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JP2015088635A - 熱処理装置および熱処理方法 - Google Patents

熱処理装置および熱処理方法 Download PDF

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JP2015088635A
JP2015088635A JP2013226249A JP2013226249A JP2015088635A JP 2015088635 A JP2015088635 A JP 2015088635A JP 2013226249 A JP2013226249 A JP 2013226249A JP 2013226249 A JP2013226249 A JP 2013226249A JP 2015088635 A JP2015088635 A JP 2015088635A
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楠田 達文
Tatsufumi Kusuda
達文 楠田
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Abstract

【課題】フラッシュ光照射時における基板の跳躍および割れを防止することができる熱処理装置および熱処理方法を提供する。【解決手段】半導体ウェハーを支持するサセプターを振動可能に形設し、その固有振動数をフラッシュランプからのフラッシュ光照射によって半導体ウェハーが振動したときの振動数の2分の1以上2倍以下としている。そのようなサセプターに半導体ウェハーを支持してフラッシュランプからフラッシュ光照射を行うと、フラッシュ加熱による急激な温度上昇にともなう半導体ウェハーの振動に追従するようにサセプターが振動する。従って、フラッシュ光照射時に半導体ウェハーが振動したときにも半導体ウェハーの全域にわたってサセプターと衝突することが防がれ、フラッシュ光照射時における半導体ウェハーの跳躍および割れを防止することができる。【選択図】図10

Description

本発明は、半導体ウェハー等の薄板状精密電子基板(以下、単に「基板」と称する)にフラッシュ光を照射することによって該基板を加熱する熱処理装置および熱処理方法に関する。
半導体デバイスの製造プロセスにおいて、不純物導入は半導体ウェハー内にpn接合を形成するための必須の工程である。現在、不純物導入は、イオン打ち込み法とその後のアニール法によってなされるのが一般的である。イオン打ち込み法は、ボロン(B)、ヒ素(As)、リン(P)といった不純物の元素をイオン化させて高加速電圧で半導体ウェハーに衝突させて物理的に不純物注入を行う技術である。注入された不純物はアニール処理によって活性化される。この際に、アニール時間が数秒程度以上であると、打ち込まれた不純物が熱によって深く拡散し、その結果接合深さが要求よりも深くなり過ぎて良好なデバイス形成に支障が生じるおそれがある。
そこで、極めて短時間で半導体ウェハーを加熱するアニール技術として、近年フラッシュランプアニール(FLA)が注目されている。フラッシュランプアニールは、キセノンフラッシュランプ(以下、単に「フラッシュランプ」とするときにはキセノンフラッシュランプを意味する)を使用して半導体ウェハーの表面にフラッシュ光を照射することにより、不純物が注入された半導体ウェハーの表面のみを極めて短時間(数ミリ秒以下)に昇温させる熱処理技術である。
キセノンフラッシュランプの放射分光分布は紫外域から近赤外域であり、従来のハロゲンランプよりも波長が短く、シリコンの半導体ウェハーの基礎吸収帯とほぼ一致している。よって、キセノンフラッシュランプから半導体ウェハーにフラッシュ光を照射したときには、透過光が少なく半導体ウェハーを急速に昇温することが可能である。また、数ミリ秒以下の極めて短時間のフラッシュ光照射であれば、半導体ウェハーの表面近傍のみを選択的に昇温できることも判明している。このため、キセノンフラッシュランプによる極短時間の昇温であれば、不純物を深く拡散させることなく、不純物活性化のみを実行することができるのである。
このようなキセノンフラッシュランプを使用した熱処理装置として、特許文献1には、石英製のサセプターの上面に複数のバンプ(支持ピン)を形成し、それらバンプによって点接触で支持した半導体ウェハーにフラッシュ加熱を行う技術が開示されている。特許文献1に開示の装置では、サセプター上に載置した半導体ウェハーの下面からハロゲンランプが光照射を行って予備加熱した後、ウェハー表面にフラッシュランプからフラッシュ光を照射してフラッシュ加熱を行う。
特開2009−164451号公報
しかしながら、フラッシュランプを使用した熱処理装置においては、極めて高いエネルギーを有するフラッシュ光を瞬間的に半導体ウェハーの表面に照射するため、一瞬で半導体ウェハーの表面温度が急速に上昇する一方で裏面温度はそれ程には上昇しない。このため、半導体ウェハーの表面のみに急激な熱膨張が生じて半導体ウェハーが上面を凸として反るように変形する。そして、次の瞬間には反動で半導体ウェハーが下面を凸として反るように変形していた。
半導体ウェハーが上面を凸とするように変形したときには、ウェハーの端縁部がサセプターの衝突する。逆に、半導体ウェハーが下面を凸とするように変形したときには、ウェハーの中央部がサセプターの衝突することとなっていた。その結果、半導体ウェハーがサセプターから跳躍したり、衝撃で半導体ウェハーが割れるという問題が生じていた。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、フラッシュ光照射時における基板の跳躍および割れを防止することができる熱処理装置および熱処理方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、基板にフラッシュ光を照射することによって該基板を加熱する熱処理装置において、基板を収容するチャンバーと、前記チャンバー内に設置され、基板を載置して支持するサセプターと、前記サセプターに支持された基板の一方面にフラッシュ光を照射するフラッシュランプと、を備え、前記サセプターの固有振動数は、前記フラッシュランプからのフラッシュ光照射によって前記基板が振動したときの振動数の2分の1以上2倍以下であることを特徴とする。
また、請求項2の発明は、基板にフラッシュ光を照射することによって該基板を加熱する熱処理装置において、基板を収容するチャンバーと、前記チャンバー内に設置され、基板を載置して支持するサセプターと、前記サセプターに支持された基板の一方面にフラッシュ光を照射するフラッシュランプと、を備え、前記サセプターは、前記フラッシュランプからのフラッシュ光照射によって前記基板が振動したときに、その振動に追従して振動するように形設されることを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明に係る熱処理装置において、前記サセプターは、石英の平板状のプレート部材を有することを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項3の発明に係る熱処理装置において、前記サセプターは、前記チャンバーに前記プレート部材を支持するための支持片をさらに有することを特徴とする。
また、請求項5の発明は、請求項1から請求項4のいずれかの発明に係る熱処理装置において、前記基板の他方面に光を照射して予備加熱を行う連続点灯ランプをさらに備えることを特徴とする。
また、請求項6の発明は、基板にフラッシュ光を照射することによって該基板を加熱する熱処理方法において、チャンバー内に設置されたサセプターに基板を載置して支持する載置工程と、前記基板の一方面にフラッシュランプからフラッシュ光を照射するフラッシュ光照射工程と、前記フラッシュランプからのフラッシュ光照射によって前記基板が振動したときに、その振動に追従するように前記サセプターを振動させる振動追従工程と、を備えることを特徴とする。
また、請求項7の発明は、請求項6の発明に係る熱処理方法において、前記サセプターの固有振動数は、前記フラッシュランプからのフラッシュ光照射によって前記基板が振動したときの振動数の2分の1以上2倍以下であることを特徴とする。
また、請求項8の発明は、請求項6または請求項7の発明に係る熱処理方法において、前記基板の他方面に連続点灯ランプから光を照射して予備加熱を行う予備加熱工程をさらに備えることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、基板を載置して支持するサセプターの固有振動数は、フラッシュランプからのフラッシュ光照射によって基板が振動したときの振動数の2分の1以上2倍以下であるため、フラッシュ光照射時に基板が振動したときにもその振動に追従するようにサセプターが振動して基板とサセプターとの衝突が防がれ、フラッシュ光照射時における基板の跳躍および割れを防止することができる。
請求項2から請求項5の発明によれば、フラッシュランプからのフラッシュ光照射によって基板が振動したときに、その振動に追従して振動するようにサセプターが形設されるため、フラッシュ光照射時に基板が振動したときにもサセプターとの衝突が防がれ、フラッシュ光照射時における基板の跳躍および割れを防止することができる。
請求項6から請求項8の発明によれば、フラッシュランプからのフラッシュ光照射によって基板が振動したときに、その振動に追従するように前記サセプターを振動させるため、フラッシュ光照射時に基板が振動したときにもサセプターとの衝突が防がれ、フラッシュ光照射時における基板の跳躍および割れを防止することができる。
本発明に係る熱処理装置の構成を示す縦断面図である。 サセプターを上面から見た平面図である。 サセプターの側面図である。 移載機構の平面図である。 移載機構の側面図である。 複数のハロゲンランプの配置を示す平面図である。 半導体ウェハーおよびサセプターの振動を示す図である。 フラッシュ光照射が行われる前の半導体ウェハーおよびサセプターの状態を模式的に示す図である。 フラッシュ光が照射された瞬間の半導体ウェハーおよびサセプターの状態を模式的に示す図である。 半導体ウェハーおよびサセプターの変形を模式的に示す図である。 半導体ウェハーおよびサセプターの変形を模式的に示す図である。 サセプターの他の例を示す平面図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明に係る熱処理装置1の構成を示す縦断面図である。本実施形態の熱処理装置1は、基板として円板形状の半導体ウェハーWに対してフラッシュ光照射を行うことによってその半導体ウェハーWを加熱するフラッシュランプアニール装置である。処理対象となる半導体ウェハーWのサイズは特に限定されるものではないが、例えばφ300mmやφ450mmである。熱処理装置1に搬入される前の半導体ウェハーWには不純物が注入されており、熱処理装置1による加熱処理によって注入された不純物の活性化処理が実行される。なお、図1および以降の各図においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数を誇張または簡略化して描いている。
熱処理装置1は、半導体ウェハーWを収容するチャンバー6と、複数のフラッシュランプFLを内蔵するフラッシュ加熱部5と、複数のハロゲンランプHLを内蔵するハロゲン加熱部4と、を備える。チャンバー6の上側にフラッシュ加熱部5が設けられるとともに、下側にハロゲン加熱部4が設けられている。また、熱処理装置1は、チャンバー6の内部に、半導体ウェハーWを水平姿勢で載置して支持するサセプター7と、サセプター7と装置外部との間で半導体ウェハーWの受け渡しを行う移載機構10と、を備える。さらに、熱処理装置1は、ハロゲン加熱部4、フラッシュ加熱部5およびチャンバー6に設けられた各動作機構を制御して半導体ウェハーWの熱処理を実行させる制御部3を備える。
チャンバー6は、筒状のチャンバー側部61の上下に石英製のチャンバー窓を装着して構成されている。チャンバー側部61は上下が開口された概略筒形状を有しており、上側開口には上側チャンバー窓63が装着されて閉塞され、下側開口には下側チャンバー窓64が装着されて閉塞されている。チャンバー6の天井部を構成する上側チャンバー窓63は、石英により形成された円板形状部材であり、フラッシュ加熱部5から出射されたフラッシュ光をチャンバー6内に透過する石英窓として機能する。また、チャンバー6の床部を構成する下側チャンバー窓64も、石英により形成された円板形状部材であり、ハロゲン加熱部4からの光をチャンバー6内に透過する石英窓として機能する。
また、チャンバー側部61の内側の壁面の上部には反射リング68が装着され、下部には反射リング69が装着されている。反射リング68,69は、ともに円環状に形成されている。上側の反射リング68は、チャンバー側部61の上側から嵌め込むことによって装着される。一方、下側の反射リング69は、チャンバー側部61の下側から嵌め込んで図示省略のビスで留めることによって装着される。すなわち、反射リング68,69は、ともに着脱自在にチャンバー側部61に装着されるものである。チャンバー6の内側空間、すなわち上側チャンバー窓63、下側チャンバー窓64、チャンバー側部61および反射リング68,69によって囲まれる空間が熱処理空間65として規定される。
チャンバー側部61に反射リング68,69が装着されることによって、チャンバー6の内壁面に凹部62が形成される。すなわち、チャンバー側部61の内壁面のうち反射リング68,69が装着されていない中央部分と、反射リング68の下端面と、反射リング69の上端面とで囲まれた凹部62が形成される。凹部62は、チャンバー6の内壁面に水平方向に沿って円環状に形成され、半導体ウェハーWを保持するサセプター7を囲繞する。
チャンバー側部61および反射リング68,69は、強度と耐熱性に優れた金属材料(例えば、ステンレススチール)にて形成されている。また、反射リング68,69の内周面は電解ニッケルメッキによって鏡面とされている。
また、チャンバー側部61には、チャンバー6に対して半導体ウェハーWの搬入および搬出を行うための搬送開口部(炉口)66が形設されている。搬送開口部66は、ゲートバルブ185によって開閉可能とされている。搬送開口部66は凹部62の外周面に連通接続されている。このため、ゲートバルブ185が搬送開口部66を開放しているときには、搬送開口部66から凹部62を通過して熱処理空間65への半導体ウェハーWの搬入および熱処理空間65からの半導体ウェハーWの搬出を行うことができる。また、ゲートバルブ185が搬送開口部66を閉鎖するとチャンバー6内の熱処理空間65が密閉空間とされる。
また、チャンバー6の内壁上部には熱処理空間65に処理ガス(本実施形態では窒素ガス(N))を供給するガス供給孔81が形設されている。ガス供給孔81は、凹部62よりも上側位置に形設されており、反射リング68に設けられていても良い。ガス供給孔81はチャンバー6の側壁内部に円環状に形成された緩衝空間82を介してガス供給管83に連通接続されている。ガス供給管83はガス供給源85に接続されている。また、ガス供給管83の経路途中にはバルブ84が介挿されている。バルブ84が開放されると、ガス供給源85から緩衝空間82に窒素ガスが送給される。緩衝空間82に流入した窒素ガスは、ガス供給孔81よりも流体抵抗の小さい緩衝空間82内を拡がるように流れてガス供給孔81から熱処理空間65内へと供給される。なお、処理ガスは窒素ガスに限定されるものではなく、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)などの不活性ガス、または、酸素(O)、水素(H)、塩素(Cl)、塩化水素(HCl)、オゾン(O)、アンモニア(NH)などの反応性ガスであっても良い。
一方、チャンバー6の内壁下部には熱処理空間65内の気体を排気するガス排気孔86が形設されている。ガス排気孔86は、凹部62よりも下側位置に形設されており、反射リング69に設けられていても良い。ガス排気孔86はチャンバー6の側壁内部に円環状に形成された緩衝空間87を介してガス排気管88に連通接続されている。ガス排気管88は排気部190に接続されている。また、ガス排気管88の経路途中にはバルブ89が介挿されている。バルブ89が開放されると、熱処理空間65の気体がガス排気孔86から緩衝空間87を経てガス排気管88へと排出される。なお、ガス供給孔81およびガス排気孔86は、チャンバー6の周方向に沿って複数設けられていても良いし、スリット状のものであっても良い。また、ガス供給源85および排気部190は、熱処理装置1に設けられた機構であっても良いし、熱処理装置1が設置される工場のユーティリティであっても良い。
また、搬送開口部66の先端にも熱処理空間65内の気体を排出するガス排気管191が接続されている。ガス排気管191はバルブ192を介して排気部190に接続されている。バルブ192を開放することによって、搬送開口部66を介してチャンバー6内の気体が排気される。
図2は、サセプター7を上面から見た平面図である。また、図3は、サセプター7の側面図である。サセプター7は、プレート71、複数の支持ピン72および支持片73を備える。
プレート71は、石英にて形成された円形の平板状の部材である。円形のプレート71の直径は半導体ウェハーWの直径よりも大きい。また、プレート71の厚さは適宜のものとすることができるが、例えば3mm程度である。
プレート71の上面には、複数の支持ピン72が立設されている。本実施形態においては、円形のプレート71の外周円と同心円の周上に沿って60°毎に計6本の支持ピン72が立設されている。6本の支持ピン72を配置した円の径(対向する支持ピン72間の距離)は半導体ウェハーWの径よりも小さい。それぞれの支持ピン72は石英にて形成されている。複数の支持ピン72は、例えばプレート71の上面に穿設された凹部に嵌着して立設すれば良い。
また、プレート71には、後述する移載機構10のリフトピン12が半導体ウェハーWの受け渡しのために貫通する4個の貫通孔74が穿設されている。さらに、プレート71の上面には、支持ピン72に支持された半導体ウェハーWの位置ずれを防止するためのガイドピンが立設されていても良い。
一方、4枚の支持片73はチャンバー6の内壁面に取り付けられている。具体的には、本実施形態では、チャンバー6の内壁面の一部を構成する下側の反射リング69の上部に各支持片73の基端側が固設されている。支持片73は金属材料にて形成される。4枚の支持片73は、円環状の反射リング69の周方向に沿って等間隔(90°間隔)で設けられる。そして、チャンバー6の内壁面に固設された4枚の支持片73の先端側に石英のプレート71が載置される。4枚の支持片73がプレート71の下面周縁部を支持することによって、プレート71は水平姿勢(法線が鉛直方向と一致する姿勢)にてチャンバー6内に設置されることとなる。4枚の支持片73の先端側とプレート71とは固定されておらず、単に支持片73の先端側にプレート71が載置されているだけである。
このようにしてチャンバー6内に設置されたサセプター7に半導体ウェハーWを載置するときには、プレート71の上面に立設された6本の支持ピン72によって半導体ウェハーWの下面が点接触で支持される。よって、プレート71の上面と半導体ウェハーWの下面との間に所定の間隔(支持ピン72の高さ)を隔てて半導体ウェハーWは支持されることとなる。なお、水平姿勢のプレート71によって支持される半導体ウェハーWも水平姿勢となる。
図4は、移載機構10の平面図である。また、図5は、移載機構10の側面図である。移載機構10は、2本の移載アーム11を備える。移載アーム11は、概ね円環状の凹部62に沿うような円弧形状とされている。それぞれの移載アーム11には2本のリフトピン12が立設されている。各移載アーム11は水平移動機構13によって回動可能とされている。水平移動機構13は、一対の移載アーム11をサセプター7に対して半導体ウェハーWの移載を行う移載動作位置(図4の実線位置)とサセプター7に保持された半導体ウェハーWと平面視で重ならない退避位置(図4の二点鎖線位置)との間で水平移動させる。水平移動機構13としては、個別のモータによって各移載アーム11をそれぞれ回動させるものであっても良いし、リンク機構を用いて1個のモータによって一対の移載アーム11を連動させて回動させるものであっても良い。
また、一対の移載アーム11は、昇降機構14によって水平移動機構13とともに昇降移動される。昇降機構14が一対の移載アーム11を移載動作位置にて上昇させると、計4本のリフトピン12がサセプター7のプレート71に穿設された貫通孔74(図2参照)を通過し、リフトピン12の上端がプレート71の上面から突き出る。一方、昇降機構14が一対の移載アーム11を移載動作位置にて下降させてリフトピン12を貫通孔74から抜き取り、水平移動機構13が一対の移載アーム11を開くように移動させると各移載アーム11が退避位置に移動する。なお、移載機構10の駆動部(水平移動機構13および昇降機構14)が設けられている部位の近傍にも図示省略の排気機構が設けられており、移載機構10の駆動部周辺の雰囲気がチャンバー6の外部に排出されるように構成されている。
図1に戻り、チャンバー6の上方に設けられたフラッシュ加熱部5は、筐体51の内側に、複数本(本実施形態では30本)のキセノンフラッシュランプFLからなる光源と、その光源の上方を覆うように設けられたリフレクタ52と、を備えて構成される。また、フラッシュ加熱部5の筐体51の底部にはランプ光放射窓53が装着されている。フラッシュ加熱部5の床部を構成するランプ光放射窓53は、石英により形成された板状の石英窓である。フラッシュ加熱部5がチャンバー6の上方に設置されることにより、ランプ光放射窓53が上側チャンバー窓63と相対向することとなる。フラッシュランプFLはチャンバー6の上方からランプ光放射窓53および上側チャンバー窓63を介して熱処理空間65にフラッシュ光を照射する。
複数のフラッシュランプFLは、それぞれが長尺の円筒形状を有する棒状ランプであり、それぞれの長手方向がサセプター7に支持される半導体ウェハーWの主面に沿って(つまり水平方向に沿って)互いに平行となるように平面状に配列されている。よって、フラッシュランプFLの配列によって形成される平面も水平面である。
キセノンフラッシュランプFLは、その内部にキセノンガスが封入されその両端部にコンデンサーに接続された陽極および陰極が配設された棒状のガラス管(放電管)と、該ガラス管の外周面上に付設されたトリガー電極とを備える。キセノンガスは電気的には絶縁体であることから、コンデンサーに電荷が蓄積されていたとしても通常の状態ではガラス管内に電気は流れない。しかしながら、トリガー電極に高電圧を印加して絶縁を破壊した場合には、コンデンサーに蓄えられた電気がガラス管内に瞬時に流れ、そのときのキセノンの原子あるいは分子の励起によって光が放出される。このようなキセノンフラッシュランプFLにおいては、予めコンデンサーに蓄えられていた静電エネルギーが0.1ミリセカンドないし100ミリセカンドという極めて短い光パルスに変換されることから、ハロゲンランプHLの如き連続点灯の光源に比べて極めて強い光を照射し得るという特徴を有する。すなわち、フラッシュランプFLは、1秒未満の極めて短い時間で瞬間的に発光するパルス発光ランプである。なお、フラッシュランプFLの発光時間は、フラッシュランプFLに電力供給を行うランプ電源のコイル定数によって調整することができる。
また、リフレクタ52は、複数のフラッシュランプFLの上方にそれら全体を覆うように設けられている。リフレクタ52の基本的な機能は、複数のフラッシュランプFLから出射されたフラッシュ光を熱処理空間65の側に反射するというものである。リフレクタ52はアルミニウム合金板にて形成されており、その表面(フラッシュランプFLに臨む側の面)はブラスト処理により粗面化加工が施されている。
チャンバー6の下方に設けられたハロゲン加熱部4の内部には複数本(本実施形態では40本)のハロゲンランプHLが内蔵されている。複数のハロゲンランプHLはチャンバー6の下方から下側チャンバー窓64を介して熱処理空間65への光照射を行う。図6は、複数のハロゲンランプHLの配置を示す平面図である。本実施形態では、上下2段に各20本ずつのハロゲンランプHLが配設されている。各ハロゲンランプHLは、長尺の円筒形状を有する棒状ランプである。上段、下段ともに20本のハロゲンランプHLは、それぞれの長手方向がサセプター7に保持される半導体ウェハーWの主面に沿って(つまり水平方向に沿って)互いに平行となるように配列されている。よって、上段、下段ともにハロゲンランプHLの配列によって形成される平面は水平面である。
また、図6に示すように、上段、下段ともにサセプター7に保持される半導体ウェハーWの中央部に対向する領域よりも周縁部に対向する領域におけるハロゲンランプHLの配設密度が高くなっている。すなわち、上下段ともに、ランプ配列の中央部よりも周縁部の方がハロゲンランプHLの配設ピッチが短い。このため、ハロゲン加熱部4からの光照射による加熱時に温度低下が生じやすい半導体ウェハーWの周縁部により多い光量の照射を行うことができる。
また、上段のハロゲンランプHLからなるランプ群と下段のハロゲンランプHLからなるランプ群とが格子状に交差するように配列されている。すなわち、上段の各ハロゲンランプHLの長手方向と下段の各ハロゲンランプHLの長手方向とが直交するように計40本のハロゲンランプHLが配設されている。
ハロゲンランプHLは、ガラス管内部に配設されたフィラメントに通電することでフィラメントを白熱化させて発光させるフィラメント方式の光源である。ガラス管の内部には、窒素やアルゴン等の不活性ガスにハロゲン元素(ヨウ素、臭素等)を微量導入した気体が封入されている。ハロゲン元素を導入することによって、フィラメントの折損を抑制しつつフィラメントの温度を高温に設定することが可能となる。したがって、ハロゲンランプHLは、通常の白熱電球に比べて寿命が長くかつ強い光を連続的に照射できるという特性を有する。すなわち、ハロゲンランプHLは少なくとも1秒以上連続して発光する連続点灯ランプである。また、ハロゲンランプHLは棒状ランプであるため長寿命であり、ハロゲンランプHLを水平方向に沿わせて配置することにより上方の半導体ウェハーWへの放射効率が優れたものとなる。
また、制御部3は、熱処理装置1に設けられた上記の種々の動作機構を制御する。制御部3のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、制御部3は、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMおよび制御用ソフトウェアやデータなどを記憶しておく磁気ディスクを備えている。制御部3のCPUが所定の処理プログラムを実行することによって熱処理装置1における処理が進行する。
上記の構成以外にも熱処理装置1は、半導体ウェハーWの熱処理時にハロゲンランプHLおよびフラッシュランプFLから発生する熱エネルギーによるハロゲン加熱部4、フラッシュ加熱部5およびチャンバー6の過剰な温度上昇を防止するため、様々な冷却用の構造を備えている。例えば、チャンバー6の壁体には水冷管(図示省略)が設けられている。また、ハロゲン加熱部4およびフラッシュ加熱部5は、内部に気体流を形成して排熱する空冷構造とされている。また、上側チャンバー窓63とランプ光放射窓53との間隙にも空気が供給され、フラッシュ加熱部5および上側チャンバー窓63を冷却する。さらに、熱処理装置1には、サセプター7に保持された半導体ウェハーWの温度を測定する温度センサー(放射温度計および/または接触式温時計)が設けられている。
次に、熱処理装置1における半導体ウェハーWの処理手順について説明する。ここで処理対象となる半導体ウェハーWはイオン注入法により不純物(イオン)が添加された半導体基板である。その不純物の活性化が熱処理装置1によるフラッシュ光照射加熱処理(アニール)により実行される。以下に説明する熱処理装置1の処理手順は、制御部3が熱処理装置1の各動作機構を制御することにより進行する。
まず、給気のためのバルブ84が開放されるとともに、排気用のバルブ89,192が開放されてチャンバー6内に対する給排気が開始される。バルブ84が開放されると、ガス供給孔81から熱処理空間65に窒素ガスが供給される。また、バルブ89が開放されると、ガス排気孔86からチャンバー6内の気体が排気される。これにより、チャンバー6内の熱処理空間65の上部から供給された窒素ガスが下方へと流れ、熱処理空間65の下部から排気される。なお、サセプター7のプレート71は4枚の支持片73によって支持されているため、サセプター7の上方から供給された窒素ガスはプレート71の周囲を通過してサセプター7の下方へと流れることができる(図2参照)。
また、バルブ192が開放されることによって、搬送開口部66からもチャンバー6内の気体が排気される。さらに、図示省略の排気機構によって移載機構10の駆動部周辺の雰囲気も排気される。なお、熱処理装置1における半導体ウェハーWの熱処理時には窒素ガスが熱処理空間65に継続的に供給されており、その供給量は処理工程に応じて適宜変更される。
続いて、ゲートバルブ185が開いて搬送開口部66が開放され、装置外部の搬送ロボットにより搬送開口部66を介してイオン注入後の半導体ウェハーWがチャンバー6内の熱処理空間65に搬入される。搬送ロボットによって搬入された半導体ウェハーWはサセプター7のプレート71の直上位置まで進出して停止する。そして、移載機構10の一対の移載アーム11が退避位置から移載動作位置に水平移動して上昇することにより、リフトピン12が貫通孔74を通ってプレート71の上面から突き出て半導体ウェハーWを受け取る。このとき、リフトピン12はサセプター7の支持ピン72の上端よりも上方にまで上昇する。
半導体ウェハーWがリフトピン12に載置された後、搬送ロボットが熱処理空間65から退出し、ゲートバルブ185によって搬送開口部66が閉鎖される。そして、一対の移載アーム11が下降することにより、半導体ウェハーWは移載機構10からサセプター7に載置されて水平姿勢にて下方より支持される。
半導体ウェハーWは、プレート71の上面に立設された6本の支持ピン72によって点接触にて支持されてサセプター7に載置される。半導体ウェハーWは、その中心が円形のプレート71の中心軸と一致するように(つまり、プレート71の上面の中央に)、6本の支持ピン72によって支持される。また、半導体ウェハーWは、パターン形成がなされて不純物が注入された表面を上面としてサセプター7に支持される。複数の支持ピン72によって支持された半導体ウェハーWの裏面(表面とは反対側の主面)とプレート71の上面との間には所定の間隔が形成され、半導体ウェハーWはプレート71の上面と平行に支持される。サセプター7の下方にまで下降した一対の移載アーム11は水平移動機構13によって退避位置に退避する。
半導体ウェハーWがサセプター7によって水平姿勢にて下方より支持された後、ハロゲン加熱部4の40本のハロゲンランプHLが一斉に点灯して予備加熱(アシスト加熱)が開始される。ハロゲンランプHLから出射されたハロゲン光は、石英にて形成された下側チャンバー窓64およびプレート71を透過して半導体ウェハーWの裏面から照射される。ハロゲンランプHLからの光照射を受けることによって半導体ウェハーWが予備加熱されて温度が上昇する。なお、移載機構10の移載アーム11は退避位置に退避しているため、ハロゲンランプHLによる加熱の障害となることは無い。
ハロゲンランプHLによる予備加熱を行うときには、半導体ウェハーWの温度が図示を省略する温度センサーによって測定されている。測定された半導体ウェハーWの温度は当該温度センサーから制御部3に伝達される。制御部3は、ハロゲンランプHLからの光照射によって昇温する半導体ウェハーWの温度が所定の予備加熱温度T1に到達したか否かを監視する。予備加熱温度T1は、半導体ウェハーWに添加された不純物が熱により拡散する恐れのない、200℃ないし800℃程度、好ましくは350℃ないし600℃程度とされる(本実施の形態では600℃)。
半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1に到達した後、制御部3は半導体ウェハーWをその予備加熱温度T1に暫時維持する。具体的には、温度センサーによって測定される半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1に到達した時点にて制御部3がハロゲンランプHLの出力を制御して半導体ウェハーWの温度をほぼ予備加熱温度T1に所定時間維持している。
このようなハロゲンランプHLによる予備加熱を行うことによって、半導体ウェハーWの全体を予備加熱温度T1に均一に昇温している。ハロゲンランプHLによる予備加熱の段階においては、より放熱が生じやすい半導体ウェハーWの周縁部の温度が中央部よりも低下する傾向にあるが、ハロゲン加熱部4におけるハロゲンランプHLの配設密度は、半導体ウェハーWの中央部に対向する領域よりも周縁部に対向する領域の方が高くなっている(図6参照)。このため、放熱が生じやすい半導体ウェハーWの周縁部に照射される光量が多くなり、予備加熱段階における半導体ウェハーWの面内温度分布を均一なものとすることができる。さらに、チャンバー側部61に装着された反射リング69の内周面は鏡面とされているため、この反射リング69の内周面によって半導体ウェハーWの周縁部に向けて反射する光量が多くなり、予備加熱段階における半導体ウェハーWの面内温度分布をより均一なものとすることができる。
ハロゲンランプHLからの光照射によって半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1に到達して所定時間が経過した時点にてフラッシュ加熱部5のフラッシュランプFLが半導体ウェハーWの表面にフラッシュ光照射を行う。このとき、フラッシュランプFLから放射されるフラッシュ光の一部は直接にチャンバー6内へと向かい、他の一部は一旦リフレクタ52により反射されてからチャンバー6内へと向かい、これらのフラッシュ光の照射により半導体ウェハーWのフラッシュ加熱が行われる。
フラッシュ加熱は、フラッシュランプFLからのフラッシュ光(閃光)照射により行われるため、半導体ウェハーWの表面温度を短時間で上昇することができる。すなわち、フラッシュランプFLから照射されるフラッシュ光は、予めコンデンサーに蓄えられていた静電エネルギーが極めて短い光パルスに変換された、照射時間が0.1ミリセカンド以上100ミリセカンド以下程度の極めて短く強い閃光である。そして、フラッシュランプFLからのフラッシュ光照射によりフラッシュ加熱される半導体ウェハーWの表面温度は、瞬間的に1000℃以上の処理温度T2まで上昇し、半導体ウェハーWに注入された不純物が活性化された後、表面温度が急速に下降する。このように、熱処理装置1では、半導体ウェハーWの表面温度を極めて短時間で昇降することができるため、半導体ウェハーWに注入された不純物の熱による拡散を抑制しつつ不純物の活性化を行うことができる。なお、不純物の活性化に必要な時間はその熱拡散に必要な時間に比較して極めて短いため、0.1ミリセカンドないし100ミリセカンド程度の拡散が生じない短時間であっても活性化は完了する。
ところで、このフラッシュ光照射によって、半導体ウェハーWの表面温度は瞬間的に1000℃以上の処理温度T2にまで上昇する一方、その瞬間の裏面温度は予備加熱温度T1からさほどには上昇しない。すなわち、半導体ウェハーWの表面と裏面とに瞬間的に大きな温度差が発生するのである。その結果、半導体ウェハーWの表面のみに急激な熱膨張が生じ、裏面はほとんど熱膨張しないために、半導体ウェハーWが表面を凸面とするように瞬間的に反る。
そのような瞬間的な反りが生じたときには、半導体ウェハーWの端縁部がサセプター7のプレート71上面に衝突する。続いて、次の瞬間には、半導体ウェハーWの表面から裏面側にも熱が伝導するとともに、上記の表面を凸面とする反りの反動によって裏面を凸面とするように反る。以降、半導体ウェハーWは表面と裏面とが交互に凸面となるような反りを繰り返して振動することとなる。このときに、従来のサセプターであれば、半導体ウェハーWの端縁部および中央部が繰り返してサセプターに衝突することとなり、その結果半導体ウェハーWがサセプターから跳躍したり、ウェハー割れが生じるおそれがあったことは既述した通りである。
そこで、本発明に係る熱処理装置1においては、フラッシュランプFLからのフラッシュ光照射によって半導体ウェハーWが振動したときに、その振動に追従してサセプター7が振動するように構成している。具体的には、フラッシュ光照射によって半導体ウェハーWが振動するときの振動数にサセプター7の固有振動数を近づけるようにしている。
サセプター7のプレート71は石英の板状部材であり、支持片73も板状の金属片であるため、チャンバー6の内壁面に対して支持片73を含むサセプター7の全体が振動可能である。サセプター7が外部から力を受けることなく振動するときの固有振動数fは、次に式(1)にて表される。
Figure 2015088635
式(1)において、kは支持片73を含むサセプター7全体のバネ定数であり、mはサセプター7全体の質量である。サセプター7のプレート71や支持片73の形状を調整することによって式(1)で示されるサセプター7の固有振動数fを変化させることができる。例えば、プレート71の厚さを厚くすると、サセプター7の質量mが増加するとともに、バネ定数kも変化する。このため、式(1)で示されるサセプター7の固有振動数fも小さくなる。
本実施形態においては、サセプター7の固有振動数の調整に先立って、予めフラッシュ光照射時における半導体ウェハーWの振動数を求めている。半導体ウェハーWの振動数を求める手法としては、例えば、従来の石英サセプターに半導体ウェハーWを載置してその表面にフラッシュ光を照射し、実際に半導体ウェハーWをサセプターから跳躍させる。そして、半導体ウェハーWが跳躍している様子をハイスピードカメラによって撮像し、その撮像結果を解析することによって半導体ウェハーWの振動数を求めれば良い。半導体ウェハーWが跳躍しているときは、外部から拘束されることなく振動しており、そのときの振動数がフラッシュ光照射時の半導体ウェハーWの振動数である。
フラッシュ光照射時において外部から拘束されることなく振動する半導体ウェハーWの振動数は、その半導体ウェハーWの固有振動数であり、半導体ウェハーWの径に応じた一定の値となる。すなわち、同じ径であればフラッシュ光照射の条件や予備加熱温度によって半導体ウェハーWの振動数は変化しない。なお、半導体ウェハーWの厚さは規格によって径ごとに固定された値である(例えば、φ300mmの半導体ウェハーWであれば厚さは0.775mm)。従って、φ300mmやφ450mmなどの半導体ウェハーWの径ごとに、上述のようにして実際に跳躍させて振動数を求めておけば、その値をフラッシュ光照射時における半導体ウェハーWの振動数として採用することができる。
次に、サセプター7の固有振動数が以上のようにして求めたフラッシュ光照射時における半導体ウェハーWの振動数の2分の1以上2倍以下の範囲内となるように調整を行う。具体的には、例えば、サセプター7のプレート71の厚さを調整することによってサセプター7の質量mおよびバネ定数kを変化させて固有振動数を調整する。そして、固有振動数がフラッシュ光照射時における半導体ウェハーWの振動数の2分の1以上2倍以下の範囲内に調整されたサセプター7が熱処理装置1のチャンバー6内に装着される。
以上のようにして固有振動数が調整されたサセプター7に支持された半導体ウェハーWにフラッシュランプFLからフラッシュ光を照射すると、半導体ウェハーWが振動するとともに、サセプター7も振動する。図7は、半導体ウェハーWおよびサセプター7の振動を示す図である。図7の上段には半導体ウェハーWの中央部の変位を示し、下段にはサセプター7のプレート71の中央部の変位を示す。
まず、フラッシュランプFLからフラッシュ光が照射されるよりも前の段階(時刻t1よりも前の段階)では、半導体ウェハーWもサセプター7も振動していない。図8は、フラッシュ光照射が行われる前の状態を模式的に示す図である。このときには、静止状態のサセプター7のプレート71に半導体ウェハーWが静止状態で支持されている。この状態においては、半導体ウェハーWとサセプター7との衝突は当然に生じない。ハロゲンランプHLによる予備加熱時には、図8の静止状態が維持される。
次に、時刻t1に、予備加熱後の半導体ウェハーWに対してフラッシュランプFLからフラッシュ光が照射される。図9は、フラッシュ光が照射された瞬間の状態を模式的に示す図である。上述したように、フラッシュ光が照射された瞬間、半導体ウェハーWの表面が急激に処理温度T2にまで昇温する一方、裏面は予備加熱温度T1からさほどには上昇しない。その結果、図9に示すように、半導体ウェハーWの表面のみに急激な熱膨張が生じ、半導体ウェハーWが表面を凸面とするように瞬間的に反る。これにより、半導体ウェハーWの中央部が上側に変位する一方で端縁部は下側に変位する。
また、フラッシュ光が照射された瞬間の時刻t1の時点では、フラッシュ光を吸収しないサセプター7にはいかなる応力も作用しておらず、サセプター7は変形していない。但し、図9に示すように、半導体ウェハーWの端縁部が下側に変位した結果、当該端縁部がサセプター7のプレート71の上面に衝突する。これにより、半導体ウェハーWの変形がサセプター7に力を作用させることとなる。
表面を凸面とするように反った半導体ウェハーWは、その反動で裏面を凸面とするように反る。そして、半導体ウェハーWは、再びその反動で表面を凸面とするように反り、以降これを繰り返して振動する。
一方、フラッシュ光照射の瞬間における半導体ウェハーWの変形によって外力を受けたサセプター7は、その外力によって変形を開始する。サセプター7もプレート71の上面を凸とするような変形と下面を凸とするような変形とを繰り返して振動する。ここで、サセプター7の固有振動数は、フラッシュ光照射時における半導体ウェハーWの振動数の2分の1以上2倍以下となるように調整されている。従って、半導体ウェハーWとサセプター7とは概ね同程度の振動数で振動することとなる。その結果、図7に示すように、半導体ウェハーWの振動に追従するようにサセプター7も振動するのである。
フラッシュランプFLからフラッシュ光が照射された後の時刻t2には、フラッシュ光照射の瞬間に表面を凸面とするように反った半導体ウェハーWが反動で裏面を凸面とするように反り、半導体ウェハーWの中央部の下側への変位が最高値となる。図7に示すように、時刻t2では、サセプター7のプレート71中央部の変位も下側に最高値となる。その結果、図10に示すように、半導体ウェハーWおよびサセプター7のプレート71ともに下側を凸とするように変形し、双方は衝突しない。
さらに、その後の時刻t3には、半導体ウェハーWが再び表面を凸面とするように反り、半導体ウェハーWの中央部の上側への変位が最高値となる。図7に示すように、時刻t3では、サセプター7のプレート71中央部の変位も上側に最高値となる。その結果、図11に示すように、半導体ウェハーWおよびサセプター7のプレート71ともに上側を凸とするように変形し、双方は衝突しない。
以降、半導体ウェハーWおよびサセプター7は変形を繰り返して振動することとなるが、半導体ウェハーWの振動数とサセプター7の固有振動数とが近いため、図10および図11に示すように双方が同じ向きに変形することとなり、半導体ウェハーWの端縁部および中央部がサセプター7に衝突することは防がれる。その結果、半導体ウェハーWのサセプター7からの跳躍を防ぐことができるとともに、半導体ウェハーWの割れも防止することができる。
半導体ウェハーWおよびサセプター7の振動は比較的短時間のうちに減衰して停止し、フラッシュ加熱が完了する。そして、フラッシュ加熱処理が終了した後、所定時間経過後にハロゲンランプHLが消灯する。これにより、半導体ウェハーWが予備加熱温度T1から急速に降温する。降温中の半導体ウェハーWの温度も温度センサーによって測定され、その測定結果は制御部3に伝達される。制御部3は、測定結果より半導体ウェハーWの温度が所定温度まで降温したか否かを監視する。そして、半導体ウェハーWの温度が所定以下にまで降温した後、移載機構10の一対の移載アーム11が再び退避位置から移載動作位置に水平移動して上昇することにより、リフトピン12がサセプター7のプレート71の上面から突き出て熱処理後の半導体ウェハーWをサセプター7から受け取る。続いて、ゲートバルブ185により閉鎖されていた搬送開口部66が開放され、リフトピン12上に載置された半導体ウェハーWが装置外部の搬送ロボットにより搬出され、熱処理装置1における半導体ウェハーWの一連の加熱処理が完了する。
本実施形態においては、半導体ウェハーWを支持するサセプター7を振動可能に形設し、その固有振動数をフラッシュランプFLからのフラッシュ光照射によって半導体ウェハーWが振動したときの振動数の2分の1以上2倍以下としている。そのようなサセプター7に半導体ウェハーWを支持してフラッシュランプFLからフラッシュ光照射を行うと、フラッシュ加熱による急激な温度上昇にともなう半導体ウェハーWの振動に追従するようにサセプター7が振動する。従って、フラッシュ光照射時に半導体ウェハーWが振動したときにも半導体ウェハーWの全域(中央部および端縁部を含む)にわたってサセプター7と衝突することが防がれ、フラッシュ光照射時における半導体ウェハーWの跳躍および割れを防止することができる。その結果、フラッシュランプFLからより大きな光エネルギーにてフラッシュ光を照射して半導体ウェハーWの表面温度をより高温にまで昇温することができる。
半導体ウェハーWおよびサセプター7の振動が長時間におよぶ場合には、双方の振動数が僅かでも異なると何れかの時点で半導体ウェハーWの中央部が下向きに変位しているときにサセプター7の中央部が上向きに変位して衝突することとなる。しかしながら、上記実施形態のようなフラッシュ光照射に起因する半導体ウェハーWおよびサセプター7の振動は短時間のうちに減衰する。短時間の振動であるならば、サセプター7の固有振動数が半導体ウェハーWの振動数の2分の1以上2倍以下の範囲内であれば、双方の振動数が近いために半導体ウェハーWとサセプター7とが逆向きに振動して衝突することは避けられる。このため、サセプター7の固有振動数は、フラッシュランプFLからのフラッシュ光照射によって半導体ウェハーWが振動したときの振動数の2分の1以上2倍以下の範囲内としている。衝突を防ぐためにより好ましくは、サセプター7の固有振動数は、フラッシュランプFLからのフラッシュ光照射によって半導体ウェハーWが振動したときの振動数の4分の3以上1.5倍以下である。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態のサセプター7においては、4枚の支持片73によってプレート71の周縁部を支持するようにしていたが、これに代えて石英のプレートをチャンバー6の内壁面に直接取り付けるようにしても良い。図12は、サセプター7の他の例を示す平面図である。このサセプター7は、プレート77および複数の支持ピン72を備える。すなわち、上記実施形態における金属の支持片73に相当する要素は存在していない。
図12に示す例では、チャンバー6の内壁面67が平面視で概略矩形となる筒形状を有する。また、サセプター7のプレート77は、石英にて形成された板状部材であり、矩形の平板の四隅から支持片が突き出た形状を有している。上記実施形態と同様に、プレート77の上面には、60°間隔で6本の石英の支持ピン72が立設されている。6本の支持ピン72を配置した円の径は半導体ウェハーWの径よりも小さい。よって、6本の支持ピン72によって点接触で半導体ウェハーWを支持することができる。
サセプター7のプレート77は四隅の支持片を介してチャンバー6の内壁面67に水平姿勢にて取り付けられる。サセプター7は、単に内壁面67に載置されているだけであり、自由に振動することが可能である。そして、サセプター7が外力を受けることなく振動するときの固有振動数は、フラッシュランプFLからのフラッシュ光照射によって半導体ウェハーWが振動したときの振動数の2分の1以上2倍以下の範囲内である。なお、このサセプター7の固有振動数fも上記の式(1)にて表される。
図12に示すようなサセプター7に半導体ウェハーWを支持してフラッシュランプFLからフラッシュ光照射を行った場合にも、フラッシュ加熱による急激な温度上昇にともなう半導体ウェハーWの振動に追従するようにサセプター7が振動する。従って、上記実施形態と同様に、フラッシュ光照射時に半導体ウェハーWが振動したときにも半導体ウェハーWの全域にわたってサセプター7と衝突することが防がれ、フラッシュ光照射時における半導体ウェハーWの跳躍および割れを防止することができる。
また、上記実施形態においては、4枚の支持片73の基端側をチャンバー6の内壁面に固設し、先端側にプレート71を載置するようにしていたが、これに代えて、4枚の支持片73の先端側をプレート71に固定して基端側をチャンバー6の内壁面に単に載置するようにしても良い。或いは、円環状の支持片によってプレート71を支持するようにしても良い。要するに、サセプター7が自由に振動することができ、その固有振動数がフラッシュ光照射によって半導体ウェハーWが振動したときの振動数の2分の1以上2倍以下の範囲内であれば良い。
また、上記実施形態においては、サセプター7を石英にて形成していたが、これに限定されるものではなく、サセプター7を窒化アルミニウム(AlN)または炭化ケイ素(SiC)にて形成するようにしても良い。この場合であっても、サセプター7の固有振動数をフラッシュ光照射によって半導体ウェハーWが振動したときの振動数の2分の1以上2倍以下の範囲内とする。
また、上記実施形態においては、フラッシュ加熱部5に30本のフラッシュランプFLを備えるようにしていたが、これに限定されるものではなく、フラッシュランプFLの本数は任意の数とすることができる。また、フラッシュランプFLはキセノンフラッシュランプに限定されるものではなく、クリプトンフラッシュランプであっても良い。また、ハロゲン加熱部4に備えるハロゲンランプHLの本数も40本に限定されるものではなく、任意の数とすることができる。
また、本発明に係る熱処理装置によって処理対象となる基板は半導体ウェハーに限定されるものではなく、液晶表示装置などのフラットパネルディスプレイに用いるガラス基板や太陽電池用の基板であっても良い。また、本発明に係る技術は、金属とシリコンとの接合、或いはポリシリコンの結晶化に適用するようにしても良い。
1 熱処理装置
3 制御部
4 ハロゲン加熱部
5 フラッシュ加熱部
6 チャンバー
7 サセプター
10 移載機構
65 熱処理空間
71,77 プレート
72 支持ピン
73 支持片
HL ハロゲンランプ
FL フラッシュランプ
W 半導体ウェハー

Claims (8)

  1. 基板にフラッシュ光を照射することによって該基板を加熱する熱処理装置であって、
    基板を収容するチャンバーと、
    前記チャンバー内に設置され、基板を載置して支持するサセプターと、
    前記サセプターに支持された基板の一方面にフラッシュ光を照射するフラッシュランプと、
    を備え、
    前記サセプターの固有振動数は、前記フラッシュランプからのフラッシュ光照射によって前記基板が振動したときの振動数の2分の1以上2倍以下であることを特徴とする熱処理装置。
  2. 基板にフラッシュ光を照射することによって該基板を加熱する熱処理装置であって、
    基板を収容するチャンバーと、
    前記チャンバー内に設置され、基板を載置して支持するサセプターと、
    前記サセプターに支持された基板の一方面にフラッシュ光を照射するフラッシュランプと、
    を備え、
    前記サセプターは、前記フラッシュランプからのフラッシュ光照射によって前記基板が振動したときに、その振動に追従して振動するように形設されることを特徴とする熱処理装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の熱処理装置において、
    前記サセプターは、石英の平板状のプレート部材を有することを特徴とする熱処理装置。
  4. 請求項3記載の熱処理装置において、
    前記サセプターは、前記チャンバーに前記プレート部材を支持するための支持片をさらに有することを特徴とする熱処理装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載の熱処理装置において、
    前記基板の他方面に光を照射して予備加熱を行う連続点灯ランプをさらに備えることを特徴とする熱処理装置。
  6. 基板にフラッシュ光を照射することによって該基板を加熱する熱処理方法であって、
    チャンバー内に設置されたサセプターに基板を載置して支持する載置工程と、
    前記基板の一方面にフラッシュランプからフラッシュ光を照射するフラッシュ光照射工程と、
    前記フラッシュランプからのフラッシュ光照射によって前記基板が振動したときに、その振動に追従するように前記サセプターを振動させる振動追従工程と、
    を備えることを特徴とする熱処理方法。
  7. 請求項6記載の熱処理方法において、
    前記サセプターの固有振動数は、前記フラッシュランプからのフラッシュ光照射によって前記基板が振動したときの振動数の2分の1以上2倍以下であることを特徴とする熱処理方法。
  8. 請求項6または請求項7に記載の熱処理方法において、
    前記基板の他方面に連続点灯ランプから光を照射して予備加熱を行う予備加熱工程をさらに備えることを特徴とする熱処理方法。
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