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JP2015058693A - 真偽判定可能な偽造防止用表示体とその作製方法、並びに真偽判定方法 - Google Patents

真偽判定可能な偽造防止用表示体とその作製方法、並びに真偽判定方法 Download PDF

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JP2015058693A JP2013195814A JP2013195814A JP2015058693A JP 2015058693 A JP2015058693 A JP 2015058693A JP 2013195814 A JP2013195814 A JP 2013195814A JP 2013195814 A JP2013195814 A JP 2013195814A JP 2015058693 A JP2015058693 A JP 2015058693A
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丈範 合田
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Abstract

【課題】自己組織的に形成される不規則な自己組織化パターンを用いることで複製や模倣を不可能にした偽造防止技術であって、非常に微細なパターン領域にて真贋判定を可能にした偽造防止用表示体とその作製方法、並びに真偽判別方法を提供する。
【解決手段】自己組織的に形成された不規則な自己組織化パターン3を基材2上に有する、真偽判定可能な偽造防止用表示体1A。
【選択図】図1

Description

本発明は、真偽判定可能な偽造防止用表示体とその作製方法、並びに真偽判定方法に関する。
金券や有価証券、証明印紙、クレジットカード、会員証、高価物品などには偽造を防止するためにホログラムや透かし、発光インキ、潜像模様など様々な偽造防止技術が施されている。
近年では、マイクロチップなどの半導体部品も偽造のターゲットとなっている。通信機器や軍用機器等に組み込まれるマイクロチップが偽造品にすり替えられることで、機密情報の漏洩や致命的な機器の誤作動といった事態を人為的に発生させることが可能となる。そのため、マイクロメートルスケールの非常に微細な部品等にも、偽造防止技術を施すことが求められている。
偽造防止技術には、自然光下において肉眼で視認可能なオバートタイプと、肉眼での視認は不可能であり、特殊な光学的装置を利用することではじめて存在を確認できるコバートタイプがある。コバートタイプはその肉眼による視認不可な特性から、オバートタイプに比べて偽造防止処理が施されていることに気付かれにくく、複製や模倣される可能性が低い。そのため、高い偽造防止効果が期待される。
コバートタイプの偽造防止技術の一例として、特許文献1に、追跡可能な情報を内部に有している微粒子であるタガント粒子を用いた技術が提案されている。タガント粒子には文字、数字、符号、特殊な色彩を有しているものが知られており、拡大して観察することで識別可能となる。したがって、タガント粒子自体の判別が難しく、複製や模倣が困難であるため、特許文献1の技術は高い偽造防止効果を有すると考えられる。
また、肉眼による視認が不可能で、かつ高い不規則性を有することにより複製や模倣が困難な技術の一例として、特許文献2に、透明インキの不規則なインキ分布パターンを利用した技術が提案されている。この技術では、下地層に対してはじく透明インキが塗布されてインキ分布のパターンが形成される。そして、不規則にはじかれたインキ分布のパターン画像を、インキ表面温度分布を分解能12dot/mmで測定可能な専用読み取り機で測定し(読み取り)、得られたインキ分布パターン画像を事前に固有情報として登録しておく。そして、判定対象物の表面温度を前記読み取り機によって測定し、前記登録済インキ分布パターン画像と照合することで真贋判定を行うようにしている。この技術によれば、透明インキを利用することによる肉眼での視認不可性、およびインキの「はじき」を利用することによる再現性の低さから、高い偽造防止効果を有すると考えられる。
国際公開第2012/141211号 特開2012−40834号公報
しかしながら、特許文献1に記載の偽造防止技術であっても、偽造される可能性がある。すなわち、タガント粒子を利用してもこの粒子の有する特定情報が明らかとされた場合には、その複製や模倣が可能となり、その結果、真贋判定が困難になる。なお、特許文献1においては、第1識別情報が複製された場合を想定して、第1識別情報が識別可能な倍率では識別不能な第2識別情報も有するタガント粒子が提案されている。しかし、その場合にも、第2識別情報も明らかとされた場合にはその複製や模倣が可能となり、やはり真贋判定が困難になる。
また、特許文献2に記載の偽造防止技術では、インキの「はじき」により形成される不規則パターンを利用していることから、そのパターンサイズやパターン形成領域にばらつきが生じ易く、インキパターンサイズや分解能以下の微細な領域では識別可能なパターンの形成が困難である。また、仮にインキパターンサイズや分解能以下の微細な領域で識別可能なパターンの形成が可能であったとしても、分解能が12dot/mmの画像読み取り機を利用していることから、画像の読み取りが困難である。
本発明はこれらの課題に鑑みてなされたもので、自己組織的に形成される不規則な自己組織化パターンを用いることで複製や模倣を不可能にした偽造防止技術であって、非常に微細なパターン領域にて真贋判定を可能にした偽造防止用表示体とその作製方法、並びに真偽判別方法を提供することを目的とする。
本発明の真偽判定可能な偽造防止用表示体は、自己組織的に形成された不規則な自己組織化パターンを基材上に有することを特徴とする。
また、前記真偽判定可能な偽造防止用表示体においては、前記自己組織化パターンが有機ポリマーの周期的な相分離構造によって形成されていることが好ましい。
また、前記真偽判定可能な偽造防止用表示体においては、前記自己組織化パターンを形成する有機ポリマーの周期的な相分離構造がシリンダ構造あるいはラメラ構造であることが好ましい。
また、前記真偽判定可能な偽造防止用表示体においては、前記自己組織化パターンを形成する有機ポリマーの周期的な相分離構造の周期が10〜100nmの範囲にあり、前記有機ポリマーからなる層の厚みが10〜100nmの範囲にあることが好ましい。
また、前記真偽判定可能な偽造防止用表示体においては、前記自己組織化パターンと同一面内にアライメントマークを有していることが好ましい。
本発明の真偽判定可能な偽造防止用表示体の作製方法は、周期的な相分離構造を自己組織的に形成可能な有機ポリマーを基材上に塗布し、その後、加熱することで不規則な自己組織化パターンを形成することを特徴とする。
前記真偽判定可能な偽造防止用表示体の作製方法においては、前記自己組織化パターンを形成する有機ポリマーの周期的な相分離構造を、シリンダ構造あるいはラメラ構造とすることが好ましい。
真偽判定可能な偽造防止用表示体の作製方法においては、前記自己組織化パターンの形成に先立って、前記基材上にアライメントマークを形成しておくことが好ましい。
本発明の真偽判定方法は、自己組織的に形成された不規則な自己組織化パターンを基材上に有する偽造防止用表示体の真偽判定方法であって、前記偽造防止用表示体の真正品の、前記自己組織化パターンにおける相分離構造を原子間力顕微鏡で読み取り、読み取った相分離構造を前記偽造防止用表示体の真正画像データとして登録しておき、判定対象の表示体の自己組織化パターンにおける相分離構造を原子間力顕微鏡で読み取り、読み取った相分離構造を先に登録した前記真正画像データと照合することを特徴とする。
自己組織化現象により形成される自己組織化パターンは、例えば同じ有機ポリマーを使用してもまったく同一のパターンを再現することはできない。また、そのパターンサイズは非常に微細であるため、肉眼による視認は不可能であり、偽造防止加工が施されていることが認識されにくく、また、リソグラフィ技術などの非常にコストの高いプロセスを用いても複製することが困難なパターンである。
したがって、本発明の偽造防止用表示体によれば、前記の自己組織化パターンを基材上に有しているので、高い偽造防止効果を発揮することができる。また、微細なパターン形成領域で偽造防止効果を発揮できることから、基材として微細な電子部品や光学部品などを用いることにより、このような電子部品や光学部品などにも偽造防止機能を付与することができる。
本発明に係る偽造防止用表示体の第1実施形態を示す図であり、(a)は要部拡大平面図、(b)は要部拡大側断面図である。 本発明に係る偽造防止用表示体の第1実施形態を示す図であり、(a)は要部拡大平面図、(b)は要部拡大側断面図である。 (a)〜(c)は図1に示した偽造防止用表示体の作製方法を説明するための側断面図である。 (a)、(b)は図2に示した偽造防止用表示体の作製方法を説明するための側断面図である。 実施例にてAFMの位相モードで測定されて得られた自己組織化パターンの画像である。
以下、図面を参照して本発明を詳しく説明する。
図1は、本発明に係る偽造防止用表示体の第1実施形態を示す図であり、(a)は要部拡大平面図、(b)は要部拡大側断面図である。図1(a)、(b)において符号1Aは偽造防止用表示体である。
また、図2は、本発明に係る偽造防止用表示体の第2実施形態を示す図であり、(a)は要部拡大平面図、(b)は要部拡大側断面図である。図2(a)、(b)において符号1Bは偽造防止用表示体である。
図1(a)、(b)、図2(a)、(b)に示すように偽造防止用表示体1A、1Bは、基板(基材)2上に自己組織化パターン3を有し、さらに、自己組織化パターン3と同一面内にアライメントマーク4を有している。
基板2としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PETG(ポリエチレンテレフタレート共重合体)、PVC(ポリ塩化ビニル)等のフィルム基材や、ガラス、シリコンウエハ、ITO等、目的に合わせて適宜に選択され、用いられる。特に基板2としてガラスやシリコンウエハ、ITO等を用いる場合、これらは微細な電子部品や光学部品などであってもよい。
基板2には、前記のアライメントマーク4を形成するための、凹部あるいは凸部が形成される。図1(a)、図2(a)に示した例では、基板2にアライメントマークとしての十字状の凹部あるいは凸部が形成されている。したがって、後述するようにこの基板2の表面上に有機ポリマー層からなる自己組織化パターン3が設けられることにより、この自己組織化パターン3は前記の凹部あるいは凸部を下地とすることで該凹部あるいは凸部に倣い、凹構造あるいは凸構造からなる十字状のアライメントマーク4を形成している。
アライメントマーク4は、真偽判定用パターンの位置および測定範囲を決定するためのものであり、その形状としては、後述する真偽判定用パターン読み取り機によって読み取ることができるマークであれば、どのような形状であってもよい。したがって、図1(a)、図2(a)に示した例では凹構造あるいは凸構造からなり十字状のマークとしたが、これに限定されることなく、種々のマークを採用することができる。なお、基板2に対する凹部の形成は、基板2の材質に応じたエッチングなどによって行うことができ、凸部の形成は、適宜な材料をインクジェット法などで盛ることにより、行うことができる。
このようなアライメントマーク4の数については、特に限定されないものの、例えば図1(a)、図2(a)に示したように2箇所形成されていればよい。2箇所形成しておくことにより、これらの間隔からパターンの寸法(大きさ、長さ)を確認することができ、また、方向性なども確認することができる。
自己組織化パターン3は、有機ポリマーの周期的なミクロ相分離構造(相分離構造)によって形成されている。すなわち、自己組織化パターン3は、ナノメートルスケールの周期パターンを自己組織的に形成したものである。
このような自己組織化パターン3を形成する有機ポリマーとしては、互いに相溶性の低い2つ以上の異なるポリマー成分が末端で結合してなるブロック共重合体が好適に用いられる。
このようなブロック共重合体は、この共重合体のガラス転移温度以上でアニール処理(加熱処理)すると、相溶性の低いポリマー成分が互いに交じり合わないようにミクロな領域でそのポリマー鎖長に応じた周期的な相分離構造を自己組織的に形成する。したがって、このように自己組織化現象によって形成された周期的な相分離構造からなる不規則な自己組織化パターン3は、例えば同じ有機ポリマーを使用してもまったく同一のパターンを再現することができない。また、そのパターンサイズが非常に微細であるため肉眼による視認が可能であり、さらに、リソグラフィ技術などの非常にコストの高いプロセスを用いても複製することが困難なパターンとなる。このように自己組織化パターン3は、同じ有機ポリマーを使用してもまったく同一のパターンを再現することができないことから、人間の指紋パターンと同様に、同じものが二つ以上存在しない、固有のパターンとなる。
ブロック共重合体としては、各ブロックが直列に結合した共重合体や、各ブロックが一点で結合したスター型ブロック共重合体等が存在し、本発明ではいずれのブロック共重合体を用いることができる。ただし、本発明では、特に2つの異なるポリマー成分が末端で結合したジブロック共重合体が、より好適に用いられる。
このようなジブロック共重合体の相分離により形成される微細構造(ミクロ相分離構造)は、ブロック共重合体を構成する各ポリマーの体積比によってスフィア(球状)構造、シリンダ(柱状)構造、ジャイロイド構造、ラメラ(板状)構造と様々に変化する。このブロック共重合体の相分離構造とポリマーの体積分率の関係は、フローリーハギンス相互作用パラメータχとポリマーの重合度N、そしてポリマー成分の体積分率によって表される相図によって知られている。本実施形態では、シリンダ構造あるいはラメラ構造を形成することが可能なポリマー成分の体積比を有する、ブロック共重合体が用いられる。
すなわち、図1(a)、(b)に示した第1実施形態では、自己組織化パターン3における有機ポリマーの周期的なミクロ相分離構造がシリンダ(柱状)構造となっており、図2(a)、(b)に示した第2実施形態では、有機ポリマーの周期的なミクロ相分離構造がラメラ(板状)構造となっている。
また、ミクロ相分離構造の繰り返しのパターンサイズ(周期的なパターンのサイズ)は、ジブロック共重合体の分子量に依存する。したがって、ジブロック共重合体の分子量を適宜に選択することにより、周期的なパターンのサイズ、すなわち周期的な相分離構造のサイズを目標とするサイズに調整することができる。
本実施形態で用いられるジブロック共重合体としては、特に限定されないものの、ポリスチレン−ポリ乳酸,ポリスチレン−ポリ-2-ビニルピリジン,ポリスチレン−ポリ-4-ビニルピリジン,ポリスチレン−ポリジメチルシロキサン,ポリスチレン−ポリ-N,N-ジメチルアクリルアミド,ポリブタジエン−4-ビニルピリジン,ポリスチレン−フェロセニルジメチルシラン,ポリブタジエン−メチルメタクリレート,ポリブタジエン−ポリ-t-ブチルメタクリレート,ポリブタジエン−t-ブチルアクリレート,ポリブタジエン−ポリジメチルシロキサン,ポリ-t-ブチルメタクリレート−ポリ-4-ビニルピリジン,ポリエチレン−ポリメチルメタクリレート,ポリ-t-ブチルメタクリレート−ポリ-2-ビニルピリジン,ポリエチレン−ポリ-2-ビニルピリジン,ポリエチレン−ポリ-4-ビニルピリジン,ポリイソプレン−ポリ-2-ビニルピリジン,ポリメチルメタクリレート−ポリスチレン,ポリ-t-ブチルメタクリレート−ポリスチレン,ポリメチルアクリレート−ポリスチレン,ポリブタジエン−ポリスチレン,ポリイソプレン−ポリスチレン,ポリブタジエン−ポリアクリル酸ナトリウム,ポリブタジエン−ポリエチレンオキシド,ポリ-t-ブチルメタクリレート−ポリエチレンオキシド,ポリスチレン−ポリアクリル酸,ポリスチレン−ポリメタクリル酸等を挙げることができる。
また、このようなジブロック共重合体から得られる自己組織化パターン3は、ミクロドメイン(シリンダドメイン5a、ラメラドメイン5b)と、このミクロドメイン間に配置される連続相6とによって形成される。特に、自己組織化パターン3としては、図1(a)に示すようにジブロック共重合体のミクロ相分離構造であるシリンダ構造(柱状構造)のシリンダドメイン5aが、基板2の面内方向、すなわち基板2の表面に沿う方向に不規則に配向した構造となっているのが好ましく、さらにこのシリンダドメイン(ミクロドメイン)5aが、自己組織化パターン3の表面に露出した状態であることが望ましい。
また、シリンダドメイン5aのパターン周期、すなわち自己組織化パターン3を形成する有機ポリマー(ブロック共重合体)の周期的な相分離構造の周期としては、10〜100nmとすることが望ましい。ブロック共重合体の自己組織化は、相転移温度以上でアニール(加熱)されることで誘起されるが、ブロック共重合体の分子量が大きくなるに従ってその相分離挙動は鈍くなり、ミクロ相分離構造が形成されにくくなる。一般的に、100nmを超える周期を有するミクロ相分離構造を形成するためには非常に長時間のアニール処理(加熱処理)が必要となる。そのため、本実施形態ではシリンダパターン周期が10〜100nmとなる分子量を有する有機ポリマー(ブロック共重合体)を使用することが望ましい。
図2(b)に示すブロック共重合体のミクロ相分離構造は、ラメラ構造(板状構造)が基板2に対して垂直方向に配向した構造となっており、そのラメラドメイン(ミクロドメイン)5bが自己組織化パターン3の表面に露出した状態になっている。このラメラドメイン5b(ラメラ構造)のパターン周期、すなわち自己組織化パターン3を形成する有機ポリマー(ブロック共重合体)の周期的な相分離構造の周期も、前記シリンダドメイン5aの場合と同様に、10〜100nmとすることが望ましい。
また、偽造防止用表示体1A、1Bにおける、有機ポリマーからなる自己組織化パターン3の厚み、すなわち自己組織化パターン3を形成する有機ポリマー層の厚みは、面内に均一にパターンが形成されるように、ミクロ相分離構造の周期に一致しているのが望ましい。ミクロ相分離形成後の有機ポリマー層の膜厚は、ミクロ相分離の周期に一致する離散的な値をとる。したがって、成膜時の膜厚がミクロ相分離構造の周期に一致していない場合、有機ポリマー層は場所によって異なる周期に一致する領域が発生し、結果として段差を有することになり、相分離構造パターンの読み取り時にエラーとなるおそれがある。
このような自己組織化パターン3を有する偽造防止用表示体1A、1Bを作製するには、まず、アライメントマーク4の下地となる十字状の凹部あるいは凸部を基板2に形成し、その後、図3(a)、図4(a)に示すようにこの基板2上にブロック共重合体(有機ポリマー)を、スピンコート法やバーコート法、スプレーコート法、キャスト法などの公知の手法によって塗布し、有機ポリマー層7を形成する。塗布液としては、ブロック共重合体を構成する両ポリマーに対して良溶媒で希釈されたものを用いることが望ましい。
次に、基板2上に塗布した有機ポリマー層7を、その成分であるブロック共重合体の相転移温度以上にてアニール(加熱)し、その後冷却して常温に戻す。これにより、図3(b)、図4(b)に示すようにミクロドメイン(シリンダドメイン5a、ラメラドメイン5b)と連続層6とからなるミクロ相分離構造を形成する。なお、ブロック共重合体を構成するポリマーによっては、アニール雰囲気下に酸素があることで架橋あるいは分解が進行するものがある。したがって、アニール処理については、真空下あるいは不活性雰囲気下(例えば窒素やアルゴンの雰囲気下)で行うようにするのが望ましい。
図4(b)に示したようにラメラドメイン5bと連続層6とからなるミクロ相分離構造、すなわち自己組織化パターン3を形成することにより、図2(a)、(b)に示した第2実施形態の偽造防止用表示体1Bを作製することができる。
一方、図3(b)に示したようにシリンダドメイン5aと連続層6とからなるミクロ相分離構造では、このようなミクロ相分離構造からなるパターンを読み取り可能にするため、図3(c)に示すようにシリンダドメイン5aを有機ポリマー層7の表面に露出させる。
シリンダドメイン5aを露出させる方法としては、有機ポリマー層7の表層を、ミクロ相分離構造の周期の半分に相当する厚み分だけ除去する方法、あるいはシリンダドメイン5aに選択的に溶媒を導入し、シリンダドメイン5aを膨潤させることでシリンダドメイン5aを覆っている連続相6の部分を壊裂させ、シリンダドメイン5aを露出させる方法などが採用される。
半周期の厚みだけ有機ポリマー層7を除去する方法としては、酸素プラズマエッチング、アルゴンクラスターエッチング、反応性イオンエッチング等のドライエッチング方法を用いることができる。
シリンダドメイン5aに選択的に溶媒を導入し、膨潤させることで露出させる方法としては、シリンダドメイン5aを形成するポリマー成分に対しては良溶媒であり、かつ、連続層6を形成するポリマー成分に対しては貧溶媒となる溶媒に、有機ポリマー層7を浸漬させる。これにより、シリンダドメイン5aに選択的に溶媒を導入することができる。その結果、溶媒が導入されたシリンダドメイン5aが膨潤することでその体積が膨張し、有機ポリマー層7の表面の連続相6が壊裂してシリンダドメイン5aが露出する。これにより、シリンダドメイン5aと連続層6とからなるミクロ相分離構造、すなわち自己組織化パターン3を形成することができ、図1(a)、(b)に示した第1実施形態の偽造防止用表示体1Aを作製することができる。
このようにして作製した図1、図2に示す偽造防止用表示体1A、1Bの真偽判定を行うべく、その自己組織化パターン3を読み取るには、AFM(atomic force microscopy:原子間力顕微鏡)を用いたパターン測定法が好適に用いられる。ブロック共重合体のミクロ相分離構造は、異なる種類のポリマーによって形成されている。そのため、各々のポリマー固有の粘弾性や吸着性等の違いを測定することでポリマー種類別分布を測定することが可能なAFMの位相モードを用いることにより、ミクロ相分離構造を画像として取得することができる。
そこで、本実施形態に係る偽造防止用表示体の真偽判定方法では、この測定技術を利用してブロック共重合体(有機ポリマー)の自己組織化により形成された不規則な自己組織化パターン3を読み取ることにより、偽造防止用表示体1A、1Bの真偽判定を可能にしている。
その際、真偽判定照合用の画像領域については、図1(a)、図2(a)に示したアライメントマーク4を基準にして特定することができ、その測定範囲については、AFMの測定パラメータによって指定することができる。この測定範囲は使用するAFMの測定限界に依存する。測定範囲が広ければ広いほど自己組織化パターン3は複雑となり、真偽判定への利用が困難になる。また、測定範囲を広くするとその分測定時間が長くなるため、真偽判定に長時間を要することとなる。一方、測定範囲を10nm角よりも狭くした場合、画像サイズは自己組織化パターン3の1周期のサイズと同等あるいはそれ以下のとなるため、自己組織化パターン3を正確に測定することができず、真偽判定が難しくなる。
AFMを用いて図1、図2に示す偽造防止用表示体1A、1Bの真偽判定を行うには、まず、偽造防止用表示体1A(1B)の真正品の、自己組織化パターン3における相分離構造をAFMの予め設定された位相モードで読み取り、読み取った相分離構造を偽造防止用表示体1A(1B)の真正画像データとして登録しておく。このようにして登録した真正画像データについては、真偽判定が必要なときに読み出せるようにデータベース化しておくことが望ましい。また、登録するデータには、測定範囲やパターン周期、使用している有機ポリマー等の情報も加えておくことが望ましい。
判定対象となる表示体についてその真偽判定を行うには、まず、この表示体のパターン画像を取得するため、アライメントマーク4を用いてその測定領域を特定する。そして測定範囲を指定してAFM位相モードにて測定を行い、自己組織化パターンにおける相分離構造の画像を読み取ってこれを取得する。
その後、取得した判定対象となる表示体の自己組織化パターンにおける相分離構造の画像と、先に登録しておいた真正画像データとを照合する。そして、判定対象の画像と真正画像データとが完全に一致した場合には「真正品」と判定し、不一致の場合には「偽造品」と判定する。これにより、判定対象となる表示体についてその真偽判定を行うことができる。
本実施形態の偽造防止用表示体1A、1Bによれば、同じ有機ポリマーを使用してもまったく同一のパターンを再現することはできず、そのパターンサイズが非常に微細であって肉眼による視認は不可能であり、偽造防止加工が施されていることが認識されにくく、しかも、リソグラフィ技術などの非常にコストの高いプロセスを用いても複製することが困難な自己組織化パターン3を基板2上に有しているので、高い偽造防止効果を発揮することができる。また、微細なパターン形成領域で偽造防止効果を発揮できることから、基材(基板)として微細な電子部品や光学部品などを用いることにより、このような電子部品や光学部品などにも偽造防止機能を付与することができる。
また、自己組織化パターン3を有機ポリマーの周期的な相分離構造によって形成しているので、前述したように同一のパターンを再現することはできず、そのパターンサイズが非常に微細であり、しかも、リソグラフィ技術などの非常にコストの高いプロセスを用いても複製することが困難な自己組織化パターン3を形成することができる。
また、自己組織化パターン3を形成する有機ポリマーの周期的な相分離構造をシリンダ構造あるいはラメラ構造としたので、前述したような同一のパターンを再現することはできず、そのパターンサイズが非常に微細であり、しかも、複製が困難な自己組織化パターン3をより良好に形成することができる。
また、自己組織化パターン3を形成する有機ポリマーの周期的な相分離構造の周期を10〜100nmの範囲にし、有機ポリマーからなる層の厚みを10〜100nmの範囲にしたので、このような相分離構造を比較的短時間のアニール処理(加熱処理)で作製することができ、また、AFMによって自己組織化パターン3を読み取る際の読み取りエラーを防止することができる。
また、自己組織化パターン3と同一面内にアライメントマーク4を有しているので、このアライメントマーク4を用いることでその測定領域を容易に特定することができ、したがって偽造防止用表示体1A、1Bの真偽判定を容易にすることができる。
また、本実施形態の偽造防止用表示体の作製方法によれば、前記の優れた効果を奏する偽造防止用表示体を容易に作製することができる。
さらに、本実施形態の真偽判定方法によれば、前記偽造防止用表示体1A、1Bの真偽を容易にかつ正確に判定することができる。
本発明に係る偽造防止用表示体を以下のようにして作製した。
まず、図3(a)に示すように1cm角に切り出したアライメントマークを有するシリコンウエハを基板2として用い、有機ポリマー層7の成膜を行った。有機ポリマーとしては、ポリスチレン−2−ポリビニルピリジンのブロック共重合体(Mn=44000−b−18500,Mw/Mn=1.07)を使用し、重量濃度1%となるようにトルエンで調液した。成膜はスピンコート法を用いて回転速度1000rpmで実施した。
次に、有機ポリマー層7を成膜した基板2を、真空オーブンを用いて230℃にて24時間アニール処理(加熱処理)を行い、図3(b)に示すようにミクロ相分離構造を形成した。アニール処理後にAFMを用いて有機ポリマー層7の膜厚を測定したところ、48nmであった。
次に、有機ポリマー層7の全面上にこれを覆うように1%HCl水溶液を滴下し、室温にて3時間静置した。これにより、図3(c)に示すように2−ポリビニルピリジンのミクロドメインが有機ポリマー層7の表面に露出して自己組織化パターン3を形成した、偽造防止用表示体1Aを作製した。
得られた偽造防止用表示体1Aの自己組織化パターン3(有機ポリマー層7)の表面をAFMの位相モードにて測定を行った。測定領域はアライメントマークを用いて特定し、測定範囲は1μm角とした。測定によって得られた画像を図5に示す。得られた画像は湾曲した不規則な自己組織化パターンとなっており、鮮明なパターン画像として得られた。ラインパターンの周期はAFM位相モードデータより算出したところ、44nmであった。
得られた画像データを真正画像データとして登録した。そして、真偽判定を行う処理として、同一サンプルを再度アライメントマークを用いて測定領域を特定し、同一測定範囲で画像の取得を行った。
その後、登録済の真正画像データと照合したところ、取得した画像は真正画像データに一致した。したがって、真正品と同一の判定対象は、真正品であると判定されることが確認された。
本発明は、金券や有価証券、証明印紙、クレジットカード、会員証、高価物品、あるいは非常に微細な半導体関連部品等の真偽判定用途に利用することができる。
1A、1B…偽造防止用表示体
2…基板(基材)
3…自己組織化パターン
4…アライメントマーク
5a…シリンダドメイン
5b…ラメラドメイン
6…連続相
7…有機ポリマー層


Claims (9)

  1. 自己組織的に形成された不規則な自己組織化パターンを基材上に有することを特徴とする真偽判定可能な偽造防止用表示体。
  2. 前記自己組織化パターンが有機ポリマーの周期的な相分離構造によって形成されていることを特徴とする請求項1記載の真偽判定可能な偽造防止用表示体。
  3. 前記自己組織化パターンを形成する有機ポリマーの周期的な相分離構造がシリンダ構造あるいはラメラ構造であることを特徴とする請求項2記載の真偽判定可能な偽造防止用表示体。
  4. 前記自己組織化パターンを形成する有機ポリマーの周期的な相分離構造の周期が10〜100nmの範囲にあり、
    前記有機ポリマーからなる層の厚みが10〜100nmの範囲にあることを特徴とする請求項2又は3に記載の真偽判定可能な偽造防止用表示体。
  5. 前記自己組織化パターンと同一面内にアライメントマークを有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の真偽判定可能な偽造防止用表示体。
  6. 周期的な相分離構造を自己組織的に形成可能な有機ポリマーを基材上に塗布し、その後、加熱することで不規則な自己組織化パターンを形成することを特徴とする真偽判定可能な偽造防止用表示体の作製方法。
  7. 前記自己組織化パターンを形成する有機ポリマーの周期的な相分離構造を、シリンダ構造あるいはラメラ構造とすることを特徴とする請求項6記載の真偽判定可能な偽造防止用表示体の作製方法。
  8. 前記自己組織化パターンの形成に先立って、前記基材上にアライメントマークを形成しておくことを特徴とする請求項6又は7記載の真偽判定可能な偽造防止用表示体の作製方法。
  9. 自己組織的に形成された不規則な自己組織化パターンを基材上に有する偽造防止用表示体の真偽判定方法であって、
    前記偽造防止用表示体の真正品の、前記自己組織化パターンにおける相分離構造を原子間力顕微鏡で読み取り、読み取った相分離構造を前記偽造防止用表示体の真正画像データとして登録しておき、
    判定対象の表示体の自己組織化パターンにおける相分離構造を原子間力顕微鏡で読み取り、読み取った相分離構造を先に登録した前記真正画像データと照合することを特徴とする真偽判定方法。
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