JP2015212628A - 磁気センサの使用方法及び磁気センサのバイアス磁場の決定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】使用環境の温度変化に起因するセンサの出力電圧の誤差を最小限に抑制することが可能な磁気センサの使用方法、及びバイアス磁場の決定方法を提供すること。
【解決手段】感磁部が常磁性体として振る舞う1個又は2個以上の磁気抵抗効果素子を備えた磁気センサを用いて、外部磁場Bextを測定する際に、磁気センサに対してバイアス磁場Bbiasを印加する。バイアス磁場Bbiasは、磁気センサに作用するバイアス磁場Bbiasの感磁方向成分BmがB* a-b/B* max≦Bm/Bk≦B* b-c/B* maxを満たすように決定される。但し、Bkは、実測された磁気センサの温度bにおける飽和磁場、B* a-bは、ランジュバン関数から求めた下限磁場(=[(μ0/k)×B]L)、B* b-cは、ランジュバン関数から求めた上限磁場(=[(μ0/k)×B]U)、B* maxは、ランジュバン関数から求めた温度bにおける飽和磁場(=[(μ0/k)×B]max)。
【選択図】図2
【解決手段】感磁部が常磁性体として振る舞う1個又は2個以上の磁気抵抗効果素子を備えた磁気センサを用いて、外部磁場Bextを測定する際に、磁気センサに対してバイアス磁場Bbiasを印加する。バイアス磁場Bbiasは、磁気センサに作用するバイアス磁場Bbiasの感磁方向成分BmがB* a-b/B* max≦Bm/Bk≦B* b-c/B* maxを満たすように決定される。但し、Bkは、実測された磁気センサの温度bにおける飽和磁場、B* a-bは、ランジュバン関数から求めた下限磁場(=[(μ0/k)×B]L)、B* b-cは、ランジュバン関数から求めた上限磁場(=[(μ0/k)×B]U)、B* maxは、ランジュバン関数から求めた温度bにおける飽和磁場(=[(μ0/k)×B]max)。
【選択図】図2
Description
本発明は、磁気センサの使用方法及び磁気センサのバイアス磁場の決定方法に関し、さらに詳しくは、使用環境の温度変化に起因するセンサの出力電圧の誤差を最小限に抑制することが可能な磁気センサの使用方法、及び、このような誤差を最小限に抑制することが可能なバイアス磁場の決定方法に関する。
磁気センサは、電磁気力(例えば、電流、電圧、電力、磁界、磁束など。)、力学量(例えば、位置、速度、加速度、変位、距離、張力、圧力、トルク、温度、湿度など。)、生化学量等の被検出量を、磁界を介して電圧に変換する電子デバイスである。磁気センサは、磁界の検出方法に応じて、ホールセンサ、異方的磁気抵抗(AMR: Anisotropic Magneto-Resistivity)センサ、巨大磁気抵抗(GMR: Gaiant MR)センサ等に分類される。
これらの中でもGMRセンサは、
(1)AMRセンサに比べて電気比抵抗の変化率の最大値(すなわち、MR比=△ρ/ρ0(△ρ=ρH−ρ0:ρHは、外部磁界Hにおける電気比抵抗、ρ0は、外部磁界ゼロにおける電気比抵抗))が極めて大きい、
(2)ホールセンサに比べて抵抗値の温度変化が小さい、
(3)巨大磁気抵抗効果を有する材料が薄膜材料であるために、マイクロ化に適している、
等の利点がある。そのため、GMRセンサは、コンピュータ、電力、自動車、家電、携帯機器等に用いられる高感度マイクロ磁気センサとしての応用が期待されている。
(1)AMRセンサに比べて電気比抵抗の変化率の最大値(すなわち、MR比=△ρ/ρ0(△ρ=ρH−ρ0:ρHは、外部磁界Hにおける電気比抵抗、ρ0は、外部磁界ゼロにおける電気比抵抗))が極めて大きい、
(2)ホールセンサに比べて抵抗値の温度変化が小さい、
(3)巨大磁気抵抗効果を有する材料が薄膜材料であるために、マイクロ化に適している、
等の利点がある。そのため、GMRセンサは、コンピュータ、電力、自動車、家電、携帯機器等に用いられる高感度マイクロ磁気センサとしての応用が期待されている。
GMR効果を示す材料としては、強磁性層(例えば、パーマロイ等)と非磁性層(例えば、Cu、Ag、Au等)の多層膜、あるいは、反強磁性層、強磁性層(固定層)、非磁性層及び強磁性層(自由層)の4層構造を備えた多層膜(いわゆる、「スピンバルブ」)からなる金属人工格子、強磁性金属(例えば、パーマロイ等)からなるnmサイズの微粒子と、非磁性金属(例えば、Cu、Ag、Au等)からなる粒界相とを備えた金属−金属系ナノグラニュラー材料、スピン依存トンネル効果によってMR(Magneto-Resistivity)効果が生ずるトンネル接合膜、nmサイズの強磁性金属合金微粒子と、非磁性・絶縁性材料からなる粒界相とを備えた金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料等が知られている。
これらの内、スピンバルブに代表される多層膜は、一般に、低磁界における感度が高いという特徴がある。しかしながら、多層膜は、種々の材料からなる薄膜を高精度で積層する必要があるために、安定性や歩留まりが悪く、製作コストを抑えるには限界がある。そのため、この種の多層膜は、専ら付加価値の大きなデバイス(例えば、ハードディスク用の磁気ヘッド)にのみ用いられ、単価の安いAMRセンサやホールセンサとの価格競争を強いられる磁気センサに応用するのは困難であると考えられている。また、多層膜間の拡散が生じやすく、GMR効果が消失しやすいため、耐熱性が悪いという大きな欠点がある。
一方、ナノグラニュラー材料は、一般に、作製が容易で、再現性も良い。そのため、これを磁気センサに応用すれば、磁気センサを低コスト化することができる。特に、金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料は、
(1)その組成を最適化すれば、室温において10%を越える高いMR比を示す、
(2)電気比抵抗ρが桁違いに高いので、磁気センサの超小型化と低消費電力化が同時に実現可能である、
(3)耐熱性の悪い反強磁性膜を含むスピンバルブ膜と異なり、高温環境下でも使用可能である、
等の利点がある。しかしながら、金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料は、低磁界における磁界感度が非常に小さいという問題がある。そのため、巨大磁気抵抗薄膜の両端に軟磁性薄膜を配置し、巨大磁気抵抗薄膜の磁界感度を上げることも行われる。
(1)その組成を最適化すれば、室温において10%を越える高いMR比を示す、
(2)電気比抵抗ρが桁違いに高いので、磁気センサの超小型化と低消費電力化が同時に実現可能である、
(3)耐熱性の悪い反強磁性膜を含むスピンバルブ膜と異なり、高温環境下でも使用可能である、
等の利点がある。しかしながら、金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料は、低磁界における磁界感度が非常に小さいという問題がある。そのため、巨大磁気抵抗薄膜の両端に軟磁性薄膜を配置し、巨大磁気抵抗薄膜の磁界感度を上げることも行われる。
GMRセンサは、出力がゼロ磁場に対して左右対称である偶関数出力のセンサであるため、磁場の極性を判定するには、センサの動作点を変化させる必要がある。動作点の変更は、センサ素子に動作点に対応する磁場を外部よりマグネットやコイルにより印加することにより行われている(特許文献1、2参照)。このとき、センサは、動作点上で検出磁場に対して出力する。検出磁場が無い場合のセンサ出力を「オフセット電圧」という。また、検出磁場が印加された時のセンサ出力の内、オフセット電圧からの電圧変化量を、センサの「出力電圧」といい、センサの出力電圧を、検出磁場で除した値をセンサの「感度」という。
一般に、センサの感度が最も高くなる位置(又は、センサ出力の直線性の良い部分(特許文献3参照))に、センサの動作点を変化させることが多い。
一方、センサ出力は、温度に対して変化することが知られている。そのため、センサ出力(MR比)の温度変化が最も小さくなるように、センサにバイアス磁場を印加することも行われている(特許文献4参照)。
一方、センサ出力は、温度に対して変化することが知られている。そのため、センサ出力(MR比)の温度変化が最も小さくなるように、センサにバイアス磁場を印加することも行われている(特許文献4参照)。
また、センサ後段の回路により、センサの出力電圧の温度補償を行う方法も知られている。
例えば、デジタル的に補償する方法として、センサの出力電圧をデジタル変換後にマイクロプロセッサ等に読み取り、温度変化量を演算する方法が知られている。この時、磁気センサ、又は磁気センサ以外の温度センサで、補償する温度を採取する。
また、アナログ的に補償する方法として、センサの電源電圧をセンサと逆の温度係数を有する素子(ダイオード等)で制御する方法が知られている。
さらに、センサの出力電圧を増幅する過程で、温度補償を行う場合もある。
例えば、デジタル的に補償する方法として、センサの出力電圧をデジタル変換後にマイクロプロセッサ等に読み取り、温度変化量を演算する方法が知られている。この時、磁気センサ、又は磁気センサ以外の温度センサで、補償する温度を採取する。
また、アナログ的に補償する方法として、センサの電源電圧をセンサと逆の温度係数を有する素子(ダイオード等)で制御する方法が知られている。
さらに、センサの出力電圧を増幅する過程で、温度補償を行う場合もある。
しかしながら、回路を用いて温度補償を行うのは、外付け部品や付加的なソフトの実装が必要となる。また、センサの動作点を変化させるために必要なマグネットには、温度によって磁力が変化する特性があり(特許文献2参照)、これらの影響でセンサの出力電圧の誤差は増大する。
一例として、交流電流により動作点を変化させる平衡型センサ(零位法を用いたセンサ)では、検知磁場に等しい帰還磁場をセンサに印加する。この帰還をデジタル的に行う場合には、検知磁場により変化するセンサの出力電圧に比例した帰還磁場を印加する必要がある。温度によりセンサの出力電圧が変化する場合、帰還磁場に誤差を生じる。センサが低温になり検知磁場に対する出力電圧が大きくなると、見かけ上、帰還磁場が大きくなる。この場合、帰還は過補正となり、出力電圧にオーバーシュートを生じることになる。
一例として、交流電流により動作点を変化させる平衡型センサ(零位法を用いたセンサ)では、検知磁場に等しい帰還磁場をセンサに印加する。この帰還をデジタル的に行う場合には、検知磁場により変化するセンサの出力電圧に比例した帰還磁場を印加する必要がある。温度によりセンサの出力電圧が変化する場合、帰還磁場に誤差を生じる。センサが低温になり検知磁場に対する出力電圧が大きくなると、見かけ上、帰還磁場が大きくなる。この場合、帰還は過補正となり、出力電圧にオーバーシュートを生じることになる。
本発明が解決しようとする課題は、使用環境の温度変化に起因するセンサの出力電圧の誤差を最小限に抑制することが可能な磁気センサの使用方法を提供することにある。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、このような誤差を最小限に抑制することが可能なバイアス磁場の決定方法を提供することにある。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、このような誤差を最小限に抑制することが可能なバイアス磁場の決定方法を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る磁気センサの使用方法の1番目は、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1)感磁部が常磁性体として振る舞う1個又は2個以上の磁気抵抗効果素子を備えた磁気センサを用いて、外部磁場Bextを測定する。
(2)前記外部磁場Bextを測定する際に、前記磁気センサに対してバイアス磁場Bbiasが印加され、
前記バイアス磁場Bbiasは、前記磁気センサに作用する前記バイアス磁場Bbiasの感磁方向成分Bmが以下の(1)式を満たすように決定される。
B* a-b/B* max≦Bm/Bk≦B* b-c/B* max ・・・(1)
但し、
Bkは、実測された前記磁気センサの温度bにおける飽和磁場、
B* a-bは、ランジュバン関数から求めた、温度aにおけるセンサの出力電圧V*(=(M/Nμ0)2)の磁場Bに対する変化率(∂V*/∂B)と、前記温度bにおける前記変化率とが一致する下限磁場(=[(μ0/k)×B]L)、
B* b-cは、ランジュバン関数から求めた、前記温度bにおける前記変化率と、温度cにおける前記変化率とが一致する上限磁場(=[(μ0/k)×B]U)、
B* maxは、ランジュバン関数から求めた、前記温度bにおける飽和磁場(=[(μ0/k)×B]max)、
前記温度aは、前記磁気センサの下限使用温度、
前記温度bは、前記磁気センサの標準使用温度、
前記温度cは、前記磁気センサの上限使用温度、
Mは、磁化ベクトル、
Nは、単位体積あたりの磁性原子の原子数、
μ0は、磁性原子の磁気モーメント、
kは、ボルツマン定数。
(1)感磁部が常磁性体として振る舞う1個又は2個以上の磁気抵抗効果素子を備えた磁気センサを用いて、外部磁場Bextを測定する。
(2)前記外部磁場Bextを測定する際に、前記磁気センサに対してバイアス磁場Bbiasが印加され、
前記バイアス磁場Bbiasは、前記磁気センサに作用する前記バイアス磁場Bbiasの感磁方向成分Bmが以下の(1)式を満たすように決定される。
B* a-b/B* max≦Bm/Bk≦B* b-c/B* max ・・・(1)
但し、
Bkは、実測された前記磁気センサの温度bにおける飽和磁場、
B* a-bは、ランジュバン関数から求めた、温度aにおけるセンサの出力電圧V*(=(M/Nμ0)2)の磁場Bに対する変化率(∂V*/∂B)と、前記温度bにおける前記変化率とが一致する下限磁場(=[(μ0/k)×B]L)、
B* b-cは、ランジュバン関数から求めた、前記温度bにおける前記変化率と、温度cにおける前記変化率とが一致する上限磁場(=[(μ0/k)×B]U)、
B* maxは、ランジュバン関数から求めた、前記温度bにおける飽和磁場(=[(μ0/k)×B]max)、
前記温度aは、前記磁気センサの下限使用温度、
前記温度bは、前記磁気センサの標準使用温度、
前記温度cは、前記磁気センサの上限使用温度、
Mは、磁化ベクトル、
Nは、単位体積あたりの磁性原子の原子数、
μ0は、磁性原子の磁気モーメント、
kは、ボルツマン定数。
本発明に係る磁気センサのバイアス磁場の決定方法の1番目は、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1)前記決定方法は、感磁部が常磁性体として振る舞う磁気抵抗効果素子を備えた磁気センサに印加するバイアス磁場Bbiasを決定するために用いられる。
(2)前記磁気センサに作用する前記バイアス磁場Bbiasの感磁方向成分Bmが上述した(1)式を満たすように、前記バイアス磁場Bbiasが決定される。
(1)前記決定方法は、感磁部が常磁性体として振る舞う磁気抵抗効果素子を備えた磁気センサに印加するバイアス磁場Bbiasを決定するために用いられる。
(2)前記磁気センサに作用する前記バイアス磁場Bbiasの感磁方向成分Bmが上述した(1)式を満たすように、前記バイアス磁場Bbiasが決定される。
本発明に係る磁気センサの使用方法の2番目は、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1)感磁部が常磁性体として振る舞う1個又は2個以上の磁気抵抗効果素子を備えた磁気センサを用いて、外部磁場Bextを測定する。
(2)前記外部磁場Bextを測定する際に、前記磁気センサに対してバイアス磁場Bbiasが印加され、
前記バイアス磁場Bbiasは、前記磁気センサに作用する前記バイアス磁場Bbiasの感磁方向成分Bmが以下の手順により決定される。
(a)温度a(前記磁気センサの下限使用温度)、温度b(前記磁気センサの標準使用温度)、及び、温度c(前記磁気センサの上限使用温度)におけるセンサの出力電圧Vの磁場Bに対する変化率(∂V/∂B)を求める。
(b)印加磁場Bと相対感度変化率ΔVとの関係を2次関数でフィッティングする。
ここで、「相対感度変化率ΔV」とは、次の(10)式で表される値をいう。
ΔV=([∂V/∂B]c−[∂V/∂B]a)/[∂V/∂B]b ・・・(10)
但し、
[∂V/∂B]aは、前記温度aにおける変化率(∂V/∂B)、
[∂V/∂B]bは、前記温度bにおける変化率(∂V/∂B)、
[∂V/∂B]cは、前記温度cにおける変化率(∂V/∂B)。
(c)ΔVが±0.10以内となる前記印加磁場Bの範囲を求め、前記磁気センサに印加される前記バイアス磁場Bbiasの感磁方向成分Bmが前記印加磁場Bの範囲内となるように、前記バイアス磁場Bbiasを決定する。
(1)感磁部が常磁性体として振る舞う1個又は2個以上の磁気抵抗効果素子を備えた磁気センサを用いて、外部磁場Bextを測定する。
(2)前記外部磁場Bextを測定する際に、前記磁気センサに対してバイアス磁場Bbiasが印加され、
前記バイアス磁場Bbiasは、前記磁気センサに作用する前記バイアス磁場Bbiasの感磁方向成分Bmが以下の手順により決定される。
(a)温度a(前記磁気センサの下限使用温度)、温度b(前記磁気センサの標準使用温度)、及び、温度c(前記磁気センサの上限使用温度)におけるセンサの出力電圧Vの磁場Bに対する変化率(∂V/∂B)を求める。
(b)印加磁場Bと相対感度変化率ΔVとの関係を2次関数でフィッティングする。
ここで、「相対感度変化率ΔV」とは、次の(10)式で表される値をいう。
ΔV=([∂V/∂B]c−[∂V/∂B]a)/[∂V/∂B]b ・・・(10)
但し、
[∂V/∂B]aは、前記温度aにおける変化率(∂V/∂B)、
[∂V/∂B]bは、前記温度bにおける変化率(∂V/∂B)、
[∂V/∂B]cは、前記温度cにおける変化率(∂V/∂B)。
(c)ΔVが±0.10以内となる前記印加磁場Bの範囲を求め、前記磁気センサに印加される前記バイアス磁場Bbiasの感磁方向成分Bmが前記印加磁場Bの範囲内となるように、前記バイアス磁場Bbiasを決定する。
本発明に係る磁気センサのバイアス磁場の決定方法の2番目は、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1)前記決定方法は、感磁部が常磁性体として振る舞う磁気抵抗効果素子を備えた磁気センサに印加するバイアス磁場Bbiasを決定するために用いられる。
(2)前記バイアス磁場Bbiasは、上記手順により決定される。
(1)前記決定方法は、感磁部が常磁性体として振る舞う磁気抵抗効果素子を備えた磁気センサに印加するバイアス磁場Bbiasを決定するために用いられる。
(2)前記バイアス磁場Bbiasは、上記手順により決定される。
感磁部が常磁性体として振る舞う磁気センサにおいて、センサの出力電圧(V)及びセンサの出力電圧の傾き(∂V/∂B)は、いずれも温度に依存し、出力電圧(V)及び傾き(∂V/∂B)の温度変化が最小となる磁場の範囲がそれぞれ存在する。しかしながら、出力電圧(V)の温度変化が最小となる磁場の範囲は、通常、傾き(∂V/∂B)の温度変化が最小となる磁場の範囲とは異なる。
そのため、出力電圧(V)の温度変化が最小となるように、バイアス磁場Bbiasを設定した場合には、オフセット電圧の温度による変動を最小限に抑制することができるが、傾き(∂V/∂B)は温度に応じて相対的に大きく変化する。その結果、このようなバイアス磁場Bbiasが印加された磁気センサに対して、相対的に大きな外部磁場Bextが作用した場合には、温度変化に起因する出力電圧(V)の誤差は大きくなる。
これに対し、傾き(∂V/∂B)の温度変化が最小となるように、バイアス磁場Bbiasを設定した場合には、オフセット電圧は温度に応じて若干変動するが、傾き(∂V/∂B)は温度によらずほぼ一定となる。その結果、このようなバイアス磁場Bbiasが印加された磁気センサに対して、相対的に大きな外部磁場Bextが作用した場合であっても、温度変化に起因する出力電圧(V)の誤差は小さくなる。
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 磁気センサ]
[1.1. 磁気抵抗効果素子]
本発明において、磁気センサには、感磁部が常磁性体として振る舞う磁気抵抗効果素子を備えているものが用いられる。「感磁部」とは、磁場の変化を電気抵抗の変化として出力する部分をいう。
このような磁気センサとしては、例えば、磁性体粒子又は磁性体薄膜の間に薄い絶縁膜がある構造を備えたトンネル磁気効果(TMR:Tunneling Magnetoresistive)センサなどがある。また、磁気センサではないが、本願発明は、MRAM(磁気抵抗メモリ)にも適用することができる。
[1. 磁気センサ]
[1.1. 磁気抵抗効果素子]
本発明において、磁気センサには、感磁部が常磁性体として振る舞う磁気抵抗効果素子を備えているものが用いられる。「感磁部」とは、磁場の変化を電気抵抗の変化として出力する部分をいう。
このような磁気センサとしては、例えば、磁性体粒子又は磁性体薄膜の間に薄い絶縁膜がある構造を備えたトンネル磁気効果(TMR:Tunneling Magnetoresistive)センサなどがある。また、磁気センサではないが、本願発明は、MRAM(磁気抵抗メモリ)にも適用することができる。
TMRセンサとしては、具体的には、以下のようなものがある。
(a) 積層型:
積層型のTMRセンサは、下地層/反強磁性層/強磁性層1/トンネルバリア層/強磁性層2/キャップ層の積層構造を持つ磁気センサである。
強磁性層1の磁化の方向は、反強磁性層によりピン止めされている。一方、強磁性層2の磁化の方向は、外部磁界により回転可能になっている。そのため、外部磁界が作用すると、強磁性層2の磁化の方向のみが変化し、これによってトンネル電流の大きさが変化する。
(a) 積層型:
積層型のTMRセンサは、下地層/反強磁性層/強磁性層1/トンネルバリア層/強磁性層2/キャップ層の積層構造を持つ磁気センサである。
強磁性層1の磁化の方向は、反強磁性層によりピン止めされている。一方、強磁性層2の磁化の方向は、外部磁界により回転可能になっている。そのため、外部磁界が作用すると、強磁性層2の磁化の方向のみが変化し、これによってトンネル電流の大きさが変化する。
各層の材料は、特に限定されるものではなく、目的に応じて種々の材料を用いることができる。各層の材料としては、具体的には、以下のようなものがある。
(イ)下地層: Ta、NiFeなど。
(ロ)反強磁性層: IrMnなど。
(ハ)強磁性層1: CoFe、Ru、CoFe積層膜、CoFeBなど。
(ニ)トンネルバリア層: Al2O3、MgO、MgFe2、AlF3など。
(ホ)強磁性層2: CoFe、NiFe、CoFe積層膜、NiFe積層膜、CoFeBなど。
(へ)キャップ層: Ta積層膜、NiFe/Ru積層膜、Ta合金、Ti合金、InTi酸化物など。
(イ)下地層: Ta、NiFeなど。
(ロ)反強磁性層: IrMnなど。
(ハ)強磁性層1: CoFe、Ru、CoFe積層膜、CoFeBなど。
(ニ)トンネルバリア層: Al2O3、MgO、MgFe2、AlF3など。
(ホ)強磁性層2: CoFe、NiFe、CoFe積層膜、NiFe積層膜、CoFeBなど。
(へ)キャップ層: Ta積層膜、NiFe/Ru積層膜、Ta合金、Ti合金、InTi酸化物など。
(b) ナノグラニュラー型:
ナノグラニュラー型のTMRセンサは、金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料からなる薄膜を備えた磁気センサである。金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料とは、nmサイズの強磁性金属粒子と、非磁性・絶縁性材料からなる粒界相を備えた材料をいう。
金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料中の強磁性金属粒子の磁化の方向は、通常、ランダムな方向を向いている。一方、金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料に外部磁界が作用すると、強磁性金属粒子の磁化の方向が揃い、これがトンネル電流の大きさの変化となって現れる。金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料は、高いMR比と高い電気比抵抗ρを有するだけでなく、僅かな組成変動によってMR比が大きく変動することがないので、安定した磁気特性を有する薄膜を、再現性良く、かつ低コストで作製することができるという利点がある。
ナノグラニュラー型のTMRセンサは、金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料からなる薄膜を備えた磁気センサである。金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料とは、nmサイズの強磁性金属粒子と、非磁性・絶縁性材料からなる粒界相を備えた材料をいう。
金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料中の強磁性金属粒子の磁化の方向は、通常、ランダムな方向を向いている。一方、金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料に外部磁界が作用すると、強磁性金属粒子の磁化の方向が揃い、これがトンネル電流の大きさの変化となって現れる。金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料は、高いMR比と高い電気比抵抗ρを有するだけでなく、僅かな組成変動によってMR比が大きく変動することがないので、安定した磁気特性を有する薄膜を、再現性良く、かつ低コストで作製することができるという利点がある。
金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料としては、具体的には、
(イ)Co−Y2O3系、Co−Al2O3系、Co−Sm2O3系、Co−Dy2O3系、FeCo−Y2O3系などの酸化物系ナノグラニュラー材料、
(ロ)Fe−MgF2系、FeCo−MgF2系、FeCoB−MgF2系、Fe−CaF2系、Fe−AlF3系などのフッ化物系ナノグラニュラー材料、
などがある。
(イ)Co−Y2O3系、Co−Al2O3系、Co−Sm2O3系、Co−Dy2O3系、FeCo−Y2O3系などの酸化物系ナノグラニュラー材料、
(ロ)Fe−MgF2系、FeCo−MgF2系、FeCoB−MgF2系、Fe−CaF2系、Fe−AlF3系などのフッ化物系ナノグラニュラー材料、
などがある。
(c) グラニュラーインギャップ(GIG)型:
GIG型のTMRセンサは、金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料からなる薄膜の両端に、軟磁性材料からなる薄膜ヨークが配置された構造を持つ磁気センサをいう。
金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料は、高いMR比を示すが、低磁界における磁界感度が非常に小さい。一方、金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料からなる薄膜の両端に軟磁性材料からなる薄膜ヨークを配置すると、金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料の磁界感度を向上させることができる。
GIG型のTMRセンサは、金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料からなる薄膜の両端に、軟磁性材料からなる薄膜ヨークが配置された構造を持つ磁気センサをいう。
金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料は、高いMR比を示すが、低磁界における磁界感度が非常に小さい。一方、金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料からなる薄膜の両端に軟磁性材料からなる薄膜ヨークを配置すると、金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料の磁界感度を向上させることができる。
薄膜ヨークの材料としては、具体的には、40〜90%Ni−Fe合金、Fe74Si9Al17、Fe12Ni82Nb6、Co88Nb6Zr6アモルファス合金、(Co94Fe6)70Si15B15アモルファス合金、Fe75.6Si13.2B8.5Nb1.9Cu0.8、Fe83Hf6C11、Fe85Zr10B5合金、Fe93Si3N4合金、Fe71B11N18合金、Fe71.3Nd9.6O19.1ナノグラニュラー合金、Co70Al10O20ナノグラニュラー合金、Co65Fe5Al10O20合金などがある。
[1.2. 磁気抵抗効果素子の数]
磁気センサに備えられる磁気抵抗効果素子の数は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な数を選択することができる。
すなわち、本発明は、
(a)1個の磁気抵抗効果素子を備えた磁気センサ、
(b)2個の磁気抵抗効果素子を用いたハーフブリッジ回路を備えた磁気センサ、
(c)4個の磁気抵抗効果素子を用いたフルブリッジ回路を備えた磁気センサ、
のいずれに対しても適用することができる。
磁気センサに備えられる磁気抵抗効果素子の数は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な数を選択することができる。
すなわち、本発明は、
(a)1個の磁気抵抗効果素子を備えた磁気センサ、
(b)2個の磁気抵抗効果素子を用いたハーフブリッジ回路を備えた磁気センサ、
(c)4個の磁気抵抗効果素子を用いたフルブリッジ回路を備えた磁気センサ、
のいずれに対しても適用することができる。
[2. 磁気センサのバイアス磁場の決定方法(1)]
本発明の第1の実施の形態に係る磁気センサのバイアス磁場の決定方法は、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1)前記決定方法は、感磁部が常磁性体として振る舞う磁気抵抗効果素子を備えた磁気センサに印加するバイアス磁場Bbiasを決定するために用いられる。
(2)前記磁気センサに作用する前記バイアス磁場Bbiasの感磁方向成分Bmが後述する(1)式を満たすように、前記バイアス磁場Bbiasが決定される。
本発明の第1の実施の形態に係る磁気センサのバイアス磁場の決定方法は、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1)前記決定方法は、感磁部が常磁性体として振る舞う磁気抵抗効果素子を備えた磁気センサに印加するバイアス磁場Bbiasを決定するために用いられる。
(2)前記磁気センサに作用する前記バイアス磁場Bbiasの感磁方向成分Bmが後述する(1)式を満たすように、前記バイアス磁場Bbiasが決定される。
[2.1. 磁気センサ]
本発明が適用される磁気センサの詳細については、上述した通りであるので、説明を省略する。
本発明が適用される磁気センサの詳細については、上述した通りであるので、説明を省略する。
[2.2. バイアス磁場の決定方法]
本発明において、バイアス磁場Bbiasは、磁気センサに作用するバイアス磁場Bbiasの感磁方向成分Bmが次の(1)式を満たすように決定される。
B* a-b/B* max≦Bm/Bk≦B* b-c/B* max ・・・(1)
但し、
Bkは、実測された前記磁気センサの温度bにおける飽和磁場、
B* a-bは、ランジュバン関数から求めた、温度aにおけるセンサの出力電圧V*(=(M/Nμ0)2)の磁場Bに対する変化率(∂V*/∂B)と、前記温度bにおける前記変化率とが一致する下限磁場(=[(μ0/k)×B]L)、
B* b-cは、ランジュバン関数から求めた、前記温度bにおける前記変化率と、温度cにおける前記変化率とが一致する上限磁場(=[(μ0/k)×B]U)、
B* maxは、ランジュバン関数から求めた、前記温度bにおける飽和磁場(=[(μ0/k)×B]max)、
前記温度aは、前記磁気センサの下限使用温度、
前記温度bは、前記磁気センサの標準使用温度、
前記温度cは、前記磁気センサの上限使用温度、
Mは、磁化ベクトル、
Nは、単位体積あたりの磁性原子の原子数、
μ0は、磁性原子の磁気モーメント、
kは、ボルツマン定数。
本発明において、バイアス磁場Bbiasは、磁気センサに作用するバイアス磁場Bbiasの感磁方向成分Bmが次の(1)式を満たすように決定される。
B* a-b/B* max≦Bm/Bk≦B* b-c/B* max ・・・(1)
但し、
Bkは、実測された前記磁気センサの温度bにおける飽和磁場、
B* a-bは、ランジュバン関数から求めた、温度aにおけるセンサの出力電圧V*(=(M/Nμ0)2)の磁場Bに対する変化率(∂V*/∂B)と、前記温度bにおける前記変化率とが一致する下限磁場(=[(μ0/k)×B]L)、
B* b-cは、ランジュバン関数から求めた、前記温度bにおける前記変化率と、温度cにおける前記変化率とが一致する上限磁場(=[(μ0/k)×B]U)、
B* maxは、ランジュバン関数から求めた、前記温度bにおける飽和磁場(=[(μ0/k)×B]max)、
前記温度aは、前記磁気センサの下限使用温度、
前記温度bは、前記磁気センサの標準使用温度、
前記温度cは、前記磁気センサの上限使用温度、
Mは、磁化ベクトル、
Nは、単位体積あたりの磁性原子の原子数、
μ0は、磁性原子の磁気モーメント、
kは、ボルツマン定数。
「感磁方向」とは、磁気センサに回転磁界を作用させた場合において、最大の抵抗変化が生ずる方向をいう。
「バイアス磁場Bbiasの感磁方向成分Bm」とは、バイアス磁場Bbiasのベクトルを感磁方向に投影したベクトルの大きさをいう。
「バイアス磁場Bbiasの感磁方向成分Bm」とは、バイアス磁場Bbiasのベクトルを感磁方向に投影したベクトルの大きさをいう。
[1.2.1. B* a-b、B* b-c、及びB* maxの導出]
常磁性体の磁気特性は、量子力学により次の(2)式によりモデル化できる(ランジュバン関数、又は、ランジュバンの常磁性方程式)。TMR型磁気センサのような感磁部が常磁性体からなる磁気センサにおいて、外部磁場Bに対して、感磁部の磁性原子の磁気モーメントは、ある確率で磁場方向に向きを揃える。
なお、(2)式は、単一の磁気抵抗効果素子を備えた磁気センサだけでなく、2個以上の磁気抵抗効果素子を備えた磁気センサに対しても成り立つ。
常磁性体の磁気特性は、量子力学により次の(2)式によりモデル化できる(ランジュバン関数、又は、ランジュバンの常磁性方程式)。TMR型磁気センサのような感磁部が常磁性体からなる磁気センサにおいて、外部磁場Bに対して、感磁部の磁性原子の磁気モーメントは、ある確率で磁場方向に向きを揃える。
なお、(2)式は、単一の磁気抵抗効果素子を備えた磁気センサだけでなく、2個以上の磁気抵抗効果素子を備えた磁気センサに対しても成り立つ。
磁気センサの磁気抵抗効果(MR比)は、磁性原子の磁化の2乗の関数(比例する)と言われている。すなわち、センサの出力電圧(V)は、次の(3)式で表される。
V∝V(M2) ・・・(3)
V∝V(M2) ・・・(3)
図1に、感磁部が常磁性体からなる磁気センサの磁場B*(=(μ0/k)×B)と、センサの出力電圧V*(=(M/Nμ0)2)との関係を示す。
なお、図1中、縦軸は、センサの出力電圧の実測値(V)ではなく、(2)式(ランジュバン関数)から求められる磁化の2乗、すなわち、磁化の最大値で規格化された出力電圧の理論値(V*=(M/Nμ0)2)を表す。横軸は、磁気センサに実際に印加される磁場(B)ではなく、単位温度(T=1)内にあり磁場Bの環境に置かれた熱平衡状態にある磁気モーメントμ0である磁性原子が持つ熱エネルギー(k)に対する磁気エネルギーの比率であり、磁性原子が置かれた磁場の相対値(B*=(μ0/k)×B)を表す。
図1には、温度Tが−40℃、25℃、及び85℃である時のセンサの出力電圧V*がそれぞれ例示されている。図1より、外部磁場B*が同一であっても、温度Tによりセンサの出力電圧V*が変化することがわかる。
なお、図1中、縦軸は、センサの出力電圧の実測値(V)ではなく、(2)式(ランジュバン関数)から求められる磁化の2乗、すなわち、磁化の最大値で規格化された出力電圧の理論値(V*=(M/Nμ0)2)を表す。横軸は、磁気センサに実際に印加される磁場(B)ではなく、単位温度(T=1)内にあり磁場Bの環境に置かれた熱平衡状態にある磁気モーメントμ0である磁性原子が持つ熱エネルギー(k)に対する磁気エネルギーの比率であり、磁性原子が置かれた磁場の相対値(B*=(μ0/k)×B)を表す。
図1には、温度Tが−40℃、25℃、及び85℃である時のセンサの出力電圧V*がそれぞれ例示されている。図1より、外部磁場B*が同一であっても、温度Tによりセンサの出力電圧V*が変化することがわかる。
図2に、感磁部が常磁性体からなる磁気センサの磁場B*と、センサの出力電圧V*の磁場B*に対する変化率(∂V*/∂B)との関係を示す。
図2には、温度Tが−40℃、25℃、及び85℃である時の変化率∂V*/∂Bがそれぞれ例示されている。図2より、
(a)外部磁場B*が同一であっても、温度により変化率(すなわち、センサの出力電圧V*の傾き)が変化すること、及び、
(b)各曲線が、それぞれ、ある磁場B*において交差すること
がわかる。
図2には、温度Tが−40℃、25℃、及び85℃である時の変化率∂V*/∂Bがそれぞれ例示されている。図2より、
(a)外部磁場B*が同一であっても、温度により変化率(すなわち、センサの出力電圧V*の傾き)が変化すること、及び、
(b)各曲線が、それぞれ、ある磁場B*において交差すること
がわかる。
一般に、磁気センサは、定常的に使用される温度、使用が許容される下限温度、及び、使用が許容される上限温度を想定して設計される。
本発明においては、
(a)使用が許容される下限温度を「下限使用温度(温度a)」、
(b)定常的な使用が想定されている温度を「標準使用温度(温度b)」、
(c)使用が許容される上限温度を「上限使用温度(温度c)」、
と定義する。
本発明においては、
(a)使用が許容される下限温度を「下限使用温度(温度a)」、
(b)定常的な使用が想定されている温度を「標準使用温度(温度b)」、
(c)使用が許容される上限温度を「上限使用温度(温度c)」、
と定義する。
図2に示す例において、a=−40℃、b=25℃、c=85℃である。従って、B* a-b(a=−40℃、b=25℃)は、258と求められる。同様に、B* b-c(b=25℃、c=85℃)は、318と求められる。
図3に、感磁部が常磁性体からなる磁気センサの飽和磁場B* maxの導出方法を示す。
本発明において、「飽和磁場B* max」は、温度bで最大の感度となる磁場B*での接線と、センサの出力電圧V*=1とが交わる磁場B*と定義される。
図3に示す例において、a=−40℃、b=25℃、c=85℃、温度bで最大となる磁場B*=179である。従って、B* max(b=25℃)は、455と求められる。
本発明において、「飽和磁場B* max」は、温度bで最大の感度となる磁場B*での接線と、センサの出力電圧V*=1とが交わる磁場B*と定義される。
図3に示す例において、a=−40℃、b=25℃、c=85℃、温度bで最大となる磁場B*=179である。従って、B* max(b=25℃)は、455と求められる。
温度a、b、cが上記以外の組み合わせである場合も同様であり、ランジュバン関数からB* a-b、B* b-c、及びB* maxを導出することができる。
[1.2.2. Bbiasの導出]
次に、磁気センサの温度bにおける飽和磁場Bkを実測する。実測されたBk、並びに、計算により求められたB* a-b、B* b-c、及びB* maxを(1)式に代入すると、感磁方向成分Bmを決定することができる。
次に、磁気センサの温度bにおける飽和磁場Bkを実測する。実測されたBk、並びに、計算により求められたB* a-b、B* b-c、及びB* maxを(1)式に代入すると、感磁方向成分Bmを決定することができる。
a=−40℃、b=25℃、c=85℃の場合、B* a-b=258、B* b-c=318、B* max=455である。
従って、例えば、Bk=50[Oe]である場合、感磁方向成分Bmの下限値BmL、及び上限値BmUは、それぞれ、以下のように求められる。
BmL=(258/455)×50=0.567×50=28.35[Oe]
BmU=(318/455)×50=0.699×50=34.95[Oe]
実際の磁気センサにおいては、バイアス磁場の感磁方向成分Bmが下限値BmLと上限値BmUの間となるように、最適なバイアス磁場Bbiasが選択される。
従って、例えば、Bk=50[Oe]である場合、感磁方向成分Bmの下限値BmL、及び上限値BmUは、それぞれ、以下のように求められる。
BmL=(258/455)×50=0.567×50=28.35[Oe]
BmU=(318/455)×50=0.699×50=34.95[Oe]
実際の磁気センサにおいては、バイアス磁場の感磁方向成分Bmが下限値BmLと上限値BmUの間となるように、最適なバイアス磁場Bbiasが選択される。
[3. 磁気センサの使用方法]
本発明に係る磁気センサの使用方法は、以下の構成を備えている。
(1)感磁部が常磁性体として振る舞う1個又は2個以上の磁気抵抗効果素子を備えた磁気センサを用いて、外部磁場Bextを測定する。
(2)前記外部磁場Bextを測定する際に、前記磁気センサに対してバイアス磁場Bbiasが印加され、
前記バイアス磁場Bbiasは、前記磁気センサに作用する前記バイアス磁場Bbiasの感磁方向成分Bmが上述した(1)式を満たすように決定される。
本発明に係る磁気センサの使用方法は、以下の構成を備えている。
(1)感磁部が常磁性体として振る舞う1個又は2個以上の磁気抵抗効果素子を備えた磁気センサを用いて、外部磁場Bextを測定する。
(2)前記外部磁場Bextを測定する際に、前記磁気センサに対してバイアス磁場Bbiasが印加され、
前記バイアス磁場Bbiasは、前記磁気センサに作用する前記バイアス磁場Bbiasの感磁方向成分Bmが上述した(1)式を満たすように決定される。
[3.1. 磁気センサ]
磁気センサの詳細については、上述した通りであるので、説明を省略する。
磁気センサの詳細については、上述した通りであるので、説明を省略する。
[3.2. バイアス磁場Bbiasの大きさ及び方向]
実際の外部磁場Bextを測定する際には、磁気センサに対してバイアス磁場Bbiasが印加される。バイアス磁場Bbiasは、磁気センサに作用するバイアス磁場Bbiasの感磁方向成分Bmが(1)式を満たすように印加される。(1)式の詳細については、上述した通りであるので、説明を省略する。
実際の外部磁場Bextを測定する際には、磁気センサに対してバイアス磁場Bbiasが印加される。バイアス磁場Bbiasは、磁気センサに作用するバイアス磁場Bbiasの感磁方向成分Bmが(1)式を満たすように印加される。(1)式の詳細については、上述した通りであるので、説明を省略する。
バイアス磁場Bbiasは、通常、磁気センサの感磁方向に対して平行に印加されるが、外部磁場Bextを検出可能な限りにおいて、バイアス磁場Bbiasの方向と磁気センサの感磁方向とが異なっていても良い。
例えば、バイアス磁場Bbiasの印加方向が磁気センサの感磁方向に対して平行である場合、Bbias=Bmとなる。一方、バイアス磁場Bbiasの印加方向と磁気センサの感磁方向とのなす角が45°である場合、Bm=Bbias/√2となる。
例えば、バイアス磁場Bbiasの印加方向が磁気センサの感磁方向に対して平行である場合、Bbias=Bmとなる。一方、バイアス磁場Bbiasの印加方向と磁気センサの感磁方向とのなす角が45°である場合、Bm=Bbias/√2となる。
外部磁場Bextは、通常、磁気センサ(又は、磁気センサを構成する磁気抵抗効果素子)の感磁方向に対して平行に印加されるが、外部磁場Bextを検出可能な限りにおいて、外部磁場Bextの方向と磁気センサの感磁方向とが異なっていても良い。
さらに、バイアス磁場Bbiasは、通常、外部磁場Bextの方向に対して平行に印加されるが、外部磁場Bextを検出可能な限りにおいて、バイアス磁場Bbiasの方向と外部磁場Bextの方向とが異なっていても良い。
さらに、バイアス磁場Bbiasは、通常、外部磁場Bextの方向に対して平行に印加されるが、外部磁場Bextを検出可能な限りにおいて、バイアス磁場Bbiasの方向と外部磁場Bextの方向とが異なっていても良い。
[3.3. バイアス磁場Bbiasの印加方法]
磁気センサに対してバイアス磁場Bbiasを印加する方法としては、
(1)マグネットなどの磁性体が作る磁場を用いる方法、
(2)コイルなどの電流が作る磁場を用いる方法、
(3)時間的に変化する電場を用いる方法、
などがある。
また、バイアス磁場Bbiasとして使用できる磁場の種類には、
(1)時間的に変化しない固定された磁場、
(2)時間的に変化する交番磁場、
がある。
マグネットにより固定磁場を作る場合には、バイアス磁場Bbiasが温度により変動することがある。このため、「オフセット電圧」や「出力電圧」が変動する。一方、コイルで磁場を作る場合には、コイルに印加する電流によりバイアス磁場Bbiasを補正できる。更に、交番磁場を用いることで、後段の回路処理により「オフセット電圧」の温度変化や、センサの個体間の「オフセット電圧」のバラツキを補正できる。なお、時間的に変化する任意の電流を印加することで、バイアス磁場Bbiasを印加するコイルのことを「変調用コイル」という。また、上記の「変調用コイル」に対して、任意の電流を印加することで検知した磁場を帰還するコイルのことを「帰還用コイル」という。
また、コイルを用いる場合には、交番磁場に直流の電流を印加することで印加磁場を帰還することも可能である。
磁気センサに対してバイアス磁場Bbiasを印加する方法としては、
(1)マグネットなどの磁性体が作る磁場を用いる方法、
(2)コイルなどの電流が作る磁場を用いる方法、
(3)時間的に変化する電場を用いる方法、
などがある。
また、バイアス磁場Bbiasとして使用できる磁場の種類には、
(1)時間的に変化しない固定された磁場、
(2)時間的に変化する交番磁場、
がある。
マグネットにより固定磁場を作る場合には、バイアス磁場Bbiasが温度により変動することがある。このため、「オフセット電圧」や「出力電圧」が変動する。一方、コイルで磁場を作る場合には、コイルに印加する電流によりバイアス磁場Bbiasを補正できる。更に、交番磁場を用いることで、後段の回路処理により「オフセット電圧」の温度変化や、センサの個体間の「オフセット電圧」のバラツキを補正できる。なお、時間的に変化する任意の電流を印加することで、バイアス磁場Bbiasを印加するコイルのことを「変調用コイル」という。また、上記の「変調用コイル」に対して、任意の電流を印加することで検知した磁場を帰還するコイルのことを「帰還用コイル」という。
また、コイルを用いる場合には、交番磁場に直流の電流を印加することで印加磁場を帰還することも可能である。
これらの中でも、変調用コイルを用いる方法は、
(a)バイアス磁場Bbiasの大きさが温度により変動することがない、
(b)変調用コイルを用いて帰還を行うこともできる(即ち、変調用コイルを帰還用コイルとしても使用する)、
などの利点がある。
(a)バイアス磁場Bbiasの大きさが温度により変動することがない、
(b)変調用コイルを用いて帰還を行うこともできる(即ち、変調用コイルを帰還用コイルとしても使用する)、
などの利点がある。
[3.4. バイアス磁場Bbiasの具体例]
例えば、a=−40℃、b=25℃、c=85℃である場合、感磁方向成分Bmが次の(1.1)式を満たすように、バイアス磁場Bbiasを印加するのが好ましい。
0.567≦Bm/Bk≦0.699 ・・・(1.1)
例えば、a=−40℃、b=25℃、c=85℃である場合、感磁方向成分Bmが次の(1.1)式を満たすように、バイアス磁場Bbiasを印加するのが好ましい。
0.567≦Bm/Bk≦0.699 ・・・(1.1)
a=0℃、b=25℃、c=60℃である場合、感磁方向成分Bmが次の(1.2)式を満たすように、バイアス磁場Bbiasを印加するのが好ましい。
0.600≦Bm/Bk≦0.679 ・・・(1.2)
0.600≦Bm/Bk≦0.679 ・・・(1.2)
a=20℃、b=60℃、c=100℃である場合、感磁方向成分Bmが次の(1.3)式を満たすように、バイアス磁場Bbiasを印加するのが好ましい。
0.601≦Bm/Bk≦0.679 ・・・(1.3)
0.601≦Bm/Bk≦0.679 ・・・(1.3)
[3.5. 用途]
本発明は、磁気を検出するあらゆる用途に使用することができる。用途としては、例えば、紙幣判別装置、電流センサ、方位センサ、位置センサ、回転角度センサ、回転速度センサ、近接センサ、加速度センサなどがある。
バイアス磁場Bbias及びその感磁方向成分Bmは、用途、要求される精度、使用温度などに応じて、最適な値を選択する。
本発明は、磁気を検出するあらゆる用途に使用することができる。用途としては、例えば、紙幣判別装置、電流センサ、方位センサ、位置センサ、回転角度センサ、回転速度センサ、近接センサ、加速度センサなどがある。
バイアス磁場Bbias及びその感磁方向成分Bmは、用途、要求される精度、使用温度などに応じて、最適な値を選択する。
例えば、紙幣判別装置の場合、通常、a=−15℃、b=25℃、c=60℃である。
従って、0.569≦Bm/Bk≦0.678が好ましい。
さらに好ましくは、0.617≦Bm/Bk≦0.658、
さらに好ましくは、0.627≦Bm/Bk≦0.647である。
従って、0.569≦Bm/Bk≦0.678が好ましい。
さらに好ましくは、0.617≦Bm/Bk≦0.658、
さらに好ましくは、0.627≦Bm/Bk≦0.647である。
電流センサの場合、通常、a=−40℃、b=25℃、c=105℃である。
従って、0.567≦Bm/Bk≦0.722が好ましい。
さらに好ましくは、0.606≦Bm/Bk≦0.683、
さらに好ましくは、0.625≦Bm/Bk≦0.664である。
従って、0.567≦Bm/Bk≦0.722が好ましい。
さらに好ましくは、0.606≦Bm/Bk≦0.683、
さらに好ましくは、0.625≦Bm/Bk≦0.664である。
方位センサの場合、通常、a=−20℃、b=25℃、c=60℃である。
従って、0.589≦Bm/Bk≦0.678が好ましい。
さらに好ましくは、0.611≦Bm/Bk≦0.656、
さらに好ましくは、0.622≦Bm/Bk≦0.645である。
従って、0.589≦Bm/Bk≦0.678が好ましい。
さらに好ましくは、0.611≦Bm/Bk≦0.656、
さらに好ましくは、0.622≦Bm/Bk≦0.645である。
[4. 磁気センサのバイアス磁場の決定方法(2)]
本発明の第2の実施の形態に係る磁気センサのバイアス磁場の決定方法は、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1)前記決定方法は、感磁部が常磁性体として振る舞う磁気抵抗効果素子を備えた磁気センサに印加するバイアス磁場Bbiasを決定するために用いられる。
(2)温度a(前記磁気センサの下限使用温度)、温度b(前記磁気センサの標準使用温度)、及び、温度c(前記磁気センサの上限使用温度)におけるセンサの出力電圧Vの磁場Bに対する変化率(∂V/∂B)を求める。
(3)印加磁場Bと相対感度変化率ΔVとの関係を2次関数でフィッティングする。
ここで、「相対感度変化率ΔV」とは、次の(10)式で表される値をいう。
ΔV=([∂V/∂B]c−[∂V/∂B]a)/[∂V/∂B]b ・・・(10)
但し、
[∂V/∂B]aは、前記温度aにおける変化率(∂V/∂B)、
[∂V/∂B]bは、前記温度bにおける変化率(∂V/∂B)、
[∂V/∂B]cは、前記温度cにおける変化率(∂V/∂B)。
(4)ΔVが±0.10以内となる前記印加磁場Bの範囲を求め、前記磁気センサに印加される前記バイアス磁場Bbiasの感磁方向成分Bmが前記印加磁場Bの範囲内となるように、前記バイアス磁場Bbiasを決定する。
本発明の第2の実施の形態に係る磁気センサのバイアス磁場の決定方法は、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1)前記決定方法は、感磁部が常磁性体として振る舞う磁気抵抗効果素子を備えた磁気センサに印加するバイアス磁場Bbiasを決定するために用いられる。
(2)温度a(前記磁気センサの下限使用温度)、温度b(前記磁気センサの標準使用温度)、及び、温度c(前記磁気センサの上限使用温度)におけるセンサの出力電圧Vの磁場Bに対する変化率(∂V/∂B)を求める。
(3)印加磁場Bと相対感度変化率ΔVとの関係を2次関数でフィッティングする。
ここで、「相対感度変化率ΔV」とは、次の(10)式で表される値をいう。
ΔV=([∂V/∂B]c−[∂V/∂B]a)/[∂V/∂B]b ・・・(10)
但し、
[∂V/∂B]aは、前記温度aにおける変化率(∂V/∂B)、
[∂V/∂B]bは、前記温度bにおける変化率(∂V/∂B)、
[∂V/∂B]cは、前記温度cにおける変化率(∂V/∂B)。
(4)ΔVが±0.10以内となる前記印加磁場Bの範囲を求め、前記磁気センサに印加される前記バイアス磁場Bbiasの感磁方向成分Bmが前記印加磁場Bの範囲内となるように、前記バイアス磁場Bbiasを決定する。
温度に起因する出力電圧の変化を小さくするためには、ΔVは、±0.10以内が好ましい。ΔVは、さらに好ましくは、±0.08以内、さらに好ましくは、±0.05以内である。
第1の決定方法は、温度bにおける変化率(∂V/∂B)からの偏倚が最小となるようにバイアス磁場Bbiasを決定している。一方、第2の方法は、温度cにおける変化率と温度aにおける変化率の差がゼロとなるバイアス磁場Bbiasを計算によって算出する。そのためには、磁場に対して、値がゼロとなる周辺のそれぞれの温度での変化率の差を2次関数でフィッティングする。この時、変化率がゼロとなる磁場を内挿し、かつ、2次関数の磁場に対する相関係数が最大となるようにバイアス磁場Bbiasの範囲を設定する。また、2次関数によるフィッティングでは、変化率の差を関数の定義域に、磁場を値域に設定することで、変化率がゼロとなるバイアス磁場Bbiasを決めることができる。第1及び第2何れの方法を用いても、温度に起因する出力電圧の変化を最小限に抑制することができる。また、第2の方法は、実際に作製された磁気センサを用いて実験により感磁方向成分Bmを求めるのが好ましい。なお、測定間隔は、例えば、飽和感度を示す最低磁場の1/50以下とすれば良い。
その他の点については、第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
その他の点については、第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
[5. 磁気センサの使用方法(2)]
本発明の第2の実施の形態に係る磁気センサの使用方法は、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1)感磁部が常磁性体として振る舞う1個又は2個以上の磁気抵抗効果素子を備えた磁気センサを用いて、外部磁場Bextを測定する。
(2)前記外部磁場Bextを測定する際に、前記磁気センサに対してバイアス磁場Bbiasが印加され、
前記バイアス磁場Bbiasは、前記磁気センサに作用する前記バイアス磁場Bbiasの感磁方向成分Bmが[4.]に記載した手順により決定される。
本発明の第2の実施の形態に係る磁気センサの使用方法は、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1)感磁部が常磁性体として振る舞う1個又は2個以上の磁気抵抗効果素子を備えた磁気センサを用いて、外部磁場Bextを測定する。
(2)前記外部磁場Bextを測定する際に、前記磁気センサに対してバイアス磁場Bbiasが印加され、
前記バイアス磁場Bbiasは、前記磁気センサに作用する前記バイアス磁場Bbiasの感磁方向成分Bmが[4.]に記載した手順により決定される。
[5.1. 磁気センサ]
磁気センサの詳細については、上述した通りであるので、説明を省略する。
[5.2. バイアス磁場Bbiasの決定方法]
バイアス磁場Bbiasの決定方法については、[4.]に記載した通りであるので、説明を省略する。
磁気センサの詳細については、上述した通りであるので、説明を省略する。
[5.2. バイアス磁場Bbiasの決定方法]
バイアス磁場Bbiasの決定方法については、[4.]に記載した通りであるので、説明を省略する。
[5.2. 感磁方向成分Bmの具体例]
後述する実施例2で作製された磁気センサの場合、感磁方向成分Bmの実測値は、以下の通りである。
例えば、a=−40℃、b=25℃、c=85℃の場合、0.420≦Bm/Bk≦0.700となる。
また、a=0℃、b=25℃、c=85℃の場合、0.560≦Bm/Bk≦0.700となる。
後述する実施例2で作製された磁気センサの場合、感磁方向成分Bmの実測値は、以下の通りである。
例えば、a=−40℃、b=25℃、c=85℃の場合、0.420≦Bm/Bk≦0.700となる。
また、a=0℃、b=25℃、c=85℃の場合、0.560≦Bm/Bk≦0.700となる。
[6. 作用]
感磁部が常磁性体として振る舞う磁気センサにおいて、センサの出力電圧(V)及びセンサの出力電圧の傾き(∂V/∂B)は、いずれも温度に依存し、出力電圧(V)及び傾き(∂V/∂B)の温度変化が最小となる磁場の範囲がそれぞれ存在する。しかしながら、出力電圧(V)の温度変化が最小となる磁場の範囲は、通常、傾き(∂V/∂B)の温度変化が最小となる磁場の範囲とは異なる。
感磁部が常磁性体として振る舞う磁気センサにおいて、センサの出力電圧(V)及びセンサの出力電圧の傾き(∂V/∂B)は、いずれも温度に依存し、出力電圧(V)及び傾き(∂V/∂B)の温度変化が最小となる磁場の範囲がそれぞれ存在する。しかしながら、出力電圧(V)の温度変化が最小となる磁場の範囲は、通常、傾き(∂V/∂B)の温度変化が最小となる磁場の範囲とは異なる。
従来、センサの出力電圧(V)の温度変化が最小となるように、バイアス磁場Bbiasを設定するのが一般的である。この場合、バイアス磁場Bbiasの感磁方向成分Bmの大きさは、通常、飽和磁場Bkの50%以下である。
しかしながら、センサの出力電圧(V)の温度変化が最小となるように、バイアス磁場Bbiasを設定した場合には、オフセット電圧の温度による変動を最小限に抑制することができるが、センサの出力電圧の傾き(∂V/∂B)は温度に応じて相対的に大きく変化する。その結果、このようなバイアス磁場Bbiasが印加された磁気センサに対して、相対的に大きな外部磁場Bextが作用した場合には、温度変化に起因する出力電圧(V)の誤差は大きくなる。
しかしながら、センサの出力電圧(V)の温度変化が最小となるように、バイアス磁場Bbiasを設定した場合には、オフセット電圧の温度による変動を最小限に抑制することができるが、センサの出力電圧の傾き(∂V/∂B)は温度に応じて相対的に大きく変化する。その結果、このようなバイアス磁場Bbiasが印加された磁気センサに対して、相対的に大きな外部磁場Bextが作用した場合には、温度変化に起因する出力電圧(V)の誤差は大きくなる。
これに対し、センサの出力電圧の傾き(∂V/∂B)の温度変化が最小となるように、バイアス磁場Bbiasを設定した場合には、オフセット電圧は温度に応じて若干変動するが、傾き(∂V/∂B)は温度によらずほぼ一定となる。その結果、このようなバイアス磁場Bbiasが印加された磁気センサに対して、相対的に大きな外部磁場Bextが作用した場合であっても、温度変化に起因する出力電圧(V)の誤差は小さくなる。
(実施例1)
[1. 磁気センサの作製]
TMR素子を備えた磁気センサを作製した。図4に、作製した磁気センサの回路図を示す。磁気センサは、4個のTMR素子R1〜R4からなるブリッジ回路を備えている。TMR素子R1〜R4の飽和感度(飽和磁場)Bkは、それぞれ、50[Oe]である
[1. 磁気センサの作製]
TMR素子を備えた磁気センサを作製した。図4に、作製した磁気センサの回路図を示す。磁気センサは、4個のTMR素子R1〜R4からなるブリッジ回路を備えている。TMR素子R1〜R4の飽和感度(飽和磁場)Bkは、それぞれ、50[Oe]である
[2. 試験方法]
磁場をTMR素子R2/R4の感磁方向に対して平行に印加した。磁場は、−100[Oe]から+100[Oe]に印加後、+100[Oe]から−100[Oe]へ掃引した。Vcc=5.0Vで磁場を印加した場合のV12−V34(作動出力)を計測した。測定時の温度は、−40℃、0℃、25℃、又は85℃とした。
磁場をTMR素子R2/R4の感磁方向に対して平行に印加した。磁場は、−100[Oe]から+100[Oe]に印加後、+100[Oe]から−100[Oe]へ掃引した。Vcc=5.0Vで磁場を印加した場合のV12−V34(作動出力)を計測した。測定時の温度は、−40℃、0℃、25℃、又は85℃とした。
[3. 結果]
図5に、磁気センサの各温度における差動出力を示す。図6に、磁気センサの各温度における差動出力の傾きを示す。図7に、図6に示す差動出力の傾きの拡大図を示す。図5〜7より、以下のことがわかる。
(1)差動出力は、低温ほど高くなる(図5)。
(2)低磁場領域では、温度が低くなるほど、差動出力の傾き(センサ感度に相当)が大きくなる。一方、中〜高磁場領域では、差動出力の傾きの温度変化が少ない(図6)。
(3)20〜40[Oe]付近に、温度を変えても差動出力の傾きが変化しない領域(図7中、破線の円で囲った領域)がある(図7)。これは、ランジュバン関数から求めた値、すなわち、(1.1)式とほぼ一致する。
図5に、磁気センサの各温度における差動出力を示す。図6に、磁気センサの各温度における差動出力の傾きを示す。図7に、図6に示す差動出力の傾きの拡大図を示す。図5〜7より、以下のことがわかる。
(1)差動出力は、低温ほど高くなる(図5)。
(2)低磁場領域では、温度が低くなるほど、差動出力の傾き(センサ感度に相当)が大きくなる。一方、中〜高磁場領域では、差動出力の傾きの温度変化が少ない(図6)。
(3)20〜40[Oe]付近に、温度を変えても差動出力の傾きが変化しない領域(図7中、破線の円で囲った領域)がある(図7)。これは、ランジュバン関数から求めた値、すなわち、(1.1)式とほぼ一致する。
(実施例2)
[1. 磁気センサの作製]
実施例1と同様にして、フルブリッジ回路を備えた磁気センサを作製した。
[2. 試験方法]
[2.1. 差動出力の計測]
実施例1と同様にして、差動出力を計測した。
[2.2. 差動出力のバラツキの計測]
合計4個のウェハー上にそれぞれ複数個の磁気センサを作製した。その中から、無作為に合計35個の磁気センサをサンプリングし、差動出力を計測した。さらに、各磁気センサについて、85℃における出力電圧の傾きと、−40℃における出力電圧の傾きが一致する磁場を求めた。
[1. 磁気センサの作製]
実施例1と同様にして、フルブリッジ回路を備えた磁気センサを作製した。
[2. 試験方法]
[2.1. 差動出力の計測]
実施例1と同様にして、差動出力を計測した。
[2.2. 差動出力のバラツキの計測]
合計4個のウェハー上にそれぞれ複数個の磁気センサを作製した。その中から、無作為に合計35個の磁気センサをサンプリングし、差動出力を計測した。さらに、各磁気センサについて、85℃における出力電圧の傾きと、−40℃における出力電圧の傾きが一致する磁場を求めた。
[3. 結果]
[3.1. 差動出力の計測]
図8に、磁気センサの差動出力の傾きの差([∂V/∂B]c−[∂V/∂B]a)(a=−40℃、c=85℃)を示す。図9に、差動出力の傾きの差([∂V/∂B]c−[∂V/∂B]a)の拡大図を示す。図10に、磁気センサの差動出力の傾き([∂V/∂B]b)(b=25℃)を示す。図11に、印加磁場と相対感度変化率ΔVとの関係を示す。図12に、図11に示す相対感度変化率ΔVの拡大図を示す。図12中、破線は、15〜40[Oe]の範囲のデータを2次関数でフィッティングした曲線を表す。図8〜図11より、以下のことがわかる。
[3.1. 差動出力の計測]
図8に、磁気センサの差動出力の傾きの差([∂V/∂B]c−[∂V/∂B]a)(a=−40℃、c=85℃)を示す。図9に、差動出力の傾きの差([∂V/∂B]c−[∂V/∂B]a)の拡大図を示す。図10に、磁気センサの差動出力の傾き([∂V/∂B]b)(b=25℃)を示す。図11に、印加磁場と相対感度変化率ΔVとの関係を示す。図12に、図11に示す相対感度変化率ΔVの拡大図を示す。図12中、破線は、15〜40[Oe]の範囲のデータを2次関数でフィッティングした曲線を表す。図8〜図11より、以下のことがわかる。
(1)実験で確認した磁気センサにおいて、印加磁場が約23[Oe]のところで、85℃における出力の傾きと−40℃における傾きが同じとなる、すなわち、相対感度変化率ΔVがゼロとなる(図11)。
(2)本磁気センサにおいて、磁気センサの相対感度変化率が±5%に相当する範囲となる印加磁場は、約23[Oe]に対して、−3〜4.5[Oe]の範囲(即ち、20〜27.5[Oe])にある。この結果は、1[Oe]あたりの印加磁場により低磁場側で1.67%、高磁場側で1.11%の感度誤差を生じることがわかる。
(2)本磁気センサにおいて、磁気センサの相対感度変化率が±5%に相当する範囲となる印加磁場は、約23[Oe]に対して、−3〜4.5[Oe]の範囲(即ち、20〜27.5[Oe])にある。この結果は、1[Oe]あたりの印加磁場により低磁場側で1.67%、高磁場側で1.11%の感度誤差を生じることがわかる。
[3.2. 差動出力のバラツキ]
図13に、4個のウェハーからサンプリングした磁気センサの相対感度変化率ΔVがゼロになるときの磁場の分布を示す。図13より、以下のことがわかる。
(1)バイアス磁場Bbiasの感磁方向成分Bmは、統計上の分布平均値としては29[Oe]が最適である。この値は、飽和感度(=50[Oe])の約58%に相当し、計算により求めた結果と良く一致した。
(2)最適値(29[Oe])に対し、20〜35[Oe]のバラツキは、先の(1)より、−10%〜10%の感度変化の誤差に相当する。
(3)仮に、個別の磁気センサにおいて、本願の請求項7の手法でバイアス磁場Bbiasを決めることができる場合には、感度変化の誤差は更に小さくなる。
図13に、4個のウェハーからサンプリングした磁気センサの相対感度変化率ΔVがゼロになるときの磁場の分布を示す。図13より、以下のことがわかる。
(1)バイアス磁場Bbiasの感磁方向成分Bmは、統計上の分布平均値としては29[Oe]が最適である。この値は、飽和感度(=50[Oe])の約58%に相当し、計算により求めた結果と良く一致した。
(2)最適値(29[Oe])に対し、20〜35[Oe]のバラツキは、先の(1)より、−10%〜10%の感度変化の誤差に相当する。
(3)仮に、個別の磁気センサにおいて、本願の請求項7の手法でバイアス磁場Bbiasを決めることができる場合には、感度変化の誤差は更に小さくなる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係る磁気センサの使用方法は、自動車の車軸、ロータリーエンコーダ、産業用歯車等の回転情報の検出、油圧式シリンダ/空気式シリンダのストロークポジション、工作機械のスライド等の位置・速度情報の検出、工業用溶接ロボットのアーク電流等の電流情報の検出、地磁気方位コンパスなどに用いられる磁気センサのバイアス磁場の決定方法として用いることができる。
Claims (8)
- 以下の構成を備えた磁気センサの使用方法。
(1)感磁部が常磁性体として振る舞う1個又は2個以上の磁気抵抗効果素子を備えた磁気センサを用いて、外部磁場Bextを測定する。
(2)前記外部磁場Bextを測定する際に、前記磁気センサに対してバイアス磁場Bbiasが印加され、
前記バイアス磁場Bbiasは、前記磁気センサに作用する前記バイアス磁場Bbiasの感磁方向成分Bmが以下の(1)式を満たすように決定される。
B* a-b/B* max≦Bm/Bk≦B* b-c/B* max ・・・(1)
但し、
Bkは、実測された前記磁気センサの温度bにおける飽和磁場、
B* a-bは、ランジュバン関数から求めた、温度aにおけるセンサの出力電圧V*(=(M/Nμ0)2)の磁場Bに対する変化率(∂V*/∂B)と、前記温度bにおける前記変化率とが一致する下限磁場(=[(μ0/k)×B]L)、
B* b-cは、ランジュバン関数から求めた、前記温度bにおける前記変化率と、温度cにおける前記変化率とが一致する上限磁場(=[(μ0/k)×B]U)、
B* maxは、ランジュバン関数から求めた、前記温度bにおける飽和磁場(=[(μ0/k)×B]max)、
前記温度aは、前記磁気センサの下限使用温度、
前記温度bは、前記磁気センサの標準使用温度、
前記温度cは、前記磁気センサの上限使用温度、
Mは、磁化ベクトル、
Nは、単位体積あたりの磁性原子の原子数、
μ0は、磁性原子の磁気モーメント、
kは、ボルツマン定数。 - a=−40℃、b=25℃、c=85℃であり、
前記感磁方向成分Bmが次の(1.1)式を満たす
請求項1に記載の磁気センサの使用方法。
0.567≦Bm/Bk≦0.699 ・・・(1.1) - a=0℃、b=25℃、c=60℃であり、
前記感磁方向成分Bmが次の(1.2)式を満たす
請求項1に記載の磁気センサの使用方法。
0.600≦Bm/Bk≦0.679 ・・・(1.2) - 変調用コイルを用いて前記バイアス磁場Bbiasを印加する請求項1から3までのいずれか1項に記載の磁気センサの使用方法。
- 紙幣判別装置、電流センサ、又は、方位センサに用いられる請求項1から4までのいずれか1項に記載の磁気センサの使用方法。
- 以下の構成を備えた磁気センサのバイアス磁場の決定方法。
(1)前記決定方法は、感磁部が常磁性体として振る舞う磁気抵抗効果素子を備えた磁気センサに印加するバイアス磁場Bbiasを決定するために用いられる。
(2)前記磁気センサに作用する前記バイアス磁場Bbiasの感磁方向成分Bmが請求項1に記載の(1)式を満たすように、前記バイアス磁場Bbiasが決定される。 - 以下の構成を備えた磁気センサの使用方法。
(1)感磁部が常磁性体として振る舞う1個又は2個以上の磁気抵抗効果素子を備えた磁気センサを用いて、外部磁場Bextを測定する。
(2)前記外部磁場Bextを測定する際に、前記磁気センサに対してバイアス磁場Bbiasが印加され、
前記バイアス磁場Bbiasは、前記磁気センサに作用する前記バイアス磁場Bbiasの感磁方向成分Bmが以下の手順により決定される。
(a)温度a(前記磁気センサの下限使用温度)、温度b(前記磁気センサの標準使用温度)、及び、温度c(前記磁気センサの上限使用温度)におけるセンサの出力電圧Vの磁場Bに対する変化率(∂V/∂B)を求める。
(b)印加磁場Bと相対感度変化率ΔVとの関係を2次関数でフィッティングする。
ここで、「相対感度変化率ΔV」とは、次の(10)式で表される値をいう。
ΔV=([∂V/∂B]c−[∂V/∂B]a)/[∂V/∂B]b ・・・(10)
但し、
[∂V/∂B]aは、前記温度aにおける変化率(∂V/∂B)、
[∂V/∂B]bは、前記温度bにおける変化率(∂V/∂B)、
[∂V/∂B]cは、前記温度cにおける変化率(∂V/∂B)。
(c)ΔVが±0.10以内となる前記印加磁場Bの範囲を求め、前記磁気センサに印加される前記バイアス磁場Bbiasの感磁方向成分Bmが前記印加磁場Bの範囲内となるように、前記バイアス磁場Bbiasを決定する。 - 以下の構成を備えた磁気センサのバイアス磁場の決定方法。
(1)前記決定方法は、感磁部が常磁性体として振る舞う磁気抵抗効果素子を備えた磁気センサに印加するバイアス磁場Bbiasを決定するために用いられる。
(2)前記バイアス磁場Bbiasは、請求項7に記載の手順により決定される。
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