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JP2015089910A - 自発巻回性粘着テープ - Google Patents

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JP2015089910A
JP2015089910A JP2013229889A JP2013229889A JP2015089910A JP 2015089910 A JP2015089910 A JP 2015089910A JP 2013229889 A JP2013229889 A JP 2013229889A JP 2013229889 A JP2013229889 A JP 2013229889A JP 2015089910 A JP2015089910 A JP 2015089910A
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一之 木内
Kazuyuki Kiuchi
一之 木内
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Nitto Denko Corp
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Nitto Denko Corp
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Abstract

【課題】近年のモバイル機器に実装されるFPCなど、所定の形状にひねりや曲げ形状を付与して維持させることが要求されている被着体に対して貼り付けることにより、該被着体に所定の形状にひねりや曲げ形状を十分に付与して維持させることができ、また、該被着体から容易に剥がれてしまうことのない、粘着テープを提供する。【解決手段】本発明の自発巻回性粘着テープは、加熱することにより自発的に巻回する粘着テープであって、基材層と、その少なくとも一方の面に設けられる粘着剤層とを有し、該基材層が、少なくとも一層の収縮性フィルム層を含む。【選択図】図1

Description

本発明は自発巻回性粘着テープに関する。詳細には、加熱することにより自発的に巻回する粘着テープに関する。
ノートPCなどのモバイル機器では、小型化や薄型化を目的に、FPC(Flexible Printed Circuit)を使用し、実装体積の極小化を図っている。このようなFPCは、ひねったり、曲げたりしながら実装する場合がある。
近年、モバイル機器の一層の小型化や薄型化が進み、また、多機能化が進んだ結果、FPC自体の取り回しも難しくなり、躯体内に収めるためには、従来よりもタイトにひねったり、曲げたりすることが要求されている。その結果、躯体内に収める際に、他の基板や部品と干渉する機会が増え、断線や破損などの問題が生じている。
このため、FPCの実装時にFPC自体をひねったり、曲げたりするという、FPC自体の曲げ性に頼るだけでは、一層の小型化や薄型化が進んだモバイル機器への実装が困難となってきている。そこで、FPCに対して所定の形状にひねりや曲げ形状を付与して維持させることが要求されている。
このように、FPCに対して所定の形状にひねりや曲げ形状を付与して維持させる方法としては、例えば、FPC自体に形状記憶させることが考えられる。しかし、FPCの代表的な材料であるポリイミドフィルム基板に形状記憶させるためには,400℃近い温度で熱可塑状態にする必要があり、作業性が悪く、量産性に劣る。
FPCに対して所定の形状にひねりや曲げ形状を付与して維持させる方法として、熱収縮応力によって変形するテープ(特許文献1)を利用する方法も考えられる。しかし、このテープは、貼り付けた後に再剥離することを目的とし、FPCとの粘着界面から剥がれてしまうという問題がある。また、このテープは、収縮応力により反りを生じる粘着テープであるため、FPCを十分に曲げて維持するには至らないという問題がある。
特開2000−129227号公報
本発明の課題は、近年のモバイル機器に実装されるFPCなど、所定の形状にひねりや曲げ形状を付与して維持させることが要求されている被着体に対して貼り付けることにより、該被着体に所定の形状にひねりや曲げ形状を十分に付与して維持させることができ、また、該被着体から容易に剥がれてしまうことのない、粘着テープを提供することにある。
本発明の自発巻回性粘着テープは、
加熱することにより自発的に巻回する粘着テープであって、
基材層と、その少なくとも一方の面に設けられる粘着剤層とを有し、
該基材層が、少なくとも一層の収縮性フィルム層を含む。
好ましい実施形態においては、上記基材層が、上記収縮性フィルム層から見て上記粘着剤層側に剛性フィルム層を有する。
好ましい実施形態においては、上記粘着剤層と上記基材層との間にプライマー層を有する。
好ましい実施形態においては、巻回方向の長さをLmm、自発巻回後に形成される巻回体の直径をrmmとしたとき、r/Lが0.0001〜0.999である。
好ましい実施形態においては、上記巻回体の直径rmmが15mm以下である。
好ましい実施形態においては、上記自発巻回性粘着テープを縦50mm×横20mmの大きさに切断して得られるサンプルに、縦50mm×横20mm×厚み50μmのポリイミドフィルムを貼り付け、加熱して形成する巻回体をもとの形状に戻す為に必要な力が0.01N以上である。
好ましい実施形態においては、上記自発巻回性粘着テープを縦50mm×横20mmの大きさに切断して得られるサンプルに、縦50mm×横20mm×厚み50μmのポリイミドフィルムを貼り付け、加熱して形成する巻回体の直径の、該加熱後に25℃で1時間放置した後の変化が、±20%以内である。
本発明によれば、近年のモバイル機器に実装されるFPCなど、所定の形状にひねりや曲げ形状を付与して維持させることが要求されている被着体に対して貼り付けることにより、該被着体に所定の形状にひねりや曲げ形状を十分に付与して維持させることができ、また、該被着体から容易に剥がれてしまうことのない、粘着テープを提供することができる。
本発明の好ましい実施形態による自発巻回性粘着テープが自発巻回する状態を示す斜視図である。 本発明の好ましい実施形態による自発巻回性粘着テープの概略断面図である。
≪自発巻回性粘着テープ≫
本発明の自発巻回性粘着テープは、加熱することにより自発的に巻回する粘着テープであって、基材層と、その少なくとも一方の面に設けられる粘着剤層とを有し、該基材層が、少なくとも一層の収縮性フィルム層を含む。
本発明の自発巻回性粘着テープは、任意の適切な形状を採用し得る。本発明の自発巻回性粘着テープの形状としては、例えば、円形状、楕円形状、多角形状などが挙げられる。本発明の自発巻回性粘着テープの形状としては、好ましくは、四角形である。
本発明の自発巻回性粘着テープの大きさは、使用目的等に応じて適宜設定し得る。自発巻回性を考慮すると、本発明の自発巻回性粘着テープの巻回方向の長さをLは、好ましくは1mm〜3000mmであり、より好ましくは2mm〜2000mmであり、さらに好ましくは3mm〜1500mmであり、特に好ましくは3mm〜1000mmである。また、本発明の自発巻回性粘着テープの巻回方向の長さLに直行する方向の長さは、好ましくは1mm〜3000mmであり、より好ましくは2mm〜2000mmであり、さらに好ましくは3mm〜1500mmであり、特に好ましくは3mm〜1000mmである。
図1に、本発明の自発巻回性粘着テープが自発巻回する様子を示す。図1における(A)は、収縮性フィルム層に収縮原因となる刺激を加える前の自発巻回性粘着テープ10を示す図である。図1における(B)は、収縮性フィルム層に収縮原因となる刺激が付与された自発巻回性粘着テープ10がテープ外縁部(1端部)から一方向(通常、収縮性フィルム層の主収縮軸方向)に巻回し始めた時の状態を示す図である。図1における(C)は、自発巻回性粘着テープ10の巻回が終了して1個の筒状巻回体が形成された時の状態(一方向巻回)を示す図である。図1における(D)は、自発巻回性粘着テープ10の対向する2端部から中心に向かって(通常、収縮性フィルム層の主収縮軸方向へ)自発的に巻回して2個の筒状巻回体が形成されたときの状態(二方向巻回)を示す図である。
本発明の自発巻回性粘着テープが一方向巻回を起こすのか二方向巻回を起こすのかは、後述する剛性フィルムのヤング率と厚みの積や収縮性フィルムとの引き剥がし力等によって変化する。
図1において、Lは自発巻回性粘着テープ10の巻回方向(通常、収縮性フィルム層の主収縮軸方向)の長さ(シートが円形状の場合は直径)を示し(図1(A))、rは形成された筒状巻回体の直径(シートが円形状等の場合のように筒状巻回体の直径が巻回体の長さ方向において一定でない場合は、最大直径)を示す(図1(C)、(D))。
本発明の自発巻回性粘着テープにおいては、巻回方向の長さをLmm、自発巻回後に形成される巻回体の直径をrmmとしたとき、r/Lが0.0001〜0.999であり、好ましくは0.0005〜0.666であり、より好ましくは0.001〜0.333である。なお、r/Lの値は後述の実施例によって定義される値である。
r/Lの値は、収縮性フィルム層、剛性フィルム層、粘着剤層などの、本発明の自発巻回性粘着テープを構成し得る各層の材料の種類、組成、厚みなどを適切に調整することにより上記の範囲にすることができる。
なお、本発明の自発巻回性粘着テープは、巻回方向の長さLが長くなっても同様に巻回し得る。したがって、本発明の自発巻回性粘着テープに収縮原因となる刺激を付与して収縮させたときに自発的に巻回して形成される筒状巻回体の直径rと該表面保護テープの巻回方向の長さLとの比(r/L)の下限値は、シートの巻回方向の長さLが大きくなるほど小さくなる。
本発明の自発巻回性粘着テープにおいては、巻回体の直径rmmが、好ましくは15mm以下であり、より好ましくは0.5mm〜13mmであり、さらに好ましくは1mm〜12mmであり、特に好ましくは2mm〜10mmであり、最も好ましくは3mm〜8mmである。巻回体の直径rmmが上記範囲内に収まることにより、本発明の自発巻回性粘着テープを所定の形状にひねりや曲げ形状を付与して維持させることが要求されている被着体に対して貼り付けることにより、該被着体に所定の形状にひねりや曲げ形状を十分に付与して維持させることができる。
本発明の自発巻回性粘着テープは、これを縦50mm×横20mmの大きさに切断して得られるサンプルに、縦50mm×横20mm×厚み50μmのポリイミドフィルムを貼り付け、加熱して形成する巻回体をもとの形状に戻す為に必要な力が、好ましくは0.01N以上であり、より好ましくは0.02N以上であり、さらに好ましくは0.03N以上であり、特に好ましくは0.04N以上である。上記のような巻回体をもとの形状に戻す為に必要な力が上記範囲内に収まれば、一旦形成された巻回体が容易にもとの形状に戻り難く、本発明の自発巻回性粘着テープを所定の形状にひねりや曲げ形状を付与して維持させることが要求されている被着体に対して貼り付けることにより、該被着体に所定の形状にひねりや曲げ形状を十分に付与して維持させることができる。上記のような巻回体をもとの形状に戻す為に必要な力の上限は、現実的には、好ましくは10N以下である。上記のような巻回体をもとの形状に戻す為に必要な力の測定については後に詳述する。
本発明の自発巻回性粘着テープは、これを縦50mm×横20mmの大きさに切断して得られるサンプルに、縦50mm×横20mm×厚み50μmのポリイミドフィルムを貼り付け、加熱して形成する巻回体の直径の、該加熱後に25℃で1時間放置した後の変化が、好ましくは±20%以内であり、より好ましくは±10%以内であり、さらに好ましくは±5%以内であり、特に好ましくは±3%以内であり、最も好ましくは±1%以内である。上記のような巻回体の直径の経時変化が上記範囲内に収まれば、一旦形成された巻回体がその形状を十分に維持でき、本発明の自発巻回性粘着テープを所定の形状にひねりや曲げ形状を付与して維持させることが要求されている被着体に対して貼り付けることにより、該被着体に所定の形状にひねりや曲げ形状を十分に付与して維持させることができる。上記のような巻回体の直径の経時変化の測定については後に詳述する。
<基材層>
基材層は、少なくとも一層の収縮性フィルム層を含む。
収縮性フィルム層は、好ましくは、少なくとも1軸方向に収縮性を有する収縮性フィルム層である。このような収縮性フィルム層としては、例えば、熱収縮性フィルム、光により収縮性を示すフィルム、電気的刺激により収縮するフィルムなどが挙げられる。これらの収縮性フィルム層の中でも、作業効率等の観点から、熱収縮性フィルムが好ましい。
収縮性フィルム層は、好ましくは、1軸延伸によって1軸方向に収縮性を有する。この場合、1軸延伸の延伸倍率は、好ましくは1.2倍〜500倍であり、より好ましくは1.5倍〜300倍であり、さらに好ましくは1.8倍〜150倍であり、特に好ましくは2倍〜50倍である。1軸延伸の延伸倍率が高すぎると、分子が配向しすぎて熱収縮性が低下するおそれがある。一方、1軸延伸の延伸倍率が低すぎると、機械強度が劣り、粘着テープ製造に不向きとなるおそれがある。
収縮性フィルム層は、所定の1軸方向に主収縮性を有していれば、その方向とは異なる方向(例えば、その方向に対して直交する方向)に副次的に収縮性を有していても良い。
収縮性フィルム層は、1層のみからなっていても良いし、2層以上からなっていても良い。
収縮性フィルム層の主収縮方向の収縮率は、好ましくは10%〜85%であり、より好ましくは15%〜80%であり、さらに好ましくは20%〜75%であり、特に好ましくは25%〜70%である。例えば、収縮性フィルム層が、熱収縮性フィルムで構成されている場合、熱収縮性フィルムの主収縮方向の熱収縮率は、60℃〜180℃の範囲の所定温度(例えば、95℃、140℃等)において、好ましくは10%〜85%であり、より好ましくは15%〜80%であり、さらに好ましくは20%〜75%であり、特に好ましくは25%〜70%である。収縮性フィルム層の主収縮方向の収縮率が高すぎると、変形に消費しきれなかった収縮応力が冷却後必要以上に残存収縮応力としてクリープ現象により粘着層の凝集破壊を引き起こすおそれがある。一方、収縮性フィルム層の主収縮方向の収縮率が低いと、変形が起こらない場合がある。収縮性フィルム層が、熱収縮性フィルムで構成されている場合、熱収縮性フィルムの主収縮方向以外の方向の収縮率は、好ましくは10%以下であり、より好ましくは5%以下であり、さらに好ましくは3%以下である。この値に制御することで、所望の方向に変形させることが可能となる。熱収縮性フィルムの熱収縮性は、例えば、押出機により押し出されたフィルムに延伸処理を施すことにより付与することができる。ここで、収縮率とは、[(収縮前の寸法−収縮後の寸法)/収縮前の寸法]×100の式から算出される値をいう。
収縮性フィルム層は、本発明の効果を発現できる範囲で、任意の適切な樹脂によって形成し得る。このような樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリノルボルネン系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニリデン系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;などが挙げられる。このような樹脂は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。このような樹脂の中でも、粘着剤の塗工作業性等に優れる点では、好ましくは、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリノルボルネン系樹脂、ポリウレタン系樹脂である。また、このような樹脂の中でも、粘着剤の塗工工程においてフィルムを繰り出してから巻き取りまでの引っ張りで変形しない強度を有する点では、好ましくは、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂である。
収縮性フィルム層は、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリノルボルネン系樹脂、ポリウレタン系樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂からなる1軸延伸フィルムによって形成することがより好ましい。
収縮性フィルム層として利用可能な市販品の収縮性フィルムとしては、例えば、東洋紡社製の「スペースクリーン(登録商標)」、グンゼ社製の「ファンシーラップ」、東レ社製の「トレファン(登録商標)」、東レ社製の「ルミラー(登録商標)」、JSR社製の「アートン(登録商標)」、日本ゼオン社製の「ゼオノア(登録商標)」、旭化成社製の「サンテック(登録商標)」、大倉工業社製の「ラプラー(登録商標)」、東興資材工業社製の「ハイチューブ(登録商標)」、三菱樹脂社製「ヒシペット(登録商標)」「DXL(登録商標)」、SealdAir社製の「Cryovac(登録商標)」などが挙げられる。
収縮性フィルム層の厚みは、好ましくは5μm〜150μm、より好ましくは7μm〜100μmであり、さらに好ましくは9μm〜60μmである。収縮性フィルム層の厚みを上記範囲内に調整することにより、本発明の自発巻回性粘着テープの剛性が高くなりすぎることを防止して、自発巻回を促進することができる。収縮性フィルム層の厚みが大きすぎると、剛性が高くなって被着体を曲げることができず、目的を達することが困難になるおそれがある。また、収縮性フィルム層の厚みが薄すぎると、被着体への貼り付け作業が困難になるおそれがある。
収縮性フィルム層は、隣接する層との密着性や保持性等を高めるため、その表面に、任意の適切な表面処理が施されていてもよい。このような表面処理としては、例えば、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的処理;下塗り剤(例えば、粘着物質等)によるコーティング処理;などが挙げられる。
基材層は、収縮性フィルム層から見て粘着剤層側に剛性フィルム層を有していても良い。
図2は、本発明の好ましい実施形態による自発巻回性粘着テープの概略断面図である。図2において、本発明の自発巻回性粘着テープ10は、基材層1と粘着剤層2との積層構造を有し、基材層1は、収縮性フィルム層3と剛性フィルム層4との積層構造を有する。すなわち、図2に示すように、本発明の好ましい実施形態による自発巻回性粘着テープは、収縮性フィルム層3、剛性フィルム層4、粘着剤層2がこの順に積層されてなり、収縮性フィルム層3と剛性フィルム層4との積層構造が基材層1となる。
収縮性フィルム層は、刺激によって収縮して収縮応力を生成し、かつ、剛性フィルムに反作用力を生み出させることで、本発明の自発巻回性粘着テープ中に反並行の力を生成してトルクとするための役割を果たす層である。
剛性フィルム層は、収縮性フィルム層が熱収縮する際に、その収縮を拘束し、反作用力を生み出すことができ、トルクを生み出し、巻回を引き起こすための駆動力とすることができる。また、収縮性フィルム層の主収縮方向とは異なる方向の副次的収縮が抑制され、1軸収縮性とは言っても必ずしも一様とは言えない収縮性フィルム層の収縮方向が一方向に収斂する働きがある。このため、収縮性フィルム層の収縮を促す熱を加えると、剛性フィルム層が拘束層としての作用を発揮し、収縮性フィルム層の収縮力に対する反発力が駆動力となって、本発明の自発巻回性粘着テープの外縁部(1端部又は対向する2端部)が浮き上がり、収縮性フィルム層側を内にして、端部から1方向又は中心方向(通常、収縮性フィルム層の主収縮軸方向)へ自発的に巻回して筒状巻回体が形成される。
剛性フィルム層と収縮性フィルム層とを積層することにより、収縮性フィルム層に熱等の収縮原因となる刺激が付与された際、本発明の自発巻回性粘着テープが、途中で停止したり、方向がずれたりすることなく、円滑に自発巻回し、形の整った筒状巻回体を、瞬時に形成することができる。また、適切な剛性フィルムを積層することにより、巻回半径を制御することができ、所望の巻回半径を設計することが可能となる。具体的には、大きな巻回径を得たいときには、厚く、あるいは高弾性剛性フィルムを積層し、一方、小さな巻回径を得る場合には、薄く、あるいは低弾性剛性フィルムを積層すればよい。
本発明の自発巻回性粘着テープにおいては、特定の剛性フィルム層と特定の収縮性フィルム層とが積層される場合には、上記の作用によって、所定の形状にひねりや曲げ形状を付与して維持させることが要求されている被着体に対して貼り付けることにより、該被着体に所定の形状にひねりや曲げ形状を十分に付与して維持させることができる。
剛性フィルム層は、任意の適切な樹脂からなるフィルムによって形成することができる。このような樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニリデン系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体;ポリカーボネート系樹脂;アクリル系共重合体;などが挙げられる。このような樹脂は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。このような樹脂としては、接着剤および/または粘着剤の塗工作業性等に優れる点で、好ましくは、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(特に、ポリプロピレン)、ポリアミド系樹脂である。
剛性フィルム層としては、上記のような樹脂の他に、アルミニウム、ニッケル等の金属箔;クレープ紙、和紙等の紙類;なども挙げられる。これらも、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
剛性フィルム層は、1層のみからなっていても良いし、2層以上からなっていても良い。
剛性フィルム層は非収縮性であるものが適しており、収縮率は、好ましくは5%以下であり、より好ましくは3%以下であり、さらに好ましくは1%以下である。ここで、収縮率とは、[(収縮前の寸法−収縮後の寸法)/収縮前の寸法]×100の式から算出される値をいう。
剛性フィルム層の厚みは、好ましくは1μm〜300μmであり、より好ましくは2μm〜200μmであり、さらに好ましくは3μm〜100μmであり、特に好ましくは4.5μm〜75μmであり、最も好ましくは6μm〜50μmである。剛性フィルム層の厚みを上記範囲内に調整することにより、本発明の自発巻回性粘着テープの自己巻回性を確保して、整った形で巻回した筒状巻回体を得ることができるとともに、取扱性および経済性を向上させることができる。さらに、本発明の自発巻回性粘着テープを所定の形状にひねりや曲げ形状を付与して維持させることが要求されている被着体に対して貼り付けることにより、該被着体に所定の形状にひねりや曲げ形状を十分に付与して維持させることができる。
剛性フィルム層のヤング率は、剥離時温度(例えば、80℃)において、好ましくは3×10N/m〜2×1010N/mであり、より好ましくは1×10N/m〜1×1010N/mである。剛性フィルム層のヤング率をこの範囲内に調整することにより、本発明の自発巻回性粘着テープの自発巻回を促進し、整った形で巻回した筒状巻回体を得ることができる。さらに、本発明の自発巻回性粘着テープを所定の形状にひねりや曲げ形状を付与して維持させることが要求されている被着体に対して貼り付けることにより、該被着体に所定の形状にひねりや曲げ形状を十分に付与して維持させることができる。なお、剛性フィルム層のヤング率の測定方法は後述する。
<接着剤層>
収縮性フィルム層と剛性フィルム層とは、好ましくは接着剤層を介して積層され、基材層をなす。
接着剤層は、収縮性フィルム層と剛性フィルム層とを接合する役割を果たすものであり、好ましくは、両者を接合するために十分な接着力を有する。接着剤層は、特に、収縮性フィルム層を収縮させるために加温等の処理を行っても、接着力の低下を起こさないものが好ましい。また、収縮応力から剛性フィルム層へ反作用力を生むためには、接着剤層は薄く且つ硬い層であることが好ましい。接着剤層が厚すぎたり柔らすぎたりする場合には、収縮応力によって接着剤層自体が収縮してしまい、剛性フィルム層の反作用力を低下させ、巻回に必要なトルクを低下させるおそれがある。このように、接着剤層は、薄く且つ硬く且つ高接着力であるという、互いに相反する物性を両立していることが好ましい。
接着剤層は、70〜180℃にて3分間程度の加熱による熱刺激を付与した後においても接合破壊しないものであることが好ましい。
接着剤層のせん断貯蔵弾性率G’は、室温から剥離時温度(例えば80℃)において、0.01×10Pa〜5×10Paが好ましく、0.35×10Pa〜4×10Paがより好ましく、0.5×10Pa〜3×10Paがさらに好ましく、0.8×10Pa〜2×10Paが特に好ましい。せん断貯蔵弾性率が高いほど収縮力がトルクへ変換されやすくなるが、あまりに弾性率が高いとトルクによって筒状に変形しにくくなるためである。一方でせん断貯蔵弾性率が低すぎると、収縮力が接着層の変形に消費され筒状変形が起こらなくなるおそれがある。なお、せん断貯蔵弾性率G’の測定方法は後述する。
接着剤層の厚みは、好ましくは0.01μm〜15μmであり、より好ましくは0.1μm〜10μmである。接着剤層の厚みを上記範囲内に調整することにより、通常必要とされる接着力を確保することができる。また、必要以上の剛性の増加を防止して、生成するトルクのうち、巻回のために使われる力を低減し、接着力を被着体より剥離するための力として消費させることができる。さらに、貼り付け応力によって被着体が反るのを抑制するための応力緩和機能をもたらすことができる。加えて、本発明の自発巻回性粘着テープにおける切断性が良好となり、接着剤層のはみだし等を防止することができる。なお、応力緩和機能は、厚みの他、接着剤層の材料、種々の特性によって制御することができる。
接着剤層を形成する接着剤は、高い接着力を有するものが好ましく、特に、加熱状態でも接着力を高く維持できるものが好ましい。具体的には、収縮性フィルム層と剛性フィルム層との2種のフィルムを引き剥がすに必要な剥離力は、70℃における180°ピール剥離試験(JIS Z 0273:2000年に準拠、引張り速度300mm/min)において、好ましくは2.0N/10mm以上であり、より好ましくは2.5N/10mm以上である。この範囲の剥離力とすることにより、実際の剥離での使用においても、収縮性フィルム層の収縮応力によって接合が破壊されず、接着剤層上で収縮性フィルムを収縮させる不具合を防止することができる。
接着剤層を形成する接着剤は、上述した特性を有する材料であれば、任意の適切な接着剤を採用し得る。このような接着剤としては、例えば、架橋型アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ウレタン系接着剤などが挙げられる。これらの中でも、ウレタン系接着剤が好ましい。
ウレタン系接着剤は、官能基としてイソシアナート基を有する化合物と水酸基を有する化合物とを混合し、化学反応によってウレタン結合を生成させる接着剤である。ウレタン結合は強い水素結合性を有するため、弱い分子間力であるファンデルワールス力のみに依る接着剤よりも強力に被着体を接着させることができる。また、接着剤分子同士の分子間力も強いため、接着剤を加熱しても軟化が起こりにくく、温度依存性が小さい。さらに、イソシアナート基は接着剤中の水酸基だけでなく、基材中に含まれる水酸基とも反応性して、ウレタン結合を生じるため、共有結合による強い接着力も期待できることから好ましい。
なお、接着剤中のウレタン結合の密度が大きくなりすぎると、高弾性体となり、被着体界面への濡れ性が低下するため、イソシアナート基および水酸基間には、エーテル結合、エステル結合等の分子鎖を屈曲させる作用の強い分子が介在し、適切な柔軟性および/または濡れ性を有するものが好ましい。このようなウレタン系接着剤としては、例えば、ポリエーテルウレタン、ポリエステルウレタン等が挙げられる。このようなウレタン系接着剤としては、特に好ましくは、ポリエステルウレタンである。
ウレタン系接着剤としては、任意の適切なウレタン系接着剤を採用し得る。ウレタン系接着剤としては、例えば、上述したような水酸基を含む成分とイソシアナートを含む成分の2種を混合して使用する2液型接着剤、イソシアナート基を保護基で修飾して、保存時には非反応性にし、使用時に加熱などして保護基を脱離させて使用する1液型接着剤などが挙げられる。また、ウレタン系接着剤としては、例えば、接着剤分子を溶剤に混合した溶媒混合系ウレタン接着剤、接着剤分子を低分子量化(低粘性化)した無溶媒型ウレタン接着剤、エマルションによる水溶性ウレタン接着剤なども挙げられる。また、ウレタン化反応を促進させるために、任意の適切なウレタン化触媒(例えば、有機錫化合物や三級アミン類など)を適宜混合しても良い。
ウレタン系接着剤としては、具体的には、例えば、三井化学社製のタケラック(登録商標)類、三井化学社製のタケネート(登録商標)類、大日精化社製のセイカボンド類、ロックタイト社製のHysol類、日本ポリウレタン社製のニッポラン類、日本ポリウレタン社製のコロネート類、株式会社イーテック社製のマイティシリーズ類、東洋モートン株式会社製のTM569などが挙げられる。
接着剤層を形成する場合は、好ましくは、収縮性フィルム層または剛性フィルム層に塗布する。この場合の塗布方法としては、例えば、マイヤーバー、アプリケータ等を用いた方法;ファンテンダイ、グラビアコーター等を用いた工業的に量産する方法;などが挙げられる。また、適当な剥離ライナー(セパレーター)上に接着剤を塗布して接着剤層を形成し、これを収縮性フィルム層または剛性フィルム層上に転写(移着)してもよい。
<粘着剤層>
粘着剤層は、収縮性フィルム層の収縮時の温度下で変形しやすいこと、すなわちゴム状態であることが好ましい。ただし、流動性のある材料では、十分な反作用力が生じず、最終的には収縮性フィルム層単独で収縮してしまい、変形(自発巻回)を起こすことができないおそれがある。従って、粘着剤層は3次元架橋等により流動性を抑えたものが好ましい。また、粘着剤層は、その厚みによっても、収縮性フィルム層の非一様な収縮力のうち弱い力の成分に抵抗して、該弱い力の成分による収縮変形を防ぐことで、一様な収縮方向へと変換する作用を有する。粘着剤層は収縮性フィルム層の変形に追従するため、好ましくは、可とう性を有することが必要であり、その温度領域ではゴム状態であることが好ましい。しかしながら、流動性の高いゴム状態だと、発生する収縮応力により被着体と一体で変形することができないおそれがあり、粘着剤層だけが変形して、しいては、粘着剤層自体の凝集破壊に至ってしまうおそれがある。このような現象を制御するための一つの方法として、好ましくは、架橋剤を添加して粘着剤層のゲル分率を高める方法が有効である。ゲル分率を高めることは、即ち、粘着剤層の3次元架橋状態を密にすることであり、高温時の粘着剤層の流動性を低減させ、被着体との一体変形を促進することができる。また、粘着剤自体のガラス転移点を高めておくことも有効である。なぜならば、収縮応力が生じる温度とガラス転移点温度を近づけることにより、収縮温度での粘着剤層の状態を流動性の小さなガラス−ゴム混合状態に近づけることになるためである。
粘着剤層を形成する粘着剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
粘着剤層を形成する粘着剤の架橋程度の指標としては、有機溶剤(例えばトルエンまたは酢酸エチルに室温25℃で1週間浸漬後)のゲル分率(重量不溶分率)を用いる。このようなゲル分率としては、好ましくは45%〜100%であり、より好ましくは55%〜95%であり、さらに好ましくは60%〜90%である。ゲル分率が低いと、流動性が高過ぎ、熱収縮応力が粘着剤層で緩和されて変形が起こらないおそれがある。
粘着剤層は、粘着性を有し、ガラス転移温度が、好ましくは50℃以下であり、より好ましくは−60℃〜40℃であり、さらに好ましくは−50℃〜35℃であり、最も好ましくは−40℃〜25℃である。上記ガラス転移点が低すぎると、高温での巻回時に凝集力が不足して凝集破壊を誘発するおそれがある。また、上記ガラス転移点が高すぎると、タック(濡れ性)が低下し、被着体への貼り付けが困難となるおそれがある。なお、粘着剤層のガラス転移点は、DSCにより測定することができる。
粘着剤層の基材層との投錨力は、180°ピール剥離試験(JIS Z 0237:2000年に準拠、引張り速度300mm/分、50℃)の値で、好ましくは0.5N/10mm以上であり、より好ましくは1.0N/10mm以上であり、さらに好ましくは1.5N/10mm以上である。この投錨力が低すぎると、収縮応力による変形時に粘着剤層と基材層との間で剥離が生じて被着体との一体変形が起こらないばかりでなく、後述する剥離ライナーの剥離の際に粘着剤層が剥離ライナー側に残ったりし、所定幅へのスリット加工や打ち抜き加工時に粘着剤層が基材層から捲れ上がり、収縮応力時の投錨破壊起点にもなり得る。
粘着剤層のせん断貯蔵弾性率G’は、室温から剥離時温度(例えば、80℃)において、好ましくは1×10Pa〜5×10Paであり、より好ましくは0.05×10Pa〜3×10Paである。せん断貯蔵弾性率G’が小さすぎると、収縮性フィルム層の収縮応力を変形に必要な応力へと変換する作用が乏しくなるおそれがあり、また、熱収縮させて冷却した後の残留収縮応力(クリープ)に耐えきれず粘着剤層が凝集破壊するおそれもある。せん断貯蔵弾性率G’が大きすぎると、剛性を強めるために変形性に乏しくなるおそれがある。なお、せん断貯蔵弾性率G’の測定方法は後述する。
粘着剤層の厚みは、好ましくは1μm〜150μmであり、より好ましくは3μm〜75μmであり、さらに好ましくは5μm〜50μmである。粘着剤層の厚みが薄すぎると、収縮性フィルム層の収縮応力に耐えられずに粘着剤層が剥離したり、被着体表面の微細な凹凸に追従できず貼り付け不良が生じてしまったりするおそれがあり、粘着剤層の厚みが厚すぎると粘着層自体の変形能力が高まり、被着体に収縮応力が伝達されず、被着体との一体変形が起こらないおそれがある。また取扱性、経済性に劣り、好ましくない。
粘着剤層を形成する粘着剤として、例えば、表面(少なくとも基材層側の表面)に粘着処理が施されたウレタンフォームやアクリルフォームなどのフォーム材料(発泡フィルム);ゴム;熱可塑性エラストマー等を素材とする非発泡樹脂フィルム等の樹脂フィルム(シートを含む);などを使用できる。
粘着処理に用いる粘着剤の樹脂と、発泡フィルムや非発泡樹脂フィルムの樹脂は、高い親和性を得るため、同種の樹脂であることが好ましい。例えば、粘着処理にアクリル系粘着剤を用いる場合には、樹脂フィルムとしてアクリルフォームなどが好適である。
粘着剤層を形成する粘着剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な粘着剤を採用し得る。このような粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、スチレン−ジエンブロック共重合体系粘着剤などが挙げられる。粘着力の調整などの点から、アクリル系粘着剤が好ましい。
粘着剤層を形成する粘着剤として、架橋型アクリル系粘着剤を用いても良い。このような架橋型アクリル系粘着剤により形成された粘着剤層は、別途粘着処理を施す必要がなく、比較的簡便な方法で製造可能であり、生産性、経済性に優れるため好ましい。
架橋型アクリル系粘着剤は、アクリル系重合体をベースポリマーとするアクリル系粘着剤に架橋剤が添加された構成を有している。アクリル系重合体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル等の(メタ)アクリル酸C1−C20アルキルエステルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単独または共重合体;上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、他の共重合性モノマー(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、無水マレイン酸などのカルボキシル基または酸無水物基含有モノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルなどのヒドロキシル基含有モノマー;(メタ)アクリル酸モルホリルなどのアミノ基含有モノマー;(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー;(メタ)アクリロニトリルなどのシアノ基含有モノマー;(メタ)アクリル酸イソボルニルなどの脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル;N−フェニルマレイミドなどのイミド環含有モノマー;など)等との共重合体;などが挙げられる。これらの中でも、ポリエチレンテレフタレートやポリイミドなど電気陰性度の高い酸素や窒素を含む被着体に対しては、主モノマーのホモポリマーのガラス転移温度よりもホモポリマーのガラス転移点が高く、且つ、窒素を有する、(メタ)アクリル酸モルホリルやN−フェニルマレイミドなどのコモノマーとの共重合体が好ましい。
アクリル系重合体としては、特に、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等の(メタ)アクリル酸C1−C4アルキルエステルを主モノマーとした1種または2種以上と、2−ヒドロキシエチルアクリレート等のヒドロキシル基含有モノマーと、アクリル酸等のカルボキシル基または酸無水物基含有モノマーから選択された少なくとも1種の共重合性モノマーとの共重合体、あるいは、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の(メタ)アクリル酸C1−C12アルキルエステルの1種または2種以上と、N−フェニルマレイミドなどのイミド環含有モノマーと、2−ヒドロキシエチルアクリレート等のヒドロキシル基含有モノマーとの共重合体が好ましい。
アクリル系重合体は、例えば、上記に例示の単量体成分および重合開始剤を適当な有機溶剤に分散させて熱共重合することで得ることができる。
熱重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤;ベンゾイルパーオキシド、過安息香酸等の過酸化物系開始剤;等が挙げられる。熱重合開始剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
架橋型アクリル系粘着剤は、また、無溶剤で光(紫外線等)重合することにより、高粘度の液状プレポリマーとし、次に、このプレポリマーに架橋剤を添加することにより得ることができる。なお、架橋剤はプレポリマー製造時に添加しておいてもよい。また、上記に例示の単量体成分を重合して得られたアクリル系重合体またはその溶液に架橋剤と溶媒(アクリル系重合体の溶液を用いる場合は必ずしも必要ではない)を加えることにより、架橋型アクリル系粘着剤を得ることもできる。
架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、メラミン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アクリレート系架橋剤(多官能アクリレート)、イソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。アクリレート系架橋剤としては、例えば、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどが挙げられる。イソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、2−イソシアナトエチルアクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、架橋剤としては、アクリレート系架橋剤(多官能アクリレート)やイソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステル等の紫外線(UV)反応性架橋剤が好ましい。また、架橋型アクリル系粘着剤の高温流動性を抑制するため、架橋をより密にする観点から、官能基数が3以上の架橋剤を使用することが好ましい。
架橋剤の添加量は、上記ベースポリマー100重量部に対して、好ましくは0.01重量部〜15重量部であり、より好ましくは0.05重量部〜12重量部である。架橋剤の添加量が少なすぎると、粘着剤層の熱流動性が高まり、被着体一体変形が起こらないばかりか、収縮応力により凝集破壊するおそれがある。一方で、架橋剤の添加量が多すぎると、架橋剤の自己架橋反応がおこり(例えば、イソシアネート基の尿素化反応など)、所望の粘着剤物性が得られないばかりか、過剰量の架橋剤が表面に偏析し、粘着力の異常を引き起こす要因となるおそれがある。
架橋型アクリル系粘着剤は、ベースポリマーおよび架橋剤のほかに、架橋促進剤、粘着付与剤(例えば、ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノール樹脂など)、増粘剤、可塑剤、充填剤、老化防止剤、酸化防止剤、シランカップリング剤などの任意の適切な添加剤を含んでいても良い。本発明において使用する粘着付与剤としては、例えば、ロジン由来のロジン樹脂類、ピネンなどのテルペンから誘導されたテルペン樹脂類、石油留分由来の脂肪族系炭化水素樹脂や芳香族炭化水素樹脂などがあげられる。このような粘着付与剤の中でも、ロジンフェノールやテルペンフェノールなどのフェノール基を共重合した粘着付与剤が好ましい。ロジンフェノールや、特に、テルペンフェノールの分子構造は、立体的に込み合っておらず、フェノール基のもつ水酸基とアクリル系粘着剤中のエステル基が相互作用しやすいため相溶性が向上する。中でも、ロジン誘導体樹脂やポリテルペン樹脂は、ガラス転移点が高く、粘着剤層自体の高弾性化にも有効であり、特に、酸価や水酸基化の高いものは、高温時の粘着性を向上させる作用もあり、好ましく用いられる。具体的に使用可能な粘着付与剤としては、例えば、テルペンフェノール系樹脂としてはヤスハラケミカル(株)製のYSポリスターS145や、荒川化学(株)製のタマノル901が挙げられ、ロジンフェノール系樹脂としては、例えば、住友ベークライト製のスミライトレジン
PR−12603が挙げられる。また、粘着付与剤の配合量は、一般的には、ベースポリマー100重量部に対して、好ましくは5重量部〜100重量部であり、より好ましくは10重量部〜50重量部である。
架橋型アクリル系粘着剤から形成される粘着剤層は、例えば、上記プレポリマーに架橋剤を添加した架橋型アクリル系粘着剤を、キャスト法などの公知の方法により、所望の厚み、面積を有するフィルム状とし、再度光照射して架橋反応(及び未反応モノマーの重合)を進行させることにより、簡便に得ることができる。
架橋型アクリル系粘着剤から形成される粘着剤層は、上記のアクリル系重合体と架橋剤とが溶媒に溶解した架橋型アクリル系粘着剤をセパレーターの表面に塗工し、その上に熱収縮フィルムを貼り合わせた後、光照射することにより得ることもできる。
粘着剤層を形成する粘着剤としては、エネルギー線を照射することにより硬化するエネルギー線硬化型粘着剤を用いることもできる。
エネルギー線硬化型粘着剤を用いると、粘着剤層は、エネルギー線照射前は、被着体に貼着して、被着体に「割れ」や「欠け」が発生することから保護するために十分な粘着力を有し、加工後は、赤外線、可視光線、紫外線、X線、電子線などのエネルギー線を照射することにより3次元網目構造を形成させて硬化させ、被着体に対する粘着力を低下させると共に、収縮性フィルム層が熱によって収縮する際に、その収縮に反発する拘束層としての作用を発揮することができるため、収縮に対する反発力が駆動力となって本発明の自発巻回性粘着テープの外縁部(端部)が浮き上がり、収縮性フィルム層側を内にして、端部から1方向へまたは対向する2端部から中心(2端部の中心)に向かって自発的に巻回して1または2個の筒状巻回体を形成することができる。
エネルギー線硬化型粘着剤としては、エネルギー線硬化性を付与するためのエネルギー線反応性官能基を化学修飾した化合物、または、エネルギー線硬化性化合物(またはエネルギー線硬化性樹脂)を少なくとも含有することが好ましい。従って、エネルギー線硬化型粘着剤としては、エネルギー線反応性官能基で化学的に修飾された母剤、および/または、エネルギー線硬化性化合物(またはエネルギー線硬化性樹脂)を母剤中に配合した組成物により構成されるものが好ましく用いられる。
母剤としては、任意の適切な粘着剤を使用することができる。このような粘着剤としては、例えば、天然ゴム、ポリイソブチレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体ゴム、再生ゴム、ブチルゴム、ポリイソブチレンゴム、NBRなどのゴム系ポリマーをベースポリマーに用いたゴム系粘着剤;シリコーン系粘着剤;アクリル系粘着剤;などが挙げられる。これらの粘着剤の中でも、アクリル系粘着剤が好ましい。なお、母剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
アクリル系粘着剤としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル等の(メタ)アクリル酸C1−C20アルキルエステルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単独または共重合体;該(メタ)アクリル酸アルキルエステルと他の共重合性モノマー(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、無水マレイン酸などのカルボキシル基又は酸無水物基含有モノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルなどのヒドロキシル基含有モノマー;(メタ)アクリル酸モルホリルなどのアミノ基含有モノマー;(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー;等)との共重合体などのアクリル系重合体をベースポリマーに用いたアクリル系粘着剤;などが挙げられる。アクリル系粘着剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とはアクリルおよび/またはメタクリルを意味し、「(メタ)アクリルロイル」とはアクリロイルおよび/またはメタクリロイルを意味し、「(メタ)アクリレート」とはアクリレートおよび/またはメタクリレートを意味する。
エネルギー線硬化させるための化学修飾に用いるエネルギー線反応性官能基およびエネルギー線硬化性化合物としては、赤外線、可視光線、紫外線、X線、電子線などのエネルギー線により硬化可能なものであれば、任意の適切な化合物を採用し得る。このような化合物としては、エネルギー線照射により3次元網状化(網目化)が効率よくなされるものが好ましい。このような化合物は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
化学修飾に用いられるエネルギー線反応性官能基としては、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基、アセチレン基などの炭素−炭素多重結合を有する官能基などが挙げられる。これらの官能基は、エネルギー線の照射により炭素−炭素多重結合が開裂してラジカルを生成し、このラジカルが架橋点となって3次元網目構造を形成することができる。このような化学修飾に用いられるエネルギー線反応性官能基の中でも、アクリロイル基またはメタクリロイル基は、エネルギー線に対して比較的高反応性を示すことができ、また豊富な種類のアクリル系粘着剤から選択して組み合わせて使用できるなど、反応性、作業性の観点で好ましい。
エネルギー線反応性官能基で化学的に修飾された母剤の代表的な例としては、ヒドロキシル基やカルボキシル基等の反応性官能基を含む単量体(例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸など)を(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合させた反応性官能基含有アクリル系重合体に、分子内に該反応性官能基と反応する基(例えば、イソシアネート基、エポキシ基など)およびエネルギー線反応性官能基(アクリロイル基、メタクリロイル基等)を有する化合物(例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチレンイソシアネートなど)を反応させて得られる重合体が挙げられる。
反応性官能基含有アクリル系重合体における反応性官能基を含む単量体の割合は、全単量体に対して、好ましくは0.01重量%〜100重量%であり、より好ましくは1重量%〜50重量%であり、さらに好ましくは5重量%〜40重量%であり、特に好ましくは10重量%〜30重量%である。
反応性官能基含有アクリル系重合体と反応させる際の分子内に反応性官能基と反応する基およびエネルギー線反応性官能基を有する化合物の使用量は、反応性官能基含有アクリル系重合体中の反応性官能基(例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基など)に対して、好ましくは1モル%〜100モル%であり、より好ましくは20モル%〜100モル%であり、さらに好ましくは30モル%〜100モル%であり、特に好ましくは50モル%〜100モル%であり、最も好ましくは60モル%〜95モル%である。
エネルギー線硬化性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート等の、分子内にアクリロイル基やメタクリロイル基等の炭素−炭素二重結合を含む基を2つ以上有する化合物などが挙げられる。このような化合物の中でも、アクリロイル基および/またはメタクリロイル基を2個以上有する化合物が好ましく、3次元架橋により高弾性化させる観点からは3個以上有する化合物が特に好ましい。例えば、特開2003−292916号公報に例示されている化合物が挙げられる。なお、このような化合物は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
エネルギー線硬化性化合物としては、例えば、オニウム塩等の有機塩類と分子内に複数の複素環を有する化合物との混合物などを用いることもできる。このような混合物は、エネルギー線の照射により有機塩が開裂してイオンを生成し、これが開始種となって複素環の開環反応を引き起こして3次元網目構造を形成することができる。上記有機塩類としては、例えば、ヨードニウム塩、フォスフォニウム塩、アンチモニウム塩、スルホニウム塩、ボレート塩などが挙げられる。上記分子内に複数の複素環を有する化合物における複素環としては、例えば、オキシラン、オキセタン、オキソラン、チイラン、アジリジンなどが挙げられる。このようなエネルギー線硬化性化合物としては、具体的には、例えば、「光硬化技術」(技術情報協会編、2000)に記載の化合物などが挙げられる。なお、このような化合物は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
エネルギー線硬化性樹脂としては、例えば、エステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、アクリル樹脂(メタ)アクリレート等の分子内にアクリロイル基またはメタクリロイル基を有するポリマーまたはオリゴマー;分子内にアリル基を有するチオール−エン付加型樹脂や光カチオン重合型樹脂;ポリビニルシンナマート等のシンナモイル基含有ポリマー;ジアゾ化したアミノノボラック樹脂やアクリルアミド型ポリマーなどの感光性反応基含有ポリマーあるいはオリゴマー;エポキシ化ポリブタジエン、不飽和ポリエステル、ポリグリシジルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニルシロキサン等の高活性エネルギー線で反応するポリマー;などが挙げられる。なお、このようなエネルギー線硬化性樹脂は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。また、エネルギー線硬化性樹脂を使用する場合には、上記母剤は必ずしも必要でない。
エネルギー線硬化性樹脂の分子量としては、好ましくは5000未満、より好ましくは100〜3000である。エネルギー線硬化性樹脂の分子量が5000を上回ると、例えば、(母剤である)アクリル系重合体との相溶性が低下し、海島構造となることで、粘着層全体を均一に架橋できず、被着体との一体変形ができなくなるおそれがある。
エネルギー線硬化性樹脂としては、エネルギー線に対して比較的高い反応性を示すことができる点で、エステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、アクリル樹脂(メタ)アクリレート等の分子内にアクリロイル基またはメタクリロイル基を有するオリゴマーを使用することが好ましい。
粘着剤としては、選択肢が多く、エネルギー線照射前後での弾性率調整が行いやすい点で、エネルギー線硬化性を付与するためのエネルギー線反応性官能基を化学修飾した化合物、および、エネルギー線硬化性化合物(またはエネルギー線硬化性樹脂)を組み合わせて使用することが好ましく、特に、側鎖に(メタ)アクリロイル基が導入されたアクリル系重合体と、分子内にアクリロイル基またはメタクリロイル基を有するオリゴマーとの組み合わせが、エネルギー線に対して比較的高い反応性を示す(メタ)アクリロイル基を含み、しかも多様なアクリル系粘着剤から選択できるため、反応性や作業性の観点から好ましい。このような組み合わせとしては、特開2003−292916号公報等に開示のものを利用できる。
側鎖にアクリレート基が導入されたアクリル系重合体の調製法としては、例えば、側鎖に水酸基を含むアクリル系重合体に、アクリロイルオキシエチルイソシアナート、メタクリロイルオキシエチルイソシアナートなどのイソシナナート化合物を、ウレタン結合を介して結合する方法等を用いることができる。
エネルギー線硬化性樹脂(例えば、分子内にアクリロイル基またはメタクリロイル基を有するオリゴマー)の配合量は、例えば、母剤(例えば、上記側鎖に(メタ)アクリロイル基が導入されたアクリル系重合体)100重量部に対して、好ましくは0.01重量部〜500重量部であり、より好ましくは0.1重量部〜400重量部であり、さらに好ましくは0.5重量部〜300重量部であり、さらに好ましくは1重量部〜200重量部であり、さらに好ましくは5重量部〜180重量部であり、特に好ましくは10重量部〜150重量部であり、最も好ましくは20重量部〜130重量部である。上記配合量が少なすぎると、エネルギー線硬化の効果が得られないおそれがあり、一方、上記配合量が多すぎると、エネルギー線硬化後に不必要に高弾性化するため、収縮応力による変形が得られなくなったり、収縮応力が集中して被着体から容易に剥がれたりするおそれがある。
粘着剤には、3次元網目構造を形成する反応速度の向上を目的として、エネルギー線硬化性を付与する化合物を硬化させるためのエネルギー線重合開始剤が配合されていても良い。
エネルギー線重合開始剤は、用いるエネルギー線の種類(例えば、赤外線、可視光線、紫外線、X線、電子線など)に応じて、任意の適切なエネルギー線重合開始剤を採用し得る。このようなエネルギー線重合開始剤としては、作業効率の面から、紫外線で光重合開始可能な化合物が好ましい。代表的なエネルギー線重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、アセトフェノン、キノン、ナフトキノン、アンスラキノン、フルオレノン等のケトン系開始剤;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤;ベンゾイルパーオキシド、過安息香酸等の過酸化物系開始剤;などが挙げられる。市販品のエネルギー線重合開始剤としては、例えば、チバ・ジャパン社製の商品名「イルガキュア184」、「イルガキュア651」、「イルガキュア127」、「イルガキュア2959」などが挙げられる。
エネルギー線重合開始剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
エネルギー線重合開始剤の配合量としては、上記母剤100重量部に対して、好ましくは0.01重量部〜10重量部であり、より好ましくは1重量部〜8重量部である。エネルギー線重合開始剤の配合量が少なすぎると、重合が起こらないおそれがあり、また、エネルギー線重合開始剤の配合量が多すぎると、過剰に発生するラジカルにより粘着剤の劣化を誘発するおそれがある。なお、必要に応じて、活性エネルギー線重合開始剤とともに活性エネルギー線重合促進剤を併用しても良い。
エネルギー線硬化型粘着剤には、上記成分のほか、エネルギー線硬化前後に適切な粘着性を得るために、架橋剤、硬化(架橋)促進剤、粘着付与剤、加硫剤、増粘剤等、耐久性向上のために、老化防止剤、酸化防止剤等の適宜な添加剤が必要に応じて配合される。
エネルギー線硬化型粘着剤としては、例えば、エネルギー線硬化性化合物を母剤(粘着剤)中に配合した組成物、好ましくは、UV硬化性化合物をアクリル系粘着剤中に配合したUV硬化型粘着剤が用いられる。特に、エネルギー線硬化型粘着剤の好ましい態様としては、側鎖アクリレート含有アクリル粘着剤、アクリレート系架橋剤(ポリ(メタ)アクリロイル基含有化合物;多官能アクリレート)、および紫外線光開始剤を含むUV硬化型粘着剤が挙げられる。側鎖アクリレート含有アクリル粘着剤とは、側鎖にアクリレート基が導入されたアクリル系重合体の意味であり、上記と同様のものを同様の方法で調製して利用できる。アクリレート系架橋剤とは、ポリ(メタ)アクリロイル基含有化合物として上記に例示の低分子化合物である。紫外線光開始剤としては、代表的なエネルギー線重合開始剤として上記に例示のものを利用できる。
粘着剤層には、フィラーが含まれていても良い。粘着剤層にフィラーが含まれることにより、本発明の自発巻回性粘着テープにおける粘着剤層の粘着特性やずり弾性率を制御し得る。
フィラーとしては、本発明の効果を損なわない限り、任意の適切なフィラーを採用し得る。このようなフィラーとしては、例えば、熱膨脹性微小球;架橋アクリル単分散粒子;樹脂ビーズなど有機材、または、ガラス(シリカ)ビーズ、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタンなど無機材などの粒子状フィラー;などが挙げられ、粒径の制御や透明性、粘着剤への分散性などの観点から、好ましくは、熱膨脹性微小球、架橋アクリル単分散粒子、およびガラス(シリカ)ビーズから選ばれる少なくとも1種である。
熱膨脹性微小球としては、例えば、松本油脂製薬(株)製の「マツモトマイクロスフェアーFシリーズ」、「マツモトマイクロスフェアーFNシリーズ」、「マツモトマイクロスフェアーMFLシリーズ」、「マツモトマイクロスフェアーMシリーズ」、「マツモトマイクロスフェアーSシリーズ」などが挙げられる。
架橋アクリル単分散粒子としては、例えば、綜研化学(株)製の「ケミスノーMXシリーズ」、「ケミスノーMRシリーズ」などが挙げられる。
ガラス(シリカ)ビーズとしては、例えば、(株)龍森製の「ファインシリーズ」などが挙げられる。
粒子状フィラーの平均粒子径は、好ましくは0.1μm〜500μmであり、より好ましくは1μm〜100μmであり、さらに好ましくは2μm〜70μmであり、特に好ましくは3μm〜50μmであり、最も好ましくは3μm〜20μmである。なお、粘着剤層表面を平滑にして良好な粘着性を得るために、粒子状フィラーの平均粒子径は、粘着剤層の厚さよりも小さいものを選択すべきである。粒子状フィラーの平均粒子径を上記範囲内に調整することによって、本発明の自発巻回性粘着テープにおける粘着剤層の粘着特性やずり弾性率を制御し得る。
粒子状フィラーの添加量は、粘着剤層の全体100重量部に対して、好ましくは0.01重量部〜200重量部であり、より好ましくは0.1重量部〜100重量部であり、さらに好ましくは1重量部〜50重量部であり、特に好ましくは1重量部〜10重量部であり、最も好ましくは1重量部〜4重量部である。粒子状フィラーの添加量を上記範囲内に調整することによって、本発明の自発巻回性粘着テープにおける粘着剤層の粘着特性やずり弾性率を制御し得る。
粘着剤の好ましい態様としては、側鎖(メタ)アクリロイル基含有アクリル粘着剤、分子内にアクリロイル基またはメタクリロイル基を有するオリゴマー、(メタ)アクリレート系架橋剤(ポリ(メタ)アクリロイル基含有化合物;多官能(メタ)アクリレート)、紫外線光開始剤を含む紫外線硬化型粘着剤などが挙げられる。
粘着剤層の形成方法としては、例えば、(1)粘着剤、エネルギー線硬化性化合物、必要に応じて溶媒を添加して調製したコーティング液を、収縮性フィルム層の表面に塗布する方法、(2)剥離ライナー(セパレーター)上に、粘着剤、エネルギー線硬化性化合物、必要に応じて溶媒を添加して調製したコーティング液を塗布して粘着剤層を形成し、これを収縮性フィルム層上に転写(移着)する方法、などが挙げられる。(2)の方法の場合、収縮性フィルム層との界面にボイド(空隙)が残る場合がある。この場合は、オートクレーブ処理等により加温加圧処理を施し、ボイドを拡散させて消滅させることができる。
粘着剤層は、1層のみからなる単層であっても良いし、2層以上からなる複層であっても良い。
粘着剤層の有する粘着力(条件:180°ピール剥離、対シリコンミラーウエハ、引張速度300mm/分)としては、25℃で、好ましくは1.0N/10mm以上であり、より好ましくは3.0N/10mm以上であり、さらに好ましくは5.0N/10mm以上であり、特に好ましくは7.0N/10mm以上であり、最も好ましくは10.0N/10mm以上である。上記粘着力が上記範囲を外れると、粘着力が不足するために、被着体を保持、固定することが困難となるおそれがある。上記粘着力の上限は、現実的には、25N/10mm以下である。
粘着剤層の有する粘着力(条件:180°ピール剥離、対シリコンミラーウエハ、引張速度300mm/分)としては、40℃で、好ましくは3.0N/10mm以上であり、より好ましくは3.5N/10mm以上であり、さらに好ましくは4.0N/10mm以上であり、特に好ましくは5.0N/10mm以上であり、最も好ましくは7.0N/10mm以上である。本願では、40℃での粘着力は室温25℃での粘着力よりも大きくなっている場合がある。これは、前述した粘着剤のガラス転移点と関連があり、例えば、粘着剤のガラス転移点を室温に設計すると、室温以上の温度でゴム状態に相転移していくためである。高温で粘着力が高まることは、熱収縮応力で被着体と一体変形させる、すなわち、熱収縮温度で十分な粘着力を得る本願の趣旨と合致する。なお、上記粘着力が上記範囲を外れると、粘着力が不足するために、被着体を収縮応力で変形させ、さらに冷却後も保持、固定することが困難となるおそれがある。上記粘着力の上限は、現実的には、25N/10mm以下である。
エネルギー線としては、例えば、赤外線、可視光線、紫外線、放射線、電子線などを挙げることができ、粘着剤層の種類に応じて、適宜選択できる。例えば、本発明の自発巻回性粘着テープが紫外線硬化型粘着剤層を有する場合は、エネルギー線として紫外線を使用する。
紫外線の発生方式としては、例えば、放電ランプ方式(アークランプ)、フラッシュ方式、レーザー方式などを挙げることができる。本発明においては、工業的な生産性に優れる点で、放電ランプ方式(アークランプ)を使用することが好ましく、照射効率に優れる点で、高圧水銀ランプやメタルハライドランプを使用した照射方法を使用することがより好ましい。
紫外線の波長としては、紫外領域の波長であれば、任意の適切な波長を採用し得る。このような波長としては、例えば、一般的な光重合に使用され、紫外線発生方式で使用される波長として、250nm〜400nm程度の波長を使用することが好ましい。
紫外線の照射条件としては、照射強度として、例えば、好ましくは10mJ/cm〜1000mJ/cm、より好ましくは50mJ/cm〜600mJ/cmである。紫外線の照射強度が10mJ/cmを下回ると、粘着剤層の硬化が不十分となり、収縮応力で凝集破壊するおそれがある。一方、照射強度が1000mJ/cmを上回ると、硬化反応終了後もラジカルが残存し続けて、水素引き抜き反応により粘着剤層の硬化が進行し過ぎて、ひび割れるおそれがある。
<プライマー層>
粘着剤層と基材層との間には、プライマー層が設けられていても良い。プライマー層は、好ましくは、有機コーティング層である。
有機コーティング層は、基材層に良好に密着してフィルム変形に追従することが必要である。また、本発明の自発巻回性粘着テープにおいて、基材層は粘着剤層と良好に密着することが必要である。
有機コーティング層は、これらの特性を有する限り、どのような材料を用いても良い。
例えば、文献(プラスチックハードコート材料II、CMC出版、(2004))に示されるような、各種のコーティング材料を用いることが可能である。
コーティング材料としては、ウレタン系ポリマーまたはオリゴマーが好ましい。剛性フィルム層に対して優れた密着性及びフィルム変形時の追従性を示し、かつ、粘着剤層(特に、エネルギー線硬化後のエネルギー線硬化型粘着剤層)に対して優れた投錨性を示すからである。
コーティング材料としては、特に、ポリアクリルウレタン、ポリエステルポリウレタン、または、これらの前駆体がより好ましい。これらの材料は、剛性フィルム層への塗工・塗布が簡便であるなど、実用的であり、工業的に多種のものが選択でき、安価に入手できるからである。
ポリアクリルウレタンとしては、文献(プラスチックハードコート材料II、P17−21、CMC出版、(2004))および文献(最新ポリウレタン材料と応用技術、CMC出版、(2005))に示されるいずれをも用いることができる。これらは、イソシアネートモノマーとアルコール性水酸基含有モノマー(例えば、水酸基含有アクリル化合物または水酸基含有エステル化合物)との反応混合物からなるポリマーである。さらなる成分として、ポリアミンなどの鎖延長剤、老化防止剤、酸化安定剤などを含んでいてもよい。
ポリアクリルウレタンは、上述したモノマーを反応させることにより調製したものを用いても良いし、コーティング材料、インキ、塗料のバインダー樹脂として市販または使用されているものを用いてもよい(文献:最新ポリウレタン材料と応用技術、P190、CMC出版、(2005)参照)。このようなポリウレタンとしては、大日精化製の「NB300」、ADEKA製の「アデカボンタイター(登録商標)」、三井化学製の「タケラック(登録商標)A/タケネート(登録商標)A」、DICグラフィックス製の「UCシーラー」等の市販品が挙げられる。
このようなポリマーは、色素を添加するなどして、インキとして剛性フィルム層に印刷して用いてもよい。このように印刷することにより、本発明の自発巻回性粘着テープの意匠性を高めることも可能となる。
ウレタン系ポリマーまたはオリゴマー、特に、ポリアクリルウレタン、ポリエステルポリウレタン、または、これらの前駆体が剛性フィルム層ならび粘着剤層に対して良好な密着性及び追従性を示す理由としては、ウレタン系ポリマーまたはオリゴマーに原料として含まれるイソシアネート成分が、剛性フィルム層表面ならびに粘着剤層に存在する水酸基またはカルボキシル基などの極性官能基と反応して強固な結合を形成するからと考えられる。
特に、ウレタン系ポリマーまたはオリゴマーが、エネルギー線照射後において、エネルギー線硬化型粘着剤との投錨性が高まる理由としては、エネルギー線照射時においてウレタン結合近傍に生成するラジカル種とエネルギー線硬化型粘着剤に生成するラジカル種とが反応して強固な結合を形成するためと推測される(文献:ポリウレタンの構造・物性と高機能化および応用展開、p191−194、技術情報協会(1999))。
上述したウレタン系ポリマーまたはオリゴマーは、ポリオール化合物と、このポリオール化合物の水酸基に対して等当量(または等モル数)またはそれよりも多い当量(またはモル数)のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物とを原料に用いて反応させることによって得られたものが好ましく、さらに、ポリオール化合物と、このポリオール化合物の水酸基に対して等当量(または等モル数)よりも多い当量(またはモル数)のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物とを反応させることによって得られたものがより好ましい。このように、ポリオール化合物の水酸基の等当量以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物を用いることにより、投錨破壊を抑止する効果を高めることができ、特に、有機コーティング層を形成する材料として好ましい。
具体的には、ポリオール化合物の水酸基に対するポリイソシアネートにおけるイソシアネート基の混合比(NCO/OH)は、1以上であればよく、1より大きいことが好ましく、生成する有機コーティング層の形成材料の粘度、弾性率、軟化温度等、塗工や貼り合わせ工程などを含む積層シート製造条件を鑑みて適宜選択することができる。特に、このような混合比は、好ましくは1.005〜1000であり、より好ましくは1.01〜100であり、さらに好ましくは1.05〜10である。
これは、等当量または過剰量のイソシアネート基が、剛性フィルム層又は粘着剤層に含有される成分中の官能基とも化学結合することが期待されるからである。例えば、剛性フィルム層として、PET基材を用いる場合、PET基材には水酸基またはカルボキシル基などの活性水素を有する官能基が含まれており、これらが有機コーティング層中のイソシアネート基(または過剰量のイソシアネート基)と反応することによって、ウレタン結合またはアミド結合を形成すると考えられるからである。また、水酸基、カルボキシル基、またはアミノ基を含むような粘着剤を用いた粘着剤層でも、これと同様に、活性水素により対応する結合が形成されると考えられる。つまり、これら結合によっても、より密着性を向上させることができ、投錨破壊抑止に有効となると期待される。
このようなことから、剛性フィルム層および/または後述する粘着剤層に、活性水素を含有する官能基が含まれる材料またはこのような官能基を有する化合物が添加された材料が用いられている場合において、特に、投錨破壊を抑止する効果を高めることが可能となる。なお、活性水素を含有する官能基としては、上述したものの他に、ウレタン基、ウレア基、チオール基などが挙げられ、それぞれシソシアネート基と反応することにより、アロハネート結合、ビュウレット結合、チオウレタン結合などの化学結合を形成することができる。
ここで、ポリオール化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのジオール化合物;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、水酸基含有アクリル酸、およびその類縁体(例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートなど)から重合されたポリマー;等、1分子中に平均して1つ以上(好ましくは1を超え、より好ましくは2以上)の水酸基を含有する化合物が好ましい。これらポリオール化合物は、沸点(融点)、粘度等が様々であるため、塗工など製造条件を鑑みて適宜選択することができる。
ポリイソシアネートとしては、キシリレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシネート、メチレンビス(フェニルイソシアネート)等のジイソシアネート化合物;ポリフェニレンポリイソシアネート(ポリMDI);重合末端がトリレンジイソシアネートであるポリプロピレングリコール;等、1分子中に平均して1つ以上のイソシアネート基を含有する化合物であればよい。これらポリイソシアネートは沸点(融点)、粘度等が様々であるため、塗工など製造条件を鑑みて適宜選択することができる。
有機コーティング層の厚みは、任意の適切な厚みを採用し得る。例えば、好ましくは0.01μm〜10μmであり、より好ましくは0.1μm〜5μmであり、さらに好ましくは0.5μm〜5μmである。有機コーティング層の厚みが厚すぎると、基材の曲げ弾性が高まり、変形の阻害作用が働くおそれがある。有機コーティング層の厚みが薄すぎると、塗布ムラが生じてコーティングの意味をなさない場合が起こるばかりか、変形応力の集中により有機コーティング層が破壊され、投錨破壊の起点になるおそれがある。
<剥離ライナー>
本発明の自発巻回性粘着テープは、粘着剤層の平滑化および保護、ラベル加工、ブロッキング防止の観点などから、粘着剤層の表面に剥離ライナー(セパレーター)が設けられていてもよい。剥離ライナーは被着体に貼り合わせる際に剥がされるものであり、必ずしも設けなくてもよい。用いられる剥離ライナーとしては、例えば、任意の適切な剥離紙などが挙げられる。
剥離ライナーとしては、例えば、剥離処理層を有する基材、フッ素系ポリマーからなる低接着性基材や無極性ポリマーからなる低接着性基材などを用いることができる。剥離処理層を有する基材としては、例えば、シリコーン系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤、フッ素系剥離処理剤、硫化モリブデン系剥離処理剤などの剥離処理剤により表面処理されたプラスチックフィルムや紙などが挙げられる。
フッ素系ポリマーからなる低接着性基材におけるフッ素系ポリマーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体などが挙げられる。
無極性ポリマーからなる低接着性基材における無極性ポリマーとしては、例えば、オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)などが挙げられる。
剥離ライナーは、任意の適切な方法により形成することができる。
剥離ライナーの厚さとしては、例えば、好ましくは10μm〜200μmであり、より好ましくは25μm〜100μmである。また、必要に応じて、粘着剤層が環境紫外線によって硬化するのを防止するため、剥離ライナーに紫外線防止処理などが施されていても良い。
≪自発巻回性粘着テープの製造≫
本発明の自発巻回性粘着テープは、任意の適切な方法によって製造することができる。
本発明の自発巻回性粘着テープにおける基材層は、例えば、収縮性フィルム層と剛性フィルム層とを重ね、ハンドローラー、ラミネーター等の積層手段、オートクレーブ等の大気圧圧縮手段を、目的に応じて適宜選択的に用いて積層させることにより製造できる。この際、収縮性フィルム層と剛性フィルム層との積層に、必要に応じて接着剤等を用いても良い。
本発明の自発巻回性粘着テープは、上記のようにして得られた基材層の剛性フィルム層側の表面に粘着剤層を設けることにより製造することができる。
≪自発巻回性粘着テープの用途≫
本発明の自発巻回性粘着テープは、所定の形状にひねりや曲げ形状を付与して維持させることが要求されている被着体に対して貼り付けることにより、該被着体に所定の形状にひねりや曲げ形状を十分に付与して維持させることができ、また、該被着体から容易に剥がれてしまうことがない。したがって、本発明の自発巻回性粘着テープを貼り合せた回路構造材、例えば、近年のモバイル機器に実装されるFPCなどに本発明の自発巻回性粘着テープを貼り合せた回路構造材を用いることにより、該FPCに対して、所定の形状にひねりや曲げ形状を十分に付与して維持させることができるとともに、該FPCから容易に剥がれない。このため、近年の、一層の小型化や薄型化が進んだモバイル機器へのFPCの実装に極めて有効に利用できる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。なお、実施例等における、試験および評価方法は以下のとおりである。なお、「部」と記載されている場合は、特記事項がない限り「重量部」を意味し、「%」と記載されている場合は、特記事項がない限り「重量%」を意味する。
<r/Lの測定>
実施例および比較例で得られた自発巻回性粘着テープを100mm×100mmに切断した後、基材層側から、紫外線照射装置(日東精機製、商品名「UM−810」)で約500mJ/cm(60mW/cm2×8.3秒)となるように照射した。
次に、剥離シートを剥がし、自発巻回性粘着テープの1端部を収縮フィルムの収縮軸方向に沿って80℃の温水に徐々に浸漬し、1個の筒状巻回体へと変形させた。
筒状巻回体となったものについて、直径rをノギスを用いて求め、この値をL(=100mm)で除して、r/Lとした。
<粘着剤層の粘着力(25℃)の測定>
実施例および比較例で得られた粘着テープを幅10mmに切断し、剥離シートを除去した後に4インチミラーシリコンウェハ(信越半導体社製、商品名「CZ−N」)にハンドローラーで貼り合わせた。これをピール剥離試験機の引張り治具を粘着テープを用いて貼り合わせた。引張り治具を180°方向に、引張り速度300mm/分で引張り、粘着テープとミラーシリコンウエハとの間で剥離が生じたときの力(N/10mm)を測定した。
<粘着剤層の粘着力(40℃)の測定>
実施例および比較例で得られた粘着テープを幅10mmに切断し、剥離シートを除去した後に4インチミラーシリコンウェハ(信越半導体社製、商品名「CZ−N」)にハンドローラーで貼り合わせた。これを40℃の加温ステージ(ヒーター)上に、剛直支持基材が加温ステージに接触するように裁置した。次にピール剥離試験機の引張り治具を粘着テープを用いて貼り合わせた。引張り治具を180°方向に、引張り速度300mm/分で引張り、粘着テープとミラーシリコンウエハとの間で剥離が生じたときの力(N/10mm)を測定した。
<粘着剤層のゲル分率の測定>
実施例および比較例で得られた粘着テープの粘着剤層をピッキングにより約0.7mg剥がした後、予め重量を測定したフッ素樹脂フィルム(日東電工製、商品名「ニトフロン No900UL」)に包んだ試料の重量を測定した後、50mlの酢酸エチルに7日間浸漬・放置した。次いで、取り出した試料を130℃オーブンで2時間乾燥した後の試料の重量を測定し、次式によりゲル分率を求めた。
ゲル分率=100×[(乾燥後試料の重量―フッ素樹脂フィルムの重量)/(乾燥前試料の重量―フッ素樹脂フィルムの重量)]
<巻回体の直径rmmの経時変化の測定>
実施例および比較例で得られた粘着テープを厚さ50μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン製 商品名「カプトン200H」)にハンドローラーで貼り付け、粘着シートのTD/MD方向に20mm×20mmに切断した。次いで、切断片を80℃オーブンで1分間乾燥し、巻回させた切断片の直径rを1/100デジタルノギスで測定した。次いで、これを室温(25℃)で1時間放置後の直径r’を測定した。
<巻回体をもとの形状に戻す為に必要な戻し力の測定>
実施例および比較例で得られた粘着テープを厚さ50μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン製 商品名「カプトン200H」)にハンドローラーで貼り付け、粘着テープのTD/MD方向に70mm/20mmに切断した。SUS支持板に50mm×20mmの両面粘着テープ(日東電工製、商品名「No5000N」)を貼り付け、その粘着面に上記サンプルのポリイミド面が20mm×20mm飛び出るように貼りあわせた。この積層体を80℃オーブンに30秒間投入し、飛び出たフィルム部分を巻回させて筒状にした。次に筒状物の一端部に錘を取り付け、加熱前の形状になる荷重を測定した。
<せん断貯蔵弾性率G’の測定>
測定サンプル(粘着剤または接着剤)を1.5mm〜2mmの厚みで作製した後、これを直径7.9mmのポンチで打ち抜き、測定用の試料とした。粘弾性スペクトロメーター(商品名「ARES」、Rheometric Scientific 社製)を用いて、チャック圧100g重、せん断を周波数1Hzに設定して、昇温速度5℃/分で測定を行った。装置は、ステンレススチール製8mmパラレルプレート(ティエーインスツルメンツ社製、型式708.0157)を使用した。
<剛性フィルム層のヤング率(80℃)の測定>
剛性フィルム層のヤング率は、JIS K7127(1999年)に準じ、以下の方法で測定した。引張り試験機として加温フード付きオートグラフ(商品名「AG−1kNG」、島津製作所製)を用いた。長さ200mm×幅10mmに切り取った剛性フィルム層をチャック間距離100mmで取り付けた。加温フードにより80℃の雰囲気にした後、引張り速度5mm/分で試料を引張り、応力−歪み相関の測定値を得た。歪みが0.2%と0.45%の2点について荷重を求めヤング率を得た。この測定を同一試料について5回繰り返し、その平均値を採用した。
〔製造例1〕:粘着剤1の製造
n−ブチルアクリレート:アクリル酸:酢酸ビニル:2−ヒドロキシエチルアクリレート=100:3:5:0.1(重量比)の混合物:100重量部に、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル:0.2重量部を加えたトルエン/酢酸エチル=80/20(重量比)混合溶液を共重合し、アクリル系共重合体(重量平均分子量60万)を得た。
得られたアクリル系共重合体:100重量部に対して、テルペンフェノール樹脂(ヤスハラケミカル製、商品名「マイティエースG−150」):10重量部、重合ロジンペンタエリスリトールエステル(荒川化学工業製、商品名「ペンセルD−125」):10重量部、水添ロジンエステル(荒川化学工業製、商品名「エステルガムH」):10重量部、水添ロジンメチルエステル(イーストマンケミカル製、商品名「フォーラリン5020F」):5重量部、イソシアナート系架橋剤(日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートL」):1.4重量部を加えて、粘着剤1を得た。
〔製造例2〕:粘着剤2の製造
n−ブチルアクリレート:アクリル酸:酢酸ビニル:2−ヒドロキシエチルアクリレート=100:3:5:0.1(重量比)の混合物:100重量部に、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル:0.2重量部を加えたトルエン/酢酸エチル=80/20(重量比)混合溶液を共重合し、アクリル系共重合体(重量平均分子量60万)を得た。
得られたアクリル系共重合体:100重量部に対して、テルペンフェノール樹脂(ヤスハラケミカル製、商品名「マイティエースG−150」):10重量部、重合ロジンペンタエリスリトールエステル(荒川化学工業製、商品名「ペンセルD−125」):10重量部、水添ロジンエステル(荒川化学工業製、商品名「エステルガムH」):10重量部、水添ロジンメチルエステル(イーストマンケミカル製、商品名「フォーラリン5020F」):5重量部、イソシアナート系架橋剤(日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートL」):2.5重量部を加えて、粘着剤2を得た。
〔製造例3〕:粘着剤3の製造
2−エチルヘキシルアクリレート:アクリル酸モルホリル:アクリル酸:2−ヒドロキシエチルアクリレート=75:25:3:0.1(重量比)の混合物:100重量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル:0.2重量部からなる酢酸エチル混合溶液を共重合して得られたアクリル系共重合体(分子量105万):100重量部に、三菱ガス化学(株)製の商品名「テトラッドC」:0.25重量部、イソシアナート系架橋剤(日本ポリウレタン工業製、商品名「コロネートL」):0.8重量部、第一工業製薬社製の商品名「エパン710」:0.05重量部を混合し、粘着剤3を得た。
〔製造例4〕:粘着剤4の製造
メチルアクリレート:2−エチルヘキシルアクリレート:アクリル酸=70:30:10(重量比)の混合物:100重量部に、重合開始剤としてベンジルパーオキサイド:0.2重量部を加えた酢酸エチル溶液を共重合し、アクリル系共重合体(重量平均分子量120万)を得た。
得られたアクリル系共重合体:100重量部に対して、イソシアナート系架橋剤(日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートL」):3重量部、多官能アクリレート系化合物(日本化薬(株)製、商品名「DPHA−40H」):60重量部、光重合開始剤(BASF製、商品名「イルガキュア127」)3重量部を加え、粘着剤4を得た。
〔製造例5〕:粘着剤5の製造
エチルアクリレート:ブチルアクリレート:アクリル酸:2−ヒドロキシエチルアクリレート=50:50:5:0.1(重量比)の混合物:100重量部に、重合開始剤としてベンジルパーオキサイド:0.2重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA):0.3重量部を加えたトルエン溶液を共重合し、アクリル系共重合体(重量平均分子量48万)を得た。
得られたアクリル系共重合体:100重量部に対して、イソシアナート系架橋剤(日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートL」):3重量部、粘着付与剤(ヤスハラケミカル社製、商品名「YSポリスターS−145」):20重量部を加え、粘着剤5を得た。
〔製造例6〕:粘着剤6の製造
エチルアクリレート:2−エチルへキシルアクリレート:N−フェニルマレイミド:2−ヒドロキシエチルアクリレート=70:30:5:4(重量比)の混合物:100重量部に、重合開始剤としてベンジルパーオキサイド:0.2重量部を加えたトルエン溶液を共重合して、アクリル系共重合体(重量平均分子量51万)を得た。
得られたアクリル系共重合体:100重量部に対して、イソシアナート系架橋剤(日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートL」):1.4重量部、粘着付与剤(住友ベークライト製、商品名「PR−12603」):20重量部を加え、粘着剤6を得た。
〔製造例7〕:粘着剤7の製造
エステル系重合体(ダイセル化学社製の商品名「PLACCEL CD220PL」):100重量部とセバシン酸:10重量部から得られた重合物):100重量部に、イソシアナート系架橋剤(日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートL」):2重量部、ジブチル錫ラウリレート:0.05重量部を混合し、粘着剤7を得た。
〔製造例8〕:粘着剤8の製造
2−エチルヘキシルアクリレート:アクリル酸=100:5(重量比)の混合物:100重量部に、重合開始剤としてベンジルパーオキサイド:0.2重量部を加えた酢酸エチル溶液を共重合し、アクリル系共重合体(重量平均分子量107万)を得た。
得られたアクリル系共重合体:100重量部に対して、イソシアナート系架橋剤(日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートL」):1.0重量部を加え、粘着剤8を得た。
〔実施例1〕
剛性フィルムとして、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製、ルミラーF53、厚み6μm)を用いた。
この剛性フィルムの片面に、NB300(大日精化社製、薄青色顔料入り)を乾燥後の膜厚が1μm〜2μmとなるようにグラビアコーターで塗布、乾燥させ、プライマー層付き剛性フィルム層を得た。
得られた剛性フィルム層のプライマー層の反対面と熱収縮ポリエステルフィルム(東洋紡社製、スペースクリーンS7053、膜厚30μm、片面コロナ処理済み)のコロナ処理面とを接着剤を用いてドライラミネート法で貼り合わせ、自発巻回性フィルム基材(1)を製造した。
なお、ドライラミネートに用いた接着剤は、三井化学社製のタケラックA520、三井化学社製のタケネートA10、および酢酸エチルを、重量比で6:1:5.5となるよう混合したものを用いた。また、乾燥後の接着剤層の厚みは2μm〜4μmであった。
次いで、粘着剤1を、アプリケータを用いて剥離シート(三菱ポリエステルフィルム(株)製、商品名「MRF38」)上に塗工した後、溶媒等の揮発物を乾燥して、厚み20μmの粘着剤層を剥離シート上に設けた後に、自発巻回性フィルム基材(1)のプライマー層側に貼り合せて、粘着テープ(1)を得た。
評価結果を表1に示した。
〔実施例2〕
剛性フィルムとして、ポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、商品名「カプトン30EN」、厚み7.5μm)を用いた。
この剛性フィルムの片面に、NB300(大日精化社製、薄青色顔料入り)を乾燥後の膜厚が1μm〜2μmとなるようにグラビアコーターで塗布、乾燥させ、プライマー層付き剛性フィルム層を得た。
得られた剛性フィルム層のプライマー層の反対面と熱収縮ポリエステルフィルム(東洋紡社製、スペースクリーンS7053、膜厚30μm、片面コロナ処理済み)のコロナ処理面とを接着剤を用いてドライラミネート法で貼り合わせ、自発巻回性フィルム基材(2)を製造した。
なお、ドライラミネートに用いた接着剤は、三井化学社製のタケラックA520、三井化学社製のタケネートA10、および酢酸エチルを、重量比で6:1:5.5となるよう混合したものを用いた。また、乾燥後の接着剤の厚みは2μm〜4μmであった。
次いで、粘着剤2を、自発巻回性フィルム基材(2)のプライマー層側に貼り合せて粘着テープ(2)を得た。
評価結果を表1に示した。
〔実施例3〕
剛性フィルムとして、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製、ルミラーF53、厚み3.5μm)を用いた。
この剛性フィルムの片面に、NB300(大日精化社製、薄青色顔料入り)を乾燥後の膜厚が1μm〜2μmとなるようにグラビアコーターで塗布、乾燥させ、プライマー層付き剛性フィルム層を得た。
得られた剛性フィルム層のプライマー層の反対面と熱収縮ポリエステルフィルム(東洋紡社製、スペースクリーンS7053、膜厚30μm、片面コロナ処理済み)のコロナ処理面とを接着剤を用いてドライラミネート法で貼り合わせ、自発巻回性フィルム基材(3)を製造した。
なお、ドライラミネートに用いた接着剤は、三井化学社製のタケラックA520、三井化学社製のタケネートA10、および酢酸エチルを、重量比で6:1:5.5となるよう混合したものを用いた。また、乾燥後の接着剤層の厚みは2μm〜4μmであった。
次いで、粘着剤3を、アプリケータを用いて剥離シート(三菱ポリエステルフィルム(株)製、商品名「MRF38」)上に塗工した後、溶媒等の揮発物を乾燥して、厚み20μmの粘着剤層を剥離シート上に設けた後に、自発巻回性フィルム基材(3)のプライマー層側に貼り合せて、粘着テープ(3)を得た。
評価結果を表1に示した。
〔実施例4〕
剛性フィルムとして、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製、ルミラーF53、厚み4.5μm)を用いた。
この剛性フィルムの片面に、NB300(大日精化社製、薄青色顔料入り)を乾燥後の膜厚が1μm〜2μmとなるようにグラビアコーターで塗布、乾燥させ、プライマー層付き剛性フィルム層を得た。
得られた剛性フィルム層のプライマー層の反対面と熱収縮ポリエステルフィルム(東洋紡社製、スペースクリーンS7053、膜厚30μm、片面コロナ処理済み)のコロナ処理面とを接着剤を用いてドライラミネート法で貼り合わせ、自発巻回性フィルム基材(4)を作製した。
なお、ドライラミネートに用いた接着剤は、三井化学社製のタケラックA520、三井化学社製のタケネートA10、および酢酸エチルを、重量比で6:1:5.5となるよう混合したものを用いた。また、乾燥後の接着剤層の厚みは2μm〜4μmであった。
次いで、粘着剤4を、アプリケータを用いて剥離シート(三菱ポリエステルフィルム(株)製、商品名「MRF38」)上に塗工した後、溶媒等の揮発物を乾燥して、厚み20μmの粘着剤層を剥離シート上に設けた後に、自発巻回性フィルム基材(4)のプライマー層側に貼り合せて、粘着テープ(4)を得た。
評価結果を表1に示した。
〔実施例5〕
粘着剤5を、アプリケータを用いて剥離シート(三菱ポリエステルフィルム(株)製、商品名「MRF38」)上に塗工した後、溶媒等の揮発物を乾燥して、厚み20μmの粘着剤層を剥離シート上に設けた後に、熱収縮ポリエステルフィルム(東洋紡社製、スペースクリーンS7053、膜厚30μm、片面コロナ処理済み)のコロナ処理面に貼り合せて、粘着テープ(5)を得た。
評価結果を表1に示した。
〔実施例6〕
粘着剤6を、アプリケータを用いて剥離シート(三菱ポリエステルフィルム(株)製、商品名「MRF38」)上に塗工した後、溶媒等の揮発物を乾燥して、厚み20μmの粘着剤層を剥離シート上に設けた後に、熱収縮ポリエステルフィルム(東洋紡社製、スペースクリーンS7053、膜厚30μm、片面コロナ処理済み)のコロナ処理面に貼り合せて、粘着テープ(6)を得た。
評価結果を表1に示した。
〔実施例7〕
粘着剤7を、アプリケータを用いて剥離シート(三菱ポリエステルフィルム(株)製、商品名「MRF38」)上に塗工した後、溶媒等の揮発物を乾燥して、厚み20μmの粘着剤層を剥離シート上に設けた後に、熱収縮ポリエステルフィルム(東洋紡社製、スペースクリーンS7053、膜厚30μm、片面コロナ処理済み)のコロナ処理面に貼り合せて、粘着テープ(7)を得た。
評価結果を表1に示した。
〔実施例8〕
粘着剤1を、アプリケータを用いて剥離シート(三菱ポリエステルフィルム(株)製、商品名「MRF38」)上に塗工した後、溶媒等の揮発物を乾燥して、厚み20μmの粘着剤層を剥離シート上に設けた後に、熱収縮ポリエステルフィルム(東洋紡社製、スペースクリーンS7053、膜厚30μm、片面コロナ処理済み)のコロナ処理面に貼り合せて、粘着テープ(8)を得た。
評価結果を表1に示した。
〔比較例1〕
剛性フィルムとして、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製、ルミラーF53、厚み6μm)を用いた。
この剛性フィルムの片面に、NB300(大日精化社製、薄青色顔料入り)を乾燥後の膜厚が1μm〜2μmとなるようにグラビアコーターで塗布、乾燥させ、プライマー層付き剛性フィルム層を得た。
得られた剛性フィルム層のプライマー層の反対面と熱収縮ポリエステルフィルム(東洋紡社製、スペースクリーンS7053、膜厚30μm、片面コロナ処理済み)のコロナ処理面とを接着剤を用いてドライラミネート法で貼り合わせ、自発巻回性フィルム基材(C1)を作製した。
なお、ドライラミネートに用いた接着剤は、三井化学社製のタケラックA520、三井化学社製のタケネートA10、および酢酸エチルを、重量比で6:1:5.5となるよう混合したものを用いた。また、乾燥後の接着剤の厚みは2μm〜4μmであった。
次いで、粘着剤8を、アプリケータを用いて剥離シート(三菱ポリエステルフィルム(株)製、商品名「MRF38」)上に塗工した後、溶媒等の揮発物を乾燥して、厚み20μmの粘着剤層を剥離シート上に設けた後に、自発巻回性フィルム基材(C1)のプライマー層側に貼り合せて粘着テープ(C1)を得た。
評価結果を表1に示した。
Figure 2015089910
本発明の自発巻回性粘着テープは、所定の形状にひねりや曲げ形状を付与して維持させることが要求されている被着体に対して貼り付けることにより、該被着体に所定の形状にひねりや曲げ形状を十分に付与して維持させることができ、また、該被着体から容易に剥がれてしまうことがない。したがって、例えば、近年のモバイル機器に実装されるFPCなどに貼着することにより、該FPCに対して、所定の形状にひねりや曲げ形状を十分に付与して維持させることができるとともに、該FPCから容易に剥がれない。このため、近年の、一層の小型化や薄型化が進んだモバイル機器へのFPCの実装に極めて有効に利用できる。
1 基材層
2 粘着剤層
3 収縮性フィルム層
4 剛性フィルム層
10 自発巻回性粘着テープ

Claims (7)

  1. 加熱することにより自発的に巻回する粘着テープであって、
    基材層と、その少なくとも一方の面に設けられる粘着剤層とを有し、
    該基材層が、少なくとも一層の収縮性フィルム層を含む、
    自発巻回性粘着テープ。
  2. 前記基材層が、前記収縮性フィルム層から見て前記粘着剤層側に剛性フィルム層を有する、請求項1に記載の自発巻回性粘着テープ。
  3. 前記粘着剤層と前記基材層との間にプライマー層を有する、請求項1または2に記載の自発巻回性粘着テープ。
  4. 巻回方向の長さをLmm、自発巻回後に形成される巻回体の直径をrmmとしたとき、r/Lが0.0001〜0.999である、請求項1から3までのいずれかに記載の自発巻回性粘着テープ。
  5. 前記巻回体の直径rmmが15mm以下である、請求項4に記載の自発巻回性粘着テープ。
  6. 前記自発巻回性粘着テープを縦50mm×横20mmの大きさに切断して得られるサンプルに、縦50mm×横20mm×厚み50μmのポリイミドフィルムを貼り付け、加熱して形成する巻回体をもとの形状に戻す為に必要な力が0.01N以上である、請求項1から5までのいずれかに記載の自発巻回性粘着テープ。
  7. 前記自発巻回性粘着テープを縦50mm×横20mmの大きさに切断して得られるサンプルに、縦50mm×横20mm×厚み50μmのポリイミドフィルムを貼り付け、加熱して形成する巻回体の直径の、該加熱後に25℃で1時間放置した後の変化が、±20%以内である、請求項1から6までのいずれかに記載の自発巻回性粘着テープ。



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