JP2014168819A - マイクロメカニカル構造体の作製方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】マイクロメカニカル構造体の製造工程において可動構造体を動作可能にした後で発生する可動構造体の変形を抑制する。
【解決手段】可動構造体131の両面に金属層を形成した後、チップ(マイクロメカニカル構造体)全体を加熱処理し、変形していた可動構造体131を、所望とする曲率未満(+10m-1〜−7m-1)に抑制した平坦な状態の可動構造体131とする。適宜に加熱処理を行うことで、可動構造体131を、所望とする曲率未満に抑制する。
【選択図】 図1K
【解決手段】可動構造体131の両面に金属層を形成した後、チップ(マイクロメカニカル構造体)全体を加熱処理し、変形していた可動構造体131を、所望とする曲率未満(+10m-1〜−7m-1)に抑制した平坦な状態の可動構造体131とする。適宜に加熱処理を行うことで、可動構造体131を、所望とする曲率未満に抑制する。
【選択図】 図1K
Description
本発明は、基体部の表面上に埋め込み絶縁層を介して形成された表面シリコン層を備えるSOI基板の表面シリコン層をパターニングすることで、可動構造体を形成するマイクロメカニカル構造体の作製方法に関する。
通信用デバイス、あるいは、スキャナーなどの光学デバイスとして、シリコンを用いたマイクロマシンニングによるMEMS(Micro Electro MechanicalSystems)ミラーの開発が進展している。これらの光学デバイスは、多くの場合、赤外線を対象としている。これに対し、材料として用いているシリコンは、赤外線に対して透過性が極めて高いため、このままではミラーとして使用することができない。このため、アルミニウムや金などの、反射率の高い金属の膜を光の反射膜としてシリコンの表面に形成し、赤外線に対してもミラーとして機能するようにしている。
上述したMEMSの技術において薄いシリコンをミラーの構造体とする場合、よく知られているように、金属膜をミラー構造体(可動構造体)の両面に形成して応力の平衡を保ち、MEMSミラーの反射面が平坦となるようにすることが重要となる。
H.Hieber, Journal of Materials Science, VOL.37, p.335, 1976.
しかしながら、現状では、可動構造体(ミラー構造体)の両面に同じ膜構成で、かつ、同じ膜厚で金属膜を形成しても、MEMSミラーのミラー面が湾曲し、平坦には形成できないという問題がある。この問題について、以下に詳述する。
例えば、SOI(Silicon On Insulator)基板を用いてMEMSミラーを作製する技術がある(特許文献1,特許文献2)。この技術では、基体部の上に埋め込み絶縁層を介して配置されるSOI層をパターニングして可動構造体を形成し、形成した可動構造体に対応する領域の基体部に開口を形成し、可動構造体が回転等の動作を行えるようにしている。この技術では、まず、図5Aに示すように、例えば、単結晶シリコンからなる基体部201、埋め込み絶縁層202、および単結晶シリコンからなる表面シリコン層(SOI層)203を備えるSOI基板を用意する。次に、SOI層203を公知のフォトリソグラフィ技術とエッチング技術とによりパターニングし、枠部232,第1可動梁234a,第2可動梁234b,可動構造体231,第1連結部233a,および第2連結部233bを形成する。
第1可動梁234aおよび第2可動梁234bは、枠部232に一端が固定されて他端が変位可能とされ、他端の側で対向して所定の距離離間して1列に配置されている。また、可動構造体231は、第1可動梁234aおよび第2可動梁234bと1列に配列されて第1可動梁234aおよび第2可動梁234bの間に配置されている。また、1対の第1連結部233aおよび第2連結部233bにより、第1可動梁234aおよび第2可動梁234bの各々の他端と可動構造体231とが連結されている。可動構造体231は、第1連結部233aおよび第2連結部233bを介して第1可動梁234aおよび第2可動梁234bに支持されている。
なお、これらの各構造体を埋め込み絶縁層202などから分離した状態では、第1可動梁234aおよび第2可動梁234bは、片持ち梁として機能し、第1連結部233aおよび第2連結部233bの側の他端が、SOI層203の平面の法線方向に変位可能となる。また、可動構造体231は、一対の第1連結部233aおよび第2連結部233bを通る軸を中心に、回動可能となる。なお、この段階では、各構造体は、埋め込み絶縁層202の上に固定されており、埋め込み絶縁層202の平面上で、隙間235により分離している状態である。
次に、図5Bに示すように、SOI層203の上に、有機樹脂からなる保護層205を形成する。保護層205は、SOI層203の、少なくとも上述した各構造体を備える素子形成領域を覆う状態に形成すればよい。
次に、図5Cに示すように、基体部201に、埋め込み絶縁層202が露出する開口部201aを形成する。開口部201aは、第1可動梁234a,第2可動梁234b,可動構造体231,第1連結部233a,および第2連結部233bを含む素子形成領域に対応して形成する。
次に、開口部201aに露出している埋め込み絶縁層202をエッチング除去し、図5Dに示すように、開口部201aに続く開口部202aを形成する。開口部202aの形成により、SOI基板の裏側面よりSOI層203の裏面に到達する開口部が形成されたことになる。
次に、ダイシングを行い、チップ化する。
次に、SOI層203の表面の保護に用いていた保護層205を、例えば、酸素プラズマやUV/オゾンなどの活性酸素に暴露を行うことで灰化させて除去する。また、保護層205の灰化処理によってSOI層203の表面が酸化され、薄い表面酸化層が形成されるため、この表面酸化層を、アルゴンプラズマなどの不活性ガス種によるプラズマ暴露により除去する。これらの保護層205の除去により、図5Eに示すように、可動構造体231,第1連結部233a,および第2連結部233bを、各々が動作可能な状態に分離する。この状態では、可動構造体231が変形(湾曲)している。
次に、可動構造体231などを動作可能な状態に分離したチップ(マイクロメカニカル構造体)全体を加熱処理し、変形していた可動構造体231を、図5Fに示すように、曲率が1m-1未満の平坦な状態の可動構造体231とする。発明者らの鋭意の検討の結果、上述した加熱温度は、例えば、500℃近傍であれば良く、また、加熱処理の時間は2時間程度であればよいことが判明している。なお、加熱は、窒素,ヘリウム,ネオン,アルゴン,クリプトン,キセノンなどの不活性ガス、または、これらの混合ガスの雰囲気下で行えばよい。
例えば、窒素雰囲気下で、加熱処理時間を2時間に固定し、処理温度をパラメータとした際の可動構造体231の曲率を計測した結果、アレニウスプロットをとると、加熱処理温度500℃以上(絶対温度の逆数:1/T≦0.0129K-1)で曲率緩和の効果が温度によらず一定となるプラトー領域が現れることが判明している。これは、500℃以上の加熱処理温度では、2時間より短時間に曲率緩和に関する反応が終了することを意味する。また、500℃においてアレニウスプロットが変曲点を有することから、500℃の加熱処理温度では、2時間で曲率緩和現象が終了することも示している。言い換えれば、「500℃の加熱処理温度での曲率緩和における飽和時間は2時間である」となる。
従って、曲率緩和現象の活性化エネルギーは、2時間の加熱処理時間で曲率緩和が飽和に達しない500℃以下(絶対温度の逆数:1/T≧0.0129K-1)におけるアレニウスプロットの傾きから算出され、この値は、0.74eVと求められた。
また、求められる活性化エネルギーから、各温度に対する加速係数がアレニウスの式から一意に求められ、「曲率緩和現象の飽和時間(時間;h)=4×10-5×exp(8340.7/絶対温度)」という式で近似される関係が求められた。ここで、曲率緩和現象の飽和時間を加熱処理時間と置き換え、「加熱処理時間(時間;h)=4×10-5×exp(8340.7/絶対温度)」の式を満足する加熱処理温度と加熱処理時間が、加熱処理条件の必要条件となる。
プロセス時間の短縮化の観点から、加熱処理温度は可能な限り高い方が良い。一方で、まず、高温になる程、曲率緩和現象以外に想定外の副反応が起こり得る。また、500℃を超える温度での加熱処理が実施できるイナートオーブンを製造可能なメーカーは限定され、イナートオーブン自体が高価になるなどのデメリットがある。これらのことを総合的に判断すると、前述した可動構造体231の平坦化のための処理条件である「加熱処理温度:500℃、加熱処理温度時間:2時間」は、適切な加熱処理条件と言える。
次に、図5Gの断面図に示すように、可動構造体231の一方の面に、Tiからなる層厚10nmの密着層236a、およびAuからなる層厚70nmの反射層236bを形成する。例えば、可動構造体231の領域が開口したステンシルマスクをマイクロメカニカル構造体に装着し、蒸着法などによりTiを堆積し、次いでAuを堆積すればよい。なお、一方の面は、SOI層203が形成されている基体部201の表面側である。
次に、図5Hの断面図に示すように、可動構造体231の他方の面に、Tiからなる層厚10nmの密着層237a、およびAuからなる層厚70nmの反射層237bを形成する。例えば、可動構造体231の領域が開口したステンシルマスクをマイクロメカニカル構造体に装着し、蒸着法などによりTiを堆積し、次いでAuを堆積すればよい。
これらの金属層の形成により、可動構造体231の両面に、同じ層構造で同じ層厚の金属層が形成されることになり、可動構造体231をミラーとして機能させることができる。しかしながら、上述した製造工程で作製されるマイクロメカニカル構造体の可動構造体231は、両面が同じ層構成で、かつ、同じ層厚で被覆された状態となっているにも関わらず、湾曲した状態となることが判明した。この原因は明らかではないが、可動構造体231の両面が、同じ層構成で、かつ、同じ層厚で被覆されるマイクロメカニカル構造体の製造工程に於いては、避けることのできない問題であった。このように、従来では、マイクロメカニカル構造体の製造工程において可動構造体を動作可能にした後で、可動構造体が変形するという問題があった。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、マイクロメカニカル構造体の製造工程において可動構造体を動作可能にした後で発生する可動構造体の変形を抑制することを目的とする。
本発明に係るマイクロメカニカル構造体の作製方法は、基体部の表面上に埋め込み絶縁層を介して形成された表面シリコン層を備えるSOI基板の表面シリコン層をパターニングして素子形成領域に可動構造体を形成する第1工程と、素子形成領域の基体部の裏面より基体部および埋め込み絶縁層を貫通する開口部を形成し、開口部の周囲の埋め込み絶縁層を支持構造体として支持されて動作可能とされた可動構造体を備えるマイクロメカニカル構造体を形成する第2工程と、動作可能とされた可動構造体を備えるマイクロメカニカル構造体を形成した後で、マイクロメカニカル構造体を加熱する第3工程と、マイクロメカニカル構造体を加熱した後、基体部の表面側の可動構造体の一方の面、および基体部の裏面側の可動構造体の他方の面の各々に、同一の層構造かつ同一の層厚の金属層構造を形成する第4工程と、可動構造体に第1金属層構造を形成した後でマイクロメカニカル構造体を加熱する第5工程とを少なくとも備える。
上記マイクロメカニカル構造体の作製方法において、金属層構造は、可動構造体に接して形成するTiからなる第1金属層と、第1金属層の形成に連続して第1金属層の上に形成するAuからなる第2金属層とから構成すればよい。
上記マイクロメカニカル構造体の作製方法において、第5工程における加熱は、加熱時間=2.3×10-3×exp(4515/絶対温度)の関係が満たされる加熱時間および絶対温度で示される加熱温度で、マイクロメカニカル構造体を加熱すればよい。例えば、第5工程では、温度条件200℃でマイクロメカニカル構造体を加熱し、また、マイクロメカニカル構造体を31.5時間加熱すればよい。なお、マイクロメカニカル構造体の加熱は、雰囲気が不活性ガスまたは真空の状態で行えばよい。
以上説明したことにより、本発明によれば、マイクロメカニカル構造体の製造工程において可動構造体を動作可能にした後で発生する可動構造体の変形を抑制できるようになるという優れた効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。図1A〜図1Kは、本発明の実施の形態におけるマイクロメカニカル構造体の作製方法を説明するための各工程における状態を説明するための構成図である。ここで、図1A,図1B,図1D〜図1Kは、断面を模式的に示している。また、図1Cは、平面図であり、aa’線の断面が、図1A,図1B,図1D〜図1Kに示されている。
まず、図1Aに示すように、例えば、単結晶シリコンからなる基体部101、埋め込み絶縁層102、および単結晶シリコンからなる表面シリコン層(SOI層)103を備えるSOI基板を用意する。基体部101の表面に埋め込み絶縁層102が形成され、この上にSOI層103が形成されている。例えば、基体部101の板厚は400μm、埋め込み絶縁層102の層厚は1.0μm、SOI層103の層厚は4.5μmである。
次に、SOI層103を公知のフォトリソグラフィ技術とエッチング技術とによりパターニングし、図1B,図1Cに示すように、可動構造体131,枠部132,第1連結部133a,第2連結部133b,第1可動梁134a,および第2可動梁134b,を形成する。可動構造体131は、例えば、平面視で第1可動梁134a,第2可動梁134bなどの配列方向に対し、長さ600μm,幅130μmである。可動構造体131は、後述するように金属層を形成することで、ミラー(ミラー構造体)として機能させることができる。
第1可動梁134aおよび第2可動梁134bは、枠部132に一端が固定されて他端が変位可能とされ、他端の側で対向して所定の距離離間して1列に配置されている。また、可動構造体131は、第1可動梁134aおよび第2可動梁134bと1列に配列されて第1可動梁134aおよび第2可動梁134bの間に配置されている。また、1対の第1連結部133aおよび第2連結部133bにより、第1可動梁134aおよび第2可動梁134bの各々の他端と可動構造体131とが連結されている。可動構造体131は、第1連結部133aおよび第2連結部133bを介して第1可動梁134aおよび第2可動梁134bに支持されている。第1連結部133a,第2連結部133bは、例えば、平面視で幅1μm程度に形成している。
後述するようにこれらの各構造体を埋め込み絶縁層102などから分離した状態では、第1可動梁134aおよび第2可動梁134bは、片持ち梁として機能し、第1連結部133aおよび第2連結部133bの側の他端が、SOI層103の平面の法線方向に変位可能となる。また、可動構造体131は、一対の第1連結部133aおよび第2連結部133bを通る軸を中心に、回動可能となる。なお、この段階では、各構造体は、埋め込み絶縁層102の上に固定されており、埋め込み絶縁層102の平面上で、隙間135により分離している状態である。
これらの構造体のパターニングでは、公知のフォトリソグラフィ技術により形成したレジストパターンをマスクとしたRIE(Reactive Ion Etching)を用い、SOI層103のエッチング加工を行えば良い。また、このエッチング加工では、埋め込み絶縁層102をエッチングストップ層として用いることができる。また、これらの構造体は、素子形成領域に形成する。
次に、図1Dに示すように、SOI層103の上に、有機樹脂からなる保護層105を形成する。保護層105は、SOI層103の、少なくとも上述した各構造体を備える素子形成領域を覆う状態に形成すればよい。保護層105は、例えば、レジストを塗布し、これを加熱処理(熱硬化)することで形成すればよい。また、この加熱処理は、窒素雰囲気下、温度250℃で30分間の条件で行えば良い。
次に、図1Eに示すように、基体部101に、埋め込み絶縁層102が露出する開口部101aを形成する。開口部101aは、第1可動梁134a,第2可動梁134b,可動構造体131,第1連結部133a,および第2連結部133bを含む素子形成領域に対応して形成する。例えば、公知のフォトリソグラフィ技術とエッチング技術とにより、開口部101aを形成すればよい。また、このエッチング処理は、ドライエッチングにより行い、また、埋め込み絶縁層102をエッチングストップ層として用いれば良い。
次に、開口部101aに露出している埋め込み絶縁層102をエッチング除去し、図1Fに示すように、開口部101aに続く開口部102aを形成する。開口部102aの形成により、SOI基板の裏側面よりSOI層103の裏面に到達する開口部が形成されたことになる。埋め込み絶縁層102のエッチングでは、例えば、フッ化水素酸緩衝液(BHF)を用いたウエットエッチングにより行えば良い。また、埋め込み絶縁層102のエッチングは、大気中におけるフッ化水素ガスの暴露を用いたドライエッチングでも行えることを確認している。
次に、ダイシングを行い、チップ化する。ダイシングには、ダイシングソーを用いる公知のブレードダイシングを用いれば良い。なお、図1Cは、1つのチップの領域を例示している。
次に、SOI層103の表面の保護に用いていた保護層105を、例えば、酸素プラズマやUV/オゾンなどの活性酸素に暴露を行うことで灰化させて除去する。また、保護層105の灰化処理によってSOI層103の表面が酸化され、薄い表面酸化層が形成されるため、この表面酸化層を、アルゴンプラズマなどの不活性ガス種によるプラズマ暴露により除去する。これらの保護層105の除去により、図1Gに示すように、可動構造体131,第1連結部133a,および第2連結部133bを、各々が動作可能な状態に分離する。この状態では、可動構造体131が変形(湾曲)している。
次に、可動構造体131などを動作可能な状態に分離したチップ(マイクロメカニカル構造体)全体を加熱処理し、変形していた可動構造体131を、図1Hに示すように、所望とする曲率未満(<1m-1)に抑制した平坦な状態の可動構造体131とする。前述したように、適宜に加熱処理を行うことで、可動構造体131を、所望とする曲率未満(<1m-1)に抑制できる。なお、加熱は、マイクロメカニカル構造体の参加を抑制する観点から、窒素,ヘリウム,ネオン,アルゴン,クリプトン,キセノンなどの不活性ガス、または、これらの混合ガスの雰囲気下で行えばよい。また、真空(減圧)雰囲気で加熱処理をしてもよい。
次に、図1Iの断面図に示すように、可動構造体131の一方の面に、Tiからなる層厚10nmの密着層(第1金属層)136a、およびAuからなる層厚70nmの反射層(第2金属層)136bを形成する。例えば、可動構造体131の領域が開口したステンシルマスクをマイクロメカニカル構造体に装着し、蒸着法などによりTiを堆積し、引き続いてAuを堆積すればよい。密着層は、Crから構成してもよい。なお、環境負荷を低減する観点からは、Tiを用いた方がよい。密着層は、また、反射層は、Auに限らず、Alから構成してもよいが、参加を抑制する当観点からは、Auなどの方がよい。ここで、一方の面は、SOI層103が形成されている基体部101の表面側である。これらのことにより、再び、可動構造体131が変形(湾曲)する。
次に、図1Jの断面図に示すように、可動構造体131の他方の面に、Tiからなる層厚10nmの密着層(第1金属層)137a、およびAuからなる層厚70nmの反射層(第2金属層)137bを形成する。密着層137aは、密着層136aと同じ材料および同じ層厚に形成する。また、密着層137bも、密着層136bと同じ材料および同じ層厚に形成する。例えば、可動構造体131の領域が開口したステンシルマスクをマイクロメカニカル構造体に装着し、蒸着法などによりTiを堆積し、引き続いてAuを堆積すればよい。ここで、他方の面は、SOI層103が形成されている基体部101の裏面側である。このように、両面に同一の構成の金属層を形成しても、可動構造体131は、湾曲している。
次に、上述したように可動構造体131の両面に金属層を形成した後、チップ(マイクロメカニカル構造体)全体を加熱処理し、変形していた可動構造体131を、図1Kに示すように、所望とする曲率未満(+10m-1〜−7m-1)に抑制した平坦な状態の可動構造体131とする。適宜に加熱処理を行うことで、可動構造体131を、所望とする曲率未満に抑制できる。
ここで、上述した分離後の加熱処理の時間(加熱時間)と、可動構造体131の曲率との関係の測定結果について図2を用いて説明する。図2は、加熱時間と可動構造体131の曲率との関係を示す特性図である。加熱処理の温度は200℃とした。加熱時間31.5時間において、曲率の変化が飽和している。従って、加熱処理は、例えば、窒素雰囲気下で、温度200℃(T=473K)で31.5時間の条件で行えば良い。
なお、加熱は、マイクロメカニカル構造体の参加を抑制する観点から、窒素,ヘリウム,ネオン,アルゴン,クリプトン,キセノンなどの不活性ガス、または、これらの混合ガスの雰囲気下で行えばよい。また、真空雰囲気で加熱処理をしてもよい。
上述した加熱処理条件(加熱処理温度と加熱処理時間)を定量的に求めるために、窒素雰囲気下で、加熱処理時間を8時間に固定し、処理温度をパラメータとした際の可動構造体131の曲率を計測した結果を図3に示す。図3は、縦軸を「加熱処理前後における可動構造体131の曲率の変動量について自然対数をとった値」とし、横軸を「絶対温度の逆数」とするアレニウスプロットである。ここで、可動構造体131は、第1可動梁134a,第2可動梁134bなどの配列方向に対して垂直な幅は、約130μmとし、配列方向の長さは、約600μmとし、厚さは、4.5μmとした。
曲率緩和現象の活性化エネルギーは、図3に示すアレニウスプロットの傾きから算出できる。算出される曲率緩和現象の活性化エネルギーは、0.39eVとなる。このようにして求められた活性化エネルギーから、各温度に対する加速係数がアレニウスの式から一意に求められ、図4に示す「曲率緩和現象の飽和時間とアニール温度に於ける絶対温度の逆数」の関係が得られる。
この関係は、「曲率緩和現象の飽和時間(時間;h)=2.3×10-3×exp(4515
/絶対温度)」という式で近似される。また、曲率緩和現象の飽和時間を加熱処理時間と置き換え、「加熱処理時間(時間;h)=2.3×10-3×exp(4515/絶対温度)」の式を満足する加熱処理温度と加熱処理時間が、加熱処理条件の必要条件となる。なお、加熱処理条件は、上記関係式を含む図4の斜線領域でも良いことは言うまでもない。
/絶対温度)」という式で近似される。また、曲率緩和現象の飽和時間を加熱処理時間と置き換え、「加熱処理時間(時間;h)=2.3×10-3×exp(4515/絶対温度)」の式を満足する加熱処理温度と加熱処理時間が、加熱処理条件の必要条件となる。なお、加熱処理条件は、上記関係式を含む図4の斜線領域でも良いことは言うまでもない。
プロセス時間の短縮化の観点から、加熱処理温度は可能な限り高い方が良い。一方で、上述した実施の形態で用いた金属層を構成するTiおよびAuは、207℃以上の温度で相互拡散を起こすことが知られている(非特許文献1参照)。従って、加熱温度が207℃を超えると、接着層としてのTiがAu中に拡散し、接着力を低下させるデメリットがある。これらのことを総合的に判断すると、「加熱処理温度:200℃、加熱処理温度時間:31.5時間」は適切な加熱処理条件と言える。
以上に説明したように、本発明によれば、保護層などを除去して可動構造体を分離し、可動構造体の両面の各々に、同一の層構造かつ同一の層厚の金属層構造を形成した後、加熱処理するようにしたので、マイクロメカニカル構造体の製造工程において可動構造体を動作可能にした後で発生する可動構造体の変形を抑制し、可動構造体の変形を所望とする曲率未満(+10m-1〜−7m-1)に抑制できるようになる。
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。例えば、上述では、可動構造体が、連結部および可動梁を介して枠部に接続されているようにしたが、これに限るものではない。可動梁は必要なものではなく、可動構造体が、連結部を介して枠部に接続されているようにしてもよい。
101…基体部、101a…開口部、102…埋め込み絶縁層、102a…開口部、103…表面シリコン層(SOI層)、105…保護層、131…可動構造体、132…枠部,133a…第1連結部、133b…第2連結部、134a…第1可動梁、134b…第2可動梁、135…隙間、136a,137a…密着層(第1金属層)、136b,137b…反射層(第2金属層)。
Claims (6)
- 基体部の表面上に埋め込み絶縁層を介して形成された表面シリコン層を備えるSOI基板の前記表面シリコン層をパターニングして素子形成領域に可動構造体を形成する第1工程と、
前記素子形成領域の前記基体部の裏面より前記基体部および前記埋め込み絶縁層を貫通する開口部を形成し、開口部の周囲の前記埋め込み絶縁層を支持構造体として支持されて動作可能とされた前記可動構造体を備えるマイクロメカニカル構造体を形成する第2工程と、
動作可能とされた前記可動構造体を備えるマイクロメカニカル構造体を形成した後で、前記マイクロメカニカル構造体を加熱する第3工程と、
前記マイクロメカニカル構造体を加熱した後、前記基体部の表面側の前記可動構造体の一方の面、および前記基体部の裏面側の前記可動構造体の他方の面の各々に、同一の層構造かつ同一の層厚の金属層構造を形成する第4工程と、
前記可動構造体に第1金属層構造を形成した後で前記マイクロメカニカル構造体を加熱する第5工程と
を少なくとも備えることを特徴とするマイクロメカニカル構造体の作製方法。 - 請求項1記載のマイクロメカニカル構造体の作製方法において、
前記金属層構造は、前記可動構造体に接して形成するTiからなる第1金属層と、前記第1金属層の形成に連続して前記第1金属層の上に形成するAuからなる第2金属層とから構成することを特徴とするマイクロメカニカル構造体の作製方法。 - 請求項2記載のマイクロメカニカル構造体の作製方法において、
前記第5工程における加熱は、加熱時間=2.3×10-3×exp(4515/絶対温度)の関係が満たされる加熱時間および前記絶対温度で示される加熱温度で、前記マイクロメカニカル構造体を加熱することを特徴とするマイクロメカニカル構造体の作製方法。 - 請求項3記載のマイクロメカニカル構造体の作製方法において、
前記第5工程では、温度条件200℃で前記マイクロメカニカル構造体を加熱することを特徴とするマイクロメカニカル構造体の作製方法。 - 請求項4記載のマイクロメカニカル構造体の作製方法において、
前記第5工程では、前記マイクロメカニカル構造体を31.5時間加熱することを特徴とするマイクロメカニカル構造体の作製方法。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載のマイクロメカニカル構造体の作製方法において、
前記マイクロメカニカル構造体の加熱は、雰囲気が不活性ガスまたは真空の状態で行うことを特徴とするマイクロメカニカル構造体の作製方法。
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