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JP2014127387A - 硫化物固体電解質材料の製造方法およびリチウム固体電池 - Google Patents

硫化物固体電解質材料の製造方法およびリチウム固体電池 Download PDF

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JP2014127387A JP2012284211A JP2012284211A JP2014127387A JP 2014127387 A JP2014127387 A JP 2014127387A JP 2012284211 A JP2012284211 A JP 2012284211A JP 2012284211 A JP2012284211 A JP 2012284211A JP 2014127387 A JP2014127387 A JP 2014127387A
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solid electrolyte
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Naomi Osada
尚己 長田
Shigeki Hama
重規 濱
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Toyota Motor Corp
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Abstract

【課題】Liイオン伝導性の高い硫化物固体電解質材料を提供する。
【解決手段】LiS、A(Aは、P、Si、Ge、AlおよびBの少なくとも一種である)の硫化物、およびLiX(Xはハロゲンである)を含有する原料組成物を非晶質化し、硫化物ガラスを合成する非晶質化工程と、前記硫化物ガラスを結晶化温度以上の温度で加熱し、ガラスセラミックスを合成する熱処理工程と、を有し、前記熱処理工程において、前記結晶化温度までの昇温速度が6℃/min以上であることを特徴とする硫化物固体電解質材料の製造方法、並びに該製造方法により製造された硫化物固体電解質材料を含有するリチウム固体電池。
【選択図】図3

Description

本発明は、高いLiイオン伝導度を有する硫化物固体電解質材料の製造方法および該硫化物固体電解質材料を含有するリチウム固体電池に関する。
近年におけるパソコン、ビデオカメラおよび携帯電話等の情報関連機器や通信機器等の急速な普及に伴い、その電源として利用される電池の開発が重要視されている。また、自動車産業界等においても、電気自動車用あるいはハイブリッド自動車用の高出力且つ高容量の電池の開発が進められている。現在、種々の電池の中でも、エネルギー密度が高いという観点から、リチウム電池が注目を浴びている。
現在市販されているリチウム電池は、可燃性の有機溶媒を含む電解液が使用されているため、短絡時の温度上昇を抑える安全装置の取り付けや短絡防止のための構造・材料面での改善が必要となる。これに対し、電解液を固体電解質層に変えて、電池を全固体化したリチウム電池は、電池内に可燃性の有機溶媒を用いないので、安全装置の簡素化が図れ、製造コストや生産性に優れると考えられている。さらに、このような固体電解質層に用いられる固体電解質材料として、硫化物固体電解質材料が知られている。
硫化物固体電解質材料は、Liイオン伝導度が高いため、電池の高出力化を図る上で有用であり、従来から種々の研究がなされている。例えば、特許文献1では、オルト組成を有するイオン伝導体とLiIとを有し、ガラス転移点を有するガラスである硫化物固体電解質材料が開示されている。特許文献1には、上記硫化物固体電解質材料を結晶化温度以上の温度で加熱処理を行ってもよい旨が記載されている(段落0068)。
特開2012−48973号公報
高いLiイオン伝導度を有する硫化物固体電解質材料が求められており、特許文献1に記載されたような従来の硫化物固体電解質材料にもさらなるイオン伝導度向上の余地がある。
本発明は、上記実情を鑑みてなされたものであり、高いLiイオン伝導度を有する硫化物固体電解質材料の製造方法の提供を主目的とする。
本発明者等は、鋭意研究を重ねた結果、LiXをドープした特定の硫化物ガラスに熱処理を施して合成されたガラスセラミックスは、極めて高いLiイオン伝導度を有することを見出した。
本発明者等がさらに鋭意検討したところ、ガラスを熱処理してガラスセラミックス化する際には、結晶を充分に成長させるべくガラスをゆっくりと昇温(例えば、昇温速度1〜5℃/min)させるのが技術常識であるが、驚くべきことに、6℃/min以上の昇温速度で硫化物ガラスを急昇温させることによって、得られるガラスセラミックスのLiイオン伝導度が大幅に向上することを見出した。
すなわち、本発明の硫化物固体電解質材料の製造方法は、LiS、A(Aは、P、Si、Ge、AlおよびBの少なくとも一種である)の硫化物、およびLiX(Xはハロゲンである)を含有する原料組成物を非晶質化し、硫化物ガラスを合成する非晶質化工程と、前記硫化物ガラスを結晶化温度以上の温度で加熱し、ガラスセラミックスを合成する熱処理工程と、を有し、前記熱処理工程において、前記結晶化温度までの昇温速度が6℃/min以上であることを特徴とするものである。
本発明の製造方法によれば、Liイオン伝導性の高い硫化物固体電解質材料を得ることが可能である。
前記熱処理工程においては、前記硫化物ガラスを、予め前記結晶化温度以上に加熱した系内に投入することができる。予め加熱した系内に硫化物ガラスを投入することで、硫化物ガラスの昇温速度を6℃/min以上の所望の速度にコントロールしやすい。
また、前記熱処理工程においては、前記硫化物ガラスを、前記結晶化温度以上の温度で1〜3時間加熱することが好ましい。
前記原料組成物としては、例えば、前記Aの硫化物としてPの硫化物を含有し、前記LiXとしてLiIを含有するものが挙げられる。
本発明のリチウム固体電池は、正極活物質を含有する正極活物質層と、負極活物質を含有する負極活物質層と、前記正極活物質層および前記負極活物質層の間に介在する固体電解質層と、を有するリチウム固体電池であって、前記正極活物質層、前記負極活物質層および前記固体電解質層の少なくとも一つが、上記本発明の製造方法により製造された硫化物固体電解質材料を含有することを特徴とするものである。
本発明のリチウム固体電池は、上記本発明の製造方法により得られた硫化物固体電解質材料を含有しているため、Liイオン伝導度が高く、高出力化を図ることが可能である。
本発明によれば、Liイオン伝導性の高い硫化物固体電解質材料およびリチウム固体電池を提供することが可能である。
本発明の硫化物固体電解質材料の製造方法の一例を示すフローチャートである。 本発明のリチウム固体電池の一例を示す概略断面図である。 実施例1〜2および比較例1〜3で得られたサンプルに対する、Liイオン伝導度の測定結果である。
以下、本発明の硫化物固体電解質材料の製造方法、およびリチウム固体電池について、詳細に説明する。
A.硫化物固体電解質材料の製造方法
まず、本発明の硫化物固体電解質材料の製造方法について説明する。
本発明の硫化物固体電解質材料の製造方法は、LiS、A(Aは、P、Si、Ge、AlおよびBの少なくとも一種である)の硫化物、およびLiX(Xはハロゲンである)を含有する原料組成物を非晶質化し、硫化物ガラスを合成する非晶質化工程と、前記硫化物ガラスを結晶化温度以上の温度で加熱し、ガラスセラミックスを合成する熱処理工程と、を有し、前記熱処理工程において、前記結晶化温度までの昇温速度が6℃/min以上であることを特徴とするものである。
図1は、本発明の硫化物固体電解質材料の製造方法の一例を示すフローチャートである。図1においては、まず、LiS、PおよびLiIを含有する原料組成物を用意する。次に、非晶質化工程として、原料組成物に対してメカニカルミリングを行うことにより、Li、PおよびSを有するイオン伝導体(例えば、LiPS)と、LiIとを含有する硫化物ガラスを合成する。次に、非晶質化工程により得られた硫化物ガラスを、6℃/min以上の昇温速度で昇温させ、結晶化温度以上の温度による熱処理を施し、ガラスセラミックス(硫化物固体電解質材料)を得る。
尚、本発明において、硫化物ガラスとは、原料組成物を非晶質化して合成した材料をいい、X線回折測定等において結晶としての周期性が観測されない厳密な「ガラス」のみならず、後述するメカニカルミリング等により非晶質化して合成した材料全般を意味する。そのため、X線回折測定等において、例えば原料(LiI等)に由来するピークが観察される場合であっても、非晶質化して合成した材料であれば、硫化物ガラスに該当する。
また、本発明において、ガラスセラミックスとは、硫化物ガラスを結晶化した材料をいう。ガラスセラミックスであるか否かは、例えばX線回折法により確認することができる。
本発明者等は、LiS、A(Aは、P、Si、Ge、AlおよびBの少なくとも一種である)の硫化物、およびLiX(Xはハロゲンである)を含有する原料組成物を非晶質化して得られる硫化物ガラスに対して、結晶化温度以上の温度で熱処理を行うことにより、高いLiイオン伝導性を有するガラスセラミックスの合成に成功している。これは、上記硫化物ガラスを結晶化温度以上の温度で加熱することによって、Liイオン伝導性に優れる結晶相(以下、高Liイオン伝導性結晶相ということがある)が生成するためと考えられる。
ガラスセラミックスにおいて、上記のような高Liイオン伝導性結晶相の結晶性(割合)を増加させることによって、ガラスセラミックスのLiイオン伝導性を向上させることができる。そこで、本発明者等は、ガラスセラミックスの結晶性を増加させるべく鋭意検討したところ、驚くべきことに、上記硫化物ガラスを結晶化温度以上の温度まで昇温させる際に、昇温速度を6℃/min以上とすることによって、得られるガラスセラミックスのLiイオン伝導度が大幅に向上することを見出した。
一般的に、ガラスに熱処理を施すことによって結晶相を生成させ、ガラスセラミックスを合成する際、結晶を充分に成長させるためには、ゆっくりと昇温させ(例えば、1〜5℃/min)、長時間かけて加熱することが有効であると考えられている。そのため、6℃/min以上という技術常識に反した高い昇温速度で硫化物ガラスを結晶化温度以上の温度まで急昇温することによって得られるガラスセラミックスが、高いLiイオン伝導性を示すことは予想外の結果といえる。
上記硫化物ガラスを結晶化温度以上の温度で熱処理する際に、結晶化温度以上の温度まで6℃/min以上で昇温することによって、ガラスセラミックスのLiイオン伝導度が向上する理由は次のように推測される。
すなわち、まず、結晶化温度以上の温度までの昇温速度が5℃/min以下のように小さいと、硫化物ガラスからS(硫黄)が抜けやすく、ガラスセラミックスの組成ずれが生じるが、6℃/min以上とすることでS抜けを抑制し、所望の組成を有するガラスセラミックスを合成することができると考えられる。
また、硫化物ガラスを結晶化温度以上で熱処理することによって生成する高Liイオン伝導性結晶相は、熱力学的に若干不安定なもの(準安定相)であり、しかも、その結晶化温度は、熱化学的に安定な別の結晶相(安定相)の結晶化温度と近いと考えられる。そのために、昇温速度が小さく、結晶化温度以上の温度までの昇温時間が長くなると、熱力学的に安定な別の結晶相(安定相)も生成し、ガラスセラミックスにおける高Liイオン伝導性結晶相の結晶性(割合)が低下すると考えられる。これに対して、6℃/min以上とすることで、上記準安定相から安定相への相転移を抑制し、高Liイオン伝導性結晶相の割合の増加させることができると考えられる。
一方で、上記原料組成物を非晶質化して得られた硫化物ガラスを熱処理して結晶化させた高Li伝導性結晶相は、核生成温度と結晶成長温度が近いために、硫化物ガラスの表面で、核生成と結晶成長がほぼ同時に進行すると考えられる。ゆえに、結晶化温度以上の温度まで6℃/min以上で急昇温しても、結晶化温度以上の温度での熱処理を充分に行うことで、高Liイオン伝導性結晶相の結晶性を向上させることができると考えられる。
以上のような理由から、本発明によれば、組成ずれ、上記準安定相から安定相への相転移等を抑制しつつ、高Liイオン伝導性結晶相の結晶性(割合)を高くすることができるために、Liイオン伝導性の高い硫化物固体電解質を得ることができると考えられる。
以下、本発明の硫化物固体電解質材料の製造方法について、工程ごとに説明する。
本発明の硫化物固体電解質材料の製造方法は、非晶質化工程および熱処理工程を少なくとも有するものである。
以下、各工程について順に説明する。
1.非晶質化工程
まず、本発明における非晶質化工程について説明する。本発明における非晶質化工程は、LiS、A(Aは、P、Si、Ge、AlおよびBの少なくとも一種である)の硫化物、およびLiX(Xはハロゲンである)を含有する原料組成物を非晶質化し、硫化物ガラスを合成する工程である。
本工程における原料組成物は、LiS、A(Aは、P、Si、Ge、AlおよびBの少なくとも一種である)の硫化物、およびLiX(Xはハロゲンである)を含有するものである。
原料組成物に含まれるLiSは不純物が少ないことが好ましい。副反応を抑制することができるからである。LiSの合成方法としては、例えば特開平7−330312号公報に記載された方法等を挙げることができる。さらに、LiSは、WO2005/040039に記載された方法等を用いて精製されていることが好ましい。
原料組成物に含まれる上記Aの硫化物としては、例えば、P、P、SiS、GeS、Al、B等を挙げることができる。Liイオン伝導度の高いガラスセラミックスを得ることができることから、上記Aの硫化物としては、上記AがPであるPおよびPが好ましく、特にPが好ましい。
原料組成物が、LiSおよびPを含有する場合、LiSおよびPの合計に対するLiSの割合は、70mol%〜80mol%の範囲内であることが好ましく、72mol%〜78mol%の範囲内であることがより好ましく、74mol%〜76mol%の範囲内であることがさらに好ましい。なお、原料組成物が、LiSおよびAlを含有する場合、LiSおよびBを含有する場合も同様である。
一方、原料組成物が、LiSおよびSiSを含有する場合、LiSおよびSiSの合計に対するLiSの割合は、62.5mol%〜70.9mol%の範囲内であることが好ましく、63mol%〜70mol%の範囲内であることがより好ましく、64mol%〜68mol%の範囲内であることがさらに好ましい。なお、原料組成物が、LiSおよびGeSを含有する場合も同様である。
原料組成物において、LiXにおけるXはハロゲンであり、具体的には、F、Cl、Br、Iを挙げることができ、中でもCl、Br、Iが好ましく、特にIが好ましい。Liイオン伝導度の高いガラスセラミックスを得ることができるからである。
また、原料組成物におけるLiXの割合は、所望のガラスセラミックスを合成できる割合であれば特に限定されるものではなく、合成条件よって若干異なるものであるが、13mol%より多く30mol%よりも少ない範囲内であることが好ましい。
本工程において、原料組成物を非晶質化する方法としては、例えば、メカニカルミリングおよび溶融急冷法を挙げることができ、中でもメカニカルミリングが好ましい。常温での処理が可能であり、製造工程の簡略化を図ることができるからである。また、溶融急冷法は、反応雰囲気や反応容器に制限があるものの、メカニカルミリングは、目的とする組成の硫化物ガラスを簡便に合成できるという利点がある。メカニカルミリングは、乾式メカニカルミリングであっても良く、湿式メカニカルミリングであっても良いが、後者が好ましい。容器等の壁面に原料組成物が固着することを防止でき、より非晶質性の高い硫化物ガラスを得ることができるからである。
メカニカルミリングは、原料組成物を、機械的エネルギーを付与しながら混合する方法であれば特に限定されるものではないが、例えばボールミル、振動ミル、ターボミル、メカノフュージョン、ディスクミル等を挙げることができ、中でもボールミルが好ましく、特に遊星型ボールミルが好ましい。所望の硫化物ガラスを効率良く得ることができるからである。
また、メカニカルミリングの各種条件は、所望の硫化物ガラスを得ることができるように設定する。例えば、遊星型ボールミルを用いる場合、容器に原料組成物および粉砕用ボールを加え、所望の回転数および時間で処理を行う。一般的に、回転数が大きいほど、硫化物ガラスの生成速度は速くなり、処理時間が長いほど、原料組成物から硫化物ガラスへの転化率は高くなる。具体的には、遊星型ボールミルを行う際の台盤回転数としては、例えば、200rpm〜500rpmの範囲内、中でも、250rpm〜400rpmの範囲内であることが好ましい。また、遊星型ボールミルを行う際の処理時間は、例えば1時間〜100時間の範囲内、中でも1時間〜50時間の範囲内であることが好ましい。また、ボールミルに用いられる容器および粉砕用ボールの材料としては、例えばZrOおよびAl等を挙げることができ、上記粉砕用ボールの径は、例えば1mm〜20mmの範囲内、ボール重量は10g〜100gの範囲内であることが好ましい。
湿式メカニカルミリングに用いられる液体としては、上記原料組成物との反応で硫化水素を発生しない性質を有するものであることが好ましい。硫化水素は、液体の分子から解離したプロトンが、原料組成物や硫化物ガラスと反応することによって発生する。そのため、上記液体は、硫化水素が発生しない程度の非プロトン性を有していることが好ましい。また、非プロトン性液体は、通常、極性の非プロトン性液体と、無極性の非プロトン性液体とに大別することができる。
極性の非プロトン性液体としては、特に限定されるものではないが、例えばアセトン等のケトン類;アセトニトリル等のニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等のアミド類;ジメチルスルホキシド(DMSO)等のスルホキシド類等を挙げることができる。
無極性の非プロトン性液体の一例としては、常温(25℃)で液体のアルカンを挙げることができる。上記アルカンは、鎖状アルカンであっても良く、環状アルカンであっても良い。上記鎖状アルカンの炭素数は、例えば5以上であることが好ましい。一方、上記鎖状アルカンの炭素数の上限は、常温で液体であれば特に限定されるものではない。上記鎖状アルカンの具体例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、パラフィン等を挙げることができる。なお、上記鎖状アルカンは、分岐を有するものであっても良い。一方、上記環状アルカンの具体例としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロパラフィン等を挙げることができる。
また、無極性の非プロトン性液体の別の例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジメチルエーテル等の鎖状エーテル類;テトラヒドロフラン等の環状エーテル類;クロロホルム、塩化メチル、塩化メチレン等のハロゲン化アルキル類;酢酸エチル等のエステル類;フッ化ベンゼン、フッ化ヘプタン、2,3−ジハイドロパーフルオロペンタン、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン等のフッ素系化合物を挙げることができる。
なお、上記液体の添加量は、特に限定されるものではない。
湿式メカニカルミリングにより原料組成物を非晶質化させた場合、得られた硫化物ガラスは乾燥させることが好ましい。硫化物ガラスに残留しているメカニカルミリングの際に用いた上述の液体を除去するためである。乾燥温度としては、硫化物ガラスの結晶化温度よりも低い温度であることが好ましく、例えば、100℃〜150℃の範囲内であることが好ましい。
2.熱処理工程
次に、本発明における熱処理工程について説明する。本発明における熱処理工程は、上記硫化物ガラスを、昇温速度6℃/min以上で結晶化温度まで昇温し、結晶化温度以上の温度で加熱してガラスセラミックスを合成する工程である。
硫化物ガラスの熱処理温度は、硫化物ガラスの結晶化温度以上の温度であり、硫化物ガラスの結晶化温度は、示差熱分析(DTA)により決定することができる。熱処理温度は、結晶化温度以上の温度であれば特に限定されない。例えば、CuKα線を用いたX線回折測定において、2θ=20.2°および23.6°にピークを有するガラスセラミックスが得られる温度から熱処理温度を決定することができる。このピークは、高Liイオン伝導性結晶相に由来するピークである。ここで、2θ=20.2°のピークとは、厳密な2θ=20.2°のピークのみならず、2θ=20.2°±0.5°の範囲内にあるピークをいう。結晶の状態によって、ピークの位置が多少前後する可能性があるため、上記のように定義する。同様に、2θ=23.6°のピークとは、厳密な2θ=23.6°のピークのみならず、2θ=23.6°±0.5°の範囲内にあるピークをいう。
具体的な熱処理温度としては、例えば160℃以上、中でも170℃以上、特に180℃以上であることが好ましい。一方、熱処理温度の上限は、所望のガラスセラミックスを合成できる温度であれば特に限定されず、硫化物ガラスの組成によって若干異なるものであるが、通常、200℃以下、中でも190℃以下であることが好ましい。
熱処理方法は特に限定されるものではないが、例えば、焼成炉を用いる方法を挙げることができる
上述したように、上記熱処理温度(結晶化温度以上の温度)まで硫化物ガラスを昇温させる速度が6℃/min以上である点に、本発明の大きな特徴がある。熱処理温度までの昇温速度を6℃/min以上とすることによって、組成ずれ、安定相への相転移等を抑制しつつ、高Liイオン伝導性結晶相の結晶性(割合)を高くすることができる。
昇温速度は、6℃/min以上であれば特に限定されないが、より高いLiイオン伝導性向上効果が得られることから、10℃/min以上であることが好ましい。一方、核生成速度および温度制御の観点から、昇温速度は1000℃/min以下であることが好ましい。
なお、硫化物ガラスの昇温速度は、一般的な方法で測定、制御することができる。例えば、熱電対を装着した硫化物ガラスを焼成炉内に投入し、該熱電対によって硫化物ガラスの温度を定期的(例えば、1秒ごと)に計測することで、硫化物ガラスの昇温速度を算出することができる。
硫化物ガラスの昇温速度の制御方法は特に限定されず、一般的な方法を採用することができ、例えば、熱処理を行う焼成炉の昇温速度を制御する方法が挙げられる。硫化物ガラス投入時の熱処理系内温度(焼成炉内温度)は特に限定されず、室温であってもよいし、加熱されていてもよい。熱処理の系内を、予め加熱、特に硫化物ガラスの結晶化温度以上の温度に加熱しておき、加熱された系内(焼成炉)に硫化物ガラスを投入することによって、10℃/min以上、特に20℃/min以上のような高い昇温速度を達成することが可能であり、より高いリチウム伝導性を有する硫化物固体電解質材料を得ることができる。
結晶化温度以上の温度(熱処理温度)による硫化物ガラスの加熱時間は、上述した熱処理温度によって適宜選択されるものであるが、例えば、1分間〜24時間の範囲内であることが好ましく、中でも、30分〜3時間の範囲内であることが好ましい。特に、高Li伝導性結晶相の成長を充分に進行させつつ、S抜けや高Li伝導性結晶相の他の結晶相への相転移等を抑制することができることから、1時間〜3時間の範囲内であることが好ましい。
本工程における熱処理は、不活性ガス雰囲気(例えばArガス雰囲気)で行うことが好ましい。硫化物ガラスの劣化(例えば酸化)を防止できるからである。
3.その他の工程
本発明は、上述した非晶質化工程および熱処理工程を少なくとも有するものであるが、必要に応じてその他の工程を有していても良い。その他の工程として、例えば、微粒化工程等が挙げられる。
上述したような本発明の硫化物固体電解質材料の製造方法によれば、Li、A(Aは、P、Si、Ge、AlおよびBの少なくとも一種である)、X(Xはハロゲンである)、Sを有するガラスセラミックスであり、高いLiイオン伝導性を有する硫化物系固体電解質材料を得ることができる。
本発明により得られる硫化物固体電解質材料としては、例えば、Li、A(Aは、P、Si、Ge、AlおよびBの少なくとも一種である)、およびSを有するイオン伝導体と、LiX(Xはハロゲンである)とから構成されているものが挙げられる。なお、この時LiXの少なくとも一部は、通常、LiX成分としてイオン伝導体の構造中に取り込まれた状態で存在する。
ここで、本発明におけるイオン伝導体とは、Li、A(Aは、P、Si、Ge、AlおよびBの少なくとも一種である)、およびSを有するものである。イオン伝導体は、Li、A、Sを有するものであれば特に限定されるものではないが、中でも、オルト組成を有することが好ましい。化学的安定性の高い硫化物固体電解質材料とすることができるからである。ここで、オルトとは、一般的に、同じ酸化物を水和して得られるオキソ酸の中で、最も水和度の高いものをいう。本発明においては、硫化物で最もLiSが付加している結晶組成をオルト組成という。例えば、LiS−P系ではLiPSがオルト組成に該当し、LiS−Al系ではLiAlSがオルト組成に該当し、LiS−B系ではLiBSがオルト組成に該当し、LiS−SiS系ではLiSiSがオルト組成に該当し、LiS−GeS系ではLiGeSがオルト組成に該当する。
ここで、「オルト組成を有する」とは、厳密なオルト組成のみならず、その近傍の組成をも含むものである。具体的には、オルト組成のアニオン構造(PS 3−構造、SiS 4−構造、GeS 4−構造、AlS 3−構造、BS 3−構造)を主体とすることをいう。オルト組成のアニオン構造の割合は、イオン伝導体における全アニオン構造に対して、60mol%以上であることが好ましく、70mol%以上であることがより好ましく、80mol%以上であることがさらに好ましく、90mol%以上であることが特に好ましい。なお、オルト組成のアニオン構造の割合は、ラマン分光法、NMR、XPS等により決定することができる。
本発明により得られる硫化物固体電解質材料は、LiSを実質的に含有しないことが好ましい。硫化水素発生量の少ない硫化物固体電解質材料とすることができるからである。LiSは水と反応することで、硫化水素が発生する。例えば、原料組成物に含まれるLiSの割合が大きいと、LiSが残存しやすい。「LiSを実質的に含有しない」ことは、CuKα線を用いたX線回折により確認することができる。具体的には、LiSのピーク(2θ=27.0°、31.2°、44.8°、53.1°)を有しない場合は、LiSを実質的に含有しないと判断することができる。
また、本発明により得られる硫化物固体電解質材料は、架橋硫黄を実質的に含有しないことが好ましい。硫化水素発生量が少ないからである。「架橋硫黄」とは、LiSと上記Aの硫化物とが反応してなる化合物における架橋硫黄をいう。例えば、LiSおよびPが反応してなるSP−S−PS構造の架橋硫黄が該当する。このような架橋硫黄は、水と反応しやすく、硫化水素が発生しやすい。さらに、「架橋硫黄を実質的に含有しない」ことは、ラマン分光スペクトルの測定により、確認することができる。例えば、LiS−P系の硫化物固体電解質材料の場合、SP−S−PS構造のピークが、通常402cm−1に表れる。そのため、このピークが検出されないことが好ましい。また、PS 3−構造のピークは、通常417cm−1に表れる。本発明においては、402cm−1における強度I402が、417cm−1における強度I417よりも小さいことが好ましい。より具体的には、強度I417に対して、強度I402は、例えば70%以下であることが好ましく、50%以下であることがより好ましく、35%以下であることがさらに好ましい。また、LiS−P系以外の硫化物固体電解質材料についても、架橋硫黄を含有するユニットを特定し、そのユニットのピークを測定することにより、架橋硫黄を実質的に含有していないことを判断することができる。
また、LiS−P系の硫化物固体電解質材料の場合、オルト組成を得るLiSおよびPの割合は、モル基準で、LiS:P=75:25である。LiS−Al系の硫化物固体電解質材料の場合、LiS−B系の硫化物固体電解質材料の場合も同様である。一方、LiS−SiS系の硫化物固体電解質材料の場合、オルト組成を得るLiSおよびSiSの割合は、モル基準で、LiS:SiS=66.7:33.3である。LiS−GeS系の硫化物固体電解質材料の場合も同様である。
また、本発明により得られる硫化物固体電解質材料におけるLiXの割合は、高Liイオン伝導性結晶相を有するガラスセラミックスであれば特に限定されるものではないが、例えば13mol%より多く30mol%よりも少ないことが好ましく、中でも、15mol%〜25mol%の範囲内であることが好ましい。
本発明により得られる硫化物固体電解質材料の形状としては、例えば粒子状を挙げることができる。粒子状の硫化物固体電解質材料の平均粒径(D50)は、例えば、0.1μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。また、上記硫化物固体電解質材料は、Liイオン伝導度が高いことが好ましく、常温におけるLiイオン伝導度は、例えば1×10−4S/cm以上であることが好ましく、1×10−3S/cm以上であることがより好ましい。
本発明により得られる硫化物固体電解質材料は、Liイオン伝導度を必要とする任意の用途に用いることができるが、電池用材料として好適に用いることができる。
B.リチウム固体電池
次に、リチウム固体電池について説明する。本発明のリチウム固体電池は、正極活物質を含有する正極活物質層と、負極活物質を含有する負極活物質層と、上記正極活物質層および上記負極活物質層の間に形成された固体電解質層と、を有するリチウム固体電池であって、上記正極活物質層、上記負極活物質層および上記固体電解質層の少なくとも一つが、上述した本発明の製造方法により得られた硫化物固体電解質材料を含有するものであることを特徴とするものである。
上述した本発明の製造方法により得られた硫化物固体電解質材料を用いることにより、Liイオン伝導度の高いリチウム固体電池を得ることができ、電池の高出力化を図ることができる。
図2は、本発明のリチウム固体電池の一例を示す概略断面図である。図2に示されるリチウム固体電池10は、正極活物質を含有する正極活物質層1と、負極活物質を含有する負極活物質層2と、正極活物質層1および負極活物質層2の間に介在する固体電解質層3と、正極活物質層1の集電を行う正極集電体4と、負極活物質層2の集電を行う負極集電体5と、を有するものである。本発明においては、正極活物質層1、負極活物質層2および固体電解質層3の少なくとも一つが、上記「A.硫化物固体電解質材料の製造方法」の項で説明した製造方法により製造された硫化物固体電解質材料を含有することを大きな特徴とする。
本発明のリチウム固体電池は、一次電池であっても良く、二次電池であっても良いが、中でも、二次電池であることが好ましい。繰り返し充放電でき、例えば、車載用電池として有用だからである。本発明のリチウム固体電池の形状としては、例えば、コイン型、ラミネート型、円筒型および角型等を挙げることができる。
以下、本発明のリチウム固体電池について、構成ごとに説明する。
1.固体電解質層
まず、本発明における固体電解質層について説明する。本発明における固体電解質層は、正極活物質層および負極活物質層の間に介在する層であり、少なくとも固体電解質材料を含有する層である。
固体電解質層に含まれる固体電解質材料は、Liイオン伝導性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、硫化物固体電解質材料、酸化物固体電解質材料等を挙げることができる。硫化物固体電解質材料は、酸化物固体電解質材料に比べて、イオン伝導度が高いものが多い点で好ましく、酸化物固体電解質材料は、硫化物固体電解質材料に比べて、化学的安定性が高い点で好ましい。
また、上記固体電解質材料は、非晶質材料であっても良く、結晶性材料であっても良い。非晶質材料は、例えば、原料組成物に対してメカニカルミリング法または溶融急冷法を適用することで得ることができる。結晶性材料は、例えば原料組成物に対して固相法を適用することで得ることができる。
中でも、固体電解質材料としては、上述した「A.硫化物固体電解質材料の製造方法」により製造された硫化物固体電解質材料であることが好ましい。
固体電解質層において、上記硫化物固体電解質材料の含有量は、所望の絶縁性が得られる割合であれば特に限定されるものではないが、例えば、10体積%〜100体積%の範囲内、中でも、50体積%〜100体積%の範囲内であることが好ましい。特に、本発明においては、固体電解質層が上記硫化物固体電解質材料のみから構成されていることが好ましい。
固体電解質層は、上記固体電解質材料の他に結着材を含有していても良い。結着材を含有することにより、可撓性を有する固体電解質層を得ることができる。結着材としては、例えば、PTFE、PVDF等のフッ素含有結着材を挙げることができる。
固体電解質層の形成方法としては、例えば、プレス法等を挙げることができる。また、固体電解質層の厚さは、例えば、0.1μm〜1000μmの範囲内、中でも、0.1μm〜300μmの範囲内であることが好ましい。
2.正極活物質層
次に、本発明における正極活物質層について説明する。本発明における正極活物質層は、少なくとも正極活物質を含有する層であり、必要に応じて、固体電解質材料、導電化材および結着材の少なくとも一つをさらに含有していても良い。
正極活物質としては、特に限定されるものではないが、例えば、LiCoO、LiMnO、LiNiO、LiVO、LiNi1/3Co1/3Mn1/3等の岩塩層状型活物質、LiMn、Li(Ni0.5Mn1.5)O等のスピネル型活物質、LiFePO、LiMnPO、LiNiPO、LiCuPO等のオリビン型活物質等を挙げることができる。また、LiFeSiO、LiMnSiO等のSi含有酸化物を正極活物質として用いても良い。
特に、上述した硫化物固体電解質材料が、オルト組成を有するイオン伝導体を有し、かつ、LiIを用いてなるものである場合、正極活物質は、2.8V(vs.Li)以上の電位を有することが好ましく、3.0V(vs.Li)以上の電位を有することがより好ましい。LiIの酸化分解を効果的に抑制できるからである。従来、LiIは、2.8V付近で分解すると考えられていたため、LiIを有する硫化物固体電解質材料を正極活物質層に用いてこなかった。これに対して、上述した硫化物固体電解質材料は、オルト組成を有するイオン伝導体を有するため、LiIがイオン伝導体との相互作用により安定化し、LiIの酸化分解を抑制できると考えられる。
正極活物質の形状としては、例えば粒子形状を挙げることができ、中でも真球状または楕円球状であることが好ましい。また、正極活物質が粒子形状である場合、その平均粒径は、例えば0.1μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。また、正極活物質層における正極活物質の含有量は、例えば10体積%〜99体積%の範囲内であることが好ましく、20体積%〜99体積%の範囲内であることがより好ましい。
正極活物質層は、正極活物質の他に、固体電解質材料を含有することが好ましい。正極活物質と固体電解質材料とが接し、正極活物質層のイオン伝導度を向上することができるからである。固体電解質材料としては、「1.固体電解質層」の項で説明した材料と同様のものを用いることができるが、中でも、上述した「A.硫化物固体電解質材料の製造方法」により製造された硫化物固体電解質材料であることが好ましい。
正極活物質層において、上記硫化物固体電解質材料の含有量は、例えば、形成される正極活物質層に対して0.1体積%〜80体積%の範囲内、中でも、1体積%〜60体積%の範囲内、特に、10体積%〜50体積%の範囲内であることが好ましい。
また、正極活物質層は、正極活物質および固体電解質材料の他に、導電化材および結着材の少なくとも一つをさらに含有していても良い。導電化材としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンファイバー等を挙げることができる。結着材としては、上述した「1.固体電解質層」の項で説明した材料と同様のものを用いることができる。
正極活物質層の形成方法としては、例えば、プレス法、スパッタリング法、PVD法、CVD法、電解めっき法、無電解めっき法等により、固体電解質層上または正極集電体上に上記材料を有する層を形成する方法が挙げられる。
正極活物質層の厚さは、例えば0.1μm〜1000μmの範囲内であることが好ましい。
3.負極活物質層
次に、本発明における負極活物質層について説明する。本発明における負極活物質層は、少なくとも負極活物質を含有する層であり、必要に応じて、固体電解質材料、導電化材および結着材の少なくとも一つをさらに含有していても良い。
負極活物質としては、例えば、金属活物質およびカーボン活物質を挙げることができる。金属活物質としては、例えば、In、Al、SiおよびSn等を挙げることができる。一方、カーボン活物質としては、例えば、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、高配向性グラファイト(HOPG)、ハードカーボン、ソフトカーボン等を挙げることができる。
負極活物質層における負極活物質の含有量は、例えば10体積%〜99体積%の範囲内であることが好ましく、20体積%〜99体積%の範囲内であることがより好ましい。
負極活物質層は、負極活物質の他に、固体電解質材料を含有することが好ましい。負極活物質と固体電解質材料とが接し、負極活物質層のイオン伝導度を向上することができるからである。
固体電解質材料としては、「1.固体電解質層」の項で説明した材料と同様のものを用いることができるが、中でも、上述した「A.硫化物固体電解質材料の製造方法」により製造された硫化物固体電解質材料であることが好ましい。
上記硫化物固体電解質材料の含有量は、例えば、0.1体積%〜80体積%の範囲内、中でも、1体積%〜60体積%の範囲内、特に、10体積%〜50体積%の範囲内であることが好ましい。
また、負極活物質層は、負極活物質および固体電解質材料の他に、導電化材および結着材の少なくとも一つをさらに含有していても良い。導電化材および結着材としては、「2.正極活物質層」の項で説明した材料と同様のもの用いることができる。
負極活物質層の形成方法としては、例えば、プレス法、スパッタリング法、PVD法、CVD法、電解めっき法、無電解めっき法等により、固体電解質層上または負極集電体上に上記材料を有する層を形成する方法が挙げられる。
負極活物質層の厚さは、例えば0.1μm〜1000μmの範囲内であることが好ましい。
4.その他の構成
本発明のリチウム固体電池は、上述した正極活物質層、負極活物質層および固体電解質層を少なくとも有するものである。さらに通常は、正極活物質層の集電を行う正極集電体、および負極活物質層の集電を行う負極集電体を有する。
正極集電体の材料としては、例えば、SUS、アルミニウム、ニッケル、鉄、チタンおよびカーボン等を挙げることができ、中でも、SUSが好ましい。一方、負極集電体の材料としては、例えば、SUS、銅、ニッケルおよびカーボン等を挙げることができ、中でも、SUSが好ましい。また、正極集電体および負極集電体の厚さや形状等については、リチウム固体電池の用途等に応じて適宜選択することが好ましい。
本発明に用いられる電池ケースには、一般的なリチウム固体電池の電池ケースを用いることができる。電池ケースとしては、例えば、SUS製電池ケース等を挙げることができる。
本発明のリチウム固体電池の製造方法は、上述したリチウム固体電池を得ることができる方法であれば特に限定されるものではなく、一般的なリチウム固体電池の製造方法と同様の方法を用いることができる。リチウム固体電池の製造方法の一例としては、正極活物質層を構成する材料、固体電解質層を構成する材料、および負極活物質層を構成する材料を順次プレスすることにより、発電要素を作製し、この発電要素を電池ケースの内部に収納し、電池ケースをかしめる方法等を挙げることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明する。なお、特段の断りがない限り、秤量、合成、乾燥等の各操作は、Ar雰囲気下(露点−70℃)で行った。
[比較例1]
出発原料として、硫化リチウム(LiS、日本化学工業社製)、五硫化二リン(P、アルドリッチ社製)およびヨウ化リチウム(LiI、アルドリッチ社製)を用いた。次に、LiSおよびPを、75LiS・25Pのモル比(LiPS、オルト組成)となるように秤量した。次に、LiS、PおよびLiIの合計に対するLiIの割合が20mol%となるようにLiIを秤量した。秤量した出発原料をメノウ乳鉢で5分間混合し、その混合物2gを遊星型ボールミルの容器(45cc、ZrO製)に投入し、脱水ヘプタン(水分量30ppm以下)4gを投入し、さらにZrOボール(φ=5mm)53gを投入し、容器を完全に密閉した。この容器を遊星型ボールミル機(フリッチュ製 P−7)に取り付け、台盤回転数500rpmで、40時間メカニカルミリングを行った。その後、100℃で乾燥することによりヘプタンを除去し、硫化物ガラスを得た。
[比較例2]
比較例1と同様にして得た硫化物ガラス0.5gをガラス管に入れ、そのガラス管をSUS製密閉容器に入れた。その密閉容器を、室温(約25℃)の炉内に設置し、180℃まで1℃/minで昇温し、180℃で3時間熱処理を行い、ガラスセラミックスを得た。
[比較例3]
比較例1と同様にして得た硫化物ガラス0.5gを石英管に真空封入し、その石英管を、室温(約25℃)の炉内に設置し、180℃まで昇温速度5℃/minで昇温し、180℃で3時間熱処理を行い、ガラスセラミックスを得た。
[実施例1]
昇温速度を10℃/minに変更したこと以外は、比較例3と同様にしてガラスセラミックスを得た。
[実施例2]
硫化物ガラスを真空封入した石英管を、予め180℃に保持しておいた炉内に設置し、昇温速度を20℃/minに変更したこと以外は、比較例3と同様にしてガラスセラミックスを得た。
[評価]
(Liイオン伝導度測定)
実施例1〜2および比較例1〜3で得られたサンプルに対して、交流インピーダンス法によるLiイオン伝導度(常温)の測定を行った。Liイオン伝導度の測定は以下のように行った。まず、サンプル粉末を4ton/cmの圧力でコールドプレスすることで、φ11.28mm、厚さ約500μmのペレットを作製した。次に、ペレットを、Arガスで充填した不活性雰囲気の容器内に設置して測定を行った。測定には、東陽テクニカ社製のソーラトロン(SI1260)を用いた。測定温度は、恒温槽で25℃に調整した。
結果を表1および図3に示す。
Figure 2014127387
表1および図3に示すように、実施例1〜2および比較例2〜3で得られたガラスセラミックスは、比較例1の硫化物ガラスよりも高いLiイオン伝導度を示した。これは、硫化物ガラスを熱処理することによって、高Liイオン伝導性結晶相(準安定相)が析出したためと考えられる。
また、実施例1〜2のガラスセラミックスは、いずれも、比較例2〜3のガラスセラミックスと比較して、高いLiイオン伝導度を示した。これは、硫化物ガラスを熱処理する際に、硫化物ガラスの結晶化温度へ昇温速度を大きくすることで、Sの揮発による組成ずれの発生や、準安定相の安定相への相転移等に起因するリチウムイオン伝導度の低下が抑制されたためと考えられる。また、高Liイオン伝導性結晶相は、核生成温度と結晶成長温度が近いために、硫化物ガラスの表面でほぼ同時に進行すると考えられる。ゆえに、結晶化温度までの昇温速度を大きくしても、結晶化温度以上の温度での加熱時間を確保すれば、高Liイオン伝導度を有する結晶相の生成および成長を充分に進行させることができると考えられる。
1…正極活物質層
2…負極活物質層
3…固体電解質層
4…正極集電体
5…負極集電体
10…リチウム固体電池

Claims (5)

  1. LiS、A(Aは、P、Si、Ge、AlおよびBの少なくとも一種である)の硫化物、およびLiX(Xはハロゲンである)を含有する原料組成物を非晶質化し、硫化物ガラスを合成する非晶質化工程と、
    前記硫化物ガラスを結晶化温度以上の温度で加熱し、ガラスセラミックスを合成する熱処理工程と、
    を有し、
    前記熱処理工程において、前記結晶化温度までの昇温速度が6℃/min以上であることを特徴とする硫化物固体電解質材料の製造方法。
  2. 前記熱処理工程において、前記硫化物ガラスを、予め前記結晶化温度以上に加熱した系内に投入する、請求項1に記載の硫化物固体電解質材料の製造方法。
  3. 前記熱処理工程において、前記結晶化温度以上の温度で1〜3時間加熱する、請求項1又は2に記載の硫化物固体電解質材料の製造方法。
  4. 前記原料組成物が、前記Aの硫化物としてPの硫化物を含有し、前記LiXとしてLiIを含有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の硫化物固体電解質材料の製造方法。
  5. 正極活物質を含有する正極活物質層と、負極活物質を含有する負極活物質層と、前記正極活物質層および前記負極活物質層の間に介在する固体電解質層と、を有するリチウム固体電池であって、
    前記正極活物質層、前記負極活物質層および前記固体電解質層の少なくとも一つが、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の製造方法により製造された硫化物固体電解質材料を含有することを特徴とするリチウム固体電池。
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