JP2015183929A - ヒートポンプ式暖房装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】起動時や低外気温時におけるCOPの向上を実現でき、より早い段階で往き熱媒温度を設定(目標)往き熱媒温度に到達させることができるヒートポンプ式暖房装置を提供する。
【解決手段】この目的を達成するため、二元ヒートポンプユニット1と、暖房ユニット30と、これら二元ヒートポンプユニット1及び暖房ユニット30の制御手段とを備えたヒートポンプ式暖房装置Hにおいて、制御手段は、二元ヒートポンプユニット1の起動時に、低元側圧縮機11を運転し、高元側圧縮機21を停止する一元運転を実行する。
【選択図】図1
【解決手段】この目的を達成するため、二元ヒートポンプユニット1と、暖房ユニット30と、これら二元ヒートポンプユニット1及び暖房ユニット30の制御手段とを備えたヒートポンプ式暖房装置Hにおいて、制御手段は、二元ヒートポンプユニット1の起動時に、低元側圧縮機11を運転し、高元側圧縮機21を停止する一元運転を実行する。
【選択図】図1
Description
本件発明は、特に、二元圧縮型ヒートポンプユニットを用いたヒートポンプ式暖房装置に関する。
従来より、この種のヒートポンプ式暖房装置は、冷媒を循環させる冷凍回路をヒートポンプユニットとして用い、シャワー等の給湯や暖房に供される温水を生成している。例えば、特許文献1に示すヒートポンプ式暖房装置は、暖房端末に熱媒を循環させる暖房ユニットと、冷媒が第1圧縮機、第1熱交換器、カスケード熱交換器、第1膨張弁及び蒸発器を順に循環して該第1熱交換器にて前記暖房ユニットの熱媒と熱交換を行う一元側ヒートポンプユニットと、冷媒が第2圧縮機、第2熱交換器、第2膨張弁、前記カスケード熱交換器を順に循環して該第2熱交換器にて前記暖房ユニットの熱媒と熱交換を行う二元側ヒートポンプユニットと、前記暖房ユニット、前記一元側及び前記二元側ヒートポンプユニットを制御する制御手段を備え、前記一元側及び前記二元側ヒートポンプユニットの冷媒は、二酸化炭素を主成分とする冷媒であって、前記制御手段は、前記一元側及び前記二元側ヒートポンプユニットの高圧側を共に超臨界圧の略同一圧力範囲で作動させることを特徴としている。
当該特許文献1のヒートポンプ式暖房装置は、一元側ヒートポンプユニットが、第1膨張弁及び蒸発器を経て断熱膨張された冷媒に外気から吸熱を行ったのち、当該冷媒を第1圧縮機によって超臨界圧の状態まで圧縮させて高温高圧とし、高温高圧となった冷媒を第1熱交換器にて暖房ユニットの熱媒と熱交換させると共に、カスケード熱交換器にて二元側ヒートポンプユニットの冷媒と熱交換させている。そして、二元側ヒートポンプユニットは、第2膨張弁及びカスケード熱交換器を経て断熱膨張された冷媒に一元側ヒートポンプユニットの冷媒から吸熱を行った後、当該冷媒を第2圧縮機によって超臨界圧の状態まで圧縮させて高温且つ、一元側ヒートポンプユニットと略同一圧力範囲の高圧の圧力とし、高温高圧となった冷媒を第2熱交換器にて暖房ユニットの熱媒と熱交換させている。
よって、特許文献1では、一元側及び二元側共に高温を発生させることができ、暖房能力を向上させることができる。
上述した如きヒートポンプ式暖房装置は、一元側ヒートポンプユニットが蒸発器において外気からくみ上げた熱を、第1熱交換器と、カスケード熱交換器に搬送し、二元側ヒートポンプユニットがカスケード熱交換器において一元側ヒートポンプユニットからくみ上げた熱を第2熱交換器に搬送するヒートポンプ作用を発揮して、暖房ユニットの熱源を加熱するものである。しかしながら、上述したような特許文献1に記載のヒートポンプ式暖房装置では、起動した当初、一元側ヒートポンプユニットを構成する圧縮機は、冷媒の圧縮能力が不足しているため、一元側ヒートポンプユニットの冷媒は蒸発器において十分に外気から熱をくみ上げることができない。よって、第1熱交換器や、カスケード熱交換器への熱を効率的に搬送することができないため、一元側ヒートポンプユニットの運転が安定するまで、二元側ヒートポンプユニットは、運転効率が低下し、暖房ユニットの暖房効率が低下する問題がある。
また、上述した特許文献1に記載のヒートポンプ式暖房装置は、外気温度が高くなり、高い暖房能力を必要としなくなった場合でも、一元側ヒートポンプユニットと二元側ヒートポンプユニットの両者を稼働しているため、エネルギー効率を示す成績係数であるCOPが悪化する問題がある。
さらに、上述したような特許文献1に示す従来のヒートポンプ式暖房装置は、通常、暖房端末に流入する熱媒の往き熱媒温度が設定(目標)往き熱媒温度となるように循環ポンプの回転数を制御している。よって、低外気温時などにおいて、熱媒温度を高く設定すると、実際の往き熱媒温度と設定往き熱媒温度との差が大きくなるため、循環ポンプの回転数を低下させて熱媒回路における熱媒の循環量を減少させることとなる。しかし、循環ポンプの回転数を低下させると、熱媒を暖房端末に送出する吐出圧力が低下する。すると、暖房端末における配管抵抗が高い部分で熱媒の円滑な流通が妨げられて、温度ムラが発生する問題がある。当該温度ムラの発生を回避するために、循環ポンプの回転数に下限値を設定すると、熱媒回路において熱媒の循環流量を十分に減少させることができなくなり往き熱媒温度が設定往き熱媒温度に到達するまでに多大な時間を要することとなる。
上述のことから理解できるように、市場からは、起動時や低外気温時におけるCOPや暖房効率の改善を図ることができるヒートポンプ式暖房装置の開発が要望されてきた。
そこで、本件発明者等は、鋭意研究の結果、起動時や低外気温時におけるCOPの向上を実現でき、より早い段階で往き熱媒温度を設定(目標)往き熱媒温度に到達させることができるヒートポンプ式暖房装置を提供することに至った。
すなわち、本件発明に係るヒートポンプ式暖房装置は、低元側圧縮機、熱媒−冷媒熱交換器、カスケード熱交換器、低元側減圧手段、蒸発器を含む低元側冷凍回路を有する低元側ユニットと、高元側圧縮機、当該熱媒−冷媒熱交換器、高元側減圧手段、当該カスケード熱交換器を含む高元側冷凍回路を有する高元側ユニットとを備えた二元ヒートポンプユニットと、循環ポンプ、暖房端末、当該熱媒−冷媒熱交換器を含む熱媒回路を有する暖房ユニットと、当該二元ヒートポンプユニット及び当該暖房ユニットの制御手段とを備えたものであって、当該制御手段は、当該二元ヒートポンプユニットの起動時に、当該低元側圧縮機を運転し、当該高元側圧縮機を停止する一元運転を実行することを特徴とする。
本件発明のヒートポンプ式暖房装置は、さらに、前記暖房端末から流出した戻り熱媒温度を検出する戻り熱媒温度検出手段を備え、前記制御手段は、当該戻り熱媒温度の低温しきい値及び当該低温しきい値より高い高温しきい値をもって、当該戻り熱媒温度に基づき、前記一元運転と、前記低元側圧縮機と前記高元側圧縮機を運転する二元運転と、当該低元側圧縮機と当該高元側圧縮機を停止する待機運転との間での移行制御を実行することが好ましい。
また、本件発明のヒートポンプ式暖房装置において、前記暖房端末から流出した戻り熱媒温度を検出する戻り熱媒温度検出手段を備え、前記制御手段は、当該戻り熱媒温度の低温しきい値及び当該低温しきい値より高い高温しきい値をもって、当該戻り熱媒温度が当該低温しきい値より低い場合、又は、当該低温しきい値を下回った状態が所定時間継続した場合、前記高元側圧縮機を起動して、前記一元運転から二元運転に移行することが好ましい。
さらに、本件発明のヒートポンプ式暖房装置において、前記暖房端末へ送り出される往き熱媒温度を検出する往き温度検出手段を備え、前記制御手段は、当該往き熱媒温度が目標往き熱媒温度以上である場合に、前記一元運転から前記二元運転に移行することが好ましい。
また、本件発明のヒートポンプ式暖房装置において、前記制御手段は、前記戻り熱媒温度が前記高温しきい値以上となった場合、又は、当該高温しきい値以上の状態が所定時間継続した場合、前記一元運転からさらに前記低元側圧縮機を停止する待機運転に移行することが好ましい。
また、本件発明のヒートポンプ式暖房装置は、前記熱媒−冷媒熱交換器は、前記低元側冷凍回路を構成する低元側熱媒−冷媒熱交換器と、前記高元側冷凍回路を構成する高元側熱媒−冷媒熱交換器とを備え、前記熱媒回路は、前記暖房端末から流出した熱媒を当該低元側熱媒−冷媒熱交換器と当該高元側熱媒−冷媒熱交換器とに分流する分流調整手段とを備えることが好ましい。
さらに、本件発明のヒートポンプ式暖房装置において、前記低元側熱媒−冷媒熱交換器から前記暖房端末へ送り出される低元側往き熱媒温度を検出する低元側往き熱媒温度検出手段と、前記高元側熱媒−冷媒熱交換器から前記暖房端末へ送り出される高元側往き熱媒温度を検出する高元側往き熱媒温度検出手段とを備え、前記制御手段は、当該低元側往き熱媒温度と当該高元側往き熱媒温度との温度差を算出し、当該温度差が当該低元側往き熱媒温度と当該高元側往き熱媒温度との目標温度差を上回る場合、前記分流調整手段を制御することが好ましい。
ここで、前記制御手段は、前記高元側往き熱媒温度が、前記低温側往き熱媒温度よりも高い場合、前記分流調整手段を、前記低元側熱媒−冷媒熱交換器に流入する熱媒量が減少し、前記高元側熱媒−冷媒熱交換器に流入する熱媒量が増加する方向に制御することが好ましい。
さらに、前記制御手段は、前記低元側往き熱媒温度が、前記高元側往き熱媒温度よりも高い場合、前記分流調整手段を、前記低元側熱媒−冷媒熱交換器に流入する熱媒量が増加し、前記高元側熱媒−冷媒熱交換器に流入する熱媒量が減少する方向に制御することが好ましい。
また、本件発明のヒートポンプ式暖房装置において、前記暖房端末へ送り出される往き熱媒温度を検出する往き温度検出手段を備え、前記制御手段は、往き熱媒温度上限温度と、往き熱媒温度下限値とをもって、前記往き熱媒温度が、当該往き熱媒温度上限値を上回る場合、前記循環ポンプの回転数を上昇させる方向に制御し、当該往き熱媒温度下限値を下回る場合、前記循環ポンプの回転数を低下させる方向に制御することが好ましい。
上述した往き熱媒温度上限値と往き熱媒温度下限値とは、前記低段側圧縮機運転開始からの経過時間に対して設定されたものであることが更に好ましい。
本件発明に係るヒートポンプ式暖房装置によれば、二元ヒートポンプユニットの起動時に、低元側圧縮機を運転し、高元側圧縮機を停止する一元運転を実行することにより、低元側冷凍回路の冷凍サイクルを優先的に安定させることができる。その後、低元側冷凍回路の冷凍サイクルが安定し、蒸発器において十分に外気から熱をくみ上げることができるようになった後、さらに高元側圧縮機を運転する二元運転に移行することができる。よって、低元側ユニットと、高元側ユニットを起動時に同時に起動させる場合に比べて、COPの向上を図ることができる。また、二元ヒートポンプユニットの起動時に、一元運転を実行することにより、当該一元運転のみで暖房端末で必要とする暖房能力をまかなうことが可能な場合には、二元運転への移行を回避することができる。よって、暖房能力が一元運転のみでまかなうことが可能な場合には、二元運転を行わないため、より一層COPの向上を実現することができる。
また、本件発明では、暖房端末から流出した戻り熱媒温度に基づいて、一元運転から二元運転への移行や、一元運転から低元側圧縮機を停止する待機運転への移行制御を行う。よって、朝から日中にかけて外気温度が上昇してきた場合等には、制御手段は、戻り熱源温度に基づいて、二元運転から一元運転への移行や、一元運転から待機運転への移行を行うことができる。従って、戻り熱源温度が高くなった場合には、暖房能力を減らすことが可能となり、無駄に圧縮機を運転させる必要がなくなり、COPの向上を図ることができる。
さらに、本件発明では、低元側往き熱媒温度と高元側往き熱媒温度との温度差が、目標温度差を上回る場合、分流調整手段を制御して、低元側熱媒−冷媒熱交換器と、高元側熱媒−冷媒熱交換器とに流入する熱媒量を調整することができる。具体的には、温度差が目標温度差を上回る場合であって、高元側往き熱媒温度が、低温側往き熱媒温度よりも高い場合には、分流調整手段を、低元側熱媒−冷媒熱交換器に流入する熱媒量が減少し、高元側熱媒−冷媒熱交換器に流入する熱媒量が増加する方向に制御する。よって、低外気温時など、低元側冷凍回路の蒸発器において外気から熱のくみ上げが十分にできなくなった場合でも低元側熱媒−冷媒熱交換器における冷媒から熱媒への熱伝達率を維持することができる。その一方で、高元側熱媒−冷媒熱交換器に流入する熱媒量を増加させることで、暖房端末への熱媒循環量を確保することができる。
この際、低元側往き熱媒温度と高元側往き熱媒温度との温度差が、目標温度差を上回る場合に、当該分流量を調整する制御を行うため、当該目標温度差の範囲内で、低元側熱媒−冷媒熱交換器と高元側熱媒−冷媒熱交換器から流出する熱媒温度に差を設けることができる。従って、低元側熱媒−冷媒熱交換器から流出する熱媒の温度が低くなっても、高元側熱媒−冷媒熱交換器から流出する熱媒の温度が所定の温度差の範囲で高くなるため、合流後の熱媒温度を維持することができ、ヒートポンプ式暖房装置全体でのCOPの向上を実現することができる。
また、温度差が目標温度差を上回る場合であって、低元側往き熱媒温度が、高元側往き熱媒温度よりも高い場合には、分流調整手段を、低元側熱媒−冷媒熱交換器に流入する熱媒量が増加し、高元側熱媒−冷媒熱交換器に流入する熱媒量が減少する方向に制御する。よって、低元側冷凍回路の蒸発器において外気から熱のくみ上げが十分に得られるようになり、低元側熱媒−冷媒熱交換器から流出する熱媒の温度が上昇してきた場合には、低元側熱媒−冷媒熱交換器への熱媒の流入量を増加させることで、ヒートポンプ式暖房装置全体でのCOPの向上を実現することができる。
以下、本発明の実施の形態としてのヒートポンプ式暖房装置Hを図面に基づいて説明する。図1は本実施の形態としてのヒートポンプ式暖房装置Hの概略構成図を示している。本実施の形態のヒートポンプ式暖房装置Hは、低元側冷凍回路10を有する低元側ユニットと、高元側冷凍回路20を有する高元側ユニットとを備えた二元ヒートポンプユニット1と、暖房ユニット30と、これら二元ヒートポンプユニット1及び暖房ユニット30の制御装置(制御手段)2とを備えている。
低元側ユニットを構成する低元側冷凍回路10は、低元側圧縮機11と、低元側熱媒−冷媒熱交換器12と、カスケード熱交換器13と、低元側減圧手段としての低元側膨張弁14と、蒸発器15とが、順次環状に配管接続して構成され、当該冷凍回路10中には所定量の冷媒が封入されている。低元側熱媒−冷媒熱交換器12は、低元側冷凍回路10内を流れる冷媒と、暖房ユニット30を構成する熱媒回路32内を流れる熱媒としての温水(水)とが熱交換可能に構成される。カスケード熱交換器13は、低元側冷凍回路10内を流れる冷媒と、高元側冷凍回路20内を流れる冷媒とが熱交換可能に構成される。そして、蒸発器15は、近傍に設置された蒸発器用送風機16により通風される空気から熱を奪って冷媒を蒸発させる空冷方式を採用する。
当該低元側冷凍回路10では、低元側圧縮機11が運転されると、低元側圧縮機11にて圧縮されて高温高圧となった冷媒は、低元側熱媒−冷媒熱交換器12において、暖房ユニット30の熱媒回路32を流れる熱媒と熱交換する。その後、低元側熱媒−冷媒熱交換器12を流出した冷媒は、カスケード熱交換器13において、高元側冷媒回路20を流れる冷媒と熱交換することにより、高元側冷凍回路20の吸熱源として利用される。次いで、カスケード熱交換器13を流出した冷媒は、低元側膨張弁14にて減圧された後、蒸発器15内に流入する。当該蒸発器15内に流入した冷媒は、外気と熱交換することにより、外気から熱をくみ上げて蒸発し、冷媒ガスとして低元側圧縮機11に帰還する。
高元側ユニットを構成する高元側冷凍回路20は、高元側圧縮機21と、高元側熱媒−冷媒熱交換器22と、高元側減圧手段としての高元側膨張弁23と、上述したカスケード熱交換器13とが、順次環状に配管接続して構成され、当該冷凍回路中には所定量の冷媒が封入されている。なお、これら低元側冷凍回路10及び高元側冷凍回路20内に封入される冷媒としては、例えば二酸化炭素を用いることが好ましい。しかし、本件発明におけるヒートポンプ式暖房装置において採用する冷媒は、二酸化炭素に限定されるものではなく、いずれの冷媒を用いることができる。
当該高元側冷凍回路20では、高元側圧縮機21が運転されると、高元側圧縮機21にて圧縮されて高温高圧となった冷媒は、高元側熱媒−冷媒熱交換器22において、暖房ユニット30の熱媒回路32を流れる熱媒と熱交換する。その後、高元側熱媒−冷媒熱交換器22を流出した冷媒は、高元側膨張弁23にて減圧された後、カスケード熱交換器13に流入する。カスケード熱交換器13に流入した冷媒は、低元側冷媒回路10を流れる冷媒と熱交換することにより、低元側冷媒回路から熱をくみ上げて蒸発し、冷媒ガスとして高元側圧縮機21に帰還する。
暖房ユニット30は、暖房端末31に熱媒としての温水(水)を循環供給するものである。暖房端末31としては、例えば住宅の各部屋等に設置されたパネルヒータや、床下に配設されたパイプに熱媒を流通させる床暖房ユニットを挙げることができる。当該暖房端末31は、複数のパネルヒータやパイプ等を熱媒が直列に流れる一管式に限らず、並列に流れる複数管式であってもよい。本実施の形態では、熱媒として湯水(水)を例に挙げて説明しているが、これに限定されるものではなく、例えば不凍液などであってもよい。
当該暖房ユニット30は、上述した暖房端末31と、分流調整手段としての三方弁33と、低元側熱媒−冷媒熱交換器12と、高元側熱媒−冷媒熱交換器22と、混合タンク34と、循環ポンプ35とが環状に配管接続された熱媒回路32により構成されている。当該熱媒回路32において、低元側熱媒−冷媒熱交換器12と、高元側熱媒−冷媒熱交換器22とは、三方弁33と混合タンク34との間に位置して、並列に接続されている。具体的には、三方弁33の一方の熱媒流出側には、低元側熱媒−冷媒熱交換器12が介設された熱媒循環路37が接続されると共に、三方弁33の他方の熱媒流出側には、高元側熱媒−冷媒熱交換器22が介設された熱媒循環路38が接続される。そして、各熱媒−冷媒熱交換器が介設された熱媒循環路37及び38の熱媒出口側は、いずれも混合タンク34に接続されている。なお、これら熱媒循環路37及び熱媒循環路38は、直接混合タンク34に接続されていても、一旦合流した後に混合タンク34に接続されていてもいずれであってもよい。
図中、39は、本実施の形態における暖房ユニット30の熱媒循環路32に設けられる膨張タンクであり、40は、補助用の電気ヒータである。膨張タンク39は、熱媒循環路32内を循環する熱媒量を調整する緩衝用のタンクである。補助用の電気ヒータ40は、熱媒回路32の循環ポンプ35の熱媒流出側に設けられて、暖房負荷が大きい場合に、ヒートポンプユニット1の暖房能力を補うために設けられるものである。本実施の形態では、補助用の電気ヒータ40が設けられているが、当該電気ヒータ40は、ヒートポンプユニット1本体に外付け可能なものであり、要求される暖房負荷によって設置可能である。
当該暖房ユニット30では、循環ポンプ35が運転されることにより、循環ポンプ35から送出された熱媒は、暖房端末31内に流入し、当該暖房端末31から流出した熱媒回路32内の熱媒は、三方弁33において熱媒循環路37と熱媒循環路38とに当該三方弁33の開度に応じて分流される。熱媒循環路37内に流入した熱媒は、低元側熱媒−冷媒熱交換器12に流入し、低元側冷凍回路10を流れる冷媒と熱交換する。熱媒循環路38内に流入した熱媒は、高元側熱媒−冷媒熱交換器22に流入し、高元側冷凍回路20を流れる冷媒と熱交換する。各熱交換器12又は22から流出した熱媒は、混合タンク34において合流し、循環ポンプ35に帰還する。当該循環ポンプ35の運転により、低元側熱媒−冷媒熱交換器12及び又は高元側熱媒−冷媒熱交換器22により加熱された熱媒は、暖房端末31において熱源として利用される。
次に、上述した低元側冷凍回路10を有する低元側ユニットと、高元側冷凍回路20を有する高元側ユニットとを備えた二元ヒートポンプユニット1と、暖房ユニット30とを制御する制御装置2について図2の制御ブロック図を参照して説明する。制御装置2は、汎用のマイクロコンピュータにより構成されており、記憶手段としてのメモリ41と、次元手段としてのタイマ42等を備えている。
そして、当該制御装置2の入力側には、外気温度を検出する外気温センサ50と、低元側圧縮機11の吐出温度を検出する低元側吐出温度センサ51と、高元側圧縮機21の吐出温度を検出する高元側吐出温度センサ52と、低元側熱媒−冷媒熱交換器12から暖房端末31へ送り出される低元側往き熱媒温度を検出する低元側往き熱媒温度センサ(低元側往き熱媒温度検出手段)53と、高元側熱媒−冷媒熱交換器22から暖房端末31へ送り出される高元側往き熱媒温度を検出する高元側往き熱媒温度センサ(高元側往き熱媒温度検出手段)54と、低元側熱媒−冷媒熱交換器12から流出した熱媒と高元側熱媒−冷媒熱交換器22から流出した熱媒とが合流した後の暖房端末31へ送り出される往き熱媒温度を検出する往き熱媒温度センサ(往き温度検出手段)55と、暖房端末31から流出した戻り熱媒温度を検出する戻り熱媒温度センサ(戻り熱媒温度検出手段)56と、各種の設定を行う入力手段としてのコントロールパネル60等が接続されている。
また、当該制御装置2の出力側には、低元側圧縮機11と、低元側膨張弁14と、高元側圧縮機21と、高元側膨張弁23と、蒸発器用送風機16と、循環ポンプ35、三方弁33と、補助用の電気ヒータ40等が接続されている。
本実施の形態では、低元側圧縮機11と、高元側圧縮機21は、それぞれインバータを介して接続されている。よって、制御装置2は、これら圧縮機11、21の運転/停止制御を行うと共に、圧縮機の運転周波数をリニアに制御可能とする。また、循環ポンプ35もインバータを介して接続されている。制御装置2は、当該循環ポンプ35の運転/停止制御を行うと共に、循環ポンプ35の回転数を所定の下限値から上限値の間でリニアに制御可能とする。
また、低元側膨張弁14と、高元側膨張弁23は、いわゆる電子膨張弁であり、制御装置2により発生する駆動パルスに基づいて、ステッピングモータによって弁開度が駆動制御可能とされる。さらに、三方弁33についても、制御装置2により発生する駆動パルスに基づき、ステッピングモータによって、弁開度をリニアに制御することができる。本実施の形態では、三方弁33の弁開度は、低元側熱媒−冷媒熱交換器12側(熱媒循環路37側)を全開とし、高元側熱媒−冷媒熱交換器22側(熱媒循環路38側)を全閉とする所定のパルスから、低元側熱媒−冷媒熱交換器12側(熱媒循環路37側)を全閉とし、高元側熱媒−冷媒熱交換器22側(熱媒循環路38側)を全開とする所定のパルスの間でリニアに制御可能とすることができる。
以上の構成で、次に本実施の形態のヒートポンプ式暖房装置Hの動作について図3〜図9のフローチャートを参照して説明する。本実施の形態のヒートポンプ式暖房装置Hは、二元ヒートポンプユニット1の起動時に、低元側圧縮機11を運転し、高元側圧縮機21を停止する一元運転を実行することを特徴とするものであり、その後、戻り熱媒温度に基づいて、当該一元運転と、低元側圧縮機11と高元側圧縮機21を運転する二元運転と、低元側圧縮機11と高元側圧縮機21を停止する待機運転との間での移行制御を実行するものである。
まずはじめに、本実施の形態のヒートポンプ式暖房装置Hの制御動作の概略について図3を参照して説明し、その後、各制御について詳細に説明する。まず、制御装置2は、ステップAにおいて、起動時に一元運転を実行する起動時制御を実行し、その後、ステップBに進んで、戻り熱媒温度に基づく安定時制御を実行する。当該安定時制御において二元ヒートポンプユニット1の運転を停止すると判断した場合には、ステップCに進んで、二元ヒートポンプユニット1の運転を停止する待機運転とし、再起動の有無を判断する断続制御を実行する。以下、本実施の形態のヒートポンプ式暖房装置Hの動作について、起動時制御と、安定時制御と、断続制御とに分けて説明する。その後、当該起動時制御及び安定時制御の実行時に、並行して実行する熱媒循環量制御について説明する。
(1)起動時制御
図4のフローチャートを参照して、本実施の形態のヒートポンプ式暖房装置Hの起動時制御について説明する。本実施の形態のヒートポンプ式暖房装置Hでは、暖房端末31へ送り出される往き熱媒温度は、コントロールパネル60で所定の温度範囲で任意に設定可能とされている。設定可能な往き熱媒温度範囲としては、例えば、40℃〜70℃とする。当該設定可能な往き熱媒温度範囲は、これに限定されるものではなく、ヒートポンプ式暖房装置Hの使用環境などに応じて任意に決定することができる。
図4のフローチャートを参照して、本実施の形態のヒートポンプ式暖房装置Hの起動時制御について説明する。本実施の形態のヒートポンプ式暖房装置Hでは、暖房端末31へ送り出される往き熱媒温度は、コントロールパネル60で所定の温度範囲で任意に設定可能とされている。設定可能な往き熱媒温度範囲としては、例えば、40℃〜70℃とする。当該設定可能な往き熱媒温度範囲は、これに限定されるものではなく、ヒートポンプ式暖房装置Hの使用環境などに応じて任意に決定することができる。
図4に示すように、制御装置2は、当該起動時制御において、まずはじめに、ステップS1において、現在設定されている往き熱媒温度が基準温度(例えば、55℃)を上回るか否か判断する。当該基準温度は55℃に限定されるものではなく、任意に設定することが可能である。現在設定されている往き熱媒温度が基準温度を上回る場合には、制御装置2は、ステップS2に進み、現在の戻り熱媒温度が所定の低温、例えば30℃以下であるか否かを判断する。現在の戻り熱媒温度が所定の低温以下である場合には、ステップS3に進み、制御装置2は、ステップS1とステップS2の判断から、現在設定されている往き熱媒温度と、現在の戻り熱媒温度との差が大きいとみなして、往き熱媒温度の設定温度を基準温度に設定し、ステップS4に進む。
ステップS1において現在設定されている往き熱媒温度が基準温度以下である場合及び、ステップS2において現在の戻り熱媒温度が所定の低温を上回る場合には、制御装置2は、ステップS1又は当該ステップS1及びステップS2の判断から、現在設定されている往き熱媒温度と、現在の戻り熱媒温度との差が設定往き熱媒温度の変更を必要としない温度範囲内であると判断して、設定されている往き熱媒温度の変更を行うことなく、ステップS4に進む。
制御装置2は、ステップS4において、初期温度設定を行う。具体的には、現在設定されている往き熱媒温度に基づいて、目標戻り熱媒温度と、低元側圧縮機11の目標吐出温度を設定する。なお、往き熱媒温度に関しては、当然に現在設定されている往き熱媒温度が目標往き熱媒温度とされる。
そして、制御装置2は、ステップS5に進み、当該ステップS5において、三方弁33の開度を低元側熱媒−冷媒熱交換器12に流入する熱媒循環路37側を全開とし、高元側熱媒−冷媒熱交換器22に流入する熱媒循環路38側を全閉とする。よって、当該起動時制御により熱媒回路32内を流れる熱媒は、高元側熱媒−冷媒熱交換器22が設けられた熱媒循環路38側に流れることなく、循環ポンプ35、暖房端末31、三方弁33、低元側熱媒−冷媒熱交換器12、混合タンク34を順次循環する。
次に、制御装置2は、ステップS6に進み、各種機器の初期設定を行う。具体的には、制御装置2は、循環ポンプ35の回転数、蒸発器用送風機16の回転数、低元側膨張弁14の開度の初期設定を行う。循環ポンプ35の回転数の初期設定は、制御装置2のメモリ41に予め記憶された設定往き熱媒温度に応じた循環ポンプ初期回転数から取得することができる。蒸発器用送風機16の回転数の初期設定は、制御装置2のメモリ41に予め記憶された現在外気温度に応じた蒸発器用送風機初期回転数から取得することができる。低元側膨張弁14の開度の初期設定についても、制御装置2のメモリ41に予め記憶された現在外気温度に応じた低元側膨張弁初期開度から取得することができる。
そして、制御装置2は、ステップS7に進み、低元側圧縮機11を運転し、高元側圧縮機21を停止したままとする一元運転により、二元ヒートポンプユニット1を起動する。このとき、制御装置2は、低元側圧縮機11の運転周波数が、メモリ41に予め記憶された現在外気温度に応じた目標周波数となるように、当該低元側圧縮機11の運転周波数を制御する。その後、制御装置2は、ステップS8に進み、現在実行している一元運転が安定しているか否かを判断し、当該一元運転が安定したと判断された場合、当該起動時制御を終了して、ステップBに進み、安定時制御に移行する。
当該ステップS8における一元運転が安定したとの判断は、例えば、暖房端末31へ送り出される合流後の往き熱媒温度が目標往き熱媒温度に達してから所定時間が経過したことや、現在の低元側圧縮機11からの冷媒吐出温度が、上述した低元側圧縮機11の目標吐出温度に達してから所定時間が経過していることを条件としてもよい。これ以外にも、低元側圧縮機11の起動開始からの経過時間が、所定時間を経過していること、低元側圧縮機11の吐出温度が所定の下限値を上回っていること等を条件としてもよい。いずれの場合であって、一元運転が安定することで、低元側冷凍回路10の蒸発器15において外気から熱のくみ上げが十分に得られるような状況となったことを条件として、制御装置2は、当該起動時制御からステップBに進み、安定時制御に移行する。
(2)安定時制御
次に、図5及び図6のフローチャートを参照して、本実施の形態のヒートポンプ式暖房装置Hの安定時制御について説明する。当該安定時制御では、制御装置2は、メモリ41に予め記憶された戻り熱媒温度の低温しきい値及び当該低温しきい値より高い高温しきい値をもって、暖房端末31から流出した現在の戻り熱媒温度に基づき、一元運転と、低元側圧縮機11と高元側圧縮機21を運転する二元運転と、低元側圧縮機11と高元側圧縮機21を停止する待機運転との間での移行制御を実行する。なお、本実施の形態では、ヒートポンプ式暖房装置Hが補助用の電気ヒータ40を備えているため、当該補助用の電気ヒータ40の通電制御も含めた安定時制御について説明する。
次に、図5及び図6のフローチャートを参照して、本実施の形態のヒートポンプ式暖房装置Hの安定時制御について説明する。当該安定時制御では、制御装置2は、メモリ41に予め記憶された戻り熱媒温度の低温しきい値及び当該低温しきい値より高い高温しきい値をもって、暖房端末31から流出した現在の戻り熱媒温度に基づき、一元運転と、低元側圧縮機11と高元側圧縮機21を運転する二元運転と、低元側圧縮機11と高元側圧縮機21を停止する待機運転との間での移行制御を実行する。なお、本実施の形態では、ヒートポンプ式暖房装置Hが補助用の電気ヒータ40を備えているため、当該補助用の電気ヒータ40の通電制御も含めた安定時制御について説明する。
まずはじめに、制御装置2は、ステップS10において、暖房端末31から流出した現在の戻り熱媒温度が、上述した所定の高温しきい値以上であるか否かを判断する。制御装置2は、ステップS10において、現在の戻り熱媒温度が、高温しきい値を下回る場合には、ステップS11に進む。そして、制御装置2は、当該ステップS11において、さらに、現在の戻り熱媒温度が、上述した所定の低温しきい値を下回るか否かを判断する。
制御装置2は、ステップS11において現在の戻り熱媒温度が、当該低温しきい値以上であると判断した場合に、現在の運転を維持してステップS10に戻る。よって、本実施の形態では、現在の戻り熱媒温度が、高温しきい値より低く低温しきい値以上である場合には、現在の二元ヒートポンプユニット1の運転状態が安定していると判断して、一元運転を行っているときは一元運転を継続し、二元運転を行っているときは二元運転を継続し、補助用の電気ヒータ30の通電状態も現在の状態を継続する。
一方、制御装置2は、ステップS10とステップS11において、現在の戻り熱媒温度が、所定の高温しきい値のみならず、低温しきい値をも下回ると判断した場合には、ステップS12に進む。
当該ステップS12において、制御装置2は、現在の二元ヒートポンプユニット1の運転状況が低元側圧縮機11のみならず、高元側圧縮機21をも運転している二元運転であるか否かを判断する。起動時制御から安定時制御に移行したばかりの状態では、低元側圧縮機11のみを運転し、高元側圧縮機21を停止した一元運転を行っているため、制御装置2は、ステップS13に進む。
ステップS13において、制御装置2は、高元側圧縮機21が運転を停止した状態から所定時間が経過しているか否かを判断する。起動時制御から安定時制御に移行したばかりの状態では、頻繁な高元側圧縮機21の発停を回避するために設定された所定時間を十分に経過しているものと判断することができるため、制御装置2は、ステップS14に進む。なお、当該ステップS13において、高元側圧縮機21が運転を停止した状態から所定時間が経過していないと判断した場合には、ステップS14に進むことなく、ステップS10に戻る。
当該ステップS14において、制御装置2は、現在の低元側圧縮機11のみを運転している一元運転から、さらに高元側圧縮機21を運転する二元運転に移行し、再びステップS10に戻る。
よって、制御装置2は、戻り熱媒温度が高温しきい値のみならず、低温しきい値よりも低い場合には、一元運転のみでは、暖房能力が不足していると判断して、さらに高元側圧縮機21を起動して一元運転から二元運転に移行する制御を行うことが可能となる。従って、暖房端末31から流出してきた熱媒の戻り温度に基づいて、暖房端末31における暖房能力の不足を判断し、円滑に、一元運転から二元運転に移行させて、効率的な暖房運転を実現することができる。
特に、本実施の形態では、制御装置2は、上述した起動時制御において、暖房端末31へ送り出される合流後の往き熱媒温度に基づき、当該往き熱媒温度が目標往き熱媒温度以上となったことを条件として、一元運転が安定したものと判断し安定時制御に移行している。すなわち、本実施の形態では、起動時における一元運転が安定した状態となり、低元側冷凍回路10の蒸発器15において外気から熱のくみ上げが十分に得られるような状況となったことを条件として、起動時制御から安定時制御に移行している。よって、当該安定時制御において、戻り熱媒温度が低温しきい値よりも低いと判断されたときに、支障なく一元運転から二元運転へと移行させて、効率的な暖房運転を実現することが可能となる。
なお、本実施の形態では、制御装置2は、戻り熱媒温度が低温しきい値より低いと判断した時点で、一元運転から二元運転に移行しているが、本件発明は、これに限定されるものではなく、戻り熱媒温度が低温しきい値を下回った状態が所定時間継続した場合に、一元運転から二元運転に移行するものとしてもよい。この場合、一元運転と二元運転との間で頻繁に運転状況が切り替わる不都合を防止することが可能となる。
上述したように、一元運転から二元運転に移行したにもかかわらず、当該安定時制御のステップS10及びステップS11において、現在の戻り熱媒温度が、所定の高温しきい値のみならず、低温しきい値をも下回ると判断した場合には、ステップS12に進み、当該ステップS12において、二元運転であると判断して、ステップS15に進む。
ステップS15では、制御装置2は、当該二元ヒートポンプユニット1が補助用の電気ヒータ40を備えているか否かを判断する。本実施の形態では、二元ヒートポンプユニット1が補助用の電気ヒータ40を備えているため、制御装置2は、ステップS16に進む。ステップS16において、制御装置2は、高元側圧縮機21が運転を開始してから所定時間が経過しているか否かを判断する。起動時制御から安定時制御に移行したばかりの状態では、頻繁な高元側圧縮機21の発停を回避するために設定された所定時間を十分に経過しているものと判断することができるため、制御装置2は、ステップS17に進む。なお、当該ステップS16において、高元側圧縮機21が運転を開始したから所定時間が経過していないと判断した場合には、ステップS17に進むことなく、ステップS10に戻る。
ステップS17において、制御装置2は、補助用の電気ヒータ40をONとしてステップS10に戻る。よって、2元運転を行っているにもかかわらず、暖房端末31における暖房能力が不足していると判断した場合には、補助用の電気ヒータ40をONとすることにより、当該電気ヒータ40により暖房端末31へ送り出す熱媒を補助的に加熱し、暖房能力を補うことができる。
上述した安定時制御を繰り返し実行することにより、現在の戻り熱媒温度が上述した所定の高温しきい値以上にまで上昇した場合、制御装置2は、ステップS10において、当該戻り熱媒温度が、高温しきい値以上であると判断して、ステップS18に進む。ステップS18において、制御装置2は、現在の二元ヒートポンプユニット1の運転状況が低元側圧縮機11のみならず、高元側圧縮機21をも運転している二元運転であるか否かを判断する。現在、二元運転である場合には、制御装置2は、ステップS19に進む。
ステップS19において、制御装置2は、補助用の電気ヒータ40が通電状態であるか否かを判断し、通電(ON)状態である場合には、ステップS20に進む。ステップS20において、現在の熱媒戻り温度が上述した高温しきい値以上となってから所定時間が経過しているか否かを判断する。熱媒戻り温度が高温しきい値を超えたばかりのときは、すぐに電気ヒータ40の通電を停止してしまうことを回避するために設定された所定時間を経過していないと判断することができるため、制御装置2は、電気ヒータ40の通電状態を維持したまま、ステップS20からステップS10に戻る。
ステップS20において、制御装置2が、現在の熱媒戻り温度が上述した高温しきい値以上となってから所定時間が経過していると判断した場合には、制御装置2はステップS21に進み、補助用の電気ヒータ40の通電を停止(OFF)して、ステップS10に戻る。すなわち、補助用の電気ヒータ40を通電している場合には、通電を停止することにより、暖房端末31への暖房能力を下げる。
補助用の電気ヒータ40の通電を停止しているにもかかわらず、ステップS10において、制御装置2が、現在の戻り熱媒温度が、上述の高温しきい値以上であると判断した場合には、ステップS18に進み、二元運転であるか否かを判断する。二元運転を維持している場合には、ステップS18からステップS19に進み、補助用の電気ヒータ40が通電状態であるか否かを判断し、通電状態でない(OFF)場合には、ステップS22に進む。当該ステップS22において、制御装置2は、高元側圧縮機21が運転を開始してから所定時間が経過しているか、及び、現在の熱媒戻り温度が上述した高温しきい値以上となってから所定時間が経過しているか否かを判断する。頻繁な高元側圧縮機21の発停を回避するために設定された所定時間を十分に経過しているものと判断し、さらに、すぐに二元運転から一元運転に移行してしまう不都合を回避するために設定された所定時間を経過したと判断した場合には、制御装置2は、ステップS23に進む。
ステップS23において、制御装置2は、低元側圧縮機11と高元側圧縮機21の両者を運転する二元運転から高元側圧縮機21の運転を停止し、低元側圧縮機11のみを運転する一元運転に移行し、ステップS10に戻る。なお、ステップS22において、高元側圧縮機21を運転開始してからの時間と、戻り熱媒温度が高温しきい値以上となってからの時間がそれぞれに設定された所定時間を経過していない場合には、ステップS23に進むことなく、ステップS10に戻る。
よって、制御装置2は、戻り熱媒温度が高温しきい値以上となってから所定時間が経過した場合には、補助用の電気ヒータ40の通電を行わない二元運転では、暖房能力が過剰となっていると判断して、高元側圧縮機21を停止して二元運転から一元運転に移行する制御を行うことが可能となる。従って、暖房端末31から流出してきた熱媒の戻り温度に基づいて、暖房端末31における暖房能力の過剰状態を判断し、円滑に、二元運転から一元運転に移行させて、効率的な暖房運転を実現することができる。
一元運転に移行しているにもかかわらず、ステップS10において、制御装置2が、現在の戻り熱媒温度が、上述の高温しきい値以上であると判断した場合には、ステップS18に進み、二元運転であるか否かを判断する。一元運転に移行しているので、制御装置2は、ステップS18からステップS24に進む。当該ステップS24において、制御装置2は、現在の熱媒戻り温度が上述した高温しきい値以上となってから所定時間が経過しているか否かを判断する。すぐに一元運転から低元側圧縮機11の運転を停止してしまう定期運転に移行してしまう不都合を回避するために設定された所定時間を経過したと判断した場合には、制御装置2は、当該安定時制御を終了して、ステップCに進み、待機運転を行う断続制御に移行する。なお、ステップS24において、戻り熱媒温度が高温しきい値以上となってからの時間が所定時間を経過していない場合には、断続制御に移行することなく、ステップS10に戻る。
よって、制御装置2は、戻り熱媒温度が高温しきい値以上となってから所定時間が経過した場合には、当該一元運転では、暖房能力が過剰となっていると判断して、一元運転からさらに低元側圧縮機11の運転を停止する待機運転に移行する制御を行うことが可能となる。従って、暖房端末31から流出してきた熱媒の戻り温度に基づいて、暖房端末31における暖房能力の過剰状態を判断し、円滑に、一元運転から待機運転に移行させて、効率的な暖房運転を実現することができる。
なお、本実施の形態では、制御装置2は、戻り熱媒温度が高温しきい値以上となった状態が所定時間継続した場合に、一元運転から更に低元側圧縮機11の運転の運転を停止する待機運転に移行しているが、これに限定されるものではなく、例えば、戻り熱媒温度が高温しきい値以上となった場合に、一元運転から待機運転に移行してもよい。
(3)断続制御
次に、図7のフローチャートを参照して、本実施の形態のヒートポンプ式暖房装置Hの断続制御について説明する。当該断続制御では、制御装置2は、すべての圧縮機、具体的には、現在運転している低元側圧縮機11の運転を停止し、メモリ41に予め記憶された運転を復帰させるための戻り熱媒温度の上述した低温しきい値をもって、上述した起動時制御との間での移行制御を実行する。以下に、本実施の形態における断続制御の詳細について説明する。
次に、図7のフローチャートを参照して、本実施の形態のヒートポンプ式暖房装置Hの断続制御について説明する。当該断続制御では、制御装置2は、すべての圧縮機、具体的には、現在運転している低元側圧縮機11の運転を停止し、メモリ41に予め記憶された運転を復帰させるための戻り熱媒温度の上述した低温しきい値をもって、上述した起動時制御との間での移行制御を実行する。以下に、本実施の形態における断続制御の詳細について説明する。
まずはじめに、制御装置2は、ステップS30において、現在運転している低元側圧縮機11の運転を停止する。その後、制御装置2は、ステップS31に進み、暖房端末31から流出した現在の戻り熱媒温度が、上述した所定の低温しきい値以下であるか否かを判断する。制御装置2は、当該ステップS31において、現在の戻り熱媒温度が、当該低温しきい値以下であると判断した場合には、ステップS32に進み、前回低元側圧縮機11を停止してから所定時間が経過したか否かを判断する。制御装置2は、当該ステップS32において、前回低元側圧縮機11を停止してから所定時間が経過した場合には、断続制御を終了して、ステップAに戻り、上述した起動時制御に移行する。
そして、断続制御から再び起動時制御に移行した場合にも、上述したようなヒートポンプ式暖房装置H自体の電源投入後の制御と同様に、低元側圧縮機11を運転し、高元側圧縮機21を停止する一元運転を実行する。よって、ヒートポンプ式暖房装置Hの電源投入後の起動時のみならず、断続制御から起動時制御に移行した場合の二元ヒートポンプユニットの運転復帰時にも、一元運転を実行して低元側冷凍回路の冷凍サイクルを優先的に安定させることができる。
従って、本件発明を適用した本実施の形態のヒートポンプ式暖房装置Hによれば、低元側ユニットと、高元側ユニットを起動時に同時に起動させる場合に比べて、COPの向上を図ることができる。また、二元ヒートポンプユニットの起動時に、一元運転を実行することにより、当該一元運転のみで暖房端末で必要とする暖房能力をまかなうことが可能な場合には、二元運転への移行を回避することができる。よって、暖房能力が一元運転のみでまかなうことが可能な場合には、二元運転を行わないため、より一層COPの向上を実現することができる。
(4)熱媒循環量制御
次に、上述した起動時制御及び安定時制御の実行時に、これらの制御と並行して実行する熱媒循環量制御について説明する。当該熱媒循環量制御において制御装置2は、メモリ41に予め記憶された低元側往き熱媒温度と高元側往き熱媒温度との目標温度差をもって、現在の低元側往き熱媒温度と現在の高元側往き熱媒温度との温度差を算出し、当該温度差が、上述の目標温度差を上回る場合、三方弁の開度を制御する。なお、当該熱媒循環量制御は、上述した如き起動時に低元側圧縮機11のみを運転する一元運転を行う制御を実行する二元ヒートポンプユニット1のみに限定されるものではない。すなわち、当該熱媒循環量制御は、起動時において一元運転ではなく、二元運転を実行する二元ヒートポンプユニットにおいても適用することが可能である。以下に、当該熱媒循環量制御の詳細について、図8のフローチャートを参照して説明する。
次に、上述した起動時制御及び安定時制御の実行時に、これらの制御と並行して実行する熱媒循環量制御について説明する。当該熱媒循環量制御において制御装置2は、メモリ41に予め記憶された低元側往き熱媒温度と高元側往き熱媒温度との目標温度差をもって、現在の低元側往き熱媒温度と現在の高元側往き熱媒温度との温度差を算出し、当該温度差が、上述の目標温度差を上回る場合、三方弁の開度を制御する。なお、当該熱媒循環量制御は、上述した如き起動時に低元側圧縮機11のみを運転する一元運転を行う制御を実行する二元ヒートポンプユニット1のみに限定されるものではない。すなわち、当該熱媒循環量制御は、起動時において一元運転ではなく、二元運転を実行する二元ヒートポンプユニットにおいても適用することが可能である。以下に、当該熱媒循環量制御の詳細について、図8のフローチャートを参照して説明する。
図8に示すように、制御装置2は、当該熱媒循環量制御において、まずはじめに、ステップS40において、暖房端末31へ送り出される現在の往き熱媒温度を取得する。その後、ステップS41において、低元側圧縮機11の運転を開始してからの経過時間を取得する。
そして、制御装置2は、ステップS42に進み、低元側圧縮機11の運転開始からの経過時間に対する往き熱媒温度上限値と、往き熱媒温度下限値と、往き熱媒温度中央値とを算出する。これら上限値、下限値、中央値は、予め制御装置2のメモリ41に記憶された計算式に、ステップS41にて取得した低元側圧縮機11の運転を開始してからの経過時間を代入することにより算出する。
その後、制御装置2は、ステップS43に進み、ステップS40で取得した現在の往き熱媒温度がステップS42で算出した往き熱媒温度上限値と、往き熱媒温度下限値との間であるか否かを判断する。
当該ステップS43において、現在の往き熱媒温度が、ステップS42で算出した往き熱媒温度上限値と往き熱媒温度下限値との間にない場合、すなわち、現在の往き熱媒温度が、往き熱媒温度上限値より高い場合、若しくは、往き熱媒温度下限値より低い場合には、ステップS44に進む。
ステップS44において、制御装置2は、ステップS42で算出した往き熱媒温度中央値から現在の往き熱媒温度を減算して、当該往き熱媒温度中央値と現在の往き熱媒温度ととの差を算出する。
そして、制御装置2は、ステップS45に進み、メモリ41に予め記憶された往き熱媒温度中央値との差に応じた循環ポンプ35の回転数調整量に基づき、ステップS44により算出された往き熱媒温度中央値と現在の往き熱媒温度との差から循環ポンプ35の回転数調整量を取得する。当該循環ポンプ35の回転数調整量は、往き熱媒温度が往き熱媒温度上限値を上回る場合、循環ポンプ35の回転数を上昇させる調整量とされている。この場合、現在の往き熱媒温度が往き熱媒温度中央値との差が大きいほど、循環ポンプ35の追加回転数が大きくなるように設定されているものとする。そして、当該循環ポンプ35の回転数調整量は、往き熱媒温度が往き熱媒温度下限値を下回る場合、循環ポンプ35の回転数を低下させる調整量とされている。
その後、制御装置2は、ステップS46に進み、ステップS45において取得した循環ポンプ35の回転数調整量に基づいて、循環ポンプ35の回転数を調整する。従って、往き熱媒温度が往き熱媒温度上限値よりも高い場合、循環ポンプ35は回転数を上昇させる方向に制御される。よって、往き熱媒温度が低元側圧縮機11の運転開始からの経過時間に応じた目標往き熱媒温度よりも高い場合には、循環ポンプ35の回転数をはやめ、熱媒循環量を増加させることにより、当該熱媒を冷ますことが可能となる。また、往き熱媒温度が低元側圧縮機11の運転開始からの経過時間に応じた目標往き熱媒温度よりも低い場合には、循環ポンプ35の回転数を低下させることで、熱媒循環量を減少させることにより、当該熱媒を二元ヒートポンプユニット1により効率的に加熱させることが可能となる。
そして、制御装置2は、ステップS46において循環ポンプ35の回転数調整を行った後、ステップS47に進む。なお、上述したステップS43において、ステップS40で取得した現在の往き熱媒温度がステップS42で算出した往き熱媒温度上限値と、往き熱媒温度下限値との間である場合には、上述した循環ポンプ35の回転数調整を行うことなくステップS47に進む。
ステップS47において、制御装置2は、2元ヒートポンプユニット1が現在、上述した2元運転を行っているか否かを判断する。制御装置2は、ステップS47において、現在2元ヒートポンプユニット1が2元運転ではない、すなわち、1元運転であると判断した場合には、三方弁33の制御は必要でないため、ステップS40に戻る。一方、制御装置2は、ステップS47において、現在、2元ヒートポンプユニット1が2元運転であると判断した場合には、ステップS48に進み、低元側熱媒−冷媒熱交換器12から暖房端末31へ送り出される現在の低元側往き熱媒温度を取得する。その後、ステップS49に進み、制御装置2は、高元側熱媒−冷媒熱交換器22から暖房端末31へ送り出される高元側往き熱媒温度を取得する。
その後、制御装置2は、ステップS50に進み、現在の低元側往き熱媒温度から現在の高元側往き熱媒温度を減算して、当該低元側往き熱媒温度と高元側往き熱媒温度との温度差を算出する。
そして、制御装置2は、ステップS51に進み、ステップS50において算出した低元側往き熱媒温度と高元側往き熱媒温度との温度差が所定の目標温度差、例えば、30deg以内の範囲であるか否かを判断する。ステップS51において、低元側往き熱媒温度と高元側往き熱媒温度との差が30degの範囲内であると判断した場合には、ステップS52に進み、現在の低元側往き熱媒温度が高元側往き熱媒温度以下であるか否かを判断する。なお、制御装置2は、ステップS50において算出した低元側往き熱媒温度と高元側往き熱媒温度との温度差が所定の目標温度差よりも大きい所定の異常温度差であると判断した場合には、低元側ユニット又は高元側ユニットに冷媒漏れ等の重大な異常が発生したと判断し、所定の警報動作を行うことが好ましい。
制御装置2は、ステップS52において、高元側往き熱媒温度が低元側往き熱媒温度より高いと判断した場合には、ステップS53に進み、低元側熱媒−冷媒熱交換器12から流出する熱媒の温度が、高元側熱媒−冷媒熱交換器22から流出する熱媒の温度と比べて、異常に低いとみなし、低元側熱媒−冷媒熱交換器12に流入する側の開度を小さくして、高元側熱媒−冷媒熱交換器22に流入する側の開度を大きくする方向に三方弁33の開度を調整する。
よって、温度差が目標温度差を上回る場合であって、高元側往き熱媒温度が、低温側往き熱媒温度よりも高い場合には、三方弁33を、低元側熱媒−冷媒熱交換器12に流入する熱媒量が減少し、高元側熱媒−冷媒熱交換器22に流入する熱媒量が増加する方向に制御する。よって、低外気温時など、低元側冷凍回路10の蒸発器15において外気から熱のくみ上げが十分にできなくなった場合でも低元側熱媒−冷媒熱交換器12における冷媒から熱媒への熱伝達率を維持することができる。その一方で、高元側熱媒−冷媒熱交換器22に流入する熱媒量を増加させることで、暖房端末31への熱媒循環量を確保することができる。
この際、低元側往き熱媒温度と高元側往き熱媒温度との温度差が、目標温度差を上回る場合に、三方弁33の開度を変更して当該分流量を調整する制御を行うため、当該目標温度差の範囲内で、低元側熱媒−冷媒熱交換器12と高元側熱媒−冷媒熱交換器22から流出する熱媒温度に差を設けることができる。従って、低元側熱媒−冷媒熱交換器12から流出する熱媒の温度が低くなっても、高元側熱媒−冷媒熱交換器12から流出する熱媒の温度が所定の温度差の範囲で高くなるため、合流後の熱媒温度を維持することができ、ヒートポンプ式暖房装置H全体でのCOPの向上を実現することができる。
一方、制御装置2は、ステップS52において、高元側往き熱媒温度が低元側往き熱媒温度以下と判断した場合には、ステップS54に進み、低元側熱媒−冷媒熱交換器12から流出する熱媒の温度が、高元側熱媒−冷媒熱交換器22から流出する熱媒の温度と比べて、異常に高いとみなし、低元側熱媒−冷媒熱交換器12に流入する側の開度を大きくして、高元側熱媒−冷媒熱交換器22に流入する側の開度を小さくする方向に三方弁33の開度を調整する。
よって、温度差が目標温度差を上回る場合であって、低元側往き熱媒温度が、高元側往き熱媒温度よりも高い場合には、三方弁33を、低元側熱媒−冷媒熱交換器12に流入する熱媒量が増加し、高元側熱媒−冷媒熱交換器22に流入する熱媒量が減少する方向に制御する。よって、低元側冷凍回路10の蒸発器15において外気から熱のくみ上げが十分に得られるようになり、低元側熱媒−冷媒熱交換器12から流出する熱媒の温度が上昇してきた場合には、低元側熱媒−冷媒熱交換器12への熱媒の流入量を増加させることで、ヒートポンプ式暖房装置H全体でのCOPの向上を実現することができる。
上述したように制御装置2は、ステップS53又はステップS54において、三方弁33の開度調整を行った後、ステップS40に戻り、以後、当該熱媒流量制御を繰り返し実行する。なお、上述したステップS51において、低元側往き熱媒温度と高元側往き熱媒温度との差が30deg以内であると判断した場合には、制御装置2は、現在の三方弁33の開度を維持して、ステップS40に戻る。
本実施の形態では、上述したように、起動時制御及び安定時制御において、当該熱媒循環量制御を並行して実行することにより、熱媒回路32内を循環する熱媒量をそのときの運転状況に応じた最適な循環量及び分流量となるように制御することが可能となるため、ヒートポンプ式暖房装置H全体でのCOPの向上を実現することが可能となる。
上述した如き本実施の形態では、低元側冷凍回路10に低元側熱媒−冷媒熱交換器12を備え、高元側冷凍回路20に高元側熱媒−冷媒熱交換器22を備え、分流調整手段としての三方弁によって、熱媒回路を流れる熱媒をこれら低元側熱媒−冷媒熱交換器12と高元側熱媒−冷媒熱交換器22とに分流する構成を採用した場合について説明している。しかしながら、上述した熱媒循環量制御を実行しないヒートポンプ式暖房装置については、これら低元側熱媒−冷媒熱交換器12と高元側熱媒−冷媒熱交換器22とを一つの熱媒−冷媒熱交換器により構成し、上述した起動時制御や安定時制御、断続制御等を実現してもよいものとする。
本件発明にかかるヒートポンプ式暖房装置は、制御手段が、二元ヒートポンプユニットの起動時に、低元側圧縮機を運転し、高元側圧縮機を停止する一元運転を実行する。よって、低元側冷凍回路の冷凍サイクルを優先的に安定させることができる。その後、低元側冷凍回路の冷凍サイクルが安定し、蒸発器において十分に外気から熱をくみ上げることができるようになった後、さらに高元側圧縮機を運転する二元運転に移行することができる。よって、低元側ユニットと、高元側ユニットを起動時に同時に起動させる場合に比べて、COPの向上を図ることができるヒートポンプ式暖房装置を実現することが可能となる。
H ヒートポンプ式暖房装置
1 二元ヒートポンプユニット
2 制御装置(制御手段)
10 低元側冷凍回路
11 低元側圧縮機
12 低元側熱媒−冷媒熱交換器
13 カスケード熱交換器
14 低元側膨張弁(低元側減圧手段)
15 蒸発器
16 蒸発器用送風機
20 高元側冷凍回路
21 高元側圧縮機
22 高元側熱媒−冷媒熱交換器
23 高元側膨張弁(高元側減圧手段)
30 暖房ユニット
31 暖房端末
32 熱媒回路
33 三方弁(分流調整手段)
34 混合タンク
35 循環ポンプ
37、38 熱媒循環路
40 補助用電気ヒータ
41 メモリ
42 タイマ
50 外気温センサ
51 低元側吐出温度センサ
52 高元側吐出温度センサ
53 低元側往き熱媒温度センサ(低元側往き熱媒温度検出手段)
54 高元側往き熱媒温度センサ(高元側往き熱媒温度検出手段)
55 往き熱媒温度センサ(往き温度検出手段)
56 戻り熱媒温度センサ(戻り熱媒温度検出手段)
1 二元ヒートポンプユニット
2 制御装置(制御手段)
10 低元側冷凍回路
11 低元側圧縮機
12 低元側熱媒−冷媒熱交換器
13 カスケード熱交換器
14 低元側膨張弁(低元側減圧手段)
15 蒸発器
16 蒸発器用送風機
20 高元側冷凍回路
21 高元側圧縮機
22 高元側熱媒−冷媒熱交換器
23 高元側膨張弁(高元側減圧手段)
30 暖房ユニット
31 暖房端末
32 熱媒回路
33 三方弁(分流調整手段)
34 混合タンク
35 循環ポンプ
37、38 熱媒循環路
40 補助用電気ヒータ
41 メモリ
42 タイマ
50 外気温センサ
51 低元側吐出温度センサ
52 高元側吐出温度センサ
53 低元側往き熱媒温度センサ(低元側往き熱媒温度検出手段)
54 高元側往き熱媒温度センサ(高元側往き熱媒温度検出手段)
55 往き熱媒温度センサ(往き温度検出手段)
56 戻り熱媒温度センサ(戻り熱媒温度検出手段)
Claims (11)
- 低元側圧縮機、熱媒−冷媒熱交換器、カスケード熱交換器、低元側減圧手段、蒸発器を含む低元側冷凍回路を有する低元側ユニットと、高元側圧縮機、当該熱媒−冷媒熱交換器、高元側減圧手段、当該カスケード熱交換器を含む高元側冷凍回路を有する高元側ユニットとを備えた二元ヒートポンプユニットと、
循環ポンプ、暖房端末、当該熱媒−冷媒熱交換器を含む熱媒回路を有する暖房ユニットと、
当該二元ヒートポンプユニット及び当該暖房ユニットの制御手段とを備えたヒートポンプ式暖房装置であって、
当該制御手段は、当該二元ヒートポンプユニットの起動時に、当該低元側圧縮機を運転し、当該高元側圧縮機を停止する一元運転を実行することを特徴とするヒートポンプ式暖房装置。 - 前記暖房端末から流出した戻り熱媒温度を検出する戻り熱媒温度検出手段を備え、
前記制御手段は、当該戻り熱媒温度の低温しきい値及び当該低温しきい値より高い高温しきい値をもって、当該戻り熱媒温度に基づき、前記一元運転と、前記低元側圧縮機と前記高元側圧縮機を運転する二元運転と、当該低元側圧縮機と当該高元側圧縮機を停止する待機運転との間での移行制御を実行する請求項1に記載のヒートポンプ式暖房装置。 - 前記制御手段は、当該戻り熱媒温度が当該低温しきい値より低い場合、又は、当該低温しきい値を下回った状態が所定時間継続した場合、前記高元側圧縮機を起動して、前記一元運転から二元運転に移行する請求項2に記載のヒートポンプ式暖房装置。
- 前記暖房端末へ送り出される往き熱媒温度を検出する往き温度検出手段を備え、
前記制御手段は、当該往き熱媒温度が目標往き熱媒温度以上である場合に、前記一元運転から前記二元運転に移行する請求項3に記載のヒートポンプ式暖房装置。 - 前記制御手段は、前記戻り熱媒温度が前記高温しきい値以上となった場合、又は、当該高温しきい値以上となった状態が所定時間継続した場合、前記一元運転からさらに前記低元側圧縮機を停止する待機運転に移行する請求項2〜請求項4のいずれかに記載のヒートポンプ式暖房装置。
- 前記熱媒−冷媒熱交換器は、前記低元側冷凍回路を構成する低元側熱媒−冷媒熱交換器と、前記高元側冷凍回路を構成する高元側熱媒−冷媒熱交換器とを備え、
前記熱媒回路は、前記暖房端末から流出した熱媒を当該低元側熱媒−冷媒熱交換器と当該高元側熱媒−冷媒熱交換器とに分流する分流調整手段とを備える請求項1〜請求項5のいずれかに記載のヒートポンプ式暖房装置。 - 前記低元側熱媒−冷媒熱交換器から前記暖房端末へ送り出される低元側往き熱媒温度を検出する低元側往き熱媒温度検出手段と、
前記高元側熱媒−冷媒熱交換器から前記暖房端末へ送り出される高元側往き熱媒温度を検出する高元側往き熱媒温度検出手段とを備え、
前記制御手段は、当該低元側往き熱媒温度と当該高元側往き熱媒温度との温度差を算出し、当該温度差が当該低元側往き熱媒温度と当該高元側往き熱媒温度との目標温度差を上回る場合、前記分流調整手段を制御する請求項6に記載のヒートポンプ式暖房装置。 - 前記制御手段は、前記高元側往き熱媒温度が、前記低温側往き熱媒温度よりも高い場合、前記分流調整手段を、前記低元側熱媒−冷媒熱交換器に流入する熱媒量が減少し、前記高元側熱媒−冷媒熱交換器に流入する熱媒量が増加する方向に制御する請求項7に記載のヒートポンプ式暖房装置。
- 前記制御手段は、前記低元側往き熱媒温度が、前記高元側往き熱媒温度よりも高い場合、前記分流調整手段を、前記低元側熱媒−冷媒熱交換器に流入する熱媒量が増加し、前記高元側熱媒−冷媒熱交換器に流入する熱媒量が減少する方向に制御する請求項7又は請求項8に記載のヒートポンプ式暖房装置。
- 前記暖房端末へ送り出される往き熱媒温度を検出する往き温度検出手段を備え、
前記制御手段は、往き熱媒温度上限温度と、往き熱媒温度下限値とをもって、
前記往き熱媒温度が、当該往き熱媒温度上限値を上回る場合、前記循環ポンプの回転数を上昇させる方向に制御し、当該往き熱媒温度下限値を下回る場合、前記循環ポンプの回転数を低下させる方向に制御する請求項7〜請求項9のいずれかに記載のヒートポンプ式暖房装置。 - 前記往き熱媒温度上限値と前記往き熱媒温度下限値は、前記低元側圧縮機運転開始からの経過時間に対して設定されたものである請求項10に記載のヒートポンプ式暖房装置。
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- 2014-03-24 JP JP2014060527A patent/JP2015183929A/ja active Pending
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