JP2014163841A - 下水汚泥焼却灰の処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】放射性物質が含まれる下水汚泥焼却灰の処理方法の提供を課題とする。
【解決手段】放射性物質とリンとを含む下水汚泥焼却灰にアルカリ溶液を混合した後に固液分離操作を行うことにより、放射性物質の一部及びリンを含むアルカリ溶出液と、下水汚泥焼却灰とに分離するアルカリ処理と、アルカリ処理後の下水汚泥焼却灰に酸溶液を混合した後に固液分離操作を行うことにより、放射性物質の残部を含む酸溶出液と、下水汚泥焼却灰とに分離する酸処理と、を行う下水汚泥焼却灰の処理方法を採用する。
【選択図】図1
【解決手段】放射性物質とリンとを含む下水汚泥焼却灰にアルカリ溶液を混合した後に固液分離操作を行うことにより、放射性物質の一部及びリンを含むアルカリ溶出液と、下水汚泥焼却灰とに分離するアルカリ処理と、アルカリ処理後の下水汚泥焼却灰に酸溶液を混合した後に固液分離操作を行うことにより、放射性物質の残部を含む酸溶出液と、下水汚泥焼却灰とに分離する酸処理と、を行う下水汚泥焼却灰の処理方法を採用する。
【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、下水汚泥焼却灰の処理方法に関する。
下水処理は、流入下水を最初沈殿池に流入させ、土砂等の無機物と比較的大きな有機物固形分を生汚泥として沈降分離させたのち、活性汚泥法などの生物学的処理によって下水中の有機物を処理した後に、公共下水道、河川または海洋に放流するのが一般的である。また、生物学的処理に伴って発生した余剰汚泥は、最初沈殿池において沈降分離された生汚泥とともに、汚泥処理によって処理される。汚泥処理では、余剰汚泥及び生汚泥が、脱水処理及び焼却処理を経ることによって減容され、下水汚泥焼却灰とされる。下水汚泥焼却灰は、建設資材の原料として再利用されたり、埋め立て処分される。
ところで、環境中に放射性物質が放出されると、雨水等を介して下水中に放射性物質が含有されることになる。特許文献1には、放射性物質を含む廃液の処理方法が開示されている。
しかしながら、下水中に含まれる放射性物質は、生汚泥や余剰汚泥に蓄積されやすい性質がある。このため、生汚泥や余剰汚泥を減容して得られた下水汚泥焼却灰に、放射性物質が高濃度で含まれる場合がある。放射性物質が含まれる下水汚泥焼却灰は、従来のように建築資材への再利用や埋立処分が困難となり、下水汚泥焼却灰の最終処分が問題になっている。
本発明の実施形態は、放射性物質が含まれる下水汚泥焼却灰の処理方法の提供を課題とする。
実施形態によれば、放射性物質とリンとを含む下水汚泥焼却灰にアルカリ溶液を混合してから固液分離することにより、前記放射性物質の一部及び前記リンを含むアルカリ溶出液と、前記下水汚泥焼却灰とに分離するアルカリ処理と、前記アルカリ処理後の前記下水汚泥焼却灰に酸溶液を混合してから固液分離することにより、前記放射性物質の残部を含む酸溶出液と、前記下水汚泥焼却灰とに分離する酸処理と、を行うことを特徴とする下水汚泥焼却灰の処理方法を提供する。
以下、本実施形態の下水汚泥焼却灰の処理方法について、図面を参照して説明する。
放射性物質を含む下水汚泥焼却灰の処理方法において、放射性物質を効率よく除去する方法について検討したところ、下水汚泥焼却灰から放射性物質を酸に溶出させる際に、下水汚泥焼却灰に高濃度で含まれるリンが酸を余分に消費し、放射性物質の溶出を阻害することが分かった。そこで本実施形態では、下水汚泥焼却灰から酸に放射性物質を溶出させる前に、アルカリ溶液を用いて下水汚泥焼却灰に含まれるリンを除去しておくことにより、下水汚泥焼却灰から放射性物質を高い除去率で除去できることを見出した。以下、本実施形態について説明する。
図1には、本実施形態の下水汚泥焼却灰の処理方法に適用される下水汚泥焼却灰の処理設備10を示す。
本実施形態の下水汚泥焼却灰の処理設備10は、アルカリ処理が行われるアルカリ処理槽11と、第1の吸着処理が行われる第1吸着塔13と、酸処理が行われる酸処理槽12と、第2の吸着処理が行われる第2吸着塔14と、酸再生処理が行われる酸再生装置15とが少なくとも備えられている。
アルカリ処理槽11では、アルカリ処理として、下水汚泥焼却灰1とアルカリ溶液2とを混合した後に固液分離操作が行われる。アルカリ処理槽11では、1つの槽において混合操作と固液分離操作が行なわれてもよい。また、アルカリ処理槽11に撹拌槽及び固液分離槽を設け、撹拌槽において下水汚泥焼却灰とアルカリ溶液との混合操作が行なわれ、固液分離槽において固液分離操作が行なわれてもよい。
アルカリ処理槽11に供給されるアルカリ溶液2としては、下水汚泥焼却灰1からリンを溶離できるものであれば如何なるものでもよく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムなどが用いられ、特に水酸化ナトリウムが用いられる。
また、アルカリ処理槽11に供給される下水汚泥焼却灰1は、汚泥処理によって処理された下水汚泥焼却灰1である。この下水汚泥焼却灰1には、セシウムやストロンチウムなどの放射性物質が含まれる。また、下水汚泥焼却灰1には、鉄やアルミニウム等の金属や、リン等が含まれる。アルカリ処理槽11においては、下水汚泥焼却灰1から放射性物質の一部とリンが除去される。
また、アルカリ処理槽11に供給される下水汚泥焼却灰1は、汚泥処理によって処理された下水汚泥焼却灰1である。この下水汚泥焼却灰1には、セシウムやストロンチウムなどの放射性物質が含まれる。また、下水汚泥焼却灰1には、鉄やアルミニウム等の金属や、リン等が含まれる。アルカリ処理槽11においては、下水汚泥焼却灰1から放射性物質の一部とリンが除去される。
また、アルカリ処理槽11には第1吸着塔13が接続されている。第1吸着塔13には第1の吸着材が充填されており、アルカリ処理後のアルカリ溶出液から放射性物質を吸着除去できるようになっている。第1吸着材としては、放射性物質を吸着しうるものであれば如何なるものでもよく、例えば、ゼオライト、ケイ酸塩などを含むものが挙げられる。
また第1吸着塔13の下流側にはリン回収装置が備えられている。リン回収装置は、第1吸着塔13を通過したアルカリ溶出液からリンを回収する。なお、リン回収装置は、第1の吸着塔を介さず、アルカリ処理槽11に直接に接続されていてもよい。
次に、酸処理槽12では、酸処理として、アルカリ処理後の下水汚泥焼却灰1と酸溶液3とを混合した後に固液分離操作がなされる。酸処理槽12では、1つの槽において混合操作と固液分離操作とが行なわれてもよい。また、酸処理槽12に撹拌槽及び固液分離槽を設け、撹拌槽において下水汚泥焼却灰と酸溶液との混合操作が行なわれ、固液分離槽において固液分離操作が行なわれてもよい。
酸処理槽12に供給される酸溶液としては、例えば、シュウ酸水溶液、塩酸水溶液、硫酸水溶液などが用いられ、特に溶出効率に優れる点でシュウ酸水溶液が用いられる。
また、酸処理槽12において処理される下水汚泥焼却灰1bは、先のアルカリ処理によって固液分離された固形分である。この下水汚泥焼却灰1bには、セシウムやストロンチウムなどの放射性物質の残部と、鉄やアルミニウム等の金属等が含まれている。酸処理槽12において、下水汚泥焼却灰1bから放射性物質の残部と金属とが除去される。
また、酸処理槽12において処理される下水汚泥焼却灰1bは、先のアルカリ処理によって固液分離された固形分である。この下水汚泥焼却灰1bには、セシウムやストロンチウムなどの放射性物質の残部と、鉄やアルミニウム等の金属等が含まれている。酸処理槽12において、下水汚泥焼却灰1bから放射性物質の残部と金属とが除去される。
また、酸処理槽12には第2吸着塔14が接続されている。第2吸着塔14には第2の吸着材が充填されており、酸処理後の酸溶出液から放射性物質を吸着除去できるようになっている。第2吸着材としては、放射性物質を吸着しうるものであれば如何なるものでもよく、例えば、ゼオライト、ケイ酸塩などを含むものが挙げられる。
また、第2吸着塔14の下流側には酸再生装置15が備えられている。酸再生装置15は、返送配管15aを介して酸処理槽12に接続されている。酸再生装置15では、第2吸着塔14を通過した酸溶出液から金属を除去して酸溶液に再生するとともに、再生した酸溶液を返送配管15aにより酸処理槽12に返送させる。酸再生装置15としては、例えば、キレート樹脂またはイオン交換樹脂等が充填された吸着塔や、電気透析装置等が用いられる。
次に、下水汚泥焼却灰の処理設備10を用いた下水汚泥焼却灰の処理方法について説明する。
(アルカリ処理)
まず、図1に示すように、アルカリ処理として、下水汚泥焼却灰1とアルカリ溶液2とをアルカリ処理槽11に供給し、アルカリ処理槽11内において下水汚泥焼却灰1とアルカリ溶液2とを混合する。下水汚泥焼却灰1と、例えばアルカリ溶液2として水酸化ナトリウム水溶液とを混合すると、下水汚泥焼却灰1中に含まれるリンが下水汚泥焼却灰1からアルカリ溶液2中に溶出されるとともに、下水汚泥焼却灰1に含まれるセシウムなどの放射性物質の一部が溶出される。また、下水汚泥焼却灰1中に含まれる金属の一部もアルカリ溶液2中に溶出される場合がある。
まず、図1に示すように、アルカリ処理として、下水汚泥焼却灰1とアルカリ溶液2とをアルカリ処理槽11に供給し、アルカリ処理槽11内において下水汚泥焼却灰1とアルカリ溶液2とを混合する。下水汚泥焼却灰1と、例えばアルカリ溶液2として水酸化ナトリウム水溶液とを混合すると、下水汚泥焼却灰1中に含まれるリンが下水汚泥焼却灰1からアルカリ溶液2中に溶出されるとともに、下水汚泥焼却灰1に含まれるセシウムなどの放射性物質の一部が溶出される。また、下水汚泥焼却灰1中に含まれる金属の一部もアルカリ溶液2中に溶出される場合がある。
下水汚泥焼却灰1とアルカリ溶液2とを混合する際の温度は常温であってもよいが、下水汚泥焼却灰1中に含まれるリンをアルカリ溶液2中に効率よく溶出させるために、アルカリ溶液を加熱してもよい。加熱する場合の加熱温度は90℃以下の温度であることが好ましい。
下水汚泥焼却灰1とアルカリ溶液2との混合時間は、下水汚泥焼却灰1からリンを効率よくアルカリ溶液2中に溶出させるために、5分以上であることが好ましい。また、下水汚泥焼却灰の処理方法全体の処理時間の短縮化のためには、下水汚泥焼却灰1とアルカリ溶液2との混合時間を60分以下とすることが好ましい。
下水汚泥焼却灰1からリン等を溶出させる場合のアルカリ溶液2の使用量は、質量比で下水汚泥焼却灰1の10〜50倍量であることが好ましい。アルカリ溶液2の使用量が、下水汚泥焼却灰1の10倍量以上であれば、下水汚泥焼却灰1中に含まれるリンを効率よくアルカリ溶液2中に溶出できる。また、アルカリ溶液2の使用量が、下水汚泥焼却灰1の50倍量以下であれば、アルカリ溶液2の使用量が少なくて済む。その結果、第1吸着材の劣化を抑制できる。
下水汚泥焼却灰1とアルカリ溶液2との混合操作が終了したら、下水汚泥焼却灰1とアルカリ溶液2とを固液分離して、下水汚泥焼却灰1とアルカリ溶出液とに分離する。アルカリ処理によって生じたアルカリ溶出液には、リンと放射性物質の一部とが含まれる。またアルカリ溶出液に金属が溶出される場合もある。一方、アルカリ処理後の下水汚泥焼却灰1bには、放射性物質の残部が含有されるとともに、アルカリ処理において残留した金属が含まれる。下水汚泥焼却灰1に含まれていたリンは、アルカリ処理によってそのほとんどがアルカリ溶出液に溶出される。そして、固液分離の後に、アルカリ溶出液は第1吸着塔13に送られ、下水汚泥焼却灰1bは酸処理槽12に送られる。
(第1吸着処理)
次に、第1吸着処理では、アルカリ処理において固液分離されたアルカリ溶出液を第1吸着材に通過させることによって、アルカリ溶出液中の放射性物質を、第1吸着材に選択的に吸着させる。例えば、放射性物質がセシウムの場合は、第1吸着材としてゼオライトを用いることで、アルカリ溶出液からセシウムを効率よく吸着除去できる。
次に、第1吸着処理では、アルカリ処理において固液分離されたアルカリ溶出液を第1吸着材に通過させることによって、アルカリ溶出液中の放射性物質を、第1吸着材に選択的に吸着させる。例えば、放射性物質がセシウムの場合は、第1吸着材としてゼオライトを用いることで、アルカリ溶出液からセシウムを効率よく吸着除去できる。
第1吸着処理後のアルカリ溶出液にはリンが残存する。また、アルカリ溶出液に金属が同時に残存する場合もある。この第1吸着処理後のアルカリ溶出液は、リン回収装置に送られる。
なお、アルカリ溶出液中の放射性物質が極めて低濃度である場合は、第1吸着処理を省略してもよい。この場合は、アルカリ処理後のアルカリ溶出液をリン回収装置に直送してもよい。
(リン回収処理)
次に、リン回収処理では、リン回収装置において第1吸着処理後のアルカリ溶出液中のリンを回収する。リン回収処理によってアルカリ溶出液から回収されたリンは、リン資源として利用される。
次に、リン回収処理では、リン回収装置において第1吸着処理後のアルカリ溶出液中のリンを回収する。リン回収処理によってアルカリ溶出液から回収されたリンは、リン資源として利用される。
(酸処理)
次に、図1に示すように、アルカリ処理後の下水汚泥焼却灰1bは酸処理槽12に送られて、酸処理がなされる。酸処理では、まず、酸処理槽12において下水汚泥焼却灰1bと酸溶液3とを混合する。下水汚泥焼却灰1bと、例えば酸溶液3としてシュウ酸水溶液とを混合すると、下水汚泥焼却灰1b中に含まれる放射性物質が下水汚泥焼却灰1bから酸溶液3中に溶出されるとともに、下水汚泥焼却灰1bに含まれる鉄等の金属が溶出される。
次に、図1に示すように、アルカリ処理後の下水汚泥焼却灰1bは酸処理槽12に送られて、酸処理がなされる。酸処理では、まず、酸処理槽12において下水汚泥焼却灰1bと酸溶液3とを混合する。下水汚泥焼却灰1bと、例えば酸溶液3としてシュウ酸水溶液とを混合すると、下水汚泥焼却灰1b中に含まれる放射性物質が下水汚泥焼却灰1bから酸溶液3中に溶出されるとともに、下水汚泥焼却灰1bに含まれる鉄等の金属が溶出される。
下水汚泥焼却灰1bと酸溶液3とを混合する際の温度は常温であってもよいが、下水汚泥焼却灰1b中に含まれる放射性物質を酸溶液3中に効率よく溶出させるために、酸溶液を加熱してもよい。加熱する場合の加熱温度は90℃以下の温度であることが好ましい。
下水汚泥焼却灰1bと酸溶液3との混合時間は、下水汚泥焼却灰1から効率よく放射性物質を酸溶液3中に溶出させるために、5分以上であることが好ましい。また、下水汚泥焼却灰の処理方法全体の処理時間の短縮化のためには、下水汚泥焼却灰1bと酸溶液3との混合時間を60分以下とすることが好ましい。
下水汚泥焼却灰1bから放射性物質を溶出させる際の酸溶液3の使用量は、質量比で下水汚泥焼却灰1の10〜50倍量であることが好ましい。酸溶液3の使用量が、下水汚泥焼却灰1bの10倍量以上であれば、下水汚泥焼却灰1b中に含まれる放射性物質を効率よく酸溶液3中に溶出できる。また、酸溶液3の使用量が、下水汚泥焼却灰1bの50倍量以下であれば、酸溶液3の使用量が少なくて済み、第2吸着材の劣化を抑制できる。
下水汚泥焼却灰1bと酸溶液3との混合操作が終了したら、下水汚泥焼却灰1bと酸溶液3とを固液分離して、下水汚泥焼却灰1cと酸溶出液とに分離する。酸処理によって生じた酸溶出液には、放射性物質の残部と、金属とが溶出される。一方、酸処理後の下水汚泥焼却灰1cからは、リン、放射性物質、金属の何れもが除去される。
そして、固液分離後の酸溶出液は第2吸着塔14に送られる。また、下水汚泥焼却灰1cは処理済み下水汚泥焼却灰1aとして建築材料への再利用や埋立処分等の最終処分がなされる。
(第2吸着処理)
第2吸着処理では、酸処理において固液分離された酸溶出液を、第2吸着材に通過させることにより、酸溶出液中の放射性物質を、第2吸着材に選択的に吸着させる。例えば、放射性物質がセシウムの場合は、第2吸着材としてゼオライトを用いることで、酸溶出液からセシウムを効率よく吸着除去できる。
第2吸着処理では、酸処理において固液分離された酸溶出液を、第2吸着材に通過させることにより、酸溶出液中の放射性物質を、第2吸着材に選択的に吸着させる。例えば、放射性物質がセシウムの場合は、第2吸着材としてゼオライトを用いることで、酸溶出液からセシウムを効率よく吸着除去できる。
第2吸着処理後の酸溶出液には、鉄、アルミニウム等の金属が残存する。この第2吸着処理後の酸溶出液は、酸再生装置15に送られる。
(酸再生処理)
第2吸着処理後の酸溶出液には、酸処理において溶出された鉄やアルミニウムなどの金属が含まれている。第2吸着処理後の酸溶出液をそのまま酸溶液3として酸処理槽12に返送すると、酸溶出液に含まれている金属が酸を消費してしまい、セシウムなどの放射性物質の溶出効率が低下してしまう。このため、本実施形態においては、図1に示すように、第2吸着処理後の酸溶出液を酸再生装置15に供給し、酸溶出液に含まれる鉄やアルミニウムなどの金属を除去して酸溶液3を再生する。
第2吸着処理後の酸溶出液には、酸処理において溶出された鉄やアルミニウムなどの金属が含まれている。第2吸着処理後の酸溶出液をそのまま酸溶液3として酸処理槽12に返送すると、酸溶出液に含まれている金属が酸を消費してしまい、セシウムなどの放射性物質の溶出効率が低下してしまう。このため、本実施形態においては、図1に示すように、第2吸着処理後の酸溶出液を酸再生装置15に供給し、酸溶出液に含まれる鉄やアルミニウムなどの金属を除去して酸溶液3を再生する。
酸再生装置15として、キレート樹脂またはイオン交換樹脂が充填された吸着塔を用いる場合は、第2吸着処理後の酸溶出液をキレート樹脂またはイオン交換樹脂に流して、酸溶出液中の金属を吸着除去する。
また、酸再生装置15として電気透析装置を用いる場合は、陽極と、陰極と、陽極と陰極との間に配置された陽イオン交換膜及び陰イオン交換膜とが備えられた電気透析装置を用いる。陽イオン交換膜及び陰イオン交換膜は、陽極と負極との間に交互に離間して配置され、陽イオン交換膜及び陰イオン交換膜によって複数の流路が区画形成される。各流路には、第2吸着処理後の酸溶出液が濃縮液として供給されるとともに、脱塩水が供給される。酸溶出液は、陽イオン交換膜及び陰イオン交換膜によって区画形成された流路のうち脱塩室に供給され、また、脱塩水は、陽イオン交換膜及び陰イオン交換膜によって区画形成された流路のうちの濃縮室に供給される。脱塩室と濃縮室は相互に隣り合っている。
そして、外部電源から陽極及び陰極に直流電流を通電すると、脱塩室を流れる酸溶出液中の水素イオンが陽イオン交換膜を通過して濃縮室を流れる脱塩水に輸送され、また、脱塩室を流れる酸溶出液中の陰イオンが陰イオン交換膜を通過して濃縮室を流れる脱塩水に輸送される。金属イオンは陽イオン交換膜を通過できず、脱塩室に留まる。このようにして、脱塩室中の水素イオン及び陰イオンがともに濃縮室に輸送されることで、濃縮室に供給された脱塩水が酸溶液となって電気透析装置から排出される。一方、脱塩室に供給された酸溶出液には金属イオンが残留し、金属イオン排液として電気透析装置から排出される。再生された酸溶液は、返送配管15aを介して酸処理槽13に返送される。一方、脱塩室から排出された金属イオン排液は、金属処理設備に回送されて処理される。
図1に示すように、酸再生装置15によって酸再生処理された酸溶液は、酸処理槽12に直接返送してもよく、必要に応じて酸を追加してpH調整を行ったのちに酸処理槽12に返送してもよい。また、pHを調整しても再利用が困難なほど劣化したしたと判断された酸溶液は、酸処理槽12に返送せずに廃棄してもよい。
本実施形態の下水汚泥焼却灰1の処理方法では、アルカリ処理においてアルカリ溶液2により下水汚泥焼却灰1からリンを溶離させてから固液分離し、酸処理においてリンが除去された下水汚泥焼却灰から酸溶液3により放射性物質を溶離させる。これにより、酸処理における下水汚泥焼却灰から酸溶液3への放射性物質の溶出がリンによって阻害されることがない。
その結果、アルカリ処理後の下水汚泥焼却灰から酸溶液3への放射性物質の溶出効率が向上し、下水汚泥焼却灰1から放射性物質を高い除去率で除去することができる。よって、本実施形態の処理方法によって処理された下水汚泥焼却灰1aは、従来の下水汚泥焼却灰と同様に、建設資材の原料として再利用や、埋立処分が可能になる。
その結果、アルカリ処理後の下水汚泥焼却灰から酸溶液3への放射性物質の溶出効率が向上し、下水汚泥焼却灰1から放射性物質を高い除去率で除去することができる。よって、本実施形態の処理方法によって処理された下水汚泥焼却灰1aは、従来の下水汚泥焼却灰と同様に、建設資材の原料として再利用や、埋立処分が可能になる。
また、本実施形態の下水汚泥焼却灰1の処理方法では、下水汚泥焼却灰から溶離されたリンを回収するリン回収処理を行うことで、肥料などの貴重な資源としてのリンを回収できる。
また、本実施形態の下水汚泥焼却灰1の処理方法では、放射性物質が除去された酸溶出液から金属を除去して酸溶液として再生する酸再生処理を行うことで、酸溶液をリサイクルすることができ、酸溶液の消費量を抑制できる。
なお、上述した実施形態においては、リン回収処理、第2吸着処理および酸再生処理を随時行う場合を例に挙げて説明したが、リン回収処理、第2吸着処理、酸再生処理のうちいずれか一つまたは全部を行わなくてもよい。この場合であっても、下水汚泥焼却灰1から放射性物質が高い除去率で除去された処理済み下水汚泥焼却灰1aが得られる。
以上説明したように、実施形態の下水汚泥焼却灰の処理方法では、リンを除去した後の下水汚泥焼却灰に酸溶液を添加して、放射性物質を酸溶液に溶出させる。これにより、下水汚泥焼却灰から酸溶液に放射性物質を溶出させる際のリンの影響を除くことができる。その結果、実施形態の下水汚泥焼却灰の処理方法では、下水汚泥焼却灰から放射性物質を高い除去率で除去できる。
1 下水汚泥焼却灰、2 アルカリ溶液、3 酸溶液、10 放射性物質除去装置、11 アルカリ処理槽、12 酸処理槽、13 第1吸着塔、14 第2吸着塔、15 酸再生装置。
Claims (9)
- 放射性物質とリンとを含む下水汚泥焼却灰にアルカリ溶液を混合してから固液分離することにより、前記放射性物質の一部及び前記リンを含むアルカリ溶出液と、前記下水汚泥焼却灰とに分離するアルカリ処理と、
前記アルカリ処理後の前記下水汚泥焼却灰に酸溶液を混合してから固液分離することにより、前記放射性物質の残部を含む酸溶出液と、前記下水汚泥焼却灰とに分離する酸処理と、
を行うことを特徴とする下水汚泥焼却灰の処理方法。 - 前記アルカリ処理後の前記アルカリ溶出液に含まれる前記放射性物質の一部を、第1の吸着材により吸着除去する第1の吸着処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の下水汚泥焼却灰の処理方法。
- 前記アルカリ処理後または前記第1の吸着処理後の前記アルカリ溶出液に含まれるリンを回収するリン回収処理を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の下水汚泥焼却灰の処理方法。
- 前記酸処理後の前記酸溶出液に含まれる前記放射性物質の残部を、第2の吸着材により吸着除去する第2の吸着処理を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の下水汚泥焼却灰の処理方法。
- 前記第2の吸着処理後の前記酸溶出液に含まれる金属成分を除去して、前記酸処理の前記酸溶液として返送する酸再生処理を行うことを特徴とする請求項4に記載の下水汚泥焼却灰の処理方法。
- 前記アルカリ溶液が水酸化ナトリウム水溶液であることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の下水汚泥焼却灰の処理方法。
- 前記アルカリ処理において、質量比で前記下水汚泥焼却灰の10〜50倍量の前記アルカリ溶液を前記下水汚泥焼却灰に添加することを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の下水汚泥焼却灰の処理方法。
- 前記酸溶液がシュウ酸水溶液であることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載の下水汚泥焼却灰の処理方法。
- 前記酸処理において、質量比で前記下水汚泥焼却灰の10〜50倍量の前記酸溶液を添加することを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか一項に記載の下水汚泥焼却灰の処理方法。
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