JP2014202187A - 保持シール材、保持シール材の製造方法及び排ガス浄化装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 排ガス処理体の周囲に保持シール材を巻きつけて金属ケーシングに挿入する際に、無機繊維が破損しにくく容易に収容が可能であり、排ガス処理体にずれが発生しにくい保持シール材を提供する。【解決手段】 排ガス処理体と、前記排ガス処理体を収容する金属ケーシングと、前記排ガス処理体と前記金属ケーシングとの間に配設される無機繊維からなる保持シール材とから構成される排ガス浄化装置に用いられる保持シール材であって、前記保持シール材は、前記金属ケーシングと接する第1の主面と前記排ガス処理体と接する第2の主面とを備え、前記第1の主面及び第2の主面には、有機バインダが含浸されており、前記第1の主面に含浸された有機バインダAのガラス転移温度は、前記第2の主面に含浸された有機バインダBのガラス転移温度より高いことを特徴とする保持シール材。【選択図】 図1
Description
本発明は、保持シール材、保持シール材の製造方法及び排ガス浄化装置に関する。
ディーゼルエンジン等の内燃機関から排出される排ガス中には、パティキュレートマター(以下、PMともいう)が含まれており、近年、このPMが環境や人体に害を及ぼすことが問題となっている。また、排ガス中には、COやHC、NOx等の有害なガス成分も含まれていることから、この有害なガス成分が環境や人体に及ぼす影響についても懸念されている。
そこで、排ガス中のPMを捕集したり、有害なガス成分を浄化したりする排ガス浄化装置として、炭化ケイ素やコージェライトなどの多孔質セラミックからなる排ガス処理体と、排ガス処理体を収容する金属ケーシングと、排ガス処理体と金属ケーシングとの間に配設される無機繊維集合体からなる保持シール材とから構成される排ガス浄化装置が種々提案されている。この保持シール材は、自動車の走行等により生じる振動や衝撃により、排ガス処理体がその外周を覆う金属ケーシングと接触して破損するのを防止することや、排ガス処理体と金属ケーシングとの間から排気ガスが漏れることを防止すること等を主な目的として配設されている。そのため、保持シール材には、圧縮されることによる反発力で発生する面圧を高め、排ガス処理体を確実に保持する機能が求められている。また、このような保持シール材は排ガス処理体の周囲に巻きつけて金属ケーシングに収容されるが、この時、保持シール材を構成する無機繊維の端部が作業者に直接接触して不快感を与え、作業効率を低下させるという問題があった。
従来、このような問題を解決するために、保持シール材の表面に有機化合物又は無機化合物を含む溶液を用いてコーティングを施すことによって、無機繊維の突出を防止する方法が知られている。(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1に開示された方法により作成した保持シール材を用いて排ガス浄化装置を製造する際には、作業者の不快感を改善することはできたものの、保持シール材が巻き付けられた排ガス処理体を金属ケーシングに収容する際の容易さに関する検討はなされていなかった。そのため、含浸する有機バインダによっては収容時に大きな力を加える必要があり、保持シール材を構成する無機繊維が破損したり、排ガス浄化体がずれたりし、収容に時間を要し、生産性が低下するという問題があった。
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、排ガス処理体の周囲に保持シール材を巻きつけて金属ケーシングに挿入する際に、容易に収容可能であって、無機繊維が破損しにくく、保持シール材と排ガス処理体とがずれにくい保持シール材、該保持シール材の製造方法及び排ガス浄化装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の保持シール材は、排ガス処理体と、上記排ガス処理体を収容する金属ケーシングと、上記排ガス処理体と上記金属ケーシングとの間に配設される無機繊維からなる保持シール材とから構成される排ガス浄化装置に用いられる保持シール材であって、上記保持シール材は、上記金属ケーシングと接する第1の主面と上記排ガス処理体と接する第2の主面とを備え、上記第1の主面及び第2の主面には、有機バインダが含浸されており、上記第1の主面に含浸された有機バインダAのガラス転移温度は、上記第2の主面に含浸された有機バインダBのガラス転移温度より高いことを特徴とする。
本発明の保持シール材では、有機バインダAのガラス転移温度の方が、有機バインダBのガラス転移温度よりも高い。一般に、樹脂のガラス転移温度と、樹脂の硬さ及び滑り易さとは相関する。つまり、第1の主面を含む所定の領域に含浸された有機バインダAは、第2の主面を含む所定の領域に含浸された有機バインダBよりも高いガラス転移温度を有するので、有機バインダAを構成する樹脂は、有機バインダBを構成する樹脂よりも硬い。そのため、有機バインダAが含浸されている保持シール材の第1の主面は、有機バインダBが含浸されている第2の主面よりも相対的に硬く、第1の主面が接している金属ケーシングに対する静止摩擦係数が低く、滑り易い。一方、排ガス処理体と接している第2の主面は、第1の主面に比べて相対的に柔らかいため、排ガス処理体に対する静止摩擦係数が高く、滑りにくくなっている。
このように、保持シール材が巻き付けられた保持シール材を上記金属ケーシングに収容する際に、有機バインダAが含浸されている保持シール材の第1の主面は、上記金属ケーシングに対して滑りやすくなり、容易に金属ケーシングに収容することができ、生産性が向上する。また、収容時に保持シール材に無理な力が掛からないため、無機繊維やマットが破損すること等を防止することができる。一方、有機バインダBが含浸されている保持シール材の第2の主面は、排ガス処理体に対して滑りにくくなり、保持シール材が巻き付けられた保持シール材を上記金属ケーシングに収容する際に、排ガス処理体と保持シール材とがずれにくくなる。
このように、保持シール材が巻き付けられた保持シール材を上記金属ケーシングに収容する際に、有機バインダAが含浸されている保持シール材の第1の主面は、上記金属ケーシングに対して滑りやすくなり、容易に金属ケーシングに収容することができ、生産性が向上する。また、収容時に保持シール材に無理な力が掛からないため、無機繊維やマットが破損すること等を防止することができる。一方、有機バインダBが含浸されている保持シール材の第2の主面は、排ガス処理体に対して滑りにくくなり、保持シール材が巻き付けられた保持シール材を上記金属ケーシングに収容する際に、排ガス処理体と保持シール材とがずれにくくなる。
本発明の保持シール材では、有機バインダAのガラス転移温度は5℃以上50℃以下であり、前記有機バインダBのガラス転移温度は、−50℃以上5℃未満であることが望ましい。
有機バインダAのガラス転移温度は、室温に近いか、室温より高いので、第1の主面は、比較的硬くなり易く、金属ケーシングに対して滑り易い。一方、有機バインダBのガラス転移温度は、室温より低いので、比較的柔らかく、排ガス処理体に対して滑りにくい。本発明の保持シール材は、そのように構成されているため、保持シール材が巻き付けられた保持シール材を圧入等により上記金属ケーシングに収容する際に、保持シール材の第1の主面は、上記金属ケーシングに対して滑りやすくなり、容易に金属ケーシングに収容することができる。また、保持シール材の第2の主面は、排ガス処理体に対して滑りにくく、保持シール材が巻き付けられた保持シール材を上記金属ケーシングに収容する際に、排ガス処理体と保持シール材とがずれにくくなる。
有機バインダAのガラス転移温度は、室温に近いか、室温より高いので、第1の主面は、比較的硬くなり易く、金属ケーシングに対して滑り易い。一方、有機バインダBのガラス転移温度は、室温より低いので、比較的柔らかく、排ガス処理体に対して滑りにくい。本発明の保持シール材は、そのように構成されているため、保持シール材が巻き付けられた保持シール材を圧入等により上記金属ケーシングに収容する際に、保持シール材の第1の主面は、上記金属ケーシングに対して滑りやすくなり、容易に金属ケーシングに収容することができる。また、保持シール材の第2の主面は、排ガス処理体に対して滑りにくく、保持シール材が巻き付けられた保持シール材を上記金属ケーシングに収容する際に、排ガス処理体と保持シール材とがずれにくくなる。
有機バインダAのガラス転移温度が5℃未満である場合には、上記排ガス処理体と上記保持シール材とを上記金属ケーシングに収容する際に、収容作業がスムーズに進行しにくいことがあり、一方、有機バインダAのガラス転移温度が50℃を超えても、ガラス転移温度が50℃のものと保持シール材の金属ケーシングに対する滑り易さは殆ど変わらない。
有機バインダBのガラス転移温度が−50℃未満である場合には、ガラス転移温度が−50℃のものと柔らかさは変わらない。一方、有機バインダBのガラス転移温度が5℃以上であると、ガラス転移温度が室温に近くなり、硬くなるため、保持シール材が排ガス処理体に対して滑り易くなる。
本発明の保持シール材では、上記有機バインダAは、第1の主面を含む所定の領域に含浸されており、上記有機バインダBは、第2の主面を含む所定の領域に含浸されており、上記第1の主面を含む所定の領域に含浸された有機バインダAの含浸量は、上記無機繊維100重量部に対して0.2〜12.0重量部であり、上記第2の主面を含む所定の領域に含浸された有機バインダBの含浸量は、上記無機繊維100重量部に対して0.2〜12.0重量部であることが望ましい。有機バインダAの含浸量が無機繊維100重量部に対して0.2重量部未満の場合には、保持シール材の第1の主面が余り硬くならないため、収容作業がスムーズにならないことがあり、一方、有機バインダAの含浸量が12.0重量部を超える場合には、収容が容易になるという効果は変わらないが、排ガスによって多量の分解ガスが発生することが問題となることがある。有機バインダBの含浸量が無機繊維100重量部に対して0.2重量部未満の場合には、保持シール材の滑りにくさが不充分なため、上記排ガス処理体と上記保持シール材とを上記金属ケーシングに収容する際に、排ガス処理体がずれることがあり、一方、有機バインダBの含浸量が12.0重量部を超える場合には、収容が容易になるという効果は変わらないが、排ガスによって多量の分解ガスが発生することが問題となることがある。
本発明の保持シール材では、上記有機バインダA及び上記有機バインダBの含浸量の合計は、保持シール材を構成する上記無機繊維100重量部に対して0.5〜3.0重量部であることが望ましい。有機バインダA及び有機バインダBの含浸量が合計で0.5重量部以上であると、第1の主面及び第2の主面との静止摩擦係数を好適に調整しやすくなる。有機バインダA及び有機バインダBの含浸量が合計で3.0重量部以下であると、排ガスによって多量の分解ガスが発生することを充分に抑制しやすくなる。
本発明の保持シール材において、上記有機バインダA及び上記有機バインダBには、少なくともアクリル系樹脂が含まれていることが望ましい。
アクリル系樹脂は、容易にガラス転移温度を調節することができるので、第1の主面及び第2の主面に含浸される有機バインダA及び有機バインダBのガラス転移温度を調節しやすくなり、滑り易さ、滑りにくさを調節し易くなる。
アクリル系樹脂は、容易にガラス転移温度を調節することができるので、第1の主面及び第2の主面に含浸される有機バインダA及び有機バインダBのガラス転移温度を調節しやすくなり、滑り易さ、滑りにくさを調節し易くなる。
本発明の保持シール材を構成する無機繊維は、アルミナ繊維、シリカ繊維、アルミナシリカ繊維、ムライト繊維、生体溶解性繊維及びガラス繊維からなる群から選択される少なくとも一種から構成されていることが望ましい。
上記保持シール材で、無機繊維が、アルミナ繊維、アルミナ−シリカ繊維、及び、シリカ繊維の少なくとも1種である場合には、耐熱性に優れているので、排ガスが高温になった場合であっても、無機繊維に影響を与えず、保持シール材としての機能を充分に維持することができる。また、無機繊維が生体溶解性繊維である場合には、保持シール材を用いて排ガス浄化装置を作製する際に、飛散した無機繊維を吸入等しても、生体内で溶解するため、作業員の健康に害を及ぼすことがない。
また、上記無機繊維を用い、有機バインダを含浸させることにより、金属ケーシング等に対する滑り易さ等を、比較的容易に調節することができる。
また、上記無機繊維を用い、有機バインダを含浸させることにより、金属ケーシング等に対する滑り易さ等を、比較的容易に調節することができる。
本発明の保持シール材の製造方法は、ニードルパンチング処理が施された無機繊維からなる保持シール材用のマットを準備するマット準備工程と、有機バインダAを含む有機バインダ含有液の液滴を、上記マットの第1の主面に対して吹き付ける含浸工程と、有機バインダ含有液を含有したマットを乾燥させる乾燥工程とを含むことを特徴とする。
上記本発明の保持シール材の製造方法は、上記した本発明の保持シール材を比較的容易に製造することができる。また、本発明の保持シール材の製造方法により製造された保持シール材は、第1の主面に有機バインダAが含浸されているため、第1の主面が金属ケーシングに対して滑りやすく、上記排ガス処理体と上記保持シール材とを上記金属ケーシングに収容する際の作業が容易となる。
本発明の保持シール材の製造方法では、上記含浸工程は、有機バインダBを含む有機バインダ含有液の液滴を、上記マットの第2の主面に対して吹き付ける工程を更に備えていることが望ましい。第2の主面に有機バインダBが含浸されることで、保持シール材の第2の主面は、排ガス処理体に対して滑りにくくなり、上記排ガス処理体と上記保持シール材とを上記金属ケーシングに収容する際の排ガス処理体と保持シール材とのずれを防止することができ、主要作業が容易となる。
本発明の排ガス浄化装置は、金属ケーシングと、上記金属ケーシングに収容された排ガス処理体と、上記排ガス処理体の周囲に巻き付けられ、上記排ガス処理体及び上記金属ケーシングの間に配設された保持シール材とを備える排ガス浄化装置であって、上記保持シール材は、上記した保持シール材が用いられている。
本発明の保持シール材は、第1の主面と第2の主面とを備え、上記第1の主面は上記金属ケーシングと接しており、上記第2の主面は上記排ガス処理体と接しており、上記第1の主面及び第2の主面には、2種類の有機バインダが含浸されており、上記第1の主面に含浸された有機バインダAのガラス転移温度は、上記第2の主面に含浸された有機バインダBのガラス転移温度より高い。
本発明の排ガス浄化装置では、第1の主面に有機バインダAが含浸されているので、保持シール材が金属ケーシングに対して滑りやすくなる。そのため、保持シール材及び排ガス処理体を排ガス浄化装置に収容する際に、無機繊維を破損しにくく、しかも容易に収容することが可能となる。従って、また、第2の主面に有機バインダBが含浸されているので、保持シール材は排ガス処理体に対して滑りにくくなり、保持シール材は排ガス処理体に対してずれにくくなり、保持シール材と排ガス処理体とが適切に配置された排ガス浄化装置となる。
なお、上記排ガス浄化装置は、排ガスが導入されると、有機バインダは分解消失し、保持シール材に膨張しようとする作用が働くため、保持シール材は適切な保持力で保持され、排ガスの圧力等により、排ガス処理体が金属ケーシングから抜けることはない。
なお、上記排ガス浄化装置は、排ガスが導入されると、有機バインダは分解消失し、保持シール材に膨張しようとする作用が働くため、保持シール材は適切な保持力で保持され、排ガスの圧力等により、排ガス処理体が金属ケーシングから抜けることはない。
(発明の詳細な説明)
以下、本発明について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
以下、本発明について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
以下、本発明の保持シール材について説明する。
図1(a)は、本発明の保持シール材の一例を模式的に示す斜視図であり、図1(b)は、図1(a)に示す保持シール材のA−A線断面図である。
図1(a)に示すように、本発明の保持シール材120は、所定の長手方向の長さ(以下、図1中、矢印Lで示す)、幅(図1中、矢印Wで示す)及び厚さ(図1中、矢印Tで示す)を有する平面視略矩形の平板状の形状のマットから構成されている。また、図1(b)に示すように、本発明の保持シール材120は、第1の主面121と、第1の主面121と反対側の主面である第2の主面122とを備えている。
図1に示す保持シール材120では、保持シール材120の長さ方向側の端部のうち、一方の端部である第1の端部123には凸部が形成されており、他方の端部である第2の端部124には凹部が形成されている。保持シール材120の凸部及び凹部は、後述する排ガス浄化装置を組み立てるために排ガス処理体に保持シール材120を巻き付けた際に、ちょうど互いに嵌合するような形状となっている。
保持シール材120は、無機繊維を主成分として含んでおり、該無機繊維に有機バインダが含浸されている。すなわち、保持シール材120の第1の主面に有機バインダAが含浸され、第2の主面に有機バインダBが含浸されている。
上記無機繊維は、特に限定されないが、アルミナ繊維、シリカ繊維、アルミナシリカ繊維、ムライト繊維、生体溶解性繊維及びガラス繊維からなる群から選択される少なくとも一種から構成されていることが望ましい。
アルミナ繊維には、アルミナ以外に、例えば、カルシア、マグネシア、ジルコニア等の添加剤が含まれていてもよい。
アルミナシリカ繊維の組成比としては、重量比で、Al2O3:SiO2=60:40〜80:20であることが望ましく、Al2O3:SiO2=70:30〜74:26であることがより望ましい。
生体溶解性繊維は、例えば、シリカ等のほかに、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、及び、ホウ素化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む無機繊維である。
アルミナシリカ繊維の組成比としては、重量比で、Al2O3:SiO2=60:40〜80:20であることが望ましく、Al2O3:SiO2=70:30〜74:26であることがより望ましい。
生体溶解性繊維は、例えば、シリカ等のほかに、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、及び、ホウ素化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む無機繊維である。
これらの化合物からなる生体溶解性繊維は、人体に取り込まれても溶解しやすいので、これらの無機繊維を含んでなるマットは人体に対する安全性に優れている。
生体溶解性繊維の具体的な組成としては、シリカ60〜85重量%、並びに、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物及びホウ素化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物15〜40重量%を含む組成が挙げられる。上記シリカとは、SiO又はSiO2のことをいう。
上記アルカリ金属化合物としては、例えば、ナトリウム、カリウムの酸化物等が挙げられ、上記アルカリ土類金属化合物としては、マグネシウム、カルシウム、バリウムの酸化物等が挙げられる。上記ホウ素化合物としては、ホウ素の酸化物等が挙げられる。
生体溶解性繊維の組成において、シリカの含有量が、60重量%未満では、ガラス溶融法で作製しにくく、繊維化しにくい。
また、シリカの含有量が60重量%未満では、柔軟性を有するシリカの含有量が少ないために構造的にもろく、また、生理食塩水に溶け易い、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物及びホウ素化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物の割合が相対的に高くなるので生体溶解性繊維が生理食塩水に溶け易くなりすぎる傾向にある。
また、シリカの含有量が60重量%未満では、柔軟性を有するシリカの含有量が少ないために構造的にもろく、また、生理食塩水に溶け易い、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物及びホウ素化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物の割合が相対的に高くなるので生体溶解性繊維が生理食塩水に溶け易くなりすぎる傾向にある。
一方、シリカの含有量が85重量%を超えると、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物及びホウ素化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物の割合が相対的に低くなるので生体溶解性繊維が生理食塩水に溶けにくくなりすぎる傾向にある。
なお、シリカの含有量は、SiO及びSiO2の量をSiO2に換算して算出したものである。
なお、シリカの含有量は、SiO及びSiO2の量をSiO2に換算して算出したものである。
また、生体溶解性繊維の組成においてアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物及びホウ素化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物の含有量が、15〜40重量%であることが望ましい。アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物及びホウ素化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物の含有量が15重量%未満であると、生体溶解性繊維が生理食塩水に溶けにくくなる。
一方、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物及びホウ素化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物の含有量が40重量%を超えると、ガラス溶融法では作製しにくく、繊維化しにくい。また、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物及びホウ素化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物の含有量が40重量%を超えると構造的にもろく、生体溶解性繊維が生理食塩水に溶け易くなりすぎる。
上記生体溶解性繊維の生理食塩水に対する溶解度は、30ppm以上であることが望ましい。生体溶解性繊維の溶解度が30ppm未満では、無機繊維が体内に取り込まれた場合に、体外へ排出されにくく、健康上望ましくないからである。
ガラス繊維は、シリカとアルミナとを主成分とし、アルカリ金属の他に、カルシア、チタニア、酸化亜鉛等を含むガラス状の繊維である。
保持シール材120を構成する無機繊維の平均繊維長は、5〜150mmであることが望ましく、10〜80mmであることがより望ましい。
無機繊維の平均繊維長が5mm未満であると、無機繊維の繊維長が短すぎるため、無機繊維同士の交絡が不充分となり、保持シール材のせん断強度が低くなる。また、無機繊維の平均繊維長が150mmを超えると、無機繊維の繊維長が長すぎるため、保持シール材の製造時における無機繊維の取り扱い性が低下する。その結果、排ガス処理体への巻き付け性が低下し、保持シール材が割れやすくなる。
無機繊維の平均繊維長が5mm未満であると、無機繊維の繊維長が短すぎるため、無機繊維同士の交絡が不充分となり、保持シール材のせん断強度が低くなる。また、無機繊維の平均繊維長が150mmを超えると、無機繊維の繊維長が長すぎるため、保持シール材の製造時における無機繊維の取り扱い性が低下する。その結果、排ガス処理体への巻き付け性が低下し、保持シール材が割れやすくなる。
本発明の保持シール材120を構成する無機繊維の平均繊維径は、1〜20μmであることが望ましく、3〜10μmであることがより望ましい。
無機繊維の平均繊維径が1〜20μmであると、無機繊維の強度及び柔軟性が充分に高くなり、保持シール材のせん断強度を向上させることができる。
無機繊維の平均繊維径が1μm未満であると、無機繊維が細く切れやすいので、無機繊維の引っ張り強度が不充分となる。一方、無機繊維の平均繊維径が20μmを超えると、無機繊維が曲がりにくいため、柔軟性が不充分となる。
無機繊維の平均繊維径が1〜20μmであると、無機繊維の強度及び柔軟性が充分に高くなり、保持シール材のせん断強度を向上させることができる。
無機繊維の平均繊維径が1μm未満であると、無機繊維が細く切れやすいので、無機繊維の引っ張り強度が不充分となる。一方、無機繊維の平均繊維径が20μmを超えると、無機繊維が曲がりにくいため、柔軟性が不充分となる。
本発明の保持シール材の目付量(単位面積あたりの重量)は、特に限定されないが、200〜4000g/m2であることが望ましく、1000〜3000g/m2であることがより望ましい。保持シール材の目付量が200g/m2未満であると、保持力が充分ではなく、排ガス浄化装置を製造する場合に、排ガス処理体が保持シール材から脱落しやすくなることがある。一方、保持シール材の目付量が4000g/m2を超える場合、保持シール材の嵩が低くなりにくく、排ガス処理体に保持シール材を巻き付けにくくなることがある。
また、本発明の保持シール材の嵩密度(巻き付ける前の保持シール材の嵩密度)についても、特に限定されないが、0.10〜0.30g/cm3であることが望ましい。保持シール材の嵩密度が0.10g/cm3未満であると、無機繊維の絡み合いが弱く、無機繊維が剥離しやすいため、保持シール材の形状を所定の形状に保ちにくくなる。
また、保持シール材の嵩密度が0.30g/cm3を超えると、保持シール材が硬くなり、排ガス処理体への巻き付け性が低下し、保持シール材が割れやすくなる。
また、保持シール材の嵩密度が0.30g/cm3を超えると、保持シール材が硬くなり、排ガス処理体への巻き付け性が低下し、保持シール材が割れやすくなる。
本発明において説明した「平面視略矩形」とは、凸部及び凹部を含む概念である。また、「平面視略矩形」には、角部が90°以外の角度を有する形状も含まれる。例えば、マットの角部が、鋭角又は鈍角を有する形状であってもよいし、曲率を有する形状であってもよい。
本発明の保持シール材には、さらに膨張材が含有されていてもよい。膨張材は、400〜800℃の範囲で膨脹する特性を有するものが望ましい。
マットに膨張材が含有されていると、400〜800℃の範囲でマットが膨張するようになるため、ガラス繊維の強度が低下する700℃を超えるような高温域においても、保持シール材として使用する際の保持力を向上させることができる。
マットに膨張材が含有されていると、400〜800℃の範囲でマットが膨張するようになるため、ガラス繊維の強度が低下する700℃を超えるような高温域においても、保持シール材として使用する際の保持力を向上させることができる。
膨張材としては、例えば、バーミキュライト、ベントナイト、金雲母、パーライト、膨脹性黒鉛、及び、膨脹性フッ化雲母等が挙げられる。これらの膨張材は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
膨張材の添加量は、特に限定されないが、マットの全重量に対して10〜50重量%であることが望ましく、20〜30重量%であることがより望ましい。
膨張材の添加量は、特に限定されないが、マットの全重量に対して10〜50重量%であることが望ましく、20〜30重量%であることがより望ましい。
本発明の保持シール材を排ガス浄化装置の保持シール材として用いる場合、排ガス浄化装置を構成する保持シール材の枚数は特に限定されず、1枚の保持シール材であってもよいし、互いに結合された複数枚の保持シール材であってもよいが、1枚の保持シール材であることが特に望ましい。排ガス浄化装置の保持シール材として1枚の保持シール材を用いた場合、保持シール材同士の接触部が存在しないため、保持シール材同士の摩擦による無機繊維の破損をより防ぐことができ、また、収容時に保持シール材同士がずれることを防止できる。
複数枚の保持シール材を結合する方法としては、特に限定されず、例えば、ミシン縫いで保持シール材同士を縫合する方法、粘着テープ又は接着材等で保持シール材同士を接着する方法等が挙げられる。
複数枚の保持シール材を結合する方法としては、特に限定されず、例えば、ミシン縫いで保持シール材同士を縫合する方法、粘着テープ又は接着材等で保持シール材同士を接着する方法等が挙げられる。
保持シール材120の厚さは特に限定されないが、2.0〜20mmであることが望ましい。
保持シール材120の厚さが20mmを超えると、保持シール材120の柔軟性が失われるので、保持シール材120を排ガス処理体130に巻き付ける際に扱いづらくなる。また、保持シール材120に巻きジワや割れが生じやすくなる。
保持シール材120の厚さが2.0mm未満であると、保持シール材120の面圧が排ガス処理体を保持するのに十分でなくなる。そのため、排ガス処理体130が抜け落ちやすくなる。また、排ガス処理体130に体積変化が生じた場合、保持シール材120は排ガス処理体130の体積変化を吸収しにくくなる。そのため、排ガス処理体130にクラック等が発生しやくすなる。
保持シール材120の厚さが20mmを超えると、保持シール材120の柔軟性が失われるので、保持シール材120を排ガス処理体130に巻き付ける際に扱いづらくなる。また、保持シール材120に巻きジワや割れが生じやすくなる。
保持シール材120の厚さが2.0mm未満であると、保持シール材120の面圧が排ガス処理体を保持するのに十分でなくなる。そのため、排ガス処理体130が抜け落ちやすくなる。また、排ガス処理体130に体積変化が生じた場合、保持シール材120は排ガス処理体130の体積変化を吸収しにくくなる。そのため、排ガス処理体130にクラック等が発生しやくすなる。
図1に示す保持シール材120の第1の主面121には、第2の主面に含浸された有機バインダBより高いガラス転移温度を有する有機バインダAが含浸されている。
第1の主面に有機バインダAが含浸されることで、第1の主面が相対的に硬くなり、保持シール材120が金属ケーシング110に対して静止摩擦係数が小さくなり、滑りやすくなる。そのため、保持シール材120と排ガス処理体130とを金属ケーシング110に収容する際に、保持シール材120と排ガス処理体130とをスムーズに金属ケーシングに収容することができ、さらに、収容作業によって保持シール材120を構成する無機繊維が破損したり、飛散することを防止できる。
第1の主面に有機バインダAが含浸されることで、第1の主面が相対的に硬くなり、保持シール材120が金属ケーシング110に対して静止摩擦係数が小さくなり、滑りやすくなる。そのため、保持シール材120と排ガス処理体130とを金属ケーシング110に収容する際に、保持シール材120と排ガス処理体130とをスムーズに金属ケーシングに収容することができ、さらに、収容作業によって保持シール材120を構成する無機繊維が破損したり、飛散することを防止できる。
また、保持シール材120は、第2の主面122に、第1の主面に含浸された有機バインダAより低いガラス転移温度を有する有機バインダBが含浸されている。
第2の主面に、有機バインダBが含浸されることで、第2の主面は柔らかくなり、保持シール材120の第2の主面は、排ガス処理体130に対して静止摩擦係数が高くなり、滑りにくくなる。そのため、保持シール材120と排ガス処理体130とを金属ケーシング110に収容する際に、保持シール材120の排ガス処理体130に対するずれが生じにくく、保持シール材が巻き付けられた排ガス処理体を金属ケーシングに効率よく収容しやすくなる。
第2の主面に、有機バインダBが含浸されることで、第2の主面は柔らかくなり、保持シール材120の第2の主面は、排ガス処理体130に対して静止摩擦係数が高くなり、滑りにくくなる。そのため、保持シール材120と排ガス処理体130とを金属ケーシング110に収容する際に、保持シール材120の排ガス処理体130に対するずれが生じにくく、保持シール材が巻き付けられた排ガス処理体を金属ケーシングに効率よく収容しやすくなる。
有機バインダAは、第1の主面から、保持シール材の厚さの20%の領域に含浸されていればよいが、含浸領域を薄くするのが難しい場合には、保持シール材の厚さの1/2の領域に含浸されていてもよい。有機バインダAが第1の主面から保持シール材の厚さの20%の領域に含浸されていれば、第1の主面の柔らかさ(硬さ)を好適に調節することができる。
有機バインダBは、第2の主面から、保持シール材の厚さの20%の領域に含浸されていればよいが、含浸領域を薄くするのが難しい場合には、保持シール材の厚さの1/2の領域に含浸されていてもよい。有機バインダBが第2の主面から保持シール材の厚さの20%の領域に含まれていると、第2の主面の柔らかさ(硬さ)を好適に調節することができる。
本発明の保持シール材の第1の主面を含む所定の領域に含浸される有機バインダAの重量は、特に限定されないが、無機繊維100重量部に対して、固形分換算で、0.2〜12.0重量部であることが望ましく、0.5〜6.0重量部であることがより望ましく、0.5〜3.0重量部であることがさらに望ましい。
有機バインダAの重量が無機繊維100重量部に対して0.2重量部未満であると、有機バインダの含浸量が少なすぎるため保持シール材の第1の主面が硬くならず、保持シール材が巻き付けられた排ガス処理体を金属ケーシングに容易に収容することが難しくなる。一方、有機バインダAの重量が無機繊維100重量部に対して12.0重量部を超える場合には、保持シール材及び排ガス処理体を金属ケーシングに容易に収容することができる効果は、殆ど変わらず、有機バインダの含浸量が多すぎるため、排ガスの熱により分解する有機分の量が多くなり、周囲の環境に悪影響を与えることとなる。
上記有機バインダA及び上記有機バインダBとしては、第1の主面や第2の主面の柔らかさ(硬さ)を調節できるものであれば特に限定されないが、例えば、アクリル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂及びゴム系樹脂等が挙げられ、2種以上の樹脂が含まれていてもよい。これらの中では、アクリル系樹脂であることが望ましく、アクリルゴムであることがより望ましい。
本発明の保持シール材の第1の主面に含浸される有機バインダAは、第1の主面の50%以上の面積に含浸されていることが望ましく、80%以上の面積に含浸されていることがより望ましい。
本発明の保持シール材の第2の主面に含浸される有機バインダBの重量は、特に限定されないが、無機繊維100重量部に対して、固形分換算で、0.2〜12.0重量部であることが望ましく、0.5〜6.0重量部であることがより望ましく、0.5〜3.0重量部であることがさらに望ましい。
有機バインダBの含浸量が無機繊維100重量部に対して0.2重量部未満であると、有機バインダの含浸量が少なすぎるため第2の主面が柔らかくならず、排ガス処理体に対して保持シール材がずれ易くなる。一方、有機バインダBの含浸量が無機繊維100重量部に対して12.0重量部を超える場合には、保持シール材及び排ガス処理体を金属ケーシングに容易に収容することができる効果は、殆ど変わらず、有機バインダの含浸量が多すぎるため、排ガスの熱により分解する有機分の量が多くなり、周囲の環境に悪影響を与えることとなる。
本発明の保持シール材では、第1の主面に含浸される有機バインダA及び第2の主面に含浸される有機バインダBの合計は、保持シール材を構成する無機繊維100重量部に対して、固形分換算で、0.5〜3.0重量部であることが望ましい。第1の主面に含浸される有機バインダA及び第2の主面に含浸される有機バインダBの重量の合計が0.5重量部以上であると、第1の主面と金属ケーシングとの静止摩擦係数、及び、第2の主面と排ガス処理体との静止摩擦係数を好適に調整しやすくなる。第1の主面に含浸される有機バインダA及び第2の主面に含浸される有機バインダBの重量の合計が3.0重量部以下であると、排ガスによって多量の分解ガスが発生することを充分に抑制しやすくなる。
本発明の保持シール材の第2の主面に含浸される有機バインダBは、第2の主面の50%以上の面積に含浸されていることが望ましく、80%以上の面積に含浸されていることがより望ましい。
上記有機バインダAのガラス転移温度(Tg)としては、5℃以上50℃以下であることが望ましい。一方、上記有機バインダBのガラス転移温度(Tg)としては、−50℃以上5℃未満であることが望ましい。
本発明の保持シール材120はさらに、無機バインダを含んでいてもよい。無機バインダとしては、互いに接近した無機繊維同士に付着することにより無機繊維同士を固定することができるものであれば、特に限定されるものではないが、アルミナゾル、シリカゾル等が望ましい。
次に、保持シール材の製造方法について説明する。
本発明の保持シール材の製造方法は、上述した本発明の保持シール材を製造する方法に好適に適用することができる。
本発明の保持シール材の製造方法は、上述した本発明の保持シール材を製造する方法に好適に適用することができる。
保持シール材の製造方法は、ニードルパンチング処理が施された無機繊維からなる保持シール材用のマットを準備するマット準備工程と、有機バインダAを含む有機バインダ含有液の液滴を、上記マットの第1の主面に対して吹き付ける含浸工程と、有機バインダ含有液を含有したマットを乾燥させる乾燥工程とを含むことを特徴とする。
(a)マット準備工程
保持シール材の製造方法では、まず、ニードルパンチング処理が施された無機繊維からなる保持シール材用のマットを準備するマット準備工程を行う。
保持シール材120を構成するマットは、種々の方法により得ることができるが、例えば、以下の方法により製造することができる。すなわち、まず、例えば、塩基性塩化アルミニウム水溶液とシリカゾル等とを原料とする紡糸用混合物をブローイング法により紡糸して3〜10μmの平均繊維径を有する無機繊維前駆体を作成する。続いて、上記無機繊維前駆体を圧縮して所定の大きさの連続したシート状物を作成し、これにニードルパンチング処理を施し、その後、焼成処理を施すことにより保持シール材用のマットの準備が完了する。
保持シール材の製造方法では、まず、ニードルパンチング処理が施された無機繊維からなる保持シール材用のマットを準備するマット準備工程を行う。
保持シール材120を構成するマットは、種々の方法により得ることができるが、例えば、以下の方法により製造することができる。すなわち、まず、例えば、塩基性塩化アルミニウム水溶液とシリカゾル等とを原料とする紡糸用混合物をブローイング法により紡糸して3〜10μmの平均繊維径を有する無機繊維前駆体を作成する。続いて、上記無機繊維前駆体を圧縮して所定の大きさの連続したシート状物を作成し、これにニードルパンチング処理を施し、その後、焼成処理を施すことにより保持シール材用のマットの準備が完了する。
(b)含浸工程
次に、上記マットの第1の主面に有機バインダAを含浸させる含浸工程を行う。有機バインダAを上記マットの第1の主面に含浸させる方法は、特に限定されないが、有機バインダAを含む有機バインダ含有液を噴霧して吹き付けるスプレーコーティング法を用いることができる。有機バインダAの含浸量は、後述する(c)乾燥工程を終えた後に、保持シール材を構成する無機繊維100重量部に対して、固形分換算で、0.2〜12.0重量部となるよう調整することが望ましい。
次に、上記マットの第1の主面に有機バインダAを含浸させる含浸工程を行う。有機バインダAを上記マットの第1の主面に含浸させる方法は、特に限定されないが、有機バインダAを含む有機バインダ含有液を噴霧して吹き付けるスプレーコーティング法を用いることができる。有機バインダAの含浸量は、後述する(c)乾燥工程を終えた後に、保持シール材を構成する無機繊維100重量部に対して、固形分換算で、0.2〜12.0重量部となるよう調整することが望ましい。
上記含浸工程において、上記有機バインダAの含浸を終えた後、上記マットの第2の主面に有機バインダBを含浸させる含浸工程を行ってもよい。有機バインダBを上記マットの第1の主面に含浸させる方法は、特に限定されないが、有機バインダBを含む有機バインダ含有液を噴霧して吹き付けるスプレーコーティング法を用いることができる。有機バインダBの含浸量は、後述する(c)乾燥工程を終えた後に、保持シール材を構成する無機繊維100重量部に対して、固形分換算で、0.2〜12.0重量部となるよう調整することが望ましい。
(c)乾燥工程
有機バインダが付着したマットを、110〜140℃程度の温度で乾燥させる乾燥工程を行い、水分を蒸発させて、有機バインダが付着したマットとする。乾燥方法としては、熱風乾燥を用いることができる。有機バインダAを含浸させた後に乾燥を行い、その後、有機バインダBを含浸させて、再度乾燥を行ってもよく、有機バインダA及び有機バインダBを含浸させた後、一度の乾燥で水分を除去してもよい。
有機バインダが付着したマットを、110〜140℃程度の温度で乾燥させる乾燥工程を行い、水分を蒸発させて、有機バインダが付着したマットとする。乾燥方法としては、熱風乾燥を用いることができる。有機バインダAを含浸させた後に乾燥を行い、その後、有機バインダBを含浸させて、再度乾燥を行ってもよく、有機バインダA及び有機バインダBを含浸させた後、一度の乾燥で水分を除去してもよい。
(a)上記マット準備工程では、無機バインダを無機繊維に含浸させる工程が含まれていてもよい。無機バインダを無機繊維に含浸させる方法及び手順は特に限定されないが、例えば、(a)マット準備工程の後に、マットを無機バインダを含む溶液に含浸することにより、マットに無機バインダを含浸させてもよく、カーテンコート法等の方法で無機バインダをマット上に落下させることにより、マットに無機バインダを含浸させてもよい。その後、無機バインダが付着したマットを吸引脱水することにより、無機バインダの付着量を調整することができる。
無機バインダを無機繊維に含浸させる場合には、有機バインダを含浸させる前に、無機バインダの含浸を行うことが望ましい。含浸した有機バインダを金属ケーシングや排ガス処理体と接触させることにより、滑り易さを制御することができるからである。
無機バインダを無機繊維に含浸させる場合には、有機バインダを含浸させる前に、無機バインダの含浸を行うことが望ましい。含浸した有機バインダを金属ケーシングや排ガス処理体と接触させることにより、滑り易さを制御することができるからである。
(排ガス浄化装置)
本発明の保持シール材は、排ガス浄化装置の保持シール材として使用することができる。
本発明の保持シール材は、排ガス浄化装置の保持シール材として使用することができる。
以下、本発明の排ガス浄化装置について説明する。
図2は、本発明の排ガス浄化装置の一例を模式的に示す断面図である。図2に示すように、本発明の排ガス浄化装置100は、金属ケーシング110と、金属ケーシング110に収容された排ガス処理体130と、排ガス処理体130及び金属ケーシング110の間に配設された保持シール材120とを備えている。
排ガス処理体130は、多数のセル155がセル壁156を隔てて長手方向に並設された柱状のものである。なお、金属ケーシング110の端部には、必要に応じて、内燃機関から排出された排ガスを導入する導入管と排ガス浄化装置を通過した排ガスが外部に排出される排出管とが接続されることになる。
図2は、本発明の排ガス浄化装置の一例を模式的に示す断面図である。図2に示すように、本発明の排ガス浄化装置100は、金属ケーシング110と、金属ケーシング110に収容された排ガス処理体130と、排ガス処理体130及び金属ケーシング110の間に配設された保持シール材120とを備えている。
排ガス処理体130は、多数のセル155がセル壁156を隔てて長手方向に並設された柱状のものである。なお、金属ケーシング110の端部には、必要に応じて、内燃機関から排出された排ガスを導入する導入管と排ガス浄化装置を通過した排ガスが外部に排出される排出管とが接続されることになる。
なお、図2に示す排ガス浄化装置100では、排ガス処理体130として、各々のセルにおけるいずれか一方が封止材158によって目封じされた排ガスフィルタ(ハニカムフィルタ)を用いているが、いずれの端面にも封止材による目封じがなされていない触媒担体を用いてもよい。
上述した構成を有する排ガス浄化装置100を排ガスが通過する場合について、図2を参照して以下に説明する。
図2に示すように、内燃機関から排出され、排ガス処理装置100に流入した排ガス(図2中、排ガスをGで示し、排ガスの流れを矢印で示す)は、排ガス処理体(ハニカムフィルタ)130の排ガス流入側端面130aに開口した一のセル155に流入し、セル155を隔てるセル壁156を通過する。この際、排ガス中のPMがセル壁156で捕集され、排ガスが浄化されることとなる。浄化された排ガスは、排ガス流出側端面130bに開口した他のセル155から流出し、外部に排出される。
図2に示すように、内燃機関から排出され、排ガス処理装置100に流入した排ガス(図2中、排ガスをGで示し、排ガスの流れを矢印で示す)は、排ガス処理体(ハニカムフィルタ)130の排ガス流入側端面130aに開口した一のセル155に流入し、セル155を隔てるセル壁156を通過する。この際、排ガス中のPMがセル壁156で捕集され、排ガスが浄化されることとなる。浄化された排ガスは、排ガス流出側端面130bに開口した他のセル155から流出し、外部に排出される。
次に、本発明の排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体(ハニカムフィルタ)及び金属ケーシングについて説明する。
なお、排ガス浄化装置を構成する保持シール材の構成については、本発明の保持シール材として既に説明しているので省略する。
なお、排ガス浄化装置を構成する保持シール材の構成については、本発明の保持シール材として既に説明しているので省略する。
本発明の排ガス浄化装置を構成する金属ケーシングの材質は、耐熱性を有する金属であれば特に限定されず、具体的には、ステンレス、アルミニウム、鉄等の金属類が挙げられる。
本発明の排ガス浄化装置を構成する金属ケーシングの形状は、略円筒型形状の他、クラムシェル型形状、ダウンサイジング型形状等を好適に用いることができる。
まず、排ガス処理装置を構成する排ガス処理体について説明する。
図3は、本発明の排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体の一例を模式的に示す斜視図である。
図3は、本発明の排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体の一例を模式的に示す斜視図である。
図3に示す排ガス処理体130は、多数のセル155がセル壁156を隔てて長手方向に並設される柱状のセラミック質からなるハニカム構造体である。また、セル155のいずれかの端部は、封止材158で封止されている。
セル155のいずれかの端部が封止される場合、排ガス処理体130の一方の端部からみたときに、端部が封止されたセルと封止されていないセルとが交互に配置されていることが望ましい。
排ガス処理体130を長手方向に垂直な方向に切断した断面形状は、特に限定されず、略円形、略楕円形、でもよく、略三角形、略四角形、略五角形、略六角形等の略多角形であってもよい。また、排ガス処理体130は複数の排ガス処理体ユニットが集合したものであってもよく、そのような場合には、排ガス処理体130を構成する排ガス処理体ユニットの断面形状は、直線と曲線から構成されていてもよい。
排ガス処理体130を構成するセル155の断面形状は、略三角形、略四角形、略五角形、略六角形等の略多角形でもよく、また、略円形、略楕円形であってもよい。また、排ガス処理体130は、複数の断面形状のセルが組み合わされたものであってもよい。
排ガス処理体130を構成する素材は特に限定されないが、炭化ケイ素質及び窒化ケイ素質等の非酸化物、並びに、コージェライト及びチタン酸アルミニウム等の酸化物を用いることができる。
これら多孔質焼成体は、脆性材料であるので、機械的な衝撃等により破壊されやすい。しかし、本発明の排ガス浄化装置では、排ガス処理体130の側面の周囲には保持シール材120が介在し、衝撃を吸収するので、機械的な衝撃や熱衝撃により排ガス処理体130にクラック等が発生するのを防止することができる。
これら多孔質焼成体は、脆性材料であるので、機械的な衝撃等により破壊されやすい。しかし、本発明の排ガス浄化装置では、排ガス処理体130の側面の周囲には保持シール材120が介在し、衝撃を吸収するので、機械的な衝撃や熱衝撃により排ガス処理体130にクラック等が発生するのを防止することができる。
上記排ガス処理体130は、コージェライト又は炭化ケイ素質の多孔質焼成体であることが望ましい。
コージェライトを用いる場合には、図1に示すように、排ガス処理体130は、単一のセラミックにより構成されているが、炭化ケイ素質の材料を用いる場合には、後述するように、排ガス処理体130は、単一のセラミックにより構成されておらず、複数の柱状のセラミックが側面に形成された接着剤により接着され、結束されている。
コージェライトを用いる場合には、図1に示すように、排ガス処理体130は、単一のセラミックにより構成されているが、炭化ケイ素質の材料を用いる場合には、後述するように、排ガス処理体130は、単一のセラミックにより構成されておらず、複数の柱状のセラミックが側面に形成された接着剤により接着され、結束されている。
本発明の排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体が多孔質セラミックである場合、多孔質セラミックの気孔率は特に限定されないが、35〜60%であることが望ましい。
気孔率が35%未満であると、排ガス処理体がすぐに目詰りを起こすことがあり、一方、気孔率が60%を超えると、排ガス処理体の強度が低下して容易に破壊されることがあるからである。
また、上記多孔質セラミックの平均気孔径は5〜30μmであることが望ましい。
平均気孔径が5μm未満でると、PMが容易に目詰りを起こすことがあり、一方、平均気孔径が30μmを超えると、PMが気孔を通り抜けてしまい、PMを補修することができず、フィルタとして機能することができないことがあるからである。
なお、上記気孔率及び気孔径は水銀圧入法及び走査型電子顕微鏡(SEM)等による従来公知の方法により測定することができる。
気孔率が35%未満であると、排ガス処理体がすぐに目詰りを起こすことがあり、一方、気孔率が60%を超えると、排ガス処理体の強度が低下して容易に破壊されることがあるからである。
また、上記多孔質セラミックの平均気孔径は5〜30μmであることが望ましい。
平均気孔径が5μm未満でると、PMが容易に目詰りを起こすことがあり、一方、平均気孔径が30μmを超えると、PMが気孔を通り抜けてしまい、PMを補修することができず、フィルタとして機能することができないことがあるからである。
なお、上記気孔率及び気孔径は水銀圧入法及び走査型電子顕微鏡(SEM)等による従来公知の方法により測定することができる。
本発明の排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体の断面におけるセル密度は、特に限定されないが、望ましい下限は、31.0個/cm2(200個/inch2)、望ましい上限は、93.9個/cm2(600個/inch2)、より望ましい下限は、38.8個/cm2(250個/inch2)、より望ましい上限は、77.5個/cm2(500個/inch2)である。
本発明の排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体には、排ガスを浄化するための触媒を担持させてもよく、担持させる触媒としては、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等の貴金属が望ましく、この中では、白金がより望ましい。また、その他の触媒として、例えば、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属、バリウム等のアルカリ土類金属を用いる事もできる。これらの触媒は、単独で用いても良いし、2種以上併用しても良い。これら触媒が担持されていると、PMを燃焼除去しやすくなり、有毒な排ガスの浄化も可能になる。
また触媒は、セル155の表面に形成された触媒担持層に担持されていてもよい。触媒担持層は、比表面積の大きなものであれば特に限定されず、例えば、γ−アルミナ等が挙げられる。触媒担持層に触媒を担持することで、触媒と排ガスとの接触面積を増加させることができる。
本発明の排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体としては、コージェライト等からなり、一体的に形成された一体型ハニカム構造体であってもよく、あるいは、炭化ケイ素等からなり、多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設された柱状のハニカム焼成体を主にセラミックを含む接着材層を介して複数個結束してなる集合型ハニカム構造体であってもよい。
本発明の排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体は、セルに封止材が設けられずに、セルの端部が封止されていなくてもよい。この場合、排ガス処理体は、白金等の触媒を担持させることによって、排ガス中に含まれるCO、HC又はNOx等の有害なガス成分を浄化する触媒担体として機能する。
本発明の排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体は、外周面に外周コート層が形成されていてもよい。排ガス処理体の外周面に外周コート層が形成されていると、排ガス処理体の外周部を補強したり、形状を整えたり、断熱性を向上させることができる。なお、排ガス処理体の外周面とは、柱状である排ガス処理体の側面部分を指す。
次に、本発明の排ガス浄化装置の製造方法について説明する。
図4は、本発明の排ガス浄化装置の製造方法の一例を模式的に示した斜視図である。
本発明の排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体及び保持シール材は、図4に示すように排ガス処理体130の周囲に沿って、保持シール材120の第2の主面を内側にして、第2の主面122と排ガス処理体130とが接するように巻き付け、巻付体140とする。保持シール材120は、図1に示した保持シール材であり、第1の主面に有機バインダAが含浸され、第2の主面に有機バインダBが含浸され、保持シール材の第2の主面が排ガス処理体130と接触している。
本発明の排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体及び保持シール材は、図4に示すように排ガス処理体130の周囲に沿って、保持シール材120の第2の主面を内側にして、第2の主面122と排ガス処理体130とが接するように巻き付け、巻付体140とする。保持シール材120は、図1に示した保持シール材であり、第1の主面に有機バインダAが含浸され、第2の主面に有機バインダBが含浸され、保持シール材の第2の主面が排ガス処理体130と接触している。
次に、この巻付体140を金属ケーシング110に収容することで、本発明の排ガス浄化装置となる。金属ケーシング110は、主にステンレス等の金属からなり、その形状は、図4に示すように、両端部の内径が中央部の内径よりも小さい略円筒状であってもよいし、また、内径が一定である略円筒状であってもよい。
巻付体140を金属ケーシング110に収容する方法としては、例えば、金属ケーシング110内部の所定の位置まで周囲に保持シール材120が配設された排ガス処理体130を圧入する圧入方式(スタッフィング方式)、金属ケーシング110の内径を縮めるように外周側から圧縮するサイジング方式(スウェージング形式)、並びに、金属ケーシングを第1のケーシング及び第2のケーシングの部品に分離可能な形状としておき、巻付体140を第1のケーシング上に載置した後に第2のケーシングをかぶせて密封するクラムシェル方式等が挙げられる。また、内径が一定である略円筒状であってもよい。
金属ケーシング110に収容された保持シール材120は、第1の主面が金属ケーシング110と接触することとなり、一方、第2の主面は、排ガス処理体130と接触している。
本発明の排ガス浄化装置の製造方法では、生産性、気密性、耐震性等の観点から、圧入方式(スタッフィング方式)によって収容するのが望ましい。
圧入方式(スタッフィング方式)によって巻付体を金属ケーシングに収容する場合、金属ケーシングの内径(排ガス処理体を収容する部分の内径)は、上記巻付体140の外径より若干小さくなっていることが望ましい。
本発明の排ガス浄化装置の製造方法では、生産性、気密性、耐震性等の観点から、圧入方式(スタッフィング方式)によって収容するのが望ましい。
圧入方式(スタッフィング方式)によって巻付体を金属ケーシングに収容する場合、金属ケーシングの内径(排ガス処理体を収容する部分の内径)は、上記巻付体140の外径より若干小さくなっていることが望ましい。
本発明の排ガス浄化装置は、1枚の保持シール材から構成されていてもよく、互いに結合された2層以上の複数枚の保持シール材から構成されていてもよいが、1枚の保持シール材から構成されていることが特に望ましい。排ガス浄化装置の保持シール材として1枚の保持シール材を用いた場合、保持シール材同士の接触部が存在しないため、保持シール材同士の摩擦による無機繊維の破損をより防ぐことができ、また、収容時に保持シール材同士がずれることも防止できる。
複数枚の保持シール材を結合する方法としては、特に限定されず、例えば、ミシン縫いで保持シール材同士を縫合する方法、粘着テープ又は接着材等で保持シール材同士を接着する方法等が挙げられる。
これら工程を経て、本発明の排ガス浄化装置が製造される。
複数枚の保持シール材を結合する方法としては、特に限定されず、例えば、ミシン縫いで保持シール材同士を縫合する方法、粘着テープ又は接着材等で保持シール材同士を接着する方法等が挙げられる。
これら工程を経て、本発明の排ガス浄化装置が製造される。
以下に、本発明の保持シール材、該保持シール材の製造方法、排ガス浄化装置、及び、排ガス浄化装置の製造方法の作用効果について説明する。
(1)本発明の保持シール材では、有機バインダAが含浸されている保持シール材の第1の主面は、有機バインダBが含浸されている第2の主面よりも相対的に硬く、第1の主面が接している金属ケーシングに対する静止摩擦係数が低く、滑り易い。一方、排ガス処理体と接している第2の主面は、第1の主面に比べて相対的に柔らかいため、排ガス処理体に対する静止摩擦係数が高く、滑りにくくなっている。このため、この保持シール材が巻き付けられた保持シール材を上記金属ケーシングに収容する際に、有機バインダAが含浸されている保持シール材の第1の主面は、上記金属ケーシングに対して滑りやすくなり、容易に金属ケーシングに収容することができ、生産性が向上する。一方、有機バインダBが含浸されている保持シール材の第2の主面は、排ガス処理体に対して滑りにくくなり、保持シール材が巻き付けられた保持シール材を上記金属ケーシングに収容する際に、排ガス処理体と保持シール材とがずれにくくなる。
(2)本発明の保持シール材の製造方法では、上記構成の保持シール材を容易に製造することができる。
(3)本発明の排ガス浄化装置では、排ガス処理体と金属ケーシングとの間に、無機繊維を含む平面視矩形状のマットからなる保持シール材が介在しているので、排ガスが漏れるのを防ぐことができるとともに、保持シール材の第1の主面に含浸された有機バインダAによって、保持シール材の第1の主面が金属ケーシングに対して滑り易くなり、有機バインダBにより第2の主面が排ガス処理体に対して滑りにくくなるため、収容時の作業性が向上し、排ガス処理体がずれにくい。
(4)さらに、本発明の排ガス浄化装置では、収容時に金属ケーシングと保持シール材との摩擦抵抗が少ないため、収容作業に伴って保持シール材を構成する無機繊維が破損することを防止することができる。
(5)また、本発明の排ガス浄化装置では、排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体に排ガスが流通すること等により、有機バインダAが焼失する。有機バインダAが焼失すると保持シール材は膨張しやすくなり、排ガス処理体を安定的に保持することができる。
図5(a)及び(b)は、静止摩擦係数の測定方法の一例を示した模式図である。
図5(a)に示すよう、金属ケーシングに見立てたステンレス板210が、第1の主面121と接するように2枚の保持シール材120で挟み、さらにその両側を固定部材220で挟み、いずれか一方の固定部材が垂直壁に接するように配置する。次に、垂直壁と接していない固定部材220に対して、垂直壁に向けて垂直方向にNの力を加える。固定部材にNの力を加えた状態で、ステンレス板210をステンレス板210の長手方向に平行な向きに力Fで引っ張り、ステンレス板210が動き始めた瞬間のFを測定し、保持シール材120の第1の主面121と金属ケーシングとの静止摩擦係数を求める。
図5(a)に示すよう、金属ケーシングに見立てたステンレス板210が、第1の主面121と接するように2枚の保持シール材120で挟み、さらにその両側を固定部材220で挟み、いずれか一方の固定部材が垂直壁に接するように配置する。次に、垂直壁と接していない固定部材220に対して、垂直壁に向けて垂直方向にNの力を加える。固定部材にNの力を加えた状態で、ステンレス板210をステンレス板210の長手方向に平行な向きに力Fで引っ張り、ステンレス板210が動き始めた瞬間のFを測定し、保持シール材120の第1の主面121と金属ケーシングとの静止摩擦係数を求める。
図5(b)に示すよう、排ガス処理体に見立てたセラミック板211が、第2の主面122と接するように2枚の保持シール材120で挟み、さらにその両側を固定部材220で挟み、いずれか一方の固定部材220が垂直壁に接するように配置する。次に、垂直壁と接していない固定部材220に対して、垂直壁に向かう方向にNの力を加える。垂直壁と接していない固定部材220にNの力を加えた状態で、セラミック板211をセラミック板211の長手方向に平行な向きにFの力で引っ張り、セラミック板211が動き始めた瞬間のFを測定し、保持シール材120の第2の主面122と排ガス処理体との静止摩擦係数を求める。
以下、本発明をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
(a)マット準備工程
まず、以下の手順により保持シール材のマットを準備した。
(a−1)紡糸工程
Al含有量が70g/lであり、Al:Cl=1:1.8(原子比)となるように調製した塩基性塩化アルミニウム水溶液に対して、焼成後の無機繊維における組成比が、Al2O3:SiO2=72:28(重量比)となるようにシリカゾルを配合し、さらに、有機重合体(ポリビニルアルコール)を適量添加して混合液を調製した。
得られた混合液を濃縮して紡糸用混合物とし、この紡糸用混合物をブローイング法により紡糸して平均繊維径が5.1μmである無機繊維前駆体を作製した。
(a)マット準備工程
まず、以下の手順により保持シール材のマットを準備した。
(a−1)紡糸工程
Al含有量が70g/lであり、Al:Cl=1:1.8(原子比)となるように調製した塩基性塩化アルミニウム水溶液に対して、焼成後の無機繊維における組成比が、Al2O3:SiO2=72:28(重量比)となるようにシリカゾルを配合し、さらに、有機重合体(ポリビニルアルコール)を適量添加して混合液を調製した。
得られた混合液を濃縮して紡糸用混合物とし、この紡糸用混合物をブローイング法により紡糸して平均繊維径が5.1μmである無機繊維前駆体を作製した。
(a−2)圧縮工程
上記工程(a−1)で得られた無機繊維前駆体を圧縮して、連続したシート状物を作製した。
上記工程(a−1)で得られた無機繊維前駆体を圧縮して、連続したシート状物を作製した。
(a−3)ニードルパンチング工程
上記工程(a−2)で得られたシート状物に対して、以下に示す条件を用いて連続的にニードルパンチング処理を行ってニードルパンチング処理体を作製した。
まず、ニードルが21個/cm2の密度で取り付けられたニードルボードを準備した。次に、このニードルボードをシート状物の一方の表面の上方に配設し、ニードルボードをシート状物の厚さ方向に沿って一回上下させることによりニードルパンチング処理を行い、ニードルパンチング処理体を作製した。この際、ニードルの先端部分に形成されたバーブがシート状物の反対側の表面に完全に貫出するまでニードルを貫通させた。
上記工程(a−2)で得られたシート状物に対して、以下に示す条件を用いて連続的にニードルパンチング処理を行ってニードルパンチング処理体を作製した。
まず、ニードルが21個/cm2の密度で取り付けられたニードルボードを準備した。次に、このニードルボードをシート状物の一方の表面の上方に配設し、ニードルボードをシート状物の厚さ方向に沿って一回上下させることによりニードルパンチング処理を行い、ニードルパンチング処理体を作製した。この際、ニードルの先端部分に形成されたバーブがシート状物の反対側の表面に完全に貫出するまでニードルを貫通させた。
(a−4)焼成工程
上記工程(a−3)で得られたニードルパンチング処理体を最高温度1250℃で連続して焼成し、アルミナとシリカとを72重量部:28重量部で含む無機繊維からなる焼成シート状物を製造した。無機繊維の平均繊維径は、5.1μmであり、無機繊維径の最小値は、3.2μmであった。このようにして得られたアルミナ繊維製保持シール材は、嵩密度が0.15g/cm3であり、目付量が1400g/m2であった。
上記工程(a−3)で得られたニードルパンチング処理体を最高温度1250℃で連続して焼成し、アルミナとシリカとを72重量部:28重量部で含む無機繊維からなる焼成シート状物を製造した。無機繊維の平均繊維径は、5.1μmであり、無機繊維径の最小値は、3.2μmであった。このようにして得られたアルミナ繊維製保持シール材は、嵩密度が0.15g/cm3であり、目付量が1400g/m2であった。
(a−5)切断工程
上記工程(a−4)で得られた焼成シート状物を切断し、切断シート状物を作製した。
上記工程(a−4)で得られた焼成シート状物を切断し、切断シート状物を作製した。
(b)含浸工程
(b−1)有機バインダ調整工程
ガラス転移温度(Tg)が25℃であるアクリルゴムを水に分散させたラテックス(日本ゼオン社製 Nipol LX814、以下、ラテックス1という)を用い、水で希釈することにより、固形分濃度が1重量%の有機バインダ含有液を調製した。本実施例では、このラテックス1が有機バインダAである。また、ガラス転移温度(Tg)が1℃であるアクリルゴムを水に分散させたラテックス(日本ゼオン社製 Nipol LX811H、以下、ラテックス2という)を用い、水で希釈することにより、固形分濃度が1重量%の有機バインダ含有液を調製した。本実施例では、ラテックス2が有機バインダBである。
(b−2)有機バインダ吹付工程
次に、有機バインダAの付着量が無機繊維100重量部当たり1重量部となるように、有機バインダA含有液をマットの一方の主面にスプレーコートした。有機バインダAが含浸された主面が第1の主面となる。
次に、有機バインダBの付着量が無機繊維100重量部当たり1重量部となるように、有機バインダB含有液を、第1の主面と逆の主面にスプレーコートした。有機バインダBが含浸された主面が第2の主面となる。
(b−1)有機バインダ調整工程
ガラス転移温度(Tg)が25℃であるアクリルゴムを水に分散させたラテックス(日本ゼオン社製 Nipol LX814、以下、ラテックス1という)を用い、水で希釈することにより、固形分濃度が1重量%の有機バインダ含有液を調製した。本実施例では、このラテックス1が有機バインダAである。また、ガラス転移温度(Tg)が1℃であるアクリルゴムを水に分散させたラテックス(日本ゼオン社製 Nipol LX811H、以下、ラテックス2という)を用い、水で希釈することにより、固形分濃度が1重量%の有機バインダ含有液を調製した。本実施例では、ラテックス2が有機バインダBである。
(b−2)有機バインダ吹付工程
次に、有機バインダAの付着量が無機繊維100重量部当たり1重量部となるように、有機バインダA含有液をマットの一方の主面にスプレーコートした。有機バインダAが含浸された主面が第1の主面となる。
次に、有機バインダBの付着量が無機繊維100重量部当たり1重量部となるように、有機バインダB含有液を、第1の主面と逆の主面にスプレーコートした。有機バインダBが含浸された主面が第2の主面となる。
(c)乾燥工程
次に、有機バインダが付着したマットを130℃で加熱熱風乾燥することにより、有機バインダが含浸されたマットを得た。
次に、有機バインダが付着したマットを130℃で加熱熱風乾燥することにより、有機バインダが含浸されたマットを得た。
(d)裁断処理
このようにして得られたマットを、平面視寸法が全長307mm×114mmであって、一旦に、長さLが20mm、幅Wが38mmの凸部が形成され、他端にこの凸部と嵌合する凹部が形成されるように裁断することにより、保持シール材の製造を完了した。
なお、保持シール材の厚さは17.4mmであった。
このようにして得られたマットを、平面視寸法が全長307mm×114mmであって、一旦に、長さLが20mm、幅Wが38mmの凸部が形成され、他端にこの凸部と嵌合する凹部が形成されるように裁断することにより、保持シール材の製造を完了した。
なお、保持シール材の厚さは17.4mmであった。
(比較例1)
(b)含浸工程において、有機バインダBをラテックス1に変更したほかは、実施例1と同様にして、保持シール材を製造した。
(b)含浸工程において、有機バインダBをラテックス1に変更したほかは、実施例1と同様にして、保持シール材を製造した。
(比較例2)
(b)含浸工程において、有機バインダAをラテックス2に変更したほかは、実施例1と同様にして、保持シール材を製造した。
(b)含浸工程において、有機バインダAをラテックス2に変更したほかは、実施例1と同様にして、保持シール材を製造した。
(比較例3)
(b)含浸工程において、有機バインダBをラテックス1に変更し、有機バインダAをラテックス2に変更したほかは、実施例1と同様にして、保持シール材を製造した。
(b)含浸工程において、有機バインダBをラテックス1に変更し、有機バインダAをラテックス2に変更したほかは、実施例1と同様にして、保持シール材を製造した。
(有機バインダの含浸量の決定)
有機バインダの含浸量については、有機バインダを含浸した実施例1及び比較例1〜3の保持シール材を、100mm×100mmの大きさに切断し、切断したサンプルを厚さ方向に2等分した後、酸化性雰囲気、700℃で加熱して重量減少量を測定し、その結果より、無機繊維100gに対する有機バインダの含浸量(g)を算出した。実施例1及び比較例1〜3の保持シール材の無機繊維100重量部に対する有機バインダの含浸量は、第1の主面及び第2の主面でそれぞれ1重量部であった。
有機バインダの含浸量については、有機バインダを含浸した実施例1及び比較例1〜3の保持シール材を、100mm×100mmの大きさに切断し、切断したサンプルを厚さ方向に2等分した後、酸化性雰囲気、700℃で加熱して重量減少量を測定し、その結果より、無機繊維100gに対する有機バインダの含浸量(g)を算出した。実施例1及び比較例1〜3の保持シール材の無機繊維100重量部に対する有機バインダの含浸量は、第1の主面及び第2の主面でそれぞれ1重量部であった。
実施例1及び比較例1〜3で得られた保持シール材を、第2の主面が排ガス処理体と接触するように排ガス処理体に巻き付け、巻付体とした。この巻付体を、第1の主面が金属ケーシングと接触するように、圧入方式により金属ケーシングに収容し、収容性及び安定性を確認した。
実施例1の保持シール材を巻き付けた巻付体は、第1の主面に含浸された有機バインダAのガラス転移温度が第2の主面に含浸された有機バインダBのガラス転移温度よりも高いため、第1の主面は第2の主面と比較して硬くなっていた。そのため、保持シール材とケーシングとの静止摩擦係数が低くなっており、保持シール材が滑りやすく、収容が容易であった。さらに、第2の主面は第1の主面と比較して柔らかくなっており、保持シール材と排ガス処理体との静止摩擦係数が高くなっており、保持シール材が滑りにくく、収容時に保持シール材と排ガス処理体とがずれることがなかった。
比較例1の保持シール材を巻き付けた巻付体は、第1の主面に含浸された有機バインダAのガラス転移温度が第2の主面に含浸された有機バインダBのガラス転移温度と同じであるため、第1の主面と第2の主面の硬さは同じであった。さらに、有機バインダBのガラス転移温度が5℃以上であるため、第2の主面が硬くなりすぎており、収容時に保持シール材と排ガス処理体とがずれやすくなっていた。
比較例2の保持シール材を巻き付けた巻付体は、第1の主面に含浸された有機バインダAのガラス転移温度が第2の主面に含浸された有機バインダBのガラス転移温度と同じであるため、第1の主面と第2の主面の硬さは同じであった。さらに、有機バインダAのガラス転移温度が5℃未満であるため、第1の主面が柔らかくなりすぎており、収容時に大きな力が必要で、収容が容易でなかった。
比較例3の保持シール材を巻きつけた巻付体は、第1の主面に含浸された有機バインダAのガラス転移温度が第2の主面に含浸された有機バインダBのガラス転移温度よりも低くなっているため、第1の主面が柔らかくなりすぎており、第2の主面が硬くなりすぎていた。そのため、保持シール材と金属ケーシングとの静止摩擦係数が大きく、収容が容易でなかった。さらに、保持シール材と排ガス処理体との静止摩擦係数が小さく、収容後に保持シール材と排ガス処理体とがずれやすくなっていた。このように、実施例1に係る保持シール材は、収容作業の容易さ及びガス処理体のずれ防止の観点から見て、比較例1〜3に係る保持シール材よりも優れていることが判明した。
実施例1の保持シール材を巻き付けた巻付体は、第1の主面に含浸された有機バインダAのガラス転移温度が第2の主面に含浸された有機バインダBのガラス転移温度よりも高いため、第1の主面は第2の主面と比較して硬くなっていた。そのため、保持シール材とケーシングとの静止摩擦係数が低くなっており、保持シール材が滑りやすく、収容が容易であった。さらに、第2の主面は第1の主面と比較して柔らかくなっており、保持シール材と排ガス処理体との静止摩擦係数が高くなっており、保持シール材が滑りにくく、収容時に保持シール材と排ガス処理体とがずれることがなかった。
比較例1の保持シール材を巻き付けた巻付体は、第1の主面に含浸された有機バインダAのガラス転移温度が第2の主面に含浸された有機バインダBのガラス転移温度と同じであるため、第1の主面と第2の主面の硬さは同じであった。さらに、有機バインダBのガラス転移温度が5℃以上であるため、第2の主面が硬くなりすぎており、収容時に保持シール材と排ガス処理体とがずれやすくなっていた。
比較例2の保持シール材を巻き付けた巻付体は、第1の主面に含浸された有機バインダAのガラス転移温度が第2の主面に含浸された有機バインダBのガラス転移温度と同じであるため、第1の主面と第2の主面の硬さは同じであった。さらに、有機バインダAのガラス転移温度が5℃未満であるため、第1の主面が柔らかくなりすぎており、収容時に大きな力が必要で、収容が容易でなかった。
比較例3の保持シール材を巻きつけた巻付体は、第1の主面に含浸された有機バインダAのガラス転移温度が第2の主面に含浸された有機バインダBのガラス転移温度よりも低くなっているため、第1の主面が柔らかくなりすぎており、第2の主面が硬くなりすぎていた。そのため、保持シール材と金属ケーシングとの静止摩擦係数が大きく、収容が容易でなかった。さらに、保持シール材と排ガス処理体との静止摩擦係数が小さく、収容後に保持シール材と排ガス処理体とがずれやすくなっていた。このように、実施例1に係る保持シール材は、収容作業の容易さ及びガス処理体のずれ防止の観点から見て、比較例1〜3に係る保持シール材よりも優れていることが判明した。
100 排ガス浄化装置
110 金属ケーシング
120 保持シール材
121 第1の主面
122 第2の主面
130 排ガス処理体
110 金属ケーシング
120 保持シール材
121 第1の主面
122 第2の主面
130 排ガス処理体
Claims (9)
- 排ガス処理体と、前記排ガス処理体を収容する金属ケーシングと、前記排ガス処理体と前記金属ケーシングとの間に配設される無機繊維からなる保持シール材とから構成される排ガス浄化装置に用いられる保持シール材であって、
前記保持シール材は、前記金属ケーシングと接する第1の主面と前記排ガス処理体と接する第2の主面とを備え、
前記第1の主面及び第2の主面には、有機バインダが含浸されており、
前記第1の主面に含浸された有機バインダAのガラス転移温度は、前記第2の主面に含浸された有機バインダBのガラス転移温度より高いことを特徴とする保持シール材。 - 前記有機バインダAのガラス転移温度は、5℃以上50℃以下であり、前記有機バインダBのガラス転移温度は、−50℃以上5℃未満である請求項1に記載の保持シール材。
- 前記有機バインダAは、第1の主面を含む所定の領域に含浸されており、前記有機バインダBは、第2の主面を含む所定の領域に含浸されており、
前記第1の主面を含む所定の領域に含浸された有機バインダAの含浸量は、前記無機繊維100重量部に対して0.2〜12.0重量部であり、前記第2の主面を含む所定の領域に含浸された有機バインダBの含浸量は、前記無機繊維100重量部に対して0.2〜12.0重量部である請求項1又は2に記載の保持シール材。 - 前記有機バインダA及び前記有機バインダBの含浸量の合計は、前記無機繊維100重量部に対して0.5〜3.0重量部である請求項3に記載の保持シール材。
- 前記有機バインダA及び前記有機バインダBには、少なくともアクリル系樹脂が含まれている請求項1〜4のいずれかに記載の保持シール材。
- 前記無機繊維は、アルミナ繊維、シリカ繊維、アルミナシリカ繊維、ムライト繊維、生体溶解性繊維及びガラス繊維からなる群から選択される少なくとも一種から構成されている請求項1〜5のいずれかに記載の保持シール材。
- ニードルパンチング処理が施された無機繊維からなる保持シール材用のマットを準備するマット準備工程と、
有機バインダAを含む有機バインダ含有液の液滴を、前記マットの第1の主面に対して吹き付ける含浸工程と、
有機バインダ含有液を含有したマットを乾燥させる乾燥工程とを含むことを特徴とする請求項1に記載の保持シール材の製造方法。 - 前記含浸工程において、前記有機バインダBを含む有機バインダ含有液の液滴を、前記マットの第2の主面に対して吹き付ける工程をさらに備える請求項7に記載の保持シール材の製造方法。
- 金属ケーシングと、
前記金属ケーシングに収容された排ガス処理体と、
前記排ガス処理体の周囲に巻き付けられ、前記排ガス処理体及び前記金属ケーシングの間に配設された保持シール材とを備える排ガス浄化装置であって、
前記保持シール材は、請求項1〜6のいずれかに記載の保持シール材であることを特徴とする排ガス浄化装置。
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