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JP2014054645A - 管材矯正方法 - Google Patents

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JP2014054645A
JP2014054645A JP2012199339A JP2012199339A JP2014054645A JP 2014054645 A JP2014054645 A JP 2014054645A JP 2012199339 A JP2012199339 A JP 2012199339A JP 2012199339 A JP2012199339 A JP 2012199339A JP 2014054645 A JP2014054645 A JP 2014054645A
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JP2012199339A
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English (en)
Inventor
Tetsuya Kishiguchi
哲也 岸口
Toru Ikezaki
徹 池▲崎▼
Takashi Ohira
尚 大平
Masashi Torii
正志 鳥井
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Nippon Steel Engineering Co Ltd
Original Assignee
Nippon Steel and Sumikin Engineering Co Ltd
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Abstract

【課題】矯正に要する時間を短くする真円度矯正方法を提供する。
【解決手段】真円度矯正方法は、ケーシングの内周面を管材の外周面に対向させつつ内周側ローラの外周面を軸領域の内周面に当接させる配置工程S10と、管材と内周側ローラとを軸線周りに回転させつつ測定外径を求めることで、軸領域の半周にわたり測定外径を求めるとともに荷重値を設定する予備測定工程S20とを備え、軸領域の周方向の所定位置に対して設定された荷重をケーシングの内周面と内周側ローラとを近づけることで所定位置に作用させた状態で、管材と内周側ローラとを軸線周りに軸領域の半周にわたり回転させて所定位置を塑性変形させつつ、軸領域の外径を測定して測定外径を求め、荷重値を測定外径に基づいて設定し直す矯正工程S40を規定したときに、予備測定工程または矯正工程で半周にわたり測定した測定外径がいずれも目標外径以上となるまで矯正工程を繰り返す。
【選択図】図5

Description

本発明は、管材の真円度を矯正する管材矯正方法に関する。
パイプラインや杭用に用いられる管材は、その真円度が十分に確保されていないと、溶接等の接合や機械的な接合を行うに当たって、接合不良や品質不良を発生することがある。そのため、予め、管材の軸線方向における様々な部分(軸領域)の真円度を高めることが行われている。
なお、本明細書において真円度とは、管材のある断面における外径の最大値と最小値との差のことを意味する。そして、真円度を矯正するとは、管材を真円度がゼロに近づくように矯正することを意味する。真円度がゼロに近いほど、管材の断面形状は真円に近くなる。
管材の真円度を高める管材矯正方法として、例えば、特許文献1に記載された真円度矯正方法が知られている。
この真円度矯正方法に用いられる矯正装置では、鋼管(管材)の管端の内外面を押圧して矯正する1対の矯正ロールが備えられ、それぞれの矯正ロールが油圧ジャッキなどの押圧手段により管端に押圧自在となっている。管端の周方向に沿って矯正ロールを挟んで等距離の位置の外面には回転ロールが配置され、その管端の位置に対する内面にはクランプロールが配置されている。
回転ロールを駆動手段により回転させて鋼管を回転させつつ、鋼管の変位などを変位センサで測定することで、管端の曲率分布を求めることができる。また、管端の全周にわたる曲率の平均をとることで、平均曲率を求める。
そして、管端を矯正するときには、前段階で求めた曲率分布と平均曲率との差に応じて矯正ロールの位置を制御することで、管端の真円度を矯正している。
特開平2−247017号公報
しかしながら、特許文献1の真円度矯正方法では、矯正中に管端の真円度の測定していない。このため、矯正を終えた後に鋼管の真円度を測定し、この真円度が不十分なものであれば再度矯正ロールなどに鋼管を取り付けて矯正し直す必要がある。したがって、鋼管の矯正に多大な時間を必要としている。
また、特許文献1の真円度矯正方法では、矯正する際に鋼管の外径を測定していない。矯正が進むにしたがって鋼管の外径は大きくなる。鋼管の外径が規格の上値を超えてしまうと、鋼管を規格品として商品にすることができなくなり、製造の歩留まりが悪くなる。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、矯正に要する時間を短くするとともに矯正により軸領域の外径が大きくなるのを抑えた真円度矯正方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の管材矯正方法は、管材の軸線方向における少なくとも一部である軸領域の真円度を矯正する管材矯正方法であって、リング状に形成されたケーシングの内周面を前記管材の前記軸領域の外周面に対向させて前記ケーシングを前記管材の外周に配置させるとともに、内周側ローラの外周面を前記軸領域の内周面に当接させて前記内周側ローラを前記管材の内周に配置させる配置工程と、前記管材と前記内周側ローラとを前記ケーシングの軸線周りに回転させつつ、前記軸領域の外径を測定して測定外径を求めることで、前記軸領域の半周にわたり、前記測定外径を求めるとともに、前記ケーシングの内周面と前記内周側ローラとを近づける力の大きさである荷重値を前記測定外径に基づいて設定する予備測定工程と、を備え、前記軸領域の周方向の所定位置に対して設定された前記荷重値となる荷重を前記ケーシングの内周面と前記内周側ローラとを近づけることで前記所定位置に作用させた状態で、前記管材と前記内周側ローラとを前記軸線周りに前記軸領域の半周にわたり回転させて前記ケーシングの内周面を矯正型面として前記所定位置を塑性変形させつつ、前記軸領域の外径を測定して測定外径を求め、前記荷重値を前記測定外径に基づいて設定し直す矯正工程を規定したときに、前記予備測定工程で半周にわたり測定した前記測定外径がいずれも目標外径以上となるか、前記矯正工程で半周にわたり測定した前記測定外径がいずれも前記目標外径以上となるまで、前記予備測定工程の後で、前記矯正工程を繰り返すことを特徴としている。
この発明によれば、矯正工程において、管材の軸領域をケーシングの内周面に沿った円形形状に矯正することができる。この場合の管材に発生する塑性変形は、圧延と同様のメカニズムにより、内周側ローラおよびケーシングと管材との線接触領域での管材の板厚方向の圧縮変形が、体積一定則により管材の周方向への伸び変形に転換される。周方向への伸び変形は、その変形方向上にある、ケーシングの内周面により形状の拘束を受け、ケーシングの内周面の形状に倣って、管材の形状変形が進行する。その結果、有効な矯正が行われる。
予備測定工程において軸領域の半周にわたり測定外径を求めておき、続いて、予備測定工程または矯正工程で半周にわたり測定した測定外径がいずれも目標外径以上となるまで矯正工程を繰り返す。
また、上記の管材矯正方法において、前記予備測定工程および前記矯正工程では、前記測定外径が前記目標外径以上となった前記軸領域の前記周方向の位置に対しては、前記荷重値を前記軸領域が塑性変形せず弾性変形のみとなる大きさに設定し、かつ、前記測定外径が前記目標外径より小さくとなった前記軸領域の前記周方向の位置に対しては、前記荷重値を前記軸領域が塑性変形する大きさに設定することがより好ましい。
この場合、矯正工程において、測定外径が目標外径以上となった軸領域の周方向の位置は弾性変形しかしないため、この位置に対する軸領域の外径が大きくなるのが防止される。一方で、測定外径が目標外径より小さくとなった軸領域の周方向の位置は塑性変形を伴う変形をするため、この位置に対する軸領域の外径が大きくなる。
また、上記の管材矯正方法において、前記予備測定工程および前記矯正工程では、前記軸領域の外周面における曲率半径を測定して測定曲率半径を求めることで、前記軸領域の全周にわたり前記測定曲率半径を求め、前記目標外径を2で除した数を目標半径としたときに、前記予備測定工程および前記矯正工程では、前記測定外径が前記目標外径より小さくなった前記軸領域の前記周方向の位置である基準位置に対しては、前記管材の軸線に対して前記基準位置とは対称の位置となる対称位置を規定し、さらに、前記基準位置における前記測定曲率半径と前記目標半径との差の絶対値の方が前記対称位置における前記測定曲率半径と前記目標半径との差の絶対値よりも大きいとしたときに、前記基準位置に対する前記荷重値を、前記基準位置における前記測定曲率半径と前記目標半径との差の絶対値に応じて増加させることがより好ましい。
この発明によれば、目標半径に対する曲率半径のずれ量は、基準位置の方が対称位置の方より大きいことになる。
また、上記の管材矯正方法において、前記予備測定工程および前記矯正工程では、前記軸領域において外周面に前記ケーシングが当接し、かつ、内周面に前記内周側ローラが当接する領域の前記軸線方向の長さを測定して測定当接長さを求めることで、前記軸領域の全周にわたり前記測定当接長さを求め、前記矯正工程で前記軸領域の前記周方向の所定位置に対して設定された前記荷重値を、前記所定位置に対する前記測定当接長さに比例する値を乗じた値に設定し直すことがより好ましい。
この発明によれば、荷重値を、測定当接長さに比例する値を乗じた値に設定し直すことで、軸領域の周方向の位置により、軸領域においてケーシングおよび内周側ローラが当接している領域の軸線方向の長さが異なる場合であっても、この領域における軸線方向の単位長さ当たりに作用する荷重が等しくなる。
本発明において、請求項1に記載の管材矯正方法によれば、周方向における測定外径の分布から真円度を求めることができ、軸領域を矯正するとともに真円度を求めることで真円度の矯正に要する時間を短くすることができる。また、予備測定工程および矯正工程で半周にわたり測定した測定外径がいずれも目標外径以上となったときに矯正を終了することで、矯正により軸領域の外径が大きくなるのを抑えることができる。
請求項2に記載の管材矯正方法によれば、測定外径が目標外径より小さくなった軸領域の周方向の位置のみにおいて、荷重が除去された後でも歪が残って外径が大きくなるため、軸領域の真円度をより確実に矯正することができる。
請求項3に記載の管材矯正方法によれば、目標半径に対する曲率半径のずれ量が大きい基準位置を対称位置よりも重点的に矯正することで、軸領域の真円度をより効果的に矯正することができる。
請求項4に記載の管材矯正方法によれば、軸領域においてケーシングおよび内周側ローラが当接している領域の軸線方向の長さが異なる場合であっても、軸領域を周方向により均一に矯正することができる。
本発明の第1実施形態の管材矯正方法に用いられる管材矯正装置の側面の断面図である。 同管材矯正装置を模式的に示す正面図である。 同管材矯正装置のブロック図である。 図1中の要部拡大図である。 同管材矯正装置を用いた本発明の管材矯正方法を示すフローチャートである。 同管材矯正方法における予備測定工程を示すフローチャートである。 同管材矯正方法における矯正工程を示すフローチャートである。 同予備測定工程においてRAMに荷重値を仮に定めた状態を説明する図である。 同予備測定工程において測定された測定外径、および測定外径に基づいて設定される荷重値を説明する図である。 同矯正工程において測定された測定外径、および測定外径に基づいて設定される荷重値を説明する図である。 同矯正工程において測定された測定外径を説明する図である。 本発明の第2実施形態の管材矯正方法に用いられる管材矯正装置を模式的に示す正面図である。 同管材矯正装置のブロック図である。 同管材矯正方法における予備測定工程を示すフローチャートである。 同管材矯正方法における矯正工程を示すフローチャートである。 同管材矯正方法における予備測定工程終了時の状態を説明する概略図である。 同管材矯正方法における矯正工程で基準位置を矯正する状態を説明する概略図である。 同矯正工程で対称位置を矯正する状態を説明する概略図である。 本発明の実施形態の変形例の管材矯正方法に用いられる管材矯正装置の側面の断面図である。
(第1実施形態)
以下、本発明に係る管材矯正方法の第1実施形態を、図1から図11を参照しながら説明する。図1および図2に示す管材矯正装置1は、本発明の管材矯正方法を実行するための管材矯正装置の一例である。以下では、管材Tの軸領域が端部T1である場合を例にとって説明する。
この管材矯正装置1は、図1から図3に示すように、円形に形成された自身の内周面10aを管材Tの端部T1の外周面に対向させて管材Tの外周に配置されるリング状のケーシング10と、管材Tの端部T1の内周面に外周面を当接させて管材Tの内周に配置される内周側ローラ15と、ケーシング10の外周面に当接してケーシング10に対して回転力を与えるとともに上向きの荷重を作用させる外周側ローラ20と、外周側ローラ20を回転駆動するローラ駆動モータ25と、ケーシング10の外周面に当接してケーシング10を支持するとともにケーシング10の回転を案内する一対のガイドローラ27と、外周側ローラ20に上向きの荷重を与える油圧ジャッキ30と、を備えている。
まず、ここで管材の規格品についての一般的な説明を行う。
規格品の管材の外径は、公称値を中心として、許容される公差が定められている。以下では、例えば、外径の公称値が400mmの管材で、外径が400mmを基準として±1mmの範囲内、すなわち、外径が399mm以上401mm以下のものが規格品となる場合で説明する。この管材の外径および公差は、説明の便宜上、分かりやすい数値を選定したものであり、実際の規格品の値とは異なる。
本管材矯正方法では、端部T1を矯正するときの目標となる目標外径を、規格品となる範囲内の最大値と中心値との平均値程度の値、上記の例では、例えば400.5mmに設定する。図2中に、外径が目標外径dである仮想円Dを示す。図2中に示す管材Tは、まだ、端部T1の矯正がなされていないものである。図2では、説明の便宜のために端部T1の変形を誇張して示している。一般的に、矯正がなされていない端部T1は、真円である仮想円Dに対して歪んでいて、真円度は低くなっている。矯正がなされていない端部T1の外径dは、規格品となる外径の最大値以下に設定されている。
また、一般的に、端部T1の外径dは、管材Tの基準となる位置P1に対する中心角θにより異なる。位置P1は、管材Tに目印を設けて規定したり、管材Tの溶接位置などで規定したりすることができる。位置P1に対する周方向の所定位置は、中心角θで規定される。
図1および図2に示すように、管材Tの軸線C1、ケーシング10の軸線C2、内周側ローラ15の軸線C3、外周側ローラ20の軸線C4は、全て互いに平行で水平方向を向くように設定されている。内周側ローラ15は管材Tの下端部の内周に配置され、外周側ローラ20は内周側ローラ15の鉛直下方に配置されている。
ケーシング10の内周面10aは、ケーシング10の軸線C2方向に平行に見たときに、真円形またはほぼ真円形に形成されている。ケーシング10は、鉄鋼などの金属で形成されている。なお、ケーシング10の剛性は、管材Tの剛性より充分高いことが好ましい。ケーシング10の内径は、管材Tの外径よりわずかに大きく設定されていて、ケーシング10を管材Tの外周に配置して、外周側ローラ20でケーシング10を支持したとき、ケーシング10の上端部の内周面10aと管材Tの上端部の外周面との間にわずかに隙間があく程度にケーシング10の内径が設定されている。
様々な外径の管材Tに対応するために、内径の異なる様々な仕様のケーシング10を備えておくことが好ましい。
管材矯正装置1は、図1に示すように、設置面G上に配置された機台35を備えている。機台35の上面には支持台36が立設され、支持台36には、前述の内周側ローラ15を支持する支持軸37の基部が軸線を水平に向けて固定されている。支持軸37の先端の細径部37aの外周にベアリング38を介して、略円筒状に形成された内周側ローラ15が自身の中心軸線C3周りに回転自在に取り付けられている。
なお、内周側ローラ15の外径は、管材Tの内径より小さくなるように設定されており、内周側ローラ15は、たとえば、鉄鋼などの表面に保護層を設けることで構成されている。また、図4に示すように、ケーシング10の軸線C2方向の長さと、内周側ローラ15の軸線C2方向の長さとは、等しい長さLに設定されている。ケーシング10と内周側ローラ15とは、軸線C2方向に並ぶように配置される。
支持台36には、ケーシング10に対向するようにラインセンサ(形状測定部)39が取り付けられている。ラインセンサ39としては、例えば、レーザ光による光切断法を用いた公知の非接触3次元デジタイザを好適に用いることができる。
この管材矯正方法では、ラインセンサ39から照射されたレーザ光Bは、ケーシング10や管材Tなどの部材があれば反射され、これらの部材が無ければ透過する。
ラインセンサ39により、ケーシング10の上端部の内周面10aと管材Tの上端部の外周面との上下方向の長さL11を測定することができる。ケーシング10の内径の長さLは既知の値であるので、(L−L11)の式から、端部T1の外径dを求めることができる。
図1に示すように、機台35には、固定フレーム41が設けられており、この固定フレーム41には、外周側ローラ20を支持する上下動フレーム42が上下方向Zにスライド自在に支持されている。この上下動フレーム42は、上下動フレーム42の下方に配置した前述の油圧ジャッキ30により上下方向Zに移動することができる。上下動フレーム42には、外周側ローラ20をベアリング43を介して回転自在に支持する支持軸44が固定されている。
外周側ローラ20には、外周側ローラ20と一体に回転できるようにギヤ47が取り付けられている。このギヤ47は、上下動フレーム42に軸受48を介して回転自在に支持された被駆動軸49と一体回転するギヤ50に噛み合っている。被駆動軸49は、回転継手51を介して、機台35に固定された前述のローラ駆動モータ25の駆動軸に連結されている。ローラ駆動モータ25には、例えばエンコーダなどのような、ローラ駆動モータ25の駆動軸の回転数を検出する回転量計測センサ26が取り付けられている。駆動軸の回転数に比例して、外周側ローラ20が回転する。外周側ローラ20とケーシング10との滑りは無視できる。ケーシング10の内周面10aの周方向の移動量L21は、端部T1の外周面の周方向の移動量となる。
矯正前の端部T1の外径を予め計測制御部60に与えておいたり、ケーシング10の内径にほぼ等しい外径の管材Tを用いたりすることで、回転量計測センサ26の検出結果から端部T1の中心角θを算出することができる。
矯正前の端部T1の外径がdであるとすると、中心角θは例えば、(1)式のように表される。
θ(°)=360×L21/(πd) ・・(1)
ローラ駆動モータ25の回転は、上下動フレーム42の上下方向Zの位置にかかわらず、回転継手51を介して被駆動軸49に伝達され、被駆動軸49に伝達された回転が、ギヤ50およびギヤ47を介して外周側ローラ20に伝達されるようになっている。また、油圧ジャッキ30により上下動フレーム42に伝えられた上下方向Zの荷重は、支持軸44およびベアリング43を介して外周側ローラ20に伝達されるようになっている。
油圧ジャッキ30は、外周側ローラ20を介してケーシング10を管材Tの端部T1の外周面に押し付けることで、ケーシング10の内周面10aと管材Tの外周面との間に圧接力を作用させ、それにより、ケーシング10の内周面10aを矯正型面として管材Tの端部T1を塑性変形させることができるように出力が設定されている。
管材Tの端部T1において、外周面にケーシング10が当接し、かつ、内周面に内周側ローラ15が当接する部分(以下、「当接領域」と称する。)は、周方向の幅が狭く、線接触に近い状態となっている。この当接領域における端部T1の変形は、公知のヘルツ接触などによりモデル化されている。このモデルを適用することで、内周側ローラ15、ケーシング10の曲率などに応じて、油圧ジャッキ30が作用する荷重の大きさにより、端部T1における当接領域が、塑性変形せず弾性変形のみとなっているのか(このような荷重値を、以下、「弾性変形荷重値」と称する。)、あるいは、塑性変形しているか(このような荷重値を、以下、「塑性変形荷重値」と称する。)を判断することができる。
なお、この当接領域は、本実施形態ではケーシング10の軸線C2を挟んで、ラインセンサ39により端部T1の外径dを求める部分に対して対称となる位置に配置されている。
それぞれのガイドローラ27は、図2に示すように、自身の軸線がケーシング10の軸線C2と平行になるとともに、外周面がケーシング10の外周面に当接するように配置されている。
ガイドローラ27は、ケーシング10の軸線C2から、外周側ローラ20の軸線C4までの距離と、ガイドローラ27の軸線までの距離との差が、外周側ローラ20の半径とガイドローラ27の半径との差に等しくなるように配置されている。外周側ローラ20およびガイドローラ27は、それぞれが金属や硬い樹脂などで略円柱状に形成されている。
図3に示す計測制御部60は、回転量計測センサ26およびラインセンサ39に接続されている。計測制御部60には不図示の補助演算ユニットが内蔵されていて、回転量計測センサ26、ラインセンサ39から送信される検出結果に基づいて、管材Tの端部T1の中心角θ(端部T1の軸線C1周りの位置)、端部T1の外径dを算出する。算出結果は、計測制御部60に接続された主制御部65に送信される。
主制御部65には、不図示の主演算ユニット、ROM、RAM、電源ユニットなどが内蔵されている。ROMには、主演算ユニットを制御するプログラムが記憶されている。計測制御部60から送信された端部T1の中心角θや外径dは、RAMに記憶される。主制御部65は、プログラムに基づいて、主制御部65に接続された油圧ジャッキ30が作用する荷重、ローラ駆動モータ25の回転を制御する。
電源ユニットは、主演算ユニット、補助演算ユニットなどに電力を供給する。
次に、以上のように構成された管材矯正装置1を用いた本実施形態の管材矯正方法について説明する。
図5から図8は、管材矯正装置1を用いた本発明の管材矯正方法を示すフローチャートである。本管材矯正方法は、管材矯正装置1に管材Tを取り付ける配置工程S10(以下、「ステップS10の配置工程」とも表記する。他の工程も同様である。)、端部T1の外径を最初に測定して測定外径を求めるとともに測定外径に基づいて、油圧ジャッキ30が出力する荷重(内周側ローラ15にケーシング10の内周面10aを近づける力。)の大きさである荷重値を設定する予備測定工程S20と、前記荷重値となる荷重を作用させつつ端部T1の外径を測定して測定外径を求め、前記荷重値を測定外径に基づいて設定し直す矯正工程S40とを備えている。
この例で矯正対象となっているのは、前述の外径の公称値が400mmであって、規格品となる外径の範囲が399mm以上401mm以下である管材Tの端部T1であるとする。また、目標外径dは前述の400.5mmとする。
まず、ステップS10の配置工程において、主制御部65の主演算ユニットは、油圧ジャッキ30を駆動して外周側ローラ20を下方に移動させておく。操作者は、ケーシング10の内周面10aを管材Tの端部T1の外周面に対向させてケーシング10を管材Tの外周に配置させる。内周側ローラ15の外周面を管材Tの端部T1の内周面で覆うように管材Tを配置し、油圧ジャッキ30を駆動して外周側ローラ20を上方に移動させる。これにより、外周側ローラ20および一対のガイドローラ27の外周面をケーシング10の外周面にそれぞれ当接させとともに、内周側ローラ15の外周面を端部T1の内周面に当接させ、端部T1をケーシング10および内周側ローラ15で挟む。
次に、ステップS20の予備測定工程において以下の工程を行う。
まず、図6に示すステップS21において、操作者は、主制御部65のRAMに、図8に示すように、0°以上180°未満の中心角θに対して荷重値Wを設定する。前述の中心角θは、管材Tの端部T1を実際に回転させた角度であり、中心角θは、中心角θに対応させてRAMに記憶される角度である。以下では、説明の便宜のため、中心角θ、θは、0°から20°(△θ)刻みの離散した値を取るものとして説明する。また、荷重値Wは、絶対的な値ではなく、弾性変形荷重値と塑性変形荷重値との境界を100とした相対的な比率で示す。すなわち、荷重値Wが0より大きく100以下の場合は弾性変形荷重値であり、荷重値Wが100を越える場合は塑性変形荷重値である。
この例では、仮に定める荷重値Wは、RAMに配列などの形式で、全ての中心角θ、すなわち、0°、20°、・・、160°に対して、弾性変形荷重値である例えば50に設定される。ここでの荷重値Wは、管材Tを塑性変形させないことはもちろん、管材Tに対して内周側ローラ15やケーシング10が滑ることなく回転できる程度に、ごく小さい値に設定される。
なお、この段階では端部T1の外径dは測定されていないため、中心角θに対する外径dの測定値である測定外径dの値はRAMに記憶されていない。
続いて、ステップS22において、現在の管材Tの位置を中心角θを0°に設定し、RAMに記憶される変数である中心角θの初期値を0°に設定する。
ステップS23において、油圧ジャッキ30により外周側ローラ20をさらに上方に移動させて、端部T1の中心角θが0°のときの当接領域に対して、中心角θが0°に対する荷重値Wの50に対応する荷重を作用させる。
ステップS24において、ラインセンサ39により、ケーシング10と管材Tとの長さL11を測定し、測定結果を信号化して計測制御部60に送信する。計測制御部60は、送信された信号を長さL11に変換し、中心角θに対する端部T1の外径dの測定値である測定外径dを求める。この例では、中心角θが0°のときの測定外径dが、例えば400mmと測定されたとする。この中心角θにおいては、測定外径dは規格の下限ということになる。求めた測定外径dは主制御部65に送信され、RAMに図9示すように記憶される。
ステップS25において、中心角θに対して測定外径dが目標外径d以上である場合(YES)には中心角θに対応する荷重値Wを弾性変形荷重値のままで変更せずにステップS27に移行し、測定外径dが目標外径d未満である場合(NO)には、ステップS26に移行する。
この場合、0°である中心角θに対応する測定外径dは400mmで、400.5mmの目標外径d未満であるため、ステップS26に移行する。
ステップS26では、RAMに記憶された中心角θに対応する荷重値Wを、例えば150である塑性変形荷重値に設定する。ステップS26で設定される弾性変形荷重値は、100より大きければ所望の値でよいが、この例のように予め150などの一定の値を定めてもよい。
ステップS27において、ローラ駆動モータ25を駆動し、内周側ローラ15およびケーシング10に挟まれた端部T1をケーシング10の軸線C2周りに所定の向きに回転させるとともに、回転量計測センサ26および計測制御部60で端部T1の中心角θを算出する。そして、中心角θが0°から20°増加して20°となる位置まで、端部T1を回転させる。
中心角θの値を△θ、具体的には20°増加させ、20°とする。
ステップS28において、中心角θが180°以上であれば(YES)、予備測定工程S20を終了する。
ステップS28において、中心角θが180°未満であれば(NO)、再び、ステップS23からS27を繰り返す。すなわち、ステップS23では、端部T1の中心角θが20°のときの当接領域に対して中心角θが20°に対する荷重値Wの50に対応する荷重を作用させ、ステップS24では、中心角θが20°のときの測定外径dを求める。ステップS25では、20°である中心角θで測定外径dが400.5mmと、目標外径d以上である(YES)ため、中心角θに対応する荷重値Wを変更せずにステップS27に移行する。ステップS27では、端部T1を前述の所定の向きにさらに20°回転させ、中心角θの値を20°増加させて40°とする。そして、ステップS28において、中心角θが180°以上(YES)となるまで、ステップS23からステップS27を繰り返し、予備測定工程S20を終了する。
この例では、20°である中心角θで測定外径dのみが400.5mmの目標外径d以上であるため、図9に示すように、20°以外の中心角θに対する荷重値Wを塑性変形荷重値に設定する。
なお、ステップS28から次のステップに移行する間に、端部T1の真円度を、外径の最大値と最小値との差として求める。
求めた真円度を図10中に示す。
このように、予備測定工程S20では、端部T1において、軸線C2周りの半周にわたり測定外径dを求める。なお、端部T1の外径は、端部T1における軸線C1を挟んだ両側の部分間の距離で規定されるため、半周にわたる測定外径dを求めれば、端部T1の任意の中心角θに対する測定外径dが求められることになる。
測定の結果、図9示すように中心角θが20°に対応する測定外径dだけが、400.5mmである目標外径d以上になったとする。図9から図11では、目標外径d以上となった測定外径dに対する中心角θなどにハッチングを付して示す。また、図9から図11内の上部には、中心角θに対する測定外径dのグラフを示す。
次に、予備測定工程S20に続くステップS30で、0°以上180°未満の全ての中心角θに対して、測定外径dが目標外径d以上であるか否かを判断し、全ての測定外径dが目標外径d以上である場合(YES)には、ローラ駆動モータ25および油圧ジャッキ30の駆動を停止し、本管材矯正方法の全ての工程を終了する。
この場合、具体的には、図9示すように中心角θが0°、40°から160°に対する測定外径dが目標外径d未満であるため、ステップS30の判断はNOとなり、ステップS40の矯正工程に移行する。
図7に示すように、矯正工程S40は、ステップS21の荷重値Wの設定を行わないことと、ステップS26に代えてステップS29を行うこと以外は予備測定工程S20と同一である。すなわち、予備測定工程S20を行う段階では、管材Tに対して内周側ローラ15やケーシング10が滑らない程度の荷重を作用させる。これに対して、矯正工程S40では端部T1における中心角θと測定外径dとの関係が既に得られているため、予備測定工程S20で設定された荷重値Wの荷重を作用させる。
ステップS22からS24の各工程は予備測定工程S20と同一であるため、詳しい説明を省略する。
ただし、ステップS23において、管材Tの端部T1に塑性変形荷重値を作用させたときの管材Tに発生する塑性変形は、圧延と同様のメカニズムにより、当接領域での管材Tの板厚方向の圧縮変形が、体積一定則により管材Tの周方向への伸び変形に転換される。周方向への伸び変形は、その変形方向上にある、ケーシング10の内周面10aにより形状の拘束を受け、ケーシング10の内周面10aの形状に倣って、管材Tの形状変形が進行する。その結果、有効な矯正が行われる。
また、このとき端部T1の当接領域が塑性変形することで、中心角θに対応する端部T1の外径dが増加する。この例で設定している塑性変形荷重値は、外径dを0.5mmずつ増加させる荷重値となっている。
ステップS25では、中心角θに対して測定外径dが目標外径d以上である場合(YES)にはステップS29に移行し、測定外径dが目標外径d未満である場合(NO)には、中心角θに対応する荷重値Wを変更せずにステップS27に移行する。
ステップS29では、RAMに記憶された中心角θに対応する荷重値Wを、例えば50である弾性変形荷重値に設定する。
ステップS27およびS28の各工程は予備測定工程S20と同一であるため、詳しい説明を省略する。
そして、ステップS28において、中心角θが180°以上であれば(YES)、矯正工程S40を終了して、ステップS50に移行する。
この例では、中心角θが20°であるときに弾性変形荷重値を作用させるため、図10に示すように、中心角θが20°に対する測定外径dは400.5mmのまま大きくならず、中心角θが0°、40°に対する測定外径dが目標外径d以上となっている。
これにより、上述のステップS29において、中心角θが0°、40°に対する荷重値Wを図10に示すように弾性変形荷重値に設定している。
ステップS50では、前述のステップS30と同一の工程を行う。すなわち、0°以上180°未満の全ての中心角θに対して、測定外径dが目標外径d以上であるか否かを判断し、全ての測定外径dが目標外径d以上である場合(YES)には、本管材矯正方法の全ての工程を終了する。一方で、一部の測定外径dが目標外径d未満である場合(YES)には、ステップS40の矯正工程に移行する。
この例では、図10に示すように、中心角θが60°から160°に対する測定外径dが目標外径d未満であるため、ステップS60の判断はNOとなり、矯正工程S40に移行する。
矯正工程S40で上述のように荷重を作用させることで、図11に示すように全ての中心角θに対して、測定外径dが目標外径d以上になったとする。なお、この場合において、全ての測定外径dは、399mm以上401mm以下である規格の範囲内となる。
この矯正工程S40に続くステップS50では、全ての測定外径dが目標外径d以上である(YES)ため、本管材矯正方法の全ての工程を終了する。
このように、本管材矯正方法では、予備測定工程S20の後で、端部T1の半周にわたり測定外径dが目標外径d以上になるまで、矯正工程S40を繰り返している。
以上説明したように、本実施形態の管材矯正方法によれば、管材Tの端部T1をケーシング10の内周面10aに沿った円形形状に矯正することができる。この場合の管材Tに発生する塑性変形は、内周側ローラ15およびケーシング10と管材Tとの当接領域に対する局部的な力の導入によるものであるから、変形が極小域に限定され、圧延と同様のメカニズムによりスプリングバック無しで進行する。その結果、有効な矯正が行われる。
予備測定工程S20において端部T1の半周にわたり測定外径dを求めておき、続いて、予備測定工程S20または矯正工程S40で半周にわたり測定した測定外径dがいずれも目標外径d以上となるまで矯正工程S40を繰り返す。
また、予備測定工程S20および矯正工程S40において端部T1の真円度を求めている。
したがって、端部T1の矯正をするとともに真円度を求めることで真円度の矯正に要する時間を短くすることができる。真円度が目標値に達して端部T1の真円度が矯正されたことを即座に検出し、矯正に要する時間を短くすることができる。
また、予備測定工程S20および矯正工程S40で半周にわたり測定した測定外径dがいずれも目標外径d以上となったときに矯正を終了することで、矯正により端部T1の外径が大きくなるのを抑えることができる。
矯正工程S40において、測定外径dが目標外径d以上となった端部T1の周方向の位置は弾性変形しかしないため、この位置に対する端部T1の外径が大きくなるのが防止される。一方で、測定外径dが目標外径dより小さくとなった端部T1の周方向の位置は塑性変形を伴う変形をするため、この位置に対する端部T1の外径が大きくなる。測定外径dが目標外径dより小さくなった端部T1の周方向の位置のみにおいて、荷重が除去された後でも歪が残って外径が大きくなるため、端部T1の真円度をより確実に矯正することができる。
なお、上記実施形態では、説明の便宜上、0°から中心角θの刻み幅を20°として、離散的な中心角θに対して荷重を作用させる場合で説明した。しかし、実際においては、刻み幅を例えば1°より小さい値として、中心角θに対して荷重値Wを事実上連続的な値として設定される。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図12から図18を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図12および図13に示す管材矯正装置2は、本発明の管材矯正方法を実行するための管材矯正装置の一例である。本管材矯正装置2は、前記実施形態の管材矯正装置1の1つのラインセンサ39、計測制御部60、および主制御部65に代えて、3つのラインセンサ39、計測制御部70、および主制御部75を備えている。
3つのラインセンサ39は、不図示の支持台36に、ケーシング10に対向する位置がケーシング10の周方向にずれるように取り付けられている。
3つのラインセンサ39は、それぞれが、端部T1の外周面における位置P6、P7、P8を検出し、検出結果を計測制御部70に送信する。計測制御部70は、位置P6、P7、P8の検出結果から、公知の方法により、位置P7における端部T1の外周面の曲率半径rを算出することができる。位置P7は、軸線C2を挟んで内周側ローラ15とは反対側に設定される。
なお、前述の目標外径dを2で除した数を、目標半径rと規定する。
次に、以上のように構成された管材矯正装置2を用いた本実施形態の管材矯正方法について説明する。
図5、および図14、15は、管材矯正装置2を用いた本発明の管材矯正方法を示すフローチャートである。本管材矯正方法は、第1実施形態の管材矯正方法に対して、予備測定工程S20、矯正工程S40に代えて、予備測定工程S70、矯正工程S80を備えている。
なお、本実施形態で矯正される管材Tの端部T1は、図16に示すようにケーシング10の軸線C2に平行に見て、外径が目標外径dである仮想円Dより小径に形成される。この例では、中心角θが、0°となる端部T1の周方向の位置である基準位置P11と、中心角θが、180°となる対称位置P12とにより規定される端部T1の外径は、目標外径dより小さく形成されている。さらに、基準位置P11における曲率半径rは目標半径rより大きくなっていて、対称位置P12における曲率半径rは目標半径rと同程度になっているものとする。
基準位置P11、対称位置P12は、軸線C1に対して対称となる位置に配置される。
予備測定工程S70は、図14に示すように、予備測定工程S20のステップS21、ステップS24、ステップS28に代えて、ステップS71、ステップS72、ステップS73の工程を備えるとともに、ステップS26の後でステップS75、76などを行ってからステップS27に移行する。
ステップS71は、ステップS21に対して荷重値Wを設定する中心角θが、0°以上360°未満であることのみが異なる。
ステップS72は、ステップS24に対して、計測制御部70が中心角θに対する測定外径dだけでなく、曲率半径rの測定値である測定曲率半径rを求めることが異なる。求めた測定曲率半径rは、測定外径dとともに主制御部75に送信される。
ステップS73は、ステップS28に対して判断基準となる中心角θが360°であることのみが異なる。
すなわち、予備測定工程S70は端部T1の全周にわたり測定外径dおよび測定曲率半径rを求めるものである。
ステップS75では、現在設定されている中心角θに対して180°小さい値を中心角θと規定したときに、(2)式および(3)式のように、ずれ量δ、δを規定する。なお、「|x|」は、xの絶対値のことを意味し、例えば、ずれ量δは、中心角θに対応する端部T1の周方向の位置における測定曲率半径rと目標半径rとの差の絶対値である。
中心角θに対して、δ=|r−r| ・・(2)
中心角θに対して、δ=|r−r| ・・(3)
ステップS76では、ずれ量δがずれ量δ以上である場合(YES)には、ステップS77に移行し、主制御部75のRAMに記憶される中心角θに対する荷重値Wを、ずれ量δの大きさに応じて増加させる。具体的には、例えば、RAMに中心角θに対して設定されていた荷重値Wを、(4)式に示される値に設定し直す。
W×(1+δ/r) ・・(4)
ステップS76で、ずれ量δがずれ量δ未満である場合(NO)に移行するステップS78では、ステップS83と同様に、中心角θに対する荷重値Wを、ずれ量δの大きさに応じて増加させる。具体的には、例えば、中心角θに対して設定されていた荷重値Wを、(5)式に示される値に設定し直す。
W×(1+δ/r) ・・(5)
矯正工程S80は、図15に示すように矯正工程S40に対して、ステップS25において、測定外径dが目標外径d未満である場合(NO)に、前述のステップS75、76などを行ってからステップS27に移行する点のみが異なる。
ステップS75からS77については、既に説明したのでここでの説明を省略する。
次に、以上のように構成された管材矯正装置2を用いた本実施形態の管材矯正方法について、上記実施形態と異なる主な点について説明する。
配置工程S10で、管材Tの端部T1を管材矯正装置2のケーシング10および内周側ローラ15で挟んだときに、内周側ローラ15およびケーシング10に対して管材Tの端部T1が図16のような状態になっているとする。
予備測定工程S70では、ステップS23からS73のループを何度か繰り返し、端部T1の半周にわたる測定が終了したときに、ステップS25に移行して測定外径dが目標外径d未満である場合(NO)には、ステップS26に移行する。
ステップS26では、RAMに記憶された中心角θに対応する荷重値Wを、例えば150である塑性変形荷重値に設定する。
そして、ステップS26を終了し、ステップS75に移行する。
ステップS75では、直前のステップS72で測定された中心角θが180°の場合に対する測定曲率半径r、RAMから読み出された0°である中心角θに対する測定曲率半径r、そして、(2)式および(3)式に基づいて、ずれ量δ、δが算出される。中心角θは対称位置P12に対応し、中心角θは基準位置P11に対応している。中心角θに対応する測定曲率半径rの方が大きく測定されていて、ステップS76でずれ量δがずれ量δ未満である(NO)と判断されてステップS78に移行する。
ステップS78では、中心角θに対する荷重値Wが(4)式に基づいて増加した値に設定し直される。
予備測定工程S70を終了し、ステップS30に移行する。
ステップS30では、一部の中心角θに対して測定外径dが目標外径d未満である(NO)と判断され、ステップS80の矯正工程に移行する。
矯正工程S80では、中心角θが0°である場合に対する荷重値Wが増加した値に設定し直されたため、この場合のステップS23において、図17に示すように、基準位置P11が大きく塑性変形する塑性変形荷重値が作用される。このため、基準位置P11における矯正が迅速に行われる。このとき、基準位置P11は、矢印A1のようにケーシング10の内周面10a側に変位し、対称位置P12は、矢印A2のように基準位置P11から離間するように変位する。この結果、位置P11、P12により規定される端部T1の外径が大きくなる。
一方で、中心角θが180°である場合に対するステップS23では、図18に示すように対称位置P12に塑性変形荷重値が作用される。ここで対称位置P12に作用する荷重は、前述の基準位置P11に作用させた塑性変形荷重値より小さいものとなる。このため、対称位置P12は塑性変形するが、その変形量は基準位置P11における変形量より小さいものとなる。
以上説明したように、本実施形態の管材矯正方法によれば、矯正に要する時間を短くするとともに矯正により端部T1の外径が大きくなるのを抑えることができる。
さらに、予備測定工程S70において、軸線C1に対して対称となる位置に配置された基準位置P11、対称位置P12に対して、目標半径rに対する測定曲率半径rのずれ量が大きな基準位置P11の荷重値Wをδに応じて増加させる。目標半径rからのずれ量が大きい基準位置P11を重点的に矯正することで、端部T1の真円度をより効果的に矯正することができる。
なお、本実施形態では、中心角θに対して荷重値Wを設定し直す式は、ずれ量δの大きさに応じて荷重値Wを増加させるものであれば、(4)式以外にも所望の式を用いることができる。中心角θに対する式も同様に、(5)式以外にも所望の式を用いることができる。
また、管材Tの端部T1において、基準位置P11における曲率半径rが目標半径rより小さい場合でも、上記管材矯正方法により端部T1の基準位置P11を効果的に矯正することができる。
以上、本発明の第1実施形態および第2実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更なども含まれる。さらに、各実施形態で示した構成のそれぞれを適宜組み合わせて利用できることは、言うまでもない。
たとえば、前記第1実施形態および第2実施形態では、図19に示すように、管材Tの端部T2が、軸線C1に対して直交せずに傾いた平面により切断された形状に形成され、いわゆる切り管となっている場合がある。この場合、端部T2の先端の軸線C1方向の位置は、管材Tの周方向により異なることになる。
この場合、上述の管材矯正方法を以下の工程にて行うことが好ましい。
予備測定工程において、ラインセンサ39で、軸線C1方向において、端部T2の上端部からケーシング10までの長さL12を測定する。ケーシング10の厚さである長さLは既知の値であるため、側方から見たときに、ケーシング10に端部T2の上端部が重なる長さL13が求まる。この長さL13は中心角θを180°ずらすと、前述の当接領域Nの軸線C1方向の長さである測定当接長さL14となる。このように、予備測定工程において端部T2の全周にわたり測定当接長さL14を求めておく。
そして、予備測定工程と、この予備測定工程に続いて行われる矯正工程との間、さらに、矯正工程間に行われる荷重調節工程で、中心角θに対して設定された荷重値Wを設定し直す。具体的には、中心角θに対して設定されていた荷重値Wを、中心角θに対する測定当接長さL14を用いて、(6)式に示される値に設定し直す。なお、Lは測定当接長さL14の全周にわたる平均値である。
W×(L14/L) ・・(6)
このように、荷重調節工程で、中心角θに対する荷重値Wを、中心角θに対する測定当接長さL14に比例する値を乗じた値に設定し直す。
このような工程とされた管材矯正方法によれば、端部T2の周方向の位置により、当接領域Nの軸線C1方向の長さが異なる場合であっても、当接領域Nにおける軸線C1方向の単位長さ当たりに作用する荷重が等しくなる。したがって、管材Tの端部T2を周方向により均一に矯正することができる。
前記実施形態では、形状測定部としてラインセンサ39を用いた。しかし、形状測定部はこれに限ることなく、例えば、ケーシング10および管材Tの端部の画像を撮像する撮像部と、この画像から管材Tの端部の外径や曲率半径を算出する演算部とで構成してもよい。
また、端部の外径や曲率半径を、ケーシング10の軸線C2を挟んで当接領域Nと対称となる位置で測定した。しかし、外径や曲率半径を測定する位置はこれに限定されず、内周側ローラ15やケーシング10に干渉しない位置であれば、所望の位置で測定することができる。
また、前記各実施形態の管材矯正装置では、油圧ジャッキ30に代えて、ケーシング10の内周面10aに内周側ローラ15を近づけるように移動させる押圧手段を備えてもよい。
軸領域を端部T1とした。しかし、内周側ローラ15およびケーシング10を管材Tの軸線C1方向における中央部に配置することで、軸領域を管材Tの軸線C1方向における中央部とすることができる。
前記第1実施形態では、予備測定工程S20または矯正工程S40で、半周にわたり測定した端部T1の測定外径dの少なくとも1つが目標外径d以上となったときに、矯正を終了させてもよい。これは、第2実施形態でも同様であり、予備測定工程S70または矯正工程S80で、全周にわたり測定した端部T1の測定外径dの少なくとも1つが目標外径d以上となったときに、矯正を終了させてもよい。
このような管材矯正方法とすることで、管材Tの端部T1を矯正するのに要する時間を低減させ、生産性を向上させることができる。
10 ケーシング
10a 内周面
15 内周側ローラ
C1、C2 軸線
測定外径
14 測定当接長さ
N 当接領域
P11 基準位置
P12 対称位置
r 曲率半径
目標半径
測定曲率半径
S10 配置工程
S20、S70 予備測定工程
S40、S80 矯正工程
W 荷重値
T 管材
T1、T2 端部(軸領域)

Claims (4)

  1. 管材の軸線方向における少なくとも一部である軸領域の真円度を矯正する管材矯正方法であって、
    リング状に形成されたケーシングの内周面を前記管材の前記軸領域の外周面に対向させて前記ケーシングを前記管材の外周に配置させるとともに、内周側ローラの外周面を前記軸領域の内周面に当接させて前記内周側ローラを前記管材の内周に配置させる配置工程と、
    前記管材と前記内周側ローラとを前記ケーシングの軸線周りに回転させつつ、前記軸領域の外径を測定して測定外径を求めることで、前記軸領域の半周にわたり、前記測定外径を求めるとともに、前記ケーシングの内周面と前記内周側ローラとを近づける力の大きさである荷重値を前記測定外径に基づいて設定する予備測定工程と、
    を備え、
    前記軸領域の周方向の所定位置に対して設定された前記荷重値となる荷重を前記ケーシングの内周面と前記内周側ローラとを近づけることで前記所定位置に作用させた状態で、前記管材と前記内周側ローラとを前記軸線周りに前記軸領域の半周にわたり回転させて前記ケーシングの内周面を矯正型面として前記所定位置を塑性変形させつつ、前記軸領域の外径を測定して測定外径を求め、前記荷重値を前記測定外径に基づいて設定し直す矯正工程を規定したときに、
    前記予備測定工程で半周にわたり測定した前記測定外径がいずれも目標外径以上となるか、前記矯正工程で半周にわたり測定した前記測定外径がいずれも前記目標外径以上となるまで、前記予備測定工程の後で、前記矯正工程を繰り返すことを特徴とする管材矯正方法。
  2. 前記予備測定工程および前記矯正工程では、
    前記測定外径が前記目標外径以上となった前記軸領域の前記周方向の位置に対しては、前記荷重値を前記軸領域が塑性変形せず弾性変形のみとなる大きさに設定し、かつ、前記測定外径が前記目標外径より小さくとなった前記軸領域の前記周方向の位置に対しては、前記荷重値を前記軸領域が塑性変形する大きさに設定することを特徴とする請求項1に記載の管材矯正方法。
  3. 前記予備測定工程および前記矯正工程では、前記軸領域の外周面における曲率半径を測定して測定曲率半径を求めることで、前記軸領域の全周にわたり前記測定曲率半径を求め、
    前記目標外径を2で除した数を目標半径としたときに、
    前記予備測定工程および前記矯正工程では、前記測定外径が前記目標外径より小さくなった前記軸領域の前記周方向の位置である基準位置に対しては、前記管材の軸線に対して前記基準位置とは対称の位置となる対称位置を規定し、さらに、前記基準位置における前記測定曲率半径と前記目標半径との差の絶対値の方が前記対称位置における前記測定曲率半径と前記目標半径との差の絶対値よりも大きいとしたときに、
    前記基準位置に対する前記荷重値を、前記基準位置における前記測定曲率半径と前記目標半径との差の絶対値に応じて増加させることを特徴とする請求項2に記載の管材矯正方法。
  4. 前記予備測定工程および前記矯正工程では、前記軸領域において外周面に前記ケーシングが当接し、かつ、内周面に前記内周側ローラが当接する領域の前記軸線方向の長さを測定して測定当接長さを求めることで、前記軸領域の全周にわたり前記測定当接長さを求め、
    前記矯正工程で前記軸領域の前記周方向の所定位置に対して設定された前記荷重値を、前記所定位置に対する前記測定当接長さに比例する値を乗じた値に設定し直すことを特徴とする請求項2または3に記載の管材矯正方法。
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