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JP2014124042A - モータ制御装置及び空気調和機 - Google Patents

モータ制御装置及び空気調和機 Download PDF

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JP2014124042A
JP2014124042A JP2012278866A JP2012278866A JP2014124042A JP 2014124042 A JP2014124042 A JP 2014124042A JP 2012278866 A JP2012278866 A JP 2012278866A JP 2012278866 A JP2012278866 A JP 2012278866A JP 2014124042 A JP2014124042 A JP 2014124042A
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Koji Tsukii
浩二 月井
Kenji Tamura
建司 田村
Tomoe Unoko
知恵 右ノ子
Yuji Funayama
裕治 船山
Masahiro Tamura
正博 田村
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Hitachi Appliances Inc
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Abstract

【課題】インバータ回路のスイッチング素子を熱破壊から保護することができるモータ制御装置及び空気調和機を提供すること。
【解決手段】交流電力で回転するモータ4と、直流電力を出力するコンバータ回路1Aと、コンバータ回路1Aから出力される直流電力を複数のスイッチング素子11〜16のスイッチング動作により交流電力に変換してモータ4の駆動制御を行うインバータ回路3Aと、素子11〜16の温度を検出するフィンサーミスタ6と、インバータ回路3Aに流れる回路電流を検出する架線電流センサ5と、フィンサーミスタ6の検出温度と、架線電流センサ5の検出電流値との双方に係る電流温度検出値が、所定の電流閾値を超えた場合に、コンバータ回路1Aの出力電圧DCVを予め定められた電圧値まで昇圧し、インバータ回路3Aに対してモータ4の弱め界磁電流が減少するように弱め界磁制御を変更する制御を行う制御手段とを備えて構成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、インバータ回路を用いてモータの駆動制御を行うモータ制御装置及び空気調和機に関する。
従来、IGBT(Insulated-Gate- Bipolar-Transistor)や、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)等の複数のスイッチング素子を有して直流電力を三相交流電力に変換する三相インバータ回路では、スイッチング素子を順次オン/オフさせることで三相交流電力を生成して三相同期モータ(単に、モータともいう)を駆動している。モータを高速で駆動した場合、スイッチング素子には大きな電流が流れる。この際、スイッチング素子の接合部温度が最大定格を超えて発熱し、熱破壊する恐れがある。この熱破壊を防ぐために、従来、例えば特許文献1に係る技術が開示されている。なお、接合部温度とは、一般的に言われる半導体パッケージ内の半導体チップのジャンクション温度である。
特許文献1の技術は、モータの回転を制御するスイッチング回路と、パルス幅変調された矩形波を用いてスイッチング回路をドライブするドライブ回路と、温度変化に伴うサーミスタの緩やかな抵抗値の変化を捉えて温度検出信号として出力する温度検出回路と、モータ電流が所定値を超えた場合に異常信号を出力する過電流検出回路とを備え、温度検出信号が変化した場合は、その変化に応じてドライブ回路の出力を変化させ、異常信号が変化した場合は、直ちにドライブ回路の出力を停止するといった内容である。
特開2008−29198号公報
しかし、特許文献1においては、温度変化に伴うサーミスタの緩やかな抵抗値の変化に応じてドライブ回路の出力を変化させているが、サーミスタは、その性質上、過電流通流時のように短時間での急激な温度変化は捉えにくい。このため、例えば、スイッチング素子としてMOSFETのように発熱し易い素子を用いた場合、サーミスタの温度検出のみでは素子の急激な温度変化を捉えきれない。この場合、ドライブ回路の出力を停止することができないので、スイッチング素子が熱破壊に至るといった問題が生じる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、インバータ回路のスイッチング素子を熱破壊から保護することができるモータ制御装置及び空気調和機を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、直流電力を出力するコンバータ回路と、コンバータ回路から出力される直流電力を複数のスイッチング素子のスイッチング動作により交流電力に変換し、この交流電力でモータの駆動制御を行うインバータ回路と、スイッチング素子の温度を検出する温度検出手段と、インバータ回路に流れる回路電流を検出する電流検出手段と、温度検出手段の検出温度と、電流検出手段の検出電流値との双方に係る電流温度検出値が、予め定められて設定された電流閾値を超えた場合に、コンバータ回路の出力電圧を予め定められた電圧値まで昇圧し、インバータ回路に対してモータの弱め界磁電流が減少するように弱め界磁制御を変更する制御を行う制御手段とを備えることを特徴とするようにした。
本発明によれば、インバータ回路のスイッチング素子を熱破壊から保護することができるモータ制御装置及び空気調和機を提供することができる。
本発明の実施形態に係るモータ制御装置及び空気調和機の構成図である。 本実施形態に係るモータ制御装置のコンバータ回路の構成を示す回路図である。 本実施形態のモータ制御装置におけるコンバータ制御部、過電流停止制御部、昇圧・減速判定部、加減速指令部及びインバータ駆動部の構成例を示すブロック図である。 IGBTとMOSFETの電流に対する電圧特性を表す図である。 IGBTとMOSFETの電流に対する損失特性を表す図である。 縦軸のインバータ回路へ流れる回路電流と、横軸の各スイッチング素子のフィン温度との双方に係る特性領域上に対応付けられた過電流閾値情報及び第1〜第3電流制限閾値情報を表す図である。 本実施形態のモータ制御装置の動作を説明するためのフーチャートである。 本発明の実施形態の変形例1に係るモータ制御装置の構成を示す回路図である。 本発明の実施形態の変形例2に係るモータ制御装置の構成を示す回路図である。 本発明の実施形態の変形例3に係るモータ制御装置の構成を示す回路図である。 本発明の実施形態のモータ制御装置及び変形例1〜3のモータ制御装置に用いられる他の構成例1によるコンバータ回路の構成を示す回路図である。 本発明の実施形態のモータ制御装置及び変形例1〜3のモータ制御装置に用いられる他の構成例2によるコンバータ回路の構成を示す回路図である。
<本発明の概要>
始めに、本発明の概要について説明する。インバータ回路に使用されるスイッチング素子(単に、素子ともいう)は、高負荷領域になる程に回路に流れる電流が増え、素子で発生する発熱量が増えるので、熱破壊する危険性がある。通常、モータの回転速度が上昇するにつれてモータの誘起電圧も上昇し、この誘起電圧がモータの印加電圧まで到達すると、それ以上モータの回転速度を増やすことができなくなる。
そこで、一般的に誘起電圧を印加電圧より低くするためにモータのd軸電流(弱め界磁電流又は励磁電流)を負の方向に流し、モータの界磁磁束を弱めるという所謂、弱め界磁制御が行われている。この弱め界磁制御により、モータの回転速度を速くすることができる。しかし、弱め界磁制御を行った場合、高負荷・高回転の領域では弱め界磁電流が増え、この増加に応じてモータ電流も増えるので、スイッチング素子が、より高負荷状態となって熱破壊に至る場合がある。
そこで、本発明では次のような制御を行うこととした。即ち、インバータ回路に流れるモータ電流の電流値と、スイッチング素子の温度との双方を検出する。これら検出値から、スイッチング素子が熱破壊するような危険状態に達したと判定した場合、コンバータ回路からインバータ回路へ出力される直流電圧(出力電圧)を予め定められた値まで昇圧し、且つ弱め界磁電流が減少するように弱め界磁制御を行う。
これにより、スイッチング素子の発熱を抑制して熱破壊を防ぐことを目的とする。なお、コンバータ回路の出力電圧を昇圧すると、モータへの印加電圧が誘起電圧に対してより高くなるので回転速度の増加幅が広がる。これにより弱め界磁制御が不要となって、弱め界磁電流を減少させることができる。
また、本発明者らの研究によると、スイッチング素子の最大定格電流は、素子の接合部温度が低い領域では、大きく、当該接合部温度がその低い領域よりも高い領域では、小さくなるように、当該接合部温度の変化に追従して変動することがわかっている。但し、本発明でいう最大定格電流とは、温度特性を有する相対的な最大定格電流であり、絶対的な最大定格電流とは異なる。
仮に、コンバータの出力電圧を昇圧するか否かの判定基準となる電流閾値を、素子の接合部温度が高い場合を基準として低い固定値に設定したとする。この場合、実際に素子の接合部温度が低い場合において、事実上、素子が熱破壊する危険状態に達した際の昇圧動作を行うまでには、まだ接合部温度が低いので余裕がある。しかし、上記のように電流閾値を低い固定値に設定していると、低い接合部温度でも危険状態に達したと判定されてしまい昇圧を行ってしまう。このため、モータの駆動が制限されてしまう。これでは、モータの駆動領域を狭めてしまうので、モータの効率的な駆動を行うことができない。
そこで、本発明のモータ制御装置では、素子の接合部温度が予め定められた温度よりも低い領域では、電流閾値が大きく(又は高く)なり、素子の接合部温度がその低い領域よりも高い領域では、電流閾値が小さく(又は低く)なるように、素子の接合部温度の変化に応じた可変温度特性を有する電流閾値を設定するようにした。
<実施形態の構成>
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るモータ制御装置100Aの構成を示す回路図である。このモータ制御装置100Aを、三相インバータ回路(単に、インバータ回路ともいう)3Aを用いて三相同期モータ(単に、モータともいう)4の駆動制御を行う場合を例に挙げて説明する。
モータ制御装置100Aは、コンバータ回路1Aと、コンバータ制御部2Aと、PWM(Pulse Width Modulation)制御によりモータ4の駆動制御を行う三相インバータ回路3Aと、架線電流センサ5と、フィンサーミスタ6Aと、過電流判定部7a及び過電流停止指令部7bを有する過電流停止制御部7と、昇圧・減速判定部8と、加減速指令部9と、インバータ駆動部10とを備えて構成されている。
インバータ回路3Aは、インバータ駆動部10から出力されるパルス幅変調波信号(PWM信号)である駆動制御信号dsに基き、コンバータ回路1Aから供給される直流の出力電力(出力電圧DCV)を、U相・V相・W相の擬似正弦波である三相交流電力に変換し、この変換された三相交流電力でモータ4の駆動制御を行うものである。
このインバータ回路3Aは、第1〜第6のスイッチング素子(単に、素子ともいう)11,12,13,14,15,16と、還流ダイオード21,22,23,24,25,26とを備えて構成されている。
各スイッチング素子11〜16は、コンバータ回路1Aの正極側に接続された直流母線PLと、負極側に接続された直流母線NLとの間の上下アームに接続されている。上アームには第1,第3,第5のスイッチング素子11,13,15としてIGBTが接続され、下アームには第2,第4,第6スイッチング素子12,14,16としてMOSFETが接続されている。つまり、上アームと下アームとで特性の異なるスイッチング素子が接続されている。
なお、上アームのスイッチング素子11,13,15を、IGBT11,13,15又は上アーム素子11,13,15とも表現し、下アームのスイッチング素子12,14,16を、MOSFET12,14,16又は下アーム素子12,14,16とも表現する。また、MOSFET12,14,16には、構造的に還流ダイオードとして寄生ダイオード22,24,26が備えられる。
第1の上アーム素子11及び第2の下アーム素子12は、正負の直流母線PL,NL間に、第1の接続点Nd1を介して直列接続されており、第1の上アーム素子11のコレクタ−エミッタ間には還流ダイオード21が逆並列接続され、第2の下アーム素子12のドレイン−ソース間には寄生ダイオード22が逆並列接続されている。第1の接続点Nd1は、モータ4のU相動力線に接続されている。
第3の上アーム素子13及び第4の下アーム素子14は、正負の直流母線PL,NL間に、第2の接続点Nd2を介して直列接続されており、第3の上アーム素子13のコレクタ−エミッタ間には還流ダイオード23が逆並列接続され、第4の下アーム素子14のドレイン−ソース間には寄生ダイオード24が逆並列接続されている。第2の接続点Nd2は、モータ4のV相動力線に接続されている。
第5の上アーム素子15及び第6の下アーム素子16は、正負の直流母線PL,NL間に、第3の接続点Nd3を介して直列接続されており、第5の上アーム素子15のコレクタ−エミッタ間には還流ダイオード25が逆並列接続され、第6の下アーム素子16のドレイン−ソース間には寄生ダイオード26が逆並列接続されている。第3の接続点Nd3は、モータ4のW相動力線に接続されている。
また、各スイッチング素子11〜16のゲートは、それぞれインバータ駆動部10の駆動制御信号dsの出力端に接続されている。
架線電流センサ5は、負の直流母線NLに近接して配置されており、コンバータ回路1Aからインバータ回路3Aへ流れる回路電流Ioを検出し、この検出された回路電流Ioを過電流判定部7a及び昇圧・減速判定部8へ出力する。なお、回路電流Ioは上述したモータ電流に対応している。
フィンサーミスタ6Aは、第1〜第6のスイッチング素子11〜16に設けられた図示せぬ放熱フィンの温度を検出し、この検出したフィン温度Tfを過電流判定部7a及び昇圧・減速判定部8へ出力する。
昇圧・減速判定部8は、後述の図6に示す縦軸の回路電流Ioと横軸のフィン温度Tfとに対応付けられた過電流閾値情報(単に、情報ともいう)31及び第1〜第3電流制限閾値情報(単に、情報ともいう)32,33,34を記憶する記憶部8aを備える。昇圧・減速判定部8は、架線電流センサ5で検出された回路電流Ioと、フィンサーミスタ6Aで検出されたフィン温度Tfとの双方を、記憶部8aに記憶された各情報31〜34と照合することにより、第1〜第6のスイッチング素子11〜16が熱破壊に至る可能性がある危険レベルか否か、又は短時間で熱破壊する危険状態(熱破壊危険状態という)にあるか否かを判定し、これら判定結果に応じて、コンバータ回路1Aの出力電圧DCVを昇圧するか否かを決定する。但し、危険レベル及び熱破壊危険状態の判定方法については後述で詳細に説明する。
ここで、昇圧・減速判定部8は、第1〜第6のスイッチング素子11〜16が危険レベル又は熱破壊危険状態にあると判定した場合、コンバータ回路1Aが予め定められた電圧値(所定電圧値)まで出力電圧DCVを昇圧するための指令(昇圧指令)uiをコンバータ制御部2Aへ出力する。その昇圧指令uiは、インバータ駆動部10、過電流判定部7a及び加減速指令部9へも同時に出力されるようになっている。
また、昇圧・減速判定部8は、昇圧指令uiによるコンバータ回路1Aの出力電圧DCVの昇圧及び弱め界磁制御後、予め定められた一定時間(所定時間)t1内にフィン温度Tfが予め定められた所定温度(図6に示す定常領域Ds)に低下した場合、出力電圧DCVを昇圧前の電圧に戻す指令を行う復帰指令riを、コンバータ制御部2A及び加減速指令部9へ出力する。但し、定常領域Dsとは、モータ制御装置100Aを空気調和機に使用した場合、スイッチング素子11〜16が発熱しないでモータ4を定常駆動させることが可能な領域である。
加減速指令部9は、昇圧指令uiが入力された際に、モータ4を予め定められた回転速度まで減速させる指令を行う減速指令siをインバータ駆動部10へ出力する。また、復帰指令riが入力された際に、モータ4を減速前の回転数に戻す指令を行う回転数復帰指令rriをインバータ駆動部10へ出力する。
インバータ駆動部10は、昇圧指令uiが入力された際に、モータ4の弱め界磁電流が減少するように弱め界磁制御を行う。即ち、各スイッチング素子11〜16のスイッチング動作を、モータ4の弱め界磁電流が減少するように弱め界磁制御によってスイッチング制御する。また、インバータ駆動部10は、復帰指令riが入力された際に、弱め界磁制御が変更前の弱め界磁電流を生成可能な制御状態に戻される。
また、インバータ駆動部10は、減速指令siに従い各スイッチング素子11〜16のスイッチング動作を、モータ4が減速するようにスイッチング制御する。また、回転数復帰指令rriに従い各スイッチング素子11〜16のスイッチング動作を、モータ4を減速前の回転数に戻すようにスイッチング制御する。更に、インバータ駆動部10は、後述の過電流停止指令部7bから入力される停止指令piに従い、第1〜第6のスイッチング素子11〜16のスイッチング動作を停止させることで、モータ4を停止させるように制御する。
過電流判定部7aは、上述した記憶部8aと同様に、回路電流Ioとフィン温度Tfとに対応付けられた過電流閾値情報31及び第1〜第3電流制限閾値情報32〜34を記憶する記憶部7cを備える。過電流判定部7aは、昇圧指令uiが入力された後、一定時間t1(図示せず)内に、フィンサーミスタ6Aで検出されるフィン温度Tfが図6に示す定常領域Dsに戻らなかった場合、又は停止領域Dpに到達した場合、各スイッチング素子11〜16のスイッチング動作を停止する必要(停止要という)があると判定する。
過電流停止指令部7bは、過電流判定部7aで停止要と判定された場合、インバータ駆動部10へ停止指令piを出力する。
図2はコンバータ回路1Aの構成を示す回路図である。コンバータ回路1Aは、商用電源102に直列に接続されたリアクタ103と、商用電源102の交流電圧を直流電圧に整流するダイオードブリッジ105と、ダイオードブリッジ105で整流された直流電圧に含まれる脈動成分を平滑する平滑キャパシタ107と、ダイオードブリッジ109aとトランジスタ109bとが逆並列に接続された双方向性スイッチ109とを備える。更に、商用電源102の交流電圧がゼロ電位を通過するタイミングであるゼロクロス点の電圧(ゼロクロス電圧)ZVを検出するゼロクロス検出部111と、コンバータ回路1Aの出力電圧DCVを検出する直流電圧検出部113とを備えて構成されている。
この構成において、コンバータ制御部2Aが、ゼロクロス検出部111で検出されたゼロクロス電圧ZVと直流電圧検出部113で検出された直流出力電圧DCVとに基き、双方向性スイッチ109のトランジスタ109bの動作を制御する。この制御により、商用電源102からの交流電圧のセロクロス点に同期して、商用電源102に直列に接続されたリアクタ103に流れる電流が制御されるので、ダイオードブリッジ105は、同期整流を行いながら電圧が所定レベルに制御された直流電圧を出力することができる。従って、コンバータ回路1Aは、直流電圧が制御されて平滑キャパシタ107で平滑された直流出力電圧DCVを、図1に示す三相インバータ回路3Aへ出力することができる。
つまり、コンバータ制御部2Aは、ゼロクロス検出部111が検出した交流出力電圧波形のゼロクロス電圧ZVに同期させながら、直流電圧検出部113で検出した直流出力電圧DCVに基き、双方向性スイッチ109を短絡動作させる制御を行うので、商用電源102側のリアクタ103に流れる交流電流を制御することができる。これによって、コンバータ回路1Aは、ダイオードブリッジ105から出力される直流電圧を制御することができると共に、力率改善と高調波抑制とを行うことができる。
但し、コンバータ制御部2A、過電流停止制御部7、昇圧・減速判定部8、加減速指令部9及びインバータ駆動部10の回路部分は、図3に示すように、CPU(Central Processing Unit)101a、ROM(Read Only Memory)101b、RAM(Random Access Memory)101c、記憶装置(HDD:Hard Disk Drive等)101dを備え、これら101a〜101dがバス102に接続された一般的な構成となっている。このような構成において、例えばCPU101aがROM101bに書き込まれたプログラム101fを実行して、上述したコンバータ制御部2A、過電流停止制御部7、昇圧・減速判定部8、加減速指令部9及びインバータ駆動部10の制御を実現するようになっている。
ここで、第1〜第6のスイッチング素子11〜16に用いられているIGBT及びMOSFETの特性について図4及び図5を参照して説明する。図4はIGBTとMOSFETの電流に対する電圧特性を表す図である。図5はIGBTとMOSFETの電流に対する損失特性を表す図である。
図4において、線I1で示すIGBTのコレクタ電流に対するコレクタ−エミッタ間電圧特性は、コレクタ電流の立ち上がり区間において右肩上がりに急増し、その後、なだらかな右肩上がりの略線形の増加特性を描く。一方、線M1で示すMOSFETのドレイン電流に対するドレイン−ソース間電圧特性は、全ての電流区間においてなだらかな右肩上がりの略線形の増加特性を描く。これら特性I1及び特性M1は、図4に示すように、臨界点において交差している。つまり、臨界点に比べて低入力領域では、IGBTに係るコレクタ−エミッタ間電圧特性I1がMOSFETに係るドレイン−ソース間電圧特性M1を上回っているが、臨界点に比べて高入力領域では、両者T1,M1の関係が逆転している。
図4に表す関係に起因して、図5に示すように、臨界点に比べて低入力領域では、線I2で示すIGBTに係る損失特性が、線M2で示すMOSFETに係る損失特性を上回っているが、臨界点に比べて高入力領域では、両者I2,M2の関係が逆転している。つまり、MOSFETの損失は、低入力領域ではIGBTよりも小さいが、高入力領域では、IGBTよりも大きくなる。これは、MOSFETの損失が電流の2乗で増大するからである。このため、MOSFETは、高負荷時の温度上昇割合がIGBTと比べて大きく、熱破壊を起こしやすい、という欠点がある。
この欠点を無くすために、仮に、コンバータ回路1Aの出力電圧DCVを昇圧するかしないかを判定する際の基準となる電流閾値を、余裕をみて低い固定値に設定したとする。この場合、前述した通り、本来の昇圧するための接合部温度となるまでにはまだ余裕があるにも関わらず、電流閾値が低い接合部温度に対応して設定されているため、熱破壊危険状態に達したと判定して、出力電圧DCVの昇圧が行われてしまう。このため、モータ4の駆動が制限されてしまう。この場合、モータ4の運転領域を狭めてしまうので、モータ4の効率的な駆動を行わせることができない。
そこで、モータ制御装置100Aでは、モータ4の運転領域を拡大しながら、第1〜第6のスイッチング素子11〜16の熱破壊を未然に防ぐことを可能とするため、図6に示す過電流閾値情報31及び第1〜第3電流制限閾値情報32,33,34を用いるようにした。図6は、縦軸のインバータ回路3Aへ流れる回路電流Ioと、横軸の各スイッチング素子11〜16のフィン温度Tfとの双方に係る特性領域上に対応付けられた過電流閾値情報31及び第1〜第3電流制限閾値情報32〜34を表す図である。
過電流閾値情報31は、各スイッチング素子11〜16の温度が熱破壊危険状態に到達していることを判定するための電流閾値である。この過電流閾値情報31は、フィンサーミスタ6A(図1参照)で検出されるフィン温度Tfが低い領域(40〜50°C)では、高く、フィン温度Tfが低い領域と比べて高い領域(50〜90°C)では、低くなるように、フィン温度Tfの変化に応じた可変温度特性を有して設定されている。実際には、過電流閾値情報31は、各スイッチング素子11〜16の前述した最大定格電流が有する温度特性を考慮した温度特性を有して設定される。
また、過電流閾値情報31の上方領域には、モータ4を停止させる判定を行うための停止領域Dpが区画されている。この停止領域Dpを区画する過電流閾値情報31の下方領域には、当該過電流閾値情報31と類似のカーブを描く第1〜第3電流制限閾値情報32〜34が所定間隔で設けられている。最も低いレベルの第1電流制限閾値情報32の下方領域には、定常領域Dsが区画されている。モータ4が定常駆動している場合は、各スイッチング素子11〜16のフィン温度Tfが危険レベル又は熱破壊危険状態に至る温度となることはない。
各電流制限閾値情報32〜34は、フィンサーミスタ6Aで検出されるフィン温度Tfが低い領域(40〜50°C)では、高く、フィン温度Tfが低い領域と比べて高い領域(50〜90°C)では、低くなるように、フィン温度Tfの変化に応じた可変温度特性を有して設定されている。具体的には、各電流制限閾値情報32〜34は、例えば、スイッチング素子11〜16のフィン温度Tfが、一般的なパワースイッチング素子の動作保証温度である150°Cに対して30%のマージンをとった温度である105°Cを超えないことを考慮して設定される。
つまり、各電流制限閾値情報32〜34は、各スイッチング素子11〜16のフィン温度Tfが熱破壊危険状態に至る前の高温状態(危険レベル)であることを判定する電流閾値である。ここで、フィン温度Tfが第1電流制限閾値情報32を超えた場合を第1危険レベル、第2電流制限閾値情報33を超えた場合を第2危険レベル、第3電流制限閾値情報34を超えた場合を第3危険レベルとする。
言い換えれば、最も低い第1危険レベルを判定するための電流閾値が第1電流制限閾値情報32、第1危険レベルよりも所定レベル高い第2危険レベルを判定するための電流閾値が第2電流制限閾値情報33、第2危険レベルよりも所定レベル高い第3危険レベルを判定するための電流閾値が第3電流制限閾値情報34である。
従って、図1に示す昇圧・減速判定部8は、各々の危険レベルであると判定する都度、コンバータ回路1Aの出力電圧DCVを、各危険レベルに対応付けられた各電圧レベルに昇圧するための第1〜第3昇圧指令ui1,ui2,ui3を出力する。加減速指令部9は、それら昇圧指令ui1,ui2,ui3に応じて、減速レートが異なる回転速度でモータ4を減速するための第1〜第3減速指令si1,si2,si3を出力する。これによって、各危険レベルに応じて出力電圧DCVが各種電圧レベルで昇圧され、この各種電圧レベルの昇圧に応じた電流量、弱め界磁電流が減少するように弱め界磁制御が行われる。更には、モータ4が各種減速レートで減速されるように各スイッチング素子11〜16のスイッチング動作が制御される。つまり、その昇圧の制御及び弱め界磁電流を減少させる弱め界磁制御と、減速の制御とにより、各スイッチング素子11〜16の接合部温度を低下させ、極力、熱破壊危険状態とさせないようになっている。
但し、第1〜第3危険レベルに応じた、コンバータ回路1Aの出力電圧DCVの昇圧値と、弱め界磁制御による弱め界磁電流の減少量と、モータ4の回転速度の減速レートは、後述のように設定される。
図6に示す各電流制限閾値情報32〜34の各々の間には、第1電流制限閾値情報32と第2電流制限閾値情報33との間に、第1危険レベルに対応する第1昇圧・減速領域D1が区画され、第2電流制限閾値情報33と第3電流制限閾値情報34との間に、第2危険レベルに対応する第2昇圧・減速領域D2が区画され、第3電流制限閾値情報34と過電流閾値情報31との間に、第3危険レベルに対応する第3昇圧・減速領域D3が区画されている。
第1昇圧・減速領域D1では、コンバータ回路1Aの出力電圧DCVが、定常領域Dsでの直流電圧に対し、これよりも高い電圧値である第1昇圧値(例えば105%)まで昇圧される。また、弱め界磁電流が予め定められた第1電流値以下に減少するように第1弱め界磁制御が行われる。更に、モータ4の定常回転速度に、当該定常回転速度より低くするための割合である第1減速レート(例えば70%)を乗算して得られる第1回転速度でモータ4が減速される。
つまり、昇圧・減速判定部8は、架線電流センサ5で検出される回路電流Ioと、フィンサーミスタ6Aで検出されるフィン温度Tfとの交点(電流温度交点という)が、第1昇圧・減速領域D1にあると判定した場合、出力電圧DCVを第1昇圧値に昇圧するための第1昇圧指令ui1を出力する。この第1昇圧指令ui1に応じて、インバータ駆動部10は、モータ4の弱め界磁電流を第1電流値以下に減少させる第1弱め界磁制御を行う。更に第1昇圧指令ui1に応じて、加減速指令部9は、モータ4を第1回転速度で減速するための第1減速指令si1を出力する。
これら出力に応じて、コンバータ制御部2Aの制御でコンバータ回路1Aの出力電圧DCVが第1昇圧値(105%)まで昇圧され、また、インバータ駆動部10による第1弱め界磁制御により弱め界磁電流が第1電流値以下に減少され、更に、インバータ駆動部10の各スイッチング素子11〜16のスイッチング制御で、モータ4が定常回転速度に第1減速レート(70%)を乗算した第1回転速度に減速される。
第2昇圧・減速領域D2では、コンバータ回路1Aの出力電圧DCVが、定常領域Dsでの直流電圧に対し、第1昇圧値よりも高い電圧値である第2昇圧値(例えば110%)まで昇圧される。また、弱め界磁電流が第1電流値よりも予め定められた値小さい第2電流値以下に減少するように第2弱め界磁制御が行われる。更に、モータ4の定常回転速度に、第1減速レートよりも所定速度減速するための第2減速レート(50%)を乗算して得られる第2回転速度にモータ4が減速される。
つまり、昇圧・減速判定部8は、電流温度交点が、第2昇圧・減速領域D2にあると判定した場合、出力電圧DCVを第2昇圧値に昇圧するための第2昇圧指令ui2を出力する。この第2昇圧指令ui2に応じて、インバータ駆動部10は、モータ4の弱め界磁電流を第2電流値以下に減少させる第2弱め界磁制御を行う。
更に、第2昇圧指令ui2に応じて、加減速指令部9は、モータ4を第2回転速度で減速するための第2減速指令si2を出力する。これら出力に応じた、コンバータ制御部2Aの制御で出力電圧DCVが第2昇圧値(110%)まで昇圧され、また、インバータ駆動部10による第2弱め界磁制御により弱め界磁電流が第2電流値以下に減少され、更に、インバータ駆動部10のスイッチング制御で、モータ4が定常回転速度に第2減速レート(50%)を乗算した第2回転速度に減速される。
第3昇圧・減速領域D3では、コンバータ回路1Aの出力電圧DCVが、定常領域Dsでの直流電圧に対し、第2昇圧値よりも高い電圧値である第3昇圧値(例えば115%)まで昇圧される。また、弱め界磁電流が第2電流値よりも予め定められた量小さい第3電流値以下に減少するように第3弱め界磁制御が行われる。更に、モータ4の定常回転速度に第2減速レートよりも所定速度減速するための第3減速レート(例えば30%)を乗算して得られる第3回転速度にモータ4が減速される。
つまり、昇圧・減速判定部8は、電流温度交点が、第3昇圧・減速領域D3にあると判定した場合、出力電圧DCVを第3昇圧値に昇圧するための第3昇圧指令ui3を出力する。この第3昇圧指令ui3に応じて、インバータ駆動部10は、モータ4の弱め界磁電流を第3電流値以下に減少させる第3弱め界磁制御を行う。
更に、第3昇圧指令ui2に応じて、加減速指令部9は、モータ4を第3回転速度で減速するための第3減速指令si3を出力する。これら出力に応じた、コンバータ制御部2Aの制御で出力電圧DCVが第3昇圧値(115%)まで昇圧され、また、インバータ駆動部10による第3弱め界磁制御により弱め界磁電流が第3電流値以下に減少され、更に、インバータ駆動部10のスイッチング制御で、モータ4が定常回転速度に第3減速レート(30%)を乗算した第3回転速度に減速される。
以上、過電流閾値情報31、第1〜第3電流制限閾値情報32〜34、第1〜第3昇圧値、第1〜第3減速レートについて一例を示したが、実際には本発明を使用する実際の環境に応じた適正な値を予め検討して設定する。
<実施形態の動作>
次に、実施形態に係るモータ制御装置100Aの動作について、図7に示すフローチャートを参照して説明する。
まず、ステップS1において、図1に示すモータ制御装置100Aの図示せぬ電源スイッチがオンにされると、インバータ回路3Aにおいて、第1〜第6のスイッチング素子11〜16が順次オン/オフされることで疑似正弦波の三相交流電力が生成され、この三相交流電力でモータ4が駆動される。
このモータ4の駆動中、ステップS2において、昇圧・減速判定部8により、架線電流センサ5で検出される回路電流Ioと、フィンサーミスタ6Aで検出されるフィン温度Tfとの電流温度交点が、記憶部8aに記憶された図6に示す過電流閾値情報31及び第1〜第3電流制限閾値情報32〜34に照合される。
この照合により、ステップS3,S4,S8,S10において、その電流温度交点が、図6に示す定常領域Ds、第1〜第3昇圧・減速領域D1〜D3及び停止領域Dpの何れの領域に存在するか否かが判定される。
この判定は、まず、ステップS3において、電流温度交点(図には交点と記載)が定常領域Dsに有るか否かが判定される。この結果、電流温度交点が定常領域Dsに有る(Yes)と判定された場合、モータ4は定常駆動を行っているので、ステップS3の判定処理が継続される。
一方、ステップS3において、電流温度交点が定常領域Dsに無い(No)と判定された場合、ステップS4において、電流温度交点が第1昇圧・減速領域D1に有るか否かが判定される。この結果、第1昇圧・減速領域D1に有ると判定された場合、ステップS5において、コンバータ回路1Aの出力電圧DCVが、定常領域Dsでの直流電圧に対し、第1昇圧値(105%)まで昇圧され、また、弱め界磁電流が第1電流値以下に減少される。更に、モータ4が、定常領域Dsでの回転速度に第1減速レート(70%)を乗算した結果である第1回転速度に減速される。
この昇圧及び弱め界磁電流の減少、並びに減速の制御を詳細に説明する。まず、上記ステップS5のように、図1に示す昇圧・減速判定部8で、電流温度交点が第1昇圧・減速領域D1に有ると判定された場合、この判定に応じた第1昇圧指令ui1が、インバータ駆動部10、コンバータ制御部2A、過電流判定部7a及び加減速指令部9へ出力される。
コンバータ制御部2Aは、第1昇圧指令ui1が入力されると、図2に示すゼロクロス検出部111で検出されたゼロクロス電圧ZVと、直流電圧検出部113で検出された直流出力電圧DCVとに基き、双方向性スイッチ109のトランジスタ109bの動作を制御する。この制御により、商用電源102からの交流電圧のセロクロス点に同期してリアクタ103に流れる電流が制御され、ダイオードブリッジ105から電圧が第1昇圧値(+5%)まで昇圧された直流電圧が生成される。この直流電圧が平滑キャパシタ107で平滑されて、第1昇圧値(+5%)まで昇圧された直流出力電圧DCVとして、コンバータ回路1Aから出力される。
また、図1に示すインバータ駆動部10は、昇圧指令uiが入力されると、モータ4の弱め界磁電流が第1電流値以下に減少するように、各スイッチング素子11〜16のスイッチング動作を第1弱め界磁制御によってスイッチング制御する。これによって、モータ4の弱め界磁電流が第1電流値以下に減少する。
更に、加減速指令部9は、第1昇圧指令ui1が入力されると、第1昇圧指令ui1に応じたモータ4の第1減速指令si1をインバータ駆動部10へ出力する。インバータ駆動部10は、第1減速指令si1に従った駆動制御信号dsを各スイッチング素子11〜16のゲートへ出力する。これにより、モータ4が第1回転速度に減速するように、各スイッチング素子11〜16のスイッチング制御が行われる。
この制御開始後、図7に示すステップS6において、一定時間t1内に、電流温度交点が定常領域Dsに有るか否かが判定される。この結果、定常領域Dsに有ると判定された場合、ステップS7において、図1に示す昇圧・減速判定部8から復帰指令riがコンバータ制御部2A及び加減速指令部9へ出力される。復帰指令riを受けたコンバータ制御部2Aの制御によりコンバータ回路1Aの出力電圧DCVが昇圧前の電圧に戻される。また、復帰指令riを受けたインバータ駆動部10の弱め界磁制御が変更前の弱め界磁電流を生成可能な制御状態に戻される。
更に、復帰指令riが入力された加減速指令部9からは、回転数復帰指令rriがインバータ駆動部10へ出力される。回転数復帰指令rriを受けたインバータ駆動部10により、各スイッチング素子11〜16のスイッチング動作が、モータ4が減速前の回転数に戻るように制御される。これによってモータ4が減速前の回転速度に戻される。この後、上記ステップS3に戻って処理が継続される。
一方、ステップS4において、昇圧・減速判定部8により、電流温度交点が第1昇圧・減速領域D1に無いと判定された場合、ステップS8において、電流温度交点が第2昇圧・減速領域D2に有るか否かが判定される。この結果、第2昇圧・減速領域D2に有ると判定された場合、ステップS9において、コンバータ回路1Aの出力電圧DCVが、定常領域Dsでの直流電圧に対し、第2昇圧値(110%)まで昇圧され、また、第2弱め界磁制御により弱め界磁電流が第2電流値以下に減少され、更に、モータ4が、定常領域Dsでの回転速度に第2減速レート(50%)を乗算した結果である第2回転速度に減速される。この昇圧及び弱め界磁の電流低減制御並びに減速の制御は、上記ステップS5の制御と、昇圧値及び減速レートの割合が異なるだけなので、詳細説明を省略する。ステップS9の制御開始後、ステップS6及びS7において、上記同様の処理が行われ、ステップS4又はS3に戻る。
一方、ステップS8において、昇圧・減速判定部8により、電流温度交点が第2昇圧・減速領域D2に無いと判定された場合、ステップS10において、電流温度交点が第3昇圧・減速領域D3に有るか否かが判定される。この結果、第3昇圧・減速領域D3に有ると判定された場合、ステップS11において、コンバータ回路1Aの出力電圧DCVが、定常領域Dsでの直流電圧に対し、第3昇圧値(115%)まで昇圧され、また、第3弱め界磁制御により弱め界磁電流が第3電流値以下に減少され、更に、モータ4が、定常領域Dsでの回転速度に第3減速レート(30%)を乗算した結果である第3回転速度に減速される。この昇圧及び弱め界磁の電流低減制御並びに減速の制御は、上記ステップS5の制御と、昇圧値及び減速レートの割合が異なるだけなので、詳細説明を省略する。ステップS11の制御開始後、ステップS6及びS7において、上記同様の処理が行われ、ステップS4又はS3に戻る。
一方、ステップS10において、昇圧・減速判定部8により、電流温度交点が第3昇圧・減速領域D3に無いと判定された場合、ステップS12において、昇圧・減速判定部8により、電流温度交点が停止領域Dpに有ると判定される。この時、図1に示す過電流判定部7aにおいても、電流温度交点が停止領域Dpに有ると判定される。
この判定時、ステップS13において、過電流停止指令部7bからインバータ駆動部10へ停止指令piが出力される。この停止指令piを受けたインバータ駆動部10からの駆動制御信号dsによる制御により、第1〜第6のスイッチング素子11〜16のスイッチング動作が停止され、モータ4が停止する。
上記の実施形態では、素子の接合部温度の異常時に、コンバータ回路1Aの出力電圧DCVの昇圧、及び弱め界磁の電流低減制御と、モータ4の減速制御との3つの制御を行う例を挙げたが、昇圧及び弱め界磁の電流低減制御の2つの制御のみを行ってもよい。
<実施形態の効果>
以上説明した実施形態に係るモータ制御装置100Aは、直流電力を出力するコンバータ回路1Aと、コンバータ回路1Aから出力される直流電力を複数のスイッチング素子11〜16(以降符号を外し、単に素子ともいう)のスイッチング動作により交流電力に変換し、この交流電力でモータ4の駆動制御を行うインバータ回路3Aと、スイッチング素子11〜16の温度を検出するフィンサーミスタ6と、インバータ回路3Aに流れる回路電流を検出する架線電流センサ5と、フィンサーミスタ6の検出温度と、架線電流センサ5の検出電流値との双方に係る電流温度検出値(電流温度交点)が、予め定められて設定された電流閾値を超えた場合に、コンバータ回路1Aの出力電圧DCVを予め定められた電圧値まで昇圧し、インバータ回路3Aに対してモータ4の弱め界磁電流が減少するように弱め界磁制御を変更する制御を行う制御手段とを備えて構成されている。
但し、制御手段は、コンバータ制御部2A、過電流停止制御部7、昇圧・減速判定部8、加減速指令部9及びインバータ駆動部10で構成される。
この構成によれば、コンバータ回路1Aの出力電圧DCVを昇圧すると、モータ4への印加電圧(出力電圧DCVに比例)が誘起電圧に対してより高くなるので、モータ回転速度の増加幅が広がる。これにより弱め界磁制御が不要となるので、上記のように弱め界磁電流を減少させることができる。弱め界磁電流が減少すると、弱め界磁電流とトルク電流とで定まるモータ電流が減少するので、スイッチング素子に流れる電流が減少する。この減少により素子の発熱が抑制されるため、素子温度が低下し、結果的にスイッチング素子を熱破壊から保護することができる。
また、電流閾値は、スイッチング素子11〜16の温度が予め定められた温度よりも低い領域では、大きくなり、スイッチング素子11〜16の温度がその低い領域よりも高い領域では、小さくなる、スイッチング素子11〜16の温度変化に応じた可変温度特性を有する。
従って、実際に素子の温度が低い場合は、電流閾値が大きく、この逆に、素子の温度が高い場合は、電流閾値が小さい。このため、実際に素子の温度が低い場合は、また電流閾値が大きいので、素子が熱破壊する危険状態に達した際の昇圧制御及び弱め界磁制御を行うまでには余裕があって何も行わない。一方、実際に素子の温度が高い場合は、電流閾値が小さいので、即時、昇圧制御及び弱め界磁制御を行うことになる。従って、モータ4の駆動領域が広くなるので、モータ4の効率的な駆動を行うことができる。
また、制御手段は、昇圧制御後、電流温度検出値が予め定められた一定時間t内に電流閾値以下に低下した場合、コンバータ回路1Aの出力電圧DCVを昇圧前の電圧に戻すと共に、弱め界磁制御を変更前の制御に戻す制御を行うようにした。
この構成によれば、スイッチング素子11〜16の温度が熱破壊の心配のない定常状態に戻った場合に、モータ4のへの印加電圧を元の電圧に戻すので、再度、素子温度が上昇した際に、減速制御を行って温度を低下させることが可能となる。
また、電流閾値が、検出温度と検出電流値との双方に係る特性領域上(図6参照)において、スイッチング素子11〜16が熱破壊しない温度でモータ4を駆動させることが可能な定常領域Dsよりも高い領域に、各々レベルの異なる複数の電流制限閾値が設定されて成るようにした。制御手段が、電流温度検出値が複数の電流制限閾値(過電流閾値情報31及び第1〜第3電流制限閾値情報32〜34)を超える都度、各電流制限閾値が高くなる程に高くなるように対応付けられた各々レベルの異なる昇圧値(第1〜第3昇圧値)に昇圧すると共に、モータ4の弱め界磁電流を各電流制限閾値が高くなる程に小さくなるように対応付けられた各々大きさの異なる電流値(第1〜第3電流値)以下に減少するように弱め界磁制御を変更する制御を行うようにした。
この構成によれば、各スイッチング素子11〜16の温度が所定値高くなる毎に、それら温度を当該温度に応じて下げるための昇圧制御及び弱め界磁制御を行うので、モータ4のより効率的な駆動制御を行うことができる。
また、制御手段が、昇圧制御後、電流温度検出値が予め定められた一定時間t内に定常領域Dsに戻った場合、コンバータ回路1Aの出力電圧DCVを昇圧前の電圧に戻すと共に、弱め界磁制御を変更前の制御に戻す制御を行うようにした。
この構成によれば、昇圧等の制御後、一定時間内に、各スイッチング素子11〜16の温度が定常状態に戻れば、出力電圧DCVを昇圧前の電圧に戻すと共に、弱め界磁制御を変更前の制御に戻すので、モータ4を停止させることなく、スイッチング素子11〜16の温度を熱破壊の無い温度に保持することができる。
また、制御手段は、電流温度検出値が電流閾値を超えた場合に、インバータ回路3Aのモータ4の駆動制御をモータ4が減速するように行うようにした。
この構成によれば、モータ4の減速によりトルク電流が減少してモータ電流が減少するので、スイッチング素子に流れる電流を減少させて素子の発熱を抑制し、熱破壊から保護することができる。
また、制御手段は、電流温度検出値が複数の電流制限閾値(第1〜第3電流制限閾値情報32〜34)を超える都度、モータ4の回転数を、各電流制限閾値が高くなる程に低回転となるように対応付けられた各々回転数の異なる減速値(第1〜第3回転速度)に、減速する制御を行うようにした。
この構成によれば、各スイッチング素子11〜16の温度が所定値高くなる毎に、それら温度を当該温度に応じて下げるためのモータ4の減速制御を行うので、モータ4のより効率的な駆動制御を行うことができる。
また、制御手段が、減速の制御後、電流温度検出値が予め定められた一定時間t内に電流閾値以下に低下した場合、モータ4の減速を減速前の回転数に戻す制御を行うようにした。
この構成によれば、スイッチング素子11〜16の温度が熱破壊の心配のない定常状態に戻った場合に、モータ4を減速前の回転速度に戻すので、再度、素子温度が上昇した際に、減速制御を行って温度を低下させることが可能となる。
また、制御手段が、昇圧又は減速の制御後、電流温度検出値が予め定められた一定時間t内に電流閾値以下に下がらなかった場合、モータ4の駆動制御を停止する制御を行うようにした。
この構成によれば、昇圧や減速の制御を行っても、一定時間t後に素子温度が所定温度に低下しない場合、熱破壊の恐れがあるので、モータ4の駆動制御を停止する。これによりモータ4が停止するので素子が熱破壊することが無くなる。
また、制御手段が、昇圧又は減速の制御後、電流温度検出値が予め定められた一定時間t内に定常領域Dsに戻らなかった場合、モータ4の駆動制御を停止する制御を行うようにした。
この構成によれば、昇圧や減速の制御を行っても、一定時間t後に素子温度が素子破壊の恐れが無い定常領域Dsに下がらない場合、熱破壊の恐れがあるので、モータ4の駆動制御を停止する。これによりモータ4が停止するので素子が熱破壊することが無くなる。
また、電流閾値よりも高いレベルにモータ4の停止を指示する停止領域Dpを設定し、制御手段が、電流温度検出値が停止領域Dpに到達した際に、モータ4の駆動制御を停止する制御を行うようにした。
この構成によれば、素子温度が熱破壊の恐れがある停止領域Dpに到達した場合は、モータ4の駆動制御を停止するようにしたので、素子の熱破壊を防止することができる。
<実施形態の変形例1>
図8は、本発明の実施形態の変形例1に係るモータ制御装置100Bの構成を示す回路図である。このモータ制御装置100Bが、図1に示したモータ制御装置100Aと異なる点は、フィンサーミスタ6Aに代え、図8に示すように、外気温サーミスタ6Bを用いたことにある。外気温サーミスタ6Bは、インバータ回路3Aの周囲温度Tcを検出して、過電流判定部7a及び昇圧・減速判定部8へ出力する。
従って、昇圧・減速判定部8は、前述したフィン温度Tfに代え、周囲温度Tcを用いて各スイッチング素子11〜16が各危険レベル又は熱破壊危険状態にあるか否かを判定し、コンバータ回路1Aの出力電圧DCVを昇圧及び弱め界磁制御の変更、並びにモータ4を減速するか否かを決定する。
即ち、昇圧・減速判定部8は、図6に示すように、架線電流センサ5で検出されるインバータ回路3Aに流れる回路電流Ioと、外気温サーミスタ6Bで検出される周囲温度Tcとの電流温度交点を、記憶部8aに記憶された過電流閾値情報31及び第1〜第3電流制限閾値情報32〜34に照合する。次に、その照合により、電流温度交点が、図6に示す定常領域Ds、第1〜第3昇圧・減速領域D1〜D3及び停止領域Dpの何れの領域に存在するか否かを判定する。更に、その判定に応じた昇圧指令uiを、コンバータ制御部2A、過電流判定部7a、加減速指令部9及びインバータ駆動部10へ出力する。
過電流判定部7aも、フィン温度Tfに代え、周囲温度Tcを用いて各スイッチング素子11〜16の温度が停止領域Dpにあるか否かを判定する。停止領域Dpにあると判定された際に、過電流停止指令部7bから停止指令piがインバータ駆動部10へ出力されることとなる。
このような制御により、前述同様にコンバータ回路1Aの出力電圧DCVの昇圧及び弱め界磁制御の変更とモータ4の減速、並びに昇圧及び弱め界磁制御と減速の復帰動作、更にはモータ停止動作が行われる。
このように外気温サーミスタ6Bを用いても、図1に示したモータ制御装置100Aと同様の効果を得ることができる。
更に、外気温サーミスタ6Bを用いるモータ制御装置100Bを空気調和機に搭載する場合、空気調和機には外気温サーミスタが搭載されている。このため、実際のモータ制御装置100Bには外気温サーミスタ6Bを搭載しなくても、空気調和機の外気温サーミスタをモータ制御装置100Bの外気温サーミスタ6Bとして用いれば、サーミスタの搭載が不要となるので、その分、モータ制御装置100Bの製造コストを削減することができる。
<実施形態の変形例2>
図9は、本発明の実施形態の変形例2に係るモータ制御装置100Cの構成を示す回路図である。このモータ制御装置100Cが、図1に示したモータ制御装置100Aと異なる点は、図9に示すインバータ回路3Bの構成のみである。
即ち、このインバータ回路3Bが、図1に示したインバータ回路3Aと異なる点は、上アームと下アームとの構成要素を反転させたことにある。従って、インバータ回路3Bにおいては、上アームに、MOSFET12,14,16と、寄生ダイオード22,24,26とを用い、下アームに、IGBT11,13,15と、還流ダイオード21,23,25とを用いた。
このような構成のインバータ回路3Bを用いたモータ制御装置100Cにおいても、図1に示した実施形態のモータ制御装置100Aと同様の効果を奏する。
また、モータ制御装置100Cにおいても、上記図8に示した変形例1のモータ制御装置100Bと同様に、フィンサーミスタ6Aに代え、外気温サーミスタ6Bを用いることができ、同様の作用効果を奏することができる。
<実施形態の変形例3>
図10は、本発明の実施形態の変形例3に係るモータ制御装置100Dの構成を示す回路図である。このモータ制御装置100Dが、図1に示したモータ制御装置100Aと異なる点は、図10に示すインバータ回路3Cの構成のみである。
即ち、このインバータ回路3Cが、図1に示したインバータ回路3Aと異なる点は、上アームと下アームとの全てのスイッチング素子にMOSFETを用いたことにある。従って、インバータ回路3Cにおいては、図10に示すように、上アームに、MOSFET12u,14u,16uと、寄生ダイオード22u,24u,26uとを用い、下アームに、MOSFET12,14,16と、寄生ダイオード22,24,26とを用いた。
このようなインバータ回路3Cを用いたモータ制御装置100Dによれば、インバータ回路3Cの全てのスイッチング素子にMOSFETを用いている。MOSFETは定常損失が小さいので、上記実施形態のモータ制御装置100A及び、変形例1,2のモータ制御装置100B,100Cに比べて、より効率の高いモータ4の駆動を行わせることができる。
なお、インバータ回路3Cの全てのスイッチング素子にMOSFET12u,14u,16u,12,14,16を用いているので、素子の温度が上昇し易い。このため、素子の温度上昇には十分な注意が必要である。しかし、実施形態のモータ制御装置100Aで説明したように、過電流閾値情報31及び第1〜第3の電流制限閾値情報32〜34のそれぞれを、フィンサーミスタ6Aの検出温度が低い領域では高く、その低い領域と比べて高い領域では低くなるように、フィンサーミスタ6Aの検出温度の変化に応じた可変温度特性を有して設定してある。このため、インバータ回路3Cの全てのスイッチング素子にMOSFET12u,14u,16u,12,14,16を用いている場合でも、実施形態で説明したと同様に、モータ4の運転領域を拡大しながら、より効率の高いモータ4の駆動を行わせることができる。
また、全てのMOSFET12u,14u,16u,12,14,16は、スーパー・ジャンクション・MOSFET(SJ−MOS)であってもよい。SJ−MOSは定常損失がMOSFETよりも更に小さいので、モータ4を、より一層高効率で駆動させることができる。
更に、全てのMOSFET12u,14u,16u,12,14,16は、シリコン・カーバイド・MOSFET(SiC−MOS)であってもよい。このSiC−MOSの場合、SJ−MOSよりも更にオン抵抗値の温度特性が良い。SJ−MOSの場合、自温度が上がるとオン抵抗値も上がってスイッチング損失が増大するが、SiC−MOSの場合は、自温度が上がってもオン抵抗値が上がらないので、スイッチング損失があまり変動しないというメリットがある。
更には、全てのMOSFET12u,14u,16u,12,14,16の内、上下アームの何れか一方がSJ−MOS、他方がSiC−MOSであっても、上記同様の効果を得ることができる。
この他、全てのMOSFET12u,14u,16u,12,14,16のドレイン・ソース間に寄生ダイオードと並列に、シリコン・カーバイド・ショットキーバリアダイオード(SiC−SBD)を接続してもよい。この場合、サチュレーション電圧が低くなるので、スイッチング損失が小さくなり、低消費電力となるというメリットが得られる。
また、モータ制御装置100Dにおいても、上記図8に示した変形例1のモータ制御装置100Bと同様に、フィンサーミスタ6Aに代え、外気温サーミスタ6Bを用いることができ、同様の作用効果を奏することができる。
<コンバータ回路の他の構成例1>
図11は、本発明の実施形態のモータ制御装置100A及び変形例1〜3のモータ制御装置100B〜100Dに用いられる他の構成例1によるコンバータ回路1Bの構成を示す回路図である。
図11に示すコンバータ回路1Bは、図2に示したコンバータ回路1Aの代わりに、図1,図8〜図10に示したモータ制御装置100A〜100Dに用いられる。
コンバータ回路1Bが、コンバータ回路1Aと異なる点は、平滑キャパシタ107に代え、図11に示すように、ダイオードブリッジ105の直流電圧出力間に、倍電圧コンデンサ107a,107bを直列に接続し、これら倍電圧コンデンサ107a及び107bの接続点と、ダイオードブリッジ105の出力側アームを構成する2つのダイオードの接続点とを、オン/オフ制御される全波倍電圧切替スイッチ119を介して接続した。更に、全波倍電圧切替スイッチ119のオン/オフ制御用の端子に、コンバータ制御部2Aのオン/オフ制御信号線を接続したことにある。
従って、コンバータ回路1Bが用いられる場合、コンバータ制御部2Aは、全波倍電圧切替スイッチ119を後述のようにオン/オフ制御する機能を備える。このオン/オフ制御により、全波倍電圧の直流出力電圧DCV1を、インバータ回路3A〜3Cの何れかへ供給することが可能となっている。
ここで、コンバータ回路1Bが行う全波倍電圧の出力制御について説明する。ダイオードブリッジ105が交流電圧の正の半サイクルで倍電圧コンデンサ107a,107bを充電しているときは、全波倍電圧切替スイッチ119は、コンバータ制御部2Aの制御によりオフとされている。このオフの時は、出力電圧DCV1が通常の電圧となっている。
一方、ダイオードブリッジ105が交流電圧の負の半サイクルで整流を行うときは、コンバータ制御部2Aが、全波倍電圧切替スイッチ119をオンさせる。このオンの時に、出力電圧DCV1が倍電圧となる。つまり、直列接続された倍電圧コンデンサ107a,107bの両端に全波倍電圧の出力電圧DCV1が発生する。
従って、コンバータ回路1Bによれば、全波倍電圧の出力電圧DCV1を発生して、インバータ回路3A〜3Cの何れかへ供給することができるので、例えばモータ制御装置100A〜100Dを使用する機器が100V機種であっても、200V機種として使用可能となる。
<コンバータ回路の他の構成例2>
図12は、本発明の実施形態のモータ制御装置100A及び変形例1〜3のモータ制御装置100B〜100Dに用いられる他の構成例2によるコンバータ回路1Cの構成を示す回路図である。
即ち、図12に示すコンバータ回路1Cは、図2に示したコンバータ回路1Aの代わりに、図1,図8〜図10に示したモータ制御装置100A〜100Dに用いられる。
コンバータ回路1Cは、商用電源102の交流電圧を直流電圧に整流するダイオードブリッジ203と、ダイオードブリッジ203の正極側出力端子に直列接続されたリアクタ205と、リアクタ205の出力端子とダイオードブリッジ203の負極側出力側端子との間に順方向に接続されたトランジスタ207と、リアクタ205の出力側端子に順方向に接続された逆流防止ダイオード209と、ダイオードブリッジ203で整流された直流電圧に含まれる脈動成分を平滑する平滑キャパシタ107とを備える。更に、コンバータ回路1Cの直流出力電圧DCVを検出する直流電圧検出部113と、直流出力電流DCVを検出する直流電流検出部215とを備えて構成されている。
コンバータ制御部2Aは、直流電圧検出部113からフィードバックした直流出力電圧DCVと、直流電流検出部215からフィードバックした直流出力電流DCIとに基づいて、トランジスタ207をオン/オフ制御する。この制御によって、ダイオードブリッジ203の出力側のリアクタ205に流れる直流電流の大きさを制御することができる。
このリアクタ205の直流電流制御により、コンバータ回路1Cは、ダイオードブリッジ203から出力される直流電圧を一定レベルに制御することができる。従って、コンバータ回路1Cは、電圧が制御されて平滑キャパシタ107で平滑された直流出力電圧DCVを、インバータ回路3A〜3Cの何れかへ供給することが可能となる。
従って、コンバータ回路1Cによれば、トランジスタ207のオン/オフ制御によって、ダイオードブリッジ203の出力側のリアクタ205に流れる直流電流の大きさを制御することができるので、力率を上げるといった力率改善を行うことができる。
<実施形態及び変形例1〜3の適用例>
本実施形態及び変形例1〜3に係るモータ制御装置100A〜100Dの何れかを、図示せぬ空気調和機に搭載し、更にそれらモータ制御装置100A〜100Dの何れかを、空気調和機の室外ファンモータ(図示せず)の駆動制御用途に適用することができる。これによって、高効率で高い省エネ性能を有する空気調和機を実現することができる。
空気調和機は、上述した低入力領域(中間・定格領域)での効率を向上させることで、省エネ性能を表す指数であるAPF(Annual Performance Factor)を大きく向上させることができる。
モータ制御装置100A〜100Dでは、スイッチング素子として、低入力領域でIGBTと比べて損失の小さいMOSFETを用いる構成を採用している。このため、モータ制御装置100A〜100Dを適用することにより、高効率で高い省エネ性能を有する空気調和機を実現することができる。
この他、モータ制御装置100A〜100Dの何れかを、空気調和機の圧縮機(図示せず)の駆動制御用途に適用しても、高効率で高い省エネ性能を有する空気調和機を実現することができる。
また、上述の空気調和機は、既に説明したように回路電流Ioとフィン温度Tf又は周囲温度Tcとが、各電流制限閾値情報32〜34を超えていた場合に、空気調和機に搭載されている図示せぬ室外ファンの回転速度を上げることで、本実施形態のモータ制御装置100A〜100Dの各スイッチング素子11〜16,12u,14u,16uの冷却効果を高めることができ、スイッチング素子11〜16,12u,14u,16uの熱破壊を防止する効果を更に高めることができる。
更には、モータ制御装置100A〜100Dにおいて、負の直流母線NLに近接させて設けた架線電流センサ5を、インバータ回路3A〜3Cの出力ラインに設けて回路電流を検出し、また、インバータ回路3A〜3Cの第1〜第3の下アームと接地端子との間にシャント抵抗器(図示せず)を介挿し、電流検出を行ってもよい。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、上記の各構成、機能、処理部(制御部)、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウエアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又は、IC(Integrated Circuit)カード、SD(Secure Digital memory)カード、DVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体に置くことができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
1A,1B,1C コンバータ回路
2A コンバータ制御部
3A,3B,3B 三相インバータ回路(インバータ回路)
4 三相同期モータ(モータ)
5 架線電流センサ
6A フィンサーミスタ
6B 外気温サーミスタ
7 過電流停止制御部
7a 過電流判定部
7b 過電流停止指令部
8 昇圧・減速判定部
8a 記憶部
9 加減速指令部
10 インバータ駆動部
11,13,15 IGBT(スイッチング素子)
12,14,16,12u,14u,16u MOSFET(スイッチング素子)
21〜26 寄生ダイオード
100A,100B,100C,100D モータ制御装置
102 商用電源
103,205 リアクタ
105 ダイオードブリッジ
107,107a,107b 平滑キャパシタ
107a,107b 倍電圧コンデンサ
109 双方向性スイッチ
111 ゼロクロス検出部
113 直流電圧検出部
119 全波倍電圧切替スイッチ
207 トランジスタ
209 逆流防止ダイオード
215 直流電流検出部
Io 回路電流
PL 正の直流母線
NL 負の直流母線
ds 駆動制御信号
Tf フィン温度
Tc 周囲温度
pi 停止指令
ui 昇圧指令
ri 復帰指令
rri 回転数復帰指令
ZV ゼロクロス電圧
DCV,DCV1 直流出力電圧

Claims (15)

  1. 直流電力を出力するコンバータ回路と、
    前記コンバータ回路から出力される直流電力を複数のスイッチング素子のスイッチング動作により交流電力に変換し、この交流電力でモータの駆動制御を行うインバータ回路と、
    前記スイッチング素子の温度を検出する温度検出手段と、
    前記インバータ回路に流れる電流を検出する電流検出手段と、
    前記温度検出手段の検出温度と、前記電流検出手段の検出電流値との双方に係る電流温度検出値が、予め設定された電流閾値を超えた場合に、前記コンバータ回路の出力電圧を予め定められた電圧値まで昇圧し、前記インバータ回路に対して前記モータの弱め界磁電流が減少するように弱め界磁制御を変更する制御を行う制御手段と
    を備えることを特徴とするモータ制御装置。
  2. 請求項1に記載のモータ制御装置であって、
    前記電流閾値は、前記スイッチング素子の温度が予め定められた温度よりも低い領域では、大きくなり、当該スイッチング素子の温度がその低い領域よりも高い領域では、小さくなる、当該スイッチング素子の温度変化に応じた可変温度特性を有する
    ことを特徴とするモータ制御装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のモータ制御装置であって、
    前記制御手段は、前記昇圧の制御後、前記電流温度検出値が予め定められた一定時間内に前記電流閾値以下に低下した場合、前記コンバータ回路の出力電圧を昇圧前の電圧に戻すと共に、前記弱め界磁制御を変更前の制御に戻す制御を行う
    ことを特徴とするモータ制御装置。
  4. 請求項2に記載のモータ制御装置であって、
    前記電流閾値は、前記検出温度と前記検出電流値との双方に係る特性領域上において、前記スイッチング素子が熱破壊しない温度で前記モータを駆動させることが可能な定常領域よりも高い領域に、各々レベルの異なる複数の電流制限閾値が設定されて成り、
    前記制御手段は、前記電流温度検出値が前記複数の電流制限閾値を超える都度、各電流制限閾値が高くなる程に高くなるように対応付けられた各々レベルの異なる昇圧値に昇圧すると共に、前記モータの弱め界磁電流を各電流制限閾値が高くなる程に小さくなるように対応付けられた各々大きさの異なる電流値以下に減少するように弱め界磁制御を変更する制御を行う
    ことを特徴とするモータ制御装置。
  5. 請求項4に記載のモータ制御装置であって、
    前記制御手段は、前記昇圧の制御後、前記電流温度検出値が予め定められた一定時間内に前記定常領域に戻った場合、前記コンバータ回路の出力電圧を昇圧前の電圧に戻すと共に、前記弱め界磁制御を変更前の制御に戻す制御を行う
    ことを特徴とするモータ制御装置。
  6. 請求項1又は請求項4に記載のモータ制御装置であって、
    前記制御手段は、前記電流温度検出値が前記電流閾値を超えた場合に、前記インバータ回路の前記モータの駆動制御を当該モータが減速するように制御する
    ことを特徴とするモータ制御装置。
  7. 請求項4に記載のモータ制御装置であって、
    前記制御手段は、前記電流温度検出値が前記複数の電流制限閾値を超える都度、前記モータの回転数を、各電流制限閾値が高くなる程に低回転となるように対応付けられた各々回転数の異なる減速値に、減速する制御を行う
    ことを特徴とするモータ制御装置。
  8. 請求項6又は請求項7に記載のモータ制御装置であって、
    前記制御手段は、前記減速の制御後、前記電流温度検出値が予め定められた一定時間内に前記電流閾値以下に低下した場合、前記モータの減速を減速前の回転数に戻す制御を行う
    ことを特徴とするモータ制御装置。
  9. 請求項1,2,4,7のいずれか1項に記載のモータ制御装置であって、
    前記制御手段は、前記昇圧又は前記減速の制御後、前記電流温度検出値が予め定められた所定時間内に前記電流閾値以下に下がらなかった場合、前記モータの駆動制御を停止する制御を行う
    ことを特徴とするモータ制御装置。
  10. 請求項4,7に記載のモータ制御装置であって、
    前記制御手段は、前記昇圧又は前記減速の制御後、前記電流温度検出値が予め定められた所定時間内に前記定常領域に戻らなかった場合、前記モータの駆動制御を停止する制御を行う
    ことを特徴とするモータ制御装置。
  11. 請求項1,2,4,7のいずれか1項に記載のモータ制御装置であって、
    前記電流閾値よりも高いレベルに前記モータの停止を指示する停止領域を設定し、
    前記制御手段は、前記電流温度検出値が前記停止領域に到達した際に、前記モータの駆動制御を停止する制御を行う
    ことを特徴とするモータ制御装置。
  12. 請求項1,2,4,7のいずれか1項に記載のモータ制御装置であって、
    前記温度検出手段は、前記スイッチング素子の放熱フィンの温度を検出するフィンサーミスタ、及び前記インバータ回路の周囲温度を検出する外気温サーミスタの何れか一方である
    ことを特徴とするモータ制御装置。
  13. 請求項12に記載のモータ制御装置であって、
    前記インバータ回路は、
    前記コンバータ回路の出力電圧が供給される正負の母線間の上アーム及び下アームに接続され、上下で1対を成すスイッチング素子を3対有し、この3対のスイッチング素子間が前記モータの動力線に接続され、全ての対となるスイッチング素子が互いに異なる特性を有する
    ことを特徴とするモータ制御装置。
  14. 請求項13に記載のモータ制御装置であって、
    前記対となるスイッチング素子の何れか一方がIGBTであり、他方がMOSFETである
    ことを特徴とするモータ制御装置。
  15. 請求項1〜14のいずれか1項に記載のモータ制御装置を搭載する
    ことを特徴とする空気調和機。
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