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JP2014236112A - 積層コイル部品の製造方法 - Google Patents

積層コイル部品の製造方法 Download PDF

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JP2014236112A JP2013116809A JP2013116809A JP2014236112A JP 2014236112 A JP2014236112 A JP 2014236112A JP 2013116809 A JP2013116809 A JP 2013116809A JP 2013116809 A JP2013116809 A JP 2013116809A JP 2014236112 A JP2014236112 A JP 2014236112A
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大石 一夫
Kazuo Oishi
一夫 大石
清水 基尋
Motohiro Shimizu
基尋 清水
冬希 阿部
Fuyuki Abe
冬希 阿部
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Abstract

【課題】小型・低背でありながら、単位体積当たりのインダクタンス値が高く大電流を流すことができる積層コイル部品の製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】絶縁被覆された金属磁性体粉末と、粉末状のガラスと、有機樹脂バインダとを混合してグリーンシートを積層して積層コイル部品を得るものであり、有機樹脂バインダの少なくとも一部を除去する脱バインダ工程のあとに、積層工程で加えたプレス圧力よりも大きな圧力で加圧し、ガラスの軟化点よりも高い温度で焼成することにより、金属磁性体粉末の絶縁被覆膜同士をガラスにより結着させるとともに、導体パターンを焼成するものである。【選択図】図3

Description

本発明は、積層コイル部品の製造方法に関し、特に回路基板への面実装が可能な小型化された積層コイルに適した鉄または鉄系軟磁性合金を用いた積層コイル部品の製造方法に関するものである。
近年、大電流が流れる電源回路やDC/DCコンバータ回路用のインダクタやトランス等として使用されるコイル部品にはコイル状に巻回された巻線の周りを金属磁性体粉末で圧粉成形した金属磁性体で覆われるものがある(例えば、特許文献1を参照。)。
しかしながら、このようなコイル部品は巻線を巻回し、この巻線部分を金属磁性体で覆っているため、形状が大型化し、小型の電子機器に用いることができなかった。
一方、小型化が進んだコイル部品としては、鉄または鉄系軟磁性合金からなる金属磁性体層と導体パターンを積層し、積層体内にコイルが形成された積層コイル部品として、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献2が知られている。
特開2004−153068号公報 特開2007−27354号公報
上記従来の特許文献2の積層コイル部品は、鉄粉末または鉄系軟磁性合金粉末からなる金属磁性体層の相対密度が低いため、透磁率が低く単位体積当たりのインダクタンス値は低いものに限定されていた。
本発明は、小型・低背でありながら、単位体積当たりのインダクタンス値が高く大電流を流すことができる積層コイル部品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は上記課題を解決するために、絶縁被覆された金属磁性体粉末と、粉末状のガラスと、有機樹脂バインダとを混合してグリーンシートを成形するシート成形工程と、グリーンシートに導体パターンを印刷する印刷工程と、導体パターンを印刷したグリーンシートおよび導体パターンを印刷していないグリーンシートを重ね合わせプレスする積層工程と、これをガラスの軟化点以下の温度に加熱することにより有機樹脂バインダの少なくとも一部を除去する脱バインダ工程と、脱バインダ工程を終えたものを積層工程で加えたプレス圧力よりも大きな圧力で加圧する加圧工程と、加圧工程を終えたものをガラスの軟化点よりも高い温度で焼成することにより金属磁性体粉末の絶縁被覆膜同士をガラスにより結着させるとともに、導体パターンを焼成する焼成工程とを有する。
上記構成により、本発明の積層コイル部品は金属磁性体層と導体パターンを積層し、積層体内にコイルが形成されるため、小型・低背でありながら直流重畳特性が良好で大電流を流すことができる。また、絶縁被覆された金属磁性体粉末の充填率が向上した積層体を、金属磁性体の絶縁被覆膜がガラスを介して再結着する温度以上で焼成することにより透磁率が向上し、単位体積当たりのインダクタンス値が高い積層コイル部品を提供することができる。
本発明の一実施の形態における積層コイル部品の分解斜視図 本発明の一実施の形態における積層コイル部品の斜視図 本発明の一実施の形態における積層コイル部品の製造工程図 比較例1として従来の積層コイル部品の製造工程図 本発明の一実施の形態における積層コイル部品の金属磁性体の充填率を示す図 本発明の一実施の形態における積層コイル部品の金属磁性体の透磁率を示す図
以下図面を参照しながら本発明の一実施形態の積層コイル部品の製造方法について説明する。
図1は本発明の一実施の形態における積層コイル部品の分解斜視図、図2は本発明の一実施の形態における積層コイル部品の斜視図である。
図1において、11A〜11Fは金属磁性体層、12A〜12Eは導体パターンである。金属磁性体層11A〜11Fは鉄、ステンレス、パーマロイ、センダスト、Crを含有する金属磁性体等の金属磁性体粉末を主成分とし、金属磁性体粉末の表面にはテトラエトキシシラン、シランカップリング材等のアルコキシシランによるSiO2系ゲルコーテイング膜、シリコーン樹脂膜等による表面絶縁被覆処理が施され、金属磁性体粉末粒子間を高温焼成工程において結着する機能を有するBi23−B23−SiO2系あるいはZnO−B23−SiO2系ガラスや水ガラス等のガラス系の結着材料と、酢酸ブチル、2−2−4トリメチルペンタンジオールモノイン酪酸エステル(MIBE)等の溶剤と、金属磁性体粉末粒子間およびガラス等の結着材料粒子間をそれぞれ結着させ、グリーンシート成形工程においてグリーンシートの強度と粘性を発現する機能を有するブチラール樹脂、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂から成る結着材料と、フェニルメチル系シリコーン樹脂等の結着材料を混合分散して塗料状にした後、ドクターブレード法等によるスリップキャステイング工法を用いてグリーンシート化された材料である。
また、導体パターン12A〜12Eは、銅、銅−銀合金、銀、銀−白金、銀−パラジウム等の金属材料にターピネオール、ブチルカルビトール、2−2−4トリメチルペンタンジオールモノイン酪酸エステル(MIBE)等の溶剤とエチルセルロース樹脂、ブチラール樹脂、アクリル樹脂等の樹脂バインダを混合分散してペースト状にした導体ペーストを用いて形成される。
金属磁性体層11Aの表面には、導体パターン12Aが形成される。この導体パターン12Aは1ターン未満分が形成され、一端が金属磁性体層11Aの端面に引き出される。
金属磁性体層11Bの表面には、導体パターン12Bが形成される。この導体パターン12Bは3/4ターン分が形成される。導体パターン12Bの一端は金属磁性体層11Bのスルーホール内の導体を介して導体パターン12Aの他端に接続される。
金属磁性体層11Cの表面には、導体パターン12Cが形成される。導体パターン12Cは3/4ターン分が形成され、その一端が金属磁性体層11Cのスルーホール内の導体を介して導体パターン12Bの他端に接続される。
金属磁性体層11Dの表面には、3/4ターン分の導体パターン12Dが形成される。この導体パターン12Dの一端は金属磁性体層11Dのスルーホール内の導体を介して導体パターン12Cの他端に接続される。
金属磁性体層11Eの表面には、1ターン未満の導体パターン12Eが形成され、一端が金属磁性体層11Eのスルーホール内の導体を介して導体パターン12Dの他端に接続される。導体パターン12Eの他端は金属磁性体層11Eの端面に引き出される。
この導体パターン12Eが形成された金属磁性体層11Eの上には導体パターン12Eを保護し積層コイルの磁気回路を構成するための1枚あるいは複数枚の金属磁性体層11Fが形成される。
この様にして導体パターン12A〜12Eによって積層体内にコイルパターンが形成され、積層体の両端面に形成された外部端子21、22間に接続される。
図3は本発明の一実施の形態における積層コイル部品の製造工程図である。
積層コイル部品をシート積層法によって形成する場合には、金属磁性体粉末として例えば平均粒径5μmの鉄粉の表面に、10nm〜200nmの絶縁被覆膜を形成する第1の表面絶縁処理工程を有する。絶縁被覆膜材料としては、テトラエトキシシラン、シランカップリング材等のアルコキシシランを水溶性有機溶媒として例えばイソプロピルアルコールで希釈した後次いで加水分解に供される水を添加し必要に応じて加水分解・縮合反応を促進させるアルカリ触媒、例えばアンモニア水を添加するのが良い。金属磁性体粉末に接触させた後、過熱乾燥させることにより、そのアルコキシシランが金属磁性体粉末表面で脱水縮合反応して均一なSiO2系ゲルコーテイング膜が形成される。アルコキシシランよりも、被膜厚みを厚めに制御する場合としては、例えばフェニルメチル系シリコーン樹脂をトルエン等の溶媒で希釈した後、金属磁性体粉末に接触させた後、乾燥硬化させたシリコーン樹脂絶縁膜を用いてもよく、アルコキシシランによるSiO2系ゲルコーテイング膜とシリコーン樹脂絶縁膜を組み合わせて使用してもよい。あるいはこれらのアルコキシシランによるSiO2系ゲルコーテイング膜やシリコーン樹脂絶縁膜を有機系官能基が分解する温度で高温熱処理して生成するSiO2被膜であってもよい。
次に表面絶縁処理を施した純鉄粉末75〜90wt%と、第1の結着材料として平均粒径0.05μm〜2μmのガラス軟化点560℃を有するBi23−B23−SiO2系ガラス粉末0.5wt%〜10wt%、溶剤として酢酸ブチル20wt%以下、第2の結着材料としてブチラール樹脂が4.0wt%〜20wt%、第3の結着材料としてフェニルメチル系シリコーン樹脂0.2wt%〜1wt%、分散剤が0.5wt%になるように配合された塗料をドクターブレード法によりシート化する第2の金属磁性体グリーンシート成形工程を経る。
次に金属磁性体グリーンシートの表面側からYAGレーザあるいはCO2レーザ等のレーザ光を照射し、φ30μm〜φ200μmのスルーホール穴を形成する第3のグリーンシート穴加工工程を経る。
次に金属磁性体グリーンシートの裏面に位置するキャリアフイルム側から、導体ペーストを充填する第4のスルーホール導体印刷工程を経る。
次に金属磁性体グリーンシートの表面側のスルーホール穴位置に接続されるように導体パターンを印刷する第5のコイル導体印刷工程を経る。第4工程および第5工程で使用される導体ペーストは、例えば化学還元銅粉末が87wt%、エチルセルロースが2wt%、分散剤が0.5wt%、ブチルカルビトールが10.5wt%になるように配合され、ペースト状にされた銅系導体ペーストを用いる。
次にスルーホール導体およびコイル導体パターンが形成された金属磁性体グリーンシートを所定の順序で所定の枚数を積層して積層体を形成する第6の積層工程を経る。この積層工程としては、3MPa〜10MPaの圧力と常温〜50℃の加熱加圧等により、金属磁性体グリーンシート間および内蔵する導体パターンを接着させた後20MPa〜100MPaの予備加圧を施し、欠陥の少ない緻密なグリーンシート積層体を得る。
次にコイル導体パターンのひとつひとつが連結されて構成されるコイル積層体をトムソン刃あるいはダイシングブレード等により分離切断する第7の個片切断工程を経る。
次に個片に分割されたコイル積層体を、窒素雰囲気中において300℃〜500℃の焼成温度で保持することにより、金属磁性体グリーンシート中の第2の結着材料の成分であるブチラール樹脂とスルーホール導体およびコイル導体中のエチルセルロースを分解除去する第8の脱バインダ工程を経る。この脱バインダ工程の焼成温度は第1の結着材料のBi23−B23−SiO2系ガラスのガラス軟化点560℃を越えない焼成温度が選択され、第1の結着材料は未溶融のガラスフリット状の無機粉末として残存する。第3の結着材料のフェニルメチル系シリコーン樹脂は、脱バインダ工程の300℃〜500℃の温度において、第1の結着材料のブチラール樹脂が脱離した空隙の一部に残存することにより、表面絶縁被覆された金属磁性体粉末と第1の結着材料のBi23−B23−SiO2系ガラスフリットとを部分的に結着し、脱バインダ後の積層体の形状を保持し次の加圧工程で、金属磁性体粉末あるいはBi23−B23−SiO2系ガラスフリットが遊離することを防止する。
次にブチラール樹脂を分解除去して生成されたコイル積層体の金属磁性体粉末間の空隙に対して、コイル積層体個片の少なくとも上下2方向、望ましくは立方体6面全方向から200MPa〜1500MPaの圧力で加圧することにより、金属磁性体の充填率を向上させる第9の加圧工程を経る。この加圧工程に用いる設備としては、油圧式の単動式プレス機や材料供給から加圧成形、取り出しを一連の順送金型で行うロータリープレス機などが用いられる。
次に金属磁性体の充填率が向上したコイル積層体を窒素雰囲気中において600℃〜900℃の焼成温度で焼成する第10の焼成工程を経る。この焼成工程の昇温プロファイル過程および焼成ピーク温度において第1の結着材料のBi23−B23−SiO2系ガラスフリットがガラス軟化点を越えて溶融することにより、金属磁性体粉末の表面に形成されたSiO2絶縁被覆膜と濡れることにより、金属磁性体粉末間を結着させるとともに、コイル導体パターン材料の主成分である銅粉末が焼結し、体積固有抵抗が低く機械的強度を有する内部コイル導体が生成される。
次に焼成されたコイル積層体の端面に、外部端子を形成する第11の外部端子形成工程を経て積層コイル部品を製造した。
図4は比較例1として従来の技術による積層コイル部品の製造方法を示す図である。第1の金属磁性体の表面絶縁処理工程、第2の金属磁性体のグリーンシート成形工程、第3のグリーンシート穴加工工程、第4のスルーホール導体印刷工程、第5のコイル導体印刷工程、第6の積層工程までは、本発明の実施の形態(図3)と同一の製造方法である。第7の加圧工程を経て、第8の個片切断工程の後、第9の脱バインダ・焼成を同一の焼成炉で一括して処理をするか、あるいは脱バインダと焼成をそれぞれ別々の専用炉で処理する方法が選択できるが、いずれの場合も、脱バインダにより生成した空隙は焼成工程を経ても残存するため、金属磁性体の充填率および透磁率は第2の金属磁性体のグリーンシート成形工程で決定される結着材料1のガラス材料含有率と、結着材料2のブチラール樹脂の含有率の総和に依存するため、透磁率と飽和磁束密度を十分に高めることができなかった。比較として特許文献1で開示された巻線状コイル素子を圧粉体成形による金属磁性体で被覆したコイル型電子部品に比べて小型低背化は可能であるものの、単位体積当たりのインダクタンス値は非常に低いものに限られ限定的な用途しか対応できなかった。
図5は本発明の一実施の形態における積層コイル部品の金属磁性体の充填率を示す図である。図6は本発明の一実施の形態における積層コイル部品の金属磁性体の透磁率を示す図である。図3で示した本発明の一実施形態における積層コイル部品の磁気特性の良し悪しを判断するために、図3中の第1工程から第6の積層工程まで経た金属磁性体を第7工程の個片切断工程において外径14mm、内径8mm、厚さ3mmのトロイダル状に形成し、第8の脱バインダ工程で発生した空隙に対して第9の加圧工程で200MPa〜1200MPaまで圧力を変化させ、第10の焼成工程を窒素雰囲気中750℃で処理したときの各金属磁性体素体に対し、直径0.3mmのウレタン被覆線からなるコイルを20ターン巻回して試験試料とした。透磁率μの測定はLクロムメーター(アジレントテクノロジー社製:4285A)を用いて測定周波数100kHzで測定した。
図5において、本発明の一実施の形態における金属磁性体のトロイダル状成形体は、例えば1000MPaの成形圧力で加圧成形した時の充填率は86.5Vol%を示し、図6の透磁率μは48.6を示した。一方、比較例1の従来の技術による金属磁性体のトロイダル状成形体は、1000MPaの成形圧力において充填率75.8%を示し、透磁率は32.5を示した。本実施の形態における図5、図6に供した試験試料は、金属磁性体中の第2の結着材料(ブチラール樹脂)の固形分比が11.5Vol%としていたが、この成分比は第8の脱バインダ工程で生成する空隙率とほぼ等価と考えられる。試験試料による本発明の一実施の形態と比較例1(従来の技術)の1000MPaにおける充填率の差(86.5Vol%−75.8Vol%)=10.7Vol%の上昇分を生成する空隙率(第2の結着材料の固形分比)で除した比率が90%を超えることから、脱バインダ工程後の加圧による充填率向上効果を得る上で1000MPaは適切な加圧力と考えられるが、従来の技術と比較して、金属磁性体の充填率と透磁率の向上は、200MPa〜1200MPaのすべての水準で効果が見られた。
本発明の一実施の形態における積層コイル部品として図1、図2に示す製品構造として、外形寸法2.0mm(L)×1.6mm(W)×0.5mm(H)とし、コイル導体パターン6.5ターン分を積層体内部に巻回し、銅ペーストをスクリーン印刷法により塗布した後、乾燥膜厚40μmの導体パターンを金属磁性体グリーンシート表面に形成した後、焼成後膜厚30μmの積層コイルパターンを内蔵した。この積層インダクタの電気特性を測定した結果、1MHzでのインダクタンス値1.0μH、直流電流を重畳させた場合のインダクタンス値が30%低下する許容直流電流値は2.7A、直流抵抗は80mΩと小型低背ながら、従来の巻線コイルの外周に金属磁性体を覆った先行技術(特許文献1)による外形寸法2.0mm(L)×1.6mm(W)×1.0mm(H)の一般的な製品に比べて体積比でほぼ半減の小型低背化を実現した。一方、先行技術(特許文献2)で示された従来の積層コイル部品の製造方法による同一外形寸法2.0mm(L)×1.6mm(W)×0.5mm(H)でかつ、同一のコイル導体パターンの巻回数6.5ターンでのインダクタの電気特性を測定したところ、1MHzでのインダクタンス値は0.67μHであり、本発明の一実施の形態のインダクタンス値のほうが同一体積・同一コイル線積率において約50%のインダクタンス値の向上が認められた。
なお、本実施の形態では図3の積層コイル部品の製造方法において第8の個片切断工程を経て、第9の脱バインダ工程の後に第10の加圧工程を施す順番で金属磁性体の充填率を向上させる工程順としたが、個片切断を施さずに、平板上の積層体を一括して脱バインダ処理を施した後、加圧を行った後に個片切断を行ってもよい。また、本実施の形態では、金属磁性体グリーンシート中の結着材料として、Bi23−B23−SiO2系ガラス等の第1の結着材料とブチラール樹脂等の熱可塑性樹脂による第2の結着材料と、脱バインダ工程後の積層体の形状保持を目的としたフェニルメチル系シリコーン樹脂から成る第3の結着材料という3種の結着材料を含有したグリーンシート組成としているが、金属磁性体粉末の粉末形状として、一部の粉末を鱗片状とすることにより脱バインダ工程後の形状保持効果を確保したり、第2の結着材料の熱可塑性樹脂の一部が残存するような脱バインダ工程のピーク温度・ピーク保持時間を選択することにより、脱バインダ工程後に金属磁性体粉末および第1の結着材料のガラスフリットとの粒子間を機械的に結合する第2の結着材料の残存物を活用することにより、第3の結着材料の添加を省略することができる。
また、本実施の形態の図3における第10の焼成工程は600℃〜900℃の温度における窒素雰囲気中としたが、真空中あるいは、金属磁性体の表面絶縁被覆膜が劣化しない範囲で酸素濃度が制御された酸化性雰囲気であってもよい。
また、本実施の形態の金属磁性体粉末は平均粒径5μmの鉄粉を使用したが、特に導体パターン層間に配置される金属磁性体層(図1中の11B〜11E)に配置される金属磁性体粉末は、隣接するコイル導体パターンの層間膜厚により、0.5μm〜10μmの範囲で平均粒径を適切に選択することが好ましい。例えばコイル導体パターンの層間膜厚が10μmの場合に、金属磁性体粉末の平均粒径を10μmとした場合、金属磁性体層のコイル導体層間絶縁部は厚み方向に1個分の金属磁性体粉末しか充填できなくなり、絶縁耐圧が不十分となりやすい。このようにコイル導体パターンの層間膜厚が薄い構造においては、0.5μm〜5μmの比較的微粒子の金属磁性体粉末が好ましい。平均粒径10μm以上の粗い平均粒径の金属磁性体粉末を使用する場合には、コイル導体パターンの層間膜厚を大きく設計する必要性が生じる。このため、本発明の小型低背の積層コイル部品の効果を最大化するためには、コイル導体層間厚みの設計寸法に応じて、0.5μm〜10μmの範囲で要求される絶縁性能に応じて適当な金属磁性体粉末の平均粒径を選択する。
また、第1の結着材料としては本実施の形態においては平均粒径0.05μm〜2μmのガラス軟化点560℃を有するBi23−B23−SiO2系ガラスとしたが、特に導体パターン層間に配置される金属磁性体層(図1中の11B〜11E)においては、金属磁性体粉末の平均粒径をDとし、第1の結着材料のガラス粉末の平均粒径をdとした場合、1/100≦d/D≦1/5とすることが好ましい。例えばガラス粉末の平均粒径dが0.05μmより小さく、金属磁性体粉末の平均粒径Dが5μmの場合、d/Dは1/100より小さくなるが、ガラス粉末の平均粒径が小さいためにガラス粉末同士が凝集しやすくなり、均一分散されたグリーンシート用の塗料を作製することが著しく困難となる。逆にd/Dが1/5より大きいと、図3の積層コイル部品の製造方法において第9の加圧工程で、金属磁性体粉末の周囲に存在するガラスフリットによる金属磁性体粉末の高圧プレス下における圧縮と変形が大きくなり、金属磁性体粉末表面に形成された絶縁被覆膜が剥離したり、クラック等が発生し、絶縁耐圧が低下したり、渦電流損が増加しインダクタ素子としての電気的な性能劣化の原因となるためである。
なお、本実施の形態において、ガラス粉末はBi23−B23−SiO2系ガラスとしたが、ガラス軟化点500℃以上のBi23−B23系ガラス、ZnO−B23系ガラス、ZnO−B23−SiO2系ガラス、BaO−B23系ガラス、BaO−B23−SiO2系ガラス、PbO−B23−SiO2系ガラス、PbO−SiO2系ガラス、Bi23−ZnO−SiO2系ガラスのうち少なくとも一種あるいは二種以上のガラス組成であってもよい。
また、本実施の形態において金属磁性体層はグリーンシート積層法を用いたが、金属磁性体粉末をペースト状にした混練物をスクリーン印刷法等により成膜し、金属磁性体層と導体パターンを交互に順次印刷積層する印刷積層法を用いてもよい。
本発明に係る積層コイル部品の製造方法は、回路基板上への面実装が可能で電源回路やDC/DCコンバータと呼ばれる昇圧回路あるいは降圧回路に好適である。特に大電流を流すパワーインダクタあるいはトランスに適用した場合、部品の大幅な小型低背化が図れるため、産業上有用である。
11A〜11F 金属磁性体層
12A〜12E 導体パターン
21、22 外部端子

Claims (6)

  1. 絶縁被覆された金属磁性体粉末と、粉末状のガラスと、有機樹脂バインダとを混合してグリーンシートを成形するシート成形工程と、前記グリーンシートに導体パターンを印刷する印刷工程と、前記導体パターンを印刷したグリーンシートおよび前記導体パターンを印刷していないグリーンシートを重ね合わせプレスする積層工程と、前記積層工程で得られた積層シートを個片に切断する切断工程と、前記個片を前記ガラスの軟化点以下の温度に加熱することにより前記有機樹脂バインダの少なくとも一部を除去する脱バインダ工程と、前記脱バインダ工程を終えた前記個片を前記積層工程で加えたプレス圧力よりも大きな圧力で加圧する加圧工程と、前記加圧工程を終えた前記個片を前記ガラスの軟化点よりも高い温度で焼成することにより前記金属磁性体粉末の絶縁被覆膜同士を前記ガラスにより結着させるとともに、前記導体パターンを焼成する焼成工程とを備えたことを特徴とする積層コイル部品の製造方法。
  2. 絶縁被覆された金属磁性体粉末と、粉末状のガラスと、有機樹脂バインダとを混合してグリーンシートを成形するシート成形工程と、前記グリーンシートに導体パターンを印刷する印刷工程と、前記導体パターンを印刷したグリーンシートおよび前記導体パターンを印刷していないグリーンシートを重ね合わせプレスする積層工程と、前記積層シートを前記ガラスの軟化点以下の温度に加熱することにより前記有機樹脂バインダの少なくとも一部を除去する脱バインダ工程と、前記脱バインダ工程を終えた前記積層シートを前記積層工程で加えたプレス圧力よりも大きな圧力で加圧する加圧工程と、前記加圧工程で得られた積層シートを個片に切断する切断工程と、前記切断工程を終えた前記個片を前記ガラスの軟化点よりも高い温度で焼成することにより前記金属磁性体粉末の絶縁被覆膜同士を前記ガラスにより結着させるとともに、前記導体パターンを焼成する焼成工程とを備えたことを特徴とする積層コイル部品の製造方法。
  3. 前記ガラスが500℃以上の軟化点を有するガラスであって、その平均粒径が0.05μm〜2μmであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の積層コイル部品の製造方法。
  4. 前記金属磁性体粉末が、鉄、Fe−Ni系合金、Fe−Si−Al系合金、Fe−Si−Cr系合金の少なくとも一種あるいは二種以上の鉄系金属磁性体粉末から成り、その平均粒径が0.5μm〜10μmであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の積層コイル部品の製造方法。
  5. 前記金属磁性体粉末の平均粒径をDとし、前記粉末状のガラスの平均粒径をdとしたとき、1/100≦d/D≦1/5を満たすことを特徴とする請求項1または請求項2記載の積層コイル部品の製造方法。
  6. 前記脱バインダ工程を300℃〜500℃で行い、前記焼成工程を600℃〜900℃で行うことを特徴とする請求項1または請求項2記載の積層コイル部品の製造方法。
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