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JP2015510776A - 修飾rnアーゼh酵素及びその使用 - Google Patents

修飾rnアーゼh酵素及びその使用 Download PDF

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JP2015510776A JP2015501817A JP2015501817A JP2015510776A JP 2015510776 A JP2015510776 A JP 2015510776A JP 2015501817 A JP2015501817 A JP 2015501817A JP 2015501817 A JP2015501817 A JP 2015501817A JP 2015510776 A JP2015510776 A JP 2015510776A
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ウォルダー,ジョゼフ・アラン
ベールケ,マーク・アーロン
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インテグレイテツド・デイー・エヌ・エイ・テクノロジーズ・インコーポレイテツド
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Abstract

本発明は、核酸増殖及び検出に関連する生物学的用途のためのRNアーゼH切断を用いるアッセイに対する改善を提供し、前記RNアーゼHは可逆的に不活性化されている。

Description

本発明は、リボヌクレアーゼH(RNアーゼH)酵素を熱可逆的不活性化のために酸無水物で化学的に修飾する方法及び前記修飾酵素を用いる用途に関する。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、DNAの単コピーまたは少数コピーを指数的に増幅させるユビキタスな方法である。この技術は30年経っているが、その使用は増え続けており、現在配列決定、機能ゲノム学、診断、法医学及び遺伝子発現の方法に組み込まれている。
現在多数のPCRの変法が存在しており、多くは幾つかの基本的ステップ:相補的塩基間の水素結合を切断するために高温で変性して、一本鎖標的DNAを形成するステップ;低温でプライマーをアニールするステップ;及び60℃以上で最適活性を有する耐熱性ポリメラーゼ酵素を用いてプライマーを伸長させるステップ;を共有しており、これにより標的DNAを増幅させている。PCRは完璧なシステムでなく、典型的には耐熱性酵素がなお僅かな活性を有している低温で非特異的増幅が起こる。この欠点によりPCRの多くの用途が妨げられており、非特異的増殖を減少または解消するために「ホットスタートPCR」方法が考案された。
「ホットスタートPCR」は、反応物を高温、通常95℃またはその前後に加熱し、プライマーアニーリング温度、通常60℃またはその前後に冷却するまでポリメラーゼ連鎖反応の開始を防止する方法の使用を指す。最初のホットスタートPCR方法は、反応成分間の物理的バリアを除去すべく加熱することにより壊され得る物理的バリアを使用した。このアプローチの初期実施形態の1つでは、核酸(標的DNA、プライマー、デオキシヌクレオチド及び緩衝液)をワックスシールによりDNAポリメラーゼから分離する。反応物を95℃に加熱するとワックスが溶融してDNAポリメラーゼと他の反応成分が混合し得、プライマー結合を生じさせるために反応物を十分に冷却したらPCRが開始する。現在、ホットスタートPCRは通常、加熱により逆転され得るDNAポリメラーゼを幾つかの方法により不活性化する均質な反応ミックスを用いて実施することを含む。例には、化学的修飾(例えば、本発明においてRNアーゼH2を可逆的に不活性化するために使用されている無水物修飾スキーム)、DNAポリメラーゼに結合する抗体、またはDNAポリメラーゼに結合するアプタマーが含まれる。いずれの場合も、DNAポリメラーゼ活性を制限する物質を加熱により変性または分解させる。
可逆的に不活性化されるホットスタートTaq DNAポリメラーゼは、典型的には修飾されていない天然Taq ポリメラーゼに比して5〜10倍高価である。コストが高いにも関わらず、ホットスタートPCRは現在PCR用途においてほぼ独占的に使用されている。ホットスタート法を用いると、PCRの結果が2つの方向で改善される:
1)向上した特異性。ホットスタート法がない場合、プライマーは低温で不完全な配列マッチを有する複雑な核酸サンプル中の部位に結合し、DNA合成を開始し得、こうすると望ましくない産物が増殖され得る。ホットスタート法はこのタイプのミスプライミングを抑制または防止し得る。
2)PCRサイクリングが始まる前に反応物を室温で不活性に維持できる。高スループットスクリーニング方法の場合、後にロボットラボ機器によりPCRサーモサイクラーに充填するために室温で保持されている多数のPCRプレート(数千の個々の反応物を含む)をセットアップすることが一般的である。ホットスタート法がない場合、いったん最終的にPCRが開始すると試薬を消費し、PCRの品質を低下させるDNAポリメラーゼ及びプライマーに依存する副反応が生ずる。
低温で本質的に不活性であり、よって望ましくない非特異的増殖を制限する他の酵素を利用するPCRの変法が開発されている。Walderら(米国特許出願2009/0325169)に記載されている1つの例は、3’末端またはその近くに保護基を含有しているプライマーを使用している。このプライマーは、保護基が低温では全くまたは殆ど活性を持たないRNアーゼH酵素により切断されるまで伸長し得ない。
RNアーゼHは、RNA:DNA二重鎖の一部のときRNA鎖中のホスホジエステル結合を切断するエンドリボヌクレアーゼである。この酵素はDNAまたはハイブリダイズされていない一本鎖RNAを切断しない。この特徴により、所望の相補的DNAが逆転写により合成されたらRNA鋳型を分解するcDNA合成のような生物学的用途においてRNアーゼHが有用となる。
無水物修飾は、最も一般的にはテルムス・アクウァーティクス(Thermus aquaticus)(Taq)由来の一般的なDNAポリメラーゼのような耐熱性DNAポリメラーゼに適用するときに熱可逆的不活性化のためにタンパク質を修飾するために広く使用されている(Birchら,米国特許No.5,773,258を参照されたい)。これらの無水物は、式1
Figure 2015510776
(式中、R及びRは水素、または置換もしくは未置換のアルキルまたはアリール基であり、或いはR及びRは環状基を形成する)
に示す一般構造を有している。
好ましい無水物の例には、無水シトラコン酸及び無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸が含まれるが、これらに限定されない。これらの試薬をRNアーゼH2タンパク質と反応させると、可逆的不活性化が生じた。無水物はリシンの末端アミン及びタンパク質のN末端を修飾して、電荷を変化させ、多分タンパク質のコンホメーションに影響を与える(図1)。使用する無水物の種類に応じて除去カイネテックスが異なるが(Walderら,Mol.Pharmacol,1977,13(3):407−414を参照されたい)、これらのタンパク質修飾が高温及び低pHに対して高感受性であることは公知である(Dixon and Perham,Biochem.J,1968,109(2):312−314を参照されたい)。
本発明は、核酸増殖及び検出に関連する生物学的用途のためにRNアーゼH切断を使用するアッセイに対して改善をも与え、前記RNアーゼHは可逆的に不活性化されている。本発明のこれらの作用効果及び他の作用効果、並びに追加の本発明の特徴は本明細書中に与えられている本発明の記載から明らかであろう。
米国特許出願公開第2009/0325169号明細書 米国特許第5,773,258号明細書
Dixon and Perham,Biochem.J,1968,109(2):312−314 Walderら,Mol Pharmacol,1977,13(3):407−414
本発明は、核酸増殖及び検出に関連する生物学的用途のためにRNアーゼH切断を使用するアッセイに対して改善をも与え、前記RNアーゼHは可逆的に不活性化される。
RNアーゼH、特に好熱性RNアーゼH酵素の使用は多数の他の生物学的アッセイ(全文を参照により本明細書に組み入れるWalderら,米国特許出願番号2009/0325169を参照されたい)にも敷衍される。好熱性RNアーゼH酵素は核酸増殖及び検出アッセイでのホットスタートプロトコルを可能にし、前記アッセイにはホットスタート成分が反応において使用される高温で活性を獲得する耐熱性RNアーゼHまたは他のニッキング酵素であるPCR、OLA(オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ)、LCR(ライゲーション連鎖反応)、多項式増殖及びDNAシーケンシングが含まれるが、これらに限定されない。前記アッセイは、相補的核酸配列に対してハイブリダイズし、機能性5’または3’末端を生ずるように切断されるまで反応に関与できない本発明の修飾オリゴヌクレオチドを使用している。標準の無修飾DNAオリゴヌクレオチドを使用する対応のアッセイと比較して、特異性が大きく高まる。更に、可逆的に不活性化されるDNAポリメラーゼまたはDNAリガーゼに対する要件が取り除かれる。
ホットスタートRNアーゼHの幾つかの代替物が存在している:1)バイロコッカス・アビシ(Pyrococcus abysii)RNアーゼH2の場合のように低温で本質的に全くまたは殆ど活性を有していない耐熱性RNアーゼH酵素;2)化学的修飾により可逆的に不活性化される耐熱性RNアーゼH;及び3)遮断抗体により可逆的に不活性化される耐熱性RNアーゼH。加えて、ランダム変異誘発のような当業界で公知の手段により、本発明のアッセイにおいて望ましいRNアーゼHの形質を更に改善し得るRNアーゼHの突然変異バージョンが合成され得る。或いは、本発明にとって望ましい特性を有している他の酵素の突然変異株を使用し得る。本発明の方法は主に第2の選択に向けられている。
タンパク質修飾のために有用な各種無水物化合物の構造を含む。無水シス−アコチニン酸、無水シトラコン酸及び無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸の化学構造を示す。 リシン残基の無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸との反応及び加熱処理による前記無水物の除去のスキームを示す。リシン残基に対して無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸をカップリングして、修飾酵素の不活性化をもたらす反応スキームを示す(上部)。この構造を加熱または低pHで処理すると(下部)、反応が逆転し、この時点で無修飾の酵素は再活性化される。 RNアーゼH2活性についてのFQレポーターオリゴヌクレオチドアッセイを示す。RNアーゼH2活性についての蛍光クエンチしたヘアピンプローブアッセイを示す。DNA塩基は大文字であり、RNA塩基は小文字であり、FAMは6−カルボキシフルオレセインであり、FQはアイオワブラック(登録商標)FQダーククエンチャーである。インタクト状態では、プローブはFAMレポーター染料がアイオワブラックダーククエンチャーと整列しているヘアピンを形成する。この配置で、プローブは「ダーク」である。プローブのRNアーゼH2による切断はリボ−C残基の5’側で起こる。高い反応温度で、切断断片が解離して、レポーター染料がクエンチャーから分離する。この状態では、プローブは「プライト」であり、ポジティブシグナルは520nm FAM励起で検出される。 2.6mU 酵素を用いる無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸修飾P.a.RNアーゼH2の不活性化及び加熱再活性化のアッセイを示す。無修飾及び無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸修飾P.a.RNアーゼH2の相対活性をFQレポーターオリゴヌクレオチドアッセイを用いて特性評価した。アッセイは60℃で0.9nM 酵素(無修飾酵素の場合2.6mU)を用いて10μLの反応物中で行った。蛍光測定値を10分間のインキュベーション中11秒毎に集めた。酵素を反応物に直接(上部パネル)か、または無水物修飾を逆転させ、酵素活性を再活性化するために95℃で10分間インキュベートした後(下部パネル)添加する。RFUは相対蛍光単位である。 200mU 酵素を用いる無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸修飾P.a.RNアーゼH2の不活性化及び加熱再活性化のアッセイを示す。無修飾及び無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸修飾P.a.RNアーゼH2の相対活性をFQレポーターオリゴヌクレオチドアッセイを用いて特性評価した。アッセイは60℃で67nM 酵素(無修飾酵素の場合200mU)を用いて10μLの反応物中で行った。蛍光測定値を10分間のインキュベーション中11秒毎に集めた。酵素を反応物に直接(上部パネル)か、または無水物修飾を逆転させ、酵素活性を再活性化するために95℃で10分間インキュベートした後(下部パネル)添加する。RFUは相対蛍光単位である。 2.6mU 酵素を用いる無水シス−アコチニン酸修飾P.a.RNアーゼH2の不活性化及び加熱再活性化のアッセイを示す。無修飾及び無水シス−アコチニン酸修飾P.a.RNアーゼH2の相対活性をFQレポーターオリゴヌクレオチドアッセイを用いて特性評価した。アッセイは60℃で0.9nM 酵素(無修飾酵素の場合2.6mU)を用いて10μLの反応物中で行った。蛍光測定値を10分間のインキュベーション中11秒毎に集めた。酵素を反応物に直接(上部パネル)か、または無水物修飾を逆転させ、酵素活性を再活性化するために95℃で10分間インキュベートした後(下部パネル)添加する。RFUは相対蛍光単位である。 200mU 酵素を用いる無水シス−アコチニン酸修飾P.a.RNアーゼH2の不活性化及び加熱再活性化のアッセイを示す。無修飾及び無水シス−アコチニン酸修飾P.a.RNアーゼH2の相対活性をFQレポーターオリゴヌクレオチドアッセイを用いて特性評価した。アッセイは60℃で67nM 酵素(無修飾酵素の場合200mU)を用いて10μLの反応物中で行った。蛍光測定値を10分間のインキュベーション中11秒毎に集めた。酵素を反応物に直接(上部パネル)か、または無水物修飾を逆転させ、酵素活性を再活性化するために95℃で10分間インキュベートした後(下部パネル)添加する。RFUは相対蛍光単位である。 2.6mU 酵素を用いる無水シス−アコチニン酸修飾P.a.RNアーゼH2の不活性化及び加熱再活性化のアッセイを示す。無修飾及び無水シス−アコチニン酸修飾P.a.RNアーゼH2の相対活性をFQレポーターオリゴヌクレオチドアッセイを用いて特性評価した。アッセイは60℃で0.9nM 酵素(無修飾酵素の場合2.6mU)を用いて10μLの反応物中で行った。蛍光測定値を10分間のインキュベーション中11秒毎に集めた。酵素を反応物に直接(上部パネル)か、または無水物修飾を逆転させ、酵素活性を再活性化するために95℃で10分間インキュベートした後(下部パネル)添加する。RFUは相対蛍光単位である。 200mU 酵素を用いる無水シトラコン酸修飾P.a.RNアーゼH2の不活性化及び加熱再活性化のアッセイを示す。無修飾及び無水シトラコン酸修飾P.a.RNアーゼH2の相対活性をFQレポーターオリゴヌクレオチドアッセイを用いて特性評価した。アッセイは60℃で67nM 酵素(無修飾酵素の場合200mUmU)を用いて10μLの反応物中で行った。蛍光測定値を10分間のインキュベーション中11秒毎に集めた。酵素を反応物に直接(上部パネル)か、または無水物修飾を逆転させ、酵素活性を再活性化するために95℃で10分間インキュベートした後(下部パネル)添加する。RFUは相対蛍光単位である。 無修飾組換えパイロコッカス・アビシ(Pyrococcus abyssi)RNアーゼH2のESI−MSスペクトルを示す。P.a.RNアーゼH2をエレクトロスプレーイオン化質量分析法(ESI−MS)により試験した。デコンボリューショントレースのスペクトルの質量を示し、主要ピークの分子量(ダルトン)を示す。 無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸で修飾した組換えパイロコッカス・アビシRNアーゼH2のESI−MSスペクトルを示す。P.a.RNアーゼH2を合計で3倍モル過剰の無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸と反応させ、修飾タンパク質をエレクトロスプレーイオン化質量分析法(ESI−MS)により試験した。質量スペクトルのデコンボリューショントレースを示し、主要ピークの分子量(ダルトン)を示す。 無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸で修飾した後、加熱処理した組換えパイロコッカス・アビシRNアーゼH2のESI−MSスペクトルを示す。P.a.RNアーゼH2を合計で3倍モル過剰の無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸と反応させ、修飾タンパク質を95℃で10分間加熱して、修飾反応を逆転させた。最終産物をエレクトロスプレーイオン化質量分析法(ESI−MS)により試験した。質量スペクトルのデコンボリューショントレースを示し、主要ピークの分子量(ダルトン)を示す。 ホットスタートDNAポリメラーゼを用いて室温で一晩インキュベートした後に行ったqPCRの増殖プロットを示す。増殖反応をホットスタートDNAポリメラーゼ(iTaq)を用いて実施した。全ての反応成分を一緒に混合し、反応プレートを室温で一晩インキュベートした。無修飾プライマー(左パネル)を使用すると、効率的な増殖反応が生じ、天然P.a.RNアーゼH2(左上)と無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸修飾ホットスタートP.a.RNアーゼH2(左下)の添加の間に差は見られなかった。保護されている切断可能なプライマー(右パネル)を使用すると、効率的な増殖反応が生じ、天然P.a.RNアーゼH2(右上)と無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸修飾ホットスタートP.a.RNアーゼH2(右下)の添加の間に差は見られなかった。 天然(非ホットスタート)Taq DNAポリメラーゼを用いて室温で一晩インキュベートした後に行ったqPCRの増殖プロットを示す。増殖反応を天然Taq DNAポリメラーゼ(非ホットスタート)を用いて実施した。全ての反応成分を一緒に混合し、反応プレートを室温で一晩インキュベートした。無修飾プライマー(左パネル)を使用すると、標的核酸配列の検出可能な増殖は生じなかった;反応を天然P.a.RNアーゼH2(左上)と無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸修飾ホットスタートP.a.RNアーゼH2を用いて行った(左下)。保護されている切断可能なプライマー(右パネル)を使用すると、無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸修飾ホットスタートP.a.RNアーゼHを使用したときには標的核酸の効率的な増殖が生じた(右下)が、天然P.a.RNアーゼH2を使用したときには増殖は生じなかった(右上)。 無修飾プライマー及び天然P.a.RNアーゼH2を用いる高温RTを用いてヒトSFRS9遺伝子を検出するRT−qPCRの増殖プロットを示す。反応を無修飾順方向及び逆方向PCRプライマーを用いるシングルチューブフォーマットでHawkZ05(商標)ファストワンステップRT−PCRマスターミックスを用いて実施した。逆方向PCRプライマーはRTプライマーとしても機能する。逆転写(RT)反応を20ngのヒーラ細胞RNAを用いて行い、55℃で5分間、60℃で5分間及び65℃で5分間のインキュベーションを段階的に進めた後、95℃で10分間の変性ステップ、その後PCRの45サイクルを実施した。反応をRNアーゼH2なしで、または指示したように2.6mU、25mUまたは200mUの天然P.a.RNアーゼH2を用いて行った。 無修飾プライマー及び無水物修飾HS−P.a.RNアーゼH2を用いる高温RTを用いてヒトSFRS9遺伝子を検出するRT−qPCRの増殖プロットを示す。反応を無修飾順方向及び逆方向PCRプライマーを用いるシングルチューブフォーマットでHawkZ05(商標)ファストワンステップRT−PCRマスターミックスを用いて実施した。逆方向PCRプライマーはRTプライマーとしても機能する。逆転写(RT)反応を20ngのヒーラ細胞RNAを用いて行い、55℃で5分間、60℃で5分間及び65℃で5分間のインキュベーションを段階的に進めた後、95℃で10分間の変性/RNアーゼH2活性化ステップ、その後PCRの45サイクルを実施した。反応をRNアーゼH2なしで、または指示したように2.6mU、25mUまたは200mUの無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸修飾P.a.RNアーゼH2を用いて行った。 保護されている切断可能なFor PCRプライマー及び無水物修飾HS−P.a.RNアーゼH2を用いる高温RTを用いてヒトSFRS9遺伝子を検出するRT−qPCRの増殖プロットを示す。反応を保護されている切断可能な順方向PCRプライマー及び無修飾逆方向PCRプライマーを用いるシングルチューブフォーマットでHawkZ05(商標)ファストワンステップRT−PCRマスターミックスを用いて実施した。逆方向PCRプライマーはRTプライマーとしても機能する。逆転写(RT)反応を20ngのヒーラ細胞RNAを用いて行い、55℃で5分間、60℃で5分間及び65℃で5分間のインキュベーションを段階的に進めた後、95℃で10分間の変性/RNアーゼH2活性化ステップ、その後PCRの45サイクルを実施した。反応をRNアーゼH2なしで、または指示したように2.6mU、25mUまたは200mUの無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸修飾P.a.RNアーゼH2を用いて行った。 無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸修飾P.a.RNアーゼH及び無修飾の外部RTプライマーを用いる高温RT−qPCRからのSFRS9遺伝子の増殖産物を示す。反応を無修飾(U)For及びRev PCRプライマーまたは保護されている切断可能な(B)For及びRev rhPCRプライマーを用いるシングルチューブフォーマットでHawkZ05(商標)ファストワンステップRT−PCRマスターミックスを用いて実施した。逆転写(RT)反応を10ngのヒーラ細胞RNAを用いて行い、55℃で5分間、60℃で5分間及び65℃で5分間のインキュベーションを段階的に進めた後、95℃で10分間の変性/RNアーゼH2活性化ステップ、その後PCRの45サイクルを実施した。反応を10mUの無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸修飾P.a.RNアーゼH2を用いて行った。無修飾の外部RTプライマーを指示した濃度で使用した。(For及びRev PCRプライマーから作成した)所望の145bpアンプリコンの位置を示す。(For PCRプライマー及びRTプライマーから作成した)望ましくない170bpアンプリコンの位置を示す。 無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸修飾P.a.RNアーゼH及び中心rC RNA残基を含有している修飾外部RTプライマーを用いる高温RT−qPCRからのSFRS9遺伝子の増殖産物を示す。反応を無修飾(U)For及びRev PCRプライマーまたは保護されている切断可能な(B)For及びRev rhPCRプライマーを用いるシングルチューブフォーマットでHawkZ05(商標)ファストワンステップRT−PCRマスターミックスを用いて実施した。逆転写(RT)反応を10ngのヒーラ細胞RNAを用いて行い、55℃で5分間、60℃で5分間及び65℃で5分間のインキュベーションを段階的に進行させた後、95℃で10分間の変性/RNアーゼH2活性化ステップ、その後PCRの45サイクルを実施した。反応を10mUの無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸修飾P.a.RNアーゼH2を用いて行った。1個の中央に位置するrc RNA残基を含有している修飾外部RTプライマーを指示した濃度で使用した。(For及びRev PCRプライマーから作成した)所望の145bpアンプリコンの位置を示す。(For PCRプライマー及びRTプライマーから作成した)望ましくない170bpアンプリコンの位置を示す。外部RTプライマーの非存在下(0nM)で対照反応を行った。 無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸修飾P.a.RNアーゼH及び中心脱塩基ナフチル−アゾ修飾因子を含有している修飾外部RTプライマーを用いる高温RT−qPCRからのSFRS9遺伝子の増殖産物を示す。反応を無修飾(U)For及びRev PCRプライマーまたは保護されている切断可能な(B)For及びRev rhPCRプライマーを用いるシングルチューブフォーマットでHawkZ05(商標)ファストワンステップRT−PCRマスターミックスを用いて実施した。逆転写(RT)反応を10ngのヒーラ細胞RNAを用いて行い、55℃で5分間、60℃で5分間及び65℃で5分間のインキュベーションを段階的に進めた後、95℃で10分間の変性/RNアーゼH2活性化ステップ、その後PCRの45サイクルを実施した。反応を10mUの無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸修飾P.a.RNアーゼH2を用いて行った。1つの中心に位置する脱塩基ナフチル−アゾ修飾因子を含有している修飾外部RTプライマーを指示した濃度で使用した。(For及びRev PCRプライマーから作成した)所望の145bpアンプリコンの位置を示す。(For PCRプライマー及びRTプライマーから作成した)望ましくない170bpアンプリコンの位置を示す。
1つの実施形態では、本発明の組成物及び方法は、RNアーゼH2酵素を可逆的に不活性化し、加熱すると再活性化されるようにするための該酵素の修飾を含む。RNアーゼH2は、化学的に修飾されたホットスタートRNアーゼH2酵素(HS−RNアーゼH2)を生成するように酸無水物で修飾される。更なる実施形態では、RNアーゼH2酵素は微生物パイロコッカス・アビシ(P.a.)由来である。本明細書中に記載されている方法はPCR及び逆転写PCR(RT−PCR)アッセイにおけるHS−RNアーゼH2の改善された有用性をも記載している。
保護されている切断可能なプライマーとRNアーゼH2の併用はPCR(rhPCR)の特異性を向上させる。更に、プライマーに依存するDNA合成反応は、プライマーがRNアーゼH2切断により活性化されるまで保護されている切断可能なプライマーを用いて起こり得ない;P.a.RNアーゼH2のようなあるRNアーゼH2酵素は室温で最小の活性を有している。従って、rhPCRは高価な市販のホットスタートDNAポリメラーゼを使用する必要なく、天然Taq DNAポリメラーゼを用いて十分に実施し得る;すなわち、rhPCRは本質的にホットスタート挙動を示し得る。本明細書中、特に明記しない限り、HS−RNアーゼH2への言及は非天然RNアーゼH2を指す。
1つの実施形態では、HS−RNアーゼH2は高温RT反応でも使用され得る。RNAから逆転写(RT)により作成されるcDNA中の標的遺伝子レベルを定量するために高特異性rhPCR(保護されている切断可能なプライマー及びRNアーゼH2を使用する)を使用することが有利であり得る。RT反応はRNA鋳型からのcDNAの合成をプライミングするためにDNAオリゴヌクレオチドを使用する。プライミング複合体はRNA:DNAヘテロ二重鎖を形成して、RT反応におけるRNアーゼH2活性の存在は標的RNAを分解し、反応の効率を低下させるおそれがある。RT−qPCRはしばしば、まずRT反応を例えばトリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)RT酵素またはモロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)RT酵素を用いて低温(典型的には、37〜42℃)で行う2ステッププロセスとして行われている。cDNA合成反応の完了後、PCRを高温(典型的には、60〜72℃)で実施する。これらの反応を別々のチューブで実施する場合、RNアーゼH2酵素はcDNA合成が完了した後に添加し得る。RT及びPCRステップを1つのチューブで関連させる場合、RNアーゼH2はRT中に存在していなければならず、RNA標的を分解し得る。実施例5は、RNA配列中のSNPをHS−RNアーゼH2及びrhPCRを用いて同定し得るという本発明の別の作用効果を立証している。これは、RNAを配列変化について分析しなければならない各種分野で使用され得る。
ワンチューブRT−PCRを保護されているプライマー及びHS−RNアーゼH2酵素を用いて実施できることは実施例4において立証されている。この実施例では、1つの保護されているプライマーをその後のPCRにおいてRTプライマー及び逆方向プライマーの両方として作用する保護されていない逆方向プライマーと共に使用している。
HS−RNアーゼH2がRT−qPCR一塩基多型(SNP)アッセイにおいて機能できることは実施例5において立証されている。この実施例では、2つの異なるRNAサンプル間の1つのヌクレオチドの違いをワンチューブRT−PCRシステム及びRNA塩基の反対側にある可能性あるSNPを有する1つの保護されているプライマーを用いて検出している。
HS−RNアーゼH2が2つの保護されているプライマー及び外部の保護されていない逆転写プライマーを含有しているRT−qPCRアッセイにおいて機能できることは以下の実施例11において立証されている。
HS−RNアーゼH2は、RNAが逆転写される前に天然酵素の活性がRNAを分解する高温RT反応においても使用され得る。この作用効果は実施例9及び10において示されている。実施例9はRNA配列中のSNPをHS−RNアーゼH2及びrhPCRを用いて同定され得るという本発明の追加の作用効果を立証している。これは、RNAを配列変化について分析しなければならない多くの各種分野で使用され得る。
P.a.RNアーゼH2は25℃で低活性を有しているが、rhPCRを実施する前に長いプレインキュベーション時間があるとき(すなわち、多数の反応をロボットを用いてバッチで実施する場合)にはこれは十分でないことがある。HS−RNアーゼH2により酵素の可逆的不活性化が生じ得、必要なときには機能性を完全に戻すことができる。この作用効果の例を実施例11に示す。
定義
本発明の理解を助けるために、幾つかの用語を以下に定義する。
本明細書中で使用されている用語「核酸」及び「オリゴヌクレオチド」は、(2−デオキシ−D−リボースを含有している)ポリデオキシリボヌクレオチド、(D−リボースを含有している)ポリリボヌクレオチド、及びプリンまたはピリミジン塩基のN−グリコシドである他のタイプのポリヌクレオチドを指す。用語「核酸」、「オリゴヌクレオチド」及び「ポリヌクレオチド」を長さの点で区別する意図はなく、これらの用語は互換可能に使用されている。これらの用語は、分子の主要構造のみを指す。よって、これらの用語には、二本鎖及び一本鎖DNA、並びに二本鎖及び一本鎖RNAが含まれる。本明細書中で使用する場合、オリゴヌクレオチドは塩基、糖またはホスフェート骨格が修飾されているヌクレオチドアナログ、並びに非プリンまたは非ピリミジンヌクレオチドアナログを含み得る。
オリゴヌクレオチドは適当な方法により作成され得、これらの方法には各々が参照により本明細書に組み入れるNarangら,1979,Meth.Enzymol.,68:90−99のホスホトリエステル方法;Brownら,1979,Meth.Enzymol.,68:109−151のホスホジエステル方法;Beaucageら,1981,Tetrahedron Lett.,22:1859−1862のジエチルホスホラミダイト方法;及び米国特許No.4,458,066の固体補助体方法のような方法による直接化学的合成が含まれる。オリゴヌクレオチドおよび修飾ヌクレオチドのコンジュゲートの合成方法の概説は参照により本明細書に組み入れるGoodchild、1990,Bioconjugate Chemistry,1(3):165−187に記載されている。
本明細書中で使用されている用語「ハイブリダイゼーション」は、相補的塩基対合のために2つの一本鎖核酸による二重構造の形成を指す。ハイブリダイゼーションは、完全相補的核酸鎖間またはミスマッチのマイナー領域を含有している「実質的に相補的な」核酸鎖間で起こり得る。完全相補的核酸鎖のハイブリダイゼーションが非常に好ましい条件を「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」または「配列特異的ハイブリダイゼーション条件」と称する。実質的に相補的な配列の安定な二重鎖は余りストリンジェントでないハイブリダイゼーション条件下で形成され得る;許容されるミスマッチの程度はハイブリダイゼーション条件を適当に調節することによりコントロールされ得る。核酸テクノロジーの当業者は、例えばオリゴヌクレオチドの長さ及び塩基対組成、イオン強度及びミスマッチな塩基対の頻度を含めた多数の変数を考慮して、業界により提供されているガイドライン(例えば、参照により本明細書に組み入れるSambrookら,1989,Molecular Cloning−A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,New York;Wetmur,1991,Critical Review in Biochem.and Mol.Biol.,26(3/4):227−259;及びOwezarzyら,2008,Biochemistry,47:5336−5353を参照されたい)に従って二重鎖安定性を経験的に調べることができる。
本明細書中で使用されている用語「標的」、「標的配列」、「標的領域」及び「標的核酸」は同義語であり、増幅、配列決定または検出しようとする核酸の領域または配列を指す。
本明細書中で使用されている用語「プライマー」は、適当な条件下でのDNA合成の開始ポイントとして作用し得るオリゴヌクレオチドを指す。前記条件には、核酸鎖に対して相補的なプライマー伸長産物の合成を4つの異なるヌクレオシドトリホスフェート及び伸長剤(例えば、DNAポリメラーゼまたは逆転写酵素)の存在下、適切な緩衝液中、適当な温度で誘発させる条件が含まれる。プライマー伸長は1つ以上のヌクレオチドトリホスフェートの非存在下でも実施され得、この場合限定された長さの伸長産物が産生される。本明細書中で使用されている用語「プライマー」は、1つのオリゴヌクレオチドが隣接位置でハイブリダイズする第2オリゴヌクレオチドへのライゲーションにより「伸長」されるライゲーション媒介反応において使用されるオリゴヌクレオチドを包含すると意図される。よって、本明細書中で使用されている用語「プライマー伸長」は、DNA合成の開始ポイントとしてプライマーを用いる個々のヌクレオシドトリホスフェートの重合、及び伸長産物を形成するための2つのオリゴヌクレオチドのライゲーションの両方を指す。
プライマーは好ましくは一本鎖DNAである。プライマーの適当な長さはプライマーの意図する使用に依存するが、典型的には6〜50ヌクレオチド、好ましくは15〜35ヌクレオチドの範囲である。短いプライマー分子は通常鋳型と十分に安定なハイブリッド複合体を形成するためにより低い温度を必要とする。プライマーは鋳型核酸の正確な配列を反映させる必要はないが、鋳型とハイブリダイズするために十分に相補的でなければならない。所与の標的配列の増殖のために適当なプライマーの設計は当業界で公知であり、本明細書中で引用されている文献に記載されている。
プライマーは、プライマーの検出または固定化を可能にするが、DNA合成の開始ポイントとして作用するプライマーの基本的特性を変化させない追加の特徴を取り込み得る。例えば、プライマーは、標的核酸に対してハイブリダイズしないが、増幅産物のクローニングまたは検出を容易にする追加の核酸配列を5’末端に含み得る。ハイブリダイズする鋳型に対して十分相補的であるプライマーの領域を本明細書中ではハイブリダイジング領域と称する。
用語「増幅反応」は、鋳型核酸配列のより多いコピーをもたらす、または鋳型核酸の転写をもたらす酵素反応を含めた化学反応を指す。増殖反応には、逆転写、リアルタイムPCR(米国特許Nos.4,683,195及び4,683,202を参照されたい;PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications(Innisら編,1990)を参照されたい)を含めたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、及びリガーゼ連鎖反応(LCR)(Baranyら,米国特許No.5,494,810を参照されたい)が含まれる。例示的な「増幅反応条件」または「増幅条件」は典型的には2または3ステップサイクルを含む。2ステップサイクルは高温変性ステップ、その後にハイブリダイゼーション/伸長(または、ライゲーション)ステップを含む。3ステップサイクルは、変性ステップ、ハイブリダイゼーションステップ、及び別の伸長またはライゲーションステップを順次含む。
本明細書中で使用されている「ポリメラーゼ」は、ヌクレオチドの重合を触媒する酵素を指す。通常、この酵素は核酸鋳型配列にアニールしたプライマーの3’末端で合成を開始させる。「DNAポリメラーゼ」はデオキシリボヌクレオチドの重合を触媒する。公知のDNAポリメラーゼには、パイロコッカス・フリオスス(Pyrococcus furiosus)(Pfu)DNAポリメラーゼ(Lundbergら,1991,Gene,108:1)、大腸菌DNAポリメラーゼI(Lecomte and Doubleday,1983,Nucleic Acids Res.,11:7505)、T7 DNAポリメラーゼ(Nordstromら,1981,J.Biol.Chem.,256:3112)、サーマス・サーモフィルス(Thermus thermophilus)(Tth)DNAポリメラーゼ(Myers and Gelfand,1991,Biochemistry,30:7661)、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)DNAポリメラーゼ(Stenesh and McGowan,1977,Biochim Biophys Acta,475:32)、超好熱性古細菌(Thermococcus litoralis)(Tli)DNAポリメラーゼ(Vent DNAポリメラーゼとも称される、Carielloら,1991,Nucleic Acids Res.,19:4193)、サーモトガ・マリティマ(Thermotoga maritima)(Tma)DNAポリメラーゼ(Diaz and Sabino,1998,Braz J.Med.Res.,31:1239)、テルムス・アクウォーティクス(Thermus aquaticus)(Taq)DNAポリメラーゼ(Chienら,1976,J.Bacteoriol.,127:1550)、超好熱始原菌(Pyrococcus kodakaraens)KOD DNAポリメラーゼ(Takagiら,1997,Appl.Environ.Microbiol.,63:4504)、JDF−3 DNAポリメラーゼ(特許出願WO 0132887)及びパイロコッカス(Pyrococcus)GB−D(PGB−D)DNAポリメラーゼ(Juncosa−Ginestaら,1994,Biotechniques,16:820)が含まれる。上記酵素のポリメラーゼ活性は当業界で公知の手段により測定され得る。
本明細書中で使用されている場合、十分にストリンジェントな条件下での増殖反応において使用するときにプライマーが主に標的核酸に対してハイブリダイズするならば、このプライマーは標的配列に対して「特異的」である。典型的には、プライマー−標的二重鎖安定性がプライマーとサンプル中に存在している他の配列の間で形成される二重鎖の安定性よりも高いならば、プライマーは標的配列に対して特異的である。当業者は、塩条件、及びプライマーの基本組成及びミスマッチの位置のような各種要因がプライマーの特異性に影響を与えること、及びプライマー特異性のルーチンの実験確認が多くの場合必要であることを認識している。プライマーが標的配列のみと安定な二重鎖を形成し得るハイブリダイゼーション条件を選択し得る。よって、標的特異的プライマーを適当にストリンジェントな増殖条件で使用すると、標的プライマー結合部位を含有している前記標的配列を選択的に増殖させ得る。
本明細書中で使用されている用語「非特異的増殖」は、プライマーが標的配列以外の配列に対してハイブリダイズし、プライマー伸長のための基質として働く結果として標的配列以外の核酸配列が増殖することを指す。プライマーの非標的配列に対するハイブリダイゼーションは「非特異的ハイブリダイゼーション」と称され、特により低い温度、より低いストリンジェンシー、前増殖条件の間、またはサンプル中に単ヌクレオチド多型(SNP)の場合のように真の標的に対して非常に密接に関連している配列を有している変異型対立遺伝子がサンプル中にある場合には起こりがちである。
本明細書中で使用されている用語「反応混合物」は、所与の反応を実施するのに必要な試薬を含有している溶液を指す。増殖反応を実施するのに必要な試薬を含有している溶液を指す「増幅反応混合物」は、典型的には適当な緩衝液中にオリゴヌクレオチドプライマー及びDNAポリメラーゼまたはリガーゼを含有している。「PCR反応混合物」は、典型的には適当な緩衝液中にオリゴヌクレオチドプライマー、DNAポリメラーゼ(最も典型的には、耐熱性DNAポリメラーゼ)、dNTP及び二価金属カチオンを含有している。反応混合物は、反応を可能にするのに必要な試薬を全て含有しているならば完全と称され、必要な試薬の部分集合しか含有していないならば不完全と称される。当業者は、反応成分は便宜性、貯蔵安定性の理由、または成分濃度を用途に応じて調節できるように各々が全成分の部分集合を含有している別々の溶液として日常的に保存されていること、及び反応前に完全反応混合物を作成するために反応成分を組み合わせることを理解している。更に、当業者は、反応成分は市販化のために別々に包装されていること、及び有用な市販キットは本発明の保護されているプライマーを含めた反応成分の部分集合を含有していてもよいことを理解している。
本明細書中で使用されている用語「切断(cleavage)ドメイン」または「切断(cleaving)ドメイン」は同義語であり、プライマーまたは他のオリゴヌクレオチドを切断する切断化合物、例えば切断酵素により認識されるプライマーまたは他のオリゴヌクレオチドの5’及び3’末端の間に位置している領域を指す。本発明の目的では、切断ドメインは、プライマーまたは他のオリゴヌクレオチドが相補的核酸配列に対してハイブリダイズするときだけ切断されるが、一本鎖のときには切断されないように設計されている。切断ドメインまたはそれに隣接する配列は、a)プライマーまたは他のオリゴヌクレオチドのポリメラーゼまたはリガーゼによる伸長またはライゲーションを防止または抑制する、b)変異型対立遺伝子を検出するために判別を強化する、またはc)望ましくない切断反応を抑える部分を含み得る。前記部分の1つ以上を切断ドメインまたはそれに隣接する配列中に含めてもよい。
本明細書中で使用されている用語「RNアーゼH切断ドメイン」は、RNアーゼHに対する基質を与えるリボ核酸残基または別のアナログを1つ以上含有している切断ドメインのタイプである。RNアーゼH切断ドメインはプライマーまたはオリゴヌクレオチド内のどこにでも配置され得、好ましくは分子の3’末端または5’末端またはその近くに配置されている。
「RNアーゼH1切断ドメイン」は通常少なくとも3個の残基を含有している。「RNアーゼH2切断ドメイン」は1個のRNA残基、連続して連結しているRNA残基、またはDNA残基または他の化学基により分離されているRNA残基を含有していてもよい。1つの実施形態では、RNアーゼH2切断ドメインは2’−フルオロヌクレオシド残基である。より好ましい実施形態では、RNアーゼH2切断可能ドメインは2個の隣接する2’−フルオロ残基である。
本明細書中で使用されている用語「切断化合物」または「切断剤」は、プライマーまたは他のオリゴヌクレオチド内の切断ドメインを認識し、切断ドメインの存在に基づいてオリゴヌクレオチドを選択的に切断し得る化合物を指す。本発明において使用される切断化合物は、実質的に相補的な核酸配列に対してハイブリダイズするときのみ切断ドメインを含むプライマーまたは他のオリゴヌクレオチドを選択的に切断するが、一本鎖のときにはプライマーまたは他のオリゴヌクレオチドを切断しない。切断化合物は切断ドメイン内またはそれに隣接するプライマーまたは他のオリゴヌクレオチドを切断する。本明細書中で使用されている用語「隣接する」は、切断化合物が切断ドメインの5’末端または3’末端のいずれかでプライマーまたは他のオリゴヌクレオチドを切断することを意味する。本発明において好ましい切断反応により、5’−ホスフェート基及び3’−OH基が生ずる。
好ましい実施形態では、切断化合物は「切断酵素」である。切断酵素は、プライマーまたは他のヌクレオチドが実質的に相補的な核酸配列に対してハイブリダイズするときに切断ドメインを認識し得るが、相補的核酸配列を切断しない(すなわち、二重鎖中の一本鎖を切断する)タンパク質またはリボザイムである。切断酵素は、一本鎖のときには切断ドメインを含むプライマーまたは他のオリゴヌクレオチドを切断しない。切断酵素の例はRNアーゼH酵素及び他のニッキング酵素である。
本明細書中で使用されている用語「保護基」は、増殖反応が起こらないようにプライマーまたは他のオリゴヌクレオチドに結合している化学部分を指す。例えば、プライマー伸長及び/またはDNAライゲーションは起こらない。保護基がプライマーまたは他のオリゴヌクレオチドから除去されたら、オリゴヌクレオチドは設計されたアッセイ(PCR、ライゲーション、配列決定等)に関与し得る。よって、「保護基」はポリメラーゼまたはDNAリガーゼによる認識を妨げる化学部分であり得る。保護基は切断ドメインに取り込まれ得るが、通常切断ドメインの5’または3’側に配置されている。保護基は2個以上の化学部分を含み得る。本発明では、「保護基」は典型的にはオリゴヌクレオチドをその標的配列に対してハイブリダイズした後除去される。
用語「蛍光発生プローブ」は、a)結合している蛍光基及びクエンチャー、場合によりマイナーグルーブバインダーを有しているオリゴヌクレオチド、またはb)DNA結合試薬、例えばSYBR(登録商標)緑色染料のいずれかを指す。
用語「蛍光標識」または「蛍光基」は、約350〜900nmの最大蛍光発光を有する化合物を指す。広範囲の蛍光基が使用され得、この中には5−FAM(5−カルボキシフルオレセインとも称される;Spiro(イソベンゾフラン−l(3H),9’−(9H)キサンテン)−5−カルボン酸,3’,6’−ジヒドロキシ−3−オキソ−6−カルボキシフルオレセイン)とも称される);5−ヘキサクロロ−フルオレセイン;([4,7,2’,4’,5’,7’−ヘキサクロロ−(3’,6’−ピバロイル−フルオレセイニル)−6−カルボン酸]);6−ヘキサクロロ−フルオレセイン;([4,7,2’,4’,5’,7’−ヘキサクロロ−(3’,6’−ジピバロイルフルオレセイニル)−5−カルボン酸]);5−テトラクロロ−フルオレセイン;([4,7,2’,7’−テトラクロロ−(3’,6’−ジピバロイルフルオレセイニル)−5−カルボン酸]);6−テトラクロロ−フルオレセイン;([4,7,2’,7’−テトラクロロ−(3’,6’−ジピバロイルフルオレセイニル)−6−カルボン酸]);5−TAMRA(5−カルボキシテトラメチルローダミン);キサンチリウム,9−(2,4−ジカルボキシフェニル)−3,6−ビス(ジメチル−アミノ);6−TAMRA(6−カルボキシテトラメチルローダミン);9−(2,5−ジカルボキシフェニル)−3,6−ビス(ジメチルアミノ);EDANS(5−((2−アミノエチル)アミノ)ナフタレン−l−スルホン酸);1,5−IAEDANS(5−((((2−ヨードアセチル)アミノ)エチル)アミノ)ナフタレン−l−スルホン酸);Cy5(インドジカルボシアニン−5);Cy3(インド−ジカルボシアニン−3);及びBODIPY FL(2,6−ジブロモ−4,4−ジフルオロ−5,7−ジメチル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン−3−プロピオン酸);クアーサー(登録商標)−670染料(Biosearch Technologies);カルフロー(登録商標)オレンジ染料(Biosearch Technologies);ロックス染料;マックス染料(Integrated DNA Technologies)、並びにその適当な誘導体が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書中で使用されている用語「クエンチャー」は、蛍光ドナーまたはその近くに結合したときにそのドナーからの発光を減ずることができる化合物の分子または一部を指す。消光は、蛍光共鳴エネルギー移動、光誘導電子移動、項間交差の常磁性強化、デクスター交換カップリング、及び暗色複合体の形成のような励起子カップリングを含めた幾つかのメカニズムのいずれかにより生じ得る。蛍光は、蛍光基より発生した蛍光がクエンチャーの非存在下での蛍光に比して少なくとも10%、例えば15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、99.9%またはそれ以上減少したときに「消光」されている。多数の市販クエンチャーが当業界で公知であり、DABCYL、Black HoleTMクエンチャー(BHQ−1、BHQ−2及びBHQ−3)、アイオワブラック(登録商標)FQ及びアイオワブラック(登録商標)RQが含まれるが、これらに限定されない。これらは所謂ダーククエンチャーである。これらは天然蛍光を持たず、本質的に蛍光性である他のクエンチャー、例えばTAMRAでみられるようなバックグラウンドの問題が殆ど解消される。
以下の実施例により本発明を更に説明するが、これらの実施例は勿論本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
[実施例1]
本実施例は、各種無水物との反応によるパイロコッカス・アビシ(Pyrococcus abysii)(P.a.)RNアーゼH2の可逆的修飾/不活性化を立証する。
P.a.RNアーゼH2を無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸、無水シトラコン酸または無水シス−アコチニン酸を用いて化学的に修飾し、化学的修飾を加熱処理により除去した。本研究で使用した3つの無水物の化学構造を図1に示す。無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸がポリペプチド上の第1級アミンを修飾する化学反応及び加熱により触媒される可逆反応を図2に示す。無修飾酵素の相対的酵素活を化学的に修飾した酵素の加熱処理前後と比較した。
方法:
P.a.rnb遺伝子を既報(Dobosyら,BMC Biotechnology,2011,ll:e80;Walderら,US 2009/0325169A1)のように大腸菌における発現のためにコドン最適化し、発現ベクターにクローン化した。組換えP.a.RN2発現プラスミドを有している大腸菌を10L発酵リアクター中でUniversity of Iowa Center for Biocatalysis and Bioprocessing(米国イリノイ州コーラルヴィル)により増殖させた。生じた細胞ペーストを−80℃で保存した。細胞ペーストの一部(〜50グラム)を溶解し、組換えP.a.RNアーゼH2酵素をEnzymatics(米国マサチューセッツ州ビバリー)によりほぼ均質まで精製した。酵素のストック溶液を緩衝液F(20mM トリス(pH8.4),0.1mM EDTA,100mM KCl,0.1% トリトンX−100及び50% グリセロール)中−20℃で保存した。
野生型P.a.RNアーゼH2の配列を配列番号1として以下に示す。リシン残基(K)を太字で示し、下線を引いている。
配列番号1:天然P.a.RNアーゼH2,224アミノ酸,25394.18ダルトン
Figure 2015510776
組換えタンパク質は発現ベクターにより導入された幾つかの追加アミノ酸を含み、天然酵素から縦線(|)により分離されている。組換えP.a.RNアーゼH2酵素の配列を以下に示す。
配列番号2:組換えP.a.RNアーゼH2,246アミノ酸,27573.70ダルトン
Figure 2015510776
組換えP.a.RNアーゼH2タンパク質は28個のリシン残基を含有している。従って、アミノ末端を含めて全部で29個の遊離アミン基が3つの無水物のいずれかでの化学反応により修飾するために利用可能である。従って、P.a.RNアーゼH2の無水物を用いる化学的処理のために、29:1という無水物:タンパク質のモル比は全反応性アミンに対する無水物の比1:1に相当する。わかりやすくするために、今後P.a.RNアーゼH2の無水物での「1:1処理」は29:1の無水物:タンパク質のモル比の使用を示し、100% 効率と仮定して全ての遊離アミン基と反応させるために十分な試薬を使用したことを示す。
P.a.RNアーゼH2の無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸、無水シトラコン酸または無水シス−アコチニン酸での修飾:
38μΜの最終濃度となるように74μLの150mM Naボレート(pH9.0)及び0.1% トリトンX−100を含む緩衝液に77μg(864単位)の濃縮ストック組換え酵素を添加することにより3つの同一のP.a.RNアーゼH2溶液を調製した。無水物がトリス中で遊離アミンと反応して反応をクエンチする恐れがあるので、反応をトリス含有溶液を避けてボレート緩衝液中で実施したことに注目されたい。新鮮な無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸、無水シトラコン酸または無水シス−アコチニン酸をDMF中に40mMで溶解させた。1.0μLの無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸を第1RNアーゼH2アリコートに添加し、1.0μLの無水シトラコン酸を第2RNアーゼH2アリコートに添加し、1.0μLの無水シス−アコチニン酸を第3RNアーゼH2アリコートに添加した。3つの処理は14.5:1 無水物:酵素、すなわちタンパク質中に存在する全アミンに対する無水物のモル比0.5:1の添加に相当する。サンプルを渦流撹拌し、氷上で30分間インキュベートした。インキュベートした後、1μLアリコートを各反応ミックスから取り出し、個々に57μLの緩衝液D(20mM トリスHCl,0.1mM EDTA,100mM KCl,0.1% トリトンX−100,10% グリセロール,pH8.4)で希釈し、その後の分析(最終濃度0.67μΜ)のために氷上で保存した。無水物毎に上記手順をもう5回繰り返して、最終産物は、0.5の無水物:第1級アミンのモル比で6×反応させて、第1級アミンに対する無水物のモル比3の蓄積処理を生じさせたP.a.RNアーゼH2の3サンプルであった。第6回の無水物処理サイクル後、反応物をクエンチし、更なる化学的修飾が生ずるのを妨げるために修飾RNアーゼH2タンパク質の3つのサンプルに18.5μLの100mM トリスHCl(pH8.4)を添加した(20mM トリスの最終濃度を生ずる)。
バルクの無水物処理サンプルを20mM トリス(pH8.4)、0.1mM EDTA及び100mM KClを含有している緩衝液に対して6〜8kDaの分画分子量を有するD−Tube(商標)Dialyzer Mini’s(EMD Chemicals Inc.,カリフォルニア州サンジェゴ)を用いて透析した。透析は4℃で、2時間毎に3×200mL、次いで一晩1×200mLで、毎回新鮮な緩衝液と交換しながら実施した。透析後、タンパク質濃度をクーマシーブリリアントブルーで染色した4〜20% SDS PAGEゲルを用いて可視化し、100〜600ngの範囲のBSA標準に対する修飾RNアーゼH2のバンド強度と比較することにより確認した。ゲル画像をImageJバンドデンシトメトリーを用いて定量した。修飾酵素を−20℃で保存した。
修飾RNアーゼH2酵素活性の分析:
修飾されていない及び化学的に修飾したP.a.RNアーゼH2の酵素活性を合成蛍光クエンチしたオリゴヌクレオチドレポーターアッセイ(FQレポーターアッセイ)を用いて調べた。合成レポーターの配列を以下に示す。
配列番号3:RNH2 rC FAMレポーター
Figure 2015510776
配列番号4:RNH2 rCコンペティター
Figure 2015510776
DNA塩基は大文字であり、RNA塩基は小文字であり、FAMは6−カルボキシフルオレセインであり、FQはアイオワブラック(登録商標)FQダーククエンチャーである。
レポーターは、19塩基ステムドメイン及び4塩基ループドメインを有するヘアピン/ループ構造を形成する自己相補的配列である。この分子は、染料及びクエンチャーがヘアピン形成時に接触するように5’末端にFAM蛍光染料、3’末端にダーククエンチャーを含有している。この配置で、蛍光染料はクエンチされ、レポーターは「ダーク」である。1つのリボヌクレオチド(rC)残基はRNアーゼH2切断部位を含む分子の5’末端から11位に位置している。レポーター分子のRNアーゼH2による切断後、分子の10塩基5’末端断片が解離し、蛍光染料がクエンチャーから分離される。この配置では、染料はクエンチされず、レポーターは「ブライト」である。RNアーゼH2活性アッセイの概略図を図3に示す。
FQレポーターアッセイを使用して、無修飾P.a.RNアーゼH2の活性を上のバルク酵素修飾反応から採取した既に「後の分析のために取り出した」アリコートと比較した。無水物修飾したP.a.RNアーゼH2アリコートの再活性化を同様に試験した。無水物修飾の各サイクル後、1μlの各反応物を667nMの酵素の最終濃度(無修飾酵素の場合200mU/μL活性に等しい)となるように緩衝液Dで希釈した。これらのストックをこの濃度で使用するか、または更に緩衝液Dで9nM濃度(無修飾酵素の場合2.6mU/μL活性に等しい)に希釈した。(667nM及び9nM濃度で)無修飾酵素及び修飾酵素のアリコートを追加処理することなく研究し、または活性試験の前に95℃で10分間加熱した。反応を次のようにセットアップした:FQレポーターアッセイは1μLの無修飾及び修飾酵素希釈物を用いて10μLの最終容量で行った;無修飾酵素の場合、使用した酵素の量はそれぞれ200mUまたは2.6mUの酵素に相当する。FQレポーターアッセイの成分を表1に下記する。
Figure 2015510776
10μLの反応物をRoche LightCycler(登録商標)480(Roche Applied Science,米国インディアナ州インディアナポリス)を用いて384ウェルプレート中60℃で10分間インキュベートし、蛍光測定は11秒毎に1回行った。アッセイは無修飾P.a.RNアーゼH2を用いて、3つの無水物毎に全ての無水物処理サンプル(0.5×,l.0×,1.5×,2.0×,2.5×及び3×修飾)について修飾を逆転させるべく95℃で10分間の加熱処理の前後に行った。無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸修飾したP.a.RNアーゼH2の2.6mUアッセイの結果を図4に示す。第1処理(0.5×修飾)後に活性の有意な損失が見られたが、1.0×〜3.0×処理の場合には活性は検出されなかった。最も高度に修飾したサンプル(3.0×修飾)の場合でも、95℃で10分間の加熱処理後に酵素活性の完全回復が見られた。無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸修飾したP.a.RNアーゼH2の200mUアッセイの結果を図5に示す。この非常に高濃度の酵素を用いると、0.5×、l.0×及び1.5×処理サンプルで残留活性が見られたが、2.0×、2.5×または3.0×処理サンプルでは活性は検出されなかった。2.6mUの酵素を用いて得た結果と同様に、最も高度に修飾したサンプル(3.0×修飾)の場合でも、95℃で10分間で加熱処理後酵素活性の完全回復が見られた。
無水シス−アコチニン酸修飾したP.a.RNアーゼH2の2.6mUアッセイの結果を図6に示す。第1処理(0.5×修飾)後に活性の損失が見られたが、2.0×レベルの修飾まで酵素の完全不活性化は生じなかった。無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸を用いて得た結果とは異なり、0.5×処理サンプルの場合でも95℃で10分間の加熱処理後完全活性は回復しなかった。加熱処理を15分間まで延長しても結果は改善しなかった。無水シス−アコチニン酸修飾したP.a.RNアーゼH2の200mUアッセイの結果を図7に示す。この非常に高濃度の酵素を用いると、処理サンプルの全てにおいて酵素活性が見られ、この処理プロトコルを用いると酵素の完全不活性化が達成されなかったことを示している。2.6mUアッセイの場合で見られたように、200mUアッセイサンプルのいずれも加熱処理後完全活性に回復しなかった。
無水シトラコン酸修飾したP.a.RNアーゼH2の2.6mUアッセイの結果を図8に示す。第1処理(0.5×修飾)後に活性の損失が見られ、酵素の完全不活性化がl.0×レベルの修飾により達成された。無水シス−アコチニン酸を用いて得た結果と同様に、0.5×処理サンプルの場合でも95℃で10分間の加熱処理後に完全活性が回復しなかった。加熱処理を15分間延長させても結果は改善しなかった。無水シトラコン酸修飾したP.a.RNアーゼH2の200mUアッセイの結果を図9に示す。この非常に高濃度の酵素を用いると、酵素活性が0.5×、l.0×及び1.5×処理サンプルで検出されたが、2.0×〜3.0×処理サンプルの場合完全不活性化が観察された。200mUアッセイサンプルの場合、酵素活性は加熱処理後ほぼ完全に回復したが、反応の開始時にわずかに遅い基質切断が見られた。
無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸、無水シトラコン酸または無水シス−アコチニン酸を用いるP.a.RNアーゼH2の処理は酵素活性を低下させ、活性の部分的または完全回復は95℃での短期間インキュベーションで達成され得る。この酵素は非常に耐熱性であり、活性を有意に損失させることなく30分間インキュベートされ得、無水物に基づく不活性化/再活性化方法はホットスタートRNアーゼH2酵素を作成するための適当なアプローチを提供する。試験した各種処理の中で、無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸が最も好ましい特性を示し、タンパク質中の遊離第1級アミンに対して2倍モル過剰の無水物を用いる酵素の処理は酵素活性を全体的に不活性化した。更に、化学的修飾は95℃で10分間の加熱処理で可逆的であった。
[実施例2]
本実施例は化学的に修飾したパイロコッカス・アビシ(Pyrococcus abysii)RNアーゼH2の分光測定分析を示す。
上の実施例1からのP.a.RNアーゼH2サンプルを化学的修飾(不活性化)の効率及び修飾基を加熱処理により除去する能力(再活性化)を調べるべく分子量を測定するためにエレクトロスプレーイオン化質量分析法(ESI−MS)を用いて研究した。0.5×モル比の無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸で6回修飾した(最終3×モル比)酵素サンプルのみを研究した。
修飾P.a.RNアーゼH2の質量分析評価:
組換えP.a.RNアーゼH2の3つのサンプルを透析緩衝液、20mM トリス(pH8.4)、0.1mM EDTA及び100mM KCl中で質量分析のために作成した:
1.無修飾P.a.RNアーゼH2(対照)
2.修飾(3×無水物処理)P.a.RNアーゼH2(不活性)
3.95℃で10分間インキュベートした修飾(3×無水物処理)P.a.RNアーゼH2(活性)。
3つのサンプルをNovatia,LLC(米国ニュージャージー州プリンストン)でエレクトロスプレーイオン化質量分析法(ESI−MS)を用いて試験した。タンパク質中の各第1級アミン基を無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸と反応させると、分子量が152ダルトン増加し、P.a.RNアーゼH2中の29個のアミン基の全てが反応すると質量は4408ダルトン増加する筈である。天然及び修飾酵素の予想される分子量を下表2に示す。
Figure 2015510776
無修飾組換えP.a.RNアーゼH2について得たデコンボリューション処理したESI−MSスペクトルを図10に、3×無水物処理P.a.RNアーゼH2については図11に、加熱処理した(逆転させた)3×無水物処理P.a.RNアーゼH2については図12に示す。同定された主要スペクトルピークの質量値を下表3に要約する。無修飾酵素は27,571Daの一次質量を示した。3×修飾酵素は、無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸で修飾した19〜28個の第1級アミンを有するタンパク質種に相当する10個の質量ピークを示し、最も優勢な種は22個の修飾アミンを有している。加熱処理した3×修飾酵素は、無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸で修飾した0〜5個の第1級アミンを有するタンパク質種に相当する6個の質量ピークを示し、最も優勢な種は3個の修飾アミンを有している。
Figure 2015510776
加熱処理した無水物修飾P.a.RNアーゼH2は、無修飾酵素と比較してFQレポーターオリゴヌクレオチド基質の切断率の約50%の低減を示し、これはこのサンプルの質量スベクトルでアミン上の0〜5個の修飾基の保持に関連している。
無修飾RNアーゼH2サンプルは予想される質量を呈した。無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸で最終3×モル比まで修飾したRNアーゼH2サンプルは活性の1000倍低減を示し、これは酵素の第1級アミン基の大部分の修飾に相関している。加熱処理は酵素を効果的に再活性化し、95℃で10分間インキュベーション後ほぼ完全な活性が見られた。この処理は修飾アミン基の全てを完全に除去しなかった。しかしながら、再活性化した酵素は実施した全ての生化学的パフォーマンステストにおいて効果的に機能した。
[実施例3]
本実施例は、サイクリングを始める前に反応物を室温で一晩放置しても、本発明の無水物修飾ホットスタートP.a.RNアーゼH2を用いるrhPCRが天然Taq DNAポリメラーゼ(非ホットスタートDNAポリメラーゼ)を用いて十分に機能し、高価なホットスタートDNAポリメラーゼを使用しなくて済むことを立証する。本アッセイは、無修飾対保護されている切断可能なプライマー、天然対ホットスタートTaq DNAポリメラーゼ、及び天然対ホットスタートP.a.RNアーゼH2を用いるPCRを比較する。
方法:
定量リアルタイムPCR(qPCR)を、ヒトSMAD7遺伝子(rs4939827,NM 005904)中の部位に対して特異的なプローブ及びプライマーを用いて2ngのヒトゲノムDNA(GM18562,Coriell Institute for Medical Research,米国ニュージャージー州カムデン)で実施した。反応を0.4UのホットスタートTaq DNAポリメラーゼ(iTaq(商標),Bio−Rad,米国カリフォルニア州ハーキュリーズ)または天然Taq DNAポリメラーゼ(Enzymes,Inc.,米国マサチューセッツ州ビバリー)のいずれかを使用した。反応物は3mM MgCl、200nMの各プライマー、200nMの5’−ヌクレアーゼアッセイプローブ(配列番号9)、2UのSUPERaseln(商標)RNアーゼインヒビター(Life Technologies,米国カリフォルニア州カールスバッド)及び5fmolesのP.a.RNアーゼH2(10μLの反応物中0.5nMの最終濃度、または2.6mUの無修飾酵素)を含むiTaq(商標)緩衝液を含んでいた。保護されている切断可能なプライマー(保護されているSMAD7 For rC,配列番号8及び保護されているSMAD7 Rev rG,配列番号6)または無修飾プライマー(SMAD7 For、配列番号7及びSMAD7 Rev,配列番号5)を使用した。本研究で使用した全てのオリゴヌクレオチドを表4に下記する。反応物をセットアップし、直ちに流すか、またはセットアップし、PCRサイクリングの開始前に室温で一晩インキュベートした。サイクリングをRoche LightCycler(登録商標)480(Roche Applied Science,米国インディアナ州インディアナポリス)を用いて次のように実施した:95℃で10分間の後、95℃で10秒間及び60℃で30秒間の45サイクル。反応は全て3回実施した。サーモサイクリングを開始する前に最初に95℃で10分間インキュベートすると、ホットスタートDNAポリメラーゼ(iTaq)及びホットスタート(無水物処理)P.a.RNアーゼH2酵素が再活性化できる。天然Taq DNAポリメラーゼ及び無修飾P.a.RNアーゼH2酵素はこの活性化ステップを必要としないが、にもかかわらず全ての反応を同一サイクリングプログラムを用いて行った。
Figure 2015510776
結果:
PCRをホットスタートDNAポリメラーゼを用いて実施した場合、反応物をセットアップした後直ちに行っても(示さず)、反応物をサーモサイクリング前に室温で一晩インキュベートしても増殖反応を同一の効率で進行した。図13は、室温で一晩インキュベートした後にホットスタートDNAポリメラーゼiTaqを用いて得た増殖プロットを示す。無修飾プライマー(左パネル)を使用すると効率的な増殖反応が生じ、天然P.a.RNアーゼH2(左上)と無水物修飾ホットスタートP.a.RNアーゼH2(左下)の添加の間に差異は見られなかった。保護されている切断可能なプライマー(右パネル)を使用しても効率的な増殖反応が生じ、天然P.a.RNアーゼH2(右上)と無水物修飾ホットスタートP.a.RNアーゼH2(右下)の添加の間に差異は見られなかった。RNアーゼH2を反応物に添加しないならば、保護されている切断可能なプライマーを使用しても増殖は生じなかった(示さず)。
図14は、天然Taq DNAポリメラーゼを用いて得た増殖プロットを示す。全ての反応成分を混合した後直ちに反応を行った場合、増殖は予想した効率で生じ、得られたプロットはホットスタートDNAポリメラーゼを用いて得たものと類似していた(図示せず)。対照的に、サーモサイクリング前に反応プレートを室温で一晩インキュベートしたときには、無修飾プライマー(左パネル)を使用すると標的核酸配列の検出できない増殖が生じた。この場合、活性DNAポリメラーゼが保護されていないプライマーと一緒に存在し、望ましくない副反応が室温で生じて、試薬が消費され、その後の所望する増殖反応の質が落ちる。保護されている切断可能なプライマー(右パネル)を使用すると、プライマー活性化のために無水物修飾ホットスタートP.a.RNアーゼH2を使用したときには標的核酸の効率的な増殖が生じた(右下)が、天然P.a.RNアーゼH2を使用したときにはそうではなかった(右上)。よって、P.a.RNアーゼH2が室温で殆ど活性を有していなくても、十分な活性がrhPCRをこれらの条件下で実施するときには酵素の修飾ホットスタートバージョンが必要であることを維持されている。
室温での増殖反応において反応中の活性DNAポリメラーゼ及びプライマーの存在に依存する望ましくない反応が生ずる。これらの反応は反応成分を消費し、所望する増殖反応の効率及び質を低下させる。高価なホットスタートDNAポリメラーゼを使用するとこれらの人為産物を解消し得る。或いは、rhPCRと保護されている切断可能なプライマー及び無水物修飾ホットスタートRNアーゼH2酵素の使用は効率的で特異的な増殖反応が生じ得る。
[実施例4]
以下の実施例は、シングルチューブ高温RT−qPCR反応における無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸修飾ホットスタートP.a.RNアーゼH2の使用を説明する。
P.a.RNアーゼH2は低温(例えば、25〜45℃)で最小の活性を有し、低温RT反応で使用した条件での酵素活性の低下はこの酵素をRT中存在させるのに十分であり得る。2ステップ低温RT反応を内部遺伝子特異的プライマー、ランダムヘキサマープライマーまたはオリゴdTプライマーを使用し、P.a.RNアーゼH2を存在させるかまたは存在させずに行った。cDNA合成後、qPCRをヒト腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー1A(TNFRSF1A,NM 001065)内の157bp領域を増幅させるために実施した。使用したプライマー、プローブ及び標的核酸の配列を表5に下記する。PCRアッセイはこの遺伝子のポリA鎖部位に対して5’に1509塩基を配置していることに注目されたい。
Figure 2015510776
TNFRSF1A標的核酸配列中のFor(順方向)及びRev(逆方向)プライミング部位の部位に下線が付けられている。遺伝子特異的RTプライマーに対するプライマー結合部位をイタリックで示し、下線も付けられている。FAM=6−カルボキシフルオレセイン及びIBFQ=アイオワブラック(登録商標)FQ蛍光クエンチャー。
逆転写は、l×ファーストストランド緩衝液(50mM トリスHCl(pH8.3)室温で;75mM KCl;3mM MgCl)、0.01mM DTT、1mM dNTP、30U Supercript−II RT、5U SUPERase−In(商標)RNアーゼインヒビター、及び1.3μΜのTNFRSF1A特異的RTプライマー(配列番号14)、250ngのオリゴdTプライマー(配列番号16)または250ngのランダムヘキサマープライマー(配列番号15)を含む15μLの反応物中で150ngのヒーラ細胞全RNAを用いて実施した。反応を2.6mUの無修飾組換えP.a.RNアーゼH2を添加するかまたは添加せずに42℃で60分間行った後、70℃で15分間のRT酵素不活性化ステップを行った。
増幅反応を上記RT反応物(例えば、20ngの全細胞RNAから作成したcDNA)の各々を2μL用いて行った。反応物は最終10μL反応容量でl×イモレース反応緩衝液(16mM (NHSO,100mM トリスHCl(pH8.3)及び0.01% トゥィーン−20)、0.4U イモレースDNAポリメラーゼ(Bioline,米国マサチューセッツ州トーントン)、3mM MgCl、800μΜ dNTP、200nM 順方向及び逆方向プライマー(配列番号11及び12)及び200nM プローブ(配列番号13)を含んでいた。使用したPCRサイクリング条件は95℃で5分間の後、95℃で15秒間及び60℃で60秒間の2ステップPCRの45サイクルであった。反応をRoche LightCycler(登録商標)480(Roche Applied Science,米国インディアナ州インディアナポリス)サーモサイクラーを用いて行った。反応は全て3回行った。定量サイクル値(Cq)を絶対定量/二次導関数法を用いて求めた。
低温RTでP.a.RNアーゼH2を用いるかまたは用いずに作成したcDNAからのTNFRSF1A遺伝子のPCR増殖の結果を下表6に示す。RNアーゼH2の非存在下では、3つのRT−プライマーバリエーションの全てが25〜26サイクル範囲のCq値を有する類似の結果を生じた。RNアーゼH2の存在下では、遺伝子特異的プライマーまたはランダムヘキサマーを用いてプライミングしたRT反応で検出された標的レベルは「RNアーゼH2なしの」対照反応とほぼ同一であった;しかしながら、オリゴdTを用いてプライミングしたRT反応は2サイクル遅延を示し、これはこのRT反応には僅かに低いレベルの標的しか存在していなかったことを示している。よって、42℃で実施したRT反応中にP.a.RNアーゼH2が存在しても、RTプライマーをPCRアッセイ部位(遺伝子特異的プライマー及びランダムヘキサマー)の近くに配置したときに作成された標的cDNAのレベルに悪影響を与えなかったが、RTプライマーをPCRアッセイの部位(オリゴdT)から1509塩基に配置したときには余り効率的でないRT反応が生じた。多分、これは、長cDNA伸長を必要としたときには反応の感受性に影響を及ぼしたcDNA合成中に存在するRNA:DNAヘテロ二重鎖中のRNAが部分的に分解するためである。反応をP.a.RNアーゼH2がより高い活性を有しているより高い温度(例えば、55〜65℃)で実施したならば、RNA鋳型の分解が増えるであろう。
Figure 2015510776
RTは耐熱性逆転写酵素を用いて高温で実施し得る。高温RT方法により、低温ではDNAポリメラーゼの処理能力を妨げる複雑な安定な二次構造を有しているRNA鋳型からのより忠実なcDNA合成が可能である。このアプローチの一例はHawkZ05(商標)RT酵素(Roche Applied Science,米国インディアナ州インディアナポリス)を使用する。二価カチオンとしてマグネシウムの代わりにマンガンを使用すると、この酵素はRT−qPCRの両ステップを補助し得る耐熱性逆転写酵素及びDNAポリメラーゼの両方として機能する。P.a.RNアーゼH2はMn++またはMg++カチオンのいずれかの存在下で十分に機能し、本実施例で使用した反応条件において良好な触媒活性を有していることに注目されたい。反応を、典型的にはRT及びPCRステップの両方をシングルチューブにおいて順次実施する密閉チューブフォーマットで行う。このアプローチは反応チューブが産物を移動させるために開かれているときに必然的に起こる反応産物の空気伝染を制限し、これにより分子診断用途にとって特に重要な特徴である交差汚染及び偽陽性反応が低減する。
ヒトSFRS9遺伝子(NM 003769)中の部位での増幅効率を、RNアーゼH2を添加せずに、或いは天然P.a.RNアーゼH2または無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸修飾P.a.RNアーゼH2(上の実施例1を参照されたい)を添加して高温RT−qPCRを用いて研究した。無水物修飾P.a.RNアーゼH2を「ホットスタートRNアーゼH2」または「HS−RNアーゼH2」とも称する。シングルチューブ高温RT−qPCRの標準方法は無修飾プライマー及び蛍光クエンチした5’−ヌクレアーゼレポータープローブを使用する;RT反応を逆PCRプライマーによりプライミングする。この実験は、無修飾プライマー(SFRS9 For及びRev,配列番号17及び18)、または無修飾Revプライマー(配列番号18)と保護されている切断可能な順方向プライマー(保護されているSFRS9 For,配列番号19)の対を用いて行った。保護されている切断可能なForプライマーはPCRにおいて機能させるためにはRNアーゼH2による活性化を必要とすることに注目されたい。無修飾Forプライマーの代わりに保護されている切断可能な順方向プライマーを使用すると、反応特異性が増加し、SNP判別が所望されるならば1つの対立遺伝子を選択的に増幅させるために使用し得る(実施例5を参照されたい)。順方向プライマーは反応のRT相中に機能せず、反応のPCR相が始まるまでRNアーゼH2により切断(活性化)させる必要がないことに注目されたい。オリゴヌクレオチド配列を下表7に示す。
Figure 2015510776
RT−qPCRを、HawkZ05(商標)ファストワンステップRT−PCRマスターミックス(Roche Applied Science,米国インディァナ州インディアナポリス)、1.5mM Mn(OAc)、200nM プライマー及び200nM プローブを含む反応物10μLあたり20ngのヒーラ細胞RNAを用いて実施した。各反応物に2.6、25または200mUの無修飾P.a.RNアーゼH2または新規のHS−P.a.RNアーゼH2を添加した;RNアーゼH2なしの対照反応も実施した。反応を5’−ヌクレアーゼアッセイフォーマットで無修飾プライマー(SFRS9 For及びSFRS9 Rev,配列番号17及び18)、または保護されている順方向プライマーと無修飾逆方向プライマー(保護されているSFRS9 For及びSFRS9 Rev,配列番号19及び18)をSFRS9プローブ(配列番号20)と共に使用した。
反応のRT相は、55℃で5分間、60℃で5分間及び65℃で5分間段階的に行ったインキュベーションの最初の15分間の間に進行した。次いで、95℃で10分間インキュベートして標的核酸を変性させた後、PCRを92℃で5秒間、60℃で40秒間及び72℃で1秒間の45サイクルを行った。反応をRoche LightCycler(登録商標)480(Roche Applied Science,米国インディアナ州インディアナポリス)サーモサイクラーを用いて行った。反応は全て3回実施した。95℃のインキュベーションもHS−P.a.RNアーゼH2酵素を活性化させることに注目されたい。
結果を図15〜17に示す。無修飾プライマーを用いて行った反応の場合、RNアーゼH2を存在させずにシングルチューブ高温RT−qPCR反応が十分に実施した。しかしながら、少量でも天然P.a.RNアーゼH2の添加は反応に対して有害な影響を有する(図15)。2.6mUの酵素の添加はCq値を〜10サイクル変化させ、25mUの酵素の添加はCq値を〜14サイクル変化させ、200mUの酵素を用いて行った反応は明らかな増殖を示さなかった。RT反応のために使用した反応温度(55〜65℃)で、P.a.は非常に活性であり、cDNA合成の初期相の間に多分RNA鋳型を分解する。対照的に、無水物修飾HS−P.a.RNアーゼH2を用いて実施した反応はRNアーゼH2の非存在下で行った反応と同様の効率でSFRS9標的の増殖を示した(図16)。この場合、RNアーゼH2なしで行った反応と2.6〜200mUのRNアーゼH2を用いて行った反応の間で差は見られず、修飾RNアーゼ酵素が55〜65℃で実施したときでも十分に不活性化され、cDNA合成の間にRNA標的を分解しなかったことが確認された。保護されている切断可能なFor PCRプライマー及び無修飾Rev PCRプライマーと共に用いて実施した反応の結果を図17に示す。保護されているプライマーの切断/活性化の必要性と一致して、RNアーゼH2の非存在下では増殖は見られなかった。無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸修飾HS−P.a.RNアーゼH2を使用すると、25mUまたは200mUの酵素との反応は無修飾プライマーを用いて見られたものと同一の増殖効率を示した。2.6mUの酵素を用いて行った反応はほぼ4サイクル遅延を示し、これは反応条件が完全プライマー切断を生じなかったことを示している。
高温RT−qPCR反応において天然P.a.RNアーゼH2を存在させても、cDNA合成中RNAが分解し、増殖が防止される。本発明の新規な無水物修飾P.a.RNアーゼH2を使用すると、RT反応中酵素を不活性状態で存在させることができ、よってcDNA合成は正常に進む。cDNA合成後に行った熱変性ステップは修飾RNアーゼH2を活性化し、その後rhPCRを保護されている切断可能なプライマーを用いて実施し得る。従って、rhPCRのより高い特異性は高温シングルチューブRT−qPCRに適応させ得る。
[実施例5]
以下の実施例は、RT−qPCR一塩基多型(SNP)アッセイにおける無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸修飾P.a.RNアーゼH2の有用性を説明する。本実施例のアッセイはKRAS SNPのシングルチューブRT−rhPCRによる判別を立証する。
ヒトKRAS遺伝子(NM 004985)中のG/T SNP部位を、rhPCR及び高温シングルチューブRT−qPCR HawkZ05(商標)ファストワンステップRT−PCRマスターミックス(Roche Applied Science,米国インディアナ州インディアナポリス)を用いて上記実施例4に記載されている方法に類似の方法を用いて研究した。
RT−qPCRを、HawkZ05(商標)ファストワンステップRT−PCRマスターミックス、1mM Mn(OAc)、200nM プライマー及び200nM プローブを含む反応物10μLあたり50ngのHCT−15(G/G)またはSW480(T/T)全細胞RNAを用いて実施した。RT及びPCRを実施する前に各反応物に200mUのHS−p.a.RNアーゼH2を添加した。全ての反応で、RTプライマー及び逆PCRプライマーの両方として役立つ同一の無修飾KRAS Revプライマー(配列番号21)を使用した。幾つかの反応ではKRAS Revプライマーを無修飾の無判別KRAS Forプライマー(配列番号22)と対とした。他の反応ではKRAS RevプライマーをG−SNP無判別KRAS rG For保護されている切断可能なプライマー(配列番号23)またはT−SNP無判別KRAS rU For保護されている切断可能なプライマー(配列番号24)と対とした。全てのアッセイで5’−ヌクレアーゼアッセイレポーターとして同一の蛍光クエンチしたプローブ(配列番号25)を使用した。実施例5で使用したプライマー及びプローブを下表8に示す。
Figure 2015510776
反応のRT相は、55℃で5分間、60℃で5分間及び65℃で5分間段階的に行った最初の15分間のインキュベーションの間に進行した。次いで、95℃で10分間インキュベートして標的核酸を変性した後、PCRを92℃で5秒間、60℃で40秒間及び72℃で1秒間の45サイクルを行った。反応をRoche LightCycler(登録商標)480(Roche Applied Science,米国インディアナ州インディアナポリス)サーモサイクラーを用いて行った。反応は全て3回実施した。95℃のインキュベーションもHS−P.a.RNアーゼH2酵素を活性化することに注目されたい。
結果を下表9に示す。無修飾の無判別KRAS Forプライマーを用いて実施した反応は両方の細胞株に対して類似のCq値を示した。保護されている切断可能なKRAS rGプライマーはHCT−15 DNA(G/G)を用いて25.9のCqを示したが、SW480 DNA(T/T)を用いると12.3サイクルが38.2に遅延した。逆に、保護されている切断可能なKRAS rUプライマーはHCT−15 DNA(G/G)を用いると36.8の遅延Cq、SW480 DNA(T/T)を用いると25.9のCqを示した。
Figure 2015510776
無水物修飾HS−P.a.RNアーゼH2を用いると、非常に正確なSNP rhPCRアッセイをシングルチューブ高温RT−qPCRフォーマットで実施でき、本発明の方法で使用される修飾酵素の有用性が立証される。
[実施例6]
本実施例は、ワンチューブRT−qPCRにおいて2つの保護されているPCRプライマーを外部RTプライマーと共に使用する方法を立証する。増殖産物がRTプライマーから派生する可能性を無くすために、RTプライマーはcDNA合成をプライミングする能力を保持しているが、PCRを補助しないように修飾されている。
実施例4及び5は、無水物修飾HS−P.a.RNアーゼH2は高温RT反応中に存在し得ること及び不活性化酵素がcDNA合成中にRNA鋳型を分解しないことを立証している。本実施例は更に、酵素は95℃で10分間のインキュベーションで再活性化され、その後rhPCRは保護されている切断可能なプライマーを用いて実施され得ることを立証している。これらの実施例では、逆PCRプライマーは修飾されておらず、遺伝子特異的RTプライマーとしても機能した。(無修飾逆方向プライマーの代わりに)保護されている切断可能な逆方向プライマーを使用して追加の特異性を所望するならば、PCR逆方向プライマーがこの時点で保護されているのでRTプライマーとして機能させるために第3プライマーオリゴヌクレオチドを反応物に添加することが必要となる。新規のRTプライマーをPCR逆方向プライマーに対して3’に配置する。しかしながら、修飾されていないので、このプライマーはPCR反応に関与し得、保護されている切断可能な逆方向プライマーの使用により獲得される特異性の改善がなくなる。従って、RT反応においてcDNA合成をプライミングし得るが、その後の増殖反応に関与しないようにRTプライマーを修飾することが望ましい。1つのアプローチは、RT反応は例えば60℃で進行し得るが、増殖反応が70℃で進行するようにPCRプライマーよりも低い融点(Tm)を有するRTプライマーを作成することである。すなわち、PCRをRTプライマーのTmを十分に上回る温度で行い、このプライマーはもはや鋳型に対してアニールしない。しかしながら、商業的な高温RT方法において使用する高温RTプロトコルは典型的にはRNA二次構造を破壊するために最高65℃でのインキュベーションを含み、プライマーアニーリングが60℃またはその前後で生ずるように多くのPCR反応が設計されている。異なるTmをRT対PCRプライマーに対して使用し得るが。この方法はPCRプライマー及び反応を高温で運転するように再設計しなければならない。本実施例は、標準反応温度で修飾RTプライマーを使用する方法を立証し、この場合RTプライマーはcDNA合成をプライミングする能力はあるが、その後の増殖反応に関与しない。
同一の目的を達成する2つの修飾戦略が記載されている。第1は、切断可能なリンケージがRTプライマー内の内部に含まれている。RT反応(cDNA合成)をプライマーインタクトで実施し、その後化学的または酵素的事象が切断しやすいリンケージでRTプライマーを切断させる。残りのプライマー断片はもはやPCRにおいて通常使用されている反応温度で更なるDNA合成反応をプライミングするために十分な結合親和性を有していない。プライマー中に切断部位を導入するために当業者に公知の各種アプローチ、例えば化学切断を受けやすいリンケージ、制限酵素部位等を使用し得る。本実施例では、シングルRNA塩基をRTプライマーの中央またはその周りに配置する。無水物修飾HS−P.a.RNアーゼH2を使用すると、RNアーゼH2はcDNA合成中不活性であり、プライマーは正常に機能する。cDNA合成後、反応物を95℃で約10分間加熱し、HS−P.a.RNアーゼH2を再活性化させる。反応物をPCR中50〜70℃に戻すと、RTプライマーそれ自体はRNアーゼH2アタッチに対する基質となる。RTプライマーを切断し、生じた短断片はこの時点で低いTmを有し、50〜70℃の範囲で増殖反応に関与し得ない。よって、RTプライマーはcDNA合成をプライミングするのに役立つが、PCRに関与しない。
第2は、オリゴヌクレオチドのDNA合成をプライミングする能力に影響を与えないが、DNA合成のための鋳型として機能する能力に影響を与えるRTプライマーの中心またはその近くに修飾基を配置する。よって、線形プライマー伸長反応(例えば、cDNA合成)は補助されるが、指数的増殖反応は防止される;その後の増殖サイクル中、伸長産物がプライマー保護基の部位で時期尚早に停止し、その結果最終増殖産物は短くなり、RTプライマーが50〜70℃の範囲の反応温度で結合するのに十分な長さのプライマー結合部位を含有していない。この目的に役立ち得る各種保護基、例えば2’−修飾RNA残基(例えば、2’−O−メチルRNA)、脱塩基残基(脂肪族スペーサー、d−スペーサー)、非天然塩基(例えば、5−ニトロインドール)等(Behlkeら,米国特許Nos.7,112,406及び7,629,152を参照されたい)が当業者に公知である。本実施例は、保護基として、鋳型機能を阻止する(すなわち、連鎖停止反応を誘導する)が、標的核酸に対する修飾プライマーのハイブリダイゼーションを脱安定化し得ない利点を有する非ヌクレオチドナフチル−アゾ修飾因子(Laikhterら,米国特許No.8,084,588及びRoseら,米国特許出願2011/0236898を参照されたい)を使用している。鋳型機能を壊す修飾基の多く、例えば脂肪族スペーサー、d−スペーサー等は二重鎖形成(例えば、プライマーのより低いTm)にも影響を与える。
方法:
RT−qPCRを、HawkZ05(商標)ファストワンステップRT−PCRマスターミックス(Roche Applied Science,米国インディアナ州インディアナポリス)、1.5mM Mn(OAc)、200nM PCRプライマー及び200nM プローブ(SFRS9プローブ,配列番号20)を含む反応物10μLあたり10ngのヒーラ細胞全RNAを用いて実施した。外部RTプライマーを200nM、100nM、50nM、10nMまたは0nMで使用した。各反応物にRNアーゼH2を添加しないかまたは10mUの無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸修飾HS−P.a.RNアーゼH2を添加した。増殖を無修飾PCRプライマー(SFRS9 For及びRev,配列番号17及び18)または保護されている切断可能なrhPCRプライマー(SFRS9 For rG及びSFRS9 Rev rA,配列番号27及び28)のいずれかを用いて実施した。反応のRT相を外部RTプライマーなしで、または無修飾プライマー(SFRS9−RT,配列番号31)、内部lRNA残基を有する修飾プライマー(SFRS9−RT−rC,配列番号30)、または内部非ヌクレオチドナフチル−アゾ修飾因子を有する修飾プライマー(SFRS9−RT−ZEN,配列番号29)を用いて実施した。配列を下表10に示す。
Figure 2015510776
反応のRT相は、55℃で5分間、60℃で5分間及び65℃で5分間段階的に行ったインキュベーションの最初の15分間の間に進行した。次いで、標的核酸を95℃で10分間インキュベートして変性させた後、PCRを92℃で5秒間、60℃で40秒間及び72℃で1秒間の45サイクルを行った。反応をRoche LightCycler(登録商標)480(Roche Applied Science、米国インディアナ州インディアナポリス)サーモサイクラーを用いて行った。反応は全て3回実施した。95℃のインキュベーションもHS−P.a.RNアーゼH2酵素を活性化することに注目されたい。増殖後、サンプルを取り出し、8% 非変性ゲルでのポリアクリルアミドゲル電気泳動を用いて分離し、l×GelStar(登録商標)核酸ステイン(Lonza,米国メイン州ロックランド)を用いて10分間染色した。生成物をUV励起での蛍光により可視化した。
qPCR 5’−ヌクレアーゼアッセイのサイクル閾値を下表11に示す。予想されたように、保護されているプライマーを用いて行った反応はRNアーゼH2の非存在下では増幅しなかった。他の増殖反応はすべて比較的類似のCq値を示したが、増幅産物は図18〜20のゲル画像に明示され得るように使用したRTプライマーに応じて反応間で大きく変化した。
Figure 2015510776
増殖反応を、For及びRev PCRプライマー(配列番号17及び18、または27及び28)から作成した所望の145bpアンプリコン、またはFor PCRプライマー(配列番号17及び27)及びRTプライマー(配列番号29、30または31)から作成した所望しない170bpアンプリコンを産生した。外部RTプライマーなしでFor及びRev PCRプライマーを使用すると、予想される145bpアンプリコンのみが産生された(図19,「0nM RTプライマー」レーン)。
無修飾RTプライマー(配列番号31)はPCR反応に関与して、異なる量の望ましくない170bp産物が形成された(図18)。この産物の量は低濃度のRTプライマーを使用すると低減した;しかしながら、10nMの無修飾RTプライマーのみを使用したときでも大量の産物が残った。対照的に、中心rCRNA残基を有する修飾RTプライマー(配列番号30)を使用すると所望の145bpアンプリコンが専ら作成された(図19)。このオリゴヌクレオチドはRT反応をプライミングするが、加熱再活性化後P.a.RNアーゼH2により分解し、よってPCR増殖に関与し得ない。低RT濃度(50nM及び10nM)の使用は全ての外部プライマー設計で所望産物の最もロバストな収率を与えた。中心脱塩基ナフチル−アゾ修飾因子を含有している修飾RTプライマー(配列番号29)(図20)を使用しても、大部分所望の145bpアンプリコンを産生した。このオリゴヌクレオチドはRT反応をプライミングし、PCR中DNA合成をプライミングするために有能なままであるが、鋳型機能に欠陥があり、最終増殖産物は完全プライマー結合部位を含有していないので、線形増殖を維持し得、指数的増殖を補助し得ない。このプライマーを低濃度で使用しても(50nM及び10nM)最もロバストな反応を示した。
無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸修飾HS−P.a.RNアーゼH2により、rhPCRをシングルチューブ高温RT−qPCRフォーマットで保護されているFor及びRevプライマーを用いて実施できる。無修飾RTプライマーを使用すると望ましくないより長い増殖産物が生ずるが、RTをプライミングし得るが、PCRに関与できない修飾RTプライマーを使用すると所望のアンプリコンが高い特異性で産生される。
本明細書中で引用されている出願公開、特許出願及び特許明細書を含めた全ての参考文献は、各参考文献が個々に、具体的に参照により組み入れると明記されており、全文が本明細書中に記載されているのと同程度に参照により組み入れられる。
(特に、以下の特許請求の範囲の関係で)本発明を記載している内容中の用語“a”、“an”、“the”及び類似の使用は、明細書中に別段の指示がないかまたは前後関係から明らかに否定されていない限り、単数形及び複数形の両方を含むと解釈されるべきである。用語“comprising”、“having”、“including”及び“containing”は、別段の記載がない限り、制約のない用語(すなわち、「含む(including)」を意味するが、これらに限定されない)である。本明細書中の値の範囲の記載は単に本明細書中に別段の指示がない限り、範囲内に入るそれぞれ別々の値を個別に言及する簡略標記法として使用すると意図され、それぞれ別々の値は本明細書中に個別に記述されているように明細書中に組み込まれる。本明細書中に記載されている方法は全て、本明細書中に別段の指示がないかまた前後関係により明らかに否定されていない限り、適当な順序で実施され得る。本明細書中に記載されている任意及び全ての例、または例示的用語(例えば、「例えば(such as)」)は本発明をより明らかにするためだけであり、別段の主張がない限り本発明の範囲に限定を加えない。明細書中の用語は特許請求されていない要素を本発明の実施のために必須であると解釈されるべきでない。
本発明を実施するために本発明者らに公知の最良モードを含めた本発明の好ましい実施形態が本明細書中に記載されている。これらの好ましい実施形態の改変は上の記載を読めば当業者にとって自明となるであろう。本発明者らは必要に応じて当業者が前記改変を使用することを期待し、本発明者らは本発明が本明細書中に具体的に記載されている以外の別の方法で実施されると意図している。従って、本発明は施行される法律により許容される本明細書に添付されている特許請求の範囲の主題の全ての修飾及び均等物を包含する。更に、上記した要素の全ての可能な変更での組合せは本明細書中に別段の指示がないかまたは前後関係により明らかに否定されていない限り、本発明により包含される。

Claims (37)

  1. a)サンプルをポリメラーゼ、デオキシリボヌクレオシドトリホスフェート、緩衝液、可逆的に不活性であるRNアーゼH酵素、第1プライマーを含む反応混合物中で処理するステップ;
    b)温度を上昇させて、前記RNアーゼH酵素を活性化するステップ;
    c)前記第1プライマーを適切な温度で標的RNAとハイブリダイズするステップ;
    d)二本鎖産物を前記RNアーゼHで処理して保護基を除去するステップ;
    e)前記第1プライマーを重合して、標的RNAに対して相補的なcDNAを形成するステップ;
    を含むサンプル中の標的RNA分子をコピーしてcDNAを産生させる方法であって、前記第1プライマーはその3’末端またはその近くでRNアーゼH酵素で除去され得る保護基で保護されており、前記第1プライマーはハイブリダイズし、二本鎖産物を形成するように標的RNAに対して相補的である前記方法。
  2. 前記反応混合物は更にcDNAに対して相補的な第2プライマーを含み、前記方法は更に前記第2プライマーをcDNAに対してハイブリダイズし、前記第2プライマーを重合してcDNAに対して相補的な伸長産物を形成する請求項1に記載の方法。
  3. 前記RNアーゼH酵素はRNアーゼH2酵素である請求項1に記載の方法。
  4. 前記RNアーゼH2酵素はパイロコッカス・アビシ(Pyrococcus abyssi)RNアーゼH2酵素である請求項3に記載の方法。
  5. 前記ポリメラーゼはホットスタートポリメラーゼでない請求項1に記載の方法。
  6. 少なくとも1つの構造I:
    Figure 2015510776
    (式中、R及びRは独立して低級アルキル、低級シクロアルキル、低級アルケニル、低級アリール、低級アリールアルキル、低級アルコキシ、アシルまたはカルボアルコキシ基からなる群から選択され、或いは一緒に低級炭素環または低級ヘテロ環を規定し、R及びRの各々は独立して場合によりハロゲン、アルコキシ、アミノ、アシル、カルボキシ、カルボアルコキシまたはカルバミルで置換されている)
    の修飾リシン残基を含む修飾パイロコッカス・アビシRNアーゼH2タンパク質。
  7. 及びRの一方はHであり、R及びRの他方はCHである請求項6に記載の修飾パイロコッカス・アビシRNアーゼH2タンパク質。
  8. 及びRの一方はHであり、R及びRの他方はCHCOHである請求項6に記載の修飾パイロコッカス・アビシRNアーゼH2タンパク質。
  9. 及びRはCHである請求項6に記載の修飾パイロコッカス・アビシRNアーゼH2タンパク質。
  10. 及びRは一緒にブタン−1,4−ジイルである請求項6に記載の修飾パイロコッカス・アビシRNアーゼH2タンパク質。
  11. 前記リシン残基は保存リシン残基である請求項6に記載の修飾パイロコッカス・アビシRNアーゼH2タンパク質。
  12. 約25個のリシン残基が修飾されている請求項6に記載の修飾パイロコッカス・アビシRNアーゼH2タンパク質。
  13. 約22〜約28個のリシン残基が修飾されている請求項6に記載の修飾パイロコッカス・アビシRNアーゼH2タンパク質。
  14. (temp)での活性が約(低温活性)未満である請求項6に記載の修飾パイロコッカス・アビシRNアーゼH2タンパク質。
  15. 少なくとも1つの構造I:
    Figure 2015510776
    (式中、R及びRは独立して低級アルキル、低級シクロアルキル、低級アルケニル、低級アリール、低級アリールアルキル、低級アルコキシ、アシルまたはカルボアルコキシ基からなる群から選択され、或いは一緒に低級炭素環またはヘテロ環を規定し、R及びRの各々は独立して場合によりハロゲン、アルコキシ、アミノ、アシル、カルボキシ、カルボアルコキシまたはカルバミルで置換されている)
    の修飾リシン残基を含む修飾パイロコッカス・アビシRNアーゼH2タンパク質;及び
    少なくとも1つのDNAポリメラーゼまたはDNAリガーゼ
    を含むキット。
  16. 更に、RNアーゼH2切断ドメインを含むオリゴヌクレオチドを含む請求項15に記載のキット。
  17. パイロコッカス・アビシRNアーゼH2タンパク質を式II:
    Figure 2015510776
    (式中、R及びRは独立して低級アルキル、低級シクロアルキル、低級アルケニル、低級アリール、低級アリールアルキル、低級アルコキシ、アシルまたはカルボアルコキシ基からなる群から選択され、或いは一緒に低級炭素環または低級ヘテロ環を規定し、R及びRの各々は独立して場合によりハロゲン、アルコキシ、アミノ、アシル、カルボキシ、カルボアルコキシまたはカルバミルで置換されている)
    の化合物と接触させることを含むパイロコッカス・アビシRNアーゼH2タンパク質の修飾方法。
  18. 更に、前記パイロコッカス・アビシRNアーゼH2タンパク質の式IIの化合物との接触を反復させることを含む請求項17に記載の方法。
  19. 前記反復接触は少なくとも合計3回の接触を含む請求項18に記載の方法。
  20. 前記反復接触は少なくとも合計5回の接触を含む請求項18に記載の方法。
  21. 前記反復接触は少なくとも合計10回の接触を含む請求項18に記載の方法。
  22. 式IIの化合物との接触は無水マレイン酸、無水シトラコン酸(citriconyl)、無水シス−アコチニン酸及び無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸からなる群から選択される化合物との接触を含む請求項18に記載の方法。
  23. 少なくとも1つの構造I:
    Figure 2015510776
    (式中、R及びRは独立して低級アルキル、低級シクロアルキル、低級アルケニル、低級アリール、低級アリールアルキル、低級アルコキシ、アシルまたはカルボアルコキシ基からなる群から選択され、或いは一緒に低級炭素環または低級ヘテロ環を規定し、R及びRの各々は独立して場合によりハロゲン、アルコキシ、アミノ、アシル、カルボキシ、カルボアルコキシまたはカルバミルで置換されている)
    の修飾リシン残基を含む修飾パイロコッカス・アビシRNアーゼH2タンパク質を再活性化する方法であって、前記修飾パイロコッカス・アビシRNアーゼH2タンパク質を加熱することを含む前記方法。
  24. 前記加熱は少なくとも約95℃の温度に加熱することを含む請求項23に記載の方法。
  25. オリゴヌクレオチドをRNアーゼH2切断ドメインで切断する方法であって、
    RNアーゼH2切断ドメインを含むオリゴヌクレオチドを少なくとも1つの構造I:
    Figure 2015510776
    (式中、R及びRは独立して低級アルキル、低級シクロアルキル、低級アルケニル、低級アリール、低級アリールアルキル、低級アルコキシ、アシルまたはカルボアルコキシ基からなる群から選択され、或いは一緒に低級炭素環または低級ヘテロ環を規定し、R及びRの各々は独立して場合によりハロゲン、アルコキシ、アミノ、アシル、カルボキシ、カルボアルコキシまたはカルバミルで置換されている)
    の修飾リシン残基を含む修飾パイロコッカス・アビシRNアーゼH2タンパク質と修飾パイロコッカス・アビシRNアーゼH2タンパク質を再活性化させるのに十分な温度で接触させ、これにより前記オリゴヌクレオチドを切断することを含む方法。
  26. 前記方法はホットスタート法である請求項25に記載の方法。
  27. 前記方法はシングルチューブ方法である請求項25に記載の方法。
  28. 前記方法は核酸増殖アッセイ、核酸検出アッセイ、オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ(OLA)、プライマープローブアッセイ、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、定量ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、多項式増殖方法、DNA配列決定方法、またはプライマー伸長を含む方法の少なくとも1つにおけるステップである請求項25に記載の方法。
  29. RNアーゼH2切断ドメインを含むオリゴヌクレオチドの接触は、単一RNA残基、または少なくとも1つの代替ヌクレオシドで置換されているRNA塩基を含むオリゴヌクレオチドの接触を含む請求項25に記載の方法。
  30. オリゴヌクレオチドの接触は二重鎖オリゴヌクレオチドの接触を含む請求項25に記載の方法。
  31. オリゴヌクレオチドの接触はDNA複製のためのプライマーの接触を含む請求項25に記載の方法。
  32. 第1及び第2プライマーが判別プライマーであるDNA分子中の一塩基多型(SNP)を判別する際に使用するための請求項2に記載の方法。
  33. 更に第3プライマーを含み、前記第3プライマーはその後の増殖反応に関与しないように修飾されている請求項2に記載の方法。
  34. 前記修飾は切断可能なリンケージを形成する請求項33に記載の方法。
  35. 前記の切断可能なリンケージは化学的切断または制限酵素を受けやすい請求項34に記載の方法。
  36. 前記修飾は保護基を含む請求項33に記載の方法。
  37. 前記保護基は2’−修飾RNA残基、脱塩基残基、非天然塩基、または非ヌクレオチドナフチル−アゾ修飾因子を含む請求項36に記載の方法。
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