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JP2014141378A - スクライビングホイール、スクライビングホイール用ピン、ホルダーユニット、スクライブ装置 - Google Patents

スクライビングホイール、スクライビングホイール用ピン、ホルダーユニット、スクライブ装置 Download PDF

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JP2014141378A
JP2014141378A JP2013011521A JP2013011521A JP2014141378A JP 2014141378 A JP2014141378 A JP 2014141378A JP 2013011521 A JP2013011521 A JP 2013011521A JP 2013011521 A JP2013011521 A JP 2013011521A JP 2014141378 A JP2014141378 A JP 2014141378A
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pin
scribing
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wheel
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JP2013011521A
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English (en)
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Toshio Fukunishi
利夫 福西
Mitsuru Kitaichi
充 北市
Naoko Tomei
直子 留井
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Mitsuboshi Diamond Industrial Co Ltd
Original Assignee
Mitsuboshi Diamond Industrial Co Ltd
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Abstract

【課題】スクライビングホイールとスクライビングホイール用ピンとに同素材同士のものを用いたとしても、焼き付きが生じ難いスクライビングホイール、スクライビングホイール用ピン、ホルダーユニット、スクライブ装置の提供を提供する。
【解決手段】結合材を含む材料を焼結して形成され、ディスク状ホイールの外周部に沿って刃43を有する脆性材料基板スクライブ用のスクライビングホイール40であって、少なくとも前記スクライビングホイール40に形成され、回転軸であるピン50が装通されるピン孔の内面に前記結合材の濃度を低くする加工が行われているスクライビングホイール40。
【選択図】図4

Description

本発明は、ガラス基板等の脆性材料基板にスクライブラインを形成するためのスクライビングホイール、スクライビングホイールを回転自在に保持するスクライビングホイール用ピン、このスクライビングホイール用ピンとスクライビングホイールを備えるホルダーユニット、このホルダーユニットを備えるスクライブ装置に関する。
従来、液晶表示パネルや有機エレクトロルミネッセンス(EL)パネル等のフラットディスプレイパネル、太陽電池等の製造工程では、マザーガラス基板等の脆性材料基板のスクライブ工程が設けられている。また、ガラス素材の製造工程においても、ガラスリボンからのガラス板の切り出し工程が設けられている。これらの分断工程ないし切り出し工程では、スクライビングホイールに脆性材料基板の材質や厚み等の諸条件に見合った荷重加重を負荷しながら、スクライビングホイールを脆性材料基板の表面上を転動させてスクライブラインを形成し、脆性材料基板に所定の力を負荷することによって脆性材料基板をスクライブラインに沿って分断し、個々のパネルやガラス板を製造している。
これらのスクライビングホイールとして、ディスク状ホイールの円周部に沿ってV字形の刃を形成したもの(下記特許文献1参照)や、ディスク状ホイールの円周部に沿ってV字型分の刃を形成すると共にこのV字形の刃に一定ピッチで一定高さの突起ないし一定深さの溝を形成したもの(下記特許文献2参照)も知られている。さらに、スクライビングホイールとして、鋼や超硬合金製のものだけでなく、焼結ダイヤモンド製のものも知られている(下記特許文献3参照)。
なお、超硬合金は、炭化タングステン等の硬質微粒子と、コバルト、ニッケル及び鉄等の鉄属金属を含む結合材とから、高温条件下で作製されており、他に炭化チタンなどが添加される場合もある。また、焼結ダイヤモンドは、ダイヤモンド微粒子と、コバルト、ニッケル及び鉄等の鉄属金属を含む結合材とから、高温高圧条件下で作製されており、他に、タングステンや、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム及びモリブデンからなる群より選択される少なくとも1種の金属の炭化物が添加される場合もある。(下記特許文献4参照)
そして、下記特許文献5に記載されているように、スクライビングホイールは、刃を形成した円板状ホイールに対し、回転軸が装着される内径空洞部の内周部も研削される。このようにして加工されたスクライビングホイールが、チップホルダの凹型の受部に回転自在にかん合軸着される。この回転軸であるピンの材質としては、鉄、超硬合金、焼結ダイヤモンドが従来から用いられている。
特開平06−056451号公報 特許第3074143号明細書 特開2011−093189号公報 特開2010−208942号公報 特開2002−050592号公報
特許文献5に開示されているように、互いに異なる材質で製作されたスクライビングホイール部材と回転軸となるピン部材とが使用される場合、例えば、スクライビングホイール部材が超硬合金製でピン部材が鉄製の場合、軸の摩耗の方が著しく激しく、短時間でスクライビングホイールの回転がスムーズでなくなり、スクライブ線の品質が悪くなる。また、スクライビングホイール部材が超硬合金製で、ピン部材が焼結ダイヤモンド製の場合、カッターホイールの軸とのかん合部の内径が摩擦により大きくなって、前者の場合ほど短時間ではないが、カッターホイールの回転がスムーズでなくなる。またこうした材質の組み合わせの場合は、製品の価格が高くなる。
従って、スクライビングホイールと軸であるピンの材質には、同材質のものを使用するのが一般的な使用方法となっている。しかしながら、同材質を用いる使用方法では、カッターホイールと軸との摩擦により、熱が発生して焼き付きが生じる。その結果、カッターホイールの回転がスムーズでなくなり、加工対象がガラス基板のときには、短時間でスクライブ中に、スクライブ不良となるガラスファイバーが発生するといった課題があった。
上記特許文献5に開示されたスクライビングホイールによれば、スクライビングホイールに、回転軸であるピンが挿入される軸孔の内周面に溝を形成することにより上記課題を解決している。
しかしながら、スクライビングホイールのピン孔内面に溝を形成する加工は実際には容易なことではない。また、このような加工を施すことにより製造コストが増大し、製品の価格が高くなる。
そこで、本発明は、スクライビングホイールとスクライビングホイール用ピンとに同素材同士のものを用いたとしても、焼き付きが生じ難いスクライビングホイール、スクライビングホイール用ピン、ホルダー、スクライブ装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、本発明のスクライビングホイールは、結合材を含む材料を焼結して形成された脆性材料基板スクライブ用のスクライビングホイールであって、少なくとも前記スクライビングホイールに形成され、回転軸であるピンが装通されるピン孔の内面に前記結合材の濃度を低くする加工が行われていることを特徴とする。
本発明によれば、スクライビングホイールと同素材のスクライビングホイール用ピンを用いたとしても、ピン孔内面とスクライビングホイール用ピンの表面との間で、焼き付きが生じ難くなる。
また、本発明のスクライビングホイール用ピンは、結合材を含む材料を焼結して形成され、脆性材料基板スクライブ用のスクライビングホイールのピン孔に装通されるスクライビングホイール用ピンであって、表面に、前記結合材の濃度を低くする加工が行われていることを特徴とする。
本発明によれば、スクライビングホイール用ピンと同素材のスクライビングホイールを用いたとしても、ピン孔内面とスクライビングホイール用ピンの表面との間で、焼き付きが生じ難くなる。
また、本発明のホルダーユニットは、硬質粒子と結合材を含む材料を焼結して形成された、脆性材料基板スクライブ用のスクライビングホイールと、硬質粒子と結合材を含む材料を焼結して形成された、スクライビングホイール用ピンと、前記スクライビングホイール用ピンによって前記スクライビングホイールを回転自在に保持するホルダーと、を有するホルダーユニットであって、少なくとも前記スクライビングホイールの前記スクライビングホイール用ピンが挿入されるピン孔内面と、前記スクライビングホイール用ピンの表面のいずれか一方又は両方に、前記結合材の濃度を低くする加工が行われていることを特徴とする。
本発明によれば、同素材のスクライビングホイールとスクライビングホイール用ピンを含むホルダーユニットにおいて、ピン孔内面とスクライビングホイール用ピンの表面との間で、焼き付きが生じ難くなる。
また、本発明のスクライブ装置は、硬質粒子と結合材を含む材料を焼結して形成された、脆性材料基板スクライブ用のスクライビングホイールと、硬質粒子と結合材を含む材料を焼結して形成された、スクライビングホイール用ピンと、前記スクライビングホイール用ピンによって前記スクライビングホイールを回転自在に保持するホルダーと、を有するホルダーユニットであって、少なくとも前記スクライビングホイールの前記スクライビングホイール用ピンが挿入されるピン孔内面と、前記スクライビングホイール用ピンの表面のいずれか一方又は両方に、前記結合材の濃度を低くする加工が行われているホルダーユニットを備えることを特徴とする。
本発明によれば、同素材のスクライビングホイールとスクライビングホイール用ピンを含むホルダーユニットを備えるスクライブ装置において、ピン孔内面とスクライビングホイール用ピンの表面との間で、焼き付きが生じ難くなる。
実施形態におけるスクライブ装置の概略図である。 実施形態におけるスクライブ装置が有するホルダージョイントの正面図である。 実施形態におけるホルダーユニットの斜視図である。 実施形態におけるホルダーユニットの一部拡大図である。 実施形態におけるスクライビングホイールの側面図である。 実施形態におけるスクライビングホイールの製造工程を示す工程図である。
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための一例を示すものである。本発明をこの実施形態に特定することを意図するものではない。本発明は、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも適応し得るものである。
実施形態に係るスクライブ装置10の概略図を図1に示す。スクライブ装置10は、移動台11を備えている。そして、この移動台11は、ボールネジ13と螺合されており、モータ14の駆動によりこのボールネジ13が回転することで、一対の案内レール12a、12bに沿ってy軸方向に移動できるようになっている。
移動台11の上面には、モータ15が設置されている。このモータ15は、上部に位置するテーブル16をxy平面で回転させて所定角度に位置決めするためのものである。脆性材料基板17は、このテーブル16上に載置され、図示しない真空吸引手段などによって保持される。なお、スクライブの対象となる脆性材料基板17としては、ガラス基板、低温焼成セラミックスや高温焼成セラミックスからなるセラミック基板、シリコン基板、化合物半導体基板、サファイア基板、石英基板等である。また、脆性材料基板17は、基板の表面又は内部に薄膜或いは半導体材料を付着させたり、含ませたりしたものであってもよい。また、脆性材料基板17は、その表面に脆性材料に該当しない薄膜等が付着されていても構わない。
スクライブ装置10は、脆性材料基板17の上方に、脆性材料基板17の表面に形成されたアライメントマークを撮像する2台のCCDカメラ18を備えている。そして、スクライブ装置10には、移動台11とその上部のテーブル16を跨ぐように、x軸方向に沿ってブリッジ19が、支柱20a、20bによって架設されている。
このブリッジ19には、ガイド22が取り付けられており、スクライブヘッド21がガイド22に沿ってx軸方向に沿って移動可能に設置されている。そして、スクライブヘッド21には、ホルダージョイント23を介して、ホルダーユニット30が取り付けられている。
図2には、ホルダーユニット30が取り付けられたホルダージョイント23の正面図が示されている。また、図3には、ホルダーユニット30の斜視図が示されている。また、図4には、図3のA方向から観察したホルダーユニット30の側面の一部を拡大した図を示している。
ホルダージョイント23は略円柱状をしており、回転軸部23aと、ジョイント部23bを備えている。スクライブヘッド21にホルダージョイント23が装着された状態で、この回転軸部23aには、ホルダージョイント23を回動自在に保持するための二つのベアリング24a、24bが円筒形のスペーサ24cを介して取り付けられた状態になっている。なお、図2には、ホルダージョイント23の正面図が示されるとともに、回転軸部23aに取り付けられたベアリング24a、24bとスペーサ24cの断面図が併せて示されている。
円柱形のジョイント部23bには、下端側に円形の開口25を備えた内部空間26が設けられている。この内部空間26の上部にマグネット27が埋設されている。そして、マグネット27によって着脱自在なホルダーユニット30が、この内部空間26に挿入されて取り付けられている。
ホルダーユニット30は、ホルダー30aとスクライビングホイール40とピン50とが一体となったものである。このホルダー30aは、図3に示すように略円柱形をしており、磁性体金属で形成されている。そして、ホルダー30aの上部には、位置決め用の取付部31が設けられている。この取付部31は、ホルダー30aの上部を切り欠いて形成されており、傾斜部31aと平坦部31bを備えている。
そして、ホルダー30aの取付部31側を、開口25を介して内部空間26へ挿入する。その際、ホルダー30aの上端側がマグネット27によって引き寄せられ、取付部31の傾斜部31aが内部空間26を通る平行ピン28と接触することで、ホルダージョイント23に対するホルダーユニット30の位置決めと固定が行われる。また、ホルダージョイント23からホルダーユニット30を取り外す際には、ホルダー30aを下方へ引くことで、容易に外すことができる。
ホルダー30aの下部には、ホルダー30aを切り欠いて形成された保持溝32が設けられている。そして、保持溝32を設けるために切り欠いたホルダー30aの下部に、保持溝32を挟んで支持部33a、33bが位置している。そして、この保持溝32には、スクライビングホイール40が回転自在に配置されている。また、支持部33a、33bには、スクライビングホイール40を回転時自在に保持するためのピン50を支持する支持孔34a、34bがそれぞれ形成されている。
そして、図4に示すように、スクライビングホイール40のピン孔42にピン50を貫通させるとともに、支持孔34a、34bにピン50の両端を設置することにより、スクライビングホイール40はホルダー30aに対して回転自在に取り付けられることになる。なお、支持孔34aは、内部に段部を有しており、保持溝32側の開口の孔径が、他方側の開口の孔径よりも大きくなっている。
このスクライビングホイール40の詳細について説明を行う。図5には、ホルダー30aの先端に取り付けられているスクライビングホイール40の側面図が示されている。
このスクライビングホイール40は、主に、円板状の基材41と、基材41の略中心に形成されたピン50を貫通させるためのピン孔42と、基材41の円周部の両端を削って形成されている刃部43と、を備えている。
基材41は、超硬合金、ステンレス、セラミックス、焼結ダイヤモンド等、硬質なものからなる円板状の部材である。そして、この中でも特に超硬合金、焼結ダイヤモンドは硬質であり、基材41として非常に適している。本実施形態においても、超硬合金又は焼結ダイヤモンドを用いている。ピン孔42は、基材41の略中心を円形に削って形成されている。
刃部43は、円板状の基材41の円周部の両端を削って形成された稜線44と、稜線44の両側の傾斜面45と、を備えている。
次に、スクライビングホイール40の寸法について説明する。スクライビングホイール40の外径は、1.0〜10.0mm、好ましくは1.0〜5.0mmの範囲である。スクライビングホイール40の外径が1.0mmより小さい場合には、スクライビングホイール40の取り扱い性が低下する。一方、スクライビングホイール40の外径が10.0mmより大きい場合には、スクライブ時の垂直クラックが脆性材料基板17に対して深く形成されないことがある。そして、本実施形態においては、外径が2.5mmのスクライビングホイール40を用いている。
また、スクライビングホイール40の厚さは、0.4〜1.2mm、好ましくは0.4〜1.1mmの範囲である。スクライビングホイール40の厚さが0.4mmより小さい場合には、加工性及び取り扱い性が低下することがある。一方、スクライビングホイール40の厚さが1.2mmより大きい場合には、スクライビングホイール40の材料及び製造のためのコストが高くなる。そして、本実施形態においては、厚さが0.65mmのスクライビングホイール40を用いている。なお、スクライビングホイール40の厚さに対して、ホルダー30aの保持溝32の幅(支持部33aと支持部33bとの距離)は、わずかに大きくなっており、例えばスクライビングホイール40の厚さが0.65mmの場合、保持溝32の幅は大体0.67mmとなっている。
また、刃部43の刃先角は、通常鈍角であり、90〜160°、好ましくは90〜140°の範囲である。なお、刃先角の具体的角度は、切断する脆性材料基板17の材質、厚さ等から適宜設定される。
次に、ピン50について説明する。ピン50は円柱形の部材であって、図4に点線で示すように、一端が尖頭形状になっている。そして、ピン50を、尖頭形状側から、支持孔34bへ挿入し、ピン孔42を貫通し、尖頭形状部分が支持部34aの段部と接することで、スクライビングホイール40が保持される。
ピン50の材料としては、スクライビングホール40の基材41と同様、超硬合金、ステンレス、セラミックス、焼結ダイヤモンド(Poly Crystalline Diamond 以下、PCDと言う)等、硬質なものが用いられる。そして、本実施形態においては、ピン50の材料として、超硬合金が用いられている。
ここで、スクライビングホイール40、ピン50等の材料である超硬合金の製造方法について述べる。
超硬合金は、主として炭化タングステン等の硬質粒子と、残部の添加剤及び結合材からなる結合相と、から作られている。この炭化タングステン粒子の平均粒子径は0.2〜2.0μm以下のものが用いられている。そして、超硬合金中における炭化タングステンの含有量は結合剤及び添加剤の残部である。
添加剤としては、例えば、用途に応じて炭化チタン(TiC)や炭化タンタル(TaC)などが添加される。
結合材としては、通常、鉄族元素が好適に使用される。鉄族元素としては、例えばコバルト、ニッケル、鉄等が挙げられ、この中でもコバルトが好適である。また、超硬合金中における結合材の含有量は好ましくは3〜15wt%の範囲である。
スクライビングホイール40と同素材のピン50を用いると、ピン孔42の内面とピン50の表面との間で焼き付きを起こしやすく、スクライビングホイール40の回転不良が生じることになる。この主な理由としては、コバルトを主成分とする鉄系金属からなる結合材がスクライビングホイール40とピン50それぞれに含まれており、この鉄系金属同士の凝着によるものである。特に超硬合金の場合は結合材の含有量が多く、焼き付きが問題となりやすい。
本実施形態においては、以下のような処理を施すことにより、コバルトを主成分とする鉄系金属からなる結合材同士の凝着(焼き付き)を抑制することができるスクライビングホイール40やピン50を実現する。以下、図6を参照してスクライビングホイール40の成形を例に説明する。図6は、スクライビングホイール40の製造工程を示す工程図である。
まず、上述の硬質粒子、添加剤、結合材を混合し、高温下において、これら混合物を焼結させる。これにより超硬合金が製造される(図6ステップS101参照)。
上述のようにして製造された超硬合金から、所望の径を有する円板状の超硬合金ディスクを切り取る(図6ステップS102参照)。この際、円板の中心部にピン孔42も形成される。次に、ピン(回転軸)に沿った刃の厚さがピン側から刃先に向かうに従って徐々に小さくなるように、円板の周縁部を研削する(図6ステップS103参照)。これにより、円板の周縁部に正面視V字状の刃部43が形成される(図3参照)。
なお、ピン50の場合は、製造された超硬合金から所望の長さの円柱を切り取る。そして、この円柱の一端を尖頭形状に削ることでピン50が製造される。
次に、結合材の濃度を低く(除去)する処理を施す(図6ステップS104参照)。この処理は、上述のようにして作製されたスクライビングホイール40を、フッ化水素酸と硝酸との混合溶液などの酸性溶液中に25℃〜160℃で1時間〜15時間浸漬し、その後に水洗して乾燥することにより行われる。また、本実施形態において結合材除去工程は、スクライビングホイール40のピン孔42内面側だけでなく、スクライビングホイール40の表面全体に対して行う。なお、浸漬時間が長くなるほど、結合材の濃度変化が内部側へ進行していくことになるが、濃度変化の進行は、例えば表面側から5〜10μm程度まで生じていればよい。
また、上述の結合材除去工程では、超硬合金製のスクライビングホイール40の表面側において、結合材が大幅に溶解・除去されると共に、添加剤も一部が溶解・除去される。なお、結合材の除去とは、完全に取り除くこと、すなわち結合材が全く無くなるということではない。これは、超硬合金は、硬質粒子によって軽石のようなネットワークが形成されており、結合材は通常その隙間に存在している。この軽石状ネットワークにおいては結合材が完全に硬質粒子に囲まれている部分があり、硬質粒子に囲まれた結合材を除去することは困難なため等の理由による。また、結合材の濃度が低くなるにつれて、超硬合金の強度も低下することが考えられるため、結合材の除去は超硬合金の強度を考慮しながら調整するのが望ましい。
結合材除去後の超硬合金製のスクライビングホイール40の表面を走査型電子顕微鏡で観察することにより、結合材が除去されているか否かを確認することができる。除去前のスクライビングホイール40の表面においては、硬質粒子が結合して軽石状ネットワークを形成しており、さらにその間隙を結合材が満たしている。これに対し、上述の結合材除去工程では、硬質粒子の隙間に存在する結合材を除去しているので、結合材除去後のスクライビングホイール40の表面の軽石状のネットワークにおいて、硬質粒子の間は空隙が目立つことが確認された。
なお、ピン50も同様の結合材除去工程によって、表面の結合材が除去される。この時、スクライビングホイール40とピン50との結合材除去工程における浸漬時間は必ずしも同じ時間にする必要はなく、浸漬時間を調整することで、ピン孔42の内面とピン50の表面との結合材の濃度が互いに異なるようにしてもよい。例えば、スクライビングホイール40側では強度を重視し、ピン50の表面側よりもピン孔42の内面側の方を結合材の濃度を高くしてもよい。
このような処理を施したスクライビングホイール40やピン50を用いることにより、スクライビングホイールとスクライビングホイール用ピンとに同素材同士のものを用いたとしても、ピン孔42の内面とピン50の表面との間で、コバルトを主成分とする鉄系金属からなる結合材同士の凝着(焼き付き)を抑制できるため、焼き付きが生じ難くなる。
なお、S104の結合材除去工程は、S103の研削工程前の円板状の超硬合金ディスクの状態で行われても良い。
また、結合材除去工程における結合材除去は、本実施形態において、スクライビングホイール40全体に対して施されているが、少なくともスクライビングホイール40がピン50と接触する部分、すなわちピン孔42の内面の部分に対して結合材除去工程が施されていればよい。この場合は、結合材除去工程を施すピン孔42の内面以外の部分を適宜の素材を用いてマスキングした上で結合材除去工程を施せばよい。
なお、本実施形態のように、スクライビングホイール40全体に対して結合材除去を行うと、マスキングの工程等が不要なため、除去工程を効率的に行うことができる。また、スクライビングホイール40全体に対して結合材除去を行うことにより、刃部43表面の結合材が除去されることになる。そして、刃部43表面の結合材を除去しておくことにより、高温状態の脆性材料基板(例えばガラス基板の温度が200℃〜400℃)に対してスクライブを行う際に、刃部43の摩耗を抑えることができる。これは、通常高温条件下でスクライブを行うと、刃部43において、硬質粒子と、コバルトを主成分とする鉄系金属からなる結合材とが固溶し、刃部43の劣化が生じることになる。しかしながら、刃部43表面の結合材を除去しておくことで、高温条件下でスクライブの際、刃部43の摩耗を抑えることができる。
なお、上記実施形態においては、スクライビングホイール40やピン50に超硬合金を用いた場合について説明したが、スクライビングホイール40やピン50に焼結ダイヤモンド(PCD)を用いる場合も同様である。すなわち、PCDは、主として、硬質粒子であるダイヤモンド粒子と、残部の添加剤及び結合材からなる結合相と、から作られている。このダイヤモンド粒子の平均粒子径は1.5μm以下のものが用いられている。そして、PCD中におけるダイヤモンドの含有量は75.0〜90.0vol%の範囲である。また、添加剤としては、例えば、添加されるタングステン、チタン、ニオブ、タンタルより選ばれる少なくとも1種以上の元素の超微粒子炭化物が好適に使用される。PCDにおける超微粒子炭化物の含有量は3.0〜10.0vol%の範囲であり、この超微粒子炭化物は1.0〜4.0vol%の炭化チタンと、残部の炭化タングステンと、を含む。結合材としては、通常、鉄族元素が好適に使用される。鉄族元素としては、例えばコバルト、ニッケル、鉄等が挙げられ、この中でもコバルトが好適である。また、PCD中における結合材の含有量は好ましくはダイヤモンド及び超微粒子炭化物の残部であり、更に好ましくは20.0〜20.5vol%の範囲である。従って、超硬合金を用いた場合と同様に結合材の濃度を低く(除去)する処理を施すことで同様の効果を奏することができる。また、PCDの場合には、ダイヤモンド粒子による強固なネットワークが形成されているため、結合材を除去することによる強度の低下が少ない。
また、本実施形態においては、スクライビングホイール40とピン50とを同材質のものを使用する例を説明したが、必ずしも結合材除去工程をスクライビングホイール40とピン50に施す必要はない。少なくとも何れか一方に結合材除去工程が施されていれば、相手方のピンまたはスクライビングホイールに同材質のものを使用したものが用いられても、異なる材質のものを使用したものが用いられても焼き付きを生じ難くすることができる。
また、本実施形態における、フッ化水素酸と硝酸との混合溶液中に浸漬する方法による結合材の除去はあくまでも一例であり、この他の方法によって結合材の除去を行っても構わない。
なお、スクライビングホイール40やピン50、50Aは消耗品であるため定期的な交換が必要となる。本実施形態においては、ホルダージョイント23を介してホルダーユニット30がスクライブヘッド21に装着されている構成となっている。したがって、ホルダーユニット30の着脱を容易に行うことができるため、消耗品の交換の際に、スクライビングホイール40をホルダー30aからわざわざ取り外したりしないで、スクライビングホイール40とホルダー30aを一体のホルダーユニット30として扱い、ホルダー30aそのものを交換することも可能になる。そのため、スクライビングホイール40の交換作業を非常に容易に行うことができる。また、ホルダージョイント23を介さずに、ホルダーがスクライブヘッドに直接固定された構成で、ホルダーに対してピン及びスクライビングホイールの交換を行うような構成のスクライブ装置に対しても本発明は適用可能である。
10…スクライブ装置
11…移動台
12a、12b…案内レール
13…ボールネジ
14、15…モータ
16…テーブル
17…脆性材料基板
18…CCDカメラ
19…ブリッジ
20a、20b…支柱
21…スクライブヘッド
22…ガイド
23…ホルダージョイント
23a…回転軸部
23b…ジョイント部
24a、24b…ベアリング
24c…スペーサ
25…開口
26…内部空間
27…マグネット
28…平行ピン
30…ホルダーユニット
30a…ホルダー
31…取付部
31a…傾斜部
31b…平坦部
32…保持溝
33a、33b…支持部
34a、34b…支持孔
40…スクライビングホイール
41…基材
42…ピン孔
43…刃部
44…稜線
45…傾斜面
50…ピン

Claims (4)

  1. 硬質粒子と結合材を含む材料を焼結して形成された脆性材料基板スクライブ用のスクライビングホイールであって、
    少なくとも前記スクライビングホイールに形成され、回転軸であるピンが装通されるピン孔の内面に前記結合材の濃度を低くする加工が行われていることを特徴とするスクライビングホイール。
  2. 硬質粒子と結合材を含む材料を焼結して形成され、脆性材料基板スクライブ用のスクライビングホイールのピン孔に装通されるスクライビングホイール用ピンであって、
    表面に、前記結合材の濃度を低くする加工が行われていることを特徴とするスクライビングホイール用ピン。
  3. 硬質粒子と結合材を含む材料を焼結して形成された、脆性材料基板スクライブ用のスクライビングホイールと、
    硬質粒子と結合材を含む材料を焼結して形成された、スクライビングホイール用ピンと、
    前記スクライビングホイール用ピンによって前記スクライビングホイールを回転自在に保持するホルダーと、を有するホルダーユニットであって、
    少なくとも前記スクライビングホイールの前記スクライビングホイール用ピンが挿入されるピン孔内面と、前記スクライビングホイール用ピンの表面のいずれか一方又は両方に、前記結合材の濃度を低くする加工が行われていることを特徴とするホルダーユニット。
  4. 請求項3のホルダーユニットを備えることを特徴とするスクライブ装置。
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