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JP2015003977A - 粘着性ゲルシート、電極および粘着性ゲルシートの製造方法 - Google Patents

粘着性ゲルシート、電極および粘着性ゲルシートの製造方法 Download PDF

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JP2015003977A
JP2015003977A JP2013129758A JP2013129758A JP2015003977A JP 2015003977 A JP2015003977 A JP 2015003977A JP 2013129758 A JP2013129758 A JP 2013129758A JP 2013129758 A JP2013129758 A JP 2013129758A JP 2015003977 A JP2015003977 A JP 2015003977A
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宏佳 田中
Hiroyoshi Tanaka
宏佳 田中
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Sekisui Kasei Co Ltd
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Sekisui Plastics Co Ltd
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Abstract

【課題】ハイドロゲルの表面を使用前に剥離するカバーフィルムで覆う粘着性ゲルシートについて、被着体に対する接着力の高いゲルを備えながら、カバーフィルムの剥離をし易くすること。【解決手段】粘着性ゲルシートがハイドロゲルとカバーフィルムとを有し、ハイドロゲルを、架橋された水溶性高分子マトリックスと、水、粘着性高分子、両親媒性高分子を含むものとし、カバーフィルムを、ハイドロゲルとの接触面が易剥離性処理を施していない表面となる樹脂フィルムでなるものとした。【選択図】なし

Description

本発明は、粘着性ゲルシートに関する。更に詳しくは、粘着性が向上したハイドロゲルを、剥離が容易なカバーフィルムで覆う粘着性ゲルシートに関する。
また、本発明はこの粘着性ゲルシートを用いた電極と、この粘着性ゲルシートの製造方法に関する。
粘着性ゲルシートは、生体に貼付するサージカルテープや、種々の医療用機器類の固定用テープ、生体に貼付する生体電極用パッド、心電図用電極、建材や電子材料等の工業用粘着テープ等として好適に用いられており被着体に対する十分な接着力が要求されている。例えば、人体に対して長時間使用する場合には、皮膚の伸長や屈曲に追従できないと、端部からめくれたり、剥がれ落ちたりする場合があるからである。粘着力のあるゲルとしては、特開2007−112972号公報(特許文献1)にアクリル酸とメタクリル酸との共重合体を含むゲルが開示されている。
特開2007−112972号公報
粘着性ゲルシートは、ゲル表面を保護しているカバーフィルムを引き剥がして用いるが、そのカバーフィルムは容易に引き剥がせるように、シリコーンコーティング等の易剥離性処理がなされているのが通常である。特に粘着力のあるゲルを保護するカバーフィルムの場合は特にその傾向が強い。
しかしながら、易剥離性処理がなされたフィルムを用いると剥離が軽かったり重かったりと剥離性にばらつきが生じる場合がある。また、カバーフィルムを引き剥がす際に、フィルム表面に塗布されたシリコーン等がゲル側に裏移りする場合もある。更には、未処理フィルムよりも高価であるという事情もある。
そこで本発明は、被着体に対する接着力の高いゲルを備えながら、カバーフィルムの剥離をし易くすることを目的としてなされたものであり、カバーフィルムの引き剥がし容易性(易剥離性)を確保しながら、カバーフィルムの剥離力が均一で、ゲル表面に余分な成分が裏移りせず、安価な粘着性ゲルシートを提供するものである。
即ち本発明は、ハイドロゲルの表面を使用前に剥離するカバーフィルムで覆う粘着性ゲルシートであって、ハイドロゲルを、架橋された水溶性高分子マトリックスと、水、粘着性高分子、両親媒性高分子を含むものとし、カバーフィルムを、ハイドロゲルとの接触面が易剥離性処理を施していない表面となる樹脂フィルムでなるものとした粘着性ゲルシートを提供する。
ハイドロゲルの表面を使用前に剥離するカバーフィルムで覆う粘着性ゲルシートについて、ハイドロゲルが、架橋された水溶性高分子マトリックスと、水、粘着性高分子、両親媒性高分子を含んでなり、カバーフィルムの少なくともハイドロゲルとの接触面に易剥離性処理を施していない面を有する樹脂フィルムでなるものとしたため、ハイドロゲルは適度な粘着性を備えており、意図せずにカバーフィルムからハイドロゲルが剥離することなく、カバーフィルムを意図的にハイドロゲルから引き剥がすときには、容易にカバーフィルムを剥離することができる粘着性ゲルシートである。
そして、粘着性ゲルシートには可塑剤を含むことができる。可塑剤を含むために保湿性、可塑性が優れたハイドロゲルを備えることができる。
粘着性高分子にはアクリルエステル共重合体を用いることができる。粘着性高分子にアクリルエステル共重合体を用いたため、ポリビニルアルコールと相俟ってハイドロゲルの粘着性を高める一方でカバーフィルムからの剥離を容易にすることができる。
両親媒性高分子をポリビニルアルコールとすることができる。両親媒性高分子にポリビニルアルコールを用いたため、アクリルエステル共重合体と相俟ってハイドロゲルの粘着性を高める一方でカバーフィルムからの剥離を容易にすることができる。
ポリビニルアルコールのケン化度を50mol%〜85mol%とすることができる。ポリビニルアルコールのケン化度を50mol%〜85mol%としたため、カバーフィルムの剥離をさらに容易にすることができる。
カバーフィルムで覆う側とは反対側のハイドロゲルの表面にバックフィルムを設けることができる。バックフィルムを設けたため、ハイドロゲルの表裏両面をカバーフィルムとバックフィルムとで覆うことができ、ゴミや埃等の異物の付着しない粘着性ゲルシートとすることができる。また、バックフィルムを基材としてハイドロゲルと一体とすることで、強靱な粘着性ゲルシートとすることができる。
前記バックフィルムのハイドロゲルとの接触面を易剥離性処理を施していない表面とすることができる。バックフィルムのハイドロゲルとの接触面を易剥離性処理を施していない表面とすることで、カバーフィルムだけでなくバックフィルムも容易に剥離することができ、ハイドロゲルの両面に対してそれぞれ被着体を接触させる用途で好適に用いることができる。
前記粘着性ゲルシートは導電層を積層して生体電極等の電極とすることができる。ハイドロゲルは安全性、高粘着性である一方、使用の際にカバーフィルムを簡単に剥がすことができ、使い勝手の良い電極である。
カバーフィルムの易剥離性処理を施していない表面に、架橋硬化してハイドロゲルとなる配合液を塗布し、硬化させた後、ロール状に巻き取ることで、粘着性ゲルシートを製造することができる。
易剥離性処理を施していない表面上で、配合液を架橋硬化してハイドロゲルとし、ロール状に巻き取って製造したため、適度な粘着性を有するハイドロゲルでありながら、カバーフィルムとの固着性、引き剥がし性に優れている。即ち、意図せずにカバーフィルムからハイドロゲルが自然に剥離することなく、カバーフィルムを意図的にハイドロゲルから引き剥がすときには、容易にカバーフィルムを剥離することができる粘着性ゲルシートを得ることができる。
本発明の粘着性ゲルシートによれば、カバーフィルムの剥離が容易で、またそのばらつきがなく、ゲル表面への成分の裏移りの無い、コストメリットのある粘着性ゲルシートである。
また、本発明の粘着性ゲルシートの製造方法によれば、前記粘着性ゲルシートを容易に量産することができる。さらに、本発明の電極によれば、皮膚などの被着体に対する接着力が高い一方でカバーフィルムの剥離が容易な使い勝手に優れた電極である。
本発明の粘着性ゲルシートは、ハイドロゲルの表面を使用前に剥離するカバーフィルムで覆う粘着性ゲルシートであって、ハイドロゲルを、架橋された水溶性高分子マトリックスと、水、粘着性高分子、両親媒性高分子を含むものとし、カバーフィルムを、ハイドロゲルとの接触面が易剥離性処理を施していない表面となる樹脂フィルムでなるものとしている。以下さらに詳しく説明する。
(ハイドロゲル)
ハイドロゲルは架橋された水溶性高分子マトリックス(以下「高分子マトリックス」ともいう)を有する。高分子マトリックスは、非架橋性モノマーと架橋性モノマーとが重合・架橋することで得られるマトリックスである。
非架橋性モノマー: 非架橋性モノマーは、分子内に重合性を有する炭素−炭素二重結合を1つ有するモノマーであり、水への溶解度が高く、特に、常温で液体のモノマーの場合は任意の割合で水と溶解するモノマーが好ましい。
非架橋性モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン等の非電解質系アクリルアミド誘導体、ターシャルブチルアクリルアミドスルホン酸(TBAS)及び(又は)その塩、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド(DMAEAA)塩酸塩、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAPAA)塩酸塩等の電解質系アクリルアミド誘導体、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、スルホプロピルメタクリレート(SPM)及び(又は)その塩、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド(QDM)等の電解質系アクリル誘導体、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の非電解質系アクリル誘導体、ビニルピロリドン、ビニルアセトアミド、ビニルホルムアミド等のビニルアミド誘導体、アリルアルコール等が挙げられる。これら非架橋性モノマーは単独で、または複数組み合わせて用いることが可能である。
これらの中で、アクリルアミド誘導体は、重合反応性が良好であり、他の成分との親和性も良好なことから好ましい。
架橋性モノマー: 架橋性モノマーは、分子内に重合性を有する炭素−炭素二重結合を2つ以上有するモノマーである。架橋してマトリックスの一部を構成すれば良く必ずしも水溶性である必要はない。
架橋性モノマーとしては、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−エチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリグリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリルアミドが挙げられる。これら架橋性モノマーは、単独でまたは複数組み合わせて用いることが可能である。
ハイドロゲルにおける高分子マトリックスの含有量は、非架橋性モノマーと架橋性モノマーを含む配合液において、非架橋性モノマーと架橋性モノマーが均一に溶解する程度の含有量とすることが好ましい。
より具体的に高分子マトリックスのハイドロゲル全体に占める割合は、10重量%〜40重量%であることが好ましく、15重量%〜35重量%であることがより好ましい。ハイドロゲルには、水と高分子マトリックス以外にも保湿剤や重合開始剤等の種々の添加剤を含む場合があるからである。
また、ハイドロゲル全体に対する重合・架橋前の架橋性モノマーの含有量は、非架橋性モノマーあるいは架橋性モノマーの分子量や化学的、物理的特性に応じて適宜設定するべきであるが、得られるハイドロゲルの保型性を高めるためには0.01重量%以上に設定することが好ましい。逆に、保型性を損なわない程度に柔軟性を有している方が初期タックが得やすいことから、1.0重量%以下に設定することが好ましく、0.6重量%以下に設定することが更に好ましい。
両親媒性高分子: 両親媒性高分子は、有機溶媒と水の混合溶媒に溶解し、好ましくは、水と、極性有機溶媒の双方に溶解可能な高分子であり、両親媒性の性質を有する高分子重合体や、親水性モノマーと疎水性モノマーの共重合体等が挙げられる。これらのうちでは、共重合体の方が、共重合比率を変更することにより、親水基と疎水基の調整を行うことができるなど実用上の利点があるため好ましい。なお、共重合体中の親水基と疎水基の比率は、モル比で1:1〜3:1の範囲であることが、最も好ましい。
両親媒性高分子は、ハイドロゲルの含有成分である粘着性高分子の分散安定性に寄与する。特に、重合・架橋前の配合液調製時における粘着性高分子の分散安定性が良好になるために、より均一で品質安定性が高い良好なハイドロゲルが得られる。また、両親媒性高分子を含有するため、カバーフィルムに対して付着性が良好なハイドロゲルが得られる。そのため、カバーフィルムを剥離しようと意図したとき以外に、自然に剥離してしまうような付着不良を回避することができる。そうした一方で、カバーフィルムに対する剥離性に優れたハイドロゲルが得られる。そのため、カバーフィルムを剥離しようと意図したときには、剥離し易い。
両親媒性高分子の具体例としては、ポリビニルアルコールの他、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体が挙げられる。
両親媒性高分子の中ではポリビニルアルコールが好ましい。ポリビニルアルコールの中では、ケン化度が50mol%〜85mol%のポリビニルアルコールがより好ましい。 ポリビニルアルコールは水溶性液体に溶解が可能であり、ハイドロゲル中でも安定である。また、容易に入手できるという点からも好適である。また、ケン化度50mol%〜85mol%のポリビニルアルコールがより好ましいとしたのは、ケン化度50mol%未満では、水溶化が不可能ではないが困難になり、製造時のハンドリング性が低下する。また、85%を超える場合は、カバーフィルムの剥離力が100g/20mmを超えて高くなるからであり、また、水溶性が高くなるが塩析の傾向が強くなり、電解質などイオン性の添加剤を多く使用する場合には適さない場合があるからである。
両親媒性高分子の配合量は、配合液の分散安定性向上の効果を得るためには、水を除く配合液全量に対して0.05重量%以上が好ましく、0.1重量%以上がより好ましい。また、添加量が多すぎると、配合液の粘度が上昇するために配合液調製時に混入した気泡が抜けるのに時間がかかったり、電解質の添加が多い場合には水に不溶性の高分子が凝集しやすくなる傾向が出る。従って、両親媒性高分子の添加量は、水を除く配合液全量に対して7.0重量%以下であることが好ましく、4.0重量%以下がより好ましい。
有機溶媒と水の混合溶媒の例としては、エタノール/水=60/40の混合溶媒が挙げられる。従って、両親媒性高分子は、室温下において、エタノール/水=60/40の混合溶媒に対しても溶解する高分子が該当する。
粘着性高分子: 粘着性高分子は、粘着性を有する水不溶性の高分子であり、ハイドロゲルの被着体に対する接着性の向上に寄与する。
粘着性高分子としては、(メタ)アクリルエステル、酢酸ビニル、マレイン酸エステル等の疎水性モノマーの単独または複数を重合させたものが挙げられる。具体的には、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、マレイン酸ジオクチル等の疎水性モノマーの単独若しくは共重合体である。前記以外にエチレン、プロピレン、ブチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート等の疎水性モノマーの何れか一つ、又は、複数が更に共重合されていても良い。また、シリコーン粘着剤や天然ゴム系や合成ゴム系の粘着剤を用いることも可能である。これらの中で、アクリルエステル共重合体は改良が重ねられており、高粘着であるとともに低皮膚刺激であることから好適に用いられる。
粘着性高分子をハイドロゲル中に分散させるためには、粘着性高分子を乳化分散させたエマルジョンを用いることが好ましい。通常、このエマルジョンの固形分は30重量%〜60重量%であり、残りの大部分は水である。
例えば、アクリルエステル系共重合樹脂のエマルジョンとして、「ポリゾールPSA SE−1730(商品名)」昭和高分子社製や、「ビニブランADH−1048(商品名)」日信化学工業社製等が好適に用いられる。
ハイドロゲルにおける粘着性高分子の含有量は、最終製品に期待する効果に応じて調節すれば良いが、人間の触感による違いが判別可能な程度の効果を得るためには、水を除くハイドロゲル全量に対して固形分として3重量%以上添加することが好ましい。また、他の親水性成分とのバランスを考慮すると、水を除くハイドロゲル全量に対して固形分として20重量%以下であることが好ましい。
更に、粘着性高分子は、疎水性モノマーと親水性モノマーの共重合体であることが好ましい。疎水性モノマーに対して親水性モノマーを共重合する事で、粘着性高分子の分散安定性が高くなり、分散剤や界面活性剤等の添加を少なくできる利点を有する。
粘着性高分子が疎水性モノマーと親水性モノマーの共重合体である場合は、この共重合体における親水性モノマーの共重合比率が0.1重量%以上の場合に分散安定化の効果が発現し易い。また、この共重合比率が5重量%より多い場合は粘着性高分子の生成が困難になり易い。従って、親水性モノマーの共重合比率が0.1重量%〜5重量%である共重合体を用いることが好ましい。
親水性モノマーとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン、ターシャルブチルアクリルアミドスルホン酸(TBAS)及び(又は)その塩、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド(DMAEAA)塩酸塩、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAPAA)塩酸塩、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、スルホプロピルメタクリレート(SPM)及び(又は)その塩、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド(QDM)等の水溶性モノマーが挙げられる。これらの中で、少なくとも1種のカルボキシル基を含有する水溶性モノマーを含むことが望ましく、特に、(メタ)アクリル酸及び(又は)その塩は汎用モノマーであり、中でもアクリル酸アルキルエステルやアクリルアミドが好ましい。
可塑剤: ハイドロゲルは、保湿性、可塑性を向上させるために可塑剤を含有することが好ましい。可塑剤としては多価アルコールを挙げることができ、より具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオールなどのジオールの他、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリグリセリン等の多価アルコール縮合体、ポリオキシエチレングリセリン等の多価アルコール変成体等が例示できる。これら多価アルコールは、単独で、または複数組み合わせて用いることができる。
可塑剤は、常温(好ましくは氷点下10℃以上で)で液状、特にハイドロゲルを実際に使用する温度領域(例えば室内で使用する場合は20℃前後)で液状の多価アルコールであることが好ましい。このような好ましい多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセリン、グリセリン等が挙げられる。
ハイドロゲルは、水を含むため、可塑剤無くしては短時間で水分が蒸発、乾燥し易く、可塑性が損なわれるとともに粘着性、特に初期タック力が著しく低下し易い。また、ハイドロゲルを生体電極など導電性を必要とする用途に用いる場合は、水分が蒸発すると、電極のインピーダンスが高くなり、さらに電極が特定のインピーダンスを超えた場合には使用不可能になる。従って、可塑剤は、配合液に添加することにより、水分が一定以上蒸発するのを防止する。
可塑剤の含有量は、保湿性、可塑性を維持し、ハイドロゲルの優れた安定性を発現するとともに、ハイドロゲルの腰強度、粘着力を確保する意味において一定以上の樹脂固形分の含有量を確保することも必要なため、非架橋性モノマー100重量部に対して150重量部〜350重量部であることが好ましく、200重量部〜300重量部であることがより好ましい。また、可塑剤の添加量が150重量部〜350重量部の場合は、得られたハイドロゲルの乾燥による物性変化が小さく、高い粘着力が得られる点で好ましい範囲である。
水: ハイドロゲルに含まれる水の含有量は、ハイドロゲルが周りの環境により吸湿したり、乾燥したりすることで経時的に物性の変化、特に膨潤や収縮を防ぐために、非架橋性モノマー100重量部に対して50重量部〜300重量部が好ましい。更に、水分のブリードや乾燥による変化を抑制するために、75重量部〜150重量部がより好ましい。
ハイドロゲルに含まれる水の濃度は、モノマー等を均一に溶解するためには配合液中に13重量%以上、つまりハイドロゲル全量に対して13重量%以上であることが好ましく、18重量%以上であることが更に好ましい。また、蒸発、乾燥によるハイドロゲルの物性の変動を抑え、ハイドロゲルの物性を安定化するためにはハイドロゲル全量に対して40重量%以下であることが好ましく、30重量%以下がより好ましい。
界面活性剤: ハイドロゲルを製造する際、配合液に界面活性剤を添加することにより、水に不溶性の粘着性高分子や両親媒性高分子の塩析による凝集傾向を低減させることが可能となるため、pH緩衝剤の添加量を多くすることが可能である。特に、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル基を有する界面活性剤が好ましい。
電解質: 更に、ハイドロゲルに電解質を添加することにより導電性のハイドロゲルが得られる。例えば、心電図測定用電極、低周波治療器用電極、各種アース電極等の生体電極に用いる場合は、比抵抗が0.1kΩ・cm〜10kΩ・cmであることが好ましい。
電解質としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属やマグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属のハロゲン化物、炭酸、硫酸、リン酸等の鉱酸塩、有機塩、アンモニウム塩等を用いることができるが、生体電極である場合は、中性〜弱酸性であるものが好ましい。
電解質の含有量は、電極として使用する場合には低インピーダンス化することが必要であり、その際、配合液100重量部に対して0.05重量部以上が好ましい。また、添加する電解質を均一に配合液中に溶解させるには10重量部以下であることが好ましい。より好ましい含有量は、2重量部〜8重量部である。
重合開始剤: ハイドロゲル製造のための配合液には、必要に応じて重合開始剤が含まれていてもよい。重合開始剤の種類は特に限定されないが、加熱により重合・架橋させる場合は、アゾビスシアノ吉草酸やアゾビスアミジノプロパン2塩酸塩等のアゾ重合開始剤、硫酸第1鉄やピロ亜硫酸塩等の還元剤と過酸化水素やペルオキソ2硫酸塩等の過酸化物からなるレドックス開始剤を用いることができる。また、光の照射によって重合させる場合は、アゾ系、アセトフェノン系をはじめとする公知の光重合開始剤を用いることができる。また、これらの重合開始剤の複数を混合し、光の照射と加熱を同時に行なうことで重合・架橋させてもよい。レドックス開始剤を用いる場合、加熱をしなくても反応を行なうことが可能であるが、残存モノマーの低減化や、反応時間の短縮のため、加熱を行なうことが好ましい。
また、電子線やガンマ線等の放射線を照射することによる重合・架橋も可能である。
こうした種々の重合方法のなかでは、製造工程が簡素であり、非常に経済的であると同時に、安定した物性のハイドロゲルを得ることが可能であることから光照射による重合が好ましい。
光重合開始剤の濃度は、重合反応を十分に行い、残存モノマー量を低減するために、非架橋性モノマー100重量部に対して0.01重量部以上であることが好ましく、反応後の残開始剤による変色(黄変)や、臭気を防ぐためには1重量部以下であることが好ましい。
その他の添加剤: ハイドロゲルには、必要に応じて他の添加剤を含んでいてもよい。他の添加剤としては、防腐剤、殺菌剤、防徴剤、防錆剤、酸化防止剤、消泡剤、安定剤、香料、界面活性剤、着色剤、薬効成分(例えば、抗炎症剤、ビタミン剤、美白剤等)等が例示できる。
(カバーフィルム)
カバーフィルムは、薄いシート状に形成したハイドロゲルの一方表面を覆い、ハイドロゲルに対するゴミや埃の付着を防止するハイドロゲルの保護フィルムであって、粘着性ゲルシートの使用の際には引き剥がして捨てられるいわゆる離型紙である。
こうしたカバーフィルムは、易剥離性処理を施していない樹脂フィルムで形成する。ここで、易剥離性処理とは、カバーフィルムに接触付着させた付着体からカバーフィルムを容易に剥離できるような処理のことをいい、シリコーンコーティング等の表面処理が例示できる。即ち、こうした易剥離性処理を施していない樹脂フィルムが用いられる。
カバーフィルムの材質としては、ポリエステル、OPPなどのポリオレフィン、ポリスチレン、ポリウレタン等の樹脂フィルムを挙げることができる。これらのフィルムは単独の素材からなるものだけでなく、複数種のフィルムや紙等をラミネートした複合フィルムであっても良く、ラミネート等の必要性から表面処理を施したフィルムが含まれていても良いが、少なくともハイドロゲルと接する表面は易剥離性処理を施していないことが求められる。
(バックフィルム)
ハイドロゲルを挟んだカバーフィルムとは反対側のハイドロゲル表面を樹脂フィルムで覆うこともできる。こうした樹脂フィルムをバックフィルムと名付けると、バックフィルムには用途に応じて種々の樹脂フィルムを用いることができる。バックフィルムも引き剥がして用いる用途の場合には、カバーフィルムと同様に易剥離性処理を施していない樹脂フィルムを用いることができる。そうした一方で、ハイドロゲルとバックフィルムとを一体とし、バックフィルムの剥離を予定しない用途、いわゆるバッキング材として用いる場合には、容易に剥離しないよう、ハイドロゲルに対する固着性を高める接着性処理を施したバックフィルムを用いることもできる。
バックフィルムには、不織布や織布を用いることもでき、さらに、こうした不織布や織布はハイドロゲルの内部に埋設する中間基材として利用することができる。ゲルの補強や裁断時の保形性を改善することができるからである。
不織布や織布の材質は、セルロース、絹、麻等の天然繊維やポリエステル、ナイロン、レーヨン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン等の合成繊維、または、それらの混紡が挙げられる。
(製造方法)
粘着性ゲルシートを製造するには、高分子マトリックスを形成するための非架橋性および架橋性モノマーと粘着性高分子、両親媒性高分子、水、その他の成分等を配合した配合液を製造し、カバーフィルム上にこの配合液を展開した後、配合液を加熱又は光(紫外線等を含む)照射することによりモノマーを重合させる工程を含む。以下、詳しく説明する。
配合液の調製: 水に、両親媒性高分子溶液、粘着性高分子溶液(エマルジョン)、可塑剤、さらには非架橋性モノマーと架橋性モノマー、電解質を加えて攪拌・混合し、必要により重合開始剤等の添加も加えて溶解し配合液を得る。攪拌・混合の際には必要に応じて、加温または冷却を行う。
配合液の保管: 配合液の保管については、添加するエマルジョンやその他の成分が安定であれば特に制限されないが、0℃〜50℃の範囲で保管するのが好ましく、5℃〜40℃の範囲で保管することが更に好ましい。
ハイドロゲル生成: カバーフィルムの易剥離性処理を施していない面の上に配合液を滴下し、その上に厚さ38μmのPETフィルムの易剥離性処理を施した面を被せて配合液を押し広げ、一定の厚みに制御した状態で加熱するか、または光(紫外線を含む)照射により配合液を重合・架橋させる。その後、38μmPETフィルムを剥離し、バックフィルムを貼付する。こうして、両フィルムの間に一定の厚み(例えば、0.3mm〜5mm)のハイドロゲルが挟まれた粘着性ゲルシートを得る。
カバーフィルムとバックフィルムの2枚のフィルムの間にハイドロゲルが挟まれた粘着性ゲルシートをロール状に巻き取る場合は、カバーフィルムかバックフィルムかの何れかが柔軟性を有していることが好ましい。柔軟性が無いフィルムを両面に使用すると巻皺が発生する危険性が高まるためである。柔軟性を有するフィルムは、ロール巻の内面、外面の何れに用いてもよいが、内面に比較して外面に位置するフィルムの柔軟性が高い方が好ましい。
2枚のフィルムの間で配合液を重合・架橋させる工程で、カバーフィルムの易剥離性処理を施していない面と配合液を接触させて重合・架橋させることは必須であるが、上記のように、バックフィルムについてはその表面に配合液を接触させて重合・架橋させなくても良い。換言すれば、バックフィルムに代わる予備フィルムとカバーフィルムの2枚のフィルムの間で配合液を重合・架橋させた後、予備フィルムを引き剥がし、表出したハイドロゲルの表面に接着剤を塗布したバックフィルムを貼付させるといった工程を経て粘着性ゲルシートを得ることもできる。
そうした一方で、カバーフィルムとバックフィルムとの間で配合液を重合・架橋させて粘着性ゲルシートを製造することもできる。但し、使用の際にカバーフィルムだけでなく、バックフィルムもまた剥離して使用する用途の場合には、ハイドロゲルとの接触面となるバックフィルムの表面も易剥離性処理がされていない表面とすることが好ましく、この場合には、易剥離性処理が施されていないバックフィルムの表面で前記配合液を重合・架橋させることが必要である。
こうして得られた粘着性ゲルシートは、生体に貼付するサージカルテープ、カテーテルや点滴用のチューブ/心電図電極/その他センサー類の固定用テープ、湿布剤、創傷被覆剤、人工肛門等の固定用テープ、電気治療器用導子/磁気治療器固定用粘着材/経皮吸収剤の担体兼粘着材等の生体に貼付して用いる粘着材、建材/電子材料等の工業用粘着材として好適に使用することができる。
以下に粘着性シートの一つの応用例について説明する。
ハイドロゲルは皮膚への安全性と粘着性を保持しており、また電解質の添加により導電性を容易に付与できることから、ハイドロゲルのカバーフィルム側とは反対側に、導電層、支持体としてのバックフィルムをこの順に積層して生体電極などの電極とすることができる。
より具体的には、カバーフィルムで覆われたハイドロゲルのむき出しの面に、カーボン等の導電物質が練りこまれた導電層を積層し、さらにその導電層に非導電性の支持体となるバックフィルムを積層する。そして、銅線等を導電層と接する形で取付けて端子とすれば、外部から皮膚へ、あるいは皮膚から外部のモニター等へ、導電層とハイドロゲルを通じて電気を流すことができる電極とすることができる。
導電層には、ポリエステル系又はポリウレタン系樹脂をバインダーとしてカーボンペーストにより形成されたカーボンコート層、Ag/AgCl等の金属やカーボン等を含む導電性インクを印刷コーティングした層、樹脂フィルム上に金属箔(アルミ、ステンレス、Ag等)、もしくはカーボン等を練りこんだ導電性フィルムをラミネートした層などを利用できる。導電層は、引っ張り等、外部から力が働いた際に容易に切れないような強度を保持していることが望ましい。容易に千切れるような場合には、電極を製造する際に途中で導電層が切れたり、伸張により最終製品の電極が変形したり、更に使用者の取り扱い方によっては電極中の導電層が千切れたりすることで、火傷等を誘引する可能性があるからである。一方で、凹凸のある皮膚面へ貼付するため、柔軟性も必要となる。よって、使用に際して不具合が起こらないような物性を持った導電層の選択が必要である。
非導電性の支持体には、前記したバックフィルムの材質のほか、印刷に適した合成紙(ポリプロピレンに無機フィラーを添加したもの)も好ましく用いることができる。また、外観を向上させるために、導電層と接する面とは反対の面に対して化粧印刷を施したり、紙、不織布、発砲体(ポリエチレン、ポリエチレンビニルアセテート、ポリウレタン等の軟質の発泡シート)、ポリウレタン等のフィルムもしくはシートをラミネートしても良い。非導電性の支持体と導電層と貼り合わせる場合には非導電性の支持体に粘着処理をすることも好ましく、導電層と非導電性の支持体を複数組み合わせてラミネートしたものを用いても良い。
(PVA溶液の調製)
以下の2種類のPVA溶液を準備した。
1)PVA溶液1:PVA(ケン化度68.5%「JMR−10M(商品名)」日本酢ビ・ポバール社製)の20%水溶液
2)PVA溶液2:PVA(ケン化度90.0%「JP−10(商品名)」日本酢ビ・ポバール社製)の20%水溶液
(粘着性高分子溶液の調製)
以下粘着性高分子を準備した。
粘着性高分子溶液:アクリルエステル共重合体のエマルジョン(固形分50重量%「ポリゾールPSASE−1730(商品名)」昭和高分子社製)液
その他の原材料として、可塑剤としてのグリセリンには、濃グリセリン(日油社製)を、電解質には、塩化ナトリウムを、重合開始剤は、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン(「イルガキュア2959(商品名)」チバスペシャリティーケミカルス社製)を、それぞれ準備した。
試料1: 温度が30〜40℃の範囲に制御された攪拌・混合容器を用いて、PVA溶液1とイオン交換水とを混合し均一に溶解した後、粘着性高分子としてアクリルエステル共重合体エマルジョンを添加し均一に分散するまで攪拌した。(目視にて白濁のムラがなくなった時点で均一と判断した。)次に、非架橋性モノマーとしてアクリルアミドを添加し数分間攪拌した後、架橋性モノマーとしてメチレンビスアクリルアミドを添加した。さらに可塑剤としてグリセリンを添加し、前記と同様に均一になるまで攪拌した後、電解質として塩化ナトリウムを添加し完全に溶解するまで攪拌した。そして、得られた混合液に対して、重合開始剤を添加して乳白色の配合液を得た。配合液の配合量(重量部)を表1に示す。
こうして調製した配合液を、易剥離性処理を施していないPETフィルム(カバーフィルム)上に滴下し、その上に厚さ38μmのPETフィルムの易剥離性処理を施した面を被せ、配合液が均一に押し広げられて厚さが0.5mmになる様に固定した。これにメタルハライドランプを用いてエネルギー量3000mJ/cmの紫外線を照射した。その後、38μmPETフィルムを剥離し、ポリエチレンフィルムからなるバックフィルムを貼付した。そして、厚さ0.5mmのハイドロゲルを備えた粘着性ゲルシートである試料1を得た。
試料2〜試料9: 表1で示した試料1の配合液の各成分を、表1で示す試料2〜試料7の配合液の各成分および配合量(重量部)に代えた以外は試料1の粘着性ゲルシートの製造と同様にして試料2〜試料7の粘着性ゲルシートを得た。
Figure 2015003977
(カバーフィルムの剥離力の測定)
ハイドロゲルからのカバーフィルムの引き剥がし易さを次に示す方法で測定した。
試料1〜試料7を20mm×130mmにカットした後、バックフィルムを剥離し、代わりに合成紙を貼付し測定試料を得た。この測定試料のカバーフィルムとハイドロゲルのそれぞれの端部を互いに剥離し、引張試験機(株式会社オリエンテック製)の上下のチャックにそれぞれ固定した。そして、引張速度300mm/分で、合成紙を貼り付けたハイドロゲルと、カバーフィルムとを上下方向に剥離し、カバーフィルムとハイドロゲルの剥離力を測定した。
フィルムの剥離力が100g/20mmよりも低い場合を「◎」、100g/20mm以上で200g/20mm未満の場合を「○」とした。また、400g/20mm以上の場合を「×」とそれぞれ評価した。評価結果は表1に示した。
(ハイドロゲルの粘着力の測定)
各試料のハイドロゲルの粘着力を次のようにして測定した。
試料1〜試料7を20mm×130mmにカットした後、バックフィルムを剥離し、代わりに合成紙を貼付した。続いて、カバーフィルムを剥離し、易剥離性処理されていない38μmPETフィルムに貼付し、2kgのローラーを1往復させて測定試料を得た。この測定試料の38μmPETフィルムとハイドロゲルのそれぞれの端部を互いに剥離し、引張試験機(株式会社オリエンテック製)の上下のチャックにそれぞれ固定した。そして、引張速度300mm/分で、合成紙を貼り付けたハイドロゲルと、38μmPETフィルムとを上下方向に剥離し、38μmPETフィルムに対するハイドロゲルの粘着力を測定した。
なお、以上の説明のように、カバーフィルムの剥離力とハイドロゲルの粘着力の測定方法が若干異なっているのは、その測定目的が異なっているため、実際の使用状態に即した方法で測定しているからである。以下に補足する。
まず、カバーフィルムの剥離力を問題にする際には、カバーフィルム上にハイドロゲルとなる前の配合液を塗布し硬化した状態、即ち製品と同一の状態でカバーフィルムとハイドロゲルとの密着状態を形成し、その状態からカバーフィルムを剥離した際の剥離力を測定している。一方、ハイドロゲルの粘着力を問題にする際には、始めは互いに離れているハイドロゲルとPETフィルム等の被着体がくっついて、後に剥がれる際の剥離力が問題になるため、ハイドロゲルの形成後に一旦フィルムを剥離し、改めてフィルムを付着させて剥離力を測定しているのである。
ハイドロゲルの粘着力の評価は、ハイドロゲルの粘着力が200g/20mm以上の場合を「◎」、200g/20mm未満の場合を「×」とした。評価結果は表1に示した。
各試料の評価から以下のことがわかる。
ハイドロゲル中に両親媒性高分子も粘着性高分子も含まない試料7は、ハイドロゲルの粘着性が劣っており、カバーフィルムの剥離性は低かった。
これに対して、両親媒性高分子を加えずに粘着性高分子を加えた試料5は、ハイドロゲルの粘着性は向上したが、カバーフィルムの剥離性は劣り、カバーフィルムを引き剥がしがし難かった。また、両親媒性高分子は加えるが粘着性高分子を加えない試料6はハイドロゲルの粘着性もカバーフィルムの剥離性も劣っていた。
一方、両親媒性高分子にポリビニルアルコールを用い、粘着性高分子にアクリルエステルエマルジョンを用いた試料1〜試料4は、ハイドロゲルの粘着性もカバーフィルムの剥離性も優れていた。これらの試料の中で比較すると、ケン化度が90.0であるポリビニルアルコールを用いた試料3及び試料4ではカバーフィルムの剥離性が優れていいたのに対して、ケン化度が68.5であるポリビニルアルコールを用いた試料1及び試料2は、カバーフィルムの剥離性が大変優れていた。

Claims (9)

  1. ハイドロゲルの表面を使用前に剥離するカバーフィルムで覆う粘着性ゲルシートであって、
    ハイドロゲルを、架橋された水溶性高分子マトリックスと、水、粘着性高分子、両親媒性高分子を含むものとし、
    カバーフィルムを、ハイドロゲルとの接触面が易剥離性処理を施していない表面となる樹脂フィルムでなるものとした粘着性ゲルシート。
  2. さらに可塑剤を含む請求項1記載の粘着性ゲルシート。
  3. 粘着性高分子がアクリルエステル共重合体である請求項1または請求項2記載の粘着性ゲルシート。
  4. 両親媒性高分子がポリビニルアルコールである請求項1〜請求項3何れか1項記載の粘着性ゲルシート。
  5. ポリビニルアルコールのケン化度が50mol%〜85mol%である請求項1〜請求項4何れか1項記載の粘着性ゲルシート。
  6. カバーフィルムで覆う側とは反対側のハイドロゲルの表面にバックフィルムを設ける請求項1〜請求項5何れか1項記載の粘着性ゲルシート。
  7. 前記バックフィルムのハイドロゲルとの接触面が易剥離性処理を施していない表面である請求項1〜請求項6何れか1項記載の粘着性ゲルシート。
  8. 請求項1〜請求項7何れか1項記載の粘着性ゲルシートと導電層とを有する電極。
  9. カバーフィルムの易剥離性処理を施していない表面に、架橋硬化してハイドロゲルとなる配合液を塗布し、硬化させた後、ロール状に巻き取る請求項1〜請求項7何れか1項記載の粘着性ゲルシートの製造方法。
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