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JP2015212400A - ジルコニウム合金、骨固定具、及びジルコニウム合金の製造方法 - Google Patents

ジルコニウム合金、骨固定具、及びジルコニウム合金の製造方法 Download PDF

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JP2015212400A JP2012187593A JP2012187593A JP2015212400A JP 2015212400 A JP2015212400 A JP 2015212400A JP 2012187593 A JP2012187593 A JP 2012187593A JP 2012187593 A JP2012187593 A JP 2012187593A JP 2015212400 A JP2015212400 A JP 2015212400A
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Naoyuki Nomura
直之 野村
塙 隆夫
Takao Hanawa
隆夫 塙
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Tokyo Medical and Dental University NUC
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Abstract

【課題】弾性率が低いジルコニウム合金、及びストレスシールディングが発生しにくい骨固定具を提供する。【解決手段】Nbを8質量%以上11質量%以下含有し、Sn及びAlの少なくともいずれかを合計1質量%以上5質量%以下含有し、残部が実質的にZrであり、α’相を主相とするジルコニウム合金、及び該ジルコニウム合金からなる骨固定具。【選択図】なし

Description

本発明は、ジルコニウム合金、骨固定具、及びジルコニウム合金の製造方法に関する。
骨折治療に用いられる骨固定具として、ステンレス鋼やチタン合金からなる骨固定具が臨床で使用されている。
しかし、ステンレス鋼やチタン合金の弾性率(ヤング率:約100〜200GPa)は皮質骨の弾性率(ヤング率:約20GPa)よりもはるかに大きいので、ステンレス鋼やチタン合金からなる骨固定具を使用した場合、荷重負荷が骨組織に伝わりにくく、その結果、荷重負荷が遮断(ストレスシールディング)された骨組織では、骨吸収が促進され骨萎縮が起こる。
これまで、弾性率を低下させる目的で様々な合金の開発が試みられているが、ヤング率はせいぜい85GPa程度であり、皮質骨の弾性率との差は大きいのが現状である(例えば、特許文献1参照)。
一方、生体用金属材料としてジルコニウム合金が注目されている。これまでに例えば、磁化率が低く磁気共鳴画像診断(MRI)におけるアーチファクトの発生が起こりにくいジルコニウム合金が開示されており(例えば、特許文献2参照)、各種の医療用部材への適用が期待されている。
ジルコニウムは細胞毒性が低く、骨との親和性も低いので、ジルコニウム合金は骨固定具の素材として有利であり、弾性率の低いジルコニウム合金が得られれば、ストレスシールディングが発生しにくい骨固定具を提供できる。
特開2004−089580号公報 特開2010−075413号公報
本発明が解決しようとする課題は、弾性率が低いジルコニウム合金を提供することである。さらに本発明が解決しようとする課題は、ストレスシールディングが発生しにくい骨固定具を提供することである。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> Nbを8質量%以上11質量%以下含有し、Sn及びAlの少なくともいずれかを合計1質量%以上5質量%以下含有し、残部が実質的にZrであり、α’相を主相とするジルコニウム合金。
<2> 前記<1>に記載のジルコニウム合金からなる骨固定具。
<3> Nbを8質量%以上11質量%以下含有し、Sn及びAlの少なくともいずれかを合計1質量%以上5質量%以下含有し、残部が実質的にZrであるジルコニウム合金素材。
<4> Nbを8質量%以上11質量%以下含有し、Sn及びAlの少なくともいずれかを合計1質量%以上5質量%以下含有し、残部が実質的にZrであるジルコニウム合金素材に、冷間塑性加工を施すことを含むジルコニウム合金の製造方法。
本発明によれば、弾性率が低いジルコニウム合金を提供することができる。さらに本発明によれば、ストレスシールディングが発生しにくい骨固定具を提供することができる。
本発明の実施例で行った引張試験における試験片の変位を示すグラフである。 本発明の実施例で行った引張試験から算出されるヤング率を示すグラフである。 本発明の実施例で得た試料のヤング率を示すグラフである。 本発明の実施例で得た試料のX線回折スペクトルである。 本発明の実施例で得た試料のヤング率を示すグラフである。 本発明の実施例で得た試料のX線回折スペクトルである。
以下に、本発明の実施の形態について説明する。なお、これらの説明及び実施例は本発明を例示するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。
本明細書において「〜」は、その前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示すものとする。
<ジルコニウム合金>
本発明のジルコニウム合金は、Nb(ニオブ)を8質量%以上11質量%以下含有し、Sn(スズ)及びAl(アルミニウム)の少なくともいずれかを合計1質量%以上5質量%以下含有し、残部が実質的にZr(ジルコニウム)であり、α’相を主相とする。
かかる構成のジルコニウム合金は、弾性率が低く、骨固定具に好適である。
また、かかる構成のジルコニウム合金は、磁化率が低く、骨固定具に好適である。
なお、本発明において、ジルコニウム合金の弾性率(ヤング率)は、70GPa以下が好ましく、60GPa以下がより好ましく、50GPa以下が更に好ましい。また、本発明において、ジルコニウム合金の磁化率(質量磁化率)は、2.0×10−8/kg以下が好ましく、1.8×10−8/kg以下がより好ましく、1.6×10−8/kg以下が更に好ましい。
従来、10質量%程度のNb及び残部Zrからなる生体用のZr−Nb合金が知られている(例えば、特許文献2参照)。
これに対し、本発明のジルコニウム合金は、Nbのほかに更にSn及びAlの少なくともいずれかを合計1〜5質量%含有するものであり、該含有率でSn及びAlを含有することが、ジルコニウム合金の主相をα’相とするために必要である(詳細は後述する。)。
そして、本発明のジルコニウム合金は、主相がα’相であることにより、Zr単体(β相からなる。ヤング率:95GPa)や前記Zr−Nb合金(β相が主相である。)に比べて弾性率が低い。
本発明のジルコニウム合金は、主相がα’相である。α’相の割合は、ジルコニウム合金を構成する各相の中で最も含有割合が高ければ特に制限されないが、弾性率を低下させる観点から、全相の50%以上が好ましく、全相の80%以上がより好ましい。
本発明のジルコニウム合金は、α’相以外の相を有していてよく、例えばβ相を有していてよい。
ジルコニウム合金の相の種類および相の割合は、X線回折法による結晶構造解析により確認することができる。
本発明のジルコニウム合金は、Zrを主成分とし、Nb、Sn及びAl以外の残部が実質的にZrである。「残部が実質的にZrである」とは、製造過程で不可避的に混入する不純物(不可避的不純物)が含有されていてもよいことを意味し、また、本発明の効果を損なわない限りにおいて、他の成分が含まれていてもよいことを意味する。
Zrは、Ti(チタン)に比べて骨との親和性が低いという利点がある。チタン合金を骨固定具に適用した場合、骨固定具が骨に癒着してしまい、骨癒合後に抜去しにくくなる場合があるが、本発明のジルコニウム合金は、骨に癒着しにくく、抜去が容易である。
また、Zrは細胞毒性が低く、耐食性が高く、生体内での耐久性に優れているため、本発明のジルコニウム合金は、生体適合性が高い。
本発明のジルコニウム合金は、Nbを8〜11質量%含有する。該含有率でNbを含有することにより、本発明のジルコニウム合金は、Zr単体に比べて磁化率が低いと考えられる。本発明のジルコニウム合金は、磁化率が低いことにより、骨固定具等の医療用部材とした場合に、MRIにおけるアーチファクトの発生が起こりにくい。
また、単体のZrは、単体のTiに比べ力学的強度にやや劣るが、Nbを含有させ合金化することにより力学的強度を高めることができる。
本発明のジルコニウム合金におけるNbの含有率は、好ましくは8〜10質量%であり、より好ましくは8.5〜9.5質量%である。
本発明のジルコニウム合金は、Sn及びAlの少なくともいずれかを含有する。
本発明のジルコニウム合金に含有されるSn及びAlの含有率は、合計1〜5質量%であり、好ましくは合計2〜4質量%である。
本発明のジルコニウム合金がZr−Nb−Snの3元合金である場合、Snの含有率は2〜5質量%が好ましく、2〜4質量%がより好ましい。
本発明のジルコニウム合金がZr−Nb−Alの3元合金である場合、Alの含有率は1〜4質量%が好ましく、2〜4質量%がより好ましい。
本発明のジルコニウム合金は、製造過程で混入する不可避的不純物を含有していてもよい。不可避的不純物としては、B(ホウ素)、C(炭素)、N(窒素)、O(酸素)、Na(ナトリウム)、Mg(マグネシウム)、Si(シリコン)、P(リン)、S(硫黄)、K(カリウム)、Ca(カルシウム)、Mn(マンガン)等が挙げられる。不可避的不純物の含有量は少ないほど好ましく、合計0.1質量%未満が好ましい。
ジルコニウム合金の成分組成は、蛍光X線分析により確認することができる。
本発明のジルコニウム合金は、以下の製造方法で製造することができる。
<ジルコニウム合金素材、ジルコニウム合金の製造方法>
本発明のジルコニウム合金素材は、Nbを8質量%以上11質量%以下含有し、Sn及びAlの少なくともいずれかを合計1質量%以上5質量%以下含有し、残部が実質的にZrの合金である。
そして、本発明のジルコニウム合金の製造方法は、本発明のジルコニウム合金素材に冷間塑性加工を施すものである。本発明のジルコニウム合金素材に冷間塑性加工を施すことによって、β相が主相である結晶構造を相変態させ主相をα’相とし、弾性率の低いジルコニウム合金とする。
従来の前記Zr−Nb合金に冷間塑性加工を施すと、β相が主相である結晶構造にω相が出現しやすい。ω相は合金の弾性率を高めるので、前記Zr−Nb合金に冷間塑性加工を施した場合、弾性率が高くなる傾向がある。
これに対して、本発明のジルコニウム合金素材は、Nbのほかに更にSn及びAlの少なくともいずれかを合計1〜5質量%含有する。Sn及びAlは本発明のジルコニウム合金素材の結晶構造の中に固溶しジルコニウム合金の相構成に関与すると考えられ、該合金素材に冷間塑性加工を施すと、β相が主相である結晶構造が相変態し主相がα’相となる。そして、α’相は合金の弾性率を低めるので、該合金素材に冷間塑性加工を施してなる本発明のジルコニウム合金は、弾性率が低いものとなる。
Sn及びAlについて、従来、合金の磁化率を低下させる成分であることは知られていたが、本発明における組成でZr及びNbと共に合金化し冷間塑性加工を施すことによって合金の弾性率が低下するという効果は、予測し得ない効果である。
SnとAlとは、合金の結晶構造の中に固溶し相構成に関与する点において同様の性質を有する。
また、SnとAlとは、磁化率が母材であるZrより低く、磁性が低いことが望まれる合金の成分として有利である。
さらに、SnとAlとは、毒性が低い点で同族の他の元素に比べて生体用合金の成分として有利である。
本発明のジルコニウム合金素材に含有されるSn及びAlの含有率は、冷間塑性加工によって相変態を起こし主相をα’相とするために合計1〜5質量%であり、好ましくは合計2〜4質量%である。Sn及びAlの含有率が合計1%に満たないと、合金素材に冷間塑性加工を施してもα’相が出現しない。一方、Sn及びAlの含有率が合計5%を超えると、合金素材にβ相以外の相が出現することがあり、合金素材に冷間塑性加工を施してもα’相が主相となりにくい。
本発明のジルコニウム合金素材がZr−Nb−Snの3元合金である場合、Snの含有率は2〜5質量%が好ましく、2〜4質量%がより好ましい。
本発明のジルコニウム合金素材がZr−Nb−Alの3元合金である場合、Alの含有率は1〜4質量%が好ましく、2〜4質量%がより好ましい。
本発明のジルコニウム合金素材は、Nbを8〜11質量%含有する。該含有率でNbを含有することにより、本発明のジルコニウム合金素材は、Zr単体に比べて磁化率が低いと考えられる。そして本発明のジルコニウム合金素材は、冷間塑性加工を施しても磁化率が低いままに保たれる。
本発明のジルコニウム合金素材におけるNbの含有率は、好ましくは8〜10質量%であり、より好ましくは8.5〜9.5質量%である。
本発明のジルコニウム合金素材は、冷間塑性加工を施すことで弾性率が低いものとなり、その上、冷間塑性加工を施しても磁化率が低いままに保たれるので、医療用部材(特に骨固定具)の製造用の素材として有利である。
本発明のジルコニウム合金素材は、Nbを8〜11質量%含有し、Sn及びAlの少なくともいずれかを合計1〜5質量%含有し、残部がZrである混合物を原料にし、鋳造によって得ることができる。
本発明のジルコニウム合金素材は、合金成分や組織の均一化、内部応力の除去等を図る目的で、均質化処理(例えば、500℃〜1000℃/1分〜60分の熱処理)が施されたものが好ましい。また、本発明のジルコニウム合金素材は、鋳塊表面の偏析層を面削したものでもよい。
本発明のジルコニウム合金素材は、製造過程で混入する不可避的不純物(B、C、N、O、N、Mg、Si、P、S、K、Ca、Mn等)を含んでいてもよい。不可避的不純物の含有量は少ないほど好ましく、合計0.1質量%未満が好ましい。
また、本発明のジルコニウム合金素材は、冷間塑性加工を施すことによってα’相が主相となることを妨げない限りにおいて、Zr、Nb、Sn及びAl以外の他の成分が含まれていてもよい。
本発明のジルコニウム合金の製造方法は、本発明のジルコニウム合金素材に冷間塑性加工を施すことを含む。
本発明のジルコニウム合金素材に施す冷間塑性加工としては、再結晶温度未満の温度下で行う塑性加工であれば特に制限されず、例えば、常温下で行う、圧延、鍛造、押出し、引抜き、線引き、スウェージ加工、プレス加工、曲げ加工が挙げられる。
冷間塑性加工の加工率は、特に制限されず、本発明のジルコニウム合金素材に相変態を起こしα’相を主相とし得る範囲を加工方法に応じて選択する。例えば、圧延加工する場合は、圧下率(板厚減少率)を10%以上にすることが好ましく、スウェージ加工する場合は、加工率(断面積の減少率)を10%以上にすることが好ましい。
本発明のジルコニウム合金の製造方法は、本発明のジルコニウム合金素材を得る工程として、Nbと、Sn及びAlの少なくともいずれかと、Zrとを含む混合物を原料にしてジルコニウム合金素材を鋳造する鋳造工程を含んでもよく、更に、前記鋳造工程で得たジルコニウム合金素材に均質化処理を施す均質化処理工程を含んでもよい。
<骨固定具>
本発明の骨固定具は、本発明のジルコニウム合金からなる。
本発明の骨固定具は、弾性率が低い本発明のジルコニウム合金からなることにより、ストレスシールディングが発生しにくい。
また、本発明の骨固定具は、磁化率が低い本発明のジルコニウム合金からなることにより、MRIにおけるアーチファクトの発生が起こりにくい。
さらに、本発明の骨固定具は、骨との親和性が低い本発明のジルコニウム合金からなることにより、骨に癒着しにくく抜去が容易である。
本発明の骨固定具は、本発明のジルコニウム合金素材に冷間塑性加工を施して本発明のジルコニウム合金へと相変態させながら所望の形状に加工し、製造することができる。この場合、更に、切削、研削のような機械加工;各種ブラスト処理のような表面処理;等を施してもよい。
ほかに、本発明の骨固定具は、本発明のジルコニウム合金に、冷間塑性加工;切削、研削のような機械加工;各種ブラスト処理のような表面処理;等を施して所望の形状に成形し、製造することができる。
骨固定具の具体例としては、骨接合板、骨接合用くぎ、骨接合用ねじ、骨固定用プレート、髄内釘、等が挙げられる。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
以下の実施例においては、特に断りのない限り、ヤング率は自由共振型弾性率測定装置(日本テクノプラス社製)を用いて測定し、磁化率は磁気天秤(Sherwood Scientific社製MSB−MKI)を用いて測定した。
<実施例1、比較例1−1、比較例1−2>
〔ジルコニウム合金素材の作製〕
表1に示す組成の混合物をアーク溶解炉に入れ、昇温し溶解させた。次に、溶解させた混合物(溶湯)を鋳型に流し込み、溶湯を冷却し凝固させた。そして、鋳型から凝固した合金を取り出し、表面にサンドブラスト処理を施し、表面を清浄化した。

このようにして、それぞれの組成について、角柱状(20mm×10mm×10mm)及び円柱状(直径5mm×長さ50mm)のジルコニウム合金素材を得た。Zr−9Nb−3Snについては、ダンベル型のジルコニウム合金素材も作製した。以下、これらのジルコニウム合金素材を鋳造材と称する。
〔ジルコニウム合金素材の均質化熱処理〕
上記で得た角柱状及び円柱状のジルコニウム合金素材に、900℃/60分間の熱処理による均質化処理を施した。以下、均質化処理後のジルコニウム合金素材をSTQ材と称する。
<実施例2>
〔ジルコニウム合金素材の引張試験〕
Zr−9Nb−3Snのダンベル型鋳造材を試験片とし、引張荷重を加えて試験片の変位を測定し該変位からヤング率を算出する引張試験を行った。具体的には、試験装置のクロスヘッドを一定速度で上側に移動することによりダンベル型鋳造材に約0.6%の塑性歪を発生させたのち、クロスヘッドを同じ速度で下側に移動し、荷重がゼロになるまで除荷することを1サイクルとし、これを繰り返した。繰り返されるサイクルと試験片の変位との関係を図1に示す。負荷および除荷ごとの試料のヤング率を表2及び図2に示す。

表2及び図1、2から分かるとおり、Zr−9Nb−3Snの鋳造材(本発明のジルコニウム合金素材)は、常温下の塑性変形にともなってヤング率が低下した。
<実施例3、比較例3>
〔圧延材のヤング率の測定〕
Zr−9Nb−3Sn及びZr−14Nbの角柱状STQ材を、圧延機によって常温下で圧延し、圧延材を作製した。圧延の際には、STQ材の20mm辺の方向を圧延方向とし、20mm×10mmの面を圧延面とした。
圧下率を変えて圧延材を作製し、そのヤング率を測定した結果を表3及び図3に示す。 なお、ヤング率の測定に供した試験片は、試験片の長さ方向をRD方向(圧延方向)に一致させ、試験片の幅方向をTD方向(圧延直角方向)に一致させ、試験片の厚さ方向をND方向(圧延面法線方向)に一致させて採取した。
〔圧延材のX線回折〕
Zr−9Nb−3Snの角柱状STQ材から圧下率を変えて作製した各圧延材について、X線回折装置を用いて、X線回折法による結晶構造解析を行った。その結果を図4に示す。図4中において、各ピークに付された三角印、丸印、四角印は、各ピークがそれぞれα’相、β相、ω相に帰属することを示し、ピークの側に付された4桁の数字は、そのピークが帰属する結晶面の面方位を示す。
X線回折装置および測定条件は、下記のとおりである。
・装置:Bruker AXS社製D8 Advance
・X線源:Cu−Kα線
・圧延面に対してX線回折測定を行った。
表3及び図3から分かるとおり、Zr−9Nb−3SnのSTQ材(本発明のジルコニウム合金素材)は、冷間圧延によってヤング率が低下した。Zr−9Nb−3Snの圧延材(本発明のジルコニウム合金)は、いずれの圧下率においてもヤング率が低かった。
一方、Zr−14NbのSTQ材は、冷間圧延によってヤング率が増加した。
図4から分かるとおり、Zr−9Nb−3SnのSTQ材(本発明のジルコニウム合金素材)に冷間圧延を施すと、β相が主相であった結晶構造が相変態しα’相が主相となった。
<実施例4>
〔線材(スウェージ加工材)のヤング率の測定〕
Zr−9Nb−3Snの円柱状STQ材に、常温下でスウェージ加工(半径方向から圧縮し長手方向に伸ばす加工)を施し、線材を作製した。
加工率(断面積の減少率)を変えて線材を作製し、そのヤング率を測定した結果を表4及び図5に示す。
なお、ヤング率の測定に供した試験片は、試験片の長さ方向をスウェージ加工の延伸方向(線材の長手方向)に一致させて採取した。
〔線材のX線回折〕
Zr−9Nb−3Snの円柱状STQ材から加工率を変えて作製した各線材について、X線回折装置を用いて、X線回折法による結晶構造解析を行った。その結果を図6に示す。図6中において、各ピークに付された三角印、丸印、四角印は、各ピークがそれぞれα’相、β相、ω相に帰属することを示し、ピークの側に付された4桁の数字は、そのピークが帰属する結晶面の面方位を示す。
X線回折装置および測定条件は、下記のとおりである。
・装置:Bruker AXS社製D8 Advance
・X線源:Cu−Kα線
・線材の長手方向に対して垂直な面に対してX線回折測定を行った。
表4及び図5から分かるとおり、Zr−9Nb−3SnのSTQ材(本発明のジルコニウム合金素材)は、冷間スウェージ加工によってヤング率が低下した。Zr−9Nb−3Snの線材(本発明のジルコニウム合金)は、いずれの加工率においてもヤング率が低かった。
図6から分かるとおり、Zr−9Nb−3SnのSTQ材(本発明のジルコニウム合金素材)に冷間スウェージ加工を施すと、β相が主相であった結晶構造が相変態しα’相が主相となった。
<実施例5、比較例5−1、比較例5−2、実施例6>
〔圧延材の磁化率の測定〕
Zr−9Nb−3Sn、Zr−14Nb、及びZr−20Nbの角柱状STQ材を、圧延機によって常温下で圧延し、圧延材を作製した。圧延の際には、STQ材の20mm辺の方向を圧延方向とし、20mm×10mmの面を圧延面とした。
圧下率0%及び30%の圧延材の磁化率を、ND方向及びTD方向に測定した結果を表5に示す。
また、Zr−9Nb−3Snの角柱状STQ材から圧下率を変えて圧延材を作製し、その磁化率を測定した結果を表6に示す。
表5から分かるとおり、Zr−9Nb−3Snの圧延材(本発明のジルコニウム合金)は、Zr−14Nbの圧延材及びZr−20Nbの圧延材に比べて、ND方向及びTD方向ともに磁化率が低かった。
表6から分かるとおり、Zr−9Nb−3Snの圧延材(本発明のジルコニウム合金)は、圧下率によらず磁化率が低いままに保たれていた。
実施例2〜4の結果に明らかなとおり、本発明のジルコニウム合金素材に冷間塑性加工を施すことで相変態が起こり、α’相が主相となり、本発明のジルコニウム合金が製造される。
そして、実施例2〜4の結果に明らかなとおり、本発明のジルコニウム合金は、弾性率が低く、したがって、骨固定具に適用した場合、ストレスシールディングが発生しにくい。
実施例5及び6の結果に明らかなとおり、本発明のジルコニウム合金は、磁化率が低く、したがって、骨固定具に適用した場合、MRIにおけるアーチファクトの発生が起こりにくい。

Claims (4)

  1. Nbを8質量%以上11質量%以下含有し、Sn及びAlの少なくともいずれかを合計1質量%以上5質量%以下含有し、残部が実質的にZrであり、α’相を主相とするジルコニウム合金。
  2. 請求項1に記載のジルコニウム合金からなる骨固定具。
  3. Nbを8質量%以上11質量%以下含有し、Sn及びAlの少なくともいずれかを合計1質量%以上5質量%以下含有し、残部が実質的にZrであるジルコニウム合金素材。
  4. Nbを8質量%以上11質量%以下含有し、Sn及びAlの少なくともいずれかを合計1質量%以上5質量%以下含有し、残部が実質的にZrであるジルコニウム合金素材に、冷間塑性加工を施すことを含むジルコニウム合金の製造方法。
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