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JP2014181676A - 内燃機関のバルブタイミング制御装置 - Google Patents

内燃機関のバルブタイミング制御装置 Download PDF

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JP2014181676A
JP2014181676A JP2013058400A JP2013058400A JP2014181676A JP 2014181676 A JP2014181676 A JP 2014181676A JP 2013058400 A JP2013058400 A JP 2013058400A JP 2013058400 A JP2013058400 A JP 2013058400A JP 2014181676 A JP2014181676 A JP 2014181676A
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valve
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JP2013058400A
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Shunsuke Yamamoto
俊介 山本
Toyokazu Nakajima
豊和 中嶋
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Toyota Motor Corp
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Toyota Motor Corp
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Publication date
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  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)

Abstract

【課題】バルブタイミング可変機構へのオイルの充填中に、動作指令値に対するオイルコントロールバルブの動作のばらつきにより、クランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相が中間ロック位相から変化して機関運転状態が悪化することを抑制する。
【解決手段】オイルコントロールバルブ25の動作モードをオイル充填モードとすべく、同バルブ25の動作指令値が電子制御装置51の不揮発性のRAMに記憶された充填指令値に設定される。こうしたオイル充填中、動作指令値(充填指令値)に対するオイルコントロールバルブ25の動作のばらつきにより、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相が中間ロック位相から進角側に変化する可能性がある。この変化が生じたときには、上記充填指令値が上記ばらつきを抑える方向の値に更新されるとともに、同更新後の充填指令値が電子制御装置51の不揮発性のRAMに記憶される。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関のバルブタイミング制御装置に関する。
自動車等の車両に搭載される内燃機関では、燃費改善や出力向上等を目的として、例えば特許文献1に示されるように吸気バルブ等の機関バルブのバルブタイミングを制御するバルブタイミング制御装置を適用することが知られている。
こうしたバルブタイミング制御装置は、内燃機関のクランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相を変化させるべく油圧によって駆動されるバルブタイミング可変機構を備えている。このバルブタイミング可変機構の駆動を通じてクランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相を可変とすることにより、カムシャフトによって開閉駆動される機関バルブのバルブタイミング(開閉タイミング)が可変とされる。
また、バルブタイミング制御装置は、クランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相が中間ロック位相となるときに油圧によって上記相対回転位相の変化を禁止する禁止動作及び同相対回転位相の変化を許可する許可動作が行われるロック機構を備えている。なお、上記中間ロック位相とは、クランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相の調整可能範囲のうちの端以外に定められた位相であり、例えば機関バルブのバルブタイミングを内燃機関の始動に適したタイミングとしたときの上記相対回転位相に対応させることが考えられる。
更に、バルブタイミング制御装置は、バルブタイミング可変機構及びロック機構に対するオイルの給排を行うオイルコントロールバルブと、予め定められた変化範囲内で変化する動作指令値に基づいてオイルコントロールバルブを動作させる制御部と、を備えている。この制御部は、機関停止中にオイルが抜けたバルブタイミング可変機構に対し、機関始動時にオイルを供給して同機構をオイルで満たすオイル充填制御を実行する。
なお、内燃機関の停止過程では、機関停止中にバルブタイミング可変機構からオイルが抜けても、次回の機関始動時にクランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相を中間ロック位相に保持できるよう、ロック機構からオイルが排出されて同ロック機構が禁止動作状態とされる。このため、機関始動時に上記オイル充填制御が実行されるときにはロック機構が禁止動作状態とされており、それによってクランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相が中間ロック位相に保持された状態になる。
上記制御部は、機関始動時に上記オイル充填制御を実行する際、ロック機構を禁止動作状態に保持しつつバルブタイミング可変機構がオイルで満たされるよう、オイルコントロールバルブの動作指令値の調整を通じて、ロック機構及びバルブタイミング可変機構に対するオイルの給排態様を調整する。こうしたオイル充填制御に関しては、バルブタイミング可変機構がオイルで満たされることに基づいて終了される。そして、制御部は、上記オイル充填制御を終了した後、ロック機構を許可動作状態としつつバルブタイミング可変機構が油圧によって駆動されるよう、オイルコントロールバルブの動作指令値の調整を通じて、バルブタイミング可変機構及びロック機構に対するオイルの給排態様を調整する。
特開2010−138698公報
ところで、機関始動時における上記オイル充填制御の実行中、ロック機構を禁止動作状態に保持しつつバルブタイミング可変機構がオイルで満たされるよう、オイルコントロールバルブの動作指令値を調整する際、その動作指令値に対するオイルコントロールバルブの動作には個体差等によるばらつきが生じる。
このように動作指令値に対するオイルコントロールバルブの動作にばらつきが生じると、上記オイル充填制御の実行中に禁止動作状態にあるロック機構に対しオイルが過剰に供給され、それに伴いロック機構が許可動作してしまうおそれがある。また、動作指令値に対するオイルコントロールバルブの動作のばらつきが生じると、バルブタイミング可変機構に対するオイルの給排が適切に行われないおそれもある。この場合、上述したようにオイル充填制御の実行中にロック機構が許可動作してしまったときには、バルブタイミング可変機構を適正に駆動できず、クランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相が中間ロック位相から変化することになる。そして、こうしたクランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相が中間ロック位相から変化が、機関始動時における内燃機関の運転状態の悪化に繋がる。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、オイルの充填中に、動作指令値に対するオイルコントロールバルブの動作のばらつきにより、クランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相が中間ロック位相から変化して運転状態が悪化することを抑制できる内燃機関のバルブタイミング制御装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する内燃機関のバルブタイミング制御装置は、クランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相を変化させるべく油圧によって駆動されるバルブタイミング可変機構を備える。また、上記バルブタイミング制御装置は、クランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相が中間ロック位相となるとき、油圧によって同相対回転位相の変化を禁止する禁止動作、及び同相対回転位相の変化を許可する許可動作が行われるロック機構も備える。更に、バルブタイミング制御装置は、バルブタイミング可変機構及びロック機構に対するオイルの給排を行うオイルコントロールバルブと、予め定められた変化範囲内で変化する動作指令値に基づいてオイルコントロールバルブを動作させる制御部とを備える。
上記オイルコントロールバルブは、その動作指令値に応じて、駆動制御モード及びオイル充填モードの間で動作モードが切り換えられる。ここで、上記駆動制御モードでは、バルブタイミング可変機構に対するオイルの給排を通じて同バルブタイミング可変機構が駆動される一方で、ロック機構へのオイルの供給を通じて同ロック機構が許可動作状態とされる。また、上記オイル充填モードでは、ロック機構が禁止動作状態に維持される一方で、バルブタイミング可変機構に対するオイルの充填が行われる。そして、オイルコントロールバルブの動作指令値の変化範囲には、オイルコントロールバルブの動作モードを上記駆動制御モードとする第1領域と、その第1領域に隣接してオイルコントロールバルブの動作モードを上記オイル充填モードとする第2領域とが設定される。
上記制御部は、ロック機構が禁止動作した状態のもとでオイルコントロールバルブの動作モードをオイル充填モードとする際、動作指令値を上記第2領域内の値として記憶された充填指令値に設定する。ここで、オイルコントロールバルブにおいては、動作指令値に対する動作に個体差等によるばらつきが生じる可能性がある。こうしたばらつきに起因して、上述したように動作指令値を充填指令値に設定してオイルコントロールバルブの動作モードをオイル充填モードにしようとするとき、同オイルコントロールバルブの動作モードが、上記第2領域に隣接した上記第1領域に対応する動作モード(駆動制御モード)になるおそれがある。この場合、禁止動作状態にあるロック機構が許可動作してしまうとともに、バルブタイミング可変機構が不適正に駆動されることにより、クランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相が中間ロック位相から変化し、それが内燃機関の運転状態の悪化に繋がる可能性がある。
このことに対処するため、上記制御部は、オイルコントロールバルブの動作指令値を上記充填指令値に設定している最中、クランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相が中間ロック位相から変化したときには、上記充填指令値を第1領域からより離れる方向の値に更新するとともに同更新後の充填指令値を記憶する。この場合、次回にオイルコントロールバルブの動作モードをオイル充填モードとしてバルブタイミング可変機構のオイルの充填を行う際、同バルブの動作指令値が上記更新後の充填指令値に設定されることにより、同バルブの動作モードが駆動制御モードになることを抑制できる。従って、バルブタイミング可変機構に対するオイルの充填中、動作指令値に対するオイルコントロールバルブの動作のばらつきにより、クランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相が中間ロック位相から変化して機関運転状態が悪化することを抑制できる。
上記オイルコントロールバルブは、動作指令値に応じた動作モードとして、ロック機構からのオイルの排出を通じて同ロック機構の禁止動作を実行可能とするロックモードを有するものとすることが考えられる。この場合、動作指令値の変化範囲にオイルコントロールバルブの動作モードをロックモードとする第3領域を設定するとともに、その第3領域と上記第1領域との間に上記第2領域を設定することが考えられる。更に、第1領域内では、第2領域から離れるに従って、クランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相を進角させる領域、同相対回転位相を保持する領域、同相対回転位相を遅角させる領域へと順に移行するものとすることが考えられる。
この場合、上記制御部は、動作指令値を上記充填指令値に設定している最中にクランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相が中間ロック位相から変化したときには、ロック機構を禁止動作状態としてバルブタイミング可変機構に対するオイルの充填を続けるべく、上記相対回転位相を中間ロック位相に戻すように動作指令値を調整する。詳しくは、上記相対回転位相の中間ロック位相からの進角側への変化量が閾値以上であれば動作指令値を第1領域内における相対回転位相を遅角させる領域の値とする一方で、上記相対回転位相の中間ロック位相からの進角側への変化量が閾値未満であれば動作指令値を第3領域の値とする。
ここで、上記相対回転位相の中間ロック位相からの進角側への変化量が閾値以上という大きい値であるときには、動作指令値を第1領域における上記相対回転位相を遅角させる領域の値とすることが、上記相対回転位相を中間ロック位相に速やかに戻すうえで好ましい。ただし、上記相対回転位相の中間ロック位相からの進角側への変化量が閾値未満という小さい値であるときには、上記相対回転位相を中間ロック位相に速やかに戻すうえで、動作指令値を第1領域における相対回転位相を遅角させる領域の値とするよりも、むしろ第3領域内の値とすることが好ましい。
これは、動作指令値を充填指令値から第1領域における上記相対回転位相を遅角させる領域の値に設定すると、オイルコントロールバルブが上記相対回転位相を遅角させる動作態様に至る前に、必ず上記相対回転位相を進角させる動作態様を経ることが関係している。すなわち、上記相対回転位相の中間ロック位相からの進角側への変化量が閾値未満という小さい値であるときには、上述したようにオイルコントロールバルブが上記相対回転位相を進角させる動作態様を経ることにより、上記相対回転位相を速やかに中間ロック位相に戻す(遅角させる)ことが難しくなる。
このため、上記相対回転位相の中間ロック位相からの進角側への変化量が閾値未満という小さい値であるときには、上述したように動作指令値が第3領域内の値とされてオイルコントロールバルブの動作モードがロックモードとされる。このロックモードでは、ロック機構からのオイルの排出を通じて同ロック機構の禁止動作が実行可能になる一方、バルブタイミング可変機構の油圧による駆動が積極的に行われることはない。このため、機関バルブを開閉する際にカムシャフトに対し回転方向と逆方向のトルクが作用することにより、上記相対回転位相が中間ロック位相まで遅角側に変化する。
このときの相対回転位相の中間ロック位相までの遅角側への変化では、上述したようにオイルコントロールバルブが上記相対回転位相を進角させる動作態様を経ることはない。このため、上記相対回転位相の中間ロック位相からの進角側への変化量が閾値未満という小さい値である条件のもとでは、上述したように動作指令値を充填指令値から第1領域内における上記相対回転位相を遅角させる領域の値に設定する場合と比較して、上記相対回転位相が速やかに中間ロック位相まで遅角側に変化するようになる。
以上のように、動作指令値を上記充填指令値に設定している最中にクランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相が中間ロック位相から進角側に変化したとき、その変化量に応じて上記相対回転位相を中間ロック位相に戻す手法を切り換えることにより、速やかに上記相対回転位相を中間ロック位相に戻すことができる。従って、上記相対回転位相を中間ロック位相に戻してロック機構を再び禁止動作した状態とするまでの期間を短くすることができる。
上記制御部は、ロック機構が禁止動作した状態のもとでオイルコントロールバルブの動作モードをオイル充填モードとすべく動作指令値を充填指令値に設定し、その後に予め定められた充填時間が経過した時点でオイルコントロールバルブの動作モードを駆動制御モードとすべく動作指令値を第1領域内の値とするものとすることが考えられる。そして、上記制御部としては、充填時間が経過して動作指令値を第1領域内の値としたことにより、クランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相の変動が生じたときには、上記充填指令値を第3領域からより離れる方向の値に更新するとともに同更新後の充填指令値を記憶するものとすることが好ましい。
ここで、動作指令値に対するオイルコントロールバルブの動作に個体差等によるばらつきが生じると、動作指令値を充填指令値に設定してオイルコントロールバルブの動作モードをオイル充填モードにしようとするとき、その動作モードが上記第2領域に隣接した上記第3領域に対応する動作モード(ロックモード)になる可能性がある。この場合、動作指令値を充電指令値に設定しても、バルブタイミング可変機構をオイルで満たせるほど同機構に対しオイルを供給できるとは限らない。このため、上記充填時間が経過した時点で動作指令値が第1領域内の値とされたとき、ロック機構を許可動作させるとともにバルブタイミング可変機構を油圧により駆動しようとしても、その油圧による駆動を行うことができずに、クランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相が変動する可能性がある。
この場合、クランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相の変動に基づき、充填指令値が第3領域からより離れる方向の値に更新されるとともに同更新後の充填指令値が記憶される。従って、次回にオイルコントロールバルブの動作モードをオイル充填モードとしてバルブタイミング可変機構のオイルの充填を行う際、同バルブの動作指令値が上記更新後の充填指令値に設定されるため、同バルブの動作モードがロックモードになってバルブタイミング可変機構に対するオイルの充填が不足することを抑制できる。従って、上述したように充填時間が経過した時点で動作指令値が第1領域内の値とされたとき、バルブタイミング可変機構を油圧により駆動できずにクランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相が変動することを抑制できる。
バルブタイミング制御装置が適用される内燃機関全体を示す略図。 バルブタイミング可変機構の動作に基づく吸気バルブのバルブタイミングの変化態様を示すグラフ。 バルブタイミング可変機構、及び、同機構を駆動するための油圧回路を示す略図。 ロック機構の構造を示す断面図。 ロック機構の構造を示す断面図。 ロックモード時のオイルコントロールバルブ内部を示す断面図。 オイル充填モード時のオイルコントロールバルブ内部を示す断面図。 進角モード時のオイルコントロールバルブ内部を示す断面図。 保持モード時のオイルコントロールバルブ内部を示す断面図。 遅角モード時のオイルコントロールバルブ内部を示す断面図。 スプール弁の変位に伴うオイルコントロールバルブ内の各種油路の開口面積の変化を示すグラフ。 充填指令値の更新(学習)手順を示すフローチャート。 充填指令値の更新(学習)手順を示すフローチャート。 機関始動時のクランクシャフトに対する吸気カムシャフトの相対回転位相の変化を示すタイムチャート。 機関始動時のクランクシャフトに対する吸気カムシャフトの相対回転位相の変化を示すタイムチャート。
以下、内燃機関のバルブタイミング制御装置の一実施形態について、図1〜図15を参照して説明する。
図1に示される内燃機関1は、自動車等の車両に搭載されている。この内燃機関1では、燃焼室2に繋がる吸気通路3にスロットルバルブ13が開閉可能に設けられており、同吸気通路3を通じて燃焼室2に空気が吸入されるとともに、燃料噴射弁4から同機関1の吸気ポート3aに向けて噴射された燃料が同燃焼室2に供給される。この空気と燃料とからなる混合気に対し点火プラグ5による点火が行われると、同混合気が燃焼してピストン6が往復移動し、内燃機関1の出力軸であるクランクシャフト7が回転する。一方、燃焼室2で燃焼した後の混合気は、排気として排気通路8に送り出される。なお、上記クランクシャフト7には、内燃機関1を始動させる際に同クランクシャフト7を強制的に回転(クランキング)させるスタータ10が接続されている。
内燃機関1における燃焼室2と吸気通路3との間は、吸気バルブ11の開閉動作を通じて連通・遮断される。この吸気バルブ11は、クランクシャフト7からの回転伝達を受ける吸気カムシャフト12の回転に伴って開閉動作する。そして、吸気カムシャフト12の回転に伴い吸気バルブ11が開弁する際には、バルブスプリング11aの圧縮時の弾性力に基づき吸気カムシャフト12に対しその回転方向と逆方向のトルク(負トルク)が作用する。また、吸気カムシャフト12の回転に伴い吸気バルブ11が閉弁する際には、バルブスプリング11aの膨張時の弾性力に基づき吸気カムシャフト12に対しその回転方向と同方向のトルク(正トルク)が作用する。
一方、内燃機関1における燃焼室2と排気通路8との間は、排気バルブ14の開閉動作を通じて連通・遮断される。この排気バルブ14は、クランクシャフト7からの回転伝達を受ける排気カムシャフト15の回転に伴って開閉動作する。そして、排気カムシャフト15の回転に伴い排気バルブ14が開弁する際には、バルブスプリング14aの圧縮時の弾性力に基づき排気カムシャフト15に対しその回転方向と逆方向のトルク(負トルク)が作用する。また、排気カムシャフト15の回転に伴い排気バルブ14が閉弁する際には、バルブスプリング14aの膨張時の弾性力に基づき排気カムシャフト15に対しその回転方向と同方向のトルク(正トルク)が作用する。
内燃機関1には、吸気バルブ11の開閉タイミングを可変とすべく、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相を変化させるバルブタイミング可変機構16が設けられている。このバルブタイミング可変機構16は、オイルコントロールバルブ25の駆動によるオイルの給排を通じて、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相を変化させるよう油圧駆動される。こうしたバルブタイミング可変機構16の駆動により、吸気バルブ11のバルブタイミング(開閉タイミング)が可変とされる。詳しくは、図2に示すように、吸気バルブ11の開弁期間を一定に保持した状態で同バルブ11の開弁時期及び閉弁時期が共に進角又は遅角される。
次に、バルブタイミング可変機構16、及びその駆動を行うための油圧回路について詳しく説明する。
図3に示されるように、バルブタイミング可変機構16は、吸気カムシャフト12に対しボルトにより一体回転可能に固定されたロータ21と、吸気カムシャフト12と同一軸線上に上記ロータ21を囲むように設けられてクランクシャフト7(図1)からの回転伝達を受けるハウジング22とを備えている。このハウジング22の内周面には、吸気カムシャフト12の軸線に向かって突出する突部23が周方向について所定の間隔をおいて複数形成されている。また、ロータ21の外周面には、吸気カムシャフト12の軸線から離れる方向に突出する複数のベーン24がそれぞれ上記各突部23の間に位置するように形成されている。これにより、ハウジング22内における各突部23の間に位置する部分が、ベーン24により進角側油圧室26と遅角側油圧室27とに区画されている。
そして、進角側油圧室26にオイルを供給するとともに遅角側油圧室27からオイルを排出すると、ロータ21がハウジング22に対し図中の右回転方向に相対移動して吸気カムシャフト12のクランクシャフト7に対する相対回転位相が進角側に変化し、それによって吸気バルブ11のバルブタイミングが進角側に変化する。また、遅角側油圧室27にオイルを供給するとともに進角側油圧室26からオイルを排出すると、ロータ21がハウジング22に対し図中左回転方向に相対移動して吸気カムシャフト12のクランクシャフト7に対する相対回転位相が遅角側に変化し、それによって吸気バルブ11のバルブタイミングが遅角側に変化する。
バルブタイミング可変機構16は、ロータ21のハウジング22に対する相対移動を禁止する禁止動作を行うとともに、その相対移動を許可状態とする許可動作を行うロック機構28を備えている。なお、ロック機構28の許可動作は、同機構28の解除室28aへのオイルの供給を通じて同解除室28aの油圧を上昇させることによって行われる。また、ロック機構28の禁止動作は、同機構28の解除室28aからのオイルの排出を通じて同解除室28aの油圧を低下させることによって行われる。これらロック機構28の禁止動作及び許可動作は、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相が中間ロック位相となるときに行われる。この中間ロック位相とは、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相の調整可能範囲のうちの端以外に定められた位相であり、吸気バルブ11のバルブタイミングを内燃機関1の始動に適したタイミングとしたときの上記相対回転位相に相当する。
従って、ロック機構28によるハウジング22に対するロータ21の相対移動の禁止は、吸気バルブ11のバルブタイミングが機関始動に適したタイミングとなる状態で行われる。これは、機関停止過程でロック機構28によるハウジング22に対するロータ21の相対移動の禁止を行うことにより、次回の機関始動開始時に吸気バルブ11のバルブタイミングを機関始動に適したタイミングに固定しておき、それによって良好な機関始動を実現するためである。なお、ロック機構28によるハウジング22に対するロータ21の相対移動の禁止は、上述したようにクランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相が中間ロック位相になるときに行われる。このため、機関始動完了後にロック機構28によるハウジング22に対するロータ21の相対移動の禁止を解除して同相対移動を許可したとき、吸気バルブ11のバルブタイミングを機関始動時に適したタイミングよりも遅角側に調整可能となり、より広い制御範囲での吸気バルブ11のバルブタイミング制御が実現される。
図4に示すように、ロック機構28には、解除室28a内の油圧に基づく力及びばね29の付勢力を受けてハウジング22に形成された穴30に対し出し入れされるロックピン31が設けられている。ハウジング22における穴30よりも遅角側(図中左側)の位置には、その穴30寄りも浅く上記ロックピン31を没入させることが可能なラチェット溝32が、同穴30と繋がるように形成されている。ロック機構28では、ロックピン31と穴30とを位置合わせした状態のもと、解除室28aからのオイルの排出を通じて同解除室28a内の油圧に基づく力を小さくすることにより、上記ばね29の付勢力でロックピン31を穴30内に没入する禁止動作が行われる。また、ロック機構28では、ロックピン31を穴30に没入した状態のもと、解除室28aに対するオイルの供給を通じて同解除室28a内の油圧に基づく力を大きくすることにより、上記ばね29の付勢力に抗して図5に示すように穴30からロックピン31を抜き出す許可動作が行われる。
なお、ロータ21には、ロック機構28の上記禁止動作が行われた状態のとき(図4)、進角側油圧室26と遅角側油圧室27とを連通する連通路17が形成されている。この連通路17は、図5に示すようにロック機構28の許可動作が完了しているときにはロックピン31により遮断状態となる。
図3に示すように、バルブタイミング可変機構16の進角側油圧室26及び遅角側油圧室27に対するオイルの給排、並びに、ロック機構28の解除室28aに対するオイルの給排は、バルブタイミング可変機構16及びロック機構28とオイルポンプ33とを繋ぐ油圧回路を構成する複数の油路を通じて行われる。この油圧回路における複数の油路の途中には、それら油路によるバルブタイミング可変機構16及びロック機構28に対するオイルの給排態様を変更するオイルコントロールバルブ25が設けられている。そして、オイルコントロールバルブ25を用いてバルブタイミング可変機構16及びロック機構28に対するオイルの給排態様を変更することで、バルブタイミング可変機構16の動作を通じて上述したようにクランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相が変更されたり、ロック機構28の禁止動作や許可動作が行われたりする。
オイルコントロールバルブ25は、オイルポンプ33に対し供給油路34を介して接続されるとともに、そのオイルポンプ33により汲み上げられるオイルを貯留するためのオイルパン35に対し排出油路36を介して接続されている。なお、上記供給油路34に関しては、オイルポンプ33の下流側で二つに分岐してオイルコントロールバルブ25に対し二ヶ所で繋がっている。また、オイルコントロールバルブ25は、バルブタイミング可変機構16の進角側油圧室26に対し進角側油路37を介して接続されるとともに、同機構16の遅角側油圧室27に対し遅角側油路38を介して接続されている。更に、オイルコントロールバルブ25は、バルブタイミング可変機構16に設けられたロック機構28の解除室28aに対し解除用油路39を介して接続されている。
そして、オイルコントロールバルブ25は、機関運転状態等に応じて、複数の動作モードのうちのいずれかのモードで動作される。こうしたオイルコントロールバルブ25の動作モードとしては、例えばロックモード、オイル充填モード、進角モード、保持モード、及び遅角モードがあげられる。なお、これら複数の動作モードのうち、進角モード、保持モード、及び遅角モードは、バルブタイミング可変機構16に対するオイルの給排を通じて同バルブタイミング可変機構16を駆動する一方で、ロック機構28(解除室28a)へのオイルの供給を通じて同ロック機構28を許可動作状態とする駆動制御モードとなっている。以下、ロックモード、オイル充填モード、進角モード、保持モード、及び遅角モードといったオイルコントロールバルブ25の動作モードについて、それぞれ個別に詳しく説明する。
(ロックモード)
このモードは、ロック機構28(解除室28a)からのオイルの排出を通じて同ロック機構28の禁止動作を実行可能としたり、ロック機構28の禁止動作の完了状態、すなわちロックピン31を穴30に没入した状態を維持したりするためのものである。このモードでは、排出油路36が解除用油路39に接続されるよう、オイルコントロールバルブ25が動作される。これにより、ロック機構28の解除室28aからオイルが排出される状態になり、ロック機構28の禁止動作を実行することが可能になる。また、ロック機構28の禁止動作の完了した状態、言い換えればバルブタイミング可変機構16におけるハウジング22に対するロータ21の回転方向についての相対移動が禁止された状態にあっては、その状態を維持することが可能になる。ちなみに、このときにはバルブタイミング可変機構16の油圧による駆動が積極的に行われること、すなわち進角側油圧室26及び遅角側油圧室27に対するオイルの給排が積極的に行われることはない。
(オイル充填モード)
このモードは、機関始動時などバルブタイミング可変機構16からオイルが抜けた状態であり、且つロック機構28の禁止動作の完了状態(ロックピン31が穴30に没入された状態)のもとで、同禁止動作の完了状態を維持しつつバルブタイミング可変機構16の油圧駆動を開始すべく同機構16をオイルで満たすためのものである。このモードでは、供給油路34が進角側油路37に接続されるとともに、ロック機構28の解除用油路39が排出油路36に接続され、且つ遅角側油路38が供給油路34及び排出油路36に対し遮断状態とされるよう、オイルコントロールバルブ25が動作される。これにより、バルブタイミング可変機構16の進角側油圧室26にオイルが供給されるとともに、ロック機構28の解除室28aからオイルが排出される状態となる。また、ロック機構28の禁止動作の完了状態のもとでは、進角側油圧室26と遅角側油圧室27とが連通路17(図4)によって連通するため、上述したように進角側油圧室26に供給されたオイルが連通路17を介して遅角側油圧室27に流れる。これにより、バルブタイミング可変機構16の進角側油圧室26及び遅角側油圧室27が速やかにオイルで満たされ、それに伴ってバルブタイミング可変機構16のロータ21が速やかに動作可能な状態になる。
(進角モード)
このモードは、クランクシャフト7(図1)に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相を進角させ、それによって吸気バルブ11のバルブタイミングを進角側に変化させるためのものである。このモードでは、図3に示す供給油路34が進角側油路37及び解除用油路39に接続されるとともに遅角側油路38が排出油路36に接続されるよう、オイルコントロールバルブ25が動作される。これにより、バルブタイミング可変機構16の進角側油圧室26及びロック機構28の解除室28aにオイルが供給されるとともに、バルブタイミング可変機構16の遅角側油圧室27からオイルが排出される。その結果、ロック機構28が許可動作状態にされるとともに、ハウジング22に対しロータ21が図中右回転方向に相対移動して吸気バルブ11のバルブタイミングが進角側に変化する。
(保持モード)
このモードは、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相を一定に保持し、それによって吸気バルブ11のバルブタイミングを保持状態とするためのものである。このモードでは、供給油路34が解除用油路39に接続されるとともに、進角側油路37及び遅角側油路38がそれぞれ供給油路34と排出油路36との両方に対し遮断状態とされるよう、オイルコントロールバルブ25が動作される。これにより、ロック機構28の解除室28aにオイルが供給されるとともに、バルブタイミング可変機構16の進角側油圧室26及び遅角側油圧室27に対するオイルの給排が禁止される。その結果、ロック機構28が許可動作状態とされた状況のもと、ハウジング22に対するロータ21の回転方向についての相対移動が停止して吸気バルブ11のバルブタイミングが保持状態とされる。
(遅角モード)
このモードは、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相を遅角させ、それによって吸気バルブ11のバルブタイミングを遅角側に変化させるためのものである。このモードでは、供給油路34が遅角側油路38及び解除用油路39に接続されるとともに進角側油路37が排出油路36に接続されるよう、オイルコントロールバルブ25が動作される。これにより、バルブタイミング可変機構16の遅角側油圧室27及びロック機構28の解除室28aにオイルが供給されるとともに、バルブタイミング可変機構16の進角側油圧室26からオイルが排出される。その結果、ロック機構28が許可動作状態にされるとともに、ハウジング22に対しロータ21が図中左回転方向に相対移動して吸気バルブ11のバルブタイミングが遅角側に変化する。
次に、オイルコントロールバルブ25の詳細な構造について図6〜図10を参照して説明する。なお、図6〜図10はそれぞれ、オイルコントロールバルブ25の動作モードを上述したロックモード、オイル充填モード、進角モード、保持モード、及び遅角モードとした状態を示す断面図である。
これらの図(例えば図6)に示されるオイルコントロールバルブ25においては、円筒体41内にスプール弁42が軸線方向に移動可能に設けられている。このスプール弁42は、円筒体41内に設けられたばね43の付勢力によって上記軸線方向の一端側(図中左側、以下では基準端側という)に向けて付勢されている。そして、上記ばね43の付勢力に抗してスプール弁42を押圧するアクチュエータ44、及び上記ばね43によって、スプール弁42の軸線方向についての移動が実現される。すなわち、アクチュエータ44のスプール弁42に対する押圧力を調整すると、その押圧力とばね43の付勢力とが釣り合うようスプール弁42が軸線方向に移動する。こうしたスプール弁42の移動を通じて、同スプール弁42の軸線方向についての位置調整が行われる。
スプール弁42には、アクチュエータ44側の端部から順に複数の弁体45a〜45eが互いに所定の間隔をおいて形成されている。このスプール弁42が挿入される円筒体41には、油圧回路における複数の油路(供給油路34、進角側油路37、遅角側油路38、解除用油路39)と円筒体41の内周面とをそれぞれ繋ぐように、且つ円筒体41の径方向に直線状に延びるように複数の孔46a〜46eが形成されている。更に、円筒体41には、その内周面にて開口する凹部46fも形成されている。上記孔46aは進角側油路37と繋がっており、上記孔46bは遅角側油路38と繋がっている。また、上記孔46cと上記孔46dとは供給油路34と繋がっており、上記孔46eは解除用油路39と繋がっている。一方、円筒体41におけるアクチュエータ44側(図中左側)の開口端は、油圧回路における複数の油路のうちの排出油路36と繋がるとともに、スプール弁42の内部に形成された排出通路42aと連通している。なお、この排出通路42aに関しては、スプール弁42におけるアクチュエータ44側(図中左側)の端部にて開口するとともに、スプール弁42の軸線方向に延びて同スプール弁42の軸線方向の中央部、より詳しくは弁体45cと弁体45dとの間の部分の外周面でも開口している。
円筒体41における孔46a,46b,46e及び凹部46fの内部は、バルブタイミング可変機構16及びロック機構28に繋がるポートとして機能する。より詳しくは、孔46aは進角側油圧室26に繋がるポートとして機能し、孔46b及び凹部46fは遅角側油圧室27に繋がるポートとして機能し、孔46e及び凹部46fは解除室28aに繋がるポートとして機能する。そして、上記円筒体41内のスプール弁42をその軸線方向における任意の位置、例えば図6〜図10に示される位置に変位させると、上記複数のポートがスプール弁42の弁体45a〜45eによって開閉される。これにより、オイルコントロールバルブ25の動作モードが、ロックモード、オイル充填モード、進角モード、保持モード、及び遅角モードといった複数の動作モードのうちのいずれかの動作モードとされる。こうした動作モードの切り換えを通じてバルブタイミング可変機構16及びロック機構28(共に図3)に対するオイルの給排態様が変更される。そして、バルブタイミング可変機構16及びロック機構28に対するオイルの給排態様の変更により、それらバルブタイミング可変機構16及びロック機構28が油圧駆動される。
図11は、スプール弁42が軸線方向について変位する際の上記油圧回路における各種油路のオイルコントロールバルブ25内に対応する部分の開口面積の変化を示すグラフである。同図に示されるように、スプール弁42がその移動範囲の基準端(図中の横軸の左端に対応する位置)から離れるに従い、オイルコントロールバルブ25の動作モードがロックモード、オイル充填モード、進角モード、保持モード、及び遅角モードへと順に変化してゆく。
なお、同図において、実線L1はロック機構28の解除室28aからオイルを排出する油路の開口面積の変化を示しており、二点鎖線L2はバルブタイミング可変機構16の進角側油圧室26にオイルを供給する油路の開口面積の変化を示している。また、破線L3は、バルブタイミング可変機構16の遅角側油圧室27からオイルを排出する油路の開口面積の変化を示しており、実線L4はロック機構28の解除室28aにオイルを供給する油路の開口面積の変化を示している。更に、二点鎖線L5はバルブタイミング可変機構16の遅角側油圧室27にオイルを供給する油路の開口面積の変化を示しており、二点鎖線L6はバルブタイミング可変機構16の進角側油圧室26からオイルを排出する油路の開口面積の変化を示している。すなわち、上述した各油路の開口面積がスプール弁42の変位に応じて図示のごとく変化するよう、スプール弁42の弁体45a〜45e、並びに、円筒体41の孔46a〜16e及び凹部46fが形成されている。
次に、内燃機関1のバルブタイミング制御装置の電気的構成について、図1を参照して詳しく説明する。
この制御装置は、内燃機関1の運転に関する各種制御を実行する電子制御装置51を備えている。同電子制御装置51には、上記制御に係る各種演算処理を実行するCPU、その制御に必要なプログラムやデータの記憶されたROM、CPUの演算結果等が一時記憶されるRAM、外部との間で信号を入・出力するための入・出力ポート等が設けられている。
電子制御装置51の入力ポートには、以下に示す各種センサ等が接続されている。
・吸気通路3を通過する空気の量(吸入空気量)を検出するエアフローメータ52。
・吸気カムシャフト12の回転に基づき同シャフト12の回転位置に対応した信号を出力するカムポジションセンサ53。
・クランクシャフト7の回転に対応する信号を出力するクランクポジションセンサ54。
・吸気通路3に設けられたスロットルバルブ13の開度(スロットル開度)を検出するスロットルポジションセンサ55。
・車両の運転者によって踏み込み操作されるアクセルペダル56の踏み込み量(アクセル操作量)を検出するアクセルポジションセンサ57。
・運転者の手動での内燃機関1の始動開始時や運転停止時に操作されるイグニッションスイッチ58。
電子制御装置51の出力ポートには、燃料噴射弁4の駆動回路、点火プラグ5の駆動回路、スタータ10の駆動回路、スロットルバルブ13の駆動回路、及び、バルブタイミング可変機構16(オイルコントロールバルブ25(アクチュエータ44))の駆動回路などの各種機器の駆動回路等が接続されている。
そして、電子制御装置51は、上記各種センサから入力した検出信号に基づき、機関回転速度や機関負荷(内燃機関1の1サイクル当たりに燃焼室2に吸入される空気の量)といった機関運転状態を把握する。なお、機関回転速度はクランクポジションセンサ54からの検出信号に基づき求められる。また、機関負荷は、アクセルポジションセンサ57、スロットルポジションセンサ55、及びエアフローメータ52等の検出信号に基づき求められる内燃機関1の吸入空気量と上記機関回転速度とから算出される。
更に、電子制御装置51は、クランクポジションセンサ54及びカムポジションセンサ53からの検出信号に基づき、吸気バルブ11の実際のバルブタイミング(クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相)を検出する。なお、こうして検出されるクランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相(吸気バルブ11の実際のバルブタイミング)は、バルブタイミング可変機構16におけるハウジング22に対するロータ21の回転方向についての相対位置に対応している。
電子制御装置51は、機関負荷や機関回転速度といった機関運転状態、及び、吸気バルブ11のバルブタイミングの実測値に基づき、上記出力ポートに接続された各種駆動回路に指令信号を出力する。こうして内燃機関1における燃料噴射制御、点火時期制御、吸入空気量制御、スタータ駆動制御、及び吸気バルブ11のバルブタイミング制御等が電子制御装置51を通じて実施される。
次に、電子制御装置51を通じて行われるオイルコントロールバルブ25の制御、すなわちバルブタイミング可変機構16及びロック機構28に対するオイルの給排態様の調整について説明する。
電子制御装置51は、オイルコントロールバルブ25の動作指令値を予め定められた変化範囲内で変化させ、その動作指令値に基づきオイルコントロールバルブ25のスプール弁42の位置(図11のグラフの横軸に対応)を変化させることにより、同オイルコントロールバルブ25を動作させる。このときの電子制御装置51は、上記変化範囲内で変化する動作指令値に基づいてオイルコントロールバルブ25の動作を行う制御部として機能する。なお、オイルコントロールバルブ25のスプール弁42の位置は動作指令値によって決まるため、図11のグラフの横軸は上記動作指令値の変化範囲に対応する。
図11から分かるように、上記動作指令値の変化範囲には、オイルコントロールバルブ25の動作モードを上記駆動制御モード(進角モード、保持モード、遅角モード)とする第1領域と、その第1領域に隣接してオイルコントロールバルブ25の動作モードを上記オイル充填モードとする第2領域とが設定されている。更に、上記変化範囲には、オイルコントロールバルブ25の動作モードを上記ロックモードとする第3領域も設定されている。そして、上記変化範囲における上記第3領域と上記第1領域との間が上記第2領域となっている。また、上記第1領域内は、上記第2領域から離れるに従って、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相を進角させる領域(進角モードに対応する領域)、同相対回転位相を保持する領域(保持モードに対応する領域)、同相対回転位相を遅角させる領域(遅角モードに対応する領域)へと順に移行する。
ここで、内燃機関1の停止及び始動の過程では、オイルコントロールバルブ25の動作が以下のように行われる。
内燃機関1の運転中でのイグニッションスイッチ58の停止操作に基づき、同機関1の停止指令がなされて燃料噴射弁4からの燃料噴射が停止されると、内燃機関1の自立運転が行われなくなって機関回転が停止する。こうした内燃機関1の停止過程では、オイルコントロールバルブ25の動作指令値を第1領域内で変化させて同バルブ25の動作モードを駆動制御モードとし、それによってクランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相が中間ロック位相に調整されるようバルブタイミング可変機構16が駆動される。そして、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相が中間ロック位相に調整されると、動作指令値を第3領域内の値に変化させてオイルコントロールバルブ25の動作モードをロックモードとし、それによって中間ロック位相にてロックピン31が穴30に没入するようロック機構28が禁止動作される。そして、ロックピン31の穴30への没入が完了することにより、バルブタイミング可変機構16のハウジング22に対するロータ21の相対移動が禁止される。
また、内燃機関1の停止中でのイグニッションスイッチ58の始動操作に基づき、同機関1の始動指令がなされると、スタータ10の駆動を通じて内燃機関1のクランキングが行われるとともに、そのクランキング中に燃料噴射弁4からの燃料噴射が開始される。そして、燃料噴射弁4から噴射された燃料が空気と混合された状態のもと燃焼室2内で燃焼することにより、内燃機関1の自立運転が開始されて同機関1の始動が完了する。こうした内燃機関1の始動過程では、例えば同機関1の始動開始時点からオイルコントロールバルブ25の動作指令値を第2領域内の値である充填指令値に設定して同バルブ25の動作モードをオイル充填モードとし、それによってバルブタイミング可変機構16に対しオイルの充填が行われる。なお、上記充填指令値は、電子制御装置51の不揮発性のRAMに記憶されている。そして、内燃機関1の始動開始時点からの経過時間が予め定められた充填時間を経過した時点で、オイルコントロールバルブ25を駆動制御モードとしてクランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相を調整するためのバルブタイミング可変機構16の駆動を開始すべく、同バルブ25の動作指令値の第1領域内での調整を開始する。
ところで、機関始動時におけるバルブタイミング可変機構16に対するオイルの充填中であって、オイルコントロールバルブ25の動作指令値が充填指令値に設定されているとき、その動作指令値(充填指令値)に対するオイルコントロールバルブ25の動作、より詳しくはスプール弁42の位置には個体差等によるばらつきが生じることがある。そして、このばらつきに起因して、上記動作指令値が充填指令値に設定されているときにスプール弁42の位置が、例えば第1領域内における第2領域に近い部分(図中のA部分)に対応する位置になる場合がある。
この場合、上記動作指令値を充填指令値に設定してオイルコントロールバルブ25の動作モードをオイル充填モードにしようとするとき、同バルブ25の動作モードが上記第1領域に対応する動作モードである駆動制御モード(正確には進角モード)になる。この駆動制御モードにより、バルブタイミング可変機構16に対するオイルの充填中に禁止動作状態となっているロック機構28に対しオイルが過剰に供給され、それに伴いロック機構28が許可動作してしまう。更に、進角側油圧室26にオイルが供給される一方で遅角側油圧室27からオイルが排出され、バルブタイミング可変機構16に対するオイルの給排が適切に行われなくなる。その結果、バルブタイミング可変機構16に対するオイルの充填中、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相が中間ロック位相から進角側に変化してしまい、それが機関始動時における内燃機関1の運転状態の悪化に繋がる。
このことに対処するため、オイルコントロールバルブ25の動作指令値を上記充填指令値に設定している最中、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相が中間ロック位相から進角側に変化したときには、上記充填指令値を第1領域からより離れる方向の値に更新するとともに同更新後の充填指令値を不揮発性のRAMに記憶する。
次に、バルブタイミング制御装置の動作について説明する。
上記充填指令値の更新及び記憶により、次回の機関始動時にはオイルコントロールバルブ25の動作モードをオイル充填モードとしてバルブタイミング可変機構16のオイルの充填を行う際、同バルブ25の動作指令値が上記更新後の充填指令値に設定される。これにより、バルブタイミング可変機構16に対するオイルの充填中に、オイルコントロールバルブ25の動作モードが駆動制御モード(進角モード)になることを抑制できる。これは、更新後の充填指令値がより第1領域から離れた値になることから、上記充填指令値をオイルコントロールバルブ25の動作指令値に設定したとき、同バルブ25のスプール弁42の位置が第2領域に対応する位置から第1領域に対応する位置(図中のA部分)に向けてずれることが抑制されるためである。従って、バルブタイミング可変機構16に対するオイルの充填中、動作指令値に対するオイルコントロールバルブ25の動作のばらつき(スプール弁42の位置のばらつき)により、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相が中間ロック位相から進角側に変化し、それに伴い内燃機関1の転状態が悪化することを抑制できる。
図12及び図13は、上記充填指令値の更新(学習)を行うための学習ルーチンを示すフローチャートである。この学習ルーチンは、電子制御装置51を通じて、例えば所定時間毎の時間割り込みにて周期的に実行される。
電子制御装置51は、同ルーチンにおける図12のステップ101(S101)の処理として、バルブタイミング可変機構16に対するオイルの充填中であるか否かを判断するためのフラグFが「0(非充填中)」であるか否かの判断を行う。ここで肯定判定であればS102に進む。電子制御装置51は、S102の処理として、バルブタイミング可変機構16に対するオイルの充填指令があったか否かを判断する。なお、同オイルの充填指令は、例えばイグニッションスイッチ58が始動操作されたときになされる。
電子制御装置51は、S102で充填指令がない旨判断した場合には、この学習ルーチンを一旦終了する。一方、電子制御装置51は、S102で充填指令があった旨判断した場合には、S103の処理としてフラグFを「1(充填中)」に設定し、その後に図13のS104以降の処理を実行する。なお、上記フラグFが「1」に設定されると、図12S101の処理で否定判定がなされることから、S102及びS103の処理をスキップしてS104(図13)に進むようになる。
電子制御装置51は、図13のS104の処理として、バルブタイミング可変機構16に対するオイルの充填が開始された時点からの時間が、予め定められた充填時間内の値であるか否かを判断する。ここで肯定判定であれば、バルブタイミング可変機構16に対するオイルの充填が完了していない旨判断されてS105に進む。電子制御装置51は、S105の処理として、不揮発性のRAMから充填指令値を読み出した後、オイルコントロールバルブ25をオイル充填モードとすべく同バルブ25の動作指令値を上記充填指令値に設定する。これにより、バルブタイミング可変機構16に対するオイルの充填が行われる。
S105の処理に続いて行われるS106〜S108の処理は、オイルコントロールバルブ25の動作指令値(充填指令値)に対するスプール弁42の位置に個体差等によるばらつきがあるとき、そのばらつきに起因するスプール弁42の適正位置に対するずれを修正すべく上記充填指令値を更新するためのものである。
詳しくは、電子制御装置51は、S106の処理としてクランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相の中間ロック位相からの進角側への変化量(進角量)が判定値以上であるか否かを判断し、S106の処理として上記相対回転位相の進角速度が所定値以上であるか否かを判断する。これらS106とS107とのいずれかで否定判定がなされると、電子制御装置51は、この学習ルーチンを一旦終了する。
ここで、オイルコントロールバルブ25の動作指令値が充填指令値に設定されているとき、スプール弁42の位置に個体差等によるばらつきが生じ、そのばらつきに起因して同スプール弁42の位置が図11のA部分に対応する位置になる場合がある。この場合、上記動作指令値を充填指令値に設定しているにもかかわらず、オイルコントロールバルブ25が駆動制御モード(正確には進角モード)になるため、禁止動作状態にあるロック機構28が許可動作してしまう。更に、バルブタイミング可変機構16に対するオイルの給排が適切に行われなくなり、それが原因となってクランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相が中間ロック位相から進角側に変化してしまう。
図14は、このときのクランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相の変化を示すタイムチャートである。クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相が上述した原因によってタイミングT1にて中間ロック位相から進角し始めた後、上記相対回転位相の中間ロック位相に対する進角量が判定値以上という大きい値になると、図13のS106で肯定判定がなされる。更に、このときの上記相対回転位相の進角速度(図14の傾きθに相当)が所定値以上という速い値である場合には、図13のS107で肯定判定がなされる。このようにS106とS107とで共に肯定判定がなされることによりS108に進む。電子制御装置51は、S108の処理として、充填指令値がより第3領域寄りの値となるよう同充填指令値を更新し、同更新後の充填指令値を不揮発性のRAMに記憶する。
S108の処理に続いて行われるS109〜S111の処理は、上記相対回転位相が中間ロック位相に対し判定値以上に進角側に変化したとき、ロック機構28の禁止動作による上記相対回転位相の中間ロック位相での固定を実現すべく、上記相対回転位相を中間ロック位相まで遅角側に戻すためのものである。
電子制御装置51は、S109の処理として、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相の中間ロック位相に対する進角量が上記判定値よりも大きい値に設定された閾値以上であるか否かを判断する。このS109で肯定判定がなされると、電子制御装置51は、S110の処理として、オイルコントロールバルブ25の動作モードを駆動制御モード(遅角モード)とすることにより、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相を中間ロック位相まで遅角させる。詳しくは、オイルコントロールバルブ25の動作指令値を図11の第1領域のうち遅角モードに対応する領域内の値とすることにより、上記相対回転位相を遅角させて中間ロック位相となるよう調整する。一方、図13のS109で否定判定がなされると、電子制御装置51は、S111の処理として、オイルコントロールバルブ25の動作指令値を図11の第3領域内の値として同バルブ25の動作モードをロックモードとすることにより、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相を中間ロック位相まで遅角させる。ここで、上記ロックモードでは、ロック機構28の禁止動作が実行可能になる一方、バルブタイミング可変機構16の油圧による駆動が積極的に行われることはないため、吸気バルブ11の開閉動作に伴って吸気カムシャフト12に作用する回転方向と逆方向のトルク(負トルク)により、上記相対回転位相が中間ロック位相まで遅角側に変化する。
以上のように、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相を中間ロック位相に戻すことにより、ロック機構28の禁止動作による上記相対回転位相の中間ロック位相での固定を実現することが可能になる。こうしたロック機構28の禁止動作による上記相対回転位相の中間ロック位相での固定は、上記相対回転位相が中間ロック位相に到達した状態のもとでオイルコントロールバルブ25の動作モードをロックモードとすることによって実現される。
一方、図13のS104で否定判定がなされると、すなわちバルブタイミング可変機構16に対するオイルの充填が開始された時点からの時間が上記充填時間を越えて長くなると、上記オイルの充填が完了した旨判断されてS112に進む。電子制御装置51は、S112の処理として、フラグFを「0(非充填中)」に設定する。その後、電子制御装置51は、S113の処理として、オイルコントロールバルブ25の動作モードを駆動制御モードとしてバルブタイミング可変機構16を駆動すべく、同バルブ25の動作指令値を第1領域内の値とする。
S113の処理に続いて行われるS114〜S116の処理も、オイルコントロールバルブ25の動作指令値(充填指令値)に対するスプール弁42の位置に個体差等によるばらつきがあるとき、そのばらつきに起因するスプール弁42の適正位置に対するずれを修正すべく上記充填指令値を更新するためのものである。
詳しくは、電子制御装置51は、S114の処理として上記充填時間が経過してから所定時間以内であるか否かを判断し、S115の処理としてクランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相に変動が生じているか否かを判断する。これらS114とS115とのいずれかで否定判定がなされると、電子制御装置51は、この学習ルーチンを一旦終了する。
ここで、オイルコントロールバルブ25の動作指令値が充填指令値に設定されているとき、スプール弁42の位置に個体差等によるばらつきが生じ、そのばらつきに起因して同スプール弁42の位置が、例えば第3領域内における第2領域に近い部分(図11のB部分)に対応する位置になる場合がある。この場合、上記動作指令値を充填指令値に設定しているにもかかわらず、オイルコントロールバルブ25の動作モードがロックモードになるため、バルブタイミング可変機構16をオイルで満たせるほど同機構16に対しオイルを供給できるとは限らない。このため、上記充填時間が経過した時点で動作指令値が第1領域内の値とされたとき、言い換えればオイルコントロールバルブ25の動作モードが駆動制御モードとされたとき、ロック機構28を許可動作させるとともにバルブタイミング可変機構16を油圧により駆動しようとしても、その油圧による駆動を適切に行うことができるとは限らない。そして、このようにバルブタイミング可変機構16の油圧による駆動を適切に行うことができない場合、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相が変動する。
図15は、このときのクランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相の変化を示すタイムチャートである。クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相が上述した原因によってタイミングT2にて変動すると、図13のS115で肯定判定がなされる。このようにS115で肯定判定がなされることによりS116に進む。電子制御装置51は、S116の処理として、充填指令値がより第1領域寄りの値(第3領域から離れた値)となるよう同充填指令値を更新し、同更新後の充填指令値を不揮発性のRAMに記憶する。
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)機関始動時にバルブタイミング可変機構16に対しオイルを充填する際には、オイルコントロールバルブ25の動作モードをオイル充填モードとすべく、同バルブ25の動作指令値が第2領域内の値である充填指令値に設定される。このように動作指令値を充填指令値に設定している最中、動作指令値(充填指令値)に対するオイルコントロールバルブ25の動作のばらつき(スプール弁42の位置のばらつき)により、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相が中間ロック位相から進角側に変化する可能性がある。そして、このように上記相対回転位相が中間ロック位相から変化したときには、上記充填指令値が第1領域からより離れる方向の値に更新されるとともに、同更新後の充填指令値が電子制御装置51の不揮発性のRAMに記憶される。このため、次回の機関始動時にはオイルコントロールバルブ25の動作モードをオイル充填モードとしてバルブタイミング可変機構16のオイルの充填を行う際、同バルブ25の動作指令値が上記更新後の充填指令値に設定される。これにより、バルブタイミング可変機構16に対するオイルの充填中、動作指令値に対するオイルコントロールバルブ25のスプール弁42の位置のばらつきに起因して、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相が中間ロック位相から進角側に変化し、それに伴って内燃機関1の運転状態が悪化することを抑制できる。更に、その内燃機関1の運転状態の悪化に伴い、同機関1のストールが生じることも抑制できる。
(2)バルブタイミング可変機構16に対するオイルの充填中、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相が中間ロック位相に対し判定値以上に進角側に変化すると、ロック機構28の禁止動作による上記相対回転位相の中間ロック位相での固定を実現すべく、上記相対回転位相が中間ロック位相まで遅角側に戻される。
詳しくは、上記相対回転位相の中間ロック位相に対する進角量が上記判定値よりも大きい値に設定された閾値以上である場合、オイルコントロールバルブ25の動作指令値を図11の第1領域のうち遅角モードに対応する領域内の値とすることにより、同バルブ25の動作モードが遅角モードとされる。この遅角モードでのオイルコントロールバルブ25の動作によるバルブタイミング可変機構16の油圧駆動を通じて、上記相対回転位相が中間ロック位相まで遅角される。一方、上記相対回転位相の中間ロック位相に対する進角量が上記判定値未満である場合には、オイルコントロールバルブ25の動作指令値を図11の第3領域内の値として同バルブ25の動作モードをロックモードとすることにより、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相を中間ロック位相まで遅角させる。上記ロックモードでは、ロック機構28の禁止動作が実行可能になる一方、バルブタイミング可変機構16の油圧による駆動が積極的に行われることはないため、吸気バルブ11を開閉駆動する際に吸気カムシャフト12に作用する負トルクにより、上記相対回転位相が中間ロック位相まで遅角側に変化する。
ここで、上記相対回転位相の中間ロック位相に対する進角量が上記判定値以上という大きい値であるときには、オイルコントロールバルブ25の動作指令値を充填指令値から第1領域における遅角モードに対応する領域の値とすることが、上記相対回転位相を中間ロック位相に速やかに戻すうえで好ましい。ただし、上記相対回転位相の中間ロック位相に対する進角量が上記判定値未満という小さい値であるときには、上記相対回転位相を中間ロック位相に速やかに戻すうえで、動作指令値を第1領域における遅角モードに対応する領域の値とするよりも、むしろ第3領域内の値とすることが好ましい。これは、動作指令値を充填指令値から第1領域における遅角モードに対応する領域の値に設定すると、オイルコントロールバルブ25のスプール弁42が遅角モードに対応する位置に至る前に、必ず進角モードに対応する位置を経ることが関係している。すなわち、上記相対回転位相の中間ロック位相に対する進角量が判定値未満という小さい値であるときには、上述したようにスプール弁42が上記進角モードに対応する位置を経ることにより、上記相対回転位相を速やかに中間ロック位相に戻す(遅角させる)ことが難しくなる。
このため、上記相対回転位相の中間ロック位相に対する進角量が上記判定値未満という小さい値であるときには、上述したように動作指令値が第3領域内の値とされてオイルコントロールバルブの動作モードがロックモードとされることにより、上記相対回転位相が中間ロック位相まで遅角側に変化される。このときの相対回転位相の中間ロック位相までの変化では、上述したようにスプール弁42が進角モードに対応する位置を経て移動することはない。このため、上記相対回転位相の中間ロック位相に対するか進角量が上記判定値未満という小さい値である条件のもとでは、上述したように動作指令値を充填指令値から第1領域内における遅角モードに対応する領域の値に設定する場合と比較して、上記相対回転位相が速やかに中間ロック位相まで遅角側に変化する。
以上のように、動作指令値を上記充填指令値に設定している最中にクランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相が中間ロック位相から進角側に変化したとき、その変化量(進角量)に応じて上記相対回転位相を中間ロック位相に戻す手法を切り換えることにより、速やかに上記相対回転位相を中間ロック位相に戻すことができる。従って、上記相対回転位相を中間ロック位相に戻してロック機構28を再び禁止動作した状態とするまでの期間を短くすることができる。
(3)オイルコントロールバルブ25の動作指令値が充填指令値に設定されているとき、個体差等によって生じるスプール弁42の位置のばらつきに起因して、オイルコントロールバルブ25の動作モードがロックモードになる可能性がある。この場合、動作指令値が充填指令値に設定されてから充填時間が経過した時点で、バルブタイミング可変機構16を駆動すべく動作指令値が第1領域内の値とされたとき、言い換えればオイルコントロールバルブ25の動作モードが駆動制御モードとされたとき、次のような問題が生じる。すなわち、オイルコントロールバルブ25の動作モードを駆動制御モードとすることにより、ロック機構28を許可動作させるとともにバルブタイミング可変機構16を油圧により駆動しようとしても、同バルブタイミング可変機構16でのオイルの充填不足により、上記油圧によるバルブタイミング可変機構16の駆動を適切に行うことができなくなる。その結果、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相が変動する。しかし、この場合には、上記相対回転位相の変動に基づき、充填指令値が第3領域からより離れる方向の値に更新されるとともに、同更新後の充填指令値が電子制御装置51の不揮発性のRAMに記憶される。従って、次回にオイルコントロールバルブ25の動作モードをオイル充填モードとしてバルブタイミング可変機構16のオイルの充填を行う際、同バルブの動作指令値が上記更新後の充填指令値に設定されるため、同バルブ25の動作モードがロックモードになってバルブタイミング可変機構16に対するオイルの充填が不足することを抑制できる。その結果、上述したように充填時間が経過した時点で動作指令値が第1領域内の値とされたとき、バルブタイミング可変機構16を油圧により駆動できずにクランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相が変動することを抑制できる。
なお、上記実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・オイルコントロールバルブ25の動作指令値が充填指令値に設定されてから充填時間が経過した後に上記動作指令値の第1領域内での調整を開始したとき、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相の変動に基づき充填指令値の更新及び記憶を行ったが、こうした更新及び記憶については必ずしも実行する必要はない。
・オイルコントロールバルブ25の動作指令値を充填指令値に設定している最中に、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相が中間ロック位相に対し進角側に変化した場合、ロック機構28による上記相対回転位相の中間ロック位相での固定を行うべく、次のように上記相対回転位相を中間ロック位相に戻すようにしてもよい。すなわち、上記相対回転位相の中間ロック位相に対する進角量に関係なく、必ずオイルコントロールバルブ25の動作指令値を遅角モードに対応する領域内の値とすることによって上記相対回転位相を中間ロック位相に戻したり、必ず上記動作指令値を第2領域内の値とすることによって上記相対回転位相を中間ロック位相に戻したりしてもよい。
・また、オイルコントロールバルブ25の動作指令値を充填指令値に設定している最中に、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト12の相対回転位相が中間ロック位相に対し進角側に変化した場合、必ずしも上記相対回転位相を中間ロック位相に戻す必要はない。
1…内燃機関、2…燃焼室、3…吸気通路、3a…吸気ポート、4…燃料噴射弁、5…点火プラグ、6…ピストン、7…クランクシャフト、8…排気通路、10…スタータ、11…吸気バルブ、11a…バルブスプリング、12…吸気カムシャフト、13…スロットルバルブ、14…排気バルブ、14a…バルブスプリング、15…排気カムシャフト、16…バルブタイミング可変機構、17…連通路、21…ロータ、22…ハウジング、23…突部、24…ベーン、25…オイルコントロールバルブ、26…進角側油圧室、27…遅角側油圧室、28…ロック機構、28a…解除室、29…ばね、30…穴、31…ロックピン、32…ラチェット溝、33…オイルポンプ、34…供給油路、35…オイルパン、36…排出油路、37…進角側油路、38…遅角側油路、39…解除用油路、41…円筒体、42…スプール弁、42a…排出通路、43…ばね、44…アクチュエータ、45a〜45e…弁体、46a〜46e…孔、46f…凹部、51…電子制御装置、52…エアフローメータ、53…カムポジションセンサ、54…クランクポジションセンサ、55…スロットルポジションセンサ、56…アクセルペダル、57…アクセルポジションセンサ、58…イグニッションスイッチ。

Claims (3)

  1. クランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相を変化させるべく油圧によって駆動されるバルブタイミング可変機構と、前記相対回転位相が中間ロック位相となるときに油圧によって前記相対回転位相の変化を禁止する禁止動作及び同相対回転位相の変化を許可する許可動作が行われるロック機構と、前記バルブタイミング可変機構及び前記ロック機構に対するオイルの給排を行うオイルコントロールバルブと、予め定められた変化範囲内で変化する動作指令値に基づいてオイルコントロールバルブを動作させる制御部と、を備える内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記オイルコントロールバルブは、前記動作指令値に応じて、前記バルブタイミング可変機構に対するオイルの給排を通じて同バルブタイミング可変機構を駆動する一方で前記ロック機構へのオイルの供給を通じて同ロック機構を許可動作状態とする駆動制御モード、及び、前記ロック機構の禁止動作状態を維持する一方で前記バルブタイミング可変機構に対するオイルの充填を行うオイル充填モードの間で動作モードが切り換えられるものであり、
    前記動作指令値の変化範囲には、前記オイルコントロールバルブの動作モードを前記駆動制御モードとする第1領域と、その第1領域に隣接して前記オイルコントロールバルブの動作モードを前記オイル充填モードとする第2領域とが設定されており、
    前記制御部は、前記ロック機構が禁止動作した状態のもとで前記オイルコントロールバルブの動作モードを前記オイル充填モードとする際、前記動作指令値を前記第2領域内の値として記憶された充填指令値に設定し、その設定中に前記クランクシャフトに対する前記カムシャフトの相対回転位相が中間ロック位相から変化したときには、前記充填指令値を前記第1領域からより離れる方向の値に更新するとともに同更新後の充填指令値を記憶する
    ことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  2. 前記オイルコントロールバルブは、前記動作指令値に応じた動作モードとして、前記ロック機構からのオイルの排出を通じて同ロック機構の禁止動作を実行可能とするロックモードを有しており、
    前記動作指令値の変化範囲には前記オイルコントロールバルブの動作モードを前記ロックモードとする第3領域が設定されるとともに、その第3領域と前記第1領域との間に前記第2領域が設定されており、
    前記第1領域内は、前記第2領域から離れるに従って、前記クランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相を進角させる領域、同相対回転位相を保持する領域、同相対回転位相を遅角させる領域へと順に移行するものであり、
    前記制御部は、前記動作指令値を前記充填指令値に設定している最中に前記クランクシャフトに対する前記カムシャフトの相対回転位相が中間ロック位相から変化したとき、同相対回転位相の中間ロック位相からの進角側への変化量が閾値以上であれば前記動作指令値を前記第1領域内における相対回転位相を遅角させる領域の値とする一方、前記相対回転位相の中間ロック位相からの進角側への変化量が前記閾値未満であれば前記動作指令値を前記第3領域の値とする
    請求項1記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  3. 前記オイルコントロールバルブは、前記動作指令値に応じた動作モードとして、前記ロック機構からのオイルの排出を通じて同ロック機構の禁止動作を実行可能とするロックモードを有しており、
    前記動作指令値の変化範囲には前記オイルコントロールバルブの動作モードを前記ロックモードとする第3領域が設定されるとともに、その第3領域と前記第1領域との間に前記第2領域が設定されており、
    前記制御部は、前記ロック機構が禁止動作した状態のもとで前記オイルコントロールバルブの動作モードを前記オイル充填モードとすべく前記動作指令値を充填指令値に設定し、その後に予め定められた充填時間が経過した時点で前記オイルコントロールバルブの動作モードを前記駆動制御モードとすべく前記動作指令値を前記第1領域内の値とするものであり、その際に前記クランクシャフトに対する前記カムシャフトの相対回転位相の変動が生じたときには、前記充填指令値を前記第3領域からより離れる方向の値に更新するとともに同更新後の充填指令値を記憶する
    請求項1又は2記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016079899A (ja) * 2014-10-17 2016-05-16 株式会社日本自動車部品総合研究所 内燃機関の可変バルブタイミング制御装置

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