以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことはいうまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
以下、代表的な実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
さらに、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見やすくするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見やすくするためにハッチングを付す場合もある。
(実施の形態1)
まず、本実施の形態1の半導体装置について説明する。本実施の形態1の半導体装置は、同一の半導体チップに、主回路と、その主回路に関する比較的小容量の所望の情報を記憶する不揮発性メモリとしてのフラッシュメモリとが形成されているものである。
上記主回路として、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)もしくはSRAM(Static Random Access Memory)等のようなメモリ回路、CPU(Central Processing Unit)もしくはMPU(Micro Processing Unit)等のような論理回路、または、これらメモリ回路および論理回路の混在回路等が挙げられる。あるいは、上記主回路として、LCD(Liquid Crystal Device)ドライバ回路等が挙げられる。また、上記所望の情報として、例えば半導体チップ内のトリミングの際に使用する素子の配置アドレス情報、メモリ回路もしくはLCDドライバ回路の救済の際に使用するメモリセルもしくはLCD素子の配置アドレス情報、LCD画像調整時に使用する調整電圧のトリミングタップ情報、または、半導体装置の製造番号等が挙げられる。
<半導体装置の回路構成>
初めに、本実施の形態1の半導体装置の回路構成について説明する。図1は、実施の形態1の半導体装置におけるフラッシュメモリの要部回路図である。なお、図1に示す平面内で互いに交差、好適には直交する2つの方向を、X軸方向およびY軸方向とする。
本実施の形態1の半導体装置におけるフラッシュメモリは、メモリセルアレイMR1を有している。メモリセルアレイMR1においては、Y軸方向にそれぞれ延在する複数のデータ書き込みおよび消去用のビット線WBLが、Y軸方向に交差、好適には直交するX軸方向に沿って配列されている。また、メモリセルアレイMR1においては、Y軸方向にそれぞれ延在する複数のデータ読み出し用のビット線RBLが、X軸方向に沿って配列されている。一方、メモリセルアレイMR1においては、X軸方向に沿ってそれぞれ延在し、ビット線WBLおよびRBLに対してそれぞれ交差する複数の制御ゲート配線CG1と制御ゲート配線CG0が、Y軸方向に沿って配列されている。また、メモリセルアレイMR1においては、X軸方向に沿ってそれぞれ延在し、ビット線WBLおよびRBLに対してそれぞれ交差する複数の選択線GSが、Y軸方向に沿って配列されている。
なお、複数の制御ゲート配線CG1の各々は、ソース線SLと兼用されている。そして、複数の制御ゲート配線CG0の各々は、後述する図2および図3を用いて説明するp型のウエルHPW2と兼用されている。また、これらの制御ゲート配線CG1およびCG0を、単にワード線とも称する。
また、図示は省略するが、各データ書き込みおよび消去用のビット線WBLは、メモリセルアレイMR1が形成された領域の外部の領域である周辺回路領域に配置されたデータ入力用のインバータ回路に電気的に接続されている。また、各データ読み出し用のビット線RBLは、上記周辺回路領域に配置されたセンスアンプ回路に電気的に接続されている。
このようなビット線WBLおよびRBLと、制御ゲート配線CG1および選択線GSとの交点の近傍に、1ビット分のメモリセルMC1が電気的に接続されている。図1では、1ビットが1つのメモリセルMC1で構成される場合が例示されている。
メモリセルMC1は、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEと、データ読み出し用のMISFETQRと、選択MISFETQSとを有している。なお、前述したように、MISFETは、FETの一種である。また、選択MISFETQSは、メモリセルMC1を選択する選択用のMISFETである。
データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEの一方の電極は、データ書き込みおよび消去用のビット線WBLに電気的に接続されている。また、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEの他方の電極は、後述する図2および図3を用いて説明する浮遊ゲート電極FGの一部であり、データ読み出し用のMISFETQRのゲート電極は、浮遊ゲート電極FGの他の部分である。したがって、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEの他方の電極は、データ読み出し用のMISFETQRのゲート電極に、電気的に接続されている。一方、データ読み出し用のMISFETQRのドレインは、選択MISFETQSを介してデータ読み出し用のビット線RBLに電気的に接続され、データ読み出し用のMISFETQRのソースは、ソース線SLと兼用された制御ゲート配線CG1に電気的に接続されている。選択MISFETQSのゲート電極は、選択線GSに電気的に接続されている。
<メモリセルの構成>
次に、本実施の形態1の半導体装置におけるフラッシュメモリのメモリセルの構成について説明する。図2は、実施の形態1の半導体装置におけるメモリセルの平面図である。図3は、実施の形態1の半導体装置におけるメモリセルの断面図である。図2および図3は、1ビット分のメモリセルを示す。図3は、図2のA−A線に沿った断面図である。
なお、図2に示す平面内で互いに交差、好適には直交する2つの方向を、X軸方向およびY軸方向とする。また、図2では、導体部7a〜7f、絶縁膜6、キャップ絶縁膜14、シリサイド層5a、サイドウォールSWおよび分離部TIを除去して透視した状態を示しているが、キャップ絶縁膜14の外周のみを示している。さらに、図2では、図面を見やすくするために、一部にハッチングを付している。
前述したように、本実施の形態1の半導体装置におけるフラッシュメモリのメモリセルMC1は、浮遊ゲート電極FGと、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEと、データ読み出し用のMISFETQRとを有する。
半導体装置を構成する半導体基板(以下、単に基板という)1Sは、例えばp型の導電型を有するシリコン(Si)単結晶からなる。この基板1Sには、基板1Sの主面から所定の深さに亘って、p型と反対の導電型であるn型の埋込ウエルDNWが形成されている。すなわち、基板1Sの主面には、n型の埋込ウエルDNWが形成されている。
この基板1Sの主面には、分離部TIが配置されている。この分離部TIは、活性領域L1、L2、L3およびL4を規定する部分である。分離部TIは、例えば基板1Sの主面に掘られた浅溝内に酸化シリコン(SiO2)等からなる絶縁膜を埋め込むことで形成された、いわゆるSGI(Shallow Groove Isolation)またはSTI(Shallow Trench Isolation)と称する溝形の分離部とされている。
n型の埋込ウエルDNWには、p型のウエルHPW1およびHPW2、ならびに、n型のウエルHNWが形成されている。p型のウエルHPW1およびHPW2は、n型の埋込ウエルDNWおよびn型のウエルHNWにより互いに電気的に分離された状態で、n型の埋込ウエルDNWに内包されるように配置されている。また、p型のウエルHPW2は、p型のウエルHPW1に対して沿うように配置されている。
p型のウエルHPW1およびHPW2には、例えばホウ素(B)等のようなp型の不純物が含有されている。p型のウエルHPW2の上層の一部には、前述した活性領域L3としてのp+型の半導体領域4aが形成されている。p+型の半導体領域4aには、p型のウエルHPW2と同じ不純物が含有されているが、p+型の半導体領域4aにおける不純物濃度の方が、p型のウエルHPW2における不純物濃度よりも高くなるように設定されている。このp+型の半導体領域4aは、基板1Sの主面上の絶縁膜6に形成されたコンタクトホールCT内の導体部7aに、電気的に接続されている。この導体部7aが接するp+型の半導体領域4aの表層の一部には、例えばコバルトシリサイド(CoSix)等のようなシリサイド層5aが形成されていてもよい。
n型のウエルHNWには、例えばリン(P)またはヒ素(As)等のようなn型の不純物が含有されている。このn型のウエルHNWの上層の一部には、n+型の半導体領域8aが形成されている。n+型の半導体領域8aには、n型のウエルHNWと同じ不純物が含有されているが、n+型の半導体領域8aにおける不純物濃度の方が、n型のウエルHNWにおける不純物濃度よりも高くなるように設定されている。
このようなn+型の半導体領域8aは、絶縁膜6に形成されたコンタクトホールCT内の導体部7bに、電気的に接続されている。この導体部7bが接するn+型の半導体領域8aの表層の一部には、シリサイド層5aが形成されていてもよい。
図2および図3では、n型のウエルHNWが、p型のウエルHPW1およびHPW2に接触している例を示している。しかし、n型のウエルHNWが、p型のウエルHPW1およびHPW2に接触しないように、p型のウエルHPW1またはHPW2から離れていてもよい。すなわち、n型のウエルHNWと、p型のウエルHPW1またはHPW2との間には、n型の埋込ウエルDNWの一部が介在されていてもよい。
浮遊ゲート電極FGは、情報の記憶に寄与する電荷を蓄積する部分である。浮遊ゲート電極FGは、例えば低抵抗な多結晶シリコン等のような導電体膜からなり、電気的に浮遊状態、すなわち他の導体と絶縁された状態で形成されている。また、浮遊ゲート電極FGは、図2に示すように、p型のウエルHPW1およびHPW2に平面的に重なるように、Y軸方向に沿って延在した状態で形成されている。なお、メモリセルMC1も、p型のウエルHPW1およびHPW2に平面的に重なるように配置されている。
浮遊ゲート電極FGがp型のウエルHPW1の活性領域L1に平面的に重なる位置には、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEが配置されている。データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEは、容量電極FGC1と、容量絶縁膜10aと、p型の半導体領域11と、n型の半導体領域12と、p型のウエルHPW1とを有している。
容量電極FGC1は、浮遊ゲート電極FGの一部により形成されている。言い換えれば、容量電極FGC1は、浮遊ゲート電極FGのうち、浮遊ゲート電極FGがp型のウエルHPW1の活性領域L1に平面的に重なる位置に形成された部分である。また、容量電極FGC1は、容量素子CWEの上方側の電極を形成する部分である。
容量絶縁膜10aは、例えば酸化シリコン(SiO2)からなり、容量電極FGC1と基板1S、すなわちp型のウエルHPW1との間に形成されている。容量絶縁膜10aの厚さは、例えば10nm以上、20nm以下とされている。ただし、容量素子CWEでは、データの書き換えにおいて、電子や正孔をp型のウエルHPW1から容量絶縁膜10aを介して容量電極FGC1に注入したり、電子や正孔を容量電極FGC1から容量絶縁膜10aを介してp型のウエルHPW1に放出したりする。そのため、容量絶縁膜10aの厚さは薄く、具体的には、例えば12nm程度の厚さに設定されている。容量絶縁膜10aの厚さを10nm以上とする理由は、それより薄いと容量絶縁膜10aの信頼性を確保できないからである。また、容量絶縁膜10aの厚さを20nm以下とする理由は、それより厚いと電子や正孔を通過させることが難しくなり、データの書き換えが容易にできないからである。
p型の半導体領域11およびn型の半導体領域12は、p型のウエルHPW1内において、容量電極FGC1を平面的に挟み込む位置に、それぞれ容量電極FGC1に対して自己整合的に形成されている。
p型の半導体領域11は、チャネル側のp−型の半導体領域11aと、p−型の半導体領域11aに接続されたp+型の半導体領域11bとを有している。p−型の半導体領域11aおよびp+型の半導体領域11bには、例えばホウ素(B)等のようなp型の不純物が含有されているが、p+型の半導体領域11bにおける不純物濃度の方が、p−型の半導体領域11aにおける不純物濃度よりも高くなるように設定されている。p型の半導体領域11は、絶縁膜6に形成されたコンタクトホールCT内の導体部7cに、電気的に接続されている。導体部7cは、データ書き込みおよび消去用のビット線WBLに電気的に接続されている。導体部7cが接するp+型の半導体領域11bの表層の一部には、シリサイド層5aが形成されていてもよい。
p型の半導体領域11は、p型のウエルHPW1と電気的に接続されている。そのため、p型のウエルHPW1は、容量素子CWEの下方側の電極を形成する部分である。
n型の半導体領域12は、チャネル側のn−型の半導体領域12aと、n−型の半導体領域12aに接続されたn+型の半導体領域12bとを有している。n−型の半導体領域12aおよびn+型の半導体領域12bには、例えばリン(P)またはヒ素(As)等のようなn型の不純物が含有されているが、n+型の半導体領域12bにおける不純物濃度の方が、n−型の半導体領域12aにおける不純物濃度よりも高くなるように設定されている。n型の半導体領域12は、絶縁膜6に形成されたコンタクトホールCT内の導体部7cに、電気的に接続されている。この導体部7cは、データ書き込みおよび消去用のビット線WBLに電気的に接続されている。導体部7cが接するn+型の半導体領域12bの表層の一部には、シリサイド層5aが形成されていてもよい。
このように、p型のウエルHPW1内において容量電極FGC1を平面的に挟み込む位置に、互いに反対側の導電型を有する一対の半導体領域であるp型の半導体領域11およびn型の半導体領域12が形成されている。これにより、データ書き込みおよび消去用のビット線WBLに正負いずれの極性の電圧を印加した場合でも、p型のウエルHPW1の活性領域L1と容量電極FGC1とが平面的に重なる部分の上層、すなわちチャネルに相当する領域に、空乏層が形成されない。したがって、p型のウエルHPW1のうち容量電極FGC1と対向する部分に、正負いずれの極性の電圧をも印加することができる。
一方、浮遊ゲート電極FGがp型のウエルHPW2の活性領域L2に平面的に重なる位置には、データ読み出し用のMISFETQRが配置されている。データ読み出し用のMISFETQRは、ゲート電極FGRと、ゲート絶縁膜10bと、一対のn型の半導体領域13とを有している。データ読み出し用のMISFETQRのチャネルは、p型のウエルHPW2の活性領域L2と、ゲート電極FGRとが平面的に重なる部分の上層に形成される。
ゲート電極FGRは、浮遊ゲート電極FGの一部により形成されている。言い換えれば、ゲート電極FGRは、浮遊ゲート電極FGのうち、浮遊ゲート電極FGがp型のウエルHPW2の活性領域L2に平面的に重なる位置に形成された部分である。また、本実施の形態1では、データ読み出し用のMISFETQRは、容量素子Cとしても機能するため、ゲート電極FGRは、容量素子Cの上方側の電極を形成する部分でもある。
ゲート絶縁膜10bは、例えば酸化シリコン(SiO2)からなり、ゲート電極FGRと基板1S、すなわちp型のウエルHPW2との間に形成されている。ゲート絶縁膜10bの厚さは、容量絶縁膜10aの厚さと同様に、例えば12nm程度である。
データ読み出し用のMISFETQRの一対のn型の半導体領域13は、p型のウエルHPW2内において、ゲート電極FGRを平面的に挟み込む位置に、それぞれゲート電極FGRに対して自己整合的に形成されている。
データ読み出し用のMISFETQRの一対のn型の半導体領域13の各々は、前述したn型の半導体領域12と同様に、チャネル側のn−型の半導体領域13aと、n−型の半導体領域13aに接続されたn+型の半導体領域13bとを有している。このn−型の半導体領域13aおよびn+型の半導体領域13bには、例えばリン(P)またはヒ素(As)等のようなn型の不純物が含有されているが、n+型の半導体領域13bにおける不純物濃度の方が、n−型の半導体領域13aにおける不純物濃度よりも高くなるように設定されている。
データ読み出し用のMISFETQRの一対のn型の半導体領域13を、n型の半導体領域13cおよび13dと称する。このとき、データ読み出し用のMISFETQRの一対のn型の半導体領域13の一方のn型の半導体領域13cは、絶縁膜6に形成されたコンタクトホールCT内の導体部7dに電気的に接続されている。導体部7dは、ソース線SLと兼用された制御ゲート配線CG1に電気的に接続されている。導体部7dが接するn+型の半導体領域13bの表層の一部に、シリサイド層5aが形成されていてもよい。また、データ読み出し用のMISFETQRの一対のn型の半導体領域13の他方のn型の半導体領域13dは、後述する選択MISFETQSの一対のn型の半導体領域13の一方として、データ読み出し用のMISFETQRと選択MISFETQSとに共有されている。
前述したように、p型のウエルHPW2は、n+型の半導体領域8aと電気的に接続されている。そのため、p型のウエルHPW2は、データ読み出し用のMISFETQRにおける容量素子Cの下方側の電極を形成する部分である。すなわち、p型のウエルHPW2は、メモリセルの第2制御ゲート配線CG0として機能している。
選択MISFETQSは、ゲート電極FGSと、ゲート絶縁膜10cと、ソースおよびドレイン用の一対のn型の半導体領域13とを有している。選択MISFETQSのチャネルは、p型のウエルHPW2の活性領域L2とゲート電極FGSとが平面的に重なる部分の上層に形成される。
ゲート電極FGSは、例えば低抵抗な多結晶シリコン等のような導電体膜からなる。ゲート電極FGSは、p型のウエルHPW2のうちn型の半導体領域13dを挟んでゲート電極FGRと反対側の部分に平面的に重なるように、Y軸方向に延在して配置されており、浮遊ゲート電極FGと電気的に分離されている。ゲート電極FGSは、絶縁膜6に形成されたコンタクトホールCT内の導体部7eに、電気的に接続されている。導体部7eは、選択線GSに電気的に接続されている。
ゲート絶縁膜10cは、例えば酸化シリコン(SiO2)からなり、ゲート電極FGSと基板1S、すなわちp型のウエルHPW2との間に形成されている。ゲート絶縁膜10cの厚さは、容量絶縁膜10aの厚さと同様に、例えば12nm程度である。
選択MISFETQSの一対のn型の半導体領域13の各々は、データ読み出し用のMISFETQRのn型の半導体領域13の各々と同様である。一対のn型の半導体領域13は、p型のウエルHPW2内においてゲート電極FGSを挟み込む位置にそれぞれ形成されている。前述したように、選択MISFETQSの一対のn型の半導体領域13の一方のn型の半導体領域13dは、データ読み出し用のMISFETQRと、選択MISFETQSとに共有されている。一方、選択MISFETQSの一対のn型の半導体領域13の他方のn型の半導体領域13eは、絶縁膜6に形成されたコンタクトホールCT内の導体部7fに電気的に接続されている。導体部7fは、データ読み出し用のビット線RBLに電気的に接続されている。導体部7fが接するn+型の半導体領域12bの表層の一部に、シリサイド層5aが形成されていてもよい。
浮遊ゲート電極FGの側面すなわち容量電極FGC1およびゲート電極FGRの各々の側面、ならびに、ゲート電極FGSの側面には、例えば酸化シリコン(SiO2)からなるサイドウォールSWが形成されている。浮遊ゲート電極FGの上面すなわち容量電極FGC1およびゲート電極FGRの各々の上面、容量電極FGC1およびゲート電極FGRの側面に形成されたサイドウォールSWの表面、ならびに、それらの周囲の部分の基板1Sの主面上には、キャップ絶縁膜14が形成されている。
キャップ絶縁膜14は、例えば酸化シリコン(SiO2)からなり、窒化シリコン(Si3N4)からなる後述する絶縁膜6aが浮遊ゲート電極FGの上面に直接接しないように、浮遊ゲート電極FGと絶縁膜6aとの間に形成されている。例えば、窒化シリコンからなる絶縁膜6aをプラズマ化学気相成長(Chemical Vapor Deposition;CVD)法等により堆積する場合、絶縁膜6a中に、シリコンの組成比が大きい部分、すなわちシリコンリッチな部分が発生しやすい。このような場合、浮遊ゲート電極FG中の電荷が絶縁膜6aのシリコンリッチな部分を通じて基板1S側に流れ、導体部を通じて放出され、フラッシュメモリのデータ保持特性が低下するおそれがある。一方、浮遊ゲート電極FGと絶縁膜6aとの間にキャップ絶縁膜14を形成することにより、上記のような電荷の放出を防止または抑制することができるので、フラッシュメモリのデータ保持特性を向上させることができる。
また、シリサイド層5aは、キャップ絶縁膜14を形成した後に形成されている。このため、シリサイド層5aは、基板1Sの主面、すなわちp+型の半導体領域11bならびにn+型の半導体領域12bおよび13bの表層には形成されているが、浮遊ゲート電極FGの上面には形成されていない。
キャップ絶縁膜14の表面を含めて基板1Sの主面上には、絶縁膜6が形成されている。このうち、浮遊ゲート電極FGの上面、すなわち容量電極FGC1およびゲート電極FGRの各々の上面、容量電極FGC1およびゲート電極FGRの側面に形成されたサイドウォールSWの表面、ならびに、それらの周囲の部分の基板1Sの主面上については、キャップ絶縁膜14を介して、絶縁膜6が形成されている。絶縁膜6は、絶縁膜6aと、絶縁膜6aの上に堆積された絶縁膜6bとを有している。下層の絶縁膜6aは、例えば窒化シリコン(Si3N4)からなり、上層の絶縁膜6bは、例えば酸化シリコン(SiO2)からなる。
本実施の形態1では、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEの容量電極FGC1のX軸方向における長さLNweは、データ読み出し用のMISFETQRのゲート電極FGRのX軸方向における長さLNrよりも小さい。これにより、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEの容量値を、データ読み出し用のMISFETQRである容量素子Cの容量値よりも小さくすることができる。そして、後述するフラッシュメモリにおけるデータ書き込み動作例において説明するように、容量素子CWEの容量値を容量素子Cの容量値よりも小さくすることにより、データ書き込みの際およびデータ消去の際のカップリング比を大きくすることができるので、データの書き込みおよび消去を容易に行うことができる。
また、本実施の形態1では、後述する比較例1で説明する容量素子C100の容量電極FGC100(後述する図14参照)、すなわち、X軸方向における浮遊ゲート電極FGの長さが、X軸方向におけるデータ読み出し用のMISFETQRのゲート電極FGRの長さよりも大きくなるような部分、は設けられない。このような場合、好適には、データ読み出し用のMISFETQRのゲート電極FGRは、浮遊ゲート電極FGのうち、X軸方向における浮遊ゲート電極FGの長さが最大となる部分である。
なお、好適には、選択MISFETQSのゲート電極FGSのX軸方向の長さLNsは、ゲート電極FGRのX軸方向の長さLNrよりも大きい。これにより、選択MISFETQSにおいて、パンチスルーを防止または抑制することができ、オフ時のリーク電流、すなわちオフリーク電流を低減することができる。一方、データ読み出し用のMISFETQRにおいては、選択MISFETQSに比べれば、パンチスルーを防止または抑制する必要は少ないため、ゲート電極FGRのX軸方向の長さLNrは、ゲート電極FGSのX軸方向の長さLNsよりも小さくてもよい。
また、好適には、浮遊ゲート電極FGがp型のウエルHPW1に平面的に重なる位置と、浮遊ゲート電極FGがp型のウエルHPW2に平面的に重なる位置との間のいずれの位置においても、X軸方向における浮遊ゲート電極FGの長さは、容量電極FGC1のX軸方向における長さLNwe以上である。すなわち、容量電極FGC1とゲート電極FGRとの間のいずれの位置においても、浮遊ゲート電極FGのX軸方向における長さは、容量電極FGC1のX軸方向における長さLNrよりも小さくならず、括れた形状を有していない。これにより、容量電極FGC1とゲート電極FGRとの間の部分の浮遊ゲート電極FGの電気抵抗を小さくすることができるので、容量電極FGC1とゲート電極FGRとの間に電圧降下が発生するなどの損失を防止または抑制することができる。
さらに、好適には、p型の半導体領域11とn型の半導体領域12とに挟まれた部分の容量電極FGC1のY軸方向における幅WDweは、n型の半導体領域13cとn型の半導体領域13dとに挟まれた部分のゲート電極FGRのY軸方向における幅WDrよりも小さい。これにより、相対的にゲート電極FGRのY軸方向における幅WDrが大きくなるため、データ読み出し用のMISFETQRに流れる読み出し電流を大きくすることができ、高速読み出しが可能になる。
<データ書き込み動作例>
次に、このようなフラッシュメモリにおけるデータ書き込み動作例について説明する。図4は、実施の形態1のフラッシュメモリのデータ書き込み動作におけるメモリセルの各部への印加電圧の一例を示す断面図である。図4は、図2のA−A線に沿った断面図である。
データ書き込みの際には、導体部7bを通じて、n型のウエルHNWおよびn型の埋込ウエルDNWに、例えば8V程度の正の電圧を印加して、基板1Sとp型のウエルHPW1およびHPW2との電気的な分離を行う。基板1Sがp型のシリコン単結晶基板である場合、基板1Sのうちn型の埋込ウエルDNWが形成された部分よりも下側の部分と、n型の埋込ウエルDNWとの界面であって、図4において太線により示される界面IF11におけるpn接合に、逆バイアスが印加される。これにより、基板1Sとn型の埋込ウエルDNWとが電気的に分離される。そして、基板1Sとn型の埋込ウエルDNWとが電気的に分離されることにより、基板1Sと、p型のウエルHPW1およびHPW2とが、電気的に分離される。
また、導体部7aを通じて、p+型の半導体領域4aおよびp型のウエルHPW2に、例えば8V程度の正の電圧を印加する。このとき、p+型の半導体領域4aおよびp型のウエルHPW2は、p型の半導体同士であるため、矢印AW11により模式的に示すように、p+型の半導体領域4aとp型のウエルHPW2との間の電位差は約0Vに等しい。矢印AW11は、矢印の始端から終端にかけての電位差が約0Vに等しいことを意味する。
また、p型のウエルHPW2とn型のウエルHNWとの界面におけるpn接合に、順バイアスが印加されるので、矢印AW12により模式的に示すように、p型のウエルHPW2とn型のウエルHNWとの間の電位差は約0Vに等しい。
矢印AW12は、矢印の始端から終端にかけての電位差が約0Vに等しいことを意味する。
また、制御ゲート配線CG1から導体部7dを通じて、データ読み出し用のMISFETQRの一方のn型の半導体領域13cに、例えば8V程度の正の電圧を印加する。このとき、矢印AW13により模式的に示すように、導体部7dと接続されたn型の半導体領域13cとp型のウエルHPW2との間の電位差は約0Vに等しい。矢印AW13は、矢印の始端から終端にかけての電位差が約0Vに等しいことを意味する。
また、データ書き込み用のビット線RBLから導体部7fを通じて、選択MISFETQSの他方のn型の半導体領域13eに、例えば8V程度の正の電圧を印加する。このとき、矢印AW14により模式的に示すように、導体部7fと接続されたn型の半導体領域13eとp型のウエルHPW2との間の電位差は約0Vに等しい。矢印AW14は、矢印の始端から終端にかけての電位差が約0Vに等しいことを意味する。
また、選択線GSから導体部7eを通じて選択MISFETQSのゲート電極FGSに、例えば8V程度の正の電圧を印加するか、あるいは、ゲート電極FGSを開放状態(図4では「Open」と表記)にする。
一方、データ書き込みおよび消去用のビット線WBLから導体部7cを通じて、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEのp型の半導体領域11、n型の半導体領域12およびp型のウエルHPW1に、例えば−8V程度の負の電圧を印加する。このとき、p型の半導体領域11およびp型のウエルHPW1は、p型の半導体同士であるため、矢印AW15により模式的に示すように、p型の半導体領域11とp型のウエルHPW1との間の電位差は約0Vに等しい。矢印AW15は、矢印の始端から終端にかけての電位差が約0Vに等しいことを意味する。また、p型の半導体領域11とp型のウエルHPW1との間の電位差は約0Vに等しいため、矢印AW16により模式的に示すように、n型の半導体領域12とp型のウエルHPW1との間の電位差も約0Vに等しい。矢印AW16は、矢印の始端から終端にかけての電位差が約0Vに等しいことを意味する。
また、p型のウエルHPW1と、n型のウエルHNWおよびn型の埋込ウエルDNWとのとの界面であって、図4において太線により示される界面IF12におけるpn接合に、逆バイアスが印加され、例えば16V程度の電位差が発生する。
以上のように、n型の埋込ウエルDNW、および、データ読み出し用のMISFETQRである容量素子Cの下方側の電極であるp型のウエルHPW2には、例えば8V程度の正の電圧が印加される。また、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEの下方側の電極であるp型のウエルHPW1には、p型の半導体領域11を介して、例えば−8V程度の負の電圧、すなわちp型のウエルHPW2に印加される電圧の極性と逆極性の電圧が印加される。
このような電圧の印加により、p型のウエルHPW1とp型のウエルHPW2とが各々個別に制御される。これにより、電子e−が、チャネル全面のFNトンネル電流によりp型のウエルHPW1から容量絶縁膜10aを通じて容量電極FGC1に注入されるか、または、正孔がFNトンネル電流により容量電極FGC1から放出されることにより、データが書き込まれる。
なお、例えば電子または正孔がFNトンネル電流により注入または放出されるか否かは、例えば、電圧Vと、電圧Vが印加されたときに流れる電流Iとの関係が、横軸を1/Vとし、縦軸をlog(I/V2)としたグラフにおいて直線的な変化をするものであるか否かにより判断することができる。
データ書き込みの際は、データ読み出し用のMISFETQRである容量素子Cと容量素子CWEとは、浮遊ゲート電極FGを介して直列に接続される。容量素子Cの容量値を容量値CAPrとし、容量素子CWEの容量値を容量値CAPweとする。また、容量素子Cの下方側の電極であるp型のウエルHPW2と、容量素子Cの上方側の電極であるゲート電極FGRとの間の電位差を電位差Vrとする。また、容量素子CWEの下方側の電極であるp型のウエルHPW1と、容量素子CWEの上方側の電極である容量電極FGC1との間の電位差を電位差Vweとする。
このとき、下記式(1)
RC1=Vwe/(Vr+Vwe) (1)
に示す比RC1、すなわち電位差Vrと電位差Vweとの総和に対する電位差Vweの比を、容量素子Cと容量素子CWEとの間のカップリング比と定義する。前述したように、容量素子Cと容量素子CWEとは、浮遊ゲート電極FGを介して直列に接続されているので、カップリング比RC1は、下記式(2)
RC1=CAPr/(CAPr+CAPwe) (2)
となる。したがって、容量値CAPrと容量値CAPweとの総和に対する容量値CAPrの比を増加させることにより、カップリング比RC1を増加させることができ、容量素子CWEの電位差Vweを増加させることができる。これにより、容量素子CWEにおいて、電子がFNトンネル電流により容量電極FGC1に注入されやすくなるか、または、正孔がFNトンネル電流により容量電極FGC1から放出されやすくなる。
容量素子Cおよび容量素子CWEは、好適には、容量値CAPrおよび容量値CAPweが、下記式(3)
CAPr>CAPwe (3)
を満たすように、設計されている。上記式(3)を満たすことにより、上記式(2)および上記式(1)に示すように、カップリング比RC1を0.5よりも大きくすることができ、電位差Vweを電位差Vrよりも大きくすることができる。そのため、容量素子Cと比べ、容量素子CWEにおいて、電子がFNトンネル電流により容量電極FGC1に注入されやすくなるか、または、正孔がFNトンネル電流により容量電極FGC1から放出されやすくなる。
前述したように、ゲート電極FGRのX軸方向の長さを長さLNrとし、ゲート電極FGRのY軸方向の幅を幅WDrとする。また、容量電極FGC1のX軸方向の長さを長さLNweとし、容量電極FGC1のY軸方向の幅を幅WDweとする。このとき、ゲート電極FGRの面積Srは、下記式(4)
Sr=LNr×WDr (4)
により示され、容量電極FGC1の面積Sweは、下記式(5)
Swe=LNwe×WDwe (5)
により示される。例えば容量絶縁膜10aおよびゲート絶縁膜10bの各々の厚さおよび誘電率が等しい場合には、下記式(6)
Sr>Swe (6)
を満たすことにより、上記式(3)を満たすことができる。すなわち、p型の半導体領域11とn型の半導体領域12とに挟まれた部分の容量電極FGC1の面積が、n型の半導体領域13cとn型の半導体領域13dとに挟まれた部分のゲート電極FGRの面積よりも小さくなることにより、上記式(3)を満たすことができる。
次に、図5は、実施の形態1のフラッシュメモリのデータ消去動作におけるメモリセルの各部への印加電圧の一例を示す断面図である。図5は、図2のA−A線に沿った断面図である。
データ消去の際には、導体部7bを通じて、n型のウエルHNWおよびn型の埋込ウエルDNWに、例えば8V程度の正の電圧を印加して、基板1Sとp型のウエルHPW1およびHPW2との電気的な分離を行う。基板1Sがp型のシリコン単結晶基板である場合、基板1Sのうちn型の埋込ウエルDNWが形成された部分よりも下側の部分と、n型の埋込ウエルDNWとの界面であって、図5において太線により示される界面IF21におけるpn接合に、逆バイアスが印加される。これにより、基板1Sとn型の埋込ウエルDNWとが電気的に分離される。そして、基板1Sとn型の埋込ウエルDNWとが電気的に分離されることにより、基板1Sと、p型のウエルHPW1およびHPW2とが、電気的に分離される。
また、導体部7aを通じて、p+型の半導体領域4aおよびp型のウエルHPW2に、例えば−8V程度の負の電圧を印加する。このとき、p+型の半導体領域4aおよびp型のウエルHPW2は、p型の半導体同士であるため、矢印AW21により模式的に示すように、p+型の半導体領域4aとp型のウエルHPW2との間の電位差は約0Vに等しい。矢印AW21は、矢印の始端から終端にかけての電位差が約0Vに等しいことを意味する。
また、制御ゲート配線CG1から導体部7dを通じて、データ読み出し用のMISFETQRの一方のn型の半導体領域13cに、例えば−8V程度の負の電圧を印加する。このとき、導体部7dと接続されたn型の半導体領域13cとp型のウエルHPW2との界面におけるpn接合に、順バイアスが印加されるので、矢印AW22により模式的に示すように、導体部7dと接続されたn型の半導体領域13cとp型のウエルHPW2との間の電位差は、約0Vに等しい。矢印AW22は、矢印の始端から終端にかけての電位差が約0Vに等しいことを意味する。
また、データ書き込み用のビット線RBLから導体部7fを通じて、選択MISFETQSの他方のn型の半導体領域13eに、例えば0Vを印加する。このとき、導体部7fと接続されたn型の半導体領域13eとp型のウエルHPW2との界面におけるpn接合に、逆バイアスが印加されるので、導体部7fと接続されたn型の半導体領域13eとp型のウエルHPW2との間の電位差は、約8V程度となる。
また、選択線GSから導体部7eを通じて選択MISFETQSのゲート電極FGSに、例えば8V程度の正の電圧を印加するか、あるいは、ゲート電極FGSを開放状態(図5では「Open」と表記)にする。
一方、データ書き込みおよび消去用のビット線WBLから導体部7cを通じて、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEのp型の半導体領域11、n型の半導体領域12およびp型のウエルHPW1に、例えば8V程度の正の電圧を印加する。このとき、p型の半導体領域11およびp型のウエルHPW1は、p型の半導体同士であるため、矢印AW23により模式的に示すように、p型の半導体領域11とp型のウエルHPW1との間の電位差は約0Vに等しい。矢印AW23は、矢印の始端から終端にかけての電位差が約0Vに等しいことを意味する。また、p型の半導体領域11とp型のウエルHPW1との間の電位差は約0Vに等しいため、矢印AW24により模式的に示すように、n型の半導体領域12とp型のウエルHPW1との間の電位差も約0Vに等しい。矢印AW24は、矢印の始端から終端にかけての電位差が約0Vに等しいことを意味する。
また、p型のウエルHPW1とn型のウエルHNWとの界面におけるpn接合に、順バイアスが印加されるので、矢印AW25により模式的に示すように、p型のウエルHPW1とn型のウエルHNWとの間の電位差は約0Vに等しい。矢印AW25は、矢印の始端から終端にかけての電位差が約0Vに等しいことを意味する。
また、p型のウエルHPW2と、n型のウエルHNWおよびn型の埋込ウエルDNWとの界面であって、図5において太線により示される界面IF22におけるpn接合に、逆バイアスが印加され、例えば16V程度の電位差が発生する。
以上のように、n型の埋込ウエルDNWには、データ書き込みの際にn型の埋込ウエルDNWに印加された電圧の極性と同極性の電圧が印加される。また、データ読み出し用のMISFETQRである容量素子Cの下方側の電極であるp型のウエルHPW2には、例えば−8V程度の負の電圧、すなわちデータ書き込みの際にn型の埋込ウエルDNWに印加された電圧の極性と逆極性の電圧が印加される。また、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEの下方側の電極であるp型のウエルHPW1には、例えば8V程度の正の電圧、すなわちデータ書き込みの際にn型の埋込ウエルDNWに印加された電圧の極性と同極性の電圧が印加される。なお、p型のウエルHPW1には、n型の埋込ウエルDNWに印加される電圧と同一の電圧が印加されてもよい。
このような電圧の印加により、p型のウエルHPW1とp型のウエルHPW2とが各々個別に制御される。これにより、容量電極FGC1である浮遊ゲート電極FGに蓄積された電子e−が、チャネル全面のFNトンネル電流により容量絶縁膜10aを通じてp型のウエルHPW1に放出されるか、または、正孔がFNトンネル電流により容量電極FGC1に注入されることにより、データが消去される。
データ消去の際のカップリング比は、データ書き込みの際のカップリング比RC1、すなわち上記式(2)に示すカップリング比RC1と同様である。したがって、データ消去の際も、データ書き込みの際と同様に、容量値CAPrと容量値CAPweとの総和に対する容量値CAPrの比を増加させることにより、上記式(2)に示すカップリング比RC1を増加させることができ、容量素子CWEの電位差Vweを増加させることができる。これにより、容量素子CWEにおいて、電子がFNトンネル電流により容量電極FGC1から放出されやすくなるか、または、正孔がFNトンネル電流により容量電極FGC1に注入されやすくなる。
また、好適には、上記式(3)を満たすことによりカップリング比RC1を0.5よりも大きくすることができ、電位差Vweを電位差Vrよりも大きくすることができる。そのため、容量素子Cと比べ、容量素子CWEにおいて、電子がFNトンネル電流により容量電極FGC1から放出されやすくなるか、または、正孔がFNトンネル電流により容量電極FGC1に注入されやすくなる。
次に、図6は、実施の形態1のフラッシュメモリのデータ読み出し動作におけるメモリセルの各部への印加電圧の一例を示す断面図である。図6は、図2のA−A線に沿った断面図である。
データ読み出しの際は、導体部7bを通じて、n型のウエルHNWおよびn型の埋込ウエルDNWに、例えば電源電圧Vccとしての3V程度の電圧を印加して、基板1Sとp型のウエルHPW1およびHPW2との電気的な分離を行う。基板1Sがp型のシリコン単結晶基板である場合、基板1Sのうちn型の埋込ウエルDNWが形成された部分よりも下側の部分と、n型の埋込ウエルDNWとの界面であって、図6において太線により示される界面IF31におけるpn接合に、逆バイアスが印加される。これにより、基板1Sとn型の埋込ウエルDNWとが電気的に分離される。そして、基板1Sとn型の埋込ウエルDNWとが電気的に分離されることにより、基板1Sと、p型のウエルHPW1およびHPW2とが、電気的に分離される。
また、導体部7aを通じて、p+型の半導体領域4aおよびp型のウエルHPW2に、例えば0Vの電圧を印加する。このとき、p+型の半導体領域4aおよびp型のウエルHPW2は、p型の半導体同士であるため、矢印AW31により模式的に示すように、p+型の半導体領域4aとp型のウエルHPW2との間の電位差は約0Vに等しい。矢印AW31は、矢印の始端から終端にかけての電位差が約0Vに等しいことを意味する。
また、制御ゲート配線CG1から導体部7dを通じて、データ読み出し用のMISFETQRの一方のn型の半導体領域13cに、例えば0Vの電圧を印加する。このとき、矢印AW32により模式的に示すように、導体部7dと接続されたn型の半導体領域13cとp型のウエルHPW2との間の電位差は、約0Vに等しい。矢印AW32は、矢印の始端から終端にかけての電位差が約0Vに等しいことを意味する。
また、データ書き込み用のビット線RBLから導体部7fを通じて、選択MISFETQSの他方のn型の半導体領域13eに、例えば1V程度の正の電圧を印加する。
また、選択線GSから導体部7eを通じて選択MISFETQSのゲート電極FGSに、例えば電源電圧Vccとしての3V程度の電圧を印加する。
一方、データ書き込みおよび消去用のビット線WBLから導体部7cを通じて、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEのp型の半導体領域11、n型の半導体領域12およびp型のウエルHPW1に、例えば0Vの電圧を印加する。このとき、p型の半導体領域11およびp型のウエルHPW1は、p型の半導体同士であるため、矢印AW33により模式的に示すように、p型の半導体領域11とp型のウエルHPW1との間の電位差は約0Vに等しい。矢印AW33は、矢印の始端から終端にかけての電位差が約0Vに等しいことを意味する。また、p型の半導体領域11とp型のウエルHPW1との間の電位差は約0Vに等しいため、矢印AW34により模式的に示すように、n型の半導体領域12とp型のウエルHPW1との間の電位差も約0Vに等しい。矢印AW34は、矢印の始端から終端にかけての電位差が約0Vに等しいことを意味する。
なお、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEのp型の半導体領域11、n型の半導体領域12およびp型のウエルHPW1に印加する電圧は、0Vに代え、例えば電源電圧Vccでもよく、あるいは、印加電圧をある電圧値から別の電圧値まで連続的に変化させるスイープ方式により上記電圧を印加することもできる。
また、p型のウエルHPW1と、n型のウエルHNWおよびn型の埋込ウエルDNWとの界面であって、図6において太線により示される界面IF32におけるpn接合に、逆バイアスが印加され、例えば電源電圧Vcc程度の電位差が発生する。さらに、p型のウエルHPW2と、n型のウエルHNWおよびn型の埋込ウエルDNWとの界面であって、図6において太線により示される界面IF33におけるpn接合に、逆バイアスが印加され、例えば電源電圧Vcc程度の電位差が発生する。
以上のように、n型の埋込ウエルDNWには、例えば電源電圧Vccが印加される。また、データ読み出し用のMISFETQRである容量素子Cの下方側の電極であるp型のウエルHPW2に、例えば0Vの電圧が印加され、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEの下方側の電極であるp型のウエルHPW1に、例えば0Vの電圧が印加された状態で、選択MISFETQSがオン状態となる。このような状態で、データ読み出し用のMISFETQRのチャネルにドレイン電流が流れるか否かにより、選択されたメモリセルに記憶されているデータが0または1のいずれなのかを読み出す。すなわち、データ読み出し用のMISFETQRの一対のn型の半導体領域13の一方のn型の半導体領域13cと、他方のn型の半導体領域13dとの間に流れる電流値に基づいて、メモリセルMC1に記憶されているデータを読み出す。
なお、データ読み出しの際は、下記式(7)
RC2=Vr/(Vr+Vwe) (7)
に示す比RC2、すなわち電位差Vrと電位差Vweとの総和に対する電位差Vrの比を、容量素子Cと容量素子CWEとの間のカップリング比と定義する。
このような本実施の形態1によれば、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEと、データ読み出し用のMISFETQRとが、それぞれ別々のp型のウエルHPW1およびHPW2の内部に形成され、それぞれがn型のウエルHNWおよびn型の埋込ウエルDNWにより分離される。また、データ書き換えは、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEで行われる。これにより、フラッシュメモリのメモリセルMC1において、後述する比較例1で説明する容量素子C100(後述する図14参照)を設ける必要がなくなるので、半導体装置を小型化することができる。
また、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEと、データ読み出し用のMISFETQRとが、それぞれ別々のp型のウエルHPW1およびHPW2の内部に形成されたことにより、データ書き換えを安定化させることができる。このため、フラッシュメモリの動作信頼性を向上させることができる。
さらに、データ書き換えを、最も消費電流が小さく、低電圧における単一電源書き換えに適したチャネル全面のFNトンネル電流により行えるので、内部昇圧回路による単一電源化が容易であり、データの書き換え回数を向上させることができる。
<半導体装置の製造方法>
次に、本実施の形態1の半導体装置の製造方法について説明する。図7〜図12は、実施の形態1の半導体装置の製造工程中における要部断面図である。図7〜図12は、図2のA−A線に沿った断面図である。
まず、図7に示すように、p型の導電型を有するシリコン(Si)単結晶からなる半導体基板としての基板1Sを用意し、基板1Sの主面側に、n型の埋込ウエルDNWをフォトリソグラフィ(以下、単にリソグラフィという)工程およびイオン注入工程等により形成する。リソグラフィ工程は、フォトレジスト(以下、単にレジストという)膜の塗布、露光および現像等により所望のレジストパターンを形成する一連の工程である。イオン注入工程では、リソグラフィ工程を経て基板1Sの主面上に形成されたレジストパターンをマスクとして、基板1Sの所望の部分に所望の不純物を選択的に導入する。ここでのレジストパターンは、不純物の導入領域が露出され、それ以外の領域が覆われるようなパターンとされている。
続いて、基板1Sの主面の分離領域に分離溝を形成した後、その分離溝内に絶縁膜を埋め込むことにより、溝形の分離部TIを形成する。これにより、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEが形成される領域ARwe、データ読み出し用のMISFETQRが形成される領域ARr、および、選択MISFETQSが形成される領域ARsに、活性領域を規定する。なお、先に分離部TIを形成し、後からn型の埋込ウエルDNWを形成してもよい。
次いで、図8に示すように、p型のウエルHPW1およびHPW2、ならびに、n型のウエルHNWを、リソグラフィ工程およびイオン注入工程等により形成する。基板1Sの主面側からn型の埋込ウエルDNWに例えばホウ素(B)等のようなp型の不純物をイオン注入法により注入することにより、p型のウエルHPW1およびHPW2を形成する。また、基板1Sの主面側からn型の埋込ウエルDNWに例えばリン(P)またはヒ素(As)等のようなn型の不純物をイオン注入法により注入することにより、n型のウエルHNWを形成する。
続いて、容量絶縁膜10a、ならびに、ゲート絶縁膜10bおよび10cを、熱酸化法等により形成する。データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEが形成される領域ARweに容量絶縁膜10aを形成し、データ読み出し用のMISFETQRが形成される領域ARrにゲート絶縁膜10bを形成し、選択MISFETQSが形成される領域ARsにゲート絶縁膜10cを形成する。容量絶縁膜10a、ならびに、ゲート絶縁膜10bおよび10cについては、上記の熱酸化法に代え、CVD法などにより形成することもできる。また、前述したように、容量絶縁膜10a、ならびに、ゲート絶縁膜10bおよび10cの厚さは、10nm以上であって20nm以下が好ましく、例えば12nmである。
さらにその後、基板1Sの主面上に、例えば低抵抗な多結晶シリコンからなる導体膜20を、CVD法等により形成する。
次いで、図9に示すように、導体膜20を、リソグラフィ工程およびエッチング工程によりパターニングすることにより、浮遊ゲート電極FGとしての容量電極FGC1、浮遊ゲート電極FGとしてのゲート電極FGR、および、ゲート電極FGSを形成する。データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEが形成される領域ARweにおいて容量電極FGC1を形成し、データ読み出し用のMISFETQRが形成される領域ARrにおいてゲート電極FGRを形成し、選択MISFETQSが形成される領域ARsにおいてゲート電極FGSを形成する。
続いて、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEが形成される領域ARweにおいて、容量電極FGC1の一方の側の部分のp型のウエルHPW1に、p−型の半導体領域11aをリソグラフィ工程およびイオン注入法等により形成する。続いて、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEが形成される領域ARweにおいて、容量電極FGC1の他方の側の部分のp型のウエルHPW1に、n−型の半導体領域12aをリソグラフィ工程およびイオン注入法等により形成する。また、データ読み出し用のMISFETQRが形成される領域ARrにおいて、n−型の半導体領域13aをリソグラフィ工程およびイオン注入法等により形成し、選択MISFETQSが形成される領域ARsに、n−型の半導体領域13aをリソグラフィ工程およびイオン注入法等により形成する。
次いで、図10に示すように、基板1Sの主面上に、例えば酸化シリコンからなる絶縁膜をCVD法等により堆積した後、それを異方性のドライエッチングによりエッチバックすることにより、容量電極FGC1、ならびに、ゲート電極FGRおよびFGSの側面に、サイドウォールSWを形成する。
続いて、書き込みおよび消去用の容量素子CWEが形成される領域ARweにおいて、側面にサイドウォールSWが形成された容量電極FGC1の一方の側の部分のp型のウエルHPW1に、p+型の半導体領域11bを、リソグラフィ工程およびイオン注入法等により形成する。このとき、例えば領域IPP1(図2参照)に、例えばホウ素(B)等のようなp型の不純物をイオン注入法により注入する。これにより、領域ARweにおいて、側面にサイドウォールSWが形成された容量電極FGC1の一方の側の部分のp型のウエルHPW1に、p+型の半導体領域11bが形成され、p−型の半導体領域11aとp+型の半導体領域11bとからなるp型の半導体領域11が形成される。また、p型のウエルHPW2の引き出し領域に、p+型の半導体領域4aを、リソグラフィ工程およびイオン注入法等により形成する。このとき、例えば領域IPP2(図2参照)に、例えばホウ素(B)等のようなp型の不純物をイオン注入法により注入する。
続いて、書き込みおよび消去用の容量素子CWEが形成される領域ARweに、n+型の半導体領域12bをリソグラフィ工程およびイオン注入法等により形成する。このとき、例えば領域IPN1(図2参照)に、例えばリン(P)またはヒ素(As)等のようなn型の不純物をイオン注入法により注入する。これにより、領域ARweにおいて、側面にサイドウォールSWが形成された容量電極FGC1の他方の側の部分のp型のウエルHPW1に、n+型の半導体領域12bが形成され、n−型の半導体領域12aとn+型の半導体領域12bとからなるn型の半導体領域12が形成される。また、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEが形成される領域ARweにおいて、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEが形成される。
また、データ読み出し用のMISFETQRが形成される領域ARr、および、選択MISFETQSが形成される領域ARsに、n+型の半導体領域13bをリソグラフィ工程およびイオン注入法等により形成する。このとき、例えば領域IPN2(図2参照)に、例えばリン(P)またはヒ素(As)等のようなn型の不純物をイオン注入法により注入する。これにより、データ読み出し用のMISFETQRが形成される領域ARr、および、選択MISFETQSが形成される領域ARsに、n+型の半導体領域13bが形成され、n−型の半導体領域13aとn+型の半導体領域13bとからなるn型の半導体領域13が形成される。また、データ読み出し用のMISFETQRが形成される領域ARrにおいてデータ読み出し用のMISFETQRが形成され、選択MISFETQSが形成される領域ARsにおいて選択MISFETQSが形成される。データ読み出し用のMISFETQRの一対のn型の半導体領域13は、n型の半導体領域13cおよび13dであり、選択MISFETQSの一対のn型の半導体領域13は、n型の半導体領域13dおよび13eである。なお、この際に、n型のウエルHNWの上層の一部に、n+型の半導体領域8aが形成される。
次いで、図11に示すように、シリサイド層5aを選択的に形成する。このシリサイド層5aの形成工程に先立って、容量電極FGC1およびゲート電極FGRからなる浮遊ゲート電極FGの上面にキャップ絶縁膜14を形成するとともに、基板1Sの一部上に絶縁膜を形成することで、その部分にシリサイド層5aが形成されないようにする。
次いで、図12に示すように、基板1Sの主面上に、例えば窒化シリコンからなる絶縁膜6aをCVD法等により堆積する。その後、絶縁膜6a上に、例えば酸化シリコンからなる絶縁膜6bを絶縁膜6aよりも厚くCVD法等により堆積し、さらに絶縁膜6bに化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing;CMP)処理を施し、絶縁膜6bの上面を平坦化する。これにより、絶縁膜6aと絶縁膜6bとからなる絶縁膜6が形成される。
その後、図3に示したように、絶縁膜6にコンタクトホールCTをリソグラフィ工程およびエッチング工程により形成する。その後、基板1Sの主面上に、例えばタングステン(W)等からなる導体膜をCVD法等により堆積した後、それをCMP法等により研磨することにより、コンタクトホールCT内に、導体部7a〜7fを形成する。これ以降は、通常の配線形成工程、検査工程および組立工程を経て、半導体装置を製造する。
<メモリセルの面積について>
次に、データ読み出し用のMISFETと、容量素子とが別に設けられた比較例1におけるメモリセルの面積について説明する。
図13は、比較例1の半導体装置におけるフラッシュメモリの要部回路図である。図14は、比較例1の半導体装置におけるメモリセルの平面図である。図15は、比較例1の半導体装置におけるメモリセルの断面図である。図14および図15は、1ビット分のメモリセルを示す。図15は、図14のA−A線に沿った断面図である。なお、図14に示す平面内で互いに交差、好適には直交する2つの方向を、X軸方向およびY軸方向とする。また、図14では、図面を見やすくするために、一部にハッチングを付している。
比較例1の半導体装置におけるフラッシュメモリは、メモリセルアレイMR100を有している。比較例1の半導体装置におけるフラッシュメモリのメモリセルアレイMR100においては、実施の形態1のメモリセルアレイMR1と同様に、Y軸方向にそれぞれ延在する複数のデータ書き込みおよび消去用のビット線WBLが、Y軸方向に交差、好適には直交するX軸方向に沿って配列されている。また、メモリセルアレイMR100においては、メモリセルアレイMR1と同様に、Y軸方向にそれぞれ延在する複数のデータ読み出し用のビット線RBLが、X軸方向に沿って配列されている。また、メモリセルアレイMR100においては、メモリセルアレイMR1と同様に、X軸方向に沿ってそれぞれ延在し、ビット線WBLおよびRBLに対してそれぞれ交差する複数の選択線GSが、Y軸方向に沿って配列されている。
一方、メモリセルアレイMR100には、メモリセルアレイMR1と異なり、X軸方向に沿ってそれぞれ延在し、ビット線WBLおよびRBLに対してそれぞれ交差する複数の制御ゲート配線CG100が、Y軸方向に沿って配列されている。また、メモリセルアレイMR100には、メモリセルアレイMR1と異なり、X軸方向に沿ってそれぞれ延在し、ビット線WBLおよびRBLに対してそれぞれ交差する複数のソース線SLが、Y軸方向に沿って配列されている。
このようなビット線WBLおよびRBLと、制御ゲート配線CG100、ソース線SLおよび選択線GSとの交点の近傍に、1ビット分のメモリセルMC100が電気的に接続されている。
メモリセルMC100は、実施の形態1のメモリセルMC1と同様に、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEと、データ読み出し用のMISFETQRと、選択MISFETQSとを有している。データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEの一方の電極は、メモリセルMC1と同様に、データ書き込みおよび消去用のビット線WBLに電気的に接続されている。また、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEの他方の電極は、浮遊ゲート電極FGの一部であり、メモリセルMC1と同様に、データ読み出し用のMISFETQRのゲート電極に、電気的に接続されている。一方、データ読み出し用のMISFETQRのドレインは、選択MISFETQSを介してデータ読み出し用のビット線RBLに電気的に接続され、データ読み出し用のMISFETQRのソースは、ソース線SLに電気的に接続されている。選択MISFETQSのゲート電極は、選択線GSに電気的に接続されている。
一方、メモリセルMC100は、実施の形態1のメモリセルMC1と異なり、容量素子C100を有している。メモリセルMC100では、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEの他方の電極は、浮遊ゲート電極FGの一部であり、メモリセルMC1と異なり、容量素子C100の一方の電極に電気的に接続されている。また、容量素子C100の他方の電極は、制御ゲート配線CG100に電気的に接続されている。
このように、比較例1の半導体装置におけるフラッシュメモリのメモリセルMC100は、実施の形態1の半導体装置におけるフラッシュメモリのメモリセルMC1と同様に、浮遊ゲート電極FGと、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEと、データ読み出し用のMISFETQRとを有する。一方、比較例1の半導体装置におけるフラッシュメモリのメモリセルMC100は、実施の形態1の半導体装置におけるフラッシュメモリのメモリセルMC1と異なり、容量素子C100を有する。以下では、容量素子C100および容量素子C100に関連した部分について、説明する。
比較例1において、半導体装置を構成する基板1S、n型の埋込ウエルDNWおよび分離部TIは、実施の形態1と同様である。ただし、比較例1においては、分離部TIは、活性領域L1、L2、L3、L4およびL105を規定する部分である。
n型の埋込ウエルDNWには、p型のウエルHPW1、HPW2およびHPW103、ならびに、n型のウエルHNWが形成されている。p型のウエルHPW1およびHPW2、ならびに、n型のウエルHNWは、実施の形態1と同様であるが、比較例1では、実施の形態1と異なり、p型のウエルHPW103が形成されている。p型のウエルHPW103は、n型の埋込ウエルDNWおよびn型のウエルHNWにより、p型のウエルHPW1およびHPW2と電気的に分離された状態で、n型の埋込ウエルDNWに内包されるように配置されている。また、p型のウエルHPW103は、p型のウエルHPW2に対して沿うように配置されている。p型のウエルHPW103には、例えばホウ素(B)等のようなp型の不純物が含有されている。
比較例1では、浮遊ゲート電極FGは、図14に示すように、p型のウエルHPW1、HPW2およびHPW103に平面的に重なるように、Y軸方向に沿って延在した状態で形成されている。実施の形態1と同様に、浮遊ゲート電極FGがp型のウエルHPW1の活性領域L1に平面的に重なる位置には、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEが配置されている。また、実施の形態1と同様に、浮遊ゲート電極FGがp型のウエルHPW2の活性領域L2に平面的に重なる位置には、データ読み出し用のMISFETQRが配置されている。
一方、浮遊ゲート電極FGがp型のウエルHPW103の活性領域L105に平面的に重なる位置には、容量素子C100が配置されている。容量素子C100は、容量電極FGC100と、容量絶縁膜110dと、p型の半導体領域131と、n型の半導体領域132と、p型のウエルHPW103とを有している。
容量電極FGC100は、浮遊ゲート電極FGの一部により形成されており、容量素子C100の上方側の電極を形成する部分である。
容量絶縁膜110dは、例えば酸化シリコンからなり、容量電極FGC100と基板1S、すなわちp型のウエルHPW103との間に形成されている。
p型の半導体領域131およびn型の半導体領域132は、p型のウエルHPW103内において、容量電極FGC100を平面的に挟み込む位置に、それぞれ容量電極FGC100に対して自己整合的に形成されている。
p型の半導体領域131は、チャネル側のp−型の半導体領域131aと、p−型の半導体領域131aに接続されたp+型の半導体領域131bとを有している。p−型の半導体領域131aおよびp+型の半導体領域131bには、例えばホウ素(B)等のようなp型の不純物が含有されているが、p+型の半導体領域131bの不純物濃度の方が、p−型の半導体領域131aの不純物濃度よりも高くなるように設定されている。p型の半導体領域131は、絶縁膜6に形成されたコンタクトホールCT内の導体部107gに、電気的に接続されている。導体部107gは、制御ゲート配線CG100に電気的に接続されている。導体部107gが接するp+型の半導体領域131bの表層の一部には、シリサイド層5aが形成されていてもよい。
n型の半導体領域132は、チャネル側のn−型の半導体領域132aと、n−型の半導体領域132aに接続されたn+型の半導体領域132bとを有している。n−型の半導体領域132aおよびn+型の半導体領域132bには、例えばリン(P)またはヒ素(As)等のようなn型の不純物が含有されているが、n+型の半導体領域132bの不純物濃度の方が、n−型の半導体領域132aの不純物濃度よりも高くなるように設定されている。n型の半導体領域132は、絶縁膜6に形成されたコンタクトホールCT内の導体部107gに、電気的に接続されている。導体部107gは、制御ゲート配線CG100に電気的に接続されている。導体部107gが接するn+型の半導体領域132bの表層の一部には、シリサイド層5aが形成されていてもよい。
このように、比較例1の半導体装置では、データ読み出し用のMISFETQRと、容量素子C100とが別に設けられている。
比較例1では、データ書き込みの際に、容量素子C100のp型のウエルHPW103に例えば8V程度の正の電圧を印加し、データ読み出し用のMISFETQRのp型のウエルHPW2に例えば0Vの電圧を印加し、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEのp型のウエルHPW1に例えば−8V程度の負の電圧を印加する。このような電圧が印加された状態で、電子が、FNトンネル電流によりp型のウエルHPW1から容量絶縁膜10aを通じて容量電極FGC1に注入されることなどにより、データが書き込まれる。
また、比較例1では、データ消去の際に、容量素子C100のp型のウエルHPW103に例えば−8V程度の負の電圧を印加し、データ読み出し用のMISFETQRのp型のウエルHPW2に例えば0Vの電圧を印加し、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEのp型のウエルHPW1に例えば8V程度の正の電圧を印加する。このような電圧が印加された状態で、容量電極FGC1である浮遊ゲート電極FGに蓄積された電子が、FNトンネル電流により容量絶縁膜10aを通じてp型のウエルHPW1に放出されることなどにより、データが消去される。
さらに、比較例1では、データ読み出しの際に、p型のウエルHPW103に例えば0Vの電圧を印加し、p型のウエルHPW2に例えば0Vの電圧を印加し、p型のウエルHPW1に例えば0Vの電圧を印加した状態で、選択MISFETQSをオン状態にする。このような状態で、データ読み出し用のMISFETQRの一対のn型の半導体領域13の間に流れる電流値に基づいて、メモリセルMC100に記憶されているデータを読み出す。
容量素子C100の容量値を容量値CAPc100とし、データ読み出し用のMISFETQRである容量素子Cの容量値を容量値CAPrとし、容量素子CWEの容量値を容量値CAPweとする。また、容量素子C100の下方側の電極であるp型のウエルHPW103と、容量素子C100の上方側の電極である容量電極FGC100との間の電位差を電位差Vc100とする。また、データ読み出し用のMISFETQRである容量素子Cの下方側の電極であるp型のウエルHPW2と、容量素子Cの上方側の電極であるゲート電極FGRとの間の電位差を電位差Vrとする。また、容量素子CWEの下方側の電極であるp型のウエルHPW1と、容量素子CWEの上方側の電極である容量電極FGC1との間の電位差を電位差Vweとする。
このとき、電位差Vc100と電位差Vrと電位差Vweとの総和に対する電位差Vweの比を、容量素子C100と容量素子Cと容量素子CWEとの間のカップリング比RC101と定義すると、比較例1のカップリング比RC101を容易に大きくすることができる。したがって、比較例1の半導体装置では、データを容易に書き込むことができるか、または、データを容易に消去することができる。
一方、比較例1の半導体装置では、1つのメモリセルMC100が形成される領域ARmc100(図14参照)の内部に、p型のウエルHPW1、HPW2およびHPW103の3つのp型のウエルが配置される必要がある。したがって、1つのメモリセルMC100が形成される領域ARmc100の面積は、p型のウエルHPW103の面積の分だけ、大きくなる。
また、比較例1の半導体装置における1つのメモリセルMC100では、p型のウエルHPW1、HPW2およびHPW103が、Y軸方向に間隔を空けて配列されている。n型のウエルHNWのうち、p型のウエルHPW1とp型のウエルHPW2との間の部分をn型のウエルHNW1とし、p型のウエルHPW2と、そのメモリセルMC100とY軸方向で隣接するメモリセルMC100のp型のウエルHPW1との間の部分をn型のウエルHNW2とする。一方、p型のウエルHPW2とp型のウエルHPW103との間の部分をn型のウエルHNW103とする。
つまり、比較例1の半導体装置における1つのメモリセルMC100では、1つのメモリセルMC100が形成される領域ARmc100(図14参照)の内部に、n型のウエルHNW1、HNW2およびHNW103の3つのn型のウエルが配置される必要がある。3つのn型のウエルHNW1、HNW2およびHNW103は、フラッシュメモリにおけるデータ書き込みの機能には直接寄与するものではないにも関わらず、配置される必要がある。したがって、1つのメモリセルMC100が形成される領域ARmc100の面積は、その3つのn型のウエルHNW1、HNW2およびHNW103の面積の分だけ、大きくなる。
このように、比較例1の半導体装置では、メモリセル1個分の面積が大きいため、フラッシュメモリの容量を容易に増加させることができない。
<本実施の形態の主要な特徴と効果>
一方、本実施の形態1の半導体装置におけるメモリセルMC1は、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEと、データ読み出し用のMISFETQRと、選択MISFETQSとを有するが、比較例1の半導体装置におけるメモリセルMC100と異なり、容量素子C100を有していない。すなわち、本実施の形態1の半導体装置におけるデータ読み出し用のMISFETQRは、比較例1の半導体装置におけるデータ読み出し用のMISFETQRと、容量素子C100とを兼ねたものとなっている。
そのため、1つのメモリセルMC1が形成される領域ARmc1(図2参照)の内部に、p型のウエルHPW1およびHPW2の2つのp型のウエルが配置されればよく、比較例1のように、p型のウエルHPW1、HPW2およびHPW103の3つのp型のウエルが配置される必要がない。したがって、本実施の形態1におけるメモリセルMC1の面積は、比較例1におけるメモリセルMC100の面積に比べ、比較例1におけるp型のウエルHPW103の面積の分だけ、小さくなる。
また、本実施の形態1の半導体装置における1つのメモリセルMC1では、p型のウエルHPW1およびHPW2が、Y軸方向に間隔を空けて配列されている。n型のウエルHNWのうち、p型のウエルHPW1とp型のウエルHPW2との間の部分をn型のウエルHNW1とし、p型のウエルHPW2と、そのメモリセルMC1とY軸方向で隣接するメモリセルMC1のp型のウエルHPW1との間の部分をn型のウエルHNW2とする。
つまり、実施の形態1の半導体装置における1つのメモリセルMC1では、1つのメモリセルMC1が形成される領域ARmc1(図2参照)の内部に、n型のウエルHNW1およびHNW2の2つのn型のウエルが配置されるだけでよい。したがって、本実施の形態1における1つのメモリセルMC1が形成される領域ARmc1の面積は、比較例1における1つのメモリセルMC100が形成される領域ARmc100の面積に比べ、比較例1におけるn型のウエルHNW103の面積の分だけ、小さくなる。
このように、本実施の形態1の半導体装置では、メモリセル1個分の面積を小さくすることができ、フラッシュメモリの容量を容易に増加させることができる。
なお、本実施の形態1において、例えば半導体基板1S、n型の埋込ウエルDNW、p型のウエルHPW1およびHPW2、n型のウエルHNW、p+型の半導体領域4a、n+型の半導体領域8a、p型の半導体領域11ならびにn型の半導体領域12および13などの各半導体領域の導電型を、一括して反対の導電型に変えてもよい。また、データ書き込み動作において印加するそれぞれの電圧の極性を、一括して反対の極性に変えてもよい(実施の形態2においても同様)。
(実施の形態2)
実施の形態1の半導体装置における1つのメモリセルは、データ書き込みおよび消去用の容量素子と、データ読み出し用のMISFETとを有していた。それに対して、実施の形態2の半導体装置における1つのメモリセルは、データ書き込みおよび消去用の容量素子と、データ読み出し用のMISFETとに加え、アシスト容量素子を有している。
<半導体装置の回路構成>
図16は、実施の形態2の半導体装置におけるフラッシュメモリの要部回路図である。なお、図16に示す平面内で互いに交差、好適には直交する2つの方向を、X軸方向およびY軸方向とする。
本実施の形態2の半導体装置におけるフラッシュメモリは、メモリセルアレイMR2を有している。メモリセルアレイMR2においては、実施の形態1のメモリセルアレイMR1と同様に、Y軸方向にそれぞれ延在する複数のデータ書き込みおよび消去用のビット線WBLが、Y軸方向に交差、好適には直交するX軸方向に沿って配列されている。また、メモリセルアレイMR2においては、メモリセルアレイMR1と同様に、Y軸方向にそれぞれ延在する複数のデータ読み出し用のビット線RBLが、X軸方向に沿って配列されている。さらに、メモリセルアレイMR2においては、メモリセルアレイMR1と同様に、X軸方向に沿ってそれぞれ延在し、ビット線WBLおよびRBLに対してそれぞれ交差する複数の制御ゲート配線CG1(ソース線SL)及び複数の制御ゲート配線CG0(p型のウエルHPW2)が、Y軸方向に沿って配列されている。また、メモリセルアレイMR2においては、メモリセルアレイMR1と同様に、X軸方向に沿ってそれぞれ延在し、かつ、ビット線WBLおよびRBLに対してそれぞれ交差する複数の選択線GSが、Y軸方向に沿って配列されている。
一方、実施の形態2のメモリセルアレイMR2には、メモリセルアレイMR1と異なり、X軸方向に沿ってそれぞれ延在し、ビット線WBLおよびRBLに対してそれぞれ交差する複数の制御ゲート配線CG2が、Y軸方向に沿って配列されている。
このようなビット線WBLおよびRBLと、制御ゲート配線CG1およびCG2ならびに選択線GSとの交点の近傍に、1ビット分のメモリセルMC2が電気的に接続されている。図16では、1ビットが1つのメモリセルMC2で構成されている場合が例示されている。
メモリセルMC2は、実施の形態1のメモリセルMC1と同様に、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEと、データ読み出し用のMISFETQRと、選択MISFETQSとを有している。
データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEの一方の電極は、メモリセルMC1と同様に、データ書き込みおよび消去用のビット線WBLに電気的に接続されている。また、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEの他方の電極は、後述する図17および図18を用いて説明する浮遊ゲート電極FGの一部であり、データ読み出し用のMISFETQRのゲート電極は、浮遊ゲート電極FGの他の部分である。したがって、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEの他方の電極は、メモリセルMC1と同様に、データ読み出し用のMISFETQRのゲート電極に電気的に接続されている。また、データ読み出し用のMISFETQRのドレインは、選択MISFETQSを介してデータ読み出し用のビット線RBLに電気的に接続され、データ読み出し用のMISFETQRのソースは、ソース線SLと兼用された制御ゲート配線CG1に電気的に接続されている。選択MISFETQSのゲート電極は、選択線GSに電気的に接続されている。
一方、メモリセルMC2は、実施の形態1のメモリセルMC1と異なり、アシスト容量素子CAを有している。アシスト容量素子CAの一方の電極は、制御ゲート配線CG2に電気的に接続されている。また、アシスト容量素子CAの他方の電極は、浮遊ゲート電極FGの一部である。したがって、アシスト容量素子CAの他方の電極は、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEの他方の電極、および、データ読み出し用のMISFETQRのゲート電極に、電気的に接続されている。
<メモリセルの構成>
次に、本実施の形態2の半導体装置におけるフラッシュメモリのメモリセルの構成について説明する。図17は、実施の形態2の半導体装置におけるメモリセルの平面図である。図18は、実施の形態2の半導体装置におけるメモリセルの断面図である。図17および図18は、1ビット分のメモリセルを示す。図18は、図17のA−A線に沿った断面図である。
なお、図17に示す平面内で互いに交差、好適には直交する2つの方向を、X軸方向およびY軸方向とする。また、図17では、導体部7a〜7g、絶縁膜6、キャップ絶縁膜14、シリサイド層5a、サイドウォールSWおよび分離部TIを除去して透視した状態を示しているが、キャップ絶縁膜14の外周のみを示している。さらに、図17では、図面を見やすくするために、一部にハッチングを付している。
前述したように、本実施の形態2の半導体装置におけるフラッシュメモリのメモリセルMC2は、実施の形態1の半導体装置におけるフラッシュメモリのメモリセルMC1と同様に、浮遊ゲート電極FGと、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEと、データ読み出し用のMISFETQRとを有する。一方、本実施の形態2におけるメモリセルMC2は、実施の形態1におけるメモリセルMC1と異なり、アシスト容量素子CAを有する。そのため、以下では、アシスト容量素子CAおよびアシスト容量素子CAに関連した部分を中心に、説明する。
半導体装置を構成する基板1S、n型の埋込ウエルDNWおよび分離部TIは、実施の形態1と同様である。ただし、本実施の形態2においては、分離部TIは、活性領域L1、L2、L3、L4およびL5を規定する部分である。
n型の埋込ウエルDNWには、p型のウエルHPW1およびHPW2、ならびに、n型のウエルHNWが形成されている。p型のウエルHPW1およびHPW2、ならびに、n型のウエルHNWは、実施の形態1と同様である。
本実施の形態2でも、実施の形態1と同様に、浮遊ゲート電極FGは、図17に示すように、p型のウエルHPW1およびHPW2に平面的に重なるように、Y軸方向に沿って延在した状態で形成されている。実施の形態1と同様に、浮遊ゲート電極FGがp型のウエルHPW1の活性領域L1に平面的に重なる位置には、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEが配置されている。また、実施の形態1と同様に、浮遊ゲート電極FGがp型のウエルHPW2の活性領域L2に平面的に重なる位置には、データ読み出し用のMISFETQRが配置されている。
一方、浮遊ゲート電極FGが、n型のウエルHNWのうちp型のウエルHPW1とp型のウエルHPW2との間に配置された部分であるn型のウエルHNW1の活性領域L5に平面的に重なる位置には、容量素子としてのアシスト容量素子CAが配置されている。アシスト容量素子CAは、容量電極FGC2と、容量絶縁膜10dと、p型の半導体領域21と、n型のウエルHNWとを有している。
容量電極FGC2は、浮遊ゲート電極FGの一部により形成されている。ここで、n型のウエルHNWのうち、p型のウエルHPW1とp型のウエルHPW2との間に配置された部分をn型のウエルHNW1とする。このとき、容量電極FGC2は、浮遊ゲート電極FGのうち、n型のウエルHNW1の活性領域L5に平面的に重なる位置に形成された部分である。また、容量電極FGC2は、アシスト容量素子CAの上方側の電極を形成する部分である。
容量絶縁膜10dは、例えば酸化シリコンからなり、容量電極FGC2と基板1S、すなわちn型のウエルHNW1との間に形成されている。容量絶縁膜10dは、例えば熱酸化工程により形成されており、その厚さは、例えば12nm程度である。
一対のp型の半導体領域21は、n型のウエルHNW1内において、容量電極FGC2を平面的に挟み込む位置に、それぞれ容量電極FGC2に対して自己整合的に形成されている。
p型の半導体領域21は、チャネル側のp−型の半導体領域21aと、p−型の半導体領域21aに接続されたp+型の半導体領域21bとを有している。p−型の半導体領域21aおよびp+型の半導体領域21bには、例えばホウ素(B)等のような同一導電型の不純物が含有されているが、p+型の半導体領域21bにおける不純物濃度の方が、p−型の半導体領域21aにおける不純物濃度よりも高くなるように設定されている。p型の半導体領域21は、絶縁膜6に形成されたコンタクトホールCT内の導体部7gに、電気的に接続されている。導体部7gは、制御ゲート配線CG2に電気的に接続されている。導体部7gが接するp+型の半導体領域21bの表層の一部には、シリサイド層5aが形成されていてもよい。
p型の半導体領域21は、n型のウエルHNW1と電気的に接続されている。そのため、n型のウエルHNW1は、アシスト容量素子CAの下方側の電極を形成する部分である。
本実施の形態2でも、実施の形態1と同様に、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEの容量電極FGC1のX軸方向における長さLNweは、データ読み出し用のMISFETQRのゲート電極FGRのX軸方向における長さLNrよりも小さい。これにより、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEの容量値を、データ読み出し用のMISFETQRである容量素子Cの容量値よりも小さくすることができる。そして、実施の形態1と同様に、容量素子CWEの容量値を容量素子Cの容量値よりも小さくすることにより、データの書き込みおよび消去を容易に行うことができる。
また、本実施の形態2でも、前述した比較例1で説明した容量素子C100の容量電極FGC100(図14参照)、すなわち、X軸方向における浮遊ゲート電極FGの長さが、X軸方向におけるデータ読み出し用のMISFETQRのゲート電極FGRの長さよりも大きくなるような部分、は設けられない。このような場合、好適には、データ読み出し用のMISFETQRのゲート電極FGRは、浮遊ゲート電極FGのうち、X軸方向における浮遊ゲート電極FGの長さが最大となる部分である。
一方、本実施の形態2では、実施の形態1と異なり、アシスト容量素子CAが形成されている。そのため、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEの容量値を、データ読み出し用のMISFETQRである容量素子Cの容量値と、アシスト容量素子CAの容量値との和に比べて容易に小さくすることができる。そして、後述するフラッシュメモリにおけるデータ書き込み動作例において説明するように、容量素子CWEの容量値を、容量素子Cの容量値とアシスト容量素子CAの容量値との和よりも小さくすることにより、データ書き込みの際のカップリング比を容易に大きくすることができる。したがって、実施の形態1に比べ、データの書き込みを容易に行うことができる。
好適には、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEの容量電極FGC1のX軸方向における長さLNweは、アシスト容量素子CAの容量電極FGC2のX軸方向における長さLNaよりも小さい。これにより、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEの容量値を、データ読み出し用のMISFETQRである容量素子Cの容量値と、アシスト容量素子CAの容量値との和に比べてさらに容易に小さくすることができる。したがって、実施の形態1に比べ、データの書き込みをさらに容易に行うことができる。
なお、本実施の形態2でも、実施の形態1と同様に、好適には、選択MISFETQSのゲート電極FGSのX軸方向の長さLNsは、ゲート電極FGRのX軸方向の長さLNrよりも大きい。これにより、選択MISFETQSにおいて、パンチスルーを防止または抑制することができ、オフ時のリーク電流、すなわちオフリーク電流を低減することができる。一方、データ読み出し用のMISFETQRにおいては、選択MISFETQSに比べれば、パンチスルーを防止または抑制する必要は少ないため、ゲート電極FGRのX軸方向の長さLNrは、ゲート電極FGSのX軸方向の長さLNsよりも小さくてもよい。
また、本実施の形態2でも、実施の形態1と同様に、好適には、p型の半導体領域11とn型の半導体領域12とに挟まれた部分の容量電極FGC1のY軸方向における幅WDweは、n型の半導体領域13cとn型の半導体領域13dとに挟まれた部分のゲート電極FGRのY軸方向における幅WDrよりも小さい。これにより、相対的にゲート電極FGRのY軸方向における幅WDrが大きくなるため、データ読み出し用のMISFETQRに流れる読み出し電流を大きくすることができ、高速読み出しが可能になる。
<データ書き込み動作例>
次に、このようなフラッシュメモリにおけるデータ書き込み動作例について説明する。図19は、実施の形態2のフラッシュメモリのデータ書き込み動作におけるメモリセルの各部への印加電圧の一例を示す断面図である。図19は、図17のA−A線に沿った断面図である。
データ書き込みの際には、アシスト容量素子CA以外の部分については、実施の形態1において図4を用いて説明した動作と略同様の動作を行う。まず、実施の形態1と同様の動作により、基板1Sとp型のウエルHPW1およびHPW2との電気的な分離を行う。また、実施の形態1と同様の動作により、データ読み出し用のMISFETQRおよび選択MISFETQSのp型のウエルHPW2に例えば8V程度の正の電圧を印加し、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEのp型のウエルHPW1に例えば−8V程度の負の電圧を印加する。さらに、選択MISFETQSのゲート電極FGSに、例えば8V程度の正の電圧を印加するか、あるいは、ゲート電極FGSを開放状態(図19では「Open」と表記)にする。
一方、本実施の形態2では、実施の形態1と異なり、制御ゲート配線CG2から導体部7gを通じて、アシスト容量素子CAのp型の半導体領域21に、例えば8V程度の正の電圧を印加する。このとき、矢印AW17により模式的に示すように、導体部7gと接続されたp型の半導体領域21とn型のウエルHNW1との間の電位差は約0Vに等しい。矢印AW17は、矢印の始端から終端にかけての電位差が約0Vに等しいことを意味する。
以上のように、n型の埋込ウエルDNW、および、データ読み出し用のMISFETQRである容量素子Cの下方側の電極であるp型のウエルHPW2には、例えば8V程度の正の電圧が印加される。また、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEの下方側の電極であるp型のウエルHPW1には、p型の半導体領域11を介して、例えば−8V程度の負の電圧、すなわちp型のウエルHPW2に印加される電圧の極性と逆極性の電圧が印加される。さらに、アシスト容量素子CAのn型のウエルHNW1に、例えば8V程度の正の電圧が印加される。
このような電圧の印加により、p型のウエルHPW1とp型のウエルHPW2とが各々個別に制御され、n型のウエルHNW1がp型のウエルHPW2と同電位になるように制御される。これにより、電子e−が、チャネル全面のFNトンネル電流によりp型のウエルHPW1から容量絶縁膜10aを通じて容量電極FGC1に注入されるか、または、正孔がFNトンネル電流により容量電極FGC1から放出されることにより、データが書き込まれる。
データ書き込みの際は、容量素子Cとアシスト容量素子CAとは、浮遊ゲート電極FGを介して並列に接続され、容量素子CWEは、容量素子Cおよびアシスト容量素子CAのいずれとも、浮遊ゲート電極FGを介して直列に接続される。
本実施の形態2でも、実施の形態1と同様に、容量素子Cの容量値を容量値CAPrとし、容量素子CWEの容量値を容量値CAPweとする。また、容量素子Cの下方側の電極であるp型のウエルHPW2と、容量素子Cの上方側の電極であるゲート電極FGRとの間の電位差を電位差Vrとする。また、容量素子CWEの下方側の電極であるp型のウエルHPW1と、容量素子CWEの上方側の電極である容量電極FGC1との間の電位差を電位差Vweとする。
一方、本実施の形態2では、アシスト容量素子CAの容量値を容量値CAPaとし、アシスト容量素子CAの下方側の電極であるn型のウエルHNW1と、アシスト容量素子CAの上方側の電極である容量電極FGC2との間の電位差を電位差Vaとする。前述したように、容量素子Cとアシスト容量素子CAとは、浮遊ゲート電極FGを介して並列に接続されるため、電位差Vaは電位差Vrに等しい。
このとき、容量値CAPrと容量値CAPaと容量値CAPweとの総和に対する、容量値CAPrと容量値CAPaとの和の比を増加させることにより、上記式(1)に示すカップリング比RC1を増加させることができ、容量素子CWEの電位差Vweを増加させることができる。これにより、容量素子CWEにおいて、電子がFNトンネル電流により容量電極FGC1に注入されやすくなるか、または、正孔がFNトンネル電流により容量電極FGC1から放出されやすくなる。
容量素子C、アシスト容量素子CAおよび容量素子CWEは、好適には、容量値CAPr、容量値CAPaおよび容量値CAPweが、下記式(8)
CAPr+CAPa>CAPwe (8)
を満たすように、設計されている。上記式(8)を満たすことにより、上記式(1)に示すように、カップリング比RC1を0.5よりも大きくすることができ、電位差Vweを電位差Vrおよび電位差Vaよりも大きくすることができる。そのため、容量素子Cと比べ、容量素子CWEにおいて、電子がFNトンネル電流により容量電極FGC1に注入されやすくなるか、または、正孔がFNトンネル電流により容量電極FGC1から放出されやすくなる。
実施の形態1と同様に、ゲート電極FGRのX軸方向の長さを長さLNrとし、ゲート電極FGRのY軸方向の幅を幅WDrとする。また、容量電極FGC1のX軸方向の長さを長さLNweとし、容量電極FGC1のY軸方向の幅を幅WDweとする。このとき、ゲート電極FGRの面積Srは、上記式(4)により示され、容量電極FGC1の面積Sweは、上記式(5)により示される。
また、容量電極FGC2のX軸方向の長さを長さLNaとし、容量電極FGC2のY軸方向の幅を幅WDaとする。このとき、容量電極FGC2の面積Saは、下記式(9)
Sa=LNa×WDa (9)
により示される。例えば容量絶縁膜10aおよび10d、ならびに、ゲート絶縁膜10bの各々の厚さおよび誘電率が等しい場合には、下記式(10)
Sr+Sa>Swe (10)
を満たすことにより、上記式(8)を満たすことができる。
ここで、データ読み出し用のMISFETQRの容量値CAPrとデータ書き込みおよび消去用の容量素子CWEの容量値CAPweとの比を一定とし、データ読み出し用のMISFETQRの容量値CAPrに対するアシスト容量素子CAの容量値CAPaの比を変化させたときのカップリング比を、図20のグラフに示す。図20の横軸は、容量値CAPrに対する容量値CAPaの比を示し、図20の縦軸は、カップリング比を示す。なお、図20では、容量値CAPrと容量値CAPweとの比が、容量値CAPr:容量値CAPwe=0.686:0.068を満たす場合について示している。
図20のグラフにおいて「書き込み」と表記された曲線は、データ書き込みの際のカップリング比RC1を示す。また、容量値CAPrに対する容量値CAPaの比が0の場合は、アシスト容量素子CAが形成されない場合、すなわち実施の形態1に相当する。
図20のグラフにおいて「書き込み」と表記された曲線に示すように、アシスト容量素子CAが形成された場合(実施の形態2)におけるデータ書き込みの際のカップリング比RC1は、アシスト容量素子CAが形成されない場合(実施の形態1)におけるデータ書き込みの際のカップリング比RC1よりも大きい。したがって、アシスト容量素子CAを形成することにより、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEにおいて、電子を、p型のウエルHPW1からFNトンネル電流により容量絶縁膜10aを通じて容量電極FGC1に容易に注入し、容易にデータを書き込むことができる。
また、図20において「書き込み」と表記された曲線に示すように、アシスト容量素子CAの容量値CAPaの増加に伴って、カップリング比RC1は増加する。したがって、アシスト容量素子CAの容量値CAPaを増加させることにより、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEにおいて、電子を、p型のウエルHPW1からFNトンネル電流により容量絶縁膜10aを通じて容量電極FGC1にさらに容易に注入し、さらに容易にデータを書き込むことができる。
次に、図21は、実施の形態2のフラッシュメモリのデータ消去動作におけるメモリセルの各部への印加電圧の一例を示す断面図である。図21は、図17のA−A線に沿った断面図である。
データ消去の際には、アシスト容量素子CA以外の部分については、実施の形態1において図5を用いて説明した動作と略同様の動作を行う。まず、実施の形態1と同様の動作により、基板1Sとp型のウエルHPW1およびHPW2との電気的な分離を行う。また、実施の形態1と同様の動作により、データ読み出し用のMISFETQRおよび選択MISFETQSのp型のウエルHPW2に例えば−8V程度の負の電圧を印加し、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEのp型のウエルHPW1に例えば8V程度の正の電圧を印加する。さらに、選択MISFETQSのゲート電極FGSに、例えば−8V程度の負の電圧を印加するか、あるいは、ゲート電極FGSを開放状態(図21では「Open」と表記)にする。
一方、本実施の形態2では、実施の形態1と異なり、制御ゲート配線CG2から導体部7gを通じて、アシスト容量素子CAのp型の半導体領域21に、例えば0Vの電圧を印加する。このとき、p型の半導体領域21と、n型のウエルHNW1との界面であって、図21において太線により示される界面IF23におけるpn接合に、逆バイアスが印加され、例えば8V程度の電位差が発生する。また、n型のウエルHNW1の活性領域L5と容量電極FGC2とが平面的に重なる部分の上層、すなわちチャネルに相当する領域CHaに、空乏層DLが形成される。そして、空乏層DLと、n型のウエルHNW1との界面であって、図21において太線により示される界面IF23におけるpn接合に、逆バイアスが印加され、例えば8V程度の電位差が発生する。
以上のように、n型の埋込ウエルDNWには、データ書き込みの際にn型の埋込ウエルDNWに印加された電圧の極性と同極性の電圧が印加される。また、データ読み出し用のMISFETQRである容量素子Cの下方側の電極であるp型のウエルHPW2には、例えば−8V程度の負の電圧、すなわちデータ書き込みの際にn型の埋込ウエルDNWに印加された電圧の極性と逆極性の電圧が印加される。また、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEの下方側の電極であるp型のウエルHPW1には、例えば8V程度の正の電圧、すなわちデータ書き込みの際にn型の埋込ウエルDNWに印加された電圧の極性と同極性の電圧が印加される。さらに、アシスト容量素子CAのn型のウエルHNW1に、例えば0Vの電圧が印加される。
このような電圧の印加により、p型のウエルHPW1とp型のウエルHPW2とが各々個別に制御され、n型のウエルHNW1がp型のウエルHPW1と同電位になるように制御される。これにより、容量電極FGC1である浮遊ゲート電極FGに蓄積された電子e−が、チャネル全面のFNトンネル電流により容量絶縁膜10aを通じてp型のウエルHPW1に放出されるか、または、正孔がFNトンネル電流により容量電極FGC1に注入されることにより、データが消去される。
領域CHaに空乏層DLが形成されない場合、容量素子CWEの下方側の電極であるp型のウエルHPW1と、領域CHaとの間の電位差が約0Vに等しくなる。このとき、容量素子CWEとアシスト容量素子CAとは、浮遊ゲート電極FGを介して並列に接続され、容量素子Cは、容量素子CWEおよびアシスト容量素子CAのいずれとも、浮遊ゲート電極FGを介して直列に接続されることになる。そのため、上記式(1)に示すカップリング比RC1が小さくなる。
一方、p型の半導体領域21に例えば0Vの電圧が印加され、領域CHaに空乏層DLが形成される場合には、n型のウエルHNWに印加された8V程度の正の電圧は、領域CHaに印加されない。これにより、上記式(1)に示すカップリング比RC1は、領域CHaに空乏層DLが形成されない場合に比べて大きくなる。したがって、領域CHaに空乏層DLが形成される場合、領域CHaに空乏層DLが形成されない場合に比べ、容量素子CWEにおいて、電子がFNトンネル電流により容量電極FGC1から放出されやすくなるか、または、正孔がFNトンネル電流により容量電極FGC1に注入されやすくなる。
ここで、アシスト容量素子CAのp型の半導体領域21に印加する電圧を電圧Vaaとし、容量素子CWEの下方側の電極であるp型のウエルHPW1に印加する電圧を電圧Vweaとする。そして、電圧Vaaが0Vの場合(Vaa=0)、および、電圧Vaaが電圧Vweaに等しい場合(Vaa=Vwea)において、容量値CAPrに対する容量値CAPaの比を変化させたときのカップリング比RC1を、図20のグラフに示す。
図20において「消去(Vaa=0)」と表記された曲線が、電圧Vaaが0Vの場合を示す。また、図20において「消去(Vaa=Vwea)」と表記された曲線が、電圧Vaaが電圧Vweaに等しい場合を示す。
図20において「消去(Vaa=0)」と表記された曲線、および、「消去(Vaa=Vwea)」と表記された曲線に示すように、電圧Vaaが0Vの場合、電圧Vaaが電圧Vweaに等しい場合に比べ、カップリング比RC1が大きい。したがって、p型の半導体領域21に例えば0Vの電圧を印加することにより、電子を、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEのp型のウエルHPW1から、FNトンネル電流により容量絶縁膜10aを通じて容量電極FGC1である浮遊ゲート電極FGに容易に注入し、容易にデータを消去することができる。
次に、図22は、実施の形態2のフラッシュメモリのデータ読み出し動作におけるメモリセルの各部への印加電圧の一例を示す断面図である。図22は、図17のA−A線に沿った断面図である。
データ読み出しの際には、アシスト容量素子CAおよび容量素子CWE以外の部分に対しては、実施の形態1において図6を用いて説明した動作と略同様の動作を行う。まず、実施の形態1と同様の動作により、基板1Sとp型のウエルHPW1およびHPW2との電気的な分離を行う。また、実施の形態1と同様の動作により、データ読み出し用のMISFETQRのp型のウエルHPW2に例えば0Vの電圧を印加し、選択MISFETQSのゲート電極FGSに、例えば電源電圧Vccとしての3V程度の電圧を印加する。
一方、本実施の形態2では、実施の形態1と異なり、データ書き込みおよび消去用のビット線WBLから導体部7cを通じて、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEのp型の半導体領域11、n型の半導体領域12およびp型のウエルHPW1に、例えば電源電圧Vccとしての3V程度の電圧を印加する。このとき、p型の半導体領域11およびp型のウエルHPW1は、p型の半導体同士であるため、矢印AW33により模式的に示すように、p型の半導体領域11とp型のウエルHPW1との間の電位差は約0Vに等しい。矢印AW33は、矢印の始端から終端にかけての電位差が約0Vに等しいことを意味する。また、p型の半導体領域11とp型のウエルHPW1との間の電位差は約0Vに等しいため、矢印AW34により模式的に示すように、n型の半導体領域12とp型のウエルHPW1との間の電位差も約0Vに等しい。矢印AW34は、矢印の始端から終端にかけての電位差が約0Vに等しいことを意味する。
また、本実施の形態2では、実施の形態1と異なり、制御ゲート配線CG2から導体部7gを通じて、アシスト容量素子CAのp型の半導体領域21に、例えば電源電圧Vccとしての3V程度の電圧を印加する。このとき、矢印AW35およびAW36により模式的に示すように、p型の半導体領域21とn型のウエルHNW1との間の電位差は約0Vに等しい。矢印AW35およびAW36は、矢印の始端から終端にかけての電位差が約0Vに等しいことを意味する。
なお、p型のウエルHPW1とn型のウエルHNW1との界面におけるpn接合に、順バイアスが印加されるので、矢印AW37により模式的に示すように、p型のウエルHPW1とn型のウエルHNW1との間の電位差は約0Vに等しい。矢印AW37は、矢印の始端から終端にかけての電位差が約0Vに等しいことを意味する。
以上のように、n型の埋込ウエルDNWには、例えば電源電圧Vccが印加される。また、データ読み出し用のMISFETQRである容量素子Cの下方側の電極であるp型のウエルHPW2に、例えば0Vの電圧が印加され、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEの下方側の電極であるp型のウエルHPW1に、例えば電源電圧Vccが印加される。そしてさらに、アシスト容量素子CAのn型のウエルHNW1に例えば電源電圧Vccが印加された状態で、選択MISFETQSがオン状態となる。このような状態で、データ読み出し用のMISFETQRのチャネルにドレイン電流が流れるか否かにより、選択されたメモリセルに記憶されているデータが0または1のいずれなのかを読み出す。すなわち、データ読み出し用のMISFETQRの一対のn型の半導体領域13の一方のn型の半導体領域13cと、他方のn型の半導体領域13dとの間に流れる電流値に基づいて、メモリセルMC2に記憶されているデータを読み出す。
以上のような電圧の印加により、データ読み出しの際は、容量素子CWEとアシスト容量素子CAとは、浮遊ゲート電極FGを介して並列に接続され、容量素子Cは、容量素子CWEおよびアシスト容量素子CAのいずれとも、浮遊ゲート電極FGを介して直列に接続されることになる。
このとき、容量値CAPrと容量値CAPaと容量値CAPweとの総和に対する、容量値CAPweと容量値CAPaとの和の比を増加させることにより、上記式(7)に示すカップリング比RC2を増加させることができ、容量素子Cの電位差Vrを増加させることができる。これにより、メモリセルMC2に記憶されているデータを読み出す際の信頼性を向上させることができる。
ここで、図20のグラフにおいて「読み出し(選択)」と表記された曲線は、読み出しの際のカップリング比RC2を示す。
図20のグラフにおいて「読み出し(選択)」と表記された曲線に示すように、アシスト容量素子CAが形成された場合(実施の形態2)におけるデータ読み出しの際のカップリング比RC2は、アシスト容量素子CAが形成されない場合(実施の形態1)におけるデータ読み出しの際のカップリング比RC2よりも大きい。また、アシスト容量素子CAの容量値CAPaの増加に伴って、カップリング比RC2は増加する。例えば、アシスト容量素子CAが形成されない場合、カップリング比RC2は、0.1未満であるが、アシスト容量素子CAが形成され、データ読み出し用のMISFETQRの容量値CAPrに対する、アシスト容量素子CAの容量値CAPaの比が0.5以上である場合、カップリング比RC2は0.3よりも大きい。このように、アシスト容量素子CAを形成することにより、データ読み出し用のMISFETQRである容量素子Cの下方側の電極であるp型のウエルHPW2と、上方側の電極であるゲート電極FGRとの間の電位差を大きくすることができ、メモリセルMC2に記憶されているデータを読み出す際の信頼性を向上させることができる。
なお、図20のグラフにおいて「読み出し(非選択)」と表記された曲線は、選択されていないメモリセルMC2、すなわち選択MISFETQSがオン状態となっていないメモリセルMC2の、読み出しの際のカップリング比RC2を示す。この場合、データ書き込み用のビット線RBLから導体部7fを通じて、選択MISFETQSの他方のn型の半導体領域13eに、例えば0Vの電圧が印加される。また、データ書き込みおよび消去用のビット線WBLから導体部7cを通じて、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEのp型のウエルHPW1に、0Vの電圧が印加される。図20のグラフにおいて「読み出し(非選択)」と表記された曲線および「読み出し(選択)」と表記された曲線に示すように、選択されていないメモリセルMC2におけるデータ読み出しの際のカップリング比RC2は、選択されたメモリセルMC2におけるデータ読み出しの際のカップリング比RC2よりも小さい。
<半導体装置の製造方法>
本実施の形態2の半導体装置の製造方法では、実施の形態1の半導体装置の製造方法において、p−型の半導体領域11aを形成する際に、アシスト容量素子CAが形成される領域のうち、p型の不純物を注入する領域IPP3(図17参照)において、p−型の半導体領域21aを形成する。また、本実施の形態2の半導体装置の製造方法では、実施の形態1の半導体装置の製造方法において、p+型の半導体領域11bを形成する際に、アシスト容量素子CAが形成される領域のうち、p型の不純物を注入する領域IPP3(図17参照)において、p+型の半導体領域21bを形成する。それ以外の点については、本実施の形態2の半導体装置の製造方法は、実施の形態1の半導体装置の製造方法と同様にすることができる。
<本実施の形態の主要な特徴と効果>
本実施の形態2の半導体装置におけるメモリセルMC2は、実施の形態1の半導体装置におけるメモリセルMC1と同様に、データ書き込みおよび消去用の容量素子CWEと、データ読み出し用のMISFETQRと、選択MISFETQSとを有する。また、本実施の形態2の半導体装置におけるメモリセルMC2は、実施の形態1の半導体装置におけるメモリセルMC1と異なり、アシスト容量素子CAを有する。
アシスト容量素子CAは、n型のウエルHNWのうち、p型のウエルHPW1とp型のウエルHPW2との間の部分であるn型のウエルHNW1に形成されている。そのため、本実施の形態2における1つのメモリセルMC2が形成される領域ARmc2(図17参照)の面積を、実施の形態1における1つのメモリセルMC1が形成される領域ARmc1(図2参照)の面積と等しくすることができる。そのため、本実施の形態2の半導体装置は、例えばメモリセル1個分の面積を小さくすることができるなど、実施の形態1の半導体装置と同様の効果を有する。
さらに、本実施の形態2の半導体装置における1つのメモリセルMC2は、アシスト容量素子CAを有することにより、実施の形態1に比べ、データ書き込みの際のカップリング比RC1を大きくすることができる。また、データ書き込みの際のデータ書き込みおよび消去用の容量素子CWEの下方側の電極であるp型のウエルHPW1と、上方側の電極である容量電極FGC1との間の電位差を大きくすることができる。したがって、実施の形態1に比べ、容量素子CWEにおいて、電子がFNトンネル電流により容量電極FGC1に注入されやすくなることなどにより、データの書き込みを容易に行うことができる。
一方、実施の形態1の半導体装置において、容量値CAPrが容量値CAPweよりも大きい場合には、データ読み出しの際に、データ読み出し用のMISFETQRである容量素子Cの下方側の電極であるp型のウエルHPW2と、上方側の電極であるゲート電極FGRとの間の電位差を容易に大きくすることができない。
しかし、本実施の形態2の半導体装置においては、データ読み出しの際に、アシスト容量素子CAにおけるp型の半導体領域21に印加する電圧を調整することにより、実施の形態1に比べ、データ読み出しの際のカップリング比RC2を容易に大きくすることができる。これにより、データ読み出し用のMISFETQRである容量素子Cの下方側の電極であるp型のウエルHPW2と、上方側の電極であるゲート電極FGRとの間の電位差を大きくすることができ、メモリセルMC2に記憶されているデータを読み出す際の信頼性を向上させることができる。
なお、本実施の形態2におけるデータ消去の際のカップリング比RC1は、実施の形態1におけるデータ消去の際のカップリング比RC1に比べれば、若干小さくなる。しかし、実施の形態1におけるデータ読み出しの際のカップリング比RC2は例えば0.1未満であるものの、本実施の形態2におけるデータ読み出しの際のカップリング比RC2は例えば0.3よりも大きくなる。したがって、本実施の形態2におけるメモリセルMC2に記憶されているデータを読み出す際の信頼性を向上させる効果は、実施の形態1に比べて大きい。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。