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JP2015199512A - 喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器 - Google Patents

喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器 Download PDF

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JP2015199512A JP2014078966A JP2014078966A JP2015199512A JP 2015199512 A JP2015199512 A JP 2015199512A JP 2014078966 A JP2014078966 A JP 2014078966A JP 2014078966 A JP2014078966 A JP 2014078966A JP 2015199512 A JP2015199512 A JP 2015199512A
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孝哲 関
Takanori Seki
孝哲 関
利弘 有馬
Toshihiro Arima
利弘 有馬
保夫 坂下
Yasuo Sakashita
保夫 坂下
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Abstract

【課題】CO2排出量「見える化」に寄与し、底割れや底部膨出が起きず、正立姿勢を確実に維持できるブロー成形多層容器を提供すること。【解決手段】口部、胴部及び底上げ部を有する底部を備え:ポリオレフィン樹脂含有の内表面層及び外表面層、バリア層を有する中間層を備え;底上げ部は、底シール部を備え;底シール部は、外表面が前記外表面層から形成される喰い切り支持部を有し、底上げ部の軸線方向長さL/喰切り支持部の軸線方向最大長さL0が0.8-1.2で;底シール部の長手方向両端部に、底上げ部の容器最内方に位置する点より更に容器内方にその頂点が位置する凸部を有し;かつ、表面層の一方または両方が、LDPE、密度912-935kg/m3のエチレン・α-オレフィン共重合体またはHDPEを含み、ASTM D6866-12のモダン炭素比率が0-8pMCの樹脂組成物からなる;喰切り支持部を備えカーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器:並びに充填容器。【選択図】図2

Description

本発明は、ブロー成形によって製造される合成樹脂製容器、すなわち、合成樹脂製ブロー成形多層容器に関し、特に、合成樹脂製ダイレクトブロー成形多層容器に関する。より具体的には、口部、胴部及び底部を備え、かつ、底部が特有の構成の底シール部を備え、CO2排出量の「見える化」に寄与する合成樹脂製ブロー成形多層容器、並びに充填容器に関する。
液状の内容物が充填される合成樹脂製容器としては、パリソンまたはプリフォームを金型内で加圧気体等により容器形状に成形して得られるブロー成形容器が知られ、特に、多層の合成樹脂製ブロー成形容器、すなわち合成樹脂製ブロー成形多層容器が汎用されている。合成樹脂製ブロー成形多層容器の層構成としては、表層(外層及び/または内層)として、ポリエチレンやポリプロピレンまたはオレフィン共重合体等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ナイロン等のポリアミド樹脂などを使用し、中間層(芯層)に、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)やポリ塩化ビニリデン樹脂等のバリア層を備える多層構造のものが広く使用されている。さらに、接着層やスクラップを含有する層(回収層)を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器が知られている。
特に、マヨネーズ、ケチャップ(トマトケチャップ等)、ソースなどの粘稠な液状物が内容物として充填される合成樹脂製ブロー成形多層容器は、筒状の合成樹脂製のパリソンが溶融押出され、続いて、所定温度の金型内壁面の形状に規制されてブロー成形されるダイレクトブロー成形(「押出ブロー成形」ということもある。)によって製造されることが多い。特許文献1及び特許文献2に開示されるように、ポリオレフィン樹脂を含有する内表面層及び外表面層と、バリア層面層とを備えてなり、ダイレクトブロー成形により作成される合成樹脂製ブロー成形多層容器(合成樹脂製ダイレクトブロー成形多層容器)が知られている。
ダイレクトブロー成形は、押出機にて樹脂を加熱溶融し、円形ダイ(環状ダイ、サーキュラーダイ等ということもある。)から円筒状(管状、環状ということもある。)にパリソンを押出し、該パリソンを直接に割金型で挟んで、パリソンの下端部をピンチオフする(喰い切る)とともに融着させ、樹脂の軟化状態のまま内部に圧縮流体を吹き込み、冷却した金型壁までブローし、冷却して成形する方式である。
食品等(例えばトマト加工品)の内容物が充填される合成樹脂製ブロー成形多層容器(以下、「ブロー成形多層容器」または単に「多層容器」ということがある。)は、容器成形工程(ブロー成形)、容器の移送工程、ユーザーによる食品等の内容物充填工程、内容物充填後の口部シール工程、キャップ装着工程、更に殺菌工程や容器包装工程などを経て、最終製品が製造される。
容器成形後の工程間の多層容器の移送は、通常、回転する搬送ホイールを用いて、多層容器を受け渡しながら行われる。例えば、多層容器への内容物の充填工程の後は、充填量や充填重量等を検査して、規格範囲を満たしていない多層容器を工程外に排出するので、複数の搬送ホイールを間欠回転しながら経由させることによって、多層容器の不連続な並びを、連続な並び、すなわち、等間隔の並びに整え、規格範囲を満たす充填済みの多層容器(充填容器)を整列させて、受渡ホイールを介して、口部シール工程に充填容器を引き渡す。口部シール工程では、キャップ装着装置が、密封容器の口部にキャップを回転して巻き締める。
多層容器の受け渡しは、搬送ホイール(受渡ホイール、回転ステーション等ともいう。)の上面に、連続的に、すなわち、等間隔に並んだ多層容器(充填容器等)を把持手段で把持しながら、回転する搬送ホイール間で把持手段による把持を切り替えることによって行う。これにより、多層容器(充填容器等)を正立状態、または所定の姿勢状態に維持しながら、次の工程に多層容器を移送する。容器の正立状態等の維持を助けるために、各搬送ホイールには、案内板や案内溝が備えられることもある。
近年、生産性向上のために、多層容器の製造装置の高速化が進んでいる。回転の角速度が大きくなると、遠心力が大きくなるほか、回転に伴う機械的振動を受けたり、隣接する搬送ホイール間で容器(充填容器等)が受ける慣性力に差が生じたりすることがある。この結果、容器(充填容器等)が正立状態を維持できず、種々の方向に揺動したり、傾いたりして、例えば、口部シールが正確にされないことがある。場合によっては、倒れたりすることもあり、生産効率を低下させるおそれがある。
ブロー成形多層容器において、底部に形成されるピンチオフ部(喰い切り部)は、パリソンを押し潰し融着させて形成されるものであることから、十分な強度が得られないことがある。多層容器の製造における工程間の移送などの取り扱い中に、喰い切り部が破損したり変形したりすると、容器の正立状態の維持ができず、製造装置の停止が必要となってしまうこともある。また、特に、充填容器においては、内容物の充填(例えば温度80℃程度において液体を充填するホットフィル)の際に、また、内容物の重量や遠心力等により、多層容器の底割れや底部の膨出が生じることがあり、この場合も容器の正立状態の維持ができず、製造装置の停止に至るおそれがある。そこで、特許文献3及び特許文献4に開示されるように、ピンチオフ部を含む容器底部の構造を特有のものとすることにより、強度を高めることが行われている。
なお、容器成形後の諸工程間の搬送や充填容器製品の搬送において、合成樹脂製ブロー成形多層容器の滑り性を改善するために、従来、原料樹脂に、滑剤(スリップ剤)を添加することも行われている(特許文献5)。滑剤は、通常、原料樹脂に、マスターバッチ方式で添加されたり、練り込まれたりする。合成樹脂製容器が多層の容器である場合は、表面層(内表面層または外表面層)に滑剤を添加することが多い。滑剤としては、有機滑剤、例えば、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等の不飽和脂肪酸アミドまたはステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド(ベヘニン酸アミド)等の飽和脂肪酸アミドや、シリカ等の無機滑剤が使用される。これらの滑剤は、2種以上を混合して使用することも行われている。
したがって、容器の底割れや底部の膨出が起きず、容器の正立姿勢を確実に維持できる合成樹脂製ブロー成形多層容器であって、容器の製造過程においては、搬送工程で多層容器の正確な把持や受け渡しに支障が生じたりすることがなく、更に内容物を充填した多層容器製品の取扱い中に不測のトラブルが生じたりするおそれもないことによって、生産効率を向上することができ、さらに、消費者への流通、及び消費者による使用に際しても容器の底部の破損や変形等が生じない合成樹脂製ブロー成形多層容器、特にダイレクトブロー成形多層容器、更には充填容器が求められていた。
〔容器リサイクル〕
一方、合成樹脂製ブロー成形多層容器等の各種容器は、容積比で家庭ゴミの過半を占めることや、循環型社会構築の世論の高まりにより、リサイクルや分別処理が進んでいる。容器包装リサイクル法や資源有効利用促進法の制定も相まって、アルミニウム容器やPETボトル等のリサイクル率は向上し、資源の再利用率も向上しているが、最終的に燃焼処理されることも少なくない。
〔カーボンオフセット〕
有機物であるエチレン系ポリオレフィン樹脂等の合成樹脂や、該合成樹脂材料製の容器やキャップ等の成形品を燃焼させると、二酸化炭素が発生する。二酸化炭素は、地球環境を温暖化するガス、すなわち温室効果ガス(「グリーンハウスガス」ともいう。)の一つであり、人による産業活動とともに増え続け、特に産業革命以後、急増し続けている。人の生存が持続可能な地球環境を維持するために、二酸化炭素については、地球の海や大気に循環する二酸化炭素の総量を現在以上に増やさない理念が共有されている。
現在、合成樹脂材料のほとんど、例えばエチレン系ポリオレフィン樹脂等は、石油、石炭、天然ガス等の化石燃料由来の化合物を出発原料として使用して製造されたものが使用されている。化石燃料は、長年月の間、地中に固定されてきた炭素を含有する。化石燃料、または化石燃料由来の化合物を出発原料とする製品を燃焼させて、二酸化炭素を大気中に放出することは、地中深くに固定され、大気中には存在しなかった炭素を、二酸化炭素として急激に大気中に放出することになるので、大気中の二酸化炭素が大きく増加し、地球温暖化の原因となる。
一方、地球環境内において循環する二酸化炭素を吸収しながら育つ生物(植物、動物)を、地球の大気で燃やして二酸化炭素を発生させても、地球環境内に存在する二酸化炭素の循環であるので、その二酸化炭素を構成する炭素の総量には変化がない。この炭素の出入りは、炭素の相殺〔カーボンオフセット(carbon offset) 〕または出入りのない〔カーボンニュートラル(carbon neutral) 〕の状態といわれ、地球環境内に存在する二酸化炭素を増大させるカーボンネガティブ(carbon negative)と区別される。
地球環境内で循環する二酸化炭素を構成し、現存する炭素は、再生可能な炭素(renewable carbon)、モダン炭素(modern carbon、contemporary carbon)、バイオ起源炭素(bio-resourced carbon、biobased carbon、biogenic carbon、bio-origin carbon)、バイオマス由来炭素(biomass derived carbon)、グリーン炭素(green carbon)、地球環境炭素(atmospheric carbon、environmentally friendly carbon) またはライフサイクル炭素(life-cycle carbon)等といわれ、その対極である化石燃料由来の炭素(fossil carbon、fossil fuel based carbon、petrochemical based carbon、carbon of fossil origin)と区別される。
特に、植物は、地球環境内で循環する二酸化炭素を吸収し、二酸化炭素と水とを原料とする光合成反応を行い、有機体として同化・固定化することにより生育する生物であることから、炭素源として注目されている。例えば、サトウキビやトウモロコシ等の植物原料から抽出する糖の発酵物またはセルロース発酵物からアルコール成分、特にエチルアルコールを蒸留分離し、その脱水反応によりアルケンであるエチレンを得て、通常の樹脂合成手段を介してエチレン系ポリオレフィン樹脂またはオレフィン系樹脂を得ることができる(特許文献6)。この履歴を有する合成樹脂は、カーボンオフセットポリオレフィン(carbon offset polyolefin)、バイオ起源ポリオレフィン(biogenic polyolefin)または植物由来の合成樹脂(plant based resin)などといわれる。
地球環境内で循環する二酸化炭素を構成する炭素は、同位体(アイソトープ)である放射性の炭素14(「14C」ということがある。)、安定な炭素12(「12C」ということがある。)及び準安定な炭素13(「13C」ということがある。)の混合物であり、その質量比率が、12C(98.892質量%)、13C(1.108質量%)及び14C(痕跡量である1.2×10−12質量%〜1.2×10−10質量%)である。12Cと13Cとの比率は安定している。また、放射性の14Cは、大気上層で一次宇宙線によって生成された二次宇宙線に含まれる中性子が、大気中の窒素原子(「14N」ということがある。)に衝突することによって生成されるので、太陽の黒点活動の強弱等により若干変動するものの、常に供給され続けており、一方、半減期5730年で減少する。
地球環境内で循環する二酸化炭素を絶えず吸収しながら育つ生物(植物、動物)は、その生存中、地球環境内で循環する二酸化炭素を構成する3種類の炭素同位体の質量比率を引き継ぎ続ける。生物が死滅すれば、生物内部における3種類の炭素同位体の質量比率は、死滅時点の比率で固定化される。14Cの半減期は、5730年であり、これを利用して種々の試料の年代を推定する考古学的年代測定法が周知である。一方、14Cの半減期5730年よりはるか昔である太古に生息した生物の死滅から長期間が経過して形成された化石燃料中の14Cは、地球環境内で循環する現代の二酸化炭素と隔絶して測定すると、ほぼ0(測定機器の検出限界未満)とみなすことができるので、化石燃料由来の合成樹脂中の14Cは、ほぼ0とみなすことができる。
したがって、植物由来の合成樹脂と化石燃料由来の合成樹脂とは、含有される14Cの比率によって区別することが可能である。なお、生育している植物を収穫して、それを糖化してアルコールとし、その脱水反応により生成されるエチレンを原料として、通常の樹脂合成手段を介して植物由来の合成樹脂とするまでに要する時間は、数か月間程度で、14Cの半減期5730年からみれば、無視できるから、植物由来の合成樹脂を製造するまでのタイムラグは、植物由来の合成樹脂か、化石燃料由来の合成樹脂かの判別に、実質的な影響がない。
地球環境内で循環する二酸化炭素を構成する放射性の14Cの比率は、産業革命以来、人類が大量の化石燃料を燃焼させることで、希釈され、低減されていたが、西暦1950年以降の大気圏内核実験によって増加に転じた。すなわち、大気圏内核実験により放射性の14Cの生成量は、宇宙線の作用でできた中性子との衝突で生じる14Nの原子核反応による放射性の14Cの生成量を超えていた。その後、1964年の核実験停止条約により、放射性の14Cの比率は、1963年をピークとして減少に転じ、その後の原子力発電所事故等による変動があるものの、1950年における放射性の14Cの比率には至っていない。
そこで、植物由来の合成樹脂と化石燃料由来の合成樹脂との区別については、1950年時点における放射性の14Cの存在比率を参照基準とする標準化方法が知られており、米国国立標準局(NIST)による、ASTM D6866−12(Determining the Biobased Control of Solid, Liquid, and Gaseous Samples Using Radiocarbon Analysis)がある。ASTM D6866は、放射性炭素年代測定法を利用した固体・液体・気体試料中の生物起源炭素濃度を決定するASTM(米国材料試験協会;American Society for Testing and Materials)の標準規格であり、2004年に承認されて以来、改訂が重ねられ、現在の最新規格ASTM D6866−12は、2012年4月改訂のものである。
ASTM D6866−12が規定する原理は、概略以下のとおりである。すなわち、化石燃料由来の有機物質は、1950年よりはるか昔の時代に、生物(動物・植物)の死滅または刈取りがあり、そのときの炭素同位体の比率組成が固定されているので、植物由来の有機物質を構成する炭素の存在比率は0(zero)である。そこで、炭素同位体の比率組成において、安定比率である13C/12Cと、放射性の14Cとの関数で規定するモダン炭素比率(percent modern carbon:pMC)単位を用いて、化石燃料由来の有機物質のモダン炭素比率を、0pMCとする(測定機器の検出限界未満を意味する。)。また、1950年時点の炭素同位体の比率組成を有する標準物質〔NISTが供給するシュウ酸(SRM4990)、または同等有機物質〕のモダン炭素比率を100pMCと定める。この0〜100pMCを基準として、試料のモダン炭素比率を求めることにより、化石燃料由来の有機物質と植物由来の有機物質との割合を決定するものである。現在製造される植物由来の合成樹脂のモダン炭素比率は、1950年以降に行われた大気圏内核実験などによって人為的に増加した14Cの影響により、少なくとも102pMCを下回ることはなく、平均107pMC程度である。14Cの比率がピークである核実験停止条約前の1963年におけるモダン炭素比率は、118pMCであった。したがって、合成樹脂のモダン炭素比率が、102〜118pMCであれば、確実に植物由来の合成樹脂であるということができる。
また、既知の植物由来の合成樹脂のモダン炭素比率の値から、該植物由来の合成樹脂と化石燃料由来の合成樹脂(モダン炭素比率は、0pMCである。)との混合物である合成樹脂材料(樹脂組成物)における植物由来の合成樹脂の含有比率を算出することができ、植物由来の合成樹脂の質量比率を、「%Corg.renew」と記載することがある。例えば、樹脂組成物におけるバイオ化率96%の植物由来の合成樹脂(モダン炭素比率は、107pMC×0.96=102.7pMCと算出される。)と化石燃料由来の合成樹脂との質量比率が50:50であるときは、この樹脂組成物は、モダン炭素比率が51.4pMC(107pMC×0.96×0.50=51.36pMCとして計算される。)であり、48%Corg.renew(96%×0.5として算出される。)である。また、その樹脂組成物の前記の質量比率が55:45であるときは、モダン炭素比率は56.5pMC(107pMC×0.96×0.55=56.50pMCとして計算される。)であり、52.8%Corg.renew(96%×0.55として算出される。)である。なお、「バイオ化率」(%)とは、合成樹脂中の植物由来の合成樹脂の質量比率であり、「バイオマスプラスチック度」、「バイオマス度」ということもあり、バイオ化率が25%であれば、日本バイオプラスチック協会が定めるバイオマスプラ識別表示制度に基づき、バイオマスプラスチックを25.0質量%以上含むものとして、「バイオマスプラ」と称することが許容される。
先に述べたように、植物由来の合成樹脂のモダン炭素比率は、102pMCを下回ることはなく、平均107pMC程度であるので、ある植物由来の合成樹脂と化石燃料由来の合成樹脂との混合物である合成樹脂材料(樹脂組成物)のモダン炭素比率が、53.5pMC以上であれば、植物由来の合成樹脂の質量比率が50質量%以上(107pMC×0.50=53.5pMCとして計算される。)であるといえる。
一方、植物由来の合成樹脂を含有せず、化石燃料由来の合成樹脂を含有する樹脂組成物は、先に述べたとおり地球環境内で循環する現代の二酸化炭素と隔絶して測定すると、本来モダン炭素比率が0pMCであるが、実際には、1950年以後に行われた核実験や原子力発電所事故に由来する放射性の14Cが混入したり、現代の地球環境内で循環する二酸化炭素が表面に吸着または透過して炭素アイソトープ交換が生じたりすることにより、0pMCより大きなモダン炭素比率を示すことがある。しかし、多くの場合、化石燃料由来の合成樹脂モダン炭素比率は、0.01〜0.03pMCの範囲であり、実質的に0pMCであるということができる。また、化石燃料由来の合成樹脂のモダン炭素比率が8pMCを超えることはない。したがって、ある合成樹脂または合成樹脂を含有する樹脂組成物のモダン炭素比率が0〜8pMCであれば、その合成樹脂または合成樹脂を含有する樹脂組成物は、化石燃料由来の合成樹脂または化石燃料由来の合成樹脂を含有する樹脂組成物であるということができる。
なお、石灰石の成分であり、種々の目的で化石燃料由来の合成樹脂を含有する樹脂組成物に配合されることがある炭酸カルシウム等の、無機炭素に由来する放射性の14Cの影響がみられるときがあるが、モダン炭素比率の測定においては、その影響を除く方法が標準化されている。また、化石燃料由来の合成樹脂を含有する樹脂組成物においては、有機炭素を含有する添加剤や配合剤に由来する放射性の14Cが影響したりして、希釈されるために、0pMCより大きなモダン炭素比率を示すことがあるが、通常の配合量であれば、化石燃料由来の合成樹脂を含有する樹脂組成物のモダン炭素比率が8pMCを超えることはない。
〔カーボンラベリング〕
近年、環境保全や環境負荷の低減に寄与することを目的として、環境ラベリング制度が普及し始め、例えば、国際基準であるISO14000として、環境マネジメントの運用が行われるようになっている。温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)についても、様々な製品やサービスの製造及び使用段階で、原材料調達から廃棄及びリサイクルに至るライフサイクル全体を通して、CO2排出量の「見える化」の試みが進んでおり、カーボンラベリングや、カーボンフットプリント表示と称されている。カーボンラベリングまたはカーボンフットプリント表示が普及すれば、事業者は、製品ライフサイクルにおける環境負荷を低減するための製品設計や製造工程管理改善の指標として利用することが期待され、また、消費者は、商品選択材料の一つとして利用することができ、これにより製造事業者や供給事業者における環境負荷低減の努力を促す手段の一つとなることが期待されている。さらに、カーボンラベリングは、カーボンオフセットに使用するクレジットの確保や信頼性・透明性の保証として有効であり、特に、今後、環境会計の普及が予測される中で、重要性を増している。
化石燃料由来の合成樹脂(以下、「化石燃料由来樹脂」ということがある。)と植物由来の合成樹脂とは、原理的には、モダン炭素比率において相違するのみであるので、地球環境に与える影響を除くほかは、該合成樹脂からの樹脂製品の製造工程や形成された樹脂製品については、取扱いにおける変化や差異はないと考えられている。しかし、現実には、例えば、相溶性や機械的特性において差異がある場合があることも知られている(特許文献7)。
特開昭63−237924号公報 特開平7−32554号公報 特開昭52−30869号公報 実公平6−11164号公報 特開平6−72422号公報 特表2010−511634号公報 特開2011−132525号公報
本発明の課題は、CO2排出量の「見える化」に寄与し、容器の底割れや底部の膨出が起きず、容器の正立姿勢を確実に維持できる合成樹脂製ブロー成形多層容器、特にダイレクトブロー成形多層容器、更には充填容器を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決することについて鋭意研究した結果、口部、胴部及び底部を備え、かつ、底部が特有の構成の底シール部を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器とするとともに、少なくとも一方の表面層を特定の範囲のモダン炭素比率を有する樹脂組成物とすることにより、課題を解決できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明によれば、口部、胴部及び底部を、容器の軸線方向に沿って順次備える合成樹脂製ブロー成形多層容器であって、
多層容器の層構成は、少なくとも、エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する内表面層、バリア層を有する中間層、及び、エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する外表面層を容器内側からこの順に備えるものであり、
a)底部は、周状の接地部に囲まれ、接地部より軸線方向に沿う容器内方に位置する面状の底上げ部を備え;
b)底上げ部は、底部の軸線方向に直交する面において略直線状に延び、該底上げ部から軸線方向に沿う容器外方に向かい延在する底シール部に連接し;
c)底シール部は、
i)その軸線方向に沿う容器外方の端縁が周状の接地部より軸線方向に沿う容器内方に位置する喰い切り部と、喰い切り部から軸線方向に沿う容器内方に向かって延在し底上げ部で終わる喰い切り支持部とを有し、
ii)喰い切り支持部の外表面がいずれも、前記のエチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する外表面層から形成され、及び、
iii)喰い切り支持部の軸線方向に沿う断面の最大長さL0に対する、底上げ部の軸線方向に沿う断面の長さLの比L/L0が0.8〜1.2の範囲であって;
d)底シール部の略直線状に延びる長手方向両端部に相当する位置の底上げ部から軸線方向に沿う容器内方に向かって延在し、底上げ部の軸線方向に沿う最も容器内方に位置する点を基準として軸線方向に沿う更に容器内方にその頂点が位置する凸部を有し;かつ、
e)エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する少なくとも一方の表面層は、樹脂成分として、低密度ポリエチレン、密度912〜935kg/mのエチレン・α−オレフィン共重合体、及び、高密度ポリエチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有し、ASTM D6866−12に規定されるモダン炭素比率が0〜8pMCである樹脂組成物からなる;
ことを特徴とする喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器が提供される。
また、本発明によれば、実施の態様として、以下(1)〜(11)の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器が提供される。
(1)低密度ポリエチレンが、密度910〜930kg/mの高圧法低密度ポリエチレン、または、メタロセン触媒を使用して選択的にα−オレフィンを共重合して得られる密度910〜928kg/mの低密度ポリエチレンの少なくとも1種を含有する前記の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器。
(2)底シール部は、iv)喰い切り支持部の軸線方向に沿う断面の最大長さL0に対する、喰い切り支持部の厚みDの比D/L0が0.5〜1.5の範囲である前記の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器。
(3)喰い切り支持部の軸線方向に沿う容器外方の最外方の端面に、2つのバリア層を有する中間層の断面が露出する前記の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器。
(4)前記の凸部がバリア層を有する中間層を備える前記の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器。
(5)底部の軸線方向に直交する断面形状が楕円形である前記の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器。
(6)楕円形の長径の方向と底シール部が略直線状に延びる方向とが略同一である前記の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器。
(7)喰い切り支持部が軸線方向に沿う容器内方に向かって延在して終わる端部が軸線方向に沿う容器内方に膨らむ円弧状をなす前記の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器。
(8)ダイレクトブロー成形により形成される前記の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器。
(9)バリア層が、エチレン・ビニルアルコール共重合体から形成される前記の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器。
(10)中間層が、バリア層の一方または両方に接着層を備える前記の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器。
(11)回収層を備える前記の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器。
さらに本発明によれば、水溶性物質からなるトマト加工品を充填した、化石燃料由来樹脂の表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器であって、
トマト加工品は、
水素イオン濃度がpH3.0以上4.6未満であり、カロテノイド(Carotenoid)を100μg/g以上含有してなり、
合成樹脂製ブロー成形多層容器は、
口部、胴部及び底部を、容器の軸線方向に沿って順次備える合成樹脂製ブロー成形多層容器であって、
多層容器の層構成は、少なくとも、エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する内表面層、バリア層を有する中間層、及び、エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する外表面層を容器内側からこの順に備えるものであり、
a)底部は、周状の接地部に囲まれ、接地部より軸線方向に沿う容器内方に位置する面状の底上げ部を備え;
b)底上げ部は、底部の軸線方向に直交する面において略直線状に延び、該底上げ部から軸線方向に沿う容器外方に向かい延在する底シール部に連接し;
c)底シール部は、
i)その軸線方向に沿う容器外方の端縁が周状の接地部より軸線方向に沿う容器内方に位置する喰い切り部と、喰い切り部から軸線方向に沿う容器内方に向かって延在し底上げ部で終わる喰い切り支持部とを有し、及び、
ii)喰い切り支持部の外表面がいずれも、前記のエチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する外表面層から形成され;かつ、
d)底シール部の略直線状に延びる長手方向両端部に相当する位置の底上げ部から軸線方向に沿う容器内方に向かって延在し、底上げ部の軸線方向に沿う最も容器内方に位置する点を基準として軸線方向に沿う更に容器内方にその頂点が位置する凸部を有する;
ことを特徴とする喰い切り支持部を備え、化石燃料由来樹脂の表面層を備えるトマト加工品を充填した合成樹脂製ブロー成形多層容器が提供される。
そして、本発明によれば、喰い切り支持部を備え、化石燃料由来樹脂の表面層を備えるトマト加工品を充填した合成樹脂製ブロー成形多層容器の実施の態様として、以下(ア)〜(カ)の喰い切り支持部を備え、化石燃料由来樹脂の表面層(またはカーボンラベリングされた表面層)を備えるトマト加工品を充填した合成樹脂製ブロー成形多層容器が提供される。
(ア)合成樹脂製ブロー成形多層容器は、
c)底シール部が、
i)その軸線方向に沿う容器外方の端縁が周状の接地部より軸線方向に沿う容器内方に位置する喰い切り部と、喰い切り部から軸線方向に沿う容器内方に向かって延在し底上げ部で終わる喰い切り支持部とを有し、
ii)喰い切り支持部の外表面がいずれも、前記のエチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する外表面層から形成され、及び、
iii)喰い切り支持部の軸線方向に沿う断面の最大長さL0に対する、底上げ部の軸線方向に沿う断面の長さLの比L/L0が0.8〜1.2の範囲である前記の喰い切り支持部を備え、化石燃料由来樹脂の表面層を備えるトマト加工品を充填した合成樹脂製ブロー成形多層容器。
(イ)合成樹脂製ブロー成形多層容器は、
e’)エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する少なくとも一方の表面層は、ASTM D6866−12に規定されるモダン炭素比率が0〜8pMCである樹脂組成物からなる前記の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備えるトマト加工品を充填した合成樹脂製ブロー成形多層容器。
(ウ)トマト加工品は、
トマトピューレー、トマトペースト、トマトケチャップ、及びトマトソースからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する前記の喰い切り支持部を備え、化石燃料由来樹脂の表面層を備えるトマト加工品を充填した合成樹脂製ブロー成形多層容器。
(エ)トマト加工品は、
トマトケチャップ20〜40質量%及び蜂蜜5〜10質量%を含有する配合済みソース食品(全質量を100質量%とする。)を含有する前記の喰い切り支持部を備え、化石燃料由来樹脂の表面層を備えるトマト加工品を充填した合成樹脂製ブロー成形多層容器。
(オ)トマト加工品に含有されるカロテノイド(Carotenoid)がリコピン(Lycopene)である前記の喰い切り支持部を備え、化石燃料由来樹脂の表面層を備えるトマト加工品を充填した合成樹脂製ブロー成形多層容器。
(カ)合成樹脂製ブロー成形多層容器は、
e)エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する少なくとも一方の表面層は、樹脂成分として、低密度ポリエチレン、密度912〜935kg/mのエチレン・α−オレフィン共重合体、及び、高密度ポリエチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有し、ASTM D6866−12に規定されるモダン炭素比率が0〜8pMCである樹脂組成物からなる前記の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備えるトマト加工品を充填した合成樹脂製ブロー成形多層容器。
本発明によれば、口部、胴部及び底部を、容器の軸線方向に沿って順次備える合成樹脂製ブロー成形多層容器であって、
多層容器の層構成は、少なくとも、エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する内表面層、バリア層を有する中間層、及び、エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する外表面層を容器内側からこの順に備えるものであり、
a)底部は、周状の接地部に囲まれ、接地部より軸線方向に沿う容器内方に位置する面状の底上げ部を備え;
b)底上げ部は、底部の軸線方向に直交する面において略直線状に延び、該底上げ部から軸線方向に沿う容器外方に向かい延在する底シール部に連接し;
c)底シール部は、
i)その軸線方向に沿う容器外方の端縁が周状の接地部より軸線方向に沿う容器内方に位置する喰い切り部と、喰い切り部から軸線方向に沿う容器内方に向かって延在し底上げ部で終わる喰い切り支持部とを有し、ii)喰い切り支持部の外表面がいずれも、前記のエチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する外表面層から形成され、及び、iii)喰い切り支持部の軸線方向に沿う断面の最大長さL0に対する、底上げ部の軸線方向に沿う断面の長さLの比L/L0が0.8〜1.2の範囲であって;
d)底シール部の略直線状に延びる長手方向両端部に相当する位置の底上げ部から軸線方向に沿う容器内方に向かって延在し、底上げ部の軸線方向に沿う最も容器内方に位置する点を基準として軸線方向に沿う更に容器内方にその頂点が位置する凸部を有し;かつ、
e)エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する少なくとも一方の表面層は、樹脂成分として、低密度ポリエチレン、密度912〜935kg/mのエチレン・α−オレフィン共重合体、及び、高密度ポリエチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有し、ASTM D6866−12に規定されるモダン炭素比率が0〜8pMCである樹脂組成物からなる;
ことを特徴とする喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器であることによって、
CO2排出量の「見える化」に寄与し、容器の底割れや底部の膨出が起きず、容器の正立姿勢を確実に維持できるカーボンラベリングされた表面層を備えるブロー成形多層容器、特にダイレクトブロー成形多層容器が提供されるという効果が奏される。
また、本発明によれば、水溶性物質からなるトマト加工品を充填した、化石燃料由来樹脂の表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器であって、
トマト加工品は、
水素イオン濃度がpH3.0以上4.6未満であり、カロテノイド(Carotenoid)を100μg/g以上含有してなり、
合成樹脂製ブロー成形多層容器は、
口部、胴部及び底部を、容器の軸線方向に沿って順次備える合成樹脂製ブロー成形多層容器であって、
多層容器の層構成は、少なくとも、エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する内表面層、バリア層を有する中間層、及び、エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する外表面層を容器内側からこの順に備えるものであり、
a)底部は、周状の接地部に囲まれ、接地部より軸線方向に沿う容器内方に位置する面状の底上げ部を備え;
b)底上げ部は、底部の軸線方向に直交する面において略直線状に延び、該底上げ部から軸線方向に沿う容器外方に向かい延在する底シール部に連接し;
c)底シール部は、
i)その軸線方向に沿う容器外方の端縁が周状の接地部より軸線方向に沿う容器内方に位置する喰い切り部と、喰い切り部から軸線方向に沿う容器内方に向かって延在し底上げ部で終わる喰い切り支持部とを有し、及び、
ii)喰い切り支持部の外表面がいずれも、前記のエチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する外表面層から形成され;かつ、
d)底シール部の略直線状に延びる長手方向両端部に相当する位置の底上げ部から軸線方向に沿う容器内方に向かって延在し、底上げ部の軸線方向に沿う最も容器内方に位置する点を基準として軸線方向に沿う更に容器内方にその頂点が位置する凸部を有する;
ことを特徴とする喰い切り支持部を備え、化石燃料由来樹脂の表面層(カーボンラベリングされた表面層)を備えるトマト加工品を充填した合成樹脂製ブロー成形多層容器であることにより、CO2排出量の「見える化」に寄与することも可能で、容器の底割れや底部の膨出が起きず、容器の正立姿勢を確実に維持できる充填容器が提供されるという効果が奏される。
図1(a)は、本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器の一部断面正面図であり、図1(b)は、一部断面側面図である。 図2(a)は、本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器の底部の断面正面図であり、図2(b)は、図2(a)右方の凸部の模式的な拡大断面図である。 本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器の喰い切り支持部近傍の底部の模式的な拡大断面側面図である。 本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器の喰い切り支持部を含む底部の断面を示す写真である。 本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器の喰い切り支持部を含む底部の底部パーティングラインに対して20°の角度の切断面における断面を示す写真である。 本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器の底部を形成するために使用する底金型の要部の断面正面図である。
I.カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器の層構成
本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器の層構成は、少なくとも、エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する内表面層、バリア層を有する中間層、及び、エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する外表面層を容器内側からこの順に備えるものである。なお、少なくとも、エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する内表面層、バリア層を有する中間層、及び、エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する外表面層を容器内側からこの順に備える合成樹脂製ブロー成形多層容器とは、エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する内表面層、バリア層を有する中間層、及び、エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する外表面層の3つの層を、容器内側からこの順に備える容器である限り、例えば、後述する回収層等の1以上の層を、前記の3つの層の層間(1つの層間でも、複数の層間でもよい。)に備える多層容器、更には前記の3つの層のいずれか、例えば、バリア層を複数備える多層容器でもよいことを意味する。
本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器は、エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する内表面層(以下、単に「内表面層」ということがある。)、及び、後述するエチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する外表面層(以下、単に「外表面層」ということがある。)である表面層について、少なくとも一方の表面層は、樹脂成分として、低密度ポリエチレン、密度912〜935kg/mのエチレン・α−オレフィン共重合体、及び、高密度ポリエチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有し、ASTM D6866−12に規定されるモダン炭素比率が0〜8pMCである樹脂組成物(以下、「モダン炭素比率0〜8pMCのエチレン系ポリオレフィン樹脂組成物」ということがある。)からなる点に特徴を有する。なお、「ASTM D6866−12に規定されるモダン炭素比率」を、以下、単に「モダン炭素比率」ということがある。
本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器が備えるエチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する内表面層とエチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する外表面層とは、異なる組成を有するものでもよいし、同一の組成を有するものでもよい。
本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器は、エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する少なくとも一方の表面層が、モダン炭素比率が0〜8pMCのエチレン系ポリオレフィン樹脂組成物からなるものであることを特徴とする。したがって、本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器は、
1)モダン炭素比率0〜8pMCのエチレン系ポリオレフィン樹脂組成物からなる外表面層とモダン炭素比率0〜8pMCのエチレン系ポリオレフィン樹脂組成物からなる内表面層とを備え、内表面層と外表面層とが同一の組成を有するカーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器、
2)モダン炭素比率0〜8pMCのエチレン系ポリオレフィン樹脂組成物からなる外表面層とモダン炭素比率0〜8pMCのエチレン系ポリオレフィン樹脂組成物からなる内表面層とを備え、内表面層と外表面層とが異なる組成を有するカーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器、
3)モダン炭素比率0〜8pMCのエチレン系ポリオレフィン樹脂組成物からなる外表面層とモダン炭素比率0〜8pMCのエチレン系ポリオレフィン樹脂組成物からなるものではない内表面層とを備えるカーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器、または、
4)モダン炭素比率0〜8pMCのエチレン系ポリオレフィン樹脂組成物からなるものではない外表面層とモダン炭素比率0〜8pMCのエチレン系ポリオレフィン樹脂組成物からなる内表面層とを備えるカーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器のいずれかである。
1.エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する内表面層
本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器は、エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する内表面層を備える多層容器である。なお、先に説明したように、本発明の容器の内表面層としては、モダン炭素比率0〜8pMCのエチレン系ポリオレフィン樹脂組成物からなる内表面層である場合と、モダン炭素比率0〜8pMCのエチレン系ポリオレフィン樹脂組成物からなるものではない内表面層である場合とがある。
内表面層に含有されるエチレン系ポリオレフィン樹脂としては、従来、合成樹脂製ブロー成形多層容器の内表面層を形成するために使用されているエチレン系ポリオレフィン樹脂を使用することができる。例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)等の狭義のポリオレフィン;線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)等のエチレン・α−オレフィン共重合体;プロピレン・エチレンランダム共重合体等のプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体;変性オレフィン系樹脂(例えば、オレフィン類の単独または共重合体とマレイン酸やフマル酸等の不飽和カルボン酸や酸無水物やエステル若しくは金属塩等との反応物など);アイオノマー(IO);エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA);エチレン・メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン・メタクリル酸・不飽和脂肪族カルボン酸共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン・アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン・アクリル酸エチル共重合体(EEA)等のアクリル系樹脂;などのエチレン系ポリオレフィン樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、単独で、または他の樹脂とのブレンド物として使用することができる。
好ましいエチレン系ポリオレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)等の密度912〜935kg/mのエチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体、高密度ポリエチレン(HDPE)、これらの少なくとも2種のブレンド物、または、これらの少なくとも1種と他のエチレン系ポリオレフィン樹脂とのブレンド物などが挙げられる。本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器において、特に好ましいエチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する内表面層は、樹脂成分として、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等の密度912〜935kg/mのエチレン・α−オレフィン共重合体、及び、高密度ポリエチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種、すなわち、これらの1種または2種以上を含有する樹脂組成物からなるものである。
中でも好ましいエチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する内表面層としては、低密度ポリエチレン(LDPE)や線状低密度ポリエチレン(LLDPE)等の密度912〜935kg/mのエチレン・α−オレフィン共重合体と、高密度ポリエチレン(HDPE)とのブレンド物、または、このブレンド物と他のエチレン系ポリオレフィン樹脂とのブレンド物などが挙げられる。
なお、低密度ポリエチレン(LDPE)は、いわゆる軟質ポリオレフィンに属する広義の低密度ポリエチレンであって、従前から知られている高圧法低密度ポリエチレン(一般に密度が910〜930kg/m、好ましくは912〜930kg/mである。)のほかに、メタロセン触媒を使用して選択的にα−オレフィン、特に、炭素数が大であるハイアーα−オレフィンを共重合して得られる低密度ポリエチレン(「メタロセン低密度ポリエチレン」、「メタロセン触媒を使用する重合による低密度ポリエチレン」、「メタロセン触媒重合低密度ポリエチレン」または「M−LDPE」等と称することがある。以下、単に「メタロセン低密度ポリエチレン」ということがある。一般に密度が910〜928kg/m、好ましくは912〜928kg/mである。)などを好ましく使用することができる。
本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器において、内表面層が、モダン炭素比率0〜8pMCのエチレン系ポリオレフィン樹脂組成物、すなわち、樹脂成分として、低密度ポリエチレン、密度912〜935kg/mのエチレン・α−オレフィン共重合体、及び、高密度ポリエチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有し、ASTM D6866−12に規定されるモダン炭素比率が0〜8pMCである樹脂組成物からなるものである場合について、以下に詳細に説明する。
〔低密度ポリエチレン〕
本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器において、内表面層を形成するモダン炭素比率0〜8pMCのエチレン系ポリオレフィン樹脂組成物の樹脂成分に含有することができる低密度ポリエチレン(LDPE)は、先に説明した高圧法低密度ポリエチレン(一般に密度が910〜930kg/m、好ましくは912〜930kg/mである。)またはメタロセン低密度ポリエチレン(JIS K6899−1:2006で定められるLLDPEと区別され、一般に密度が910〜928kg/m、好ましくは912〜928kg/mである。)の少なくとも1種を含有することが好ましい。なお、ポリエチレンの密度は、JIS K6922−2に従って測定したものである(以下、測定方法は同様である。)。低密度ポリエチレンの密度が小さすぎる場合は、十分な強度が得られないおそれがあり、一方、密度が大きすぎる場合は、容器に望まれることがある透明性が不十分となるおそれがある。
好ましく含有することができるメタロセン低密度ポリエチレンは、エチレンを主成分とし、α−オレフィンを副成分とする混合単量体を、メタロセン触媒の存在下に重合させることにより得られるエチレン系ポリオレフィンである。α−オレフィンとしては、炭素数3〜40、好ましくは4〜35、より好ましくは4〜30のα−オレフィンの1種または2種以上が使用され、例えば、炭素数4〜8のα−オレフィンと炭素数10〜26のα−オレフィンとを併用することができ、炭素数が20を超えるハイアーα−オレフィンを含むものでもよい。α−オレフィンは共重合体中に3〜15モル%の量で存在するのが好ましい。メタロセン低密度ポリエチレンは、エチレン・長鎖分岐α−オレフィン・短鎖α−オレフィン共重合体とも称することができるエチレン・α−オレフィン共重合体であり、ハイアーα−オレフィン等に由来する長鎖分岐が、樹脂の結晶性を抑制するように作用することにより、高圧法低密度ポリエチレンに近似する低い密度を有し、成形性に優れることが知られており、長鎖分岐を有する点で、JIS K6899−1:2006で定められる線状低密度ポリエチレン(LLDPE。「直鎖状低密度ポリエチレン」と称することもあり、炭素数3〜8のα−オレフィン共単量体に由来する短鎖分岐を有する重合体である。)等の密度912〜935kg/mのエチレン・α−オレフィン共重合体と区別される。メタロセン触媒を用いるエチレンとα−オレフィンとの重合法自体は公知であり、メタロセン触媒の存在下、有機溶剤中、液状単量体中または気相法での重合により合成されるが、これらのいずれの方法によるものでも、本発明の目的に使用できる。
なお、本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器が、メタロセン低密度ポリエチレンを含有することは、以下の方法で確認することができる。すなわち、合成樹脂のペレットを厚み100μmにガラスにて切断して試料とし、走査電子顕微鏡SEMに敷設して、生じた蛍光X線をエネルギー分配する分析器で測定し、Zr(ジルコニウム)またはHf(ハフニウム)のエネルギーに相当するピークの存在を確認する。合成樹脂のペレットは、合成樹脂製ブロー成形多層容器の表層から削りだしたものでもよく、または、合成樹脂製ブロー成形多層容器の層間を剥離した表面の層を用いてもよい。
低密度ポリエチレンは、MFR(温度190℃、荷重21.18Nまたは2.12N)が、好ましくは0.01〜30g/10分、より好ましくは0.1〜5g/10分、更に好ましくは0.2〜1g/10分の範囲内のものを使用することができる。また、低密度ポリエチレンは、分子量分布の指標である多分散度(Mw/Mn)が、好ましくは1.5〜9、より好ましくは1.9〜8、更に好ましくは2.3〜7の範囲にあるものが成形性の改善の点で有効である。多分散度(Mw/Mn)が1.5未満であると、成形性に難があることがあり、9を超えると成形物(合成樹脂製ブロー成形多層容器)表面が粘着性となることがある。なお、低密度ポリエチレンのMFRは、JIS K6922−2に従って測定したものであり、多分散度(Mw/Mn)は、JIS K7252に従って測定したものである(以下、同様である。)。
低密度ポリエチレンとしては、合成品を使用してもよいが、市販品を使用してもよい。内表面層を、モダン炭素比率0〜8pMCのエチレン系ポリオレフィン樹脂組成物からなるものとするために、化石燃料由来の低密度ポリエチレンの市販品、例えば、日本ポリエチレン株式会社製のノバテック(登録商標)LD(高圧法低密度ポリエチレンに属する。)、同じくカーネル(登録商標)、住友化学株式会社製のスミカセン(登録商標)EP(メタロセン低密度ポリエチレンに属する。)、三井・デュポンポリケミカル株式会社製の低密度ポリエチレン等を使用することができる。
〔密度912〜935kg/mのエチレン・α−オレフィン共重合体〕
本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器において、内表面層を形成するモダン炭素比率0〜8pMCのエチレン系ポリオレフィン樹脂組成物の樹脂成分に含有することができる密度912〜935kg/mのエチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレンとエチレン以外のα−オレフィンとの共重合体であるエチレン系ポリオレフィン樹脂であって、密度が912〜935kg/m、好ましくは914〜933kg/m、より好ましくは915〜931kg/mである。密度が912kg/mを下回る場合は、十分な強度が得られないおそれがある。一方、密度が935kg/mを超える場合は、容器に望まれることがある透明性が不十分となるおそれがある。
密度912〜935kg/mのエチレン・α−オレフィン共重合体を形成するエチレン以外のα−オレフィンとしては、通常、炭素数3〜10、好ましくは3〜8のα−オレフィンであり、具体的にはプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン−1を挙げることができる。エチレン・α−オレフィン共重合体中のα−オレフィンの含有量は、0.05〜4モル%、好ましくは0.1〜3.5モル%、より好ましくは0.2〜3モル%、更に好ましくは0.4〜2.8モル%、特に好ましくは0.8〜2.5モル%の量である。密度912〜935kg/mのエチレン・α−オレフィン共重合体としては、JIS K6899−1:2006で定められ、LLDPEと通称される線状低密度ポリエチレンを使用することができる。また、密度912〜935kg/mのエチレン・α−オレフィン共重合体は、メタロセン触媒、チーグラー・ナッタ触媒、フィリップス触媒等により重合されたもののいずれであってもよいが、チーグラー・ナッタ触媒を用いるエチレン・α−オレフィン共重合体を使用することが好ましい。
密度912〜935kg/mのエチレン・α−オレフィン共重合体は、MFR(温度190℃、荷重21.18Nまたは2.12N)が、好ましくは0.01〜30g/10分、より好ましくは0.1〜5g/10分、更に好ましくは0.2〜3g/10分の範囲内のものを使用することができる。また、密度912〜935kg/mのエチレン・α−オレフィン共重合体は、分子量分布の指標である多分散度(Mw/Mn)が、好ましくは1.5〜9、より好ましくは2〜8、更に好ましくは2.5〜7の範囲にあるものが成形性の改善の点で有効である。多分散度(Mw/Mn)が1.5未満であると、成形性に難があることがあり、9を超えると成形物表面が粘着性となることがある。
密度912〜935kg/mのエチレン・α−オレフィン共重合体としては、合成品を使用してもよいが、市販品を使用することができる。内表面層を、モダン炭素比率0〜8pMCのエチレン系ポリオレフィン樹脂組成物からなるものとするために、例えば、化石燃料由来の密度912〜935kg/mのエチレン・α−オレフィン共重合体の市販品としては、日本ポリエチレン株式会社製のノバテック(登録商標)LL、株式会社プライムポリマー製のウルトゼックス(登録商標)、日本ユニカー株式会社製C6系LLDPE銘柄名TUF2022やブラスケム社製のLLDPE銘柄名PE LH−118などを使用することができる。
〔高密度ポリエチレン〕
本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器において、内表面層を形成するモダン炭素比率0〜8pMCのエチレン系ポリオレフィン樹脂組成物の樹脂成分に含有することができる高密度ポリエチレンは、HDPEと通称される高密度ポリエチレンを意味し、一般に、密度が942〜980kg/mのポリエチレンであり、好ましくは、943〜970kg/m、より好ましくは945〜965kg/mである。
高密度ポリエチレンは、MFR(温度190℃、荷重21.18Nまたは2.12N)が、0.01〜30g/10分、より好ましくは0.1〜5g/10分、更に好ましくは0.2〜1g/10分の範囲内のものを使用することができる。また、分子量分布の指標である多分散度(Mw/Mn)が、好ましくは4〜10、より好ましくは5〜9.5、更に好ましくは6〜9の範囲にあるものが成形性の改善の点で有効である。多分散度(Mw/Mn)が4未満であると、成形性に難があることがあり、10を超えると合成樹脂製ブロー成形多層容器の表面が粘着性となることがある。
高密度ポリエチレンとしては、エチレンの単独重合体、または、エチレンとエチレン以外のαーオレフィンとの共重合体を使用することができる。エチレン以外のαーオレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等が挙げられ、これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。高密度ポリエチレンが、エチレンの共重合体である場合、共重合体中の前記のα−オレフィンの含量は、0.2〜3モル%であり、好ましくは0.3〜2.5モル%である。α−オレフィンの含量が3モル%を超える共重合体では、機械的特性が低下することがある。
高密度ポリエチレンは、チーグラー・ナッタ触媒、フィリップス触媒、メタロセン触媒等を用いて重合して得ることができる。高密度ポリエチレンは、低圧重合法または中圧重合法のいずれの重合方法によってもよく、気相重合(チーグラー・ナッタ触媒を用いる重合に汎用される。)、スラリー重合(フィリップス触媒を用いる重合に汎用される。)、バルク重合、溶液重合等によって得ることができ、一段重合、二段重合、若しくはそれ以上の多段重合等で製造することもできる。
高密度ポリエチレンとしては、好ましくはチーグラー・ナッタ触媒を用いる低圧重合法高密度ポリエチレンである。また、フィリップス触媒を用いるスラリー重合法によれば、分子量分布を単一分布としたり、複数分布としたりすることができるので、高密度ポリエチレンの溶融押出成形性を所望により制御することができる。
高密度ポリエチレンとしては、チーグラー・ナッタ触媒を用いる低圧重合法高密度ポリエチレンの合成品を使用することができるが、チーグラー・ナッタ触媒を用いる低圧重合法高密度ポリエチレンの市販品の中から選択して使用することもできる。化石燃料由来の高密度ポリエチレンの市販品としては、日本ポリエチレン株式会社製のノバテック(登録商標)HD、株式会社プライムポリマー製のハイゼックス(登録商標)、ブラスケム社製ブロー成形用チーグラー・ナッタ触媒重合銘柄名IE59U3などがある。
〔低密度ポリエチレン、密度912〜935kg/mのエチレン・α−オレフィン共重合体、及び、高密度ポリエチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種〕
本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器において、内表面層が、モダン炭素比率0〜8pMCのエチレン系ポリオレフィン樹脂組成物、すなわち、樹脂成分として、低密度ポリエチレン(密度が910〜930kg/mの高圧法低密度ポリエチレン、または、密度が910〜928kg/mのメタロセン低密度ポリエチレンが好ましい。)、密度912〜935kg/mのエチレン・α−オレフィン共重合体、及び、高密度ポリエチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有し、ASTM D6866−12に規定されるモダン炭素比率が0〜8pMCである樹脂組成物からなるものである場合、内表面層に含有される樹脂成分としては、低密度ポリエチレン、密度912〜935kg/mのエチレン・α−オレフィン共重合体、及び、高密度ポリエチレンからなる群より選ばれるいずれか1種の合成樹脂を含むものでもよいし、前記の群より選ばれる2種または3種の合成樹脂を含むものでもよい。したがって、内表面層に含有される樹脂成分の合計を100質量%とするときに、低密度ポリエチレン、密度912〜935kg/mのエチレン・α−オレフィン共重合体、または、高密度ポリエチレンの含有量はそれぞれ、0〜100質量%の範囲であり、所望の範囲で調整することができる。内表面層に含有される樹脂成分が、低密度ポリエチレン、密度912〜935kg/mのエチレン・α−オレフィン共重合体、及び、高密度ポリエチレンからなる群より選ばれる2種または3種の合成樹脂を含有するときは、それぞれの含有量は、好ましくは5〜95質量%の範囲、より好ましくは10〜90質量%の範囲、更に好ましくは15〜85質量%の範囲で調整すると、2種以上の合成樹脂を含有することによる効果が奏されることが多い。例えば、樹脂の溶融粘性の調整による取扱い性の改良、形成される合成樹脂製ブロー成形多層容器の表面層(具体的には内面層)の滑り性や剛性の改良などをバランス良く実現する観点から、低密度ポリエチレンまたは密度912〜935kg/mのエチレン・α−オレフィン共重合体95〜15質量%、好ましくは93〜18質量%、より好ましくは90〜20質量%と、高密度ポリエチレン5〜85質量%、好ましくは7〜82質量%、より好ましくは10〜80質量%とを含有するものとすることができる。
〔低密度ポリエチレン、密度912〜935kg/mのエチレン・α−オレフィン共重合体、及び、高密度ポリエチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する樹脂組成物のモダン炭素比率〕
本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器は、少なくとも一方の表面層(ここでは、内表面層を想定する。)は、モダン炭素比率が0〜8pMCの樹脂組成物からなる。なお、樹脂組成物とは、周知のとおり、樹脂成分として含有される前記した樹脂(1種単独または2種以上のブレンド)のみからなるものでもよいし、後述するように、所望により、または必要に応じて配合する、その他の樹脂や添加剤を含有するものでもよく、それらの両方を意味するものである。本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器においては、内表面層が、モダン炭素比率0〜8pMCのエチレン系ポリオレフィン樹脂組成物である限り、低密度ポリエチレン、密度912〜935kg/mのエチレン・α−オレフィン共重合体、または、高密度ポリエチレンのそれぞれのモダン炭素比率は、特に限定されない。例えば、低密度ポリエチレン、密度912〜935kg/mのエチレン・α−オレフィン共重合体、または、高密度ポリエチレンのそれぞれの合成樹脂(エチレン系ポリオレフィン樹脂)について、化石燃料由来の合成樹脂(通常、モダン炭素比率が0〜8pMCの範囲であり、多くの場合、モダン炭素比率が実質的に0pMCである。)のみからなるものとしてもよいし、分別収集される過程で微量混入する植物由来の合成樹脂と主原料である化石燃料由来の合成樹脂との混合による回収による合成樹脂からなるものを排除しない。
例えば、分別収集される過程で、植物由来の低密度ポリエチレン(例えば、バイオ化率95%であるものとする。)を7質量%含有する低密度ポリエチレンを樹脂成分中に含有する樹脂組成物からなる内表面層を備えるカーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器である場合、低密度ポリエチレンが、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(バイオ化率0%であり、モダン炭素比率は0pMCある。)と、バイオ化率95%の植物由来の低密度ポリエチレン(モダン炭素比率は、107pMC×0.95=101.7pMCと算出される。)を7質量%含有するので、低密度ポリエチレンのモダン炭素比率は、7.1pMC(107pMC×0.95×0.07=7.116pMCとして計算された結果に基づいて定めた。)に相当し、0〜8pMCの範囲内となる。
低密度ポリエチレンのモダン炭素比率が0〜8pMCの範囲内であるようにする観点からは、前記のバイオ化率95%の植物由来の低密度ポリエチレンの含有量は、好ましくは5質量%〔モダン炭素比率が5.1pMC(107pMC×0.95×0.05=5.083pMCとして計算された結果に基づいて定めた。)に相当する。〕未満、より好ましくは1質量%〔モダン炭素比率が1.0pMC(107pMC×0.95×0.01=1.017pMCとして計算された結果に基づいて定めた。)に相当する。〕未満であることが望まれる。低密度ポリエチレンとしては、植物由来の低密度ポリエチレンを含有せず、化石燃料由来の低密度ポリエチレン100質量%(0%Corg.renewに相当する。)であるものが、最も好ましい。密度912〜935kg/mのエチレン・α−オレフィン共重合体及び高密度ポリエチレンについても同様である。
さらに、低密度ポリエチレン、密度912〜935kg/mのエチレン・α−オレフィン共重合体、及び、高密度ポリエチレンからなる群より選ばれる1種または2種である合成樹脂をモダン炭素比率が0〜8pMCの範囲のものとし、他の1種または2種の合成樹脂をモダン炭素比率が0〜8pMCの範囲外のものとして、内表面層が、モダン炭素比率0〜8pMCのエチレン系ポリオレフィン樹脂組成物であるようにしてもよい。また、低密度ポリエチレン、密度912〜935kg/mのエチレン・α−オレフィン共重合体、及び、高密度ポリエチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種である合成樹脂のすべてを、モダン炭素比率が0〜8pMCの範囲のものとしてもよい。一般に、モダン炭素比率が実質的に0pMCである化石燃料由来の低密度ポリエチレン、密度912〜935kg/mのエチレン・α−オレフィン共重合体、または、高密度ポリエチレンは、入手が容易で供給が安定し、かつ安価である。
〔その他の樹脂〕
本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器において、内表面層が、モダン炭素比率0〜8pMCのエチレン系ポリオレフィン樹脂組成物から形成される場合、該内表面層は、樹脂成分として、低密度ポリエチレン、密度912〜935kg/mのエチレン・α−オレフィン共重合体、及び、高密度ポリエチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有するが、所望により、更にその他の樹脂を含有することができる。その他の樹脂としては、チーグラー・ナッタ触媒を用いて得られたプロピレンホモ重合体またはプロピレンランダム共重合体、メタロセン触媒を用いて得られたプロピレンホモ重合体、プロピレンランダム共重合体またはブロック共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、無水マレイン酸変性ポリオレフィンなどの樹脂成分が挙げられる。これら、その他の樹脂の含有量は、モダン炭素比率0〜8pMCのエチレン系ポリオレフィン樹脂組成物に含有される樹脂成分の合計質量を100質量%としたときに、通常20質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。その他の樹脂としては、通常、入手が容易で供給が安定している化石燃料由来の樹脂を使用することが好ましい。既に説明したように、内表面層を形成する樹脂組成物のモダン炭素比率が0〜8pMCの範囲であるものとすることができる限り、モダン炭素比率が8pMCを超える樹脂を使用することができるが、化石燃料由来の樹脂(モダン炭素比率が実質的に0pMCである。)100質量%であるものが、最も好ましい。
〔添加剤〕
本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器の内表面層に含有されるエチレン系ポリオレフィン樹脂には、成形加工性を改善したり、合成樹脂製ブロー成形多層容器の諸特性を改良するために、内表面層をモダン炭素比率0〜8pMCのエチレン系ポリオレフィン樹脂組成物から形成することができる範囲内において、必要に応じて通常使用される各種添加剤を含有させることができる。添加剤としては、有機物質(重合体でもよい。)または無機物質のいずれも使用することができ、滑剤、安定剤、抗酸化剤、界面活性剤、帯電防止剤、防曇剤、フィラー(充填剤)、顔料などが挙げられ、用途に応じて、最適の組み合わせが選択される。これらの添加剤を含有する場合のその含有量は、添加剤の種類や目的によって最適の量を定めればよいが、通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは2質量%以下であり、特にCO2排出量の「見える化」に寄与するためには、添加剤の含有量は、5000ppm以下、好ましくは2000ppm以下とすることが望まれることがある。
〔滑剤〕
本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器は、内部に充填されるマヨネーズ、ケチャップ、ソースなどの粘稠な液状物との滑り性を改良するために、内表面層が、滑剤を含有することが好ましい。これにより容器の内表面の滑り性が向上するので、粘稠な液状物である内容物の充填がスムーズに行われ、消費者の使用時に内容物の液切れ性が優れるなどの効果が得られることがある。特に、容器の底部における内表面の滑り性を改良することにより、容器の底部に内容物が付着して残存することがない容器底部内壁非付着性に優れる多層容器とすることができる。滑剤としては、有機滑剤と無機滑剤のいずれを使用することもできるが、有機滑剤が好ましく、有機滑剤である不飽和脂肪酸アミドまたは飽和脂肪酸アミドがより好ましい。すなわち、底部のエチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する内表面層が、有機滑剤である不飽和脂肪酸アミド、飽和脂肪酸アミドまたはそれらの混合物を含有するエチレン系ポリオレフィン樹脂の組成物から形成される合成樹脂製ブロー成形多層容器がより好ましいものである。これらの滑剤は、2種以上を混合して使用してもよく、例えば、不飽和脂肪酸アミドと飽和脂肪酸アミドを併用してもよい。不飽和脂肪酸アミドとしては、例えば、6−テトラデセン酸アミド、オレイン酸アミド、8−オクタデセン酸アミド、エルカ酸アミド、アラキドン酸アミド等が挙げられ、好ましくはオレイン酸アミドまたはエルカ酸アミドである。飽和脂肪酸アミドとしては、酪酸アミド、吉草酸アミド、カプロン酸アミド、カプリル酸アミド、カプリン酸アミド、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミド、ベヘン酸アミド(ベヘニン酸アミド)等が挙げられ、好ましくはステアリン酸アミドまたはベヘン酸アミドである。エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する内表面層が滑剤、より好ましくは有機滑剤を含有する場合の、その含有量は、エチレン系ポリオレフィン樹脂を含む樹脂成分に対して通常100〜5000ppm、好ましくは150〜4500ppm、より好ましくは200〜4000ppmである。また、有機滑剤として、不飽和脂肪酸アミドと飽和脂肪酸アミドとを含有する場合の飽和脂肪酸アミドの含有割合は、不飽和炭素二重結合を有する脂肪酸アミドと飽和脂肪酸アミドの合計量に対して、通常10質量%以下、多くの場合8質量%以下、ほとんどの場合6質量%以下である。
2.バリア層を有する中間層
本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器は、バリア層を有する中間層を備えることにより、酸素バリア性、炭酸ガスバリア性等のガスバリア性や、水または水蒸気に対するバリア性を有する合成樹脂製ブロー成形多層容器であり、多層容器内に充填される内容物の保存性を高めることができる。バリア層を有する中間層とは、バリア層のみから構成される層のほか、バリア層及びバリア層と通常分離不可分に一体化されている1以上の層から構成される層のいずれかを意味する。
〔バリア層〕
バリア層を有する中間層に備えられるバリア層を形成する樹脂としては、従来、バリア性を有する合成樹脂製ブロー成形多層容器におけるバリア層を形成するために使用されている樹脂を使用することができ、特に限定されない。例えば、エチレン・ビニルアルコール共重合体またはエチレン・酢酸ビニル共重合体の部分ケン化物(以下、これらを総称して「EVOH」ということがある。)、ポリグリコール酸、グリコール酸・乳酸共重体、メタキシリレンジアミンとアジピン酸から形成される芳香族ポリアミド(MXD6)や、ポリ塩化ビニリデンなどの樹脂が挙げられ、好ましくはEVOHである。本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器におけるバリア層を有する中間層は、通常バリア層を1層備えるものでよいが、バリア層を2層以上備えるものとすることもできる。
バリア層として好ましく使用されるEVOHとしては、エチレン含有率が20〜60モル%、好ましくは25〜55モル%、より好ましくは30〜50モル%であるエチレン・酢酸ビニル共重合体を、ケン化度が90モル%以上、好ましくは95モル%以上、より好ましくは97モル%以上、特に好ましくは99モル%以上となるようにケン化して得られる共重合体ケン化物が使用される。このEVOHは、フィルムを形成し得るに足りる分子量を有するものであり、一般に、MFR(温度190℃、荷重21.18N)が6g/10分以下、好ましくは5g/10分以下、より好ましくは4g/10分以下である。なお、MFRは、JIS K7210に準拠して測定するものである。バリア層として好ましく使用されるEVOH層の存在は、EVOHをヨウ素とヨウ化カリウムを含有する溶液により染色することにより確認することができる。
〔接着層〕
バリア層を有する中間層は、バリア層に加え、該バリア層と通常分離不可分に一体化されている1以上の層を備えることができ、該一体化されている1以上の層は特に限定されない。中間層が、バリア層の一方または両方に接着層を備えるものであることが好ましい。すなわち、本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器は、多層容器を構成する各層の層間剥離強度を高めるために、更に接着層を各層の間に介在させることができ、具体的にはバリア層の一方または両方に、より具体的には内表面層とバリア層との間に直接または他の層を介して介在する内側接着層、または、バリア層と外表面層との間に直接または他の層を介して介在する外側接着層の一方または両方として接着層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器が好ましい。合成樹脂製ブロー成形多層容器においては、耐熱性や成形加工性の観点から、接着層を介在させなくてもよい場合もあるが、機械的特性、耐衝撃性や耐層間剥離性などが要望される用途には、接着層を介在させることが好ましい。さらに、本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器が、後に説明する回収層を備える場合は、中間層に備えられる接着層が該回収層に隣接するようにすることが好ましい。また、本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器がバリア層を2層以上備えるものである場合は、2層以上のバリア層に隣接するように接着層(中間接着層)を備えるものとすることが好ましい。
接着層に含有される接着性樹脂としては、押出加工が可能で、かつ、各層に対して良好な接着性を有する樹脂であることが好ましく、例えば、エチレン・極性コモノマー共重合体、酸変性ポリオレフィン、グリシジル基含有エチレンコポリマー、熱可塑性ポリウレタン、ポリアミド・アイオノマー、ポリアクリルイミドなどを挙げることができ、エチレン・極性コモノマー共重合体または酸変性ポリオレフィンが好ましい。エチレン・極性コモノマー共重合体としては、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・炭素数1〜4のアルキルアクリレート共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸・不飽和カルボン酸共重合体などが挙げられる。酸変性ポリオレフィンとしては、オレフィンの単独若しくは共重合体と、マレイン酸若しくはフマル酸等の不飽和カルボン酸、または、その酸無水物、そのエステル若しくは金属塩との反応物が挙げられ、具体的には、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン等が挙げられる。接着性樹脂の融解温度は、適宜選択することができるが、好ましくは70〜130℃であり、より好ましくは80〜120℃である。接着性樹脂の密度は、好ましくは880〜960kg/mであり、より好ましくは、900〜940kg/mである。また、接着性樹脂のMFR(温度190℃、荷重21.18N)は、0.5〜20g/10分であることが好ましく、より好ましくは、1.0〜15g/10分である。なお、MFRは、JIS K7210に準拠して測定するものである。接着層に含有される接着性樹脂は、それぞれ単独で用いてもよいし、また2種以上を併用してもよい。また、接着層に含有される接着性樹脂には、所望により、熱安定剤、可塑剤、酸化防止剤、光安定剤、滑剤、染料などの各種添加剤を添加して含有させてもよい。接着層の厚みは、特に限定されないが、通常0.5〜20μmであり、多くの場合1〜10μmである。
3.エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する外表面層
本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器は、エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する内表面層及びバリア層を有する中間層に加えて、エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する外表面層を容器内側からこの順に備える多層容器である。なお、先に説明したように、本発明の容器の外表面層としては、モダン炭素比率0〜8pMCのエチレン系ポリオレフィン樹脂組成物からなる外表面層である場合と、モダン炭素比率0〜8pMCのエチレン系ポリオレフィン樹脂組成物からなるものではない外表面層である場合とがある。
外表面層に含有されるエチレン系ポリオレフィン樹脂としては、内表面層に含有されるエチレン系ポリオレフィン樹脂と同様の樹脂を使用することができる。したがって、最も好ましいエチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する外表面層は、樹脂成分として、低密度ポリエチレン、密度912〜935kg/mのエチレン・α−オレフィン共重合体、及び、高密度ポリエチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有し、ASTM D6866−12に規定されるモダン炭素比率が0〜8pMCである樹脂組成物からなるものである。また、外表面層に含有されるエチレン系ポリオレフィン樹脂には、内表面層と同様に、成形加工性を改善したり、合成樹脂製ブロー成形多層容器の諸特性を改良するために、所望によりその他の樹脂を含有させたり、必要に応じて一般に使用される滑剤その他の各種添加剤を含有させることができる。これらの添加剤を含有する場合の含有量は、添加剤の種類や目的によって最適の量を定めればよい。特に、外表面層が、不飽和脂肪酸アミド等の滑剤を含有すると、ブロー成形多層容器の製造中、搬送中または内容物の充填中に、隣接する容器同士または装置類との接触等によって、不良品の発生、製造ラインの停止、装置の故障等が生じることを防止することができたり、多層容器を把持するために挿入されるグリッパを、安定かつ確実に保持することができたりするという効果があり、また、表面光沢も優れたものとなることがある。
外表面層が、モダン炭素比率が0〜8pMCのエチレン系ポリオレフィン樹脂組成物、すなわち、樹脂成分として、低密度ポリエチレン、密度912〜935kg/mのエチレン・α−オレフィン共重合体、及び、高密度ポリエチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有し、ASTM D6866−12に規定されるモダン炭素比率が0〜8pMCである樹脂組成物からなるものである場合、該樹脂組成物に含有される樹脂成分や添加剤は、内表面層について説明したものと同様である。
本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器が備えるエチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する内表面層とエチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する外表面層とは、異なる組成のものでもよいし、同一の組成のものでもよい。したがって、本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器は、内表面層及び外表面層、すなわち表層を同一の樹脂組成物から形成することができる。
4.回収層
本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器は、層構成として、少なくとも、エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する内表面層、バリア層を有する中間層、及び、エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する外表面層を容器内側からこの順に備えるとともに、更に回収層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器であることが好ましい。回収層を備えることにより、喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器の強度を高め、また、資源のリサイクル性を高めることができる。回収層は、本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器それ自体から回収される材料(バリや製品容器の不要部分、製品規格外の容器の回収品など)、または、本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器を製造する工程において回収される材料を、主成分として含有する層である。特に、本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器は、筒状の溶融パリソンにブローエアーを導入して容器形状のブロー成形品を形成した後に多層容器の頭部(以下、「袋部」ということがある。)を切除する必要があるが、該切除された袋部を、破砕機にて粉末化した回収樹脂を原料として、回収層とすることができる。また、容器形状のブロー成形品の前記の袋部以外の部分を切除して回収した樹脂や、ブロー成形前のパリソン、更には、合成樹脂製ブロー成形多層容器の各層を形成する材料や原料などを、主成分として含有するものでもよい。
回収層には、更に本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器の各層を形成するための原材料、例えば、種々の樹脂原料や配合剤、接着剤等を含有させてもよい。本発明において必須ではないが、回収層は、モダン炭素比率が0〜8pMCであることが好ましい。
5.カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器の層構成
本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器は、少なくとも、エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する内表面層、バリア層を有する中間層、及び、エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する外表面層を容器内側からこの順に備える多層容器である。好ましくは、中間層が、バリア層の一方または両方に接着層を備える喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器であり、また、更に回収層を備える喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器である。
具体的な層構成としては、例えば、内表面層/回収層/中間層(バリア層)/外表面層の層構成、内表面層/中間層(内側接着層/バリア層で形成される。)/外表面層の層構成、内表面層/中間層(バリア層/外側接着層で形成される。)/外表面層の層構成、内表面層/中間層(内側接着層/バリア層/外側接着層で形成される。)/外表面層の層構成、内表面層/回収層/中間層(内側接着層/バリア層/外側接着層で形成される。)/外表面層の層構成、更には、内表面層/回収層/中間層(バリア層/中間接着層/バリア層で形成される。)/外表面層の層構成を有する合成樹脂製ブロー成形多層容器などが挙げられる。したがって、本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器のより具体的な層構成を例示すると、
内表面層/中間層(バリア層)/外表面層、
内表面層/回収層/中間層(バリア層)/外表面層、
内表面層/中間層(内側接着層/バリア層で形成される。)/外表面層、
内表面層/中間層(バリア層/外側接着層で形成される。)/外表面層、
内表面層/中間層(内側接着層/バリア層/外側接着層で形成される。)/外表面層、
内表面層/回収層/中間層(内側接着層/バリア層/外側接着層で形成される。)/外表面層、
内表面層/回収層/中間層(バリア層/中間接着層/バリア層で形成される。)/外表面層、
内表面層/回収層/中間層(内側接着層/バリア層/外側接着層で形成される。)/回収層/外表面層、
内表面層/中間層(内側接着層/バリア層/バリア層/外側接着層で形成される。)/外表面層、
内表面層/中間層(内側接着層/バリア層/中間接着層/バリア層/外側接着層で形成される。)/外表面層、
内表面層/回収層/中間層(内側接着層/バリア層/バリア層/外側接着層で形成される。)/外表面層、
内表面層/回収層/中間層(内側接着層/バリア層/中間接着層/バリア層/外側接着層で形成される。)/外表面層、
内表面層/回収層/中間層(内側接着層/バリア層/バリア層/外側接着層で形成される。)/回収層/外表面層、及び、
内表面層/回収層/中間層(内側接着層/バリア層/中間接着層/バリア層/外側接着層で形成される。)/回収層/外表面層などの層構成が挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、合成樹脂製ブロー成形多層容器の層構成は、後に説明するように、通常、口部の開口部断面により確認することができる。
本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器の厚みは、特に限定されないが、胴部の全層厚みは、通常20μm〜5mm、好ましくは100μm〜3mm、より好ましくは200μm〜1mmの範囲内である。本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器は、容器全体の厚みが、均一でもよいが、部分により厚みを変化させてもよい。一般に、容器の底部は、厚みを大きくすることが好ましい。底部の全層厚みは、通常20μm〜6mm、好ましくは100μm〜4mm、より好ましくは200μm〜2mmの範囲内である。
全層厚みに対する表層の厚み(内表面層及び外表面層の厚みの合計を意味する。)は、全層厚みに対して通常60〜99%(厚み比率、以下同様である。)であり、好ましくは65〜98%、より好ましくは70〜97%である。中間層に備えられるバリア層の厚みは、通常1〜40%であり、好ましくは2〜8%、より好ましくは3〜6%(厚み比率)である。回収層を備える場合、その厚みは、通常5〜30%、好ましくは10〜25%、より好ましくは15〜25%である。接着層(内側接着層、外側接着層、中間接着層)を備える場合は、接着層の合計厚みで、通常0.005〜2%、好ましくは0.007〜1.5%、より好ましくは0.008〜1.2%である。
本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器における表層(内表面層及び外表面層)のうち外表面層の表層全体に占める比率は、特に限定されないが、通常10〜80%、好ましくは15〜75%、より好ましくは20〜70%、特に好ましくは25〜65%である。
II.口部、胴部及び底部を、容器の軸線方向に沿って順次備える合成樹脂製ブロー成形多層容器
本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器は、口部、胴部及び底部を、容器の軸線方向に沿って順次備える合成樹脂製ブロー成形多層容器であって:
多層容器の層構成は、少なくとも、エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する内表面層、バリア層を有する中間層、及び、エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する外表面層を容器内側からこの順に備えるものであり、
a)底部は、周状の接地部に囲まれ、接地部より軸線方向に沿う容器内方に位置する面状の底上げ部を備え;
b)底上げ部は、底部の軸線方向に直交する面において略直線状に延び、該底上げ部から軸線方向に沿う容器外方に向かい延在する底シール部に連接し;
c)底シール部は、
i)その軸線方向に沿う容器外方の端縁が周状の接地部より軸線方向に沿う容器内方に位置する喰い切り部と、喰い切り部から軸線方向に沿う容器内方に向かって延在し底上げ部で終わる喰い切り支持部とを有し、
ii)喰い切り支持部の外表面がいずれも、前記のエチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する外表面層から形成され、及び、
iii)喰い切り支持部の軸線方向に沿う断面の最大長さL0に対する、底上げ部の軸線方向に沿う断面の長さLの比L/L0が0.8〜1.2の範囲であって;
d)底シール部の略直線状に延びる長手方向両端部に相当する位置の底上げ部から軸線方向に沿う容器内方に向かって延在し、底上げ部の軸線方向に沿う最も容器内方に位置する点を基準として軸線方向に沿う更に容器内方にその頂点が位置する凸部を有し;かつ、
e)エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する少なくとも一方の表面層は、樹脂成分として、低密度ポリエチレン、密度912〜935kg/mのエチレン・α−オレフィン共重合体、及び、高密度ポリエチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有し、ASTM D6866−12に規定されるモダン炭素比率が0〜8pMCである樹脂組成物からなる;
ことを特徴とする喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器である。すなわち、本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器は、口部、胴部及び底部を、容器の軸線方向に沿って順次備える多層容器であり、多層容器を正立姿勢とするときに、上方から下方に向かう容器の軸線方向に沿って、口部、胴部及び底部を、順次備えることによって、底部、具体的には底部に備えられる周状の接地部が、接地面に当接し、正立することができる多層容器である。本発明のブロー成形多層容器の内容積は、口部カット面までの内容積であり、特に限定されないが、好ましくは40〜3000cm、より好ましくは80〜1500cm、更に好ましくは120〜1000cmの範囲である。
以下、本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器について、図面を参照しつつ更に説明する。なお、図面はいずれも、本発明の容器の態様を理解することに資するために簡略化した略断面図である。
1.口部
本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器は、図1に示すように、口部1を備える。口部1は、通常、容器の軸線(図示しない。)に沿う最上端に開口部11を有し、該開口部11の下方にある雄螺条域に、その周面から外方に雄螺条が膨出している。雄螺条は、合成樹脂製ブロー成形多層容器に内容物を充填し、開口部11をシールした後に、内周面に雌螺条を有するキャップ(蓋)を取り付けるために設けられるものである。雄螺条としては、1条ねじ構造のものでもよいが、キャップ(蓋)の脱着に要する回動操作量を少なくするとともに、合成樹脂製ブロー成形多層容器の口部1を成形するのに必要な合成樹脂材料の量を少なくするために、多条ねじ構造、例えば2条ねじ構造を採用してもよい。
雄螺条域の軸線方向に沿う長さ、すなわち上下方向の長さは、適宜定められる。口部1には、必要に応じて開口部11から下方に設けられる蓋装着誘導域を介して雄螺条域を設けてもよい。合成樹脂製ブロー成形多層容器においては、該多層容器の口部1の下端部に、内表面が平滑であってかつ外方に凸である、サポートリングとして機能するネックリングやフランジ部が設けられる場合があるが、本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器、特にダイレクトブロー成形より形成される合成樹脂製多層容器においては、ネックリングやフランジ部を設けない構造を採用してもよい。
2.胴部
本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器は、図1に示すように、口部1の下方に胴部2を備える。胴部2は、通常、口部1から軸線方向に沿って順次拡径する肩部を介して口部1に連接する、略筒状の部位であり、後に説明する底部3の周縁から立ち上がるように底部3に連接するが、胴部2の形状や大きさは特に限定されない。例えば、胴部2は、軸線方向に沿って、断面形状、径や断面積が変化するものでもよく、軸線方向に沿って順次縮径するようにして底部3に連接してもよい。
3.底部
本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器は、図1に示すように、胴部2の下方に、通常は胴部2に連接して、底部3を備えることにより、該容器は自立性を有する。底部3の輪郭形状、すなわち、底部3の軸線方向に直交する断面形状は、特に限定されず、略円形、略楕円形、略多角形など、合成樹脂製多層容器において通常採用される自立可能な底部の輪郭形状とすることができる。略多角形としては、三角形、四角形、五角形、六角形等を採用することができ、また、長方形の4隅を切り欠いて形成されるような八角形などの形状でもよい。本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器は、容器の底割れや底部の膨出が起きず、容器の正立姿勢を確実に維持できる観点から、底部3の軸線方向に直交する断面形状が、円形または楕円形であることが好ましく、楕円形であることがより好ましい。本発明における底部3の大きさは、特に限定がなく、例えば、底部3の輪郭形状が円形である場合は、半径が、通常2〜20cmの範囲、多くの場合3〜15cmの範囲であり、底部3の輪郭形状(底部3の軸線方向に直交する断面形状)が楕円形である場合は、長径が、通常2〜25cmの範囲、多くの場合3〜20cmの範囲であり、短径が、通常1.5〜20cmの範囲、多くの場合2〜15cmの範囲である。
本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器に備えられる底部3は、図1〜図3に示されるように、以下の特徴を有する。すなわち、
a)底部3は、周状の接地部31に囲まれ、接地部31より軸線方向に沿う容器内方に位置する面状の底上げ部32を備え;b)底上げ部32は、底部3の軸線方向に直交する面において略直線状に延び、該底上げ部32から軸線方向に沿う容器外方に向かい延在する底シール部33に連接し;c)底シール部33は、i)その軸線方向に沿う容器外方の端縁が周状の接地部より軸線方向に沿う容器内方に位置する喰い切り部331と、喰い切り部331から軸線方向に沿う容器内方に向かって延在し底上げ部32で終わる喰い切り支持部332とを有し、ii)喰い切り支持部332の外表面がいずれも、前記のエチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する外表面層から形成され、及び、iii)喰い切り支持部332の軸線方向に沿う断面の最大長さL0に対する、底上げ部32の軸線方向に沿う断面の長さLの比L/L0が0.8〜1.2の範囲であって;かつ、d)底シール部33の略直線状に延びる長手方向両端部に相当する位置の底上げ部32から軸線方向に沿う容器内方に向かって延在し、底上げ部32の軸線方向に沿う最も容器内方に位置する点を基準として軸線方向に沿う更に容器内方にその頂点が位置する凸部321、321'を有する;ことを特徴とする。
〔周状の接地部〕
本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器に備えられる底部3は、底上げ部32を囲む周状の接地部31を備える。周状の接地部31は、容器の底部3の外周の近傍に周状に配され、容器の自立を直接担う役割を果たす。したがって、周状の接地部31は、底部3の容器の軸線方向に直交する断面形状と概ね相似する形状の周状をなし、例えば略円形または略楕円形の形状を有する周状の接地部31である。周状の接地部31は、周方向に幅をもって連続して突設する帯状のものでもよいし、容器の自立を可能とする3以上の不連続な突起部からなるものでもよく、それ自体は容器の底部の構成として広く知られている構成である。前記の帯状の幅や突設の高さ、突起部の大きさ、形状及び配置等は、容器の自立を妨げない範囲で適宜選択することができる。例えば、3以上の不連続な突起部は、周状に等間隔に配置されてもよいし、線対称となるように周状に配置されてもよい。
〔底上げ部〕
本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器に備えられる底部3は、前記の周状の接地部31に囲まれ、接地部31より軸線方向に沿う容器内方に位置する面状の底上げ部32を備える。本発明の多層容器における底上げ部32は、前記の、例えば略円形または略楕円形の輪郭形状を有する周状の接地部31に囲まれる領域内において、通常は周状の接地部31から連続する底部3の領域内にあって、各種形状の移行面を介して周状の接地部31から連接され、容器の軸線方向に沿う容器内方、すなわち正立時容器の上方に向かうように凹むことにより、接地部31より軸線方向に沿う容器内方に位置する底上げ状態となっている面状の部分であり、従来知られている形状や大きさのものとすることができる。例えば、底上げ部32は、接地部31より軸線方向に沿う容器内方に位置する(以下、「凹む」ということがある。)略水平面であってもよいし、軸線方向に直交する方向、すなわち底部3の半径方向において凹む距離が変化する曲面状のものでもよい。また、底部3の機械的強度や合成樹脂製の多層容器の自立性の観点から、底部3の円周方向に分離して配置され半径方向に延びるリブを設けたものでもよいが、本発明の多層容器においては、後に説明するとおり、底部3に喰い切り支持部332を備えるものであることにより所要の強度を有するものとすることができるので、必ずしも前記のリブを備える必要はない。
〔底シール部〕
本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器においては、底上げ部32は、底部3の軸線方向に直交する面において略直線状に延び、該底上げ部32から軸線方向に沿う容器外方に向かい延在する底シール部33を備えるものである。さらに、底シール部33は、i)その軸線方向に沿う容器外方の端縁が周状の接地部31より軸線方向に沿う容器内方に位置する喰い切り部331と、喰い切り部331から軸線方向に沿う容器内方に向かって延在し底上げ部32で終わる喰い切り支持部332とを有し、ii)喰い切り支持部332の外表面がいずれも、前記のエチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する外表面層から形成され、及び、iii)喰い切り支持部332の軸線方向に沿う断面の最大長さL0に対する、底上げ部32の軸線方向に沿う断面の長さLの比L/L0が0.8〜1.2の範囲であって;かつ、底シール部33の略直線状に延びる長手方向両端部に相当する位置の底上げ部32から軸線方向に沿う容器内方に向かって延在し、底上げ部32の軸線方向に沿う最も容器内方に位置する点を基準として軸線方向に沿う更に容器内方にその頂点が位置する凸部321、321'を有する;ことに特徴を有する。
本発明の多層容器において、底部3の軸線方向に直交する面において略直線状に延び、該底上げ部32から軸線方向に沿う容器外方に向かい延在する底シール部33は、ブロー成形、典型的には後に説明するダイレクトブロー成形によって合成樹脂製多層容器を製造する場合、管状のパリソンの下端を割金型であるブロー金型を閉鎖することにより挟んで、パリソンの下端部を喰い切り切断するときに、同時にパリソンが偏平に押し潰されて融着することによってパーティングライン上の底上げ部32から軸線方向に沿う容器外方に向かい延在して形成される厚みを有するシール部である。すなわち、本発明の多層容器において、底上げ部32は、底部3の軸線方向に直交する面において略直線状に延び、該底上げ部32から軸線方向に沿う容器外方に向かい延在する底シール部33に連接する。底シール部33は、先に説明したようにパーティングライン上に略直線状に延びることから、底部3の軸線方向に直交する断面形状が楕円形である場合は、楕円形の長径の方向と底シール部33が略直線状に延びる方向とが略同一であることが好ましい。底シール部33の略直線状に延びる長さは、多層容器の大きさ、具体的には多層容器の底部3の大きさや断面形状に応じて適宜選定することができる。例えば、底部3の断面形状が楕円形である場合は、楕円形の長径に対して、通常40〜90%、多くの場合50〜80%の範囲の割合の長さであり、実寸法で表せば、多くの場合20〜150mm、ほとんどの場合30〜100mmの範囲の長さである。
〔喰い切り部〕
前記の底シール部33は、その軸線方向に沿う容器外方の端縁が周状の接地部31より容器内方に位置する喰い切り部331と、喰い切り部331から軸線方向に沿う容器内方に向かって延在し底上げ部32で終わる喰い切り支持部332とを有する。すなわち、底シール部33は、パリソンの下端を割金型であるブロー金型を閉鎖することにより挟んで、パリソンの下端部を喰い切り切断することによって形成される喰い切り部(「ピンチオフ部」といわれることもある。)331を有する。喰い切り部331は、底上げ部32から軸線方向に沿う容器外方に向かう容器の終端部に相当する。本発明の多層容器においては、喰い切り部331は、その軸線方向に沿う容器外方の端縁が周状の接地部31より容器内方、すなわち、多層容器を正立させたとき、周状の接地部31より上方に位置する。したがって、本発明の多層容器を接地面に正立させるとき、喰い切り部331が接地するおそれがないので、喰い切り部331や底シール部33が接地面と接触することにより底割れすることはない。また、本発明の多層容器に内容物を充填すること等によって底上げ部32が容器外方に向かって若干量膨出することがあっても、喰い切り部331や底シール部33が接地面と接触する可能性を小さくすることができるので、底割れの懸念が減殺する。
〔喰い切り支持部〕
本発明の多層容器における底シール部33は、前記の喰い切り部331から軸線方向に沿う容器内方に向かって延在し底上げ部32で終わる喰い切り支持部332を有する。すなわち、喰い切り支持部332は、前記の喰い切り部331と底上げ部32との間の領域に相当する。喰い切り支持部332は、管状のパリソンの下端を割金型であるブロー金型を閉鎖することにより挟んで、パリソンの下端部を喰い切り切断すると同時に、パリソンが偏平に押し潰されて融着することによってパーティングライン上の底上げ部32から延在し、金型のキャビティ形状に対応する形状と厚みに形成されるシール部である。
喰い切り支持部332は、パリソンが偏平に押し潰されて融着することによって形成されるものであることから、喰い切り支持部332の外表面がいずれも、パリソンの外表面層、すなわち容器のエチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する外表面層から形成されるものとなる。一方、喰い切り支持部332の内部の層構成は、図3に示されるように、該喰い切り支持部332の厚み(外表面同士の距離、または、底シール部が略直線状に延びる方向と直交する方向の長さに相当する。)D、喰い切り支持部332の軸線方向に沿う断面の最大長さ(喰い切り部331からの軸線方向に沿う最大長さであり、「高さ」に相当するということができる。)L0、及び底上げ部32の軸線方向に沿う断面の長さL(上記の喰い切り支持部332の軸線方向に沿う断面の最大長さに対応する位置における底上げ部32の軸線方向に沿う断面の長さであり、当該位置における「底上げ部の厚み」に相当するということができる。)の大きさや、多層容器の層構成や厚みによって異なり、特に限定されるものではないが、喰い切り支持部332の軸線方向に沿う容器外方の最外方の端面に、2つのバリア層を有する中間層の断面が露出するものであることが好ましい。この場合、喰い切り支持部332の軸線方向に沿う容器外方の最外方の端面に近い端部においては、バリア層を含む中間層が軸線方向に沿い略平行する配置で存在し、具体的には、2つのバリア層が内側接着層を介して強く接着された状態となっているので、容器の底割れや底部の膨出を抑制する効果が増大する。なお、喰い切り支持部332の軸線方向に沿う容器外方の最外方の端面に、2つのバリア層を有する中間層の断面が露出すること、及び、バリア層を含む中間層が軸線方向に沿い略平行する配置で存在していることは、バリア層(図3におけるBの層)をヨウ素とヨウ化カリウムを含有する溶液により染色することにより確認することができる。すなわち、図4の本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器の喰い切り支持部を含む底部の断面写真(喰い切り支持部を含む片側断面である。)にみられるように、染色されたバリア層(図3におけるBに相当する。)が、喰い切り支持部の軸線方向に沿う容器外方の最外方の端面に近い端部において、バリア層が軸線方向に沿い略平行する配置で存在していることが確認できる。また、図5の本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器の喰い切り支持部を含む底部の底部パーティングライン(図3において紙面に対し直交する方向に対応する。)に対して20°の角度の切断面における断面写真にみられるように、染色されたバリア層(図3におけるBに相当する。)が、上方の底上げ部から喰い切り支持部を経由して下端の喰い切り部(喰い切り支持部の軸線方向に沿う容器外方の最外方の端面)に至るまで左右方向から近接していき、喰い切り支持部の軸線方向に沿う容器外方の最外方の端面に近い端部において、バリア層が軸線方向に沿い略平行する配置で存在しているものとすることができる。なお、図4及び図5において、下方に存在する不定形状の樹脂塊は、喰い切りにより生じるいわゆるバリであって、周知のとおり、本発明の多層容器においては切除されるものである。
〔喰い切り支持部の高さ及び厚み〕
本発明の多層容器における底シール部33は、喰い切り支持部332の軸線方向に沿う断面の最大長さL0に対する、底上げ部32の軸線方向に沿う断面の長さLの比L/L0が0.8〜1.2の範囲であり、好ましくは0.9〜1.1の範囲である。本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器は、喰い切り支持部332の軸線方向に沿う断面の最大長さ(高さ)L0に対する、底上げ部32の軸線方向に沿う断面の長さLの比L/L0が上記の範囲であることにより、容器の底割れや底部の膨出を起こすことなく、容器の正立姿勢を確実に維持することができる。L/L0が大きすぎると、底シール部33や喰い切り支持部332を有する多層容器としたことによる効果が少なく、容器の底割れや底部の膨出が起きやすくなり、容器の正立姿勢を確実に維持できないおそれがある。L/L0が小さすぎると、底上げ部32の軸線方向に沿う断面の長さLが小さくなるため、容器の底部3の強度が不足し、やはり、容器の底割れや底部の膨出が起きやすくなり、容器の正立姿勢を確実に維持できないおそれがある。また、喰い切り支持部332の厚みD(上記の喰い切り支持部332の軸線方向に沿う断面の最大長さに対応する位置における喰い切り支持部332の軸線方向に直交する沿う断面の長さである。)は、喰い切り支持部332の軸線方向に沿う断面の最大長さ(高さ)L0や底上げ部32の軸線方向に沿う断面の長さLの大きさや、容器の層構成や厚みを考慮して適宜選定することができ、特に限定されないが、容器の底割れや底部の膨出の抑制、容器の正立姿勢の確実な維持の観点から、喰い切り支持部332の軸線方向に沿う断面の最大長さL0に対する、喰い切り支持部332の厚みDの比D/L0が0.5〜1.5の範囲であることが好ましく、0.7〜1.2の範囲であることがより好ましい。
〔喰い切り支持部の断面形状〕
本発明の多層容器における喰い切り支持部332の底シール部33が略直線状に延びる方向に沿う断面形状(端面形状にも相当する。)は、喰い切り部331と、喰い切り支持部332が軸線方向に沿う容器内方に向かって延在して終わる端部である底上げ部32の底部3の形状とによって、上辺と下辺が定まるものであって、特に制限はなく、略直方形、略台形、略蒲鉾形〔喰い切り部331に対応する断面の下辺が直線状であり、底上げ部32の底部3に対応する断面の上辺が円弧状(アーチ状)である形状である。〕または略扇形〔断面の下辺と上辺が円弧状(アーチ状)である形状である。〕などの断面形状とすることができる。容器の底割れや底部の膨出の抑制、容器の正立姿勢の確実な維持の観点、及び、ブロー成形後の容器を金型から脱型することの容易さの観点から、略蒲鉾形または略扇形の断面形状であることが好ましく、略扇形の断面形状であることがより好ましい。したがって、喰い切り支持部332が軸線方向に沿う容器内方に向かって延在して終わる端部が軸線方向に沿う容器内方に膨らむ円弧状をなすことが好ましく、該円弧状の曲率半径は、通常40〜100mm、多くの場合50〜90mmの範囲である。また、喰い切り部331が円弧状をなす場合の、該円弧状の曲率半径も同様の範囲である。また、本発明の多層容器における喰い切り支持部332の厚み方向の断面形状は、通常、直方体状であるが、正方形体状、先端カットV字状、先端カット下膨れ状等の形状とすることができる。喰い切り支持部332の断面形状や高さ及び厚みは、後に説明するように、ブロー成形金型の形状によって、厳密に成形することができる。
〔軸線方向に沿う容器内方に向かって延在する凸部〕
さらに、本発明の多層容器は、図2(a)に示されるように、底シール部33の略直線状に延びる長手方向両端部に相当する位置の底上げ部32から軸線方向に沿う容器内方に向かって延在し、底上げ部32の軸線方向に沿う最も容器内方に位置する点を基準として軸線方向に沿う更に容器内方にその頂点が位置する凸部321、321'を有することを特徴とする。凸部321、321'は、ブロー成形によって合成樹脂製多層容器を製造する場合、管状のパリソンの下端を割金型であるブロー金型を閉鎖することにより挟んで、パリソンの下端部を喰い切り切断するときに、同時にパリソンが偏平に押し潰されて融着することによってパーティングライン上の底上げ部32から延在する底シール部33を形成するときに、底シール部33を形成してなお余剰となるパリソンや該余剰となるパリソンに随伴する底上げ部32の一部が、底シール部33の略直線状に延びる長手方向両端部に相当する位置において、軸線方向に沿う容器内方に向かい流動することにより、底シール部33の長手方向両端部に、鬼の角部(つのぶ)のように離隔して突出して形成される2つの凸部である。凸部321、321'の頂点は、底上げ部32の軸線方向に沿う最も容器内方に位置する点を基準として軸線方向に沿う更に容器内方に位置する、すなわち、底上げ部32の上方の端(頂点)の高さを基準として、より高い位置に凸部321、321'の頂点が位置する。前記の角部である凸部321、321'の形状や大きさや厚みは、特に限定されないが、図2(a)において右方の凸部321'の拡大断面図である図2(b)〔図2(b)の左方が容器の中心軸方向である。〕に示されるように、通常はドロップ状(涙状)の厚みを有する湾曲した形状である。また、ブロー金型を所望される凸部321、321'の形状に対応するキャビティ形状を有するものとすることにより適宜の形状の凸部321、321'を形成するようにしてもよい。凸部321、321'の形状や大きさ等は、底シール部33を形成するときのブロー金型の閉鎖圧力及び/または底シール部33の形状や大きさなどを調整することにより変更することができるが、底上げ部32における底部3を越える軸線方向に沿う長さが、通常2〜10mm、多くの場合3〜8mmの範囲であり、底シール部33の延びる方向の長さが、通常2〜12mm、多くの場合3〜9mmの範囲である。凸部321、321'の層構成は、特に限定されないが、底上げ部32の層構成とほぼ同じ層構成を有し、該層構成を有する褶曲構造様の形態を有することが好ましい。すなわち、凸部321、321'がバリア層を有する中間層を備えることにより、本発明の多層容器は、底部においても十分なバリア性を有することができる。なお、凸部321、321'がバリア層を有する中間層を備えることは、バリア層〔図2及び図3におけるBの層〕をヨウ素とヨウ化カリウムを含有する溶液により染色することにより確認することができる。したがって、凸部321、321'の層構成は、エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する内表面層、バリア層を有する中間層、及び、エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する外表面層をこの順に備える層構成でもよい。本発明の多層容器は、鬼の角部状に軸線方向に沿う容器内方に向かって延在する凸部321、321'を有することによって、容器の底割れや底部の膨出を更に抑制することができるものとなっている。
III.カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器の製造方法
本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器は、口部、胴部及び底部を、容器の軸線方向に沿って順次備える合成樹脂製ブロー成形多層容器であって、多層容器の層構成は、少なくとも、エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する内表面層、バリア層を有する中間層、及び、エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する外表面層を容器内側からこの順に備えるものであり、
a)底部は、周状の接地部に囲まれ、接地部より軸線方向に沿う容器内方に位置する面状の底上げ部を備え;b)底上げ部は、底部の軸線方向に直交する面において略直線状に延び、該底上げ部から軸線方向に沿う容器外方に向かい延在する底シール部に連接し;c)底シール部は、i)その軸線方向に沿う容器外方の端縁が周状の接地部より軸線方向に沿う容器内方に位置する喰い切り部と、喰い切り部から軸線方向に沿う容器内方に向かって延在し底上げ部で終わる喰い切り支持部とを有し、ii)喰い切り支持部の外表面がいずれも、前記のエチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する外表面層から形成され、及び、iii)喰い切り支持部の軸線方向に沿う断面の最大長さL0に対する、底上げ部の軸線方向に沿う断面の長さLの比L/L0が0.8〜1.2の範囲であって;d)底シール部の略直線状に延びる長手方向両端部に相当する位置の底上げ部から軸線方向に沿う容器内方に向かって延在し、底上げ部の軸線方向に沿う最も容器内方に位置する点を基準として軸線方向に沿う更に容器内方にその頂点が位置する凸部を有し;かつ、e)エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する少なくとも一方の表面層は、樹脂成分として、低密度ポリエチレン、密度912〜935kg/mのエチレン・α−オレフィン共重合体、及び、高密度ポリエチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有し、ASTM D6866−12に規定されるモダン炭素比率が0〜8pMCである樹脂組成物からなる;ことを特徴とする喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器を得ることができる限り、その製造方法は限定されない。したがって、本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器の製造方法としては、所定の層構成、具体的には、通常多層容器の層構成と同じ層構成を有する多層のパリソン(以下、「多層パリソン」ということがある。)を、所望の容器形状のキャビティ壁を備える割金型内でブロー成形することによって、ブロー成形品である多層の合成樹脂製ブロー成形多層容器を得ることができればよい。多層パリソンを製造した後、常温または室温に保存しておき、ブロー成形を行うときに所定温度まで加熱するコールドパリソン方式によってもよいし、該多層パリソンを製造し、連続してブロー成形を行うホットパリソン方式によってもよい。多層パリソンは、上記した所定の形状を有する合成樹脂製ブロー成形多層容器を得ることができる限り、射出成形により製造することもできるが、溶融押出成形によって筒状(以下、「管状」または「パイプ状」ということがある。)の多層パリソンを製造する方法が好ましく、溶融押出成形方法により共押出した多層パリソンを、続けて容器形状にブロー成形するダイレクトブロー成形方法がより好ましい。以下、ダイレクトブロー成形により形成される合成樹脂製ブロー成形多層容器(ダイレクトブロー成形多層容器)を得る方法について説明する。
1.多層パリソンの製造
所定の層構成を有する多層パリソンを共押出によって製造する方法としては、環状ダイを用いる共押出法、Tダイを用いる共押出法、インフレーション成形による共押出法などの方法が挙げられるが、ボトル形状の容器をブロー成形によって製造する場合は、環状ダイを用いる共押出法により筒状(パイプ状)の多層パリソンを製造することが好ましい。環状ダイを用いる共押出法で多層パリソンを製造する場合は、樹脂の種類に対応する数の押出機を使用し、各層に対応する樹脂を溶融させてそれぞれ環状に展開しながら、ダイ通路内で溶融樹脂を所定の層構成の積層順序となるように合流させる。表層である内表面層と外表面層が同種の樹脂からなる場合には、更に分岐チャンネルを経て、他の層を形成する樹脂原料等を挟み込むように分岐させ、その後、押出ダイ内で合流させ、環状形状のダイヘッドから所望の層構成に整列積層した状態で樹脂を押し出す。ダイヘッドの温度は通常120〜240℃であり、好ましくは130〜230℃、より好ましくは140〜220℃の範囲の温度を採用することができる。ダイオリフィスの形状としては、円形のほか偏平形状のものも使用可能である。環状ダイを用いる共押出法によれば、多層パリソンの肉厚の変更等の制御調整を比較的容易に行うことができる。すなわち、環状ダイからブロー成形金型への溶融パリソンの供給速度(吐出速度または押出速度)、エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する内表面層及び/または外表面層の組成や厚みなどを調整することができる。例えば、環状ダイからブロー成形金型への溶融パリソンの供給速度の制御は、溶融パリソンの一部を引き伸ばしたり、溶融パリソンの鉛直下向き方向の速度を制御する、いわゆるパリソンコントローラーによって行うことができる。
2.ブロー成形
ブロー成形によってパリソンから容器形状のブロー成形品を成形する場合には、前記の方法で共押出した筒状の多層パリソンのパリソン下端部を割金型で挟んで、喰い切り切断するとともにパリソンの下端を融着させて塞ぎ、次いで、パリソンの上端部を割金型で挟んで、喰い切り切断した後、パリソン上端部に形成した開口部から加圧気体等を吹き込んで容器形状に成形し、次いで、製品である多層容器においては不要となる部分、すなわち多層容器の口部1の開口部11の上方に相当する部分(頭部または袋部)を切除することによって、合成樹脂製ブロー成形多層容器を得る。なお、通常、袋部を切除して形成される多層容器の口部1の開口部11の上端面により、多層容器の層構成を確認することができる。該ブロー成形によって一体成形した多層容器の底部3には、筒状のパリソンを、割金型で挟んで下端を融着して塞いだ痕跡として、底シール部33がパーティングラインに沿って形成される。本発明の合成樹脂製ブロー成形多層容器は、底シール部33が、喰い切り部331と、特有の喰い切り支持部332を有し、かつ、底シール部33の略直線状に延びる長手方向両端部に相当する位置の底上げ部から軸線方向に沿う容器内方に向かって延在し、底上げ部32の軸線方向に沿う最も容器内方に位置する点を基準として軸線方向に沿う更に容器内方にその頂点が位置する凸部321、321'を有することを特徴とするものである。したがって、本発明の合成樹脂製ブロー成形多層容器の底部3を形成する割金型としては、該喰い切り部331の形状に対応するピンチ部(図6の331a、331b)と、喰い切り支持部332の形状及び大きさに対応する形状及び大きさの段部(図6の332a、332b)をそれぞれ対向するように備える割金型を使用すればよい。喰い切り支持部332の形状及び大きさは、該段部の形状及び大きさによって厳密に形成される。また、多層容器の形状及び大きさ、底上げ部32及び/または底シール部33の形状や大きさ、型締圧などの選択によって、所望の形状及び大きさの凸部321、321'を形成することができるので、通常、該割金型に、底上げ部32に形成される凸部321、321'の形状及び大きさに対応する形状及び大きさのキャビティを対向するように形成する必要はないが、特に所望する場合には、凸部321、321'を形成するために適宜の形状及び大きさのキャビティを設けてもよい。
ブロー成形用の割金型としては、鏡面仕上げのものでも、サンドブラスト加工したものでも使用でき、割金型の表面温度は一般に10〜50℃の範囲にあることが好ましい。また、ブロー成形用の加圧気体としては、空気や窒素等を使用することができるが、滅菌処理した空気を用いることが好ましく、その圧力は1.0〜15kg/cmの範囲にあるのが適当である。
本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器は、ダイレクトブロー成形して製造することができる。ダイレクトブロー成形工程では、樹脂を溶融し共押出して得られた多層パリソンを膨張変形可能な温度に調整した後、ブロー成形用金型のキャビティ内に挿入し、加圧気体等を吹き込んでダイレクトブロー成形を行う。ダイレクトブロー成形によって製造される合成樹脂製ブロー成形多層容器における全膨張倍率は、通常6〜9倍程度である。本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器は、特有の構造を有する底部を備えるものであることから、形状の制御や調整が容易かつ確実である観点で、ダイレクトブロー成形により形成されるものであることが好ましい。
本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器は、所望によっては延伸ブロー成形して製造することもできる。延伸ブロー成形工程では、多層パリソンを延伸可能な温度に調整した後、ブロー成形用金型のキャビティ内に挿入し、空気などの加圧気体等を吹き込んで延伸ブロー成形を行う。長さ方向の延伸を行うためには、延伸ロッドを使用してもよい。延伸ブロー成形は、ホットパリソン方式またはコールドパリソン方式のいずれかの方式により行うことができる。全延伸倍率は、通常6〜9倍程度である。
内容物の熱充填(ホットフィル)に適した耐熱性の合成樹脂製ブロー成形多層容器を製造する場合には、熱充填時の容器の熱収縮・変形を防止するために、ブロー成形用金型の温度を100℃以上に昇温し、金型内で熱処理(熱固定)してもよい。金型温度は、100〜165℃であり、一般耐熱容器の場合は145〜155℃、高耐熱容器の場合には、160〜165℃の範囲とすることが好ましい。熱処理時間は、合成樹脂製ブロー成形多層容器の厚みや熱処理温度により変動するが、通常1〜30秒間、好ましくは2〜20秒間である。
3.合成樹脂製ブロー成形多層容器の搬送及び把持
ダイレクトブロー成形等によって製造された合成樹脂製ブロー成形多層容器は、容器成形工程後、常法に従って、内容物充填工程において、食品等の内容物を多層容器に充填し、必要に応じて加熱、殺菌及び冷却を行い、充填量等の検査を行った後に、口部シール装置まで容器を搬送し、口部シール工程において、容器の口部開口部をシール材で密封して密封容器とする。
容器成形後の容器の搬送は、通常、回転する搬送ホイール間で、容器を受け渡しながら行われる。例えば、内容物充填工程の後は、充填量や充填重量等を検査して、規格範囲を満たしていない容器を排出するので、図示しない複数の搬送ホイールを間欠回転しながら経由させることにより、容器の不連続な並びを、連続な並び、すなわち等間隔の並びに整え、規格範囲を満たす充填済みの容器を整列させて、口部シール工程に容器を引き渡す。
回転する搬送ホイール間での容器の受け渡しにおいては、充填容器の底部を把持して案内する底部グリッパによる把持、充填容器の胴部を把持して案内する胴部グリッパによる把持、及び、充填容器の上部を把持するグリッパによる把持を適宜選択し、または組み合わせて行うことができる。本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器は、底割れや底部の膨出が生じないので、充填容器を正立状態に維持することが容易であるので、回転する搬送ホイール間での容器の受け渡しを安定かつ確実に行うことができるとともに、底部グリッパによる把持や胴部グリッパによる把持において併用されることが多い案内板や案内溝を備える必要がない。
IV.カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器の特性
本発明の、口部、胴部及び底部を、容器の軸線方向に沿って順次備える合成樹脂製ブロー成形多層容器であって、多層容器の層構成は、少なくとも、エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する内表面層、バリア層を有する中間層、及び、エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する外表面層を容器内側からこの順に備えるものであり、a)底部は、周状の接地部に囲まれ、接地部より軸線方向に沿う容器内方に位置する面状の底上げ部を備え;b)底上げ部は、底部の軸線方向に直交する面において略直線状に延び、該底上げ部から軸線方向に沿う容器外方に向かい延在する底シール部に連接し;c)底シール部は、i)その軸線方向に沿う容器外方の端縁が周状の接地部より軸線方向に沿う容器内方に位置する喰い切り部と、喰い切り部から軸線方向に沿う容器内方に向かって延在し底上げ部で終わる喰い切り支持部とを有し、ii)喰い切り支持部の外表面がいずれも、前記のエチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する外表面層から形成され、及び、iii)喰い切り支持部の軸線方向に沿う断面の最大長さL0に対する、底上げ部の軸線方向に沿う断面の長さLの比L/L0が0.8〜1.2の範囲であって;d)底シール部の略直線状に延びる長手方向両端部に相当する位置の底上げ部から軸線方向に沿う容器内方に向かって延在し、底上げ部の軸線方向に沿う最も容器内方に位置する点を基準として軸線方向に沿う更に容器内方にその頂点が位置する凸部を有し;かつ、e)エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する少なくとも一方の表面層は、樹脂成分として、低密度ポリエチレン、密度912〜935kg/mのエチレン・α−オレフィン共重合体、及び、高密度ポリエチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有し、ASTM D6866−12に規定されるモダン炭素比率が0〜8pMCである樹脂組成物からなる;ことを特徴とする喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器は、底割れや底部の膨出が生じない多層容器である。
本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器は、底割れが生じにくい多層容器であることの理由は必ずしも明確に解明されているものではないが、特有の構造を有する喰い切り支持部において、層の積層構成が比較的均一に保たれた状態でパリソンが融着したものとなっている結果、十分大きな融着強度が実現しているものと推察される。特に、バリア層を含む中間層が近接して融着することができるように、割金型の形状や型締め操作を調整すると、例えば、前記中間層に備えられる接着層による接着効果が発揮されて、より大きな融着強度が得られることも想定される。
〔底割れ〕
本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器は、底割れが生じにくい多層容器であり、先に説明したように搬送工程において多層容器の正確な把持や受け渡しに支障が生じたり、キャップの装着に支障を生じたりすることがなく、更に内容物を充填した多層容器製品の取扱い中に不測のトラブルが生じたりするおそれもないので、生産効率が向上するとともに、内容物を充填した多層容器製品の製造から、消費者への流通、及び消費者による使用に際しても容器の底部の変形等が生じない多層容器である。
ブロー成形多層容器の底割れに対する効果は、以下(1)〜(4)の落体強度試験により評価することができる。
(1)多層容器(例えば、口部カット面までの内容積450cm)に、計量法の規定に基づく量目公差(特定商品の販売に係る計量に関する政令に定める誤差をいう。)を超えない内容量(例えば、トマトケチャップであれば500g、水であれば450g等である。)の水(温度0℃の氷水)を充填し、口部の開口部にアルミシールを溶着した後、キャップをねじ止めして装着する。
(2)水を充填した多層容器を、SUS304(通称18Cr−8Ni)ステンレス鋼材製の水平な台上に、高さ1.2mから落下させる落下試験を行う。落下試験は、多層容器を正立状態のまま落下させ、次いで、同じ多層容器を水平状態にして落下させる落下操作を1単位として、10単位(10回の正立状態の落下と水平状態の落下)実施する。
(3)多層容器の底部の底シール部の割れの有無を目視で観察する。なお、(2)の落下操作を10単位実施する落下試験が完了する前に、多層容器の底部の底部シール部の割れが観察された場合は、底シール部の割れが有るものと判定する。
(4)落下試験を5本の多層容器について実施し、底シール部の割れが有る多層容器が0本である場合(1本もない場合)、落体強度試験の結果を「(割れ)なし」と判定し、底シール部の割れが有る多層容器が1本以上ある場合、落体強度試験の結果を「割れ」と判定する。
本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器は、落体強度試験の結果において、割れがないと判定されるものであり、内容物を充填する多層容器の製造、流通及び使用において、底割れが生じることがない。これに対して、落体強度試験の結果が「割れ」と判定される多層容器であると、内容物を充填する多層容器の製造、流通及び使用において、底割れが生じるおそれがある。
〔耐出尻試験〕
本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器は、内容物を充填する、例えば温度80℃程度において液体を充填するホットフィルする多層容器の製造、流通及び使用において、底部の膨出、具体的には底上げ部の膨出に伴い、喰い切り部が多層容器の接地面より容器の軸線方向に沿う容器外方に位置することにより、接地してしまうようになる、いわゆる出尻状態になることによって、多層容器の正立が妨げられ、取り扱いに大きな不都合を生じたり、生産効率を低下させたりすることがない。多層容器の底部(底上げ部)の膨出の有無は、以下(1)〜(4)の耐出尻試験により評価することができる。
(1)多層容器(例えば、口部カット面までの内容積450cm)に、計量法の規定に基づく量目公差を超えない内容量(例えば、トマトケチャップであれば500g、水であれば450g等である。)の水(温度0℃の氷水)を充填し、口部の開口部にアルミシールを溶着した後、キャップをねじ止めして装着する。
(2)水を充填した多層容器を、SUS304ステンレス鋼材製の水平な台上に、水平状態となるようにして静置する。
(3)圧縮試験機を使用して、水を充填した多層容器の底部に隣接する胴部を、上方から垂直に圧縮し、試験機の荷重を増加して多層容器に対する押圧を続ける。多層容器の底部(底上げ部)に出尻(膨出変形)があることが目視で観察されたときの試験機の荷重(単位:kg重)を、耐出尻試験強度とする。
(4)耐出尻試験を5本の多層容器について実施し、平均値を多層容器の耐出尻試験強度とする。
多層容器の耐出尻試験強度が10kg重以上であれば、内容物を充填する多層容器の製造、流通及び使用において、底部(底上げ部)が膨出して出尻状態になるおそれがないものと評価することができる。他方、多層容器の耐出尻試験強度が小さすぎると、内容物を充填する多層容器の製造、流通及び使用において、底部(底上げ部)が膨出するおそれがあり、多層容器の製造に際しての生産効率も低下する。多層容器の耐出尻試験強度は、好ましくは15kg重以上、より好ましくは20kg重以上である。多層容器の耐出尻試験強度は、上限値は特にないが、通常50kg重未満であり、多くの場合45kg重未満である。
〔正立安定性〕
本発明の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器は、内容物を充填する多層容器の製造、流通及び使用において、底割れや底部の膨出により、多層容器の正立が妨げられて、取り扱いに大きな不都合を生じたり、生産効率を低下させたりすることがない正立安定性に優れる容器である。すなわち、通常、合成樹脂製ブロー成形多層容器は、接地部による接地面から垂直に容器を立て、容器の軸線方向を接地面に対して垂直にする正立状態とし得る正立容器であることが、テーブルに容器を置いて使用することの多い消費者に好まれる傾向にある。さらに、容器の搬送時において容器を受け渡したり、容器に内容物を充填したり、容器のキャッピングを行ったりする工程においても、正立容器であることで生産効率の向上が期待される。
ブロー成形多層容器の正立安定性は、以下の正立安定試験により評価することができる。すなわち、多層容器(空の容器である)のパーティングライン方向(底面が楕円形状である場合は、通常楕円長軸方向である。)に印を付けて、該容器を、SUS304ステンレス鋼材製の水平な台上に鉛直に正立させ、該容器のパーティングライン方向に直交する方向底面が楕円形状である場合は、通常楕円短軸方向である。)から水平に押圧して、該容器を傾け、押圧を解放してから、該容器の揺れが収まるまでの時間〔以下、「収束時間」ということがある。単位:秒〕を測定する。容器の押圧は、容器の接地面からの高さ20cmの位置を、水平距離10mmとなるように行い、室温にて10回測定した収束時間の算術平均値を、ブロー成形多層容器の収束時間とする。容器が倒れた場合は、その容器についての試験を終了する。容器の収束時間が4秒間以内である場合、正立安定性の評価を「○」と判定し、4秒間を超える場合、正立安定性の評価を「×」と判定する。正立安定性の評価が「×」であるブロー成形多層容器は、容器の搬送工程において、容器の詰まりや落下が生じたりして、生産効率が低下するおそれがある。
V.喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える粘稠な液状物を充填した合成樹脂製ブロー成形多層容器
本発明の合成樹脂製ブロー成形多層容器は、内容物として、マヨネーズ、ケチャップ(トマトケチャップ等)、ソースなどの粘稠な液状物を充填した、喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器に適する多層容器である。特に、本発明の合成樹脂製ブロー成形多層容器として、エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する内表面層、中でも底部におけるエチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する内表面層の滑り性を改良することにより、容器の内壁面、中でも容器の底部に内容物が付着して残存することがない容器内壁非付着性、特に容器底部内壁非付着性に優れる多層容器とすることができる。これにより、内容物の充填がスムーズに行われるとともに、消費者の使用時に内容物の液切れ性が優れるなどの効果を奏するものとすることができ、中でも、容器の底部に内容物である粘稠な液状物が付着して残存することがない効果を奏するものとすることができる。本発明の粘稠な液状物を充填した前記の多層容器において、エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する内表面層、特に底部におけるエチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する内表面層の滑り性を改良するためには、多層容器の内表面層、特に底部における内表面層が、有機滑剤である不飽和脂肪酸アミド、飽和脂肪酸アミドまたはそれらの混合物を含有するエチレン系ポリオレフィン樹脂の組成物から形成されるものとすればよい。
特に、本発明によれば、水溶性物質からなるトマト加工品を充填した、喰い切り支持部を備え、化石燃料由来樹脂の表面層(カーボンラベリングされた表面層)を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器が提供される。本発明において、喰い切り支持部を備え、化石燃料由来樹脂の表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器に充填される水溶性物質からなるトマト加工品は、水素イオン濃度がpH3.0以上4.6未満であり、カロテノイド(Carotenoid)を100μg/g以上含有してなるトマト加工品である。該トマト加工品は、「トマト加工品の日本農林規格」(制定:昭和54年10月11日農林水産省告示1419号、最終改正:平成21年5月19日農林水産省告示第669号。以下、単に「JAS規格」ということがある。)に定められるトマト加工品のうち、水素イオン濃度がpH3.0以上4.6未満、好ましくは4.0以上4.6未満であり、カロテノイドを100μg/g以上、好ましくは100μg/g以上1000μg/g未満、より好ましくは300μg/g以上500μg/g未満含有してなるトマト加工品である。カロテノイドは、動植物に含有される赤や黄色またはオレンジ色の色素であり、α−カロチン、β−カロチン、リコピン等が知られている。カロテノイドは、抗酸化作用を有することでも注目されており、中でもトマトの赤い色素の成分であるリコピンは、優れた抗酸化作用を有することが知られており、カロテノイドとして好ましく使用することができる。なお、カロテノイドであるリコピンの濃度は、Carl M. Jones, “Evaluation of Carotenoids and Anthocyanins in High Pigment, Processing, Heirloom and Anthocyanin Fruit Tomatoes.” (米),2000年9月22日,pp.57-61を分析方法の基礎に用いる以下の方法により測定することができる。すなわち、トマト加工品を均質に磨り潰して、オクタノール60容量%と水40容量%とのオクタノール・水混合溶媒系に投入し、撹拌後に静置して、分配係数65%を用いる溶媒濃縮法にて検体を作成する。この検体について、赤外線吸収波長444nm、470nm及び502nmにて吸光度(absorbance)を計測し、波長502nmのベースライン吸光度IIIを波長470nmのベースライン吸光度IIで割り返して算出したパラメータ(III/II)を、既知濃度リコピンにより事前に取得したパラメータ(III/II)と比べることにより、検体のリコピン濃度を求める。
トマト加工品としては、具体的には、該トマト加工品は、トマトピューレー、トマトペースト、トマトケチャップ、及びトマトソースからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有するものが好ましく挙げられる。トマトピューレー、トマトペースト、トマトケチャップまたはトマトソースとは、前記「トマト加工品の日本農林規格」の第2条に定める以下のとおりのものである。すなわち、
トマトピューレー(Tomato Puree)とは、「1 濃縮トマトのうち、無塩可溶性固形分が24%未満のもの
2 1にトマト固有の香味を変えない程度に少量の食塩、香辛料、たまねぎその他の野菜類、レモン又はpH調整剤を加えたもので無塩可溶性固形分が24%未満のもの」をいう。
トマトペースト(Tomato Paste)とは、「1 濃縮トマトのうち、無塩可溶性固形分が24%以上のもの
2 1にトマト固有の香味を変えない程度に少量の食塩、香辛料、たまねぎその他の野菜類、レモン又はpH調整剤を加えたもので無塩可溶性固形分が24%以上のもの」をいう。
トマトケチャップ(Tomato Ketchup)とは、「1 濃縮トマトに食塩、香辛料、食酢、砂糖類及びたまねぎ又はにんにくを加えて調味したもので可溶性固形分が25%以上のもの
2 1に酸味料(かんきつ類の果汁を含む。)、調味料(アミノ酸等)、糊料等(たまねぎ及びにんにく以外の農畜水産物並びに着色料を除く。)を加えたもので可溶性固形分が25%以上のもの」をいう。
トマトソース(Tomato Sauce)とは、「1 濃縮トマト又はこれに皮を除去して刻んだトマトを加えたものに、食塩及び香辛料を加えて調味したもので可溶性固形分が8%以上25%未満のもの
2 1に食酢、砂糖類、食用油脂、酒類、たまねぎ、にんにく、マッシュルームその他の野菜類、酸味料(かんきつ類の果汁を含む。)、調味料(アミノ酸等)、糊料等(野菜類以外の農畜水産物を除く。)を加えたもので可溶性固形分が8%以上25%未満のもの」をいう。
なお、「濃縮トマト」とは、「トマトを破砕して搾汁し、又は裏ごしし、皮、種子等を除去した後濃縮したもの(粉末状及び固形状のものを除く。)で無塩可溶性固形分が8%以上のもの」である。
さらに、喰い切り支持部を備え、化石燃料由来樹脂の表面層(カーボンラベリングされた表面層)を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器に充填されるトマト加工品として、トマトケチャップを含有するソースが挙げられ、より具体的には、該トマト加工品は、トマトケチャップ20〜40質量%及び蜂蜜5〜10質量%を含有する配合済みソース食品(全質量を100質量%とする。)を含有することができる。なお、該配合済みソース食品の残余の成分としては、全質量を100質量%とする範囲において、市販ソース30〜40質量%や市販醤油5〜20質量%等が挙げられる。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を更に説明するが、本発明は、本実施例に限定されるものではない。実施例及び比較例における樹脂原料及び合成樹脂製ブロー成形多層容器の特性または物性の測定方法は、以下のとおりである。
〔密度及びMFR〕
エチレン系ポリオレフィン樹脂及びEVOHの密度及びMFRは、JIS K6922−2またはJIS K7210に準拠して測定した。
〔底割れ(落体強度試験)〕
ブロー成形多層容器の底割れに対する効果は、以下(1)〜(4)の落体強度試験により評価した。
(1)多層容器(口部カット面までの内容積450cm)に、計量法の規定に基づく量目公差を超えない内容量(450g)の水(温度0℃の氷水)を充填し、口部の開口部にアルミシールを溶着した後、キャップをねじ止めして装着した。
(2)水を充填した多層容器を、SUS304ステンレス鋼材製の水平な台上に、高さ1.2mから落下させる落下試験を行った。落下試験は、多層容器を正立状態のまま落下させ、次いで、同じ多層容器を水平状態にして落下させる落下操作を1単位として、10単位(10回の正立状態の落下と水平状態の落下)実施した。
(3)多層容器の底部の底シール部の割れの有無を目視で観察した。なお、(2)の落下操作を10単位実施する落下試験が完了する前に、多層容器の底部の底部シール部の割れが観察された場合は、底シール部の割れが有るものと判定した。
(4)落下試験を5本の多層容器について実施し、底シール部の割れが有る多層容器が0本である場合(1本もない場合)、落体強度試験の結果を「(割れ)なし」と判定し、底シール部の割れが有る多層容器が1本以上ある場合、落体強度試験の結果を「割れ」と判定した。
〔耐出尻試験強度〕
ブロー成形多層容器の底部(底上げ部)の膨出の有無は、以下(1)〜(4)の耐出尻試験により評価した。
(1)多層容器(口部カット面までの内容積450cm)に、計量法の規定に基づく量目公差を超えない内容量(450g)の水(温度0℃の氷水)を充填し、口部の開口部にアルミシールを溶着した後、キャップをねじ止めして装着した。
(2)水を充填した多層容器を、SUS304ステンレス鋼材製の水平な台上に、水平状態となるようにして静置した。
(3)東洋ボールドウイン株式会社製のテンシロン万能材料試験機を使用して、水を充填した多層容器の底部に隣接する胴部を、上方から垂直に圧縮し、試験機の荷重を増加して多層容器に対する押圧を続けた。多層容器の底部(底上げ部)に出尻(膨出変形)があることが目視で観察されたときの試験機の荷重(単位:kg重)を、耐出尻試験強度とした。
(4)耐出尻試験を5本の多層容器について実施し、平均値を多層容器の耐出尻試験強度とした。
〔正立安定性〕
ブロー成形多層容器の正立安定性は、以下の正立安定試験により評価した。すなわち、多層容器(空の容器である)のパーティングライン方向(底面が楕円形状である場合は、通常楕円長軸方向である。)に印を付けて、該容器を、SUS304ステンレス鋼材製の水平な台上に鉛直に正立させ、該容器のパーティングライン方向に直交する方向底面が楕円形状である場合は、通常楕円短軸方向である。)から水平に押圧して、該容器を傾け、押圧を解放してから、該容器の揺れが収まるまでの時間(収束時間。単位:秒)を測定した。容器の押圧は、容器の接地面からの高さ20cmの位置を、水平距離10mmとなるように行い、室温にて10回測定した収束時間の算術平均値を、ブロー成形多層容器の収束時間とした。容器が倒れた場合は、その容器についての試験を終了した。容器の収束時間が4秒間以内である場合、正立安定性の評価を「○」と判定し、4秒間を超える場合、正立安定性の評価を「×」と判定した。
〔リコピンの濃度〕
リコピンの濃度は、以下の方法により測定した。すなわち、トマト加工品を均質に磨り潰して、オクタノール60容量%と水40容量%とのオクタノール・水混合溶媒系に投入し、撹拌後に静置して、分配係数65%を用いる溶媒濃縮法にて検体を作成した。この検体について、赤外線吸収波長444nm、470nm及び502nmにて吸光度(absorbance)を計測し、波長502nmのベースライン吸光度IIIを波長470nmのベースライン吸光度IIで割り返して算出したパラメータ(III/II)を、既知濃度リコピンにより事前に取得したパラメータ(III/II)と比べることにより、検体のリコピン濃度を求めた。
[実施例1]
複数の押出機と環状ダイを用いて、層構成が、それぞれ以下の組成からなる外表面層/中間層(内側接着層/バリア層/外側接着層からなる。)/回収層/内表面層である筒状パリソンを押し出し、ロータリー式のダイレクトブロー成形機により、口部、胴部及び底部を一体成形した全高200mm、内容積450cmであるダイレクトブロー成形によって製造される合成樹脂製ブロー成形多層容器として、株式会社クレハ製の商品名ブローエース(登録商標)500g仕様の軟質ボトル(以下、実施例及び比較例において、単に「多層容器」ということがある。)を得た。多層容器の口部は、厚み1.5mmであり、多層容器の胴部は、最大径部が厚み0.5mmの略楕円形断面形状とした。多層容器の底部は、長径56mm、短径41mmの略楕円形断面形状であり、長径50mm、短径35mmの略楕円形状の接地部と、該接地部から延在して囲まれる接地部より上方の最大高さ7mmで、底上げ部の軸線方向に沿う断面の長さ(厚み、L)1.5mmである底上げ部を備えるものとした。また、底上げ部には、底部の断面形状の長径に沿うパーティングラインに沿って底上げ部から下方に延在し略直線状に延びる長さ40mmの底シール部が備えられ、該底シール部は、パーティングラインに沿う長さ35mmであり、喰い切り支持部の軸線方向に沿う断面の最大長さ(高さ、L0)1.5mm、厚み(D)1.5mmの正方体状断面であって、パーティングラインに沿う断面の上辺及び下辺がともに曲率半径75mmのアーチ状である喰い切り支持部を有するものとした(L/L0=1.0、D/L0=1.0である。)。喰い切り支持部の軸線方向に沿う容器外方の最外方の端面に、2つのバリア層を有する中間層の断面が露出することが確認された。さらに、底シール部の略直線状に延びる長手方向両端部(間隔36mm)に相当する位置の底上げ部から軸線方向に沿う容器内方に向かって延在し、底上げ部の軸線方向に沿う最も容器内方に位置する点を基準として軸線方向に沿う更に容器内方にその頂点が位置する(以下、「底上げ部上方」ということがある。)、鬼の角部(つのぶ)状に形成された、高さ4.7mm長さ5.1mmの略ドロップ状で、バリア層を有する中間層を備える2つの凸部を有していた。多層容器の質量は、17.0gであった。
(1)表層(エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する内表面層及びエチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する外表面層は同一厚みとした。)〔口部、胴部及び底部の内表面及び外表面の組成は同じである。〕:
エチレン系ポリオレフィン樹脂として、化石燃料由来の高圧法低密度ポリエチレン〔日本ポリエチレン株式会社製のノバテック(登録商標)LD;密度920kg/m、融点111℃、MFR(温度190℃、荷重21.18N)0.8g/10分、モダン炭素比率0pMC。以下「化石燃料由来LDPE1」と表記することがある。〕75質量%、及び、化石燃料由来の高密度ポリエチレン〔日本ポリエチレン株式会社製のノバテック(登録商標)HD、チーグラー・ナッタ触媒重合銘柄名KB285N、密度964kg/m、MFR(温度190℃、荷重21.18N)0.2g/10分、モダン炭素比率0pMC。以下、「化石燃料由来HDPE」ということがある。〕25質量%からなる樹脂成分を使用し、有機滑剤である不飽和脂肪酸アミドとして、オレイン酸アミドを、エチレン系ポリオレフィン樹脂に対して、1000ppmとなるように配合した。表面層を形成する樹脂組成物のモダン炭素比率は0pMCであった。
(2)中間層(内側接着層/バリア層/外側接着層から形成される。)
1)EVOH層(バリア層):株式会社クラレ製の商品名エバール(登録商標)〔エチレン含有率44モル%のエチレン・ビニルアルコール共重合体。密度1140kg/m、MFR(温度190℃、荷重21.18N)1.7g/10分、結晶融点165℃〕
2)内側接着層及び外側接着層:デュポン社製の無水マレイン酸変性ポリオレフィン、商品名BYNEL(登録商標)銘柄名series4200〔密度920kg/m、グラフト変性率0.8質量%、MFR(温度190℃、荷重21.18N)2.5g/10分〕
(3)回収層:本実施例により製造した多層容器をダイレクトブロー成形する際に生じる容器の頭部(=袋部)を切除して、破砕機にてそれを粉末化した樹脂(回収樹脂)を原料とした。
(1)、(2)の1)、(2)の2)(内側及び外側接着層の合計)及び(3)の層の厚み比率は、75:4:1:20とした。多層容器の底割れ、耐出尻試験強度、及び正立安定性(以下、「ブロー成形多層容器の特性」ということがある。)の評価・判定結果を、表面層のモダン炭素比率とともに、表1に示す。
[実施例2]
表面層(内表面層及び外表面層)に含有されるエチレン系ポリオレフィン樹脂の樹脂成分を、化石燃料由来LDPE1 100質量%からなる合成樹脂に変更した表面層の組成の変更を除いて、実施例1と同様にして、合成樹脂製ブロー成形多層容器を得た。ブロー成形多層容器の特性の評価・判定結果を、表面層のモダン炭素比率とともに、表1に示す。
[実施例3]
表面層(内表面層及び外表面層)に含有されるエチレン系ポリオレフィン樹脂の樹脂成分を、化石燃料由来LDPE1に代えて、化石燃料由来のメタロセン低密度ポリエチレン〔住友化学株式会社製のスミカセン(登録商標)EP、銘柄名CU5001、密度923kg/m、MFR(温度190℃、荷重21.18N)0.4g/10分、モダン炭素比率0pMC。以下、「化石燃料由来LDPE2」ということがある。〕100質量%からなる合成樹脂に変更した表面層の組成の変更を除いて、実施例2と同様にして、合成樹脂製ブロー成形多層容器を得た。ブロー成形多層容器の特性の評価・判定結果を、表面層のモダン炭素比率とともに、表1に示す。
[実施例4]
表面層(内表面層及び外表面層)に含有されるエチレン系ポリオレフィン樹脂の樹脂成分を、化石燃料由来LDPE1に代えて、化石燃料由来の密度912〜935kg/mのエチレン・α−オレフィン共重合体である線状低密度ポリエチレン〔株式会社プライムポリマー製の商品名ウルトゼックス(登録商標)、銘柄名3520L、密度931kg/m、MFR(温度190℃、荷重21.18N)2.1g/10分、モダン炭素比率0pMC。以下、「化石燃料由来LLDPE」ということがある。〕100質量%からなる合成樹脂に変更した表面層の組成の変更を除いて、実施例2と同様にして、合成樹脂製ブロー成形多層容器を得た。ブロー成形多層容器の特性の評価・判定結果を、表面層のモダン炭素比率とともに、表1に示す。
[実施例5]
表面層(内表面層及び外表面層)に含有されるエチレン系ポリオレフィン樹脂の樹脂成分を、化石燃料由来LDPE1に代えて、化石燃料由来のメタロセン低密度ポリエチレン〔日本ポリエチレン株式会社製の商品名カーネル(登録商標)銘柄名KF282、密度915kg/m、モダン炭素比率0pMC。以下、「化石燃料由来LDPE3」ということがある。〕100質量%からなる合成樹脂に変更した表面層の組成の変更を除いて、実施例2と同様にして、合成樹脂製ブロー成形多層容器を得た。ブロー成形多層容器の特性の評価・判定結果を、表面層のモダン炭素比率とともに、表1に示す。
[実施例6]
表面層(内表面層及び外表面層)に含有されるエチレン系ポリオレフィン樹脂の樹脂成分を、化石燃料由来HDPE 100質量%からなる合成樹脂に変更し、及び、有機滑剤であるオレイン酸アミドを含有しなかった表面層の組成の変更を除いて、実施例1と同様にして、合成樹脂製ブロー成形多層容器を得た。ブロー成形多層容器の特性の評価・判定結果を、表面層のモダン炭素比率とともに、表1に示す。
[比較例1]
ブロー成形用の割金型を変更して、喰い切り支持部をパーティングラインに沿う長さ35mmであり、高さ(L0)1.0mm、厚み(D)1.0mmとした(L/L0=1.5、D/L0=1.0である。)こと、及び、2つの凸部を、底上げ部の軸線方向に沿う最も容器内方に位置する点を基準として軸線方向に沿う更に容器内方にその頂点が位置しない(以下、「底上げ部下方」ということがある。)ものとした多層容器の形状の変更、並びに、有機滑剤であるオレイン酸アミドを含有しなかった表面層(内表面層及び外表面層)の組成の変更を除いて、実施例1と同様にして、合成樹脂製ブロー成形多層容器を得た。ブロー成形多層容器の特性の評価・判定結果を、表面層のモダン炭素比率とともに、表1に示す。
[比較例2]
化石燃料由来LDPE1に代えて、植物由来の線状低密度ポリエチレン〔ブラスケム社製の銘柄名SSL118、密度916kg/m、MFR(温度190℃、荷重2.12N)1.0g/10分、結晶融点190℃、バイオ化率87%(モダン炭素比率は、107pMC×0.87=93.1pMCと算出される。)。以下、「植物由来LLDPE」ということがある。〕を含有した表面層(内表面層及び外表面層)の組成の変更を除いて、比較例1と同様にして、合成樹脂製ブロー成形多層容器を得た。表面層を形成する樹脂組成物のモダン炭素比率は69.8pMC(107pMC×0.87×0.75+0pMC×0.25=69.82pMCとして算出される。)であった。ブロー成形多層容器の特性の評価・判定結果を、表面層のモダン炭素比率とともに、表1に示す。
Figure 2015199512
表1から、口部、胴部及び底部を、容器の軸線方向に沿って順次備える合成樹脂製ブロー成形多層容器であって、
多層容器の層構成は、少なくとも、エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する内表面層、バリア層を有する中間層、及び、エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する外表面層を容器内側からこの順に備えるものであり、
a)底部は、周状の接地部に囲まれ、接地部より軸線方向に沿う容器内方に位置する面状の底上げ部を備え;
b)底上げ部は、底部の軸線方向に直交する面において略直線状に延び、該底上げ部から軸線方向に沿う容器外方に向かい延在する底シール部に連接し;
c)底シール部は、
i)その軸線方向に沿う容器外方の端縁が周状の接地部より軸線方向に沿う容器内方に位置する喰い切り部と、喰い切り部から軸線方向に沿う容器内方に向かって延在し底上げ部で終わる喰い切り支持部とを有し、
ii)喰い切り支持部の外表面がいずれも、前記のエチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する外表面層から形成され、及び、
iii)喰い切り支持部の軸線方向に沿う断面の最大長さL0に対する、底上げ部の軸線方向に沿う断面の長さLの比L/L0が0.8〜1.2の範囲であって;
d)底シール部の略直線状に延びる長手方向両端部に相当する位置の底上げ部から軸線方向に沿う容器内方に向かって延在し、底上げ部の軸線方向に沿う最も容器内方に位置する点を基準として軸線方向に沿う更に容器内方にその頂点が位置する凸部を有し;かつ、
e)エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する少なくとも一方の表面層は、樹脂成分として、低密度ポリエチレン、密度912〜935kg/mのエチレン・α−オレフィン共重合体、及び、高密度ポリエチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有し、ASTM D6866−12に規定されるモダン炭素比率が0〜8pMCである樹脂組成物からなる;ことを特徴とする、実施例1〜6の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器は、CO2排出量の「見える化」に寄与するとともに、容器の底割れがなく、耐出尻試験強度が10kg重をはるかに超える大きさであることから底部の膨出が生じるおそれが全くなく、容器の正立安定性に優れる合成樹脂製ブロー成形多層容器であることが分かった。
これに対し、底シール部は、喰い切り支持部の軸線方向に沿う断面の最大長さL0に対する、底上げ部の軸線方向に沿う断面の長さLの比L/L0が0.8〜1.2の範囲ではなく、また、前記の凸部が、底上げ部の軸線方向に沿う最も容器内方に位置する点を基準として軸線方向に沿う更に容器内方にその頂点が位置するものではない比較例1及び2の合成樹脂製ブロー成形多層容器は、落下試験による底割れがあり、耐出尻試験強度が10kg重未満であることから、容器の底割れや底部の膨出を起こすおそれがあり、容器の正立安定性がない合成樹脂製ブロー成形多層容器であると評価されるものであることが分かった。
[実施例7]
JAS規格に基づくトマト加工品であるトマトケチャップ(Tomato Ketchup)として、生食用適熟トマト(リコピン含有濃度60μg/g、水溶性食物繊維である無塩可溶性固形分5μg/g)の粉砕物を配合率97質量%、玉葱(水溶性食物繊維である無塩可溶性固形分は6000μg/g)の粉砕物を配合率2質量%、及び食用塩公正取引マークのある市販食用塩を配合率1質量%にて混合して、pH4.3、カロテノイド(Carotenoid)であるリコピン(Lycopene)が125μg/gである代用トマトケチャップを調製した。実施例1の合成樹脂製ブロー成形多層容器(内容積450cm)に、前記の代用トマトケチャップ500gを充填した。
[実施例8]
JAS規格に基づくトマト加工品であるトマトソース(Tomato Sauce)として、生食用適熟トマト(リコピン含有濃度60μg/g、水溶性食物繊維である無塩可溶性固形分5μg/g)の粉砕物を配合率99質量%、及び食用塩公正取引マークのある市販食用塩を配合率1質量%にて混合して、pH4.2、カロテノイドであるリコピンが140μg/gである代用トマトソースを調製した。実施例1の合成樹脂製ブロー成形多層容器(内容積450cm)に、前記の代用トマトソース500gを充填した。
[実施例9]
お好み焼き等に使用されるソースとして、前記実施例7で調製した代用トマトケチャップ40質量%、蜂蜜10質量%、前記実施例8で調製した代用トマトソース40質量%、及び醤油10質量%を混合した配合済みソース食品を調製した。実施例1の合成樹脂製ブロー成形多層容器(内容積450cm)に、前記の配合済みソース食品500gを充填した。
本発明は、口部、胴部及び底部を、容器の軸線方向に沿って順次備える合成樹脂製ブロー成形多層容器であって、
多層容器の層構成は、少なくとも、エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する内表面層、バリア層を有する中間層、及び、エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する外表面層を容器内側からこの順に備えるものであり、
a)底部は、周状の接地部に囲まれ、接地部より軸線方向に沿う容器内方に位置する面状の底上げ部を備え;
b)底上げ部は、底部の軸線方向に直交する面において略直線状に延び、該底上げ部から軸線方向に沿う容器外方に向かい延在する底シール部に連接し;
c)底シール部は、
i)その軸線方向に沿う容器外方の端縁が周状の接地部より軸線方向に沿う容器内方に位置する喰い切り部と、喰い切り部から軸線方向に沿う容器内方に向かって延在し底上げ部で終わる喰い切り支持部とを有し、
ii)喰い切り支持部の外表面がいずれも、前記のエチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する外表面層から形成され、及び、
iii)喰い切り支持部の軸線方向に沿う断面の最大長さL0に対する、底上げ部の軸線方向に沿う断面の長さLの比L/L0が0.8〜1.2の範囲であって;
d)底シール部の略直線状に延びる長手方向両端部に相当する位置の底上げ部から軸線方向に沿う容器内方に向かって延在し、底上げ部の軸線方向に沿う最も容器内方に位置する点を基準として軸線方向に沿う更に容器内方にその頂点が位置する凸部を有し;かつ、
e)エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する少なくとも一方の表面層は、樹脂成分として、低密度ポリエチレン、密度912〜935kg/mのエチレン・α−オレフィン共重合体、及び、高密度ポリエチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有し、ASTM D6866−12に規定されるモダン炭素比率が0〜8pMCである樹脂組成物からなる;
ことを特徴とする喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器であることによって、CO2排出量の「見える化」に寄与するとともに、容器の底割れや底部の膨出が起きず、容器の正立姿勢を確実に維持できるブロー成形多層容器、特にダイレクトブロー成形多層容器を提供することができるので、産業上の利用可能性が高い。
また、本発明は、水溶性物質からなるトマト加工品を充填した、化石燃料由来樹脂の表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器であって、
トマト加工品は、
水素イオン濃度がpH3.0以上4.6未満であり、カロテノイド(Carotenoid)を100μg/g以上含有してなり、
合成樹脂製ブロー成形多層容器は、
口部、胴部及び底部を、容器の軸線方向に沿って順次備える合成樹脂製ブロー成形多層容器であって、
多層容器の層構成は、少なくとも、エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する内表面層、バリア層を有する中間層、及び、エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する外表面層を容器内側からこの順に備えるものであり、
a)底部は、周状の接地部に囲まれ、接地部より軸線方向に沿う容器内方に位置する面状の底上げ部を備え;
b)底上げ部は、底部の軸線方向に直交する面において略直線状に延び、該底上げ部から軸線方向に沿う容器外方に向かい延在する底シール部に連接し;
c)底シール部は、
i)その軸線方向に沿う容器外方の端縁が周状の接地部より軸線方向に沿う容器内方に位置する喰い切り部と、喰い切り部から軸線方向に沿う容器内方に向かって延在し底上げ部で終わる喰い切り支持部とを有し、及び、
ii)喰い切り支持部の外表面がいずれも、前記のエチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する外表面層から形成され;かつ、
d)底シール部の略直線状に延びる長手方向両端部に相当する位置の底上げ部から軸線方向に沿う容器内方に向かって延在し、底上げ部の軸線方向に沿う最も容器内方に位置する点を基準として軸線方向に沿う更に容器内方にその頂点が位置する凸部を有する;
ことを特徴とする喰い切り支持部を備え、化石燃料由来樹脂の表面層(カーボンラベリングされた表面層)を備えるトマト加工品を充填した合成樹脂製ブロー成形多層容器であることにより、CO2排出量の「見える化」に寄与することも可能で、容器の底割れや底部の膨出が起きず、容器の正立姿勢を確実に維持できる充填容器を提供することができるので、産業上の利用可能性が高い。
1 : 口部
11 : 開口部
2 : 胴部
3 : 底部
31 : 接地部
32 : 底上げ部
321、321': 凸部
33 : 底シール部
331: 喰い切り部
332: 喰い切り支持部
331a、331b: ピンチ部
332a、332b: 段部
B : バリア層

Claims (19)

  1. 口部、胴部及び底部を、容器の軸線方向に沿って順次備える合成樹脂製ブロー成形多層容器であって、
    多層容器の層構成は、少なくとも、エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する内表面層、バリア層を有する中間層、及び、エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する外表面層を容器内側からこの順に備えるものであり、
    a)底部は、周状の接地部に囲まれ、接地部より軸線方向に沿う容器内方に位置する面状の底上げ部を備え;
    b)底上げ部は、底部の軸線方向に直交する面において略直線状に延び、該底上げ部から軸線方向に沿う容器外方に向かい延在する底シール部に連接し;
    c)底シール部は、
    i)その軸線方向に沿う容器外方の端縁が周状の接地部より軸線方向に沿う容器内方に位置する喰い切り部と、喰い切り部から軸線方向に沿う容器内方に向かって延在し底上げ部で終わる喰い切り支持部とを有し、
    ii)喰い切り支持部の外表面がいずれも、前記のエチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する外表面層から形成され、及び、
    iii)喰い切り支持部の軸線方向に沿う断面の最大長さL0に対する、底上げ部の軸線方向に沿う断面の長さLの比L/L0が0.8〜1.2の範囲であって;
    d)底シール部の略直線状に延びる長手方向両端部に相当する位置の底上げ部から軸線方向に沿う容器内方に向かって延在し、底上げ部の軸線方向に沿う最も容器内方に位置する点を基準として軸線方向に沿う更に容器内方にその頂点が位置する凸部を有し;かつ、
    e)エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する少なくとも一方の表面層は、樹脂成分として、低密度ポリエチレン、密度912〜935kg/mのエチレン・α−オレフィン共重合体、及び、高密度ポリエチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有し、ASTM D6866−12に規定されるモダン炭素比率が0〜8pMCである樹脂組成物からなる;
    ことを特徴とする喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器。
  2. 低密度ポリエチレンが、密度910〜930kg/mの高圧法低密度ポリエチレン、または、メタロセン触媒を使用して選択的にα−オレフィンを共重合して得られる密度910〜928kg/mの低密度ポリエチレンの少なくとも1種を含有する請求項1記載の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器。
  3. 底シール部は、iv)喰い切り支持部の軸線方向に沿う断面の最大長さL0に対する、喰い切り支持部の厚みDの比D/L0が0.5〜1.5の範囲である請求項1または2記載の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器。
  4. 喰い切り支持部の軸線方向に沿う容器外方の最外方の端面に、2つのバリア層を有する中間層の断面が露出する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器。
  5. 前記の凸部がバリア層を有する中間層を備える請求項1乃至4のいずれか1項に記載の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器。
  6. 底部の軸線方向に直交する断面形状が楕円形である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器。
  7. 楕円形の長径の方向と底シール部が略直線状に延びる方向とが略同一である請求項6記載の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器。
  8. 喰い切り支持部が軸線方向に沿う容器内方に向かって延在して終わる端部が軸線方向に沿う容器内方に膨らむ円弧状をなす請求項1乃至7のいずれか1項に記載の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器。
  9. ダイレクトブロー成形により形成される請求項1乃至8のいずれか1項に記載の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器。
  10. バリア層が、エチレン・ビニルアルコール共重合体から形成される請求項1乃至9のいずれか1項に記載の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器。
  11. 中間層が、バリア層の一方または両方に接着層を備える請求項1乃至10のいずれか1項に記載の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器。
  12. 回収層を備える請求項1乃至11のいずれか1項に記載の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器。
  13. 水溶性物質からなるトマト加工品を充填した、化石燃料由来樹脂の表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器であって、
    トマト加工品は、
    水素イオン濃度がpH3.0以上4.6未満であり、カロテノイド(Carotenoid)を100μg/g以上含有してなり、
    合成樹脂製ブロー成形多層容器は、
    口部、胴部及び底部を、容器の軸線方向に沿って順次備える合成樹脂製ブロー成形多層容器であって、
    多層容器の層構成は、少なくとも、エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する内表面層、バリア層を有する中間層、及び、エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する外表面層を容器内側からこの順に備えるものであり、
    a)底部は、周状の接地部に囲まれ、接地部より軸線方向に沿う容器内方に位置する面状の底上げ部を備え;
    b)底上げ部は、底部の軸線方向に直交する面において略直線状に延び、該底上げ部から軸線方向に沿う容器外方に向かい延在する底シール部に連接し;
    c)底シール部は、
    i)その軸線方向に沿う容器外方の端縁が周状の接地部より軸線方向に沿う容器内方に位置する喰い切り部と、喰い切り部から軸線方向に沿う容器内方に向かって延在し底上げ部で終わる喰い切り支持部とを有し、及び、
    ii)喰い切り支持部の外表面がいずれも、前記のエチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する外表面層から形成され;かつ、
    d)底シール部の略直線状に延びる長手方向両端部に相当する位置の底上げ部から軸線方向に沿う容器内方に向かって延在し、底上げ部の軸線方向に沿う最も容器内方に位置する点を基準として軸線方向に沿う更に容器内方にその頂点が位置する凸部を有する;
    ことを特徴とする喰い切り支持部を備え、化石燃料由来樹脂の表面層を備えるトマト加工品を充填した合成樹脂製ブロー成形多層容器。
  14. 合成樹脂製ブロー成形多層容器は、
    c)底シール部が、
    i)その軸線方向に沿う容器外方の端縁が周状の接地部より軸線方向に沿う容器内方に位置する喰い切り部と、喰い切り部から軸線方向に沿う容器内方に向かって延在し底上げ部で終わる喰い切り支持部とを有し、
    ii)喰い切り支持部の外表面がいずれも、前記のエチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する外表面層から形成され、及び、
    iii)喰い切り支持部の軸線方向に沿う断面の最大長さL0に対する、底上げ部の軸線方向に沿う断面の長さLの比L/L0が0.8〜1.2の範囲である請求項13記載の喰い切り支持部を備え、化石燃料由来樹脂の表面層を備えるトマト加工品を充填した合成樹脂製ブロー成形多層容器。
  15. 合成樹脂製ブロー成形多層容器は、
    e’)エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する少なくとも一方の表面層は、ASTM D6866−12に規定されるモダン炭素比率が0〜8pMCである樹脂組成物からなる請求項13または14記載の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備えるトマト加工品を充填した合成樹脂製ブロー成形多層容器。
  16. トマト加工品は、
    トマトピューレー、トマトペースト、トマトケチャップ、及びトマトソースからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する請求項13乃至15のいずれか1項に記載の喰い切り支持部を備え、化石燃料由来樹脂の表面層を備えるトマト加工品を充填した合成樹脂製ブロー成形多層容器。
  17. トマト加工品は、
    トマトケチャップ20〜40質量%及び蜂蜜5〜10質量%を含有する配合済みソース食品(全質量を100質量%とする。)を含有する請求項13乃至15のいずれか1項に記載の喰い切り支持部を備え、化石燃料由来樹脂の表面層を備えるトマト加工品を充填した合成樹脂製ブロー成形多層容器。
  18. トマト加工品に含有されるカロテノイド(Carotenoid)がリコピン(Lycopene)である請求項13乃至16のいずれか1項に記載の喰い切り支持部を備え、化石燃料由来樹脂の表面層を備えるトマト加工品を充填した合成樹脂製ブロー成形多層容器。
  19. 合成樹脂製ブロー成形多層容器は、
    e)エチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する少なくとも一方の表面層は、樹脂成分として、低密度ポリエチレン、密度912〜935kg/mのエチレン・α−オレフィン共重合体、及び、高密度ポリエチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有し、ASTM D6866−12に規定されるモダン炭素比率が0〜8pMCである樹脂組成物からなる請求項15乃至18のいずれか1項に記載の喰い切り支持部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備えるトマト加工品を充填した合成樹脂製ブロー成形多層容器。
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