以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
最初に、図1〜5を参照して、本発明の実施の形態1の加速度センサの構成について説明する。図2において、紙面に対して垂直方向が加速度センサの検出軸方向である。図3および図4において、上下方向が加速度センサの検出軸方向である。
図1を参照して、本実施の形態の加速度センサ100は、センサ素子構造体101と、容量−電圧変換回路(検出手段)102と、サーボ制御回路103(制御手段)とを主に備えている。
さらに図2〜図4を参照して、センサ素子構造体101は、基板1と、アンカー5と、変位部材7と、検出電極8と、絶縁膜9と、第1の駆動電極11と、第2の駆動電極21とを主に有している。変位部材7は、慣性質量体3と、リンク梁4と、ねじれ梁6と、検出フレーム70とを含んでいる。
基板1としては、シリコン基板を用いることができる。また、リンク梁4、アンカー5、ねじれ梁6、検出フレーム70、検出電極8、第1の駆動電極11、第2の駆動電極21としては、導電性ポリシリコン(多結晶シリコン)膜を用いることができる。ポリシリコン膜は低応力で、かつ応力分布がないことが望ましい。また、絶縁膜9としては、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜を用いることができる。
基板1上に絶縁膜9を介してアンカー5が支持されている。絶縁膜9は基板1上に設けられている。また、絶縁膜9は基板1の表面を覆うように設けられている。変位部材7はアンカー5に支持され、加速度が印加されることによって変位するように構成されている。ねじれ梁6はアンカー5に支持されている。ねじれ梁6はねじれ軸線Tを中心としてねじれることができる。アンカー5にねじれ梁6を介して検出フレーム70が支持されている。検出フレーム70は、ねじれ軸線Tを中心に基板1に対して回転可能にねじれ梁6に支持されている。検出フレーム70は、基板1の表面に対して面外に変位可能に基板1に支持されている。ここで、基板1の表面に対して面外とは、基板1の表面に沿わない方向を意味する。
リンク梁4は平面視においてねじれ軸線Tからずれた仮想線上で検出フレーム70に支持されている。慣性質量体3は、基板1と検出フレーム70とが対向する方向に基板1に対して変位可能にリンク梁4に支持されている。慣性質量体3は基板1の厚み方向に変位可能に構成されている。
検出電極8は変位部材7と対向して配置されている。検出電極8は、変位部材7との間に静電容量を形成するように構成されている。そして、変位部材7と検出電極8との間の静電容量の変化によって変位部材7の変位が検出される。検出電極8は、検出フレーム70に対向するように絶縁膜9を介して基板1上に配置されている。
検出電極8は、平面視においてねじれ軸線Tを挟んで配置された第1および第2の検出電極81、82を含んでいる。検出フレーム70がねじれ梁6のねじれ軸線Tまわりに回転された場合、第1および第2の検出電極81、82は、検出フレーム70の基板1と対向する面に、一方が接近するとともに、他方が遠ざかるように構成されている。平面視において第1および第2の検出電極81、82は等しい面積を有していてもよい。
第1および第2の駆動電極11、21は、変位部材7の変位方向に変位部材7と対向するように設けられている。具体的には、第1および第2の駆動電極11、21は、検出フレーム70に対向するように絶縁膜9を介して基板1上に配置されている。第1および第2の駆動電極11、21は電圧が印加されることによって、変位部材7との間に発生する静電力により変位部材7を駆動するように構成されている。検出フレーム70がねじれ梁6のねじれ軸線Tまわりに回転された場合、第1および第2の駆動電極11、21は、検出フレーム70の基板1と対向する面に、一方が接近するとともに、他方が遠ざかるように構成されている。
ここで、第1の駆動電極11は、第2の駆動電極21よりも平面視における面積が小さく、検出フレーム70との対向面積も小さくなるように設けられている。この対向面積は変位部材7に対向する第1および第2の駆動電極11、21の面積である。本実施の形態では、具体的には、検出フレーム70に対向する第1および第2の駆動電極11、21の面積である。第1の駆動電極11と検出フレーム70との対向面積が第1の対向面積S1であり、第2の駆動電極21と検出フレーム70との対向面積が第2の対向面積S2である。
また、加速度検出軸方向に重力が印加されている状態での、検出フレーム70と第1の駆動電極11との距離が第1の間隔ds1oであり、検出フレーム70と第2の駆動電極との距離が第2の間隔ds2oである。ここで、検出フレーム70と第1および第2の駆動電極11との距離は、第1および第2の駆動電極11、21のそれぞれの真ん中の位置での検出フレーム70との距離である。
加速度検出方向に重力のような一定の加速度が印加されており、変位部材7と第1および第2の駆動電極11、21との間にそれぞれ電圧が印加されていない初期状態において、下記の式1を満たすように、第1の対向面積S1と第2の対向面積S2とが設定されている。つまり、第1の対向面積S1/第2の対向面積S2が、第1の間隔ds1o/第2の間隔ds2oの2乗に等しいという関係がある。ここで、第1の対向面積S1/第2の対向面積S2と、第1の間隔ds1o/第2の間隔ds2oの2乗との差が1%以下であれば上記関係に該当する。
また、第1の対向面積S1>第2の対向面積S2かつ第1の間隔ds1o>第2の間隔ds2oおよび第1の対向面積S1<第2の対向面積S2かつ第1の間隔ds1o<第2の間隔ds2oのいずれかの関係があればよい。ここで第1の対向面積S1と第2の対向面積S2との差および第1の間隔ds1oと第2の間隔ds2oとの差はそれぞれ1%以上であれば上記関係に該当する。
容量−電圧変換回路(検出手段)102は、加速度が印加されることによって生じる変位部材7の変位を検出するように構成されている。容量−電圧変換回路102は、第1および第2の検出電極81、82に接続されており、第1および第2の検出電極81、82と変位部材7との2つの静電容量の差分に応じた電圧を出力可能に構成されている。
サーボ制御回路(制御手段)103は、容量−電圧変換回路(検出手段)102が検出した変位部材7の変位に応じて、第1および第2の駆動電極11、21の少なくともいずれかに電圧を印加し、初期位置に変位部材7を駆動するように制御するよう構成されている。ここで初期位置は、初期状態における変位部材7の位置である。サーボ制御回路103は、容量−電圧変換回路102からの出力に基づき、第1および第2の駆動電極11、21に印加する電圧値を算出し、電源によって第1および第2の駆動電極11、21に電圧を印加可能に構成されている。
そして、本実施の形態の加速度センサ100は、変位部材7を初期位置に駆動するようにサーボ制御回路(制御手段)103によって印加された電圧に基づいて、印加された加速度が検出される。なお、加速度センサの動作については後で詳しく説明する。
次に、図6〜図13を参照して、本実施の形態の加速度センサのセンサ素子構造体101の製造工程の一例について説明する。上記構造は、たとえば、シリコン基板上に成膜、パターニング、エッチングといったプロセスを繰り返し行う、いわゆる半導体微細加工技術、MEMSデバイス製造技術によって作製することができる。
図6〜図13は、図3の断面位置に対応する製造工程における図である。図6を参照して、基板1の上にLPCVD(Low Pressure Chemical Vapor Deposition)法により酸化シリコンによる絶縁膜9が成膜される。図7を参照して、絶縁膜9の上に導電性ポリシリコン膜201が成膜される。図8を参照して、導電性ポリシリコン膜201のパターニング、エッチングが行われ、図3に示す第1および第2の駆動電極、第1および第2の検出電極となる部分が形成される。
図9を参照して、絶縁膜9および導電性ポリシリコン膜201の上にPSG(Phosphosilicate Glass)膜202が成膜される。図10を参照して、PSG膜202のパターニング、エッチングが行われ、図3に示すアンカーが形成される部分に穴が形成される。図11を参照して、この穴を埋め込むように絶縁膜9およびPSG膜202の上に導電性ポリシリコン膜203が成膜される。図12を参照して、導電性ポリシリコン膜203のパターニング、エッチングが行われ、図3に示す慣性質量体、アンカー、検出フレームとなる部分が形成される。
図13を参照して、最後にPSG膜202がエッチングにより除去され、本実施の形態の加速度センサが作製される。したがって、図13に示す導電性ポリシリコン膜201、203は、図2および図3に示す慣性質量体3、リンク梁4、アンカー5、ねじれ梁6、検出フレーム70、検出電極8、第1の駆動電極11、第2の駆動電極21の各部に対応する。
次に、本実施の形態の加速度センサを構成する部材間の電気的な接続について説明する。慣性質量体3、リンク梁4、アンカー5、ねじれ梁6、検出フレーム70は、それぞれ等電位になるように電気的に接続されている。一方、基板1と、第1および第2の検出電極81、82、第1および第2の駆動電極11、21とは絶縁膜9を介しており、基板1は上記のいずれの部位とも電気的に接続されていない。
また、図14を参照して、第1および第2の検出電極81、82と検出フレーム70との間にはそれぞれ静電容量Cd1、Cd2が形成される。同様に、検出フレーム70と第1の駆動電極11との間には静電容量Cs1が、検出フレームと第2の駆動電極21との間には静電容量Cs2が形成される。
ここで容量−電圧変換回路102についてさらに詳しく説明する。
図15を参照して、センサ素子構造体101で形成される静電容量Cd1、Cd2と併せ、容量−電圧変換回路102は図に示すように構成される。図中Vdに一定の電圧が印加されると、出力Voutは次の式2で表される。
検出フレーム70のねじれ軸線Tを中心とした回転変位によって静電容量Cd1、Cd2が変化すると、変位に対して(Cd1/(Cd1+Cd2))は、比例して変化し、検出フレーム70の回転変位に応じたVoutを得ることができる。
そして、容量−電圧変換回路102の出力に基づき、検出フレーム70の変位信号が一定の値となるように、第1および第2の駆動電極11、21の選択、印加電圧の算出、電圧印加がサーボ制御回路103よって行われる。
なお、本実施の形態の加速度センサの使用においては、静電容量の電圧への変換、第1および第2の駆動電極11、21への電圧印加のために、センサ素子構造体101と容量−電圧変換回路102とサーボ制御回路103との電気的な接続が行われる。これらの接続は、アンカー5、第1および第2の検出電極81、82、第1および第2の駆動電極11、21等から基板1上の配線パターンやボンディングワイヤによって可能であり、図示しない。
次に、本実施の形態の加速度センサの動作および作用効果について、比較例の加速度センサと比較して説明する。
図16および図17を参照して、この比較例の加速度センサのセンサ素子構造体101では、第1および第2の駆動電極11、21は、それぞれ検出フレーム70との対向面積S1、S2が等しくなるように設けられている。
図18を参照して、紙面上向き(正方向)の加速度の印加により、慣性質量体3が基板1に近づく方向に慣性力Faを受けて変位する。このとき、図示しないリンク梁およびねじれ梁でそれぞれ慣性質量体3とアンカー5とに接続された検出フレーム70は、リンク梁およびねじれ梁の変形による復元力とつりあうようにねじれ軸まわりに回転変位する。この回転変位により第1および第2の検出電極81、82と検出フレーム70とのギャップ間隔がそれぞれ変化し、静電容量Cd1は増加、静電容量Cd2は減少し、容量−電圧変換回路の出力が変化し、検出フレーム70の回転変位、さらに慣性質量体3の変位を知ることができる。
図19を参照して、ここで第2の駆動電極21に電圧Vs21が印加されると、検出フレーム70との間に形成されている静電容量Cs21に静電力Fs21が生じる。静電力Fs21は、印加電圧Vs21、検出フレームと駆動電極21とのギャップ間隔ds21、対向面積s21を用いて、次式で示される。ここでεは誘電率である。
静電力Fs21により、ねじれ軸周りの回転を、もとに戻す方向に検出フレーム70を回転させることができる。結果、図20に示すように、印加加速度による慣性力Faと、梁の復元力および電圧印加による静電力Fs21とがつりあう位置に検出フレーム70は変位する。印加電圧Vs21により、発生する静電力Fs21を変化させることできるので、検出フレーム70の回転変位を0とするようにVs21を制御することができる。検出フレーム70の回転変位を0にするための静電力Fs21は、印加加速度の大きさに比例する。ここで、検出フレーム70の回転変位を0とするような印加電圧Vs21を印加電圧Vs21oとする。印加電圧Vs21oおよび検出フレーム70の回転変位はいずれも印加加速度Gに対して単調関数であるから、印加加速度Gに対して、印加電圧Vs21oは一意に定まる。すなわち、検出フレーム70の変位に基づく容量−電圧変換回路の出力を目標値、印加電圧を制御量とするサーボ制御を適用し、印加電圧に基づき正方向の加速度検出を行うことができる。
図21を参照して、印加加速度Gと、相当する第2の駆動電極21への印加電圧Vs21oとの関係は、式3に示すように、ギャップ間隔が一定のもとでは、発生する静電力の大きさは印加電圧Vsの2乗に比例するから、概ね図に示すような関係となる。
また、図示しないが、紙面下向き(負方向)の加速度の印加により、慣性質量体3が基板1から離れる方向に慣性力Faを受けて変位する場合にも、同様に、第1の駆動電極11に対して電圧Vs11を印加し、回転変位を0とする印加電圧Vs11oに基づいた加速度検出を行うことができる。すなわち、図22に示すように、加速度の正負にかかわらず、検出フレーム70の回転変位を0にするように、電圧を印加する第1および第2の駆動電極11、21および印加電圧を制御することにより、加速度検出を行うことができる。
図22に示す印加加速度Gと、変位を0にするための印加電圧Vsとの関係において、その傾き、すなわち、印加加速度Gの変化ΔGに対する、印加電圧Vsの変化ΔVsに注目すると、図23に示すように、絶対値が大きな印加加速度域では、相対的に、(ΔVs/ΔG)が小さくなっていくことがわかる。これは、印加電圧に基づいて加速度を検出する方式では、絶対値が大きな印加加速度域では相対的に検出分解能が下がり、検出分解能が印加加速度域により変化することを意味している。
続いて、加速度センサに重力が作用する状態での比較例の加速度センサの動作を説明する。図24を参照して、一例として、車両の上下方向の振動等を検出する目的で、この比較例の加速度センサを基板面を車両の底面とほぼ平行に、すなわち加速度の検出軸方向に重力が加わるように設置して使用する場合を想定する。
図25を参照して、この加速度センサには、一定の加速度として重力が常時印加されているため、重力加速度+1G(G:重力加速度9.8m/s2)により、センサ素子構造体101の慣性質量体3は、下方に変位する。
図26を参照して、この状態で、車両の走行等によって、車両に上下方向の振動が加わり、この振動に伴う加速度を検出する場合には、重力加速度+1G付近を基準に、振動等の運動に伴う加速度が加わることになる。
そのため、車両の上下方向の振動に伴う加速度を検出する際には、重力加速度分がオフセットとして加わっていることになり、物体が振動していない状態でも、加速度センサの慣性質量体3は変位し、検出フレーム70は重力により水平にはならず、重力以外の物体の振動に伴う加速度が同じ大きさでも、その加速度の正負によって、サーボ制御のための印加電圧が異なり、検出特性の対称性が損なわれる。さらに、物体の振動に伴う加速度が同じ大きさでも、その正負によって、検出分解能が異なってしまうという問題がある。一般に、加速度検出範囲を低加速度域とする加速度センサでは、重力加速度による変位が、検出範囲に対して相対的に大きな割合を占めるようになるため、この問題の影響は低加速度域を検出する加速度センサで顕著となる。
これに対して、本実施の形態の加速度センサでは、比較例の加速度センサと同様に、検出フレームの変位に基づく容量−電圧変換回路の出力を目標値、印加電圧を制御量とするサーボ制御を適用し、印加電圧に基づき正方向の加速度検出を行うができる。そして、サーボ制御の際の目標とする、検出フレームの回転変位を、重力が印加されているときの変位とし、制御が行われる。本実施の形態の加速度センサについて以下に詳しく説明する。
図27を参照して、本実施の形態の加速度センサが加速度検出軸方向に重力が加わるように設置されると、センサ素子構造体101の慣性質量体3は紙面下方に変位し、検出フレーム70は紙面左回りに回転変位する。このときの変位をそれぞれ上下(直線)変位Z1G、回転変位R1Gとし、このときの容量−電圧変換回路出力をVout1Gとする。また、前述のように、このときの検出フレーム70と第1の駆動電極11との距離が第1の間隔ds1oであり、検出フレーム70と第2の駆動電極21との距離が第2の間隔ds2oである。また、検出フレーム70と第2の駆動電極21との対向面積は対向面積S2である。
この状態で、さらに加速度センサに、検出したい紙面上向きの加速度Gbが印加されると、慣性質量体3はさらに下方に変位し、検出フレーム70はさらに左に回転変位するが、第2の駆動電極21に電圧を印加して発生する静電力により、容量−電圧変換回路出力をVout1Gとするように検出フレーム70の変位を回転変位R1Gに戻すことができる。発生する静電力Fs21の大きさは、式3と同様に考えることができ、次の式4で与えられる。
検出フレーム70の回転変位をR1Gにするための静電力は、印加加速度Gbの大きさに比例する。ここで、検出フレーム70の回転変位をR1Gに戻すような印加電圧Vs21をVs21oとする。印加電圧Vs21oおよび検出フレーム70の回転変位はいずれも印加加速度Gbに対して単調関数であるから、印加加速度に対して、Vs21oは一意に定まる。すなわち、検出フレーム70の変位に基づく容量−電圧変換回路の出力Vout1Gを目標値、印加電圧Vs21を制御量とするサーボ制御を適用し、印加電圧Vs21oに基づき正方向の加速度検出を行うことができる。
また、検出フレームの回転変位がR1Gの状態で、加速度センサに、紙面下向きの加速度Gbが印加されると、慣性質量体3は上方に変位し、検出フレーム70は右に回転変位するが、第1の駆動電極11に電圧を印加して発生する静電力により、変位を回転変位R1Gに戻すことができる。前述のとおり、検出フレーム70と第1の駆動電極11との対向面積は対向面積S1である。発生する静電力Fs11の大きさは、次の式5で与えられる。
この場合にも、同様に、第1の駆動電極11に対して電圧Vs11を印加し、回転変位をR1Gに戻すような印加電圧Vs11oに基づいた加速度検出を行うことができる。したがって、印加加速度Gbの正負にかかわらず、検出フレーム70の回転変位をR1Gに戻すよう、電圧を印加する第1および第2の駆動電極11、21および印加電圧を制御することにより、印加加速度の検出を行うことができる。
ここで、上記式1に示す関係があるから、上記式4および上記式5での、印加電圧の2乗と発生する静電力の大きさとの間の比例定数は次の式6のように、それぞれ等しくなる。
図28を参照して、本実施の形態の加速度センサでは、検出したい印加加速度Gbと、相当する第2の駆動電極21への印加電圧Vs21oとの関係は、概ね図に示すような関係となる。ここで、横軸の印加加速度Gには重力加速度による+1Gを含めた加速度として図示している。
図28に示すように、本実施の形態の加速度センサによれば、印加加速度Gbの正負によらず、大きさが同じであれば、サーボ制御のための印加電圧Vs11、Vs21は等しく、検出特性の対称性も確保できる。さらに、印加加速度Gbの正負によらず、大きさが同じであれば、検出分解能も同一にできる。
つまり、本実施の形態の加速度センサによれば、第1の対向面積S1/第2の対向面積S2が、第1の間隔ds1o/第2の間隔ds1oの2乗に等しいという関係がある。これにより、重力のような一定の加速度以外の印加されている加速度について、その大きさの正負によらず、加速度と印加電圧との関係が同じになるようにし、加速度の正負の検出特性を対称にすることができる。したがって、重力のような一定の加速度が印加された状態で、この一定の加速度以外の加速度の正負によらず、検出特性の対称性を確保することができる。
なお、本実施の形態の加速度センサとの対比のため、比較例の加速度センサにおいて、サーボ制御の際の目標とする検出フレームの回転変位をR1Gとした場合について検討する。
図29を参照して、比較例の加速度センサにおいては、印加加速度Gbと、相当する駆動電極への印加電圧Vs21oとの関係は、概ね図に示すような関係となる。図29には本実施の形態の加速度センサでの関係を併せて示されている。同じ回転変位R1Gを目標変位としているサーボ制御を行っており、第1の駆動電極11と検出フレーム70との対向面積S1および、第2の駆動電極21と検出フレーム70との対向面積S2とを同じにしているため、Vs21oは同じ特性となる。
一方、比較例の駆動電極11の面積は、本実施の形態の第1の駆動電極11の面積に較べて大きく、検出フレーム70との対向面積も大きい。このため、同じ電極間距離ds1oで同じ印加電圧でも、比較例の加速度センサの方が、本実施の形態の加速度センサに較べて、大きな静電力を生じさせる。そのため、図29に示すように、比較例の加速度センサと本実施の形態の加速度センサとでは、Vs11oの特性に差異が生じ、結果として、検出特性の対称性は確保できず、さらに検出分解能も同一にできない。
また、本実施の形態の加速度センサにおいては、第1の駆動電極11と検出フレーム70との第1の対向面積s1と第2の駆動電極21と検出フレーム70との第2の対向面積s2との比と、一定の力や加速度が印加されている状態での、検出フレーム70と第1の駆動電極11との距離である第1の間隔ds1oと検出フレーム70と第2の駆動電極との距離である第1の間隔ds2oとの比の2乗とが等しくなるようにしている。しかし、第1の対向面積S1>第2の対向面積S2、かつ第1の間隔ds1o>第2の間隔ds2o、あるいは第1の対向面積S1<第2の対向面積S2、かつ第1の間隔ds1o<第2の間隔ds2oであれば、印加される加速度の正負の検出特性を対称に近づけることができ、印加される加速度の正負の検出分解能の差異を小さくすることができる。
つまり、本実施の形態の加速度センサによれば、第1の対向面積S1>第2の対向面積S2かつ第1の間隔ds1o>第2の間隔ds2oおよび第1の対向面積S1<第2の対向面積S2かつ第1の間隔ds1o<第2の間隔ds2oのいずれかの関係がある。このため、重力のような一定の加速度以外の印加されている加速度について、その大きさの正負による加速度と印加電圧との関係の差異を小さくすることができる。これにより、重力のような一定の加速度が印加された状態で、この一定の加速度以外の加速度の正負によらず、加速度の検出特性の対称性を向上することができる。
また、本実施の形態の加速度センサによれば、一定の加速度は重力加速度(9.8m/s2)である。このため、重力が働くもとで、重力方向の振動等を測定する場合に、重力以外に印加される加速度の検出特性の対称性を確保することができる。そして、印加される加速度の正負によらず、大きさが同じであれば、検出分解能を同一にできる。
また、本実施の形態の加速度センサによれば、変位部材7と検出電極8との間に形成される静電容量の変化を用いて、変位部材7の変位を検出することができる。
また、本実施の形態の加速度センサによれば、加速度による慣性質量体3の変位を検出フレーム70の回転変位に変換することによって、検出電極8を基板1側だけに配置することができる。したがって、いわゆる半導体微細加工技術により構造体を一体に精度良く作製できる。
また、本実施の形態の加速度センサにおいては、検出軸方向に重力が常時作用している場合の動作を説明したが、作用している重力の方向が検出軸方向でなくてもよい。重力のセンサの加速度検出軸方向の成分による変位を目標変位として設定し、この目標変位での、電極の距離、対向面積を上記式1を満たすようにすれば、作用している重力以外の、検出したい印加加速度の検出特性の対称性が確保できる。そして、印加される加速度の正負によらず、大きさが同じであれば、検出分解能を同一にできる。
また、本実施の形態の加速度センサにおいては、重力が常時作用している場合の動作を説明した。しかし、たとえば、一定の力や等加速度運動のような一定の加速度が作用しているもとであれば、同様に、駆動電極面積、サーボ制御の際の目標変位を設定することにより、常時作用している力や加速度以外に印加されている加速度の検出特性の対称性が確保できる。そして、印加される加速度の正負によらず、大きさが同じであれば、検出分解能を同一にできる。
また、本実施の形態の加速度センサにおいては、検出電極8の内側に第1の駆動電極11、第2の駆動電極21を配しているが、いずれも検出フレーム70との間に静電容量を形成し静電力を発生させることができればよく、平面上の位置や配置に依らない。
また、本実施の形態の加速度センサにおいては、一つの検出フレーム70を慣性質量体3が取り囲む構成であるが、複数の検出フレーム70を慣性質量体3が囲む形態としてもよい。すなわち、図30〜図32を参照して、本実施の形態の一変形例では、慣性質量体3はたとえば2つの検出フレームを囲む。第1および第2のアンカー5a、5bに第1および第2の検出フレーム7a、7bが支持されている。第1および第2のねじれ梁6a、6bと第1および第2のリンク梁4a、4bとの相対的な位置関係を反対にすると、慣性質量体3が基板1の厚み方向に変位する場合には、第1および第2の検出フレーム7a、7bがそれぞれ逆向きに回転変位し、慣性質量体3が傾斜する。あるいは基板1に平行またはほぼ平行な方向(面内方向)に変位する場合には、第1および第2の検出フレーム7a、7bは、同じ方向に回転変位する。
そのため、第1および第2の検出フレーム7a、7bが互いに逆向きに回転変位する場合にのみ感度が高くなるように、第1の検出電極81a、81bと第2の検出電極82a、82bとを、それぞれ接続して静電容量Cd1、Cd2とすることで、検出軸方向以外の加速度に対する感度を抑制し、角速度や角加速度の影響を受けにくくすることができる。
また、本実施の形態の加速度センサにおいては、容量−電圧変換回路102により、検出フレーム70と第1および第2の検出電極81、82との間の静電容量差を電圧に変換することで、検出フレーム70の変位信号を得ているが、変位に応じた信号が得られればよく、回路方式、検出方式等に依らない。
また、本実施の形態の加速度センサにおいては、第1の駆動電極11、第2の駆動電極21、検出電極8を同一平面に作製しているため、実施の形態2にて説明する、上記各電極を同一平面に設けていない加速度センサに較べ、電極の作製のプロセスが簡易になるという効果もある。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2の加速度センサについて説明する。以下、特に説明しない限り、実施の形態1と同一の構成には同一の符号を付し、説明を繰り返さない。本実施の形態の加速度センサは、実施の形態1の加速度センサに対し、駆動電極と検出フレームとの対向面積、駆動電極と検出フレームとの距離に関して異なる形態である。
図33に、本実施の形態の加速度センサのセンサ素子構造体の電極配置を示す、実施の形態1の加速度センサの図5に相当する断面図を示す。図34に、本実施の形態の加速度センサのセンサ素子構造体の電極配置を示す、実施の形態1の加速度センサの図4に相当する断面図を示す。
図33および図34を参照して、本実施の形態の加速度センサのセンサ素子構造体では、第1の駆動電極11と第2の駆動電極21の面積を等しくし、第1および第2の駆動電極と検出フレーム70との対向面積S1、S2が等しくなるように設定されている。また、一定の力や加速度が作用している状態での、第1の駆動電極11と検出フレーム70との距離である第1の間隔ds1oと第2の駆動電極21と検出フレーム70との距離である第2の間隔ds2oとが等しくなっている。
第1の駆動電極11を作製する位置の基板1を凹ませているが、これは実施の形態1の加速度センサのセンサ素子構造体の製造工程において、絶縁膜9を成膜する工程の前に、基板1の第1の駆動電極11に相当する箇所をエッチング等の処理を施すことで実現できる。
本実施の形態の加速度センサにおいても、検出したい印加加速度Gbの正負によらず、印加電圧の2乗と発生する静電力の大きさとの間の比例定数は上記式6のように等しくすることができる。このため、印加加速度Gbの正負によらず、大きさが同じであれば、サーボ制御のための印加電圧Vs11、Vs21は等しく、印加加速度Gbの検出特性の対称性も確保できる。さらに、印加加速度Gbの正負によらず、大きさが同じであれば、検出分解能も同一にできる。
さらに、本実施の形態の加速度センサによれば、図33の上面図に示すように、実施の形態1の加速度センサ素子に較べ、第1の駆動電極11が大きく、検出フレーム70への静電力の印加に際して、より一様に力を加えることができる。
本実施の形態の加速度センサにおいては、第1の駆動電極11を作製する位置の基板1を凹ませることによって、一定の力や加速度が作用している状態での、第1の駆動電極11と検出フレーム70との距離である第1の間隔ds1oと第2の駆動電極21と検出フレーム70との距離である第2の間隔ds2oとを等しくしている。しかし、図35に示す本実施の形態の変形例1のように、第2の駆動電極21を作製する位置の絶縁膜9の厚みを厚くすることによって実現してもよい。あるいは、第2の駆動電極21を構成する材料である導電性ポリシリコン膜の厚みを厚くしてもよい。また、図36に示す本実施の形態の変形例2のように、検出フレーム70に凹凸を作製してもよい。さらに、これらの構造を併用してもよい。
上記の加速度センサにおいては、一定の力や加速度が作用している状態での、第1および第2の検出電極81、82と検出フレーム70との距離d1o、d2oは互いに異なっている。しかし、図37に示す本実施の形態の変形例3のように、一定の力や加速度が作用している状態での、第1および第2の検出電極81、82の検出フレーム70との距離d1o、d2oが等しくなるようにしてもよい。サーボ制御の目標値となる回転変位において、静電容量Cd1とCd2との差が0となり、サーボ制御を容易に行うことができ、電気回路への負担を小さくすることができる。
また、本実施の形態の加速度センサにおいても、第1および第2の検出電極81、82の内側に第1および第2の駆動電極11、21が配置されているが、いずれも検出フレーム70との間に静電容量を形成し静電力を発生させることができればよく、平面上の位置や配置に依らない。
また、本実施の形態の加速度センサにおいても、一つの検出フレーム70を慣性質量体3が取り囲む構成であるが、図30に上面図を示す実施の形態1の形態と同様に、複数の検出フレームを囲む形態としてもよい。これにより、検出軸方向以外の加速度に対する感度を抑制し、角速度や角加速度の影響を受けにくくすることができる。
(実施の形態3)
以下に、本発明の実施の形態3の加速度センサについて説明する。
本実施の形態の加速度センサは、実施の形態1の加速度センサに対し、駆動電極およびサーボ制御回路の構成に関して異なる形態である。
図38に、本実施の形態の加速度センサのセンサ素子構造の電極配置を示す、実施の形態1の加速度センサの図5に相当する断面図を示す。図39に、本実施の形態の加速度センサの構成図を示す。
図38および図39を参照して、本実施の形態の加速度センサでは、第1の駆動電極11は少なくとも1つの第1の電極部111〜118を含んでいる。第2の駆動電極21は少なくとも1つの第2の電極部211〜218を含んでいる。第1および第2の駆動電極11、21は、第1の電極部111〜118に印加される電圧の合計と第2の電極部211〜218に印加される電圧の合計とが異なるように構成されている。
具体的には、第1の駆動電極11および第2の駆動電極21はそれぞれ、等しい面積を有する第1の電極部111〜118、第2の電極部211〜218を有している。言い換えると、第1の駆動電極11および第2の駆動電極21はそれぞれ、第1の電極部111〜118、第2の電極部211〜218に等分割されている。そして、第1の駆動電極11および第2の駆動電極21は、静電力を発生するための電圧印加を選択的に行えるように構成されている。これに対応して、サーボ制御回路103も、第1の電極部111〜118および第2の電極部211〜218に対して電圧を印加するか否かのオン、オフを選択できるスイッチの機能を有するように構成されている。オフを選択した第1および第2の電極部111〜118、211〜218は、検出フレーム70と同じ電位となるようにして、検出フレーム70との間に静電力が働かないように制御される。
次に、本実施の形態の加速度センサの動作について説明する。第1および第2の電極部111〜118、211〜218と検出フレーム70とが形成する静電容量をそれぞれ、Cs11〜Cs18、Cs21〜Cs28とする。実施の形態1において、たとえば、第1の駆動電極11の検出フレーム70との第1の対向面積S1が、第2の駆動電極21と検出フレーム70との第2の対向面積S2に対して5/8であったとすると、本実施の形態の加速度センサでは、第1の電極部111〜118のうちの5つ(たとえば第1の電極部111、112、115、117、118)をオンに、それ以外の3つの電極(たとえば第1の電極部113、114、116)をオフに、第2の駆動電極211〜218の8つすべてをオンにすることで、等価的に第1の駆動電極11の面積が第2の駆動電極21の面積に対して5/8となり、実施の形態1と同じ動作をさせることができる。
本実施の形態の加速度センサにおいても、印加加速度の正負によらず、印加電圧の2乗と発生する静電力の大きさとの間の比例定数は上記式6のように等しくすることができるため、印加加速度の正負によらず、大きさが同じであれば、サーボ制御のための印加電圧Vs11、Vs21は等しく、検出特性の対称性も確保できる。さらに、印加加速度Gbの正負によらず、大きさが同じであれば、検出分解能も同一にできる。
さらに、本実施の形態の加速度センサによれば、センサ素子構造体の設置環境や設置場所、姿勢の変更により、作用する一定の力や加速度が変化した場合にも柔軟に対応し調整することができる。たとえば、分割した第1の駆動電極11のうち、電圧を印加する電極の数を5から4とすることで、ds1o/ds2oが0.79(=(5/8)1/2)から0.71(=(4/8)1/2)の変化に相当する、常時作用する一定の力や加速度の変化に対応できる。
本実施の形態の加速度センサにおいては、第1の駆動電極11と第2の駆動電極21とはそれぞれ8つに等分割されているが、分割数やそれぞれの電極面積の大きさに差異があってもよい。分割数を多くすることで、サーボ制御回路は規模が大きくなるが、より細かな調整が可能となる。
(実施の形態4)
以下に、本発明の実施の形態4の加速度センサについて説明する。
本実施の形態の加速度センサは、実施の形態1の加速度センサに対し、センサ素子構造体の構成に関して異なる形態である。
図40および図41を参照して、本実施の形態の加速度センサのセンサ素子構造体101は、基板1と、基板1に絶縁膜9を介して支持されたアンカー5と、アンカー5に支持された変位部材7とを備えている。変位部材7は、慣性質量体3と、支持梁60と、可動電極71とを備えている。
支持梁60はアンカー5に接続されている。慣性質量体5は、支持梁60に支持されており、加速度が印加されることによって基板1に対して面内方向に変位する。また慣性質量体3は可動電極71と接続されており、可動電極71は慣性質量体3の変位により同じ方向に変位する。可動電極71は慣性質量体3の対向する側面から外方に延在している。本実施の形態では、この可動電極71が実施の形態1での「検出フレーム」として機能する。基板1には、第1の駆動電極11、第2の駆動電極21および検出電極81、82が可動電極71と対向するように、慣性質量体3の対向する側面にそれぞれ櫛歯状に設けられている。なお、図40および図41においては、作図の都合上、各電極をそれぞれ分離して示しているが、同じハッチングで示している電極は、基板1上に設けた配線パターン等(図示せず)により、電気的に等電位になるように接続されている。
ここで、櫛歯状の第1の駆動電極11と可動電極71との距離、第2の駆動電極21と可動電極71との距離はそれぞれ同じになるように作製されている。また第1の駆動電極11は、第2の駆動電極21よりも、可動電極71とのそれぞれの対向面積の総和が小さくなるように設けられている。具体的には、第1の駆動電極11と可動電極71との対向面積の総和が対向面積S41であり、第2の駆動電極21と可動電極71との対向面積の総和が対向面積S42である。そして、加速度検出軸方向に重力が印加されている状態での、可動電極71と第1の駆動電極11との距離が第1の間隔ds1oであり、可動電極71と第2の駆動電極21との距離を第2の間隔ds2oである。このときに、次の式7を満たすように対向面積S41、対向面積S42とが設定されている。
本実施の形態の加速度センサのセンサ素子構造体では、実施の形態1と同様に、図41に示すように、第1および第2の検出電極81、82と可動電極71との間に静電容量Cd1、Cd2が、第1および第2の駆動電極11、21と可動電極71との間に、それぞれ静電容量Cs1、Cs2が形成される。
本実施の形態の加速度センサにおいても、加速度検出軸方向に重力が加わるように設置し、加速度によって変化する、可動電極71と第1および第2の駆動電極11、21との距離である第1および第2の間隔ds1、ds2がそれぞれds1o、ds2oとなるように、第1および第2の駆動電極11、21への電圧印加による静電力によって制御することができる。
本実施の形態の加速度センサにおいても、実施の形態1の加速度センサと同様に、駆動電極面積、サーボ制御の際の目標変位を設定することにより、作用している一定の力や加速度以外に印加されている検出したい加速度について検出特性の対称性が確保でき、検出したい印加される加速度の正負によらず、大きさが同じであれば、検出分解能を同一にできる。
また、本実施の形態では、櫛歯状の第1の駆動電極11と可動電極71との距離、第2の駆動電極21と可動電極71との距離はそれぞれ同じになるように作製され、第1の駆動電極11は第2の駆動電極21よりも、可動電極71とのそれぞれの対向面積の総和が小さくなるように設けられた。しかし、図42を参照して、第1の駆動電極11と可動電極71との対向面積の総和と、第2の駆動電極21と可動電極71との対向面積の総和が同じになるように作製され、櫛歯状の第1の駆動電極11と可動電極71との距離、第2の駆動電極21と可動電極71との距離が異なるように作製されてもよい。上記式1の関係を満たせば、実施の形態1の加速度センサと同様に、駆動電極面積、サーボ制御の際の目標変位を設定することにより、常時作用している一定の力や加速度以外に印加されている加速度の検出特性の対称性が確保でき、印加される加速度の正負によらず、大きさが同じであれば、検出分解能を同一にできる。
また、本実施の形態では、慣性質量体3の対向する側面となる第1および第2の検出電極81、82の外側に第1および第2の駆動電極11、21を配置しているが、第1および第2の検出電極81、82、第1および第2の駆動電極11、21は可動電極71との間に静電容量を形成し、静電力を発生させることができればよく、位置や配置、本数に依らない。また、変位部材7は印加された加速度に応じて基板1に対して面内方向に変位することできればよく、支持梁60の形態や、慣性質量体3の形態、支持方法に依らない。
また、本実施の形態では、櫛歯状の第1および第2の駆動電極が複数個設けられているため、個々の第1および第2の駆動電極と可動電極71との間に働く静電引力が小さくても、合成された静電引力が大きなものとなるため、低い電圧でも強い駆動力を発揮する。したがって、本実施の形態の加速度センサは、駆動力の増加、駆動電圧の低電圧化、駆動精度向上などの利点を有する。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。