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JP2015179204A - ハードコートフィルム、偏光板および画像表示装置 - Google Patents

ハードコートフィルム、偏光板および画像表示装置 Download PDF

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JP2015179204A
JP2015179204A JP2014056814A JP2014056814A JP2015179204A JP 2015179204 A JP2015179204 A JP 2015179204A JP 2014056814 A JP2014056814 A JP 2014056814A JP 2014056814 A JP2014056814 A JP 2014056814A JP 2015179204 A JP2015179204 A JP 2015179204A
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film
hard coat
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acid
acrylate
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岡野 賢
Masaru Okano
賢 岡野
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Konica Minolta Inc
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Konica Minolta Inc
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Abstract

【課題】フィルムの膜厚が薄くなっても、巻き取り時のフィルム同士の貼り付き防止効果を十分に得て、フィルムの平面性の劣化や歪みに起因する視認性の劣化を抑える。【解決手段】光学フィルム12は、フィルム基材21の一方の面に、ハードコート層を含む第1機能性層22を有する。ハードコート層に対する押し込み深さ設定負荷−除荷試験により得られる以下の値A=(h1−h2)/hmaxは0.02以上0.90以下である。ただし、h1は除荷保持時間0秒で測定したときの残留深さ(μm)、h2は除荷保持時間60秒で測定したときの残留深さ(μm)、hmaxは設定押し込み深さ(μm)である。光学フィルム12は、(1)第1機能性層22の表面の算術平均粗さRaが2nm以上である、(2)フィルム基材21の他方の面に形成される第2機能性層23の表面の算術平均粗さRaが2nm以上である、の少なくともいずれかの条件を満足する。【選択図】図2

Description

本発明は、フィルム基材の両面に機能性層がそれぞれ形成されており、その一方の機能性層がハードコート層を含むハードコートフィルムと、そのハードコートフィルムを有する偏光板と、その偏光板を有する画像表示装置とに関するものである。
近年、画像表示装置の一つとして、液晶表示装置が注目されている。液晶表示装置は、低電圧・低消費電力で小型化・薄膜化が可能であるなど、様々な利点を有することから、パーソナルコンピューターや携帯機器のモニター、テレビ用途に広く利用されている。この液晶表示装置の表面には、物理的な損傷防止から、フィルム基材上にハードコート層を有する光学フィルム(以下、ハードコートフィルムと言う)が用いられている。
最近では、スマートフォン等の出現により、液晶表示装置の更なる小型化が求められている。このような小型化への対応のため、用いるハードコートフィルムに成形性も求められるようになってきている。しかし、成形時にはハードコート層にクラックが発生したり、極端な場合にはフィルムが破断したりすることがある。このため、成形性を有するハードコートフィルムとしては、ハードコート層が自己治癒材料からなるものが注目されている。自己治癒材料とは、例えば真鍮ブラシ等で擦った後、自己修復によって擦った傷が消失するような材料であり、弾性変形を自己修復できる特性を有している。このような自己治癒材料の具体例は、例えば特許文献1および2に開示されている。
また、液晶表示装置の小型化の要求に伴い、ハードコートフィルムなどの液晶表示装置を構成する部材(光学フィルム)についても、より一層の薄膜化の要求が強くなってきている。ハードコートフィルムは、生産後にロール状態に巻き取られ、例えばロール・ツー・ロール方式による偏光板の作製に用いられる。
しかしながら、自己治癒材料からなるハードコート層を有するハードコートフィルムをロール状態で巻き取ったものは、フィルム同士が貼り付きやすい問題があった。つまり、ロール状に巻かれたハードコートフィルムの層間に空気層を設けても、巻きの自重によって空気層が圧縮され、また、自己治癒材料を用いたハードコートフィルムは、自己治癒材料を用いない通常のハードコートフィルムよりも、ハードコート層が柔らかいことから、巻き取り状態でのフィルム同士の貼り付きが大きく、特に、長期輸送を想定した耐久試験後において、ロール状に巻かれたフィルム同士の貼り付きが大きかった。その結果、自己治癒材料を用いたハードコートフィルムの平面性が劣化したり、歪みが生じやすくなり、上記ハードコートフィルムを画像表示装置に用いたときに視認性の劣化が顕著に現れる。このような視認性の劣化は、画像表示装置としての商品価値や生産収率の低下を招く。
ロール状フィルムの貼り付き防止技術は、例えば特許文献3に開示されている。特許文献3に開示された技術では、フィルムの幅手方向の両端にナール部(フィルム面よりも嵩高い部分)を形成し、幅手方向において両ナール部の間に、ハードコート層を形成するようにしている。両ナール部とハードコート層とは、互いに異なる塗工方式の塗工機を用いて硬化性組成物をそれぞれ塗工することにより形成される。この技術では、ナール部の嵩高さ、幅、左右バランスを調整することにより、巻き取り時のフィルム同士の貼り付きを防止することができる。
特開2006−137780号公報(請求項1、段落〔0006〕、〔0007〕等参照) 特開2012−166356号公報(請求項1、段落〔0006〕、〔0007〕等参照) 特開2013−186456号公報(請求項1、段落〔0007〕、〔0013〕、図1等参照)
ところが、特許文献3の技術では、巻き取り時のフィルム同士の貼り付き防止の改善効果は得られるものの、フィルムの膜厚が薄くなるとフィルムのコシが弱くなるため、貼り付き防止効果を十分に得ることは困難であった。
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであって、その目的は、フィルムの膜厚が薄くなっても、ロール状に巻き取ったときのフィルム同士の貼り付き防止効果を十分に得ることができ、これによって画像表示装置に適用したときにフィルムの平面性の劣化や歪みに起因する視認性の劣化を抑えることができるハードコートフィルムと、そのハードコートフィルムを有する偏光板と、その偏光板を有する画像表示装置とを提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.フィルム基材と、前記フィルム基材の一方の面に形成される第1機能性層とを有し、
前記第1機能性層は、ハードコート層を含み、
前記ハードコート層の表面に対して微小硬度計により試験力を負荷して、設定された深さまで押し込み、その後除荷する押し込み深さ設定負荷−除荷試験により得られる以下の値Aが、0.02以上0.90以下であり、
A=(h1−h2)/hmax
ただし、
h1:除荷保持時間0秒で測定したときの残留深さ(μm)
h2:除荷保持時間60秒で測定したときの残留深さ(μm)
hmax:設定押し込み深さ(μm)
かつ、下記の(1)および(2)の少なくともいずれかの条件を満足することを特徴とするハードコートフィルム。
(1)前記第1機能性層の表面の算術平均粗さRaが2nm以上である。
(2)前記フィルム基材の他方の面に第2機能性層を有し、前記第2機能性層の表面の算術平均粗さRaが2nm以上である。
2.前記ハードコートフィルムが、前記第2機能性層を有することを特徴とする前記1に記載のハードコートフィルム。
3.前記の値Aが、0.20以上0.90以下であることを特徴とする前記1または2に記載のハードコートフィルム。
4.前記第1機能性層または前記第2機能性層の表面の算術平均粗さRaが、10nm以上であることを特徴とする前記1から3のいずれかに記載のハードコートフィルム。
5.前記フィルム基材の他方の面または前記第2機能性層の対水接触角が95°以下であることを特徴とする前記1から4のいずれかに記載のハードコートフィルム。
6.前記フィルム基材は、λ/4フィルムであることを特徴とする前記1から5のいずれかに記載のハードコートフィルム。
7.前記フィルム基材の厚さは、1μm以上30μm未満であることを特徴とする前記1から6のいずれかに記載のハードコートフィルム。
8.偏光子と、該偏光子の一方の面に形成される保護フィルムとを有し、
前記保護フィルムが、前記1から7のいずれかに記載のハードコートフィルムであることを特徴とする偏光板。
9.表示セルと、
前記表示セルの視認側に配置される、前記8に記載の偏光板とを備えていることを特徴とする画像表示装置。
フィルム基材の一方の面には、ハードコート層を含む第1機能性層が形成されている。ハードコート層に対する押し込み深さ設定負荷−除荷試験により得られる値Aは、0.02以上0.90以下であり、ハードコート層に自己治癒材料が含まれていると、この条件を満足する。この構成において、(1)第1機能性層の表面の算術平均粗さRaが2nm以上、(2)フィルム基材の他方の面に形成される第2機能性層の表面の算術平均粗さRaが2nm以上、の少なくとも一方の条件を満足することにより、ハードコートフィルムをロール状に巻き取ったときのフィルム同士の貼り付き防止効果を十分に得ることができ、自己治癒材料を用いた構成でフィルムの膜厚が薄くなった場合でも、その効果を十分に得ることができる。これにより、フィルムの貼り付きに起因してフィルムの平面性が劣化したり、歪みが生じるのを抑えることができるので、本発明のハードコートフィルムを画像表示装置に適用した場合でも、フィルムの平面性の劣化や歪みに起因する視認性の劣化を抑えることができる。
本発明の実施の形態に係る画像表示装置の概略の構成を示す断面図である。 上記画像表示装置の液晶セルに対して視認側の偏光板における、偏光子に対して視認側の光学フィルムの詳細な構成を示す断面図である。 上記光学フィルムの他の構成を示す断面図である。 上記光学フィルムのさらに他の構成を示す断面図である。 押し込み深さ設定負荷−除荷試験によって得られる曲線を示す説明図である。 上記実施の形態で用いられる斜め延伸フィルムの製造装置の概略の構成を模式的に示す平面図である。 上記製造装置の延伸部のレールパターンの一例を模式的に示す平面図である。
本発明の実施の一形態について、図面に基づいて説明すれば以下の通りである。なお、本明細書において、数値範囲をA〜Bと表記した場合、その数値範囲に下限Aおよび上限Bの値は含まれるものとする。また、本発明は、以下の内容に限定されるものではない。
〔画像表示装置の構成〕
図1は、本実施形態の画像表示装置1の概略の構成を示す断面図である。画像表示装置1は、液晶表示パネル2と、バックライト3とを備えている。バックライト3は、液晶表示パネル2を照明するための光源である。
液晶表示パネル2は、液晶層を一対の基板で挟持した液晶セル4(表示セル)の両側に、偏光板5・6をそれぞれ配置して構成されている。偏光板5は、粘着層7を介して液晶セル4の一方の面側(例えば視認側)に貼り付けられている。偏光板6は、粘着層8を介して液晶セル4の他方の面側(例えばバックライト3側)に貼り付けられている。液晶表示パネル2の駆動方式は特に限定されず、IPS(In Plane Switching)型式、TN(Twisted Nematic)方式など、様々な駆動方式を採用することができる。
偏光板5は、所定の直線偏光を透過する偏光子11と、偏光子11の視認側に配置される表面保護フィルムとしての光学フィルム12と、偏光子11のバックライト3側に配置される裏面保護フィルムとしての光学フィルム13とで構成されている。偏光板6は、所定の直線偏光を透過する偏光子14と、偏光子14の視認側に配置される表面保護フィルムとしての光学フィルム15と、偏光子14のバックライト3側に配置される裏面保護フィルムとしての光学フィルム16とで構成されている。偏光子11と偏光子14とは、クロスニコル状態となるように配置されている。
図2は、偏光板5の視認側の光学フィルム12の詳細な構成を示す断面図である。光学フィルム12は、フィルム基材21と、第1機能性層22と、第2機能性層23とを有している。フィルム基材21は、例えば膜厚が1μm以上30μm未満のセルロースエステルフィルムで構成されている。第1機能性層22は、フィルム基材21に対して一方の面、すなわち視認側の面に形成されており、ここでは単層のハードコート層で構成されている。それゆえ、このようなハードコート層を備えた光学フィルム12は、ハードコートフィルムを構成している。本実施形態では、上記のハードコート層は、自己治癒材料(自己修復性を有する材料)を含む層で構成されているが、その詳細については後述する。第2機能性層23は、いわゆるバックコート層であり、ここでは表面の算術平均粗さRaが2nm以上であるアンチブロッキング層である。
図3は、光学フィルム12の他の構成を示す断面図である。光学フィルム12は、フィルム基材21の一方の面にのみ機能性層が形成された構成、つまり、フィルム基材21の一方の面に第1機能性層22が形成され、他方の面に第2機能性層23が形成されていない構成であってもよい。この場合、第1機能性層22の表面の算術平均粗さRaを2nm以上とすることで、第1機能性層22に自己治癒特性とアンチブロッキング特性とを両方持たせることができる。
図4は、光学フィルム12のさらに他の構成を示す断面図である。同図に示すように、第1機能性層22は、複数のハードコート層22a・22bを積層して構成されていてもよい。この場合、少なくとも最も視認側のハードコート層22bに、自己治癒材料が含まれていればよい。
また、光学フィルム12のフィルム基材21は、λ/4フィルムで構成されていてもよい。λ/4フィルムは、透過光に対して波長の1/4程度の面内位相差を付与する層であり、例えば後述する斜め延伸が施されたセルロースエステルフィルムで構成される。λ/4フィルムの遅相軸と偏光子11の吸収軸とのなす角度(交差角)は、30°〜60°であり、これによって、偏光子11からの直線偏光は、λ/4フィルム(フィルム基材21)によって円偏光または楕円偏光に変換される。
したがって、観察者が偏光サングラスを装着して表示画像を観察する場合において、偏光子11の透過軸(吸収軸に垂直)と、偏光サングラスの透過軸とがどのようにズレていても、偏光板5から出射される光(円偏光または楕円偏光)に含まれる、偏光サングラスの透過軸に平行な光の成分を観察者の眼に導くことができる。これにより、観察する角度によって表示画像が見え難くなるのを抑えることができる。また、観察者が偏光サングラスを装着しない場合でも、偏光板5から出射されて観察者の眼に入射するのは円偏光または楕円偏光であるので、直線偏光が観察者の眼に直接入射する構成に比べて、観察者の眼の負担を軽減することができる。
また、表面保護フィルムとしての光学フィルム13、15及び16については、後述するセルロースエステルフィルムなどの基材フィルムが一般的に用いられる。
以下、ハードコートフィルムの詳細について説明する。
〔第1機能性層〕
第1機能性層は、ハードコート層の表面に対して微小硬度計により試験力を負荷して、設定された深さまで押し込み、その後除荷する押し込み深さ設定負荷−除荷試験により得られる以下の値Aが、0.02以上0.90以下である。
A=(h1−h2)/hmax
ただし、
h1:除荷保持時間0秒で測定したときの残留深さ(μm)
h2:除荷保持時間60秒で測定したときの残留深さ(μm)
hmax:設定押し込み深さ(μm)
なお、除荷保持時間0秒とは、負荷した試験力が除荷により0mNとなった時点を指し、除荷保持時間60秒とは、負荷した試験力が除荷により0mNとなった時点から60秒経過した時点を指す。押し込み深さ設定負荷−除荷試験により、例えば図5に示すような、負荷した試験力と押しこみ深さとの関係を示す負荷試験力−押しこみ深さ曲線が得られる。図5に、上記のh1、h2およびhmaxを併せて示す。
ハードコート層に自己治癒材料が含まれていると、Aの値としては上記範囲内の値が得られる。第1機能性層に自己治癒特性を確実に付与する観点では、値Aは0.20以上0.90以下であることが望ましい。
(樹脂)
第1機能性層を構成する好ましい樹脂としては、ポリウレタン系樹脂を挙げることができる。ポリウレタン系樹脂としては、熱硬化性ポリウレタン樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂を用いることができる。熱硬化性ポリウレタン樹脂は、ポリオール類とポリイソシアネートからなる主原料のうち、原料の少なくとも一部に官能基数が3以上である化合物を使用することによって得られるポリウレタン樹脂である。熱可塑性ポリウレタン樹脂は、官能基数が2である化合物のみを用いて得られるポリウレタン樹脂である。
ポリウレタン系樹脂の原料に用いるポリオール類としては、例えば、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール等を挙げることができる。これらの中でも強度、自己治癒性のバランスが優れるポリエステル系のポリオールが好ましく、環状エステル(特にカプロラクトン)を開環して得られるポリエステル系ポリオールが特に好ましい。ポリオールの官能基数は強度、自己修復性から、2〜3が好ましい。上記ポリオール類はトリオール単体、2種以上のトリオール混合物、又はトリオールとジオールの混合物が好ましい。
上記ポリオール類は、鎖延長剤を含んでいてもよい。この鎖延長剤としては、短鎖ポリオール、短鎖ポリアミン等を挙げることができる。これらの中でも、透明性、柔軟性、反応性の観点から短鎖ポリオールが好ましく、短鎖ジオールが特に好ましい。上記ポリオール類の水酸基価は特に限定されないが、原料ポリオール中の平均水酸基価としては100〜600が好ましく、200〜500がより好ましい。なお、上記平均水酸基価は鎖延長剤を含めて計算した平均水酸基価である。
ポリウレタン系樹脂の原料に用いるポリイソシアネートとしては、耐久黄変性を有する無黄変性ポリイソシアネートが好ましい。無黄変性ポリイソシアネートは、芳香核に直接結合したイソシアネート基を有しないポリイソシアネートであり、具体的には例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート等を挙げることができる。ポリウレタン系樹脂の原料は、単独で使用してもよいし、複数を混合して使用してもよい。また、必要に応じて酸化防止剤、光安定剤等の安定剤、ウレタン化触媒、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、界面活性剤、シランカップリング剤等の添加剤を添加してもよい。
第1機能性層は、活性線硬化樹脂から構成されることも好ましい。活性線硬化樹脂としては、自己治癒性が発現しやすい点から、エポキシ骨格を有する活性エネルギー線硬化型樹脂、またはアルキル鎖骨格又はアルキレンオキサイド骨格を有する活性エネルギー線硬化型樹脂が好ましい。エポキシ(メタ)アクリレートとしては、(A)又は(B)で示されるトリカルボン酸と、下記(C)又は(D)で示されるモノオキシラン環を有する(メタ)アクリレートとを反応させてなるものである。
(A)で示されるトリカルボン酸と(B)で示されるトリカルボン酸とは、それぞれ単独で用いることができ、また併用することもできる。(C)で示されるモノオキシラン環を有する(メタ)アクリレートと、(D)で示されるモノオキシラン環を有する(メタ)アクリレートとは、それぞれ単独で用いることができ、また併用することもできる。
(A):下記一般式(1)で表される脂肪族トリカルボン酸
Figure 2015179204
ただし、Rは水素(H)又は水酸基(OH)、a、b及びdは0〜8の整数、cは0〜9の整数で、0≦a+b+c+d≦9かつ〔a<d又は(a=dかつb≦c)〕である。
(B):トリメリット酸
(C):下記一般式(2)で表されるモノオキシラン環を有する脂肪族(メタ)アクリレート
Figure 2015179204
ただし、Rは水素又はメチル基、nは1〜5の整数、mは1〜3の整数を表す。
(D):下記一般式(3)で表されるモノオキシラン環を有する脂環族(メタ)アクリレート
Figure 2015179204
ただし、Rは水素又はメチル基、sは1〜10の整数を表す。
エポキシ(メタ)アクリレートは、ソフトセグメントとハードセグメントとのバランスがよく、収縮応力を緩和しやすい特性が得られやすい。
(A)のトリカルボン酸としては、1,2,4−ブタントリカルボン酸(Rは水素、a=0、b=0、c=1及びd=0)、1,3,5−ヘキサントリカルボン酸(Rは水素、a=0、b=1、c=2及びd=0)、1,2,4−ペンタントリカルボン酸(Rは水素、a=0、b=0、c=1及びd=1)、1,2,5−ペンタントリカルボン酸(Rは水素、a=0、b=0、c=2及びd=0)、1,3,4−ペンタントリカルボン酸(Rは水素、a=0、b=1、c=0及びd=1)、1,2,5−ペンタントリカルボン酸(Rは水素、a=0、b=1、c=1及びd=0)、1,2,6−ヘキサントリカルボン酸(Rは水素、a=0、b=0、c=3及びd=0)、1,2,4−ヘキサントリカルボン酸(Rは水素、a=0、b=0、c=1及びd=2)、1,4,5−ヘキサントリカルボン酸(Rは水素、a=0、b=2、c=0及びd=1)、1,3,4−ヘキサントリカルボン酸(Rは水素、a=0、b=1、c=0及びd=2)、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸(Rは水素、a=0、b=1、c=2及びd=0)、2,3,5−ヘキサントリカルボン酸(Rは水素、a=1、b=0、c=1及びd=1)、1,4,8−オクタントリカルボン酸(Rは水素、a=0、b=2、c=3及びd=0)、1,5,10−ノナントリカルボン酸(Rは水素、a=0、b=3、c=3及びd=0)、1,6,12−ドデカントリカルボン酸(Rは水素、a=0、b=4、c=5及びd=0)、クエン酸(Rは水酸基、a=b=c=d=0)等が挙げられる。
(B)のトリメリット酸としては、1,2,4−トリメリット酸のほか、1,3,5−トリメリット酸及び1,2,3−トリメリット酸が挙げられる。
(C)のモノオキシラン環を有する脂肪族(メタ)アクリレートとしては、4−ヒドロキシブチルアクリレートモノグリシジルエーテル〔4−HBAGE、一般式(2)においてn=4、m=1の化合物〕、2−ヒドロキシエチルアクリレートモノグリシジルエーテル〔2−HEAGE、一般式(2)においてn=2、m=1の化合物〕等が挙げられる。
(D)の一般式(3)で表されるモノオキシラン環を有する脂環族(メタ)アクリレートとしては、脂環式エポキシ基含有アクリレート(s=6)等が挙げられる。
以下に、合成例を挙げる。攪拌機、温度計及びコンデンサーを備えた四ツ口フラスコにトルエン415.8質量部、1,2,4−ブタントリカルボン酸(酸価:886)100質量部、4−ヒドロキシブチルアクリレートモノグリシジルエーテル〔日本化成(株)製、4−HBAGE〕315.8質量部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1質量部を仕込み、100℃まで昇温した。その後、1,2,4−トリカルボン酸が完全に溶解したことを確認し、TPP(トリフェニルホスフィン)2質量部を仕込み、同温度で24時間保持して反応を終了した。その結果、固形分50質量%、酸価4.2mgKOH/g(固形分換算)のエポキシアクリレートが得られた。収率は96.1%であった。
アルキル鎖骨格又はアルキレンオキサイド骨格を有する活性エネルギー線硬化型樹脂としては、例えば、分子内に1個の水酸基及び3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを1〜20モル付加して得られる(メタ)アクリレート(a−1)と、ポリイソシアネート(a−2)とを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート(A)を挙げることができる。
分子内に1個の水酸基及び3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートとしては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジグリセリントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、キシリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
これらのうち、分子内に1個の水酸基及び3〜5個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートが好ましく、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、キシリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが挙げられる。さらに好ましくはペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートである。
付加重合に用いるアルキレンオキサイドの種類としては、炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを使用することができる。具体例としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、テトラヒドロフランなどが挙げられる。これらアルキレンオキサイドは、単独で用いても二種以上を併用してもよく、二種以上を併用する場合にはランダム状又はブロック状に付加重合してもよい。これらのうち、テトラヒドロフランが好ましく、アルキレンオキサイドの平均付加モル数は1〜20であり、2〜12であることが好ましい。
(a−1)成分の製造方法としては、通常の開環重合と同様の方法で行うことができる。例えば、反応容器に分子内に1個の水酸基及び3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート及び触媒、必要に応じて重合禁止剤及び有機溶剤を仕込んだ後、反応容器内を窒素ガスなどの不活性ガスで置換し、アルキレンオキサイドを圧入して付加重合させる。反応温度としては通常−30〜120℃であり、好ましくは0〜80℃、より好ましくは20〜60℃である。−30℃より低い場合には反応速度が遅くなり、120℃より高い場合には副反応あるいは重合が進行し過ぎたり、生成物が着色するおそれがある。反応時間としては通常0.3〜20時間であり、より好ましくは1〜10時間である。
ポリイソシアネート(a−2)は、分子内に少なくとも2個以上のイソシアネート基を含有する脂肪族、脂環式及び芳香族イソシアネートである。2官能イソシアネートの具体例としては、1,4−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートなどの脂肪族及び脂環式ジイソシアネートが挙げられる。3官能イソシアネートの具体例としては、1,4−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートなどのジイソシアネートを重縮合してイソシアヌレート変性させたイソシアヌレート体、前記ジイソシアネートをアダクト変性させたアダクト体、前記ジイソシアネートとグリセリンやトリメチロールプロパンなどの三価アルコールをビウレット変性させたビウレット体が挙げられる。多官能イソシアネートの具体例としては、前記ジイソシアネートとポリオールあるいはポリアミンとの反応により得られるイソシアネート化合物が挙げられる。
これらのうち、脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネート単量体を重縮合して変性した3官能イソシアネートが好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートなどの脂肪族及び脂環式ジイソシアネート及びこれらジイソシアネートのイソシアヌレート変性させた3官能イソシアネートがより好ましい。これらポリイソシアネートは、単独で用いても二種以上を併用してもよい。ウレタン(メタ)アクリレート(A)は、分子内に通常4〜15個、好ましくは6〜12個の(メタ)アクリロイル基を有する。分子内のウレタン結合基及び(メタ)アクリロイル基の数が好ましい。
以下に、合成例を挙げる。攪拌装置、温度計、圧力ゲージを備えたステンレス製オートクレーブに、ペンタエリスリトールトリアクリレート(以下、「PE3A」という)/ペンタエリスリトールテトラアクリレート(以下、「PE4A」という)混合物(質量比で70/30の混合物、水酸基価:137mgKOH/g)307質量部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1質量部、四塩化錫3.2質量部を投入し、反応系内を窒素ガスで置換した。次に、エチレンオキサイド(以下、「EO」という)100質量部を45℃にてゲージ圧が0.1〜0.3MPaとなるよう維持しながら3時間掛けて導入し、同温度で2時間反応を継続した。さらに、45℃にて減圧して30分間保持した後、常圧に戻して冷却することにより粘調性液体402質量部を得た。その後、吸着剤(キョーワード1000:協和化学工業(株)社製)を投入し、空気を吹き込みながら70℃にて攪拌した後、吸着剤を濾別することにより粘調性液体370部を得た。得られた粘調性液体の水酸基価は106mgKOH/gであり、水酸基価から算出すると、PE3AにEOが3モル付加した数平均分子量430の(メタ)アクリレートが得られ、PE3AのEO3モル付加物/PE4A混合物の質量比は77/23であった。
また、活性線硬化樹脂としては、上記した樹脂以外に、第2機能性層に用いられる後述する紫外線硬化型アクリレート系樹脂、紫外線硬化型ウレタンアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、及び紫外線硬化型エポキシ樹脂等を用いることもできる。これらの活性線硬化樹脂は単独あるいは併用して用いても良く、更には上記ポリウレタン系樹脂等の他の樹脂と併用しても良い。
活性エネルギー線硬化型樹脂の市販品としては、例えば株式会社トクシキ製のAUP−787、AUP−727、DIC株式会社製のパンデックスGWシリーズ、ナトコ株式会社製のYS−112(商品名、ポリジメチルシロキサングラフトアクリレート系塗料)等を好適に挙げることができる。
また、第1機能性層は、ポリイソシアネート化合物(A)を含有してもよい。ポリイソシアネート化合物(A)としては、脂肪族ジイソシアネートモノマーとポリオールとを反応させて得られるアダクト型ポリイソシアネート化合物(a1)が好ましい。
アダクト型ポリイソシアネート化合物(a1)、及びヌレート型ポリイソシアネート化合物(a2)の製造で用いるジイソシアネートモノマーは、例えば、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
脂肪族ジイソシアネートモノマーの中でも、柔軟性と靭性とのバランスから、ブタン−1,4ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の直鎖型脂肪族ジイソシアネートモノマーが好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネートが特に好ましい。アダクト型ポリイソシアネート化合物(a1)は、脂肪族ジイソシアネートモノマーとポリオールとを反応させて得られる。反応は20〜120℃の温度範囲内で、無溶剤条件下、又はトルエンやキシレン等、イソシアネート基や水酸基に対して非反応性の各種有機溶剤中で行うことができる。また、必要に応じて種々のウレタン化触媒を用いることができる。
アダクト型ポリイソシアネート(a1)の製造で用いるポリオールは、分子中に2つ以上の水酸基を有する化合物である。具体的には、1,3−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、及び2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール等の脂肪族ポリオール等が挙げられる。
(光重合開始剤)
第1機能性層は、活性線硬化樹脂の硬化促進のため、光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤の含有量は、質量比で、光重合開始剤:活性線硬化樹脂=20:100〜0.01:100となる量であることが好ましい。光重合開始剤としては、具体的には、アルキルフェノン系、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及び、これらの誘導体を挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。光重合開始剤としては市販品を用いてもよく、例えば、BASFジャパン(株)製のイルガキュア184、イルガキュア907、イルガキュア651などが好ましい例示として挙げられる。
(表面形状)
第1機能性層は、表面凹凸を有しても良い。表面凹凸を有する場合、高さとしては、算術平均粗さRa(JIS B0601:2001)が2nm以上、より好ましくは10nm以上であり、更に好ましくは10nm〜5μmの範囲内であり、前記範囲において良好なアンチブロッキング性を発揮する。算術平均粗さRaは、JIS B0601:2001に準じて、光学干渉式表面粗さ計(ZYGO社製、NewView)で測定した値である。第1機能性層の表面凹凸の形成方法は、後述する第2機能性層の表面凹凸形成方法により形成できる。また、第1機能性層は対水接触角が95°以下であることが好ましい。対水接触角は後述する方法で測定できる。
〔第2機能性層〕
第2機能性層は、基材フィルムの第1機能性層とは他方の面に形成される層であり、具体的には、表面凹凸を有する層である。表面凹凸の高さとしては、算術平均粗さRa(JIS B0601:2001)が2nm以上、より好ましくは10nm以上であり、更に好ましくは10nm〜5μmの範囲内であり、前記範囲において良好なアンチブロッキング性を発揮する。算術平均粗さRaは、JIS B0601:2001に準じて、光学干渉式表面粗さ計(ZYGO社製、NewView)で測定した値である。
このように、第2機能性層が算術平均粗さRa2nm以上を有することで、アンチブロッキング性が発現し、ハードコートフィルムをロール状に巻き取ったときのフィルム同士の貼り付き防止効果を十分に得ることができ、第1機能性層に自己治癒材料を用いた構成でフィルム基材の膜厚が薄くなった場合でも、その効果を十分に得ることができる。これにより、フィルムの貼り付きに起因してフィルムの平面性が劣化したり、歪みが生じるのを抑えることができるので、本実施形態のハードコートフィルムを画像表示装置に適用した場合でも、フィルムの平面性の劣化や歪みに起因する視認性の劣化を抑えることができる。特に、ハードコートフィルムのフィルム基材の膜厚が1μm以上30μm未満と薄膜の場合には、上記の効果が非常に有効となる。
また、従来のように、フィルムの幅手方向の両端のナール部と、その間のハードコート層とを異なる塗工方式の塗工機を用いて形成する場合、ナール部の膜厚(高さ)を塗工機で制御することが難しく、かつ複数の塗工機が必要なことから、フィルムの生産性が低下する。しかし、本実施形態では、第2機能性層の表面粗さを制御してアンチブロッキング性を発揮させるため、ナール部の形成に起因するフィルムの生産性の低下を回避することができる。
第2機能性層の表面凹凸は、鋳型を押し当てて表面に突起を形成する方法、第2機能性層を形成する樹脂層中に微粒子を分散含有させて表面凹凸を付与する方法、スピノーダル分解による相分離で表面凹凸を形成する方法などで形成できる。
第2機能性層は対水接触角が95°以下であることが好ましい。第2機能性層が対水接触角95°以下の親水性を有することで、フィルムをロール状に巻き取ったときでも、第2機能性層と第1機能性層とが貼り付きにくくなるため、上述したフィルムの貼り付きに起因するフィルムの平面性劣化や歪みを抑える本実施形態の効果が得られやすい。なお、フィルム基材の他方の面に第2機能性層を形成しない場合は、上記他方の面の対水接触角が95°以下であれば、上記と同様の効果を得ることができる。
(樹脂)
第2機能性層は樹脂を主成分して構成された層であり、具体的には、活性線硬化樹脂を含有することが、機械的膜強度に優れる点から好ましい。すなわち、紫外線や電子線のような活性線(活性エネルギー線ともいう)照射により、架橋反応を経て硬化する樹脂を主たる成分とする層である。活性線硬化樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含む成分が好ましく用いられ、紫外線や電子線のような活性線を照射することによって硬化させて活性線硬化樹脂層が形成される。
活性線硬化樹脂としては、紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、紫外線照射によって硬化する樹脂が特に機械的膜強度(耐擦傷性、鉛筆硬度)に優れる点から好ましい。紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型アクリレート系樹脂、紫外線硬化型ウレタンアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、又は紫外線硬化型エポキシ樹脂等が好ましく用いられ、中でも紫外線硬化型アクリレート系樹脂が好ましい。
紫外線硬化型アクリレート系樹脂としては、多官能アクリレートが好ましい。該多官能アクリレートとしては、ペンタエリスリトール多官能アクリレート、ジペンタエリスリトール多官能アクリレート、ペンタエリスリトール多官能メタクリレート、及びジペンタエリスリトール多官能メタクリレートよりなる群から選ばれることが好ましい。
ここで、多官能アクリレートとは、分子中に2個以上のアクリロイルオキシ基又はメタクロイルオキシ基を有する化合物である。多官能アクリレートのモノマーとしては、例えばエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリ/テトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、グリセリントリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ペンタグリセロールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、グリセリントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、活性エネルギー線硬化型のイソシアヌレート誘導体、多塩基酸性アクリレート等が好ましく挙げられる。
多塩基性アクリレートの市販品としては、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートコハク酸変成物、ペンタエリスリトールトリアクリレートコハク酸変成物、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートフタル酸変成物、ペンタエリスリトールトリアクリレートフタル酸変成物、多塩基酸変性アクリルオリゴマー等を挙げることができる。市販品としてはアロニックスM−510,アロニックスM−520(東亞合成社製)、DPE6A−MS、PE3A−MP、DPE6A−MP、PE3A−MP(共栄社化学社製)等を挙げることができる。また、含有量としては、機能性層膜を形成する樹脂成分を100とすると質量比で30%以上、含有することが好ましく、より好ましくは50%以上含有することが好ましい。他の樹脂の市販品としては、アデカオプトマーNシリーズ、サンラッドH−601、RC−750、RC−700、RC−600、RC−500、RC−611、RC−612(三洋化成工業(株)製)、アロニックスM−6100、M−8030、M−8060、アロニックスM−215、アロニックスM−315、アロニックスM−313、アロニックスM−327(東亞合成(株)製)、NK−エステルA−TMM−3L、NK−エステルAD−TMP、NK−エステルATM−35E、NKエステルA−DOG、NKエステルA−IBD−2E、A−9300、A−9300−1CL(新中村化学工業(株))、PE−3A(共栄社化学)などが挙げられる。上記活性線硬化樹脂を単独又は2種以上混合しても良い。
単官能アクリレートを用いても良い。単官能アクリレートとしては、イソボロニルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ベンジルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ラウリルアクリレート、イソオクチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベヘニルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、シクロヘキシルアクリレートなどが挙げられる。このような単官能アクリレートは、日本化成工業株式会社、新中村化学工業株式会社、大阪有機化学工業株式会社等から入手できる。
単官能アクリレートを用いる場合、多官能アクリレートと単官能アクリレートの含有量が、質量比で、多官能アクリレート:単官能アクリレート=80:20〜98:2となるように、これらを含有することが好ましい。
(光重合開始剤)
第2機能性層には、活性線硬化樹脂の硬化促進のため、光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤の含有量は、質量比で、光重合開始剤:活性線硬化樹脂=20:100〜0.01:100となる量であることが好ましい。光重合開始剤としては、具体的には、アルキルフェノン系、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及び、これらの誘導体を挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。光重合開始剤としては市販品を用いてもよく、例えば、BASFジャパン(株)製のイルガキュア184、イルガキュア907、イルガキュア651などが好ましい例示として挙げられる。
(表面凹凸形成)
〈ポリマーシランカップリング剤被覆微粒子〉
第2機能性層は、ポリマーシランカップリング剤で被覆されてなる微粒子を含有することが、表面凹凸を形成してアンチブロッキング性を良好に発揮する点から好ましい。上記微粒子の含有量は、質量比で、ポリマーシランカップリング剤被覆微粒子:活性線硬化樹脂=0.1:100〜100:100となる量であることが好ましい。
ポリマーシランカップリング剤で被覆されてなる微粒子としては、特に制限されないが、シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン、五酸化アンチモン等が挙げられ、好ましくはシリカである。シリカ微粒子は、内部に空洞を有する中空粒子でも良い。
〈ポリマーシランカップリング剤〉
ポリマーシランカップリング剤とは、重合性モノマーとシランカップリング剤(シラン化合物)との反応物をいう。このようなポリマーシランカップリング剤は、例えば、特開平11−116240号公報に開示された重合性モノマーと反応性シラン化合物との反応物の製法に準じて得ることができる。
重合性モノマーとして、具体的には、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジバーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル等の(メタ)アクリル酸系モノマー;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルシチレン、クロルスチレン、スチレンスルホン酸及びその塩等のスチレン系モノマー;パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等のフッ素含有ビニルモノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のケイ素含有ビニル系モノマー;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のニトリル基含有ビニル系モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド基含有ビニル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレン等のアルケン類;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、アリルアルコール、アクリル樹脂モノマー類;ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメテクリレート、イソデシルメテクリレート、n−ラウリルアクリレート、n−ステアリルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、トリフロロエチルメテクリレート、ウレタンアクリレート等およびこれらの混合物が挙げられる。
これら重合性モノマーの重合物(オリゴマー、プレポリマー)を用いることも可能である。これらの重合性モノマーは、単独で用いても良いし、複数を用いても良い。(メタ)アクリルとはアクリル又はメタクリルを、(メタ)アクリレートとはアクリレート又はメタクリレートを意味する。
反応性シラン化合物としては、下記式(4)で表される有機ケイ素化合物を用いることが好ましい。
X−R−Si(OR) (4)
(式中、Rは、置換または非置換の炭化水素基から選ばれる炭素数1〜10の有機基を表す。Xは(メタ)アクロイル基、エポキシ基(グリシド基)、ウレタン基、アミノ基、フルオロ基から選ばれる1種または2種以上の官能基を表す。)
式(4)で表される有機ケイ素化合物として、具体的には、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシメチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシメチルトリエキシシラン、γ−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(β−グリシドキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシメチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシメチルトリエキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシエチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシエチルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドイソプロピルプロピルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等およびこれらの混合物が挙げられる。
重合性モノマーと反応性シラン化合物とを反応させてポリマーシランカップリング剤が調製される。具体的には、重合性モノマー100重量部に対し、反応性シラン化合物を0.5〜20重量部、さらには1〜10重量部の範囲で混合した有機溶媒溶液を調製し、これに重合開始剤を添加し、加熱することによって得ることができる。
有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、メタノール、イソプロパノール等のアルコール類、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類が挙げられる。これらは混合して用いることもできる。このときの重合性モノマーと反応性シラン化合物との合計の濃度は、固形分として1〜40重量%、さらには2〜30重量%の範囲にあることが好ましい。
重合開始剤は、アゾイソブチルニトリル、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサイノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシアセテートなどの過酸化物重合開始剤、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ化合物などが挙げられる。反応温度は30〜100℃、さらには50〜95℃の範囲にあることが望ましい。反応温度が低いと、反応が遅く、分子量の大きいポリマーシランカップリング剤を調製するには時間がかかりすぎることがあり、反応温度が高すぎるとかえって、反応速度が速すぎてしまい、所望の分子量に制御できない場合がある。ポリマーシランカップリング剤の分子量はポリスチレン換算で2,500〜150,000、さらには2,000〜100,000の範囲にあることが好ましい。
ポリマーシランカップリング剤の被覆層の厚みは、1〜10nm、さらには1〜5nmの範囲が好ましい。被覆層が薄いと微粒子のマトリックス成分への分散性が不十分となることがある。また、被覆層が厚すぎると、生産性は低下する問題となる。
また、ポリマーシランカップリング剤被覆微粒子中の被覆層の含有量は、固形分として0.5〜20重量%、さらには1〜15重量%の範囲にあることが望ましい。
〈ポリマーシランカップリング剤被覆微粒子の調製方法〉
ポリマーシランカップリング被覆微粒子は、具体的には、微粒子の有機溶媒分散液にポリマーシランカップリング剤を加え、アルカリ存在下でポリマーシランカップリング剤で微粒子を被覆することによって調製できる。
有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール(IPA)、ブタノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコール、ヘキシレングリコール、イソプロピルグリコールなどのアルコール類;酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステル、酢酸ブチルなどのエステル類;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセト酢酸エステルなどのケトン類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、トルエン、シクロヘキサノン、イソホロン等が挙げられる。
分散液中の微粒子とポリマーシランカップリング剤の合計の濃度は、固形分として1〜30重量%、さらには2〜25重量%の範囲が好ましい。
分散液にアルカリを添加して微粒子にポリマーシランカップリング剤を吸着させる。アルカリ添加により微粒子の表面が活性化し(OH基が生成され)、ポリマーシランカップリング剤と微粒子との親和性が高くなり結合する。或いはポリマーシランカップリング剤のOH基と微粒子のOH基との脱水反応が促進して結合を促進するなどが考えられる。
アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の他、アンモニア、アミン類等の塩基性窒素化合物が用いられる。中でも、塩基性窒素化合物が微粒子へのポリマーシランカップリング剤の吸着および結合が促進され、未吸着のポリマーシランカップリング剤が少ない点から好ましい。
アルカリの使用量は、金属酸化物粒子の種類、平均粒子径等によっても異なるが、微粒子の0.001〜0.2質量部、さらには0.005〜0.1質量部の範囲にあることが好ましい。
ついで、ポリマーシランカップリング剤を吸着した微粒子を分離し、乾燥することによってポリマーシランカップリング剤被覆微粒子を得ることができる。得られるポリマーシランカップリング剤被覆微粒子の平均粒子径は、5nm〜5μm、さらには10nm〜3μmの範囲が、ハードコートフィルムに用いた際の光学特性から好ましい。
第2機能性層中のポリマーシランカップリング剤被覆微粒子の含有量は、固形分として0.5〜80質量部、さらには1〜60質量部であることが、第2機能性層の膜強度を確保する点から好ましい。
(微粒子)
第2機能性層は、上記したポリマーシランカップリング剤被覆微粒子の他に、被覆されていない微粒子を含有して表面凹凸を形成し、アンチブロッキング性を発現してもよい。微粒子としては、ポリメチルメタクリレ−ト、ポリスチレン、ナイロン12等の有機系微粒子やシリカ等の無機微粒子を挙げることができる。微粒子の平均粒子径は5nm〜5μm、さらには10nm〜3μmの範囲が、ハードコートフィルムに用いた際の光学特性から好ましい。第2機能性層中の微粒子の含有量は、固形分として0.5〜80質量部、さらには1〜60質量部であることが、第2機能性層の膜強度を確保する点から好ましい。なお、前述した微粒子及びポリマーシランカップリング剤被覆微粒子は、第1機能性層に含有されてもよい。また、これらの微粒子は併用してよい。
(相分離)
第2機能性層は、相分離構造によって表面凹凸を形成して、アンチブロッキング性を発現してもよい。例えば、非反応性アクリル系樹脂と、前述したエチレン性不飽和二重結合を有する紫外線硬化型アクリレート系樹脂を、重量比で、前者/後者=1/99〜90/10、好ましくは3/97〜70/30、さらに好ましくは5/95〜50/50で混合して用いる。前記2種類のアクリル樹脂は、互いに非相溶で相分離性を有しており、加工温度付近で互いに非相溶である。このような組み合わせとすることにより、相分離作用で表面凹凸を形成できる。
(型押し)
表面に凹凸をつけた金属金型を用いて、第2機能性層に対してUVエンボス加工することで、第2機能性層に表面凹凸を形成し、アンチブロッキング性を発現できる。UVエンボス加工は、基材フィルムの表面に樹脂層を形成し、その樹脂層を金型の凹凸面に押し付けながら硬化させることで、金型の凹凸面が樹脂層に転写されて表面凹凸が形成される。具体的には、基材フィルム上に紫外線硬化型樹脂を塗工し、塗工した紫外線硬化樹脂を金属金型に密着させた状態で、基材フィルム側から紫外線を照射して紫外線硬化型樹脂を硬化させ、その後金属金型から、硬化後の樹脂層が形成されたハードコートフィルムを剥離することで、表面凹凸が形成される。
次に、第1機能性層及び第2機能性層のどちらの層にも添加してもよい化合物及び機能性層形成方法について説明する。なお、機能性層と記述した場合には、第1機能性層及び第2機能性層の両方を含むものとする。
(導電剤)
機能性層には、帯電防止性を付与するために導電剤が含まれていてもよい。好ましい導電剤としては、金属酸化物粒子又はπ共役系導電性ポリマーが挙げられる。また、イオン液体も導電性化合物として好ましく用いられる。
(添加剤)
機能性層には塗布性から、フッ素−シロキサングラフト化合物、フッ素系化合物やHLB値が3〜18の化合物を含有しても良い。これら添加剤の種類や添加量を調整することで、親水性を制御しやすい。
HLB値とは、Hydrophile−Lipophile−Balance、親水性−親油性−バランスのことであり、化合物の親水性又は親油性の大きさを示す値である。HLB値が小さいほど親油性が高く、値が大きいほど親水性が高くなる。また、HLB値は以下のような計算式によって求めることができる。
HLB=7+11.7Log(Mw/Mo)
式中、Mwは親水基の分子量、Moは親油基の分子量を表し、Mw+Mo=M(化合物の分子量)である。或いはグリフィン法によれば、HLB値=20×親水部の式量の総和/分子量(J.Soc.Cosmetic Chem.,5(1954),294)等が挙げられる。HLB値が3〜18の化合物の具体的化合物を下記に挙げるが、これに限定されるものでない。( )内はHLB値を示す。
花王株式会社製:エマルゲン102KG(6.3)、エマルゲン103(8.1)、エマルゲン104P(9.6)、エマルゲン105(9.7)、エマルゲン106(10.5)、エマルゲン108(12.1)、エマルゲン109P(13.6)、エマルゲン120(15.3)、エマルゲン123P(16.9)、エマルゲン147(16.3)、エマルゲン210P(10.7)、エマルゲン220(14.2)、エマルゲン306P(9.4)、エマルゲン320P(13.9)、エマルゲン404(8.8)、エマルゲン408(10.0)、エマルゲン409PV(12.0)、エマルゲン420(13.6)、エマルゲン430(16.2)、エマルゲン705(10.5)、エマルゲン707(12.1)、エマルゲン709(13.3)、エマルゲン1108(13.5)、エマルゲン1118S−70(16.4)、エマルゲン1135S−70(17.9)、エマルゲン2020G−HA(13.0)、エマルゲン2025G(15.7)、エマルゲンLS−106(12.5)、エマルゲンLS−110(13.4)、エマルゲンLS−114(14.0)、日信化学工業株式会社製:サーフィノール104E(4)、サーフィノール104H(4)、サーフィノール104A(4)、サーフィノール104BC(4)、サーフィノール104DPM(4)、サーフィノール104PA(4)、サーフィノール104PG−50(4)、サーフィノール104S(4)、サーフィノール420(4)、サーフィノール440(8)、サーフィノール465(13)、サーフィノール485(17)、サーフィノールSE(6)、信越化学工業株式会社製:X−22−4272(7)、X−22−6266(8)、KF−351(12)、KF−352(7)、KF−353(10)、KF−354L(16)、KF−355A(12)、KF−615A(10)、KF−945(4)、KF−618(11)、KF−6011(12)、KF−6015(4)、KF−6004(5)。
フッ素−シロキサングラフト化合物とは、少なくともフッ素系樹脂に、シロキサン及び/又はオルガノシロキサン単体を含むポリシロキサン及び/又はオルガノポリシロキサンをグラフト化させて得られる共重合体の化合物をいう。このようなフッ素−シロキサングラフト化合物は、後述の実施例に記載されているような方法で調製することができる。あるいは、市販品としては、富士化成工業株式会社製のZX−022H、ZX−007C、ZX−049、ZX−047−D等を挙げることができる。また、フッ素系化合物としては、DIC株式会社製のメガファックシリーズ(F−477,F−487、F−569等)、ダイキン工業株式会社社製のオプツールDSX、オプツールDACなどを挙げることができる。これら成分は、機能性層組成物中の固形分成分に対し、0.005質量部以上、5質量部以下の範囲で添加することが好ましい。
(紫外線吸収剤)
機能性層は、後述するセルロースエステルフィルムで説明する紫外線吸収剤をさらに含有しても良い。紫外線吸収剤を含有する場合のフィルムの構成としては、2層以上で構成される場合には、かつセルロースエステルフィルムと接する機能性層に紫外線吸収剤を含有することが好ましい。
紫外線吸収剤の含有量は、質量比で、紫外線吸収剤:機能性層構成樹脂=0.01:100〜10:100となる量であることが好ましい。機能性層を2層以上設ける場合、セルロースエステルフィルムと接する機能性層の膜厚は、0.05〜2μmの範囲であることが好ましい。2層以上の積層は同時重層で形成しても良い。同時重層とは、乾燥工程を経ずに基材上に2層以上の機能性層をwet on wetで塗布して、機能性層を形成することである。1番目の機能性層の上に乾燥工程を経ずに、2番目の機能性層をwet on wetで積層するには、押し出しコーターにより逐次重層するか、若しくは複数のスリットを有するスロットダイにて同時重層を行えばよい。
(溶剤)
機能性層は、上記した機能性層を形成する成分を、セルロースエステルフィルムを膨潤又は一部溶解をする溶剤で希釈し、機能性層組成物として、以下の方法でセルロースフィルム上に塗布し、乾燥、硬化することにより形成することが好ましい。
溶剤としては、ケトン(メチルエチルケトン、アセトンなど)及び/又は酢酸エステル(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、アルコール(エタノール、メタノール)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどが好ましい。機能性層の塗布量は、ウェット膜厚として0.1〜40μmの範囲が適当で、好ましくは0.5〜30μmの範囲である。また、ドライ膜厚としては平均膜厚0.01〜20μmの範囲、好ましくは0.5〜10μmの範囲である。より好ましくは、0.5〜5μmの範囲である。
機能性層の塗布方法は、グラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、インクジェット法等の公知の方法を用いることができる。
(機能性層形成方法)
機能性層組成物を塗布後、乾燥し、硬化(熱或いは活性線照射(UV硬化とも言う))し、更に必要に応じて、硬化後に加熱処理しても良い。硬化後の加熱処理温度としては80℃以上が好ましく、更に好ましくは100℃以上であり、特に好ましくは120℃以上である。このような高温で硬化後の加熱処理を行うことで、膜強度に優れた機能性層を得ることができる。
乾燥は、減率乾燥区間の温度を30℃以上で行うことが好ましい。更に好ましくは、減率乾燥区間の温度は50℃以上である。
一般に乾燥プロセスは、乾燥が始まると、乾燥速度が一定の状態から徐々に減少する状態へと変化していくことが知られており、乾燥速度が一定の区間を恒率乾燥区間、乾燥速度が減少していく区間を減率乾燥区間と呼ぶ。
UV硬化処理に用いる光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。
照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は、通常50〜1000mJ/cmの範囲、好ましくは50〜300mJ/cmの範囲である。また、UV硬化では酸素による反応阻害を防止するため、酸素除去(例えば、窒素パージなどの不活性ガスによる置換)を行うこともできる。酸素濃度の除去量を調整することで、表面の硬化状態を制御できる。これにより、前記Δθを前記範囲に制御しやすい。
硬化時は、フィルムの搬送方向に張力を付与しながら行うことが好ましく、更に好ましくは幅方向にも張力を付与しながら行うことである。付与する張力は30〜300N/mが好ましい。張力を付与する方法は特に限定されず、バックローラ上で搬送方向に張力を付与してもよく、テンターにて幅方向、又は2軸方向に張力を付与してもよい。これによって更に平面性の優れたフィルムを得ることができる。
機能性層は表面改質しても良く、また後述するフィルム基材を表面改質後に塗布、乾燥等により機能性層を形成しても良い。表面改質の方法はプラズマ照射処理、コロナ照射処理、溶媒処理等があげられる。これらの表面改質の方法は、一種類を単独で行ってもよいし、複数を組み合わせて行ってもよい。
また、本実施形態のハードコートフィルムのヘイズは、画像表示装置に用いた場合の視認性から0.1〜10%の範囲内であることが好ましい。ヘイズは、JIS−K7105及びJIS K7136に準じて測定できる。
(硬度)
本実施形態のハードコートフィルムは、硬度の指標である鉛筆硬度が6B以上のフィルムであり、より好ましくは4B以上である。鉛筆硬度は、作製したハードコートフィルムを温度23℃、相対湿度55%の条件で2時間以上調湿した後、加重500g条件でJIS S 6006が規定する試験用鉛筆を用いて、機能性層をJIS K 5400が規定する鉛筆硬度評価方法に従い測定した値である。
(透湿性)
本実施形態のハードコートフィルムは、透湿60℃、相対湿度95%、24時間経時における透湿度が2000g/m以下であることが好ましく、より好ましくは1000g/m以下である。透湿度の値は、JIS Z 0208の透湿度試験(カップ法)に準じて、温度60℃、相対湿度95%の雰囲気中、面積1mの試料を24時間に通過する水蒸気の重量(g)を測定した値である。
〔フィルム基材〕
次に、本実施形態に係るフィルム基材について説明する。フィルム基材としては、製造が容易であること、機能性層との接着性が良好であること、光学的に等方性であること、透明であること等が好ましい。フィルム基材としては、上記の性質を有していれば特に限定はないが、例えば、セルロースジアセテートフィルム、セルローストリアセテートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム等のセルロースエステル系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム(アートン(JSR社製)、ゼオネックス、ゼオノア(以上、日本ゼオン社製))、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルム、ポリ乳酸フィルムまたはガラス板等を挙げることができる。中でも、セルロースエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、シクロオレフィンポリマーフィルムが好ましい。
セルロースエステルフィルム(以下、セルロースアセテートフィルムとも言う。)としては、例えばトリアセチルセルロースフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム等が挙げられる。また、セルロースエステルフィルムは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ノルボルネン系樹脂、フッ素樹脂、シクロオレフィンポリマー等を併用してもよい。セルロースエステルフィルムの市販品としては、例えばコニカミノルタタックKC8UX、KC4UX、KC8UY、KC4UY、KC6UA、KC4UA、KC2UA、KC4UE及びKC4UZ(以上、コニカミノルタ(株)製)が挙げられる。セルロースエステルフィルムの屈折率は1.45〜1.55であることが好ましい。屈折率は、JIS K7142−2008に準じて測定することができる。
(セルロースエステル樹脂)
セルロースエステル樹脂(以下、セルロースエステル、セルロース系樹脂ともいう)は、セルロースの低級脂肪酸エステルであることが好ましい。セルロースの低級脂肪酸エステルにおける低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味し、例えば、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート等や、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等の混合脂肪酸エステルを用いることができる。
上記記載の中でも、特に好ましく用いられるセルロースの低級脂肪酸エステルは、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネートである。これらのセルロースエステルは単独或いは混合して用いることができる。
セルロースジアセテートは、平均酢化度(結合酢酸量)51.0%〜56.0%のものが好ましく用いられる。市販品としては、(株)ダイセル製のL20、L30、L40、L50、イーストマンケミカルジャパン(株)製のCa398−3、Ca398−6、Ca398−10、Ca398−30、Ca394−60Sが挙げられる。
セルローストリアセテートは、平均酢化度(結合酢酸量)54.0〜62.5%のものが好ましく用いられ、更に好ましいのは、平均酢化度が58.0〜62.5%のセルローストリアセテートである。
セルローストリアセテートとしては、数平均分子量(Mn)が125000以上、155000未満、重量平均分子量(Mw)は、265000以上310000未満、Mw/Mnが1.9〜2.1であるセルローストリアセテートA、アセチル基置換度が2.75〜2.90であり、数平均分子量(Mn)が155000以上、180000未満、Mwは290000以上360000未満、Mw/Mnは、1.8〜2.0であるセルローストリアセテートBを含有することが好ましい。
セルロースアセテートプロピオネートは、炭素原子数2〜4のアシル基を置換基として有し、アセチル基の置換度をXとし、プロピオニル基又はブチリル基の置換度をYとしたとき、下記式(I)及び(II)を同時に満たすものが好ましい。
式(I) 2.6≦X+Y≦3.0
式(II) 0≦X≦2.5
中でも1.9≦X≦2.5、0.1≦Y≦0.9であることが好ましい。
上記アシル基の置換度の測定方法は、ASTM−D817−96に準じて測定することができる。セルロースエステルの数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw)は、高速液体クロマトグラフィーを用い測定できる。測定条件は以下の通りである。
溶媒:メチレンクロライド
カラム:Shodex K806、K805、K803G
(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ:L6000(日立製作所(株)製)
流量:1.0ml/min
校正曲線:標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いることが好ましい。
(熱可塑性アクリル樹脂)
セルロースエステルフィルムは、熱可塑性アクリル樹脂を併用しても良い。併用する場合には、熱可塑性アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂の含有質量比が、熱可塑性アクリル樹脂:セルロースエステル樹脂=95:5〜50:50であることが好ましい。
アクリル樹脂には、メタクリル樹脂も含まれる。アクリル樹脂としては、特に制限されるものではないが、メチルメタクリレート単位50〜99質量%、及びこれと共重合可能な他の単量体単位1〜50質量%からなるものが好ましい。共重合可能な他の単量体としては、アルキル数の炭素数が2〜18のアルキルメタクリレート、アルキル数の炭素数が1〜18のアルキルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和基含有二価カルボン酸、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のα,β−不飽和ニトリル、無水マレイン酸、マレイミド、N−置換マレイミド、グルタル酸無水物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してよい。これらの中でも共重合体の耐熱分解性や流動性の観点から、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、s−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が好ましく、メチルアクリレートやn−ブチルアクリレートが特に好ましく用いられる。また、重量平均分子量(Mw)は80000〜500000であることが好ましく、更に好ましくは110000〜500000の範囲内である。
アクリル樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定することができる。アクリル樹脂の市販品としては、例えばデルペット60N、80N(旭化成ケミカルズ(株)製)、ダイヤナールBR52、BR80,BR83,BR85,BR88(三菱レイヨン(株)製)、KT75(電気化学工業(株)製)等が挙げられる。アクリル樹脂は2種以上を併用することもできる。
(λ/4フィルム)
フィルム基材には、λ/4フィルムを用いても良い。フィルム基材にλ/4フィルムを用いることで、本実施形態の目的効果が良好に得られるばかりか、画像表示装置に本実施形態のハードコートフィルムを組み入れた場合、クロストークにも優れる点から好ましい。
λ/4フィルムとは、所定の光の波長(通常、可視光領域)に対して、フィルムの面内位相差が約1/4となるフィルムをいう。λ/4フィルムは、可視光の波長の範囲においてほぼ完全な円偏光を得るため、可視光の波長の範囲において概ね波長の1/4の位相差を有する広帯域λ/4フィルムであることが好ましい。
λ/4フィルムは、波長550nmで測定した面内リタデーション値Ro(550)が、60nm以上220nm以下の範囲にあることが好ましく、80nm以上200nm以下の範囲であることがより好ましく、90nm以上190nm以下の範囲であることがさらに好ましい。なお、面内リタデーション値Roは、以下の式で表される。
Ro=(nx−ny)×d
ただし、式中、nx、nyは、23℃55%RH、波長550nmにおける屈折率のうち、フィルムの面内で最大の屈折率(遅相軸方向の屈折率ともいう)、およびフィルム面内で遅相軸に直交する方向の屈折率であり、dはフィルムの厚み(nm)である。
Roは、自動複屈折率計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて、23℃、55%RHの環境下で、各波長での複屈折率測定により算出することができる。
さらに、λ/4フィルムとして有効に機能するためには、同時に、Ro(590)−Ro(450)≧2nmの関係を満足することが好ましく、Ro(590)−Ro(450)≧5nmであることがより好ましく、Ro(590)−Ro(450)≧10nmであることがさらに好ましい。なお、Ro(A)は、波長Anmで測定した面内リタデーション値Roを指す。
λ/4フィルムの遅相軸と後述する偏光子の透過軸との角度が実質的に45°になるように積層すると円偏光板が得られる。実質的に45°とは、30°〜60°の範囲、より望ましくは40°〜50°の範囲であることを意味する。λ/4フィルムの面内の遅相軸と偏光子の透過軸との角度は、41〜49°であることが好ましく、42〜48°であることがより好ましく、43〜47°であることがより一層好ましく、44〜46°であることがさらに好ましい。
λ/4フィルムとしては、光学的に透明な樹脂であれば特に限定はなく、例えば、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、前述したセルロース系樹脂などを用いることができる。中でも、耐薬品性の観点から、λ/4フィルムは、セルロース系樹脂またはポリカーボネート系樹脂であることが好ましい。また、耐熱性の観点から、λ/4フィルムは、セルロース系樹脂であることが好ましい。
λ/4フィルムのリタデーションは、前述した樹脂フィルムに以下のリタデーション調整剤を添加しても調整してもよい。
(リタデーション調整剤)
リタデーション調整剤としては、欧州特許911,656A2号明細書に記載されているような、二つ以上の芳香族環を有する芳香族化合物を使用することができる。
また、2種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。該芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。芳香族性ヘテロ環であることが特に好ましく、芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。中でも1,3,5−トリアジン環が特に好ましい。
(ポリカーボネート系樹脂)
フィルム基材(またはλ/4フィルム)には、ポリカーボネート系樹脂を用いることもできる。ポリカーボネート系樹脂としては、特に限定なく種々のものが使用でき、化学的性質および物性の点から芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましく、特にビスフェノールA系ポリカーボネート樹脂が好ましい。その中でも、ビスフェノールAにベンゼン環、シクロヘキサン環、および脂肪族炭化水素基等を導入したビスフェノールA誘導体を用いたものがより好ましい。
さらに、ビスフェノールAの中央の炭素に対して、非対称に上記官能基が導入された誘導体を用いて得られた、単位分子内の異方性を減少させた構造のポリカーボネート樹脂が特に好ましい。このようなポリカーボネート樹脂としては、例えば、ビスフェノールAの中央の炭素の2個のメチル基をベンゼン環に置き換えたもの、ビスフェノールAのそれぞれのベンゼン環の一の水素をメチル基やフェニル基などで中央炭素に対し非対称に置換したものを用いて得られるポリカーボネート樹脂が特に好ましい。
具体的には4,4′−ジヒドロキシジフェニルアルカンまたはこれらのハロゲン置換体からホスゲン法またはエステル交換法によって得られるものであり、例えば、4,4′−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエタン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルブタン等が挙げられる。また、この他にも例えば、特開2006−215465号公報、特開2006−91836号公報、特開2005−121813号公報、特開2003−167121号公報、特開2009−126128号公報、特開2012−31369号公報、特開2012−67300号公報、国際公開第00/26705号等に記載されているポリカーボネート系樹脂が挙げられる。
ポリカーボネート系樹脂は、ポリスチレン系樹脂、メチルメタクリレート系樹脂、およびセルロースアセテート系樹脂等の透明性樹脂と混合して使用してもよい。また、セルロースアセテート系樹脂を用いて形成した樹脂フィルムの少なくとも一方の面にポリカーボネート系樹脂を含有する樹脂層を積層してもよい。
ポリカーボネート系樹脂は、ガラス転移点(Tg)が110℃以上であって、吸水率(23℃水中、24時間の条件で測定した値)が0.3%以下のものであることが好ましい。また、Tgが120℃以上であって、吸水率が0.2%以下のものがより好ましい。ポリカーボネート系樹脂フィルムは公知の方法で製膜することができ、その中でも溶液流延法や溶融流延法が好ましい。
(脂環式オレフィンポリマー系樹脂)
フィルム基材(またはλ/4フィルム)としては、脂環式オレフィンポリマー系樹脂を用いることもできる。脂環式オレフィンポリマー系樹脂としては、特開平05−310845号公報に記載されている環状オレフィンランダム多元共重合体、特開平05−97978号公報に記載されている水素添加重合体、特開平11−124429号公報に記載されている熱可塑性ジシクロペンタジエン系開環重合体およびその水素添加物等を採用することができる。
脂環式オレフィンポリマー系樹脂は、飽和脂環炭化水素(シクロアルカン)構造や不飽和脂環炭化水素(シクロアルケン)構造のごとき脂環式構造を有するポリマーである。脂環式構造を構成する炭素原子数には、格別な制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個の範囲であるときに、機械強度、耐熱性および長尺フィルムの成形性の特性が高度にバランスされ、好適である。
脂環式オレフィンポリマー中の脂環式構造を含有してなる繰り返し単位の割合は、適宜選択すればよいが、好ましくは55重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。脂環式ポリオレフィン樹脂中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合がこの範囲にあると、後述する長尺斜め延伸フィルムより得られる位相差フィルム等の光学材料の透明性および耐熱性が向上するので好ましい。
脂環式構造を有するオレフィンポリマー系樹脂としては、ノルボルネン系樹脂、単環の環状オレフィン系樹脂、環状共役ジエン系樹脂、ビニル脂環式炭化水素系樹脂およびこれらの水素化物等を挙げることができる。これらの中で、ノルボルネン系樹脂は、透明性と成形性が良好なため、好適に用いることができる。
ノルボルネン系樹脂としては、例えば、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体若しくはノルボルネン構造を有する単量体と他の単量体との開環共重合体またはそれらの水素化物、ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体若しくはノルボルネン構造を有する単量体と他の単量体との付加共重合体またはそれらの水素化物等を挙げることができる。これらの中で、ノルボルネン構造を有する単量体の開環(共)重合体水素化物は、透明性、成形性、耐熱性、低吸湿性、寸法安定性および軽量性などの観点から、特に好適に用いることができる。上記のようなノルボルネン系樹脂を用いた長尺フィルムを成形する方法としては、溶液製膜法や溶融押出法の製造方法が好まれる。溶融押出法としては、ダイスを用いるインフレーション法等が挙げられるが、生産性や厚さ精度に優れる点でTダイを用いる方法が好ましい。
Tダイを用いた押出成形法としては、特開2004−233604号公報に記載されているような、冷却ドラムに密着させるときの溶融状態の熱可塑性樹脂を安定な状態に保つ方法を採用できる。これにより、リタデーションや配向角といった光学特性のばらつきが小さい長尺フィルムを製造することができる。具体的には、1)溶融押出法で長尺フィルムを製造する際に、ダイスから押し出されたシート状の熱可塑性樹脂を50kPa以下の圧力下で冷却ドラムに密着させて引き取る方法;2)溶融押出法で長尺フィルムを製造する際に、ダイス開口部から最初に密着する冷却ドラムまでを囲い部材で覆い、囲い部材からダイス開口部または最初に密着する冷却ドラムまでの距離を100mm以下とする方法;3)溶融押出法で長尺フィルムを製造する際に、ダイス開口部から押し出されたシート状の熱可塑性樹脂より10mm以内の雰囲気の温度を特定の温度に加温する方法;4)関係を満たすようにダイスから押し出されたシート状の熱可塑性樹脂を50kPa以下の圧力下で冷却ドラムに密着させて引き取る方法;5)溶融押出法で長尺フィルムを製造する際に、ダイス開口部から押し出されたシート状の熱可塑性樹脂に、最初に密着する冷却ドラムの引取速度との速度差が0.2m/s以下の風を吹き付ける方法;が挙げられる。
長尺フィルムは、単層若しくは2層以上の積層フィルムであってもよい。積層フィルムは共押出成形法、共流延成形法、フィルムラミネイション法、塗布法などの公知の方法で得ることができる。これらのうち共押出成形法、共流延成形法が好ましい。
(微粒子)
フィルム基材には、取扱性を向上させるため、例えばアクリル粒子、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の無機微粒子や架橋高分子などのマット剤を含有させることが好ましい。また、アクリル粒子は、特に限定されるものではないが、多層構造アクリル系粒状複合体であることが好ましい。これらの中でも二酸化ケイ素がセルロースエステルフィルムのヘイズを小さくできる点で好ましい。微粒子の1次平均粒子径としては、20nm以下が好ましく、更に好ましくは、5〜16nmの範囲内であり、特に好ましくは、5〜12nmの範囲内である。
(一般式(P)で表されるモノマーに由来する繰り返し単位を含む重合体)
フィルム基材は、下記一般式(P)で表されるモノマーに由来する繰り返し単位を含む重合体を含有することが好ましい。
Figure 2015179204
式中、Rは水素原子または炭素数1〜4の脂肪族基を表す。Rは、特に限定されないが、水素原子、メチル基、又はエチル基であることが好ましい。
は置換基を表す。置換基としては、脂肪族基又は芳香族基が好ましい。Rは、特に限定されないが、脂肪族基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が更に好ましく、メチル基、t−ブチル基が特に好ましい。芳香族基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基が好ましく、フェニル基が特に好ましい。
nは0〜4の整数を表し、0〜2が好ましく、0〜1がより好ましい。なお、nが0のとき置換基Rが存在しないことになるが、化学式中、ここには水素原子があればよいことを意味する。
(A)は5または6員環を形成するのに必要な原子群を表し、5または6員の芳香環であることが好ましい。本明細書における芳香環とは、ヘテロ原子を含まない芳香族環とヘテロ原子を有する飽和・不飽和の複素環を含む概念である。
フィルムの透湿度および含水率を抑制する効果から、一般式(P)で表わされる重合体の質量平均分子量は200〜10,000であることが好ましく、300〜8,000であることがより好ましく、400〜4,000であることが特に好ましい。上限値以下であると、セルロースアシレートとの相溶性向上が期待できる。
分子量及び分散度は、特に断らない限りGPC(ゲルろ過クロマトグラフィー)法を用いて測定した値とし、分子量はポリスチレン換算の質量平均分子量で測定できる。
GPC法に用いるカラムに充填されているゲルは、芳香族化合物を繰り返し単位に持つゲルが好ましく、例えばスチレン−ジビニルベンゼン共重合体からなるゲルが挙げられる。カラムは2〜6本連結させて用いることが好ましい。用いる溶媒は、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、N−メチルピロリジノン等のアミド系溶媒が挙げられる。測定は、溶媒の流速が0.1〜2mL/minの範囲で行うことが好ましく、0.5〜1.5mL/minの範囲で行うことが最も好ましい。この範囲内で測定を行うことで、装置に負荷がかからず、さらに効率的に測定ができる。測定温度は10〜50℃で行うことが好ましく、20〜40℃で行うことが最も好ましい。なお、使用するカラム及びキャリアは測定対象となる高分子化合物の物性に応じて適宜選定することができる。
一般式(P)で表わされる重合体の添加量は特に限定されないが、フィルム基材を形成する樹脂100質量部に対して、0.1〜100質量部であることが好ましく、0.5〜50質量部であることがより好ましく、1.0〜30質量部であることが特に好ましい。
以下に、一般式(P)で表されるモノマー由来の繰り返し単位を有する重合体の具体例を示すが、重合体はこれらに限定されるわけではない。なお、下記の構造式は主要成分の繰り返し単位の化学構造とその構成比を示しており、その他の成分が含まれていてもよいことは上記の通りである。
Figure 2015179204
なお、本明細書における重合体とは、モノマーが多数重合した一般的な高分子化合物であるポリマーに加えて、モノマーが例えば数個重合した分子量数百程度の化合物であるオリゴマーも含まれることを意味する。また、特に断らない限り、ポリマー、コポリマーまたは共重合体も含む。
(有機酸)
フィルム基材は有機酸を含有してもよい。有機酸の分子量は200〜1000であることが好ましく、250〜800であることがより好ましく、280〜500であることが特に好ましい。有機酸としては、芳香環構造を含むことが好ましく、炭素数6〜12のアリール基を含むことが好ましく、フェニル基を含むことが特に好ましい。有機酸の芳香環構造は、その他の環と縮合環を形成していてもよい。有機酸の芳香環構造は、置換基を有していてもよいが、ハロゲン原子またはアルキル基であることが好ましく、ハロゲン原子または炭素数1〜6のアルキル基であることがより好ましく、塩素原子またはメチル基であることが特に好ましい。また、有機酸は、下記一般式(Q)で表されることが好ましい。
Figure 2015179204
一般式(Q)において、R26はアリール基を表し、R27およびR28はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アリール基を表す。R26およびR27はそれぞれ置換基を有していてもよい。R26は炭素数6〜18のアリール基であることが好ましく、炭素数6〜12のアリール基であることがより好ましく、フェニル基であることが特に好ましい。R27およびR28はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜12のアルキル基(シクロアルキル基も含む)または炭素数6〜12のアリール基であることが好ましく、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基(シクロアルキル基も含む)またはフェニル基であることがより好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、シクロヘキサン基またはフェニル基であることが特に好ましい。
以下、一般式(Q)で表される有機酸の具体例を例示するが、有機酸はこれらに限定されるわけではない。
Figure 2015179204
有機酸の含有量は、フィルム基材を構成する主成分の樹脂に対して1〜20質量%であることが好ましい。
(一般式(S)で表される化合物)
フィルム基材は、以下の一般式(S)で表される化合物を含有してもよい。
Figure 2015179204
一般式(S)において、Rは水素原子又は置換基を表し、Rは下記一般式(a)で表される置換基を表す。n1は0〜4の整数を表す。n1が2以上のとき、複数のR1は互いに同一であっても異なっていてもよい。n2は1〜5の整数を表す。n2が2以上のとき、複数のR2は互いに同一であっても異なっていてもよい。
Figure 2015179204
一般式(a)において、Aは置換又は無置換の芳香族環を表す。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基又は下記の一般式(b)で表される置換基を表す。Rは、単結合又は炭素原子数1〜5のアルキレン基を表す。Xは、置換又は無置換の芳香族環を表す。n3は0〜10の整数を表す。n3が2以上のとき、複数のR及びXは互いに同一であっても異なっていてもよい。
Figure 2015179204
一般式(b)において、Xは、置換又は無置換の芳香族環を表す。R、R、R、及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。n5は1〜11の整数を表す。n5が2以上のとき、複数のR、R、R及びXは互いに同一であっても異なっていてもよい。
以下、一般式(S)で表される化合物の具体例を示すが、化合物はこれらに限定されるわけではない。
Figure 2015179204
Figure 2015179204
Figure 2015179204
一般式(S)で表される化合物の重量平均分子量は200〜1200であることが溶解から好ましく、250〜1000であることがより好ましく、300〜800であることが特に好ましい。
一般式(S)で表される化合物の添加量は特に限定されないが、フィルム基材100質量部に対して、0.1〜100質量部であることが安定性から好ましく、0.2〜80質量部であることがより好ましく、0.3〜60質量部であることが特に好ましい。
(エステル化合物)
フィルム基材は、環境変化での寸法安定性から、下記一般式(X)で表されるエステル化合物又は糖エステルを含有することが好ましい。先ずは、一般式(X)で表されるエステル化合物について説明する。
一般式(X);B−(G−A)n−G−B
式中、Bはヒドロキシ基又はカルボン酸残基、Gは炭素数2〜12のアルキレングリコール残基又は炭素数6〜12のアリールグリコール残基又は炭素数が4〜12のオキシアルキレングリコール残基、Aは炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基又は炭素数6〜12のアリールジカルボン酸残基を表す。nは1以上の整数を表す。
一般式(X)において、炭素数2〜12のアルキレングリコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、2−メチル1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオール、2−エチル1,3−ヘキサンジオール、2−メチル1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール等があり、これらのグリコールは、1種又は2種以上の混合物として使用される。特に炭素数2〜12のアルキレングリコールがセルロースアセテートとの相溶性に優れているため、特に好ましい。炭素数6〜12のアリールグリコール成分としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノール等があり、これらのグリコールは、1種又は2種以上の混合物として使用できる。
また、炭素数4〜12のオキシアルキレングリコール成分としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等があり、これらのグリコールは、1種又は2種以上の混合物として使用できる。炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸成分としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、フマール酸、グルタール酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等があり、これらは、それぞれ1種又は2種以上の混合物として使用される。炭素数6〜12のアリーレンジカルボン酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5ナフタレンジカルボン酸、1,4ナフタレンジカルボン酸等がある。以下に、一般式(X)で表される化合物の具体例(化合物X−1〜化合物X−17)を示すが、これに限定されない。
Figure 2015179204
Figure 2015179204
Figure 2015179204
次に糖エステル化合物について説明する。糖エステル化合物としては、セルロースエステル以外のエステルであって、下記単糖、二糖、三糖又はオリゴ糖などの糖のOH基のすべてもしくは一部をエステル化した化合物である。糖としては例えば、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、キシロース、アラビノース、ラクトース、スクロース、ニストース、1F−フラクトシルニストース、スタキオース、マルチトール、ラクチトール、ラクチュロース、セロビオース、マルトース、セロトリオース、マルトトリオース、ラフィノース及びケストースを挙げることができる。このほか、ゲンチオビオース、ゲンチオトリオース、ゲンチオテトラオース、キシロトリオース、ガラクトシルスクロースなども挙げられる。これらの化合物の中で、特にフラノース構造及び/又はピラノース構造を有する化合物が好ましい。これらの中でも、スクロース、ケストース、ニストース、1F−フラクトシルニストース、スタキオースなどが好ましく、さらに好ましくは、スクロースである。また、オリゴ糖として、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖も好ましく使用することができる。
糖をエステル化するのに用いられるモノカルボン酸は、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。使用するカルボン酸は1種類でもよいし、2種以上の混合であってもよい。好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチルーヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、べヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、オクテン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができる。好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、安息香酸のベンゼン環にアルキル基、アルコキシ基を導入した芳香族モノカルボン酸、ケイ皮酸、ベンジル酸、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができ、より具体的には、キシリル酸、ヘメリト酸、メシチレン酸、プレーニチル酸、γ−イソジュリル酸、ジュリル酸、メシト酸、α−イソジュリル酸、クミン酸、α−トルイル酸、ヒドロアトロパ酸、アトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、サリチル酸、o−、m、p−アニス酸、クレオソート酸、o−、m、p−ホモサリチル酸、o−ピロカテク酸、β−レソルシル酸、バニリン酸、イソバニリン酸、ベラトルム酸、o−ベラトルム酸、没食子酸、アサロン酸、マンデル酸、ホモアニス酸、ホモバニリン酸、ホモベラトルム酸、o−ホモベラトルム酸、フタロン酸、p−クマル酸を挙げることができるが、特に安息香酸が好ましい。エステル化したエステル化合物の中では、エステル化によりアセチル基が導入されたアセチル化合物が好ましい。以下に糖エステル化合物の具体例を示すが、これらに限定されない。
Figure 2015179204
Figure 2015179204
Figure 2015179204
Figure 2015179204
Figure 2015179204
糖エステル化合物は、一般式(Y)で示される化合物であることが好ましい。以下に、一般式(Y)で示される化合物について説明する。
Figure 2015179204
式中、R〜Rは、水素原子、置換若しくは無置換の炭素数2〜22のアルキルカルボニル基、或いは、置換又は無置換の炭素数2〜22のアリールカルボニル基を表す。R〜Rは、同じであっても、異なっていてもよい。
以下に一般式(Y)で示される化合物をより具体的(化合物Y−1〜化合物Y−23)に示すが、化合物はこれらに限定されない。なお、下表において、平均置換度が8.0未満の場合、R〜Rのうちのいずれかは水素原子を表す。
Figure 2015179204
Figure 2015179204
Figure 2015179204
置換度分布は、エステル化反応時間の調節、又は置換度違いの化合物を混合することにより目的の置換度に調整できる。
一般式(X)で表わされるエステル化合物又は糖エステル化合物は、セルロースアセテートフィルムに、1〜30質量%含有させることが好ましく、5〜25質量%含有させることがより好ましく、5〜20質量%含有させることが特に好ましい。
(可塑剤)
フィルム基材は、必要に応じて可塑剤を含有しても良い。可塑剤としては、特に限定されないが、多価カルボン酸エステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、及び多価アルコールエステル系可塑剤、アクリル系可塑剤等が挙げられる。これらの中では、後述するリタデーション値にセルロースエステルフィルムを制御しやすい点から、アクリル系可塑剤が好ましい。
多価アルコールエステル系可塑剤は、2価以上の脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸のエステルよりなる可塑剤であり、分子内に芳香環又はシクロアルキル環を有することが好ましい。好ましくは2〜20価の脂肪族多価アルコールエステルである。以下に、多価アルコールエステル系可塑剤の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2015179204
Figure 2015179204
グリコレート系可塑剤としては、特に限定されないが、アルキルフタリルアルキルグリコレート類が好ましく用いることができる。アルキルフタリルアルキルグリコレート類としては、例えばメチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等が挙げられる。
フタル酸エステル系可塑剤としては、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジシクロヘキシルテレフタレート等が挙げられる。
リン酸エステル系可塑剤としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等が挙げられる。
多価カルボン酸エステル系可塑剤は2価以上、好ましくは2価〜20価の多価カルボン酸とアルコールのエステルよりなる化合物である。具体例としては、トリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート(ATEC)、アセチルトリブチルシトレート(ATBC)、ベンゾイルトリブチルシトレート、アセチルトリフェニルシトレート、アセチルトリベンジルシトレート、酒石酸ジブチル、酒石酸ジアセチルジブチル、トリメリット酸トリブチル、ピロメリット酸テトラブチル等が挙げられるが、これらに限定されない。
アクリル系可塑剤としてはアクリル系ポリマーが好ましく、アクリル系ポリマーはアクリル酸又はメタクリル酸アルキルエステルのホモポリマー又はコポリマーが好ましい。アクリル酸エステルのモノマーとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル(i−、n−)、アクリル酸ブチル(n−、i−、s−、t−)、アクリル酸ペンチル(n−、i−、s−)、アクリル酸ヘキシル(n−、i−)、アクリル酸ヘプチル(n−、i−)、アクリル酸オクチル(n−、i−)、アクリル酸ノニル(n−、i−)、アクリル酸ミリスチル(n−、i−)、アクリル酸(2−エチルヘキシル)、アクリル酸(ε−カプロラクトン)、アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(4−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−メトキシエチル)、アクリル酸(2−エトキシエチル)等、又は上記アクリル酸エステルをメタクリル酸エステルに変えたものを挙げることができる。アクリル系ポリマーは上記モノマーのホモポリマー又はコポリマーであるが、アクリル酸メチルエステルモノマー単位が30質量%以上を有していることが好ましく、また、メタクリル酸メチルエステルモノマー単位が40質量%以上有することが好ましい。特に、アクリル酸メチル又はメタクリル酸メチルのホモポリマーが好ましい。
なお、フィルム基材に、上述した可塑剤を含有させる場合、その使用量はセルロースアセテートに対し、1〜50質量%含有させることが好ましく、5〜35質量%含有させることがより好ましく、5〜25質量%含有させることが特に好ましい。
(紫外線吸収剤)
フィルム基材は、紫外線吸収剤を含有していてもよい。紫外線吸収剤は400nm以下の紫外線を吸収するため、耐久性を向上させるができる。紫外線吸収剤は、特に波長370nmでの透過率が10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下、更に好ましくは2%以下である。紫外線吸収剤の具体例としては特に限定されないが、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体等が挙げられる。
より具体的には、例えば、5−クロロ−2−(3,5−ジ−sec−ブチル−2−ヒドロキシルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、(2−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2,4−ベンジルオキシベンゾフェノン等を用いることができる。これらは、市販品を用いてもよく、例えば、BASFジャパン社製のチヌビン109、チヌビン171、チヌビン234、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン328等のチヌビン類を好ましく使用できる。
好ましく用いられる紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤であり、特に好ましくはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤などである。
この他、1,3,5トリアジン環を有する化合物等の円盤状化合物も紫外線吸収剤として好ましく用いられる。また、紫外線吸収剤としては高分子紫外線吸収剤も好ましく用いることができ、特にポリマータイプの紫外線吸収剤が好ましく用いられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、市販品であるBASFジャパン社製のTINUVIN 109(オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ―2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ―2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物)、TINUVIN 928(2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール)などを用いることができる。トリアジン系紫外線吸収剤としては、市販品であるBASFジャパン社製のTINUVIN 400(2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヒドロキシフェニルとオキシランとの反応生成物)、TINUVIN 460(2,4−ビス〔2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル〕−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3−5−トリアジン)、TINUVIN 405(2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンと(2−エチルヘキシル)−グリシド酸エステルの反応生成物)などを用いることができる。
紫外線吸収剤の添加方法は、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコールやメチレンクロライド、酢酸メチル、アセトン、ジオキソラン等の有機溶媒あるいはこれらの混合溶媒に紫外線吸収剤を溶解してから、フィルム基材となる樹脂溶液(ドープ)に添加するか、又は直接ドープ組成中に添加してもよい。無機粉体のように有機溶剤に溶解しないものは、有機溶剤とセルロースアセテート中にディゾルバーやサンドミルを使用し、分散してからドープに添加する。
紫外線吸収剤の使用量は、セルロースアセテートフィルムに対して0.5〜10質量%が好ましく、0.6〜4質量%が更に好ましい。
(酸化防止剤)
フィルム基材は、さらに酸化防止剤(劣化防止剤)を含有していてもよい。酸化防止剤は、セルロースアセテートフィルム中の残留溶媒量のハロゲンやリン酸系可塑剤のリン酸等によりセルロースアセテートフィルムが分解するのを遅らせたり、防いだりする役割を有する。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく用いられ、例えば2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート等を挙げることができる。これら化合物の添加量は、セルロースアセテートフィルムに対して、質量割合で1ppm〜10000ppmが好ましく、10〜1000ppmが更に好ましい。
(欠点)
フィルム基材は、直径5μm以上の欠点が1個/10cm四方以下であることが好ましい。更に好ましくは0.5個/10cm四方以下、一層好ましくは0.1個/10cm四方以下である。ここで欠点の直径とは、欠点が円形の場合はその直径を示し、円形でない場合は欠点の範囲を下記方法により顕微鏡で観察して決定し、その最大径(外接円の直径)とする。
欠点の範囲は、欠点が気泡や異物の場合は、欠点を微分干渉顕微鏡の透過光で観察したときの影の大きさである。欠点が、ローラ傷の転写や擦り傷など、表面形状の変化の場合は、欠点を微分干渉顕微鏡の反射光で観察して大きさを確認できる。
欠点の個数が1個/10cm四方より多いと、例えば後工程での加工時などでフィルムに張力がかかると、欠点を起点としてフィルムが破断して生産性が低下する場合がある。また、欠点の直径が5μm以上になると、偏光板観察などにより目視で確認でき、光学部材として用いたとき輝点が生じる場合がある。
また、目視で確認できない場合でも、機能性層を形成したときに、塗膜が均一に形成できず欠点(塗布抜け)となる場合がある。ここで、欠点とは、溶液製膜の乾燥工程において溶媒の急激な蒸発に起因して発生するフィルム中の空洞(発泡欠点)や、製膜原液中の異物や製膜中に混入する異物に起因するフィルム中の異物(異物欠点)を言う。また、フィルム基材は、JIS−K7127−1999に準拠した測定において、少なくとも一方向の破断伸度が、10%以上であることが好ましく、より好ましくは20%以上である。破断伸度の上限は特に限定されるものではないが、現実的には250%程度である。破断伸度を大きくするには異物や発泡に起因するフィルム中の欠点を抑制することが有効である。
(光学特性)
フィルム基材は、その全光線透過率が90%以上であることが好ましく、より好ましくは92%以上である。また、現実的な上限としては、99%程度である。ヘイズ値は2%以下が好ましく、より好ましくは1.5%以下である。全光線透過率、ヘイズ値はJIS K7361及びJIS K7136に準じて測定することができる。
また、フィルム基材の面内リタデーション値Roは0〜5nm、厚さ方向のリタデーション値Rthが−10〜10nmの範囲が好ましい。更にRthは−5〜5nmの範囲が好ましい。或いはリタデーションRoが30〜200nmの範囲であることが好ましく、30〜90nmの範囲であることが更に好ましい。厚み方向のリタデーション値Rthは70〜300nmの範囲であることが好ましい。
面内リタデーション値Roは下記式(I)により定義され、厚さ方向のリタデーション値Rthは下記式(II)により定義される。
式(I) Ro=(nx−ny)×d
式(II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
式中、nxはセルロースエステルフィルム面内の遅相軸方向の屈折率、nyはフィルム面内で遅相軸に直交する方向の屈折率、nzはセルロースエステルフィルムの厚さ方向の屈折率、dはセルロースエステルフィルムの厚さ(nm)をそれぞれ表す。上記リタデーションは、例えばKOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて、23℃、55%RH(相対湿度)の環境下で、波長が590nmで求めることができる。
〔セルロースエステルフィルムの製膜〕
次に、フィルム基材としてのセルロースエステルフィルムの製膜方法の例について説明する。なお、製膜方法はこれに限定されるわけではない。セルロースエステルフィルムの製膜方法としては、インフレーション法、T−ダイ法、カレンダー法、切削法、流延法、エマルジョン法、ホットプレス法等の製造法を使用できる。
(有機溶媒)
セルロースエステルフィルムを溶液流延製膜法で製造する場合の樹脂溶液(ドープ組成物)を形成するのに有用な有機溶媒は、セルロースエステル樹脂、その他の添加剤を同時に溶解するものであれば制限なく用いることができる。例えば、塩素系有機溶媒としては、塩化メチレン、非塩素系有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等を挙げることができ、塩化メチレン、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトンを好ましく使用し得る。前記溶媒はセルロースエステル樹脂、その他添加剤を計15〜45質量%溶解させたドープ組成物であることが好ましい。
(溶液流延製膜法)
溶液流延製膜法では、樹脂及び添加剤を溶剤に溶解させてドープを調製する工程、ドープをベルト状もしくはドラム状の金属支持体上に流延する工程、流延したドープをウェブとして乾燥する工程、金属支持体から剥離する工程、延伸又は幅保持する工程、更に乾燥する工程、仕上がったセルロースエステルフィルムを巻き取る工程が行われる。
金属支持体としては、ステンレススティールベルト若しくは鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。
キャストの幅は1〜4mとすることができる。流延工程の金属支持体の表面温度は−50℃〜溶剤が沸騰して発泡しない温度以下に設定される。温度が高い方がウェブの乾燥速度が速くできるので好ましいが、余り高すぎるとウェブが発泡したり、平面性が劣化する場合がある。
好ましい支持体温度は0〜100℃で適宜決定され、5〜30℃が更に好ましい。又は、冷却することによってウェブをゲル化させて残留溶媒を多く含んだ状態でドラムから剥離することも好ましい方法である。金属支持体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風又は冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法がある。温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行われるため、金属支持体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。
温風を用いる場合は溶媒の蒸発潜熱によるウェブの温度低下を考慮して、溶媒の沸点以上の温風を使用しつつ、発泡も防ぎながら目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。
特に、流延から剥離するまでの間で支持体の温度及び乾燥風の温度を変更し、効率的に乾燥を行うことが好ましい。
セルロースエステルフィルムが良好な平面性を得るためには、金属支持体からウェブを剥離する際の残留溶媒量が10〜150質量%であることが好ましく、更に好ましくは20〜40質量%又は60〜130質量%であり、特に好ましくは、20〜30質量%又は70〜120質量%である。残留溶媒量は下記式で定義される。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
なお、Mはウェブ又はフィルムを製造中又は製造後の任意の時点で採取した試料の質量であり、Nは質量Mのものを115℃で1時間加熱した後の質量である。
また、セルロースエステルフィルムの乾燥工程は、ウェブを金属支持体より剥離し、乾燥し、残留溶媒量を1質量%以下にすることが好ましく、更に好ましくは0.1質量%以下であり、特に好ましくは0〜0.01質量%以下である。
フィルム乾燥工程では、一般にローラ乾燥方式(上下に配置した多数のローラにウェブを交互に通し乾燥させる方式)やテンター方式でウェブを搬送させながら乾燥する方式が採られる。
延伸工程では、フィルムの長手方向(MD方向)、及び幅手方向(TD方向)に対して、逐次又は同時に延伸することができる。互いに直交する2軸方向の延伸倍率は、それぞれ最終的にはMD方向に1.0〜2.0倍、TD方向に1.05〜2.0倍の範囲とすることが好ましく、MD方向に1.0〜1.5倍、TD方向に1.05〜2.0倍の範囲で行うことが好ましい。例えば、複数のローラに周速差をつけ、その間でローラ周速差を利用してMD方向に延伸する方法、ウェブの両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げてMD方向に延伸する方法、同様に横方向に広げてTD方向に延伸する方法、或いはMD方向及びTD方向を同時に広げて両方向に延伸する方法等が挙げられる。
製膜工程のこれらの幅保持或いは幅手方向の延伸はテンターによって行うことが好ましく、ピンテンターでもクリップテンターでもよい。
テンター等の製膜工程でのフィルム搬送張力は温度にもよるが、120〜200N/mが好ましく、140〜200N/mが更に好ましい。140〜160N/mが最も好ましい。
延伸する際の温度は、セルロースエステルフィルムのガラス転移温度をTgとすると(Tg−30)〜(Tg+100)℃、より好ましくは(Tg−20)〜(Tg+80)℃、更に好ましく(Tg−5)〜(Tg+20)℃である。
セルロースエステルフィルムのTgは、フィルムを構成する材料種及び構成する材料の比率によって制御することができる。セルロースエステルフィルムの乾燥時のTgは、110℃以上が好ましく、更に120℃以上が好ましい。特に好ましくは150℃以上である。ガラス転移温度は190℃以下、より好ましくは170℃以下であることが好ましい。セルロースエステルフィルムのTgはJIS K7121に記載の方法等によって求めることができる。延伸する際の温度は、150℃以上、延伸倍率は1.15倍以上にすると、表面が適度に粗れるため、好ましい。セルロースエステルフィルム表面を粗らすことにより、滑り性が向上するとともに、表面加工性が向上するため好ましい。
(溶融流延製膜法)
セルロースエステルフィルムは、溶融流延製膜法によって製膜しても良い。溶融流延製膜法は、セルロースエステル樹脂、可塑剤等のその他の添加剤を含む組成物を、流動性を示す温度まで加熱溶融し、その後、流動性のセルロースエステルを含む溶融物を流延する製膜法をいう。
溶融流延製膜法では、機械的強度及び表面精度等の点から、溶融押出し法が好ましい。溶融押出しに用いる複数の原材料は、通常予め混錬してペレット化しておくことが好ましい。
ペレット化は、公知の方法でよく、例えば、乾燥セルロースエステルや可塑剤、その他添加剤をフィーダーで押出し機に供給し1軸や2軸の押出し機を用いて混錬し、ダイからストランド状に押出し、水冷又は空冷し、カッティングすることでできる。
添加剤は、押出し機に供給する前に混合しておいてもよいし、それぞれ個別のフィーダーで供給してもよい。
粒子や酸化防止剤等の少量の添加剤は、均一に混合するため、事前に混合しておくことが好ましい。
押出し機は、剪断力を抑え、樹脂が劣化(分子量低下、着色、ゲル生成等)しないように、ペレット化できる程度になるべく低温で加工することが好ましい。例えば、2軸押出し機の場合、深溝タイプのスクリューを用いて、同方向に回転させることが好ましい。混錬の均一性から、噛み合いタイプが好ましい。
以上のようにして得られたペレットを用いてフィルム製膜を行う。もちろんペレット化せず、原材料の粉末をそのままフィーダーで押出し機に供給し、そのままフィルム製膜することも可能である。
上記ペレットを1軸や2軸タイプの押出し機を用いて、押出す際の溶融温度を200〜300℃程度とし、リーフディスクタイプのフィルター等で濾過し異物を除去した後、Tダイからフィルム状に流延し、冷却ローラと弾性タッチローラでフィルムをニップし、冷却ローラ上で固化させることにより、セルロースエステルフィルムを製膜する。
供給ホッパーから押出し機へ導入する際は真空下又は減圧下や不活性ガス雰囲気下にして酸化分解等を防止することが好ましい。
押出し流量は、ギヤポンプを導入する等して安定に調整することが好ましい。また、異物の除去に用いるフィルターとしては、ステンレス繊維焼結フィルターが好ましく用いられる。ステンレス繊維焼結フィルターは、ステンレス繊維体を複雑に絡み合った状態を作り出した上で圧縮し、接触箇所を焼結して一体化したもので、その繊維の太さと圧縮量により密度を変えることにより、濾過精度を調整できる。
可塑剤や粒子等の添加剤は、予め樹脂と混合しておいてもよいし、押出し機の途中で練り込んでもよい。均一に添加するために、スタチックミキサー等の混合装置を用いることが好ましい。
冷却ローラと弾性タッチローラでセルロースエステルフィルムをニップする際のタッチローラ側のセルロースエステルフィルム温度は、フィルムのTg以上(Tg+110℃)以下にすることが好ましい。このような目的で使用する弾性体表面を有するローラは、公知のローラが使用できる。
弾性タッチローラは挟圧回転体ともいう。弾性タッチローラとしては、市販されているものを用いることもできる。
冷却ローラからセルロースエステルフィルムを剥離する際は、張力を制御してフィルムの変形を防止することが好ましい。
また、上記のようにして得られたセルロースエステルフィルムは、冷却ローラに接する工程を通過後、前記延伸操作により延伸することが好ましい。延伸する方法は、公知のローラ延伸機やテンター等を好ましく用いることができる。延伸温度は、通常フィルムを構成する樹脂のTg〜(Tg+60)℃の温度範囲で行われることが好ましい。
フィルムを巻き取る前に、製品となる幅に端部をスリットして裁ち落とし、巻き中の貼り付きやすり傷防止のために、ナール加工(エンボッシング加工)を両端に施してもよい。ナール加工は、凹凸のパターンを側面に有する金属リングを用いて加熱や加圧をすることにより行うことができる。フィルム両端部のクリップの把持部分は、通常、セルロースエステルフィルムが変形しており、製品として使用できないので切除され、再利用される。
〔斜め延伸フィルムの製造方法〕
前述のλ/4フィルムは、下記の斜め延伸により製造することができる。斜め延伸フィルムは、フィルムの延長方向(長手方向)に対して0°を超え90°未満の角度に遅相軸を有する延伸フィルムを製造することで作製できる。なお、斜め延伸前の未延伸フィルムとしては、前述した公知のフィルムを用いることができる。
ここで、フィルムの延長方向に対する角度とは、フィルム面内における角度である。遅相軸は、通常延伸方向又は延伸方向に直角な方向に発現するので、フィルムの延長方向に対して0°を超え90°未満の角度で延伸を行うことにより、かかる遅相軸を有する延伸フィルムを製造できる。
フィルムの延長方向と遅相軸とがなす角度(配向角θ)は、0°を超え90°未満の範囲で、所望の角度に任意に設定することができるが、より好ましくは10°〜80°、更に好ましくは40°〜50°である。
(斜め延伸)
斜め延伸装置(斜め延伸テンター)を用いて、斜め延伸フィルムを作製することができる。斜め延伸テンターとしては、レールパターンを多様に変化させることにより、フィルムの配向角を自在に設定でき、さらに、フィルムの配向軸をフィルム幅手方向に渡って左右均等に高精度に配向させることができ、かつ、高精度でフィルム厚みやレターデーションを制御できる装置を好ましく用いることができる。次いで、具体的な斜め延伸フィルムの製造方法について図面を用いて説明する。
図6は、斜め延伸フィルムの製造装置51の概略の構成を模式的に示す平面図である。製造装置51は、長尺フィルムの搬送方向上流側から順に、フィルム繰り出し部52と、搬送方向変更部53と、ガイドロール54と、延伸部55と、ガイドロール56と、搬送方向変更部57と、フィルム切断装置58と、フィルム巻き取り部59とを備えている。なお、延伸部55の詳細については後述する。
フィルム繰り出し部52は、上述した長尺フィルムを繰り出して延伸部55に供給するものである。このフィルム繰り出し部52は、長尺フィルムの製膜装置と別体で構成されていてもよいし、一体的に構成されてもよい。前者の場合、長尺フィルムを製膜後に一度巻芯に巻き取って巻回体(長尺フィルム原反)となったものをフィルム繰り出し部52に装填することで、フィルム繰り出し部52から長尺フィルムが繰り出される。一方、後者の場合、フィルム繰り出し部52は、長尺フィルムの製膜後、その長尺フィルムを巻き取ることなく、延伸部55に対して繰り出すことになる。
搬送方向変更部53は、フィルム繰り出し部52から繰り出される長尺フィルムの搬送方向を、斜め延伸テンターとしての延伸部55の入口に向かう方向に変更するものである。このような搬送方向変更部53は、例えばフィルムを搬送しながら折り返すことによって搬送方向を変更するターンバーや、そのターンバーをフィルムに平行な面内で回転させる回転テーブルを含んで構成されている。
搬送方向変更部53にて長尺フィルムの搬送方向を上記のように変更することにより、製造装置51全体の幅をより狭くすることが可能となるほか、フィルムの送り出し位置および角度を細かく制御することが可能となり、膜厚、光学値のバラツキが小さい長尺斜め延伸フィルムを得ることが可能となる。また、フィルム繰り出し部52および搬送方向変更部53を移動可能(スライド可能、旋回可能)とすれば、延伸部55において長尺フィルムの幅手方向の両端部を挟む左右のクリップ(把持具)のフィルムへの噛込み不良を有効に防止することができる。
なお、上記したフィルム繰り出し部52は、延伸部55の入口に対して所定角度で長尺フィルムを送り出せるように、スライドおよび旋回可能となっていてもよい。この場合は、搬送方向変更部53の設置を省略した構成とすることもできる。
ガイドロール54は、長尺フィルムの走行時の軌道を安定させるために、延伸部55の上流側に少なくとも1本設けられている。なお、ガイドロール54は、フィルムを挟む上下一対のロール対で構成されてもよいし、複数のロール対で構成されてもよい。延伸部55の入口に最も近いガイドロール54は、フィルムの走行を案内する従動ロールであり、不図示の軸受部を介してそれぞれ回転自在に軸支される。ガイドロール54の材質としては、公知のものを用いることが可能である。なお、フィルムの傷つきを防止するために、ガイドロール54の表面にセラミックコートを施したり、アルミニウム等の軽金属にクロームメッキを施す等によってガイドロール54を軽量化することが好ましい。
また、延伸部55の入口に最も近いガイドロール54よりも上流側のロールのうちの1本は、ゴムロールを圧接させてニップすることが好ましい。このようなニップロールにすることで、フィルムの流れ方向における繰出張力の変動を抑えることが可能となる。
延伸部55の入口に最も近いガイドロール54の両端(左右)の一対の軸受部には、当該ロールにおいてフィルムに生じている張力を検出するためのフィルム張力検出装置として、第1張力検出装置、第2張力検出装置がそれぞれ設けられている。フィルム張力検出装置としては、例えばロードセルを用いることができる。ロードセルとしては、引張または圧縮型の公知のものを用いることができる。ロードセルは、着力点に作用する荷重を起歪体に取り付けられた歪ゲージにより電気信号に変換して検出する装置である。
ロードセルは、延伸部55の入口に最も近いガイドロール54の左右の軸受部に設置されることにより、走行中のフィルムがロールに及ぼす力、即ちフィルムの両側縁近傍に生じているフィルム進行方向における張力を左右独立に検出する。なお、ロールの軸受部を構成する支持体に歪ゲージを直接取り付けて、該支持体に生じる歪に基づいて荷重、即ちフィルム張力を検出するようにしてもよい。発生する歪とフィルム張力との関係は、予め計測され、既知であるものとする。
フィルム繰り出し部52または搬送方向変更部53から延伸部55に供給されるフィルムの位置および搬送方向が、延伸部55の入口に向かう位置および搬送方向からズレている場合、このズレ量に応じて、延伸部55の入口に最も近いガイドロール54におけるフィルムの両側縁近傍の張力に差が生じることになる。したがって、上述したようなフィルム張力検出装置を設けて上記の張力差を検出することにより、当該ズレの程度を判別することができる。つまり、フィルムの搬送位置および搬送方向が適正であれば(延伸部55の入口に向かう位置および方向であれば)、上記ガイドロール54に作用する荷重は軸方向の両端で粗均等になるが、適正でなければ、左右でフィルム張力に差が生じる。
したがって、延伸部55の入口に最も近いガイドロール54の左右のフィルム張力差が等しくなるように、例えば上記した搬送方向変更部53によってフィルムの位置および搬送方向(延伸部55の入口に対する角度)を適切に調整すれば、延伸部55の入口部の把持具によるフィルムの把持が安定し、把持具外れ等の障害の発生を少なくできる。更に、延伸部55による斜め延伸後のフィルムの幅方向における物性を安定させることができる。
ガイドロール56は、延伸部55にて斜め延伸されたフィルムの走行時の軌道を安定させるために、延伸部55の下流側に少なくとも1本設けられている。
搬送方向変更部57は、延伸部55から搬送される延伸後のフィルムの搬送方向を、フィルム巻き取り部59に向かう方向に変更するものである。
ここで、配向角(フィルムの面内遅相軸の方向)の微調整や製品バリエーションに対応するために、延伸部55の入口でのフィルム進行方向と延伸部55の出口でのフィルム進行方向とがなす角度の調整が必要となる。この角度調整のためには、製膜したフィルムの進行方向を搬送方向変更部53によって変更してフィルムを延伸部55の入口に導く、および/または延伸部55の出口から出たフィルムの進行方向を搬送方向変更部57によって変更してフィルムをフィルム巻き取り部59の方向に戻すことが必要となる。
また、製膜および斜め延伸を連続して行うことが、生産性や収率の点で好ましい。製膜工程、斜め延伸工程、巻取工程を連続して行う場合、搬送方向変更部53および/または搬送方向変更部57によってフィルムの進行方向を変更し、製膜工程と巻取工程とでフィルムの進行方向を一致させる、つまり、図6に示すように、フィルム繰り出し部52から繰り出されるフィルムの進行方向(繰り出し方向)と、フィルム巻き取り部59にて巻き取られる直前のフィルムの進行方向(巻き取り方向)とを一致させることにより、フィルム進行方向に対する装置全体の幅を小さくすることができる。
なお、製膜工程と巻取工程とでフィルムの進行方向は必ずしも一致させる必要はないが、フィルム繰り出し部52とフィルム巻き取り部59とが干渉しないレイアウトとなるように、搬送方向変更部53および/または搬送方向変更部57によってフィルムの進行方向を変更することが好ましい。
上記のような搬送方向変更部53・57としては、エアーフローロールもしくはエアーターンバーを用いるなど、公知の手法で実現することができる。
フィルム切断装置58は、延伸部55にて延伸されたフィルム(長尺斜め延伸フィルム)を、幅手方向を含む断面に沿って切断するものであり、切断部材を有している。切断部材は、例えばハサミやカッター(スリッター、帯状の刃(トムソン刃)を含む)で構成されるが、これらに限定されるわけではなく、その他にも、回転する丸鋸やレーザー照射装置などで構成することも可能である。
フィルム巻き取り部59は、延伸部55から搬送方向変更部57を介して搬送されるフィルムを巻き取るものであり、例えばワインダー装置、アキューム装置、ドライブ装置などで構成される。フィルム巻き取り部59は、フィルムの巻き取り位置を調整すべく、横方向にスライドできる構造であることが好ましい。
フィルム巻き取り部59は、延伸部55の出口に対して所定角度でフィルムを引き取れるように、フィルムの引き取り位置および角度を細かく制御できるようになっている。これにより、膜厚、光学値のバラツキが小さい長尺斜め延伸フィルムを得ることが可能となる。また、フィルムのシワの発生を有効に防止することができるとともに、フィルムの巻き取り性が向上するため、フィルムを長尺で巻き取ることが可能となる。
このフィルム巻き取り部59は、延伸部55にて延伸されて搬送されるフィルムを一定の張力で引き取る引取部を構成している。なお、延伸部55とフィルム巻き取り部59との間に、フィルムを一定の張力で引き取るための引取ロールを設けるようにしてもよい。また、上述したガイドロール56に上記引取ロールとしての機能を持たせてもよい。
本実施形態において、延伸後のフィルムの引取張力T(N/m)は、100N/m<T<300N/m、好ましくは150N/m<T<250N/mの間で調整することが好ましい。上記の引取張力が100N/m以下では、フィルムのたるみや皺が発生しやすく、リタデーション、配向角のフィルム幅方向のプロファイルも悪化する。逆に、引取張力が300N/m以上となると、配向角のフィルム幅方向のバラツキが悪化し、幅収率(幅方向の取り効率)を悪化させてしまう。
また、本実施形態においては、上記引取張力Tの変動を±5%未満、好ましくは±3%未満の精度で制御することが好ましい。上記引取張力Tの変動が±5%以上であると、幅方向および流れ方向(搬送方向)の光学特性のバラツキが大きくなる。上記引取張力Tの変動を上記範囲内に制御する方法としては、延伸部55の出口側の最初のロール(ガイドロール56)にかかる荷重、すなわちフィルムの張力を測定し、その値が一定となるように、一般的なPID制御方式により引取ロールまたはフィルム巻き取り部59の巻取ロールの回転速度を制御する方法が挙げられる。上記荷重を測定する方法としては、ガイドロール56の軸受部にロードセルを取り付け、ガイドロール56に加わる荷重、すなわちフィルムの張力を測定する方法が挙げられる。ロードセルとしては、引張型や圧縮型の公知のものを用いることができる。
延伸後のフィルムは、延伸部55の把持具による把持が開放されて、延伸部55の出口から排出され、把持具で把持されていたフィルムの両端(両側)が必要に応じてトリミングされた後に、フィルム切断装置58によって所定の長さごとに切断され、順次巻芯(巻取ロール)に巻き取られて、斜め延伸フィルムの巻回体となる。
また、斜め延伸フィルムを巻き取る前に、フィルム同士のブロッキングを防止する目的で、マスキングフィルムを斜め延伸フィルムに重ねて同時に巻き取ってもよいし、巻き取りによって重なる斜め延伸フィルムの少なくとも一方(好ましくは両方)の端にテープ等を貼り合わせながら巻き取ってもよい。マスキングフィルムとしては、斜め延伸フィルムを保護することができるものであれば特に制限されず、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなどが挙げられる。
(延伸部の詳細)
次に、上述した延伸部55の詳細について説明する。図7は、延伸部55のレールパターンの一例を模式的に示す平面図である。但し、これは一例であって、延伸部55の構成はこれに限定されるものではない。
本実施形態における長尺斜め延伸フィルムの製造は、延伸部55として、斜め延伸可能なテンター(斜め延伸機)を用いて行われる。このテンターは、長尺フィルムを、延伸可能な任意の温度に加熱し、斜め延伸する装置である。このテンターは、加熱ゾーンZと、左右で一対のレールRi・Roと、レールRi・Roに沿って走行してフィルムを搬送する多数の把持具Ci・Co(図7では、1組の把持具のみを図示)とを備えている。なお、加熱ゾーンZの詳細については後述する。レールRi・Roは、それぞれ、複数のレール部を連結部で連結して構成されている(図7中の白丸は連結部の一例である)。把持具Ci・Coは、フィルムの幅手方向の両端を把持するクリップで構成されている。
図7において、長尺フィルムの繰出方向D1は、延伸後の長尺斜め延伸フィルムの巻取方向D2と異なっており、巻取方向D2との間で繰出角度θiを成している。繰出角度θiは0°を超え90°未満の範囲で、所望の角度に任意に設定することができる。
このように、繰出方向D1と巻取方向D2とが異なっているため、テンターのレールパターンは左右で非対称な形状となっている。そして、製造すべき長尺斜め延伸フィルムに与える配向角θ、延伸倍率等に応じて、レールパターンを手動または自動で調整できるようになっている。本実施形態の製造方法で用いられる斜め延伸機では、レールRi・Roを構成する各レール部およびレール連結部の位置を自由に設定し、レールパターンを任意に変更できることが好ましい。
本実施形態において、テンターの把持具Ci・Coは、前後の把持具Ci・Coと一定間隔を保って、一定速度で走行するようになっている。把持具Ci・Coの走行速度は適宜選択できるが、通常、1〜150m/minである。左右一対の把持具Ci・Coの走行速度の差は、走行速度の通常1%以下、好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.1%以下である。これは、延伸工程出口でフィルムの左右に進行速度差があると、延伸工程出口におけるシワ、寄りが発生するため、左右の把持具Ci・Coの速度差は、実質的に同速度であることが求められるためである。一般的なテンター装置等では、チェーンを駆動するスプロケットの歯の周期、駆動モータの周波数等に応じ、秒以下のオーダーで発生する速度ムラがあり、しばしば数%のムラを生ずるが、これらは本発明の実施形態で述べる速度差には該当しない。
本実施形態の製造方法で用いられる斜め延伸機において、特にフィルムの搬送が斜めになる箇所において、把持具の軌跡を規制するレールには、しばしば大きい屈曲率が求められる。急激な屈曲による把持具同士の干渉、あるいは局所的な応力集中を避ける目的から、屈曲部では把持具の軌跡が曲線を描くようにすることが望ましい。
このように、長尺フィルムに斜め方向の配向を付与するために用いられる斜め延伸テンターは、レールパターンを多様に変化させることにより、フィルムの配向角を自在に設定でき、さらに、フィルムの配向軸(遅相軸)をフィルム幅方向に渡って左右均等に高精度に配向させることができ、かつ、高精度でフィルム厚みやリタデーションを制御できるテンターであることが好ましい。
次に、延伸部55での延伸動作について説明する。長尺フィルムは、その両端を左右の把持具Ci・Coによって把持され、加熱ゾーンZ内を把持具Ci・Coの走行に伴って搬送される。左右の把持具Ci・Coは、延伸部55の入口部(図中Aの位置)において、フィルムの進行方向(繰出方向D1)に対して略垂直な方向に相対しており、左右非対称なレールRi・Ro上をそれぞれ走行し、延伸終了時の出口部(図中Bの位置)で把持したフィルムを開放する。把持具Ci・Coから開放されたフィルムは、前述したフィルム巻き取り部59にて巻芯に巻き取られる。一対のレールRi・Roは、それぞれ無端状の連続軌道を有しており、テンターの出口部でフィルムの把持を開放した把持具Ci・Coは、外側のレールを走行して順次入口部に戻されるようになっている。
このとき、レールRi・Roは左右非対称であるため、図7の例では、図中Aの位置で相対していた左右の把持具Ci・Coは、レールRi・Ro上を走行するにつれて、レールRi側(インコース側)を走行する把持具CiがレールRo側(アウトコース側)を走行する把持具Coに対して先行する位置関係となる。
すなわち、図中Aの位置でフィルムの繰出方向D1に対して略垂直な方向に相対していた把持具Ci・Coのうち、一方の把持具Ciがフィルムの延伸終了時の位置Bに先に到達したときには、把持具Ci・Coを結んだ直線がフィルムの巻取方向D2に略垂直な方向に対して、角度θLだけ傾斜している。以上の所作をもって、長尺フィルムが幅手方向に対してθLの角度で斜め延伸されることとなる。ここで、略垂直とは、90±1°の範囲にあることを示す。
次に、上記した加熱ゾーンZの詳細について説明する。延伸部55の加熱ゾーンZは、予熱ゾーンZ1、延伸ゾーンZ2および熱固定ゾーンZ3で構成されている。延伸部55では、把持具Ci・Coによって把持されたフィルムは、予熱ゾーンZ1、延伸ゾーンZ2、熱固定ゾーンZ3を順に通過する。本実施形態では、予熱ゾーンZ1と延伸ゾーンZ2とは隔壁で区切られており、延伸ゾーンZ2と熱固定ゾーンZ3とは隔壁で区切られている。
予熱ゾーンZ1とは、加熱ゾーンZの入口部において、フィルムの両端を把持した把持具Ci・Coが、左右で(フィルム幅方向に)一定の間隔を保ったまま走行する区間を指す。
延伸ゾーンZ2とは、フィルムの両端を把持した把持具Ci・Coの間隔が開き出し、所定の間隔になるまでの区間を指す。このとき、上述のような斜め延伸が行われるが、必要に応じて斜め延伸前後において縦方向あるいは横方向に延伸してもよい。
熱固定ゾーンZ3とは、延伸ゾーンZ2より後の、把持具Ci・Coの間隔が再び一定となる区間であって、両端の把持具Ci・Coが互いに平行を保ったまま走行する区間を指す。
なお、延伸後のフィルムは、熱固定ゾーンZ3を通過した後に、ゾーン内の温度がフィルムを構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg(℃)以下に設定される区間(冷却ゾーン)を通過してもよい。このとき、冷却によるフィルムの縮みを考慮して、予め対向する把持具Ci・Coの間隔を狭めるようなレールパターンとしてもよい。
熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tgに対し、予熱ゾーンZ1の温度はTg〜Tg+30℃、延伸ゾーンZ2の温度はTg〜Tg+30℃、熱固定ゾーンZ3及び冷却ゾーンの温度はTg−30〜Tg+20℃に設定することが好ましい。
なお、予熱ゾーンZ1、延伸ゾーンZ2および熱固定ゾーンZ3の長さは適宜選択でき、延伸ゾーンZ2の長さに対して、予熱ゾーンZ1の長さは通常100〜150%、熱固定ゾーンZ3の長さは通常50〜100%である。
また、延伸前のフィルムの幅をWo(mm)とし、延伸後のフィルムの幅をW(mm)とすると、延伸工程における延伸倍率R(W/Wo)は、好ましくは1.3〜3.0、より好ましくは1.5〜2.8である。延伸倍率がこの範囲にあると、フィルムの幅方向の厚みムラが小さくなるので好ましい。斜め延伸テンターの延伸ゾーンZ2において、幅方向で延伸温度に差を付けると、幅方向厚みムラをさらに良好なレベルにすることが可能になる。なお、上記の延伸倍率Rは、テンター入口部で把持したクリップ両端の間隔W1がテンター出口部において間隔W2となったときの倍率(W2/W1)に等しい。
なお、延伸部55における斜め延伸の手法は、上述した手法に限定されるわけではなく、例えば特開2008−23775号公報に開示されているような、同時2軸延伸によって斜め延伸を行ってもよい。なお、同時2軸延伸とは、供給される長尺フィルムの幅手方向の両端部を各把持具によって把持し、各把持具を移動させながら長尺フィルムを搬送するとともに、長尺フィルムの搬送方向を一定としたまま、一方の把持具の移動速度と他方の把持具の移動速度とを異ならせることにより、長尺フィルムを幅手方向に対して斜め方向に延伸する方法である。その他、特開2011−11434号公報に開示されているような手法で斜め延伸を行ってもよい。
斜め延伸フィルムは、配向角θが巻取り方向に対して、例えば10°〜80°の範囲に傾斜しており、少なくとも1300mmの幅において、幅手方向の、面内リタデーションRoのバラツキが4nm以下、配向角θのバラツキが1.0°以下であることが好ましい。
斜め延伸フィルムの面内リタデーションRoのバラツキは、幅手方向の少なくとも1300mmにおいて、4nm以下、好ましくは3nm以下である。面内リタデーションRoのバラツキを、上記範囲にすることにより、液晶表示装置用の位相差フィルムとして用いた場合に表示品質を良好なものにすることが可能になる。
斜め延伸フィルムの配向角θのバラツキは、幅手方向の少なくとも1300mmにおいて、1.0°以下、好ましくは0.80°以下である。配向角θのバラツキが1.0°を超える延伸フィルムを偏光板と貼り合せて円偏光板を得、これを液晶表示装置に据え付けると、光漏れが生じ、コントラストを低下させることがある。
斜め延伸フィルムの面内リタデーションRoは、用いられる表示装置の設計によって最適値が選択される。なお、前記Roは、面内遅相軸方向の屈折率nxと面内で前記遅相軸に直交する方向の屈折率nyとの差にフィルムの平均厚みdを乗算した値(Ro=(nx−ny)×d)である。
斜め延伸フィルムの平均厚みは、機械的強度などの観点から、好ましくは20〜80μmである。また、幅手方向の厚みムラは、フィルム弾性率の均一性や巻取りの可否に影響を与えるため、3μm以下が好ましい。
(フィルム基材の物性)
フィルム基材の膜厚は、1〜200μmが好ましく、より好ましくは1〜80μmであり、さらに好ましくは1μm以上30μm未満である。また、フィルム基材の長さは、500〜10000mが好ましく、より好ましくは1000〜8000mである。前記長さの範囲とすることで、機能性層等の塗布における加工適正やフィルム基材自体のハンドリング性に優れる。
また、フィルム基材の算術平均粗さRaは、好ましくは2〜10nm、より好ましくは2〜5nmである。算術平均粗さRaは、JIS B0601:1994に準じて測定できる。
〔巻取り〕
本実施形態のハードコートフィルム及びフィルム基材をロール状に巻き取った際の層間に保持される空気層の厚さは、0.5〜10μmの範囲が好ましく、より好ましくは1〜5μmの範囲である。空気層の厚さt’は、t’=[{π(D−d)/4L}−t]の式から求められる値である。前記式において、Dは巻取り直径、dは巻き芯直径、Lは巻き長さ、tはフィルムの厚さをそれぞれ表している。
また、ハードコートフィルム等の巻取り方法としては、巻取り軸の前にフィルムがタッチするローラを設け、フィルムを巻き取っていく方法、巻取り軸にフィルムを巻き取っていく際に、フィルムがタッチするローラが一定距離間隔で徐々に離れながらフィルムを巻き取る方法(ギャップ巻き)、巻芯を回転させて巻芯にフィルムを巻き取る際に、フィルムが巻芯上でフィルムの幅方向に一定範囲内で周期的にずれながら巻き取るオシレート巻き方法などを用いることができる。空気層の厚さは、巻取り時の張力条件等、前記した巻取り条件の調整により制御できる。
〔その他の層〕
本実施形態のハードコートフィルムにおいて、機能性層上に反射防止層や導電性層等、その他の層を設けることができる。
(反射防止層)
本実施形態のハードコートフィルムは、機能性層上に反射防止層を塗設して、外光反射防止機能を有する反射防止フィルムとして用いることができる。
反射防止層は、光学干渉によって反射率が減少するように屈折率、膜厚、層の数、層順等を考慮して積層されていることが好ましい。反射防止層は、支持体である保護フィルムよりも屈折率の低い低屈折率層、もしくは支持体である保護フィルムよりも屈折率の高い高屈折率層と低屈折率層を組み合わせて構成されていることが好ましい。
(低屈折率層)
低屈折率層は、シリカ系微粒子を含有することが好ましく、その屈折率は、23℃、波長550nm測定で、1.30〜1.45の範囲であることが好ましい。
低屈折率層の膜厚は、5nm〜0.5μmの範囲内であることが好ましく、10nm〜0.3μmの範囲内であることが更に好ましく、30nm〜0.2μmの範囲内であることが最も好ましい。
低屈折率層形成用組成物については、シリカ系微粒子として、特に外殻層を有し内部が多孔質又は空洞の粒子を少なくとも1種類以上含むことが好ましい。特に該外殻層を有し内部が多孔質又は空洞である粒子が、中空シリカ系微粒子であることが好ましい。なお、低屈折率層形成用組成物には、下記一般式(OSi−1)で表される有機珪素化合物もしくはその加水分解物、或いは、その重縮合物を併せて含有させても良い。
一般式(OSi−1):Si(OR)
式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表す。具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン等が好ましく用いられる。
他に溶剤、必要に応じて、シランカップリング剤、硬化剤、界面活性剤等を添加してもよい。また、フッ素原子を35〜80質量%の範囲で含み、且つ架橋性若しくは重合性の官能基を含む含フッ素化合物を主としてなる熱硬化性及び/又は光硬化性を有する化合物を含有しても良い。具体的には、含フッ素ポリマー、あるいは含フッ素ゾルゲル化合物などである。含フッ素ポリマーとしては、例えばパーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン)の加水分解物や脱水縮合物の他、含フッ素モノマー単位と架橋反応性単位とを構成単位とする含フッ素共重合体が挙げられる。
(高屈折率層)
高屈折率層の屈折率は、23℃、波長550nm測定で、屈折率を1.4〜2.2の範囲に調整することが好ましい。また、高屈折率層の厚さは5nm〜1μmが好ましく、10nm〜0.2μmであることが更に好ましく、30nm〜0.1μmであることが最も好ましい。屈折率の調整は、金属酸化物微粒子等を添加することで達成できる。用いる金属酸化物微粒子は、屈折率が1.80〜2.60であるものが好ましく、1.85〜2.50であるものが更に好ましい。
金属酸化物微粒子の種類は特に限定されるものではなく、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、P及びSから選択される少なくとも一種の元素を有する金属酸化物を用いることができる。
(導電性層)
ハードコートフィルムにおいて、機能性層上に導電性層を形成しても良い。設けられる導電性層としては、一般的に広く知られた導電性材料を用いることができる。例えば、酸化インジウム、酸化錫、酸化インジウム錫、金、銀、パラジウム等の金属酸化物を用いることができる。これらは、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、溶液塗布法等により、ハードコートフィルム上に薄膜として形成することができる。また、前記したπ共役系導電性ポリマーである有機導電性材料を用いて、導電性層を形成することも可能である。
特に、透明性、導電性に優れ、比較的低コストに得られる酸化インジウム、酸化錫又は酸化インジウム錫のいずれかを主成分とした導電性材料を好適に使用することができる。導電性層の厚さは、適用する材料によっても異なるため一概には言えないが、表面抵抗率で1000Ω以下、好ましくは500Ω以下になるような厚さであって、経済性をも考慮すると、10nm以上、好ましくは20nm以上、80nm以下、好ましくは70nm以下の範囲が好適である。このような薄膜においては導電性層の厚さムラに起因する可視光の干渉縞は発生しにくい。
〔偏光板〕
本実施形態のハードコートフィルムを用いた偏光板について述べる。偏光板は一般的な方法で作製することができる。
例えば、本実施形態のハードコートフィルムをアルカリ鹸化処理し、処理したハードコートフィルムを、ヨウ素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜(偏光子)の少なくとも一方の面に、完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせることが好ましい。
偏光膜のもう一方の面には、前記したセルロースエステルフィルムなどの基材フィルムを貼り合わせてもよい。もう一方の面に用いる基材フィルムの膜厚は、平滑性やカールバランスを整え、巻きズレ防止効果をより高める観点から、5〜80μmの範囲が好ましい。
偏光板の主たる構成要素である偏光膜とは、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光膜は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムである。上記偏光フィルムには、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものがあるが、これらに限定されるものではない。
偏光膜は、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行ったものが用いられる。偏光膜の膜厚は5〜30μm、好ましくは8〜15μmである。
偏光膜の面上に、本実施形態のハードコートフィルムの片面を貼り合わせて偏光板を形成する。好ましくは、完全鹸化ポリビニルアルコール等を主成分とする水系の接着剤によって貼り合わせる。
(円偏光板)
偏光板としては、円偏光板を用いることもできる。円偏光板は、偏光板保護フィルム、偏光子、λ/4フィルムをこの順で積層して構成することができる。この場合、λ/4フィルムの遅相軸と偏光子の吸収軸(または透過軸)とのなす角度は45°である。長尺状偏光板保護フィルム、長尺状偏光子、長尺状λ/4フィルム(長尺斜め延伸フィルム)がこの順で積層して形成されることが好ましい。
円偏光板は、偏光子として、ヨウ素または二色性染料をドープしたポリビニルアルコールを延伸したものを使用し、λ/4フィルム/偏光子の構成で貼合して製造することができる。偏光子の膜厚は5〜40μm、好ましくは5〜30μmであり、特に好ましくは5〜20μmである。
偏光板は、一般的な方法で作製することができる。アルカリ鹸化処理したλ/4フィルムは、ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の一方の面に、完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わされることが好ましい。
(粘着層)
液晶セルの基板と貼り合わせるためにフィルム片面に用いられる粘着剤層は、光学的に透明であることはもとより、適度な粘弾性や粘着特性を示すものが好ましい。
具体的な粘着層としては、例えばアクリル系共重合体やエポキシ系樹脂、ポリウレタン、シリコーン系ポリマー、ポリエーテル、ブチラール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、合成ゴムなどの接着剤もしくは粘着剤等のポリマーを用いて、乾燥法、化学硬化法、熱硬化法、熱熔融法、光硬化法等により膜形成させ、硬化させることができる。なかでも、アクリル系共重合体は、最も粘着物性を制御しやすく、かつ透明性や耐候性、耐久性などに優れていて好ましく用いることができる。
〔画像表示装置〕
本実施形態のハードコートフィルムは、画像表示装置に使用することで、視認性に優れた性能が発揮される点で好ましい。画像表示装置としては反射型、透過型、半透過型液晶表示装置又は、TN型、STN型、OCB型、VA型、IPS型、ECB型等の各種駆動方式の液晶表示装置、タッチパネル表示装置、有機EL表示装置やプラズマディスプレイ等が挙がられる。これら画像表示装置の中でも、液晶表示装置が高い視認性に優れる点で好ましい。
λ/4板機能を有するハードコートフィルムから構成される偏光板は、画像表示装置において、視認性を良好に発揮し、更に画像観賞時に首を傾けた際のクロストークに優れる(輝度低下を防止する)点から好ましい。このような効果は、特に、偏光メガネを介して立体画像(3D画像)を視認させる立体画像表示装置や、偏光サングラスを介して通常の画像(2D画像)を視認させる画像表示装置において有効に得られる。
〔実施例〕
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
[セルロースエステルフィルム1の作製]
〈二酸化珪素分散液の調製〉
アエロジルR812(日本アエロジル(株)製、一次粒子の平均径7nm)
10質量部
エタノール 90質量部
以上をディゾルバーで30分間撹拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。二酸化珪素分散液に88質量部のメチレンクロライドを撹拌しながら投入し、ディゾルバーで30分間撹拌混合し、二酸化珪素分散希釈液を作製した。微粒子分散希釈液濾過器(アドバンテック東洋(株):ポリプロピレンワインドカートリッジフィルターTCW−PPS−1N)で濾過した。
〈ドープ組成物1の調製〉
(セルロースエステル樹脂)
セルローストリアセテートA(リンター綿から合成されたセルローストリアセテート、アセチル基置換度2.88、Mn=140000) 90質量部
(添加剤)
一般式(X)で表されるエステル(例示化合物X−1) 5質量部
一般式(P)で表される重合体(例示化合物P−01) 4質量部
(紫外線吸収剤)
TINUVIN 928(BASFジャパン(株)製) 3質量部
(微粒子)
二酸化珪素分散希釈液 4質量部
(溶媒)
メチレンクロライド 432質量部
エタノール 38質量部
以上を密閉容器に投入し、加熱し、撹拌しながら、完全に溶解し、安積濾紙(株)製の安積濾紙No.24を使用して濾過し、ドープ(ドープ組成物1)を調製した。
〈セルロースエステルフィルム1の製膜〉
次に、ベルト流延装置を用い、ドープ組成物1をステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体で、残留溶剤量が100質量%になるまで溶剤を蒸発させ、ステンレスバンド支持体上から剥離した。セルロースエステルフィルムのウェブに含まれる溶剤を35℃で蒸発させ、1.15m幅にスリットし、テンターでTD方向(フィルムの幅手方向)に1.15倍に延伸しながら、140℃の乾燥温度で乾燥させた。その後、120℃の乾燥装置内を多数のローラーで搬送させながら15分間乾燥させた後、1.3m幅にスリットし、フィルム両端に幅10mm、高さ5μmのナーリング加工を施し、巻芯に巻き取り、セルロースエステルフィルム1を得た。セルロースエステルフィルム1の膜厚は25μm、巻長は5000mであった。なお、ステンレスバンド支持体の回転速度とテンターの運転速度から算出されるMD方向の延伸倍率は1.01倍であった。
[ハードコートフィルム1の作製]
上記作製したセルロースエステルフィルム1の一方の面に機能性層1(第1機能性層)を形成し、他方の面に機能性層2(第2機能性層)を形成した後、空気層の厚さが3μmとなるように巻取り、ロール状のハードコートフィルム1を作製した。なお、以下に作製したロール状のハードコートフィルムは全て、空気層の厚さが3μmとなるように巻取った。機能性層1の形成および機能性層2の形成の詳細は、以下の通りである。
(機能性層1の形成)
上記作製したセルロースエステルフィルム1のA面(流延ベルトに接していない面)上に、下記の機能性層組成物1を、押し出しコーターを用いて塗布し、恒率乾燥区間温度50℃、減率乾燥区間温度50℃で乾燥の後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら、紫外線ランプを用い照射部の照度が100mW/cmで、照射量を0.3J/cmとして塗布層を硬化させ、ドライ膜厚6μmの機能性層1を形成した。
[機能性層組成物1]
AUP−787(株式会社トクシキ製) 100質量部
メチルエチルケトン 50質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 30質量部
BYK−381(アクリル系共重合物、ビックケミー・ジャパン(株)社製)
1質量部
なお、AUP−787は、ウレタンアクリレート、光重合開始剤及びメチルエチルケトンを含有した樹脂組成物である。
(機能性層2の形成)
機能性層1を形成後、セルロースエステルフィルム1のB面(流延ベルトに接していた面)上に、下記の機能性層組成物101を、押し出しコーターを用いて塗布し、恒率乾燥区間温度50℃、減率乾燥区間温度50℃で乾燥の、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら、紫外線ランプを用い照射部の照度が100mW/cmで、照射量を0.3J/cmとして塗布層を硬化させ、ドライ膜厚4μmの機能性層2を形成した。
〈機能性層組成物の調製〉
機能性層組成物101の調整は、以下のようにして行った。すなわち、下記のポリマーシランカップリング剤被覆シリカ(1)を下記の溶剤に加え、マントンゴーリンホモジナイザーで分散し、次いで、分散液に下記の化合物を添加後、撹拌混合して、機能性層組成物101を調整した。
[機能性層組成物101]
(活性線硬化樹脂)
ペンタエリスリトールトリ/テトラアクリレート(NKエステルA−TMM−3L、新中村化学工業(株)製) 40質量部
(光重合開始剤)
イルガキュア184(BASFジャパン(株)製) 6質量部
(微粒子)
ポリマーシランカップリング剤被覆シリカ(1) 60質量部
(添加剤)
BYK−UV3510(ポリエーテル変性シリコーン、ビックケミー・ジャパン(株)社製) 1質量部
(溶剤)
プロピレングリコールモノメチルエーテル 50質量部
酢酸メチル 50質量部
〈ポリマーシランカップリング剤被覆シリカの調製〉
上記のポリマーシランカップリング剤被覆シリカ(1)の調整は、以下のようにして行った。
容器に、メタクリル酸メチル(共栄社化学(株)製:ライトエステルM)30ml、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製:KBM−803)1mlと、溶媒としてテトラヒドロフラン100ml、重合開始剤としてアゾイソブチロニトリル(関東化学(株)製:AIBN)50mgを添加し、Nガスで置換した後、80℃で3時間加熱してポリマーシランカップリング剤を調製した。得られたポリマーシランカップリング剤の分子量は16,000であった。なお、分子量の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー装置で測定した。
次に、シリカゾル(日揮触媒化成工業(株)製:Si−45P、SiO濃度30重量%、平均粒子径45nm、分散媒:水)をイオン交換樹脂にてイオン交換し、限外濾過膜法で水をエタノールに溶媒置換してシリカ微粒子のエタノール分散液100g(SiO濃度30重量%)を調製した。
このシリカ微粒子エタノール分散液100gとポリマーシランカップリング剤1.5gとをアセトン20g(25ml)に分散し、これに濃度29.8重量%のアンモニア水20mgを添加し、室温で30時間攪拌してポリマーシランカップリング剤をシリカ微粒子に吸着させた。
その後、平均粒子径5μmのシリカ粒子を添加し、2時間攪拌して溶液中の未吸着のポリマーシランカップリング剤をシリカ粒子に吸着させ、ついで、遠心分離により未吸着であったポリマーシランカップリング剤を吸着した平均粒子径5μmのシリカ粒子を除去した。ポリマーシランカップリング剤を吸着したシリカ微粒子分散液にエタノール1000g加え、シリカ微粒子を沈降させ、これを分離、減圧乾燥し、ついで、25℃で8時間乾燥してポリマーシランカップリング剤被覆シリカ(1)を得た。得られたポリマーシランカップリング剤被覆シリカ(1)の平均粒子径は57nmであった。平均粒子径はレーザー粒子径測定装置により測定した。
<ハードコートフィルム2の作製>
機能性層1のドライ膜厚を16μmに変更した以外は、ハードコートフィルム1の作製と同様にして、ロール状のハードコートフィルム2を作製した。
<ハードコートフィルム3の作製>
機能性層1のドライ膜厚を26μmに変更した以外は、ハードコートフィルム1の作製と同様にして、ロール状のハードコートフィルム3を作製した。
<ハードコートフィルム4の作製>
機能性層組成物101を下記の機能性層組成物102に変更して機能性層2を形成した。それ以外は、ハードコートフィルム2の作製と同様にして、ロール状のハードコートフィルム4を作製した。
〈機能性層組成物の調製〉
下記化合物を撹拌混合して、機能性層組成物102を調整した。
[機能性層組成物102]
(活性線硬化樹脂)
ペンタエリスリトールトリ/テトラアクリレート(NKエステルA−TMM−3L、新中村化学工業(株)製) 100質量部
(光重合開始剤)
イルガキュア184(BASFジャパン(株)製) 6質量部
(添加剤)
フッ素−シロキサングラフト化合物(35質量%) 2質量部
(溶剤)
プロピレングリコールモノメチルエーテル 50質量部
酢酸メチル 50質量部
上記のフッ素−シロキサングラフト化合物の調製に用いた素材の市販品名は、以下の通りである。
ラジカル重合性フッ素樹脂(A):セフラルコートCF−803(ヒドロキシ基価60、数平均分子量15000;セントラル硝子(株)製)
片末端ラジカル重合性ポリシロキサン(B):サイラプレーンFM−0721(数平均分子量5000;チッソ(株)製)
ラジカル重合開始剤:パーブチルO(t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート;日本油脂(株)製)
硬化剤:スミジュールN3200(ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット型プレポリマー;住化バイエルウレタン(株)製)
〈フッ素−シロキサングラフト化合物の調製〉
機械式撹拌装置、温度計、コンデンサー及び乾燥窒素ガス導入口を備えたガラス製反応器に、後述のようにして合成したラジカル重合性フッ素樹脂(26.1質量部)、キシレン(19.5質量部)、酢酸n−ブチル(16.3質量部)、メチルメタクリレート(2.4質量部)、n−ブチルメタクリレート(1.8質量部)、ラウリルメタクリレート(1.8質量部)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(1.8質量部)、FM−0721(5.2質量部)、及びパーブチルO(0.1質量部)を入れ、窒素雰囲気中で90℃まで加熱した後、90℃で2時間保持した。パーブチルO(0.1部)を追加し、さらに90℃で5時間保持することによって、重量平均分子量が171000である35質量%フッ素−シロキサングラフト化合物の溶液を得た。重量平均分子量はGPCにより求めた。また、フッ素−シロキサングラフト化合物の質量%は、HPLC(液体クロマトグラフィー)により求めた。
〈ラジカル重合性フッ素樹脂の合成〉
機械式撹拌装置、温度計、コンデンサー及び乾燥窒素ガス導入口を備えたガラス製反応器に、セフラルコートCF−803(1554質量部)、キシレン(233質量部)、及び2−イソシアナトエチルメタクリレート(6.3質量部)を入れ、乾燥窒素雰囲気下で80℃に加熱した。80℃で2時間反応し、サンプリング物の赤外吸収スペクトルによりイソシアネートの吸収が消失したことを確認した後、反応混合物を取り出し、ウレタン結合を介して50質量%のラジカル重合性フッ素樹脂を得た。
<ハードコートフィルム5の作製>
機能性層組成物1を下記の機能性層組成物2に変更して機能性層1を形成した。それ以外は、ハードコートフィルム2の作製と同様にして、ロール状のハードコートフィルム5を作製した。
[機能性層組成物2]
パンデックスGW−3250(DIC(株)製) 100質量部
メチルエチルケトン 50質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 50質量部
BYK−381(アクリル系共重合物、ビックケミー・ジャパン(株)社製)
1質量部
なお、パンデックスGW−3250は、ウレタンアクリレート、光重合開始剤及びメチルエチルケトンを含有した樹脂組成物である。
<ハードコートフィルム6の作製>
上記作製したハードコートフィルム2の機能性層1の上に、下記の機能性層組成物3を孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過したものを、マイクログラビアコーターを用いて塗布し、恒率乾燥区間温度80℃、減率乾燥区間温度80℃で乾燥の後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら、紫外線ランプを用い照射部の照度が100mW/cmで、照射量を0.35J/cmとして塗布層を硬化させ、ドライ膜厚0.25μmの機能性層3を形成した。その後、フィルムをロール状に巻き取って、ハードコートフィルム6とした。すなわち、ハードコートフィルム6においては、機能性層1と機能性層3との2層で第1機能性層を構成した。
[機能性層組成物3]
ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート(NKエステルA−9550、新中村化学工業(株)製) 100質量部
イルガキュア184(チバ・ジャパン(株)製) 5質量部
BYK−381 1質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 10質量部
酢酸メチル 45質量部
メチルエチルケトン 45質量部
<ハードコートフィルム7の作製>
機能性層3のドライ膜厚を3μmに変更した以外は、ハードコートフィルム6の作製と同様にして、ロール状のハードコートフィルム7を作製した。
<ハードコートフィルム8の作製>
上記作製したハードコートフィルム5の機能性層1上に、機能性層組成物1を孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過したものを、マイクログラビアコーターを用いて表面に塗布し、恒率乾燥区間温度80℃、減率乾燥区間温度80℃で乾燥の後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら、紫外線ランプを用い照射部の照度が100mW/cmで、照射量を0.3J/cmとして塗布層を硬化させ、ドライ膜厚11μmの機能性層3を形成した。その後、フィルムをロール状に巻き取って、ハードコートフィルム8とした。すなわち、ハードコートフィルム8においては、機能性層組成物2からなる機能性層1と、機能性層組成物1からなる機能性層3との2層で第1機能性層を構成した。
<ハードコートフィルム9の作製>
機能性層組成物1を機能性層組成物3に変更し、紫外線照射量を0.03J/cmに変更して機能性層1を形成した。それ以外は、ハードコートフィルム2の作製と同様にして、ロール状のハードコートフィルム9を作製した。
<ハードコートフィルム10の作製>
紫外線照射量を0.07J/cmに変更して機能性層1を形成した以外は、ハードコートフィルム9の作製と同様にして、ロール状のハードコートフィルム10を作製した。
<ハードコートフィルム11の作製>
ハードコートフィルム2の作製において、機能性層2は形成せず、更に機能性層組成物1を下記の機能性層組成物4に変更して機能性層1を形成した。それ以外は、ハードコートフィルム2の作製と同様にして、ロール状のハードコートフィルム11を作製した。
[機能性層組成物4]
AUP−787(株式会社トクシキ製) 100質量部
ポリマーシランカップリング剤被覆シリカ(1) 10質量部
(添加剤)
メチルエチルケトン 50質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 30質量部
BYK−381(アクリル系共重合物、ビックケミー・ジャパン(株)社製)
1質量部
<ハードコートフィルム12の作製>
ハードコートフィルム2の作製において、機能性層組成物1を上記の機能性層組成物4に変更して機能性層1を形成した。それ以外は、ハードコートフィルム2の作製と同様にして、ロール状のハードコートフィルム12を作製した。
<耐久試験>
上記作製したロール状ハードコートフィルム1〜12をそれぞれアルミ防湿シートに包み、長期輸送を想定して50℃相対湿度80%の恒温槽で25日保存した。25日間保存後、以下の方法で偏光板を作製した。
<偏光板101の作製>
上記耐久試験後のハードコートフィルム1を偏光膜の一方の面に貼り付け、光学補償フィルムであるKC4FR−1(コニカミノルタ株式会社製)からなる保護フィルムを偏光膜の他方の面に貼り付けて、偏光板101を作製した。より詳しくは、以下の通りである。
(a)偏光膜の作製
けん化度99.95モル%、重合度2400のポリビニルアルコール(以下、PVAと略記する)100質量部に、グリセリン10質量部、及び水170質量部を含浸させたものを溶融混練し、脱泡後、Tダイから金属ロール上に溶融押出し、製膜した。その後、乾燥・熱処理してPVAフィルムを得た。得られたPVAフィルムは、平均厚みが25μm、水分率が4.4%、フィルム幅が3mであった。
次に、得られたPVAフィルムを、予備膨潤、染色、湿式法による一軸延伸、固定処理、乾燥、熱処理の順番で、連続的に処理して、偏光膜を作製した。すなわち、PVAフィルムを温度30℃の水中に30秒間浸して予備膨潤し、ヨウ素濃度0.4g/リットル、ヨウ化カリウム濃度40g/リットルの温度35℃の水溶液中に3分間浸した。続いて、ホウ酸濃度4%の50℃の水溶液中でフィルムにかかる張力が700N/mの条件下で、6倍に一軸延伸を行い、ヨウ化カリウム濃度40g/リットル、ホウ酸濃度40g/リットル、塩化亜鉛濃度10g/リットルの温度30℃の水溶液中に5分間浸漬して固定処理を行った。その後、PVAフィルムを取り出し、温度40℃で熱風乾燥し、更に温度100℃で5分間熱処理を行った。得られた偏光膜は、平均厚みが13μm、偏光性能については透過率が43.0%、偏光度が99.5%、2色性比が40.1であった。
(b)偏光板の作製
下記工程1〜5に従って、偏光膜と保護フィルム(KC4FR−1)と耐久試験後のハードコートフィルム1を貼り合わせて偏光板101を作製した。
工程1:前述の偏光膜を、固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤溶液の貯留槽中に1〜2秒間浸漬した。
工程2:機能性層1に剥離性の保護フィルム(PET製)を張り付けたハードコートフィルム1と保護フィルムとを下記条件でアルカリ鹸化処理を実施した。次いで、工程1でポリビニルアルコール接着剤溶液に浸漬した偏光膜に付着した過剰の接着剤を軽く取り除き、この偏光膜をハードコートフィルム1と保護フィルムとで挟み込んで、積層配置した。
(アルカリ鹸化処理)
ケン化工程 2.5M−KOH 50℃ 120秒
水洗工程 水 30℃ 60秒
中和工程 10質量部HCl 30℃ 45秒
水洗工程 水 30℃ 60秒
ケン化処理後、水洗、中和、水洗の順に行い、次いで100℃で乾燥する。
工程3:上記の積層物を、2つの回転するローラにて20〜30N/cmの圧力で約2m/minの速度で貼り合わせた。このとき、気泡が入らないように注意して実施した。
工程4:工程3で作製した試料を、温度100℃の乾燥機中にて5分間乾燥処理し、偏光板を作製した。
工程5:工程4で作製した偏光板の保護フィルム側に市販のアクリル系粘着剤を乾燥後の厚みが25μmとなるように塗布し、110℃のオーブンで5分間乾燥して粘着層を形成し、粘着層に剥離性の保護フィルムを貼り付けた。この偏光板を裁断(打ち抜き)し、偏光板101を作製した。
<偏光板102〜112の作製>
ハードコートフィルム1を、耐久試験を実施したハードコートフィルム2〜12にそれぞれ変更した以外は、偏光板101の作製と同様にして、偏光板102〜112を作製した。
<液晶表示装置201の作製>
ソニー製液晶テレビ(KDL−40HX700)の液晶セルを挟む2枚の偏光板のうち、視認側の偏光板を剥離した。次に上記作製した偏光板101を、機能性層1が視認側となり、かつ、偏光板101の透過軸とバックライト側の偏光板の透過軸とが直交するように、上記液晶セルの視認側に配置した。そして、偏光板101の粘着剤層と液晶セルのガラスとを貼り合わせて、液晶表示装置201を作製した。
<液晶表示装置202〜212の作製>
偏光板101を偏光板102〜112にそれぞれ変更した以外は、液晶表示装置201の作製と同様にして、液晶表示装置202〜212を作製した。
《評価》
上記作製したハードコートフィルム1〜12、及び液晶表示装置201〜212について、以下の内容について評価した。
〈ハードコートフィルム〉
・微小硬度計を用いた押し込み深さ設定負荷−除荷試験
上記作製した各ハードコートフィルム1〜12について、ビッカース圧子および稜線同士の角度が115度の三角錐圧子を用いた微小硬度計(商品名、DUH−211S、島津製作所社製)を用い、各ハードコートフィルムの機能性層1の表面、または機能性層3の表面に対して、試験力を負荷して押し込み深さhmax(μm)まで圧子を押し込んだ後、除荷し、負荷試験力−押しこみ深さ曲線(図5参照)を作成した。そして、各ハードコートフィルム1〜12について、除荷保持時間0秒および60秒で測定した際に求められる残留深さh1、h2より、以下の値Aを算出した。
A=(h1−h2)/hmax
ただし、
h1:除荷保持時間0秒で測定したときの残留深さ(μm)
h2:除荷保持時間60秒で測定したときの残留深さ(μm)
hmax:設定押し込み深さ(μm)
である。各ハードコートフィルム1〜12について得られたAの値を表1に示す。
・対水接触角の測定(θ)
ハードコートフィルム1〜12の第1機能性層の形成側とは反対側の面(第2機能性層が形成されている場合はその表面)の対水接触角(θ)を以下の条件で測定した。つまり、温度23℃、相対湿度55%の雰囲気下で試料を24時間放置後、温度23℃、相対湿度55%の雰囲気下で、接触角計(協和界面科学株式会社製、商品名DropMaster DM100)を用いて、純水1μLを滴下1分後における純水の接触角を測定した。なお、7回測定を行い、測定値の最大値、最小値を除いた5つの測定値の平均値を、該試料の接触角とした。得られた結果(θ)を表1に示す。
・算術平均粗さRa測定
ハードコートフィルム1〜12の第1機能性層(機能性層1または機能性層3)或いは第2機能性層(機能性層2)について、光学干渉式表面粗さ計(ZYGO社製、NewView5030)を用いて表面粗さを10回測定し、測定結果の平均から、第1機能性層或いは第2機能性層の算術平均粗さRaを求めた。得られた結果を表1に示す。
〈液晶表示装置〉
液晶表示装置201〜212において、ハードコートフィルム1〜12の歪みに起因する表示ムラ、およびハードコートフィルム1〜12の平面性に起因する視認性について評価した。
・歪みに起因する表示ムラ評価
上記作製した各液晶表示装置201〜212を黒表示で正面から観察し、以下の基準に基づいて、歪みに起因する表示ムラを評価した。
(評価基準)
◎:変形起因の表示ムラが全く認められない。
○:変形起因の表示ムラが僅かに認められるが、実使用上問題のない範囲である。
△:細かな変形起因の表示ムラが認められ、実使用上問題が生じ得る。
×:変形起因の表示ムラが明らかに認められ、実使用上明らかに問題である。
・平面性に起因する視認性評価
上記作製した各液晶表示装置201〜212を、表示面の長辺方向が天井部の直管蛍光灯の長尺方向と平行となるように、かつ、評価者が液晶表示装置の表示面の正面にいるときに、評価者の頭上より後方に向けて天井部の蛍光灯が位置するように、床から80cmの高さの机上に配置した。ここで、上記の直管蛍光灯は、昼色光直管蛍光灯(FLR40S・D/M−X パナソニック(株)製)であり、40W×2本を1セットとして、1.5m間隔で10セット並列に、床から3mの高さの天井部に配置されている。そして、液晶表示装置の表示面の正面に評価者を位置させて、表示面での反射によって蛍光灯の像を観察させ、ハードコートフィルムの平面性に起因する視認性を、以下の基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:蛍光灯が真っ直ぐに見える。
○:蛍光灯が若干曲がったように見えるところがある。
△:蛍光灯が曲がって見える。
×:蛍光灯が大きく畝って見える。
各液晶表示装置において、ハードコートフィルムの歪みに起因する表示ムラおよび平面性に起因する視認性の評価結果を表1に示す。また、表1に、実施例と比較例との対応関係も併せて示す。
Figure 2015179204
表1より、実施例1〜9のハードコートフィルム(ハードコートフィルム1〜3、5、6、8、10、11、12)を用いた液晶表示装置では、耐久試験後のハードコートフィルムの歪みに起因する表示ムラがほとんどなく、ハードコートフィルムの平面性劣化に起因する視認性の劣化もほとんどないことがわかる。これは、フィルム基材の一方の面に第1機能性層(機能性層1単独、または機能性層1と機能性層3との積層)が形成されており、第1機能性層に対する押し込み深さ設定負荷−除荷試験により得られる値Aが0.02以上0.90以下であり、かつ、第1機能性層の表面の算術平均粗さRa(フィルム基材の他方の面に第2機能性層を有した場合は、第1機能性層および第2機能性層の少なくとも一方の表面の算術平均粗さRa)が2nm以上であることにより、第1機能性層に自己治癒材料を用いた構成でフィルム基材の膜厚が25μmと薄くなった場合でも、ロール状に巻き取ったときのフィルム同士の貼り付き防止効果が十分に得られており、フィルムの貼り付きによる歪みや平面性の劣化が十分に抑えられているためと考えられる。なお、実施例1〜9のハードコートフィルムの第1機能性層の表面を真鍮ブラシで10往復擦った後、擦り傷が発生したが、数秒後に自己修復し、擦り傷が消失したことを確認した。
また、歪みに起因する表示ムラおよび平面性劣化に起因する視認性の評価の結果が、第1機能性層及び第2機能性層の算術表面粗さRaが1nmである比較例1では×であり、Raが20nmである実施例1では○であることから、Raがこれらの間の値である10nm以上であれば、巻き取り時のフィルム貼り付き防止効果が高いと言え、20nm以上であればその効果がさらに高くなると言える。Raの下限については、上記した10nmより小さくても、比較例1での値(1nm)より大きい2nm以上であれば、上記の効果が期待できると考えられる。
また、上記の値Aの下限については、実施例1での値(0.13)より小さくても、比較例1での値(0.01)より大きい0.02以上であれば、上記の効果が期待できると考えられる。値Aの上限については、実施例7での値(0.86)と比較例3での値(0.95)の間の値(0.90)が妥当と考えられる。
また、歪みに起因する表示ムラ、および平面性に起因する視認性の各評価は、実施例1で○であり、実施例2で◎であることから、上記の値Aの値が、実施例1での値(0.13)と実施例2での値(0.26)との間の値(0.20)以上であれば、アンチブロッキング性を有する第2機能性層を設けることによる貼り付き防止効果が高いと言える。しかも、上記の値Aが0.20以上であることで、第1機能性層に自己治癒特性が確実に付与される。以上のことから、上記の値Aは、0.20以上0.90以下が望ましいと言える。
また、実施例1〜9のように、フィルム基材の他方の面または第2機能性層が親水性を示す表面特性(対水接触角95°以下)を有することで、巻き取り時のフィルム貼り付き防止効果が得られやすく、耐久試験後に液晶表示装置に用いた場合でも、平面性の劣化に起因する視認性劣化や歪みに起因する表示ムラがなく、優れた視認性を示すことがわかる。
<ハードコートフィルム13の作製>
機能性層2の機能性層組成物101を下記の機能性層組成物103に変更した以外は、ハードコートフィルム2の作製と同様にして、ロール状のハードコートフィルム13を作製した。機能性層組成物103の調製は、下記の化合物を撹拌混合して行った。
[機能性層組成物103]
(活性線硬化樹脂)
ペンタエリスリトールトリ/テトラアクリレート(NKエステルA−TMM−3L、新中村化学工業(株)製) 95質量部
(光重合開始剤)
イルガキュア184(BASFジャパン(株)製) 6質量部
(微粒子)
NANOBYK−3650(溶剤分散シリカ粒子、平均粒形20nm、シリカ含有量25%、ビックケミー・ジャパン(株)社製) 20質量部
(添加剤)
BYK−UV3510(ポリエーテル変性シリコーン、ビックケミー・ジャパン(株)社製) 1質量部
(溶剤)
プロピレングリコールモノメチルエーテル 50質量部
酢酸メチル 35質量部
<ハードコートフィルム14の作製>
機能性層2の機能性層組成物101を下記の機能性層組成物104に変更した以外は、ハードコートフィルム2の作製と同様にして、ロール状のハードコートフィルム14を作製した。なお、機能性層組成物104の調製は、以下のようにして行った。すなわち、微粒子を溶剤に加えてマントンゴーリンホモジナイザーで分散し、次いで、分散液に下記化合物を添加後、撹拌混合して、機能性層組成物104を調整した。
[機能性層組成物104]
(活性線硬化樹脂)
ペンタエリスリトールトリ/テトラアクリレート(NKエステルA−TMM−3L、新中村化学工業(株)製) 95質量部
(光重合開始剤)
イルガキュア184(BASFジャパン(株)製) 6質量部
(微粒子)
架橋ポリメタクリル酸メチル粒子(平均粒形5μm、商品名:MBX−5、積水化成品工業(株)社製) 10質量部
(添加剤)
BYK−UV3510(ポリエーテル変性シリコーン、ビックケミー・ジャパン(株)社製) 1質量部
(溶剤)
プロピレングリコールモノメチルエーテル 50質量部
酢酸メチル 35質量部
<耐久試験>
上記作製したロール状ハードコートフィルム13、14および前述のロール状ハードコートフィルム2をそれぞれアルミ防湿シートに包み、長期輸送を想定して60℃相対湿度80%の恒温槽で40日保存した。40日間保存後、上記と同様にして、偏光板の作製、ハードコートフィルム及び画像表示装置の評価を行った。その評価結果を表2に示す。
Figure 2015179204
より過酷な条件でハードコートフィルムに対して耐久試験を実施後、液晶表示装置に用いた場合、機能性層2の表面凹凸高さ(算術平均粗さRa)が10nm以上である場合には(実施例2及び実施例11参照)、フィルムの歪みに起因する表示ムラが抑えられるとともに、フィルムの平面性劣化に起因する視認性劣化が抑えられ、特に優れた視認性を示すことがわかる。
<セルロースエステルフィルム2の作製>
(ポリエステルAの作製)
窒素雰囲気下、テレフタル酸ジメチル4.85g、1,2−プロピレングリコール4.4g、p−トルイル酸6.8g、テトライソプロピルチタネート10mgを混合し、140℃で2時間攪拌を行った後、更に210℃で16時間攪拌を行った。次に、170℃まで降温し、未反応物の1,2−プロピレングリコールを減圧留去することにより、ポリエステルAを得た。
酸価 :0.1
数平均分子量:490
分散度 :1.4
分子量300〜1800の成分含有率:90%
ヒドロキシル(水酸基)価:0.1
水酸基含有量:0.04%
(微粒子分散液1)
微粒子(アエロジル R812 日本アエロジル(株)製) 11質量部
エタノール 89質量部
以上をディゾルバーで50分間攪拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行い、微粒子分散液1を調製した。
(微粒子添加液1)
メチレンクロライドを入れた溶解タンクに十分攪拌しながら、微粒子分散液1をゆっくりと添加した。更に、二次粒子の粒径が所定の大きさとなるようにアトライターにて分散を行った。これを日本精線(株)製のファインメットNFで濾過し、微粒子添加液1を調製した。
メチレンクロライド 99質量部
微粒子分散液1 5質量部
(ドープ液の調製)
下記組成のドープ液を以下のようにして調製した。溶解タンクにメチレンクロライドとエタノールを添加した。溶剤の入った加圧溶解タンクにセルロースエステル、糖エステル化合物、ポリエステルA、TINUVIN928、微粒子添加液1を攪拌しながら投入した。これを加熱し、攪拌しながら、完全に溶解した。これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、主ドープ液を調製した。
〈主ドープ液の組成〉
メチレンクロライド 340質量部
エタノール 64質量部 セルロースエステル(セルロースアセテートプロピオネート:アセチル基置換度1.5、プロピオニル基置換度0.9、総置換度2.4、Mn80000) 100質量部
糖エステル化合物(Y−22) 7.0質量部
ポリエステルA 2.5質量部
TINUVIN928(BASFジャパン社製) 1.5質量部
微粒子添加液1 1.0質量部
(セルロースエステルフィルム2の製膜)
次いで、無端ベルト流延装置を用い、ドープ液を温度33℃、2000mm幅でステンレスベルト支持体上に均一に流延した。ステンレスベルトの温度は30℃に制御した。
ステンレスベルト支持体上で、流延(キャスト)したフィルム中の残留溶媒量が75質量%になるまで溶媒を蒸発させ、次いで剥離張力110N/mで、ステンレスベルト支持体上から剥離した。
剥離したセルロースエステルフィルムを、160℃の熱をかけながらテンターを用いて幅手方向に5%延伸した。その際、予め予熱温度をフィルム幅手方向で異なるように分布を持たせるように付与し、延伸開始時の残留溶媒量を幅手方向で異なる分布を持つようにした。延伸開始時の残留溶媒量は一方の端部は15質量%であり、もう一方の端部は10質量%であった。
次いで、乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させた。乾燥温度は130℃で、搬送張力は100N/mとした。フィルム両端に幅10mm、高さ5μmのナーリング加工を施して巻き取り、膜厚75μm、幅2000mm、長さ5200mのロール状のセルロースエステルフィルム2を得た。面内リタデーションは前述の方法で測定したところ、Roは10nm、Roバラツキは1nm、Rtは120nmであった。
<斜め延伸フィルム1の作製>
セルロースエステルフィルム2を、図6の装置のスライド可能な繰出装置(フィルム繰り出し部)にセットし、角度θi=47°となるようにレールパターンが設定された斜め延伸機に供給した。そのとき、斜め延伸装置の入口部に最も近いガイドロールの主軸と斜め延伸装置の把持具(クリップつかみ部)との距離を30cmとした。クリップは搬送方向の長さが1インチ(1インチは2.54cm)のものを、上記ガイドロールは直径5cmのものを使用した。
斜め延伸テンターで延伸温度175℃、延伸倍率1.5倍で斜め延伸を行い、テンター出口における引取張力200N/m、配向角θが45°となるように斜め方向に延伸を行った。延伸後のフィルムは、斜め延伸テンター出口側の第1ロールで測定した張力の変動を引取モータ回転数に反映させるフィードバック制御を行って、引取張力の変動が3%未満となるように制御した。その後、フィルム両端をトリミング後、エアーフローロールからなる搬送方向変更装置で搬送方向を変更し、フィルム両端に幅10mm、高さ5μmのナーリング加工を施して、スライド可能な巻取装置で巻き取り、厚み50μm、幅2000mm、長さ5200mの斜め延伸フィルム1を得た。得られた斜め延伸フィルム1の面内リターデーション(Ro)は135nm、厚み方向リタデーションRtは140nm、配向角(θ)は45°であった。
なお、加熱および延伸する際におけるフィルム移動速度は20m/分とした。また、予熱ゾーンの温度を175℃、冷却ゾーンの温度を160℃とした。フィルムを加熱および延伸する際には、いわゆる「ボーイング現象」を解消するとともに、配向角が45°になるように、最適なレールパターンを組んで延伸を行った。
<ハードコートフィルム15の作製>
フィルム基材(セルロースエステルフィルム1)を、上記の斜め延伸フィルム1に変更した以外は、ハードコートフィルム2の作製と同様にして、ロール状のハードコートフィルム15を作製した。得られたロール状のハードコートフィルム15に対して上記と同様に耐久試験を実施後、アルカリ処理して偏光板115を作製した。
<液晶表示装置の作製>
次いで、SONY製60型ディスプレイBRAVIA LX900の予め貼合されていた前面板とパネル前側の偏光板とを剥がして、上記作製した偏光板113および前述の偏光板102を光学用粘着剤でそれぞれ液晶セルのガラス面に貼合した。その際、予め貼合されていた偏光板と同一の方向に吸収軸が向くように貼り合せた。その後、上記と同様にしてハードコートフィルム及び液晶表示装置の評価を行った。更に以下の条件でクロストークについても評価した。
<クロストーク評価>
作製した液晶表示装置のバックライトを点灯させ、偏光サングラスを装着して首を傾けないで表示映像を観察した後、偏光サングラスが85°傾くように首を傾けて映像を観察した。そして、首を傾ける前後で観察した映像の輝度低下(クロストーク)を、以下の基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:クロストークが全くない。
○:非常に弱いクロストークが現れる。
△:僅かにクロストークが現れる。
×:クロストークがはっきりと現れる。
液晶表示装置の評価の結果を表3に示す。
Figure 2015179204
表3より、フィルム基材に斜め延伸フィルム(λ/4フィルム)を用いることにより、フィルムの歪みに起因する表示ムラおよび平面性劣化に起因する視認性劣化を抑えることができることに加えて、偏光サングラス装着時のクロストーク特性にも優れた液晶表示装置を実現できていることが分かる。
本発明の光学フィルムは、偏光板や、液晶表示装置などの画像表示装置に利用可能である。
1 画像表示装置
4 液晶セル(表示セル)
5 偏光板
11 偏光子
12 光学フィルム(保護フィルム、ハードコートフィルム)
21 フィルム基材(λ/4フィルム)
22 第1機能性層(ハードコート層)
22a ハードコート層
22b ハードコート層
23 第2機能性層

Claims (9)

  1. フィルム基材と、前記フィルム基材の一方の面に形成される第1機能性層とを有し、
    前記第1機能性層は、ハードコート層を含み、
    前記ハードコート層の表面に対して微小硬度計により試験力を負荷して、設定された深さまで押し込み、その後除荷する押し込み深さ設定負荷−除荷試験により得られる以下の値Aが、0.02以上0.90以下であり、
    A=(h1−h2)/hmax
    ただし、
    h1:除荷保持時間0秒で測定したときの残留深さ(μm)
    h2:除荷保持時間60秒で測定したときの残留深さ(μm)
    hmax:設定押し込み深さ(μm)
    かつ、下記の(1)および(2)の少なくともいずれかの条件を満足することを特徴とするハードコートフィルム。
    (1)前記第1機能性層の表面の算術平均粗さRaが2nm以上である。
    (2)前記フィルム基材の他方の面に第2機能性層を有し、前記第2機能性層の表面の算術平均粗さRaが2nm以上である。
  2. 前記ハードコートフィルムが、前記第2機能性層を有することを特徴とする請求項1に記載のハードコートフィルム。
  3. 前記の値Aが、0.20以上0.90以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のハードコートフィルム。
  4. 前記第1機能性層または前記第2機能性層の表面の算術平均粗さRaが、10nm以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のハードコートフィルム。
  5. 前記フィルム基材の他方の面または前記第2機能性層の対水接触角が95°以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のハードコートフィルム。
  6. 前記フィルム基材は、λ/4フィルムであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のハードコートフィルム。
  7. 前記フィルム基材の厚さは、1μm以上30μm未満であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のハードコートフィルム。
  8. 偏光子と、該偏光子の一方の面に形成される保護フィルムとを有し、
    前記保護フィルムが、請求項1から7のいずれかに記載のハードコートフィルムであることを特徴とする偏光板。
  9. 表示セルと、
    前記表示セルの視認側に配置される、請求項8に記載の偏光板とを備えていることを特徴とする画像表示装置。
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