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JP2014120744A - 薄膜太陽電池およびその製造方法 - Google Patents

薄膜太陽電池およびその製造方法 Download PDF

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JP2014120744A JP2012277449A JP2012277449A JP2014120744A JP 2014120744 A JP2014120744 A JP 2014120744A JP 2012277449 A JP2012277449 A JP 2012277449A JP 2012277449 A JP2012277449 A JP 2012277449A JP 2014120744 A JP2014120744 A JP 2014120744A
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Abstract

【課題】所定の透明基体と、絶縁性凹凸層の間に所定の下地層を形成することにより、反射防止効果および光閉じ込め効果に優れた薄膜太陽電池を、より低コストで提供する。
【解決手段】光入射側から、透明基板10、透明電極層、少なくとも1つの光電変換ユニット、および裏面電極層をこの順に有する。透明基板10は、光入射側から、アルカリ成分を含む透明基体1、微粒子21およびバインダ22を有する透明下地層2、ならびにカチオン重合性の光硬化性材料により形成される絶縁性凹凸層3をこの順に有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、高い光取り込み効率を有する薄膜太陽電池およびその製造方法に関する。
薄膜太陽電池は、透明基板上に、透明電極層、半導体シリコン等からなる光電変換ユニットおよび裏面電極層を有するものであり、近年、光電変換効率の向上と低コスト化が精力的に検討されている。透明基板に使用される透明基体として、一般的にガラス基体が好ましく用いられており、中でもより低コストであるソーダライムガラス等のようにNaやKなどのアルカリ成分を含むアルカリガラスの使用が検討されている。
一方、薄膜太陽電池の光電変換効率を向上させるための一つの方策として、「光閉じ込め効率の向上」が挙げられる。光閉じ込めは、透明電極層内や光電変換層内での光拡散や、各層の界面における光の屈折によって、透明基板側からの入射光の光路長が延長され、光電変換ユニットを通る光の進行距離が膜厚方向よりも長くなることを利用したものである。入射光の光路長が大きくなることで、光電変換ユニットを構成する光電変換層の「見かけ上の膜厚」が増加するため、光吸収が増大し、結果として短絡電流を大きくすることができる。
光閉じ込めの手段の一つとして、光電変換ユニットの光入射側に凹凸形状を形成する方法が知られている。例えば、特許文献1には、透明電極層を構成する透明導電性酸化物膜を2層構成として、いわゆる「ダブルテクスチャ構造」を形成することにより、光閉じ込め効果を高める旨が記載されている。しかしながら、特許文献1のように、平滑な基体上に透明導電性酸化物層が直接形成される場合は、透明導電性酸化物の結晶構造によって凹凸形状が左右されるため、設計の自由度に欠けるといった問題がある。
特許文献2では、粒径100nm以上の微粒子を含有する凹凸層上に、スパッタ法により透明電極層が形成される。特許文献3では、粒径が50nm〜200nmの微粒子を含有する凹凸層上に、熱CVD法により透明電極層が形成される。特許文献2および特許文献3では、透明電極層を構成する導電性酸化物の材料や製膜方法により、結晶の成長方向が支配され、透明電極層の表面に所定の凹凸形状が形成される。そのため、表面凹凸形状を光閉じ込めに最適な凹凸形状とすることについては、改善の余地がある。
凹凸形状を形成する他の方法として、特許文献4では、ナノインプリントにより基体上に直接凹凸層を形成することが提案されている。母型等を適宜調整することにより所望の凹凸層が得られる観点から、ナノインプリントにより基体上に凹凸層を形成する方法が好ましく用いられている。しかしながら、特許文献4では、基板による反射抑制が十分とはいえず、改善の余地がある。また特許文献4のように、ガラス板などの平滑な基体上に、ナノインプリントによる凹凸層が形成される場合、基体と凹凸層との間の密着性が十分ではなく、膜剥がれ等を生じる場合がある。
また一般的にナノインプリント材料等の凹凸層の材料として、光や熱により硬化するものが用いられており、生産性の観点からラジカル重合性やカチオン重合性の材料などの光硬化性材料が好ましく用いられている。しかしながら、ラジカル重合性の材料を用いる場合、酸素雰囲気下では重合が進行しにくく、窒素雰囲気下もしくは真空中で重合させる必要がある。従って、生産コストの観点からは改善の余地がある。一方、カチオン重合性の材料を用いる場合、大気中でも重合が進行するため、生産コスト低減の観点から好ましい。
特開平3−125481号公報 特開2003−243676号公報 特開2005−311292号公報 WO2009/157447号国際公開パンフレット 特開2010−278370号公報 特表2009−509350号公報
本発明は、上記に鑑み、薄膜太陽電池の光入射側に配置される透明基板において、光閉じ込めに適した表面凹凸形状を所定の構成にて形成することにより、従来よりも、さらに反射防止効果および光閉じ込め効果に優れた薄膜太陽電池を提供することを目的とする。
さらに本発明者らの検討より、アルカリ成分を含む基体上に、ナノインプリント法によりカチオン重合性の凹凸層を形成した結果、硬化が進行せず、所望の凹凸構造が形成できないといった問題が生じた。特許文献5、6には、ガラス基体に含まれるアルカリ成分のバリア層として、ガラス基体上に酸化珪素層などのバリア層を形成する旨が記載されている。しかしながら、特許文献5,6では、アルカリ成分による、カチオン重合性材料の硬化阻害等の検討が十分になされていない。また上記バリア層は平滑であると考えられ、平滑なアルカリガラス基体とナノインプリント層の間に形成した場合、基体と凹凸層との間の密着性が十分ではなく、膜剥がれ等を生じる場合がある。
本発明は、所定の透明基体と、絶縁性凹凸層の間に所定の下地層を形成することにより、反射防止効果および光閉じ込め効果に優れた薄膜太陽電池を、より低コストで提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明者らが検討の結果、アルカリ成分を含む透明基体上に微粒子からなる透明下地層を形成することにより、上記課題が解決されることを見出した。
すなわち本発明は以下に関する。
光入射側から、透明基板;透明電極層;少なくとも1つの光電変換ユニット;および裏面電極層、をこの順に有する薄膜太陽電池であって、前記透明基板は、光入射側から、アルカリ成分を含む透明基体;微粒子およびバインダを有する透明下地層;ならびに絶縁性凹凸層、をこの順に有し、前記絶縁性凹凸層は、カチオン重合性の光硬化性材料により形成され、かつ前記透明電極層側の表面に凹凸パターンを有する薄膜太陽電池。
前記アルカリ成分が、NaまたはKを有することが好ましい。
前記絶縁性凹凸層が、シリコーン樹脂を主成分とすることが好ましい。
前記透明下地層の絶縁性凹凸層側表面の算術平均粗さRaが、5nm〜65nmであることが好ましい。
前記絶縁性凹凸層は、カチオン重合性の光硬化性材料を含有する塗布液を塗布して塗布層を形成する工程;前記塗布層を予備乾燥する工程;予備乾燥後の前記塗布層に、凹凸パターンを有する母型を押圧する工程;前記塗布層の光硬化性材料を硬化する工程;および前記母型を硬化後の前記塗布層から離型する工程、により前記薄膜太陽電池を製造することが好ましい。
本発明によれば、透明基板が透明下地層および絶縁性凹凸層を有することで、透明基板による光反射が抑制されるとともに、光散乱により入射光の光路長が増大されるために、高い光閉じ込め効果が発揮される。そのため、本発明の薄膜太陽電池は、光電変換ユニットに多くの光を取り込むことが可能となり、結果として太陽電池特性を向上させることができる。さらに、前記透明下地層を形成することにより、アルカリ成分を有する透明基体とカチオン重合性の光硬化性材料を使用した場合に生じうる硬化阻害を防止できるため、高効率の薄膜太陽電池をより低コストで作製することができる。
一実施形態に係る透明基板の模式的断面図である。 一実施形態に係る透明基板の模式的断面図である。 一実施形態に係る薄膜太陽電池の模式的断面図である。 実施例1における透明下地層表面の原子間力顕微鏡(AFM)による観察写真である。 実施例1における絶縁性凹凸層表面の原子間力顕微鏡(AFM)による観察写真である。
本発明は、絶縁性凹凸層を有する透明基板上に、透明電極層、少なくとも1つの光電変換ユニット、および裏面電極層をこの順に有する薄膜太陽電池に関する。以下に本発明に係る薄膜太陽電池の代表的な態様を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図1および図2は、それぞれ、一実施形態に係る凹凸パターン付き透明基板を模式的に表す断面図である。図1の透明基板10は、透明基体1の一方の面に、微粒子21およびバインダ22を有する透明下地層2を有し、その上に絶縁性凹凸層3を有する。図1において、絶縁性凹凸層3の表面には、非周期的な凹凸構造が形成されている。透明基体1の他方の面(光入射側の面)には、微粒子91およびバインダ92を有する反射防止層が形成されている。図2の透明基板も図1の透明基板と同様の積層構成を有するが、絶縁性凹凸層3の表面に周期的な凹凸構造が形成されている点で、図1の透明基板とは異なっている。
図3は、一実施形態に係る薄膜太陽電池100を模式的に表す断面図である。薄膜太陽電池100は、透明基板10の絶縁性凹凸層3上に、透明電極層4、光電変換ユニット5,6、および裏面電極層7がこの順に形成されたものである。以下、透明基板10上に透明電極層4が形成されたものを「透明電極付き基板」という場合がある。
(透明基体)
透明基体1は、アルカリ成分を含む。透明基体1は、光電変換ユニット5,6へより多くの太陽光を吸収させるために、できる限り透明であることが好ましい。透明基体1としては、ガラス基体や樹脂基体を用いることができる。より高透過率で、より低コストである観点から、ガラス基体を用いることが好ましく、中でも、アルカリ成分を有するソーダライムガラスなどのアルカリガラスを用いることがより好ましい。アルカリ成分としては、K、Naなどが挙げられる。透明基体1としては、膜厚が0.7mm〜5.0mmのものを好ましく用いることができる。透明基体は、屈折率が1.45〜1.55程度のものを好ましく用いることができる。
(透明下地層)
本発明の薄膜太陽電池は、透明基体1と絶縁性凹凸層3との間に、微粒子21およびバインダ22を有する透明下地層2を備える。微粒子21の屈折率は、透明基体1の屈折率との差が、0.1以下であることが好ましく、0.05以下であることがより好ましい。具体的には、微粒子21の屈折率は、1.4〜2.5が好ましく、1.4〜1.7がより好ましく、1.45〜1.55がさらに好ましい。
微粒子21の材料としては、例えば、シリカ(SiO)、酸化チタン(TiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化インジウムスズ(ITO)、フッ化マグネシウム(MgF)等が好ましく用いられる。透明基体1としてアルカリガラスが用いられる場合、材料の透明度やガラス基体中のアルカリ成分に対するバリアの観点から、微粒子21の材料としてはシリカが特に好ましい。
本発明において、微粒子21の平均粒径は、10nm〜350nmであることが好ましい。この範囲の平均粒径を有する微粒子を用いることにより、入射した太陽光の光路長を増加させ、薄膜太陽電池を形成する光電変換ユニットでの光の吸収量を増大させる効果(光閉じ込め効果)が期待できる。
微粒子21とバインダ22との界面での光反射を低減させる観点から、微粒子21の平均粒径は30nm以上より好ましく、50nm以上がさらに好ましい。また、入射光のうち、特に短波長光を効果的に散乱させて光路長を増大させる観点から、微粒子21の平均粒径は、200nm以下がより好ましく、150nm以下がさらに好ましく、100nm以下が特に好ましい。また、微粒子21の平均粒径を前記範囲とすることで、下地層2上に絶縁性凹凸層を形成するための溶液(硬化性材料)を塗布する際の塗布性にも優れる。透明下地層2中の微粒子21の粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察により求めることができる。平均粒径は、SEM観察視野内の各微粒子の粒径の算術平均である。
微粒子21の形状は特に限定されないが、できるだけ凹凸を均一に形成するためには、球状であることが好ましい。
バインダ22としては、長期信頼性や半導体層形成条件(特に製膜温度)における耐久性を考慮すると、無機材料が好ましい。具体的には、シリコン酸化物、アルミニウム酸化物、チタン酸化物、ジルコニウム酸化物およびタンタル酸化物等を挙げることができる。バインダ22の屈折率は、透明基体1および微粒子21の屈折率との差が小さいことが好ましい。屈折率差は、0.1以下が好ましく、0.05以下がより好ましい。具体的には、バインダ22の屈折率は、1.45〜1.55であることが好ましい。透明下地層2におけるバインダ22の屈折率を前記範囲とすることにより、透明基体1と透明下地層2との界面における入射光の反射や、微粒子21表面での光の反射が抑制され、光電変換ユニット5,6へ到達する光の量を増大させることができる。特に、透明基体1としてガラス基体が用いられ、微粒子21としてシリカ微粒子が用いられる場合、バインダ22としては、透明基体1および微粒子21と同様にSiを主成分とする材料、中でもシリコン酸化物が好適に用いられる。シリコン酸化物は、透明性やガラスとの付着力に優れ、かつ屈折率がガラスやシリカ微粒子に近いため、本発明の透明下地層2を形成する材料として適している。
本発明における透明下地層2は、屈折率が1.45〜1.55であることが好ましい。上述した微粒子21およびバインダ22を用いることにより、屈折率を上記範囲にすることができる。この場合、透明下地層2の屈折率が透明基体1の屈折率と近い値となり、界面での反射防止効果が期待できる。
透明下地層2は、絶縁性凹凸層3側表面の算術平均粗さRaが、5nm〜65nmであることが好ましい。透明下地層表面の面積を増大させ、絶縁性凹凸層3との密着力を向上させる観点から、透明下地層2表面の算術平均粗さRaは、10nm以上がより好ましく、15nm以上がさらに好ましい。また、透明下地層2上に絶縁性凹凸層3を形成する際の溶液の塗布性を良好とする観点から、透明下地層2表面の算術平均粗さRaは、55nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましく、30nm以下がさらに好ましく、25nm以下が特に好ましい。Raはより好ましくは20nm以下、さらにより好ましくは、18nm以下である。
透明下地層表面の算術平均粗さRaは、透明下地層2中の微粒子21の粒径や含有量を変えることによって調整することができる。例えば、微粒子の粒径を大きくすると、Raも大きくなる傾向がある。被覆率が80%程度よりも大きい場合は、微粒子の含有量を増大させると、微粒子による凸部同士が隣接して個々の凸部の高低差が小さくなるために、Raが小さくなる傾向がある。
透明下地層2の厚みは、50nm〜200nmが好ましく、70nm〜150nmがより好ましく、80〜120nmがさらに好ましく、90nm〜100nmが特に好ましい。透明下地層2の厚みが上記範囲であれば、多重反射の干渉が適宜に調整されるため、より高い反射低減効果が得られ、光閉じ込め効果が向上する。
透明下地層2を透明基体1の表面に形成する方法は特に限定されないが、バインダ材料と微粒子とを含有する塗布液(以下、単に「微粒子含有塗布液」という場合がある)を、透明基体1上に塗布する方法が望ましい。微粒子含有塗布液は、バインダ材料および微粒子を溶媒に溶解・分散させることにより作製することができる。溶媒としては、バインダの溶解性および微粒子の分散性に優れるものが好適に用いられる。微粒子21としてシリカ微粒子が用いられる場合、溶媒としては、水、アルコールおよび塩酸を混合したものが好ましい。
透明基体1の表面に上記塗布液を塗布する方法としては、ディッピング法、スピンコート法、バーコート法、スプレー法、ダイコート法、ロールコート法、フローコート法等が挙げられる。後述するように、透明基体1の光入射側に、微粒子91およびバインダ92を有する反射防止層9を形成する場合、ディッピング法による塗布が好ましい。ディッピング法によれば、透明下地層2と反射防止層9とが同時に形成され得る。
ディッピング法により微粒子含有塗布液が塗布される場合、ディッピング後、直ちに加熱乾燥が行われることが好ましい。加熱乾燥の方法としては、例えば、乾燥の初期は無風状態で加熱して、溶媒をある程度飛散させた後、300℃程度まで昇温して透明下地層2を固化させることが好ましい。
透明下地層2は、微粒子21による面積被覆率が80%以上であること好ましく、90%以上であることがより好ましい。微粒子による面積被覆率が80%以上の透明下地層2は、例えば図4に示すように微粒子が緻密に並んでいるため、透明下地層表面の凹凸パターンの均一性が良く、凹凸の高さもほぼ揃っている。面積被覆率は、微粒子含有塗布液中の微粒子の含有量を変えることにより調整できる。また、透明基体1を洗浄して表面状態を調整し、洗浄後の表面上に塗布液を塗布することによっても面積被覆率を調整し得る(例えば、WO2009/142156号国際公開パンフレット参照)。
「面積被覆率」とは、基体平面に垂直な方向から見た時に、微粒子が配置されている面積の割合(占有率)である。面積被覆率は、AFM測定から得られた透明下地層の平面像を解析することにより測定できる。
上記のように、透明基体1上に透明下地層2が形成されることで、入射光が散乱されて、反射防止効果および短波長光の光路長増大効果が得られるとともに、その上に形成される絶縁性凹凸層3との密着性が向上し、透明下地層2と絶縁性凹凸層3の間に空隙(すなわち空気層)が生じにくくなる。そのため、光電変換層への光取り込み効率を向上させることができる。
さらに、アルカリ成分を含む透明基体1を使用した際に、溶出するアルカリ成分により生じうる絶縁性凹凸層の硬化阻害を防止することができる。上記透明下地層を用いることにより、アルカリガラス等のアルカリ成分を有する透明基体を用いた場合であっても、溶出するアルカリ成分により生じうる絶縁性凹凸層の硬化阻害を防止することができる。すなわち、絶縁性凹凸層の硬化を阻害することなく所望の凹凸を形成することが可能となる。
なお、微粒子による面積被覆率が大きくなると、微粒子間の隙間がなくなるため、下地層上に塗布される溶液の塗布性が低下する傾向がある。本発明においては、微粒子の粒径を所定範囲とすることによって、塗布性の低下が抑制される。また、後に詳述するように絶縁性凹凸層を形成するための溶液(硬化性材料)を希釈して、粘度を低下させる等の方法によっても、塗布性を良好とすることができる。
(反射防止層)
透明基体1の透明下地層2と反対側の面、すなわち光入射面には、反射防止層9が形成されることが好ましい。反射防止層9を有することで、透明基体1の光入射面での反射防止効果も期待できる。すなわち、透明基体1の光入射側に反射防止層9を設けることにより、反射防止層9の光入射側界面で光が散乱される。そのため、空気界面での光反射が抑制され、薄膜太陽電池への光取り込み量をより増大させることができる。
反射防止層9としては、前記透明下地層2と同様に、微粒子91とバインダ92とを有するものが好ましい。反射防止層9中の微粒子91およびバインダ92としては、透明下地層2の微粒子21およびバインダ22として前記したものと同様のものが好適に用いられる。
反射防止層9の形成方法としては、透明下地層2の形成方法として前記したのと同様の方法が好適に採用される。特に、微粒子91とバインダ92とを有する反射防止層9は、ディッピング法により形成されることが好ましい。ディッピング法によれば、透明下地層2と反射防止層9とが同時に形成され得る。
透明下地層2における微粒子21による面積被覆率と、反射防止層9における微粒子91による面積被覆率とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。ディッピング法により透明下地層および反射防止層9が形成される場合、透明基体1の両面の表面状態を変えることによって、透明下地層2の粒子被覆率と反射防止層9の粒子被覆率とが異なる基板を得ることができる。例えば、透明基体1の光入射側の面(反射防止層9形成面)はセリコ洗浄が行われ、反対側の面(透明下地層2形成面)は水による洗浄が行われた透明基体1を微粒子含有塗布液にディッピングすれば、反射防止層9の粒子被覆率を透明下地層2の粒子被覆率よりも大きくすることができる。また、反射防止層9形成面側の洗浄時の押圧が透明下地層2形成面側の洗浄時の押圧よりも大きくなるように、透明基体1の両面をセリコ洗浄することによっても、反射防止層9の粒子被覆率を透明下地層2の粒子被覆率よりも大きくすることができる。
(絶縁性凹凸層)
絶縁性凹凸層3は、透明電極層4側の表面に凹凸パターンを有する。凹凸パターンの形状は、図1に模式的に示すように非周期的なものであってもよく、図2に模式的に示すように周期的なものであってもよい。より広範囲の波長の光を効果的に散乱させて、光閉じ込め効果を高める観点からは、絶縁性凹凸層3表面の凹凸パターンは非周期的パターンであることが好ましい。
絶縁性凹凸層3表面の凹凸の高低差は、300nm〜2000nmであることが好ましく、400nm〜1500nmであることがより好ましく、500nm〜1300nmであることがさらに好ましい。高低差は、500nm〜1000nmであることがさらにより好ましく、500nm〜800nmであることが特に好ましい。また、絶縁性凹凸層3表面の凹凸の最大高さRmaxは、2000nm以下が好ましく、500nm〜1500nmがより好ましく、500nm〜1300nm以下がさらに好ましく、500nm〜1000nmがさらにより好ましく、500nm〜800nmが特に好ましい。絶縁性凹凸層3表面の凹凸の凸部の頂点間の距離は、200nm〜2000nmであることが好ましく、500nm〜800nmがより好ましい。絶縁性凹凸層3が上記の凹凸構造を有することで、絶縁性凹凸層3の透明電極層4側界面における反射防止効果が得られるとともに、入射光のうち、特に波長500nm以上の長波長光を効果的に散乱させて光路長を増大させることができる。
絶縁性凹凸層3表面の凹凸形状は、ピラミッド型もしくは逆ピラミッド型であることが好ましい。その他、凹凸形状としては、ハニカム形状やポーラス状の構造であってもよい。また、凹凸は連続していることが好ましい。ここで「連続」とは、凹凸構造が平坦部を有することなく隣接している状態を意味する。
凹凸の高低差および最大高さは、例えば原子間力顕微鏡(AFM)による絶縁性凹凸層3の表面形状から求めることができる。具体的には、AFMにより表面を5μm×5μmの面積で走査し、走査範囲において隣接する山(凸部の頂点)と谷(凹部の頂点)の高低差の最大値が凹凸の最大高さである。図2に示すように、絶縁性凹凸層3表面に均一で周期的な凹凸構造が形成されている場合、凹凸の高低差と最大高さとは略等しくなる。一方、図1に示すように、絶縁性凹凸層3表面に非周期的な凹凸構造が形成されている場合、走査範囲における20点の平均値を凹凸高低差とする。各点の凹凸高低差は、走査範囲から無作為に凹凸構造の1つ凸部の頂点を抽出し、当該頂点および当該頂点に隣接する他の凸部の頂点を通る直線と、これら2つの頂点間に存在する凹部の頂点との距離から求められる。
絶縁性凹凸層3の屈折率は、1.40〜1.65が好ましく、1.55〜1.60がより好ましい。絶縁性凹凸層3の屈折率を前記範囲とすることにより、透明下地層2と絶縁性凹凸層3との界面、あるいは透明基体1と絶縁性凹凸層3との界面における屈折率差が小さくなり、入射光の反射が抑制されるために、光電変換ユニット5,6へ到達する光の量を増大させることができる。
本発明における絶縁性凹凸層3は、カチオン重合性の光硬化性材料により形成される。「カチオン重合性の光硬化材料」とは、カチオン重合性材料とカチオン系光重合開始剤を含有するものを意味する。光照射によりカチオン系光重合開始剤からカチオン種が生成し、生成したカチオン種によりカチオン重合性材料が硬化することにより形成される。
カチオン重合性材料としては、例えばエポキシ基、オキセタン基、ビニルエーテル基、アルコキシシリル基を含有する化合物、それら化合物を含む組成物、樹脂材料等が挙げられるが、カチオン種によって硬化できる液状の材料であれば、特に限定されるものではない。透明性の観点から、上記カチオン重合性の官能基を有するアクリル樹脂やゾルゲル樹脂を含むシリコーン樹脂など、シリコーン系の材料を主成分としたものが好適に用いられる。この際、カチオン種によりカチオン重合性材料が開環するなどにより硬化が進行する。なお、本発明において「主成分とする」とは、ある成分を50%より多く含むことを意味する。この際、70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上が特に好ましい。
カチオン系光重合開始剤としては、特に限定されないが、たとえば、塩酸等のブレンステッド酸やオニウム塩などのルイス酸などを使用できる。カチオン重合性の光硬化性材料に含まれるカチオン系光重合開始剤の含有量は、本発明の機能を損なわない限り特に制限されないが、重合を促進させる観点から、0.5重量%以上が好ましく、1.0重量%以上がより好ましい。また透過率の低下を抑制できる観点から、5.0重量%以下が好ましく、2.0重量%以下がより好ましい。
ここで、上述のように、太陽電池として光閉じ込め効果を向上させること、また製造コストを低減させることが求められている。ラジカル重合性材料が、酸素による硬化阻害を防止するために、窒素雰囲気下や真空中で硬化を行う必要があるのに対し、本発明においては、カチオン重合性の光硬化性材料を用いることにより、大気中で硬化を行うことが出来るため、生産性の観点から好ましい。また紫外線等の光により硬化するため、熱硬化性のゾルゲル材料等よりも生産性が高くなるため好ましい。
上述のように、製造コスト低減の観点から、アルカリガラス等のアルカリ成分を有する透明基体を使用することが好ましいが、本発明者らの検討によれば、アルカリ成分を有する透明基体上に光閉じ込め効率向上のための絶縁性凹凸層を直接形成する場合、カチオン重合性材料の硬化が進行しないことが明らかとなった。これは、例えばアルカリガラスに含まれるNaCOなどのアルカリ成分が、カチオン系重合開始剤から発生するカチオン種を失活させることにより、カチオン重合性の光硬化性材料の重合の開始が阻害されるためと考えられる。
しかしながら上述のように、微粒子を有する透明下地層を形成することにより、微粒子による表面凹凸により密着性も向上し、反射防止効果や光閉じ込め効果を向上させつつ、さらに絶縁性凹凸層の硬化阻害を抑制できるため、高効率の薄膜太陽電池をより低コストで作製できる。絶縁性凹凸層3は、例えば、リソグラフィとエッチングとの組み合わせにより樹脂層等の表面に凹凸構造を形成する方法、ナノインプリント法により樹脂層表面の凹凸構造を形成する方法等により形成し得る。
低コストで凹凸パターンを形成可能であるとの観点から、絶縁性凹凸層3は、ナノインプリント法により形成されることが好ましい。本発明においては、カチオン重合性の光硬化性材料により絶縁性凹凸層3を形成するため、ナノインプリント法により形成する場合、生産性の観点から、上述のように紫外線硬化性材料が望ましい。
ナノインプリント法では、例えば、下記(A)〜(E)の工程により、絶縁性凹凸層3が形成される。
(A)光硬化性材料を含有する塗布液を、透明基体1上または透明下地層2上に塗布して塗布層を形成する工程
(B)上記塗布層を予備乾燥する工程
(C)予備乾燥後の塗布層に、凹凸構造を有する母型を押圧する工程、
(D)光硬化性材料を硬化する工程
(E)母型を離型する工程
硬化性材料を含有する塗布液としては、カチオン重合開始剤を含む前述の硬化性材料が用いられる。硬化性材料の粘度が低い場合は、そのまま塗布液として用いてもよいが、用途に応じて適宜溶媒で希釈して使用することができる。使用する溶媒としては、硬化性材料、カチオン重合開始剤を溶解し、カチオン重合を阻害しない溶媒であれば特に限定されるものではないが、重合活性種であるカチオンの活性を溶媒和によって向上させることができる極性溶媒が好ましい。
一般には、インプリント材料の製膜性およびインプリント加工性を高める観点から、下地となる基材は平滑であることが好ましい。これに対して、本発明では、基板での反射率を低くして薄膜太陽電池の光閉じ込め効率を高めるために、インプリント材料塗布の下地となる透明下地層2表面には、微粒子による凹凸が形成されている。前述のように、本発明では、透明下地層2に含まれる微粒子21の粒径を小さくすることで、下地層表面の凹凸のサイズを調整して、インプリント材料の製膜性(塗布性)を良好とすることができる。
さらに本発明のようにインプリント材料としてカチオン硬化性の光硬化性材料を用いるため、透明基体上に直接インプリントを行うと、透明基体に含まれるNaやKなどを有するアルカリ成分が重合を阻害するといった問題が生じる。これに対し、本発明においては、前記透明下地層がアルカリバリア層としても働くため、基板での反射率を低くして薄膜太陽電池の光閉じ込め効率を高める効果に加えて、より低コスト化が可能となる。
また、一般のナノインプリントでは、加工形状の再現性が求められるため、インプリント材料は希釈せずに高固形分濃度で用いられる。これに対して、本発明のように光散乱を目的とした凹凸層では、凹凸パターンが前述のような所定の高低差を有していれば、個々の凹凸形状が高い再現性で形成されることは特に必要とされない。そのため、本発明において、特に透明下地層2表面の算術平均粗さRaが10nm以上の場合は、塗布性を高めるために、粘度が前記範囲となるようにインプリント材料を希釈して用いることもできる。特に、透明下地層2表面の算術平均粗さRaが30nm以上の場合は、粘度が前記範囲となるようにインプリント材料が希釈されることが好ましい。
上記硬化性材料の塗布液を塗布する方法としては、例えばディッピング法、スピンコート法、バーコート法、スプレー法、ダイコート法、ロールコート法、フローコート法等が挙げられるが、膜厚を薄く均一に塗布できるという観点からスピンコート方法が好ましい。塗布層の厚みは、所望とする絶縁性凹凸層の膜厚に応じて、適宜に調整される。
塗布液を予備乾燥する方法としては、例えばオーブン、ホットプレートを用いた乾燥方法等が挙げられる。乾燥温度は例えば40〜90℃程度である。
なお、溶液粘度を調整するためにインプリント材料が希釈されている場合、予備乾燥工程では溶媒が十分に除去されない場合がある。予備乾燥での溶媒の除去が不十分であると、光硬化の際や、母型を離型後の焼成の際に残存溶媒が揮発して、絶縁性凹凸層が収縮するために、凹凸形成の再現性が低下する場合がある。ただし、本発明において、特に絶縁性凹凸層3が非周期的凹凸パターンを有する場合は、個々の凹凸形状に高い再現性は必要とされないため、予備乾燥時後の塗布層に溶媒が残存していてもよい。この場合、硬化後の絶縁性凹凸層の凹凸高低差が所望の範囲となるように、母型の形状(特に母型の凹凸高低差)が設計されることが好ましい。
ナノインプリントは、母型を塗布層上に押圧することにより行われる。母型を押圧後、または押圧と同時に、紫外線などの光を照射する事によりインプリント材料の硬化が行われる。
凹凸構造を有する母型としては、例えば、シリコンウェハ、ニッケル電鋳金型、ガラスモールド、石英モールド、透明樹脂モールド等を用いることができる。特に紫外線硬化性材料が用いられる紫外線ナノインプリントにおいては、母型が紫外光を透過する必要があるため、光透過性のガラス、石英、透明樹脂モールドが好適に用いられる。
シリコンウェハを用いた母型の製造方法としては、「西本陽一郎、表面技術、Vol.56、No.1(2005)」に記載されているように、シリコンウェハを水酸化カリウム水溶液等の強塩基を用いてウェットエッチングすることで、凹凸構造を形成する方法が好ましい。このように作製された型は、そのままナノインプリントの母型として使用することができる。また、この型を元にして、電鋳やインプリント等の手法で別の材料に転写したものを母型として使用することもできる。
母型の凹凸形状は、絶縁性凹凸層3が所望の凹凸形状(凹凸サイズ)を有するように、適宜に設計される。母型の凹凸パターンは、所望とする絶縁性凹凸層3の形状に応じて、周期的パターンであってもよく、非周期的パターンであってもよい。
母型は、公知の離型剤を用いて表面処理されていてもよい。母型が離型処理されることで、ナノインプリントの際のバリ不良が低減されるために、凹凸構造を精度よく転写可能であるとともに、母型が複数回使用される際の耐久性も向上する。
絶縁性凹凸層3の厚みは、300〜2000nmが好ましく、400nm〜1500nmがより好ましく、500nm〜1300nmがさらに好ましい。厚みは、500nm〜1000nmがさらにより好ましく、500〜800nmが特に好ましい。この範囲の膜厚とすることで、上記母型の反転パターンを十分に反映したパターン形成が期待できる。ここで、絶縁性凹凸層3の厚みdは、複数箇所の厚みの平均で表される。具体的には、膜厚dは、絶縁性凹凸層の底面から、凹凸の中心線までの距離で定義される。なお、表面凹凸を有する透明下地層2上に絶縁性凹凸層が形成される場合、絶縁性凹凸層3の厚みdは、透明下地層2の表面(絶縁性凹凸層との界面)の中心線から、絶縁性凹凸層3の凹凸の中心線までの距離で定義される(図1,2参照)。
絶縁性凹凸層の厚みを上記範囲にすることで、母型の凹凸構造を精度よく転写することができる。特に、絶縁性凹凸層の厚みを母型の凹凸構造の高低差よりも大きくすることにより、母型の全体を塗布層に押圧することができるため、絶縁性凹凸層の膜面全体に凹凸構造を形成することができる。
(透明基板)
以上のように、透明基体上に下地層および絶縁性凹凸層が形成されることにより、本発明の凹凸パターン付き透明基板10が得られる。なお、透明基板10は、本発明の機能を損なわない限り、上記各層の間にさらに別の層を有していてもよい。
透明基板10のヘーズは、10%以上が好ましく、40%以上がより好ましく、50%以上がさらに好ましく、60%以上が特に好ましい。透明基板10のヘーズが前記範囲であれば、十分な光閉じ込め効果が期待できる。一方、絶縁性凹凸層上に形成される光電変換ユニットにおける欠陥の発生を抑制する観点から、透明基板10のヘーズは80%以下であることが好ましい。
(透明電極層)
本発明における透明電極層4は、350〜1500nmの波長領域において高い透明性を示し、且つ導電性を有するものが好ましい。透明電極層の材料としては、導電性酸化物が好ましく、中でも、導電率や透明性の観点から、酸化亜鉛または酸化インジウムスズを有するものが好ましい。なお上記酸化物は、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、スズ、亜鉛等がドーピングされた材料であってもよい。透明電極層4の膜厚は、100〜2000nmであることが好ましい。この範囲の膜厚とすることで、適宜の抵抗率と透明性を有する透明電極層を得ることが期待できる。
透明電極層4の形成方法としては、気相堆積法が好ましい。気相堆積法としては、スパッタリング法、パルスレーザー堆積法、イオン蒸着法等の「物理的気相堆積法(PVD)」や、有機金属CVD(MOCVD)法やプラズマCVD法等の「化学的気相堆積法(CVD)」と「物理的気相堆積法(PVD)」が挙げられる。
これらの製膜方法の中でも、CVD法が好ましい。CVD法により形成されることにより、透明電極層4の表面に微細な凹凸形状が形成され、さらに広い波長領域において入射光の取り込み効率を高めることが期待される。
透明電極層4は、1層のみからなるものでもよく、複数層からなるものでもよい。透明電極層が複数層からなる場合、例えば、WO2010/090142号パンフレットに開示されているような、2層の透明導電膜からなるダブルテクスチャ構造等を採用することにより、より高い光閉じ込め効果が期待できる。また、このようなダブルテクスチャ構造では、透明電極層4の光電変換ユニット5側界面の凹凸サイズが小さいために、この上に半導体層が形成される際の欠陥の発生が抑制される。そのため、光閉じ込め効果による短絡電流密度(Jsc)の向上に加えて、開放端電圧(Voc)の高い薄膜光電変換装置が得られやすい。
(光電変換ユニット)
本発明の薄膜太陽電池は、少なくとも1つの光電変換ユニットを有する。光電変換ユニットは、例えばシリコン系半導体層、ゲルマニウム半導体層、CdTe、CIS、CIGS等の化合物半導体層により構成される。なお、シリコン系半導体層は、主要元素としてシリコンのみを含有するものの他、炭素、酸素、窒素、ゲルマニウム等の元素をも含む合金材料であってもよい。各光電変換ユニット5,6は、p型層51,61、光電変換層(i型層)52,62,およびn型層53,63からなるpin接合を有することが好ましい。なお、各光電変換ユニットは、光入射側から、n型層、i型層およびp型層を有するものであってもよい。
図3では、透明電極層4側(光入射側)の前方光電変換ユニット5と、裏面電極層7側の後方光電変換ユニット6とを有する二接合の薄膜太陽電池が図示されている。例えば、光電変換層52として非晶質シリコンを用いたワイドバンドギャップの前方光電変換ユニット(非晶質光電変換ユニット)5と、光電変換層62として結晶質シリコンを用いたナローバンドギャップの後方光電変換ユニット(結晶質光電変換ユニット)6とを積層すれば、太陽光の主波長域(400〜1200nm)の広範囲の光を光電変換に利用できるため、変換効率に優れる薄膜太陽電池とすることができる。
特に、透明基板10が、微粒子を含有する透明下地層2と絶縁性凹凸層3とを備える場合、透明基板10によって、太陽光の主波長の広範囲で光閉じ込め効率が向上させられるため、バンドギャップの異なる複数の光電変換ユニットを有する多接合型薄膜太陽電池の変換効率が効果的に向上し得る。
また、絶縁性凹凸層3表面の凹凸高さが300nm〜2000nmの範囲内である場合、波長700nm以上の長波長領域の光が効果的に散乱される。そのため、本発明の薄膜太陽電池は、光電変換層として、当該波長領域に光吸収を有する半導体層を備える光電変換ユニットを備えることが好ましい。このような半導体層としては、多結晶シリコンや微結晶シリコンのような結晶質シリコン系半導体層や、ゲルマニウム半導体層、化合物(CdTe、CIS、CIGS等)半導体層等が挙げられる。
さらに、透明下地層2の微粒子21が、前述の範囲の平均粒径を有する場合、太陽光の主波長のうち短波長の光が効果的に散乱されて光路長が増大させられる。そのため、本発明の薄膜太陽電池が、前述のような長波長領域に光吸収を有する半導体層を備える光電変換ユニットを後方変換ユニット6として備え、前方光電変換ユニット5として、非晶質シリコン、非晶質シリコンカーバイド、非晶質シリコンゲルマニウム等の非晶質シリコン系材料を光電変換層52として有する非晶質シリコン系光電変換ユニットを備える場合は、特に高い変換効率を有し得る。
各光電変換ユニット、および光電変換ユニットを構成する半導体層は、各種の公知の方法により製膜することができる。例えば、結晶質シリコン系光電変換ユニットは、プラズマCVD法により、p型層、i型層(光電変換層)、およびn型層を順に堆積することにより形成される。具体例としては、p型微結晶シリコン層61、光電変換層となる真性(i型)微結晶シリコン層62、およびn型微結晶シリコン層63がこの順に堆積された光電変換ユニットが挙げられる。
p型微結晶シリコン層61は、例えば製膜ガスとしてシラン、ジボラン、水素をチャンバーに導入することにより形成される。膜厚としては、光吸収抑制の観点から5nm以上50nm以下が好ましく、10nm以上30nm以下がより好ましい。i型微結晶シリコン層62は、例えば製膜ガスとしてシランおよび水素を導入することにより、0.5μm〜3.5μm程度の膜厚で製膜される。n型微結晶シリコン層63は、例えば製膜ガスとしてシラン、ホスフィン、水素をチャンバーに導入することにより形成される。膜厚としては、光吸収抑制の観点から、5nm以上50nm以下が好ましく、10nm以上30nm以下がより好ましい。
図3では、前方光電変換ユニットとしての非晶質シリコン系光電変換ユニット5、および後方光電変換ユニットとしての結晶質シリコン系光電変換ユニット6を有する形態について説明したが、本発明は当該形態に限定されるものではなく、前述のように、各種の半導体層からなる光電変換ユニットが採用され得る。各光電変換ユニットにおいて、p層/i層/n層の結晶構造が異なっていてもよい。また、本発明の薄膜太陽電池は、図3に示すような二接合のものに限定されず、1つの光電変換ユニットのみを有するものであってもよく、3つ以上の光電変換ユニットを有するものであってもよい。
薄膜太陽電池が複数の光電変換ユニット5,6を有する場合、各光電変換ユニットの界面に、光の反射と透過を選択的に行うための中間反射層(不図示)を設けることで、前方光電変換ユニット5側へ低波長光を反射させるとともに、長波長光を後方光電変換ユニット6側へ透過させて、光の利用効率を高めることができる。
透明電極層4と光電変換ユニット5との間には、両者の電気的なコンタクトの改善を目的とした層が設けられていてもよい。例えば、p型非晶質シリコンカーバイド層のように光電変換ユニット5よりもバンドギャップの広い半導体層を有することで、透明電極層4と光電変換ユニット5の界面付近での電子−正孔の再結合を抑制できる。その結果、光電変換層52で生成した電子および正孔を、電極4,7に効率よく取り出すことが可能となる。
(裏面電極層)
光電変換ユニット6上には裏面電極層7が形成される。裏面電極層7としては、例えば図3に示すように、導電性酸化物層71と金属層72の2層からなるものが挙げられる。裏面電極層7は、導電性酸化物層または金属層のいずれか一方のみを有するものであってもよい。また、さらに他の層を設けて、3層以上の構成とすることもできる。
裏面電極層7が、導電性酸化物層71および金属層72からなる場合、導電性酸化物層71は、光電変換ユニット6を構成するシリコン等の原子と、金属層72を形成する金属原子との相互拡散の抑制や、金属層72の密着性向上に寄与し得る。また、導電性酸化物層71の膜厚を適宜に設計することにより、導電性酸化物膜界面での反射光の多重干渉を制御し、任意の波長の光の光電変換ユニット側への反射率を高めることもできる。
層間の原子拡散の抑制と反射特性とを両立させる観点から、導電性酸化物層71の膜厚は、25nm〜120nmの範囲が好ましく、30〜85nmの範囲がより好ましい。導電性酸化物層71は、透明であり導電性を有する透明導電性酸化物からなることが好ましく、例えば酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化チタン等を主成分とするものを用いることができる。
金属層72は、導電性が高く、かつ反射率が高いものが好ましい。このような材料として例えば銀やアルミニウム等が挙げられる。金属層72の光入射側と反対側の表面は、算術平均粗さRaが5nm〜150nm程度であることが好ましく、10nm〜80nmであることが好ましい。また、凹凸の最大高さRmaxは300nm〜1000nmが好ましく、400nm〜800nmがより好ましい。RaおよびRmaxを前記範囲とすることで、光電変換ユニット5,6で吸収されなかった入射光が、金属層72によって光電変換ユニット5,6側へ効率よく反射されるため、光の取り込み効率が向上し得る。
なお、本発明における絶縁性凹凸層3の凹凸の算術平均粗さRaおよび最大高さRmaxは、それぞれ裏面電極層表面のRaおよびRmaxよりも大きいことが好ましい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[評価方法]
以下において、各層の膜厚は分光エリプソメーターVASE(J.Aウーラム社製)を使用して測定した。フィッティングはChaucyモデルにより行った。原子間力顕微鏡(AFM)による観察には、Nanotechnology社製 「Nano−R、Pacific」を用いた。表面粗さ(Ra)は、AFM像の解析により求めた。反射率および透過率は、分光光度計(Perkin Elmer社製、「Lambda950」)により測定した。ヘーズはヘーズメーター(日本電色工業社製、「NDH5000」)により測定した。
透明下地層における微粒子の平均粒径および被覆率は、走査型電子顕微鏡(日立製、「S−4800」)により測定した。なお、以下の実施例、比較例、および参考例では、ディッピング法により透明下地層が形成されたため、ガラス基体の両面にバインダと微粒子とを含有する層(透明下地層および反射防止層)が形成された。微粒子の平均粒径および被覆率は、いずれも透明電極層形成側の面(透明下地層)について測定したものを記載しているが、いずれの実施例、比較例および参考例においても、光入射側の面の微粒子含有層(反射防止層)は、透明電極層側の面(下地層)と同様の平均粒径および被覆率を有していた。
(実施例1)
[下地層の形成]
ガラス基体としてアルカリガラスである白板(商品名B270 Superwrite、ショット製、膜厚1.1mm)を用い、この上に、以下の方法により透明下地層を形成した。
水24.38g、イソプロピルアルコール58.71g、および35%塩酸1.14gの混合液に、バインダとしてテトラエトキシシランのオリゴマー(重合度n:4〜6)11.90g、および微粒子として平均粒径90nmのシリカ微粒子分の水分散液(固形分:40%)24.38gを順次添加して、室温で4時間攪拌混合した。その後、希釈溶媒として、イソプロパノール529.50gを添加して撹拌し、微粒子含有塗布液を調製した。
この塗布液中にガラス基体を浸し、速度0.1m/分にて引き上げるディップコーティング法により塗布操作を行った。なお、ディッピングは、枠体にガラス基体を固定し、微粒子含有塗布液に浸漬後、引き上げることにより行った。その後、80℃の熱風乾燥処理を30分間施した後、200℃で5分間の焼成処理を行い、ガラス基体表面上に透明下地層を形成した(以下、この基板を「透明下地層付き基板」ともいう)。
この透明下地層付き基板の面内中央部表面を原子間力顕微鏡(AFM)で観察したところ、図4に示すように、球状シリカが均一に分散されて一層に配列されていた。シリカ微粒子の面積被覆率は93%であり、緻密な凹凸形状が確認された。
[母型の作製]
水酸化カリウム100gを純水1700gに溶かした水溶液に、イソプロピルアルコールを200g加え、ウェットエッチング液を作製した。この液を70℃に加温し、マグネチックスターラーで攪拌しながら、(100)面に切り出された単結晶シリコンウェハを投入し、30秒浸漬した。シリコンウェハを取出した後、純水で洗浄、乾燥した。このようにして作製された母型は、表面に四角錐形状の凹凸がランダムに形成された凹凸パターン構造を有していた。この母型の表面をAFMで観察したところ、Raは130nm、Rmaxは750nmであった。
[絶縁性凹凸層の形成]
上記の透明下地層付き基板上に、以下の方法により絶縁性凹凸層3が形成された。
カチオン重合性の光硬化性材料溶液として、光硬化性のカチオン重合性の樹脂であるシロキサン系化合物を1−メトキシ−2−プロピルアセテートで希釈して用いた。この溶液をスピンコート法により、透明下地層上に塗布し、80℃雰囲気の乾燥炉内で1分間予備乾燥して、膜厚2000nmの塗布層を形成した。この塗布層上に、上記の非周期的パターンを有する母型を載置し、0.5MPaの圧力でプレスしながら、高圧水銀灯を有するUV照射装置で、1000mJ/cm2照射した。得られた基板を母型より剥離した後、200℃の大気中で1時間焼成し、透明下地層上に絶縁性凹凸層を備える透明基板を得た。絶縁性凹凸層の表面をAFMで観察したところ、凹凸構造の高低差は460nmであった。
[透明電極層の形成]
上記の透明基板の絶縁性凹凸層3上に、透明電極層として、BがドープされたZnO膜を、減圧CVD法により1.6μmの厚みで形成した。透明電極層のシート抵抗は約18Ω/□であった。
[光電変換ユニットおよび裏面電極層の形成]
上記の透明電極層付き基板がプラズマCVD装置内に導入され、膜厚10nmのボロンドープp型非晶質シリコンカーバイド(SiC)層、膜厚300nmのノンドープi型非晶質シリコン変換層、膜厚20nmのリンドープn型微結晶シリコン層が、順次製膜され、非晶質シリコン光電変換ユニットが形成された。その上に、膜厚15nmのボロンドープp型微結晶シリコン層、膜厚700nmのノンドープi型結晶質シリコン変換層、膜厚20nmのリンドープn型微結晶シリコン層が順次製膜され、結晶質シリコン光電変換ユニットが形成された。さらにその上に、裏面電極層として、膜厚80nmのZnO層、および膜厚300nmのAg層が、スパッタ法により形成された。
(実施例2)
[下地層の形成]
実施例1と同様にして、ガラス基体上に透明下地層を形成した。得られた透明下地層付き基板において、シリカ微粒子の面積被覆率は91%であり、緻密な凹凸形状が確認された。
[母型の作製]
まず単結晶シリコンウェハの表面に、熱酸化により酸化被膜(酸化シリコン膜)を形成した。酸化被膜が形成された単結晶シリコンウェハの全面に、レジスト(感光性保護膜)をスピンコートにより塗布した。次に、直径700μmの円状の開口部を1000μmピッチで有するフォトマスクを用い、波長365nmのUV光を照射して、開口部のシリコンウェハを露光した。露光後のウェハを現像液に浸漬し、フォトマスクのパターンを現像して、ウェハ表面にレジスト膜を選択的に形成した。次にフッ化水素酸(5重量%)を用いたエッチングを行い、レジストにより保護されていない領域の酸化被膜を選択的に除去した。さらにイソプロピルアルコールでウェハを洗浄することでレジスト膜を除去し、単結晶シリコンウェハ表面の酸化被膜による保護が行われていない領域を2次元周期状に形成した。その後、水酸化ナトリウム水溶液(20重量%)を用いた異方性エッチングにより、酸化被膜により保護されていない領域に四角錐状の凹部を形成することによって、深さ500nmの逆ピラミッド構造の凹部が頂点間距離1000nm間隔で2次元周期状に配列された母型を作製した。
上記の透明下地層付き基板上に、以下の方法により絶縁性凹凸層3が形成された。硬化性材料溶液として、光硬化性のカチオン重合性の樹脂であるシロキサン系化合物を1−メトキシ−2−プロピルアセテートで希釈して用いた。この溶液をスピンコート法により、透明下地層上に塗布し、80℃雰囲気の乾燥炉内で1分間予備乾燥して、膜厚2000nmの塗布層を形成した。この塗布層上に、上記の非周期的パターンを有する母型を載置し、0.5MPaの圧力でプレスしながら、高圧水銀灯を有するUV照射装置で、1000mJ/cm2照射した。得られた基板を母型より剥離した後、200℃の大気中で1時間焼成し、透明下地層上に絶縁性凹凸層を備える透明基板を得た。絶縁性凹凸層の表面をAFMで観察したところ、凹凸構造の高低差は600nmであった。
[透明電極層、光電変換ユニットおよび裏面電極層の形成]
透明基板に、実施例1と同様にして、透明電極層、結晶質シリコン光電変換ユニットおよび裏面電極層を順次形成した。
(比較例1)
比較例1では、透明下地層が形成されなかった点以外は実施例1と同様にして透明基板を形成した。すなわちガラス基体であるアルカリガラス上に直接絶縁性凹凸層が形成された。この場合、表面に四角錐形状の凹凸がランダムに形成された母型を用いたが、硬化性材料溶液が硬化しなかったため構造を形成する事が出来なかった。
(比較例2)
比較例2では、透明下地層が形成されなかった点以外は実施例2と同様にして透明基板を形成した。すなわちガラス基体であるアルカリガラス上に、実施例2と同様の周期的凹凸パターンを有する母型を用いて絶縁性凹凸層を形成したが、硬化性材料溶液が硬化しなかったため構造を形成する事が出来なかった。
(比較例3)
比較例3では、透明下地層が形成されず、実施例1と同様のアルカリガラス基体上に、熱硬化型のゾル・ゲル材料を塗布し、以下の方法により絶縁性凹凸層を形成した。
硬化性材料溶液として、シロキサン系化合物100重量部に対し、チタノキサン化合物1重量部を含有するゾルゲル材料溶液(ハネウェル製、屈折率1.40、粘度3.5mPa・s)を用いた。この溶液をスピンコート法により、ガラス基体上に塗布し、70℃雰囲気の乾燥炉内で1分間予備乾燥して、膜厚2000nmの塗布層を形成した。この塗布層上に、上記の非周期的パターンを有する母型を載置し、150℃の温度をかけながら、3.6MPaの圧力で、5分間加温プレスした。室温まで冷却した後、基板から母型を離型した。基板を、300℃の大気中で1時間焼成し、ガラス基体上に絶縁性凹凸層を備える透明基板を得た。絶縁性凹凸層の表面をAFMで観察したところ、凹凸構造の高低差は450nmであった。そして実施例1と同条件で透明電極層を形成し薄膜太陽電池が作製された。
(参考例1)
参考例1では、ガラス基体としてアルカリ成分の含まれない無アルカリガラス(商品名OA−10、日本電気硝子製、膜厚0.7mm)を用いた以外は実施例1と同様の手法により、透明基板を形成した。そして引き続き透明電極層および薄膜太陽電池が作製された。
(参考例2)
参考例2では、ガラス基体としてアルカリ成分の含まれない無アルカリガラス(商品名OA−10、日本電気硝子製、膜厚0.7mm)を用い、絶縁性凹凸層として比較例3と同様のゾルゲル材料を用いた以外は実施例1と同様の材料、手法により、透明基板を形成した。そして引き続き透明電極層および薄膜太陽電池が作製された。
(実施例、比較例および参考例の評価)
上記各実施例および比較例の透明基板のヘーズ、および波長550nmにおける反射率を測定した。なお透明下地層が形成されていない比較例1,2では、ガラス基体のヘーズおよび反射率を測定した。
また、上記各実施例、参考例および比較例3の薄膜太陽電池に、AM1.5のスペクトル分布を有するソーラシミュレータを用いて、擬似太陽光を25℃の下で100mW/cmのエネルギー密度で照射して、出力特性を測定した。これらの評価結果を表1に示す。
まず、下地層の有無について検討するために、ゾルゲル材料を使用した比較例3と参考例2を比較すると、下地層を有さない比較例3に対し、微粒子を含有する下地層を形成した参考例2では、短絡電流密度が向上した。これは、参考例2では、透明下地層に微粒子を含有しているため、平坦である比較例3に比べて表面粗さが大きくなり、ガラス基体と絶縁性凹凸層の間の密着性が向上し、また微粒子の凹凸により光散乱効果や、反射防止効果が大きくなったためと考えられる。なお透明基体のアルカリ成分の有無の違いはあるものの、ゾルゲル材料を使用しているために、影響はほぼ無いと考えられる。
比較例1,2と比較例3を比較すると、絶縁性凹凸層の材料としてゾルゲル材料を用いた比較例3に対し、カチオン重合性材料を用いた比較例1,2では、絶縁性凹凸層が硬化せず、薄膜太陽電池を作製することが出来なかった。これは、ガラス基体に含まれるアルカリ成分により、ゾルゲル材料の硬化は進行するものの、カチオン重合性材料の硬化は阻害されたためと考えられる。
一方、実施例1,2と比較例1,2を比較すると、実施例1,2ではカチオン硬化が進行し、絶縁性凹凸層を精度よく作製できた。これは、透明下地層がアルカリ成分のバリア層として働き、カチオン硬化の抑制を防止したためと考えられる。
ここで、ガラス基体の屈折率は透明下地層と同程度のものが一般的に用いられているため、透明下地層として微粒子を有さないもの(すなわち平滑な透明下地層)を用いた場合、ガラス基体に含まれるアルカリ成分のバリア層としての効果は期待できるものの、光散乱効果や反射防止効果は得られず、比較例3と同程度になると考えられる。
また実施例1と、参考例1,2を比較すると、アルカリガラスとカチオン重合性材料を使用した実施例1では、無アルカリガラスを使用した参考例1や、ゾルゲル材料を使用した参考例2と短絡電流密度が同程度になった。
従って、より低コストのアルカリ成分を含む透明基体を用いた場合も、光閉じ込め効率の高い太陽電池を作製できると考えられる。また光硬化材料であるカチオン重合性の材料を用いることにより、熱硬化材料であるゾルゲル材料を使用した場合に比べて、硬化時間が大幅に短縮可能であるため生産性よく太陽電池を作成できると考えられる。
以上より、生産性が高く、高効率の薄膜太陽電池を低コストで作製できることがわかった。
100 :薄膜太陽電池
10 :透明基板
1 :透明基体
2 :透明下地層
9 :反射防止層
21,91:微粒子
22,92:バインダ
3 :絶縁性凹凸層
4 :透明電極層
5,6 :光電変換ユニット
51,61:p型層
52,62:光電変換層
53,63:n型層
7 :裏面電極層
71 :導電性酸化物層
72 :金属層

Claims (5)

  1. 光入射側から、透明基板;透明電極層;少なくとも1つの光電変換ユニット;および裏面電極層、をこの順に有する薄膜太陽電池であって、
    前記透明基板は、光入射側から、アルカリ成分を含む透明基体;微粒子およびバインダを有する透明下地層;ならびに絶縁性凹凸層、をこの順に有し、
    前記絶縁性凹凸層は、カチオン重合性の光硬化性材料により形成され、かつ前記透明電極層側の表面に凹凸パターンを有する薄膜太陽電池。
  2. 前記アルカリ成分が、NaまたはKを有する、請求項1に記載の薄膜太陽電池。
  3. 前記絶縁性凹凸層が、シリコーン樹脂を主成分とする、請求項1または2のいずれか1項に記載の薄膜太陽電池。
  4. 前記透明下地層の絶縁性凹凸層側表面の算術平均粗さRaが、5nm〜65nmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薄膜太陽電池。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の薄膜太陽電池の製造方法であって、
    前記絶縁性凹凸層は、
    カチオン重合性の光硬化性材料を含有する塗布液を塗布して塗布層を形成する工程;
    前記塗布層を予備乾燥する工程;
    予備乾燥後の前記塗布層に、凹凸パターンを有する母型を押圧する工程;
    前記塗布層の光硬化性材料を硬化する工程;および
    前記母型を硬化後の前記塗布層から離型する工程、
    により形成される、薄膜太陽電池の製造方法。
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