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JP2014155661A - 薬液用容器、薬液注入システム、及び薬液用容器の製造方法 - Google Patents

薬液用容器、薬液注入システム、及び薬液用容器の製造方法 Download PDF

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JP2014155661A JP2013029208A JP2013029208A JP2014155661A JP 2014155661 A JP2014155661 A JP 2014155661A JP 2013029208 A JP2013029208 A JP 2013029208A JP 2013029208 A JP2013029208 A JP 2013029208A JP 2014155661 A JP2014155661 A JP 2014155661A
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Shigeru Nemoto
茂 根本
Munehito Kurimoto
宗仁 栗本
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Abstract

【課題】高い生物学的安全性と高い光透過率とを備えると共に、割れにくい薬液用容器を提供する。
【解決手段】薬液用容器は、ポリ環状オレフィン樹脂90〜70wt%と、オレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂10〜30wt%とを合計100wt%となる比率で含む混合材料から形成される。薬液注入システム1は、薬液用容器としてのシリンジ220と薬液用容器が装着される薬液注入装置110とを備える。混合材料を調製し射出成形することにより薬液用容器を成形する。
【選択図】図1

Description

本発明は、薬液が充填される薬液用容器、特にポリ環状オレフィン樹脂とオレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂との混合材料から形成された薬液用容器、該薬液用容器を備える薬液注入システム、及び該薬液用容器の製造方法に関する。
従来、薬液が充填されるシリンジの外筒の材料としてポリエチレン樹脂及びポリプロピレン樹脂等が知られていた。例えば、特許文献1には、シリンジ外筒の材料として、ポリプロピレン樹脂が例示されている。
特開2010−69320号公報
しかし、ポリエチレン樹脂又はポリプロピレン樹脂は、結晶性樹脂のため透明なシリンジを得ることが難しく、充填した薬液の性情を確認しにくいという問題があった。そこで、透明なシリンジを得るために、ポリ環状オレフィン樹脂によりシリンジを形成することが考えられる。溶出物が少ないポリ環状オレフィン樹脂により形成したシリンジは、高い生物学的安全性と高い透明度とを備える。一方、該シリンジは伸びにくいため、薬液の注入時に高圧がかかりシリンジが膨張すると割れが生じる可能性がある。このようなシリンジの割れを防ぐためには、シリンジを耐圧カバー内に挿入した状態で薬液を注入することができる。しかし、耐圧カバーとシリンジとの間には、公差に起因する隙間が生じるので、シリンジの割れを確実に防ぐことは困難である。
上記課題を解決するため、本発明の一例としての薬液用容器は、ポリ環状オレフィン樹脂90〜70wt%と、オレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂10〜30wt%とを合計100wt%となる比率で含む混合材料から形成されることを特徴とする。
また、本発明の他の例としての薬液注入システムは、ポリ環状オレフィン樹脂90〜70wt%と、オレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂10〜30wt%とを合計100wt%となる比率で含む混合材料から形成された薬液用容器と、前記薬液用容器が装着される薬液注入装置とを備えることを特徴とする。
また、本発明の他の例としての薬液用容器の製造方法は、ポリ環状オレフィン樹脂90〜70wt%と、オレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂10〜30wt%とを合計100wt%となる比率で含む混合材料を調製し、前記混合材料を射出成形することにより薬液用容器を成形することを特徴とする。
これにより、高い生物学的安全性と高い光透過率とを備えると共に、割れにくい薬液用容器を提供することができる。特に、薬液用容器を耐圧カバー内に挿入した状態で薬液を注入する薬液注入システムに用いられる際に、割れにくい薬液用容器を提供することができる。
本発明のさらなる特徴は、添付図面を参照して例示的に示した以下の実施例の説明から明らかになる。
薬液注入システムを説明する概略図である。 薬液用容器を説明する概略図である。 薬液用容器の変形例を説明する概略図である。 薬液用容器の変形例を説明する概略図である。 薬液用容器の変形例を説明する概略図である。
以下、本発明を実施するための例示的な実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下の実施形態で説明する形状、構成要素の相対的な位置等は任意であり、本発明が適用される装置の構成又は様々な条件に応じて変更できる。また、特別な記載がない限り、本発明の範囲は、以下に具体的に記載された実施形態に限定されるものではない。
図1に示すように、薬液注入システム1は、薬液用容器が装着される薬液注入装置としての注入ヘッド110と、注入ヘッド110に並列且つ着脱自在に装着される2組のシリンジアセンブリ200とを備える。なお、図1においては、説明の簡略化のために1組のシリンジアセンブリ200のみが示されているが、シリンジアセンブリ200は1つ又は3つ以上であってもよい。また、図1においては不図示であるが、薬液注入システム1は、注入ヘッド110を保持するスタンド、注入ヘッド110とケーブルを介して接続される注入制御ユニット、注入制御ユニットに設けられた表示手段及び入力手段としてのタッチパネル、注入制御ユニットに接続された補助的な入力手段であるハンドスイッチ、シリンジ220のノズル部221bに接続される耐圧延長チューブ等をさらに備えることができる。
注入制御ユニットは、複数設けることもできる。また、表示手段は、注入制御ユニットとは別体で設けることができる。なお、表示手段は表示機能のみを有するディスプレイであっても良く、この場合は入力手段としてハードキーボードが設けられ、当該ハードキーボードを用いて入力を行うことができる。また、注入ヘッド110は、天井から吊るすように配置することができる。さらに、注入ヘッド110は、カテーテルテーブルに取り付けるカテーテルスタンドに固定することもできる。
シリンジアセンブリ200は、薬液用容器としてのシリンジ220と、シリンジ220が挿入される耐圧カバー270とを有する。シリンジ220は、一般にロッドレスシリンジと呼ばれるシリンジ220であり、シリンダ221と、後述するピストン222とを有している。また、シリンダ221の末端には、フランジ221aが形成されており、シリンダ221の先端には、ノズル部221bが形成されている。
シリンジ220には薬液を充填することができ、ピストン222は、薬液を注入する際にシリンダ221の先端へ向けて移動される。これにより、充填されている薬液が、ノズル部221bを通じてシリンジ220から押し出される。そして、先端に注入針又はカテーテルが接続された延長チューブをノズル部221bに連結すると共に、注入針又はカテーテルを被験者の血管に挿入することにより、シリンジ220に充填された薬液を患者に注入することができる。シリンジ220に充填される薬液としては、造影剤、生理食塩水、抗癌剤等が挙げられ、例えば、2組のシリンジアセンブリ200の内、一方のシリンジに造影剤を充填すると共に、他方のシリンジに生理食塩水を充填することができる。なお、これらのシリンジとして、予め造影剤等が充填されたプレフィルドシリンジを用いることもできる。
耐圧カバー270は略円筒状の内部形状を有しており、ナイロン系樹脂(ダイアミド)又はポリカーボネート樹脂などの透明な樹脂材料から形成される。そして、シリンダ221は、耐圧カバー270の内部に挿入される。薬液注入中のシリンダ221の内圧上昇による膨張は、耐圧カバー270によって規制される。そのため、耐圧カバー270は、薬液注入中にシリンジ220に作用する内圧に十分に耐えることのできる強度を有する肉厚で形成されている。また、耐圧カバー270の内寸とシリンダ221の外寸とは、耐圧カバー270の内側とシリンダ221の外側との間に僅かなクリアランスが生じるように設定されている。具体的には、耐圧カバー270の内面とシリンダ221の外面との間に、クリアランスとして0.1〜2.0mmの隙間が生じる。これにより、シリンダ221を耐圧カバー270内に挿入することができる。なお、耐圧カバー270とシリンダ221とは、それぞれ所定の公差、例えばプラスマイナス0.3mmの範囲内で形成される。
耐圧カバー270の先端には、開口部が形成されている。そして、シリンダ221は、該開口部からノズル部221bを突出させた状態で耐圧カバー270に保持される。耐圧カバー270の末端にはカバーフランジ271が形成されており、カバーフランジ271にはシリンダ221のフランジ221aを受け入れる凹部が形成されている。なお、薬液に気泡が混入しているか否かを確認するために、耐圧カバー270は、シリンダ221内の薬液を目視し得る程度に透明な部材で形成されている。
装着されたシリンジアセンブリ200のピストン222を移動するために、注入ヘッド110には2つのピストン駆動機構130が設けられている。ピストン駆動機構130は、各シリンジアセンブリ200が装着される位置に対応して設けられていると共に、互いに独立して駆動される。また、ピストン駆動機構130は、ピストン222の末端に形成された凸部を保持するピストン保持機構(不図示)と、ピストン保持機構を進退移動させるロッド部材(不図示)とを有する。ピストン駆動機構130によってピストン222が移動することによって、シリンジ220内に充填されている薬液は、別々に、または同時に患者の体内に注入される。なお、ピストン駆動機構130には、一般的な薬液注入装置に用いられる公知の機構を採用することができる。
注入ヘッド110の先端部には、シリンジアセンブリ200の外周面を支持するように凹状の内面を有して構成されたシリンジ受け120と、シリンジアセンブリ200を注入ヘッド110に固定するためのシリンジホルダ140とが設けられている。シリンジ受け120は、シリンジアセンブリ200のシリンダ221に相当する部分を受ける少なくとも1つ以上凹部121を有する。なお、本実施形態においては、シリンジ受け120が2つの凹部121を有している。そして、シリンジアセンブリ200は、ノズル部221bを先端側に向けた状態で凹部121上に置かれる。また、薬液に気泡が混入しているか否かを確認するために、シリンジ受け120は、凹部121に置かれたシリンジアセンブリ200内の薬液を目視し得る程度に透光性を有している。つまり、シリンダ221内の薬液中に気泡がある場合、耐圧カバー270およびシリンジ受け120を通して気泡を目視できる。このシリンジ受け120は、例えばポリカーボネート樹脂などの透明な樹脂材料を用いて形成することができる。
図2に示すようにシリンジ220は、シリンダ221と、ピストン222とを有している。そして、ピストン222の外周にはOリング223が取り付けられており、シリンダ221とピストン222との間をOリング223でシールしている。なお、Oリング223に代えてDリングを用いることもできる。さらに、Oリング223はピストン222と一体的に形成することもでき、この場合はピストン222自体が熱可塑性エラストマー、ブチルゴム等の弾性材料から形成される。このように一体的に形成した場合には、シリンダ221内にエアが混入し難いという効果を奏する。また、シリンダ221のノズル部221bには、不図示のチューブ等が接続されるアダプタ224が設けられており、アダプタ224はダストカバー225によって覆われている。薬液をシリンダ221に充填する際、又は薬液を注入する際には、ダストカバー225を指で回してアダプタ224から引き抜くことにより、アダプタ224を露出させることができる。
ノズル部221bの表面上には少なくとも1つ以上のリブ226が形成されている。より具体的には、等間隔に配置された4つのリブ226が形成されており、各リブ226はアダプタ224からノズル部221bとシリンダ221との境界までの間において、ノズル部221bと平行に延在している。アダプタ224に接続したチューブ等をアダプタ224から取り外す際には、リブ226によってノズル部221bが滑りにくくなるのでチューブ等の取り外しが容易になる。また、リブ226を1つのみ形成する等、リブ226の数が少ない場合は、シリンダ221の設計が容易になるという利点がある。
なお、シリンジ220は、直接、注入ヘッド110に装着することもできる。この場合、シリンジ220のフランジ221aは、シリンジホルダ140に保持されるような形状を有する。また、フランジ221aをシリンジホルダ140に適合させるアダプタを介して、シリンジ220を注入ヘッド110に装着することもできる。さらに、シリンジアセンブリ200のシリンジ220は、ロッドレスシリンジに限られず、種々のシリンジに適合するように構成することが可能である。
シリンジ220としては、30ml、50ml、100ml、又は200ml等の種々のサイズのシリンジを用いることができる。また、シリンジ220は、特開2010−214048号に開示されているような、耐圧カバーを設けないタイプのシリンジであってもよい。この耐圧カバーを設けないタイプのシリンジについて、図3〜図5を参照して説明する。
図3のシリンジ220は、50mlサイズのシリンジであり、薬液が充填されるシリンダ221と、シリンダ221内に挿入されるピストン222とを備えている。また、シリンダ221の末端には、フランジ221aが形成されており、シリンダ221の先端には、ノズル部221bが形成されている。そして、ピストン222の先端には、熱可塑性エラストマー等から形成されたガスケット227が取り付けられている。このシリンダ221は耐圧カバーには挿入されず、シリンジ受けに直接載置される。なお、フランジ221aは、略楕円状の外形を有しているが、回転止めとして機能する切り欠きさらに設けることもできる。
図4のシリンジ220は、200mlサイズのプレフィルドシリンジであり、シリンジ全体の概略斜視図を左上に示し、シリンダ221を後端側から見た概略斜視図を右下に示している。このシリンジ220は、薬液が充填されたシリンダ221と、該シリンダ221内において摺動可能なピストン222と、該ピストン222の先端に取り付けられるガスケット227(不図示)とを備える。そして、ピストン222は、ガスケット227にねじ込むことによって取り付けられている。シリンダ221の先端部には、キャップ等の封止部材(不図示)が設けられており、シリンジ220を装着する前に封止部材が外されチューブがシリンジ220のノズル部221bに接続される。
また、シリンダ221の後端にはフランジ221aが形成されている。そして、フランジ221aは、薬液注入装置のアダプタに嵌めるための切り欠き313と、リング状のリブ314と、シリンダ221の後端方向に立ち上がったリブ315とを有する。そして、シリンジ220を装着する際には、シリンジ220のフランジ221aを薬液注入装置のアダプタに挿入し回転させることにより、フランジ221aを薬液注入装置のアダプタに嵌めて固定することができる。なお、図4においてはリブ315が5つ形成されているが、4つ以下又は6つ以上のリブ315を形成することもできる。
図5のシリンジ220は、100mlサイズのプレフィルドシリンジであり、シリンジ全体の概略斜視図を左上に示し、シリンダ221を後端側から見た概略斜視図を右下に示している。このシリンジ220も、薬液が充填されたシリンダ221と、該シリンダ221内において摺動可能なピストン222と、該ピストン222の先端に取り付けられるガスケット227(不図示)とを備える。図5においても、シリンダ221の後端にはフランジ221aが形成されており、該フランジ221aは、薬液注入装置のアダプタに嵌めるための切り欠き313と、リング状のリブ314とを有する。この図5に示すシリンジ220は、後端方向に立ち上がったリブ315を有していない点で図4とは異なる。ただし、図5において、板状のリブ315を形成することもできる。
耐圧カバーを設けないタイプのシリンジとして本発明に係るシリンジを用いた場合、一時的且つ急激にシリンダ内部に大きな内圧がかかったとしても、シリンダの破損又は破裂等を抑制することができる。また、フランジ221aに大きな力が加わった場合であっても、フランジ221aの破損が生じ難いという効果を奏する。なお、このような一時的且つ急激な内圧の変動は、例えば、キンク等によってチューブがねじれて閉塞したとき、又は三方活栓がoffとなる閉回路時に生じる可能性がある。
以下、薬液用容器としてシリンダを例に挙げて説明する。このシリンダは、ポリ環状オレフィン樹脂(PCO)と、透明なオレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂(TPO)との混合材料により形成されている。耐薬品性(高い生物学的安全性及び衛生性)と光透過率とを考慮すると、ポリ環状オレフィン樹脂と混合又は混練する柔軟な樹脂としては、オレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂が適しているからである。これにより、該混合材料により形成されたシリンダは、ポリ環状オレフィン樹脂のみから形成されたシリンダと比較して軟らかくなる。そのため、シリンダが膨張し得る範囲が大きくなり、薬液の注入時に高圧がかかってシリンダが膨張してもシリンダの割れを防ぐことができる。
上記ポリ環状オレフィン樹脂は、例えば下記式からなるものが挙げられる。
Figure 2014155661
上記ポリ環状オレフィン樹脂としては、特許第3291857号に記載されているようなものが挙げられる。また、上記ポリ環状オレフィン樹脂は、例えば以下の表1に示すような物性を示すものが挙げられる。
Figure 2014155661
また、上記オレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂としては、特開平7−157628号に記載されているようなものが挙げられる。また、上記オレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂は、例えば以下の表2に示すような物性を示すものが挙げられる。
Figure 2014155661
混合材料に含まれるオレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂の量を増やすと、シリンダが膨張してもシリンダの割れは生じにくくなる。一方、オレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂の量を増やすと、光透過率が低くなってしまうので薬液中の気泡を確認しづらくなってしまう。そこで、混合材料に含まれるオレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂の割合は、オレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂の増加を抑えつつ、薬液用容器の割れを確実に防止することができるように設定されることが好ましい。具体的には、シリンダが耐圧カバー内に挿入される場合、シリンダの外寸が耐圧カバーの内寸に一致するまでの範囲でシリンダが膨張するのであれば、シリンダの割れは生じない。
そのため、オレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂の量は、耐圧カバーの内寸の設計値に許容される公差の最大値を加えた値と、シリンダの外寸の設計値から許容される公差の最小値を減じた値との差に応じて設定することが好ましい。換言すると、混合材料に含まれるオレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂の量は、シリンダの膨張が許容される範囲に応じて設定することが好ましい。このような技術思想に基づいて本発明者らが鋭意努力した結果、混合材料は、ポリ環状オレフィン樹脂90〜70wt%と、オレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂10〜30wt%とを、合計100wt%となる比率で含むことが好ましいことが見出された。
ただし、混合材料に対するオレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂の割合が高い場合は、高温環境化においてシリンダが変形する可能性がある。例えば、シリンジに滅菌処理を施す際に、シリンダが変形する可能性がある。そのため、混合材料は、ポリ環状オレフィン樹脂85〜75wt%と、オレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂15〜25wt%とを、合計100wt%となる比率で含むことが好ましく、ポリ環状オレフィン樹脂80wt%と、オレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂20wt%とを含むことがより好ましい。
このような混合材料は、ポリ環状オレフィン樹脂のペレットと、オレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂のペレットとを、タンブラー・ミキサーで混合する(撹拌する)ことによって調製することができる。さらに、混合材料は、ポリ環状オレフィン樹脂のペレットと、オレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂のペレットとを二軸押出し機で混練する(溶融させながら混合する)ことによって調製することもできる。また、薬液用容器であるシリンジは、混合材料を射出成型機で射出成形することにより成形することができる。このようにして成形されたシリンジのシリンダにピストン(プランジャー及びガスケット)を装着し包装したものに滅菌処理を施した後に、製品として出荷される。
以上説明した本実施形態によれば、所定の割合に設定されたポリ環状オレフィン樹脂とオレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂とを含む混合材料により薬液用容器を形成することにより、高い生物学的安全性及び衛生性と高い光透過率とを備えると共に、割れにくい薬液用容器、該薬液用容器を備えた薬液注入システム、及び該薬液用容器の製造方法を提供することができる。また、薬液用容器を耐圧カバー内に挿入した状態で薬液を注入する薬液注入システムに用いられる際にも、割れにくい薬液用容器を提供することができる。さらに、混合材料に含まれるオレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂の量を、薬液用容器の膨張が許容される範囲に応じて設定することにより、高い光透過率を維持しながら薬液用容器の割れを確実に防止することができる。
なお、本発明に係る薬液用容器は、シリンジには限定されず、輸液バッグ、輸液ボトル(バイアル)、アンプル等であってもよい。また、薬液用容器は、一時的に薬液が収容される容器又は薬液が通過する容器であってもよく、例えば、透析に用いられるダイアライザーのハウジング等であってもよい。
ポリ環状オレフィン樹脂として、日本ゼオン株式会社製のゼオノア(登録商標)1020Rを用いた。また、オレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂として、三菱化学株式会社製のゼラス(登録商標)MC642を用いた。
ポリ環状オレフィン樹脂のペレット20wt%と、オレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂のペレット80wt%とをタンブラー・ミキサー(日水化工株式会社(現株式会社シュトルツ)製のFNK−50)を用いて40分自動撹拌して混合し、混合材料を調製した。その後、射出成型機(株式会社ソディック製のTR260EH)を用いて、金型温度をキャビ・コア50度、樹脂温度を235度、射出圧を219.5MPs、保圧を126.0MPsに設定し、混合材料を射出成形することによりシリンジを成形した。
[耐圧試験]
以上のように製造した150ml用のディスポーザブルシリンジを10本準備し、これらを試料として耐圧試験を行った。具体的には、シリンジのノズル部に三方活栓を取り付け、三方活栓の一方に内径0.13mm、長さ1mのピークチューブを接続すると共に、三方活栓の他方に耐圧延長チューブを介して圧力計を接続した状態で、薬液注入装置として株式会社根本杏林堂製のプレスプロ(登録商標)を使用し、1200PSIの圧力を20回かけ、シリンジに生じた割れ又はヒビの有無を調べた。また、シリンジのシリンダ内には、薬液の代わりに水道水99mlを充填した。以下に、耐圧試験の結果を示す。なお、表中「異常なし」は、目視で割れ又はヒビが発見されなかったことを意味する。
Figure 2014155661
Figure 2014155661
Figure 2014155661
Figure 2014155661
Figure 2014155661
Figure 2014155661
Figure 2014155661
Figure 2014155661
Figure 2014155661
Figure 2014155661
上記表3〜12に示すように、1200psiの圧力で20回の注入を繰り返してもシリンジに割れ又はヒビは生じなかった。
[耐久試験]
上記実施例と同様に製造した150ml用のディスポーザブルシリンジを2本準備し、これらを試料として耐久試験を行った。具体的には、シリンジのノズル部に三方活栓を取り付け、三方活栓の一方に内径0.13mm、長さ1mのピークチューブを接続すると共に、三方活栓の他方に耐圧延長チューブを介して圧力計を接続した状態で、薬液注入装置として株式会社根本杏林堂製のプレスプロ(登録商標)を使用し、1200PSIの圧力を50回かけ、シリンジに生じた割れ又はヒビの有無を調べた。また、シリンジのシリンダ内には、薬液の代わりに水道水99mlを充填した。以下に、耐久試験の結果を示す。なお、表中「異常なし」は、目視で割れ又はヒビが発見されなかったことを意味する。
Figure 2014155661
Figure 2014155661
Figure 2014155661
Figure 2014155661
上記表13及び14に示すように、1200psiの圧力で50回の注入を繰り返してもシリンジに割れ又はヒビは生じなかった。
また、上記混合材料は、例えば以下の表15に示すような物性を示す。なお、比較例1は、オレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂100wt%からなる材料の物性を示す。また、実施例1は、ポリ環状オレフィン樹脂10wt%と、オレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂90wt%とからなる混合材料の物性を示す。また、実施例2は、ポリ環状オレフィン樹脂20wt%と、オレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂80wt%とからなる混合材料の物性を示す。また、実施例3は、ポリ環状オレフィン樹脂30wt%と、オレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂70wt%とからなる混合材料の物性を示す。また、実施例4は、ポリ環状オレフィン樹脂40wt%と、オレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂60wt%とからなる混合材料の物性を示す。
ここで、実施例1においては軟化が必要十分とはいえない。すなわち、実施例2及び3と比較して、実施例1は引張破壊応力が高い。また、引張破壊呼びひずみが低く、伸びが不十分である。さらに、曲げ弾性率が高く、アイゾット衝撃強さも比較例1と同等である。一方、実施例4においては、軟化が必要以上であるといえる。すなわち、実施例2及び3と比較して、実施例4は引張破壊呼びひずみが高く、曲げ弾性率も低い。よって、薬液用容器に用いられる混合材料としては、実施例2及び3で示されるような物性を有することが好ましいといえる。すなわち、薬液用容器に用いられる混合材料としては、ポリ環状オレフィン樹脂20〜30wt%と、オレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂80〜70wt%とを合計100wt%となる比率で含む混合材料が好ましいといえる。
Figure 2014155661
以上のように本発明によれば、ポリ環状オレフィン樹脂と、オレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂との混合材料により薬液用容器を形成することにより。高い生物学的安全性及び衛生性と、高い光透過率とを備えると共に、割れにくい薬液用容器、該薬液用容器を備えた薬液注入システム、及び該薬液用容器の製造方法を提供することができる。
以上、本発明について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明に反しない範囲で変更された発明、及び本発明と均等な発明も本発明に含まれる。また、上述の各実施形態及び実施例は、本発明に反しない範囲で適宜組み合わせることができる。
また、薬液注入システムは、MRI装置、CT(Computed Tomography)スキャナ、PET(Positron Emission Tomography)装置、CTアンギオ装置、MRアンギオ装置、血管撮影装置等の各種の医療機器と共に使用することができる。さらに、注入する薬液は造影剤又は生理食塩水には限られず、例えば輸液等の薬液であってもよい。
なお、上記実施形態においては、入力手段としてのタッチパネルが注入制御ユニットに設けられていたが、入力手段はタッチパネルには限られず、また注入制御ユニットに無線又は有線で接続されていてもよい。また、ハンドスイッチは、無線又は有線で注入制御ユニットに接続することができる。
また、シリンジ220は、内蔵ライトをさらに有していてもよい。この場合、内蔵ライトを点灯することにより、充填された薬液に光を照射して気泡をより発見しやすくすることができる。また、凹部121の一部にライトを設けることもできる。この場合、シリンジ220自体に光を照射し、シリンジ220内部のエアをより発見しやすくすることができる。なお、内蔵ライトを有する場合には、凹部121の一部又は全部を不透明な部材から構成することができる。
さらに、シリンジ220は、RFIDを有していてもよい。この場合、シリンジ220が破損して薬液の注入が停止したときには、薬液注入装置110がネットワークを通じて医療情報システムに情報を送信し記録させることができる。薬液注入装置110が送信する情報は、製造番号等のシリンジ220に関する情報、若しくは注入速度、注入量、注入圧力等の薬液に関する情報、又は注入プロトコルの情報等である。また、医療情報システムには、トレーサビリティの観点から、破損したシリンジ220を廃棄したことを示す情報を記録することもできる。
1:薬液注入システム、110:薬液注入装置、120 シリンジ受け、121:凹部、130:ピストン駆動機構、140:シリンジホルダ、200:シリンジアセンブ、220:シリンジ、221:シリンダ、221a:フランジ、221b:ノズル、222:ピストン、223:Oリング、224:アダプタ、225:ダストカバー、226:リブ、227:ガスケット、270:耐圧カバー、271:カバーフランジ、313:切り欠き、314:リブ、315:リブ

Claims (5)

  1. ポリ環状オレフィン樹脂90〜70wt%と、オレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂10〜30wt%とを合計100wt%となる比率で含む混合材料から形成されることを特徴とする薬液用容器。
  2. ポリ環状オレフィン樹脂80〜70wt%と、オレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂20〜30wt%とを合計100wt%となる比率で含む混合材料から形成されることを特徴とする請求項1に記載の薬液用容器。
  3. ポリ環状オレフィン樹脂90〜70wt%と、オレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂10〜30wt%とを合計100wt%となる比率で含む混合材料から形成された薬液用容器と、
    前記薬液用容器が装着される薬液注入装置とを備えることを特徴とする薬液注入システム。
  4. 前記薬液用容器が挿入される耐圧カバーをさらに備え、
    前記薬液用容器の外面と前記耐圧カバーの内面との間のクリアランスが、0.1〜2.0mmであることを特徴とする請求項3に記載の薬液注入システム。
  5. ポリ環状オレフィン樹脂90〜70wt%と、オレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂10〜30wt%とを合計100wt%となる比率で含む混合材料を調製し、
    前記混合材料を射出成形することにより薬液用容器を成形することを特徴とする薬液用容器の製造方法。
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