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JP2014141055A - ガスバリア性フィルム - Google Patents

ガスバリア性フィルム Download PDF

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JP2014141055A
JP2014141055A JP2013023838A JP2013023838A JP2014141055A JP 2014141055 A JP2014141055 A JP 2014141055A JP 2013023838 A JP2013023838 A JP 2013023838A JP 2013023838 A JP2013023838 A JP 2013023838A JP 2014141055 A JP2014141055 A JP 2014141055A
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Chiyoko Takemura
千代子 竹村
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Abstract

【課題】低い水蒸気透過率を有するガスバリア性フィルムを提供する。
【解決手段】基材、該基材の少なくとも一方の面に形成された、ケイ素、酸素、および炭素を含有するバリア層ならびに無機・有機ハイブリッドポリマー層を有するガスバリア性フィルムであって、該無機・有機ハイブリッドポリマー層(ORMOCER層)が、下記式(1)のポリメトキシシロキサンを、該無機・有機ハイブリッドポリマー層を構成する材料の総モル数に対して、20〜40モル%の量で含む材料を用いて形成され、およびバリア層が、条件(i)〜(iii)を満たす、ガスバリア性フィルム。

【選択図】なし

Description

本発明は、ガスバリア性フィルムに関する。より詳細には、本発明は、低い水蒸気透過率を有するガスバリア性フィルムに関する。
水蒸気や酸素の透過を遮断する性質、いわゆるガスバリア性を有するフィルムに関し、従来からさまざまな検討がなされている。このような検討の中では、フィルムのガスバリア性を高めるために、スパッタリングやプラズマCVD法等の方法によって無機層を製膜する技術が提案されている(特許文献1)。
近年、軽量化、大型化という要求に加え、長期信頼性や形状の自由度が高いこと、曲面表示が可能であること等の要求が加わり、重くて割れやすく大面積化が困難なガラス基板に代わって透明プラスチック等のフィルム基材が採用され始めている。
しかしながら、透明プラスチック等のフィルム基材はガラスに対しガスバリア性が劣るという問題がある。ガスバリア性が劣る基材を用いると、水蒸気や空気が浸透し、例えば電子デバイス内の機能を劣化させてしまう。
包装材や液晶表示素子に使用されるガスバリア性フィルムとしてはプラスチックフィルム上に酸化珪素を蒸着したものや酸化アルミニウムを蒸着したものが知られている。しかしながら、それらの技術では、せいぜい1g/m/day程度の水蒸気バリア性しか得られていない。一方、近年では、液晶ディスプレイの大型化、高精細ディスプレイ等の開発によりフィルム基板へのガスバリア性能について水蒸気透過度で0.1g/m/day程度、さらに有機エレクトロルミネッセンスについては水蒸気透過度で10−5〜10−6g/m/dayのオーダーにまで要求が上がってきている。
上記課題に対して、特許文献2では、ポリマー多層(Polymer Multilayer、PML)技法が記載されている。この技法は、ポリマーの層と酸化アルミニウムの層とからなるコーティングをフレキシブル基板に施してその基板をシールする。両方とも堆積工程は、ウェブ処理装置を使って極めて高速で操作することができる。水および酸素の浸透性に対する耐性は、未コートのPET膜に比して3ないし4桁まで改善されることが開示されている。
かかるポリマー多層技法では、ポリマー層が、隣接するセラミック層内のあらゆる欠陥を覆い隠して、バリア層内のこれらの欠陥によって作られるチャンネルを通る酸素や水蒸気の拡散速度を低下させるように働くことが示唆されている。しかしながら、ポリマー層と酸化アルミニウムの層との境界面は隣接する材料の不相溶性のために一般的に弱いため、剥離しやすく、長期保存では充分なバリア能が得られないという問題を有していた。
一方、上記課題に対して、特許文献3では、特定の組成で珪素、酸素及び炭素を含むガスバリア層を有する有機EL装置が報告されている。上記ガスバリア層は、高いガスバリア性を備え、フィルムを屈曲させたときにもガスバリア性が低下しにくく、簡易な工程で短時間で形成することが可能であると、開示されている。
特開平6−234186号公報 特開2005−288851号公報 特開2012−84306号公報
しかしながら、特許文献3に記載のガスバリア層をもってしても、有機エレクトロルミネッセンスに適用するのに十分な水蒸気透過率を達成しうるとはいえない。また、温度や湿度が大きく変化するような過酷な条件ではクラックが発生し、ガスバリア性の低下を誘発してしまう。ゆえに、より高い水蒸気透過性を有し、過酷な条件下でもクラックの発生を抑制・防止して、高いガスバリア性を維持できるガスバリア性フィルムに対する要望は依然として存在していた。
したがって、本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、低い水蒸気透過率を有するガスバリア性フィルムを提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、過酷な条件下でも高いガスバリア性を維持できるガスバリア性フィルムを提供することである。
本発明者らは、上記の問題を解決すべく、鋭意研究を行った結果、特定の組成で珪素、酸素及び炭素を含むバリア層と特定の無機・有機ハイブリッドポリマー層とを組み合わせることによって、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記諸目的は、基材、該基材の少なくとも一方の面に形成された、ケイ素、酸素、および炭素を含有するバリア層ならびに無機・有機ハイブリッドポリマー層(ORMOCER層)を有するガスバリア性フィルムであって、
該無機・有機ハイブリッドポリマー層(ORMOCER層)が、下記式(1):
ただし、nは、2〜20である、
のポリメトキシシロキサンを、該無機・有機ハイブリッドポリマー層(ORMOCER層)を構成する材料の総モル数に対して、20〜40モル%の量で含む材料を用いて形成され、および
該バリア層が、下記条件(i)〜(iii):
(i)前記バリア層の膜厚方向における前記バリア層表面からの距離(L)と、ケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対するケイ素原子の量の比率(ケイ素の原子比)との関係を示すケイ素分布曲線、前記Lとケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する酸素原子の量の比率(酸素の原子比)との関係を示す酸素分布曲線、ならびに前記Lとケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する炭素原子の量の比率(炭素の原子比)との関係を示す炭素分布曲線において、
前記バリア層の膜厚の90%以上の領域で、多いほうから(酸素の原子比)、(ケイ素の原子比)、(炭素の原子比)の順となっている、
(ii)前記炭素分布曲線が少なくとも2つの極値を有する、
(iii)前記炭素分布曲線における炭素の原子比の最大値と最小値との差の絶対値が3at%以上である、
を満たす、ガスバリア性フィルムによって達成できる。
本発明によれば、低い水蒸気透過率を有するガスバリア性フィルムを提供できる。
本発明に係るバリア層を製造するために好適に利用することが可能な製造装置の一例を示す模式図である。 実施例1のバリア層の炭素分布曲線、酸素分布曲線及び珪素分布曲線のグラスである。
本発明は、基材、該基材の少なくとも一方の面に形成された、ケイ素、酸素、および炭素を含有するバリア層(以下、単に「バリア層」とも称する)ならびに無機・有機ハイブリッドポリマー層(ORMOCER層)(以下、単に「無機・有機ハイブリッドポリマー層」または「ORMOCER層」とも称する)を有するガスバリア性フィルムである。ここで、該無機・有機ハイブリッドポリマー層(ORMOCER層)は、上記式(1):
ただし、nは、2〜20の整数である、
のポリメトキシシロキサンを、該無機・有機ハイブリッドポリマー層(ORMOCER層)を構成する材料の総モル数に対して、20〜40モル%の量で含む材料を用いて形成される。また、該バリア層は、下記条件(i)〜(iii)を全て満たす:
(i)前記バリア層の膜厚方向における前記バリア層表面からの距離(L)と、ケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対するケイ素原子の量の比率(ケイ素の原子比)との関係を示すケイ素分布曲線、前記Lとケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する酸素原子の量の比率(酸素の原子比)との関係を示す酸素分布曲線、ならびに前記Lとケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する炭素原子の量の比率(炭素の原子比)との関係を示す炭素分布曲線において、
前記バリア層の膜厚の90%以上の領域で、多いほうから(酸素の原子比)、(ケイ素の原子比)、(炭素の原子比)の順となっている;
(ii)前記炭素分布曲線が少なくとも2つの極値を有する;および
(iii)前記炭素分布曲線における炭素の原子比の最大値と最小値との差の絶対値が3at%以上である。
本発明は、上記条件(i)〜(iii)を全て満たす特定のバリア層とORMOCER層とを組み合わせることに特徴がある。本発明に係るバリア層は、単独で使用すると、水蒸気透過率が10−4g/m/dayのオーダーであり(下記比較例1参照)、有機エレクトロルミネッセンスに要求される10−5〜10−6g/m/dayには全く到達できない。また、本発明に係るバリア層を温度や湿度が大きく変化するような過酷な条件下におくと、クラックが発生し(下記比較例1参照)、ガスバリア性の低下を誘発してしまう。これに対して、本発明に係るバリア層に本発明に係るORMOCER層を組み合わせると、驚くべきことに有機エレクトロルミネッセンスに要求される10−5〜10−6g/m/dayのオーダーにまで向上できる。また、このような組み合わせによると、温度や湿度が大きく変化するような過酷な条件下においても、クラックの発生を抑制・防止できる。ここで、本発明の構成による上記作用効果の発揮のメカニズムは以下のように推測される。なお、本発明は下記に限定されるものではない。すなわち、本発明に係るバリア層にはケイ素原子及び酸素原子に加えて炭素原子が存在するが、このうちケイ素原子及び酸素原子を存在させることによってガスバリア性を付与でき、炭素原子を存在させることによってバリア層に柔軟性を付与することができる。このため、本発明に係るバリア層は、ガスバリア性及び柔軟性を有する。一方、上述したように、本発明に係るバリア層のみでは、有機エレクトロルミネッセンスをはじめとして低い水蒸気透過率の要求を満足できないため、ガスバリア性をより向上する必要がある。ここで、上記目的としては、厚みを厚くする、または別のバリア層を設けることが考えられる。このうち、前者はカールを誘発する恐れがあり、実用的ではない。また、後者は、異なるバリア層との密着性が十分でなく、剥離の問題があった。しかしながら、本発明によると、バリア層中に存在する炭素部分と本発明に係るORMOCER層中の有機部分との相互作用により、両者を隣接させると、バリア層とORMOCER層とは強固に密着しあい、これらの層を積層した場合であっても、双方の層間にガス(例えば、水蒸気や酸素)が侵入することがない。このため、本発明のガスバリア性フィルムは、バリア層及びORMOCER層それぞれを単独で使用した場合に比して、ガスバリア性(例えば、低い水蒸気透過率)を相乗的に向上できる。加えて、本発明に係るバリア層は、単独で存在すると、温度や湿度の変化による基材の形状変化(収縮・膨脹)により、一緒に形状変化(収縮・膨脹)を繰り返すため、クラックが発生してガスバリア性が低下する。一方、本発明に係るORMOCER層は、ガスバリア性は低いものの、ネットワーク構造を有しているため、温度や湿度の変化による基材の形状変化による影響を受けにくいまたは受けない。このため、本発明のガスバリア性フィルムは、温度や湿度が大きく変化するような過酷な条件下に長持間放置された場合であっても、ORMOCER層が基材やバリア層の形状変化を緩和するため、本発明のガスバリア性フィルムは長期間優れたガスバリア性(例えば、低い水蒸気透過率)を維持できる。
したがって、本発明のガスバリア性フィルムは、優れたガスバリア性(例えば、低い水蒸気透過率及び酸素透過率)を有する。また、本発明のガスバリア性フィルムは、温度や湿度が大きく変化するような過酷な条件下であっても、クラックの発生を抑制・防止して、優れたガスバリア性(例えば、低い水蒸気透過率及び酸素透過率)を維持できる。このため、本発明のガスバリア性フィルムは、高いガスバリア性が要求される電子デバイス等のパッケージ、光電変換素子や有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子、液晶表示素子等の電子デバイスにも好適に適用できる。
以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
また、本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味し、「重量」と「質量」、「重量%」と「質量%」及び「重量部」と「質量部」は同義語として扱う。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%の条件で測定する。
<ガスバリア性フィルム>
本発明のガスバリア性フィルムは、基材上に、バリア層およびORMOCER層を有する。ここで、バリア層およびORMOCER層の積層順序は特に制限されないが、基材上に、バリア層およびORMOCER層がこの順に積層されることが好ましい。このような構造により、バリア層によるガスバリア性をより有効に発揮し、また、ORMOCER層が温度や湿度の変化による基材の形状変化(収縮・膨脹)を緩和しやすいため、クラックの発生をより効果的に抑制・防止できる。
また、本発明のガスバリア性フィルムは、基材、バリア層およびORMOCER層を必須に有するが、他の部材をさらに含むものであってもよい。本発明のガスバリア性フィルムは、例えば、基材と、バリア層またはORMOCER層との間に;バリア層とORMOCER層との間に;またはバリア層若しくはORMOCER層が形成されていない他方の面に、他の部材を有していてもよい。ここで、他の部材としては、特に制限されず、従来のガスバリア性フィルムに使用される部材が同様にしてあるいは適宜修飾して使用できる。具体的には、下地層、アンカーコート層、ブリードアウト防止層、ならびに保護層、吸湿層や帯電防止層の機能化層などが挙げられる。
なお、本発明において、バリア層およびORMOCER層は、それぞれ、単一層として存在してもあるいは2層以上の積層構造を有していてもよい。後者の場合には、1層または複数層のバリア層またはORMOCER層が1つのユニットとして存在しても、あるいは上記ユニットが2以上積層した状態で存在していてもよい。
さらに、本発明では、バリア層およびORMOCER層は、基材の少なくとも一方の面に形成されていればよい。このため、本発明のガスバリア性フィルムは、基材の一方の面にバリア層およびORMOCER層が形成される形態、ならびに基材の両面にバリア層およびORMOCER層が形成される形態双方を包含する。
[基材]
本発明に係るガスバリア性フィルムは、通常、基材として、プラスチックフィルムまたはシートが用いられ、無色透明な樹脂からなるフィルムまたはシートが好ましく用いられる。用いられるプラスチックフィルムは、バリア層、ハードコート層等を保持できるフィルムであれば材質、厚み等に特に制限はなく、使用目的等に応じて適宜選択することができる。前記プラスチックフィルムとしては、具体的には、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン樹脂、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、セルロースアシレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、シクロオレフィルンコポリマー、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂、脂環変性ポリカーボネート樹脂、フルオレン環変性ポリエステル樹脂、アクリロイル化合物などの熱可塑性樹脂が挙げられる。
本発明に係るガスバリア性フィルムを有機EL素子等の電子デバイスの基板として使用する場合は、前記基材は耐熱性を有する素材からなることが好ましい。具体的には、線膨張係数が15ppm/K以上100ppm/K以下で、かつガラス転移温度(Tg)が100℃以上300℃以下の樹脂基材が使用される。該基材は、電子部品用途、ディスプレイ用積層フィルムとしての必要条件を満たしている。即ち、これらの用途に本発明のガスバリア性フィルムを用いる場合、ガスバリア性フィルムは、150℃以上の工程に曝されることがある。この場合、ガスバリア性フィルムにおける基材の線膨張係数が100ppm/Kを超えると、ガスバリア性フィルムを前記のような温度の工程に流す際に基板寸法が安定せず、熱膨張および収縮に伴い、遮断性性能が劣化する不都合や、或いは、熱工程に耐えられないという不具合が生じやすくなる。15ppm/K未満では、フィルムがガラスのように割れてしまいフレキシビリティが劣化する場合がある。
基材のTgや線膨張係数は、添加剤などによって調整することができる。基材として用いることができる熱可塑性樹脂のより好ましい具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET:70℃)、ポリエチレンナフタレート(PEN:120℃)、ポリカーボネート(PC:140℃)、脂環式ポリオレフィン(例えば日本ゼオン株式会社製、ゼオノア(登録商標)1600:160℃)、ポリアリレート(PAr:210℃)、ポリエーテルスルホン(PES:220℃)、ポリスルホン(PSF:190℃)、シクロオレフィンコポリマー(COC:特開2001−150584号公報に記載の化合物:162℃)、ポリイミド(例えば三菱ガス化学株式会社製、ネオプリム(登録商標):260℃)、フルオレン環変性ポリカーボネート(BCF−PC:特開2000−227603号公報に記載の化合物:225℃)、脂環変性ポリカーボネート(IP−PC:特開2000−227603号公報に記載の化合物:205℃)、アクリロイル化合物(特開2002−80616号公報に記載の化合物:300℃以上)等が挙げられる(括弧内はTgを示す)。
本発明に係るガスバリア性フィルムを偏光板と組み合わせて使用する場合、ガスバリア性フィルムのバリア層がセルの内側に向くように配置することが好ましい。より好ましくは、ガスバリア性フィルムのORMOCER層がセルの最も内側に(素子に隣接して)配置する。このとき、偏光板よりセルの内側にガスバリア性フィルムが配置されることになるため、ガスバリア性フィルムのレターデーション値が重要になる。このような態様でのガスバリア性フィルムの使用形態は、レターデーション値が10nm以下の基材フィルムを用いたガスバリア性フィルムと円偏光板(1/4波長板+(1/2波長板)+直線偏光板)を積層して使用するか、あるいは1/4波長板として使用可能な、レターデーション値が100nm〜180nmの基材フィルムを用いたガスバリア性フィルムに直線偏光板を組み合わせて用いるのが好ましい。
レターデーションが10nm以下の基材フィルムとしては、例えば、セルローストリアセテート(富士フィルム株式会社製:フジタック(登録商標))、ポリカーボネート(帝人化成株式会社製:ピュアエース(登録商標)、株式会社カネカ製:エルメック(登録商標))、シクロオレフィンポリマー(JSR株式会社製:アートン(登録商標)、日本ゼオン株式会社製:ゼオノア(登録商標))、シクロオレフィンコポリマー(三井化学株式会社製:アペル(登録商標)(ペレット)、ポリプラスチック株式会社製:トパス(登録商標)(ペレット))、ポリアリレート(ユニチカ株式会社製:U100(ペレット))、透明ポリイミド(三菱ガス化学株式会社製:ネオプリム(登録商標))等を挙げることができる。
また1/4波長板としては、上記のフィルムを適宜延伸することで所望のレターデーション値に調整したフィルムを用いることができる。
本発明に係るガスバリア性フィルムは、有機EL素子等の電子デバイスとして利用されることから、プラスチックフィルムは透明であることが好ましい。すなわち、光線透過率が通常80%以上、好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。光線透過率は、JIS K7105:1981に記載された方法、すなわち積分球式光線透過率測定装置を用いて全光線透過率および散乱光量を測定し、全光線透過率から拡散透過率を引いて算出することができる。
ただし、本発明に係るガスバリア性フィルムをディスプレイ用途に用いる場合であっても、観察側に設置しない場合などは必ずしも透明性が要求されない。したがって、このような場合は、プラスチックフィルムとして不透明な材料を用いることもできる。不透明な材料としては、例えば、ポリイミド、ポリアクリロニトリル、公知の液晶ポリマーなどが挙げられる。
本発明に係るガスバリア性フィルムに用いられるプラスチックフィルムの厚みは、用途によって適宜選択されるため特に制限がないが、典型的には1〜800μmであり、好ましくは10〜200μmである。これらのプラスチックフィルムは、透明導電層、プライマー層等の機能層を有していても良い。機能層については、上述したもののほか、特開2006−289627号公報の段落番号「0036」〜「0038」に記載されているものを好ましく採用できる。
基材は、表面の平滑性が高いものが好ましい。表面の平滑性としては、平均表面粗さ(Ra)が2nm以下であるものが好ましい。下限は特にないが、実用上、0.01nm以上である。必要に応じて、基材の両面、少なくともバリア層を設ける側を研摩し、平滑性を向上させておいてもよい。
また、上記に挙げた樹脂等を用いた基材は、未延伸フィルムでもよく、延伸フィルムでもよい。
本発明で用いられる基材は、従来公知の一般的な方法により製造することが可能である。例えば、材料となる樹脂を押し出し機により溶融し、環状ダイやTダイにより押し出して急冷することにより、実質的に無定形で配向していない未延伸の基材を製造することができる。また、未延伸の基材を一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸等の公知の方法により、基材の流れ(縦軸)方向、または基材の流れ方向と直角(横軸)方向に延伸することにより延伸基材を製造することができる。この場合の延伸倍率は、基材の原料となる樹脂に合わせて適宜選択することできるが、縦軸方向および横軸方向にそれぞれ2〜10倍が好ましい。
基材の少なくとも本発明に係るバリア層を設ける側には、密着性向上のための公知の種々の処理、例えばコロナ放電処理、火炎処理、酸化処理、またはプラズマ処理や、後述するプライマー層の積層等を行うことが好ましく、必要に応じて上記処理を組み合わせて行うことがより好ましい。
[バリア層]
本発明に係るバリア層は、基材の一方の面に形成される層であり、ケイ素、酸素、および炭素を含有する層である。そして、該バリア層は、上記条件(i)〜(iii)を満たす。
まず、バリア層は、(i)前記バリア層の膜厚方向における前記バリア層表面からの距離(L)と、ケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対するケイ素原子の量の比率(ケイ素の原子比)との関係を示すケイ素分布曲線、前記Lとケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する酸素原子の量の比率(酸素の原子比)との関係を示す酸素分布曲線、ならびに前記Lとケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する炭素原子の量の比率(炭素の原子比)との関係を示す炭素分布曲線において、前記バリア層の膜厚の90%以上(上限:100%)の領域で、(酸素の原子比)、(ケイ素の原子比)、(炭素の原子比)の順で多い(原子比がO>Si>C)。前記の条件(i)を満たさない場合、得られるガスバリア性フィルムのガスバリア性や屈曲性が不十分となる。ここで、上記炭素分布曲線において、上記(酸素の原子比)、(ケイ素の原子比)および(炭素の原子比)の関係は、バリア層の膜厚の、少なくとも90%以上(上限:100%)の領域で満たされることがより好ましく、少なくとも93%以上(上限:100%)の領域で満たされることがより好ましい。ここで、バリア層の膜厚の少なくとも90%以上とは、バリア層中で連続していなくてもよく、単に90%以上の部分で上記した関係を満たしていればよい。
また、バリア層は、(ii)前記炭素分布曲線が少なくとも2つの極値を有する。該バリア層は、前記炭素分布曲線が少なくとも3つの極値を有することが好ましく、少なくとも4つの極値を有することがより好ましいが、5つ以上有してもよい。前記炭素分布曲線の極値が1つ以下である場合、得られるガスバリア性フィルムを屈曲させた場合におけるガスバリア性が不十分となる。なお、炭素分布曲線の極値の上限は、特に制限されないが、例えば、好ましくは30以下、より好ましくは25以下である。極値の数は、バリア層の膜厚にも起因するため、一概に規定することはできない。
ここで、少なくとも3つの極値を有する場合においては、前記炭素分布曲線の有する1つの極値および該極値に隣接する極値における前記バリア層の膜厚方向における前記バリア層の表面からの距離(L)の差の絶対値(以下、単に「極値間の距離」とも称する)が、いずれも200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましく、75nm以下であることが特に好ましい。このような極値間の距離であれば、バリア層中に炭素原子比が多い部位(極大値)が適度な周期で存在するため、バリア層に適度な屈曲性を付与し、ガスバリア性フィルムの屈曲時のクラックの発生をより有効に抑制・防止できる。なお、本明細書において「極値」とは、前記バリア層の膜厚方向における前記バリア層の表面からの距離(L)に対する元素の原子比の極大値または極小値のことをいう。また、本明細書において「極大値」とは、バリア層の表面からの距離を変化させた場合に元素(酸素、ケイ素または炭素)の原子比の値が増加から減少に変わる点であって、かつその点の元素の原子比の値よりも、該点からバリア層の膜厚方向におけるバリア層の表面からの距離をさらに4〜20nmの範囲で変化させた位置の元素の原子比の値が3at%以上減少する点のことをいう。すなわち、4〜20nmの範囲で変化させた際に、いずれかの範囲で元素の原子比の値が3at%以上減少していればよい。同様にして、本明細書において「極小値」とは、バリア層の表面からの距離を変化させた場合に元素(酸素、ケイ素または炭素)の原子比の値が減少から増加に変わる点であり、かつその点の元素の原子比の値よりも、該点からバリア層の膜厚方向におけるバリア層の表面からの距離をさらに4〜20nmの範囲で変化させた位置の元素の原子比の値が3at%以上増加する点のことをいう。すなわち、4〜20nmの範囲で変化させた際に、いずれかの範囲で元素の原子比の値が3at%以上増加していればよい。ここで、少なくとも3つの極値を有する場合の、極値間の距離の下限は、極値間の距離が小さいほどガスバリア性フィルムの屈曲時のクラック発生抑制/防止の向上効果が高いため、特に制限されないが、バリア層の屈曲性、クラックの抑制/防止効果、熱膨張性などを考慮すると、10nm以上であることが好ましく、30nm以上であることがより好ましい。
さらに、バリア層は、(iii)前記炭素分布曲線における炭素の原子比の最大値および最小値の差の絶対値(以下、単に「Cmax−Cmin差」とも称する)が3at%以上である。前記絶対値が3at%未満では、得られるガスバリア性フィルムを屈曲させた場合に、ガスバリア性が不十分となる。Cmax−Cmin差は5at%以上であることが好ましく、7at%以上であることがより好ましく、10at%以上であることが特に好ましい。上記Cmax−Cmin差とすることによって、ガスバリア性をより向上することができる。なお、本明細書において、「最大値」とは、各元素の分布曲線において最大となる各元素の原子比であり、極大値の中で最も高い値である。同様にして、本明細書において、「最小値」とは、各元素の分布曲線において最小となる各元素の原子比であり、極小値の中で最も低い値である。ここで、Cmax−Cmin差の上限は、特に制限されないが、ガスバリア性フィルムの屈曲時のクラック発生抑制/防止の向上効果などを考慮すると、50at%以下であることが好ましく、40at%以下であることがより好ましい。
本発明において、前記バリア層の前記酸素分布曲線が少なくとも1つの極値を有することが好ましく、少なくとも2つの極値を有することがより好ましく、少なくとも3つの極値を有することがさらに好ましい。前記酸素分布曲線が極値を少なくとも1つ有する場合、得られるガスバリア性フィルムを屈曲させた場合におけるガスバリア性がより向上する。なお、酸素分布曲線の極値の上限は、特に制限されないが、例えば、好ましくは20以下、より好ましくは10以下である。酸素分布曲線の極値の数においても、バリア層の膜厚に起因する部分があり一概に規定できない。また、少なくとも3つの極値を有する場合においては、前記酸素分布曲線の有する1つの極値および該極値に隣接する極値における前記バリア層の膜厚方向におけるバリア層の表面からの距離の差の絶対値がいずれも200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましい。このような極値間の距離の距離であれば、ガスバリア性フィルムの屈曲時のクラックの発生をより有効に抑制・防止できる。ここで、少なくとも3つの極値を有する場合の、極値間の距離の下限は、特に制限されないが、ガスバリア性フィルムの屈曲時のクラック発生抑制/防止の向上効果、熱膨張性などを考慮すると、10nm以上であることが好ましく、30nm以上であることがより好ましい。
加えて、本発明において、前記バリア層の前記酸素分布曲線における酸素の原子比の最大値および最小値の差の絶対値(以下、単に「Omax−Omin差」とも称する)が3at%以上であることが好ましく、5at%以上であることがより好ましく、6at%以上であることがさらにより好ましく、7at%以上であることが特に好ましい。前記絶対値が3at%以上であれば、得られるガスバリア性フィルムのフィルムを屈曲させた場合におけるガスバリア性がより向上する。ここで、Omax−Omin差の上限は、特に制限されないが、ガスバリア性フィルムの屈曲時のクラック発生抑制/防止の向上効果などを考慮すると、50at%以下であることが好ましく、40at%以下であることがより好ましい。
本発明において、前記バリア層の前記ケイ素分布曲線におけるケイ素の原子比の最大値および最小値の差の絶対値(以下、単に「Simax−Simin差」とも称する)が10at%以下であることが好ましく、7at%以下であることがより好ましく、3at%以下であることがさらに好ましい。前記絶対値が10at%以下である場合、得られるガスバリア性フィルムのガスバリア性がより向上する。ここで、Simax−Simin差の下限は、Simax−Simin差が小さいほどガスバリア性フィルムの屈曲時のクラック発生抑制/防止の向上効果が高いため、特に制限されないが、ガスバリア性などを考慮すると、1at%以上であることが好ましく、2at%以上であることがより好ましい。
また、本発明において、バリア層の膜厚方向に対する炭素および酸素原子の合計量はほぼ一定であることが好ましい。これにより、バリア層は適度な屈曲性を発揮し、ガスバリア性フィルムの屈曲時のクラック発生をより有効に抑制・防止されうる。より具体的には、バリア層の膜厚方向における該バリア層の表面からの距離(L)とケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する、酸素原子および炭素原子の合計量の比率(酸素および炭素の原子比)との関係を示す酸素炭素分布曲線において、前記酸素炭素分布曲線における酸素および炭素の原子比の合計の最大値および最小値の差の絶対値(以下、単に「OCmax−OCmin差」とも称する)が5at%未満であることが好ましく、4at%未満であることがより好ましく、3at%未満であることがさらに好ましい。前記絶対値が5at%未満であれば、得られるガスバリア性フィルムのガスバリア性がより向上する。なお、OCmax−OCmin差の下限は、OCmax−OCmin差が小さいほど好ましいため、0at%であるが、0.1at%以上であれば十分である。
前記ケイ素分布曲線、前記酸素分布曲線、前記炭素分布曲線、および前記酸素炭素分布曲線は、X線光電子分光法(XPS:Xray Photoelectron Spectroscopy)の測定とアルゴン等の希ガスイオンスパッタとを併用することにより、試料内部を露出させつつ順次表面組成分析を行う、いわゆるXPSデプスプロファイル測定により作成することができる。このようなXPSデプスプロファイル測定により得られる分布曲線は、例えば、縦軸を各元素の原子比(単位:at%)とし、横軸をエッチング時間(スパッタ時間)として作成することができる。なお、このように横軸をエッチング時間とする元素の分布曲線においては、エッチング時間は膜厚方向における前記バリア層の膜厚方向における前記バリア層の表面からの距離(L)に概ね相関することから、「バリア層の膜厚方向におけるバリア層の表面からの距離」として、XPSデプスプロファイル測定の際に採用したエッチング速度とエッチング時間との関係から算出されるバリア層の表面からの距離を採用することができる。なお、本発明では、ケイ素分布曲線、酸素分布曲線、炭素分布曲線および酸素炭素分布曲線は、下記測定条件にて作成した。
(測定条件)
エッチングイオン種:アルゴン(Ar);
エッチング速度(SiO熱酸化膜換算値):0.05nm/sec;
エッチング間隔(SiO換算値):10nm;
X線光電子分光装置:Thermo Fisher Scientific社製、機種名"VG Theta Probe";
照射X線:単結晶分光AlKα
X線のスポットおよびそのサイズ:800×400μmの楕円形。
本発明において、バリア層の厚み(乾燥膜厚)は、上記(i)〜(iii)を満たす限り、特に制限されない。バリア層の厚みは、20〜3000nmであることが好ましく、50〜2500nmであることがより好ましく、100〜1000nmであることが特に好ましい。このような厚みであれば、ガスバリア性フィルムは、優れたガスバリア性および屈曲時のクラック発生抑制/防止効果を発揮できる。なお、バリア層が2層以上から構成される場合には、各バリア層が上記したような厚みを有することが好ましい。また、バリア層が2層以上から構成される場合のバリア層全体の厚みは特に制限されないが、バリア層全体の厚み(乾燥膜厚)が1000〜2000nm程度であることが好ましい。このような厚みであれば、ガスバリア性フィルムは、優れたガスバリア性および屈曲時のクラック発生抑制/防止効果を発揮できる。
本発明において、膜面全体において均一でかつ優れたガスバリア性を有するバリア層を形成するという観点から、前記バリア層が膜面方向(バリア層の表面に平行な方向)において実質的に一様であることが好ましい。ここで、バリア層が膜面方向において実質的に一様とは、XPSデプスプロファイル測定によりバリア層の膜面の任意の2箇所の測定箇所について前記酸素分布曲線、前記炭素分布曲線および前記酸素炭素分布曲線を作成した場合に、その任意の2箇所の測定箇所において得られる炭素分布曲線が持つ極値の数が同じであり、それぞれの炭素分布曲線における炭素の原子比の最大値および最小値の差の絶対値が、互いに同じであるかもしくは5at%以内の差であることをいう。
さらに、本発明においては、前記炭素分布曲線は実質的に連続であることが好ましい。ここで、炭素分布曲線が実質的に連続とは、炭素分布曲線における炭素の原子比が不連続に変化する部分を含まないことを意味し、具体的には、エッチング速度とエッチング時間とから算出される前記バリア層のうちの少なくとも1層の膜厚方向における該バリア層の表面からの距離(x、単位:nm)と、炭素の原子比(C、単位:at%)との関係において、下記数式(1)で表される条件を満たすことをいう。
本発明に係るガスバリア性フィルムにおいて、上記条件(i)〜(iii)を全て満たすバリア層は、1層のみを備えていてもよいし2層以上を備えていてもよい。さらに、このようなバリア層を2層以上備える場合には、複数のバリア層の材質は、同一であってもよいし異なっていてもよい。
前記ケイ素分布曲線、前記酸素分布曲線、および前記炭素分布曲線において、ケイ素の原子比、酸素の原子比、および炭素の原子比が、該バリア層の膜厚の90%以上の領域において前記(i)で表される条件を満たす場合には、前記バリア層中におけるケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対するケイ素原子の含有量の原子比率は、20〜40at%であることが好ましく、25〜35at%であることがより好ましい。また、前記バリア層中におけるケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する酸素原子の含有量の原子比率は、45〜75at%であることが好ましく、50〜70at%であることがより好ましい。さらに、前記バリア層中におけるケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する炭素原子の含有量の原子比率は、0.5〜25at%であることが好ましく、1〜20at%であることがより好ましい。
本発明では、バリア層の形成方法は特に制限されず、従来と方法を同様にしてあるいは適宜修飾して適用できる。バリア層は、好ましくは化学気相成長(CVD)法、特に、プラズマ化学気相成長法(プラズマCVD、PECVD(plasma-enhanced chemical vapor deposition)、以下、単に「プラズマCVD法」とも称する)により形成され、基材を一対の成膜ローラー上に配置し、前記一対の成膜ローラー間に放電してプラズマを発生させるプラズマCVD法により形成されることがより好ましい。以下では、本発明で好ましく使用されるプラズマCVD法を利用してバリア層を形成する方法を以下に説明する。
[バリア層の形成方法]
次に、本発明に係るバリア層を形成する好ましい方法について説明する。本発明のガスバリア性フィルムは、前記基材の少なくとも一方の表面上にバリア層を形成させた後、さらにOMOCER層を前記バリア層上に形成することにより製造することができる。本発明に係るバリア層を前記基材の表面上に形成させる方法としては、ガスバリア性の観点から、プラズマCVD法を採用することが好ましい。なお、前記プラズマCVD法はペニング放電プラズマ方式のプラズマCVD法であってもよい。
また、プラズマCVD法においてプラズマを発生させる際には、複数の成膜ローラーの間の空間にプラズマ放電を発生させることが好ましく、一対の成膜ローラーを用い、その一対の成膜ローラーのそれぞれに前記基材を配置して、一対の成膜ローラー間に放電してプラズマを発生させることがより好ましい。このようにして、一対の成膜ローラーを用い、その一対の成膜ローラー上に基材を配置して、かかる一対の成膜ローラー間に放電することにより、成膜時に一方の成膜ローラー上に存在する基材の表面部分を成膜しつつ、もう一方の成膜ローラー上に存在する基材の表面部分も同時に成膜することが可能となって効率よく薄膜を製造できるばかりか、通常のローラーを使用しないプラズマCVD法と比較して成膜レートを倍にでき、なおかつ、略同じ構造の膜を成膜できるので前記炭素分布曲線における極値を少なくとも倍増させることが可能となり、効率よく上記条件(i)〜(iii)を全て満たす層を形成することが可能となる。
また、このようにして一対の成膜ローラー間に放電する際には、前記一対の成膜ローラーの極性を交互に反転させることが好ましい。さらに、このようなプラズマCVD法に用いる成膜ガスとしては、有機ケイ素化合物と酸素とを含むものが好ましく、その成膜ガス中の酸素の含有量は、前記成膜ガス中の前記有機ケイ素化合物の全量を完全酸化するのに必要な理論酸素量未満であることが好ましい。また、本発明のガスバリア性フィルムにおいては、前記バリア層が連続的な成膜プロセスにより形成された層であることが好ましい。
また、本発明に係るガスバリア性フィルムは、生産性の観点から、ロールツーロール方式で前記基材の表面上に前記バリア層を形成させることが好ましい。また、このようなプラズマCVD法によりバリア層を製造する際に用いることが可能な装置としては、特に制限されないが、少なくとも一対の成膜ローラーと、プラズマ電源とを備え、かつ前記一対の成膜ローラー間において放電することが可能な構成となっている装置であることが好ましく、例えば、図1に示す製造装置を用いた場合には、プラズマCVD法を利用しながらロールツーロール方式で製造することも可能となる。
以下、図1を参照しながら、本発明に係るバリア層の形成方法について、より詳細に説明する。なお、図1は、本発明に係るバリア層を製造するために好適に利用することが可能な製造装置の一例を示す模式図である。また、以下の説明および図面中、同一または相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図1に示す製造装置31は、送り出しローラー32と、搬送ローラー33、34、35、36と、成膜ローラー39、40と、ガス供給管41と、プラズマ発生用電源42と、成膜ローラー39および40の内部に設置された磁場発生装置43、44と、巻取りローラー45とを備えている。また、このような製造装置においては、少なくとも成膜ローラー39、40と、ガス供給管41と、プラズマ発生用電源42と、磁場発生装置43、44とが図示を省略した真空チャンバ内に配置されている。さらに、このような製造装置31において前記真空チャンバは図示を省略した真空ポンプに接続されており、かかる真空ポンプにより真空チャンバ内の圧力を適宜調整することが可能となっている。
このような製造装置においては、一対の成膜ローラー(成膜ローラー39と成膜ローラー40)を一対の対向電極として機能させることが可能となるように、各成膜ローラーがそれぞれプラズマ発生用電源42に接続されている。そのため、このような製造装置31においては、プラズマ発生用電源42により電力を供給することにより、成膜ローラー39と成膜ローラー40との間の空間に放電することが可能であり、これにより成膜ローラー39と成膜ローラー40との間の空間にプラズマを発生させることができる。なお、このように、成膜ローラー39と成膜ローラー40とを電極としても利用する場合には、電極としても利用可能なようにその材質や設計を適宜変更すればよい。また、このような製造装置においては、一対の成膜ローラー(成膜ローラー39および40)は、その中心軸が同一平面上において略平行となるようにして配置することが好ましい。このようにして、一対の成膜ローラー(成膜ローラー39および40)を配置することにより、成膜レートを倍にでき、なおかつ、同じ構造の膜を成膜できるので前記炭素分布曲線における極値を少なくとも倍増させることが可能となる。そして、このような製造装置によれば、CVD法により基材2の表面上にバリア層3を形成することが可能であり、成膜ローラー39上において基材2の表面上にバリア層成分を堆積させつつ、さらに成膜ローラー40上においても基材2の表面上にバリア層成分を堆積させることもできるため、基材2の表面上にバリア層を効率よく形成することができる。
成膜ローラー39および成膜ローラー40の内部には、成膜ローラーが回転しても回転しないようにして固定された磁場発生装置43および44がそれぞれ設けられている。
成膜ローラー39および成膜ローラー40にそれぞれ設けられた磁場発生装置43および44は、一方の成膜ローラー39に設けられた磁場発生装置43と他方の成膜ローラー40に設けられた磁場発生装置44との間で磁力線がまたがらず、それぞれの磁場発生装置43、44がほぼ閉じた磁気回路を形成するように磁極を配置することが好ましい。このような磁場発生装置43、44を設けることにより、各成膜ローラー39、40の対向側表面付近に磁力線が膨らんだ磁場の形成を促進することができ、その膨出部にプラズマが収束され易くなるため、成膜効率を向上させることができる点で優れている。
また、成膜ローラー39および成膜ローラー40にそれぞれ設けられた磁場発生装置43および44は、それぞれローラー軸方向に長いレーストラック状の磁極を備え、一方の磁場発生装置43と他方の磁場発生装置44とは向かい合う磁極が同一極性となるように磁極を配置することが好ましい。このような磁場発生装置43、44を設けることにより、それぞれの磁場発生装置43、44について、磁力線が対向するローラー側の磁場発生装置にまたがることなく、ローラー軸の長さ方向に沿って対向空間(放電領域)に面したローラー表面付近にレーストラック状の磁場を容易に形成することができ、その磁場にプラズマを収束させることができため、ローラー幅方向に沿って巻き掛けられた幅広の基材2を用いて効率的に蒸着膜であるバリア層3を形成することができる点で優れている。
成膜ローラー39および成膜ローラー40としては適宜公知のローラーを用いることができる。このような成膜ローラー39および40としては、より効率よく薄膜を形成せしめるという観点から、直径が同一のものを使うことが好ましい。また、このような成膜ローラー39および40の直径としては、放電条件、チャンバのスペース等の観点から、直径が300〜1000mmφの範囲、特に300〜700mmφの範囲が好ましい。成膜ローラーの直径が300mmφ以上であれば、プラズマ放電空間が小さくなることがないため生産性の劣化もなく、短時間でプラズマ放電の全熱量が基材2にかかることを回避できることから、基材2へのダメージを軽減でき好ましい。一方、成膜ローラーの直径が1000mmφ以下であれば、プラズマ放電空間の均一性等も含めて装置設計上、実用性を保持することができるため好ましい。
このような製造装置31においては、基材2の表面がそれぞれ対向するように、一対の成膜ローラー(成膜ローラー39と成膜ローラー40)上に、基材2が配置されている。このようにして基材2を配置することにより、成膜ローラー39と成膜ローラー40との間の対向空間に放電を行ってプラズマを発生させる際に、一対の成膜ローラー間に存在する基材2のそれぞれの表面を同時に成膜することが可能となる。すなわち、このような製造装置によれば、プラズマCVD法により、成膜ローラー39上にて基材2の表面上にバリア層成分を堆積させ、さらに成膜ローラー40上にてバリア層成分を堆積させることができるため、基材2の表面上にバリア層を効率よく形成することが可能となる。
このような製造装置に用いる送り出しローラー32および搬送ローラー33、34、35、36としては適宜公知のローラーを用いることができる。また、巻取りローラー45としても、基材2上にバリア層3を形成したガスバリア性フィルム1を巻き取ることが可能なものであればよく、特に制限されず、適宜公知のローラーを用いることができる。
また、ガス供給管41および真空ポンプとしては、原料ガス等を所定の速度で供給または排出することが可能なものを適宜用いることができる。
また、ガス供給手段であるガス供給管41は、成膜ローラー39と成膜ローラー40との間の対向空間(放電領域;成膜ゾーン)の一方に設けることが好ましく、真空排気手段である真空ポンプ(図示せず)は、前記対向空間の他方に設けることが好ましい。このようにガス供給手段であるガス供給管41と、真空排気手段である真空ポンプを配置することにより、成膜ローラー39と成膜ローラー40との間の対向空間に効率良く成膜ガスを供給することができ、成膜効率を向上させることができる点で優れている。
さらに、プラズマ発生用電源42としては、適宜公知のプラズマ発生装置の電源を用いることができる。このようなプラズマ発生用電源42は、これに接続された成膜ローラー39と成膜ローラー40とに電力を供給して、これらを放電のための対向電極として利用することを可能とする。このようなプラズマ発生用電源42としては、より効率よくプラズマCVDを実施することが可能となることから、前記一対の成膜ローラーの極性を交互に反転させることが可能なもの(交流電源など)を利用することが好ましい。また、このようなプラズマ発生用電源42としては、より効率よくプラズマCVDを実施することが可能となることから、印加電力を100W〜10kWとすることができ、かつ交流の周波数を50Hz〜500kHzとすることが可能なものであることがより好ましい。また、磁場発生装置43、44としては適宜公知の磁場発生装置を用いることができる。さらに、基材2としては、本発明で用いられる基材の他に、バリア層3を予め形成させたものを用いることができる。このように、基材2としてバリア層3を予め形成させたものを用いることにより、バリア層3の厚みを厚くすることも可能である。
このような図1に示す製造装置31を用いて、例えば、原料ガスの種類、プラズマ発生装置の電極ドラムの電力、真空チャンバ内の圧力、成膜ローラーの直径、ならびにフィルム(基材)の搬送速度を適宜調整することにより、本発明に係るバリア層を製造することができる。すなわち、図1に示す製造装置31を用いて、成膜ガス(原料ガス等)を真空チャンバ内に供給しつつ、一対の成膜ローラー(成膜ローラー39および40)間に放電を発生させることにより、前記成膜ガス(原料ガス等)がプラズマによって分解され、成膜ローラー39上の基材2の表面上および成膜ローラー40上の基材2の表面上に、バリア層3がプラズマCVD法により形成される。この際、成膜ローラー39、40のローラー軸の長さ方向に沿って対向空間(放電領域)に面したローラー表面付近にレーストラック状の磁場が形成して、磁場にプラズマを収束させる。このため、基材2が、図1中の成膜ローラー39のA地点および成膜ローラー40のB地点を通過する際に、バリア層で炭素分布曲線の極大値が形成される。これに対して、基材2が、図1中の成膜ローラー39のC1およびC2地点、ならびに成膜ローラー40のC3およびC4地点を通過する際に、バリア層で炭素分布曲線の極小値が形成される。このため、2つの成膜ローラーに対して、通常、5つの極値が生成する。また、バリア層の極値間の距離(炭素分布曲線の有する1つの極値および該極値に隣接する極値におけるバリア層の膜厚方向におけるバリア層の表面からの距離(L)の差の絶対値)は、成膜ローラー39、40の回転速度(基材の搬送速度)によって調節できる。なお、このような成膜に際しては、基材2が送り出しローラー32や成膜ローラー39等により、それぞれ搬送されることにより、ロールツーロール方式の連続的な成膜プロセスにより基材2の表面上にバリア層3が形成される。
前記ガス供給管41から対向空間に供給される成膜ガス(原料ガス等)としては、原料ガス、反応ガス、キャリアガス、放電ガスが単独または2種以上を混合して用いることができる。バリア層3の形成に用いる前記成膜ガス中の原料ガスとしては、形成するバリア層3の材質に応じて適宜選択して使用することができる。このような原料ガスとしては、例えば、ケイ素を含有する有機ケイ素化合物や炭素を含有する有機化合物ガスを用いることができる。このような有機ケイ素化合物としては、例えば、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、ヘキサメチルジシラン(HMDS)、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサンが挙げられる。これらの有機ケイ素化合物の中でも、化合物の取り扱い性および得られるバリア層のガスバリア性等の特性の観点から、ヘキサメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンが好ましい。これらの有機ケイ素化合物は、単独でもまたは2種以上を組み合わせても使用することができる。また、炭素を含有する有機化合物ガスとしては、例えば、メタン、エタン、エチレン、アセチレンを例示することができる。これら有機ケイ素化合物ガスや有機化合物ガスは、バリア層3の種類に応じて適切な原料ガスが選択される。
また、前記成膜ガスとしては、前記原料ガスの他に反応ガスを用いてもよい。このような反応ガスとしては、前記原料ガスと反応して酸化物、窒化物等の無機化合物となるガスを適宜選択して使用することができる。酸化物を形成するための反応ガスとしては、例えば、酸素、オゾンを用いることができる。また、窒化物を形成するための反応ガスとしては、例えば、窒素、アンモニアを用いることができる。これらの反応ガスは、単独でもまたは2種以上を組み合わせても使用することができ、例えば酸窒化物を形成する場合には、酸化物を形成するための反応ガスと窒化物を形成するための反応ガスとを組み合わせて使用することができる。
前記成膜ガスとしては、前記原料ガスを真空チャンバ内に供給するために、必要に応じて、キャリアガスを用いてもよい。さらに、前記成膜ガスとしては、プラズマ放電を発生させるために、必要に応じて、放電用ガスを用いてもよい。このようなキャリアガスおよび放電用ガスとしては、適宜公知のものを使用することができ、例えば、ヘリウム、アルゴン、ネオン、キセノン等の希ガス;水素を用いることができる。
このような成膜ガスが原料ガスと反応ガスを含有する場合には、原料ガスと反応ガスの比率としては、原料ガスと反応ガスとを完全に反応させるために理論上必要となる反応ガスの量の比率よりも、反応ガスの比率を過剰にし過ぎないことが好ましい。反応ガスの比率を過剰にし過ぎないことで、形成されるバリア層3によって、優れたバリア性や耐屈曲性を得ることができる点で優れている。また、前記成膜ガスが前記有機ケイ素化合物と酸素とを含有するものである場合には、前記成膜ガス中の前記有機ケイ素化合物の全量を完全酸化するのに必要な理論酸素量以下であることが好ましい。
以下、前記成膜ガスとして、原料ガスとしてのヘキサメチルジシロキサン(有機ケイ素化合物、HMDSO、(CHSiO)と、反応ガスとしての酸素(O)を含有するものとを用い、ケイ素−酸素系の薄膜を製造する場合を例に挙げて、成膜ガス中の原料ガスと反応ガスとの好適な比率等について、より詳細に説明する。
原料ガスとしてのヘキサメチルジシロキサン(HMDSO、(CHSiO)と、反応ガスとしての酸素(O)と、を含有する成膜ガスをプラズマCVDにより反応させてケイ素−酸素系の薄膜を作製する場合、その成膜ガスにより下記反応式(1)で表されるような反応が起こり、二酸化ケイ素が生成する。
このような反応においては、ヘキサメチルジシロキサン1モルを完全酸化するのに必要な酸素量は12モルである。そのため、成膜ガス中に、ヘキサメチルジシロキサン1モルに対して酸素を12モル以上含有させて完全に反応させた場合には、均一な二酸化ケイ素膜が形成されてしまう(炭素分布曲線が存在しない)ため、上記条件(i)〜(iii)を全て満たすバリア層を形成することができなくなってしまう。そのため、本発明において、バリア層を形成する際には、上記反応式(1)の反応が完全に進行してしまわないように、ヘキサメチルジシロキサン1モルに対して酸素量を化学量論比の12モルより少なくすることが好ましい。なお、実際のプラズマCVDチャンバ内の反応では、原料のヘキサメチルジシロキサンと反応ガスの酸素とは、ガス供給部から成膜領域へ供給されて成膜されるので、反応ガスの酸素のモル量(流量)が原料のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)の12倍のモル量(流量)であったとしても、現実には完全に反応を進行させることはできず、酸素の含有量を化学量論比に比して大過剰に供給して初めて反応が完結すると考えられる(例えば、CVDにより完全酸化させて酸化ケイ素を得るために、酸素のモル量(流量)を原料のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)の20倍以上程度とする場合もある)。そのため、原料のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)に対する酸素のモル量(流量)は、化学量論比である12倍量以下(より好ましくは、10倍以下)の量であることが好ましい。このような比でヘキサメチルジシロキサンおよび酸素を含有させることにより、完全に酸化されなかったヘキサメチルジシロキサン中の炭素原子や水素原子がバリア層中に取り込まれ、上記条件(i)〜(iii)を全て満たすバリア層を形成することが可能となって、得られるガスバリア性フィルムにおいて優れたガスバリア性および耐屈曲性を発揮させることが可能となる。なお、有機EL素子や太陽電池などのような透明性を必要とするデバイス用のフレキシブル基板への利用の観点から、成膜ガス中のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)に対する酸素のモル量(流量)の下限は、ヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)の0.1倍より多い量とすることが好ましく、0.5倍より多い量とすることがより好ましい。
また、真空チャンバ内の圧力(真空度)は、原料ガスの種類等に応じて適宜調整することができるが、0.5Pa〜50Paの範囲とすることが好ましい。
また、このようなプラズマCVD法において、成膜ローラー39と成膜ローラー40との間に放電するために、プラズマ発生用電源42に接続された電極ドラム(本実施形態においては、成膜ローラー39および40に設置されている)に印加する電力は、原料ガスの種類や真空チャンバ内の圧力等に応じて適宜調整することができるものであり一概に言えるものでないが、0.1〜10kWの範囲とすることが好ましい。このような印加電力が100W以上であれば、パーティクルが発生を十分に抑制することができ、他方、10kW以下であれば、成膜時に発生する熱量を抑えることができ、成膜時の基材表面の温度が上昇するのを抑制できる。そのため基材が熱負けすることなく、成膜時に皺が発生するのを防止できる点で優れている。
基材2の搬送速度(ライン速度)は、原料ガスの種類や真空チャンバ内の圧力等に応じて適宜調整することができるが、0.25〜100m/minの範囲とすることが好ましく、0.5〜20m/minの範囲とすることがより好ましい。ライン速度が0.25m/min以上であれば、基材に熱に起因する皺の発生を効果的に抑制することができる。他方、100m/min以下であれば、生産性を損なうことなく、バリア層として十分な厚みを確保することができる点で優れている。
上記したように、本実施形態のより好ましい態様としては、本発明に係るバリア層を、図1に示す対向ロール電極を有するプラズマCVD装置(ロールツーロール方式)を用いたプラズマCVD法によって成膜することを特徴とするものである。これは、対向ロール電極を有するプラズマCVD装置(ロールツーロール方式)を用いて量産する場合に、可撓性(屈曲性)に優れ、機械的強度、特にロールツーロールでの搬送時の耐久性と、バリア性能とが両立するバリア層を効率よく製造することができるためである。このような製造装置は、太陽電池や電子部品などに使用される温度変化に対する耐久性が求められるガスバリア性フィルムを、安価でかつ容易に量産することができる点でも優れている。
[ORMOCER層]
本発明のガスバリア性フィルムは、基材上に、バリア層に加えて、ORMOCER層を形成されてなる。ここで、バリア層およびORMOCER層の積層順序は特に制限されないが、基材上に、バリア層およびORMOCER層がこの順に積層されることが好ましい。このような構造により、ORMOCER層が温度や湿度の変化による基材の形状変化(収縮・膨脹)をより緩和して、クラックの発生をより効果的に抑制・防止できる。
本発明において、ORMOCER層は、下記式(1):
ただし、nは、2〜20の整数である、
のポリメトキシシロキサン(以下、単に「ポリメトキシシロキサン」とも称する)を、無機・有機ハイブリッドポリマー層(ORMOCER層)を構成する材料(以下、単に「ORMOCER構成材料」とも称する)の総モル数に対して、20〜40モル%の量で含む材料を用いて形成される。本明細書において、「ORMOCER」とは、(イ)有機ケイ素化合物および(ウ)アルミニウム化合物、ならびに必要であれば(エ)他の金属化合物を混合し、加水分解・重縮合させて得られる無機・有機ハイブリッドポリマーを意味する。「ORMOCER」は、例えば、EP−A−0 792 846、特開平2−160836号公報などに記載されている。
本発明に係るORMOCER層は、上記式(1)のポリメトキシシロキサンを特定量添加して形成されることによって、層中に均一なネットワーク構造(シリケート網目構造)を有する。ゆえに、本発明に係るORMOCER層は、ガスバリア性を有する上、温度や湿度の変化による形状変化を柔軟に吸収できる。このため、温度や湿度が大きく変化するような過酷な条件下で基材やバリア層が形状変化(収縮・膨脹)しても、ORMOCER層は形状変化を受けにくいため、ガスバリア性フィルムにクラックがほとんどまたは全く発生せず、長期間優れたガスバリア性(例えば、低い水蒸気透過率)を維持できる。
本発明に係るORMOCER層は、(ア)ポリメトキシシロキサン、(イ)有機ケイ素化合物および(ウ)アルミニウム化合物、ならびに必要であれば(エ)他の金属化合物から形成される。
(ア)ポリメトキシシロキサン
ポリメトキシシロキサンは、下記式(1)で示される。
上記式(1)において、nは、ポリメトキシシロキサンの平均重合度を表わし、2〜20である。なお、ポリメトキシシロキサンは、単一の構造を有するものであっても、または2種以上の混合物の形態であってもよい。前者の場合には、nは整数であるが、後者の場合には、nは必ずしも整数とはならず、その場合にはnは、混合物の各ポリメトキシシロキサン成分のnの平均値となるため、小数点となる場合がある。ガスバリア性、クラック発生の抑制/防止効果などを考慮すると、nは、好ましくは2〜9、より好ましくは3〜7であり、特に好ましくは4〜6である。このような構造のポリメトキシシロキサンを用いることにより、ORMOCER層に均一なシリケート編目構造を導入してガスバリア性を向上でき、また、安全性に優れる。
ポリメトキシシロキサンは、ORMOCER構成材料の総モル数(=ポリメトキシシロキサン、有機ケイ素化合物、アルミニウム化合物及び添加する場合には他の金属化合物の総モル数)に対して、20〜40モル%の量で含まれる。ポリメトキシシロキサンの量が下限を下回る場合には、ORMOCER層に十分均一なシリケート編目構造を導入できず、逆に上限を超える場合には、有機ケイ素化合物やアルミニウム化合物等の量が少なすぎてガスバリア性に劣る。好ましくは、ポリメトキシシロキサンは、ORMOCER構成材料の総モル数(=ポリメトキシシロキサン、有機ケイ素化合物、アルミニウム化合物及び添加する場合には他の金属化合物の総モル数)に対して、25〜35モル%の量で含まれる。
(イ)有機ケイ素化合物
有機ケイ素化合物は、特に制限されないが、下記式(2)で示される化合物またはそのオリゴマーであることが好ましい。
上記式(2)において、Rは、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアシルオキシ基、置換基を有していてもよいアルキルカルボニル基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、またはアミン基(−N(R、Rは、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有していてもよいアルキル基を表わす)を表わす。なお、Rが複数存在する(即ち、mが2または3である)際には、各Rは、同じであってもまたは異なるものであってもよい。
ここで、上記ハロゲン原子は、特に制限はなく、フッ素原子(F)、塩素原子(Cl)、臭素原子(Br)、ヨウ素原子(I)のいずれであってもよい。これらのうち、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
また、上記アルコキシ基は、特に制限はないが、炭素原子数1〜24のアルコキシ基であることが好ましい。このようなアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、イソブトキシ基、n−オクチルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、2−ヘキシルデシルオキシ基、および2−デシルテトラデシルオキシ基などが挙げられる。これらのうち、炭素原子数1〜20の直鎖もしくは分岐状のアルコキシ基が好ましく、炭素原子数1〜10の直鎖もしくは分岐状のアルコキシ基がより好ましく、炭素原子数1〜8の直鎖もしくは分岐状のアルコキシ基がさらにより好ましく、炭素原子数1〜4の直鎖のアルコキシ基が特に好ましい。
上記アシルオキシ基(−O−アシル基)中のアシル基は、特に制限されないが、炭素原子数1〜24の直鎖もしくは分岐状のアシル基であることが好ましい。このようなアシル基としては、例えば、ホルミル基、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、およびピリジルカルボニル基などが挙げられる。
上記アルキルカルボニル基(−C(=O)−アルキル基)は、特に制限はないが、炭素原子数2〜25のアルキルカルボニル基(−C(=O)−C1−24アルキル基)であることが好ましい。このようなアルキルカルボニル基としては、例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、n−プロピルカルボニル基、イソプロピルカルボニル基、およびシクロへキシルカルボニル基などが挙げられる。
上記アルコキシカルボニル基(−C(=O)−アルコキシ基)は、特に制限はないが、炭素原子数2〜25のアルコキシカルボニル基(−C(=O)−C1−24アルコキシ基)であることが好ましい。このようなアルコキシカルボニル基としては、例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、プロピルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、およびドデシルオキシカルボニル基などが挙げられる。
上記アミン基は、式:−N(Rで示される。ここで、Rは、水素原子または炭素原子数1〜24のアルキル基を表わす。この際、Rは、同じであってもまたは異なるものであってもよい。
ここで、上記アルキル基は、特に制限されないが、炭素原子数1〜24の直鎖もしくは分岐状のアルキル基であることが好ましい。このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、1,3−ジメチルブチル基、1−イソプロピルプロピル基、1,2−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、1,4−ジメチルペンチル基、3−エチルペンチル基、2−メチル−1−イソプロピルプロピル基、1−エチル−3−メチルブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−メチル−1−イソプロピルブチル基、2−メチル−1−イソプロピル基、1−t−ブチル−2−メチルプロピル基、n−ノニル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、イソデシル基、n−ウンデシル基、1−メチルデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基、n−ヘンエイコシル基、n−ドコシル基、n−トリコシル基、およびn−テトラコシル基などが挙げられる。これらのうち、炭素原子数1〜20の直鎖もしくは分岐状のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜10の直鎖もしくは分岐状のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1〜8の直鎖もしくは分岐状のアルキル基がさらにより好ましく、炭素原子数1〜3の直鎖のアルキル基が特に好ましい。
また、上記式(2)において、Rは、式(3):−(R−X−Rで表される基である。なお、Rが複数存在する(即ち、mが1または2である)際には、各Rは、同じであってもまたは異なるものであってもよい。
上記式(3)において、Rは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、または置換基を有していてもよいアリール基である。
ここで、上記アルキル基は、特に制限はないが、上記式(1)のアルキル基と同様であるため、ここでは説明を省略する。
上記アルケニル基は、特に制限されないが、炭素原子数2〜24の直鎖もしくは分岐状のアルケニル基であることが好ましい。このようなアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、1−ヘプテニル基、2−ヘプテニル基、5−ヘプテニル基、1−オクテニル基、3−オクテニル基、および5−オクテニル基などが挙げられる。
上記アルキニル基は、特に制限されないが、炭素原子数2〜24の直鎖もしくは分岐状のアルキニル基であることが好ましい。このようなアルキニル基としては、例えば、アセチレニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−ペンテチル基、2−ペンテチル基、3−ペンテチル基、1−ヘキシニル基、2−ヘキシニル基、3−ヘキシニル基、1−ヘプチニル基、2−ヘプチニル基、5−ヘプチニル基、1−オクチニル基、3−オクチニル基、および5−オクチニル基などが挙げられる。
上記アリール基は、特に制限されないが、炭素原子数6〜24のアリール基であることが好ましい。このようなアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フルオレニル基、アンスリル基、ピレニル基、アズレニル基、アセナフチレニル基、ターフェニル基、およびフェナンスリル基などが挙げられる。これらのうち、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
上記式(3)において、Xは、単結合、酸素原子(−O−)、硫黄原子(−S−)、または窒素原子(−N(Y)−;Yは、水素原子またはアルキル基)である。なお、Xが窒素原子(−N(Y)−;Yは、水素原子またはアルキル基)である際の、置換基「Y」としてのアルキル基は、特に制限はないが、上記式(1)のアルキル基と同様であるため、ここでは説明を省略する。
上記式(3)において、Rは、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、または置換基を有していてもよいアリーレン基を表わす。
ここで、上記アルキレン基は、特に制限されないが、炭素原子数1〜24の直鎖もしくは分岐状のアルキレン基であることが好ましい。このようなアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、およびプロピレン基などが挙げられる。
上記アルケニレン基は、特に制限されないが、炭素原子数2〜25の直鎖もしくは分岐状のアルケニレン基であることが好ましい。このようなアルケニレン基としては、例えば、ビニレン基、およびプロペニレン基などが挙げられる。
上記アリーレン基は、特に制限されないが、炭素原子数6〜24のアリーレン基であることが好ましい。このようなアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、フルオレニレン基、アンスリレン基、ピレニレン基、アズレニレン基、アセナフチレニレン基、ターフェニレン基、およびフェナンスリレン基などが挙げられる。これらのうち、フェニレン基、ナフチレン基が好ましく、フェニレン基がより好ましい。
上記式(3)において、nは、0または1である。ここで、nが0であるとは、Rが単結合である、即ち、−X−Rが直接ケイ素原子(Si)に結合することを意味する。
上記式(1)〜(3)において存在してもよい「置換基」は、特に限定されない。具体的には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素原子数1〜24の直鎖もしくは分岐状のアルキル基、炭素原子数1〜24のシクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基)、炭素原子数1〜24のヒドロキシアルキル基(例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基)、炭素原子数2〜24のアルコキシアルキル基(例えば、メトキシエチル基等)、炭素原子数1〜24のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、炭素原子数3〜24のシクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基)アルケニル基、アルキニル基、アミン基、アリール基、炭素原子数6〜24のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基)、炭素原子数1〜24のアルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基)、炭素原子数3〜24のシクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基)、炭素原子数6〜24のアリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基)、炭素原子数1〜24のアルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基)、炭素原子数7〜24のアリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基)、アミド基(−C=O)−N(R)(R’);ここで、R及びR’は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜24のアルキル基である)、水酸基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、チオール基(−SH)、シアノ基(−CN)、メルカプト基(−SH)、アミノ基(−NH)、エポキシ基等が挙げられる。なお、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アミン基、アリール基は上記と同様の定義であるため、ここでは説明を省略する。また、置換基の数は特に制限はなく、所望の効果を考慮して適宜選択されうる。上記において、同一の置換基で置換されることはない。すなわち、置換のアルキル基は、アルキル基で置換されることはない。これらのうち、ハロゲン原子、炭素原子数1〜3のアルキル、アルコキシ基、ニトロ基、アミノ基(−NH)及びエポキシ基の少なくとも一種により置換されることが好ましく、ハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br)、アミノ基(−NH)、エポキシ基がより好ましい。なお、最終生成物の疎水性(特に凝縮した水)に対する優れた耐性などを考慮すると、フッ素原子(フッ化シラン)が特に好ましい。一方、ガスバリア性、クラック発生の抑制/防止効果などを考慮すると、アミノ基(−NH)、エポキシ基が特に好ましい。
具体的には、有機ケイ素化合物は、架橋構造の形成性の観点から、エポキシ基、アミノ基、アミド基、水酸基、カルボキシル基、メルカプト基、シアノ基、(メタ)アクリルオキシ基、ビニル基等を有する化合物が好ましい。有機ケイ素化合物の好ましい具体例としては、3−グリドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が好ましく、特にエポキシ基を有する3−グリドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランが好ましい。上記有機ケイ素化合物は、単独で使用されてもまたは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
また、有機ケイ素化合物の出発原料中の含有量は、特に制限されないが、出発化合物の総モル数(=有機ケイ素化合物、アルミニウム化合物及び添加する場合には他の金属化合物の総モル数)に対して、25〜95モル%であることが好ましく、35〜90モル%であることがより好ましい。また、出発化合物の総モル数(=ポリメトキシシロキサン、有機ケイ素化合物、アルミニウム化合物及び添加する場合には他の金属化合物の総モル数)に対する有機ケイ素化合物の含有量もまた特に制限されないがが、30〜60モル%であることが好ましく、40〜55モル%であることがより好ましい。
(ウ)アルミニウム化合物
アルミニウム化合物は、特に制限されないが、下記式(4)で示される化合物、そのオリゴマーまたはその無機または有機酸のアルミニウム塩であることが好ましい。
上記式(4)において、Rは、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアシルオキシ基、または水酸基を表わす。この際、各Rは、同じであってもまたは異なるものであってもよい。また、上記「ハロゲン原子」、「置換基を有していてもよいアルキル基」、および「置換基を有していてもよいアルコキシ基」は、上記定義と同様であるため、ここでは説明を省略する。
すなわち、アルミニウム化合物の好ましい具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、アルミニウムトリメトキシド、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリプロポキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウム−sec−ブトキシド、アルミニウム−イソプロポキシド、メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムメトキシド、ジメチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、メチルアルミニウムジメトキシド、エチルアルミニウムジメトキシド、メチルアルミニウムジエトキシド、およびエチルアルミニウムジエトキシド;ならびにこれらとアセチルアセトン、アセト酢酸エチル、アルカノールアミン、グリコールおよびその誘導体との錯体などが挙げられる。上記アルミニウム化合物は、単独で使用されてもまたは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
また、アルミニウム化合物の出発原料中の含有量は、特に制限されないが、出発化合物の総モル数(=有機ケイ素化合物、アルミニウム化合物及び添加する場合には他の金属化合物の総モル数)に対して、5〜75モル%であることが好ましく、10〜65モル%であることがより好ましい。また、出発化合物の総モル数(=ポリメトキシシロキサン、有機ケイ素化合物、アルミニウム化合物及び添加する場合には他の金属化合物の総モル数)に対するアルミニウム化合物の含有量もまた特に制限されないがが、5〜30モル%であることが好ましく、10〜20モル%であることがより好ましい。
(エ)他の金属化合物
他の金属化合物は、特に制限されないが、第1〜3族元素、第4〜10族元素、第12族元素、第13〜15族元素(アルミニウムを除く)、ランタノイドおよびアクチノイドからなる群より選択される少なくとも一種の元素を含む酸化物、特に低揮発性酸化物であることが好ましい。より好ましくは、他の金属化合物は、Mg、アルカリ土類金属(特に、Ca)、B、Si、Sn、Pb、P、As、Sb、Bi、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、およびZnからなる群より選択される少なくとも一種の元素を含む酸化物、特に低揮発性酸化物(例えば、アルコキシド)であり、B、Si、Sn、Zn、およびPからなる群より選択される少なくとも一種の元素を含む酸化物、特に低揮発性酸化物(例えば、アルコキシド)であることが特に好ましい。
すなわち、他の金属化合物の好ましい具体例としては、テトラn−プロポキシジルコニウム(IV)、テトラn−ブトキシジルコニウム(IV)、テトラsec−ブトキシチタン(IV)、テトラメトキシチタン(IV)、およびテトラエトキシチタン(IV);ならびにこれらとアセチルアセトン、アセト酢酸エチル、アルカノールアミン、グリコールおよびその誘導体との錯体などが挙げられる。上記他の金属化合物は、単独で使用されてもまたは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
また、他の金属化合物の出発原料中の含有量は、特に制限されないが、出発化合物の総モル数(=有機ケイ素化合物、アルミニウム化合物及び添加する場合には他の金属化合物の総モル数)に対して、0〜70モル%であることが好ましく、5〜60モル%であることがより好ましい。また、出発化合物の総モル数(=ポリメトキシシロキサン、有機ケイ素化合物、アルミニウム化合物及び添加する場合には他の金属化合物の総モル数)に対する他の金属化合物の含有量もまた特に制限されないがが、5〜30モル%であることが好ましく、10〜20モル%であることがより好ましい。
本発明において、ORMOCER層の厚み(乾燥膜厚)は、特に制限されないが、30〜7000nmであることが好ましく、35〜6000nmであることがより好ましく、250〜2000nmであることが特に好ましい。このような厚みであれば、ORMOCER層は、ガスバリア性およびバリア層との優れた密着性を発揮できる。なお、ORMOCER層が2層以上から構成される場合には、ORMOCER層が上記したような厚みを有することが好ましい。また、ORMOCER層が2層以上から構成される場合のバリア層全体の厚みは特に制限されないが、ORMOCER層全体の厚み(乾燥膜厚)が300〜3000nm程度であることが好ましい。このような厚みであれば、ORMOCER層は、ガスバリア性およびバリア層との優れた密着性を発揮できる。
また、本発明において、バリア層とORMOCER層との厚み(乾燥膜厚)の比は、特に制限されない。バリア層と該ORMOCER層との膜厚比(バリア層の膜厚(nm):ORMOCER層の膜厚(nm))が、1:0.01〜60であることが好ましく、1: 0.1〜20であることがより好ましく、1:0.15〜10であることがさらにより好ましく、1:1〜10であることが特に好ましい。このような比であると、得られるガスバリア性フィルムは、さらに優れたガスバリア性、屈曲時のクラック発生抑制/防止効果性およびバリア層との優れた密着性を発揮できる。
[ORMOCER層の形成方法]
次に、本発明に係るORMOCER層を形成する好ましい方法について説明する。例えば、上記(ア)〜(ウ)および必要であれば(エ)の各成分を混合した後、水を添加・撹拌して、ORMOCER層形成用液を調製する。ここで、上記各成分の混合時に溶媒を添加してもよい。ここで、溶媒は、上記添加する各成分を溶解できるものであれば特に制限されず、上記(ア)〜(ウ)および必要であれば(エ)の種類によって適宜選択されうる。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、ノルマルプロピルアルコール、ブタノール、イソブタノール、ターシャリーブタノール、ブタンジオール、エチルヘキサノール、ベンジルアルコール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等のケトン系溶剤;トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ノルマルヘプタン、イソオクタン、ノルマルデカン等の炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシブチル、酢酸セロソルブ、酢酸アミル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸イソプロピル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等のエステル系溶剤;イソプロピルエーテル、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、ジオキサン、メチルターシャリーブチルエーテル(MTBE)、ブチルカルビトール等のエーテル系溶剤;N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)等のアミン系溶剤、水などが挙げられる。
ここで、上記(ア)〜(ウ)および必要であれば(エ)の各成分の混合順序は特に制限されない。例えば、(ア)〜(ウ)および必要であれば(エ)の各成分を一括して添加・混合する;(ア)〜(ウ)および必要であれば(エ)の各成分の一部を添加・混合した後、残りの成分を添加・混合する方法;(ア)〜(ウ)および必要であれば(エ)の各成分を順次添加する方法など、いずれでもよい。
また、上記各成分の混合後に水を添加するが、この際の水は、特に制限されず、純水、超純水、工業用純水、水道水(上水)、地下水、蒸留水、イオン交換水等が挙げられる。また、この際の水の添加量は、特に制限されないが、加水分解可能な基を完全に加水分解するのに必要な化学量論的量より少ない量であることが好ましい。
上記のようにして調製されたORMOCER層形成用液を、所定の層(例えば、基材、バリア層など、好ましくは、バリア層)上に塗布した後、加熱する。これにより、ORMOCER層が所定の層(例えば、基材、バリア層など、好ましくは、バリア層)上に形成される。ここで、塗布方法は、特に制限されず、スプレーコート法、スピンコート法、バーコート法、ドクターブレード法、スキージ法、スクリーン印刷法など公知の方法が使用できる。また、加熱条件は、ORMOCER層が硬化する条件であれば特に制限されない。例えば、加熱温度は、通常、25〜250℃であり、50〜200℃が好ましい。また、加熱時間は、通常、1〜60分間であり、3〜20分間が好ましい。
また、ORMOCER層の厚み(乾燥膜厚)は、特に制限されないが、ORMOCER層を、上記したような厚みに、より好ましくは上記したような厚みにかつ上記したようなバリア層との厚み比で、所定の層(例えば、基材、バリア層など、好ましくは、バリア層)上に形成することが好ましい。
[下地層(平滑層、プライマー層)]
本発明のガスバリア性フィルムは、基材のバリア層を有する面、好ましくは基材とバリア層との間に下地層(平滑層、プライマー層)を有していてもよい。下地層は突起等が存在する基材の粗面を平坦化するために、あるいは、基材に存在する突起により、バリア層に生じた凹凸やピンホールを埋めて平坦化するために設けられる。このような下地層は、いずれの材料で形成されてもよいが、炭素含有ポリマーを含むことが好ましく、炭素含有ポリマーから構成されることがより好ましい。すなわち、本発明のガスバリア性フィルムは、基材とバリア層との間に、炭素含有ポリマーを含む下地層をさらに有することが好ましい。
また、下地層は、炭素含有ポリマー、好ましくは硬化性樹脂を含む。前記硬化性樹脂としては特に制限されず、活性エネルギー線硬化性材料等に対して紫外線等の活性エネルギー線を照射し硬化させて得られる活性エネルギー線硬化性樹脂や、熱硬化性材料を加熱することにより硬化して得られる熱硬化性樹脂等が挙げられる。該硬化性樹脂は、単独でもまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。
下地層の形成に用いられる活性エネルギー線硬化性材料としては、例えば、アクリレート化合物を含有する組成物、アクリレート化合物とチオール基を含有するメルカプト化合物とを含有する組成物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、グリセロールメタクリレート等の多官能アクリレートモノマーを含有する組成物等が挙げられる。具体的には、JSR株式会社製のUV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材 OPSTAR(登録商標)シリーズ(シリカ微粒子に重合性不飽和基を有する有機化合物を結合させてなる化合物)を用いることができる。また、上記のような組成物の任意の混合物を使用することも可能であり、光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有する反応性のモノマーを含有している活性エネルギー線硬化性材料であれば特に制限はない。
光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有する反応性モノマーとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−デシルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシエチレングリコールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリセロールアクリレート、グリシジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソボニルアクリレート、イソデキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトリキエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、2,2−ジメチロールプロパンジアクリレート、グリセロールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ポリオキシエチルトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、プロピレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、プロピレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、1,2,4−ブタンジオールトリアクリレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールジアクリレート、ジアリルフマレート、1,10−デカンジオールジメチルアクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、および、上記のアクリレートをメタクリレートに換えたもの、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1−ビニル−2−ピロリドン等が挙げられる。上記の反応性モノマーは、1種または2種以上の混合物として、あるいはその他の化合物との混合物として使用することができる。
活性エネルギー線硬化性材料を含む組成物は、光重合開始剤を含有することが好ましい。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミン)ベンゾフェノン、α−アミノ・アセトフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンズスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンジルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モノフォリノ−1−プロパン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モノフォリノフェニル)−ブタノン−1、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、n−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、四臭化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイン、エオシン、メチレンブルー等の光還元性の色素とアスコルビン酸、トリエタノールアミン等の還元剤の組み合わせ等が挙げられ、これらの光重合開始剤を1種または2種以上の組み合わせで使用することができる。
熱硬化性材料としては、具体的には、クラリアント社製のトゥットプロムシリーズ(有機ポリシラザン)、セラミックコート株式会社製のSP COAT耐熱クリアー塗料、アデカ社製のナノハイブリッドシリコーン、DIC株式会社製のユニディック(登録商標)V−8000シリーズ、EPICLON(登録商標) EXA−4710(超高耐熱性エポキシ樹脂)、信越化学工業株式会社製のシリコン樹脂 X−12−2400(商品名)、日東紡績株式会社製の無機・有機ナノコンポジット材料SSGコート、アクリルポリオールとイソシアネートプレポリマーとからなる熱硬化性ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコン樹脂、ポリアミドアミン−エピクロルヒドリン樹脂等が挙げられる。
下地層の形成方法は、特に制限はないが、硬化性材料を含む塗布液をスピンコーティング法、スプレー法、ブレードコーティング法、ディップ法、グラビア印刷法等のウエットコーティング法、または蒸着法等のドライコーティング法により塗布し塗膜を形成した後、可視光線、赤外線、紫外線、X線、α線、β線、γ線、電子線等の活性エネルギー線の照射および/または加熱により、前記塗膜を硬化させて形成する方法が好ましい。活性エネルギー線を照射する方法としては、例えば超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、メタルハライドランプ等を用い好ましくは100〜400nm、より好ましくは200〜400nmの波長領域の紫外線を照射する、または、走査型やカーテン型の電子線加速器から発せられる100nm以下の波長領域の電子線を照射する方法が挙げられる。
硬化性材料を溶媒に溶解または分散させた塗布液を用いて下地層を形成する際に使用する溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類、α−もしくはβ−テルピネオール等のテルペン類等、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン、ジエチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、セロソルブ、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2−メトキシエチルアセテート、シクロヘキシルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等の酢酸エステル類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、安息香酸メチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。
下地層は、上述の材料に加えて、必要に応じて、熱可塑性樹脂や酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤等の添加剤を含有することができる。また、成膜性向上および膜のピンホール発生防止等のために適切な樹脂や添加剤を使用してもよい。熱可塑性樹脂としては、アセチルセルロース、ニトロセルロース、アセチルブチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体、酢酸ビニルおよびその共重合体、塩化ビニルおよびその共重合体、塩化ビニリデンおよびその共重合体等のビニル樹脂、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等のアセタール樹脂、アクリル樹脂およびその共重合体、メタクリル樹脂およびその共重合体等のアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、線状ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
下地層の平滑性は、JIS B 0601:2001年で規定される表面粗さで表現される値で、最大断面高さRt(p)が、10nm以上、30nm以下であることが好ましい。
表面粗さは、AFM(原子間力顕微鏡)で、極小の先端半径の触針を持つ検出器で連続測定した凹凸の断面曲線から算出され、極小の先端半径の触針により測定方向が数十μmの区間内を多数回測定し、微細な凹凸の振幅に関する粗さである。
下地層の厚さとしては、特に制限されないが、0.1〜10μmの範囲が好ましい。
[アンカーコート層]
本発明に係る基材の表面には、接着性(密着性)の向上を目的として、アンカーコート層を易接着層として形成してもよい。このアンカーコート層に用いられるアンカーコート剤としては、ポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコン樹脂、およびアルキルチタネート等を、1種または2種以上併せて使用することができる。上記アンカーコート剤は、市販品を使用してもよい。具体的には、シロキサン系UV硬化型ポリマー溶液(信越化学工業株式会社製、「X−12−2400」の3%イソプロピルアルコール溶液)を用いることができる。
これらのアンカーコート剤には、従来公知の添加剤を加えることもできる。そして、上記のアンカーコート剤は、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、スプレーコート等の公知の方法により基材上にコーティングし、溶剤、希釈剤等を乾燥除去することによりコーティングすることができる。上記のアンカーコート剤の塗布量としては、0.1〜5g/m(乾燥状態)程度が好ましい。なお、市販の易接着層付き基材を用いてもよい。
または、アンカーコート層は、物理蒸着法または化学蒸着法といった気相法により形成することもできる。例えば、特開2008−142941号公報に記載のように、接着性等を改善する目的で酸化ケイ素を主体とした無機膜を形成することもできる。
また、アンカーコート層の厚さは、特に制限されないが、0.5〜10.0μm程度が好ましい。
[ブリードアウト防止層]
本発明のガスバリア性フィルムは、ブリードアウト防止層をさらに有することができる。ブリードアウト防止層は、下地層を有するフィルムを加熱した際に、フィルム基材中から未反応のオリゴマー等が表面へ移行して、接触する面を汚染する現象を抑制する目的で、平滑層を有する基材の反対面に設けられる。ブリードアウト防止層は、この機能を有していれば、基本的に平滑層と同じ構成をとっても構わない。
ブリードアウト防止層に含ませることが可能な化合物としては、分子中に2個以上の重合性不飽和基を有する多価不飽和有機化合物、あるいは分子中に1個の重合性不飽和基を有する単価不飽和有機化合物等のハードコート剤を挙げることができる。
ここで、多価不飽和有機化合物としては、例え、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、単価不飽和有機化合物としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
その他の添加剤として、マット剤を含有してもよい。マット剤としては、平均粒子径が0.1〜5μm程度の無機粒子が好ましい。
このような無機粒子としては、シリカ、アルミナ、タルク、クレイ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化ジルコニウム等の1種または2種以上を併せて使用することができる。
ここで、無機粒子からなるマット剤は、ハードコート剤の固形分100重量部に対して2重量部以上、好ましくは4重量部以上、より好ましくは6重量部以上、20重量部以下、好ましくは18重量部以下、より好ましくは16重量部以下の割合で混合されていることが望ましい。
また、ブリードアウト防止層には、ハードコート剤およびマット剤の他の成分として熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂、光重合開始剤等を含有させてもよい。
このような熱可塑性樹脂としては、アセチルセルロース、ニトロセルロース、アセチルブチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体、酢酸ビニルおよびその共重合体、塩化ビニルおよびその共重合体、塩化ビニリデンおよびその共重合体等のビニル系樹脂、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等のアセタール系樹脂、アクリル樹脂およびその共重合体、メタクリル樹脂およびその共重合体等のアクリル系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、線状ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
また、熱硬化性樹脂としては、アクリルポリオールとイソシアネートプレポリマーとからなる熱硬化性ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコン樹脂等が挙げられる。
また、電離放射線硬化性樹脂としては、光重合性プレポリマーもしくは光重合性モノマー等の1種または2種以上を混合した電離放射線硬化塗料に、電離放射線(紫外線または電子線)を照射することで硬化するものを使用することができる。ここで光重合性プレポリマーとしては、1分子中に2個以上のアクリロイル基を有し、架橋硬化することにより3次元網目構造となるアクリル系プレポリマーが特に好ましく使用される。このアクリル系プレポリマーとしては、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、メラミンアクリレート等が使用できる。また光重合性モノマーとしては、上記に記載した多価不飽和有機化合物等が使用できる。
また、光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾインベンゾエート、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−(4−モルフォリニル)−1−プロパン、α−アシロキシムエステル、チオキサンソン類等が挙げられる。
以上のようなブリードアウト防止層は、ハードコート剤、および必要に応じて他の成分を配合して、適宜必要に応じて用いる希釈溶剤によって塗布液として調製し、塗布液を基材フィルム表面に従来公知の塗布方法によって塗布した後、電離放射線を照射して硬化させることにより形成することができる。なお、電離放射線を照射する方法としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、メタルハライドランプ等から発せられる100〜400nm、好ましくは200〜400nmの波長領域の紫外線を照射する、または走査型やカーテン型の電子線加速器から発せられる100nm以下の波長領域の電子線を照射することにより行うことができる。
ブリードアウト防止層の厚さとしては、1〜10μm、好ましくは2〜7μmであることが望ましい。1μm以上にすることにより、フィルムとしての耐熱性を十分なものにし易くなり、10μm以下にすることにより、平滑フィルムの光学特性のバランスを調整し易くなると共に、平滑層を透明高分子フィルムの一方の面に設けた場合におけるバリアフィルムのカールを抑え易くすることができるようになる。
本発明のガスバリア性フィルムは上述したもののほか、特開2006−289627号公報の段落番号「0036」〜「0038」に記載されているものを好ましく採用できる。
<電子デバイス>
本発明のガスバリア性フィルムは、空気中の化学成分(酸素、水、窒素酸化物、硫黄酸化物、オゾン等)によって性能が劣化するデバイスに好ましく用いることができる。前記デバイスの例としては、例えば、有機EL素子、液晶表示素子(LCD)、薄膜トランジスタ、タッチパネル、電子ペーパー、太陽電池(PV)等の電子デバイスを挙げることができる。本発明の効果がより効率的に得られるという観点から、有機EL素子または太陽電池に好ましく用いられ、有機EL素子に特に好ましく用いられる。
本発明のガスバリア性フィルムは、また、デバイスの膜封止に用いることができる。すなわち、デバイス自体を支持体として、その表面に本発明のガスバリア性フィルムを設ける方法である。ガスバリア性フィルムを設ける前にデバイスを保護層で覆ってもよい。
本発明のガスバリア性フィルムは、デバイスの基板や固体封止法による封止のためのフィルムとしても用いることができる。固体封止法とはデバイスの上に保護層を形成した後、接着剤層、ガスバリア性フィルムを重ねて硬化する方法である。接着剤は特に制限はないが、熱硬化性エポキシ樹脂、光硬化性アクリレート樹脂等が例示される。
(有機EL素子)
ガスバリア性フィルムを用いた有機EL素子の例は、特開2007−30387号公報に詳しく記載されている。
(液晶表示素子)
反射型液晶表示装置は、下から順に、下基板、反射電極、下配向膜、液晶層、上配向膜、透明電極、上基板、λ/4板、そして偏光膜からなる構成を有する。本発明におけるガスバリア性フィルムは、前記透明電極基板および上基板として使用することができる。カラー表示の場合には、さらにカラーフィルター層を反射電極と下配向膜との間、または上配向膜と透明電極との間に設けることが好ましい。透過型液晶表示装置は、下から順に、バックライト、偏光板、λ/4板、下透明電極、下配向膜、液晶層、上配向膜、上透明電極、上基板、λ/4板および偏光膜からなる構成を有する。カラー表示の場合には、さらにカラーフィルター層を下透明電極と下配向膜との間、または上配向膜と透明電極との間に設けることが好ましい。液晶セルの種類は特に限定されないが、より好ましくはTN型(Twisted Nematic)、STN型(Super Twisted Nematic)またはHAN型(Hybrid Aligned Nematic)、VA型(Vertically Alignment)、ECB型(Electrically Controlled Birefringence)、OCB型(Optically Compensated Bend)、IPS型(In−Plane Switching)、CPA型(Continuous Pinwheel Alignment)であることが好ましい。
(太陽電池)
本発明のガスバリア性フィルムは、太陽電池素子の封止フィルムとしても用いることができる。ここで、本発明のガスバリア性フィルムは、バリア層が太陽電池素子に近い側となるように封止することが好ましい。本発明のガスバリア性フィルムが好ましく用いられる太陽電池素子としては、特に制限はないが、例えば、単結晶シリコン系太陽電池素子、多結晶シリコン系太陽電池素子、シングル接合型、またはタンデム構造型等で構成されるアモルファスシリコン系太陽電池素子、ガリウムヒ素(GaAs)やインジウム燐(InP)等のIII−V族化合物半導体太陽電池素子、カドミウムテルル(CdTe)等のII−VI族化合物半導体太陽電池素子、銅/インジウム/セレン系(いわゆる、CIS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン系(いわゆる、CIGS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン/硫黄系(いわゆる、CIGSS系)等のI−III−VI族化合物半導体太陽電池素子、色素増感型太陽電池素子、有機太陽電池素子等が挙げられる。中でも、本発明においては、上記太陽電池素子が、銅/インジウム/セレン系(いわゆる、CIS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン系(いわゆる、CIGS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン/硫黄系(いわゆる、CIGSS系)等のI−III−VI族化合物半導体太陽電池素子であることが好ましい。
(その他)
その他の適用例としては、特表平10−512104号公報に記載の薄膜トランジスタ、特開平5−127822号公報、特開2002−48913号公報等に記載のタッチパネル、特開2000−98326号公報に記載の電子ペーパー等が挙げられる。
<光学部材>
本発明のガスバリア性フィルムは、光学部材としても用いることができる。光学部材の例としては円偏光板等が挙げられる。
(円偏光板)
本発明におけるガスバリア性フィルムを基板としλ/4板と偏光板とを積層し、円偏光板を作製することができる。この場合、λ/4板の遅相軸と偏光板の吸収軸とのなす角が45°になるように積層する。このような偏光板は、長手方向(MD)に対し45°の方向に延伸されているものを用いることが好ましく、例えば、特開2002−865554号公報に記載のものを好適に用いることができる。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。また、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「重量部」あるいは「重量%」を表す。また、下記操作において、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%の条件で行う。
ガスバリア性フィルムの各特性値は、下記の方法に従って測定される。
[密着性の評価方法]
バリア密着性の評価として、40℃、80%の条件下にて、得られたガスバリアフィルムを、JIS K5400に準拠した碁盤目試験を行なう。すなわち、ガスバリアフィルムの表面にそれぞれカッターナイフで膜面に対して90°の切込みを1mm間隔で入れ、1mm間隔の碁盤目を100個作製する。この上に、2cm幅のマイラーテープ[日東電工製、ポリエステルテープ(No.31B)]を貼り付け、テープ剥離試験機を使用して貼り付けたテープをはがす。ガスバリア性フィルム上の100個の碁盤目のうち剥離せずに残存したマスの数(n)をカウントする。結果は、下記のように1〜5のランクで表わす。
[水蒸気透過率(水蒸気バリア性)の評価方法]
各ガスバリア性フィルム試料のバリア層面に、真空蒸着装置(日本電子製真空蒸着装置 JEE−400)を用い、ガスバリア性フィルム試料の蒸着させたい部分(12mm×12mmを9箇所)以外をマスクし、金属カルシウムを蒸着させた。その後、真空状態のままマスクを取り去り、シート片側全面にアルミニウムをもう一つの金属蒸着源から蒸着させる。アルミニウム封止後、真空状態を解除し、速やかに乾燥窒素ガス雰囲気下で、厚さ0.2mmの石英ガラスに封止用紫外線硬化樹脂(ナガセケムテックス製)を介してアルミニウム封止側と対面させ、紫外線を照射することで、水蒸気バリア性評価用セルを作製する。
得られた両面を封止した試料を、60℃、90%RHの高温高湿下で保存し、特開2005−283561号公報に記載の方法に基づき、金属カルシウムの腐食量からセル内に透過した水分量を計算する。
なお、ガスバリア性フィルム面以外からの水蒸気の透過がないことを確認するために、比較試料としてガスバリア性フィルム試料の代わりに、厚さ0.2mmの石英ガラス板を用いて金属カルシウムを蒸着した試料を、同様な60℃、90%RHの高温高湿下保存を行い、1000時間経過後でも金属カルシウム腐食が発生しないことを確認する。
(使用した装置及び材料)
蒸着装置:日本電子(株)製真空蒸着装置JEE−400
恒温恒湿度オーブン:Yamato Humidic ChamberIG47M
水分と反応して腐食する金属:カルシウム(粒状)
水蒸気不透過性の金属:アルミニウム(φ3〜5mm、粒状)
[クラックの評価方法]
各ガスバリア性フィルム試料を、23±2℃、55±5%RHの環境下で12時間放置した後、85±3℃、90±2%RHの条件に12時間放置し、再び23±2℃、55±5%RHで12時間放置、85±3℃、90±2%RHで12時間放置と交互に繰り返す。この操作を30回行い、最後に23±2℃、55±5%RHの環境下で12時間放置した後、試料を光学顕微鏡でクラックの状態を観察し、下記の基準で評価する。なお、下記基準において、C、Dは実用に適さない。
実施例1
1.基材
基材として、2軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム(PENフィルム、厚み:100μm、幅:350mm、帝人デュポンフィルム(株)製、商品名「テオネックスQ65FA」)を使用した。
2.下地層の形成
上記基材の易接着面に、JSR株式会社製 UV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材 OPSTARZ7501を、乾燥後の膜厚が4μmになるようにワイヤーバーで塗布した後、80℃、3分で乾燥後、空気雰囲気下、高圧水銀ランプ使用、硬化条件;1.0J/cmで硬化を行い、下地層を形成した。このときの表面粗さを表す最大断面高さRt(p)は16nmであった。なお、表面粗さは、AFM(原子間力顕微鏡 AFM:Digital Instruments社製)を用い、極小の先端半径の触針を持つ検出器で連続測定した凹凸の断面曲線から算出され、極小の先端半径の触針により測定方向が30μmの区間内を多数回測定し、微細な凹凸の振幅に関する平均の粗さから求めた。
3.バリア層の形成
上記2.で得られた下地層が表面に形成された基材を、下地層が上になるように、コベルコ社製プラズマCVDロールコーターW35シリーズ装置に装着して、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)を用いて、下記製膜条件(プラズマCVD条件)にて製膜し、バリア層を300nmの厚さで下地層上に形成した。
得られた試料を下記条件にてXPSデプスプロファイル測定を行い、珪素元素分布、酸素差元素分布及び炭素元素分布を得た。結果を図2に示す。
図2から明らかなように、得られた炭素分布曲線が複数(5)の明確な極値を有していること、炭素の原子比の最大値及び最小値の差の絶対値が3at%以上であること、並びに珪素の原子比、酸素の原子比及び炭素の原子比が、バリア層の膜厚の90%以上の領域で、多いほうから(酸素の原子比)、(ケイ素の原子比)、(炭素の原子比)の順となっていることが確認された。
4.ORMOCER層の形成
27.7g(30モル%)のポリメトキシシロキサン(三菱化学(株)製、商品名:MS51、平均分子量500〜700)、212.7g(45モル%)の3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、22.1g(5モル%)の3−アミノプロピルトリエトキシシラン、49.2g(10モル%)のアルミニウムsec−ブトキシドを、フラスコ中に添加し、氷で冷却しながら、5分間攪拌した。この混合物に、7.6gの蒸留水を徐々に滴下して加え、その混合物をさらに5分間攪拌した。次いで、上記で得られた混合物に、65.5g(10モル%)のテトラn−プロポキシジルコニウム(IV)を添加して、5分間攪拌した後、15.3gの蒸留水をその混合物にさらに加え、15分間攪拌し続けた。最後に、122.5gの蒸留水をその混合物に加えて、室温(25℃)で2時間攪拌することによって、透明なORMOCER層形成用液を得た。
次に、上記3.で得られた下地層及びバリア層が表面に形成された基材のバリア層上に、上記で調製されたORMOCER層形成用液を、バーコート法により塗布し、130℃で10分間加熱して、熱硬化させることにより、ORMOCER層(乾燥後の膜厚:0.25μm)をバリア層上に形成したガスバリア性フィルム1を作製した。
比較例1
実施例1において、4.ORMOCER層の形成を行わなかった以外は、上記実施例1と同様にして、比較ガスバリア性フィルム1を作製した。
比較例2
特許第4821610号の実施例2を参考にして、大気圧プラズマ装置にて、組成において炭素元素濃度が連続的に変化する比較ガスバリア性フィルム2を作製した。
上記実施例1で作製されたガスバリア性フィルム1および比較例1〜2で作製された比較ガスバリア性フィルム1,2について、クラック及び水蒸気透過率を評価し、結果を下記表1に示す。
上記表1から、本発明のガスバリア性フィルムは、優れた水蒸気バリア性及びクラック発生抑制/防止効果を示すことが示される。
実施例2〜9
実施例1において、バリア層及びORMOCER層の厚さ(乾燥後の膜厚)を、それぞれ、下記表2に示すように変更した以外は、上記実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルム2〜9を作製した。なお、各バリア層の形成工程にて形成されたバリア層について、実施例1と同様にしてXPSデプスプロファイル測定を行い、珪素元素分布、酸素差元素分布、炭素元素分布及び酸素炭素分布を得たところ、すべてのバリア層における、珪素の原子比、酸素の原子比及び炭素の原子比が、バリア層の膜厚の90%以上の領域で、多いほうから(酸素の原子比)、(ケイ素の原子比)、(炭素の原子比)の順となっていることが確認された。
比較例3
特表2005−537963号公報を参考に、PECVD技術を用いて、約10cm×10cm、厚さ200μmのポリカーボネート基板上に、厚さ約500nmの傾斜組成コーティングを形成した比較ガスバリア性フィルム3を作製した。すなわち、シラン(最大流量約500sccm/min)、アンモニア(最大流量約60sccm/分)、及びプロピレンオキシド(最大流量約500sccm/min)を用いてケイ素、炭素、酸素、及び窒素からなる傾斜コーティングを作製した。反応体ガスの速度は蒸着中、コーティングの組成がその厚さ方向で連続的に変化するように変化させた。RF電極に供給した出力は、プラズマをプロピレンオキシドから発生させたときは100W、シランとアンモニアの混合物を反応器に供給したときは200Wであった。反応器内の真空レベルは0.2mmHgとし、平均温度は約55℃であった。
比較例4
特開平7−178860号公報の実施例3−3を参考に、比較ガスバリア性フィルム4を作製した。すなわち、蒸着源として、3〜5mm程度の大きさの粒子状のSiO(純度99.7%)を用い、EB加熱蒸着法で、12μm厚のPETフィルム(東洋紡績(株):E5001)上に酸化珪素系(SiOx)ガスバリア薄膜の形成を行った。フィルム送り速度を100m/min、印加電力5kwとして、厚さ80nmのバリア層を作製した。また、反応ガスとして、プロピレンガスを用い、更に炭素置換がスム−ズに進むようにチルロール付近に設置した電極に高周波電圧を加え、プロピレンガスをプラズマ状態とした。流量を変化させると共に、励起用の電圧1KVを中心に振幅500Vでsinカーブで変化させた。これにより、ガスバリアフィルム(SiO1.790−C10)を得た。このようにして得られたフィルムの炭素置換量と厚み方向の変化はESCA装置を用いて測定した。測定条件としては、Mg−Kα線を光源とし、出力8kV×30mA、真空度5×10−6Pa一定とした。その結果、ケイ素(Si)原子は、厚み方向で34.4〜36.6at%変化し、また、炭素(C)原子は、平均濃度が27.5at%であり、厚み方向で3.0〜5.0at%変化し、かつ上記変化の周期が5回であった。
比較例5
実施例1において、3.バリア層の形成を行わなかった以外は、上記実施例1と同様にして、比較ガスバリア性フィルム5を作製した。
上記実施例2〜9で作製されたガスバリア性フィルム2〜9および比較例3〜5で作製された比較ガスバリア性フィルム3〜5について、クラック、密着性及び水蒸気透過率を評価し、結果を下記表2に示す。
上記表2から、本発明のガスバリア性フィルムは、比較ガスバリア性フィルムに比して、優れた水蒸気バリア性、密着性及びクラック発生抑制/防止効果を示すことが示される。
実施例10〜22
実施例1において、バリア層及びORMOCER層の厚さ(乾燥後の膜厚)を、それぞれ、下記表3に示すように変更した以外は、上記実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルム10〜22を作製した。なお、各バリア層の形成工程にて形成されたバリア層について、実施例1と同様にしてXPSデプスプロファイル測定を行い、珪素元素分布、酸素差元素分布、炭素元素分布及び酸素炭素分布を得たところ、すべてのバリア層における、珪素の原子比、酸素の原子比及び炭素の原子比が、バリア層の膜厚の90%以上の領域で、多いほうから(酸素の原子比)、(ケイ素の原子比)、(炭素の原子比)の順となっていることが確認された。
上記実施例2〜3で作製されたガスバリア性フィルム2〜3、上記実施例6〜9で作製されたガスバリア性フィルム6〜9、及び上記実施例10〜22で作製されたガスバリア性フィルム10〜22について、クラック、密着性及び水蒸気透過率を評価し、結果を下記表3に示す。
上記表3から、本発明のガスバリア性フィルムは、優れた水蒸気バリア性、密着性及びクラック発生抑制/防止効果を示すことが示される。
1…ガスバリア性フィルム、
2…基材、
3…バリア層、
31…製造装置、
32…送り出しローラー、
33、34、35、36…搬送ローラー、
39、40…成膜ローラー、
41…ガス供給管、
42…プラズマ発生用電源、
43、44…磁場発生装置、
45…巻取りローラー。

Claims (4)

  1. 基材、該基材の少なくとも一方の面に形成された、ケイ素、酸素、および炭素を含有するバリア層ならびに無機・有機ハイブリッドポリマー層(ORMOCER層)を有するガスバリア性フィルムであって、
    該無機・有機ハイブリッドポリマー層(ORMOCER層)が、下記式(1):
    ただし、nは、2〜20である、
    のポリメトキシシロキサンを、該無機・有機ハイブリッドポリマー層(ORMOCER層)を構成する材料の総モル数に対して、20〜40モル%の量で含む材料を用いて形成され、および
    該バリア層が、下記条件(i)〜(iii):
    (i)前記バリア層の膜厚方向における前記バリア層表面からの距離(L)と、ケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対するケイ素原子の量の比率(ケイ素の原子比)との関係を示すケイ素分布曲線、前記Lとケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する酸素原子の量の比率(酸素の原子比)との関係を示す酸素分布曲線、ならびに前記Lとケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する炭素原子の量の比率(炭素の原子比)との関係を示す炭素分布曲線において、
    前記バリア層の膜厚の90%以上の領域で、多いほうから(酸素の原子比)、(ケイ素の原子比)、(炭素の原子比)の順となっている、
    (ii)前記炭素分布曲線が少なくとも2つの極値を有する、
    (iii)前記炭素分布曲線における炭素の原子比の最大値と最小値との差の絶対値が3at%以上である、
    を満たす、ガスバリア性フィルム。
  2. 該ORMOCER層の厚みが、0.03〜7μmである、請求項1に記載のガスバリア性フィルム。
  3. 該バリア層と該ORMOCER層との膜厚比(バリア層の膜厚(nm):ORMOCER層の膜厚(nm))が、1:0.01〜60である、請求項1または2に記載のガスバリア性フィルム。
  4. 該基材と該バリア層との間に、炭素含有ポリマーを含む下地層をさらに有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルム。
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