JP2015027823A - 車両用プロペラシャフトの設置構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】プロペラシャフトとリヤデファレンシャルの入力軸との折れ角変動に起因した車体振動の増大を車両の様々な走行状態においてバランスよく抑制できるようにする。
【解決手段】パワープラントに前部自在継手13を介して前端部を接続され、左右の駆動輪に動力配分する差動装置5に後部自在継手15を介して後端部を接続された車両用プロペラシャフト10の設置構造であって、車両駆動時の後部自在継手15の折れ角α1及び車両制動時の後部自在継手15の折れ角α2がそれぞれの閾値以内になるように、車両が駆動も制動もされていない時の後部自在継手15の折れ角が設定されている。
【選択図】図1
【解決手段】パワープラントに前部自在継手13を介して前端部を接続され、左右の駆動輪に動力配分する差動装置5に後部自在継手15を介して後端部を接続された車両用プロペラシャフト10の設置構造であって、車両駆動時の後部自在継手15の折れ角α1及び車両制動時の後部自在継手15の折れ角α2がそれぞれの閾値以内になるように、車両が駆動も制動もされていない時の後部自在継手15の折れ角が設定されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、車両用プロペラシャフトの設置構造に関するものである。
自動車において、車体前部に搭載したパワープラント(エンジン及び変速機)で後輪を駆動するFR車では、パワープラントの変速機の出力軸とリヤデファレンシャルの入力軸とをプロペラシャフトで接続している。変速機の出力軸とプロペラシャフトの前端との間及びプロペラシャフトの後端とリヤデファレンシャルの入力軸との間には、それぞれユニバーサルジョイントが介装され、各軸の軸線が一直線上に並ばなくてもパワープラントと後輪との間で動力が伝達される。
こうした自動車の動力伝達系に適用されるプロペラシャフトには、シャフトが一本のシングルタイプ(1分割タイプ)や、シャフトが二本の2分割タイプやシャフトが三本の3分割タイプの複数分割タイプのものがあり、複数分割タイプのものの各シャフト間にもユニバーサルジョイントが介装される。
ところで、ユニバーサルジョイントでは、連結される2軸ジョイント(いわゆる、ジョイント折れ角)があっても動力を伝達できるが、このジョイント折れ角が発生すると、ジョイント二次モーメントが発生する。プロペラシャフトの前端のユニバーサルジョイントはパワープラントに結合されているので、このユニバーサルジョイントにジョイント折れ角があるとパワープラントが振動し、車体へ伝わる。また、プロペラシャフトの後端のユニバーサルジョイントはリヤデファレンシャルに結合されているので、このユニバーサルジョイントにジョイント折れ角があるとリヤデファレンシャルが振動し、車体へ伝わる。
したがって、車体振動の増大を抑えるには、ジョイント折れ角をできるだけ小さく設定することが有効である。しかし、リヤデファレンシャルには、後輪の駆動時に駆動反力が作用するため、後輪の回転方向と逆向きに、つまり前方(入力軸側)が上向き回転する、いわゆるワインドアップがリヤデファレンシャルに発生する。このワインドアップによって、ジョイント折れ角も変化してしまうので、後輪の駆動時にジョイント折れ角が増加して、車体振動の増大を招く場合がある。
これに関し、特許文献1には、後輪に駆動力が作用していない時に、変速機の出力軸とプロペラシャフトとリヤデファレンシャルの入力軸とが一直線になる状態よりも入力軸を下向きに傾斜した状態に取り付ける構造が記載されている。これにより、後輪駆動時には、ワインドアップによってリヤデファレンシャルの入力軸が下向きに傾斜した状態から上向きに回転して、変速機の出力軸とプロペラシャフトとリヤデファレンシャルの入力軸とが一直線になって、車体振動の低減化を図ることができるとされている。
特許文献1に記載の技術によれば、車両の加速時などのエンジンから後輪に駆動力が伝達されている時における車体振動の低減化には寄与するものの、車両の減速時などのエンジンブレーキによって後輪に制動力(即ち、減速の駆動力)が伝達されている時には大きな車体振動が発生することが判明した。
この原因は、エンジンブレーキによる後輪制動時には、リヤデファレンシャルに制動反力が作用するため、上記の後輪駆動時のワインドアップとは逆向きに、前方(入力軸側)が下向き回転して、入力軸が大きく下向きに傾斜してジョイント折れ角が増大して、大きな車体振動を招いていることを究明した。
この原因は、エンジンブレーキによる後輪制動時には、リヤデファレンシャルに制動反力が作用するため、上記の後輪駆動時のワインドアップとは逆向きに、前方(入力軸側)が下向き回転して、入力軸が大きく下向きに傾斜してジョイント折れ角が増大して、大きな車体振動を招いていることを究明した。
本発明は、かかる課題に鑑み創案されたもので、プロペラシャフトとリヤデファレンシャルの入力軸との折れ角変動に起因した車体振動の増大を車両の様々な走行状態においてバランスよく抑制することができるようにした、車両用プロペラシャフトの設置構造を提供することを目的とする。
(1)上記の目的を達成するために、本発明の車両用プロペラシャフトの設置構造は、パワープラントに前部自在継手を介して前端部を接続され、左右の駆動輪に動力配分する差動装置に後部自在継手を介して後端部を接続された車両用プロペラシャフトの設置構造であって、車両の駆動時の前記後部自在継手の折れ角及び前記車両の制動時の前記後部自在継手の折れ角がそれぞれの閾値以内になるように、前記車両の非駆動及び非制動時の前記後部自在継手の折れ角が設定されていることを特徴としている。
(2)前記車両の駆動時の前記後部自在継手の最大折れ角の絶対値が前記車両の制動時の前記後部自在継手の最大折れ角の絶対値と等しくなるように、前記車両の非駆動及び非制動時の前記後部自在継手の折れ角が設定されていることが好ましい。
(3)前記左右の駆動輪は、車軸懸架方式のサスペンションで車体と接続されていることが好ましい。
(3)前記左右の駆動輪は、車軸懸架方式のサスペンションで車体と接続されていることが好ましい。
(4)前記車両用プロペラシャフトは、一本のシャフトからなるシングルタイプ、二本のシャフトが自在継手を介して接続されてなる2分割タイプ、及び、三本のシャフトが自在継手を介して接続されてなる3分割タイプの何れかであることが好ましい。
本発明の車両用プロペラシャフトの設置構造によれば、車両の駆動時の後部自在継手の折れ角及び車両の制動時の後部自在継手の折れ角がそれぞれの閾値以内になるように、車両の非駆動及び非制動時の後部自在継手の折れ角が設定されているので、加速時等の車両駆動時の折れ角の増大と減速時等の車両制動時の折れ角の増大とをバランスよく抑制することができ、後部自在継手の折れ角の増大に起因した車体振動の増大を、車両の駆動時及び制動時の双方において抑制することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に示す実施形態は、あくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。
また、以下の説明において、前後とは車両の前後を示し、左右とは前方を向いた車両の左右を示している。
また、以下の説明において、前後とは車両の前後を示し、左右とは前方を向いた車両の左右を示している。
〔構成〕
まず、本実施形態にかかる車両(自動車)の駆動系要部構成を説明する。図2に示すように、本実施形態にかかる車両1は、車両1の前部に、エンジン(内燃機関)2及び変速機3からなるパワープラント4が装備され、このパワープラント4に、プロペラシャフト10を介して、差動装置(リヤデファレンシャル)5が接続されている。差動装置5には、アクスルシャフト(ドライブシャフト)6,6を介して左右の駆動輪7,7が接続されている。
まず、本実施形態にかかる車両(自動車)の駆動系要部構成を説明する。図2に示すように、本実施形態にかかる車両1は、車両1の前部に、エンジン(内燃機関)2及び変速機3からなるパワープラント4が装備され、このパワープラント4に、プロペラシャフト10を介して、差動装置(リヤデファレンシャル)5が接続されている。差動装置5には、アクスルシャフト(ドライブシャフト)6,6を介して左右の駆動輪7,7が接続されている。
プロペラシャフト10は、図1(a)に示すように、前端をパワープラント4の出力部である変速機3の出力軸31に第1ジョイント(前部自在継手)13を介して接続され、後端を差動装置5の入力部である入力ギヤ軸51に第3ジョイント(後部自在継手)15を介して接続される。プロペラシャフト10は、二本のシャフト11,12が第2ジョイント(中間部自在継手)14を介して接続されてなる2分割タイプが採用されている。
つまり、前方の第1シャフト11は、第1ジョイント13を介してその前端部を変速機3の出力軸31に接続され、第2ジョイント14を介してその後端部をその後方の第2シャフト12の前端部に接続されている。後方の第2シャフト12は、第2ジョイント14を介してその前端部を第1シャフト11の後端部に接続され、第3ジョイント15を介してその後端部をその後方の差動装置5の入力ギヤ軸51に接続されている。
なお、本車両1において、左右の駆動輪7,7は、例えば図6又は図7に示すような車軸懸架方式のサスペンションで車体と接続されている。
図6に示すものは、3リンク式リヤサスペンション8であり、アクスルハウジング80の中央部81に差動装置が内装され、アクスルハウジング80の両端部82にアクスルシャフトが内装される。アクスルハウジング80の両端部82のアクスルシャフト端部6a付近は、前方に延びるロアリンク83によって車体と連結され、また、上方に延びるコイルスプリング85及びダンパ86によって車体と連結されている。また、アクスルハウジング80の一方のダンパ86のケースとアクスルハウジング80の他方との間にはラテラルロッド84が傾斜して配設されている。
図6に示すものは、3リンク式リヤサスペンション8であり、アクスルハウジング80の中央部81に差動装置が内装され、アクスルハウジング80の両端部82にアクスルシャフトが内装される。アクスルハウジング80の両端部82のアクスルシャフト端部6a付近は、前方に延びるロアリンク83によって車体と連結され、また、上方に延びるコイルスプリング85及びダンパ86によって車体と連結されている。また、アクスルハウジング80の一方のダンパ86のケースとアクスルハウジング80の他方との間にはラテラルロッド84が傾斜して配設されている。
図7に示すものは、平行リーフスプリング式サスペンション9であり、アクスルハウジング80の中央部91に差動装置が内装され、アクスルハウジング90の両端部92にアクスルシャフトが内装される。アクスルハウジング90の両端部92のアクスルシャフト端部6a付近は、前後に延びるリーフスプリング93及び上方に延びるダンパ94によって車体と連結されている。
本実施形態では、3リンク式リヤサスペンション及び平行リーフスプリング式サスペンションの何れかを採用するものとするが、他の車軸懸架方式のサスペンションを採用しても良く、独立懸架方式のサスペンションを採用しても良い。
本実施形態では、3リンク式リヤサスペンション及び平行リーフスプリング式サスペンションの何れかを採用するものとするが、他の車軸懸架方式のサスペンションを採用しても良く、独立懸架方式のサスペンションを採用しても良い。
自在継手13〜15は、ユニバーサルジョイント或いはカルダンジョイントとも称するが、この自在継手13〜15により、変速機3の出力軸31の軸線31a,第1シャフト11の軸線11a,第2シャフト12の軸線12a及び差動装置5の入力ギヤ軸51の軸線51aは、一直線上に並ばなくてもパワープラント4と後輪7,7との間で動力が伝達される。ただし、自在継手13〜15の入出力軸間に折れ角(ジョイント折れ角)θがあると、二次モーメントM2が発生する。
つまり、自在継手13〜15は、図3に示すように、先端にヨーク103が設けられた第1軸(入力軸)101と、先端にヨーク104が設けられた第2軸(出力軸)102と、これらのヨーク103,104を接続する十字軸105とから構成される。なお、図中、x,y,zは、グローバル座標系(xyz直交座標系)の3軸を示し、十字軸105の中心を原点に、第1軸101をx軸上に配置している。
第1軸101にトルクT1が入力されると、ヨーク103にはトルク反力のモーメントM1,M1が発生する。このモーメントM1,M1は、ヨーク103から十字軸105を介してヨーク104から第2軸102に伝達されるが、第1軸101の軸線と、第2軸の軸線とが角度(ジョイント折れ角)θを有すると、この角度θに応じた二次モーメントM2,M2がヨーク103の面内方向に発生する。
この二次モーメント(ジョイント二次モーメントとも言う)M2は、入力トルクT1と、ジョイント折れ角θと、次式で示すように、第2軸102の回転角度φ2とに応じた値となる。
M2=T1・tanθ・sinφ2
第2軸102の回転角度φ2は第2軸102の回転によって周期的(サインカーブ)に変化するので、ジョイント二次モーメントM2は、入力トルクT1やジョイント折れ角θが大きいほど、大きな振幅で周期的(サインカーブ)に変化する。
M2=T1・tanθ・sinφ2
第2軸102の回転角度φ2は第2軸102の回転によって周期的(サインカーブ)に変化するので、ジョイント二次モーメントM2は、入力トルクT1やジョイント折れ角θが大きいほど、大きな振幅で周期的(サインカーブ)に変化する。
したがって、ジョイント折れ角θが大きいほどジョイント二次モーメントM2が大きく変化し、大きな起振力が発生する。自在継手13〜15で発生する起振力は車体に伝達されて車体振動を引き起こすので、自在継手13〜15で発生するジョイント二次モーメントM2を可能な限り抑制したい。
そこで、本車両用プロペラシャフトを装備した車両解析モデルを用いて所定のスケジュールでエンジントルクを変化させた場合のCAE解析(マルチボディダイナミクス)を行なった。図4,図5はこのCAE解析の結果を示すタイムチャートである。
この機構解析では、図4(a)にホイールトルクの変遷を示すように、停止していた車両1にエンジン2によって駆動力を与えて発進及び加速させ、その後、エンジンブレーキによって車両1に制動力(減速の駆動力或いは負の駆動力)を与えて減速していく状態を示している。
この機構解析では、図4(a)にホイールトルクの変遷を示すように、停止していた車両1にエンジン2によって駆動力を与えて発進及び加速させ、その後、エンジンブレーキによって車両1に制動力(減速の駆動力或いは負の駆動力)を与えて減速していく状態を示している。
なお、ここでは、プロペラシャフト10の後端部(第2シャフト12の後端部)と差動装置5の入力ギヤ軸51との間の第3ジョイント(No.3ジョイント)15に着目しており、車両停止時(即ち、駆動力も制動力も車両に作用していない場合)のジョイント折れ角(停止時ジョイント折れ角)θstを4通り設定し、各停止時ジョイント折れ角θstにおける入力ギヤ軸51の先端の上下方向加速度(リヤデフ先端加速度)[図4(b)]及びジョイント折れ角θ[図4(c)]の変化を表示している。
図4(b)に示すリヤデフ先端加速度は、リヤデフ先端の上下振動である。各停止時ジョイント折れ角θstでは、上下に等しい加速度となる。
ジョイント折れ角θについては、第3ジョイント15の前後の軸線が一直線となる場合を0とし、図1(b)に破線及び角度α1で示すように、入力ギヤ軸51の先端が上方に傾斜して第3ジョイント15の前後の軸線が上に凸となる方向を正とし、図1(b)に一点鎖線及び角度α2で示すように、入力ギヤ軸51の先端が下方に傾斜して第3ジョイント15の前後の軸線が下に凸となる方向を負とする。
ジョイント折れ角θについては、第3ジョイント15の前後の軸線が一直線となる場合を0とし、図1(b)に破線及び角度α1で示すように、入力ギヤ軸51の先端が上方に傾斜して第3ジョイント15の前後の軸線が上に凸となる方向を正とし、図1(b)に一点鎖線及び角度α2で示すように、入力ギヤ軸51の先端が下方に傾斜して第3ジョイント15の前後の軸線が下に凸となる方向を負とする。
図4(a)に示すように、時点t1で車両に駆動力を与えて発進させて時点t2までは加速させ、その後惰行走行を経て、時点t3で車両に制動力を与えて減速させ、その後、制動力を弱めていくものとする。
車両1に駆動力を加えると(時点t1〜t2)、駆動力の大きさにほぼ応じるようにリヤデフ先端加速度が増大し、駆動力の減少と共にリヤデフ先端加速度も減少する。その後、車両1に制動力を加えると(時点t3〜)、制動の大きさにほぼ応じるようにリヤデフ先端加速度が増大する。
車両1に駆動力を加えると(時点t1〜t2)、駆動力の大きさにほぼ応じるようにリヤデフ先端加速度が増大し、駆動力の減少と共にリヤデフ先端加速度も減少する。その後、車両1に制動力を加えると(時点t3〜)、制動の大きさにほぼ応じるようにリヤデフ先端加速度が増大する。
なお、図4(b),図4(c)において、停止時ジョイント折れ角θstがθ1(折れ角θstは下に凸で角度は1単位角度、つまり、−1単位角度)のものをケース1(符号a及び二点鎖線で示す)とし、停止時ジョイント折れ角θstをケース1のθ1に対して1単位角度だけ更に低下させたもの(折れ角θst下に凸で角度は2単位角度、つまり、−2単位角度)をケース2(符号b及び実線で示す)とし、停止時ジョイント折れ角θstをケース1のθ1に対して2単位角度だけ更に低下させたもの(折れ角θst下に凸で角度は3単位角度、つまり、−3単位角度)をケース3(符号c及び一点鎖線で示す)とし、停止時ジョイント折れ角θstをケース1に対して1単位角度だけ更に上昇させたもの(折れ角θstは0度)をケース4(符号d及び破線で示す)とする。
図4(b)を停止時ジョイント折れ角θst毎に見ると、駆動力を加えた時は、停止時ジョイント折れ角θstが大きいほどリヤデフ先端加速度が大きくなっていて、停止時ジョイント折れ角θstが小さい(負の方向に大きい)ほどリヤデフ先端加速度が小さくなっている。一方、制動力を加えた時は、停止時ジョイント折れ角θstが小さい(負の方向に大きい)ほどリヤデフ先端加速度が大きくなっていて、停止時ジョイント折れ角θstが大きいほどリヤデフ先端加速度が小さくなっている。
図4(c)のジョイント折れ角θの変化をみると、車両1に駆動力を加えた時は、停止時ジョイント折れ角θstよりも増大(正の方向に変化)することがわかる。これは、駆動力を加えた時は、駆動輪7を通じて路面から駆動反力を受けた差動装置5のワインドアップによってリヤデファレンシャル5の入力ギヤ軸51が上向きに回転するためである。
一方、車両1に制動力を加えた時は、停止時ジョイント折れ角θstよりも減少(負の方向に変化)することがわかる。制動力を加えた時は、駆動輪7を通じて路面から制動反力を受けた差動装置5のワインドアップとは逆方向の揺動によってリヤデファレンシャル5の入力ギヤ軸51が下向きに回転するためである。
このような変化の特性は、入力される駆動力や制動力の大きさの変化にほぼ対応し、停止時ジョイント折れ角θstの相違に応じて、上下(正の方向及び負の方向)にシフトしたものとなっている。
図4(b),図4(c)から、車両1に駆動力や制動力を与えると、駆動力や制動力の大きさに応じてジョイント折れ角θが変化し、ジョイント折れ角θの大きさ(絶対値)が大きくなるほどリヤデフ先端加速度の大きさ(絶対値)が大きくなって振動が増大することがわかる。
また、図5は図4(a)に示すように車両1に駆動力や制動力を与えた場合の第1ジョイント(No.1ジョイント)13及び第2ジョイント(No.2ジョイント)14の各折れ角を、第3ジョイント(No.3ジョイント)15のベースの折れ角と対応させて示すものである。図5に示すように、第1ジョイント13及び第2ジョイント14は、ジョイント折れ角の変化が僅かなものになっている。
したがって、第1ジョイント13及び第2ジョイント14については、車両停止時(即ち、駆動力も制動力も車両に作用していない場合)のジョイント折れ角を適宜設定すれば、ジョイント折れ角に起因した振動を十分に抑制することができる。
そこで、本実施形態にかかる車両用プロペラシャフトの設置構造では、車両1に駆動力を与えた場合や車両1に制動力を与えた場合の何れでも、第3ジョイント15のジョイント折れ角θの最大値(最大ジョイント折れ角)が閾値以内(所定範囲)に収まるように、車両停止時(即ち、駆動力も制動力も車両1に作用していない場合)のジョイント折れ角(停止時ジョイント折れ角)θstを設定している。ここで、最大値とは、車両1の常用範囲での最大値とする。
そこで、本実施形態にかかる車両用プロペラシャフトの設置構造では、車両1に駆動力を与えた場合や車両1に制動力を与えた場合の何れでも、第3ジョイント15のジョイント折れ角θの最大値(最大ジョイント折れ角)が閾値以内(所定範囲)に収まるように、車両停止時(即ち、駆動力も制動力も車両1に作用していない場合)のジョイント折れ角(停止時ジョイント折れ角)θstを設定している。ここで、最大値とは、車両1の常用範囲での最大値とする。
図4に示すものの場合には、停止時ジョイント折れ角θstを1単位角度だけ低下させたケース1の構成では、駆動時の最大ジョイント折れ角θは閾値(例えば、2単位角度)以内となり、制動時の最大ジョイント折れ角θは閾値(−2単位角度)以内となり、上記条件を満足する。
このように、駆動時の最大ジョイント折れ角θの閾値の大きさ(絶対値)と、制動時の最大ジョイント折れ角θの閾値の大きさ(絶対値)とを等しく設定する場合、「車両1の駆動時の第3ジョイント15の最大折れ角の絶対値が車両1の制動時の第3ジョイント15の最大折れ角の絶対値と等しくなるように、停止時ジョイント折れ角θstを設定する」と規定することもできる。
このように、駆動時の最大ジョイント折れ角θの閾値の大きさ(絶対値)と、制動時の最大ジョイント折れ角θの閾値の大きさ(絶対値)とを等しく設定する場合、「車両1の駆動時の第3ジョイント15の最大折れ角の絶対値が車両1の制動時の第3ジョイント15の最大折れ角の絶対値と等しくなるように、停止時ジョイント折れ角θstを設定する」と規定することもできる。
〔作用及び効果〕
本実施形態にかかる車両用プロペラシャフトの設置構造は上述のように構成され、車両1の駆動時及び制動時の第3ジョイント15のジョイント折れ角θの最大値が閾値以内(所定範囲)に収まるように、駆動力も制動力も車両に作用していない車両停止時等のジョイント折れ角(停止時ジョイント折れ角)θstを設定しているので、加速時等の車両駆動時の折れ角θの増大と減速時等の車両制動時の折れ角θの増大とをバランスよく抑制することができ、第3ジョイント15の折れ角θの増大に起因した車体振動の増大を、車両1の駆動時及び制動時の双方において抑制することができる。
本実施形態にかかる車両用プロペラシャフトの設置構造は上述のように構成され、車両1の駆動時及び制動時の第3ジョイント15のジョイント折れ角θの最大値が閾値以内(所定範囲)に収まるように、駆動力も制動力も車両に作用していない車両停止時等のジョイント折れ角(停止時ジョイント折れ角)θstを設定しているので、加速時等の車両駆動時の折れ角θの増大と減速時等の車両制動時の折れ角θの増大とをバランスよく抑制することができ、第3ジョイント15の折れ角θの増大に起因した車体振動の増大を、車両1の駆動時及び制動時の双方において抑制することができる。
また、「車両1の駆動時の第3ジョイント15の最大折れ角の絶対値が車両1の制動時の第3ジョイント15の最大折れ角の絶対値と等しくなるように、停止時ジョイント折れ角θstを設定する」と規定しても同様の効果を得ることができる。
また、本設置構造は、変速機の変速段を問わず有効である。
また、本設置構造は、変速機の変速段を問わず有効である。
〔その他〕
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記の実施形態を適宜変更して実施することができる。
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記の実施形態を適宜変更して実施することができる。
例えば、上記の実施形態では、駆動時の最大ジョイント折れ角θの閾値の大きさ(絶対値)と、制動時の最大ジョイント折れ角θの閾値の大きさ(絶対値)とを等しく設定しているが、これらを異なる値に設定しても良い。この場合、駆動時の振動抑制を重視する場合には、駆動時の最大ジョイント折れ角θの閾値の大きさを制動時の最大ジョイント折れ角θの閾値の大きさよりも小さくし、逆に、制動時の振動抑制を重視する場合には、制動時の最大ジョイント折れ角θの閾値の大きさを駆動時の最大ジョイント折れ角θの閾値の大きさよりも小さくすればよい。
また、上記の実施形態では、車両用プロペラシャフト10を2分割タイプとしているが、本設置構造は、一本のシャフトからなるシングルタイプや、三本のシャフトが自在継手を介して接続されてなる3分割タイプなどの他の複数分割タイプの何れの車両用プロペラシャフトにも適用しうる。
1 車両
2 エンジン(内燃機関)
3 変速機
4 パワープラント
5 差動装置(リヤデファレンシャル)
6 アクスルシャフト(ドライブシャフト)
8 3リンク式リヤサスペンション(車軸懸架方式のサスペンション)
9 平行リーフスプリング式サスペンション(車軸懸架方式のサスペンション)
10 プロペラシャフト
11 第1シャフト
12 第2シャフト
13 第1ジョイント(前部自在継手)
14 第2ジョイント(中間部自在継手)
15 第3ジョイント(後部自在継手)
31 変速機3の出力軸
51 差動装置5の入力ギヤ軸
2 エンジン(内燃機関)
3 変速機
4 パワープラント
5 差動装置(リヤデファレンシャル)
6 アクスルシャフト(ドライブシャフト)
8 3リンク式リヤサスペンション(車軸懸架方式のサスペンション)
9 平行リーフスプリング式サスペンション(車軸懸架方式のサスペンション)
10 プロペラシャフト
11 第1シャフト
12 第2シャフト
13 第1ジョイント(前部自在継手)
14 第2ジョイント(中間部自在継手)
15 第3ジョイント(後部自在継手)
31 変速機3の出力軸
51 差動装置5の入力ギヤ軸
Claims (4)
- パワープラントに前部自在継手を介して前端部を接続され、左右の駆動輪に動力配分する差動装置に後部自在継手を介して後端部を接続された車両用プロペラシャフトの設置構造であって、
車両の駆動時の前記後部自在継手の折れ角及び前記車両の制動時の前記後部自在継手の折れ角がそれぞれの閾値以内になるように、前記車両の非駆動及び非制動時の前記後部自在継手の折れ角が設定されている
ことを特徴とする、車両用プロペラシャフトの設置構造。 - 前記車両の駆動時の前記後部自在継手の最大折れ角の絶対値が前記車両の制動時の前記後部自在継手の最大折れ角の絶対値と等しくなるように、前記車両の非駆動及び非制動時の前記後部自在継手の折れ角が設定されている
ことを特徴とする、請求項1記載の車両用プロペラシャフトの設置構造。 - 前記左右の駆動輪は、車軸懸架方式のサスペンションで車体と接続されている
ことを特徴とする、請求項1又は2記載の車両用プロペラシャフトの設置構造。 - 前記車両用プロペラシャフトは、一本のシャフトからなるシングルタイプ、二本のシャフトが自在継手を介して接続されてなる2分割タイプ、及び、三本のシャフトが自在継手を介して接続されてなる3分割タイプの何れかである
ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の車両用プロペラシャフトの設置構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2013157516A JP2015027823A (ja) | 2013-07-30 | 2013-07-30 | 車両用プロペラシャフトの設置構造 |
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JP2013157516A JP2015027823A (ja) | 2013-07-30 | 2013-07-30 | 車両用プロペラシャフトの設置構造 |
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Family Applications (1)
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2013
- 2013-07-30 JP JP2013157516A patent/JP2015027823A/ja active Pending
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