JP2015017371A - 座屈補剛ブレース - Google Patents
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Abstract
【課題】座屈補剛ブレースの軽量化を図る。【解決手段】構造物の架構に斜めに取り付けられるブレース材と、前記ブレース材の外周又は内周に設けられて該ブレース材の座屈を抑える補剛部材と、一端部が前記架構に取り付けられ、他端部が前記補剛部材と相対移動可能に連結され、圧縮力は前記補剛部材へ伝達せず、引張力は前記補剛部材へ伝達する力伝達手段と、を有する座屈補剛ブレース。【選択図】図3
Description
本発明は、構造物の架構に取り付けられる座屈補剛ブレースに関する。
形鋼や丸鋼等の軸状部材をブレース材として構造物の架構に設置し、構造物の耐震性を高める耐震技術が実用化されている。また、引張力と圧縮力の両方を負担できるブレースが提案されている。例えば、特許文献1には、補剛筒体としての鋼管と、この鋼管に挿入されたブレース材としてのH形鋼とで構成された座屈補剛ブレースが開示されている。
しかし、このような座屈補剛ブレースで大きな圧縮力を負担しようとする場合、鋼管やH形鋼の構造断面を大きくしなければならず、座屈補剛ブレースが重くなってしまう。
本発明は係る事実を考慮し、座屈補剛ブレースの軽量化を図ることを課題とする。
請求項1に記載の発明は、構造物の架構に斜めに取り付けられるブレース材と、前記ブレース材の外周又は内周に設けられて該ブレース材の座屈を抑える補剛部材と、一端部が前記架構に取り付けられ、他端部が前記補剛部材と相対移動可能に連結され、圧縮力は前記補剛部材へ伝達せず、引張力は前記補剛部材へ伝達する力伝達手段と、を有する座屈補剛ブレースである。
請求項1に記載の発明では、ブレース材と、力伝達手段により引張力が伝達される補剛部材とが、座屈補剛ブレースに作用する引張力を負担する。また、ブレース材は、座屈補剛ブレースに作用する圧縮力を負担し、補剛部材により座屈補剛されて高い圧縮耐力を発揮する。
また、ブレース材は、補剛部材による座屈補剛によって圧縮耐力を向上させることができるので、ブレース材の構造断面を小さくすることができる。さらに、ブレース材と補剛部材の2つの部材で、座屈補剛ブレースに作用する引張力を負担するので、ブレース材に必要な引張耐力を小さくすることができる。よって、ブレース材の構造断面を小さくすることができる。また、力伝達手段により補剛部材へ圧縮力が伝達されないので、補剛部材は、座屈補剛ブレースに作用する圧縮力を負担する必要はなく、ブレース材のはらみ出し荷重に対する耐力を有し、且つ、ブレース材のはらみ出しを抑えることができる程度の剛性を有していればよい。よって、圧縮力を負担させるように設計された補剛部材よりも、補剛部材の構造断面を小さくできる。これらにより、座屈補剛ブレースの軽量化を図ることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の座屈補剛ブレースにおいて、前記ブレース材は、軸状部材であり、前記補剛部材は、前記ブレース材が挿入された筒状部材であり、前記力伝達手段は、一端部が前記架構に取り付けられ、他端部に被係合部が設けられた管体と、前記補剛部材の端部に設けられ、前記ブレース材に引張力が作用したときに前記被係合部と係合し、前記ブレース材に圧縮力が作用したときに前記被係合部から離れる係合部と、を有する。
請求項2に記載の発明では、補剛部材がブレース材の外側に配置されるので、補剛部材がブレース材の内側に配置されるよりも補剛部材の構造断面を大きくすることができ、補剛部材の高い曲げ剛性を確保できる。
本発明は上記構成としたので、座屈補剛ブレースの軽量化を図ることができる。
図を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。まず、本発明の実施形態に係る座屈補剛ブレースについて説明する。
図1の正面図には、構造物10の有する柱梁架構12に左右対称に設置された2つの座屈補剛ブレース14が示されている。構造物10は、鉄骨造の建物であり、柱梁架構12は、鉄骨製の柱16と鉄骨製の梁18によって形成されている。座屈補剛ブレース14は、ブレース材としての軸状部材20、補剛部材としての筒状部材22、及び力伝達手段24を有して構成されている。
座屈補剛ブレース14の上端部を拡大して描いた図2に示すように、軸状部材20の上端部には雄ネジ部26Aが形成されている。そして、定着部材28Aの略中心軸上に形成された雌ネジ孔30Aに雄ネジ部26Aをねじ込み、緩み止め用のナット32Aを締め付けることによって、定着部材28Aに軸状部材20の上端部が固定されている。
座屈補剛ブレース14の下端部を拡大して描いた図3に示すように、軸状部材20の下端部には雄ネジ部26Bが形成されている。そして、定着部材28Bの略中心軸上に形成された雌ネジ孔30Bに雄ネジ部26Bをねじ込み、緩み止め用のナット32Bを締め付けることによって、定着部材28Bに軸状部材20の下端部が固定されている。
定着部材28A、28Bは、鋼製の円柱部材であり、端部に連結部材34A、34Bが設けられている。連結部材34Aは、定着部材28Aの中心軸に対して回転不能に定着部材28Aに設けられており、連結部材34Bは、定着部材28Bの中心軸に対して回転可能に定着部材28Bに設けられている。なお、以下の説明において、各部材の連結部材34B側の端部を「一端部」とし、各部材の連結部材34A側の端部を「他端部」とする。
図1に示すように、軸状部材20は、柱梁架構12に設けられたガセットプレート36、38に、連結部材34A、34Bをピン40でそれぞれ連結することによって、柱梁架構12に斜めに取り付けられている。
図2及び図3に示すように、筒状部材22は鋼製の丸管であり、内孔42の内壁面と軸状部材20の外周面との間に若干の隙間を有するようにして、内孔42に軸状部材20が挿入され配置されている。すなわち、筒状部材22は、軸状部材20の外周に設けられている。これにより、軸状部材20の座屈を抑えることができる。
図2に示すように、筒状部材22の他端部は、接続管44を介して定着部材28Aに接続されている。接続管44は、鋼製の有底円筒管であり、一端部に設けられた底部46の略中心軸上に形成された貫通孔48に軸状部材20が挿入されている。
底部46には、貫通孔48と同心であり且つ貫通孔48よりも径の大きい雌ねじ穴50が形成されている。そして、筒状部材22の他端部に形成された雄ネジ部52を雌ねじ穴50にねじ込み締め付けることによって、筒状部材22の他端部が接続管44に固定されている。
接続管44は、接続管44の他端部の内周面に形成された雌ネジ穴54Aに、定着部材28Aの外周面に形成された雄ネジ部56をねじ込み、緩み止め用のナット58Aを締め付けることによって、定着部材28Aに固定されている。
力伝達手段24は、図1に示すように、座屈補剛ブレース14の下端部側に設けられており、図3に示すように、管体としての調整管60、係合部としての外周フランジ62、及び被係合部としての内周フランジ64を有して構成されている。
調整管60は、鋼製の円筒管であり、この調整管60の一端部の内周面に形成された雌ネジ穴54Bに、定着部材28Bの外周面に形成された雄ネジ部56Bをねじ込み、緩み止め用のナット58Bを締め付けることによって、定着部材28Bに固定されている。また、調整管60の他端部には、半径方向内側に張り出す鋼製の内周フランジ64が一体に設けられている。
筒状部材22は、内周フランジ64の内周面によって形成された貫通孔66に挿入されており、筒状部材22の一端部には、半径方向外側に張り出す鋼製の外周フランジ62が一体に設けられている。
外周フランジ62は、内周フランジ64よりも調整管60の一端部側(定着部材28B側)に配置されており、軸状部材20に引張力Tが作用したときに内周フランジ64と係合し(内周フランジ64に当たり)、軸状部材20に圧縮力Pが作用したときに内周フランジ64から離れるようになっている。すなわち、力伝達手段24は、一端部が柱梁架構12に取り付けられ、他端部が筒状部材22と相対移動可能に連結され、圧縮力Pは筒状部材22へ伝達せず、引張力Tは筒状部材22へ伝達する機構を構成している。
図1〜3で示した座屈補剛ブレース14は、例えば、以下の方法によって柱梁架構12に設置する。まず、調整管60の貫通孔66へ筒状部材22を挿入した後に、筒状部材22の雄ネジ部52を雌ねじ穴50にねじ込み締め付けることによって、筒状部材22の他端部を接続管44に固定する。
次に、筒状部材22の内孔42に軸状部材20を挿入した後に、定着部材28Aの雌ネジ孔30Aに雄ネジ部26Aをねじ込み、緩み止め用のナット32Aを締め付けることによって、定着部材28Aに軸状部材20の上端部を固定し、定着部材28Bの雌ネジ孔30Bに雄ネジ部26Bをねじ込む。このとき、図4の側断面図に示すように、軸状部材20の下端部は、定着部材28Bに固定せずに、軸状部材20に対し、軸状部材20の中心軸を回転軸にして定着部材28Bを回転できるようにしておく。
次に、柱梁架構12に設けられたガセットプレート36、38に、連結部材34A、34Bをピン40でそれぞれ連結する。連結部材34Aのピン孔68A中心から連結部材34Bのピン孔68B中心までの長さの調節は、軸状部材20に対し、軸状部材20の中心軸を回転軸にして定着部材28Bを回転させることによって行う。
次に、軸状部材20に対し、軸状部材20の中心軸を回転軸にして定着部材28Bを回転させて軸状部材20に軽くテンションを与えた状態にする。そして、この状態で、緩み止め用のナット32Bを締め付けて、定着部材28Bに軸状部材20の下端部を固定する。
次に、接続管44の雌ネジ穴54Aに定着部材28Aの雄ネジ部56Aをねじ込み、緩み止め用のナット58Aを締め付けることによって、定着部材28Aに接続管44を固定する。
次に、調整管60の雌ネジ穴54Bに定着部材28Bの雄ネジ部56Bをねじ込み、定着部材28Bの中心軸を回転軸にして調整管60を回転させることにより、定着部材28Bに対して調整管60を定着部材28Bの中心軸方向下端側へ移動させて、内周フランジ64に外周フランジ62を係合(接触)させる。
さらに、定着部材28Bの中心軸を回転軸にして調整管60を回転させることにより、筒状部材22に軽くテンションを与えた状態にする。そして、この状態で、緩み止め用のナット58Bを締め付けて、定着部材28Bに調整管60を固定する。これにより、柱梁架構12に座屈補剛ブレース14が設置される。
次に、本発明の実施形態に係る座屈補剛ブレースの作用と効果について説明する。
本実施形態の座屈補剛ブレース14では、図1〜3に示すように、軸状部材20と、力伝達手段24により引張力が伝達される筒状部材22とが、座屈補剛ブレース14に作用する引張力を負担する。また、軸状部材20は、座屈補剛ブレース14に作用する圧縮力を負担し、筒状部材22により座屈補剛されて高い圧縮耐力を発揮する。
図5のグラフには、内周フランジ64に外周フランジ62を係合(接触)させた状態で柱梁架構12に座屈補剛ブレース14を設置した場合の、座屈補剛ブレース14の変位(x軸)に対する座屈補剛ブレース14に作用する軸力(y軸)の値70が示されている。x軸のプラス側(0よりも右側)を伸び変位とし、x軸のマイナス側(0よりも左側)を縮み変位としている。また、y軸のプラス側(0よりも上側)を引張力とし、y軸のマイナス側(0よりも下側)を圧縮力としている。
値70に示すように、座屈補剛ブレース14に引張力が作用すると、軸状部材20と筒状部材22が弾性変形し(値72は、このときの筒状部材22のみについての値)、降伏点74で軸状部材20が降伏した後に軸状部材20が塑性変形しながらエネルギーを吸収していく。また、座屈補剛ブレース14に圧縮力が作用すると軸状部材20が弾性変形し、降伏点76で軸状部材20が降伏した後に軸状部材20が塑性変形しながらエネルギーを吸収していく。
また、図1〜3に示すように、軸状部材20は、筒状部材22による座屈補剛によって圧縮耐力を向上させることができるので、軸状部材20の構造断面を小さくすることができる。
さらに、軸状部材20と筒状部材22の2つの部材で、座屈補剛ブレース14に作用する引張力を負担するので、軸状部材20に必要な引張耐力を小さくすることができる。よって、軸状部材20の構造断面を小さくすることができる。
また、力伝達手段24により筒状部材22へ圧縮力が伝達されないので、筒状部材22は、座屈補剛ブレース14に作用する圧縮力を負担する必要はなく、軸状部材20のはらみ出し荷重に対する耐力を有し、且つ、軸状部材20のはらみ出しを抑えることができる程度の剛性(例えば、本実施形態のように補剛部材が筒状の部材の場合には、軸状部材20のはらみ出しに伴って補剛部材の外周壁が外側へ変形するのを抑えることができる程度の剛性)を有していればよい。よって、圧縮力を負担させるように設計された補剛部材よりも、筒状部材22の構造断面を小さくできる。
このように、本実施形態の座屈補剛ブレース14は、ブレース材としての軸状部材20や補剛部材としての筒状部材22の構造断面を小さくすることができるので、座屈補剛ブレース14の軽量化を図ることができる。このような軽量の座屈補剛ブレース14は、軽量建物、低層建物、不同沈下が問題となるような建物等への適用に対して特に有効に用いることができる。
また、本実施形態の座屈補剛ブレース14では、補剛部材としての筒状部材22がブレース材としての軸状部材20の外側に配置されるので、補剛部材がブレース材の内側に配置されるよりも筒状部材22の構造断面を大きくすることができ、筒状部材22の高い曲げ剛性を確保できる。
さらに、本実施形態の座屈補剛ブレース14は、引張力と圧縮力の両方を負担することができるので、X字状や左右対称に2つの座屈補剛ブレース14を配置することを必須条件としない。
また、本実施形態の座屈補剛ブレース14は、図3に示すように、内周フランジ64に外周フランジ62を係合(接触)させた状態で、柱梁架構12に座屈補剛ブレース14を設置しているので、座屈補剛ブレース14に引張力が作用したときに、即時に筒状部材22にこの引張力を負担させることができる。
以上、本発明の実施形態について説明した。
なお、本実施形態では、図1に示すように、力伝達手段24を座屈補剛ブレース14の下端部側に設けた例を示したが、座屈補剛ブレース14のどの位置に力伝達手段24を設けてもよい。例えば、座屈補剛ブレース14の上端部側や材軸方向中央部に設けてもよい。また、力伝達手段24は、座屈補剛ブレース14に複数設けてもよい。
また、本実施形態では、図3に示すように、内周フランジ64に外周フランジ62を係合(接触)させた状態で柱梁架構12に座屈補剛ブレース14を設置した例を示したが、図6の側断面図に示すように、内周フランジ64と外周フランジ62の対向面の間に隙間を設けた状態(内周フランジ64と外周フランジ62の対向面を離した状態)で柱梁架構12に座屈補剛ブレース14を設置してもよい。この場合、引張力に対する座屈補剛ブレース14の初期剛性を抑制することができるので、例えば、座屈補剛ブレース14に引張力が作用する初期の段階において、架構に設けた他のダンパーを機能させることができる。
図7のグラフには、内周フランジ64と外周フランジ62の対向面の間に隙間を設けた状態で柱梁架構12に座屈補剛ブレース14を設置した場合の、座屈補剛ブレース14の変位(x軸)に対する座屈補剛ブレース14に作用する軸力(y軸)の値78が示されている。x軸のプラス側(0よりも右側)を伸び変位とし、x軸のマイナス側(0よりも左側)を縮み変位としている。また、y軸のプラス側(0よりも上側)を引張力とし、y軸のマイナス側(0よりも下側)を圧縮力としている。
値78に示すように、座屈補剛ブレース14に引張力が作用すると、軸状部材20が弾性変形し(値80は、このときの筒状部材22のみについての値)、降伏点82で軸状部材20が降伏した後に軸状部材20が塑性変形しながらエネルギーを吸収していく。座屈補剛ブレース14の初期剛性(0から降伏点82までの値78の傾き)は、筒状部材22の初期剛性が加えられていない分だけ図5の値70よりも小さくなっている。また、座屈補剛ブレース14に圧縮力が作用すると軸状部材20が弾性変形し、降伏点84で軸状部材20が降伏した後に軸状部材20が塑性変形しながらエネルギーを吸収していく。
さらに、本実施形態では、図2及び図3に示すように、内孔42の内壁面と軸状部材20の外周面との間に若干の隙間を有するようにして内孔42に軸状部材20を挿入して配置した例を示したが、軸状部材20の座屈を抑えることができれば、内孔42の内壁面と軸状部材20の外周面との間の隙間は有っても無くてもよい。また、内孔42の内壁面と軸状部材20の外周面との間に緩衝材を設けるようにしてもよい。緩衝材としては、ゴム、合成樹脂、モルタル等の材料を用いることができる。内孔42の内壁面と軸状部材20の外周面との間に緩衝材を設ければ、軸状部材20の撓み量が小さい段階で補剛効果を効かせることができる。
また、本実施形態では、図3に示すように、力伝達手段24が、管体としての調整管60、係合部としての外周フランジ62、及び被係合部としての内周フランジ64を有して構成されている例を示したが、力伝達手段は、一端部が柱梁架構に取り付けられ、他端部が補剛部材と相対移動可能に連結され、圧縮力は補剛部材へ伝達せず、引張力は補剛部材へ伝達する機構を構成していればよい。例えば、図8〜13に示す力伝達手段86、88、90の構成にしてもよい。
図8の斜視図、及び図9の側断面図に示すように、力伝達手段86では、管体としての調整管60に形成された長穴92他端部の内壁面96を被係合部とし、長穴92を貫通して筒状部材22の一端部に先端部がネジ接合されたピン部材94を係合部としている。
力伝達手段86では、軸状部材20に引張力Tが作用したときに長穴92他端部の内壁面96にピン部材94が係合し(長穴92他端部の内壁面96にピン部材94が当たり)、軸状部材20に圧縮力Pが作用したときに、ピン部材94が調整管60の中心軸方向定着部材28B側(図9では右側)へ移動し、長穴92他端部の内壁面96から離れる。
図10の斜視図、及び図11の側断面図に示すように、力伝達手段88は、管体としての調整管60、及び連結部材としてのピン部材98を有して構成されている。
調整管60の一端部は、ネジ接合により定着部材28Bに固定され、調整管60の他端部には、半径方向外側に張り出す外周フランジ100が一体に設けられている。また、筒状部材22の一端部には、半径方向外側に張り出す外周フランジ102が一体に設けられている。
そして、外周フランジ100に形成された貫通孔104と、外周フランジ102に形成された貫通孔106とにピン部材98を貫通させ、外周フランジ100と外周フランジ102の対向面間にギャップGを設けた状態で、ギャップGがこれ以上大きくならないようにピン部材98の両端部に頭部材108が取り付けられている。すなわち、筒状部材22の端部(外周フランジ102)と、調整管60の端部(外周フランジ100)の連結部に設けられた連結部材としてのピン部材98によって、筒状部材22の端部(外周フランジ102)と、調整管60の端部(外周フランジ100)が、軸状部材20の軸方向へ相対移動可能に連結されている。
このような構成により、ピン部材98は、軸状部材20に引張力Tが作用したときに、筒状部材22の端部(外周フランジ102)と調整管60の端部(外周フランジ100)を連結し、軸状部材20に圧縮力Pが作用したときに、筒状部材22の一端部(外周フランジ102)と、調整管60の他端部(外周フランジ100)をギャップG内で相対移動させる(ピン部材98による連結を解く)。
図12の斜視図、及び図13の側断面図に示すように、力伝達手段90では、連結部材を有底円筒部材110とし、他の構成を力伝達手段88と同様にしたものである。有底円筒部材110は、円筒部112の両端部に半径方向内側に張り出す内周フランジ114、116を一体に設けることにより構成されている。
さらに、本実施形態では、図1〜3に示すように、ブレース材(軸状部材20)の外周に補剛部材(筒状部材22)を設けた例を示したが、図14の側断面図、及び図15の側断面図に示すように、ブレース材の内周に補剛部材を設けた座屈補剛性ブレース118としてもよい。座屈補剛性ブレース118では、ブレース材としての筒状部材120の内孔122に、補剛部材としての軸状部材124が挿入されて配置され、調整管60の他端部が筒状部材120の一端部に接合されて筒状部材120と一体になっている。これにより、軸状部材124により筒状部材120が座屈補剛される。
図14に示すように、軸状部材124の他端部は、定着部材28Aに固定されている。また、図15に示すように、力伝達手段126は、定着部材28Bの略中心軸上に形成された貫通孔128へ、軸状部材124の一端部を定着部材28Bの中心軸方向へ対して移動可能に配置し、この状態で、軸状部材124の一端部に頭部材130を取り付けた構成になっている。頭部材130は、貫通孔128と連通して定着部材28B内に形成された収容部132に収容されている。
この構成によって、筒状部材120に引張力Tが作用したときに、収容部132の内壁面134に頭部材130が当たり、筒状部材120に圧縮力Pが作用したときに、頭部材130が定着部材28Bの中心軸方向連結部材34B側(図15では右側)へ移動し、収容部132の内壁面134から離れる。
また、本実施形態では、図2及び図3に示すように、ブレース材を軸状部材20とした例を示したが、ブレース材の外周に補剛部材を設ける構成の場合には、ブレース材は必要とする引張耐力及び圧縮耐力を有する軸状部材であればよく、例えば、ブレース材を、PC鋼線等の鋼線、PC鋼棒等の鋼棒、鋼管、H形鋼やL形鋼等の形鋼としてもよい。ブレース材の内周に補剛部材を設ける構成の場合には、ブレース材は必要とする引張耐力及び圧縮耐力を有する筒状部材であればよく、例えば、ブレース材を、丸管や角管等の鋼管としてもよい。ブレース材を低降伏点鋼とすれば、ブレース材に引張力や圧縮力が作用した際のエネルギーを吸収して制振効果を発揮させることができる。
また、本実施形態では、図2及び図3に示すように、補剛部材を筒状部材22とした例を示したが、ブレース材の外周に補剛部材を設ける構成の場合には、補剛部材は所定の引張耐力と、ブレース材のはらみ出しを抑える耐力及び剛性を有する筒状部材であればよく、例えば、補剛部材を、丸管や角管等の鋼管としてもよい。ブレース材の内周に補剛部材を設ける構成の場合には、補剛部材は所定の引張耐力と、ブレース材のはらみ出しを抑える耐力及び剛性を有する軸状部材であればよく、例えば、補剛部材を、PC鋼線等の鋼線、PC鋼棒等の鋼棒、鋼管、H形鋼やL形鋼等の形鋼としてもよい。補剛部材を超高強度鋼とすれば、補剛部材の引張耐力を向上させることができる。
さらに、本実施形態では、図1に示すように、2つの座屈補剛ブレース14を柱梁架構12に左右対称に配置した例を示したが、柱梁架構12に配置する座屈補剛ブレース14はいくつでもよいし、左右対称に配置しなくてもよい。座屈補剛ブレース14は、左右対称に配置するのが好ましい。このようにすれば、左右どちらの方向からせん断力が柱梁架構12に作用しても、トータルとして等しいせん断耐力を柱梁架構12に付与させることができる。
また、本実施形態の座屈補剛ブレース14は、新築建物に用いてもよいし、建物の改修工事において設置してもよい。
さらに、本実施形態では、構造物10を鉄骨造の建物とした例を示したが、本実施形態の座屈補剛ブレース14は、鉄筋コンクリート造、鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造、CFT造(Concrete-Filled Steel Tube:充填形鋼管コンクリート構造)、それらの混合構造など、さまざまな構造や規模の建物に対して適用することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
10 構造物
12 柱梁架構(架構)
14、118 座屈補剛ブレース
20 軸状部材(ブレース材)
22 筒状部材(補剛部材)
24、86、88、90、126 力伝達手段
60 調整管(管体)
62 外周フランジ(係合部)
64 内周フランジ(被係合部)
94 ピン部材(係合部)
96 内壁面(被係合部)
120 筒状部材(ブレース材)
124 軸状部材(補剛部材)
T 引張力
P 圧縮力
12 柱梁架構(架構)
14、118 座屈補剛ブレース
20 軸状部材(ブレース材)
22 筒状部材(補剛部材)
24、86、88、90、126 力伝達手段
60 調整管(管体)
62 外周フランジ(係合部)
64 内周フランジ(被係合部)
94 ピン部材(係合部)
96 内壁面(被係合部)
120 筒状部材(ブレース材)
124 軸状部材(補剛部材)
T 引張力
P 圧縮力
Claims (2)
- 構造物の架構に斜めに取り付けられるブレース材と、
前記ブレース材の外周又は内周に設けられて該ブレース材の座屈を抑える補剛部材と、
一端部が前記架構に取り付けられ、他端部が前記補剛部材と相対移動可能に連結され、圧縮力は前記補剛部材へ伝達せず、引張力は前記補剛部材へ伝達する力伝達手段と、
を有する座屈補剛ブレース。 - 前記ブレース材は、軸状部材であり、
前記補剛部材は、前記ブレース材が挿入された筒状部材であり、
前記力伝達手段は、
一端部が前記架構に取り付けられ、他端部に被係合部が設けられた管体と、
前記補剛部材の端部に設けられ、前記ブレース材に引張力が作用したときに前記被係合部と係合し、前記ブレース材に圧縮力が作用したときに前記被係合部から離れる係合部と、
を有する請求項1に記載の座屈補剛ブレース。
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JP2013143384A JP2015017371A (ja) | 2013-07-09 | 2013-07-09 | 座屈補剛ブレース |
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- 2013-07-09 JP JP2013143384A patent/JP2015017371A/ja active Pending
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