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JP2015227806A - 磁性体ゲルビーズを用いた標的分子の高感度検出方法及び検出用キット - Google Patents

磁性体ゲルビーズを用いた標的分子の高感度検出方法及び検出用キット Download PDF

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Naoto Nemoto
直人 根本
佑介 蛙田
Yusuke Kawazuta
佑介 蛙田
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Saitama University NUC
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Abstract

【課題】 短時間で高い検出感度で標的分子を検出することができる検出方法及び標的分子の検出に使用する検出用キットを提供することを目的とする。【解決手段】 バッファー中でペプチドアプタマーが固定された磁性体ゲルビーズと、前記ペプチドアプタマーと特異的に結合する標的分子とを結合させる結合工程と;前記標的分子と結合した磁性体ゲルビーズをバッファー中で凝集させる凝集工程と;前記凝集したゲルビーズと結合した標的分子を検出する検出工程と;を備えることを特徴とする、標的分子の高感度検出方法及びこの検出方法で使用する検出用キットを提供する。【選択図】 図1

Description

本発明は、磁性体ゲルビーズを用いた標的分子の高感度検出方法及び検出用キットに関する。特に、温度感応性磁性体ゲルビーズを用いた上記検出方法及び検出用キットに関する。
種々の疾病を適切に診断し、効果的な治療を行うためには、疾病のマーカーとなるタンパク質その他の生体分子の検出が、非常に重要である。こうした生体分子の検出については、従来、検出対象である生体分子(以下、「標的分子」という。)と特異的に結合し得る分子を使用して、これら2つの分子間の相互作用に基づいて検出する方法が、広く用いられてきた。
標的分子である抗原と、このような抗原と特異的に結合する抗体とを使用した、従来のタンパク質の検出法は、簡易な検出方法と研究や臨床検査に用いられる高感度の検出方法の2つに大別され(図1参照)、簡易な検出方法としては、免疫比濁法(以下、「従来技術1」という。)やイムノクロマトグラフィー法(以下、「従来技術2」という。)等を挙げることができる。また、高感度の検出方法としては、ELISA法(以下、「従来技術3」という。)、間接蛍光抗体法(以下、「従来技術4」という。)、ラテックス凝集法(以下、「従来技術5」という。)等を挙げることができる。
従来のタンパク質検出方法のうち、簡易な検出方法に分類される免疫比濁法は、抗原に抗体を反応させて免疫複合体(沈降物)を形成させ、この凝集塊に光を照射して、吸光度を自動分析器で計測することによって、検体に含まれる抗原量を測定するという方法である。また、イムノクロマトグラフィー法は、抗原抗体反応を利用した、迅速検査手法の一つであり、主として、細菌やウイルスなどの病原体の検出に用いられている。最近では、セルロース膜の毛細管現象を利用して、この膜上に担持させた標識抗体と検体中抗原とを反応させ、ここで形成された免疫複合体をキャプチャー抗体にトラップし、呈色させ、目視判定するという製品も市販されている。
また、高感度の検出方法に分類されるELISA法は、抗原抗体反応を利用した方法であり、一次抗体又は二次抗体を、アルカリホスファターゼ等の酵素で標識し、酵素反応産物の量を発色により調べることで抗原量を提供する。すなわち、抗体を固相化した容器中に試料検体と酵素標識抗原とを添加し、抗原・抗体反応をさせる。洗浄により試料検体を除去した後に、酵素基質を加えて発色させ、吸光度を測定して検体中の抗原量を測定するという方法である。
同様に、間接蛍光抗体法は、まず未標識の一次抗体を目的分子に結合させ、その後、一次抗体と反応する蛍光標識された二次抗体を作用させ、蛍光を検出するという手法である。ラテックス凝集法は、抗体(抗原)をラテックス粒子に固相化し、抗原(抗体)存在下でラテックス粒子を凝集させ、この凝集を観察することで、抗原(抗体)を検出する方法である。
ラテックス凝集法は、抗体をラテックス粒子に固定化しておき、抗原の存在下にラテックス粒子を凝集させるという手法である。抗原が存在しない場合には凝集は起こらないため、凝集の有無を観察することによって抗原の存在を確認することができる。
こうした検出方法では、通常、抗体を磁性体ビーズ上に固定しておき、抗原を含む試料と反応させて検出を行う。磁性体ビーズは磁石によって簡便かつ迅速に溶液から分離することができ、取扱いが容易であるため、ライフサイエンスの分野で広く使用され、種々のポリマーでコートされた磁性体ビーズが市販されている。
ところで、生体サンプル中には、標的分子の他に種々のタンパク質が含まれており、また、標的分子の濃度も低いことが多いため、免疫診断では、検出感度を上げる必要があり、検討が行われてきた。より多くの抗体を固定することができれば検出感度を上げることができるため、より表面積の大きな担体を使用することになる。一方で、磁性体ビーズの粒径が数百nm以下になると、磁性体ビーズの磁力が低下すること、及び水中で水分子によるブラウン運動の影響を強く受けることになるため、磁石による磁性ビーズの分離が難しくなる。このため、免疫診断では、磁石による分離が可能な磁性体ビーズとしては、粒径が数μmの磁性体ビーズが多用されている。
こうした点についての改良が進められ、ポリ-N-イソプロピルアクリルアミドを磁性体ナノ粒子の表層に固定化した磁性体粒子が開発された。ポリ-N-イソプロピルアクリルアミドは、熱応答性高分子の一種であり、水溶液中で下限臨界溶液温度(LCST)を示す。この磁性体ナノ粒子は、水温を上げると凝集し、下げると再分散するという性質を有する(図2参照)。そして、この磁性体ナノ粒子を用いたサンドイッチELISA法が提案されている(非特許文献1参照、以下「従来技術6」という。図4参照)。
Analytical Chem. 2011, 83, 9197-9200
上述した簡易な検出方法の場合、数時間以内という比較的短時間のうちに、数百μg/mL〜数百mg/mLという検出感度で標的物質を検出することができるが、偽陽性や偽陰性もあり、信頼性もさほど高くはないという問題がある。
上述した高感度の検出方法の場合、簡易な検出方法に比べれば数百ng/mLから数百μg/mLと検出感度は高いが、絶対的な検出感度は高いとはいえないという問題がある。また、検出に要する時間が数時間以上、場合によっては12時間以上と長いという問題点もある(図1参照)。
さらに、以上のような従来の方法では、抗体が使用されているが、ここで使用する抗体は、精製されたものでなければならず、抗体の精製には、多大な時間と複雑で煩雑な操作が必要となる。簡単に説明すると以下の通りとなる。マウスに抗原を投与する場合を例に挙げると、まず、マウスに抗原を投与し、所定の期間の経過後に採血を行い、マウスの血液中からB細胞を取り出す。次いで、あらかじめ培養しておいたミエローマ細胞と、このB細胞とを試験管内で所定の方法で融合させてハイブリドーマを作製し、このハイブリドーマを培養して、培養上清中にモノクローナル抗体を産生させる。そして、培養上清中のモノクローナル抗体を精製する。
また、サンドイッチアッセイの場合には、複数のエピトープを認識する抗体が必要となり、抗体の入手にさらに時間がかかるという問題がある(図3参照)。
このようにして得られた抗体の分子量は150KDa程度とかなり大きいため、精製にも手間がかかり、また、他の部分に影響を与えないように抗体の一部を化学的に修飾することも難しい。このため、近年では、検出用分子として、抗体に代えて、標的分子と特異的に結合し得るアプタマーが用いられるようになってきている。アプタマーは、抗体に比べると約10KDa以下と分子量も小さく、一本鎖の核酸であることから、必要に応じて、核酸合成装置等を用いて合成することもできる。しかし、自動合成したアプタマーを使用した場合には、多様性に欠けるという問題点がある。
一方で、耐性菌の出現や、新興感染症の増加など、種々の感染症は減少しているとはいえず、迅速、簡易かつ高感度の検出法に対する強い社会的要請がある(図1参照)。
こうした状況の下で、本発明の発明者らは、鋭意研究を重ねて本願発明を完成したものである。
すなわち、本発明の第1の態様は、バッファー中でペプチドアプタマーが固定された磁性体ゲルビーズと、前記ペプチドアプタマーと特異的に結合する標的分子とを結合させる結合工程と;前記標的分子と結合した磁性体ゲルビーズをバッファー中で凝集させる凝集工程と;前記凝集したゲルビーズと結合した標的分子を検出する検出工程と;を備えることを特徴とする、標的分子の高感度検出方法である。
ここで、前記標的分子の濃度は60nM〜1.25μMであることが好ましく、前記磁性体ゲルビーズは、温度感応性であることが好ましい。また、前記磁性体ゲルビーズには、ペプチドアプタマーを固定するための固定用分子が固定されていることが好ましく、前記固定用分子は、ストレプトアビジン、アミノ基、及びカルボキシル基からなる群から選ばれるものであることが好ましい。
前記ペプチドアプタマーは、8個以上150個以下のアミノ酸で構成されていることが好ましく、10個以上30個以下のアミノ酸で構成されていることがさらに好ましい。また、前記凝集は、温度が18〜28℃の範囲で行われることが好ましく、20〜27℃の範囲で行われることがさらに好ましい。さらにまた、前記凝集は、塩濃度が100〜500mMの範囲で行われることが好ましく、300〜500mMの範囲で行われることがさらに好ましい。
本発明の第2の態様は、標的分子と結合するペプチドアプタマー作製用のリンカー調製剤と;前記ペプチドアプタマーを精製するための精製用磁性ビーズと、ビオチン化試薬と、酵素と;前記精製されたペプチドアプタマーを、固定用分子が固定された磁性体ゲルビーズと結合させるための結合用試薬と;前記結合されたペプチドアプタマーを固定するための固定用分子が固定された磁性体ゲルビーズと;を備えることを特徴とする、標的分子の高感度検出用キットである。
ここで、前記リンカー調製剤は、ペプチド提示分子が結合された一方の端部と;ペプチドアプタマーの塩基配列と対応する配列のmRNAが主鎖として結合される他方の端部と;前記他方の端部近傍に位置する固相結合分子と;を有するペプチド鎖を含むものであることが好ましい。
また、前記ペプチド提示分子はピューロマイシンであり、前記固相結合分子がビオチンであることが好ましく、前記酵素は、RNase T1、Endonuclease V、及びPvuIIからなる群から選ばれるものであることが好ましい。前記標的分子の濃度は、0.1nM〜1mMであることが好ましい。
本発明によれば、標的分子の検出感度が数十ng/mL〜数十μg/mLと高く、かつ検出に要する時間が十数分〜3時間程度と短い、高感度検出が可能となる。また、このような高感度かつ迅速な検出を可能とする検出用キットを提供することができる。
図1は、従来の検出方法と本発明の検出方法との差異を示す概念図である。 図2は、熱応答性ポリマーで被覆された磁性ナノ粒子(磁性ゲルビーズ)の分散状態と凝集状態とを示す模式図である。図中、LCSTは、下限臨界溶液温度を示す略号である。 図3は、ビオチンに結合しているβ抗体と、PAAc(ポリアクリル酸)と結合しているα抗体とで、抗原(標的分子)をサンドイッチし、形成された抗原抗体複合体と、表面にストレプトアビジンが固定された前記磁性体ゲルビーズとをインキュベートする、サンドイッチアッセイを模式的に示す図である。 図4Aは、抗原抗体複合体が磁性体ゲルビーズ表面に結合された状態を模式的に示す図であえる。 図4Bは、標的分子が存在せず、粒子同士が凝集した状態を模式的に示す図である。 図5は、LCSTが22℃未満のときに、チューブ内で分散状態にある磁性体ゲルビーズと、22℃以上で凝集状態にある磁性体ゲルビーズとを示す図である。 図6は、磁性体ゲルビーズ表面にペプチドアプタマーを固定し、IL-6R(標的分子)を加えていない場合のビーズの状態(左の写真)、IL-6Rを加えた場合のビーズの状態(右の写真)、及びそれぞれの場合のゲルビーズの状態を示す模式図とを合わせて示す図である。 図7Aは、磁性体ゲルビーズ表面にペプチドアプタマーが結合された場合と、抗体が決された場合とを模式的に示す図である。 図7Bは、磁性体ゲルビーズ表面にペプチドアプタマーが結合された場合を模式的に示す拡大図である。
以下に、本発明を、図5〜7を参照しつつ、さらに詳細に説明する。
図7に示すように、本発明は、(a)バッファー中でペプチドアプタマーが固定された磁性体ゲルビーズと、前記ペプチドアプタマーと特異的に結合する標的分子とを結合させる結合工程と;(b)前記標的分子と結合した磁性体ゲルビーズをバッファー中で凝集させる凝集工程と;(c)前記凝集したゲルビーズと結合した標的分子を検出する検出工程と;を備えることを特徴とする、標的分子の高感度検出方法である。
(1)ペプチドアプタマー
本明細書中、「ペプチドアプタマー」とは、特定の物質と特異的に結合する核酸分子であり、タンパク質や細胞の機能を変化させるものをいう。ペプチドアプタマーが結合する「特定の物質」には、増殖因子、酵素、受容体、ウイルスタンパク質その他の種々のタンパク質、各種金属イオンなどが含まれる。ペプチドアプタマーは、核酸合成装置などで合成することもでき、cDNAディスプレイ法等で作成することもできる。cDNAディスプレイ法で作成する場合には、後述するmRNA/cDNA-タンパク質連結体作製用リンカーを使用する。
(2)ペプチドアプタマー生成用リンカーの作製
本明細書において、「リンカー」とは、cDNAディスプレイ法において用いられる、mRNA−リンカー連結体、mRNA−リンカー−タンパク質連結体、mRNA/cDNA−リンカー−タンパク質連結体(以下、この連結体を「IVV」ということがある)、及びcDNA−リンカー−タンパク質連結体からなる群から選ばれるいずれかの連結体を生成する際に使用するリンカーのことをいう。
前記リンカーは、(L1)固相との結合を形成する分子を有している固相結合部位(BB)と;(L2)前記固相結合部位を挟むように位置し、DNA修復酵素で切断される損傷DNAを含む、前記固相から切り離すための2以上の切断部位(C1及びC2)と;(L3)前記リンカーの5’末端側に位置し、RNAリガーゼが認識し得るmRNA連結部位(MB)と;(L4)前記リンカーの3’末端側近傍に位置する側鎖結合部位(SB)と;(L5)前記リンカーの3’末端側に位置し、前記リンカー上で逆転写が行われる場合に逆転写用のプライマーとして機能するプライマー領域(PR)と、を備える主鎖と;(L6)前記側鎖連結部位(SB)に連結される側鎖とを有する。
前記リンカーは、主としてDNAで構成されるが、デオキシイノシン、ビオチン修飾デオキシチミン、Fluorescein修飾デオキシチミン等のDNAアナログを含んでいてもよく、全体として、柔軟性と親水性とを有するように、設計することが好ましい。また、「固相合成」とは、ビーズ、反応容器の側壁、底面その他の固相表面に、本願発明のリンカーを直接的又は間接的に固定して行う合成反応をいう。
また、本明細書中において、「所定のmRNA」には、遺伝子をコードする配列、又は連結体形成、翻訳反応促進に必要な配列、あるいはその他の配列等を有するmRNAが含まれるものとする。
前記固相との結合を形成する分子としては、例えば、固相にアビジン及びストレプトアビジン等が結合されている場合にはビオチン、マルトース結合タンパク質が結合されている場合にはマルトース、Gタンパク質が結合されている場合にはグアニンヌクレオチド、ポリヒスチジンペプチドが結合されている場合にはNi又はCo等の金属、グルタチオン−S−トランスフェラーゼが結合されている場合にはグルタチオン、配列特異的なDNA又はRNA結合タンパク質が結合されている場合にはこれらに特異的な配列を有するDNA又はRNA、抗体又はアプタマーが結合されている場合には抗原又はエピトープペプチド、カルモジュリンが結合されている場合にはカルモジュリン結合ペプチド、ATP結合タンパク質が結合されている場合にはATP、エストラジオール受容体タンパク質が結合されている場合にはエストラジオール等を挙げることができる。これらの中でも、ビオチン、マルトース、Ni又はCo等の金属、グルタチオン、抗原分子又はエピトープペプチド等を使用することが好ましく、リンカー合成の容易さの面から、ビオチンが使用されることが多い。
前記固相結合部位(BB)は、上述したmRNA−リンカー−タンパク質連結体等の連結体を、リンカーを介して固相に結合させるための部位であり、前記固相結合部位(BB)は、少なくとも1〜10塩基で構成されている。例えば、ビオチン修飾デオキシチミジン(dT)であってもよい。
また、上記の特定のポリペプチド等の固相結合部位への導入は、タンニン酸、ホルマリン、グルタールアルデヒド、ピルビックアルデヒド、ビス−ジアゾ化ベンジゾン、トルエン−2,4−ジイソシアネート等を利用する方法によっても行うことができ、IVVの変性を避けるために分子間の親和性のみを利用して行う。前記(L2)中の切断部位(C1及びC2)は、前記固相結合部(BB)を挟むように位置している。エンドヌクレアーゼ作用を有するDNA修復酵素としては、Endo III、Endo IV、Endo V、Endo VIII、Fpg、hAAG、hNEIL 1、hOGG1、T4 PDG、APE1、Tma Endo III、Tth Endo IV等を挙げることができる。上記の切断部位には、アプリン酸、アピリミジン酸、酸化ピリミジン、酸化プリン、アルキル化プリン、デオキシイノシン、デオキシウリジン、5−ヒドロキシウラシル、5−ヒドロキシメチルウラシル、5−ホルミルウラシル、ピリミジンダイマー、ジヒドロチミン、6−メチルアデニン、8−オキソグアニン、デオキシウラシル等のエンドヌクレアーゼで切断される損傷DNAが含まれていてもよい。
前記(L3)の前記mRNA連結部位は、少なくとも1〜10塩基で構成されている。前記mRNA連結領域(MB)は、あらかじめリン酸化されている必要はないが、所定のmRNAと連結されるためには、前記mRNAの3’末端とのライゲーション反応に先だって、又はライゲーション反応中に、キナーゼ等によりリン酸化される必要がある。
前記(L4)の前記リンカーの3’末端側近傍に位置する側鎖結合部位(SB)は、後述する側鎖が連結する部位である。また、例えば、リンカーの側鎖連結部位(SB)が、Amino-Modifier C6 dTで構成されている場合には、前記側鎖の5’末端を5’-Thiol-Modifier C6として、EMCSを用いて架橋させ、主鎖と側鎖とを連結させることができる。
前記(L5)のプライマー領域(PR)は、前記リンカーの3’末端側に位置し、前記リンカー上で逆転写が行われる場合に逆転写用のプライマーとして機能する領域であり、前記側鎖連結部位の3’側に隣接している。ここで、プライマー領域(PR)は、前記リンカー上で逆転写が行われる場合に逆転写用のプライマーとして機能する領域である。この領域は、約1〜15塩基からなることが好ましく、特に3〜5塩基からなることが好ましい。15塩基を越えると、リンカーとしての結合効率が悪くなるため、リンカーとの結合効率及びプライマーとしての反応効率という面から、上記の塩基数とすることが好ましい。
また、前記(L6)の前記側鎖連結部位(SB)に連結する側鎖は、主鎖と相補的なmRNAから合成されたタンパク質を連結するタンパク質連結部位(P)と前記側鎖連結部位との間に、スペーサーと蛍光基(F)とを有するものである。
ここで、前記側鎖のタンパク質連結部位としては、ヌクレオチド配列の3’末端とアミノ酸がアミド結合を形成しているピューロマイシン、リボシチジルピューロマイシン(rCpPur)、デオキシジルピューロマイシン(dCpPur)、デオキシウリジルピューロマイシン(dUpPur)等のピューロマイシン類縁体の他、3’-N-アミノアシルピューロマイシンアミノヌクレオシド(PANS-アミノ酸)、3’-N-アミノアシルアデノシンアミノヌクレオシド(AANS-アミノ酸)等を挙げることができる。
PANS-アミノ酸としては、例えば、PANS-Gly、PANS-Val、PANS-Ala等を挙げることができ、AANS-アミノ酸としては、AANS-Gly、AANS-Val、AANS-Ala等を挙げることができる。また、ヌクレオシドとアミノ酸とがエステル結合したものなども使用することができるが、ピューロマイシンを使用することが、前記タンパク質連結部位におけるタンパク質の連結の安定性が高いことから特に好ましい。
また、スペーサーとしては、柔軟性があり、立体障害性が低いことから、Spacer 18 Phosphoramiditeを使用することが好ましい。ピューロマイシン類縁体がリボソームに取り込まれるときの立体障害の発生を防ぐために、前記側鎖は、Phosphoramidite分子が1〜8個程度連なった構造を有することが好ましく、リンカーの合成効率及び上述した各連結体の形成効率とのバランスの点から、こうしたPhosphoramidite分子が4個程度連なった構造を有するものであることがさらに好ましい。
前記側鎖が、前記タンパク質連結部位と、前記側鎖連結部位との間に蛍光基を有することで、後述するcDNAディスプレイ法の各工程において、リンカーの有無を容易に検出することが可能となる。蛍光基としては、例えば、活性エステルに変換可能なカルボキシル基、ホスホロアミダイドに変換可能な水酸基、又はアミノ基等のフリーの官能基を有し、標識された塩基としてリンカーに連結することができる蛍光化合物を使用することが好ましい。このような蛍光化合物としては、例えば、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、フィコビリタンパク質、希土類金属キレート、ダンシルクロライド、テトラメチルローダミンイソチオシアネート、Fluorescein-dT等を挙げることができる。これらの中でも、分子標識用の化合物として使用されるFluorescein-dTを使用することが、合成が容易であることから好ましい。
以下に、ペプチドアプタマー作製用のリンカーの製造方法について説明する。
まず、所望の配列となるように、常法に従ってDNAを合成し、主鎖として使用するための一本鎖のオリゴマーを作製する。このように合成した一本鎖オリゴマーは、上述したように、固相結合部位と、2以上の切断部位と、mRNA連結部位と、側鎖連結部位と、プライマー領域とを備えている。2以上の切断部位の大きさ及び主鎖中の位置によって、主鎖となる一本鎖オリゴマーの長さを適宜決定する。
次いで、所望の長さの側鎖を合成し、主鎖上の側鎖連結部位に連結させる。側鎖の遊離末端に、例えば、ピューロマイシンを導入し、上述したFluorescein-dTを蛍光標識部位に導入して、本発明のmRNA/cDNA-タンパク質連結体作製用リンカーを得ることができる。
主鎖の設計に際しては、各種のmRNAのコード配列を参考にすることができる。例えば、配列が知られている各種のレセプタータンパク質をコードするmRNA、各種抗体又はその断片をコードするmRNAその他のmRNA等を挙げることができる。mRNAのコード配列から翻訳されて生成されたポリペプチド鎖のC末端に、ピューロマイシンやその類縁体といったアミノアシルtRNAの3’末端アナログが取り込まれ、前記ポリペプチド鎖とmRNA−リンカー連結体とが連結されるためには、終止コドンを含まない配列を選択する。こうしたmRNAは、in vitro転写反応、化学合成、生体・細胞・微生物からの抽出その他の各種の方法を用いて得ることができるが、in vitro転写反応を用いて作製すると、リンカーとの連結及び無細胞翻訳の反応効率が高い。
また、5’末端の7−メチル化グアノシンキャップ構造、又は3’末端のポリA尾部構造の少なくとも一方の構造を有するものであることが、タンパク質の合成効率の点から好ましい。Kozak配列や、Shine-Dalgarno配列を有することが、翻訳の開始を促進することから、さらに好ましい。ここで使用するmRNAの長さは、原則として本発明を利用して分子進化させるべきタンパク質又はポリペプチドの長さより規定されるコード領域の長さに依存する。50〜1,000塩基長であることが、反応効率の面からであることが好ましく、200〜500塩基であることが、最も高い反応効率を得られることから、さらに好ましい。
mRNA/cDNA−リンカー−タンパク質連結体の生成では、上述したmRNA/cDNA-タンパク質連結体作製用リンカーと、前記リンカーの主鎖と相補的な配列を有するmRNAをmRNA連結部位でT4 RNAリガーゼによって連結して、mRNA-リンカー連結体を生成させる。ついで、前記mRNAからタンパク質を無細胞翻訳系で合成し、前記合成されたタンパク質が、前記mRNA−リンカー連結体中の前記タンパク質連結部位に連結して、mRNA−リンカー−タンパク質連結体を生成させる。
引き続き、前記mRNA−リンカー−タンパク質連結体を、前記固相結合部位を介して固相に結合させ、前記mRNA−リンカー−タンパク質連結体の結合した固相を第1の緩衝液にて洗浄する。その後、前記主鎖の3’末端を反応開始点とし、前記mRNAを鋳型として、逆転写反応を行ってcDNA鎖を合成し、mRNA/cDNA−リンカー−タンパク質連結体を得る。次いで、前記mRNA/cDNA−リンカー−タンパク質連結体の結合した固相を第2の緩衝液で洗浄し、前記主鎖の切断部位を前記所定のエンドヌクレアーゼで切断する。
ライゲーション反応は、反応効率の点から20〜40μLで行い、RNA:リンカーとを、モル比で3:1〜1:6の範囲で行う。反応効率を上げ、残余を最少化するためには、1:(1〜2)(10pmolのmRNAに対し、10〜20pmolのリンカー)とするとよい。
次に、ヒートブロック、アルミブロック、ウォーターバスその他の加温用器具を用いて、約60〜100℃にて約2〜約60分間、試料溶液を温めた後、室温で約2〜約60分間放置し、液温を穏やかに低下させる。その後、さらに、約−5℃〜約10℃まで冷却する。具体的には、例えば、90℃で5分間アルミブロック上にて試料溶液を温め、次に、70℃のアルミブロック上に移して5分間置き、その後上記mRNAと上記リンカーとのライゲーション反応を行なう。例えば、約0.1〜約2.5U/μLのT4ポリヌクレオチドキナーゼ、約0.4〜約5U/μLのT4 RNAリガーゼ、約2〜約50mMの塩化マグネシウム、約2〜約50mMのDTT、約0.2〜約5mMのATPを含む10〜250mMのTris-塩酸緩衝液(pH 7.0〜8.0)中で行い、約10℃〜約40℃で、約1分〜約60分間反応させる。作業効率及び反応効率の面から、20℃〜30℃で5分〜30分間行うことが好ましく、25℃で15分間とすることがさらに好ましい。
前記無細胞翻訳系として哺乳類の網状赤血球細胞のライセートを利用することが好ましく、ウサギの血液から得られた網状赤血球細胞のライセートを利用することがさらに好ましい。また、前記哺乳動物に予めアセチルフェニルヒドラジンを投与して溶血性貧血等を誘導し、数日間経過した後に採血をすると、血中の網状赤血球の割合を高めることができる。例えば、前記ライセートとして、マイクロコッカルヌクレアーゼによって細胞由来のmRNAを分解し、グリコールエーテルジアミン四酢酸(EGTA)を加えてカルシウムをキレートし、前記ヌクレアーゼを不活化処理したもの(以下、「マイクロコッカルヌクレアーゼ処理済」という。)を使用する。
例えば、約16〜約400mMの酢酸カリウム、約0.1〜約2.5mMの酢酸マグネシウム、約0.2〜約50mMのクレアチンリン酸、0〜約0.25mMのアミノ酸を含む反応液(濃度はいずれも終濃度)10〜100μL中に、マイクロコッカルヌクレアーゼ処理済のウサギ網状赤血球ライセートと上記連結体とを加えて、翻訳反応を行うことができる。
反応効率の点から、ウサギ網状赤血球ライセートの量を約8.5〜約17μL、上記連結体の量を約1.2〜約2pmolとし、反応系のサイズを約12.5〜約25μLとして、約20〜約40℃で約10〜約30分間行う。この場合に使用する反応液は、80mMの酢酸カリウム、0.5mMの酢酸マグネシウム、10mMのクレアチンリン酸、それぞれ0.025mMのメチオニン及びロイシン、0.05mMのメチオニン及びロイシン以外のアミノ酸を含む。約30℃で約20分間翻訳を行うと、生成効率と作業効率が高い。
翻訳反応後、翻訳産物であるタンパク質とmRNA−リンカー連結体とを、例えば、0.3〜1.6Mの塩化カリウム及び40〜170mMの塩化マグネシウムの存在下(濃度はいずれも終濃度)、約27〜約47℃で、約30分〜約1.5時間反応させると、タンパク質を上記連結体と効率よく結合させることができる。
mRNA−リンカー−タンパク質連結体が固定される固相としては、例えば、スチレンビーズ、ガラスビーズ、アガロースビーズ、セファロースビーズ、磁性体ビーズ等のビーズ;ガラス基板、シリコン(石英)基板、プラスチック基板、金属基板(例えば、金箔基板)等の基板;ガラス容器、プラスチック容器等の容器;ニトロセルロース、ポリビニリデンフロリド(PVDF)等の材料からなるメンブレンなどが挙げられる。固相がスチレンビーズ、スチレン基板などのプラスチック材料で構成されている場合には、必要に応じて、公知の手法を用いてリンカーの一部を直接それらの固相に共有結合させてもよい(Qiagen社製、LiquiChip Applications Handbook等参照)。連結体にビオチン又はその類縁体が結合されている場合には、固相にアビジンを結合させておけば、上記連結体を容易に固相に結合させることができる
固相に結合しなかった連結体は、約0.1〜約10Mの塩化ナトリウム、約0.1〜約10mMのEDTA、約0.01〜約1%の界面活性剤を含む1〜100mMのTris-塩酸緩衝液(pH 7.0〜9.0)もしくはリン酸緩衝液(pH 7.0-9.0)等を用いて、洗浄し除去する。2Mの塩化ナトリウム、2mMのEDTA、0.1%のTriton X-100を含む20mMのTris-塩酸緩衝液(pH 8.0)を使用すると、洗浄効率がよい。
前記主鎖の3’末端を反応開始点とし、前記mRNAを鋳型として、所定の条件の下で、逆転写反応を行ってcDNA鎖を合成する。その結果、mRNA/cDNA−リンカー−タンパク質連結体が得られる。逆転写反応系は任意に選択できるが、上記mRNA−リンカータンパク質連結体と、dNTP Mixと、DTTと、逆転写酵素と、標準溶液と、RNaseを除去した水(以下、「RNaseフリー水」という。)とを加えて反応系を調製し、この系中、5〜20分間、30〜50℃の条件で逆転写を行わせることが好ましい。
ついで、上記と同じ緩衝液で洗浄し、遊離の前記mRNA/cDNA−リンカー−タンパク質連結体を除去する。その後、前記主鎖の切断部位を、上述したエンドヌクレアーゼで切断する。例えば、Endo V(NEB社製、M0305S)を使用した場合には、約5〜20mMのTris-HCl、約2.5〜約10mMのEDTA、及び約0.1〜約0.4Mの酢酸ナトリウムの組成を有する反応液中で、約5〜約20分間、約30〜約45℃の温度範囲で反応させる。
以上のようにして、本発明のリンカーを用いて、種々のタンパク質を得るとともに、そのタンパク質に対応するcDNAをも得ることができる。
以上の方法では、得られたmRNAとピューロマイシンを有するリンカーDNAとをアビジン−ビオチン結合を用いて、ストレプトアビジンで修飾された磁性体ビーズ上に固定し、無細胞翻訳系を用いて、mRNAよりタンパクを合成し、逆転写反応を用いてmRNAよりcDNAを合成している。このため、表現型であるタンパク質と遺伝型であるDNA配列情報とが、磁気ビーズ上で安定に1対1に対応付けられている。
前記切断分離工程に引き続いて、得られたタンパク質のアフィニティー等を利用して、mRNA/cDNA−リンカー−タンパク質連結体を選別することができる。その後、選別された前記連結体中の塩基配列に、PCR法等を用いて変異を導入して増幅反応を行う。増幅産物を所望のプロモーター配列を有する二本鎖DNAと所定の方法で連結し、第1世代の変異型mRNA(以下、「mRNA G1」と略す。)を得る。次いで、mRNA G1を用いて、上述したcDNAディスプレイ法の各工程を繰り返すことによって、mRNA G2、mRNA G3等を得ることができ、以上の反応を繰り返しつつ、所望の突然変異等を導入することによって、種々の配列を有するペプチドアプタマーを得ることができる。
(3)ペプチドアプタマーの作製
以下に、修飾オリゴヌクレオチド(例えば、Puro-F-S及びビオチンループ)を用いて、ペプチドアプタマーを作製する場合を例に挙げて説明する。
本発明で使用する磁性体ゲルビーズは、磁気に応答する磁性体を含んでいればよく、特に限定されない。例えば、マグネタイト、γ−酸化鉄、マンガン亜鉛フェライト等の磁性体を有する粒子を挙げることができる。
本発明で使用する磁性体ゲルビーズは、標的分子と結合した後も分散状態にあることが好ましい。このため、平均粒径が50〜200nmであることが好ましく、約100nmであることがさらに好ましい。
また、上記磁性体ゲルビーズは、その表面にペプチドアプタマーを固定するための固定分子を有しているものであることが好ましく、こうした固定分子としては、例えば、ビオチン、アビジン、NHS-Ester、Amin等を挙げることができる。
このような磁性体ゲルビーズとして市販されているものの例としては、Tharma-Max(登録商標)(JNC(株)製、日本)等が挙げられる。この磁性体ゲルビーズは、温度変化で可逆的に凝集・分散を繰り返す熱感応性の高分子が、磁性粒子表面に固定化されている(図2参照)。この磁性体ゲルビーズ表面に、アビジン又はビオチンのいずれが結合されているゲルビーズをも使用することができる(図3参照)。
上記Puro-F-Sとして、5’-(S)-TC(F)-(Spec18)-(Spec18)-(Spec18)-(Spec18)-CC-(Puro)-3’という構造のものを使用することができる。このPuro-F-S鎖中、(S)は5’-Thiol-ModifierC6を、(F)はフルオレセイン-dTを、(Puro)はピューロマイシンCPGを、そして(Spacer18)はスペーサーホスフォロアミダイト18をそれぞれ表すものを使用しても良い。
ビオチンループとしては、所望のオリゴヌクレオチドを使用することができるが、下記の配列のオリゴヌクレオチドを使用することが、切断効率の点から好ましい。
5’-CCCGGTGCAGCTGTTTCATC(T-B)CG GAAACAGCTGCACCCCCCGCCGCCCCCCG(T)CC T-3’…配列番号1
上記ビオチンループ鎖中、(T)はAmino-Modifier C6 dTを表し、また、(T-B)はBiotin-dTを表す。なお、配列表1では、(T)をbとし、(T-B)はyで示してある。
(4)ライブラリの構築
ライブラリの構築は以下のように行うことができる。例えば、プロテインAのBドメインをpEZZ 18プロテインA遺伝子融合体ベクター(GEヘルスケア社製)から入手し、下記のプライマーとを使用して行うことができる。
(FP)フォワードプライマー:T7プロモーター、タバコモザイクウイルス(TMV)の5’非翻訳領域「オメガ」、コザック配列及びATG開始コドンを含む
(RP)リバースプライマー:ヘキサヒスチジンタグ、スペーサー配列(GGGGGA GGCAGC:配列番号2)、及びmRNAとピューロマイシンリンカーDNAとの間に、3’末端でライゲーション可能なピューロマイシンリンカーDNAに相補的な配列(AGGACGG GGGGCGGGGAAA:配列番号3)を含む。
Oct-1のPOU特異的DNA結合ドメインを使用する場合には、PDOで上記Bドメインを置換して鋳型を作成してもよい。抗FLAG M2抗体のアフィニティー選択用に、FLAGエピトープをコードする2つの一本鎖の合成DNAs(27mers)及びランダムデカマーペプチドを使用することができる。これらは、例えば、FASMAC社(日本国)から市販されている。ランダムデカマーペプチドをコードするDNAはコドントリプレットである、X、Y、及びZを含んでもよく、ここで、ヌクレオチドの混合物を示すX、Y及びZ中に含まれる塩基の割合は、下記表1に示す通りのものを使用することができる。
(表1)
Figure 2015227806
以上と同様にして、上述したコドントリプレットを用いる32個のランダムな残基をコードするDNAを用いて、35残基のライブラリを調製することができる。
(5)ピューロマイシンリンカーDNAの合成
上記Puro-F-Sの5’チオール基を、所望の量のリン酸バッファー中にて、所定の条件の下で還元し、脱塩する。次いで、所望量のビオチンループ及びEMCSをバッファーに加え、この混合物を、所望の条件でインキュベートし、過剰なEMCSを除去する。この沈殿を2回洗い、所定のバッファーに溶解させ、還元されたPuro-F-Sを直ちに加えて、所定の条件の下で撹拌する。この反応を停止させた後に、過剰なPuro-F-Sを除去し、カラムを用いてビオチンループ及び未架橋のビオチンループ-EMCS複合体を除去する。
例えば、上記Puro-F-S(5〜20 nmol)の5’チオール基を、50〜200μlの25〜100mMのリン酸バッファー(pH 6.8〜7.2)中にて、室温で3〜9時間、0.5〜2mMのTCEPで還元し、その後、NAP-5カラム(GEヘルスケア社製)で要時脱塩するようにしてもよい。総量5〜20nmolのビオチンループ及び1〜10μmolのEMCSを、50〜200μlの0.1〜0.5Mのリン酸ナトリウムバッファー(pH 6.5〜7.5)に加える。引き続き、この混合物を、34〜39℃で15〜45分インキュベートし、2〜6℃でエタノール沈殿を行い、過剰なEMCSを除去する。
この沈殿を、250〜750μLの予め冷却しておいた70%エタノールで、例えば、2回洗い、5〜20μLの予め冷却しておいた0.1〜0.5Mのリン酸ナトリウムバッファー(pH 6.8〜7.2)に溶解する。ここに還元されたPuro-F-Sを直ちに加えて、2〜6℃で終夜撹拌し、例えば、2〜6mMのTCEPを加えて10〜20分間、34〜39℃でこの反応を停止させるようにしてもよい。その後、エタノール沈殿等により、過剰なPuro-F-Sを室温で除去し、さらに、この沈殿を0.05〜0.2MのTEAA (グレンリサーチ社)又はリン酸バッファーに溶解し、C18 HPLCカラムを用いて以下の条件で、ビオチンループ及び未架橋のビオチンループ-EMCS複合体を除去するようにすることができる。
吸光度254nmにおける最終ピークからの画分(吸光度490nmにおける単一のピークに対応する)からの画分を集め、乾燥後、このジエチルピロカーボネート(DEPC)処理水に再懸濁し、保存する。以上のようにして、ピューロマイシン-リンカーDNAを作製することができる。
カラム:AR-300(C18), 4.6x250mm (ナカライテスク製、日本国)
溶媒:0.1MのTEAA; 溶媒B:アセトニトリル/水(80:20, v/v)
グラジエント:B/A(15-35%, 33分)
流速:0.5 ml/分
検出波長:吸光度254nm及び490nm
(6)mRNA-ピューロマイシン結合体の磁性体ビーズへの固定
mRNA-ピューロマイシン結合体の磁性体への固定は、以下のようにして行うことができる。すなわち、所望の粒径のアプタマー結合分子が固定された磁性体粒子を、所望のバッファーで洗浄し、上記のmRNA-ピューロマイシン結合体とともに所望の条件でインキュベートし、無細胞翻訳の前に、所望のバッファーで洗浄する。
例えば、粒径2〜3μmのストレプトアビジン被覆磁性体粒子(MAGNOTEX-SA, タカラ社製、日本国)等の磁性体粒子(以下、「SA粒子」という。)を、製造元の指示書に従って、結合バッファー(5〜20mM Tris-HCl(pH 7.8〜8.2), 0.5〜2mM EDTA, 0.5〜2M NaCl, 0.05〜0.2% Triton X-100)で2回洗浄する。その後、例えば、45〜55pmolの上記のmRNA-ピューロマイシン結合体を、1〜2mgのSA粒子とともに、100〜150μLの結合バッファー中で、室温にて、5〜15分間インキュベートする。引き続き、無細胞系翻訳の前に、この粒子を上記結合バッファーと翻訳ミックスバッファー(Ambion社製)とで、それぞれ洗浄し、mRNA-ピューロマイシン結合体を磁性体粒子に固定化することができる。
(7)ペプチドアプタマーの合成
(7−1)無細胞翻訳及び磁性粒子上での逆転写(RT)
磁性スタンドで磁性粒子を分離し、所望量の無細胞翻訳抽出物を添加し、この混合物を所望の条件でインキュベートする。mRNA-タンパク質融合体の収量を上げたい場合には、後翻訳産物を、高塩濃度条件下にてさらに翻訳を行う、翻訳融合反応を行なってもよい。発現されたmRNA-タンパク質複合体が結合した粒子を、その後、RNase阻害剤を含む結合バッファーで洗浄し、RTバッファーでリンスし、RTバッファーと逆転写酵素とを上記粒子に加えて、所望の条件でインキュベートしRTを行うようにすることができる。
例えば、磁性粒子を分離した後に、200〜400μLの無細胞翻訳抽出物(Ambion社製、米国)を添加し、この混合物を25〜35℃で15〜30分間インキュベートする。mRNA-タンパク質融合体の収量を高める場合には、翻訳産物を、高塩濃度の存在下(それぞれ終濃度で70〜80mMのKCl及び55〜70mMのMgCl2)で、35〜42℃にて90分間さらに翻訳を行う、後翻訳融合反応を行なう。発現されたmRNA-タンパク質複合体が結合した粒子を、その後、RNase阻害剤を含む150〜250μLの結合バッファーで洗浄し、50〜150μLのRTバッファー(25〜100mMのTris-HCl(pH 8.1〜8.5), 65〜85mMのKCl, 2〜4mMのMgCl2)でリンスする。60~100μLのRTバッファーと60〜100単位の逆転写酵素M-MLV(タカラ社製、日本国)を上記粒子に加えて、40〜45℃で5〜15分間、RTを行う。
(7−2)ジスルフィドーリッチタンパク質のリフォールディング
ストレプトアビジン被覆磁性粒子上のcDNA-タンパク質を所望の条件で還元し、結合バッファーで洗浄する。酸化グルタチオンの存在下に、還元グルタチオン及びタンパク質ジスルフィドイソメラーゼを用いて、リフォールディングを行う。粒子を洗浄し、制限酵素で消化して精製し、選択を行うようにすることができる。
例えば、ストレプトアビジン被覆磁性粒子上のcDNA-タンパク質を、100mMのDTT(タカラ社製、日本国)を加えて、20〜30℃にて0.5〜1.5時間還元し、結合バッファーで洗浄する。0.5〜2mMの酸化グルタチオンの存在下で、5〜20mM還元グルタチオン及びタンパク質ジスルフィドイソメラーゼを、cDNA融合体とほぼ等モルで用いて、0.5〜2時間、20〜30℃にて、リフォールディングを行う。粒子を洗浄し、PvuII等の制限酵素で消化し(下記参照)、Ni-NTA精製を行なって選択した。
(7−3)磁性ビーズからのcDNA-タンパク質融合体の回収
逆転写されたmRNA-タンパク質融合体を結合した磁性粒子を、結合バッファーで洗浄し、Mバッファーを用いて分離する。粒子からのmRNA/cDNA-タンパク質融合体分子の遊離は、Mバッファー、制限酵素及びBSAを加えて、所望の条件で行う。上記cDNA-タンパク質融合体産物を、その後、アガロースビーズを用いて、残っている上清から精製する。アガロースビーズを分離した後、上記上清を新たなチューブに移してRNaseとともにインキュベートしてmRNAを除き、SDS-PAGEに供する。その後、蛍光観察を行い、ピューロマイシンリンカーに付けたFITC標識の検出によってゲル上のバンドを定量する。
例えば、逆転写mRNA-タンパク質融合体が結合された磁性粒子を、結合バッファーで1回洗浄し、Mバッファー(5〜15mMのTris-HCl(pH 7.3〜7.7), 5〜15mMのMgCl2, 0.5〜1.5mMのDTT, 25〜100mMのNaCl)(タカラ社製、日本国)でさらに洗浄し、マグネチックスタンドを用いて磁性粒子を分離する。20〜80μLのMバッファー、20〜30単位のPvuII等の制限酵素及びBSA(終濃度=0.05〜0.2mg/mL)を加えて、35〜42℃にて0.5〜2時間インキュベートし、粒子からのmRNA/cDNA-タンパク質融合体分子を遊離させる。上記cDNA-タンパク質融合体産物を、その後、例えば、Ni-NTAアガロースビーズ(QIAGEN社製)を用いて、残っている上清から精製するようにすることができる。
この反応液からビーズを分離し、検出用に、上記上清を新たなチューブに移す。1〜5単位のRNase H(Promega社製、米国)とともに、34〜42℃で10〜30分間インキュベートしてmRNAを除き、所望の濃度の尿素を含むSDS-PAGEに供するようにすることができる。その後、フルオロイメージャー(Typhoon 8600)等を使用して観察し、上述したピューロマイシンリンカーに付けたFITC標識の検出によってゲル上のバンドを定量する。
(7−4)タンパクの固定化及び標識
免疫グロブリンG、標的分子及びウシ血清アルブミンを、NHS-活性化Sepharose 4 Fast Flow (GEヘルスケア社製)中で結合させ、所望の濃度のスラリーとして調製する。被覆されていない粒子は、タンパク質不存在の条件下で、同様に調製する。Pou結合部位を有する二本鎖DNAを、例えば、以下のオリゴヌクレオチド
5’-CCAGGGT[ATGCAAAT]TATTAAGGGCAAAAA(配列番号4)-ビオチン-3’
5’-TTTTTGCCCTTAATA[ATTTGCAT]ACCCTGG-3’(配列番号5)
のハイブリダイゼーションによって調製することができる。[ ]で囲まれた配列は、Pou結合部位を示す。得られたビオチン化dsDNA(以下、「Oct-DNA」と略す。)を、ストレプトアビジン被覆セファロースビーズに固定することができる。標的分子のビオチン標識は、例えば、NHS-ss-ビオチン(Pierce社製)を使用して行うことができる。得られた混合物をバッファーに対して透析して、遊離ビオチン分子を除去し、タンパク濃度を、濃度既知の標準品を用いたSDS-PAGEで推定する。
例えば、IgG(Sigma社製)、IL-6R(Peprotech社製)及びBSA(Ambion社製、米国) (25〜100μg)を、150〜250μLのNHS-活性化Sepharose 4 Fast Flow (GEヘルスケア社製)中で、製造元の指示書に従って結合させ、40〜60%スラリーとして最終溶液を調製することができる。また、IL-6Rのビオチン標識は、NHS-ss-ビオチン(Pierce社製)を使用し、製造元(Pierce社)の指示書に従って行うことができる。
(7−5)In vitroアフィニティー選択
cDNA用に3つの異なる鋳型、例えば、プロテインAのBドメイン(BDA)、Oct-1のPou-特異的DNA結合ドメイン(PDO)、ヒト免疫グロブリンG(IgG)及びPou結合部位を含む二本鎖DNA(Oct-DNA)をそれぞれ使用して、試験スクリーニング用に調製することができる。
引き続き、所定の比のBDA/PDOを含むcDNAライブラリをリンカー結合mRNAsの翻訳によって調製し、高塩濃度下にインキュベートし、逆転写し、PvuII消化し、6xHisタグを介したNi-NTA精製を行なう。BDA/PDOライブラリの精製画分を、IgG被覆粒子又はOct-DNA-被覆粒子のいずれかに加え、選択バッファー中にて撹拌し、引き続き、この混合物を室温で30分間、撹拌しながらインキュベートする。
その後、粒子を回収して選択バッファーで洗浄した。結合したcDNAディスプレイ分子を、溶出バッファーで除去し、速やかに中和した。上清をエタノールと共沈試薬とで沈殿させ、水に溶解させ、所望量のアリコートを、例えば、下記の2つのプライマーを用いてPCRで増幅させ、その後、変性ゲル電気泳動を行ない、フルオロイメージャーで定量的に分析することができる。
5’-(FITC)-CAACAACATTACATTTTACATTCTACAACTACAAGCCACC-3(配列番号6)
5’-TTTCCCCGCCGCCCCCCGTCCTGCTTCCGCCGTGATGATGATGATGATGGCTGCCTCCCCC-3’(配列番号7)
例えば、BDA/PDOの比を、1:1、1:3及び1:20として、cDNAライブラリをリンカー結合mRNAsの翻訳によって調製することができる。BDA/PDOライブラリの精製画分を、選択バッファーでリンスされた10〜30μLの40〜60%スラリー上のIgG被覆粒子又はOct-DNA-被覆粒子のいずれかに加え、50〜200μLの選択バッファー(25〜100mMのTris-HCl(pH 7.4〜7.8), 0.5〜2mMのEDTA, 250〜750mMのNaCl, 0.05〜0.2%のTween 20)中にて、室温で15〜45分間撹拌し、引き続き、この混合物を室温で15〜45分間、撹拌しながらインキュベートすることができる。
その後、粒子を回収して選択バッファーで洗浄し、結合したcDNAディスプレイ分子を、50〜150μLの溶出バッファー(0.0.5〜0.2MのグリシンHCl(pH2〜3))で除去し、0.5〜2MのTris-HCl (pH 7.8〜8.2)で速やかに中和する。上清をエタノールと共沈試薬(Quick-precip Plus, Edge BioSyste ms)とで沈殿させ、5〜20μLの水に溶解し、1〜5μLのアリコートを、0.1〜0.5μMの上記のプライマーを用いて、例えば、変性15〜25秒、アニーリング10〜20秒、及び伸長25〜35秒を1サイクルとして20〜30サイクル行うPCRで増幅させる。その後、変性ゲル電気泳動(3〜6% Tween及び8M尿素)に供し、フルオロイメージャーで定量的に分析することができる。
(8)IL-6Rに対するランダムライブラリの選択
(8−1)cDNAディスプレイペプチドの推定
ランダムライブラリを、所望断片、例えば、35残基をコードするランダム配列、及び3’-末端における6x-His及びY-タグ、T7プロモーター及び5’-UTR、コザック、及び5’末端の開始コドン等の必須の要素を含む断片、を用いたオーバーラップPCRで調製する。当初ライブラリmRNAを、上記ピューロマイシンリンカーに加え、所望の量の溶解物に翻訳し、所望の塩を加えてタンパク質融合体を形成する。RT, PvuII消化及びNi-NTA精製は、以前に記載したパイロット条件(Yamaguchi J, et al., Nucleic Acids Res. 2009, 37, e108. doi:10.1093/nar/gkp514.)を用いて、スケールアップして行ない、DTTを除去し、精製されたcDNAディスプレイペプチドを、既知のFITC-標識オリゴヌクレオチドによって推定する。
例えば、当初のライブラリmRNAを200pmolとし、10〜30分間、20〜35℃で、0.5〜2mLの溶解物に翻訳するようにすることができる。
(8−2)得られたcDNAペプチドの選択
第1ラウンドでは、バッファー中に所定の量のライブラリ分子及び標的分子を、所望の磁性体粒子とインキュベートすることにより、これらを補足することができる。例えば、S-バッファー(25〜100mMのTris-HCl, 250〜750mMのNaCl, 0.5〜2mMのEDTA, 0.05〜0.2%のTween(pH 7.4〜7.8), 0.05〜0.2mg/mlのBSA)中で、2〜4x1011個のライブラリ分子及び10〜35nMのビオチン化IL-6Rを、ストレプトアビジン(SA)ビーズとともに、室温で0.5〜1.5時間インキュベートして捕捉する。この粒子を数回S-バッファーで洗浄し、結合(捕捉)された分子を、例えば、50〜200mMのDTTを用いて5〜15分間インキュベートして回収し、精製して次のラウンド用に処理する。所望のラウンドから、例えば、Diversify PCR Random Mutagenesis Kit (クロンテック社製、CA, 米国)等を用いて、選択された分子のPCR増幅工程の間に、ランダム突然変異を導入することができる。
所望の割合で突然変異を導入し、選択を行う。ランダム突然変異後に、例えば、0.5〜1.5mMの酸化グルタチオン及び5〜15mMの還元グルタチオン(いずれもSigma社製)、並びにタンパク質ジスルフィドイソメラーゼ(PDI; タカラ社製、日本国)を、タンパク質と所望の割合で添加し、これらの存在下で、室温で0.5〜1.5時間、固相リフォールディングを行うことができる。粒子を洗浄し、PvuII消化によって粒子からペプチドを遊離させ、Ni-NTA樹脂クロマトグラフィーで精製する。これらの条件を用いて選択を所望の回数行うことができる。
以上のようにして、種々のペプチドアプタマーを作製することができる。
(実施例1)化学修飾ペプチドアプタマーの合成
(1)cDNAディスプレイ用リンカーの作製
(1−1)試薬類
修飾されたオリゴヌクレオチドであるPuro-F-S及びビオチンループは、ジーンワールド社(東京、日本国)より入手した。Puro-F-Sとして、5’-(S)-TC(F)-(Spec18)-(Spec18)-(Spec18)-(Spec18)-CC-(Puro)-3’という構造のものを入手した。このPuro-F-S鎖中、(S)は5’-Thiol-ModifierC6を、(F)はフルオレセイン-dTを、(Puro)はピューロマイシンCPGを、そして(Spacer18)はスペーサーホスフォロアミダイト18をそれぞれ表す。
ビオチンループとして、下記の配列のオリゴヌクレオチドを使用した。
5’-CCCGGTGCAGCTGTTTCATC(T-B)CG GAAACAGCTGCACCCCCCGCCGCCCCCCG(T)CC T-3’…配列番号1
上記ビオチンループ鎖中、(T)はAmino-Modifier C6 dTを、そして(T-B)はBiotin-dT(下線は、PvuII制限酵素用の認識部位を表す)。EMCS[N-(6-マレイミドカプロイルオキシ)スクシンイミド]は、(株)同仁化学研究所(熊本、日本国)から購入した。TCEP[トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィンは、ピアス社より購入した。
(1−2)ライブラリの構築
プロテインAのBドメインをpEZZ 18プロテインA遺伝子融合体ベクター(GEヘルスケア社製)から入手し、下記のプライマーを使用した。
フォワードプライマー:T7プロモーター、タバコモザイクウイルス(TMV)の5’非翻訳領域「オメガ」、コザック配列及びATG開始コドンを含む。
リバースプライマー:ヘキサヒスチジンタグ、スペーサー配列(GGGGGA GGCAGC:配列番号2)、及びmRNAとピューロマイシンリンカーDNAとの間に、3’末端でライゲーション可能なピューロマイシンリンカーDNAに相補的な配列(AGGACGG GGGGCGGGGAAA:配列番号3)を含む。
また、上記BドメインをPDOで置換して鋳型を作成し、Oct-1のPOU特異的DNA結合ドメインを使用した。抗FLAG M2抗体のアフィニティー選択のために、FLAGエピトープをコードする2つの一本鎖の合成DNAs(27mers)及びランダムデカマーペプチドを、FASMAC社(日本国)から購入した。ランダムデカマーペプチドをコードするDNAはコドントリプレットであるX、Y、及び、Zを含み、ここで、X、Y及びZは、ヌクレオチドの混合物を示す。上記混合物中の割合は、以下の表1Xに示す通りであった。
(表1X)
Figure 2015227806
以上と同様にして、上述したコドントリプレットを用いる32個のランダムな残基をコードするDNAを用いて35残基のライブラリを調製した。
(1−3)ピューロマイシンリンカーDNAの合成
上記Puro-F-S(10nmol)の5’チオール基を、100μlの50mMのリン酸バッファー(pH 7.0)中にて、室温で6時間、1mMのTCEPで還元し、その後、NAP-5カラム(GEヘルスケア社製)で要時脱塩した。総量10nmolのビオチンループ及び2μmolのEMCSを、100μlの0.2Mのリン酸ナトリウムバッファー(pH 7.0)に加えた。引き続き、混合物を、37℃で30分インキュベートし、4℃でエタノール沈殿を行い、過剰なEMCSを除去した。
この沈殿を500μLの予め冷却しておいた70%エタノールで2回洗い、10μLの予め冷却しておいた0.2Mのリン酸ナトリウムバッファー(pH 7.0)に溶解した。還元されたPuro-F-Sを直ちに加えて、4℃で終夜撹拌した。この反応を4mMのTCEPを加えて15分間37℃で停止させた。その後、エタノール沈殿を行い、過剰なPuro-F-Sを室温で除去した。ビオチンループ及び未架橋のビオチンループ-EMCS複合体を除去するために、沈殿を0.1MのTEAA (グレンリサーチ社製)又はリン酸バッファーに溶解し、C18 HPLCカラムを用いて以下の条件で精製した。
カラム:AR-300, 4.6x250mm (ナカライテスク製、日本国)
溶媒:溶媒A:0.1MのTEAA; 溶媒B:アセトニトリル/水(80:20, v/v)
グラジエント:B/A(15-35%, 33分)
流速:0.5 ml/分
検出波長:吸光度254nm及び490nm
吸光度254nmでの最終ピークからの画分(吸光度490nmでの単一のピークに対応する)からの画分を集めた。乾燥後、ジエチルピロカーボネート(DEPC)処理水に再懸濁し、保存した。以上のようにして、ピューロマイシン-リンカーDNAを得ることができた。
(2)mRNA-ピューロマイシン結合体の磁性体ビーズへの固定
粒径2.3μmのストレプトアビジン被覆磁性体粒子(MAGNOTEX-SA, タカラ社、日本国)(以下、「SAビーズ」という。)を製造元の指示書に従って、結合バッファー(10mM Tris-HCl(pH 8.0), 1mM EDTA, 1M NaCl, 0.1% Triton X-100)で2回洗浄した。その後、上記のmRNA-ピューロマイシン結合体(48pmol)及びSAビーズ(1.2 mg)を120μLの結合バッファー中で、室温にて10分間インキュベートした。引き続き、無細胞系翻訳の前に、このビーズを上記結合バッファーと翻訳ミックスバッファー(Ambion社製、米国)とで、それぞれ洗浄した。以上のようにして、mRNA-ピューロマイシン結合体を磁性体粒子に固定化した。
(3)ペプチドアプタマーの合成
(3−1)無細胞翻訳及び磁性粒子上での逆転写(RT)
磁性スタンドで磁性粒子を分離した後に、300μLの無細胞翻訳抽出物(Ambion社、米国)を添加し、この混合物を30℃で20分間インキュベートした。mRNA-タンパク質融合体の収量を高めるために、翻訳産物を、高塩濃度の存在下(それぞれ終濃度75mM及び63mMのKCl及びMgCl2)で、37℃にて90分間さらに翻訳を行う、後翻訳融合反応を行なった。発現されたmRNA-タンパク質複合体が結合した粒子を、その後、RNase阻害剤(SUPERaseIn, Ambion社製、米国)を含む200μLの結合バッファーで2回洗浄し、100μLのRTバッファー(50mMのTris-HCl(pH 8.3), 75mMのKCl, 3mMのMgCl2)でリンスした。80μLのRTバッファーと80単位の逆転写酵素M-MLV(タカラ社、日本国)とを上記粒子に加えて、42℃で10分間、RTを行った。
(3−2)ジスルフィドーリッチタンパク質のリフォールディング
ストレプトアビジン被覆磁性粒子上のcDNA-タンパク質を、100 mMのDTT(タカラ社製、日本国)を加えて、25℃にて1時間還元し、結合バッファーで洗浄した。1mMの酸化グルタチオンの存在下で、10mM還元グルタチオン及びタンパク質ジスルフィドイソメラーゼを、cDNA融合体と等モルで用いて、1時間、25℃にて、リフォールディングを行った。粒子を洗浄し、PvuII消化に供し、Ni-NTA精製を行なって選択した。
(3−3)磁性ビーズからのcDNA-タンパク質融合体の回収
逆転写mRNA-タンパク質融合体を結合した磁性粒子を、結合バッファーで1回洗浄し、「Mバッファー」(10mMのTris-HCl(pH 7.5), 10mMのMgCl2, 1mMのDTT, 50mMのNaCl)(タカラ社、日本国)でさらに洗浄し、マグネチックスタンドを用いて磁性体粒子を分離した。40μLのMバッファー、24単位のPvuII及びBSA(終濃度=0.1mg/mL)を加えて、37℃にて1時間インキュベートし、粒子からのmRNA/cDNA-タンパク質融合体分子を遊離させた。BSAを加えて、mRNA/cDNA-タンパク質融合体産物と粒子との間の相互作用を弱めた。上記cDNA-タンパク質融合体産物を、その後、Ni-NTAアガロースビーズ(QIAGEN社製)を用いて、残っている上清から精製した。
この反応液からビーズを分離した後、上記上清を新たなチューブに検出用として移し、2単位のRNase H (Promega社製、米国)とともに37℃で20分間インキュベートしてmRNAを除き、6M尿素を含むSDS-PAGEに供した。その後、フルオロイメージャー(Typhoon 8600)を使用して観察し、上述したピューロマイシンリンカーに付けたFITC標識の検出によってゲル上のバンドを定量した。
(3−4)タンパクの固定化及び標識
免疫グロブリンG(IgG; Sigma社製)、IL-6R (Peprotech社製)及びウシ血清アルブミン(BSA; Ambion社製、米国)(50μg)を、200μLのNHS-活性化Sepharose 4 Fast Flow (GE ヘルスケア社)中で、製造元の指示書に従って結合させた。最終の溶液は50%スラリーとして調製した。被覆されていない粒子も、タンパク質不存在の条件下で、同様に調製した。
Pou結合部位を有する二本鎖DNAを、
二本鎖DNAを、以下のオリゴヌクレオチド
5’-CCAGGGT[ATGCAAAT]TATTAAGGGCAAAAA(配列番号4)-ビオチン-3’
5’-TTTTTGCCCTTAATA[ATTTGCAT]ACCCTGG-3’(配列番号5)
のハイブリダイゼーションによって調製した。[ ]で囲まれた配列は、Pou結合部位を示す。得られたビオチン化dsDNA(以下、「Oct-DNA」と略す。)を、ストレプトアビジン被覆セファロースビーズ(GEヘルスケア社製)に固定した。
IL-6Rのビオチン標識を、NHS-ss-ビオチン(Pierce社製)を使用して、製造元(Pierce社)の指示書に従って行った。得られた混合物をバッファーに対して透析し、遊離ビオチン分子を除去した。タンパク濃度を、濃度既知のIL-6Rを用いたSDS-PAGEで推定した。
(3−5)In vitroアフィニティー選択
cDNA用に3つの異なる鋳型、プロテインAのBドメイン(BDA)、Oct-1のPou-特異的DNA結合ドメイン(PDO)、ヒト免疫グロブリンG(IgG)及びPou結合部位を含む二本鎖DNA(Oct-DNA)をそれぞれ使用して、試験スクリーニング用に調製した。
BDA/PDO (1:1、1:3及び1:20)を含むcDNAライブラリをリンカー結合mRNAsの翻訳によって調製し、高塩濃度下にインキュベートし、逆転写し、PvuII消化し、6xHisタグを介したNi-NTA精製を行なった。BDA/PDOライブラリの精製画分を、IgG被覆粒子又はOct-DNA-被覆粒子(選択バッファーでリンスされた20μLの50%スラリー)のいずれかにそれぞれ加えて、100μLの選択バッファー(50mMのTris-HCl(pH 7.6), 1mMのEDTA, 500mMのNaCl, 0.1%のTween 20)中にて、室温で30分間撹拌した。引き続き、この混合物を室温で30分間、撹拌しながらインキュベートした。
その後、粒子を回収して選択バッファーで洗浄した。結合したcDNAディスプレイ分子を、100μLの溶出バッファー(0.1MのグリシンHCl(pH 2.5))で除去し、1MのTris-HCl (pH 8.0)で速やかに中和した。上清をエタノールと共沈試薬(Quick-precip Plus, Edge BioSyste ms)とで沈殿させ、10μLの水に溶解した。2μLのアリコートを、0.2μMの下記のプライマーを用いて、変性20秒、アニーリング15秒、及び伸長30秒を1サイクルとして25サイクル行うPCRで増幅させた。その後、変性ゲル電気泳動(4.5% Tween及び8M尿素)に供し、フルオロイメージャーで定量的に分析した。
5’-(FITC)-CAACAACATTACATTTTACATTCTACAACTACAAGCCACC-3(配列番号6)
5’-TTTCCCCGCCGCCCCCCGTCCTGCTTCCGCCGTGATGATGATGATGATGGCTGCCTCCCCC-3’(配列番号7)
与えられた標的に対する混合されたプールから選択されたPDO及び/又はBDAとの間の比をバリデートするために、選択されたDNAを、上記の条件で、15、20、25、30及び35サイクル増幅した。
25サイクル前後で直線範囲に達し、約30サイクルで終了することがわかったため、PCRのサイクル数を25とした。FLAGタグの場合には、アフィニティー選択を、抗FLAG M2抗体−アガロースビーズ(Sigma社製)を用いて3回行った。各回から選択されたPCR産物を、直接シーケンシングによって分析した。PCR産物も、TAベクター(Qiagen社製)にクローニングし、クローンをランダムにピックアップした。
(4)IL-6Rに対するランダムライブラリの選択
(4−1)cDNAディスプレイペプチドの推定
ランダムライブラリを、35残基をコードするランダム配列、及び3’-末端における6x-His及びY-タグ、T7プロモーター及び5’-UTR、コザック、及び5’末端の開始コドン等の必須の要素を含む断片のオーバーラップPCRで調製した。200pmolの当初のライブラリmRNAを、上記ピューロマイシンリンカーに加え、20分間、30℃で、1mLの溶解物に翻訳した。50mMのKCL及び63mMのMgCl2をそれぞれ加えて、タンパク質融合体の形成を行った。RT, PvuII消化及びNi-NTA精製を、以前に記載したパイロット条件を用いて、スケールアップした。DTTを使用したバッファーから除去した。精製されたcDNAディスプレイペプチドを、既知のFITC-標識オリゴヌクレオチドによって推定した。
(4−2)得られたcDNAペプチドの選択
第1ラウンドでは、S-バッファー(50mMのTris-HCl, 500mMのNaCl, 1mMのEDTA, 0.1%のTween(pH 7.6), 0.1 mg/mlのBSA)中で、2.7x1011個のライブラリ分子及び25nMのビオチン化IL-6Rを、ストレプトアビジン(SA)ビーズとともに室温で1時間インキュベートして捕捉し、数回S-バッファーで洗浄した。結合された分子を、100mMのDTT(Sigma社製、米国)を用いて10分間インキュベートして回収し、精製して次のラウンド用に処理した。ラウンド4(R4)から、Diversify PCR Random Mutagenesis Kit (クロンテック社製、CA, 米国)を用いて、選択された分子をPCRで増幅する間に、ランダム突然変異を導入した。
突然変異を3.2〜7.3%で導入した。選択は、これらの条件を用いて9ラウンド行った(すなわち、R12まで)。ランダム突然変異後に、1mMの酸化グルタチオン(Sigma社製)、10mMの還元グルタチオン(Sigma社製)及びタンパク質ジスルフィドイソメラーゼ(PDI; タカラ社製、日本国)をタンパク質と1:1で添加して、これらの存在下で、室温で1時間、固相リフォールディングを行った。粒子を洗浄し、PvuII消化によって粒子からペプチドを遊離させ、Ni-NTA樹脂クロマトグラフィーで精製した。これらの条件を用いて、選択を6ラウンド行った(すなわち、R9まで)。
(5)ペプチド合成と特徴づけ
(5−1)ペプチド合成
1つのジスルフィド結合からなる2つのシステイン残基(Cyc-2型)を含むペプチド及び2つのジスルフィド結合(C1とC4の間、C2とC3との間)からなる4つのシステイン残基(Cys-4型)を含むペプチドを、化学合成で調製した。さらに、異なるジスルフィドパターン(すなわち、C1とC3との間、及びC2とC4との間)からなるCys4-2Bも、合成した。一般的に、ビオチン部分は、N末端に付けた。
2つのCys残基を含む上記Cys-2ペプチドを、Toray(東京、日本国)に注文して合成させた。4つのCys残基を含むCys-4ペプチドを合成し、以前に報告された方法(18)に従って、Peptide Institute(大阪、日本国)を用いて、それらのトポロジーについて保持時間に基づくHPLCプロファイルにより特徴づけを行なった。これら2つのペプチドのうち、Cys-4ペプチドを以下の結合アッセイに使用し、特徴づけを行なった。
(5−2)結合アッセイ
IL-6レセプター(IL-6R)は、ACRObiosystemsより購入した。
1mMの合成ビオチン化ペプチドを、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中にて、室温で1時間、200nMの固定化IL-6Rとインキュベートした。この混合物を遠心し、上清を捨てた。粒子をPBS-T(Tween 20, 0.1%)で完全に洗浄し、1/2,000希釈となるようにストレプトアビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼ(SA-HRP; GEヘルスケア社製)と30分インキュベートした。PBS-Tで数回洗浄した後に、200mLのTMB基質を加えた。この反応を、適切に発色させたのちに、0.5Mの硫酸で停止させた。吸光度を450nmでモニターした。
(5−3)解離定数(Kd)の決定
合成されたビオチン化ペプチドの結合アフィニティーを、以前に報告された方法を少々修正してアッセイした。一定量のペプチド(10nM)を、種々の濃度のIL-6R(1nMから1mM)と、PBS中にて25℃で1時間インキュベートした。この混合物を、一定量(200nM)のIL-6R被覆粒子にアプライし、さらに30分間インキュベートした。PBS-Tで数回洗浄した後に、1/2,000希釈となるようにSA-HRPを加え、30分間インキュベートした。上清を除き、粒子をPBS-Tで4〜5回洗浄した。200μLのTMB基質を発色用に加え、反応を0.5Mの硫酸で停止させた。吸光度を450nmでモニターした。データを、GraphPad Prism 4 (GraphPad software Inc.製, サンディエゴ、カリフォルニア州、米国)を用いてプロットした。求められたKdは55nMであった。以上のようにして、1〜8kDaのサイズのIL-6レセプター(IL-6R)と結合するペプチドアプタマー(IL-6RA)を得た。
(実施例2)磁性体ゲルビーズの凝集挙動
(1)試薬類
磁性ゲルビーズとして、Therma-Max(登録商標)LA Avidin(30)(JNC(株)製、日本国、以下、「磁性体ゲルビーズ」という。)を使用した。上記実施例1で得たIL-6RAのうち、4KDaのものの5’末端に、ペプチド合成機を用いて固相合成によりビオチン化修飾し、ビオチン化IL-6RAを得た。
(2)磁性体ゲルビーズ自身の凝集
磁性体ゲルビーズを、2mg/mLの濃度で含むアッセイバッファー(10mMのEDTAを含む10mMのPBS(pH 7.4))を調製し、バッファーの温度を氷冷状態から20℃のインキュベータ内に入れ、その後1℃/10分で上昇させて変化させ、分散状態から凝集状態に転移する温度を確認したところ、22℃であった。また、このときの凝集時間は、約10分であった。
(3)標的分子の有無による凝集状態の比較
次いで、この磁性体ゲルビーズ溶液(ゲルビーズ濃度2mg/mL、10mMのEDTAを含む10mMのPBS(pH 7.4))に、40μMのIL-6RP溶液(31.2μMのCys-4を含む、終濃度)を加え、標的分子であるIL-6Rを50pmol/1.25μLで加えたチューブと、IL-6Rを含まないバッファーのみを等量で加えたチューブとを、25.5〜26.5℃で10分間インキュベートした。凝集結果を図6に示す。IL-6Rを加えなかったチューブでは凝集は見られず、加えたチューブでは凝集が見られた。
以上より、この磁性体ゲルビーズに結合されたIL-6RPは、50pmolという低濃度のIL-6Rを検出することができることが示された。
(4)磁性体ゲルビーズに結合させたIL-6RPとIL-6Rとの結合様式による凝集時間の変化
上記の磁性体ゲルビーズに、ビオチンを介して結合させたIL-6Rと、IL-6RP(4KDa)とを直接結合させた場合と、抗体を用いて間接的に結合させた場合の凝集時間の変化を検討した。
まず、10mMのEDTAを含むPBSバッファー、40μL中にて、4℃の条件下で、磁性体ゲルビーズとIL-6RPを容器内で混合した後、4℃で1時間、静置して磁性体ゲルビーズ表面にIL-6RPを結合させた。
間接にIL-6Rを結合させる場合には、10mMのEDTAを含むPBSバッファー、40μL中にて、4℃の条件で、容器内で混合した後、4℃で1時間、静置して抗IL-6R抗体をビーズ表面に結合させた。ここで使用した抗体のサイズは140KDaであり、R&D systems より購入した。
磁性体ゲルビーズとIL-6RPとを直接結合させると、凝集時間に変化が見られ、約10分となった。これに対し、抗体を介して間接的に結合させた場合には、凝集時間は約1分以下分と変化が見られず一定であった。
以上より、抗体のような大きな分子をペプチドアプタマーに結合させると、磁性体ゲルビーズ表面の物性の変化が小さいために、凝集時間に変化が起こらないことが推察された。
本願発明は、医薬分野、とくに診断薬の分野において有用である。
配列番号1:ビオチンループ鎖
配列番号2:スペーサー配列
配列番号3:ピューロマイシンリンカーDNAに相補的な配列
配列番号4:Pou結合部位を有する二本鎖DNA作製用DNA
配列番号5:Pou結合部位を有する二本鎖DNA作製用DNA
配列番号6:プライマー
配列番号7:プライマー

Claims (16)

  1. バッファー中でペプチドアプタマーが固定された磁性体ゲルビーズと、前記ペプチドアプタマーと特異的に結合する標的分子とを結合させる結合工程と;
    前記標的分子と結合した磁性体ゲルビーズをバッファー中で凝集させる凝集工程と;
    前記凝集したゲルビーズと結合した標的分子を検出する検出工程と;
    を備えることを特徴とする、標的分子の高感度検出方法。
  2. 前記標的分子の濃度は10pM〜1mMであることを特徴とする、請求項1に記載の標的分子の高感度検出方法。
  3. 前記磁性体ゲルビーズは、温度感応性であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の標的分子の高感度検出方法。
  4. 前記磁性体ゲルビーズには、ペプチドアプタマーを固定するための固定用分子が固定されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の標的分子の高感度検出方法。
  5. 前記固定用分子は、ストレプトアビジン、アミノ基、及びカルボキシル基からなる群から選ばれるものであることを特徴とする、請求項4に記載の標的分子の高感度検出方法。
  6. 前記ペプチドアプタマーは、8個以上150個以下のアミノ酸で構成されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の標的分子の高感度検出方法。
  7. 前記ペプチドアプタマーは、10個以上40個以下のアミノ酸で構成されていることを特徴とする、請求項6に記載の標的分子の高感度検出方法。
  8. 前記凝集は、温度が1〜50℃の範囲で行われることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の標的分子の高感度検出方法。
  9. 前記凝集は、温度が10〜30℃の範囲で行われることを特徴とする請求項8に記載の標的分子の高感度検出方法。
  10. 前記凝集は、塩濃度が0〜1Mの範囲で行われることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の標的分子の高感度検出方法。
  11. 前記凝集は、塩濃度が0〜100mMの範囲で行われることを特徴とする請求項10に記載の標的分子の高感度検出方法。
  12. 標的分子と結合するペプチドアプタマー作製用のリンカー調製剤と;
    前記ペプチドアプタマーを精製するための精製用磁性ビーズと、ビオチン化試薬と、酵素と;
    前記精製されたペプチドアプタマーを、固定用分子が固定された磁性体ゲルビーズと結合させるための結合用試薬と;
    前記結合されたペプチドアプタマーを固定するための固定用分子が固定された磁性体ゲルビーズと;
    を備えることを特徴とする、標的分子の高感度検出用キット。
  13. 前記リンカー調製剤は、ペプチド提示分子が結合された一方の端部と;ペプチドアプタマーの塩基配列と対応する配列のmRNAが主鎖として結合される他方の端部と;前記他方の端部近傍に位置する固相結合分子と;を有するペプチド鎖を含むことを特徴とする、請求項12に記載の標的分子の高感度検出用キット。
  14. 前記ペプチド提示分子はピューロマイシンであり、前記固相結合分子がビオチンである、ことを特徴とする請求項13に記載の標的分子の高感度検出用キット。
  15. 前記酵素は、RNase T1、Endonuclease V、及びPvuIIからなる群から選ばれるものであることを特徴とする、請求項12〜14のいずれかに記載の標的分子の高感度検出用キット。
  16. 前記標的分子の濃度が0.1nM〜1mMであることを特徴とする、請求項12〜15のいずれかに記載の標的分子の高感度検出用キット。
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