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JP2014233802A - ナットのねじ溝加工方法及びボールねじ - Google Patents

ナットのねじ溝加工方法及びボールねじ Download PDF

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JP2014233802A JP2013117094A JP2013117094A JP2014233802A JP 2014233802 A JP2014233802 A JP 2014233802A JP 2013117094 A JP2013117094 A JP 2013117094A JP 2013117094 A JP2013117094 A JP 2013117094A JP 2014233802 A JP2014233802 A JP 2014233802A
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渡辺 靖巳
Yasumi Watanabe
靖巳 渡辺
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Abstract

【課題】ナットのねじ溝加工のチルト研削において、リード角が大きい場合でも、工具径の上限を定めることで、加工精度を向上させ、ナットのねじ溝の目標形状を好適に得ることができるナットのねじ溝加工方法を提供する。【解決手段】ボールねじのナットにおいて、浅溝にすることで加工精度を確保したい範囲を狭めることにより、工具の有効径をより大きく設定した。【選択図】図1

Description

本発明は、ナットのねじ溝加工方法に関し、特に、ボールねじのナット、遊星ローラねじナット、滑りねじナット、止めねじナット等のねじ溝の加工方法に関する。
従来より、ナットのねじ溝は、ロータリードレッサの回転軸と砥石の回転軸とが平行な状態で上記砥石を成形し、砥石の回転軸をナット中心軸からナットのねじ溝のリード角だけ傾けた状態でナットのねじ溝の研削が行われていた。このような研削方法によれば、ロータリードレッサの形状が砥石にそのまま転写され、砥石の形状がそのままナットのねじ溝に転写されるので、高精度な研削を行うことができる。
しかし、このような従来の研削方法では、リード角が大きくなると砥石の回転軸がナット内周に接触してしまうことがあった。そこで、リード角が大きいナットのねじ溝を研削する場合には、砥石の回転軸を、ナット中心軸とナットのねじ溝リード角との間で傾けて研削を行う「チルト研削」が用いられることがあった。
このようなチルト研削を用いたねじ溝の加工方法については、特許文献1〜3に開示されている。
特許文献1では、チルト研削における砥石の成形方法として、内周型ロータリードレッサをナットのねじ溝のリード角だけ傾けて砥石を成形している。
特許文献2では、チルト研削における砥石の成形方法として、ワークのナットのねじ溝と同一構成のねじ溝により形成したドレッサを用いて砥石の成形をしている。
特許文献3では、砥石の代わりに断面がおよそナットのねじ溝と同じ形状の回転する切削工具を用いてナットのねじ溝の加工をしている。
特開昭57−83320号公報 特開昭61−109612号公報 特開2007−111849号公報
ところで、特許文献1に記載のチルト研削は、比較的リード角の小さいナットのねじ溝を加工する場合には目標形状を得ることができていた。これは、リード角が小さいナットのねじ溝の軸方向断面形状の曲率半径がナット内周面の曲率半径に近いため、砥石径が大きくても加工できていたからである。しかし、リード角が大きくなると、ナットのねじ溝の軸方向に沿う断面形状は、ねじ溝に直交する断面形状に近づいていき、曲率半径が小さくなるため、曲率半径が小さい部分は大きい砥石では目標の点以外を干渉によって削ってしまう「干渉研削」となってしまうために目標形状を得ることは困難であった。
この問題を解決すべく、特許文献2ではワークのナットのねじ溝と同一構成のねじ溝により形成したドレッサを用いているが、本質的な問題解決にはなっていない。すなわち、この方法で砥石を成形してもリード角が大きくなると、やはり目標形状を得ることは困難である。例えば、極端にリード角が大きい例として、ボールスプラインナットのようにリードが∞、すなわちリード角90°の場合、ナットのねじ溝の軸方向に沿う断面形状は、ねじ溝に直交する断面形状そのものであるから、砥石径はボール径程度でなければ干渉研削となってしまい、目標形状を得ることは困難である。つまり、リード角が大きくなるにつれてナットのねじ溝はボールスプラインナットに近くなることから、やはり砥石径は小さくしなくてはならない。そして、このような事情を踏まえ、リード角が大きい場合には砥石径を小さくすればよいことは漠然と分かっていても、どの程度砥石径を小さくすればよいか、従来は基準は示されてこなかった。
そこで、本発明は上記の問題点に着目してなされたものであり、その目的は、リード角が大きいナットのねじ溝の目標形状を好適に得ることができるナットのねじ溝加工方法を提供することにある。
上記目的を達成するためのナットのねじ溝加工方法のある実施形態は、回転可能な切削部を備えた工具の回転軸をナットの中心軸と、上記ナットのねじ溝のリード角との間で傾けて上記ねじ溝の加工を行うナットのねじ溝加工方法であって、
上記回転軸に直交する平面で切断した上記ナットの断面における目標形状の任意の点aの曲率中心bから上記中心軸までの距離Liよりも、上記回転軸から上記中心軸までの距離Jのほうが大きくなるように上記切削部の有効径を設定する。
このようなナットのねじ溝加工方法によれば、従来漠然としていた工具径の上限を定めることで、干渉研削とならず、精度の良い加工を行うことができる。また、過度に工具径を小さくすることがないので、上限まで工具径を大きくすることができる。工具の寿命が延長し、生産性が向上する。工具に砥石を用いた場合には砥石周長が長くなることで砥石寿命が延長するので、加工精度が向上し、また、生産性が向上する。工具に切削工具を用いた場合には切削工具の剛性を上げることが可能となる。また、砥石径の推定が困難であっても目標形状に応じた砥石を成形できるので、精度よい加工を行うことが可能である。
上記目的を達成するためのナットのねじ溝加工方法の他の実施形態は、回転可能な切削部を備えた工具の回転軸と、ナットの中心軸とを平行にして上記ナットの内周面にねじ溝の加工を行うナットのねじ溝加工方法であって、
上記中心軸から上記回転軸までの距離をJとし、上記ナットのボールピッチ円径又は有効径をDmとし、上記切削部の有効径をDtとし、
上記ナットを、上記中心軸に直交する平面で切断した断面における目標形状の任意の点aの曲率中心bから上記中心軸までの距離をLi(i=1,2,…)とし、Liの最大値をLmaxとしたとき、下記式(1)及び下記式(2)を満たす形状の上記工具によって上記ねじ溝が加工する。
J=(Dm−Dt)/2 ・・・・・・・・・・・・・式(1)
Dt<Dm−2×Lmax ・・・・・・・・・・・・式(2)
このようなナットのねじ溝加工方法によれば、工具回転軸とナット中心軸を平行に限定したことによって数値計算が容易となる。また、異なる仕様のナットのねじ溝であっても、工具回転軸が常にナット中心軸と平行にして加工すればよく、セット替えをする必要がないので生産性が向上する。また、砥石径の推定が困難であっても目標形状に応じた砥石を成形できるので、精度よい加工を行うことが可能である。
ここで、上記ナットのねじ溝加工方法の他の実施形態においては、上記工具に砥石を用い、下記式(3)によって算出された上記工具の有効径Dtに応じた上記工具によってねじ溝が加工されてもよい。
Dt=Dm−2×J ・・・・・・・・・・・・・・・式(3)
このようにすることにより、砥石径が変化していっても、常に目標形状に対して精度良く加工を行うことができる。
また、上記ナットのねじ溝加工方法の他の実施形態においては、上記工具に砥石が用いられ、該砥石が上記ナットのねじ溝の目標形状と同一形状のねじ溝により形成したドレッサを用いて成形された砥石であってもよい。
このようにすることにより、切削工具は砥石に比べて摩耗寿命が長いため、精度のよい、加工を行うことが可能である。また、切削工具は工具径を小さく設定できるので、大リードのナットのねじ溝加工が可能である。
また、上記目的を達成するためのボールねじのある実施形態は、螺旋状のねじ溝を外周面に有するねじ軸と、上記ねじ軸のねじ溝に対向するねじ溝を内周面に有し、上記両ねじ溝により形成される螺旋状の転動路に転動自在に装填された複数のボールを介して上記ねじ軸に螺合されたナットとを備え、
上記ナットのねじ溝が、上記ナットのねじ溝加工方法で加工したものである。
このようなボールねじによれば、リードが大きいボールねじであってもナットのねじ溝加工時に干渉研削となって溝曲率が大きくなるという事態が生じないので、狙いの溝曲率の溝形状を得ることができ、ボールねじの寿命が延長する。
ここで、上記ボールねじは、上記ねじ溝のR部(断面における円弧部分)と、面取り境界との角度を、接触範囲の上限角度+5°以内としてもよい。
このようにすることにより、ボールねじのナットのねじ溝のうち、上記R部と面取り部との境界付近の曲率半径の小さい部分をなくすことができるので、工具径の上限を引き上げることができ、リード角がより大きいナットでもねじ溝加工が可能である。
本発明によれば、リード角が大きいナットのねじ溝の目標形状を好適に得ることができるナットのねじ溝加工方法を提供することができる。
ナットのねじ溝加工方法の第1実施形態における軸方向に沿う断面図である。 図1の矢視Y1方向からみた軸方向に沿う断面図であり、工具の回転軸をナットの軸と平行にしたねじ溝加工方法の概要を示す図である。 ナットのねじ溝加工方法の第1実施形態において、ボールねじのナットのねじ線に直交する平面で切断した溝直交断面で定義された溝形状を示す図である。 ナットのねじ溝加工方法の第1実施形態において、工具切削部中央でナットをナット中心軸に直交する平面Aで切断したナット直交断面における目標形状を示した図である。 ナットのねじ溝加工方法の第1実施形態及び第2実施形態における目標形状の接点角度と工具の有効径との関係を示すグラフである。 ナットのねじ溝加工方法の第1実施形態において、工具の有効径Dtを5mmとし、工具形状及びその工具形状で加工した場合の加工形状を示した図である。 ナットのねじ溝加工方法の第1実施形態において、工具の有効径Dtを5mmとしたときの接点角度とねじ溝の断面弧の母線からの距離との関係を示すグラフである。 ナットのねじ溝加工方法の第2実施形態において、ボールねじのナットのねじ線に直交する平面で切断した溝直交断面で定義された溝形状を示す図である。 ナットのねじ溝加工方法の第2実施形態において、工具の有効径Dtを8mmとし、工具形状及びその工具形状で加工した場合の加工形状を示した図である。 ナットのねじ溝加工方法の第2実施形態において、工具の有効径Dtを8mmとしたときの接点角度とねじ溝の断面弧の母線からの距離との関係を示すグラフである。 図1の矢視Y1方向からみた軸方向に沿う断面図であり、工具の回転軸をナットの軸に対して傾斜させたねじ溝加工方法の概要を示す図である。 ナットのねじ溝加工方法の第3実施形態におけるナットのねじ溝の目標形状と同一構成のねじ溝により形成したドレッサを用いて砥石の成形を行ってもよい ナットのねじ溝加工方法の第4実施形態における工具に回転する切削工具を用いてナットのねじ溝の加工を行っても良い
以下、本発明に係るナットのねじ溝加工方法の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明に係るナットのねじ溝加工方法の第1実施形態における軸方向に沿う断面図である。また、図2は図1の矢視Y1方向からみた軸方向に沿う断面図である。本実施形態では、ボールねじのナットのねじ溝加工を例に挙げる。
本実施形態は、工具に砥石を用い、工具の回転軸とナット中心軸とを平行にして、ナット10の内周面10aのねじ溝加工を行うナットのねじ溝加工方法である。
まず、ナット10の中心軸から工具50回転軸までの距離をJ、ナット10のボールピッチ円径をDm、工具50(切削部51)の有効径をDtとすると、下記式(1)を満たす。
J=(Dm−Dt)/2 ・・・・・・・・・・・・・式(1)
ナット10の中心軸(軸線)に直交する平面で切断した断面で定義されたねじ溝11の形状(Si,Ri)(i=1,2,…)を図3に示す。図3に示すように、ねじ溝11のR部(断面におけるねじ溝11の円弧部分)の加工範囲は、そのR部とC面取り部との境界までである。このねじ溝11のR部の加工範囲のみを目標形状とし、工具50の切削部51の中央でナット10をナット中心軸に直交する平面A(図2参照)で切断した断面における目標形状(Yi,Zi)(i=1,2,…)を以下の式によって求めると図4のようになる。
θ=−Si×cos(β)×2π/P
Yi=Ri×cos(θ)+Si×sin(β)×sin(θ)
Zi=Ri×sin(θ)−Si×sin(β)×cos(θ)
ここで、上記式において、βはねじ溝11のリード角、Pはリードである。このとき、工具50の中心軸はY=J=(Dm−Dt)/2、Z=0の位置にある。ナット10に直交する断面を工具50の切削部51の範囲で動かすと、目標形状MはY=0、Z=0を中心に回転し、工具50の中心軸は動かない。このことは、目標形状M側からみると工具50の回転軸の軌跡Lwrは半径をJとしてY=0、Z=0を中心に回転しているように見える。よって、図4は目標形状Mを固定し、工具50の中心軸軌跡Lwrを描いた。
さらに、ナット10に直交する断面における目標形状Mの任意の点の曲率中心(Yoi,Zoi)(i=1,2,…)が描く軌跡Lccを図4に示す。曲率中心は目標形状(Y1,Zi)の隣合う3点を通る円の中心であり、詳しい算出方法は省略する。
目標形状の任意の点の曲率中心からナット10の中心軸Cw(YZ座標:0,0)までの距離をLi(1=1,2,…)、Li=/(Yoi+Zoi)とし、Liの最大値をLmaxとする。
ここで、加工点aの曲率中心を点bとすると、加工点aを加工する工具50の中心軸の位置点cは直線ab上にある。すなわち、工具50の回転軸に直交する平面で切断したナット10の断面における目標形状の任意の点aの曲率中心bから上記中心軸までの距離Liよりも、上記回転軸から上記中心軸までの距離Jのほうが大きくなるように(J>Lmax)、切削部51の有効径を設定すればよい。
さらに、工具50の切削部51の有効径Dtを下記式(2)の範囲で設定すれば、工具50が点cに位置したとき加工点a以外の点を削ることはない。このことは目標形状上のすべての加工点に関して同じことがいえる。
Dt<Dm−2×Lmax ・・・・・・・・・・・・式(2)
このように、目標形状から上記のように設定した工具50の切削部51の有効径Dtを用いて、数値計算によって求めた工具形状になるよう単石ドレッサによって砥石を成形し、研削加工することで、干渉研削とならず、精度の良い加工を行うことができる。また、過度に工具径(切削部51の径)を小さくすることがないので、上限まで工具径を大きくすることができ、工具50の寿命が延長し、生産性が向上する。また、砥石周長が長くなることで砥石寿命が延長するので、加工精度が向上し、また、生産性が向上する。
また、工具50の回転軸とナット10の中心軸とを平行にして内周面10aのねじ溝11の加工を行う場合、異なる仕様のナット10のねじ溝11であっても、工具50回転軸が常にナット10の中心軸と平行にして加工すればよく、セット替えをする必要がないので生産性が向上する。
具体的に以下の仕様のボールねじを例として挙げて説明する。
ナットのボールピッチ円径Dmを16.75mmとし、ナット内径を17.5mmとし、リードを10mmとし、リード角を10.46°とし、ボール径を3.175mmとし、C面取り深さを0.2mmとすると、Dm−2×Liは図5のようになる。ここで、ねじ溝11のR部の加工範囲は、ねじ溝11のC面取り部分との境界までであり、およそ65°であるから、Dm−2×Liの上限(上記式(2)の右辺)、つまり、工具有効径Dtの上限は5mmである。
よって、工具有効径Dtを5mmとし、工具形状及びその工具形状で加工した場合の加工形状を数値計算にて求めると、図6のようになる。図7には図6の工具形状及び加工形状の目標形状溝R(断面弧)の母線からの距離を示す。この距離は、目標形状からのずれの大きさを表している。図7より、ねじ溝11のR部の加工範囲(〜65°)まで精度良く加工できていることがわかる。
(第2実施形態)
次に、本発明に係るナットのねじ溝加工方法の第2実施形態について説明する。本実施形態では、ボールねじのナット10のねじ溝11のR部と、面取り部との境界がなす角度を、接触範囲の上限角度+5°以内としたことで、工具有効径をより大きく設定している。
上述の第1実施形態では、ねじ溝11のR部の加工範囲は65°であったが、使用条件によっては範囲を狭く設定することが可能である。例えば、図8に示すように、ナットのボールピッチ円径Dmを16.75mmとし、リードを10mmとし、リード角を10.46°とし、ボール径を3.175mmとし、巻数を2.5巻とし、動定格荷重を5780Nのボールねじに外部荷重1000Nが作用した場合、接触範囲の上限角度は50.2°である。加工誤差や取り付け誤差等を考慮すると5°以内の接触範囲の増減は考えられるから、接触範囲がねじ溝11のR部とC面取り部との境界に乗り上げないよう、ナット内径を18mm、C面取り深さを0.2mmとして、ねじ溝11のR部の加工範囲(C面取り境界まで)をおよそ55°に設定した。
すると、図5より、工具有効径Dtの上限は8mmまで第1実施形態よりも工具有効径をより大きく設定することができる。
工具有効径Dtを8mmとし、工具形状及びその工具形状で加工した場合の加工形状を数値計算にて求めると、図9のようになる。図10には図9の工具形状及び加工形状の目標形状溝R(断面弧)の母線からの距離を示す。この距離も、図7と同様、目標形状からのずれの大きさを表している。図10より、ねじ溝11のR部の加工範囲(〜55°)まで精度良く加工できていることがわかる。
なお、他の実施形態として、第1実施形態及び第2実施形態では説明の簡単のため工具回転軸とナット中心軸を平行にして内周面のねじ溝加工を行う形態について説明をしたが、工具50の回転軸を、ナット10の中心軸と、ナット10のねじ溝11のリード角との間で傾けて(例えば角度δ:図11参照)ねじ溝加工を行っても同じことが言える。
すなわち、工具50の切削部の範囲において、工具50の回転軸に直交する平面B(図11参照)で切断したナット10の断面における目標形状の任意の点の曲率中心からナット中心までの距離(第1実施形態におけるLi)よりも工具50の回転軸からナット10の中心までの距離(第1実施形態におけるJ)のほうが大きくなるように工具径を設定すればよい。
また、C面取り部、R面取り部の加工に関しては説明してこなかったが、ねじ溝11のR部が特に接点角度が大きい箇所において曲率半径の小さい凹部であるのに対して、C面取り部はナット内周の曲率半径に近く、また、R面取り部は凸形状であるから、ねじ溝11のR部での工具径条件を満たせば加工可能である。
なお、他の実施形態として、工具に砥石を用いた場合には砥石を成形するたびに有効径が小さくなっていき、工具有効径の違いによって理想とする工具形状は異なる。ナット中心軸から工具回転軸までの距離Jに応じて、下記式(3)から算出された工具有効径Dtに応じて工具形状を変えていけばよい。砥石径が変化していっても、常に目標形状に対して精度良く加工を行うことができる。
Dt=Dm−2×J ・・・・・・・・・・・・・・・式(3)
(第3実施形態)
図12は、ナットのねじ溝加工方法の第3実施形態の概要を示す軸方向に沿う断面図である。第1実施形態及び第2実施形態では、単石ドレッサによって砥石を成形して研削加工を行っていたが、図12に示すようにナット10のねじ溝11の目標形状と同一構成のねじ溝61により形成したドレッサ60を用いて砥石の成形を行ってもよい。このようにすることにより、砥石径の推定が困難であっても目標形状に応じた砥石を成形できるので、精度よい加工を行うことが可能である。
(第4実施形態)
図13は、ナットのねじ溝加工方法の第4実施形態の概要を示す軸方向に沿う断面図である。第1実施形態及び第2実施形態では工具に砥石を用いたが、図13に示すように工具に回転する切削工具を用いてナット10のねじ溝11の加工を行ってもよい。切削工具は砥石に比べて摩耗寿命が長いため、精度のよい、加工を行うことが可能である。また、切削工具は砥石に比べて工具径を小さく設定できるので、リードが大きいナットのねじ溝加工が可能である。
以上、本発明に係るナットのねじ溝加工方法について説明したが、本発明に係るナットのねじ溝加工方法は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能である。例えば、上述の第1実施形態及び第2実施形態ではボールねじのナットを例に挙げたが、遊星ローラねじナット、滑りねじナット、止めねじナットのねじ溝加工にも適用可能である。
10 ナット
10a 内周面
11 ねじ溝
50 工具
51 切削部

Claims (6)

  1. 回転可能な切削部を備えた工具の回転軸をナットの中心軸と、前記ナットのねじ溝のリード角との間で傾けて前記ねじ溝の加工を行うナットのねじ溝加工方法であって、
    前記回転軸に直交する平面で切断した前記ナットの断面における目標形状の任意の点aの曲率中心bから前記中心軸までの距離Liよりも、前記回転軸から前記中心軸までの距離Jのほうが大きくなるように前記切削部の有効径を設定したことを特徴とするナットのねじ溝加工方法。
  2. 回転可能な切削部を備えた工具の回転軸と、ナットの中心軸とを平行にして前記ナットの内周面にねじ溝の加工を行うナットのねじ溝加工方法であって、
    前記中心軸から前記回転軸までの距離をJとし、前記ナットのボールピッチ円径又は有効径をDmとし、前記切削部の有効径をDtとし、
    前記ナットを、前記中心軸に直交する平面で切断した断面における目標形状の任意の点aの曲率中心bから前記中心軸までの距離をLi(i=1,2,…)とし、Liの最大値をLmaxとしたとき、下記式(1)及び下記式(2)を満たす形状の前記工具によって前記ねじ溝が加工することを特徴とするナットのねじ溝加工方法。
    J=(Dm−Dt)/2 ・・・・・・・・・・・・・式(1)
    Dt<Dm−2×Lmax ・・・・・・・・・・・・式(2)
  3. 前記工具に砥石を用い、下記式(3)によって算出された前記工具の有効径Dtに応じた前記工具によってねじ溝が加工されることを特徴とする請求項2に記載のナットのねじ溝加工方法。
    Dt=Dm−2×J ・・・・・・・・・・・・・・・式(3)
  4. 前記工具に砥石が用いられ、該砥石が前記ねじ溝の目標形状と同一形状のねじ溝により形成したドレッサを用いて成形された砥石であることを特徴とする請求項3に記載のナットのねじ溝加工方法。
  5. 螺旋状のねじ溝を外周面に有するねじ軸と、前記ねじ軸のねじ溝に対向するねじ溝を内周面に有し、前記両ねじ溝により形成される螺旋状の転動路に転動自在に装填された複数のボールを介して前記ねじ軸に螺合されたナットとを備え、
    前記ナットのねじ溝が、請求項1〜4の何れか一項に記載のナットのねじ溝加工方法で加工したことを特徴とするボールねじ。
  6. 前記ねじ溝のR部と、面取り部との境界における角度を、接触範囲の上限角度+5°以内としたことを特徴とする請求項5に記載のボールねじ。
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