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JP2014530872A - サーチュイン調節因子としての置換された二環式アザ複素環およびアナログ - Google Patents

サーチュイン調節因子としての置換された二環式アザ複素環およびアナログ Download PDF

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JP2014530872A
JP2014530872A JP2014537288A JP2014537288A JP2014530872A JP 2014530872 A JP2014530872 A JP 2014530872A JP 2014537288 A JP2014537288 A JP 2014537288A JP 2014537288 A JP2014537288 A JP 2014537288A JP 2014530872 A JP2014530872 A JP 2014530872A
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チャールズ、エイ.ブラム
ジェレミー、エス.ディッシュ
ステファニー、ケイ.スプリンガー
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GlaxoSmithKline LLC
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Abstract

新規な置換された二環式アザ複素環サーチュイン調節化合物およびその使用方法が本明細書に提供される。サーチュイン調節化合物は、細胞の寿命を延ばすために、かつ、例えば、加齢もしくはストレスに関連する疾病もしくは疾患、糖尿病、肥満、神経変性疾患、心血管疾患、血液凝固疾患、炎症、癌および/または潮紅、ならびに増加したミトコンドリア活性から利益を得るだろう疾病または疾患を含む多種多様な疾病および疾患を治療および/または予防するために使用できる。サーチュイン調節化合物を他の治療剤と組み合わせて含んでなる組成物も提供される。

Description

発明の背景
サイレント情報調節因子(SIR)ファミリーの遺伝子は、古細菌から真核生物にわたる生物のゲノムに存在する高度に保存された遺伝子の群である。コードされたSIRタンパク質は、遺伝子サイレンシングからDNA修復まで多岐にわたるプロセスに関与している。このファミリーの詳細に特徴づけられた遺伝子は、S.セレビシエ(S.cerevisiae)SIR2であり、酵母接合型、テロメア位置効果、および細胞老化を規定する情報を含むHM遺伝子座のサイレンシングに関与する。酵母のSir2タンパク質は、ヒストンデアセチラーゼのファミリーに属する。SIR遺伝子ファミリーのメンバーによりコードされたタンパク質は、250アミノ酸コアドメイン中で高い配列保存性を示す。サルモネラ チフィムリウム(Salmonella typhimurium)中のSir2ホモログ、CobBは、NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)依存性ADPリボシルトランスフェラーゼとして作用する。
Sir2タンパク質は、NADを補助基質として使用するクラスIIIデアセチラーゼである。多くが遺伝子サイレンシングに関与している他のデアセチラーゼとは異なり、Sir2は、トリコスタチンA(TSA)などのクラスIおよびIIヒストンデアセチラーゼ阻害剤に反応しない。
Sir2によるアセチルリジンの脱アセチル化は、NAD加水分解に密接に結び付き、ニコチンアミドおよび新規のアセチルADPリボース化合物を生み出す。Sir2のNAD依存性デアセチラーゼ活性はその機能に必須であり、その生物学的役割を酵母中の細胞代謝と結びつけることができる。哺乳動物のSir2ホモログは、NAD依存性ヒストンデアセチラーゼ活性を有する。
生化学的な研究により、Sir2が、ヒストンH3およびH4のアミノ末端尾部を容易に脱アセチル化でき、2’/3’−O−アセチル−ADP−リボース(OAADPR)およびニコチンアミドを形成することが示された。SIR2の追加のコピーを持つ系統は、rDNAサイレンシングの増加および30%長い寿命を示す。C.エレガンス(C.elegans)SIR2ホモログ、sir−2.1の追加のコピー、およびD.メラノガスター(D.melanogaster)dSir2遺伝子が、それらの生物において寿命を延ばすことも示された。これは、SIR2依存性の老化の調節経路が進化の初期に起こり、良好に保存されてきたことを意味する。今日では、Sir2遺伝子は、生物の健康およびストレス耐性を増進して苦難を生き抜く機会を増すように発達したと考えられている。
ヒトでは、Sir2の保存された触媒ドメインを共有する7つのSir2様遺伝子がある(SIRT1〜SIRT7)。SIRT1は、Sir2に最も高度な配列類似性を有する核タンパク質である。SIRT1は、腫瘍抑制因子p53、細胞シグナル伝達因子NF−κB、およびFOXO転写因子を含む、複数の細胞標的を脱アセチル化により制御する。
SIRT3は、原核生物および真核生物において保存されているSIRT1のホモログである。SIRT3タンパク質は、N末端に位置する独特なドメインにより、ミトコンドリアクリステを標的とする。SIRT3は、NAD依存性タンパク質デアセチラーゼ活性を有し、いたるところで、特に代謝活性のある組織中で発現する。ミトコンドリアに移行すると、SIRT3は、ミトコンドリアマトリックスプロセッシングペプチダーゼ(MPP)により、より小さい活性のある形態に開裂すると考えられている。
カロリー制限が健康を増進し哺乳動物の寿命を延ばすことが70年間知られてきた。酵母の寿命も、後生動物の寿命と同様に、低グルコースなどのカロリー制限に似た介入により延びる。SIR2遺伝子を欠く酵母とハエが両方とも、カロリー制限される場合、より長くは生きないという発見は、SIR2遺伝子が、カロリー制限された食餌の有益な健康効果を媒介している証拠を与える。さらに、酵母のグルコース反応性cAMP(アデノシン3’,5’−モノホスフェート)依存性(PKA)経路の活性を低下させる突然変異は、野生型細胞の寿命を延ばしたが、突然変異体のsir2株ではそうではなく、SIR2が、カロリー制限経路の主な下流成分である可能性を示している。
新規なサーチュイン調節化合物およびその使用の方法が本明細書で提供される。
一面において、本発明は、以下に詳細に説明される構造式(I)のサーチュイン調節化合物を提供する。
他の面において、本発明は、サーチュイン調節化合物またはサーチュイン調節化合物を含んでなる組成物を使用する方法を提供する。特定の実施形態において、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、例えば、細胞の寿命を延ばすこと、ならびに多種多様な疾病および疾患、例えば、加齢またはストレスに関する疾病または疾患、糖尿病、肥満、神経変性疾患、化学療法誘発性神経障害、虚血性事象と関連する神経障害、眼の疾病および/または疾患、心血管疾患、血液凝固疾患、炎症、および/または潮紅などの治療および/または予防を含む種々の治療用途に使用できる。サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、増加したミトコンドリア活性から利益を得るだろう対象の疾病または疾患を治療するために、筋肉の性能を向上させるために、筋ATPレベルを増加させるために、または低酸素症もしくは虚血と関連する筋組織の損傷を治療もしくは予防するためにも利用できる。他の実施形態において、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を減少させるサーチュイン調節化合物は、ストレスに対する細胞感受性増加、アポトーシスの増加、癌の治療、食欲の刺激、および/または体重増加の刺激などを含む種々の治療用途に使用できる。以下にさらに記載されるとおり、前記方法は、薬学的に有効な量のサーチュイン調節化合物を、その必要のある対象に投与することを含んでなる。
特定の面において、サーチュイン調節化合物は、単独で、または他のサーチュイン調節化合物または他の治療剤を含む他の化合物と組み合わせて投与してもよい。
発明の具体的説明
1.定義
本明細書では、以下の用語および句は、以下に述べる意味を有するものとする。他に定義されない限り、本明細書に使用される技術用語および科学用語は全て、当業者に通常理解されるものと同じ意味を有する。
用語「薬剤」は、化学化合物、化学化合物の混合物、生物学的高分子(核酸、抗体、タンパク質もしくはその一部、例えば、ペプチドなど)、または細菌、植物、真菌、もしくは動物(特に哺乳動物)の細胞もしくは組織などの生物学的材料から製造された抽出物を意味するように本明細書で使用される。
化合物に言及する場合の用語「バイオアベイラブルな」は当分野で認識されており、投与された化合物の量の全てまたは一部が、化合物が投与された対象または患者により吸収され、取り込まれ、または他の方法で生理学的に利用可能にすることができる化合物の形態を意味する。
「サーチュインの生物学的活性部分」は、脱アセチル化する能力(「触媒活性」)などの生物学的活性を有するサーチュインタンパク質の一部を意味する。サーチュインの触媒活性のある部分は、サーチュインのコアドメインを含んでなることがある。例えば、NAD結合ドメインおよび基質結合ドメインを包含するジェンバンク受託番号NP_036370を有するSIRT1の触媒活性のある部分は、限定はされないが、ジェンバンク受託番号NM_012238のポリヌクレオチドによりコードされるジェンバンク受託番号NP_036370のアミノ酸240−664または240−505を含み得る。従って、この領域は、コアドメインと呼ばれることもある。コアドメインと呼ばれることがあるSIRT1の触媒活性のある他の部分は、ジェンバンク受託番号NM_012238のヌクレオチド834から1394によりコードされるジェンバンク受託番号NP_036370の約アミノ酸261から447、ジェンバンク受託番号NM_012238のヌクレオチド777から1532によりコードされるジェンバンク受託番号NP_036370の約アミノ酸242から493、またはジェンバンク受託番号NM_012238のヌクレオチド813から1538によりコードされるジェンバンク受託番号NP_036370の約アミノ酸254から495を含む。SIRT1の他の「生物学的活性」部分は、ジェンバンク受託番号NP_036370のアミノ酸62−293または183−225であり、それは、化合物結合部位にとって重要なコアドメインに対してN末端のドメインを含んでなる。
用語「伴侶動物(コンパニオンアニマル)」は、ネコおよびイヌを意味する。本明細書では、用語「イヌ(複数可)」は、カニスファミリアリス(Canis familiaris)種の任意のメンバーを意味し、多くの異なる品種がある。用語「ネコ(複数可)」は、イエネコおよびネコ科ネコ属の他のメンバーを含むネコ科の動物を意味する。
「糖尿病」は、高血糖またはケトアシドーシス、ならびに長期の高血糖状態または耐糖能の低下から生じた慢性の全般的な代謝異常を意味する。「糖尿病」は、その疾病のI型とII型(非インスリン依存性糖尿病またはNIDDM)の形態のどちらも包含する。糖尿病の危険因子には、以下の因子がある:男性で40インチ超または女性で35インチ超の腰回り、130/85mmHg以上の血圧、150mg/dl超の中性脂肪、100mg/dl超の空腹時血糖、または男性で40mg/dl未満、女性で50mg/dl未満の高密度リポタンパク質。
用語「ED50」は、当分野で認識されている有効な投与量の尺度を意味する。特定の実施形態において、ED50は、その最大の反応または効果の50%を生み出す薬物の投与量、あるいは、単離された組織または細胞などの試験対象物または調製物の50%に所定の反応を生み出す投与量を意味する。用語「LD50」は、当分野で認識されている致死量の尺度を意味する。特定の実施形態において、LD50は、試験対象物の50%に致死的である薬物の投与量を意味する。用語「治療指数」は、LD50/ED50で定義される薬物の治療指数を意味する当分野で認識されている用語である。
用語「高インスリン血症」は、血中のインスリンのレベルが正常より高い個人の状態を意味する。
用語「インスリン抵抗性」は、正常量のインスリンが、インスリン抵抗性を有さない対象における生物学的反応に対して正常以下の生物学的反応を生み出す状態を意味する。
本明細書で議論される「インスリン抵抗性疾患」は、インスリン抵抗性により起こるか、またはインスリン抵抗性が一因であるあらゆる疾病または病態を意味する。例には以下がある:糖尿病、肥満、代謝症候群、インスリン抵抗性症候群、シンドロームX、インスリン抵抗性、高血圧(high blood pressure)、高血圧(hypertension)、高血中コレステロール、脂質異常症、高脂血症、脳卒中、冠動脈疾患、または心筋梗塞を含むアテローム硬化性疾患、高血糖症、高インスリン血症および/または高プロインスリン血症、耐糖能異常、インスリン放出遅延、糖尿病性合併症、例えば、冠動脈性心疾患、狭心症、鬱血性心不全、脳卒中、認知症における認知機能、網膜症、末梢神経障害、腎障害、糸球体腎炎、糸球体硬化症、ネフローゼ症候群、高血圧性腎硬化症、数種の癌(子宮内膜癌、乳癌、前立腺癌、および結腸癌)、妊娠の合併症、女性の性と生殖に関する健康の低下(月経不順、不妊、不規則な排卵、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)など)、リポジストロフィー、胆石、胆嚢炎、および胆石症などのコレステロール関連疾患、痛風、閉塞性睡眠時無呼吸、および呼吸器病、変形性関節症、および骨喪失、例えば、特に骨粗鬆症。
用語「家畜動物」は家畜化された四足動物を意味し、肉および種々の副製品のために育てられるものを含み、例えば、畜牛およびウシ属の他のメンバーを含むウシに類する動物、飼いならされたブタおよびイノシシ属の他のメンバーを含むブタに類する動物、ヒツジおよびヒツジ属の他のメンバーを含むヒツジに類する動物、飼いならされたヤギおよびヤギ属の他のメンバー、荷物運搬用動物としての使用などの特殊な仕事のために育てられる飼いならされた四足動物、例えば、飼いならされたウマおよびウマ科ウマ属の他のメンバーを含むウマに類する動物がある。
用語「哺乳動物」は当分野において公知であり、例示的な哺乳動物には、ヒト、霊長類、家畜動物(ウシ、ブタなど)、伴侶動物(例えば、イヌ、ネコなど)、および齧歯動物(例えば、マウスおよびラット)がある。
「肥満の」個人または肥満を患う個人は、一般的に、体格指数(BMI)が少なくとも25またはそれを超える個人である。肥満は、インスリン抵抗性を伴う場合も伴わない場合もある。
用語「非経口投与」および「非経口的に投与された」は当分野で認識されており、腸内および局所投与以外の投与様式を意味し、通常注射によるもので、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、髄腔内、および胸骨内の注射および注入があるがこれらに限定されない。
「患者」、「対象」、「個人」または「宿主」は、どれもヒトまたはヒトではない動物を言う。
用語「薬学的に許容可能な担体」は当分野で認識されており、任意の主題組成物またはその成分の輸送または運搬に関与する、薬学的に許容可能な材料、組成物、またはビヒクル、例えば、液体または固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒、カプセル化材料を意味する。各担体は、主題組成物およびその成分と適合性があり、患者に有害でないという意味で「許容可能な」ものでなくてはならない。薬学的に許容可能な担体として機能できる材料のいくつかの例には下記がある:(1)ラクトース、グルコース、およびスクロースなどの糖類、(2)コーンスターチおよびポテトスターチなどのデンプン類、(3)セルロースならびに、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、およびセルロースアセテートなどのその誘導体、(4)粉末化トラガカント、(5)麦芽、(6)ゼラチン、(7)タルク、(8)ココアバターおよび坐剤ワックスなどの賦形剤、(9)落花生油、綿実油、紅花油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、および大豆油などの油類、(10)プロピレングリコールなどのグリコール、(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトール、およびポリエチレングリコールなどのポリオール、(12)オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル、(13)寒天、(14)水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤、(15)アルギン酸、(16)パイロジェン除去水、(17)等張性食塩水、(18)リンゲル液、(19)エチルアルコール、(20)リン酸緩衝溶液、および(21)医薬製剤に利用される他の非毒性で適合性のある物質。
用語「予防する」は当分野で認識されており、局所的な再発などの病態(例えば、疼痛)、癌などの疾病、心不全などの症候群複合体、または他の医学的病態に関連して使用される場合、当分野によく理解されており、組成物を服用しない対象に比べて、対象において、医学的病態の症状の頻度を低減し、発症を遅くする組成物の投与を含む。そのため、癌の予防には、例えば、予防的な治療を受け取る患者の集団において、未治療の対照集団に比べて、検出できる癌種数を減らすこと、および/または未治療の対照集団に対して治療された集団の検出できる癌種の出現を、例えば、統計的および/または臨床的に有意な量、遅らせることを含む。感染の予防には、例えば、未治療の対照集団に対して治療された集団における感染の診断の数を減らすことおよび/または未治療の対照集団に対して治療された集団における感染の症状の発症を遅延することを含む。疼痛の予防は、例えば、未治療の対照集団に対して治療された集団中の対象により経験される痛覚の大きさを低減するか、あるいは痛覚を遅延することを含む。
用語「予防的な」または「治療的な」治療は当分野で認識されており、宿主への薬物の投与を意味する。それが、望まれない病態(例えば、疾病または宿主動物の望ましくない状態)の臨床徴候の前に投与される場合、その治療は予防的であり、すなわち、それは、宿主を望ましくない病態の発生から保護しており、その一方で、望ましくない病態の徴候の後で投与される場合、その治療は治療的である(すなわち、それは、既存の望ましくない病態またはそれから生じる副作用を少なくし、改善し、または維持することが意図されている)。
組成物に関連する用語「パイロジェン除去」は、組成物が投与された対象に有害作用(例えば、刺激、発熱、炎症、下痢、呼吸器の障害、エンドトキシンショックなど)を起こすだろう量でパイロジェンを含まない組成物を意味する。例えば、この用語は、例えばリポ多糖(LPS)などのエンドトキシンを含まないか、または実質的に含まない組成物を包含するものとする。
細胞の「複製寿命」は、個々の「母細胞」により生じた娘細胞の数を意味する。一方で、「暦年齢」または「経時寿命(chronological lifespan)」は、栄養素が奪われたときに非分裂細胞の集団が生存可能なままでいる時間の長さを意味する。細胞または生物に適用される「細胞の寿命を増加させる」または「細胞の寿命を延ばす」は、一つの細胞により生じる娘細胞の数を増やすこと、細胞もしくは生物がストレスに対処し、例えば、DNA、タンパク質に対する損傷と戦う能力を増加させること、および/または細胞もしくは生物が特定の状態、例えばストレス(例えば、ヒートショック、浸透圧ストレス、高エネルギー線、化学的に誘導されたストレス、DNA損傷、不適切な塩のレベル、不適切な窒素レベル、または不適切な栄養素レベル)のもとで生き抜き、生きた状態でより長く存在する能力を増加させることを意味する。寿命は、本明細書に記載される方法を利用して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、または20%から70%、30%から60%、40%から60%またはそれ以上増やすことができる。
「サーチュイン調節化合物」は、サーチュインタンパク質のレベルを増加させ、および/またはサーチュインタンパク質の少なくとも一つの活性を増加させる化合物を意味する。好ましい実施形態において、サーチュイン調節化合物は、サーチュインタンパク質の少なくとも一つの生物学的活性を、少なくとも約10%、25%、50%、75%、100%、またはそれ以上増加させることがある。サーチュインタンパク質の例示的な生物学的活性には、例えばヒストンおよびp53の脱アセチル化、寿命の延長、ゲノム安定性を増加させること、転写の抑制、および母細胞と娘細胞の間の酸化されたタンパク質の分離の制御がある。
「サーチュインタンパク質」は、サーチュインデアセチラーゼタンパク質ファミリー、または好ましくはsir2ファミリーのメンバーを意味し、酵母Sir2(ジェンバンク受託番号P53685)、C.エレガンス(C.elegans)Sir−2.1(ジェンバンク受託番号NP_501912)、およびヒトSIRT1(ジェンバンク受託番号NM_012238およびNP_036370(またはAF083106))およびSIRT2(ジェンバンク受託番号NM_012237、NM_030593、NP_036369、NP_085096、およびAF083107)タンパク質がある。他のファミリーメンバーには、「HST遺伝子」(ホモログオブサーツー(Homologue of Sir two))と称される4つの追加の酵母Sir2様遺伝子HST1、HST2、HST3、およびHST4、ならびに5つの他のヒトの相同なhSIRT3、hSIRT4、hSIRT5、hSIRT6、およびhSIRT7(Brachmann et al. (1995) Genes Dev. 9:2888 and Frye et al. (1999) BBRC 260:273)がある。好ましいサーチュインは、SIRT2とよりも、SIRT1、すなわちhSIRT1と、かつ/またはSir2とより多く類似性を共有するもの、例えば、SIRT3が有するような、SIRT1に存在しSIRT2に存在しないN末端配列の少なくとも一部を有するメンバーなどである。
「SIRT1タンパク質」は、サーチュインデアセチラーゼのsir2ファミリーのメンバーを意味する。特定の実施形態において、SIRT1タンパク質は、酵母Sir2(ジェンバンク受託番号P53685)、C.エレガンス(C.elegans)Sir−2.1(ジェンバンク受託番号NP_501912)、ヒトSIRT1(ジェンバンク受託番号NM_012238またはNP_036370(またはAF083106))、ならびにこれらの等価物および断片を含む。他の実施形態において、SIRT1タンパク質は、ジェンバンク受託番号NP_036370、NP_501912、NP_085096、NP_036369、またはP53685に述べられたアミノ酸配列からなる配列、またはその配列から本質的になる配列を含んでなるポリペプチドを含む。SIRT1タンパク質は、ジェンバンク受託番号NP_036370、NP_501912、NP_085096、NP_036369、またはP53685に述べられているアミノ酸配列、ジェンバンク受託番号NP_036370、NP_501912、NP_085096、NP_036369、またはP53685に述べられており、1から約2、3、5、7、10、15、20、30、50、75以上の保存的アミノ酸置換を有するアミノ酸配列、ジェンバンク受託番号NP_036370、NP_501912、NP_085096、NP_036369、またはP53685に少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列の全てまたは一部を含んでなるポリペプチドおよびこれらの機能的断片を含む。本発明のポリペプチドは、ジェンバンク受託番号NP_036370、NP_501912、NP_085096、NP_036369、またはP53685のホモログ(例えば、オルソログおよびパラログ)、バリアント、または断片も含む。
本明細書では、「SIRT2タンパク質」、「SIRT3タンパク質」、「SIRT4タンパク質」、「SIRT5タンパク質」、「SIRT6タンパク質」、および「SIRT7タンパク質」は、特におよそ275アミノ酸保存触媒ドメインにおいてSIRT1タンパク質に相同な、他の哺乳動物、例えば、ヒトのサーチュインデアセチラーゼタンパク質を意味する。例えば、「SIRT3タンパク質」は、SIRT1タンパク質に相同なサーチュインデアセチラーゼタンパク質ファミリーのメンバーを意味する。特定の実施形態において、SIRT3タンパク質は、ヒトSIRT3(ジェンバンク受託番号AAH01042、NP_036371、またはNP_001017524)およびマウスSIRT3(ジェンバンク受託番号NP_071878)タンパク質、ならびにこれらの等価物および断片を含む。他の実施形態において、SIRT3タンパク質は、ジェンバンク受託番号AAH01042、NP_036371、NP_001017524、またはNP_071878に述べられたアミノ酸配列からなる配列、またはその配列から本質的になる配列を含んでなるポリペプチドを含む。SIRT3タンパク質は、GenBank受託番号AAH01042、NP_036371、NP_001017524、またはNP_071878に述べられたアミノ酸配列、ジェンバンク受託番号AAH01042、NP_036371、NP_001017524、またはNP_071878に述べられ、1から約2、3、5、7、10、15、20、30、50、75以上の保存的アミノ酸置換を有するアミノ酸配列、ジェンバンク受託番号AAH01042、NP_036371、NP_001017524、またはNP_071878に少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列の全てまたは一部を含んでなるポリペプチドおよびその機能的断片を含む。本発明のポリペプチドは、ジェンバンク受託番号AAH01042、NP_036371、NP_001017524、またはNP_071878のホモログ(例えば、オルソログおよびパラログ)、バリアント、または断片も含む。特定の実施形態において、SIRT3タンパク質は、ミトコンドリアマトリックスプロセッシングペプチダーゼ(MPP)および/またはミトコンドリア中間体ペプチダーゼ(MIP)による切断により生じるSIRT3タンパク質の断片を含む。本明細書での用語「立体異性体(steroisomer)」は当分野で認識されており、同じ分子構成を有しその原子群の空間における三次元(three-diemnsional)配置のみが異なる二つ以上の異性体のいずれかを意味する。本明細書において化合物または化合物の種類の説明に使用される場合、立体異性体は、化合物の任意の部分または化合物全体を含む。例えば、ジアステレオマーおよびエナンチオマーは立体異性体である。用語「全身投与」および「全身的に投与される」は当分野で認識されており、主題組成物、治療薬、または他の物質の腸内または非経口の投与を意味する。
本明細書での用語「互変異性体」は当分野で認識されており、互変異性の結果として存在し得る可能な択一的構造のいずれかを意味し、ある構造が、特に酸素に結合した水素の位置に関連して、二つ以上の構造的な配置に存在し得る構造異性の一形態を意味する。本明細書において、化合物または化合物の種類の説明に使用される場合、「互変異性体」が容易に相互変換可能であり、平衡に存在していることがさらに理解される。例えば、ケトおよびエノール互変異性体は、ある所与の状態またはある組の状態に対して平衡位置により決定される比率で存在する:
Figure 2014530872
用語「治療剤」は当分野で認識されており、対象中で局所的または全身的に作用する生物学的、生理学的、または薬理学的に活性のある物質を意味する。前記用語は、疾病の診断、治癒、緩和、治療、もしくは予防において、または動物もしくはヒトにおいて所望の肉体的もしくは精神的な発達および/もしくは状態の増進において使用を意図される任意の物質も意味する。
用語「治療効果」は当分野で認識されており、薬理学的に活性のある物質により起こる、動物、特に哺乳動物、さらに特にヒトにおける、有益な局所的または全身的な効果を意味する。語句「治療上有効な量」は、任意の治療に適用可能な適度なベネフィット/リスク比で、いくらかの望まれる局所または全身性効果を生み出すそのような物質の量を意味する。そのような物質の治療上有効な量は、治療される対象および疾病状態、対象の体重および年齢、疾病状態の重症度、投与の方法などにより変わるだろうが、当業者により容易に決定できる。例えば、本明細書に記載される特定の組成物は、そのような治療に適用可能な適度なベネフィット/リスク比で望まれる効果を生み出すのに充分な量で投与することができる。
病態または疾病を「治療すること」は、治癒ならびに病態または疾病の少なくとも一つの症状の改善を意味する。
用語「視力障害」は減少した視力を意味し、多くの場合、治療しても(例えば、手術)部分的にしか元に戻らないか、または元に戻らない。特に重症の視力障害は「失明」または「視力喪失」と称され、視力の完全な喪失、矯正レンズにより改善できない20/200より悪い視力、または直径20°(半径10°)未満の視野を意味する。
2.化合物
一面において、本発明は、例えば、加齢またはストレスに関連する疾病または疾患、糖尿病、肥満、神経変性疾患、眼の疾病および疾患、心血管疾患、血液凝固疾患、炎症、癌、および/または潮紅などを含む多種多様な疾病および疾患を治療および/または予防するための新規な化合物を提供する。サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物などの主題化合物は、増加したミトコンドリア活性から利益を得るだろう対象の疾病または疾患の治療のために、筋肉の性能を向上させるために、筋ATPレベルを増加させるために、または低酸素症もしくは虚血と関連する筋組織の損傷を治療もしくは予防するためにも利用できる。本明細書に開示される化合物は、本明細書に開示される医薬組成物および/または一つ以上の方法における使用に好適になり得る。
特定の実施形態において、本発明の化合物は、下記構造式(I)により表される化合物またはその塩:
Figure 2014530872
(式中、
AまたはBはNであり、他方がCであり、
各Rは、水素、ハロ、OH、C≡N、C−Cアルキル、ハロ置換C−Cアルキル、C−Cアルコキシ置換C−Cアルキル、ヒドロキシ置換C−Cアルキル、O−R、O−(C−Cアルキル)−OR、S−(C−C)アルキル、S−(ハロ置換C−Cアルキル)、N(ヒドロキシ置換C−Cアルキル)、N(メトキシ置換C−Cアルキル)、N(C−Cアルキル)(ヒドロキシ置換C−Cアルキル)、N(C−Cアルキル)(メトキシ置換C−Cアルキル)、N(ヒドロキシ置換C−Cアルキル)(メトキシ置換C−Cアルキル)、C−Cシクロアルキル、および4〜8員の非芳香族複素環から独立して選択され、BがNである場合、Rはさらにメチルから選択されることができ、
は芳香族複素環であり、ここでRは、ハロ、C≡N、C−Cアルキル、ハロ置換C−Cアルキル、C−Cアルコキシ置換C−Cアルキル、ヒドロキシ置換C−Cアルキル、O−R、−O−(C−Cアルキル)−OR、=O、C−Cシクロアルキル、SO、S−R、(C−Cアルキル)−N(R)(R)、N(R)(R)、O−(C−Cアルキル)−N(R)(R)、O−(C−Cアルキル)−CR−(C−Cアルキル)、(C−Cアルキル)−O−(C−Cアルキル)−N(R)(R)、C(=O)−N(R)(R)、(C−Cアルキル)−C(=O)−N(R)(R)、O−(C−Cアルキル)−CR−(C−Cアルキル)、CR、フェニル、O−フェニル、第2の複素環、O−(第2の複素環)、3,4−メチレンジオキシ、ハロ置換3,4−メチレンジオキシ、3,4−エチレンジオキシ、およびハロ置換3,4−エチレンジオキシから独立して選択される一つ以上の置換基により置換されていてもよく、ここでRの任意のフェニル、飽和複素環、または第2の複素環置換基は、ハロ、C≡N、C−Cアルキル、ハロ置換C−Cアルキル、O−(ハロ置換C−Cアルキル)、O−(C−Cアルキル)、S−(C−Cアルキル)、およびS−(ハロ置換C−Cアルキル)から独立して選択される一つ以上の置換基により置換されていてもよく、
は炭素環または複素環であり、ここでRは、ハロ、C≡N、C−Cアルキル、ハロ置換C−Cアルキル、C−Cアルコキシ置換C−Cアルキル、ヒドロキシ置換C−Cアルキル、O−R、O−(C−Cアルキル)−OR、=O、C−Cシクロアルキル、SO、S−R、(C−Cアルキル)−N(R)(R)、N(R)(R)、O−(C−Cアルキル)−N(R)(R)、O−(C−Cアルキル)−CR−(C−Cアルキル)、(C−Cアルキル)−O−(C−Cアルキル)−N(R)(R)、C(=O)−N(R)(R)、(C−Cアルキル)−C(=O)−N(R)(R)、O−(C−Cアルキル)−CR−(C−Cアルキル)、CR、フェニル、O−フェニル、第2の複素環、O−(第2の複素環)、3,4−メチレンジオキシ、ハロ置換3,4−メチレンジオキシ、3,4−エチレンジオキシ、およびハロ置換3,4−エチレンジオキシから独立して選択される一つ以上の置換基により置換されていてもよく、ここでRの任意のフェニル、飽和複素環、または第2の複素環置換基は、ハロ、C≡N、C−Cアルキル、ハロ置換C−Cアルキル、O−(ハロ置換C−Cアルキル)、O−(C−Cアルキル)、S−(C−Cアルキル)、S−(ハロ置換C−Cアルキル)、およびN(R)(R)から独立に選択される一つ以上の置換基により置換されていてもよく、
各Rは、水素ならびにOH、−O−(C−Cアルキル)、ハロ、NH、NH(C−Cアルキル)、N(C−Cアルキル)、NH(メトキシ置換C−Cアルキル)、NH(ヒドロキシ置換C−Cアルキル)、N(メトキシ置換C−Cアルキル)(ヒドロキシ置換C−Cアルキル)、N(ヒドロキシ置換C−Cアルキル)、およびN(メトキシ置換C−Cアルキル)の一つ以上により置換されていてもよいC−Cアルキルから独立して選択されるか、または
二つのRは、それらが結合している窒素または炭素原子と共に、N、S、S(=O)、S(=O)、およびOから独立して選択される一つの追加のヘテロ原子を含んでいてもよい4〜8員の飽和複素環を形成し、ここで二つのRにより形成される複素環は、任意の炭素原子で、OH、C−Cアルキル、ハロ置換C−Cアルキル、ハロ、NH、NH(C−Cアルキル)、N(C−Cアルキル)、O(C−Cアルキル)、NH(ヒドロキシル置換C−Cアルキル)、N(ヒドロキシ置換C−Cアルキル)、N(メトキシ置換C−Cアルキル)(ヒドロキシ置換C−Cアルキル)、NH(メトキシ置換C−Cアルキル)、およびN(メトキシ置換C−Cアルキル)の一つ以上により置換されていてもよく、任意の置換可能な窒素原子で、C−Cアルキルまたはハロ置換C−Cアルキルにより置換されていてもよく、
二つのRはそれらが結合する炭素原子と共に、4〜8員の炭素環またはN、S、S(=O)、S(=O)、およびOから独立して選択される一つの追加のヘテロ原子を含んでいてもよい複素環を形成し、ここで前記炭素環または複素環は、任意の炭素原子で、OH、C−Cアルキル、ハロ置換C−Cアルキル、ハロ、およびNHの一つ以上により置換されていてもよく、任意の置換可能な窒素原子で、C−Cアルキルまたはハロ置換C−Cアルキルにより置換されていてもよく、かつ
AがNである場合、Xは、C(=O)−NH−†、NH−C(=O)−†、NH−CR−†、C(=O)−NH−CR−†、S(=O)−NH−†、S(=O)−NH−†、CR−NH−†、NH−C(=O)−O−CR−†、NH−†、NH−C(=S)−†、C(=S)−NH−†、NH−S(=O)−†、NH−S(=O)−†、NH−S(=O)−NR−†、NR−S(=O)−NH−†、NH−C(=O)O−†、O−C(=O)−NH−†、NH−C(=O)NH−†、NH−C(=O)NR−†、NR−C(=O)NH−†、CR−NH−C(=O)−†、NH−C(=S)−CR−†、CR−C(=S)−NH−†、NH−S(=O)−CR−†、CR−S(=O)−NH−†、NH−S(=O)−CR−†、CR−S(=O)−NH−†、CR−O−C(=O)−NH−†、NH−C(=O)−CR−†、NH−C(=O)−CR−NH−†、およびCR−NH−C(=O)−O−†から選択され、
BがNである場合、Xは、C(=O)−NH−†、NH−C(=O)−†、C(=O)−NH−CR−†、S(=O)−NH−†、S(=O)−NH−†、NH−C(=O)−O−CR−†、NH−C(=S)−†、C(=S)−NH−†、NH−S(=O)−†、NH−S(=O)−†、NH−S(O)−NR−†、NR−S(=O)−NH−†、NH−C(=O)O−†、O−C(=O)−NH−†、NH−C(=O)NH−†、NH−C(=O)NR−†、NR−C(=O)NH−†、CR−NH−C(=O)−†、NH−C(=S)−CR−†、CR−C(=S)−NH−†、NH−S(=O)−CR−†、CR−S(=O)−NH−†、NH−S(=O)−CR−†、CR−S(=O)−NH−†、CR−O−C(=O)−NH−†、NH−C(=O)−CR−†、NH−C(=O)−CR−NH−†、およびCR−NH−C(=O)−O−†から選択され、ここで、
†は、XがRに結合する位置を表し、かつ
各RおよびRは、水素、C−Cアルキル、CF、および(C−Cアルキル)−CFから独立して選択される)。
特別な実施形態において、AはNである。そのような実施形態において、構造式(I)の化合物は構造式(Ia)により表される:
Figure 2014530872
他の実施形態において、BはNである。そのような実施形態において、構造式(I)の化合物は構造式(Ib)により表される:
Figure 2014530872
構造式(I)、(Ia)、または(Ib)のいずれでも、各出現でのRは、水素、ハロ、OH、C≡N、C−Cアルキル、ハロ置換C−Cアルキル、C−Cアルコキシ置換C−Cアルキル、ヒドロキシ置換C−Cアルキル、O−R、O−(C−Cアルキル)−OR、S−(C−C)アルキル、S−(ハロ置換C−Cアルキル)、N(ヒドロキシ置換C−Cアルキル)、N(メトキシ置換C−Cアルキル)、N(C−Cアルキル)(ヒドロキシ置換C−Cアルキル)、N(C−Cアルキル)(メトキシ置換C−Cアルキル)、N(ヒドロキシ置換C−Cアルキル)(メトキシ置換C−Cアルキル)、C−Cシクロアルキル、および4〜8員の非芳香族複素環から選択してもよい。構造式(Ib)では、Rは、さらにメチルから選択してもよい。
構造式(I)、(Ia)、または(Ib)のいずれでも、Rは、ピリジニル、チアゾリル、オキサゾリル、ピリミジニル、ピラゾール、トリアゾール、イミダゾール、ピラジン、およびピリダジンなどで置換されていてもよい芳香族複素環から選択してもよい。構造式(I)、(Ia)、または(Ib)のいずれでも、Rは、置換されていてもよい
Figure 2014530872
から選択してもよい。好ましい実施形態において、Rは、
Figure 2014530872
Figure 2014530872
Figure 2014530872
Figure 2014530872
Figure 2014530872
Figure 2014530872
から選択してもよい。
好ましい実施形態において、Rは、
Figure 2014530872
から選択される。より好ましい実施形態において、Rは、
Figure 2014530872
から選択される。
構造式(I)、(Ia)、または(Ib)のいずれでも、Rは、置換されていてもよい炭素環、例えば、フェニル、および置換されていてもよい複素環、例えば、ピリジルから選択してもよい。好ましい実施形態において、Rは、置換されていてもよい芳香族炭素環および置換されていてもよい非芳香族複素環から選択してもよい。好ましい実施形態において、Rは、置換されていてもよい非芳香族炭素環および置換されていてもよい非芳香族複素環から選択してもよい。例えば、Rは置換されていてもよい非芳香族複素環から選択してよく、Rは、化合物の残りの部分にRの窒素原子により結合していてもよい。
構造式(I)、(Ia)、または(Ib)のいずれでも、Rは、置換されていてもよい
Figure 2014530872
から選択してもよい。好ましい実施形態において、Rは、
Figure 2014530872
Figure 2014530872
Figure 2014530872
Figure 2014530872
から選択してもよい。
好ましい実施形態において、Rは、
Figure 2014530872
から選択される。
より好ましい実施形態において、Rは、
Figure 2014530872
から選択される。
構造式(I)、(Ia)、または(Ib)のいずれでも、Xは、C(=O)−NH−†または−NH−C(=O)†などのアミドでもよい。構造式(I)、(Ia)、または(Ib)のいずれでも、Xは、C(=O)−NH−†でもよい。構造式(I)、(Ia)、または(Ib)のいずれでも、XはNH−C(=O)†でもよい。
特定の実施形態において、化合物は、表1の化合物番号16、46、56、57、59、60、61、65、78、82、83、94、105、106、108、109、111、112、113、114、115、116、および117のいずれか一つである。
本発明は、構造式(I)、(Ia)、もしくは(Ib)、または上記に他の方法で述べられた化合物のいずれかの医薬組成物を含む。構造式(I)、(Ia)、または(Ib)の化合物の医薬組成物は、1種以上の薬学的に許容可能な担体または希釈剤を含んでなることがある。
上記実施形態のいずれにおいても、C−Cアルコキシ置換基は、例えば、一つ、二つ、もしくは三つのメトキシ基または一つのメトキシ基と一つのエトキシ基などの一つ以上のアルコキシ置換基を含み得る。例示的なC−Cアルコキシ置換基には、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、およびtert−ブトキシがある。
上記実施形態のいずれにおいても、ヒドロキシ置換基は、二つまたは三つのヒドロキシ基など一つ以上のヒドロキシ置換基を含み得る。
上記実施形態のいずれにおいても、「ハロ置換」基は、一つのハロ置換基からペルハロ置換までを含む。例示的なハロ置換C−Cアルキルには、CFH、CClH、CBrH、CFH、CClH、CBrH、CF、CCl、CBr、CHCHF、CHCHCl、CHCHBr、CHCHF、CHFCH、CHClCH、CHBrCH、CFCHF、CFCHCl、CFCHBr、CH(CF、およびC(CFがある。ペルハロ置換C−Cアルキルには、例えば、CF、CCl、CBr、CFCF、CClCF、およびCBrCFがある。
上記実施形態のいずれにおいても、「炭素環」基は、単環式炭素環実施形態および/または縮合した、橋架けした、もしくは二環式炭素環実施形態などの多環式炭素環実施形態を意味し得る。本発明の「炭素環」基は、芳香族炭素環実施形態および/または非芳香族炭素環実施形態をさらに意味することがあり、あるいは多環式実施形態の場合には、一つ以上の芳香族環および/または一つ以上の非芳香族環の両方を有する炭素環を意味し得る。多環式炭素環実施形態は、二環式環にも、縮合環にも、橋架け二環にもなり得る。非限定的な例示的炭素環には、フェニル、シクロヘキサン、シクロペンタン、またはシクロヘキセン、アマンタジン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,5−シクロオクタジエン、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン、ビシクロ[4.2.0]オクタ−3−エン、ナフタレン、アダマンタン、デカリン、ナフタレン、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン、ノルボルナン、デカリン、スピロペンタン、メマンチン、ビペリデン、リマンタジン、カンファー、コレステロール、4−フェニルシクロヘキサノール、ビシクロ[4.2.0]オクタン、メマンチン、および4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−インデン、およびビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エンがある。
上記実施形態のいずれにおいても、「複素環」基は、単環式複素環実施形態および/または縮合した、橋架けした、もしくは二環式の複素環実施形態などの多環式複素環実施形態を意味し得る。本発明の「複素環」基は、芳香族複素環実施形態および/または非芳香族複素環実施形態もさらに意味し得るが、多環式実施形態の場合、一つ以上の芳香族環および/または一つ以上の非芳香族環の両方を有する複素環を意味し得る。多環式複素環実施形態は、二環式環でも、縮合環でも、橋架け二環でもよい。非限定的な例示的複素環には、ピリジル、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、モルホリン、ピリミジン、ベンゾフラン、インドール、キノリン、ラクトン、ラクタム、ベンゾジアゼピン、インドール、キノリン、プリン、アデニン、グアニン、4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[d]チアゾール、ヘキサミン、およびメテナミンがある。
本発明の特定の化合物は、特別な幾何学的または立体異性体的形態で存在してもよい。本発明は、そのような化合物全てを、シス−およびトランス−異性体、(R)−および(S)−エナンチオマー、ジアステレオマー、(D)−異性体、(L)−異性体、そのラセミ混合物、ならびにその他の混合物を含めて、本発明の範囲にあるものとして企図する。追加の非対称の炭素原子がアルキル基などの置換基に存在することがある。そのような異性体の全て、ならびにその混合物は、本発明に含まれるものとする。
本発明の新規化合物を含む本発明の化合物はまた、本明細書に記載される方法に使用できる。
本明細書に記載される化合物およびその塩は、対応する水和物(例えば、半水和物、一水和物、二水和物、三水和物、四水和物)、または溶媒和物として存在することもある。溶媒和物および水和物の調製のための好適な溶媒は、一般に当業者により選択できる。
化合物およびその塩は、非晶形態でも、結晶(共結晶および多形体を含む)形態でも存在し得る。
本発明のサーチュイン調節化合物は、有利なことに、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性、特にサーチュインタンパク質のデアセチラーゼ活性を調節する。
上記性質とは別に、または上記性質に加えて、本発明の特定のサーチュイン調節化合物は、サーチュインタンパク質(例えば、SIRT1および/またはSIRT3タンパク質)の脱アセチル化活性を調節するのに効果的である化合物の濃度で、以下の活性の一つ以上を実質的に有さない:PI3−キナーゼの阻害、アルドレダクターゼ(aldoreductase)の阻害、チロシンキナーゼの阻害、EGFRチロシンキナーゼのトランス活性化、冠動脈拡張、または鎮痙活性。
「アルキル」基または「アルカン」は、完全に飽和している直鎖または分岐鎖の非芳香族炭化水素である。典型的には、直鎖または分岐鎖のアルキル基は、他の定義されない限り、1から約20の炭素原子を、好ましくは1から約10の炭素原子を有する。直鎖および分岐鎖のアルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ペンチル、およびオクチルがある。C−C直鎖または分岐鎖のアルキル基は、「低級アルキル」基とも呼ばれる。
用語「アルケニル」(「アルケン」)および「アルキニル」(「アルキン」)は、長さおよび可能な置換において上述のアルキル基に類似しているが、それぞれ少なくとも一つの二重結合または三重結合を含む不飽和脂肪族基を意味する。
用語「芳香族炭素環」は、少なくとも一つの芳香族環を含む芳香族炭化水素環系を意味する。環は、他の芳香族炭素環または非芳香族炭素環に縮合しても、他の方法で結合していてもよい。芳香族炭素環基の例には、フェニル、ナフチル、およびアントラシルなどの炭素環芳香族基がある。
「アザビシクロ」は、環の骨格中に窒素原子を含む二環式分子を意味する。二環の二つの環は、互いに結合している二つの原子で縮合してよく、例えばインドールがあり、原子の配列を越えて縮合してもよく、例えばアザビシクロ[2.2.1]ヘプタンがあり、単一の原子で結合してもよく、例えばスピロ環がある。
「二環」または「二環式」は、1、2、または三つ以上の原子が二つの環に共有される二環系を意味する。二環には、二つの隣接する原子が二つの環のそれぞれにより共有される縮合二環、例えば、デカリン、インドールがある。二環には、二つの環が単一の原子を共有するスピロ二環、例えば、スピロ[2.2]ペンタン、1−オキサ−6−アザスピロ[3.4]オクタンもある。二環には、さらに、少なくとも三つの原子が二つの環に共有されている橋架け二環、例えば、ノルボルナンがある。
「橋架け二環」化合物は、少なくとも三つの原子が系の両環により共有されている二環式環系であり、すなわち、それらは、二つの橋頭原子を接続する一つ以上の原子の少なくとも一つの橋を含む。橋架けアザビシクロは、環の少なくとも一方に窒素原子を含む橋架け二環式分子を意味する。
本明細書での用語「炭素環」および「炭素環式」は、環の各原子が炭素である飽和または不飽和の環を意味する。用語炭素環は、芳香族炭素環と非芳香族炭素環の両方を含む。非芳香族炭素環は、炭素原子が全て飽和しているシクロアルカン環と少なくとも一つの二重結合を含むシクロアルケン環の両方を含む。「炭素環」には、5〜7員の単環式環と8〜12員の二環式環がある。二環式炭素環の各環は、非芳香族環および芳香族環から選択できる。炭素環には、1、2、または3以上の原子が二つの環で共有される二環式分子がある。用語「縮合炭素環」は、環のそれぞれが、二つの隣接する原子を他の環と共有する二環式炭素環を意味する。縮合炭素環の各環は、非芳香族芳香族環から選択できる。好ましい実施形態において、芳香族環、例えばフェニルは、非芳香族環にも、芳香族環にも、例えば、シクロヘキサン、シクロペンタン、またはシクロヘキセンにも縮合してもよい。非芳香族環と芳香族二環式環の、原子価が許すあらゆる組み合わせが、炭素環式の定義に含まれる。例示的な「炭素環」には、シクロペンタン、シクロヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,5−シクロオクタジエン、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン、ビシクロ[4.2.0]オクタ−3−エン、ナフタレン、およびアダマンタンがある。例示的な縮合炭素環には、デカリン、ナフタレン、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン、ビシクロ[4.2.0]オクタン、4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−インデン、およびビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エンがある。「炭素環」は、水素原子を持つことができる一つ以上の位置で置換されていてもよい。
「シクロアルキル」基は、完全に飽和している(非芳香族)環状炭化水素である。典型的には、シクロアルキル基は、他に定義されない限り、3から約10の炭素原子、より典型的には、3から8の炭素原子を有する。「シクロアルケニル」基は、一つ以上の二重結合を含む環状炭化水素である。
「ハロゲン」はF、Cl、Br、またはIを意味する。
「ハロゲン置換」または「ハロ」置換は、一つ以上の水素のF、Cl、Br、またはIによる置換を意味する。
用語「ヘテロアリール」または「芳香族複素環」は、置換または非置換の芳香族単環構造、好ましくは5員から7員の環、より好ましくは5員から6員の環を含み、環構造が、少なくとも一つのヘテロ原子、好ましくは1から4つのヘテロ原子、より好ましくは1から二つのヘテロ原子を含むものを含む。用語「ヘテロアリール」は、1または二つの環を有する環系であって、例えば、環の少なくとも一方が複素芳香族であり、他方の環状環が、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、芳香族炭素環、ヘテロアリール、および/またはヘテロシクリルでよいものを含む。ヘテロアリール基には、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、およびピリミジンがある。
本明細書での用語「複素環」および「複素環式」は、例えば、N、O、B、およびS原子、好ましくはN、O、またはSから選択される一つ以上のヘテロ原子を含んでなる非芳香族または芳香族の環を意味する。用語「複素環」は、「芳香族複素環」と「非芳香族複素環」の両方を含む。複素環には、4〜7員の単環式環および8〜12員の二環式環がある。複素環は、1、2、または三つ以上の原子が二つの環で共有されている二環式分子も含む。二環式複素環の各環は、非芳香族環および芳香族環から選択してもよい。用語「縮合複素環」は、環のそれぞれが二つの隣接する原子を他の環と共有している二環式複素環を意味する。縮合複素環の各環は、非芳香族環および芳香族環から選択してもよい。好ましい実施形態において、芳香族環、例えばピリジルは、非芳香族環にも芳香族環にも、例えば、シクロヘキサン、シクロペンタン、ピロリジン、2,3−ジヒドロフラン、またはシクロヘキセンに縮合してもよい。「複素環」基には、例えば、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、モルホリン、ピリミジン、ベンゾフラン、インドール、キノリン、ラクトン、およびラクタムがある。例示的な「縮合複素環」には、ベンゾジアゼピン、インドール、キノリン、プリン、および4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[d]チアゾールがある。「複素環」は、水素原子を持つことができる一つ以上の位置で置換されていてもよい。
「単環式環」には、5〜7員の芳香族炭素環またはヘテロアリール、3〜7員のシクロアルキルまたはシクロアルケニル、および5〜7員の非芳香族ヘテロシクリルがある。例示的な単環式基には、置換または非置換の複素環または炭素環、例えば、チアゾリル、オキサゾリル、オキサジニル、チアジニル、ジチアニル、ジオキサニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、フラニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、ピラニル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、イミダゾリル、ピリジニル、ピロリル、ジヒドロピロリル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピリミジニル、モルホリニル、テトラヒドロチオフェニル、チオフェニル、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘプタニル、アゼチジニル、オキセタニル、チイラニル(thiiranyl)、オキシラニル、アジリジニル、およびチオモルホリニルがある。
本明細書では、「置換(された)」は、構造中の水素原子を、水素以外の原子または分子で置き換えることを意味する。「置換可能な窒素」などの置換可能な原子は、水素原子を少なくとも一つの共鳴形態で有する原子である。水素原子は、−CH基または−OH基などの他の原子または基に置換され得る。例えば、ピペリジン分子中の窒素原子は、窒素が水素原子に結合している場合置換可能である。例えば、ピペリジンの窒素原子が水素以外の原子に結合している場合、窒素は置換可能でない。少なくとも一つの共鳴形態で水素原子を有することができない原子は置換可能でない。
本発明により構想される置換基および変数の組み合わせは、安定な化合物を形成するもののみである。本明細書では、用語「安定な」は、製造を可能にするほど充分な安定性を有し、本明細書に詳述される目的に有用であるほど充分な期間化合物の完全性を維持する化合物を意味する。
本明細書に開示される化合物は、部分的および完全に重水素化された変形体も含む。特定の実施形態において、重水素化された変形体は速度論の研究に使用できる。当業者は、そのような重水素原子が存在する位置を選択することができる。
本明細書に記載される化合物の塩、特に薬学的に許容可能な塩も本発明に含まれる。充分に酸性、充分に塩基性、または両方の官能基を有する本発明の化合物は、数多くの無機塩基ならびに無機酸および有機酸のいずれとも反応して、塩を形成することができる。あるいは、四級窒素を持つものなど本質的に電荷を持つ化合物は、適切な対イオン(例えば、臭化物、塩化物、またはフッ化物、特に臭化物などのハライド)と共に塩を形成できる。
酸付加塩の形成に通常使用される酸は、塩化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸などの無機酸およびp−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、p−ブロモフェニル−スルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、酢酸などの有機酸である。そのような塩の例には、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオル酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン−1,4−ジオン酸塩、ヘキシン−1,6−ジオン酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、γ−ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、マンデル酸塩などがある。
塩基付加塩には、無機塩基から誘導されるもの、例えば、アンモニウムまたはアルカリもしくはアルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩などがある。そのため、本発明の塩の調製に有用なそのような塩基には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸カリウムなどがある。
他の実施形態によると、本発明は、上記に定義された化合物を製造する方法を提供する。化合物は従来の技術を利用して合成できる。有利なことに、これらの化合物は、容易に利用できる出発物質から簡便に合成できる。
本明細書に記載される化合物の合成に有用な合成化学変換および方法論は当分野において公知であり、例えば、R. Larock, Comprehensive Organic Transformations (1989)、 T. W. Greene and P. G. M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 2d. Ed. (1991)、 L. Fieser and M. Fieser, Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis (1994)、 and L. Paquette, ed., Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis (1995)に記載されているものがある。
例示される実施形態において、治療化合物は、細胞の細胞膜を通過してもよい。例えば、化合物は、少なくとも約20%、50%、75%、80%、90%、または95%の細胞透過性を有する。
本明細書に記載される化合物は、下記の特性の一つ以上を有していてもよい:前記化合物は、細胞または対象にとって、基本的に非毒性になり得る、前記化合物は、有機分子、または2000amu以下、1000amu以下の小分子であり得る、化合物は、通常の大気条件下で、少なくとも約30日、60日、120日、6ヶ月または1年の半減期を有し得る、前記化合物は、溶解状態で少なくとも約30日、60日、120日、6ヶ月または1年の半減期を有し得る、化合物は、溶解状態で、レスベラトロールより少なくとも約50%、2倍、5倍、10倍、30倍、50倍または100倍安定であり得る、化合物は、DNA修復因子Ku70の脱アセチル化を促進し得る、化合物は、RelA/p65の脱アセチル化を促進し得る、化合物は、全般的な代謝回転率を増やし、TNF誘導アポトーシスに対する細胞の感受性を強化し得る。
特定の実施形態において、サーチュイン調節化合物は、サーチュインのデアセチラーゼ活性を調節するのに効果的である濃度(例えば、インビボで)で、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)クラスI、および/またはHDACクラスIIを阻害する実質的な能力を全く有さない。例えば、好ましい実施形態において、サーチュイン調節化合物はサーチュイン調節化合物であり、HDAC Iおよび/またはHDAC IIの阻害のEC50より少なくとも5分の1(at least 5 fold less)、さらにより好ましくは少なくとも10分の1、100分の1、さらには1000分の1である、サーチュインデアセチラーゼ活性を活性化させるEC50を有するように選択される。HDAC Iおよび/またはHDAC II活性を試験する方法は当分野に周知であり、そのようなアッセイを実施するキットは、商業的に購入できる。例えば、BioVision, Inc. (Mountain View, CA、 world wide web at biovision.com)およびThomas Scientific (Swedesboro, NJ、 world wide web at tomassci.com)を参照されたい。
特定の実施形態において、サーチュイン調節化合物は、サーチュインホモログを調節する実質的な能力を全く有さない。特定の実施形態において、ヒトサーチュインタンパク質のアクチベーターは、ヒトのサーチュインのデアセチラーゼ活性を活性化するのに効果的である濃度で(例えば、インビボ)、低級真核生物、特に酵母またはヒト病原体由来のサーチュインタンパク質を活性化する実質的な能力を全く有さないことがある。例えば、サーチュイン調節化合物は、Sir2などの酵母のサーチュイン(カンジダ(Candida)、S.セレビシエ(S.cerevisiae)など)を活性化させるEC50の少なくとも5分の1、さらにより好ましくは少なくとも10分の1、100分の1、またはさらには1000分の1である、SIRT1および/またはSIRT3などのヒトのサーチュインのデアセチラーゼ活性を活性化させるEC50を有するように選択してもよい。他の実施形態において、低級真核生物、特に酵母またはヒトの病原体由来のサーチュインタンパク質のインヒビターは、低級真核生物由来のサーチュインタンパク質のデアセチラーゼ活性を阻害するのに効果的な濃度で(例えばインビボ)、ヒト由来のサーチュインタンパク質を阻害する実質的な能力を全く有さない。例えば、サーチュイン阻害化合物は、Sir2などの酵母のサーチュイン(カンジダ(Candida)、S.セレビシエ(S.cerevisiae)など)を阻害するIC50の少なくとも5分の1、さらにより好ましくは少なくとも10分の1、100分の1、またはさらには1000分の1である、SIRT1および/またはSIRT3などのヒトのサーチュインのデアセチラーゼ活性を阻害するIC50を有するように選択してもよい。
特定の実施形態において、サーチュイン調節化合物は、例えば、ヒトのSIRT1、SIRT2、SIRT3、SIRT4、SIRT5、SIRT6、またはSIRT7の一つ以上など、一つ以上のサーチュインタンパク質ホモログを調節する能力を有し得る。いくつかの実施形態において、サーチュイン調節化合物は、SIRT1タンパク質とSIRT3タンパク質の両方を調節する能力を有する。
他の実施形態において、SIRT1調節因子は、ヒトのSIRT1のデアセチラーゼ活性を調節するのに効果的である濃度(例えばインビボ)で、他のサーチュインタンパク質ホモログ、例えば、ヒトのSIRT2、SIRT3、SIRT4、SIRT5、SIRT6、またはSIRT7の一つ以上を調節する実質的な能力を全く有さない。例えば、サーチュイン調節化合物は、ヒトのSIRT2、SIRT3、SIRT4、SIRT5、SIRT6、またはSIRT7の一つ以上を調節するED50の少なくとも5分の1、さらにより好ましくは少なくとも10分の1、100分の1、またはさらには1000分の1である、ヒトのSIRT1デアセチラーゼ活性を調節するED50を有するように選択できる。いくつかの実施形態において、SIRT1調節因子は、SIRT3タンパク質を調節する実質的な能力を全く有さない。
他の実施形態において、SIRT3調節因子は、ヒトのSIRT3のデアセチラーゼ活性を調節するのに効果的である濃度(例えばインビボ)で、他のサーチュインタンパク質ホモログ、例えば、ヒトのSIRT1、SIRT2、SIRT4、SIRT5、SIRT6、またはSIRT7の一つ以上を調節する実質的な能力を全く有さない。例えば、サーチュイン調節化合物は、ヒトのSIRT1、SIRT2、SIRT4、SIRT5、SIRT6、またはSIRT7の一つ以上を調節するED50の少なくとも5分の1、さらにより好ましくは少なくとも10分の1、100分の1、またはさらには1000分の1である、ヒトのSIRT3デアセチラーゼ活性を調節するED50を有するように選択できる。いくつかの実施形態において、SIRT3調節因子は、SIRT1タンパク質を調節する実質的な能力を全く有さない。
特定の実施形態において、サーチュイン調節化合物は、約10−9M、10−10M、10−11M、10−12M以下のサーチュインタンパク質に対する結合親和性を有することがある。サーチュイン調節化合物は、サーチュインタンパク質のその基質またはNAD(または他の補因子)に対する見かけのKmを、少なくとも約2、3、4、5、10、20、30、50、または100倍、減少させることも(アクチベーター)、増加させることもできる(インヒビター)。特定の実施形態において、Km値は、本明細書に記載される質量分析アッセイを利用して決定される。好ましい活性化化合物は、サーチュインのその基質または補因子に対するKmを、類似の濃度でレスベラトロールにより起こるよりも大幅に低下させるか、またはサーチュインのその基質または補因子に対するKmを、より低濃度でレスベラトロールにより起こるものに類似して低下させる。サーチュイン調節化合物は、サーチュインタンパク質のVmaxを、少なくとも約2、3、4、5、10、20、30、50、または100倍増加させることができる。サーチュイン調節化合物は、約1nM未満、約10nM未満、約100nM未満、約1μM未満、約10μM未満、約100μM未満、または約1−10nM、約10−100nM、約0.1−1μM、約1−10μM、または約10−100μMの、SIRT1および/またはSIRT3タンパク質のデアセチラーゼ活性を調節するED50を有し得る。サーチュイン調節化合物は、SIRT1および/またはSIRT3タンパク質のデアセチラーゼ活性を、細胞アッセイまたは細胞ベースアッセイにより測定して、少なくとも約5、10、20、30、50、または100倍調節することができる。サーチュイン調節化合物は、同濃度のレスベラトロールに比べて、少なくとも約10%、30%、50%、80%、2倍、5倍、10倍、50倍、または100倍高いサーチュインタンパク質のデアセチラーゼ活性の誘導を起こすことができる。サーチュイン調節化合物は、SIRT1および/またはSIRT3を調節するよりも少なくとも約10倍、20倍、30倍、50倍高い、SIRT5を調節するED50を有し得る。
3.例示的な用途
特定の面において、本発明は、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を調節する方法およびその使用方法を提供する。
特定の実施形態において、本発明は、サーチュインタンパク質を活性化させる、例えば、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物の使用方法を提供する。サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、例えば、細胞の寿命を延ばすこと、ならびに、例えば、加齢またはストレスに関連する疾病または疾患、糖尿病、肥満、神経変性疾患、心血管疾患、血液凝固疾患、炎症、癌、および/または潮紅などを含む多種多様な疾病および疾患を治療および/または予防することを含む種々の治療用途に有用になり得る。前記方法は、薬学的に有効な量のサーチュイン調節化合物、例えば、サーチュイン調節化合物を、その必要のある対象に投与することを含んでなる。
理論に拘束されることは望まないが、本発明のアクチベーターが、サーチュインと、サーチュインタンパク質内の同じ位置(例えば、活性部位または活性部位のKmもしくはVmaxに影響する部位)で相互作用し得ると考えられる。このために、特定のクラスのサーチュインアクチベーターおよびインヒビターがかなりの構造上の類似性を有し得ると考えられる。
特定の実施形態において、本明細書に記載されるサーチュイン調節化合物は、単独でも、他の化合物と組み合わせても服用できる。特定の実施形態において、2種以上のサーチュイン調節化合物の混合物を、その必要のある対象に投与することができる。他の実施形態において、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、下記化合物の1種以上と共に投与することができる:レスベラトロール、ブテイン、フィセチン、ピセアタンノール、またはクェルセチン。好ましい実施形態において、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、ニコチン酸またはニコチンアミドリボシドと組み合わせて投与してもよい。他の実施形態において、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を低下させるサーチュイン調節化合物は、下記化合物の1種以上と共に投与することができる:ニコチンアミド(NAM)、スラミン、NF023(Gタンパク質拮抗剤)、NF279(プリン作動性受容体拮抗剤)、トロロックス(6−ヒドロキシ−2,5,7,8,テトラメチルクロマン−2−カルボン酸)、(−)−エピガロカテキン(3,5,7,3’,4’,5’の部位でヒドロキシ)、没食子酸(−)−エピガロカテキン(ヒドロキシ部位5,7,3’,4’,5’および3で没食子酸エステル)、塩化シアニジン(3,5,7,3’,4’−ペンタヒドロキシフラビリウムクロリド)、デルフィニジンクロリド(3,5,7,3’,4’,5’−ヘキサヒドロキシフラビリウムクロリド)、ミリセチン(カンナビスセチン、3,5,7,3’,4’,5’−ヘキサヒドロキシフラボン)、3,7,3’,4’,5’−ペンタヒドロキシフラボン、ゴシペチン(3,5,7,8,3’,4’−ヘキサヒドロキシフラボン)、サーチノール、およびスプリトマイシン。さらに他の実施形態において、1種以上のサーチュイン調節化合物は、例えば、癌、糖尿病、神経変性疾患、心血管疾患、血液凝固、炎症、潮紅、肥満、加齢、ストレスなどを含む種々の疾病の治療または予防のための1種以上の治療剤と共に投与してもよい。種々の実施形態において、サーチュイン調節化合物を含んでなる併用療法は、(1)1種以上のサーチュイン調節化合物を1種以上の治療剤(例えば、本明細書に記載される1種以上の治療剤)と組み合わせて含んでなる医薬組成物、および(2)1種以上のサーチュイン調節化合物と1種以上の治療剤の同時投与であって、サーチュイン調節化合物と治療剤が同じ組成物中に製剤されなかったもの(しかし、同じキットまたはブリスターパックもしくは他のマルチチャンバーパッケージなどの包装、使用者により分離可能な、連結して別に密封されている容器(例えば、ホイルパウチ)、またはサーチュイン調節化合物(複数可)および他の治療剤(複数可)が別な容器にあるキット内に存在し得る)を意味し得る。別な製剤を利用する場合、サーチュイン調節化合物は、他の治療剤の投与と同時でも、間欠的にでも、ずらしても、その前にでも、その後にでも、または組み合わせても投与できる。
特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物を利用する、疾病または疾患を低減、予防、または治療する方法は、ヒトSIRT1、SIRT2、および/またはSIRT3、もしくはそのホモログなどのサーチュインのタンパク質レベルを増加させることも含んでなることがある。タンパク質レベルの増加は、細胞中に、サーチュインをコードする核酸の一つ以上のコピーを導入することにより達成できる。例えば、サーチュインのレベルは、哺乳動物細胞にサーチュインをコードする核酸を導入することにより、例えば、ジェンバンク受託番号NP_036370に述べられたアミノ酸配列をコードする核酸を導入してSIRT1のレベルを増加させることにより、かつ/またはジェンバンク受託番号AAH01042に述べられたアミノ酸配列をコードする核酸を導入してSIRT3のレベルを増加させることにより、哺乳動物細胞において増加させることができる。
サーチュインのタンパク質レベルを増加させるために細胞に導入される核酸は、サーチュイン、例えば、SIRT1および/またはSIRT3タンパク質の配列に少なくとも約80%、85%、90%、95%、98%、または99%同一であるタンパク質をコードできる。例えば、前記タンパク質をコードする核酸は、SIRT1(例えば、ジェンバンク受託番号NM_012238)および/またはSIRT3(例えば、ジェンバンク受託番号BC001042)タンパク質をコードする核酸に、少なくとも約80%、85%、90%、95%、98%、または99%同一になり得る。前記核酸は、好ましくはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、野生型サーチュイン、例えば、SIRT1およびSIRT3タンパク質をコードする核酸にハイブリダイズする核酸でもあり得る。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、ハイブリダイゼーションおよび65℃での0.2×SSCの洗浄を含み得る。野生型サーチュインの断片であるタンパク質など、野生型サーチュインタンパク質とは異なるタンパク質をコードする核酸を使用する場合、前記タンパク質は、好ましくは生物学的に活性があり、例えば、脱アセチル化が可能である。生物学的に活性のあるサーチュインの部分を細胞内に発現することのみが必要である。例えば、ジェンバンク受託番号NP_036370を有する野生型SIRT1と異なるタンパク質は、好ましくは、そのコア構造を含む。コア構造は、ジェンバンク受託番号NM_012238のヌクレオチド237から932によりコードされるジェンバンク受託番号NP_036370のアミノ酸62−293を意味することがあるが、それは、NAD結合ドメインならびに基質結合ドメインを包含する。SIRT1のコアドメインは、ジェンバンク受託番号NM_012238のヌクレオチド834から1394によりコードされるジェンバンク受託番号NP_036370の約アミノ酸261から447、ジェンバンク受託番号NM_012238のヌクレオチド777から1532によりコードされる、ジェンバンク受託番号NP_036370の約アミノ酸242から493、またはジェンバンク受託番号NM_012238のヌクレオチド813から1538によりコードされるジェンバンク受託番号NP_036370の約アミノ酸254から495を指すことがある。タンパク質が、生物学的機能、例えば、脱アセチル化能力を保持するかどうかは、当分野において公知である方法により決定できる。
特定の実施形態において、サーチュイン調節化合物を使用して疾病または疾患を低減、予防、または治療する方法は、ヒトSIRT1、SIRT2、および/またはSIRT3、もしくはそのホモログなどのサーチュインのタンパク質レベルを低下させることも含んでなることがある。サーチュインタンパク質レベルを低下させることは、当分野において公知である方法により達成できる。例えば、siRNA、アンチセンス核酸、またはサーチュインを標的とするリボザイムを、細胞内に発現させることができる。優性阻害型サーチュイン変異体、例えば、脱アセチル化できない変異体も使用できる。例えば、Luo et al. (2001) Cell 107:137に記載されているSIRT1のH363Y変異体を使用できる。あるいは、転写を阻害する薬剤を使用できる。
サーチュインタンパク質レベルを調節する方法は、サーチュインをコードする遺伝子の転写を調節する方法、対応するmRNAを安定化/不安定化する方法、および当分野において公知である方法も含む。
加齢/ストレス
一実施形態において、本発明は、細胞を、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させる本発明のサーチュイン調節化合物に接触させることにより、細胞の寿命を延ばし、細胞の増殖能力を高め、細胞の加齢を減速させ、細胞の生存を促進し、細胞中の細胞老化を遅らせ、カロリー制限の効果を模倣し、ストレスに対する細胞の耐性を増加させ、あるいは、細胞のアポトーシスを阻害する方法を提供する。好ましい実施形態において、前記方法は、細胞をサーチュイン調節化合物と接触させることを含んでなる。
本明細書に記載される方法を利用して、細胞、特に初代細胞(すなわち、生物、例えば、ヒトから得られた細胞)が、細胞培養中で生き続ける時間の量を増加させることができる。胚性幹(ES)細胞および多能性細胞、ならびにそれから分化した細胞を、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物により処理して、細胞またはその子孫を培養中に、より長期間維持することができる。そのような細胞は、例えば、エクスビボ修飾の後に、対象への移植にも使用できる。
一面において、長期間保存されることが意図される細胞を、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物により処理できる。細胞は、懸濁していても(例えば、血球、血清、生物学的培地など)、組織または臓器中でもよい。例えば、輸血の目的で個人から集められた血液を、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物により処理して、血球をより長期間保存できる。さらに、法医学目的で使用されるべき血液も、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を利用して保存できる。寿命を延ばすため、またはアポトーシスから保護するために処理できる他の細胞には、消費のための細胞、例えば、非ヒト哺乳動物由来の細胞(肉など)または植物細胞(野菜など)がある。
サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、発生および/または成長プロセスを、例えば、変化させ、妨げ、または加速させるために、哺乳動物、植物、昆虫、または微生物の発生および成長段階の間にも適用できる。
他の面において、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を使用して、例えば、固形組織移植片、臓器移植、細胞懸濁液、幹細胞、骨髄細胞などを含む移植または細胞療法に有用な細胞を処理できる。前記細胞または組織は、自家移植片でも、同種異系移植片でも、同系移植片でも、異種移植片でもよい。細胞または組織は、サーチュイン調節化合物により、対象への投与/移植の前でも、投与/移植と同時にでも、投与/移植の後にでも処理できる。細胞または組織は、ドナー個人から細胞を除去する前にも、ドナー個人からの細胞または組織を除去した後のエクスビボでも、レシピエントへの移植後にも処理できる。例えば、ドナーまたはレシピエント個人を、サーチュイン調節化合物により全身治療しても、細胞/組織のサブセットが、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物により局所的に処理されてもよい。特定の実施形態において、細胞または組織(またはドナー/レシピエント個人)を、例えば、免疫抑制剤、サイトカイン、血管新生因子など、移植片の生存を長くするのに有用な他の治療剤により、さらに処理してもよい。
さらに他の実施形態において、細胞をインビボでサーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物により処理して、例えば、その寿命を延ばすことも、アポトーシスを予防することもできる。例えば、皮膚または上皮細胞をサーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物により処理することにより、皮膚を加齢(例えば、しわの発生、弾力性の喪失など)から保護できる。例示的な実施形態において、皮膚を、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を含んでなる医薬組成物または化粧品組成物と接触させる。本明細書に記載される方法により治療できる例示的な皮膚の病気または皮膚の状態には、炎症に関連するか、もしくは炎症により起こる疾患もしくは疾病、日光による損傷、または自然な加齢がある。例えば、前記組成物は、接触性皮膚炎(刺激性接触皮膚炎およびアレルギー性接触皮膚炎を含む)、アトピー性皮膚炎(アレルギー性湿疹としても知られる)、日光角化症、角化疾患(湿疹を含む)、表皮水疱症(天疱瘡を含む)、剥脱性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、紅斑(多形紅斑および結節性紅斑を含む)、日光または他の光源により起こる損傷、円板状紅斑性狼蒼、皮膚筋炎、乾癬、皮膚癌、および自然な加齢の作用の予防または治療に有用である。他の実施形態において、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、例えば、第一度、第二度、もしくは第三度火傷および/または熱傷、化学火傷、もしくは電気熱傷を含む、傷および/または火傷の治療に利用して治癒を促進できる。前記製剤は、局所的に、皮膚または粘膜組織に投与できる。
サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させる1種以上のサーチュイン調節化合物を含んでなる局所製剤は、予防組成物として、例えば、化学予防組成物としても使用できる。化学予防的な方法に使用される場合、病気になりやすい皮膚は、特定の個人における目に見える病態の前に処理される。
サーチュイン調節化合物は、局所的にも、全身的にも対象に送達できる。特定の実施形態において、サーチュイン調節化合物は、注射、局所製剤などにより、対象の組織または臓器に局所的に送達される。
他の実施形態において、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、対象の細胞の老化により誘導または悪化する疾病または病態を治療または予防するために、例えば、老化の始まりの後、対象の老化の速度を低下させる方法、対象の寿命を延ばす方法、寿命に関連する疾病または病態を治療または予防する方法、細胞の増殖能力に関連する疾病または病態を治療または予防する方法、および細胞の損傷または細胞死から生じる疾病または病態を治療または予防する方法に利用できる。特定の実施形態において、前記方法は、対象の寿命を短くする疾病の発生率を低下させることにより作用するのではない。特定の実施形態において、方法は、癌などの疾病により起こる致死率を低下させることにより作用するのではない。
さらに他の実施形態において、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、全般に対象の細胞の寿命を増加させ、その細胞をストレスおよび/またはアポトーシスに対して保護するために、対象に投与することができる。本明細書に記載される化合物による対象の治療は、ホルミシス、すなわち生物にとって有益で、その寿命を延ばし得る軽度のストレスに対象を曝すことに類似であると考えられている。
サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を対象に投与して、脳卒中、心臓病、心不全、関節炎、高血圧、およびアルツハイマー病などの加齢および加齢関連の結果または疾病を予防できる。治療可能な他の病態には、例えば、眼の加齢に関連する眼疾患、白内障、緑内障、および黄斑変性などがある。サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を、細胞を細胞死から保護するために、疾病、例えば、細胞死に関連する慢性病などの治療のためにも対象に投与できる。例示的な疾病には、神経細胞の死、ニューロン機能不全、または筋細胞の死もしくは機能不全に関連するもの、例えば、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、および筋ジストロフィー、AIDS、劇症肝炎、脳の変性に関連した疾病、例えば、クロイツフェルト・ヤコブ病(Creutzfeld−Jakob disease)、色素性網膜炎、および小脳変性症、再生不良性貧血などの骨髄形成異常、心筋梗塞および脳卒中などの虚血性疾患、アルコール性肝炎、B型肝炎、およびC型肝炎などの肝臓病、変形性関節症などの関節病、アテローム性動脈硬化、脱毛症、紫外線による皮膚に対する損傷、扁平苔癬、皮膚の萎縮、白内障、および移植片拒絶がある。細胞死は、手術、薬物療法、化学曝露、または放射線曝露によっても起こり得る。
サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、急性の疾病、例えば、臓器もしくは組織に対する損傷を患っている対象、例えば、脳卒中もしくは心筋梗塞を患っている対象、または脊髄損傷を患っている対象にも投与できる。サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、アルコール依存症患者の肝臓の修復にも利用できる。
心血管疾患
他の実施形態において、本発明は、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を、その必要のある対象に投与することによる、心血管疾患を治療および/または予防する方法を提供する。
サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を利用して治療または予防できる心血管疾患には、心筋症または心筋炎、特発性心筋症、代謝性心筋症、アルコール性心筋症、薬剤性心筋症、虚血性心筋症、および高血圧性心筋症などがある。本明細書に記載される化合物および方法を利用して治療可能または予防可能なのは、大動脈、冠動脈、頸動脈、脳血管動脈、腎動脈、腸骨動脈、大腿動脈、および膝窩動脈などの主要血管のアテローム性疾患(大血管疾患)である。治療または予防可能な他の血管病には、血小板凝集、網膜細動脈、糸球体細動脈、神経の脈管、心臓細動脈、および関連する目、腎臓、心臓の毛細血管床、ならびに中枢神経および末梢神経系に関するものがある。サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、個人の血漿中のHDLレベルを上昇させるのにも利用できる。
サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物により治療できるさらに他の疾患には、例えば、冠動脈介入後の再狭窄、ならびに高密度および低密度コレステロールの異常なレベルに関連する疾患がある。
特定の実施形態において、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、他の心血管薬剤との併用療法の一部として投与され得る。特定の実施形態において、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、抗不整脈剤との併用療法の一部として投与され得る。他の実施形態において、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、他の心血管薬剤との併用療法の一部として投与され得る。
細胞死/癌
サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を、ある線量の放射線または毒素を最近受け取ったか、受け取る可能性のある対象に投与できる。特定の実施形態において、その線量の放射線または毒素は、業務関連または医療処置の一部として受け取られ、例えば、予防的手段として投与される。他の実施形態において、放射線または毒素曝露は、誤って受け取られる。そのような場合、前記化合物は、好ましくは、アポトーシスおよびその後の急性放射線症候群の発生を抑制するために、曝露の後にできるだけ早く投与される。
サーチュイン調節化合物は、癌の治療および/または予防に利用できる。特定の実施形態において、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、癌の治療および/または予防にも利用できる。カロリー制限は、癌を含む加齢関連疾患の発生の低減に関連してきた。従って、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性の増加は、例えば癌などの加齢関連疾患の発生を治療および/または予防するのにも有用になり得る。サーチュイン調節化合物を使用して治療できる例示的な癌は、脳と腎臓の癌、乳癌、前立腺癌、精巣癌、および卵巣癌を含むホルモン依存性癌、リンパ腫および白血病である。固形腫瘍に関連する癌において、調節化合物を、腫瘍中に直接投与できる。血球の癌、例えば、白血病は、調節化合物を血流中に、または骨髄に投与することにより治療できる。良性の細胞増殖、例えば、いぼも治療できる。治療可能な他の疾病には、自己免疫疾患、例えば、自己免疫細胞が除去されるべき全身性エリテマトーデス、強皮症、および関節炎がある。ヘルペス、HIV、アデノウイルス、ならびにHTLV−1関連の悪性および良性の疾患などのウイルス感染もサーチュイン調節化合物の投与により治療できる。あるいは、細胞を、対象から得て、エクスビボで処理して望ましくない細胞、例えば癌細胞を除き、同じ対象または異なる対象に戻して投与することができる。
化学療法剤を、抗癌活性を有すると本明細書に記載される調節化合物、例えば、アポトーシスを誘導する化合物、寿命を短くする化合物、または細胞をストレスに対して敏感にさせる化合物と同時投与してもよい。化学療法剤を、細胞死を誘導し、または寿命を短くし、またはストレスに対する感受性を増加させると本明細書に記載されているサーチュイン調節化合物と共に単独で使用することができ、かつ/または他の化学療法剤と組み合わせて使用できる。
従来の化学療法剤に加えて、本明細書に記載されるサーチュイン調節化合物を、アンチセンスRNA、RNAi、または他のポリヌクレオチドと共に使用して、望ましくない細胞増殖の一因となる細胞成分の発現を阻害できる。
サーチュイン調節化合物および従来の化学療法剤を含んでなる併用療法は、当分野において公知である併用療法よりも有利になり得るが、その理由は、組み合わせにより、従来の化学療法剤がより低い用量でより大きな効果を発揮できるからである。好ましい実施形態において、サーチュイン調節化合物と組み合わせて使用される場合、化学療法剤または複数の従来の化学療法剤の組み合わせの有効量(ED50)は、化学療法剤単独のED50の少なくとも2分の1、さらにより好ましくは5分の1、10分の1、またはさらには25分の1である。逆に、本明細書に記載されるサーチュイン調節化合物と組み合わせて使用される場合、そのような化学療法剤またはそのような複数の化学療法剤の組み合わせの治療指数(TI)は、従来の化学療法投薬計画単独のTIの少なくとも2倍、さらにより好ましくは5倍、10倍、またはさらには25倍になり得る。
(ニューロン病/疾患)
特定の面において、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を使用して、神経変性疾患、および中枢神経系(CNS)、脊髄、または末梢神経系(PNS)に対する外傷性または機械的損傷を患っている患者を治療できる。神経変性疾患は、典型的には、ヒトの脳の質量および体積の減少を含むが、これは脳細胞の萎縮および/または死によることがあり、加齢に起因する健康な人間のものよりもはるかに顕著である。神経変性疾患は、特定の脳の領域の進行性の変性(例えば、神経細胞機能不全および死)により、長期間の正常な脳の機能の後に徐々に発展し得る。あるいは、神経変性疾患は、外傷または毒素に関連するものなど急速な発症を有することがある。脳の変性の実際の発症は、臨床的な表現よりも何年も前であることがある。神経変性疾患の例には、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、ハンチントン病(HD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS、ルー・ゲーリッグ病)、びまん性レビー小体病、舞踏病有棘赤血球症、原発性側索硬化症、眼病(眼性神経炎)、化学療法誘導性神経障害(例えば、ビンクリスチン、パクリタキセル、ボルテゾミブから)、糖尿病誘発性神経障害およびフリードライヒ運動失調症があるが、これらに限定されない。サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、これらの疾患および以下に記載される他の疾患の治療に使用できる。
ADは、記憶喪失、異常行動、人格変化、および思考能力の低下をもたらすCNS疾患である。これらの喪失は、特定な種類の脳細胞の死およびそれらの間の結合および支持するネットワーク(例えば、グリア細胞)の破壊に関連している。初期の症状には、近時記憶の喪失、不完全な判断、および人格の変化がある。PDは、制御不能な体の動き、硬直、震戦、および運動障害をもたらすCNS疾患であり、ドーパミンを産生する脳の領域における脳細胞の死に関連している。ALS(運動ニューロン病)は、脳を骨格筋とつなぐCNSの要素である運動ニューロンを冒すCNS疾患である。
HDは、制御不能な動き、知能の喪失、および情緒障害を起こす、もう一つの神経変性疾患である。ティ・サックス病およびサンドホフ病は、GM2ガングリオシドおよびβ−ヘキソサミニダーゼの関連糖脂質基質が神経系中に蓄積し、急性の神経変性を引き起こす糖脂質蓄積病である。
アポトーシスが免疫系におけるAIDSの病因に重要な役割を果たしていることは周知である。しかし、HIV−1は神経性疾患も誘発し、これは本発明のサーチュイン調節化合物により治療できる。
ニューロン喪失は、ヒトのクロイツフェルト・ヤコブ病、畜牛のBSE(狂牛病)、ヒツジおよびヤギのスクレイピー病、ネコの猫海綿状脳症(FSE)などのプリオン病の顕著な特徴である。サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、これら上記疾病によるニューロン喪失の治療または予防に有用になり得る。
他の実施形態において、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を使用して、軸索障害を含む疾病または疾患を治療または予防できる。遠位軸索障害は、末梢神経系(PNS)ニューロンの代謝性または毒性の障害から生じる1種の末梢神経障害である。それは、代謝性または毒性の障害に対する神経のもっともよくみられる反応であり、それ自体、糖尿病などの代謝性疾患、腎不全、栄養失調およびアルコール依存症などの欠乏症候群によっても、毒物または薬物の作用によっても起こり得る。遠位軸索障害の人間は、通常、対称的なグローブストッキング状感覚運動障害を呈する。患部では、深部腱反射および自律神経系(ANS)機能も失われるか、または低下する。
糖尿病性神経障害は、糖尿病に関連する神経障害疾患である。糖尿病性神経障害に関連し得る、比較的よくみられる病態には、第3脳神経麻痺、単神経障害、多発性単神経炎、糖尿病性筋委縮症、有痛性の多発性神経障害、自律神経障害、および胸腹神経障害がある。
末梢神経障害は末梢神経系の神経の損傷の医学的用語であり、神経の疾病によっても、全身性の病気の副作用からも起こり得る。末梢神経障害の主な原因は、発作、栄養欠乏、HIVであるが、糖尿病が最もあり得る原因である。
例示的な実施形態において、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を使用して、再発性MSおよび単一症状MSを含む多発性硬化症(MS)ならびに他の脱髄性疾患、例えば、慢性炎症性脱髄性神経障害(CIDP)など、またはそれに関連する症状を治療または予防できる。
さらに他の実施形態において、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を使用して、神経に対する外傷、例えば、疾病による外傷、創傷(外科的処置含む)、または環境的な外傷(例えば、神経毒、アルコール依存症など)を治療できる。
サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、種々のPNS疾患の症状を予防、治療、または緩和するのにも有用になり得る。用語「末梢神経障害」は、脳および脊髄以外の神経−末梢神経−が損傷を受けた幅広い疾患を包含する。末梢神経障害は末梢神経炎とも称されることがあり、多くの神経が関与している場合、用語多発性神経障害または多発神経炎が使用されることがある。
サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物により治療可能なPNS疾患には、下記がある:糖尿病、ハンセン病、シャルコー・マリー・ツース病、ギラン・バレー症候群、および腕神経叢神経障害(頸部および胸髄神経根、神経幹、索、および腕神経叢の末梢神経性神経成分の疾患)。
他の実施形態において、サーチュイン調節化合物を使用して、ポリグルタミン病を治療または予防できる。例示的なポリグルタミン病には、球脊髄性筋萎縮(ケネディー病)、ハンチントン病(HD)、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(ホー・リバー症候群)、脊髄小脳性運動失調症1型、脊髄小脳性運動失調症2型、脊髄小脳性運動失調症3型(マシャド・ジョセフ病)、脊髄小脳性運動失調症6型、脊髄小脳性運動失調症7型、および脊髄小脳性運動失調症17型がある。
特定の実施形態において、本発明は、中枢神経系細胞を治療して、細胞に対する血流の低下に反応する損傷を予防する方法を提供する。典型的には、予防され得る損傷の重症度は、主に、細胞への血流の低下の程度および低下の期間によるだろう。特定の実施形態において、アポトーシス性または壊死性の細胞死が予防され得る。なおさらなる実施形態において、細胞毒性浮腫または中枢神経系組織無酸素症などの虚血性媒介損傷が予防され得る。各実施形態において、中枢神経系細胞は、脊髄細胞でも、脳細胞でもよい。
他の面は、サーチュイン調節化合物を対象に投与して、中枢神経系虚血性病態を治療することを包含する。いくつかの中枢神経系虚血性病態は、本明細書に記載されるサーチュイン調節化合物により治療できる。特定の実施形態において、虚血性病態は、アポトーシス性もしくは壊死性細胞死、細胞毒性浮腫、または中枢神経系組織無酸素症などのあらゆる種類の虚血性中枢神経系損傷をもたらす脳卒中である。脳卒中は脳のどの領域にも影響を与えることがあり、脳卒中を発生させると通常知られているどの病因によっても起こり得る。この実施形態の一代替において、脳卒中は脳幹脳卒中である。この実施形態の他の代替において、脳卒中は小脳の脳卒中である。さらに他の実施形態において、脳卒中は塞栓症脳卒中である。さらに他の代替において、脳卒中は出血性脳卒中である。さらなる実施形態において、脳卒中は血栓性脳卒中である。
さらに他の面において、サーチュイン調節化合物を、中枢神経系虚血性病態の後の虚血中心部の梗塞の大きさを低下させるために投与できる。さらに、サーチュイン調節化合物を、中枢神経系虚血性病態の後の虚血周辺または移行領域の大きさを低下させるためにも、有益に投与できる。
特定の実施形態において、配合剤投薬計画は、神経変性疾患またはこれらの疾患に関連した二次病態の治療または予防のための薬物または化合物を含み得る。そのため、配合剤投薬計画は、1種以上のサーチュインアクチベーターおよび1種以上の抗神経変性剤を含み得る。
血液凝固疾患
他の面において、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を使用して、血液凝固疾患(または止血障害)を治療または予防することができる。本明細書で交換可能に使用されるとおり、「止血」、「血液凝固(blood coagulation)」、および「血液凝固(blood clotting)」は、血管収縮および凝固の生理学的性質を含む、出血の制御を意味する。血液凝固は、創傷、炎症、疾病、先天異常、機能不全、および他の混乱の後、哺乳動物の循環の完全性を維持することを支援する。さらに、血餅の形成は、創傷の場合に出血を制限するだけでなく(止血)、重要な動脈または静脈の閉塞により、アテローム硬化性疾患の状況において重篤な臓器損傷および死をもたらし得る。このように、血栓症は、間違った時間および場所での血餅形成である。
従って、本発明は、心筋梗塞、脳卒中、末梢動脈の病気による手足の喪失または肺動脈塞栓症などの血液凝固疾患を予防または治療するために、血餅の形成を阻害する目的で抗凝固および抗血栓症治療を提供する。
本明細書で交換可能に使用されるとおり、「止血を調節することまたは止血の調節」および「止血を制御することまたは止血の制御」は、止血の誘導(例えば、刺激または増加)、ならびに止血の阻害(例えば、低下または減少)を含む。
一面において、本発明は、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を投与することにより、対象における止血を低減または阻害する方法を提供する。本明細書に開示される組成物および方法は、血栓性疾患の治療または予防に有用である。本明細書では、用語「血栓性疾患」は、過剰もしくは望まれない凝固または止血活性、または凝固性亢進状態により特徴づけられる、どのような疾患または病態も含む。血栓性疾患は、血小板密着および血栓形成を含む疾病または疾患を含み、血栓を形成する傾向の増加、例えば、血栓の数の増加、若年での血栓症、血栓症になる家族的な傾向、および普通でない部位での血栓症として現れることがある。
他の実施形態において、配合剤投薬計画は、血液凝固疾患またはこれらの病態に関連した二次病態の治療または予防のための薬物または化合物を含み得る。そのため、配合剤投薬計画は、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させる1種以上のサーチュイン調節化合物および1種以上の抗凝固剤または抗血栓症剤を含み得る。
体重制限
他の面において、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を、対象の体重増加または肥満を治療または予防するために使用してもよい。例えば、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を使用して、例えば、遺伝性肥満、食事による肥満、ホルモンが関連する肥満、薬の投与に関連する肥満を治療または予防し、対象の体重を減らし、または対象における体重増加を減少又は予防できる。そのような治療が必要な対象は、肥満であり、肥満になる可能性があり、体重過多であり、体重過多になる可能性がある対象であり得る。肥満または体重過多になる可能性がある対象は、たとえば、家族歴、遺伝、食事、活動レベル、薬の摂取、またはこれらの種々の組合せに基づいて特定することができる。
さらに他の実施形態において、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を、対象の体重減少を促進して治療または予防可能な種々の他の疾病および疾患を患っている対象に投与できる。そのような疾病には、例えば、高血圧(high blood pressure)、高血圧(hypertension)、高血中コレステロール、脂質異常症、2型糖尿病、インスリン抵抗性、耐糖能障害、高インスリン血症、冠動脈性心疾患、狭心症、鬱血性心不全、脳卒中、胆石、胆嚢炎および胆石症、痛風、変形性関節症、閉塞性睡眠時無呼吸、および呼吸器病、ある種の癌(子宮内膜、乳房、前立腺、および結腸など)、妊娠の合併症、女性の性と生殖に関する健康の低下(月経不順、不妊、不規則な排卵など)、膀胱の制御問題(ストレス性失禁など)、尿酸腎結石症、精神障害(うつ病、摂食障害、体型に関する間違ったイメージ、および低い自尊心など)がある。最後に、AIDS患者は、AIDSの併用療法に対する反応でリポジストロフィーまたはインスリン抵抗性を起こすことがある。
他の実施形態において、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を、インビトロでもインビボでも、脂肪形成または脂肪細胞分化の阻害に使用できる。そのような方法は、肥満の治療または予防に利用できる。
他の実施形態において、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を、食欲の低減および/または飽満の増加に使用して、それにより体重減少を起こし、または体重増加を避けることができる。そのような治療を必要とする対象は、体重過多、肥満である対象、または体重過多もしくは肥満になりそうな対象であり得る。前記方法は、毎日、または一日おき、または週に一度、例えば、丸剤の形態の投与量を対象に投与することを含んでなることがある。前記投与量は、「食欲を低減する投与量」であり得る。
例示的な実施形態において、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を、体重増加または肥満を治療または予防するための併用療法として投与してもよい。例えば、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させる1種以上のサーチュイン調節化合物を、1種以上の抗肥満剤と組み合わせて投与してもよい。
他の実施形態において、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を投与して、薬物が誘発する体重増加を低減できる。例えば、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を、食欲を刺激し、または体重増加、特に水分貯留以外の因子による体重増加を起こし得る医薬品と共に併用療法として投与できる。
代謝疾患/糖尿病
他の面において、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、インスリン抵抗性、前糖尿病性状態、II型糖尿病、および/またはこれらの合併症などの代謝疾患の治療または予防に利用できる。サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物の投与は、対象のインスリン感受性を高め、かつ/またはインスリンレベルを低下させ得る。そのような治療を必要とする対象は、インスリン抵抗性もしくは他のII型糖尿病の前駆症状を有する対象、II型糖尿病の対象、またはこれら病態のいずれかを発症しそうな対象であり得る。例えば、対象は、インスリン抵抗性を有する対象、例えば、インスリンの高い循環レベルならびに/または関連する病態、例えば、高脂血症、脂肪生成不全(dyslipogenesis)、高コレステロール血症、耐糖能異常、高血糖レベル、シンドロームXの他の発現、高血圧、アテローム性動脈硬化、およびリポジストロフィーなどを有する対象であり得る。
好ましい実施形態において、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、代謝疾患を治療または予防するための併用療法として投与できる。例えば、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させる1種以上のサーチュイン調節化合物を、1種以上の抗糖尿病剤と組み合わせて投与できる。
炎症性疾患
他の面において、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を使用して、炎症に関連する疾病または疾患を治療または予防できる。サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、炎症の発症の前でも、炎症の開始時でも、炎症の開始の後でも投与してもよい。予防的に使用される場合、化合物は、好ましくは炎症性の反応または症状の前に与えられる。化合物の投与により、炎症性反応または症状を予防または弱めることができる。
他の実施形態において、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を使用して、喘息、気管支炎、肺線維症、アレルギー性鼻炎、酸素毒性、肺気腫、慢性気管支炎、急性呼吸窮迫症候群、および任意の慢性閉塞性肺疾患(COPD)を含むアレルギーおよび呼吸器病態を治療または予防できる。前記化合物を使用して、B型肝炎およびC型肝炎を含む慢性肝炎感染を治療できる。
さらに、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を使用して、自己免疫疾患および/または自己免疫疾患に関連する炎症、例えば関節リウマチ、乾癬性関節炎、および強直性脊椎炎を含む関節炎、ならびに臓器組織自己免疫疾患(例えば、レイノー症候群)、潰瘍性大腸炎、クローン病、口腔粘膜炎、強皮症、重症筋無力症、移植片拒絶、内毒素ショック、敗血症、乾癬、湿疹、皮膚炎、多発性硬化症、自己免疫甲状腺炎、ブドウ膜炎、全身性エリテマトーデス、アジソン病、多腺性自己免疫病(自己免疫性多腺性症候群としても知られる)、グレーブス病を治療できる。
特定の実施形態において、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させる1種以上のサーチュイン調節化合物を、単独でも、炎症の治療または予防に有用な他の化合物と組み合わせても服用できる。
潮紅
他の面において、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を、疾患の症状である潮紅および/またはほてりの発生または重症度を低減するために使用できる。例えば、主題方法は、単独または他の薬剤と組み合わせた、癌患者の潮紅および/またはほてりの発生または重症度を低減するための、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物の使用を含む。他の実施形態において、前記方法は、閉経期および閉経後の女性の潮紅および/またはほてりの発生または重症度を低減するための、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物の使用を提供する。
他の面において、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を、他の薬物療法の副作用、例えば薬物誘発性潮紅である、潮紅および/またはほてりの発生または重症度を低減するための療法として利用できる。特定の実施形態において、薬物誘発性潮紅を治療および/または予防する方法は、その必要がある患者に、少なくとも1種の潮紅誘発性化合物およびサーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させる少なくとも1種のサーチュイン調節化合物を含んでなる製剤を投与することを含んでなる。他の実施形態において、薬物誘発性潮紅を治療する方法は、例えば、サーチュイン調節化合物および潮紅誘発性薬剤が同じ組成物に製剤されなかった場合の、1種以上の潮紅を誘発する化合物および1種以上のサーチュイン調節化合物を別々に投与することを含んでなる。別々な製剤を利用する場合、サーチュイン調節化合物は、(1)潮紅誘発性薬剤の投与と同時に、(2)潮紅誘発性薬剤と間欠的に、(3)潮紅誘発性薬剤の投与とずらして、(4)潮紅誘発性薬剤の投与の前に、(5)潮紅誘発性薬剤の投与の後に、かつ(6)これらの種々の組み合わせで投与できる。例示的な潮紅誘発性薬剤には、例えば、ナイアシン、ラロキシフェン、抗うつ剤、抗精神病薬、化学療法薬、カルシウムチャネルブロッカー、および抗生物質がある。
特定の実施形態において、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を使用して、血管拡張剤または高脂血症薬(高コレステロール薬および脂肪作用薬を含む)の潮紅副作用を低減できる。好ましい実施形態において、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を使用して、ナイアシンの投与に関連した潮紅を低減できる。
他の実施形態において、本発明は、潮紅副作用を低減しながら高脂血症を治療または予防する方法を提供する。他の代表的な実施形態において、前記方法は、ラロキシフェンの潮紅副作用を低減するための、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物の使用を含む。他の代表的な実施形態において、前記方法は、抗うつ剤または抗精神病剤の潮紅副作用を低減するための、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物の使用を含む。例えば、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を、セロトニン再取込み阻害剤、または5HT2受容体拮抗剤と組み合わせて(別々または一緒に投与)使用できる。
特定の実施形態において、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を、セロトニン再取込み阻害剤(SRI)による治療の一部として使用して、潮紅を低減できる。さらに他の代表的な実施形態において、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を使用して、シクロホスファミドおよびタモキシフェンなどの化学療法剤の潮紅副作用を低減できる。
他の実施形態において、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を使用して、アムロジピンなどのカルシウムチャネルブロッカーの潮紅副作用を低減できる。
他の実施形態において、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を使用して、抗生物質の潮紅副作用を低減できる。例えば、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物をレボフロキサシンと組み合わせて使用できる。
眼疾患
本発明の一面は、本明細書に開示される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ、もしくは代謝誘導体から選択される、治療用量のサーチュイン調節因子を患者に投与することにより、視力障害を阻害し、低減し、または他の方法で治療する方法である。
本発明の特定の面において、視力障害は、視神経または中枢神経系の損傷によりおこる。特定の実施形態において、視神経損傷は、緑内障により作られるものなど、高い眼内圧により起こる。他の特定の実施形態において、視神経損傷は視神経の腫脹により起こり、それは、感染または視神経炎などの免疫(例えば自己免疫)反応にしばしば関連する。
本発明の特定の面において、視力障害は網膜損傷により起こる。特定の実施形態において、網膜損傷は、眼への血流の障害により起こる(例えば、動脈硬化症、血管炎)。特定の実施形態において、網膜損傷は、黄斑の障害により起こる(例えば、滲出性または非滲出性の黄斑変性)。
例示的な網膜疾病には、滲出性の加齢黄斑変性、非滲出性加齢黄斑変性、電子人工網膜(Retinal Electronic Prosthesis)およびRPE移植加齢黄斑変性、急性多発性斑状色素上皮症、急性網膜壊死、ベスト病、網膜動脈分岐閉塞、網膜静脈分岐閉塞、癌に伴い関連する自己免疫網膜症、網膜中心動脈閉塞、網膜中心静脈閉塞、中心性漿液性脈絡網膜症、イールズ病、黄斑上膜、格子状変性、細動脈瘤、糖尿病性黄斑浮腫、アーヴァイン・ガス黄斑浮腫、黄斑円孔、網膜下新生血管膜、びまん性片側性亜急性視神経網膜炎、非偽水晶体嚢胞様黄斑浮腫(Nonpseudophakic Cystoid Macular Edema)、推定眼ヒストプラスマ症候群、滲出性網膜剥離、術後網膜剥離、増殖性網膜剥離、裂孔原性網膜剥離、牽引性網膜剥離、色素性網膜炎、CMV網膜炎、網膜芽細胞腫、未熟児網膜症、散弾状(Birdshot)網膜症、背景糖尿病性網膜症、増殖性糖尿病性網膜症、ヘモグロビン異常症性網膜症、プルチェル網膜症、バルサルバ網膜症、若年性網膜分離症、老年性網膜分離症、テルソン症候群、および白点症候群がある。
他の例示的な疾病には、眼の細菌感染(例えば、結膜炎、角膜炎、結核、梅毒、淋病)、ウイルス感染(例えば、眼単純ヘルペスウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス網膜炎、ヒト免疫不全ウイルス(HIV))、ならびにHIVまたは他のHIV関連疾患に付随する進行性網膜外層性壊死および他の免疫不全関連眼疾病がある。さらに、眼疾患には、真菌感染(例えば、カンジダ脈絡膜炎、ヒストプラスマ症)、原虫感染(例えば、トキソプラズマ症)、ならびに眼トキソカラ症およびサルコイドーシスなど他のものがある。
本発明の一面は、化学療法薬(例えば、神経毒性薬、またはステロイドなど眼内圧を上げる薬物)による治療を受けている対象の視力障害を抑え、低減し、または治療する方法であって、そのような治療を必要とする対象に、本明細書に開示される治療用量のサーチュイン調節因子を投与することによる方法である。
本発明の他の面は、眼の手術または脊髄手術などうつぶせの姿勢で実施される他の手術を含む手術を受ける患者の視力障害を抑え、低減し、治療する方法であって、そのような治療を必要とする対象に、本明細書に開示される治療用量のサーチュイン調節因子を投与することによる方法である。目の手術には、白内障、虹彩切開、およびレンズ交換がある。
本発明の他の面は、白内障、ドライアイ、加齢黄斑変性(AMD)、網膜損傷などを含む加齢関連眼疾患の抑制および予防的な治療を含む治療であって、そのような治療を必要とする対象に、本明細書に開示される治療用量のサーチュイン調節因子を投与することによる治療である。
本発明の他の面は、ストレス、化学的損傷、または放射線により起こる眼の損傷の予防または治療であって、そのような治療を必要とする対象に、本明細書に開示される治療用量のサーチュイン調節因子を投与することによる予防または治療である。目に対する放射線または電磁気的損傷には、CRTにより起こるものまたは日光もしくは紫外線への曝露を含み得る。
特定の実施形態において、配合剤投薬計画は、眼疾患またはこれらの疾患に関連する二次的病態の治療または予防のための薬物または化合物を含み得る。そのため、配合剤投薬計画は、1種以上のサーチュインアクチベーターおよび眼疾患の治療のための1種以上の治療剤を含み得る。
特定の実施形態において、サーチュイン調節因子は、眼内圧を低下させる療法と組み合わせて投与できる。他の実施形態において、サーチュイン調節因子は、緑内障を治療および/または予防する療法と組み合わせて投与できる。さらに他の実施形態において、サーチュイン調節因子は、視神経炎を治療および/または予防する療法と組み合わせて投与できる。特定の実施形態において、サーチュイン調節因子は、CMV網膜症を治療および/または予防する療法と組み合わせて投与できる。他の実施形態において、サーチュイン調節因子は、多発性硬化症を治療および/または予防する療法と組み合わせて投与できる。
ミトコンドリア関連疾病および疾患
特定の実施形態において、本発明は、増加したミトコンドリア活性から利益を得るだろう疾病または疾患を治療する方法を提供する。前記方法は、その必要のある対象に、治療上有効な量のサーチュイン調節化合物を投与することを含む。増加したミトコンドリア活性は、ミトコンドリアの全体数(例えば、ミトコンドリア質量)を維持しながらミトコンドリアの活性を増加させること、ミトコンドリアの数を増やしてそれによりミトコンドリア活性を増加させること(例えば、ミトコンドリア生合成の刺激により)、またはこれらの組み合わせを意味する。特定の実施形態において、増加したミトコンドリア活性から利益を得るだろう疾病および疾患には、ミトコンドリア機能不全に関連する疾病または疾患がある。
特定の実施形態において、増加したミトコンドリア活性から利益を得るだろう疾病または疾患を治療する方法は、ミトコンドリア機能不全を患っている対象の特定を含んでなることがある。ミトコンドリア機能不全を診断する方法は、分子遺伝学、病理的および/または生化学的分析を含み得る。ミトコンドリア機能不全に関連する疾病および疾患は、ミトコンドリア呼吸鎖活性の欠損が哺乳動物のそのような疾病または疾患の病態生理の進行の一因である疾病および疾患を含む。増加したミトコンドリア活性から利益を得るだろう疾病または疾患には、一般に、例えば、フリーラジカル媒介酸化損傷が組織の変性につながる疾病、細胞が不適切にアポトーシスを受ける疾病、および細胞がアポトーシスを受けられない疾病がある。
特定の実施形態において、本発明は、増加したミトコンドリア活性から利益を得るだろう疾病または疾患を治療する方法であって、その必要のある対象に、1種以上のサーチュイン調節化合物を、他の治療剤、例えば、ミトコンドリア機能不全を治療するのに有用な薬剤、またはミトコンドリア機能不全を含む疾病または疾患に関連する症状を低減するのに有用な薬剤と組み合わせて投与することを含む方法を提供する。
例示的な実施形態において、本発明は、対象に治療上有効な量のサーチュイン調節化合物を投与することにより、増加したミトコンドリア活性から利益を得るだろう疾病または疾患を治療する方法を提供する。例示的な疾病または疾患には、例えば、神経筋疾患(例えば、フリードライヒ運動失調症、筋ジストロフィー、多発性硬化症など)、ニューロンの不安定性の疾患(例えば、発作性疾患、片頭痛など)、発達遅延、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症など)、虚血、腎尿細管性アシドーシス、加齢関連の神経変性および認知の低下、化学療法の疲労、加齢関連もしくは化学療法誘発性の更年期または月経周期もしくは排卵の不規則性、ミトコンドリアミオパチー、ミトコンドリア損傷(例えば、カルシウム蓄積、興奮毒性、一酸化窒素曝露、低酸素症など)、およびミトコンドリアの脱制御がある。
筋ジストロフィーは、神経筋の構造および機能の低下を含む疾病のファミリーを意味し、デュシェンヌ型筋ジストロフィーなどの骨格筋の萎縮および心筋の機能不全を生じることが多い。特定の実施形態において、サーチュイン調節化合物は、筋ジストロフィーの患者の筋機能能力の低下速度を低減するために、かつ筋機能状態を向上させるために利用できる。
特定の実施形態において、サーチュイン調節化合物は、ミトコンドリアミオパチーの治療に有用になり得る。ミトコンドリアミオパチーは、外眼筋のゆっくりと進行する軽度な衰弱から、重症で致死的な乳児型ミオパチーおよび多系統脳筋症(multisystem encephalomyopathies)までがある。いくつかの症候群が定義されてきたが、一部は互いに重複している。筋に影響する確立された症候群には、進行性外眼筋麻痺、カーンズ・セイヤー症候群(眼筋麻痺、色素性網膜症、心臓伝導障害、小脳性運動失調症、および感音難聴を伴う)、MELAS症候群(ミトコンドリア脳筋症、乳酸アシドーシス、および脳卒中様エピソード)、MERFF症候群(ミオクローヌスてんかんおよび赤色ぼろ繊維)、肢帯分布の衰弱、および乳児ミオパチー(良性または重症で致死的)がある。
特定の実施形態において、サーチュイン調節化合物は、カルシウム蓄積、興奮毒性、一酸化窒素曝露、薬物誘発性毒性損傷、または低酸素症による毒性損傷などのミトコンドリアに対する毒性損傷を患っている患者を治療するのに有用になり得る。
特定の実施形態において、サーチュイン調節化合物は、ミトコンドリアの脱制御に関連する疾病または疾患を治療するのに有用になり得る。
筋性能
他の実施形態において、本発明は、治療上有効な量のサーチュイン調節化合物を投与することにより、筋性能を向上させる方法を提供する。例えば、サーチュイン調節化合物は、肉体的持久力(例えば、運動、肉体労働、スポーツ活動などの肉体的作業を実施する能力など)の向上、肉体疲労の抑制または遅延、血中酸素レベルの上昇、健康な個人におけるエネルギーの増大、作業能力および持久力の向上、筋疲労の低下、ストレスの減少、心臓および心血管機能の向上、性的能力の向上、筋ATPレベルの上昇、ならびに/または血中の乳酸の低下に有用になり得る。特定の実施形態において、前記方法は、ミトコンドリア活性を増加させ、ミトコンドリア生合成を増加させ、かつ/またはミトコンドリア質量を増加させる量のサーチュイン調節化合物を投与することを含む。
スポーツ性能は、スポート活動に参加しているときアスリートの筋肉が働く能力をいう。向上したスポーツ性能、強さ、速さ、および持久力は、筋肉の収縮強さの増加、筋収縮の大きさの増加、刺激と収縮の間の筋反応時間の短縮により測定される。アスリートは、任意のレベルのスポーツに参加し、その性能において向上したレベルの強さ、速さ、および持久力を達成することを求める個人を意味し、例えば、ボディビルダー、自転車選手、長距離走者、短距離走者などがある。向上したスポーツ性能は、筋疲労を克服する能力、より長時間活動を維持する能力、およびより効率的な運動を持つ能力により明らかになる。
アスリートの筋性能の領域において、長期間、より高いレベルの抵抗での競争または練習を可能にする状態をつくることが望ましい。
本発明の方法が、急性サルコペニア、例えば、火傷、ベッドでの療養、肢の固定化、または胸部、腹部、および/もしくは整形外科の大きな手術に関連した筋萎縮および/またはカヘキシーを含む筋関連の病的状態の治療にも効果的であることが企図される。
特定の実施形態において、本発明は、サーチュイン調節因子を含んでなる新規の食事組成物、それらの調製方法、およびスポーツ性能の向上のための前記組成物の使用方法を提供する。従って、持久力が要求されるスポーツおよび反復する筋肉の運動が要求される労働を含む、幅広く定義された活動に関与する人々のための、肉体的持久力の向上および/または肉体疲労の抑制の作用を有する治療用組成物、食品、および飲料が提供される。そのような食事組成物は、電解質、カフェイン、ビタミン、炭水化物などをさらに含んでなることがある。
他の用途
サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、ウイルス感染(インフルエンザ、ヘルペス、またはパピローマウイルスによる感染など)を治療もしくは予防するために、または抗真菌剤として使用することができる。特定の実施形態において、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、ウイルス疾患の治療のための他の治療剤との配合剤療法の一部として投与されることがある。他の実施形態において、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、他の抗真菌剤との配合剤療法の一部として投与されることがある。
本明細書に記載のとおり治療され得る対象には、哺乳動物などの真核生物、例えば、ヒト、ヒツジ、ウシ、ウマ、ブタ、イヌ、ネコ、非ヒト霊長類、マウス、およびラットがある。処理され得る細胞には、真核細胞、例えば、上述の対象から得たもの、または植物細胞、酵母細胞、および原核細胞、例えば、細菌細胞がある。例えば、調節化合物は、家畜がその飼養条件により長く耐える能力を高めるために家畜に投与することができる。
サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を使用して、植物の寿命、ストレス耐性、およびアポトーシスに対する抵抗性を増加させることもできる。特定の実施形態において、化合物は、植物に、例えば周期的に適用され、または真菌に適用される。他の実施形態において、植物は、ある化合物を産生するように遺伝子修飾されている。他の実施形態において、植物および果物を、収穫および出荷の前に化合物により処理して、出荷の間の損傷に対する耐性を高めることができる。植物の種を、本明細書に記載される化合物に接触させて、例えば、それらを保存することもできる。
他の実施形態において、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を、酵母細胞の寿命を調節するために使用できる。酵母細胞の寿命を延ばすことが望ましくなり得る状況には、酵母が使用される任意のプロセス、例えば、ビール、ヨーグルト、およびパン類製品、例えば、パンの製造がある。寿命の延びた酵母を使用すると、使用する酵母を減らし、より長期間酵母が活性を持つようにできる。遺伝子組み換えによりタンパク質を産生するのに使用される酵母または他の哺乳動物細胞を、本明細書に記載のとおり処理してもよい。
サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を使用して、昆虫の寿命、ストレス耐性、およびアポトーシスに対する抵抗性を増加させることもできる。この実施形態において、化合物は、有用な昆虫、例えば、ハチおよび植物の受粉に関与する他の昆虫に適用されるだろう。具体的な実施形態において、化合物は、蜂蜜の生産に関与するハチに適用されるだろう。一般的に、本明細書に記載される方法は、どのような生物にも、例えば、商業的に重要な真核生物にも適用できる。例えば、それらは、魚(水産養殖)にも、鳥(例えば、ニワトリおよび家禽)にも適用できる。
サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるより高い投与量のサーチュイン調節化合物を、発現抑制された遺伝子の制御および発生の間のアポトーシスの制御に干渉することにより殺虫剤として使用することもできる。この実施形態において、化合物は、植物に対してではなく昆虫の幼虫に対して化合物が確実にバイオアベイラブルである当分野に公知である方法を利用して、植物に適用できる。
少なくとも生殖と長寿の間の結びつきを鑑みると、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を、昆虫、動物、および微生物などの生物の生殖に影響を与えるように適用できる。
4.アッセイ
本明細書に企図されるさらに他の方法は、サーチュインを調節する化合物または薬剤を同定するスクリーニング方法を含む。薬剤は、アプタマーなどの核酸でもよい。アッセイは、細胞ベースでも、細胞フリーのフォーマットでも実施できる。例えば、アッセイは、サーチュインを調節することが知られている薬剤によりサーチュインが調節され得るような条件下で、サーチュインを試験薬剤と共にインキュベート(または接触)すること、および試験物質の非存在下に比べた試験薬剤の存在下でのサーチュインの調節のレベルをモニタリングまたは決定することを含んでなることがある。サーチュインの調節のレベルは、基質を脱アセチル化するその能力の決定により決定できる。例示的な基質は、BIOMOL(Plymouth Meeting,PA)から得られるアセチル化ペプチドである。好ましい基質には、アセチル化K382を含んでなるものなどのp53のペプチドがある。特に好ましい基質は、Fluor de Lys-SIRT1 (BIOMOL)、すなわちアセチル化ペプチドArg−His−Lys−Lysである。他の基質は、ヒトのヒストンH3およびH4由来のペプチドまたはアセチル化アミノ酸である。基質は蛍光発生性でもよい。サーチュインは、SIRT1でも、Sir2でも、SIRT3でも、これらの一部でもよい。例えば、リコンビナントなSIRT1をBIOMOLから得ることができる。反応を約30分間実施して、例えばニコチンアミドにより停止することができる。HDAC蛍光活性アッセイ/薬物発見キット(AK-500,BIOMOL Research Laboratories)を使用して、アセチル化のレベルを決定できる。類似のアッセイは、Bitterman et al. (2002) J. Biol. Chem. 277:45099に記載されている。アッセイにおけるサーチュインの調節のレベルを、本明細書に記載される1種以上の化合物(別々または同時)の存在下でのサーチュインの調節のレベルと比較することができ、これは陽性対照としても陰性対照としても作用し得る。アッセイに使用するサーチュインは、完全長サーチュインタンパク質でも、その一部でもよい。活性化化合物がSIRT1のN末端と相互作用するらしいことが本明細書に示されたので、アッセイに使用するタンパク質は、サーチュインのN末端部分、例えば、SIRT1の約アミノ酸1−176または1−255、Sir2の約アミノ酸1−174または1−252を含む。
特定の実施形態において、スクリーニングアッセイは、(i)試験薬剤の非存在下でサーチュインがアセチル化された基質を脱アセチル化するのに適切な条件下で、サーチュインを試験薬剤および前記基質と接触させること、および(ii)基質のアセチル化のレベルを決定することを含んでなるが、この場合、試験薬剤の非存在下に比べて試験薬剤の存在下でのより低いレベルの基質のアセチル化は、試験薬剤がサーチュインによる脱アセチル化を刺激することを示し、試験薬剤の非存在下に比べて試験薬剤の存在下でのより高いレベルの基質のアセチル化は、試験薬剤がサーチュインによる脱アセチル化を阻害することを示す。
他の実施形態において、スクリーニングアッセイは、サーチュイン媒介性NAD依存性脱アセチル化の2’/3’−O−アセチル−ADP−リボース生成物の形成を検出することができる。このO−アセチル−ADP−リボース生成物は、サーチュイン脱アセチル化反応の脱アセチル化されたペプチド生成物と等モルの量で形成される。従って、スクリーニングアッセイは、(i)試験薬剤の非存在下でサーチュインがアセチル化された基質を脱アセチル化するのに適切な条件下で、サーチュインを試験薬剤および前記基質と接触させること、および(ii)O−アセチル−ADP−リボース形成の量を決定することを含み得るが、この場合、試験薬剤の非存在下に比べて試験薬剤の存在下でのO−アセチル−ADP−リボース形成の増加は、試験薬剤がサーチュインによる脱アセチル化を刺激することを示し、試験薬剤の非存在下に比べて試験薬剤の存在下でのO−アセチル−ADP−リボース形成の減少は、試験薬剤がサーチュインによる脱アセチル化を阻害することを示す。
インビボでサーチュインを調節、例えば刺激する薬剤を特定する方法は、(i)試験薬剤の非存在下でサーチュインが基質を脱アセチル化するのに適切な条件下で、クラスIおよびクラスII HDACの阻害剤の存在下で、細胞に侵入することのできる基質と試験薬剤に細胞を接触させること、(ii)基質のアセチル化のレベルを決定することを含んでなることがあるが、この場合、試験薬剤の非存在下に比べて試験薬剤の存在下での基質のアセチル化のより低いレベルは、試験薬剤がサーチュインによる脱アセチル化を刺激することを示し、試験薬剤の非存在下に比べて試験薬剤の存在下での基質のアセチル化のより高いレベルは、試験薬剤がサーチュインによる脱アセチル化を阻害することを示す。好ましい基質は、アセチル化ペプチドであり、好ましくは、本明細書にさらに記載されるとおり蛍光発生性でもある。前記方法は、細胞を溶解させて、基質のアセチル化のレベルを決定することをさらに含んでなることがある。基質は、約1μMから約10mM、好ましくは約10μMから1mM、さらにより好ましくは約100μMから1mM、例えば約200μMなどの範囲の濃度で細胞に加えてもよい。好ましい基質は、アセチル化リジン、例えば、ε−アセチルリジン(Fluor de Lys, FdL)またはFluor de Lys-SIRT1である。クラスIおよびクラスII HDACの好ましい阻害剤はトリコスタチンA(TSA)であり、約0.01から100μM、好ましくは約0.1から10μM、例えば1μMの範囲の濃度で使用できる。試験化合物および基質との細胞のインキュベーションは、約10分から5時間、好ましくは約1〜3時間実施してもよい。TSAはクラスIおよびクラスII HDAC全てを阻害し、特定の基質、例えば、Fluor de LysはSIRT2の劣った基質であり、ましてやSIRT3〜7の基質でないので、そのようなアッセイを利用して、インビボでSIRT1の調節因子を特定することができる。
5.医薬組成物
本明細書に記載される化合物は、1種以上の生理学的または薬学的に許容可能な担体または賦形剤を使用して従来の方法で製剤化できる。例えば、化合物ならびにそれらの薬学的に許容可能な塩および溶媒和物は、例えば、注射(例えば、皮下、筋肉内、腹腔内)、吸入もしくは吹送(口または鼻のいずれかによる)による投与用にも、経口、頬側、舌下、経皮、鼻腔内、非経口、もしくは直腸投与用にも製剤化することができる。特定の実施形態において、化合物は標的細胞が存在する部位で、すなわち、特定の組織、臓器、または流体(例えば、血液、脳脊髄液など)に、局所的に投与できる。
組成物は、全身性および局所または局在的な投与を含む種々の投与様式のために製剤化できる。技術および製剤は全般的に、Remington’s Pharmaceutical Sciences, Meade Publishing Co., Easton, PAに見出すことができる。非経口投与には、筋肉内、静脈内、腹腔内、および皮下を含む注射が好ましい。注射には、化合物は、液体溶液、好ましくは、ハンクス液またはリンゲル液などの生理学的に適合した緩衝液に製剤化できる。さらに、化合物を固体形態に製剤化して、使用直前に再溶解または懸濁させることができる。凍結乾燥された形態も含まれる。
経口投与には、医薬組成物は、結合剤(例えば、アルファ化されたメイズデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、充填剤(例えば、ラクトース、微結晶性セルロース、またはリン酸水素カルシウム)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、またはシリカ)、崩壊剤(例えば、ポテトスターチまたはデンプングリコール酸ナトリウム)、または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)などの薬学的に許容可能な賦形剤とともに、従来の手段により調製された、例えば、錠剤、ロゼンジ、またはカプセル剤の形態をとり得る。錠剤は、当分野において周知である方法により被覆してもよい。経口投与用の液体調合物は、例えば、液剤、シロップ剤、または懸濁剤の形態をとることがあり、あるいは、使用前に水または他の好適なビヒクルにより構成するための乾燥製品としても呈することができる。そのような液体調合物は、懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体、または水素化された食用油)、乳化剤(例えば、レシチンまたはアラビアゴム)、非水性ビヒクル(例えば、アーモンド油、油状のエステル、エチルアルコール、または分留された植物油)、および保存剤(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチルもしくはプロピル、またはソルビン酸)などの薬学的に許容可能な添加剤と共に従来の手段により調製できる。調合物は、緩衝塩、着香剤、着色剤、および甘味剤も必要に応じて含んでもよい。経口投与用の調合剤は、活性化合物の制御放出を与えるように好適に製剤化できる。
吸入による投与(例えば、肺送達)には、化合物は、簡便には、好適な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の好適なガスを使用して、加圧パックまたはネブライザーからエアゾールスプレー体裁の形態で送達できる。加圧されたエアゾールの場合には、用量単位は、計量された量を送達するためのバルブを与えることにより決定することができる。吸入器または吹送器に使用するための、化合物とラクトースまたはスターチなどの好適な粉末基剤の粉末混合物を含む、例えば、ゼラチンのカプセルまたはカートリッジを製剤化できる。
化合物は、注射、例えば、ボーラス注射または連続的な注入による非経口投与用に製剤化できる。注射用の製剤は、保存剤が加えられて、単位剤形、例えば、アンプルまたは多用量容器に呈することができる。組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁剤、液剤、またはエマルション剤などの形態をとることができ、懸濁化剤、安定剤、および/または分散剤などの製剤化剤を含んでもよい。あるいは、有効成分は、使用前に、好適なビヒクル、例えば、滅菌されたパイロジェン除去水と共に構成される粉末形態でもよい。
化合物は、例えば、ココアバターまたは他のグリセリドを含む従来の坐剤基剤を含む坐剤または停留浣腸剤などの直腸組成物中にも製剤化できる。
先に記載された製剤に加えて、化合物はデポ製剤として製剤化できる。そのような長時間作用型製剤は、移植(例えば、皮下または筋肉内)または筋肉内注射により投与できる。そのため、例えば、化合物は、好適なポリマー性もしくは疎水性の材料と共に(例えば、許容できる油中のエマルションとして)またはイオン交換樹脂と共に、難溶性誘導体として、例えば、難溶性塩として製剤化できる。制御放出処方は、パッチ剤も含む。
特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物は、中枢神経系(CNS)への送達のために製剤化できる(Begley, Pharmacology & Therapeutics 104: 29-45 (2004)中に概説されている)。CNSへの薬物送達の従来の手法には下記がある:神経外科戦略(例えば、脳内注入または脳室内注入)、BBBの内因性輸送経路の一つを活用する目的での薬剤の分子操作(例えば、それ自体BBBを通過できない薬剤と組み合わせた、内皮細胞表面分子に対する親和性を有する輸送ペプチドを含んでなるキメラ融合タンパク質の製造)、薬剤の脂質溶解度を高めるように設計された薬理学的戦略(例えば、水溶性薬剤の脂質またはコレステロール担体への連結)、および高浸透圧性混乱によるBBBの完全性の一時的な混乱(マンニトール溶液の頸動脈への注入またはアンジオテンシンペプチドなどの生物活性薬剤の使用から生じる)。
リポソームは、容易に注射できるさらなる薬物送達系である。従って、本発明の方法において、活性化合物は、リポソーム送達系の形態でも投与できる。リポソームは当業者に周知である。リポソームは、コレステロール、ホスファチジルコリンのステアリルアミンなどの種々のリン脂質から形成できる。本発明の方法に利用可能なリポソームは、小さい単層ベシクル、大きな単層ベシクル、および多層ベシクルを含むがこれらに限定されない全種類のリポソームを包含する。
本明細書に記載される化合物の製剤、特に液剤を製造する他の方法は、シクロデキストリンの使用によるものである。シクロデキストリンとは、α−、β−、またはγ−シクロデキストリンを意味する。シクロデキストリンは、引用することにより本明細書の開示の範囲とされるPitha et al., U.S. Pat. No. 4,727,064に記載されている。シクロデキストリンは、グルコースの環状オリゴマーである。これらの化合物は、親油性物質を求めるシクロデキストリン分子の空洞に合う分子の薬剤と共に、包接錯体を形成する。
迅速に崩壊または溶解する剤形は、薬学的に活性な薬剤の迅速な吸収、特に頬側および舌下吸収に有用である。即溶(Fast melt)剤形は、老齢の患者および小児科の患者などの患者に有益であるが、このような患者は、カプレットおよび錠剤などの典型的な固体剤形を飲み込むのが困難である。さらに、即溶剤形は、例えば、チュアブル剤形と関連する欠点を回避するが、チュアブル剤形では、活性薬剤が患者の口内にとどまる時間の長さが、味のマスキングの量および患者が活性薬剤の喉にざらつく感じに不満を持ち得る程度を決定するのに重要な役割を果たす。
医薬組成物(化粧用調合物を含む)は、0.001から10重量%または0.1%から5重量%などの約0.00001から100重量%の本明細書に記載される1種以上の化合物を含んでなることがある。他の実施形態において、医薬組成物は下記を含んでなる:(i)0.05から1000mgの本発明の化合物またはその薬学的に許容可能な塩および(ii)0.1から2グラムの1種以上の薬学的に許容可能な賦形剤。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される化合物は、一般的に局所薬物投与に合う局所担体を含み、当分野に公知であるそのような物質を含んでなる局所製剤に組み込まれる。局所担体は、例えば、軟膏剤、ローション剤、クリーム剤、マイクロエマルション剤、ゲル剤、油剤、液剤など、所望の形態の組成物を与えるように選択することができ、天然由来または合成由来の材料から構成されていてもよい。選択された担体が、局所製剤の活性薬剤または他の成分に悪影響を与えないことが好ましい。本明細書において使用する好適な局所担体の例には、水、アルコール、および他の非毒性有機溶媒、グリセリン、鉱油、シリコーン、石油ゼリー、ラノリン、脂肪酸、植物油、パラベン、ワックスなどがある。
製剤は、無色無臭の軟膏剤でも、ローション剤でも、クリーム剤でも、マイクロエマルション剤でも、ゲル剤でもよい。
化合物は、軟膏剤に組み入れることができるが、軟膏剤は、典型的にはペトロラタムまたは他の石油誘導体に基づく、一般に半固体の調合物である。使用すべき具体的な軟膏基剤は、当業者に認識されるとおり、最適な薬物送達を与え、好ましくは、他の所望な特性、例えば、エモリエント性なども同様に与えるものである。他の担体またはビヒクルと同様に、軟膏基剤は、不活性で、安定しており、非刺激性、かつ非感作性でなくてはならない。
化合物はローション剤に組み入れることができるが、ローション剤は、一般に、摩擦なく皮膚表面に塗るべき調合物であり、典型的には、活性薬剤を含む固体粒子が水またはアルコール基剤中に存在する液体または半液体調合物である。ローション剤は、通常、固体の懸濁液であり、水中油型の液体油状エマルションを含んでなることがある。
化合物はクリーム剤に組み入れることができるが、クリーム剤は、一般的に、水中油型と油中水型のいずれかである、粘性の液体または半固体エマルションである。クリーム基剤は水洗性であり、油相、乳化剤、および水相を含む。油相は、一般に、ペトロラタムおよびセチルアルコールまたはステアリルアルコールなどの脂肪族アルコールから構成され、水相は、必ずではないが通常、体積が油相を上回り、一般に保湿剤を含む。クリーム製剤中の乳化剤は、上記のRemington’sに説明されている通り、一般的に、非イオン性、アニオン性、カチオン性、または両性の界面活性剤である。
化合物は、マイクロエマルションに組み入れることができるが、マイクロエマルションは、界面活性剤分子の界面膜により安定化された、一般に熱力学的に安定な、油と水などの二つの非混和性液体の全方向で透明な分散液である(Encyclopedia of Pharmaceutical Technology (New York: Marcel Dekker, 1992), volume 9)。
化合物はゲル製剤に組み入れることができるが、ゲル製剤は、一般に、小さい無機粒子(2相系)または担体の液体に実質的に均質に分布している大きい有機分子(単相ゲル)からできているいずれかの懸濁液からなる半固体系である。ゲルは一般に水性の担体液体を利用するが、アルコールおよび油も同様に担体液体として使用できる。
他の活性薬剤も製剤に含めることができ、例えば、他の抗炎症剤、鎮痛剤、抗微生物剤、抗真菌剤、抗生物質、ビタミン、酸化防止剤、日焼け止め製剤に通常みられる日焼け止め剤、限定はされないが例えば、アントラニレート、ベンゾフェノン(特にベンゾフェノン−3)、カンファー誘導体、シンナメート(例えば、オクチルメトキシシンナメート)、ジベンゾイルメタン(例えば、ブチルメトキシジベンゾイルメタン)、p−アミノ安息香酸(PABA)、およびその誘導体、ならびにサリチレート(例えば、オクチルサリチレート)がある。
特定の局所製剤において、活性薬剤は、製剤のおよそ0.25重量%から75重量%の範囲、好ましくは、製剤のおよそ0.25重量%から30重量%の範囲、より好ましくは、製剤のおよそ0.5重量%から15重量%の範囲、最も好ましくは、製剤のおよそ1.0重量%から10重量%の範囲の量で存在する。
目の病態は、例えば、化合物の全身性、局所、筋肉内注射または化合物を放出する持続放出装置の挿入により、治療または予防できる。化合物は、前眼房、後眼房、硝子体、房水、硝子体液、角膜、虹彩/毛様体、レンズ、脈絡膜/網膜、および強膜などの目の角膜および内部領域に化合物が浸透するのが可能であるほど充分な期間目の表面と接触したまま化合物が維持されるように、薬学的に許容可能な眼科用ビヒクル中で送達できる。薬学的に許容可能な眼科用ビヒクルは、例えば、軟膏、植物油、またはカプセル化物質でもよい。あるいは、本発明の化合物は、硝子体液および房水に直接注射することもできる。さらなる代替において、化合物は、眼の治療のために、静脈内注入または注射など、全身的に投与してもよい。
本明細書に記載される化合物は、酸素のない環境に保存できる。例えば、組成物は、Pfizer, Inc.のCapsugelなど経口投与用の気密性のあるカプセルに調製できる。
例えば、本明細書に記載される化合物によりエクスビボで処理された細胞は、対象にグラフトを投与する方法により投与できるが、例えば、免疫抑制剤、例えば、シクロスポリンAの投与を伴うことがある。医薬製剤の全般的原則について、読者は、Cell Therapy: Stem Cell Transplantation, Gene Therapy, and Cellular immunotherapy, by G. Morstyn & W. Sheridan eds, Cambridge University Press, 1996、 and Hematopoietic Stem Cell Therapy, E. D. Ball, J. Lister & P. Law, Churchill Livingstone, 2000を参照されたい。
化合物の毒性および治療効能は、細胞培養または実験動物の標準的な医薬手順により決定できる。LD50は、集団の50%に致死的である投与量である。ED50は、集団の50%に治療上有効な投与量である。毒性作用と治療効果の投与量比率(LD50/ED50)は治療指数である。大きな治療指数を示す化合物が好ましい。毒性の副作用を示す化合物が使用されることがあるが、感染していない細胞に対する潜在的な損傷を最低限にし、それにより副作用を低減するために、罹患した組織の部位にそのような化合物を標的化する送達系を設計するように注意しなければならない。
細胞培養アッセイおよび動物試験から得られたデータを、ヒトに用いる用量の範囲の処方に使用できる。そのような化合物の用量は、毒性がほとんどまたは全くないED50を含むある範囲の循環濃度の中にあり得る。用量は、利用される剤型および利用される投与経路に依存してこの範囲内で変わり得る。どのような化合物でも、治療上有効な投与量は、細胞培養アッセイから最初に見積もることができる。投与量は、細胞培養において決定されるIC50(すなわち、症状の最大半量阻害を達成する試験化合物の濃度)を含む血漿循環濃度範囲を達成するように動物モデルで処方できる。そのような情報を利用して、ヒトにおける有用な投与量をより正確に決定できる。血漿中のレベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーにより測定できる。
6.キット
キット、例えば、治療目的のキットまたは細胞の寿命を調節するキット、またはアポトーシスを調節するキットも本明細書に提供される。キットは、本明細書に記載される1種以上の化合物を、例えば、あらかじめ計量された投与量で含んでなることがある。キットは、細胞を化合物と接触させる装置および使用の説明書を含んでいてもよい。装置には、シリンジ、ステント、および化合物を対象(例えば、対象の血管)に導入する他の装置、またはそれを対象の皮膚に塗る他の装置がある。
さらに他の実施形態において、本発明は、本発明の化合物および他の治療剤(併用療法および組み合わせ組成物で使用されるものと同じもの)を別々な剤形だが、互いに関連して含んでなる組成物を提供する。本明細書での用語「互いに関連した」は、別々な剤形が同じ投薬計画(regimen)の一部として販売され投与されるものであることが明らかであるように、別々な剤形が一緒に包装されるか、または他の方法で互いに結び付けられていることを意味する。化合物および他の薬剤は、好ましくは、ブリスターパックもしくは他のマルチチャンバーパッケージに一緒に包装されているか、または利用者により分けることができる(例えば、二つの容器の間の切れ目で裂くことにより)連結した別々の密封容器(ホイルパウチなど)として包装される。
さらに他の実施形態において、本発明は、別な容器内に、a)本発明の化合物、およびb)本明細書の他の場所に記載されるものなどの他の治療剤を含んでなるキットを提供する。
本方法の実施は特記されない限り、細胞生物学、細胞培養、分子生物学、遺伝子導入生物学、微生物学、リコンビナントDNA、および免疫学の従来の技術を利用するだろうが、それらは当分野の技術内にある。そのような技術は文献に完全に説明されている。例えば、Molecular Cloning A Laboratory Manual, 2nd Ed., ed. by Sambrook, Fritsch and Maniatis (Cold Spring Harbor Laboratory Press: 1989)、 DNA Cloning, Volumes I and II (D. N. Glover ed., 1985)、 Oligonucleotide Synthesis (M. J. Gait ed., 1984)、 Mullis et al. U.S. Patent No: 4,683,195、 Nucleic Acid Hybridization (B. D Hames & S. J. Higgins eds. 1984)、 Transcription And Translation (B. D. Hames & S. J. Higgins eds. 1984)、 Culture Of Animal Cells (R. I. Freshney, Alan R. Liss, Inc., 1987)、 Immobilized Cells And Enzymes (IRL Press, 1986)、 B. Perbal, A Practical Guide To Molecular Cloning (1984)、 the treatise, Methods In Enzymology (Academic Press, Inc., N.Y.)、 Gene Transfer Vectors For Mammalian Cells (J. H. Miller and M. P. Calos eds., 1987, Cold Spring Harbor Laboratory)、 Methods In Enzymology, Vols. 154 and 155 (Wu et al. eds.), Immunochemical Methods In Cell And Molecular B
iology (Mayer and Walker, eds., Academic Press, London, 1987)、 Handbook Of Experimental Immunology, Volumes I-IV (D. M. Weir and C. C. Blackwell, eds., 1986)、 Manipulating the Mouse Embryo, (Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1986)を参照されたい。
本発明は全般的に説明されたので、本発明の特定の面および実施形態を説明する目的のみで含まれるが本発明を決して限定するものではない以下の実施例を参照してより容易に理解されるだろう。
実施例1.N−(チアゾール−2−イル)−2−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−8−カルボキサミドの調製:
工程1.4−ブロモ−6−クロロピリダジン−3−アミンの合成:
Figure 2014530872
3−アミノ−6−クロロピリダジン(45.0g、347.0mmol)および重炭酸ナトリウム(58.4g、695.0mmol)のMeOH(1000.0mL)中の混合物に、臭素(55.5g、347.0mmol)を滴加した。生じた混合物を室温で16時間撹拌し、次いで濾過した。水(500.0mL)を濾液に加え、溶液をEtOAcで抽出した。有機層を合わせ、真空中で濃縮した。生じた残渣をフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、4−ブロモ−6−クロロピリダジン−3−アミン(35.0g、48.3%)を得た。MS(ESI)、CBrClNの計算値:206.92。
工程2.2−ブロモ−1−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)エタノンの合成:
Figure 2014530872
1−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)エタノン(71.0g、377.0mmol)およびHBr(2.0mL、45%AcOH溶液)のクロロホルム(500.0mL)溶液に、ジブロミド(60.3g、377.0mmol)のクロロホルム(200.0mL)溶液を加えた。添加後、溶液を30分間撹拌し、次いで、溶媒を蒸発させ、残渣を、次の工程で直接使用した。MS(ESI)、CBrFOの計算値:265.96。
工程3.8−ブロモ−6−クロロ−2−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジンの合成:
Figure 2014530872
4−ブロモ−6−クロロピリダジン−3−アミン(30.0g、144.0mmol)および2−ブロモ−1−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)エタノン(96.0g、360.0mmol)のMeCN(1000.0mL)中の混合物を24時間還流した。冷却後、混合物を濾過し、固体をEtOAcで洗浄した。固体を重曹に注ぎ、1時間撹拌し、EtOAcで抽出した。有機層を合わせ、真空中で濃縮し、8−ブロモ−6−クロロ−2−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジンを得た(27.0g、71.7mmol、収率49.8%)。MS(ESI)、C13BrClFの計算値:374.94。
この一般的なカップリング手順を使用すれば、2−ブロモ−1−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)エタノンの替わりに適切な2−ブロモ−1−(置換フェニル)エタノンを使用して、種々の8−ブロモ−6−クロロ−2−置換イミダゾ[1,2−b]ピリダジンを調製し得る。
工程4.メチル6−クロロ−2−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−8−カルボキシレートの合成:
Figure 2014530872
8−ブロモ−6−クロロ−2−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン(27.0g、71.7mmol)のDMF(500.0mL)溶液に、MeOH(120.0mL)、トリエチルアミン(14.51g、143.0mmol)、およびPd(dppf)Cl(2.93g)を加えた。混合物を10分間撹拌し、次いでパル装置(Parr apparatus)に移した。COにより3回脱気した後、反応混合物を室温で4atmのCO圧力下で15時間撹拌した。混合物を濾過し、EtOAcで洗浄し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィーにより精製し、メチル6−クロロ−2−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−8−カルボキシレートを得た(15.0g、42.2mmol、収率58.8%)。MS(ESI)、C15ClFの計算値:355.03。
工程5.メチル2−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−8−カルボキシレートの合成:
Figure 2014530872
メチル6−クロロ−2−(2−トリフルオロメチルフェニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−8−カルボキシレート(10.0g、28.1mmol)、EtN(5.69g、56.2mmol)、およびPd/C(2.0g)のEtOAc中の混合物を、1気圧のHに室温で4時間曝露した。混合物を濾過し、濾液を蒸発させると、粗製のメチル2−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−8−カルボキシレートを与え、これを次の工程で直接使用した。MS(ESI)、C1510の計算値:321.07。
工程6.2−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−8−カルボン酸の合成:
Figure 2014530872
メチル2−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−8−カルボキシレート(9.03g、28.1mmol)のMeOH(250.0mL)および水(250.0mL)の中の溶液に、水酸化ナトリウム(2.25g、56.2mmol)を加えた。添加後、混合物を一晩撹拌した。混合物のpHを5に調整し、混合物を濾過した。固体を水で洗浄し、次いでエーテルで洗浄し、乾燥させ、2−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−8−カルボン酸を得た(6.0g、19.53mmol、収率69.5%)。MS(ESI)、C14の計算値:307.06。
工程7.N−(チアゾール−2−イル)−2−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−8−カルボキサミドの合成:
Figure 2014530872
この化合物は、以下のプロトコルを利用して製造した。2−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−8−カルボン酸(100.0mg、0.32mmol)、チアゾール−2−アミン(128.0mg、0.64mmol)、DIEA(N,N−ジイソプロピルエチルアミン)(83.0mg、0.64mmol)、およびHATU(2−(1H−7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートメタンアミニウム)(247.0mg、0.64mmol)を、DMF(20.0mL)に溶解させた。混合物を室温で約6時間撹拌し、次いで水に注いで、濾過した。固体を水で洗浄し、精製し、N−(チアゾール−2−イル)−2−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−8−カルボキサミドを得た(80.0mg、56%)。MS(ESI)、C1710OSの計算値:389.06、測定値389.59[M+H]。
この一般的なカップリング手順を利用すれば、チアゾール−2−アミンを適切なアミン部分に替えることにより、種々の2−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)−、2−(3−クロロフェニル)−、2−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−、2−(3−フルオロフェニル)−、2−(2−クロロフェニル)−、および2−(2−フルオロフェニル)−イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−8−カルボキサミドを調製し得る。
実施例2.2−(3−フルオロフェニル)−6−モルホリノ−N−(チアゾール−2−イル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−8−カルボキサミドの調製:
工程1.6−クロロ−2−(3−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−8−カルボン酸の合成:
Figure 2014530872
メチル6−クロロ−2−(3−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−8−カルボキシレート(2.0g、6.54mmol)のTHF(250.0mL)および水(250.0mL)の中の溶液に、水酸化ナトリウム(0.52g、13.09mmol)を加えた。添加後、混合物を一晩撹拌した。混合物のpHを5に調整し、濾過し、固体を水で洗浄し、次いでエーテルで洗浄し、乾燥させ、6−クロロ−2−(3−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−8−カルボン酸を得た(1.3g、4.46mmol、68.1%)。MS(ESI)、C13ClFNの計算値:291.02。
工程2.2−(3−フルオロフェニル)−6−モルホリノイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−8−カルボン酸の合成:
Figure 2014530872
6−クロロ−2−(3−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−8−カルボン酸(1.3g、4.46mmol)、モルホリン(0.78g、8.91mmol)、BINAP(2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル)(0.28g、0.446mmol)、Pd(dba)(0.20g、0.223mmol)、およびCsCO(5.81g、17.83mmol)の混合物を、ジオキサン:水=4:1の溶媒混合物(100.0mL)に溶解させた。懸濁液を100℃で約48時間撹拌し、次いで水に注ぎ、濾過した。濾液をEtOAcで抽出し、水相のpHを5に調整した。水相をEtOAcで抽出し、有機相をNaSOで乾燥させ、蒸発させ、2−(3−フルオロフェニル)−6−モルホリノイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−8−カルボン酸を得た(0.56g、1.636mmol、36.7%)。MS(ESI)、C1715FNの計算値:343.11。
工程3.2−(3−フルオロフェニル)−6−モルホリノ−N−(チアゾール−2−イル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−8−カルボキサミドの合成:
Figure 2014530872
2−(3−フルオロフェニル)−6−モルホリノイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−8−カルボン酸(110.0mg、0.321mmol)、チアゾール−2−アミン(48.3mg、0.482mmol)、HATU(155.0mg、0.643mmol)、およびN−エチル−N−イソプロピルプロパン−2−アミン(83.0mg、0.643mmol)のDMF(20.0mL)溶液を室温で12時間撹拌し、次いで水に注いで、濾過した。固体をCHClで溶解させ、真空中で濃縮し、次いでシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl/EtOAc)により精製し、2−(3−フルオロフェニル)−6−モルホリノ−N−(チアゾール−2−イル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−8−カルボキサミドを得た(48.0mg、0.113mmol、35.2%)。MS(ESI)、C2017FNSの計算値:424.11、測定値:425.04[M+H]。
この一般的なカップリング手順を利用すれば、チアゾール−2−アミンを適切なアミン部分に替えることにより、種々の2−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)−、2−(3−クロロフェニル)−、2−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−、2−(3−フルオロフェニル)−、2−(2−クロロフェニル)−、および2−(2−フルオロフェニル)−6−モルホリノ−イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−8−カルボキサミドを調製し得る。
実施例3.N−(ピリジン−2−イル)−2−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−カルボキサミドの調製:
工程1.ナトリウム1−エトキシ−1,3−ジオキソプロパン−2−イドの合成:
Figure 2014530872
ナトリウム(16.0g、696.0mmol)の2−イソプロポキシプロパン(1000.0mL)中の粒子の多い懸濁液に、エタノール(3滴)を加え、次いで、酢酸エチル(73.6g、835.0mmol)とギ酸エチル(67.0g、905.0mmol)の混合物を窒素雰囲気下で加えた。添加後、懸濁液を室温で60時間撹拌した。固体を濾過し、エーテルで洗浄し、ナトリウム1−エトキシ−1,3−ジオキソプロパン−2−イドを得た(50.0g、62.4%)。MS(ESI)、CNaOの計算値:138.03。
工程2.2−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)ピロゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−オールの合成:
Figure 2014530872
(1−エトキシ−1,3−ジオキソプロパン−2−イル)ナトリウム(48.6g、352.0mmol)および5−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)−1H−ピラゾール−3−アミン(20.0g、88.0mmol)のEtOH(500.0mL)溶液を12時間還流加熱した。室温に冷却後、反応物を濃縮し、琥珀色の油を得た。残渣を水(2.0L)に再溶解させ、次いで濃HCl水溶液の滴加によりpH4に調整した。形成した白色固体沈殿物を濾過により単離し、EtOAcおよびエーテルで洗浄し、2−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)ピロゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−オールを得た(19.5g、69.8mmol、79%)。MS(ESI)、C13Oの計算値:279.06。
この一般的なカップリング手順を使用すれば、5−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)−1H−ピラゾール−3−アミンを適切な5−置換−1H−ピラゾール−3−アミンに替えることにより、種々の2−(2−置換)ピロゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−オールを調製し得る。
工程3.7−クロロ−2−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)ピロゾロ[1,5−a]ピリミジンの合成:
Figure 2014530872
2−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)ピロゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−オール(19.5g、69.8mmol)のPOCl(250.0mL)中の懸濁液を12時間還流加熱した。室温に冷却した後、反応物を濃縮した。温度を0℃に保ちながら、残渣を、氷、重炭酸ナトリウム、およびEtOAcの撹拌している混合物に加えた。水層を追加のEtOAcで抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、次いで濃縮した。物質をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、7−クロロ−2−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)ピロゾロ[1,5−a]ピリミジンを得た(16.5g、55.4mmol、79%)。MS(ESI)、C13ClFの計算値:297.03。
工程4.メチル2−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)ピロゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−カルボキシレートの合成:
Figure 2014530872
7−クロロ−2−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)ピロゾロ[1,5−a]ピリミジン(7.0g、23.52mmol)のDMF(50.0mL)溶液に、MeOH(20.0mL)、トリエチルアミン(4.76g、47.0mmol)、およびPd(dppf)Cl(0.96g)を加えた。混合物を10分間撹拌し、次いでパル装置に移した。COで3回脱気した後、反応混合物を4気圧のCO圧力下で、70℃で15時間撹拌した。混合物を濾過し、EtOAcで洗浄し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィーにより精製し、メチル2−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)ピロゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−カルボキシレート(6.9g、21.48mmol、91%)を得た。MS(ESI)、C1510の計算値:321.07。
工程5.2−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)ピロゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−カルボン酸の合成:
Figure 2014530872
メチル2−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)ピロゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−カルボキシレート(6.9g、21.48mmol)のTHF(100.0mL)および水(100.0mL)中の溶液に、水酸化ナトリウム(1.72g、43.0mmol)を加えた。添加後、混合物を一晩撹拌した。pHを5に調整し、混合物を濾過した。固体を水で洗浄し、乾燥させ、2−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)ピロゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−カルボン酸を得た(5.28g、17.18mmol、80%)。MS(ESI)、C14の計算値:307.06。
工程6.N−(ピリジン−2−イル)−2−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)ピロゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−カルボキサミドの合成:
Figure 2014530872
この化合物は、以下のプロトコルを利用して製造した。室温のDMF中の2−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)ピロゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−カルボン酸(100.0mg、325.0mmol)ピリジン−2−アミン(46.0mg、488.0mmol)、HATU(248.0mg、651.0mmol)、およびDIEA(84.0mg、651.0mmol)を利用する一般的なカップリング法は、N−(ピリジン−2−イル)−2−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)ピロゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−カルボキサミドを与えた(95.0mg、76%)。MS(ESI)、C1912Oの計算値:383.10。
この一般的なカップリング手順を利用すれば、ピリジン−2−アミンを適切なアミン部分に替えることにより、種々の2−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)−、および2−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−ピロゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−カルボキサミドを調製し得る。
実施例4.N−(2−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)ピロゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル)チアゾール−4−カルボキサミドの調製:
工程1.2−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)ピロゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンの合成:
Figure 2014530872
密封可能なチューブに、7−クロロ−2−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)ピロゾロ[1,5−a]ピリミジン(5.0g、16.80mmol)およびジオキサン(100.0mL)を入れた。アンモニアを、10分間迅速にバブリングした。チューブを密封し、反応物を100℃で一晩撹拌した。室温に冷却した後、溶媒を除去し、EtOAcおよび石油エーテル(1:2)で溶離するシリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製し、2−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)ピロゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン(4.21g、15.12mmol、収率90.0%)を白色固体として得た。MS(ESI)、C13の計算値:278.08。
工程2.N−(2−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)ピロゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル)チアゾール−4−カルボキサミドの合成:
Figure 2014530872
2−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)ピロゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン(100.0mg、359.0mmol)およびチアゾール−4−カルボン酸から出発して一般的なカップリング方法を利用し、N−(2−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)ピロゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル)チアゾール−4−カルボキサミドを得た(85.0mg、61%)。MS(ESI)、C1710OSの計算値:389.06。
一般的なカップリング手順を利用すれば、チアゾール−4−カルボン酸を適切な酸部分に替えることにより、種々の2−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)−、および2−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−ピロゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イルカルボキサミドを調製し得る。
実施例5.6−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メトキシ)ピコリン酸の調製:
Figure 2014530872
ソルケタール(23.5g、178.0mmol)を、0℃のTHF(400.0mL)中のNaH60重量%(7.1g、178.0mmol)の懸濁液に滴加した。反応混合物を25℃で1時間撹拌し、6−ブロモピコリン酸(12.0g、59.4mmol)を加えた。反応混合物を1.5時間還流加熱した。室温に冷却した後、HOを加え、pHを2〜3に調整した。混合物をEtOAcで抽出した。合わせた有機液をHOで洗浄し、乾燥させ、濃縮した。粗生成物をペンタン/EtOAcから再結晶化し、6−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メトキシ)ピコリン酸(10.0g、収率66%)を得た。MS(ESI)、C1215NO(m/z)の計算値:253.10、測定値:254[M+H]。
実施例6.(S)−6−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メトキシ)ピコリン酸の調製:
Figure 2014530872
(S)−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メタノール(4.98g、37.72mmol)を、THF中のNaH60重量%(1.7g、41.5mmol)の室温の懸濁液に加えた。反応混合物を室温で30分間撹拌し、6−クロロピコリン酸エチル(1.40g、7.54mmol)のTHF溶液を加えた。反応混合物を16時間還流加熱した。室温に冷却した後、3NのHClを加えてpHを4に調整した。混合物をブラインに注ぎ、EtOAcで抽出した。合わせた有機液を乾燥させ、濃縮した。粗生成物をペンタン/EtOAcから再結晶化し、(S)−6−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メトキシ)ピラジン−2−カルボン酸を得た(1.30g、収率68%)。MS(ESI)、C1215NO(m/z)の計算値:253.10。
この一般的な方法を利用すれば、(S)−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メタノールを(R)−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メタノールに替えることにより、(R)−6−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メトキシ)ピコリン酸も調製し得る。
実施例7.6−(アゼチジン−1−イル)ピコリン酸の調製:
工程1.6−(アゼチジン−1−イル)ピコリン酸メチルの合成:
Figure 2014530872
6−ブロモピコリン酸メチル(5.0g、23.0mmol)、アゼチジン塩酸塩(4.40g、46.0mmol)、KCO(9.70g、70.0mmol)、CuI(880.0mg、4.60mmol)、およびL−プロリン(1.06g、9.20mmol)のDMSO(50.0mL)中の混合物を80℃で16時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、固体を濾去した。濾液をCHCl(800.0mL)で希釈し、水で洗浄し、次いでブラインで洗浄し、乾燥させ、濃縮した。粗残渣をフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、6−(アゼチジン−1−イル)ピコリン酸メチルを得た(2.84g、収率64%)。MS(ESI)、C1012(m/z)の計算値:192.09。
工程2.6−(アゼチジン−1−イル)ピコリン酸の合成:
Figure 2014530872
6−(アゼチジン−1−イル)ピコリン酸メチル(5.67g、29.50mmol)およびKOH(3.36g、60.0mmol)のMeOH(100.0mL)中の混合物を、室温で16時間撹拌した。濃HCl(5.0mL)を加えた。生じた沈殿物を濾去し、濾液を濃縮した。残渣をCHClに溶解させ、固体を濾去した。CHClを濃縮し、残渣をi−PrOHから再結晶化し、6−(アゼチジン−1−イル)ピコリン酸(4.01g、収率76%)を得た。MS(ESI)、C10(m/z)の計算値:178.07、測定値:179[M+H]。
実施例8.生物学的活性
質量分析法系のアッセイを利用して、SIRT1活性の調節因子を特定した。TAMRA系アッセイは、以下の20アミノ酸残基を有するペプチドを利用した:Ac−EE−K(ビオチン)−GQSTSSHSK(Ac)NleSTEG−K(5TMR)−EE−NH(配列番号1)(式中、K(Ac)はアセチル化リジン残基であり、Nleはノルロイシンである)。ペプチドを、C末端でフルオロフォア5TMR(励起540nm/発光580nm)により標識した。ペプチド基質の配列は、p53に基づき、いくつかの修飾があった。さらに、前記配列に天然に存在するメチオニン残基をノルロイシンに替えたが、その理由は、メチオニンは合成および精製の間に酸化を受けやすくなり得るからである。Trp系アッセイは、以下のアミノ酸残基を有するペプチドを利用した:Ac−R−H−K−K(Ac)−W−NH2(配列番号2)。
TAMRA系質量分析アッセイは、下記の通り実施した:0.5μMペプチド基質および120μMのβNADを、反応緩衝剤(50mM Tris−アセテートpH 8、137mM NaCl、2.7mM KCl、1mM MgCl、5mM DTT、0.05%BSA)中で、10nMのSIRT1と共に25℃で25分間インキュベートした。SirT1遺伝子をT7プロモーター含有ベクター中にクローニングして、それを形質転換してBL21(DE3)細菌細胞中で発現させて、SIRT1タンパク質を得た。試験化合物を、種々の濃度でこの反応混合物に加え、生じた反応物を測定した。SIRT1との25分間のインキュベーションの後、10μLの10%ギ酸を加えて、反応を停止させた。生じた反応物を密封し、後の質量分析のために凍結した。サーチュイン媒介性NAD依存性脱アセチル化反応により形成した脱アセチル化された基質ペプチドの量(あるいは、生成したO−アセチル−ADP−リボース(OAADPR)の量)の決定により、試験化合物のない対照反応に対する、種々の濃度の試験化合物の存在下での相対的なSIRT1活性の正確な測定が可能であった。
Trp質量分析法アッセイは下記の通り実施した。0.5μMのペプチド基質および120μMのβNADを、反応緩衝剤(50mM HEPES pH 7.5、1500mM NaCl、1mM DTT、0.05%BSA)中で、10nMのSIRT1と共に25℃で25分間インキュベートした。SirT1遺伝子をT7プロモーター含有ベクター中にクローニングして、それをBL21(DE3)細菌細胞中で発現させ、以下に詳述する通り精製してSIRT1タンパク質を得た。試験化合物を、種々の濃度でこの反応混合物に加え、生じた反応物を測定した。SIRT1との25分間のインキュベーションの後、10μLの10%ギ酸を加えて、反応を停止させた。生じた反応物を密封し、後の質量分析のために凍結した。SIRT1との25分のインキュベーションの後、10μLの10%ギ酸を加えて反応を停止させた。生じた反応物を密封して、後の質量分析のために凍結した。次いで、試験化合物のない対照反応に対して種々の濃度の試験化合物の存在下でNAD依存性サーチュイン脱アセチル化反応により形成したO−アセチル−ADP−リボース(OAADPR)の量(あるいは、生成した脱アセチル化されたTrpペプチドの量)の測定により、相対的なSIRT1活性を決定した。試験薬剤がSIRT1による脱アセチル化を活性化した程度は、EC1.5(すなわち、試験化合物のない対照に対して50%SIRT1活性を増加させるのに要する化合物の濃度)、および最大活性化パーセント(すなわち、試験化合物で得られる対照(100%)に対する最大活性)により表した。
サーチュイン活性の阻害の対照は、1μLの500mMニコチンアミドを、陰性対照として反応の開始時に加えて実施した(例えば、最大サーチュイン阻害の決定を可能にする)。サーチュイン活性の活性化の対照は、10nMのサーチュインタンパク質を、化合物の替わりに1μLのDMSOと共に使用して実施し、アッセイの直線範囲内のある時点での基質の脱アセチル化の量を決定した。この時点は、試験化合物で使用したものと同じであり、直線範囲内では、終点は速度の変化を表す。
上記のアッセイでは、SIRT1タンパク質を、下記の通り発現させて精製した。SirT1遺伝子をT7プロモーター含有ベクターにクローン化し、BL21(DE3)中で形質転換した。1mM IPTGによる誘導により18℃で一晩N末端His−タグ融合タンパク質としてタンパク質を発現させ、30,000×gで採取した。細胞を、リゾチームにより、溶解緩衝剤(50mM Tris−HCl、2mM Tris[2−カルボキシエチル]ホスフィン(TCEP)、10μM ZnCl、200mM NaCl)中で溶解させ、超音波により10分間さらに処理して完全に溶解させた。タンパク質をNi−NTAカラム(Amersham)で精製し、純粋なタンパク質を含むフラクションをプールし、濃縮して、サイジングカラム(Sephadex S200 26/60 global)に流した。可溶性タンパク質を含むフラクションを回収し、イオン交換カラム(MonoQ)に流した。勾配溶離(200mM〜500mM NaCl)により純粋なタンパク質が生じた。このタンパク質を濃縮し、透析緩衝剤(20mM Tris−HCl、2mM TCEP)に対して一晩透析した。タンパク質を小分けし、さらに使うまで−80℃で凍結した。
SIRT1を活性化した式(I)のサーチュイン調節化合物を、上述のアッセイを利用して特定し、以下の表1に示す。EC1.5値は、SIRT1の150%活性化をもたらした試験化合物の濃度を表す。式(I)の活性化化合物のEC1.5値は、A(EC1.5<1μM)、B(EC1.5 1−25μM)、C(EC1.5>25μM)により表される。最大活性化倍率のパーセントは、A(活性化倍率≧350%)またはB(活性化倍率<350%)により表される。「NT」は試験を行わなかったことを意味し、「ND」は決定できないことを意味する。
表1.
式(I)の化合物
Figure 2014530872
Figure 2014530872
Figure 2014530872
Figure 2014530872
Figure 2014530872
Figure 2014530872
Figure 2014530872
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Figure 2014530872
Figure 2014530872
Figure 2014530872
Figure 2014530872
Figure 2014530872
Figure 2014530872
Figure 2014530872
Figure 2014530872
Figure 2014530872
Figure 2014530872
Figure 2014530872
Figure 2014530872
特定の実施形態において、本発明の化合物は、化合物番号13、45、57、59、60、65、74、75、76、77、78、79、81、83、100、110、113、114、および115のいずれか一つから選択される。
等価物
本発明は、特に、サーチュイン調節化合物およびその使用方法を提供する。主題発明の特定の実施形態を議論してきたが、上記明細書は説明的なものであり、限定的なものではない。本発明の多くの変形が、この明細書を精査すると当業者に明らかになるであろう。本発明の全範囲は、請求項およびそれらの等価物の全範囲、ならびに明細書およびそのような変形によって決定するべきである。
参照による組込み
以下に列記されるものも含み、本明細書に記載された全ての刊行物および特許は、それらの個々の刊行物または特許が具体的かつ個別に示されるように引用することにより本明細書の開示の範囲とされる。矛盾する場合、本明細書のいかなる定義も含めて、本願が優先する。
また、公共のデータベースのエントリーに相関する受託番号を記載するいかなるポリヌクレオチド配列およびポリペプチド配列も、例えば、ゲノム科学研究所(The Institute for Genomic Research)(TIGR)(www.tigr.org)および/または国立生物工学情報センター(NCBI)(www.ncbi.nlm.nih.gov)により維持されるものも、その全体を引用することにより本明細書の開示の範囲とされる。

Claims (21)

  1. 下記構造式(I)により表される化合物またはその塩:
    Figure 2014530872
    (式中、
    AまたはBはNであり、他方はCであり、
    各Rは、水素、ハロ、OH、C≡N、C−Cアルキル、ハロ置換C−Cアルキル、C−Cアルコキシ置換C−Cアルキル、ヒドロキシ置換C−Cアルキル、O−R、O−(C−Cアルキル)−OR、S−(C−C)アルキル、S−(ハロ置換C−Cアルキル)、N(ヒドロキシ置換C−Cアルキル)、N(メトキシ置換C−Cアルキル)、N(C−Cアルキル)(ヒドロキシ置換C−Cアルキル)、N(C−Cアルキル)(メトキシ置換C−Cアルキル)、N(ヒドロキシ置換C−Cアルキル)(メトキシ置換C−Cアルキル)、C−Cシクロアルキル、および4〜8員の非芳香族複素環から独立して選択され、BがNである場合、Rはさらにメチルから選択されてもよく、
    は芳香族複素環であり、ここでRは、ハロ、C≡N、C−Cアルキル、ハロ置換C−Cアルキル、C−Cアルコキシ置換C−Cアルキル、ヒドロキシ置換C−Cアルキル、O−R、O−(C−Cアルキル)−OR、=O、C−Cシクロアルキル、SO、S−R、(C−Cアルキル)−N(R)(R)、N(R)(R)、O−(C−Cアルキル)−N(R)(R)、O−(C−Cアルキル)−CR−(C−Cアルキル)、(C−Cアルキル)−O−(C−Cアルキル)−N(R)(R)、C(=O)−N(R)(R)、(C−Cアルキル)−C(=O)−N(R)(R)、O−(C−Cアルキル)−CR−(C−Cアルキル)、CR、フェニル、O−フェニル、第2の複素環、O−(第2の複素環)、3,4−メチレンジオキシ、ハロ置換3,4−メチレンジオキシ、3,4−エチレンジオキシ、およびハロ置換3,4−エチレンジオキシから独立して選択される一つ以上の置換基により置換されていてもよく、ここでRの任意のフェニル、飽和複素環、または第2の複素環置換基は、ハロ、C≡N、C−Cアルキル、ハロ置換C−Cアルキル、O−(ハロ置換C−Cアルキル)、O−(C−Cアルキル)、S−(C−Cアルキル)、およびS−(ハロ置換C−Cアルキル)から独立して選択される一つ以上の置換基により置換されていてもよく、
    は炭素環または複素環であり、ここでRは、ハロ、C≡N、C−Cアルキル、ハロ置換C−Cアルキル、C−Cアルコキシ置換C−Cアルキル、ヒドロキシ置換C−Cアルキル、O−R、O−(C−Cアルキル)−OR、=O、C−Cシクロアルキル、SO、S−R、(C−Cアルキル)−N(R)(R)、N(R)(R)、O−(C−Cアルキル)−N(R)(R)、O−(C−Cアルキル)−CR−(C−Cアルキル)、(C−Cアルキル)−O−(C−Cアルキル)−N(R)(R)、C(=O)−N(R)(R)、(C−Cアルキル)−C(=O)−N(R)(R)、O−(C−Cアルキル)−CR−(C−Cアルキル)、CR、フェニル、−O−フェニル、第2の複素環、−O−(第2の複素環)、3,4−メチレンジオキシ、ハロ置換3,4−メチレンジオキシ、3,4−エチレンジオキシ、およびハロ置換3,4−エチレンジオキシから独立して選択される一つ以上の置換基により置換されていてもよく、ここでRの任意のフェニル、飽和複素環、または第2の複素環置換基は、ハロ、C≡N、C−Cアルキル、ハロ置換C−Cアルキル、O−(ハロ置換C−Cアルキル)、O−(C−Cアルキル)、S−(C−Cアルキル)、S−(ハロ置換C−Cアルキル)、およびN(R)(R)から独立して選択される一つ以上の置換基により置換されていてもよく、
    各Rは、水素ならびにOH、O−(C−Cアルキル)、ハロ、NH、NH(C−Cアルキル)、N(C−Cアルキル)、NH(メトキシ置換C−Cアルキル)、NH(ヒドロキシ置換C−Cアルキル)、N(メトキシ置換C−Cアルキル)(ヒドロキシ置換C−Cアルキル)、N(ヒドロキシ置換C−Cアルキル)、およびN(メトキシ置換C−Cアルキル)の一つ以上により置換されていてもよいC−Cアルキルから独立して選択されるか、あるいは
    二つのRは、それらが結合している窒素または炭素原子と共に、N、S、S(=O)、S(=O)、およびOから独立して選択される一つの追加のヘテロ原子を含んでいてもよい4〜8員の飽和複素環を形成し、ここで二つのRにより形成される複素環は、任意の炭素原子で、OH、C−Cアルキル、ハロ置換C−Cアルキル、ハロ、NH、NH(C−Cアルキル)、N(C−Cアルキル)、O(C−Cアルキル)、NH(ヒドロキシル置換C−Cアルキル)、N(ヒドロキシ置換C−Cアルキル)、N(メトキシ置換C−Cアルキル)(ヒドロキシ置換C−Cアルキル)、NH(メトキシ置換C−Cアルキル)、およびN(メトキシ置換C−Cアルキル)の一つ以上により置換されていてもよく、任意の置換可能な窒素原子で、C−Cアルキルまたはハロ置換C−Cアルキルにより置換されていてもよく、
    二つのRはそれらが結合する炭素原子と共に、4〜8員の炭素環またはN、S、S(=O)、S(=O)、およびOから独立して選択される一つの追加のヘテロ原子を含んでいてもよい複素環を形成し、ここで前記炭素環または複素環は、任意の炭素原子で、OH、C−Cアルキル、ハロ置換C−Cアルキル、ハロ、およびNHの一つ以上により置換されていてもよく、任意の置換可能な窒素原子で、C−Cアルキルまたはハロ置換C−Cアルキルにより置換されていてもよく、かつ
    AがNである場合、Xは、C(=O)−NH−†、NH−C(=O)−†、NH−CR−†、C(=O)−NH−CR−†、S(=O)−NH−†、S(=O)−NH−†、CR−NH−†、NH−C(=O)−O−CR−†、NH−†、NH−C(=S)−†、C(=S)−NH−†、NH−S(=O)−†、NH−S(=O)−†、NH−S(=O)−NR−†、NR−S(=O)−NH−†、NH−C(=O)O−†、O−C(=O)−NH−†、NH−C(=O)NH−†、NH−C(=O)NR−†、NR−C(=O)NH−†、CR−NH−C(=O)−†、NH−C(=S)−CR−†、CR−C(=S)−NH−†、NH−S(=O)−CR−†、CR−S(=O)−NH−†、NH−S(=O)−CR−†、CR−S(=O)−NH−†、CR−O−C(=O)−NH−†、NH−C(=O)−CR−†、NH−C(=O)−CR−NH−†、およびCR−NH−C(=O)−O−†から選択され、
    BがNである場合、Xは、C(=O)−NH−†、NH−C(=O)−†、C(=O)−NH−CR−†、S(=O)−NH−†、S(=O)−NH−†、NH−C(=O)−O−CR−†、NH−C(=S)−†、C(=S)−NH−†、NH−S(=O)−†、NH−S(=O)−†、NH−S(O)−NR−†、NR−S(=O)−NH−†、NH−C(=O)O−†、O−C(=O)−NH−†、NH−C(=O)NH−†、NH−C(=O)NR−†、NR−C(=O)NH−†、CR−NH−C(=O)−†、NH−C(=S)−CR−†、CR−C(=S)−NH−†、NH−S(=O)−CR−†、CR−S(=O)−NH−†、NH−S(=O)−CR−†、CR−S(=O)−NH−†、CR−O−C(=O)−NH−†、NH−C(=O)−CR−†、NH−C(=O)−CR−NH−†、およびCR−NH−C(=O)−O−†から選択され、ここで、
    †は、XがRに結合する位置を表し、かつ
    各RおよびRは、水素、C−Cアルキル、CF、および(C−Cアルキル)−CFから独立して選択される)。
  2. Xが、C(=O)−NH−†、NH−C(=O)−†、S(=O)−NH−†、S(=O)−NH−†、NH−C(=O)−O−CR−†、NH−C(=S)−†、C(=S)−NH−†、NH−S(=O)−†、NH−S(=O)−†、NH−S(=O)−NR−†、NR−S(=O)−NH−†、NH−C(=O)O−†、O−C(=O)−NH−†、NH−C(=O)NH−†、NH−C(=O)NR−†、NR−C(=O)NH−†、CR−NH−C(=O)−†、NH−C(=S)−CR−†、CR−C(=S)−NH−†、NH−S(=O)−CR−†、CR−S(=O)−NH−†、NH−S(=O)−CR−†、CR−S(=O)−NH−†、CR−O−C(=O)−NH−†、NH−C(=O)−CR−†、NH−C(=O)−CR−NH−†、およびCR−NH−C(=O)−O−†から選択される、請求項1に記載の化合物。
  3. Rが、水素、ハロ、C−Cアルキル、O−R、および4〜8員の非芳香族複素環から選択される、請求項1または2に記載の化合物。
  4. が、置換されていてもよい下記から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物:
    Figure 2014530872
  5. が下記から選択される、請求項4に記載の化合物:
    Figure 2014530872
    Figure 2014530872
    Figure 2014530872
    Figure 2014530872
    Figure 2014530872
  6. が下記から選択される、請求項5に記載の化合物:
    Figure 2014530872
  7. が、置換されていてもよい下記から選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物:
    Figure 2014530872
  8. が下記から選択される、請求項7に記載の化合物:
    Figure 2014530872
    Figure 2014530872
    Figure 2014530872
    Figure 2014530872
  9. が、下記から選択される、請求項8に記載の化合物:
    Figure 2014530872
  10. が、置換されていてもよい炭素環および置換されていてもよい非芳香族複素環から選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物。
  11. が、置換されていてもよい芳香族炭素環および置換されていてもよい非芳香族複素環から選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物。
  12. が、置換されていてもよい非芳香族炭素環および置換されていてもよい非芳香族複素環から選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物。
  13. が置換されていてもよい非芳香族複素環である、請求項10〜12のいずれか一項に記載の化合物。
  14. が、Rの窒素原子により前記化合物の残りの部分に結合された、請求項13に記載の化合物。
  15. XがC(=O)−NH−†である、請求項1〜14のいずれか一項に記載の化合物。
  16. XがNH−C(=O)−†である、請求項1〜14のいずれか一項に記載の化合物。
  17. BがNである、請求項1〜16のいずれか一項に記載の化合物。
  18. AがNである、請求項1〜16のいずれか一項に記載の化合物。
  19. 薬学的に許容可能な担体または希釈剤と、請求項1〜18のいずれか一項に記載の化合物とを含んでなる、医薬組成物。
  20. 請求項19に記載の組成物に細胞を接触させることを含んでなる、細胞中のサーチュイン−1活性を増加させる方法。
  21. インスリン抵抗性、代謝症候群、糖尿病、もしくはこれらの合併症に罹患しているか、罹患しやすい対象を治療する方法または対象のインスリン感受性を増加させる方法であって、請求項19に記載の組成物を、その必要のある対象に投与することを含んでなる、方法。
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