが可能であり、これにより、球体50と水71との間に作用する摩擦力を精密に測定することが可能である。得られた上記各データから流体の各種の力学的なパラメータを導出することが可能である。
なお、本実施形態では、流体として水を使用する場合を例示したが、流体は水以外の液体または粘弾性流体であってもよい。また、可視光に対して不透明な流体であっても、その流体に対して透過性を有する波長のレーザ光を用いることにより、上記の各データを取得することが可能である。
また、上記の説明では、球体50と流体との間に作用する摩擦力を測定する場合について説明したが、落下試験装置10Gを用いて流体の粘性係数を測定することも可能である。この場合、容器70内に粘性係数を測定しようとする流体を収容し、球体50を当該流体内において落下させたときの終端速度vsを、光波干渉計によって求める。終端速度vsは、球体50に鉛直方向上向きの力を及ぼす抵抗力および浮力と球体50に作用する重力とが釣り合ったときの速度である。球体50が終端速度vsに達すると、その後速度は変化せず一定となる。球体50の直径、流体動粘度、終端速度を用いたレイノルズ数が1程度までであれば、球体50の終端速度vsは、ストークス則を用いることにより、下記の(5)式で表すことができる。
vs=D2(ρ−ρf)g/18η ・・・(5)
一方、レイノルズ数が、1よりも大きく500以下であれば、球体50の終端速度vsは、アレンの法則を用いることにより、下記の(6)式で表すことができる
vs=D{4(ρ−ρf)2g2/225ρfη}1/3 ・・・(6)
ただし、(5)式および(6)式において、Dは球体50の直径、ρは球体50の密度、ρfは流体の密度、ηは流体の粘性係数である。
vs=D2(ρ−ρf)g/18η ・・・(5)
一方、レイノルズ数が、1よりも大きく500以下であれば、球体50の終端速度vsは、アレンの法則を用いることにより、下記の(6)式で表すことができる
vs=D{4(ρ−ρf)2g2/225ρfη}1/3 ・・・(6)
ただし、(5)式および(6)式において、Dは球体50の直径、ρは球体50の密度、ρfは流体の密度、ηは流体の粘性係数である。
(5)式または(6)式に光波干渉計を用いて求めた球体50の終端速度vsを代入することで、流体の粘性係数ηを取得することが可能である。
本発明で試験対象となるのは、落下物体(慣性質量)と、それと作用する気体・液体・固体の双方である。本発明により、その相互作用の関係を高精度に計測することが可能となる。本手法により、被試験体(落下物体)が被試験流体から受ける力が、被試験体の位置、速度と共に、高空間分解能、かつ、高時間分解能で計測することができる。この測定データを、各種実験式、各種理論式、各種数値計算に当てはめることで、各種流体の粘性や密度などの物性値を得ることができる。粘性の圧力依存性など、より詳細な特性評価を行うこともできる。また、この測定データを用いることで、様々な形状・運動状態の被試験体と各種流体との相互作用に関する、より高精度な各種実験式の導出、各種理論式のパラメータの導出を行うこともできる。また、数値計算コード、市販の流体解析ソフトウェアなどの精度検証を行うこともできる。流体としては、水、シリコンオイルなどの他、食塩水、砂糖水、鎖状高分子の水溶液や、微小気泡が高密度に混入した水、氷が浮いた水など、様々な流体の特性を調べることができる。また、光波干渉計は、被試験落下物、被試験流体と離して設置することが可能であるので、高温、低温の流体を用いることもできる。例えば、加熱炉に入った溶鋼、エンジンオイルなどの高温流体、断熱容器に入れられた液体窒素、液体ヘリウムなどの低温流体の自由表面に落下・衝突する被試験体(落下物体)が受ける力、位置、速度の関係を調べることもできる。例えば、流体内の粒子運動に対しては、運動方程式(BBO方程式)の各項の寄与を評価できる可能性もあり、現在までの実験式、理論式の確認と更新、さらには数値計算コードの精度評価を行うことができる、高い精度の実験データを得ることができる。
本発明で試験対象となるのは、落下物体(慣性質量)と、それと作用する気体・液体・固体の双方である。本発明により、その相互作用の関係を高精度に計測することが可能となる。本手法により、被試験体(落下物体)が被試験流体から受ける力が、被試験体の位置、速度と共に、高空間分解能、かつ、高時間分解能で計測することができる。この測定データを、各種実験式、各種理論式、各種数値計算に当てはめることで、各種流体の粘性や密度などの物性値を得ることができる。粘性の圧力依存性など、より詳細な特性評価を行うこともできる。また、この測定データを用いることで、様々な形状・運動状態の被試験体と各種流体との相互作用に関する、より高精度な各種実験式の導出、各種理論式のパラメータの導出を行うこともできる。また、数値計算コード、市販の流体解析ソフトウェアなどの精度検証を行うこともできる。流体としては、水、シリコンオイルなどの他、食塩水、砂糖水、鎖状高分子の水溶液や、微小気泡が高密度に混入した水、氷が浮いた水など、様々な流体の特性を調べることができる。また、光波干渉計は、被試験落下物、被試験流体と離して設置することが可能であるので、高温、低温の流体を用いることもできる。例えば、加熱炉に入った溶鋼、エンジンオイルなどの高温流体、断熱容器に入れられた液体窒素、液体ヘリウムなどの低温流体の自由表面に落下・衝突する被試験体(落下物体)が受ける力、位置、速度の関係を調べることもできる。例えば、流体内の粒子運動に対しては、運動方程式(BBO方程式)の各項の寄与を評価できる可能性もあり、現在までの実験式、理論式の確認と更新、さらには数値計算コードの精度評価を行うことができる、高い精度の実験データを得ることができる。
[第9の実施形態]
図15は、本発明の第9の実施形態に係る落下試験装置10Hの構成を示す図である。なお、図15において、第1の実施形態に係る落下試験装置10(図1参照)と同一または対応する構成要素には、同一の参照符号を付与し、重複する説明は省略する。
図15は、本発明の第9の実施形態に係る落下試験装置10Hの構成を示す図である。なお、図15において、第1の実施形態に係る落下試験装置10(図1参照)と同一または対応する構成要素には、同一の参照符号を付与し、重複する説明は省略する。
第9の実施形態に係る落下試験装置10Hは、上記の第8の実施形態に係る落下試験装置10G(図14参照)と同様、球体50と流体との間に作用する摩擦力や、流体の粘性係数を測定し得る構成を有するものである。上記の第8の実施形態に係る落下試験装置10Gでは、容器70に収容された流体が、気泡を含む場合、固体粒子を含む場合、不透明である場合には、球体50に対するレーザ光の送受信が困難となり、各種データの測定が困難となる。これに対して、第9の実施形態に係る落下試験装置10Hでは、容器70に収容された流体80が、気泡を含む場合、固体粒子を含む場合、不透明である場合でも対応し得る構成を有する。
落下試験装置10Hにおいて、球体50は、静圧空気直動軸受250によって支持されている。静圧空気直動軸受250は、ガイド方向である鉛直方向に伸長するガイド部252と、ガイド部252におけるガイド方向に沿って移動可能にガイド部252に取り付けられた可動部251と、を含む。可動部251のガイド部252への取り付け面の摩擦抵抗は極めて小さく、球体50の鉛直方向の運動に与える影響は殆どない。可動部251には、水平方向に伸びるリンク253の一端が接続され、リンク253の他端には、鉛直方向に伸びるリンク254の一端が接続されている。リンク254の他端には、球体50が接続されている。リンク253とリンク254との接続部には、コーナーキューブプリズム51が固定されている。可動部251がガイド部252に沿って鉛直方向に落下すると、これに伴って球体50は流体80内を鉛直方向に落下する。コーナーキューブプリズム51は、球体50とともに鉛直方向に落下することとなるが、流体80内に埋没することはないので、流体80が、気泡を含む場合、固体粒子を含む場合、不透明である場合でも、流体の中を落下する球体50の位置、速度、加速度および慣性力を、第1の実施形態に係る落下試験装置10によるプロセスと同じプロセスで取得することが可能である。
[第10の実施形態]
図16は、本発明の第10の実施形態に係る落下試験装置10Iの構成を示す図である。なお、図16において、第1の実施形態に係る落下試験装置10(図1参照)と同一または対応する構成要素には、同一の参照符号を付与し、重複する説明は省略する。
図16は、本発明の第10の実施形態に係る落下試験装置10Iの構成を示す図である。なお、図16において、第1の実施形態に係る落下試験装置10(図1参照)と同一または対応する構成要素には、同一の参照符号を付与し、重複する説明は省略する。
上記の第8の実施形態に係る落下試験装置10G(図14参照)は、鉛直方向下方に向けて落下する球体50の位置、変位速度、加速度および慣性力を測定するものであった。これに対して、第10の実施形態に係る落下試験装置10Iは、鉛直方向を上下に往復運動する球体50の位置、変位速度、加速度および慣性力を測定するものである。また、落下試験装置10Iは、レーザ光を鉛直方向下側から球体に照射する光学系を有する光波干渉計を有する。
図17Aは、落下試験装置10Iに用いられる球体50Cの断面図である。球体50Cは、鉛直方向下側からのレーザ光を球体50Cの内部に導入するための開口部52を有する。開口部52は、照射されたレーザ光を透過させる蓋53で塞がれている。蓋53は、球体50Cと同じ曲率を有する球面形状を有している。このように、開口部52を、球面形状を有する蓋53で塞ぐことにより、球体50Cは、ほぼ完全な球形となり、取得されるデータの汎用性が向上する。なお、開口部52を塞ぐ蓋53として凸レンズを使用した場合には、コーナーキューブプリズム51で反射されて球体50Cの外部に放射される光が広がってしまい、十分な強度の信号光を得ることができない。そこで、本実施形態では、蓋53としてメニスカスレンズを使用している。蓋53としてメニスカスレンズを使用することで、コーナーキューブプリズム51で反射されて球体50Cの外部に放出される光を平行光に戻すことが可能となる。
図17Bは、落下試験装置10Iに用いられる他のタイプの球体50Dの断面図である。球体50Dは、開口部52を塞ぐ蓋53が凸レンズとして機能する。球体50Dに向けて照射されるレーザ光は、凸レンズとして機能する蓋53を透過することによって集光される。球体50Dの内部の、蓋53によって形成されるレンズの焦点面上には凹レンズ54が設けられている。凹レンズ54で反射されて球体50Dの外部に放射されるレーザ光は、蓋53を透過する際に平行光に戻される。
図16に示すように、落下試験装置10Iは、球体50C(または50D)を鉛直方向上方に向けて打ち上げる、中空構造を有する打ち上げ機73を容器70内に有する。球体50Cは、初期状態において、打ち上げ機73によって静止状態で保持される。球体50Cは、打ち上げ機73によって鉛直方向上方に向けて打ち上げられると、水中を鉛直方向に沿って上下に運動する。球体50Cが重力によって減速および落下する様子が、鉛直方向下側から球体50Cにレーザ光を照射するように構成された光学系を有する光波干渉計によって観測される。本実施形態において、ミラー23は、容器70内において打ち上げ機73の下側に設けられている。ミラー23によって反射されたレーザ光L1は、鉛直方向下側から球体50Cに照射される。容器70は、レーザ光L1、L3、L4が透過し得るように透明な側面を有するものが用いられる。
落下試験装置10Iでは、水中を鉛直方向に沿って上下に運動する球体50Cの位置、変位速度、加速度および慣性力が、第1の実施形態に係る落下試験装置10よるプロセスと同じプロセスで取得される。落下中の球体50Cと流体80との間に作用する摩擦力は、上記第1の実施形態におけるFwaterに対応する。落下試験装置10Iにおいて、コンピュータ44は、(4)式に基づいて、Fwaterを球体50Cと流体80との間に作用する摩擦力として導出する。
第10の実施形態に係る落下試験装置10Iによれば、第8の実施形態と同様、流体80中を運動する球体50Cの時々刻々と変化する、位置、変位速度、加速度および慣性力を精密に測定することが可能である。これにより、球体50Cと流体80との間に作用する摩擦力を精密に測定することが可能である。得られた上記各データから流体の各種の力学的なパラメータを導出することが可能である。また、落下試験装置10Iによれば、球体50Cが鉛直方向に沿って上下に往復運動するので、データの測定可能期間を長くすることができ、測定精度の安定化を図ることができる。
[第11の実施形態]
図18は、本発明の第11の実施形態に係る粘弾性測定装置10Jの構成を示す図である。図18において、第1の実施形態に係る落下試験装置10(図1参照)と同一または対応する構成要素には、同一の参照符号を付与し、重複する説明は省略する。
図18は、本発明の第11の実施形態に係る粘弾性測定装置10Jの構成を示す図である。図18において、第1の実施形態に係る落下試験装置10(図1参照)と同一または対応する構成要素には、同一の参照符号を付与し、重複する説明は省略する。
粘弾性測定装置10Jは、粘弾性流体の動的粘弾性の測定を行うものである。試験対象物である粘弾性を有する流体80は、容器70内に収容されている。流体80は、容器70内に収容された状態において、加振機90によって鉛直方向の振動が加えられる。流体80の上面に設置されたコーナーキューブプリズム51は、流体80の振動に伴って振動する。加振機90の駆動により動的ひずみが流体80に与えられ、それに応答して動的応力が流体80に生じる。
粘弾性測定装置10Jにおいては、流体80に振動を加えたときの動的応答、すなわち、時々刻々と変化する流体80の上下方向の位置、変位速度、加速度および慣性力が第1の実施形態に係る落下試験装置10によるプロセスと同じプロセスで取得される。加振機90の振動を制御するための加振入力信号Svは、流体80に与えられる動的ひずみを示す信号としてデジタイザ35に記録される。流体80に生じる動的応力は光波干渉計によって計測される。動的ひずみと動的応力との位相差から流体80の動的粘弾性を取得することが可能である。
上記した第1〜第11の実施形態に係る落下試験装置および粘弾性測定装置の各構成要素および第1〜第11の実施形態に係る落下試験方法における各要素は、適宜組み合わせることが可能である。
10、10A、10B、10C、10D、10E、10F、10G、10H、10I 落下試験装置
12 レーザ光源
21 無偏光ビームスプリッタ
22 偏光ビームスプリッタ
23、25 ミラー
24 コーナーキューブプリズム
33、34 光検出器
35 デジタイザ
44 コンピュータ
46 ハイスピードカメラ
50、50A、50B、50C 球体
71 水
76 空気
80 流体
250 静圧空気直動軸受
12 レーザ光源
21 無偏光ビームスプリッタ
22 偏光ビームスプリッタ
23、25 ミラー
24 コーナーキューブプリズム
33、34 光検出器
35 デジタイザ
44 コンピュータ
46 ハイスピードカメラ
50、50A、50B、50C 球体
71 水
76 空気
80 流体
250 静圧空気直動軸受
Claims (23)
- 反射部を備えた落下物体と、
前記反射部に光を照射する光源を有し、落下している前記落下物体と試験対象物との間で力が作用しているときの前記反射部からの反射光の状態変化を検出する光波干渉計と、
前記光波干渉計で検出された前記反射部からの反射光の状態変化に基づいて、前記落下物体の加速度を導出し、導出した前記加速度に基づいて前記落下物体が前記試験対象物から受ける力を導出する導出部と、
を含む落下試験装置。 - 前記反射部は、入射する光の方向と同じ方向に光を反射させる光学部品を含み、前記光学部品が前記落下物体の内部に埋め込まれている
請求項1に記載の落下試験装置。 - 前記落下物体は球体であり、前記光学部品はコーナーキューブプリズムを含み、
前記コーナーキューブプリズムの光学的頂点と、前記コーナーキューブプリズムが埋め込まれた状態の前記球体の重心とが一致している
請求項2に記載の落下試験装置。 - 前記反射部は、前記落下物体の粗面とされた表面部分によって構成される
請求項1に記載の落下試験装置。 - ガイド方向に伸長するガイド部と、前記ガイド方向に沿って移動可能に前記ガイド部に取り付けられた可動部と、を含む直動軸受を更に含み、
前記落下物体は、前記可動部に支持され、運動方向が拘束されている
請求項1に記載の落下試験装置。 - 前記ガイド部の前記ガイド方向が鉛直方向に対して傾斜しており、前記落下物体の運動方向が鉛直方向に対して傾斜した方向に拘束されている
請求項5に記載の落下試験装置。 - 前記落下物体は、鉛直軸に対して非対称な形状を有する請求項5または請求項6に記載の落下試験装置。
- 前記光波干渉計は、鉛直方向上側から前記反射部に向けて光を照射する光学系を有する第1の光波干渉計と、鉛直方向下側から前記反射部に向けて光を照射する光学系を有する第2の光波干渉計と、を含む、
請求項2または請求項3に記載の落下試験装置。 - 前記反射部は、鉛直方向上側から照射された光を反射する第1のコーナーキューブプリズムと、鉛直方向下側から照射された光を反射する第2のコーナーキューブプリズムと、を含む
請求項8に記載の落下試験装置。 - 前記落下物体は球体であり、鉛直方向上側から照射された光を前記第1のコーナーキューブプリズムに導入するための第1の開口部と、鉛直方向下側から照射された光を前記第2のコーナーキューブプリズムに導入するための第2の開口部と、を含み、
前記第1の開口部および前記第2の開口部の少なくとも一方は、前記球体の曲率と同じ曲率を有する球面形状を有する透明な蓋で塞がれている
請求項9に記載の落下試験装置。 - 前記導出部は、前記落下物体が前記試験対象物と衝突するときの前記落下物体に作用する衝撃力を、前記落下物体が前記試験対象物から受ける力として導出する
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の落下試験装置。 - 前記導出部は、前記試験対象物である流体と、前記流体の中を落下する前記落下物体と、の間に作用する摩擦力を、前記落下物体が前記試験対象物から受ける力として導出する
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の落下試験装置。 - 前記落下物体を前記試験対象物である流体とともに収容する容器と、
前記落下物体を前記容器の内部において鉛直方向上方に向けて打ち上げる打ち上げ機を更に含み、
前記導出部は、前記打ち上げ機によって鉛直方向上方に向けて打ち上げられて前記流体の中を運動する前記落下物体と、前記流体と、の間に作用する摩擦力を、前記落下物体が前記試験対象物から受ける力として導出する
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の落下試験装置。 - 前記導出部は、前記光波干渉計で検出された前記反射部からの反射光の状態変化に基づいて、前記落下物体の終端速度を導出し、導出した前記終端速度に基づいて前記流体の粘性係数を導出する
請求項12または13に記載の落下試験装置。 - 落下物体に備えられた反射部に光を照射し、
落下している前記落下物体と試験対象物との間で力が作用しているときの前記反射部からの反射光の状態変化を光波干渉計によって検出し、
前記光波干渉計で検出された前記反射部からの反射光の状態変化に基づいて、前記落下物体の加速度を導出し、導出した前記加速度に基づいて前記落下物体が前記試験対象物から受ける力を導出する
落下試験方法。 - 前記反射部をコーナーキューブプリズムで構成し、前記落下物体として、内部に前記コーナーキューブプリズムを埋め込んだ球体を用いる
請求項15に記載の落下試験方法。 - ガイド方向に伸長するガイド部と、前記ガイド方向に沿って移動可能に前記ガイド部に取り付けられた可動部と、を含む直動軸受の前記可動部に前記落下物体を固定することにより、前記落下物体の運動方向を拘束する
請求項15に記載の落下試験方法。 - 前記ガイド部の前記ガイド方向を鉛直方向に対して傾斜させ、前記落下物体の運動方向を鉛直方向に対して傾斜した方向に拘束する
請求項17に記載の落下試験方法。 - 前記落下物体として、鉛直軸に対して非対称な非球状体を用いる
請求項17または請求項18に記載の落下試験方法。 - 鉛直方向上側から前記反射部に向けて光を照射する光学系を有する第1の光波干渉計と、鉛直方向下側から前記反射部に向けて光を照射する光学系を有する第2の光波干渉計と、を用いて、前記反射部からの反射光の状態変化を検出する
請求項15または請求項16に記載の落下試験方法。 - 前記落下物体が前記試験対象物と衝突するときの前記落下物体に作用する衝撃力を、前記落下物体が前記試験対象物から受ける力として導出する
請求項15から請求項20のいずれか1項に記載の落下試験方法。 - 前記試験対象物である流体と、前記流体の中を落下する前記落下物体との間に作用する摩擦力を、前記落下物体が前記試験対象物から受ける力として導出する
請求項15から請求項20のいずれか1項に記載の落下試験方法。 - 前記光波干渉計で検出された前記反射部からの反射光の状態変化に基づいて、前記落下物体の終端速度を導出し、導出した前記終端速度に基づいて前記流体の粘性係数を導出する
請求項22に記載の落下試験方法。
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JP2014143357A JP2016017951A (ja) | 2014-07-11 | 2014-07-11 | 落下試験装置および落下試験方法 |
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CN110243524A (zh) * | 2019-07-15 | 2019-09-17 | 西南交通大学 | 一种大推力超导直线电机的三轴力性能测试装置 |
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2014
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CN110243524A (zh) * | 2019-07-15 | 2019-09-17 | 西南交通大学 | 一种大推力超导直线电机的三轴力性能测试装置 |
CN110243524B (zh) * | 2019-07-15 | 2024-04-05 | 西南交通大学 | 一种大推力超导直线电机的三轴力性能测试装置 |
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