[go: up one dir, main page]

JP2015055745A - 位相差フィルム - Google Patents

位相差フィルム Download PDF

Info

Publication number
JP2015055745A
JP2015055745A JP2013188678A JP2013188678A JP2015055745A JP 2015055745 A JP2015055745 A JP 2015055745A JP 2013188678 A JP2013188678 A JP 2013188678A JP 2013188678 A JP2013188678 A JP 2013188678A JP 2015055745 A JP2015055745 A JP 2015055745A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
alignment
layer
liquid crystal
film
retardation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013188678A
Other languages
English (en)
Inventor
啓介 三浦
Keisuke Miura
啓介 三浦
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2013188678A priority Critical patent/JP2015055745A/ja
Publication of JP2015055745A publication Critical patent/JP2015055745A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Liquid Crystal (AREA)
  • Polarising Elements (AREA)

Abstract

【課題】位相差フィルムにおいて、基材上に塗布される配向成分と基材との密着性が高く、良好な配向性を発揮させることができるようにする。
【解決手段】基材11と、光配向材料を含む配向膜組成物を含有する配向層13と、液晶化合物を含有する液晶層14とを有する位相差フィルム1において、基材11と配向層13の間に、基材11に対して配向層13に含有される配向膜組成物が浸透して形成された浸透層12を有し、その浸透層12の厚みが10nm以上300nm以下である。
【選択図】図2

Description

本発明は、位相差フィルムに関する。
近年、3次元表示可能なフラットパネルディスプレイが提供されている。ここで、フラットパネルディスプレイにおいて3次元表示をするには、通常、何らかの方式で右目用の画像と、左目用の画像とを、それぞれ選択的に視聴者の右目及び左目に提供することが必要である。右目用の画像と左目用の画像とを選択的に提供する方法としては、例えば、パッシブ方式が知られている。このパッシブ方式の3次元表示方式について図を参照しながら説明する。図7は、液晶表示パネルを使用したパッシブ方式の3次元表示の一例を示す概略図である。この図7の例では、液晶表示パネルの垂直方向に連続する画素を、順次交互に、右目用の画像を表示する右目用画素、左目用の画像を表示する左目用画素に振り分け、それぞれ右目用及び左目用の画像データで駆動し、これにより右目用の画像と左目用の画像とを同時に表示する。なおこれにより液晶表示パネルの画面は、例えば短辺が垂直方向で長辺が水平方向である帯状の領域により、右目用の画像を表示する領域と左目用の画像を表示する領域とに交互に区分される。
さらにパッシブ方式では、液晶表示パネルのパネル面にパターン位相差フィルム(単に「位相差フィルム」という)を配置し、右目用及び左目用の画素からの直線偏光による出射光を、右目用及び左目用で回転方向の異なる円偏光に変換する。このためパターン位相差フィルムは、液晶表示パネルにおける領域の設定に対応して、遅相軸方向(屈折率が最大となる方向)が直交する2種類の帯状領域が順次交互に形成される。これによりパッシブ方式では、対応する偏光フィルタを備えてなる眼鏡を装着して、右目用の画像と左目用の画像とをそれぞれ選択的に視聴者の右目及び左目に提供する。なお、ここでこの隣接する帯状領域の遅相軸方向は、通常、水平方向に対して、+45°と−45°、又は0°と+90°の組み合わせが採用される。なお、この図7の例では、通常の画像表示装置における呼称に習って画面の長辺方向を水平方向として示す。
このパッシブ方式は、応答速度の遅い液晶表示装置でも適用することができ、さらに位相差フィルムと円偏光メガネとを用いた簡易な構成で3次元表示することができる。
位相差フィルムは、透明フィルムによる基材の表面に、配向規制力を制御した配向膜(配向層)が作製され、さらに液晶材料が塗布される。位相差フィルムは、この液晶材料の配列が配向膜の配向規制力によりパターンニングされ、これにより画像表示パネルからの出射光に対応する位相差を与える。
この位相差フィルムに関して、特許文献1には、配向規制力を制御した光配向膜をガラス基板上に形成し、この光配向膜により液晶の配列をパターニングして位相差層を作成する方法が開示されている。また、特許文献2には、全面を露光処理した後、マスクを使用して露光処理することにより光配向膜を作製し、この光配向膜の配向規制力により液晶層を配向させて硬化させることにより、位相差フィルムを作製する方法が開示されている。
ところで、このような位相差フィルムは、長期の安定性に優れていることが求められる。特に近年、位相差フィルムを含めた光学フィルムは、過酷な環境に暴露されることがあり、このような過酷な環境下においても、充分に長期の安定性に優れていることが求められている。すなわち、配向膜に含まれる配向成分が基材に対して優れた密着性を有し、さらに良好な配向性を安定的に発揮することが求められる。
特開2005−049865号公報 特開2012−042530号公報
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、位相差フィルムにおいて、基材上に塗布される配向成分と基材との密着性が高く、良好な配向性を安定的に発揮させることができるようにする。
本発明者は、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、基材と、配向層と、液晶層とを有する位相差フィルムにおいて、その基材と配向層の間に、基材に対して配向層に含有される配向膜組成物を浸透させて形成した所定の厚みの浸透層を有するようにすることで、基材と配向膜との密着性を高めることができ、良好な配向性を発揮させることができることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下のようなものを提供する。
(1)本発明は、基材と、光配向材料を含む配向膜組成物を含有する配向層と、液晶化合物を含有する液晶層とを有する位相差フィルムであって、前記基材と前記配向層の間に、該基材に対して該配向層に含有される配向膜組成物が浸透して形成された浸透層を有し、該浸透層の厚みが10nm以上300nm以下である位相差フィルムである。
(2)また本発明は、上述した(1)の発明において、前記配向層の厚みが55nm以上である位相差フィルムである。
(3)また本発明は、上述した(1)又は(2)の発明において、前記基材がアクリル基材である位相差フィルムである。
(4)また本発明は、上述した(1)乃至(3)の何れかの発明において、前記配向層が、パターン状又はベタ状の配向膜からなる位相差フィルムである。
本発明によれば、基材と配向層の間に所定の厚さの浸透層を設けることで、基材と配向膜との密着性を向上させることができ、良好な配向性を安定的に発揮させることができる。また、その配向層の厚さを55nm以上となるようにすることで、より一層に良好な配向性を発揮させることができる。
位相差フィルムの一例を示す概略図である。 位相差フィルムの断面を走査電子顕微鏡にて観察したSEM写真である。 配向膜(パターン配向膜)の一例を示す概略図である。 ガラス基板上に光配向膜組成物を塗布し、配向膜厚がそれぞれ110nm、85nm、55nm、25nm、13nm、7nmとなる6サンプルの配向膜を成膜し、その上に液晶化合物を塗布して位相差板とし、その配向性を評価したときの写真図である。 位相差フィルムの製造工程の一例を示す概略図である。 光配向方式によって配向パターンを形成する手法を模式的に示した図である。 パッシブ方式による三次元画像表示の説明に供する図である。
以下、本発明に係る位相差フィルムの具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。
≪1.位相差フィルムの構成≫
図1は、本実施の形態に係る位相差フィルム1の一例を示す図である。図1に示すように、位相差フィルム1は、透明フィルム材からなる基材11と、浸透層12と、配向層13と、位相差層14とが順次設けられてなる。この位相差フィルム1において、浸透層12は、基材11に対して配向層に含有される光配向材料を含む配向膜組成物が浸透すること形成され、その厚みが10nm以上300nm以下となっている。
なお、図1に示す位相差フィルム1は、配向層13を、パターン状に配向膜を形成させてパターン配向層とした場合を例としたときの模式図であるが、これに限定されるものではなく、ベタ状に配向膜を形成して配向層13としたものであってもよい。
[基材]
基材11は、透明フィルム材であり、配向層13を支持する機能を有し、長尺に形成されている。
基材11は、位相差が小さいことが好ましく、面内位相差(面内レターデーション値、以下「Re値」ともいう。)が、0nm以上10nm以下の範囲内であることが好ましく、0nm以上5nm以下の範囲内であることがより好ましく、0nm以上3nm以下の範囲内であることがさらに好ましい。Re値が10nmを超えると、パターン配向膜を用いたフラットパネルディスプレイの表示品質が悪くなる可能性がある点で好ましくない。
Re値とは、屈折率異方体の面内方向における複屈折性の程度を示す指標をいい、面内方向において屈折率が最も大きい遅相軸方向の屈折率をNx、遅相軸方向に直交する進相軸方向の屈折率をNy、屈折率異方体の面内方向に垂直な方向の厚さをdとした場合に、
Re[nm]=(Nx−Ny)×d[nm]
で表わされる値である。Re値は、例えば位相差測定装置KOBRA−WR(王子計測機器社製)を用い、平行ニコル回転法により測定することができる。また、本明細書では、特段の記載をしない限り、Re値は波長589nmにおける値を意味するものとする。
基材11の可視光領域における透過率は、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。ここで、透明フィルム基材の透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。このようなフレキシブル材としては、アクリル系ポリマー(アクリル樹脂)、セルロース誘導体、ノルボルネン系ポリマー、シクロオレフィン系ポリマー、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、アモルファスポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル類等を例示することができる。
その中でも、本実施の形態においては、PMMA等のアクリル樹脂からなるアクリル基材を用いることが好ましい。このようなアクリル基材によれば、後述する浸透層12をより効果的に形成させることができ、そのアクリル基材に対して塗布した配向成分の密着性をより効果的に高めることができる。
また、このようなアクリル基材は、その屈折率が1.40から1.60程度であり、基材の厚さ方向に屈折率差がなく寸法収縮率の対湿度依存性が低い。そのため、例えばTACに比べてフィルム厚さを薄くすることができ、3Dパネルの視野角拡大に貢献できるという利点も有する。
アクリル基材等により構成される基材11の厚さとしては、25μm以上125μm以下の範囲内であることが好ましく、40μm以上100μm以下の範囲内であることがより好ましく、40μm以上80μm以下の範囲内であることがさらに好ましい。基材11の厚さが25μm未満であると、位相差フィルムに必要な自己支持性を付与できない場合があり好ましくない。一方で、基材11の厚さが125μmを超えると、位相差フィルムが長尺状である場合、長尺状の位相差フィルムを裁断加工し、枚葉の位相差フィルムとする際に、加工屑が増加したり、裁断刃の磨耗が早くなってしまう場合があり好ましくない。基材11は、単一の層からなる構成に限られるものではなく、複数の層が積層された構成を有してもよい。複数の層が積層された構成を有する場合は、同一組成の層が積層されてもよく、また、異なった組成を有する複数の層が積層されてもよい。
[浸透層]
図2は、位相差フィルム1の断面を走査電子顕微鏡にて観察したSEM写真である。この図2のSEM写真に示されるように、位相差フィルム1では、基材11と後述する配向層13の間に浸透層12が形成されてなる。
なお、図2のSEM写真に示す位相差フィルムの例では、SEM写真中の「1」及び「4」が液晶層14、「2」及び「5」が配向層13、「3」が浸透層12を示し、左上の数字表記が各層の厚みを示す。すなわち、「1」部における液晶層14が0.8889μm、「2」部における配向層13が0.1508μm、「3」部における浸透層12が0.0754μm、「4」部における液晶層14が0.8611μm、「5」部における配向層13が0.1032μmとなっている。このように、図2の断面写真に示す位相差フィルムでは、純粋な配向層13をおよそ140nm程度の厚みとし、浸透層12を75nm程度の厚みとしている。
浸透層12は、基材11上に光配向材料を含む配向膜組成物を塗布して、その配向膜組成物の一部を基材11に浸透させることで形成される。すなわち、この浸透層12は、少なくとも基材11の成分と、配向膜組成物中の光配向材料を含む成分とにより形成される。位相差フィルム1では、このようにして、配向膜組成物の一部が基材11に浸透して浸透層12が形成され、その浸透層12の上に、その配向膜組成物が硬化して形成された配向膜、すなわち純粋な配向層13が形成されて構成される。
位相差フィルム1では、このように基材11と配向層13の間に浸透層12を設けることで、配向層13を構成する配向膜の基材11に対する密着性を高めることができ、良好な配向性を安定的に発揮させることができる。
ここで、浸透層12においては、基材11に対する密着性を有効に高める観点から、その厚みが10nm以上300nm以下であることが重要となる。また、その厚みは、10nm以上230nm以下であることがより好ましい。浸透層12の厚みが10nm未満であると、基材11に対する配向膜の密着性が不十分となり、結果として良好な配向性を維持することができない。一方で、浸透層12の厚みが300nmを超えると、詳しくは後述するが、配向膜組成物の所定の塗工量において、配向層13の厚みが相対的に薄くなってしまい、液晶を配向させることができなくなる。
[配向層]
図3は、配向膜2(パターン配向膜)の一例を示す概略図である。配向膜2は、基材11上に配向層用組成物(配向膜組成物)を塗布(塗工)して硬化させて得られた硬化物からなり、この配向膜2により配向層13が形成される。この配向膜2は、偏光照射により光配向性を発揮する光配向材料を用い光照射によって配向させる光配向方式により形成することができる。
本実施の形態においては、図3に示すように、基材11上に配向膜組成物を塗工することで、その配向膜組成物の一部が基材11に浸透して浸透層12が形成され、その浸透層12上に純粋な配向層13が形成されることになる。
ここで、配向層13を構成する配向膜2は、図3に示したように、パターン状に形成したパターン配向膜とすることができる。また、この配向膜2は、基板11上にベタ状に形成したベタ膜としてもよい。このように、配向層13を構成する配向膜2がパターン状であってもベタ状であっても、基材11と配向層13の間に浸透層12を形成することで、配向膜2の基材11に対する密着性を効果的に高めることができる。
(配向層の厚さ)
ここで、本発明者は、配向層13に関して、良好な配向性を発揮させる観点においては、55nm以上の厚みを有するものであることが好ましいことを見出した。
図4は、ガラス基板上に、光配向膜組成物をスピンコーターで塗布して、その配向膜厚がそれぞれ110nm(A)、85nm(B)、55nm(C)、25nm(D)、13nm(E)、7nm(F)である6サンプルの配向膜を成膜し、その上に液晶化合物を塗布して位相差板を作製し、その配向性を評価したときの写真図である。
なお、光配向膜組成物としては、ポリビニルシンナメート(PVCi)基を有する光配向材料を含有し、溶剤としてPGMEを用いた組成物を使用した。また、その膜厚の制御は、光配向膜組成物中の固形分濃度を変化させることによって行った。例えば、膜厚55nmの配向膜の成膜においては、110nmの配向膜の成膜に用いた配向膜組成物中の固形分濃度の半分の濃度の固形分を含有する組成物を用いて行った。
また、配向性の評価は、作製した位相差フィルムの両面に偏光板をクロスニコル配置となるように貼り合わせて、貼り合せた部材を液晶用バックライトに設置し、部材正面の濁り(白濁)の程度を暗室下にて目視で観察した。濁りの程度が低く液晶が配向したものを“配向良好”とし、濁りの程度が高く配向しなかったものを“配向不良”とした。
図4の写真図に示されるように、55nm以上の膜厚を有する配向膜では、液晶が良好に配向し、優れた液晶配向性を示した(配向良好)。しかしながら、それより膜厚の薄い25nm、13nm、7nmの膜厚の配向膜を形成したサンプルでは、液晶は全く配向しなかった(配向不良)。このことは、配向膜の膜厚が55nm未満と薄くなるとその分だけ乾燥時間が短くなるため、配向に必要な配向材料の移動時間が短くなって配向膜表面に出現しなくなることが一因として考えられ、その結果として良好な配向性が発揮されなかったものと考えられる。
本実施の形態においては、上述したように、配向層13を構成する配向膜組成物の一部が基材11に浸透することによって浸透層12が形成されることになるが、いわゆる“純粋な配向層13”の厚さとして、55nm以上であることが好ましい。
なお、配向層13の厚さの上限値としては、特に限定されないが、1000nm以下であることが好ましく、500nm以下であることがより好ましく、300nm以下であることを特に好ましい。配向層13の厚さが1000nmを超えると、基材11に対する密着力が徐々に低下する可能性がある。
(光配向材料)
光配向方式によって配向層13を形成するに際し、基材11上に塗布する配向膜組成物として、偏光照射により光配向性を発揮する光配向材料を含む組成物を用いる。
ここで、光配向材料とは、偏光紫外線の照射により配向規制力を発現できる材料をいう。配向規制力とは、光配向材料を含む配向層を形成し、この配向層上に重合性液晶化合物(「棒状化合物」ともいう)からなる層(位相差層14)を形成したとき、その液晶化合物を所定の方向に配列させる機能をいう。
光配向材料としては、偏光を照射することにより配向規制力を発現するものであれば特に限定されるものではない。このような光配向材料は、シス−トランス変化によって分子形状のみを変化させて配向規制力を可逆的に変化させる光異性化材料と、偏光を照射することにより分子そのものを変化させる光反応材料とに大別することができる。位相差フィルム1においては、上述した光異性化材料及び光反応材料のいずれであっても好適に用いることができるが、光反応材料を用いることがより好ましい。光反応材料は、偏光が照射されることによって分子が反応して配向規制力を発現するものであるため、不可逆的に配向規制力を発現することが可能になり、配向規制力の経時安定性において優れる。
また、光反応材料は、光二量化反応が生じることによって配向規制力を発現する光二量化型材料、光分解反応が生じることによって配向規制力を発現する光分解型材料、光結合反応が生じることによって配向規制力を発現する光結合型材料、及び光分解反応と光結合反応とが生じることによって配向規制力を発現する光分解−結合型材料等に分けることができる。位相差フィルム1においては、上述した光反応材料のいずれであっても好適に用いることができるが、光二量化型材料を用いることがより好ましい。
光二量化型材料としては、光二量化反応を生じることにより配向規制力を発現できる材料であれば特に限定されないが、配向規制力が良好である点から、光二量化反応を生じる光の波長が280nm以上であることが好ましく、280nm以上400nm以下の範囲内であることがより好ましく、300nm以上380nm以下の範囲内であることがさらに好ましい。このような光二量化型材料としては、シンナメート、クマリン、ベンジリデンフタルイミジン、ベンジリデンアセトフェノン、ジフェニルアセチレン、スチルバゾール、ウラシル、キノリノン、マレインイミド、又はシンナミリデン酢酸誘導体を有するポリマーが挙げられる。その中でも、配向規制力が良好である点で、シンナメート、クマリンの一方又は両方を有するポリマーが好ましく用いられる。このような光二量化型材料の具体例としては、例えば特開平9−118717号公報、特表平10−506420号公報、特表2003−505561号公報及びWO2010/150748号公報に記載された化合物を挙げることができる。
なお、本実施の形態において用いられる光配向材料は、1種類のみであってもよく、2種類以上を混合させて用いてもよい。
(溶媒)
配向膜組成物中に用いる溶媒は、光配向材料を所望の濃度に溶解できるものであれば特に限定されるものでなく、例えば、ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン(CHN)等のケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGME)等のエーテル系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等のエステル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、シクロヘキサン等のアノン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(以下「IPA」という。)等のアルコール系溶媒を例示することができるが、これらに限られるものではない。また、溶媒は、1種類であってもよいし、2種類以上の溶媒の混合溶媒であってもよい。
その中でも、本実施の形態においては、PGMEAにPGMEを添加して得られた溶媒を用いることが好ましい。その溶剤比としては、例えば、PGMEA:PGME=1:1〜4:1程度とする。このような溶媒を用いた配向膜組成物によれば、より効果的にかつ適度に、その配向膜組成物がアクリル樹脂等からなる基材11に浸透し、上述したような所望とする厚みの浸透層12を有効に形成させることができる。
溶媒の量としては、例えば光配向材料100質量部に対して600質量部以上3900質量部以下であることが好ましい。溶媒の量が600質量部未満であると、光配向材料を均一に溶かすことができない可能性があり好ましくない。一方で、溶媒の量が3900質量部を超えると、配向膜組成物中の溶媒が基材11に浸潤しすぎてしまい、光配向性が低下してしまう可能性があり好ましくない。
[位相差層]
位相差層14は、重合性液晶組成物を含有する。この重合性液晶組成物は、液晶性を示し分子内に重合性官能基を有する液晶化合物(棒状化合物)を含有する。
(液晶化合物)
液晶化合物は、屈折率異方性を有し、規則的に配列することにより所望の位相差性を付与する機能を有する。液晶化合物として、例えば、ネマチック相、スメクチック相等の液晶相を示す材料が挙げられるが、他の液晶相を示す液晶化合物と比較して規則的に配列させることが容易である点で、ネマチック相を示す液晶化合物を用いることがより好ましい。ネマチック相を示す液晶化合物としては、メソゲン両端にスペーサを有する材料を用いることが好ましい。メソゲン両端にスペーサを有する液晶化合物は、柔軟性に優れるため、このような液晶化合物を用いることによって位相差フィルム1を透明性に優れたものにすることができる。
液晶化合物は、上述したように、分子内に重合性官能基を有する。重合性官能基を有することにより、液晶化合物を重合して固定することが可能になるため、配列安定性に優れ、位相差性の経時変化が生じにくくなる。また、液晶化合物は、分子内に三次元架橋可能な重合性官能基を有することがより好ましい。三次元架橋可能な重合性官能基を有することにより、配列安定性をより一層に高めることができる。なお、「三次元架橋」とは、液晶性分子を互いに三次元に重合して、網目(ネットワーク)構造の状態にすることをいう。
重合性官能基としては、例えば、紫外線、電子線等の電離放射線、あるいは熱の作用によって重合する重合性官能基を挙げることができる。これら重合性官能基の代表例としては、ラジカル重合性官能基、あるいはカチオン重合性官能基等が挙げられる。ラジカル重合性官能基の代表例としては、少なくとも1つの付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合を持つ官能基が挙げられ、具体例としては、置換基を有する若しくは有さないビニル基、アクリレート基(アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基を包含する総称)等が挙げられる。また、カチオン重合性官能基の具体例としては、エポキシ基等が挙げられる。その他、重合性官能基としては、例えば、イソシアネート基、不飽和3重結合等が挙げられる。その中でも、プロセス上の点から、エチレン性不飽和二重結合を持つ官能基が好適に用いられる。
さらにまた、液晶化合物は、末端に重合性官能基を有するものが特に好ましい。このような液晶化合物を用いることにより、例えば、互いに三次元に重合して、網目(ネットワーク)構造の状態にすることができるため、列安定性を備え、かつ、光学特性の発現性に優れた位相差フィルム1を形成することができる。
液晶化合物の量としては、配向層13上に塗布する塗布方法に応じて、位相差層形成用塗工液(液晶組成物)の粘度を所望の値に調整できるものであれば特に限定されないが、液晶組成物中の量として5質量部以上40質量部以下の範囲内であることが好ましく、10質量部以上30質量部以下の範囲内であることがより好ましい。液晶化合物の量が5質量部未満であると、液晶化合物が少なすぎるために位相差層14への入射光を適切に配向できない可能性があり好ましくない。一方で、30質量部を超えると、位相差層形成用塗工液の粘度が高くなりすぎるために作業性が悪くなり好ましくない。
また、液晶化合物は、1種類のみを用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。例えば、液晶化合物として、両末端に重合性官能基を1つ以上有する液晶化合物と片末端に重合性官能基を1つ以上有する液晶化合物とを混合して用いると、両者の配合比の調整により重合密度(架橋密度)及び光学特性を任意に調整できる。また、信頼性確保の観点からは両末端に重合性官能基を1つ以上有する液晶化合物を用いることが好ましいが、液晶配向の観点からは両末端の重合性官能基が1つで液晶化合物を用いることが好ましい。
(溶媒)
上述した液晶化合物は、通常、溶媒に溶かされている。溶媒としては、液晶化合物を均一に分散できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン(CHN)等のケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGME)等のエーテル系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等のエステル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、シクロヘキサン等のアノン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(以下「IPA」という。)等のアルコール系溶媒を例示することができるが、これらに限られるものではない。また、溶媒は、1種類であってもよいし、2種類以上の溶媒の混合溶媒であってもよい。
溶媒の量は、液晶化合物100質量部に対して66質量部以上900質量部以下であることが好ましい。溶媒の量が66質量部未満であると、液晶化合物を均一に溶かすことができない可能性があり好ましくない。一方で、900質量部を超えると、溶媒の一部が残存し、信頼性が低下する可能性、及び均一に塗工できない可能性があり好ましくない。
(他の化合物)
また、液晶組成物は、必要に応じて他の化合物を含むものであってもよい。他の化合物としては、上述した液晶化合物の配列秩序を害するものでなければ特に限定されるものではなく、例えば、重合開始剤、重合禁止剤、可塑剤、界面活性剤及びシランカップリング剤等を挙げることができる。なお、例えば、レベリング剤としてシリコーン系の高分子量レベリング剤を添加する場合においての添加量は、0.1%以上1%未満程度である。
(位相差層の厚さ)
位相差層14の厚さとしては、特に限定されるものでないが、適切な配向性能を得るためには、500nm以上2000nm以下であることが好ましい。
≪2.位相差フィルムの製造方法≫
次に、位相差フィルム1の製造方法について説明する。本実施の形態においては、光配向方式によって位相差フィルム1を形成する。
図5は、位相差フィルム1の製造工程の流れを模式的に示す図である。なお、ここでは、配向層13として、パターン状に配向膜を形成してなるパターン配向層とする場合を例に挙げて説明するが、これに限られるものではない。
位相差フィルム1の製造においては、先ず、(A)ロール31に巻き取った長尺フィルムから基材11を提供し、この基材11上に配向層用組成物(配向膜組成物)32を塗工する配向膜組成物塗工処理を行う。このとき、本実施の形態においては、基材11上に塗工した配向膜組成物32の一部を基材11に浸透させることで、所望の厚みを有する浸透層12を形成させるようにする。続いて、(B)その配向膜組成物を乾燥機33で熱硬化させて薄膜状の配向層形成用層13’を形成する配向層形成用層形成処理を行う。そして、(C)配向層形成用層13’に対して紫外線照射装置34,35から紫外線を照射する紫外線照射処理を行う。これら(A)〜(C)の処理によって、配向層13(パターン配向層)が形成される。
続いて、(D)位相差層形成用の重合性液晶組成物を含有する位相差層形成用塗工液の供給装置36から位相差層形成用塗工液13’を塗工し、位相差層形成用層を形成する位相差層形成用塗工液塗工処理を行う。その後、(E)レベリング装置37を用いて、位相差層形成用層の層厚を均一にするレベリング処理を行う。そして、(F)乾燥機38を用いて位相差層形成用塗工液13’の塗膜に含まれる液晶化合物を液晶相形成温度以上に加温することで、上述した配向層13(パターン配向層)が有する、右目用の領域に対応する第1配向領域13Aと、左目用の領域に対応する第2配向領域13Bとの異なる配向方向に沿って、液晶化合物を配列させる配向処理を行う。この配向処理によって位相差層形成用層が位相差層14となる。
その後、(G)冷却機39を用いて、基材11/浸透層12/配向層13/位相差層14からなる積層体を冷却する冷却処理を行い、(H)紫外線照射装置40を用いて、重合性液晶化合物に紫外線を照射する。そして、(I)フィルムを巻き取りリール41に巻き取った後、所望の大きさに切り出す切断処理を行う。以上のような工程を経て位相差フィルム1が作製される。
[(A)配向膜組成物塗工処理]
先ず、ロール31に巻き取った長尺フィルムから基材11を提供し、この基材11上に配向層用組成物32を塗工する配向膜組成物塗工処理を行う。なお、基材11に対しては、ロール31から引き出し、順次、防眩処理(AG処理)や反射防止処理(AR処理)等を施すことで、基材11の表面に防眩層や反射防止層を形成することができる。
〔配向膜組成物32の塗工〕
配向膜組成物32を塗工するにあたり、塗工方法としては、ダイコート法、グラビアコート法、リバースコート法、ナイフコート法、ディップコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、スピンコート法、ロールコート法、プリント法、浸漬引き上げ法、カーテンコート法、キャスティング法、バーコート法、エクストルージョンコート法、E型塗布方法等を用いることができる。これら塗工方法により配向膜組成物32を基材11に塗工することで、配向層形成用層13’を形成する。
ここで、本実施の形態においては、基材11上に配向膜組成物32を塗工し、その一部を基材11に浸透させることで、厚さが10nm以上300nm以下の範囲の浸透層12を形成させる。さらに、浸透層12の上に“純粋な配向層13”を構成するようし、その厚みとしては好ましくは55nm以上となるようする。
そこで、配向膜組成物32の塗工においては、配向層形成用層13’の厚さとして、その基材11に対して配向膜組成物32の一部を浸透させて10nm以上300nm以下の厚みの浸透層12が形成されるようにし、硬化後に形成される純粋な配向層13の厚さが55nm以上となるように塗工する。
[(B)配向層形成用層形成処理]
配向層形成用層形成処理では、乾燥機33を用いて基材11に塗工した配向膜組成物32を熱硬化させる。この処理では、配向膜組成物32が塗工された基材11を乾燥機33に導き、その配向膜組成物32を熱硬化させた後、半乾きの状態で次の工程に送出する。
配向膜組成物32の硬化温度としては、100℃以上130℃以下であることが好ましい。硬化温度が100℃未満であると、配向膜組成物32を均一に熱硬化できず、薄膜が不均一になる可能性があるため好ましくない。一方で、硬化温度が130℃を超えると、基材11や薄膜が収縮する可能性があるため好ましくない。また、配向膜組成物32の硬化時間としては、1分以上10分未満であることが好ましい。硬化時間が1分未満であると、熱硬化できず、薄膜が不均一になる可能性があるため好ましくない。また、配向膜表面に配向成分が出現しなくなり、良好な配向性を発揮させることができない可能性がある。一方で、硬化時間が10分以上であると、ハジキや欠点が発生する可能性や、基材11や薄膜が収縮する可能性があるため好ましくない。
[(C)紫外線照射処理]
続いて、配向層形成用層13’に対して紫外線を照射する紫外線照射処理を行う。この紫外線照射処理では、先ず、図6の(A)に示すように、右目用の領域に対応する第1配向準備領域13’Aを遮光せず、左目用の領域に対応する第2配向準備領域13’Bだけを遮光したマスク21を介して、直線偏光による紫外線(偏光紫外線)を配向層形成用層13’に向けて照射することにより、遮光されていない第1配向準備領域13’Aを所望の方向に配向させる。次に、図6の(B)に示すように、第1配向準備領域13’Aだけを遮光し、第2配向準備領域13’Bを遮光しないマスク22を介して、1回目の照射とは偏光方向が90°異なる直線偏光により紫外線を配向層形成用層13’に向けて照射し、遮光されていない第2配向準備領域13’Bを所望の方向に配向させる。これら2回の紫外線照射により、2種類の配向パターンが形成される。なお、図6の例では、まず第1配向準備領域13’Aに偏光紫外線を照射し、その後、第2配向準備領域13’Bに偏光紫外線を照射しているが、この順番に限るものではない。
マスクのパターン、すなわちパターン照射のパターンは、右目用の領域に対応する第1配向領域13A(図3参照)と、左目用の領域に対応する第2配向領域13B(図3参照)とを安定的に形成できるものであれば特に限定されるものではない。例えば、帯状パターン、モザイク状パターン、千鳥配置状パターン等のパターンとすることができる。
偏光紫外線の偏光方向は、右目用の領域に対応する領域に対する偏光方向と、左目用の領域に対応する領域に対する偏光方向とが異なるものであれば特に限定されるものではないが、両者の間で90°異なるものであることが好ましい。90°異なる方向とは、長尺状の位相差フィルム1を切り出した位相差フィルムを用いて三次元表示が可能な表示装置を形成した際に、精度良く三次元表示を行うことができるものであれば特に限定されない。通常、90°±3°の範囲内であることが好ましく、90°±2°程度の範囲内であることがより好ましく、90°±1°程度の範囲内であることがさらに好ましい。
偏光紫外線の波長は、光配向材料等に応じて適宜設定されるものであり、一般的な光配向材料に配向規制力を発現させる際に用いられる波長とすることができる。具体的には、波長が210nm以上380nm以下、好ましくは230nm以上380nm以下、さらに好ましくは250nm以上380nm以下の照射光を用いることが好ましい。
偏光紫外線の照射量(積算光量)としては、所望の配向規制力を有する配向領域を形成できるものであれば特に限定されるものではない。例えば、波長310nmである場合には、5mJ/cm以上500mJ/cm以下の範囲内であることが好ましく、7mJ/cm以上300mJ/cm以下の範囲内であることがより好ましく、10mJ/cm以上100mJ/cm以下の範囲内であることがさらに好ましい。このような照射量とすることで、十分な配向規制力を有する配向領域を形成することができる。
薄膜に対して偏光紫外線を照射する際、薄膜の温度が一定となるように温度調節することが好ましい。配向領域を精度良く形成することができるからである。薄膜の温度は、15℃以上90℃以下であることが好ましく、15℃以上60℃以下であることがより好ましい。温度調節の方法としては、一般的な加熱・冷却装置等の温度調節装置を用いる方法を挙げることができる。
[(D)位相差層形成用塗工液塗工処理]
次に、位相差層形成用塗工液塗工処理では、形成した配向層13上に、位相差層形成用塗工液の供給装置36から位相差層形成用塗工液を塗工する。塗工方法としては、配向層13上に位相差層形成用塗工液からなる塗膜を安定的に塗布できる方法であれば特に限定されず、(A)配向膜組成物塗工処理で説明したものと同じものを例示できる。
位相差層14は、液晶化合物が含有されることにより、位相差性を発現するものになっているところ、その位相差性の程度は、液晶化合物の種類及び当該位相差層14の厚さに依存して決定される。したがって、位相差層形成用層の厚さとしては、所定の位相差性を達成できる範囲内であれば特に限定されるものではなく、位相差フィルム1の用途等に応じて適宜決定することができる。
[(E)レベリング処理]
続いて、レベリング装置37を用いて、位相差層形成用層の層厚を均一にするレベリング処理を行う。位相差層形成用層は、その後に形成される位相差層14の面内位相差がλ/4分に相当するような範囲内の厚さとなるように、位相差層形成用塗工液を塗布することが好ましい。これにより、第1位相差領域14A及び第2位相差領域14Bを通過する直線偏光を、互いに直交関係にある円偏光にすることができ、結果として、より精度良く三次元映像を表示することができる。
位相差層14の面内位相差がλ/4分に相当するような範囲内の距離にする場合、具体的にどの程度の距離にするかは、液晶化合物の種類により適宜決定される。一般的な液晶化合物を用いる場合、当該距離は0.5μm以上2μm以下の範囲内となるが、これに限られるものではない。
[(F)配向処理]
続いて、位相差層形成用塗工液の塗膜に含まれる液晶化合物を、配向層13(パターン配向層)に含まれる第1配向領域13A及び第2配向領域13Bの異なる配向方向に沿って、液晶化合物を配列させる。液晶化合物を配列させる方法としては、所望の方向に配列させることができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、乾燥機38を用いて液晶化合物を液晶相形成温度以上に加温する方法等が挙げられる。
この配向処理によって形成される位相差層14のパターンは、配向層13のパターンと同一となり、右目用の領域に対応する第1配向領域13A上には、右目用の領域に対応する第1位相差領域14Aが形成され、左目用の領域に対応する第2配向領域13B上には、左目用の領域に対応する第2位相差領域14Bが形成される。
[(G)冷却処理]
その後、冷却機39を用いて、基材11/浸透層12/配向層13/位相差層14からなる積層体を冷却する冷却処理を行う。この冷却処理は、例えば積層体が室温になる程度まで行えばよい。
[(H)硬化処理]
続いて、重合性液晶化合物を重合し硬化させる硬化処理を行う。重合性液晶化合物を重合させる方法としては、重合性液晶化合物が有する重合性官能基の種類に応じて任意に決定すればよいが、適量の重合開始剤を加えて活性放射線の照射により硬化させる方法が好ましい。その活性放射線としては、重合性液晶化合物を重合することが可能な放射線であれば特に限定されるものではないが、通常は装置の容易性等の観点から紫外光又は可視光を使用することが好ましい。具体的には、配向層13を形成する際に用いた紫外線と同様とすることができる。このような硬化処理を行うことで、液晶化合物が互いに重合して、網目(ネットワーク)構造の状態にすることができ、列安定性を備え、かつ、光学特性の発現性に優れた位相差層14を形成できる。
[(I)位相差フィルム1の作製]
続いて、フィルムを巻き取りリール41に巻き取る。その後、フィルムを所望の大きさに切り出す。以上のような工程を経て、位相差フィルム1が作製される。
1 位相差フィルム
2 配向膜
11 基材
12 浸透層
13 配向層
14 位相差層

Claims (4)

  1. 基材と、光配向材料を含む配向膜組成物を含有する配向層と、液晶化合物を含有する液晶層とを有する位相差フィルムであって、
    前記基材と前記配向層の間に、該基材に対して該配向層に含有される配向膜組成物が浸透して形成された浸透層を有し、該浸透層の厚みが10nm以上300nm以下である位相差フィルム。
  2. 前記配向層の厚みが55nm以上である請求項1に記載の位相差フィルム。
  3. 前記基材がアクリル基材である請求項1又は2に記載の位相差フィルム。
  4. 前記配向層が、パターン状又はベタ状の配向膜からなる請求項1乃至3の何れかに記載の位相差フィルム。
JP2013188678A 2013-09-11 2013-09-11 位相差フィルム Pending JP2015055745A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013188678A JP2015055745A (ja) 2013-09-11 2013-09-11 位相差フィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013188678A JP2015055745A (ja) 2013-09-11 2013-09-11 位相差フィルム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2015055745A true JP2015055745A (ja) 2015-03-23

Family

ID=52820175

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013188678A Pending JP2015055745A (ja) 2013-09-11 2013-09-11 位相差フィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2015055745A (ja)

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004333702A (ja) * 2003-05-02 2004-11-25 Nitto Denko Corp 光学フィルム、その製造方法、およびそれを用いた偏光板
JP2006189520A (ja) * 2004-12-28 2006-07-20 Dainippon Printing Co Ltd 位相差フィルムの製造方法、及び位相差フィルム
JP2009025732A (ja) * 2007-07-23 2009-02-05 Jsr Corp 光学部材の作製方法及び光学部材
JP2009086660A (ja) * 2007-09-12 2009-04-23 Dainippon Printing Co Ltd 光学積層体、その製造方法、偏光板及び画像表示装置
JP2010151926A (ja) * 2008-12-24 2010-07-08 Dic Corp 光学異方体
JP2010152069A (ja) * 2008-12-25 2010-07-08 Dic Corp 重合性液晶組成物、及び光学異方体
JP2013068921A (ja) * 2011-09-09 2013-04-18 Dainippon Printing Co Ltd 光学フィルム、画像表示装置及び光学フィルムの製造方法

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004333702A (ja) * 2003-05-02 2004-11-25 Nitto Denko Corp 光学フィルム、その製造方法、およびそれを用いた偏光板
JP2006189520A (ja) * 2004-12-28 2006-07-20 Dainippon Printing Co Ltd 位相差フィルムの製造方法、及び位相差フィルム
JP2009025732A (ja) * 2007-07-23 2009-02-05 Jsr Corp 光学部材の作製方法及び光学部材
JP2009086660A (ja) * 2007-09-12 2009-04-23 Dainippon Printing Co Ltd 光学積層体、その製造方法、偏光板及び画像表示装置
JP2010151926A (ja) * 2008-12-24 2010-07-08 Dic Corp 光学異方体
JP2010152069A (ja) * 2008-12-25 2010-07-08 Dic Corp 重合性液晶組成物、及び光学異方体
JP2013068921A (ja) * 2011-09-09 2013-04-18 Dainippon Printing Co Ltd 光学フィルム、画像表示装置及び光学フィルムの製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5768853B2 (ja) 位相差フィルム
JP6149078B2 (ja) 位相差フィルム、位相差フィルムの製造方法、積層体、組成物、偏光板および液晶表示装置
KR102504171B1 (ko) 장척 위상차 필름의 제조 방법
WO2013128692A1 (ja) 長尺パターン配向膜およびそれを用いた長尺パターン位相差フィルム
JP5720795B2 (ja) パターン位相差フィルム及びその製造方法
JP6586882B2 (ja) 位相差フィルム、位相差フィルムの製造方法、この位相差フィルムを用いた偏光板及び画像表示装置、この画像表示装置を使用した3d画像表示システム
JP2013114131A (ja) 位相差層形成用の重合性液晶組成物、パターン位相差フィルム及びパターン位相差フィルムの製造方法
WO2013038932A1 (ja) 光学位相差素子およびその製造方法
JP6724297B2 (ja) 光学積層体の製造方法、円偏光板の製造方法及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法
KR102589809B1 (ko) 광학 이방성층 및 그 제조 방법, 광학 이방성 적층체, 전사용 복층물, 편광판, 그리고 화상 표시 장치
CN114051586A (zh) 长条膜
JP2007114739A (ja) 光学異方性高分子フィルム、偏光フィルム、それらの製造方法、及びその用途
JP2015052679A (ja) 位相差フィルム及びその製造方法
JP6446810B2 (ja) 位相差フィルム、光学フィルム、光学フィルムの製造方法
JP2015200725A (ja) 位相差フィルム及び位相差フィルムの製造方法
JP6609897B2 (ja) 位相差フィルム
JP6561449B2 (ja) 偏光子付き位相差フィルムの製造方法、及び位相差フィルムの評価方法
JP2015055745A (ja) 位相差フィルム
JP5652412B2 (ja) 位相差層形成用の重合性液晶組成物、位相差フィルム及び位相差フィルムの製造方法
JP2012073514A (ja) 位相差フィルム、偏光子付き位相差フィルム、積層型パターン位相差板、および液晶表示装置
JP2015169875A (ja) 光学フィルム、光学フィルム用転写体、及び画像表示装置
JP2013076762A (ja) パターン配向層用組成物、並びにパターン配向膜及びパターン位相差フィルムの製造方法
JP2015191049A (ja) 長尺位相差フィルム、偏光板、及び画像表示装置
TWI548896B (zh) 長型圖案配向膜及使用其之長型圖案相位差薄膜
JP6830914B2 (ja) 光学フィルム、光学フィルム用転写体、及び画像表示装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20141224

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20141224

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20150123

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150203

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150320

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20150526

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150821

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20150828

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20151030

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20160928