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JP2015131894A - 含フッ素エラストマーおよびその製造方法 - Google Patents

含フッ素エラストマーおよびその製造方法 Download PDF

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JP2015131894A
JP2015131894A JP2014003433A JP2014003433A JP2015131894A JP 2015131894 A JP2015131894 A JP 2015131894A JP 2014003433 A JP2014003433 A JP 2014003433A JP 2014003433 A JP2014003433 A JP 2014003433A JP 2015131894 A JP2015131894 A JP 2015131894A
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大介 村井
Daisuke Murai
大介 村井
前田 満
Mitsuru Maeda
満 前田
敬介 小金
Keisuke Kogane
敬介 小金
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Unimatec Co Ltd
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Abstract

【課題】含フッ素エラストマーが本来有する良好な物性を損なうことなく、金属、プラスチックあるいは含フッ素エラストマー以外のエラストマーなどとの加硫接着性を改善せしめた含フッ素エラストマーおよびその製造方法を提供する。【解決手段】含フッ素共重合体中に一般式CF2=CF〔OCF2CF(CF3)〕bO(CF2)aO〔CF(CF3)CF2O〕cCF(CF3)COOM〔I〕(M:Na,K、a:1〜6、b+c:0〜6)で表わされるパーフルオロビニルオキシポリエーテルカルボン酸アルカリ金属塩を0.01〜0.5モル%の共重合割合で共重合させた含フッ素エラストマー。この含フッ素エラストマーは、含フッ素モノマーを前記一般式〔I〕で表わされる、フッ素系反応性乳化剤としてのパーフルオロビニルオキシポリエーテルカルボン酸アルカリ金属塩の存在下で共重合反応を行うことにより製造される。【選択図】なし

Description

本発明は、含フッ素エラストマーおよびその製造方法に関する。さらに詳しくは、加硫接着性にすぐれた含フッ素エラストマーおよびその製造方法に関する。
自動車部品用途、一般産業機械用途、半導体用途のほか化学プラント向けなどのOリングやオイルシール、パッキン、ガスケットなどは、弾性、耐熱化学安定性、さらには耐薬品性、耐燃料油性などを兼ね備えることが要求される分野においては様々なタイプの含フッ素エラストマーが用いられている。
含フッ素エラストマーは、汎用エラストマーと比較して高価格、高機能であるため、その適用分野は限られていたが、昨今、特に自動車産業において環境的側面から燃料封止性や耐熱性、化学的安定性など各種部品に対する要求が高まりをみせており、含フッ素エラストマー製品の使用が増加している。さらに、既存の含フッ素エラストマーよりも高機能な含フッ素エラストマーへの市場要求も高まりをみせている。
ここで、含フッ素エラストマー製品は成形物として用いられるが、その多くが金属あるいはプラスチック、そして含フッ素エラストマー以外のエラストマーなどとの複合品であり、含フッ素エラストマーとその他の材料との接着性は重要な要素となっている。この中でも特に重要となるのが、製品の成形過程において、含フッ素エラストマーとその他の材料とを一緒に成形する際の加硫接着性となる。
含フッ素エラストマーと金属との接着性を向上させる方法として、本出願人は先に0.1〜5モル%のα-トリフルオロメチルアクリル酸を共重合させたカルボキシル基含有含フッ素共重合体を提案している(特許文献1参照)。しかるに、共重合されるα-トリフルオロメチルアクリル酸は過フッ素化されたモノマーではなく、自動車エンジン内部など特に高
温となる用途においては含フッ素エラストマーが本来有する高い耐熱性などを損なうおそれがある。また、この先行文献ではコーティング用途における接着性の改善については確認されてはいるものの、加硫接着性については何ら言及されてはいない。
特許第5136535号公報 特公平3−80145号公報 特公昭58−4728号公報 特公昭54−1585号公報 特許第4,617,833号公報
Fluorine Chem. 第75巻第163〜167頁(1995)
本発明の目的は、含フッ素エラストマーが本来有する良好な物性を損なうことなく、金属、プラスチックあるいは含フッ素エラストマー以外のエラストマーなどとの加硫接着性を改善せしめた含フッ素エラストマーおよびその製造方法を提供することにある。
かかる本発明の目的は、含フッ素共重合体中に一般式
CF2=CF〔OCF2CF(CF3)〕bO(CF2)aO〔CF(CF3)CF2O〕cCF(CF3)COOM 〔I〕
(ここで、Mはナトリウムまたはカリウムであり、aは1〜6の整数、好ましくは2であり、b+cは0〜6の整数、好ましくは0または1である)で表わされるパーフルオロビニルオキシポリエーテルカルボン酸アルカリ金属塩を0.01〜0.5モル%の共重合割合で共重合させた含フッ素エラストマーによって達成され、かかる含フッ素エラストマーは、含フッ素モノマーを一般式
CF2=CF〔OCF2CF(CF3)〕bO(CF2)aO〔CF(CF3)CF2O〕cCF(CF3)COOM 〔I〕
(ここで、Mはナトリウムまたはカリウムであり、aは1〜6の整数であり、b+cは0〜6の整数である)で表わされる、フッ素系反応性乳化剤としてのパーフルオロビニルオキシポリエーテルカルボン酸アルカリ金属塩の存在下で共重合反応を行うことによって製造される。
本発明に係る含フッ素エラストマーは、新規なパーフルオロビニルオキシポリエーテルカルボン酸アルカリ金属塩を0.01〜0.5モル%の共重合割合で共重合させているため、従来の含フッ素エラストマーに比べて高い加硫接着性を示すといったすぐれた効果を奏する。したがって、本発明に係る含フッ素エラストマーを用いた場合には、例えば金属表面に接着剤層を形成させることなく高い接着性が得られるので、金属表面の前処理を不要とすることも可能である。
また、一般式〔I〕で表わされるパーフルオロビニルオキシポリエーテルカルボン酸アルカリ金属塩は、フッ素系反応性乳化剤(界面活性剤)としても作用するため、含フッ素エラストマーの乳化重合において、従来使用されていた乳化剤の低減あるいは乳化剤の不使用を可能とするといった効果も併せて奏する。また一般の乳化剤を用いることなく得られた含フッ素エラストマーラテックスは、含フッ素エラストマーの製造過程において、煩雑な凝析、洗浄作業を省略することを可能とする。なお、従来用いられてきた乳化剤を用いて得られた含フッ素エラストマーについて洗浄工程を省略した場合には、含フッ素エラストマーの物性の悪化あるいは加硫接着性の低下が避けられないが、本発明に係る含フッ素エラストマーについては、洗浄工程を省略した場合であっても物性の悪化あるいは加硫接着性の低下は認められない。
含フッ素エラストマー共重合体中に0.01〜0.5モル%、好ましくは0.02〜0.2モル%の割合で共重合されるパーフルオロビニルオキシポリエーテルカルボン酸アルカリ金属塩は、下記一般式で示される新規な化合物である。
CF2=CF〔OCF2CF(CF3)〕bO(CF2)aO〔CF(CF3)CF2O〕cCF(CF3)COOM 〔I〕
ここで、Mはナトリウムまたはカリウムであり、aは1〜6の整数、好ましくは2であり、b+cは0〜6の整数、好ましくは0または1である。
この一般式〔I〕で表わされるパーフルオロビニルオキシポリエーテルカルボン酸アルカリ金属塩は、一般式
CF2=CF〔OCF2CF(CF3)〕bO(CF2)aO〔CF(CF3)CF2O〕cCF(CF3)COOR 〔II〕
(ここで、Rは炭素数1〜12のアルキル基であり、aは1〜6の整数、好ましくは2であり、b+cは0〜6の整数、好ましくは0または1である)で表わされるパーフルオロビニルオキシポリエーテルカルボン酸アルキルエステルをアルカリ金属水酸化物存在下で加水分解または加溶媒分解することによって製造される。
この反応の製造原料として用いられるパーフルオロビニルオキシポリエーテルカルボン酸アルキルエステル〔II〕は、一般式
ROOCCF(CF3)〔OCF2CF(CF3)〕bO(CF2)aO〔CF(CF3)CF2O〕cCF(CF3)COOR 〔III〕
で表わされるパーフルオロポリエーテルジカルボン酸アルキルエステルを、炭酸ナトリウムや炭酸カリウムなどと反応させ、一方の末端基をビニル化させることによって製造される(特許文献2、非特許文献1)。このパーフルオロポリエーテルジカルボン酸アルキルエステル〔III〕は、一般式
FOCCF(CF3)〔OCF2CF(CF3)〕bO(CF2)aO〔CF(CF3)CF2O〕cCF(CF3)COF 〔IV〕
で表わされるパーフルオロポリエーテルジカルボン酸フロライドを、一般式ROHで表わされる炭素数1〜12の脂肪族アルコールおよびフッ化ナトリウムなどの金属フッ化物の存在下で反応させることにより製造される(特許文献5)。
パーフルオロビニルオキシポリエーテルカルボン酸アルキルエステル〔II〕の加水分解または加溶媒分解は、アルカリ金属水酸化物溶液の存在下で行われ、好ましくは約-20〜0℃の反応温度で行われる。アルカリ金属水酸化物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが用いられ、重合工程での反応性(界面活性化能力)などを考慮して適宜選択される。これらは水溶液またはアルコール溶液として用いられ、アルコールとしてはアルカリ金属水酸化物を溶解させるものであれば特に制限なく用いることができるが、取扱性、価格、
安全面といった観点から、好ましくは炭素数1〜6の脂肪族アルコール、特に好ましくはエタノールやイソプロピルアルコールが用いられる。また、アルコールとして、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールの混合物を用いることもできる。ここで、反応温度がこれより低い反応温度とした場合には反応の進行が遅くなってしまうようになり、一方高温では過分解が進んでしまうようになる。
アルカリ金属水酸化物の水溶液またはアルコール溶液の濃度は特に制限されないが、溶液での運用面から考えて、好ましくは約10〜20重量%の濃度で使用される。希薄な溶液の場合には、反応溶液の数量が増加し、反応容器の大型化、廃液の増加などが生じ、一方高濃度溶液の場合には、反応物の析出による撹拌不良などが起こる場合がある。アルカリ金属水酸化物は、カルボン酸エステルに対して0.95〜1.05倍モル、好ましくは0.95〜1.00倍モルの割合で用いられる。アルカリ金属水酸化物がこれ以上の割合で用いられると過分解を招く場合がある。
得られた反応混合物は、エバポレーター、コニカルドライヤーなどの乾燥設備で濃縮されるが、一定温度以上では脱炭酸分解反応が進行し、収率が低下するため、好ましくは減圧下、120℃以下での乾燥が行われる。
一般式〔I〕で表わされるパーフルオロビニルオキシポリエーテルカルボン酸アルカリ金属塩とともに共重合される含フッ素モノマーの組成は特に限定されないが、その共重合体としては、例えばフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロペン共重合体、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロペン共重合体、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル-パーフルオロアルキルオキシアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルオキシアルキルビニルエーテル共重合体などが挙げられる。なお、これらの含フッ素エラストマーは、一般に重量平均分子量Mw(GPCにてポリスチレン換算で測定)約10,000〜1,000,000、JIS K6300-1に準拠したムーニー粘度ML1+10(121℃)5〜140を有する。
ここで、一般式〔I〕で表わされるパーフルオロビニルオキシポリエーテルカルボン酸アルカリ金属塩は、含フッ素エラストマーの共重合モノマーとしてのみならず、フッ素系反応性乳化剤(界面活性剤)としても機能することから、共重合反応では他の含フッ素モノマー成分に先立って、必要に応じて用いられる他の乳化剤とともに反応器内に仕込まれる。
また、含フッ素エラストマー中には、好ましくは架橋サイト導入のため、また含フッ素エラストマー共重合体の分子量の調節を目的として、飽和または不飽和の含臭素および/またはヨウ素化合物が用いられる。このような含臭素および/またはヨウ素化合物としては、一般式 XRfX(XはIまたはBrであり、Rfは炭素数2〜8のパーフルオロアルキレン基)で表わされる化合物、例えばICF2CF2CF2CF2I、ICF2CF2CF2CF2Br、ICF2CF2Br等の特許文献3等に記載されているものが挙げられ、また一般式 RfX(Rfは炭素数2〜8の不飽和フルオロ炭化水素基であり、基中に1個以上のエーテル結合を有していてもよく、Xは臭素またはヨウ素である)で表わされる化合物、例えばCF2=CFOCF2CF2Br、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2Br、CF2=CFBr、CF2=CHBr、CF2=CFI、CF2=CHI等の特許文献4等に記載されているものが挙げられる。このうち、好ましくはICF2CF2CF2CF2I、CF2=CFOCF2CF2Br、CF2=CFI、CF2=CHIが用いられる。
これらの含ヨウ素および/または臭素化合物は、重合反応の際有機過酸化物ラジカル発生源の作用により、容易にヨウ素および/または臭素をラジカル開裂させ、そこに生じたラジカルの反応性が高いためモノマーが付加成長反応し、しかる後に含ヨウ素および/または臭素化合物からヨウ素および/または臭素を引き抜くことによって反応を停止させ、飽和の含ヨウ素および/または臭素化合物を用いた場合には、分子末端にヨウ素および/または臭素が結合した含フッ素エラストマーを与える。
これらの含臭素および/またはヨウ素架橋点形成化合物存在下での含フッ素モノマーの共重合反応は、一般的に行われている重合開始剤存在下でのランダム共重合反応によって行われる。
含フッ素エラストマーは、水性乳化重合、水性懸濁重合のいずれの方法でも製造できるが、生産性および経済性の観点から好ましくは乳化重合法が用いられる。
乳化重合は、遊離基発生剤としての過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムのような水溶性過酸化物を用いて行われる。また、これらの水溶性過酸化物は、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムのような還元剤と併用したレドックス系としても用いることもできる。他の乳化剤としては、公知のフッ素化カルボン酸塩が用いられ、フッ素化カルボン酸としては一般式 Rf-COOH(Rfは、炭素数4〜10のフルオロ炭化水素基または炭素数3〜12の基中に1個以上のエーテル結合を有するフルオロアルコキシアルキル基である)で表わされる化合物、例えばパーフルオロオクタン酸アンモニウム、パーフルオロノナン酸アンモニウム、パーフルオロヘプタン酸アンモニウムが挙げられる。また、重合系内のpHを調整するために、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素カリウムなどのリン酸塩、ホウ酸塩など緩衝能を有する電解質を共存させることもできる。また、重合反応は、温度0〜100℃、圧力10MPa以下の条件下で行われる。
以上の反応により得られた含フッ素エラストマーは、パーオキサイド架橋法によって硬化される。パーオキサイド架橋法に用いられる有機過酸化物としては、例えば2,5-ジメチル-2,5-ビス(第3ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(第3ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、ベンゾイルパーオキサイド、ビス(2,4-ジクロロベンゾイル)パーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ第3ブチルパーオキサイド、第3ブチルクミルパーオキサイド、第3ブチルパーオキシベンゼン、1,1-ビス(第3ブチルパーオキシ)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジヒドロキシパーオキサイド、α,α′-ビス(第3ブチルパーオキシ)-p-ジイソプロピルベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、第3ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等が挙げられ、入手、保管、分解特性等工業的利用を考えた場合には、好ましくは2,5-ジメチル-2,5-ビス(第3ブチルパーオキシ)ヘキサンが、含フッ素エラストマー100重量部当り約0.1〜10重量部、好ましくは約0.5〜5重量部の割合で用いられる。
パーオキサイド架橋に際しては、好ましくは多官能性不飽和化合物共架橋剤であるトリ(メタ)アリルイソシアヌレート、トリ(メタ)アリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート、N,N’-m-フェニレンビスマレイミド、ジアリルフタレート等を、必要に応じて含フッ素エラストマー100重量部当り約0.1〜10重量部、好ましくは約0.5〜5重量部の割合で用いることができる。共架橋剤を併用することにより、すぐれた加硫特性、機械的強度、耐圧縮永久歪特性などを有する加硫物を得ることができる。共架橋剤がこれより少ない割合で用いられると、架橋密度が低く、耐圧縮永久歪特性が低下する場合があり、一方これより多い割合で用いられると、伸びが低下するようになる。ここで、トリ(メタ)アリル基はトリアリル基またはトリメタアリル基を指している。
また、受酸剤としてハイドロタルサイト化合物、2価金属の酸化物または水酸化物、例えばカルシウム、マグネシウム、鉛、亜鉛などの酸化物または水酸化物が、含フッ素エラストマー100重量部当り約2重量部以上、好ましくは約3〜20重量部の割合で用いられる。受酸剤がこれより少ない割合で用いられると、金属に対する耐腐食性が損なわれるようになる。
また、得られた含フッ素エラストマーがパーオキサイド加硫可能な架橋基を有していない場合であっても、ポリオール加硫法による加硫成形を行うことができる。
ポリオール加硫剤としては、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノールA]、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)パーフルオロプロパン[ビスフェノールAF]、ヒドロキノン、カテコール、レゾルシン、4,4´-ジヒドロキシジフェニル、4,4´-ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4´-ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタンなどが挙げられ、好ましくはビスフェノールA、ビスフェノールAF、ヒドロキノンなどが用いられる。これらはまた、アルカリ金属塩あるいはアルカリ土類金属塩の形であってもよい。これらの加硫剤は、含フッ素エラストマー100重量部当り約0.5〜10重量部、好ましくは約1〜5重量部の割合で用いられる。
また、加硫促進剤として、第4級オニウム塩(第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩)を、含フッ素エラストマー100重量部当り約0.1〜30重量部、好ましくは約0.2〜20重量部の割合で用いることもできる。
これらの加硫系各成分は、そのまま含フッ素エラストマーに配合するか、カーボンブラック、シリカ、クレー、タルク、けいそう土、硫酸バリウムなどで希釈したり、含フッ素エラストマーとのマスターバッチ分散物として使用することできる。
以上の各成分よりなる組成物中には、さらに必要に応じて他の配合剤、例えば補強剤、充填剤、加工助剤、老化防止剤、滑剤、可塑剤、顔料等が添加される。ここで、充填剤または補強剤としてカーボンブラックが用いられる場合には、一般には含フッ素エラストマー100重量部当り、約10〜50重量部程度の割合で用いられる。さらに、瀝青質微粉末の添加は、耐圧縮永久歪特性を向上させ、耐熱性の向上によるシール材等の長寿命化を図ることができ、また偏平状充填剤の添加は、燃料油遮断性を改善させ、シール対象とされる自動車燃料等の蒸散をさらに抑制することを可能とするといった効果を奏する。
以上の各成分は、ロール混合、ニーダ混合、バンバリー混合、溶液混合など一般に用いられている混合法を用いて混練した後加硫成形が行われ、その後一般に用いられている架橋条件に従って、通常約100〜250℃で約1〜60分間程度のプレス加硫によって行われ、好ましくはさらに約150〜300℃で約30時間以内のオーブン加硫(二次加硫)によって加硫が行われる。
次に、実施例について本発明を説明する。
参考例
定法に従って調製した2,3,3,3-テトラフルオロ-2-〔1,1,2,2-テトラフルオロ-2-(1,2,2-トリフルオロビニルオキシ)エトキシ〕プロパン酸メチル
CF2=CFO(CF2)2OCF(CF3)COOCH3 (a=2、b=0、c=0)
5.19g(13.3ミリモル)のエタノール溶液5mlを、氷および塩を用いて、-10℃以下に冷却した。続いて、冷却したエタノール溶液中に水酸化カリウム(純度85重量%、濃度0.90g/13.6ミリモル)のエタノール溶液5mlを、-10℃を上限としてゆっくりと滴下した。その8時間後にエバポレーターでエタノールを除去したところ、ワックス状の白色固体が4.90g得られた。
1H-NMR測定の結果、メチルエステルを示すシグナルは消失しており、19F-NMR測定においては、-CF(CF3)-のメチンシグナルがシフトしていることから、2,3,3,3-テトラフルオロ-2-〔1,1,2,2-テトラフルオロ-2-(1,2,2-トリフルオロビニルオキシ)エトキシ〕プロパン酸カリウム
CF2=CFO(CF2)2OCF(CF3)COOK (a=2、b=0、c=0)
が得られたと判断された。
19F-NMR(CFCl3、CD3OD溶媒):
δ(ppm):-134.75、-134.11(m、1F、F2C=CF-)
-124.53、-124.44(m、1F、-CFCF3-)
-121.82、-121.08(m、1F、E-FC=CF-)
-114.31、-113.77(m、1F、Z-FC=CF-)
-89.28(s、2F、=CFOCF 2 -)
-87.08、-83.74(dd、2F、-CF 2 OCFCF3-)
-81.22(s、3F、-CFCF 3 -)
実施例1
攪拌羽根を有する内容積10Lのステンレス鋼製圧力容器内に、
CF3CF2CF2(OCF(CF3)CF2)OCF(CF3)COONH4〔乳化剤〕 34g
CF2=CFO(CF2)2OCF(CF3)COOK〔フッ素系反応性乳化剤〕 2.4g
Na2HPO4・12水和物〔緩衝剤〕 17g
I(CF2)4I〔連鎖移動剤〕 27g
イオン交換水 5600g
を仕込んだ後、窒素置換を行い反応器内の酸素の除去を行い、そこに
パーフルオロ(メチルビニルエーテル)CF2=CFOCF3〔PMVE〕 790g
フッ化ビニリデン〔VdF〕/テトラフルオロエチレン〔TFE〕混合ガス 670g
(VdF/TFE=87.5モル%/12.5モル%)
を仕込んで、反応器内温度を50℃に昇温させた。50℃到達時の反応器圧力は3.07MPa・Gであった。温度が安定したことを確認した後、そこに過硫酸アンモニウム0.8gおよび亜硫酸水素ナトリウム0.2gを水溶液として添加し、重合反応を開始させた。
重合反応が進行して反応器内の圧力が3.00MPa・Gとなったところで、VdF/TFE/PMVE=79.6/11.4/9.0モル%の混合比のモノマー混合物を導入し、3.10MPa・Gまで昇圧させた。重合反応中は上記組成のガスを導入することで、反応器内の圧力を3.00〜3.10MPa・Gに保った。
導入したガスの合計量が1410gとなったところで分添をやめ、圧力が0.20MPa・Gとなった時点で反応器を冷却し重合反応を停止した。開始剤投入から重合停止まで要した時間は、288分であった。反応終了後、反応混合物として8550gの含フッ素エラストマーラテックスを得た。
得られた含フッ素エラストマーラテックスを同量の1重量%塩化カルシウム水溶液に投入してラテックスを凝集させた後、ろ過および5倍量のイオン交換水で5回洗浄し、真空乾燥器にて乾燥して、2500gのVdF/TFE/PMVE/CF2=CFO(CF2)2OCF(CF3)COOK共重合体(JIS K6300-1に準拠して測定したムーニー粘度ML1+10(121℃)26)を得た。得られた共重合体は19F-NMRの測定結果から、次のような組成であることが確認された。
VdF 73.6モル%
TFE 9.5モル%
PMVE 16.9モル%
CF2=CFO(CF2)2OCF(CF3)COOK 0.03モル%
得られた共重合体100重量部に、
MTカーボンブラック 37重量部
トリアリルイソシアヌレート(日本化成製品TAIC WH60) 4 〃
有機過酸化物(日本油脂製品パーヘキサ25B-40) 1.5 〃
を配合し、オープンロールを用いて混練した後、180℃、6分間のプレス加硫および230℃、22時間のオーブン加硫を行い、得られた加硫物の常態物性(JIS K6253およびJIS K6251準拠)および圧縮永久歪(JIS K6262準拠)の測定を行った。
また、リン酸亜鉛処理SPCC鋼板にプレス加硫前の未加硫生地を接合させた後、180℃、6分間の加圧架橋を行って含フッ素エラストマー積層金属板を作製し、この含フッ素エラストマー積層金属板について、90°剥離試験(JIS K6256準拠)を行った。
実施例2
実施例1において、共重合体として、CF2=CFO(CF2)2OCF(CF3)COOKの代りに、CF2=CFOCF2CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COOKとCF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2OCF(CF3)COOKの混合物であるCF2=CF〔OCF2CF(CF3)〕bOCF2CF2O〔CF(CF3)CF2O〕cCF(CF3)COOK (b+c=1)を同量(2.4g)用いて得た
VdF 73.6モル%
TFE 9.6モル%
PMVE 16.8モル%
CF2=CF〔OCF2CF(CF3)〕bOCF2CF2O〔CF(CF3)CF2O〕cCF(CF3)COOK 0.02モル%
の組成よりなる共重合体(ムーニー粘度 ML1+10(121℃)25)が用いられた。
比較例1
実施例1において、共重合体として、乳化剤成分中のCF2=CFO(CF2)2OCF(CF3)COOKを用いることなく得たVdF/TFE/PMVE(73.6/9.4/17.0モル比)共重合体(ムーニー粘度 ML1+10(121℃)29)が用いられた。
以上の各実施例および比較例1で得られた結果は、次の表に示される。

測定項目 実施例1 実施例2 比較例1
常態物性
硬度 (Duro A) 75 75 75
100%モジュラス (MPa) 5.5 5.4 5.7
破断強度 (MPa) 19.9 18.0 18.8
破断時伸び (%) 250 270 240
圧縮永久歪〔3.5mm径 Oリング使用〕
200℃、22時間 (%) 26 25 25
200℃、70時間 (%) 32 30 34
90°剥離試験
剥離強度 (N/mm) 4.1 3.7 0.2
比較例2
リン酸亜鉛処理SPCC鋼板の表面に、アミノシランおよびビニルシランを主成分とする接着剤(ロード社製品ケムノックAP-133)を4倍量のメチルエチルケトンに溶解させた溶液を塗布し、室温条件下で30分間乾燥させた後、150℃、30分間のベーキングを実施し、この接着剤層形成金属板上に比較例1で得られたプレス加硫前の未加硫生地を接合させ、180℃、6分間の加圧架橋を行って含フッ素エラストマー積層金属板を作製した。この含フッ素エラストマー積層金属板について、同様に90°剥離試験を行ったところ、剥離強度は1.1(N/mm)であった。

Claims (6)

  1. 含フッ素共重合体中に、一般式
    CF2=CF〔OCF2CF(CF3)〕bO(CF2)aO〔CF(CF3)CF2O〕cCF(CF3)COOM 〔I〕
    (ここで、Mはナトリウムまたはカリウムであり、aは1〜6の整数であり、b+cは0〜6の整数である)で表わされるパーフルオロビニルオキシポリエーテルカルボン酸アルカリ金属塩を共重合させた含フッ素エラストマー。
  2. 含フッ素共重合体中に、一般式
    CF2=CF〔OCF2CF(CF3)〕bO(CF2)aO〔CF(CF3)CF2O〕cCF(CF3)COOM 〔I´〕
    (ここで、Mはナトリウムまたはカリウムであり、aは2であり、b+cは0または1である)で表わされるパーフルオロビニルオキシポリエーテルカルボン酸アルカリ金属塩を共重合させた含フッ素エラストマー。
  3. パーフルオロビニルオキシポリエーテルカルボン酸アルカリ金属塩を0.01〜0.5モル%の共重合割合で共重合させた請求項1または2記載の含フッ素エラストマー。
  4. 含フッ素モノマーを、一般式
    CF2=CF〔OCF2CF(CF3)〕bO(CF2)aO〔CF(CF3)CF2O〕cCF(CF3)COOM 〔I〕
    (ここで、Mはナトリウムまたはカリウムであり、aは1〜6の整数であり、b+cは0〜6の整数である)で表わされる、フッ素系反応性乳化剤としてのパーフルオロビニルオキシポリエーテルカルボン酸アルカリ金属塩の存在下で共重合反応を行うことを特徴とする請求項1記載の含フッ素エラストマーの製造方法。
  5. パーフルオロビニルオキシポリエーテルカルボン酸アルカリ金属塩〔I〕が他の含フッ素モノマー成分の供給に先立って、他の乳化剤とともに反応器内に仕込まれて共重合反応が行われる請求項4記載の含フッ素エラストマーの製造方法。
  6. 請求項1記載の含フッ素エラストマー、有機過酸化物および多官能性不飽和化合物共架橋剤を含有してなる含フッ素エラストマー組成物。
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