[go: up one dir, main page]

JP2014161297A - 水栽培用の培地、容器、植物の種子付キット、水栽培の方法、及び培地の製造方法 - Google Patents

水栽培用の培地、容器、植物の種子付キット、水栽培の方法、及び培地の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2014161297A
JP2014161297A JP2013036453A JP2013036453A JP2014161297A JP 2014161297 A JP2014161297 A JP 2014161297A JP 2013036453 A JP2013036453 A JP 2013036453A JP 2013036453 A JP2013036453 A JP 2013036453A JP 2014161297 A JP2014161297 A JP 2014161297A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber
hydroponics
culture medium
medium
container
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013036453A
Other languages
English (en)
Inventor
Yuya Watabe
祐也 渡部
Takayuki Ogawa
小川  貴之
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Corp
Asahi Kasei Homes Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Fibers Corp
Asahi Kasei Homes Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Fibers Corp, Asahi Kasei Homes Corp filed Critical Asahi Kasei Fibers Corp
Priority to JP2013036453A priority Critical patent/JP2014161297A/ja
Publication of JP2014161297A publication Critical patent/JP2014161297A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • Y02P60/216

Landscapes

  • Cultivation Of Plants (AREA)
  • Hydroponics (AREA)

Abstract

【課題】水栽培の安全性を向上できると共に、植物の成長を促進することのできる水栽培用の培地、水栽培用の容器、水栽培用の植物の種子付キット、水栽培の方法、及び水栽培用の培地の製造方法を提供する。
【解決手段】培地1は、生分解性を有する第1の繊維21と、生分解性を有する第2の繊維22によって構成されているため、栽培ポット2に収容して栽培トレイ3の養液に浸した状態でも、有害物質が養液に移行することがない。また、所定の繊維方向D1に延びる第1の繊維21と所定の繊維方向D1に延びる第2の繊維22とを束ねて繊維束20としており、外周側に繊維同士の隙間を保持した状態で繊維束を支持する支持層23が形成されている。従って、種子から伸びた根は、繊維方向D1に伸び易くなるのみならず、繊維同士の隙間を通ることによって、繊維方向と交差する方向へも伸び易くなる。
【選択図】図4

Description

本発明は、水栽培用の培地、水栽培用の容器、水栽培用の植物の種子付キット、水栽培の方法、及び水栽培用の培地の製造方法に関する。
従来、水栽培に用いられる水栽培装置として、特許文献1に挙げるものが知られている。この装置は、養液が貯留されたトレイと、トレイの上部を覆うと共に栽培ポットを所定間隔で設置可能なカバーと、を備えている。栽培ポットの中には、培地が充填されており、植物の種子や根は培地に植えられる。この培地としては、粉砕した樹皮(バーク)、繊維をマット状、ポット状に成形加工したものが用いられる。
特開2000−253764号公報
ここで、従来の水栽培用の培地を用いた場合、適用する材質によっては、養液に浸けたときに有害物質が溶け出す可能性があった。また、培地に植えられた植物の根が育ちにくいという問題があった。
そこで、本発明は、水栽培の安全性を向上できると共に、植物の成長を促進することのできる水栽培用の培地、水栽培用の容器、水栽培用の植物の種子付キット、水栽培の方法、及び水栽培用の培地の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る水栽培用の培地は、所定の容器に収容されて栽培トレイに配置するための水栽培用の植物の種子または根を植え込むための培地であって、所定の繊維方向に延びると共に生分解性を有する第1の繊維を少なくとも束ねることによって形成される繊維束を備え、繊維束は、繊維方向に延在することによって一端面、他端面及び外周面を有し、繊維束の外周面側には、繊維同士の隙間を保持した状態で繊維束を支持する支持層が形成され、支持層は、第1の繊維と、繊維方向に延びると共に生分解性を有する第2の繊維とが配置され、第2の繊維をバインダーとして熱処理がなされることによって形成され、繊維束の外周面は、容器の内部形状に追従して変形可能であることを特徴とする。
本発明に係る水栽培用の培地は、生分解性を有する第1の繊維と、生分解性を有する第2の繊維によって構成されているため、容器に収容して栽培トレイの養液に浸した状態でも、有害物質が養液に移行することがない。また、所定の繊維方向に延びる第1の繊維と所定の繊維方向に延びる第2の繊維とを束ねて繊維束としており、外周側に繊維同士の隙間を保持した状態で繊維束を支持する支持層が形成されている。これによって、繊維束中には繊維方向に延びるような連続的な隙間が形成される。従って、種子から伸びた根は、繊維方向に太く長く伸び易くなるのみならず、繊維同士の隙間を通ることによって、繊維方向と交差する方向へも伸び易くなる。また、繊維束の外周側に形成される支持層は、第1の繊維と同じ繊維方向に延びる第2の繊維をバインダーとして熱処理をすることによって形成されている。従って、支持層では、繊維束の内側と同じく、繊維方向に延びるような連続的な隙間が形成された繊維構造が維持される。従って、支持層においても繊維方向と交差する方向への根の成長が阻害されることがなく、植物の成長が促進される。また、繊維束の外周面は、容器の内部形状に追従して変形可能であるため、容器の内部形状を植物の成長に適した形状、培地をがたつきなく確実に支持できるような形状とした場合に、当該内部形状に追従して確実に収容することができる。これによって、植物の成長が促進される。以上により、養液等に有害物質が溶け込むことがなく水栽培の安全性を向上できると共に、根が太く長く伸び易く、養液等からの栄養分の吸収が良くなり、植物の成長を促進することができる。
また、本発明に係る水栽培の培地において、繊維束の繊維の密度は、0.07〜0.3g/cmであってもよい。これによって、繊維束の密度が高すぎて植物の根が太く伸びることを妨げたり、繊維束の密度が低すぎて毛細管現象を誘発せずに吸水性が悪くなることがなく、培地の繊維の密度を、植物の根が成長するのに最適なものとすることができる。
また、本発明に係る培地において、第1の繊維の太さ、及び第2の繊維の太さは、1〜30μmであってもよい。これによって、繊維の隙間が小さすぎて植物の根が太く伸びることを妨げたり、繊維同士の隙間が大きすぎて毛細管現象を誘発せずに吸水性が悪くなることがなく、培地の繊維の太さを、植物の根が成長するのに最適なものとすることができる。
また、本発明に係る培地において、第1の繊維は、セルロース繊維又は動物性繊維であってもよい。これらの材料は生分解性を有する第1の繊維に適切な材料として用いることができる。
また、本発明に係る培地において、第2の繊維は、ポリ乳酸繊維であってもよい。これらの材料は生分解性を有すると共に、バインダーである第2の繊維に適切な材料として用いることができる。
本発明に係る水栽培用の容器は、水栽培用の植物の種子または根を植え込むための培地を収容し、栽培トレイに配置するための容器であって、上端側が開口すると共に、培地を配置するための空間を内部に有する本体部と、本体部の上端側の開口部を取り囲む鍔部と、を備え、本体部及び鍔部を形成する少なくとも表面は、光に対して遮蔽性を有することを特徴とする。例えば、容器を構成する本体部と鍔部は、不透明な材料で構成されている。
本発明に係る水栽培用の容器は、上端側が開口すると共に培地を配置するための空間を内部に有する本体部を備えているため、本体部で培地を支持することが可能となり、成長した植物を確実に支持することができる。また、本体部の上端側の開口部を取り囲む鍔部、及び本体部を形成する少なくとも表面は、光に対して遮蔽性を有する。すなわち、少なくとも鍔部及び本体部の表面で光を遮蔽することで、光が容器を透過して、栽培トレイ中の養液に至ることによる栽培トレイ内で藻などが繁殖することを防止できる。
また、鍔部は、上方からの光を内側へ向かって反射させる反射面を有してもよい。例えば、鍔部の表面の色は白色等の光を反射する色、明度に設定されている。これによって、鍔部の反射面で反射した光が内側の植物へ向かうことにより、植物の葉の光合成を促し、植物の成長が促進される。
また、本体部は、鍔部と連続する上部が開口部のない周壁で覆われ、下部には開口部が設けられていてもよい。すなわち、本体部の上部(鍔部の直下)は、開口部(貫通部)のない壁であり、本体部の下部は、スリット等で開口部(貫通部)が形成されている。これによって、本体部の下部では、開口部を介して植物の根を太く長く伸ばすことができる一方、本体部の上部では、開口部のない周壁で光を遮蔽することで、光が本体部を透過して、栽培トレイ中の養液に至ることによる栽培トレイ内で藻などが繁殖することを防止できる。
また、本体部は、側面の内側から突出する突出部を備えていてもよい。これによって、突出部で培地を支持することが可能となり、成長した植物を確実に支持することができる。また、本体部の側面と培地との間に隙間を形成することができるため、培地の側面から伸びる根の成長を促進することができる。
本発明に係る水栽培用の植物の種子付キットにおいて、植物の種子、上述の培地、上述の容器は、別々に包装された部品として構成されていることを特徴とする。また、本発明に係る水栽培の方法は、上述の種子付キットを用いる植物の水栽培の方法であって、植物の種子を水に浮かべて予め発芽させておき、発芽後に当該種子を培地に植え込み、当該培地を容器に収容して構成された種子付ユニットを所定の栽培トレイに配置することを特徴とする。
ここで、この種子付キットは、予め容器に培地を充填して種子を付したもの(カートリッジ状態にしたもの)を1セットずつ作製して販売することができる。このようにすればユーザーは手間をかけずに家庭用の水栽培を行うことができる。一方、容器、種子、培地を予めばらばらに部品化して消耗品、交換部品として販売することができ、上述のような水栽培用の植物の種子付キットを用い、上述のような水栽培の方法を採用することできる。これによって、ユーザーの趣向(例えば、植物を育てるために一定のお世話をしたい等)沿ったサービスを提供することできる。また、ユーザーが必要な部品を必要なときに必要なだけ購入して植物を栽培することができる。これによって、部品の無駄を省き、廃棄物を最小限に抑えることができる。なお、耕栽培装置の栽培トレイに入れるべき容量の養液を、包装された部品として種子付キットの構成部品として販売するとができる。また、水耕栽培装置の本体ユニットや栽培トレイも単体で販売することができる。
本発明に係る水栽培用の培地の製造方法は、所定の容器に収容されて栽培トレイに配置するための水栽培用の植物の種子または根を植え込むための培地の製造方法であって、所定の繊維方向に延びると共に生分解性を有する第1の繊維と、所定の繊維方向に延びると共に生分解性を有して少なくとも外周側に配置される第2の繊維と、を束ね、繊維方向に延在することによって一端面、他端面及び外周面を有する繊維束を形成し、繊維束の外周面側に対して、第2の繊維をバインダーとして熱処理することによって、繊維同士の隙間を保持した状態で繊維束を支持する支持層を形成することを特徴とする。
本発明に係る水栽培用の培地の製造方法によって、上述のように水栽培の安全性を向上できると共に、植物の成長を促進することができる培地を製造することができる。
本発明によれば、水栽培の安全性を向上できると共に、植物の成長を促進することができる。
本発明の実施形態に係る培地及び栽培ポットが適用される水栽培装置の斜視図である。 図1に示すII―II線に沿った断面図である。 本発明の実施形態に係る培地及び栽培ポットの斜視図である。 培地の構成を説明するための模式的な図である。 栽培ポットの平面図及び断面図である。 本発明の実施形態に係る種子付きキットを示す図である。 本発明の実施形態に係る水栽培の方法を説明するための図である。 本発明の実施形態に係る水栽培の方法を説明するための図である。
以下、図面を参照しつつ本発明に係る水栽培用の培地、水栽培用の容器、水栽培用の植物の種子付キット、水栽培の方法、及び水栽培用の培地の製造方法の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る培地1及び栽培ポット2(容器)が適用される水栽培装置100の斜視図である。図2は、図1に示すII−II断面に沿った断面図である。図1及び図2に示すように、水栽培装置100は、水栽培の養液Wを貯留するための栽培トレイ3と、栽培トレイ3を設置するための本体ユニット4と、を備えている。また、栽培トレイ3には、培地1が収容された栽培ポット2が配置されている。水栽培装置100は、他の外部装置などを用いることなく、本体ユニット4内で植物Gを栽培することが可能な装置である。水栽培装置100は、他の装置とは独立しており、住宅の部屋内又は各種の執務空間等のあらゆる場所に設置することができる。すなわち、設置場所を気にすることなく、あらゆる場所で植物を育成させることが可能である。
栽培トレイ3は、内部に養液Wを貯留する貯留槽6と、貯留槽6を覆う蓋体7と、を備えている。なお、本実施形態では、直方体の箱状をなしている栽培トレイ3について説明するが、栽培トレイ3の形状は特に限定されず、立方体状、円柱状、楕円柱状、椀状の形状であってもよい。貯留槽6は、底壁部11、及び底壁部11の各縁部から上方へ延びる側壁部12を備えている。貯留槽6は、上面側が開口している。蓋体7は、貯留槽6の上面側の開口部を覆うと共に、貯留槽6に対して着脱可能な板状の部材である。蓋体7には、栽培ポット2を嵌め入れるための貫通孔14が形成されている。なお、本実施形態では、蓋体7には、長手方向に沿って一列に並べられた複数の(図では三つ)貫通孔14が形成されているが、貫通孔14の数量・配置は特に限定されない。
本体ユニット4は、栽培トレイ3が配置される底壁部16と、底壁部16と対向する上壁部17と、上下方向に延びて底壁部16及び上壁部17の両端部をそれぞれ連結する一対の側壁部18,19と、を備えている。底壁部16及び上壁部17は、長方形板状の形状を有しており、側壁部18,19は、底壁部16及び上壁部17の長手方向に対向するように配置されている。なお、図1に示す例では、底壁部16及び上壁部17の短手方向に対向する側面側には側壁部が設けられず、開口している。ただし、側壁部を設けてもよい。本体ユニット4には、栽培トレイ3の栽培ポット2で育成される植物Gに光を照射する照明器具(不図示)が設けられている。
次に、図3〜図5を参照して、培地1及び栽培ポット2の構成についてより詳細に説明する。図3は、本実施形態に係る培地1及び栽培ポット2の斜視図である。図4は、本実施形態に係る培地1の構成を説明するための模式的な図である。図5は、栽培ポット2の平面図及び断面図である。
培地1は、植物Gの種子または根を植え込むためのものである。培地1は、植物Gの種子または根を支持すると共に、栽培トレイ3の養液Wに浸けられることによって毛細管現象により養液Wを吸い上げることが可能であり、固定された種子または成長する植物に十分な養液Wを供給する。培地1は、植物Gの根が成長し易いように繊維方向D1を有する部材であって、当該繊維方向D1に連続した微細な空隙を内部に有している。
培地1は、繊維方向D1に延びる複数本の繊維(繊維の詳細については後述する)を束ねることによって形成される繊維束20を備えている。繊維束20は、繊維方向D1に沿って延在する円柱状の形状を有している。これによって、繊維束20は、一端面20a、他端面20b、及び外周面20cを有する。なお、繊維束20は、繊維方向D1に延在する形状であればよく、円柱状のみならず、角柱状、その他の形状であってもよい。繊維束20は、植物Gの根が十分に成長すると同時に、当該根を固定することができ、葉や茎が成長しても植物Gを支えられる大きさに設定されている。例えば、繊維束20の直径は14.0〜16.0mm程度に設定され、高さ(繊維方向D1の大きさ)は43.0〜47.0mm程度に設定される。ただし、繊維束20の大きさは、栽培ポット2の大きさに従って、適宜調整すればよい。
図4(a)に示すように、繊維束20は、繊維方向D1に延びると共に生分解性を有する第1の繊維21と、繊維方向D1に延びると共に生分解性を有する第2の繊維22とを束ねることによって形成される。繊維束20は、単一の繊維方向D1のみを有しており、当該繊維方向D1と交差する方向への繊維方向成分を有していない。すなわち、繊維束20は、繊維方向D1に延びる繊維のみによって構成されており、繊維方向D1と直交する方向D2へ延びる(または、方向D2への方向成分を有する方向へ延びる)ような繊維を有していない。従って、繊維束20の内部には、繊維方向D1へ向かって延びる微細な空間が形成される。
例えば、図4(c)に示すように、方向D1及び方向D2の二つの繊維方向を有する繊維構造に係る培地を用いた場合、根Rが径方向D3へ伸びようとしても、各繊維同士が広がり難く、根Rを通すための隙間を十分に確保できない場合がある。従って、根Rは、径方向D3への成長は繊維構造に阻害されるため、主として方向D1(下方向)へ伸びる。一方、本実施形態に係る培地1は、図4(d)に示すように、単一の繊維方向D1を有する繊維構造であるため、根Rが径方向D3へ伸びようとした場合に、各繊維同士が広がり易く、根Rを通すための隙間を十分に確保することができる。従って、根Rは、繊維方向D1(下方向)のみならず、径方向D3への成長も促進される。
なお、「繊維方向D1に延びる繊維」とは、繊維が全体として見たときに繊維方向D1へ延びている状態を指し、繊維のたわみやねじれなどによって一部分で方向D2側へ向かうような部分を含んでいてもよい。また、根の成長を阻害しない範囲内であれば、繊維を束ねる際の製造上の誤差などにより、一部の繊維が繊維方向D1に対して傾斜していてもよい。
図4(b)に示すように、繊維束20の外周面20c側には、繊維同士の隙間を保持した状態で繊維束20を支持する支持層23が形成されている。支持層23は、繊維束20の外周面20cから0.5〜1.5mm程度の厚みで形成される。支持層23は、繊維束20の外周面20cに対して、第2の繊維22をバインダーとして熱処理を施すことによって形成される層である。支持層23では、第2の繊維22の全部、または一部が、熱処理によって溶解後、硬化した状態となっている。従って、支持層23では、第1の繊維21同士が、第2の繊維22によって融着されている。支持層23は、吸水時においても繊維束20の形状を維持できる程度の強度で形成されている。なお、繊維束20の一端面20a及び他端面20bには、熱処理がなされていない。これによって、植物Gの種子または根を植え込み易くなる。
第1の繊維21の融点は、第2の繊維22の融点よりも高い。すなわち、第2の繊維22の融点は、第1の繊維21の融点より低い。支持層23を形成する際の熱処理の温度は、第2の繊維22の融点以上、且つ、第1の繊維21の融点以下の温度に設定される。これにより、第1の繊維21は融解することなく形状が維持される一方、第2の繊維22は融解すると共に第1の繊維21を一体化するバインダーとして機能する。
支持層23においても、図4(d)で説明したような、径方向D3への根Rの成長を阻害しない繊維構造が維持されている。当該繊維構造は、繊維方向D1へ延びる第1の繊維21の中に、繊維方向D2へ延びる第2の繊維22を混在させ、当該第2の繊維22をバインダーとして用いることによって実現される。例えば、繊維束20の外周面20cにバインダー材料を塗布して熱処理した場合、またはバインダー材料のシートを巻き付けて熱処理した場合、繊維束20の外周面20c側の繊維構造は支持層によって塞がれてしまい、根Rが通り抜けにくい構造となる。
また、支持層23は、栽培ポット2の内部形状に追従して変形可能である。すなわち、支持層23は、栽培ポット2の内部形状に追従して変形可能な硬度・厚さに設定される。図5(a)に示すように、培地1を栽培ポット2に収容した場合、培地1の外周面20cは、栽培ポット2の内側に形成されたガイドリブ32によって径方向内側に押圧される。支持層23は、ガイドリブ32による押圧力に従って変形し、当該ガイドリブ32との当接位置付近において、径方向内側へ湾曲する。支持層23の追従可能性は、繊維束20の外周面20cを熱処理する際の加熱条件を適切な条件に設定し、繊維同士の融着度合いを調整することによって実現できる。すなわち、第2の繊維22の融着度合いを弱め、繊維束20がばらばらに解けない程度に成型すると、栽培ポット2への充填時に培地1の形状が変形して、栽培ポット2の内面形状に追従させることが可能である。
なお、第2の繊維22は、繊維束20のうち、少なくとも支持層23が形成される位置に配置されていればよい。すなわち、繊維束20のうち、支持層23を除く領域では、少なくとも第1の繊維21が束ねられていればよく、第2の繊維22が配置されていなくともよい。ただし、繊維束20の全領域において第1の繊維21と第2の繊維22が混在してもよい。第2の繊維22を外周面22c側にのみ配置する場合、第2の繊維22の使用本数を減らすことができる。第2の繊維22を全域にわたって混在させる場合、製造時において、外周面20c側のみに第2の繊維22を配置する手間を省略することができる。
第1の繊維21は、生分解性を有する繊維であれば特に限定されないが、例えば、セルロース繊維、または動物性繊維を適用してよい。セルロース繊維としては、麻、綿等の天然セルロース繊維、キュプラ、ビスコースレーヨン、ポリノジックレーヨン等の再生セルロース繊維、精製セルロース繊維などであるが、繊維内の不純物が少ない再生セルロース繊維、精製セルロース繊維、特に再生セルロース繊維が好適である。また繊維の形態は短繊維、長繊維いずれも用いることが出来るが、好ましくは長繊維、更に好ましくは脱落繊維量の少ない連続長繊維である。動物性繊維として、例えば、羊毛、絹などが適用される。第1の繊維21は、吸水時においても、有害物質を溶出しない。なお、第1の繊維21として、複数種類の繊維を混在させてもよい。
第2の繊維22は、生分解性を有する繊維であって、第1の繊維21より融点が低く、バインダーとして本発明が目的とする性能を満たすものであれば特に限定されないが、例えば、ポリエステル、ポリ乳酸樹脂、ポリブチレンサクシネート、ポリビニルアルコールなどを適用してよい。特に、ポリ乳酸樹脂を適用することが好ましい。第2の繊維22は、吸水時においても、有害物質を溶出しない。なお、第2の繊維として、複数種類の繊維を混在させてもよい(ただし、全ての繊維の融点は、第1の繊維21として機能する繊維の融点より低い)。
第1の繊維21の太さは、1〜30μmであってよい。第2の繊維22の太さは、1〜30μmであってよい。第1の繊維21と第2の繊維22との太さは、同じであってもよく、異なっていてもよい。また、繊維束20中の各繊維の太さは均一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
繊維束20の繊維の密度、すなわち第1の繊維21、及び第2の繊維の密度は、0.07〜0.3g/cmであってよい。なお、繊維束20のうち支持層23以外の領域が第1の繊維21のみによって構成されている場合も、当該領域での第1の繊維21の密度は0.07〜0.3g/cmであってよい。当該範囲よりも密度が小さい場合、植物Gの根Rの支持力が弱くなる場合がある。一方、当該範囲よりも密度が大きい場合、根Rの成長が阻害される場合がある。
少なくとも支持層23における第2の繊維22の混合割合は、繊維全体(第1の繊維21及び第2の繊維22の合計)に対する30%程度であることが好ましい。繊維束20を維持できるように第2の繊維22がバインダーとしての機能、根を成長させるための繊維同士の間隙及び吸水性を発揮し得る限り、どのような混合割合としてもよい。ただし、支持層23以外の領域では、第2の繊維22の混合割合は前記範囲よりも少なくてよい。
次に、培地1の製造方法について説明する。まず、第1の繊維21及び第2の繊維22の束を準備する。各繊維を所定の割合にて混合した後、両繊維21,22を繊維方向D1に真っ直ぐ延ばし、培地1の直径に設定した状態で、外周面20cに熱処理を施すことによって支持層23を形成する。その後、繊維束20を培地1の長さにカットする。しかしこれに限らず、繊維束20を培地1の長さにカットした後で、外周面20cに熱処理を施してもよい。なお、短繊維である場合、繊維束の長さの設定によっては、カットを省略できる場合がある。
例えば、第1の繊維21としてキュプラの繊維を採用し、第2の繊維22としてポリ乳酸の繊維を採用した場合の例について説明する。まず、第1の繊維21としてキュプラの繊維を混合率70%程度、第二の繊維22としてポリ乳酸の繊維を混合率30%程度の割合で混在させて構成し、その外周面20cをポリ乳酸の融点である170℃以上で加熱し、熱融着させる。ポリ乳酸繊維の融点は約170℃であるため繊維の表層において熱溶融するが、キュプラは軟化、溶融しない(ただし、キュプラは、260〜300℃で着色分解し始める性質を有するので、この温度未満の熱を付与する)。
キュプラは、コットンリンターを主原料とするセルロース繊維であり、生分解性を有するものである。また、ポリ乳酸も、生分解性(環境中の水分により加水分解を受け低分子化され、微生物などにより最終的には二酸化炭素、水に分解される)を有し、形態維持性を有し(融点が約170℃のため、培地として円柱状に成型するにあたり、円の周囲に熱をかければ形状を維持でき、接着剤等を必要としない)、安全性を有する。なお、ポリ乳酸は植物起源の素材から合成できるバイオプラスチックの一つである。ブドウ糖(グルコース)・砂糖(スクロース)などに乳酸菌を作用させると、その発酵作用により乳酸が得られる。
次に、栽培ポット2の構成について説明する。図5(a)は、栽培ポット2を上方から見た図を示し、図5(b)は、図5(a)に示すVb−Vb線に沿った断面図を示す。図3及び図5に示すように、栽培ポット2は、上端側が開口すると共に、培地1を配置するための空間を内部に有する本体部31と、本体部31の内側の側面から突出するガイドリブ32と、本体部31の上端側の開口部を取り囲む鍔部33と、を備えている。栽培ポット2は、上端側の開口部から培地1を挿入可能に構成されている。当該挿入方向は、培地1の繊維方向D1と一致している。すなわち、培地1は、繊維方向D1が上下方向に一致するような姿勢で、栽培ポット2に支持される。
栽培ポット2は、例えば、樹脂を成形することによって構成される。樹脂としては、PP、PE等を適用してよい。なお、PPを適用した場合、PEを採用した場合に比して栽培ポット2を硬くすることができるため、植物Gをより確実に支持することができる。
栽培ポットは、光に対して遮蔽性を有する(光を透過しない)。すなわち、栽培ポット2(少なくとも表面)は、反射性を有する色であって、光透過性を有さず不透明である。具体的に、栽培ポット2は、明度が0以外、すなわち黒色以外の色とされており、本実施形態では白色とされている。上方から照射された光等が、栽培ポット2を透過して、栽培トレイ3中の養液に入り込むことを防止できる。これによって、栽培トレイ3中に藻などが繁殖することを防止できる。なお、栽培ポット2を構成する材料自体の色が反射性を有する不透明な色であってよく、栽培ポット2の表面に反射性を有する不透明な色を付すような処理をしてもよい。
本体部31は、上方から下方へ向かって先細りとなるようなテーパーを有する円錐台状の形状を有している。本体部31の上下方向における大きさは特に限定されないが、培地1及び植物Gを十分に支持できるように、繊維方向D1において培地1の略全域を支持できる程度の大きさに設定される。本体部31は、光を遮蔽するための遮蔽領域E1と、内部に配置された培地1に養液を取り込むと共に植物Gの根Rを通過させるための開口部であるスリット35が形成された貫通領域E2と、を備えている。遮蔽領域E1は、本体部31の上端側に形成され、貫通領域E2は、本体部31の下端側に形成されている。具体的には、本体部31の円錐台筒状の周壁部34に対し、遮蔽領域E1では貫通孔を設けず、貫通領域E2では周方向に複数の貫通孔を設けることでスリット35を形成する。なお、本体部31の円錐台筒状の周壁部34の下端部には円環状の底壁部36が設けられている。底壁部36には、中心位置に貫通孔37が形成されている。当該貫通孔37の径は、培地1の径よりも小さい。
周壁部34の開口部である、スリット35は、周壁部34に対して、中心軸線CL周りに一定角度で同形状の貫通孔を形成することによって構成されている。スリット35は、上下方向に延びる略矩形状の形状を有している。本実施形態では、周方向に六個のスリット35が形成されているが、数量は特に限定されない。スリット35の下端は、底壁部36まで延びている。スリット35の上端35aは、遮蔽領域E1と貫通領域E2との境界位置に設定される。なお、上端35aの位置、すなわちスリット35の上下方向の大きさは、上方からの光が養液に入り込むことを十分に防止できる程度に遮蔽領域E1が確保されていれば、どのような大きさに設定してもよい。本実施形態では、上端35aは本体部31の上端側に配置されており、上下方向において貫通領域E2が遮蔽領域E1よりも大きく確保されている。スリット35を大きく確保することにより、植物Gの根Rが通過することのできる範囲を広くすることができる。スリット35の周方向の大きさ、すなわちスリット35の一方の側端35bと他方の側端35bとの間の周方向における距離は、本体部31の貫通領域E2の強度を確保できる限り、どのような大きさに設定してもよい。一のスリット35の側端35bと、隣り合う他のスリット35の側端35bとの間には、本体部31の周壁部34が残存しており、当該部分は、遮蔽領域E1と底壁部36とを連結する上下方向に延びる連結部38として構成されている。
遮蔽領域E1は、開口の存在しない周壁面構造であり、貫通領域E2はスケルトン構造である。後述する水栽培装置100の栽培トレイ3の貫通孔14に設置したときに、遮蔽領域E1と貫通領域E2との境界位置が、養液水面にほぼ一致するように設定される。
ガイドリブ32は、培地1を栽培ポット2へ挿入する際に、当該培地1をガイドすると共に、挿入後は、培地1を保持する機能を有する。ガイドリブ32は、上方から見たときに(図5(a)に示す状態)、本体部31の内周面31aから中心軸線CLへ向かって突出する板状のリブである。ガイドリブ32は、上下方向において本体部31の略全域に亘って延びている。ガイドリブ32は、貫通領域E2においては、連結部38の内周面に設けられている。ガイドリブ32の径方向における内側の先端部32aは、培地1の外周面20cと当接することによって、当該培地1を支持する部分である。先端部32aは、上下方向に略平行に延びている。先端部32aは、培地1を本体部31に挿入したときに、当該培地1を押圧可能となる位置に配置されている。本実施形態では培地1は円柱状の形状をなしているため、上方から見たとき(図5(a)に示す状態)の、中心軸線CLと先端部32aとの間の寸法は、培地1の半径よりも小さくなるように設定されている。これによって、培地1の外周面20c(すなわち支持層23)は、ガイドリブ32の先端部32aに追従して変形する。ガイドリブ32の先端部32aの上端側には、切欠部32bが形成されている。これによって、培地1を挿入し易くなる。本体部31に挿入された後、培地1は、根の成長、吸水によって、本体部31の中で膨らんだ状態で充填される。
本体部31の上端の縁部には、上方へ向かって真っ直ぐに延びる円筒部39が形成されており、当該円筒部39の上端の縁部から、外周側へ広がる鍔部33が形成される。円筒部39は、栽培ポット2を栽培トレイ3の蓋体7の貫通孔14にセットしたときに、貫通孔14の内周面と対向する部分である。栽培ポット2のがたづきを抑制するために、円筒部39に貫通孔14と接触する突起を設けてもよく、貫通孔14に円筒部39と接触する突起を設けてもよい。鍔部33は、上方へ向かうに従って、外周側へ向かうように広がっている。このような構成により、鍔部33の内周面は、上方からの光を内側へ向かって反射させる反射面33aとして機能する。反射面33aで反射された光は植物Gへ照射されることにより、植物Gの成長が促進される。なお、反射面33aは、湾曲していてもよく、平面状であってもよい。反射面33aの光の反射率は、例えば50〜100%である。
上述のような水栽培装置100を用いて水栽培をするための、水栽培用の植物の種子付キット200について、図6を参照して説明する。図6に示すように、例えば、水栽培用の植物の種子付キット200は、植物の種子を包装した包装物201、栽培ポット2を包装した包装物203、培地1を包装した包装物204を備え、本体ユニット4を包装した包装物205、及び栽培トレイ3を包装した包装物206と一緒に梱包される。更に、栽培トレイ3の適量の養液を包装した包装物202をも同梱される。このように、水栽培用の植物の種子付キット200では、植物の種子(種子は、例えば、バジル、ウォータークレソン、ルッコラ、チャイブ、キンサイ、チャービル等のハーブや葉物野菜等である。)×3種、養液×1袋、栽培ポット2×3ケ、培地1×3ケ、本体ユニット4、及び栽培トレイ3が別々に包装された部品として構成されている。すなわち、各包装物201,202,204,203,205,206は、初回販売時において一つのセットとして梱包されていることが好ましい。
一方、上記水栽培用の植物の種子付キット200を構成する、植物の種子を包装した包装物201は種類ごとに、栽培ポット2を包装した包装物203、及び培地1を包装した包装物204は、消耗品、交換部品として単品で別売りとし、さらに養液を包装した包装物202を同様に消耗品として単品で別売りとすることができる。また、本体ユニット4を包装した包装物205、及び栽培トレイ3を包装した包装物206についても、交換用として単品で別売りとしてもよい。なお、本体ユニット4が備える人工照明器具の点灯又は消灯時刻を設定するタイマー、種子発芽用コップやピンセット等もオプション品として同時に販売することができる。
次に、上述のような水栽培用の植物の種子付キット200を用いた植物の水栽培方法について、図7及び図8を参照して説明する。まず、図7(a)に示すように、植物の種子を包装物201から取り出し、コップ内の水に浮かべる。コップ内には、単に水道水を入れるだけでよい。この状態では1日後には、種子から根が出て、3〜5日後には図7(b)に示すように、発芽する。次に、培地1を湿らせておき、発芽した種子をピンセットでつまみ、図7(c)に示すように培地1に植え込む。発芽した種子を植え込んだ状態の培地1を、図7(d)に示すように、栽培ポット2内に収容する。
次に、図8(a)に示すように、培地1を収容した栽培ポット2を栽培トレイ3の蓋体7にセットし、種子付ユニットとする。一方で、図8(b)に示すように、栽培トレイ3の貯留槽6に水をためておき、包装物202の養液を水の中に入れて撹拌しておく。図8(c)に示すように、貯留槽6に蓋体7をセットし、本体ユニット4の照明を点灯することによって、水栽培が開始される。
次に、本実施形態に係る水栽培用の培地1、水栽培用の栽培ポット2、水栽培用の植物の種子付キット200、水栽培の方法、及び培地1の製造方法の作用・効果について説明する。
従来の水栽培を行うものとして、以下のようなものが知られている。水栽培用の栽培床は、植物の発芽、成長後に植え替えをすることが必要であるため、例えば、水栽培用の栽培床の培地の一部をくり抜き、種を付ける培地を、そのくり抜いた部分に嵌め込んで戻した栽培パネル等が使用されている。また、培地には土や代替土等が使用される。この栽培パネルを使用すれば、植物の発芽成長後の植え替えが簡便である。すなわち、葉物野菜の収穫をする際に、栽培床から植物の根の絡まった培地を抜き取り、予め制作しておいた新たな培地を嵌め込んで再度植物の栽培に使用することができる。
あるいは、培地を容器に挿入してキット化したものも知られている。このキットは、ウレタン樹脂を主材とする培地を、樹脂製のスケルトンの容器に充填してウレタン樹脂に種子を付しておくものである。これによれば、養液にさすだけで確実に発芽し、根の成長、固定を誘引できる。
しかしながら、上述のような構成では、以下のような問題がある。すなわち、培地に方向性がないので根が成長しにくい。また、培地の材料によっては、水に浸けると有害物質が溶け出す可能性がある。
一方、本実施形態に係る水栽培用の培地1は、生分解性を有する第1の繊維21と、生分解性を有する第2の繊維22によって構成されているため、栽培ポット2に収容して栽培トレイ3の養液に浸した状態でも、有害物質が養液に移行することがない。また、所定の繊維方向D1に延びる第1の繊維21と所定の繊維方向D1に延びる第2の繊維22とを束ねて繊維束20としており、外周側に繊維同士の隙間を保持した状態で繊維束を支持する支持層23が形成されている。これによって、繊維束20中には繊維方向D1に延びるような連続的な隙間が形成される。従って、種子から伸びた根は、繊維方向D1に太く長く伸び易くなるのみならず、繊維同士の隙間を通ることによって、繊維方向と交差する方向へも伸び易くなる。また、繊維束20の外周側に形成される支持層23は、第1の繊維21と同じ繊維方向D1に延びる第2の繊維22をバインダーとして熱処理をすることによって形成されている。従って、支持層23では、繊維束20の内側と同じく、繊維方向D1に延びるような連続的な隙間が形成された繊維構造が維持される。従って、支持層23においても繊維方向D1と交差する方向への根の成長が阻害されることがなく、植物の成長が促進される。また、繊維束20の外周面20cは、栽培ポット2の内部形状に追従して変形可能であるため、栽培ポット2の内部形状を植物の成長に適した形状、培地をがたつきなく確実に支持できるような形状とした場合に、当該内部形状に追従して確実に収容することができる。これによって、植物の成長が促進される。以上により、養液等に有害物質が溶け込むことがなく水栽培の安全性を向上できると共に、根が太く長く伸び易く、養液等からの栄養分の吸収が良くなり、植物の成長を促進することができる。
また本実施形態に係る水栽培用の培地1の製造方法によれば、上述のような効果を奏する培地1を製造することができる。
また、本実施形態に係る培地1は、種子を植える機能と同時に水を吸い上げて吸水する機能も同時に有しているため、植物を確実に生育することができる。また、生育後は簡単に廃棄できる構造となっているため、廃棄の際も有害物質が発生しない。
また、本実施形態に係る水栽培の培地1において、繊維束20の繊維の密度は、0.07〜0.3g/cmである。これによって、培地1の繊維の密度を、植物の根が成長するのに最適なものとすることができる。繊維の密度が上記の範囲であれば、繊維束20の密度が高すぎて植物の根が太く伸びることを妨げたり、繊維束20の密度が低すぎて毛細管現象を誘発せずに吸水性が悪くなることがない。
また、本実施形態に係る培地1において、第1の繊維21の太さ、及び第2の繊維22の太さは、1〜30μmである。これによって、培地1の繊維の太さを、植物の根が成長するのに最適なものとすることができる。繊維の太さが上記の範囲であれば、繊維の隙間が小さすぎて植物の根が太く伸びることを妨げたり、繊維同士の隙間が大きすぎて毛細管現象を誘発せずに吸水性が悪くなることがない。
また、本実施形態に係る培地1において、第1の繊維21は、セルロース繊維又は動物性繊維である。これらの材料は生分解性を有する第1の繊維21に適切な材料として用いることができる。
また、本実施形態に係る培地1において、第2の繊維22は、ポリ乳酸繊維である。これらの材料は生分解性を有すると共に、バインダーである第2の繊維22に適切な材料として用いることができる。
本実施形態に係る水栽培用の栽培ポット2は、上端側が開口すると共に培地1を配置するための空間を内部に有する本体部31を備えているため、本体部31で培地1を支持することが可能となり、成長した植物を確実に支持することができる。また、本体部31の上端側の開口部を取り囲む鍔部33、及び本体部31を形成する少なくとも表面は、光に対して遮蔽性を有する。すなわち、少なくとも鍔部33及び本体部31の表面で光を遮蔽することで、光が栽培ポット2を透過して、栽培トレイ3中の養液に至ることによる栽培トレイ3内で藻などが繁殖することを防止できる。
また、鍔部33は、上方からの光を内側へ向かって反射させる反射面33aを有しており、これによって、鍔部33の反射面33aで反射した光が内側の植物の葉等へ向かうことにより、植物の葉の光合成を促し、植物の成長が促進される。
また、本体部31は、鍔部33と連続する上部が開口部のない周壁である遮蔽領域E1で覆われ、下部には開口部であるスリット35を有する貫通領域E2が設けられている。これによって、本体部31の下部では、スリット35を介して植物の根を太く長く伸ばすことができる一方、本体部31の上部では、開口部のない周壁である遮蔽領域E1で光を遮蔽することで、光が本体部31を透過して、栽培トレイ3中の養液に至ることによる栽培トレイ3内で藻などが繁殖することを防止できる。
また、本体部31は、側面の内側から突出するガイドリブ32を備えている。これによって、ガイドリブ32で培地1を支持することが可能となり、成長した植物を確実に支持することができる。また、本体部31の側面と培地1との間に隙間を形成することができるため、培地1の側面から伸びる根の成長を促進することができる。
また、栽培ポット2は、樹脂で一体的に形成されたものであり、その中に培地1を十分にガイドリブ32で固定することができる。従って、栽培ポット2が変形することはなく、培地1が十分に支持されているため、栽培ポット2が栽培トレイ3から脱落することや、植物が倒れることが防止される。また、栽培ポット2が下方へ向かってテーパーを有しているため、栽培トレイ3に引っかかることなくスムーズに挿入することができる。
本実施形態に係る水栽培用の植物の種子付キット200において、植物の種子、養液、培地1、栽培ポット2は、別々に包装された部品として構成されている。また、本実施形態に係る水栽培の方法は、種子付キット200を用い、植物の種子を水に浮かべて予め発芽させておき、発芽後に当該種子を培地1に植え込み、当該培地1を栽培ポット2に収容して構成された種子付ユニットを所定の栽培トレイ3に配置する。ここで、この種子付キット200は、予め栽培ポット2に培地1を充填して種子を付したもの(カートリッジ状態にしたもの)を1セットずつ作製して販売することができる。このようにすればユーザーは手間をかけずに家庭用の水栽培を行うことができる。一方、栽培ポット2、種子、培地1を予めばらばらに部品化して消耗品、交換部品として販売することができ、上述のような水栽培用の植物の種子付キット200を用い、上述のような水栽培の方法を採用することできる。これによって、ユーザーの趣向(例えば、植物を育てるために一定のお世話をしたい等)沿ったサービスを提供することできる。ユーザーが必要なときに必要なだけ植物を栽培することができる。また、無駄を省き、廃棄物も最小限に抑えることができる。なお、耕栽培装置100の栽培トレイ3に入れるべき容量の養液を、包装された部品として種子付キット200の構成部品として販売することができる。また、水耕栽培装置100の本体ユニット4や栽培トレイ3も単体で販売することができる。
また、培地1と種子を分離すれば種の管理が容易になる。また、種子が一体になった培地を採用した場合と異なり、輸送中に種が培地1から落ちることがなく、種子を固定するための糊も不要なため種子が汚れず、不純物が付着しない。また、パッケージしてあるため、販売が非常に容易である。更に、培地1と種子だけも販売できるので輸送コストが大幅に削減される。また、培地に植え込む前に種子を予め水に浮かべて発芽させておくことで、外的要因に阻害されることなく、確実に発芽させることができる。
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、培地の形状、栽培ポットの形状等は本発明の趣旨を変更しない範囲で適宜変更してもよく、水栽培の手順も適宜変更してよい。
1…培地、2…栽培ポット(容器)、3…栽培トレイ、4…本体ユニット、6…貯留槽、7…蓋体、20…繊維束、21…第1の繊維、22…第2の繊維、23…支持層、31…本体部、32…ガイドリブ(突出部)、33…鍔部、200…水栽培用の植物の種子付キット、201…植物の種子を包装した包装物、202…養液を包装した包装物、203…栽培ポット2を包装した包装物、204…培地1を包装した包装物、205…本体ユニット4を包装した包装物、206…栽培トレイ3を包装した包装物。

Claims (12)

  1. 所定の容器に収容されて栽培トレイに配置するための水栽培用の植物の種子または根を植え込むための培地であって、
    所定の繊維方向に延びると共に生分解性を有する第1の繊維を少なくとも束ねることによって形成される繊維束を備え、
    前記繊維束は、前記繊維方向に延在することによって一端面、他端面及び外周面を有し、
    前記繊維束の前記外周面側には、繊維同士の隙間を保持した状態で前記繊維束を支持する支持層が形成され、
    前記支持層は、前記第1の繊維と、前記繊維方向に延びると共に生分解性を有する第2の繊維とが配置され、前記第2の繊維をバインダーとして熱処理がなされることによって形成され、
    前記繊維束の前記外周面は、前記容器の内部形状に追従して変形可能であることを特徴とする水栽培用の培地。
  2. 前記繊維束の繊維の密度は、0.07〜0.3g/cmであることを特徴とする請求項1に記載の水栽培用の培地。
  3. 前記第1の繊維の太さ、及び前記第2の繊維の太さは、1〜30μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の水栽培用の培地。
  4. 前記第1の繊維は、セルロース繊維又は動物性繊維であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の水栽培用の培地。
  5. 前記第2の繊維は、ポリ乳酸繊維であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の水栽培用の培地。
  6. 水栽培用の植物の種子または根を植え込むための培地を収容し、栽培トレイに配置するための容器であって、
    上端側が開口すると共に、培地を配置するための空間を内部に有する本体部と、
    前記本体部の上端側の開口部を取り囲む鍔部と、を備え、
    前記本体部及び鍔部を形成する少なくとも表面は、光に対して遮蔽性を有することを特徴とする水栽培用の容器。
  7. 前記鍔部は、上方からの光を内側へ向かって反射させる反射面を有することを特徴とする請求項6に記載の水栽培用の容器。
  8. 前記本体部は、前記鍔部と連続する上部が開口部のない周壁で覆われ、下部には開口部が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の水栽培用の容器。
  9. 前記本体部は、側面の内側から突出する突出部を備えていることを特徴とする請求項6に記載の水栽培用の容器。
  10. 植物の種子、請求項1〜5の何れか一項に記載の培地、請求項6〜9の何れか一項に記載の容器は、別々に包装された部品として構成されていることを特徴とする水栽培用の植物の種子付キット。
  11. 請求項10に記載の種子付キットを用いる植物の水栽培の方法であって、
    前記植物の種子を水に浮かべて予め発芽させておき、発芽後に当該種子を前記培地に植え込み、当該培地を前記容器に収容して構成された種子付ユニットを所定の栽培トレイに配置することを特徴とする水栽培の方法。
  12. 所定の容器に収容されて栽培トレイに配置するための水栽培用の植物の種子または根を植え込むための培地の製造方法であって、
    所定の繊維方向に延びると共に生分解性を有する第1の繊維と、所定の繊維方向に延びると共に生分解性を有して少なくとも外周側に配置される第2の繊維と、を束ね、前記繊維方向に延在することによって一端面、他端面及び外周面を有する繊維束を形成し、
    前記繊維束の前記外周面側に対して、前記第2の繊維をバインダーとして熱処理することによって、繊維同士の隙間を保持した状態で前記繊維束を支持する支持層を形成することを特徴とする水栽培用の培地の製造方法。
JP2013036453A 2013-02-26 2013-02-26 水栽培用の培地、容器、植物の種子付キット、水栽培の方法、及び培地の製造方法 Pending JP2014161297A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013036453A JP2014161297A (ja) 2013-02-26 2013-02-26 水栽培用の培地、容器、植物の種子付キット、水栽培の方法、及び培地の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013036453A JP2014161297A (ja) 2013-02-26 2013-02-26 水栽培用の培地、容器、植物の種子付キット、水栽培の方法、及び培地の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014161297A true JP2014161297A (ja) 2014-09-08

Family

ID=51612551

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013036453A Pending JP2014161297A (ja) 2013-02-26 2013-02-26 水栽培用の培地、容器、植物の種子付キット、水栽培の方法、及び培地の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2014161297A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018029501A (ja) * 2016-08-23 2018-03-01 賢司郎 永田 一般家庭向け簡易水耕栽培装置
WO2018066022A1 (ja) * 2016-10-03 2018-04-12 株式会社デアゴスティーニ・ジャパン 植物栽培装置
JP2019017303A (ja) * 2017-07-18 2019-02-07 菱熱工業株式会社 栽培用ケース
CN111439487A (zh) * 2020-05-15 2020-07-24 代尔夫(天津)农业科技有限责任公司 一种用于运输蔬菜的储运盒
USD1011231S1 (en) * 2023-05-02 2024-01-16 Hao Pan Hydroponic tower
JP7485450B2 (ja) 2019-02-05 2024-05-16 カルティヴェーション システムズ ビー.ヴイ. 浮遊パネル、および浮遊パネルを用いて植物を成長させる方法

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018029501A (ja) * 2016-08-23 2018-03-01 賢司郎 永田 一般家庭向け簡易水耕栽培装置
WO2018066022A1 (ja) * 2016-10-03 2018-04-12 株式会社デアゴスティーニ・ジャパン 植物栽培装置
JPWO2018066022A1 (ja) * 2016-10-03 2019-07-25 プランツラボラトリー株式会社 植物栽培装置
JP2019017303A (ja) * 2017-07-18 2019-02-07 菱熱工業株式会社 栽培用ケース
JP7485450B2 (ja) 2019-02-05 2024-05-16 カルティヴェーション システムズ ビー.ヴイ. 浮遊パネル、および浮遊パネルを用いて植物を成長させる方法
CN111439487A (zh) * 2020-05-15 2020-07-24 代尔夫(天津)农业科技有限责任公司 一种用于运输蔬菜的储运盒
USD1011231S1 (en) * 2023-05-02 2024-01-16 Hao Pan Hydroponic tower

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2014161297A (ja) 水栽培用の培地、容器、植物の種子付キット、水栽培の方法、及び培地の製造方法
US8474180B2 (en) Method and substrate for cultivating a plant
US4328641A (en) Method and receptacle for growing plants
CN105208851B (zh) 用于移植植物的嵌件和装置
WO2015181278A1 (en) Systems for cultivating plants with aerial roots
JP5216614B2 (ja) 養液栽培ユニット
JP2012223177A (ja) 観葉植物の育成方法およびこれに用いる部材と植木鉢
JP2018191560A (ja) 一般家庭向け簡易水耕栽培装置
KR20220094635A (ko) 식물배양용 배지 및 이를 위한 재배장치
KR100707240B1 (ko) 수경재배기구
JP2018061465A (ja) 水耕栽培用定植板、水耕栽培用定植板の製造方法および水耕栽培装置
JP2014079232A (ja) 培地及びそれを用いた植物の栽培方法
JP4044695B2 (ja) 養液栽培パネル及びこのパネルを使用した養液栽培装置
JP2020005566A (ja) 植物育成体及び植物育成容器
JP2008199899A (ja) 人工培土およびこれを用いた植物栽培方法
JP2012024024A (ja) 交雑防止または交差防止用の部材および植物栽培装置ならびに植物栽培方法。
JP3777308B2 (ja) 育苗資材および育苗方法
JP2004350655A (ja) 植物栽培装置
JP3167686U (ja) 植物栽培セット
JP3009115U (ja) 水耕栽培用装置
JP2015188360A (ja) 植物栽培用培地
JP2017127223A (ja) 水耕栽培装置
US20170339843A1 (en) Method and device for producing a stabilized growing medium for cultivation of a plant or seedling
KR20200122794A (ko) 씨앗캡슐을 이용한 수경재배장치
JP2022038368A (ja) 植物栽培用繊維集合体