以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態及び実施例を説明することにより本発明を明らかにする。
(絶縁性粒子付き導電性粒子)
図1に、本発明の第1の実施形態に係る絶縁性粒子付き導電性粒子を断面図で示す。
図1に示す絶縁性粒子付き導電性粒子1は、導電性粒子2と、複数の第1の絶縁性粒子3と、複数の第2の絶縁性粒子4とを備える。
導電性粒子2は、導電部12を少なくとも表面に有する。第1の絶縁性粒子3は、導電性粒子2の表面上に配置されている。複数の第2の絶縁性粒子4の内の少なくとも一部は、導電性粒子2に接触しないように、第1の絶縁性粒子3の表面上に配置されている。複数の第2の絶縁性粒子4の内の少なくとも一部は、導電性粒子2における導電部12に接触しないように、第1の絶縁性粒子3の表面上に配置されている。複数の第2の絶縁性粒子4の内の少なくとも一部が、導電性粒子2に接触するように、第1の絶縁性粒子3の表面上に配置されていてもよい。複数の第2の絶縁性粒子4の全部が、導電性粒子2に接触しないように、第1の絶縁性粒子3の表面上に配置されていてもよい。
複数の第1の絶縁性粒子3は、導電性粒子2の表面に接触しており、導電性粒子2の表面に付着している。複数の第1の絶縁性粒子3は、導電性粒子2における導電部12の外表面に接触しており、導電部12の外表面に付着している。第1の絶縁性粒子3の表面上に配置されている第2の絶縁性粒子4は、第1の絶縁性粒子3の表面に接触しており、第1の絶縁性粒子3の表面に付着している。
導電性粒子2は、基材粒子11と、基材粒子11の表面上に配置された導電部12とを有する。導電部12は導電層である。導電部12は、基材粒子11の表面を覆っている。導電性粒子2は、基材粒子11の表面が導電部12により被覆された被覆粒子である。導電性粒子2は表面に導電部12を有する。
第1の絶縁性粒子3及び第2の絶縁性粒子4はそれぞれ、絶縁性を有する材料により形成されている。本実施形態では、第2の絶縁性粒子4の平均粒子径は、第1の絶縁性粒子3の平均粒子径よりも小さい。
図2に、本発明の第2の実施形態に係る絶縁性粒子付き導電性粒子を断面図で示す。
図2に示す絶縁性粒子付き導電性粒子21は、導電性粒子22と、複数の第1の絶縁性粒子3と、複数の第2の絶縁性粒子4とを備える。
導電性粒子22は、導電部26を少なくとも表面に有する。第1の絶縁性粒子3は、導電性粒子22の表面上に配置されている。複数の第2の絶縁性粒子4の内の少なくとも一部は、導電性粒子22に接触しないように、第1の絶縁性粒子3の表面上に配置されている。
絶縁性粒子付き導電性粒子1と絶縁性粒子付き導電性粒子21とでは、導電性粒子2,22のみが異なる。導電性粒子22は、基材粒子11と、基材粒子11の表面上に配置された導電部26とを有する。導電性粒子22は、基材粒子11の表面上に複数の芯物質27を有する。導電部26は、基材粒子11と芯物質27とを被覆している。芯物質27を導電部26が被覆していることにより、導電性粒子22は表面に、複数の突起28を有する。芯物質27により導電部26の表面が隆起されており、複数の突起28が形成されている。
図3に、本発明の第3の実施形態に係る絶縁性粒子付き導電性粒子を断面図で示す。
図3に示す絶縁性粒子付き導電性粒子31は、導電性粒子32と、複数の第1の絶縁性粒子3と、複数の第2の絶縁性粒子4とを備える。
導電性粒子32は、導電部36を少なくとも表面に有する。第1の絶縁性粒子3は、導電性粒子32の表面上に配置されている。複数の第2の絶縁性粒子4の内の少なくとも一部は、導電性粒子32に接触しないように、第1の絶縁性粒子3の表面上に配置されている。
絶縁性粒子付き導電性粒子21と絶縁性粒子付き導電性粒子31とでは、導電性粒子22,32のみが異なる。導電性粒子32は、基材粒子11と、基材粒子11の表面上に配置された導電部36とを有する。導電性粒子22は芯物質27を有するが、導電性粒子32は芯物質を有さない。導電部36は、第1の部分と、該第1の部分よりも厚みが厚い第2の部分とを有する。導電性粒子32は表面に複数の突起37を有する。複数の突起37を除く部分が、導電部36における上記第1の部分である。複数の突起37は、導電部36の厚みが厚い上記第2の部分である。
図4に、本発明の第4の実施形態に係る絶縁性粒子付き導電性粒子を断面図で示す。
図4に示す絶縁性粒子付き導電性粒子41は、導電性粒子2と、複数の第1の絶縁性粒子3と、複数の第2の絶縁性粒子4とを備える。
絶縁性粒子付き導電性粒子1と絶縁性粒子付き導電性粒子41とでは、複数の第2の絶縁性粒子4の配置箇所のみが異なる。絶縁性粒子付き導電性粒子41では、絶縁性粒子付き導電性粒子1と比べて、導電性粒子2及び導電部12に接触しないように第1の絶縁性粒子3の表面上に配置されている第2の絶縁性粒子4の個数が相対的に少ない。絶縁性粒子付き導電性粒子41では、絶縁性粒子付き導電性粒子1と比べて、第1の絶縁性粒子3に接触しないように導電性粒子2及び導電部12に接触している第2の絶縁性粒子4の個数が相対的に多い。このように、導電性粒子2に接触しないように第1の絶縁性粒子3の表面上に配置されている第2の絶縁性粒子4の個数や、第1の絶縁性粒子3に接触しないように導電性粒子2及び導電部12に接触している第2の絶縁性粒子4の個数は、適宜変更可能である。
絶縁性粒子付き導電性粒子1,21,31,41ではいずれも、複数の第2の絶縁性粒子4の内の少なくとも一部が、導電性粒子2,22,32に接触しないように、第1の絶縁性粒子3の表面上に配置されている。このため、絶縁性粒子付き導電性粒子1,21,31,41を用いて上下の電極間を電気的に接続すると、接続されてはならない横方向に隣接する電極間が電気的に接続されるのを抑制できる。すなわち、絶縁信頼性を高めることができる。なお、通常、導電接続時には、第1,第2の絶縁性粒子3,4の脱離に影響する大きな力が付与される結果、第1,第2の絶縁性粒子3,4が脱離して、露出した導電性粒子2,22,32が電極に接触する。
さらに、導電接続前に、衝撃により、導電性粒子の表面から第1の絶縁性粒子が意図せずに脱離するのを効果的に防ぐこともできる。例えば、絶縁性粒子付き導電性粒子をバインダー樹脂中に分散させる際に、導電性粒子の表面から、第1の絶縁性粒子が脱離するのを抑制できる。さらに、複数の絶縁性粒子付き導電性粒子が接触したときに、接触時の衝撃により、導電性粒子の表面から第1の絶縁性粒子が脱離し難くなる。また、絶縁性粒子付き導電性粒子を用いて上下の電極間を電気的に接続して接続構造体を得ることにより、接続構造体に衝撃が加わっても、第1の絶縁性粒子の意図しない脱離が抑えられるので、隣接する電極間が電気的に接続されるのを抑制でき、十分な絶縁信頼性を確保できる。
絶縁信頼性及び衝撃に対する絶縁信頼性をより一層高める観点からは、上記第2の絶縁性粒子の平均粒子径が、上記第1の絶縁性粒子の平均粒子径よりも小さいことが好ましい。上記第2の絶縁性粒子の平均粒子径は、上記第1の絶縁性粒子の平均粒子径の9/10以下であることが好ましく、4/5以下であることがより好ましく、2/3以下であることが更に好ましく、1/2以下であることが特に好ましい。上記第2の絶縁性粒子の平均粒子径は、上記第1の絶縁性粒子の平均粒子径の1/30以上であることが好ましく、1/20以上であることがより好ましく、1/10以上であることが更に好ましい。
上記第1,第2の絶縁性粒子の「平均粒子径」はそれぞれ、数平均粒子径を示す。上記第1,第2の絶縁性粒子の平均粒子径は、任意の導電性粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することにより求められる。
絶縁信頼性及び衝撃に対する絶縁信頼性をより一層高める観点からは、導電性粒子に接触しないように、第1の絶縁性粒子の表面上に配置されている第2の絶縁性粒子の個数は、多い方が好ましい。第2の絶縁性粒子の全個数の内の10%以上が、導電性粒子に接触しないように、第1の絶縁性粒子の表面上に配置されていることが好ましい。導電性粒子に接触しないように第1の絶縁性粒子の表面上に配置されている第2の絶縁性粒子の個数の割合X1は、より好ましくは20%以上、更に好ましくは30%以上、特に好ましくは40%以上、最も好ましくは50%以上である。なお、第2の絶縁性粒子の全個数は、導電性粒子1個当たりが有する第2の絶縁性粒子の個数を示す。
絶縁信頼性及び衝撃に対する絶縁信頼性をより一層高める観点からは、複数の第2の絶縁性粒子の内の少なくとも一部が、第1の絶縁性粒子における導電性粒子側とは反対の表面上に配置されていることが好ましい。すなわち、第2の絶縁性粒子は、導電性粒子から十分な距離を隔てて配置されていることが好ましい。第1の絶縁性粒子における導電性粒子側とは反対の表面上に配置されている第2の絶縁性粒子は、例えばクッション性を付与する役割を果たす。第1の絶縁性粒子における導電性粒子側とは反対の表面とは、第1の絶縁性粒子における表面積を2等分したときに、第1の絶縁性粒子における導電性粒子側とは反対側に位置する半分の表面積部分をいう。
絶縁信頼性及び衝撃に対する絶縁信頼性をより一層高める観点からは、第2の絶縁性粒子の全個数の内、第1の絶縁性粒子における導電性粒子側とは反対の表面上に配置されている第2の絶縁性粒子の個数は、多い方が好ましい。複数の第2の絶縁性粒子の内の全個数の内の5%以上が、第1の絶縁性粒子における導電性粒子側とは反対の表面上に配置されていることが好ましい。第1の絶縁性粒子における導電性粒子側とは反対の表面上に配置されている第2の絶縁性粒子の個数の割合X2は、より好ましくは5%以上、更に好ましくは10%以上、特に好ましくは15%以上、最も好ましくは20%以上である。
絶縁性をより一層高める観点からは、第2の絶縁性粒子の全個数の内、第1の絶縁性粒子に接触しないように導電性粒子及び導電部に接触している第2の絶縁性粒子の個数の割合X3は、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、更に好ましくは15%以上である。
導通信頼性、絶縁信頼性及び衝撃に対する絶縁信頼性をより一層高める観点からは、上記導電性粒子1個当たりの、上記導電性粒子の表面上に配置されている上記第1の絶縁性粒子の平均個数Y1は好ましくは1個以上、より好ましくは2個以上、更に好ましくは3個以上、特に好ましくは5個以上、最も好ましくは10個以上、好ましくは100個以下、より好ましくは50個以下、更に好ましくは10個以下である。
導通信頼性、絶縁信頼性及び衝撃に対する絶縁信頼性をより一層高める観点からは、上記第1の絶縁性粒子1個当たりの、上記第1の絶縁性粒子の表面上に配置されている上記第2の絶縁性粒子の平均個数Y2は好ましくは1個以上、より好ましくは2個以上、更に好ましくは3個以上、好ましくは100個以下、より好ましくは50個以下、更に好ましくは10個以下である。
絶縁信頼性及び衝撃に対する絶縁信頼性をより一層高める観点からは、上記第1の絶縁性粒子の表面に、化学結合を介して、上記第2の絶縁性粒子が付着していることが好ましい。
衝撃により、導電性粒子の表面から第1の絶縁性粒子が意図せずに脱離するのをより一層抑制する観点からは、上記導電性粒子の表面に、化学結合を介して、上記第1の絶縁性粒子が付着していることが好ましい。また、上記導電性粒子の表面に、化学結合を介して、上記第1の絶縁性粒子が付着していると、接続構造体の絶縁信頼性がより一層高くなる。
電極間の導通信頼性を高める観点からは、上記導電性粒子は、上記導電部の外表面に突起を有することが好ましい。一般に、導電部の外表面に突起がある導電性粒子では、該突起が大きいほど、絶縁信頼性が低下する傾向がある。本発明に係る絶縁性粒子付き導電性粒子では、上記第1,第2の絶縁性粒子が備えられているので、たとえ突起が大きくても、絶縁信頼性を充分に確保できる。
絶縁信頼性及び衝撃に対する絶縁信頼性をより一層高める観点からは、上記第2の絶縁性粒子の平均粒子径は、上記突起の平均高さの好ましくは0.5倍以上、より好ましくは1倍以上、好ましくは3倍以下、より好ましくは2倍以下である。
上記突起の平均高さは、複数の突起の高さの平均値を示し、突起の高さは、導電性粒子の中心と突起の先端とを結ぶ線(図2に示す破線L1)上における、突起が無いと想定した場合の導電層の仮想線(図2に示す破線L2)上(突起が無いと想定した場合の球状の導電性粒子の外表面上)から突起の先端までの距離を示す。すなわち、図2においては、破線L1と破線L2との交点から突起の先端までの距離を示す。
以下、絶縁性粒子付き導電性粒子における導電性粒子、第1の絶縁性粒子及び第2の絶縁性粒子の詳細を説明する。
[導電性粒子]
上記導電性粒子は、少なくとも表面に導電部を有していればよい。該導電部は導電層であることが好ましい。導電性粒子は、基材粒子と、基材粒子の表面上に配置された導電層を有する導電性粒子であってもよく、全体が導電部である金属粒子であってもよい。なかでも、コストを低減したり、導電性粒子の柔軟性を高くして、電極間の導通信頼性を高めたりする観点からは、基材粒子と、基材粒子の表面上に配置された導電部とを有する導電性粒子が好ましい。
上記基材粒子としては、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子及び金属粒子等が挙げられる。上記基材粒子はコアシェル粒子であってもよい。なかでも、上記基材粒子は、金属粒子を除く基材粒子であることが好ましく、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であることがより好ましい。
上記基材粒子は、樹脂により形成された樹脂粒子であることが好ましい。絶縁性粒子付き導電性粒子を用いて電極間を接続する際には、絶縁性粒子付き導電性粒子を電極間に配置した後、圧着することにより絶縁性粒子付き導電性粒子を圧縮させる。基材粒子が樹脂粒子であると、上記圧着の際に導電性粒子が変形しやすく、導電性粒子と電極との接触面積が大きくなる。このため、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
上記樹脂粒子を形成するための樹脂として、種々の有機物が好適に用いられる。上記樹脂粒子を形成するための樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン樹脂;ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂、ポリアルキレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、及び、エチレン性不飽和基を有する種々の重合性単量体を1種もしくは2種以上重合させて得られる重合体等が挙げられる。基材粒子の硬度を好適な範囲に容易に制御できるので、上記樹脂粒子を形成するための樹脂は、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体であることが好ましい。
上記樹脂粒子を、エチレン性不飽和基を有する単量体を重合させて得る場合には、該エチレン性不飽和基を有する単量体としては、非架橋性の単量体と架橋性の単量体とが挙げられる。
上記非架橋性の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、グリシジル
(メタ)アクリレート等の酸素原子含有(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル含有単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル等のビニルエーテル類;酢酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の酸ビニルエステル類;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン等の不飽和炭化水素;トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート、塩化ビニル、フッ化ビニル、クロルスチレン等のハロゲン含有単量体等が挙げられる。
上記架橋性の単量体としては、例えば、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレンジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類;トリアリル(イソ)シアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、ジアリルエーテル、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、ビニルトリメトキシシラン等のシラン含有単量体等が挙げられる。
上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を、公知の方法により重合させることで、上記樹脂粒子を得ることができる。この方法としては、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下で懸濁重合する方法、並びに非架橋の種粒子を用いてラジカル重合開始剤とともに単量体を膨潤させて重合する方法等が挙げられる。
上記基材粒子が金属を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子である場合には、基材粒子を形成するための無機物としては、シリカ及びカーボンブラック等が挙げられる。上記シリカにより形成された粒子としては特に限定されないが、例えば、加水分解性のアルコキシシル基を2つ以上有するケイ素化合物を加水分解して架橋重合体粒子を形成した後に、必要に応じて焼成を行うことにより得られる粒子が挙げられる。上記有機無機ハイブリッド粒子としては、例えば、架橋したアルコキシシリルポリマーとアクリル樹脂とにより形成された有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。
上記基材粒子が金属粒子である場合に、該金属粒子を形成するための金属としては、銀、銅、ニッケル、ケイ素、金及びチタン等が挙げられる。但し、上記基材粒子は金属粒子ではないことが好ましい。
上記導電部を形成するための金属は特に限定されない。さらに、導電性粒子が、全体が導電部である金属粒子である場合、該金属粒子を形成するための金属は特に限定されない。該金属としては、例えば、金、銀、パラジウム、銅、白金、亜鉛、鉄、錫、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、タリウム、ゲルマニウム、カドミウム、ケイ素及びこれらの合金等が挙げられる。また、上記金属としては、錫ドープ酸化インジウム(ITO)及びはんだ等が挙げられる。なかでも、電極間の接続抵抗がより一層低くなるので、錫を含む合金、ニッケル、パラジウム、銅又は金が好ましく、ニッケル又はパラジウムが好ましい。上記導電部の融点は、好ましくは300℃以上、より好ましくは450℃以上である。上記導電部は、はんだではない導電部であってもよい。
なお、導電部の表面には、酸化により水酸基が存在することが多い。一般的に、ニッケ
ルにより形成された導電部の表面には、酸化により水酸基が存在する。このような水酸基を有する導電部の表面(導電性粒子の表面)に、化学結合を介して、第1の絶縁性粒子を付着させることができる。
上記導電層は、1つの層により形成されていてもよい。導電層は、複数の層により形成されていてもよい。すなわち、導電層は、2層以上の積層構造を有していてもよい。導電層が複数の層により形成されている場合には、最外層は、金層、ニッケル層、パラジウム層、銅層又は錫と銀とを含む合金層であることが好ましく、金層であることがより好ましい。最外層がこれらの好ましい導電層である場合には、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。また、最外層が金層である場合には、耐腐食性がより一層高くなる。
上記基材粒子の表面に導電層を形成する方法は特に限定されない。導電層を形成する方法としては、例えば、無電解めっきによる方法、電気めっきによる方法、物理的蒸着による方法、並びに金属粉末もしくは金属粉末とバインダーとを含むペーストを基材粒子の表面にコーティングする方法等が挙げられる。なかでも、導電層の形成が簡便であるので、無電解めっきによる方法が好ましい。上記物理的蒸着による方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング及びイオンスパッタリング等の方法が挙げられる。
上記導電性粒子の平均粒子径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、好ましくは500μm以下、より好ましくは100μm以下、更に好ましくは50μm以下、特に好ましくは20μm以下である。導電性粒子の平均粒子径が上記下限以上及び上記上限以下であると、絶縁性粒子付き導電性粒子を用いて電極間を接続した場合に、導電性粒子と電極との接触面積を充分に大きくなり、かつ導電層を形成する際に凝集した導電性粒子が形成されにくくなる。また、導電性粒子を介して接続された電極間の間隔が大きくなりすぎず、かつ導電層が基材粒子の表面から剥離し難くなる。
上記導電性粒子の「平均粒子径」は、数平均粒子径を示す。導電性粒子の平均粒子径は、任意の導電性粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することにより求められる。
上記導電層の厚みは、好ましくは0.005μm以上、より好ましくは0.01μm以上、好ましくは10μm以下、より好ましくは1μm以下、更に好ましくは0.3μm以下である。導電層の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、充分な導電性が得られ、かつ導電性粒子が硬くなりすぎずに、電極間の接続の際に導電性粒子が充分に変形する。
上記導電層が複数の層により形成されている場合に、最外層の導電層の厚みは、特に最外層が金層である場合の金層の厚みは、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.01μm以上、好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.1μm以下である。上記最外層の導電層の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、最外層の導電層による被覆が均一になり、耐腐食性が充分に高くなり、かつ電極間の接続抵抗が充分に低くなる。また、上記最外層が金層である場合の金層の厚みが薄いほど、コストが低くなる。
上記導電層の厚みは、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、導電性粒子又は絶縁性粒子付き導電性粒子の断面を観察することにより測定できる。
導電性粒子は、導電部の外表面に突起を有することが好ましく、該突起は複数であることが好ましい。絶縁性粒子付き導電性粒子により接続される電極の表面には、酸化被膜が形成されていることが多い。導電部の表面に突起を有する絶縁性粒子付き導電性粒子を用いた場合には、電極間に絶縁性粒子付き導電性粒子を配置して圧着させることにより、突
起により上記酸化被膜を効果的に排除できる。このため、電極と導電部とがより一層確実に接触し、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。さらに、電極間の接続時に、導電性粒子の突起によって、導電性粒子と電極との間の絶縁性粒子を効果的に排除できる。このため、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
導電性粒子の表面に突起を形成する方法としては、基材粒子の表面に芯物質を付着させた後、無電解めっきにより導電層を形成する方法、並びに基材粒子の表面に無電解めっきにより導電層を形成した後、芯物質を付着させ、更に無電解めっきにより導電層を形成する方法等が挙げられる。上記突起を形成する他の方法としては、基材粒子の表面上に、第1の導電層を形成した後、該第1の導電層上に芯物質を配置し、次に第2の導電層を形成する方法、並びに基材粒子の表面上に導電層を形成する途中段階で、芯物質を添加する方法等が挙げられる。
基材粒子の表面に芯物質を付着させる方法としては、例えば、基材粒子の分散液中に、芯物質を添加し、基材粒子の表面に芯物質を、例えば、ファンデルワールス力により集積させ、付着させる方法、並びに基材粒子を入れた容器に、芯物質を添加し、容器の回転等による機械的な作用により基材粒子の表面に芯物質を付着させる方法等が挙げられる。なかでも、付着させる芯物質の量を制御しやすいため、分散液中の基材粒子の表面に芯物質を集積させ、付着させる方法が好ましい。
上記導電性粒子は、基材粒子の表面上に第1の導電層を有し、かつ該第1の導電層上に第2の導電層を有していてもよい。この場合に、第1の導電層の表面に芯物質を付着させてもよい。芯物質は第2の導電層により被覆されていることが好ましい。上記第1の導電層の厚みは、好ましくは0.05μm以上、好ましくは0.5μm以下である。導電性粒子は、基材粒子の表面上に第1の導電層を形成し、次に該第1の導電層の表面上に芯物質を付着させた後、第1の導電層及び芯物質の表面上に第2の導電層を形成することにより得られていることが好ましい。
上記芯物質を構成する物質としては、導電性物質及び非導電性物質が挙げられる。上記導電性物質としては、例えば、金属、金属の酸化物、黒鉛等の導電性非金属及び導電性ポリマー等が挙げられる。上記導電性ポリマーとしては、ポリアセチレン等が挙げられる。上記非導電性物質としては、シリカ、アルミナ及びジルコニア等が挙げられる。なかでも、導電性が高くなるので、金属が好ましい。
上記金属としては、例えば、金、銀、銅、白金、亜鉛、鉄、鉛、錫、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム及びカドミウム等の金属、並びに錫−鉛合金、錫−銅合金、錫−銀合金、錫−鉛−銀合金及び炭化タングステン等の2種類以上の金属で構成される合金等が挙げられる。なかでも、ニッケル、銅、銀又は金が好ましい。上記芯物質を構成する金属は、上記導電部(導電層)を構成する金属と同じであってもよく、異なっていてもよい。
上記芯物質の形状は特に限定されない。芯物質の形状は塊状であることが好ましい。芯物質としては、例えば、粒子状の塊、複数の微小粒子が凝集した凝集塊、及び不定形の塊等が挙げられる。
上記芯物質の平均径(平均粒子径)は、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.05μm以上、好ましくは0.9μm以下、より好ましくは0.2μm以下である。上記芯物質の平均径が上記下限以上及び上限以下であると、電極間の接続抵抗が効果的に低くなる。
上記芯物質の「平均径(平均粒子径)」は、数平均径(数平均粒子径)を示す。芯物質の平均径は、任意の芯物質50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することにより求められる。
上記導電性粒子1個当たりの上記の突起は、好ましくは3個以上、より好ましくは5個以上である。上記突起の数の上限は特に限定されない。突起の数の上限は導電性粒子の粒子径等を考慮して適宜選択できる。
(第1,第2の絶縁性粒子)
上記第1,第2の絶縁性粒子は、絶縁性を有する粒子である。上記第1,第2の絶縁性粒子はそれぞれ、導電性粒子よりも小さい。絶縁性粒子付き導電性粒子を用いて電極間を接続すると、上記第1,第2の絶縁性粒子により、隣接する電極間の短絡を防止できる。具体的には、複数の絶縁性粒子付き導電性粒子が接触したときに、複数の絶縁性粒子付き導電性粒子における導電性粒子間には上記第1,第2の絶縁性粒子が存在するので、上下の電極間ではなく、横方向に隣り合う電極間の短絡を防止できる。なお、電極間の接続の際に、2つの電極で絶縁性粒子付き導電性粒子を加圧することにより、導電部と電極との間の上記第1,第2の絶縁性粒子を容易に排除できる。導電性粒子の表面に突起が設けられている場合には、導電部と電極との間の上記第1,第2の絶縁性粒子をより一層容易に排除できる。
上記第1,第2の絶縁性粒子を構成する材料としては、絶縁性の樹脂、及び絶縁性の無機物等が挙げられる。上記絶縁性の樹脂としては、基材粒子として用いることが可能な樹脂粒子を形成するための樹脂として挙げた上記樹脂が挙げられる。上記絶縁性の無機物としては、基材粒子として用いることが可能な無機粒子を形成するための無機物として挙げた上記無機物が挙げられる。
上記第1,第2の絶縁性粒子の材料である絶縁性樹脂の具体例としては、ポリオレフィン類、(メタ)アクリレート重合体、(メタ)アクリレート共重合体、ブロックポリマー、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂の架橋物、熱硬化性樹脂及び水溶性樹脂等が挙げられる。
上記ポリオレフィン類としては、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。上記(メタ)アクリレート重合体としては、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート及びポリブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記ブロックポリマーとしては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、SB型スチレン−ブタジエンブロック共重合体、及びSBS型スチレン−ブタジエンブロック共重合体、並びにこれらの水素添加物等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、ビニル重合体及びビニル共重合体等が挙げられる。上記熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びメラミン樹脂等が挙げられる。上記水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド及びメチルセルロース等が挙げられる。なかでも、水溶性樹脂が好ましく、ポリビニルアルコールがより好ましい。
圧着時の上記第1,第2の絶縁性粒子の脱離性をより一層高める観点からは、上記第1,第2の絶縁性粒子はそれぞれ、無機粒子であることが好ましく、シリカ粒子であることが好ましい。
上記無機粒子としては、シラス粒子、ハイドロキシアパタイト粒子、マグネシア粒子、酸化ジルコニウム粒子及びシリカ粒子等が挙げられる。上記シリカ粒子としては、粉砕シリカ、球状シリカが挙げられる。球状シリカを用いることが好ましい。また、シリカ粒子
は表面に、例えばカルボキシル基、水酸基等の化学結合可能な官能基を有することが好ましく、水酸基を有することがより好ましい。無機粒子は比較的硬く、特にシリカ粒子は比較的硬い。このような硬い絶縁性粒子を備える絶縁性粒子付き導電性粒子を用いた場合には、絶縁性粒子付き導電性粒子とバインダー樹脂とを混練する際に、導電性粒子の表面から、硬い絶縁性粒子が脱離しやすい傾向がある。これに対して、本発明に係る絶縁性粒子付き導電性粒子を用いた場合には、硬い第1の絶縁性粒子を用いたとしても、上記混練の際に、第2の絶縁性粒子によって第1の絶縁性粒子が脱離するのを抑制できる。上記第2の絶縁性粒子は、例えばクッション性を付与する役割を果たす。
上記第1の絶縁性粒子の表面に、化学結合を介して、上記第2の絶縁性粒子が付着していることが好ましい。上記導電性粒子の表面に、化学結合を介して、上記第1の絶縁性粒子が付着していることが好ましい。この化学結合には、共有結合、水素結合、イオン結合及び配位結合等が含まれる。なかでも、共有結合が好ましく、反応性官能基を用いた化学的結合が好ましい。
上記化学結合を形成する反応性官能基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、シラン基、シラノール基、カルボキシル基、アミノ基、アンモニウム基、ニトロ基、水酸基、カルボニル基、チオール基、スルホン酸基、スルホニウム基、ホウ酸基、オキサゾリン基、ピロリドン基、リン酸基及びニトリル基等が挙げられる。中でも、ビニル基、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
第1の絶縁性粒子の脱離をより一層抑制し、接続構造体における絶縁信頼性をより一層高める観点からは、上記第1の絶縁性粒子として、反応性官能基を表面に有する絶縁性粒子を用いることが好ましい。絶縁性粒子の脱離をより一層抑制し、接続構造体における絶縁信頼性をより一層高める観点からは、上記第1の絶縁性粒子として、反応性官能基を有する化合物を用いて表面処理された第1の絶縁性粒子を用いることが好ましい。また、絶縁信頼性をより一層高める観点からは、上記第2の絶縁性粒子として、反応性官能基を表面に有する絶縁性粒子を用いることが好ましい。絶縁信頼性をより一層高める観点からは、上記第2の絶縁性粒子として、反応性官能基を有する化合物を用いて表面処理された第2の絶縁性粒子を用いることが好ましい。
上記第1,第2の絶縁性粒子の表面に導入可能な上記反応性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、グリシジル基、水酸基、ビニル基及びアミノ基等が挙げられる。上記第1,第2の絶縁性粒子が表面に有する上記反応性官能基は、(メタ)アクリロイル基、グリシジル基、水酸基、ビニル基及びアミノ基からなる群から選択された少なくとも1種の反応性官能基であることが好ましい。
上記反応性官能基を導入するための化合物(表面処理物質)としては、(メタ)アクリロイル基を有する化合物、エポキシ基を有する化合物及びビニル基を有する化合物等が挙げられる。
ビニル基を導入するための化合物(表面処理物質)としては、ビニル基を有するシラン化合物、ビニル基を有するチタン化合物、及びビニル基を有するリン酸化合物等が挙げられる。上記表面処理物質は、ビニル基を有するシラン化合物であることが好ましい。上記ビニル基を有するシラン化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン及びビニルトリイソプロポキシシラン等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基を導入するための化合物(表面処理物質)としては、(メタ)アクリロイル基を有するシラン化合物、及び(メタ)アクリロイル基を有するチタン化合
物、及び(メタ)アクリロイル基を有するリン酸化合物等が挙げられる。上記表面処理物質は、(メタ)アクリロイル基を有するシラン化合物であることも好ましい。上記(メタ)アクリロイル基を有するシラン化合物としては、(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン及び(メタ)アクリロキシプロピルトリジメトキシシラン等が挙げられる。
上記導電性粒子及び上記導電部の表面に第1の絶縁性粒子を付着させる方法及び第1の絶縁性粒子の表面に第2の絶縁性粒子を付着させる方法としては、化学的方法、及び物理的もしくは機械的方法等が挙げられる。上記化学的方法としては、例えば、界面重合法、粒子存在下での懸濁重合法及び乳化重合法等が挙げられる。上記物理的もしくは機械的方法としては、スプレードライ、ハイブリダイゼーション法、静電付着法、噴霧法、ディッピング及び真空蒸着による方法等が挙げられる。ただし、ハイブリダイゼーション法では、絶縁性粒子の脱離が生じやすくなる傾向があるので、上記第1,第2の絶縁性粒子を配置する方法は、ハイブリダイゼーション法以外の方法であることが好ましい。第1の絶縁性粒子は、導電性粒子の表面上に、ハイブリダイゼーション法により配置されていないことが好ましい。第2の絶縁性粒子は、第1の絶縁性粒子の表面上に、ハイブリダイゼーション法により配置されていないことが好ましい。第1の絶縁性粒子がより一層脱離し難くなることから、導電性粒子の表面に、化学結合を介して第1の絶縁性粒子を配置する方法が好ましい。
上記導電性粒子の表面及び上記導電部の表面に第1,第2の絶縁性粒子を付着させる方法の一例としては、以下の方法が挙げられる。
先ず、水などの溶媒3L中に、導電性粒子を入れ、撹拌しながら、第1,第2の絶縁性粒子を徐々に添加する。また、第1の絶縁性粒子の表面に第2の絶縁性粒子を予め付着させた後、水などの溶媒3L中に、導電性粒子を入れ、撹拌しながら、第2の絶縁性粒子が付着した第1の絶縁性粒子を徐々に添加してもよい。十分に撹拌した後、絶縁性粒子付き導電性粒子を分離し、真空乾燥機などにより乾燥して、絶縁性粒子付き導電性粒子を得る。
上記導電部は表面に、上記第1の絶縁性粒子と反応可能な反応性官能基を有することが好ましい。上記第1の絶縁性粒子は表面に、導電部と反応可能な反応性官能基を有することが好ましい。これらの反応性官能基により化学結合を導入することで、導電性粒子の表面から第1の絶縁性粒子が意図せずに脱離し難くなる。また、絶縁信頼性及び衝撃に対する絶縁信頼性がより一層高くなる。
上記反応性官能基として、反応性を考慮して適宜の基が選択される。上記反応性官能基としては、水酸基、ビニル基及びアミノ基等が挙げられる。反応性に優れているので、上記反応性官能基は水酸基であることが好ましい。上記導電性粒子は表面に、水酸基を有することが好ましい。上記導電部は表面に、水酸基を有することが好ましい。上記絶縁性粒子は表面に、水酸基を有することが好ましい。
絶縁性粒子の表面と導電性粒子の表面とに水酸基がある場合には、脱水反応により第1の絶縁性粒子と導電性粒子との付着力が適度に高くなる。
上記水酸基を有する化合物としては、P−OH基含有化合物及びSi−OH基含有化合物等が挙げられる。絶縁性粒子の表面に水酸基を導入するための水酸基を有する化合物としては、P−OH基含有化合物及びSi−OH基含有化合物等が挙げられる。
上記P−OH基含有化合物の具体例としては、アシッドホスホオキシエチルメタクリレ
ート、アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノメタクリレート及びアシッドホスホオキシポリオキシプロピレングリコールモノメタクリレート等が挙げられる。上記P−OH基含有化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記Si−OH基含有化合物の具体例としては、ビニルトリヒドロキシシラン、及び3−メタクリロキシプロピルトリヒドロキシシラン等が挙げられる。上記Si−OH基含有化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
例えば、水酸基を表面に有する絶縁性粒子は、シランカップリング剤を用いた処理により得ることができる。上記シランカップリング剤としては、例えば、ヒドロキシトリメトキシシラン等が挙げられる。
(導電材料)
本発明に係る導電材料は、本発明に係る絶縁性粒子付き導電性粒子と、バインダー樹脂とを含む。本発明に係る絶縁性粒子付き導電性粒子をバインダー樹脂中に分散させる際には、導電性粒子の表面から第1,第2の絶縁性粒子が脱離し難い。本発明に係る絶縁性粒子付き導電性粒子は、バインダー樹脂中に分散され、導電材料として用いられることが好ましい。上記導電材料は、異方性導電材料であることが好ましい。
上記バインダー樹脂は特に限定されない。上記バインダー樹脂としては、一般的には絶縁性の樹脂が用いられる。上記バインダー樹脂としては、例えば、ビニル樹脂、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、熱可塑性ブロック共重合体及びエラストマー等が挙げられる。上記バインダー樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ビニル樹脂としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂及びスチレン樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びポリアミド樹脂等が挙げられる。上記硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。なお、上記硬化性樹脂は、常温硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、光硬化型樹脂又は湿気硬化型樹脂であってもよい。上記硬化性樹脂は、硬化剤と併用されてもよい。上記熱可塑性ブロック共重合体としては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物、及びスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。上記エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、及びアクリロニトリル−スチレンブロック共重合ゴム等が挙げられる。
上記導電材料は、上記絶縁性粒子付き導電性粒子及び上記バインダー樹脂の他に、例えば、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、重合触媒、硬化触媒、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤及び難燃剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
上記バインダー樹脂中に上記絶縁性粒子付き導電性粒子を分散させる方法は、従来公知の分散方法を用いることができ特に限定されない。バインダー樹脂中に絶縁性粒子付き導電性粒子を分散させる方法としては、例えば、バインダー樹脂中に絶縁性粒子付き導電性粒子を添加した後、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法、絶縁性粒子付き導電性粒子を水又は有機溶剤中にホモジナイザー等を用いて均一に分散させた後、バインダー樹脂中に添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法、並びにバインダー樹脂を水又は有機溶剤等で希釈した後、絶縁性粒子付き導電性粒子を添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法等が挙げられる。
本発明に係る導電材料は、導電ペースト及び導電フィルム等として使用され得る。本発明に係る導電材料が、導電フィルムである場合には、導電性粒子を含む導電フィルムに、導電性粒子を含まないフィルムが積層されていてもよい。上記導電ペーストは、異方性導電ペーストであることが好ましい。上記導電フィルムは、異方性導電フィルムであることが好ましい。
本発明に係る導電材料は、導電ペーストであることが好ましい。導電ペーストは取り扱い性及び回路充填性に優れている。導電ペーストを得る際には絶縁性粒子付き導電性粒子に比較的大きな力が付与されるものの、上記第2の絶縁性粒子の存在によって導電性粒子の表面から絶縁性粒子が脱離するのを抑制できる。
上記導電材料100重量%中、上記バインダー樹脂の含有量は好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、更に好ましくは50重量%以上、特に好ましくは70重量%以上、好ましくは99.99重量%以下、より好ましくは99.9重量%以下である。バインダー樹脂の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間に絶縁性粒子付き導電性粒子が効率的に配置され、導電材料により接続された接続対象部材の導通信頼性がより一層高くなる。
上記導電材料100重量%中、上記絶縁性粒子付き導電性粒子の含有量は好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、好ましくは40重量%以下、より好ましくは20重量%以下、更に好ましくは15重量%以下である。絶縁性粒子付き導電性粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
(接続構造体)
上述した絶縁性粒子付き導電性粒子を用いて、又は該絶縁性粒子付き導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料を用いて、接続対象部材を接続することにより、接続構造体を得ることができる。
上記接続構造体は、第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材と、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材とを接続している接続部とを備え、該接続部が上述した絶縁性粒子付き導電性粒子により形成されているか、又は該絶縁性粒子付き導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料(異方性導電材料など)により形成されている接続構造体であることが好ましい。上記第1の接続対象部材は表面に第1の電極を有することが好ましい。上記第2の接続対象部材は表面に第2の電極を有することが好ましい。上記第1の電極と上記第2の電極とが、上記絶縁性粒子付き導電性粒子における上記導電性粒子により電気的に接続されていることが好ましい。上述した絶縁性粒子付き導電性粒子を用いた場合には、接続部自体が絶縁性粒子付き導電性粒子によって形成される。すなわち、第1,第2の接続対象部材が絶縁性粒子付き導電性粒子における導電性粒子により電気的に接続される。
図5は、図1に示す絶縁性粒子付き導電性粒子1を用いた接続構造体を模式的に示す断面図である。
図5に示す接続構造体81は、第1の接続対象部材82と、第2の接続対象部材83と、第1の接続対象部材82と第2の接続対象部材83とを接続している接続部84とを備える。接続部84は、絶縁性粒子付き導電性粒子1とバインダー樹脂とを含む導電材料により形成されている。図5では、図示の便宜上、絶縁性粒子付き導電性粒子1は略図的に示されている。絶縁性粒子付き導電性粒子1にかえて、絶縁性粒子付き導電性粒子21,
31,41を用いてもよい。
第1の接続対象部材82は表面(上面)に、複数の第1の電極82aを有する。第2の接続対象部材83は表面(下面)に、複数の第2の電極83aを有する。第1の電極82aと第2の電極83aとが、1つ又は複数の絶縁性粒子付き導電性粒子1における導電性粒子2により電気的に接続されている。従って、第1,第2の接続対象部材82,83が絶縁性粒子付き導電性粒子1により電気的に接続されている。
上記接続構造体の製造方法は特に限定されない。接続構造体の製造方法の一例として、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材との間に上記導電材料を配置し、積層体を得た後、該積層体を加熱及び加圧する方法等が挙げられる。上記加圧の圧力は9.8×104〜4.9×106Pa程度である。上記加熱の温度は、120〜220℃程度である。
上記積層体を加熱及び加圧する際に、導電性粒子2と第1,第2の電極82a,83aとの間に存在していた第1,第2の絶縁性粒子3,4を排除できる。例えば、上記加熱及び加圧の際には、導電性粒子2と第1,第2の電極82a,83aとの間に存在していた第1,第2の絶縁性粒子3,4が溶融したり、変形したりして、導電性粒子2の表面が部分的に露出する。なお、上記加熱及び加圧の際には、大きな力が付与されるので、導電性粒子2の表面から一部の第1,第2の絶縁性粒子3,4が脱離して、導電性粒子2の表面が部分的に露出することもある。導電性粒子2の表面が露出した部分が、第1,第2の電極82a,83aに接触することにより、導電性粒子2を介して第1,第2の電極82a,83aを電気的に接続できる。
上記接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びにプリント基板、フレキシブルプリント基板、ガラスエポキシ基板及びガラス基板等の回路基板などの電子部品等が挙げられる。上記導電材料はペースト状であり、ペーストの状態で接続対象部材上に塗布されることが好ましい。上記絶縁性粒子付き導電性粒子及び導電材料は、電子部品である接続対象部材の接続に用いられることが好ましい。上記接続対象部材は電子部品であることが好ましい。上記絶縁性粒子付き導電性粒子は、電子部品における電極の電気的な接続に用いられることが好ましい。
本発明に係る絶縁性粒子付き導電性粒子は、特にガラス基板と半導体チップとを接続対象部材とするCOG、又はガラス基板とフレキシブルプリント基板(FPC)とを接続対象部材とするFOGに好適に使用される。本発明に係る絶縁性粒子付き導電性粒子は、COGに用いられてもよく、FOGに用いられてもよい。本発明に係る接続構造体では、上記第1,第2の接続対象部材が、ガラス基板と半導体チップとであるか、又はガラス基板とフレキシブルプリント基板とであることが好ましい。上記第1,第2の接続対象部材は、ガラス基板と半導体チップとであってもよく、ガラス基板とフレキシブルプリント基板とであってもよい。
ガラス基板と半導体チップとを接続対象部材とするCOGで使用される半導体チップには、バンプが設けられていることが好ましい。該バンプサイズは1000μm2以上、10000μm2以下の電極面積であることが好ましい。該バンプ(電極)が設けられた半導体チップにおける電極スペースは好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは10μm以下である。このようなCOG用途に、本発明に係る絶縁性粒子付き導電性粒子は好適に用いられる。ガラス基板とフレキシブルプリント基板とを接続対象部材とするFOGで使用されるFPCでは、電極スペースは好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下である。
上記接続対象部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、ア
ルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記接続対象部材がフレキシブルプリント基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極又は銅電極であることが好ましい。上記接続対象部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物層の材料としては、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素としては、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
(実施例1)
(無電解めっき前処理工程)
テトラメチロールメタンテトラアクリレートとジビニルベンゼンとの共重合樹脂により形成された樹脂粒子(平均粒子径3μm)10gについて、水酸化ナトリウム水溶液によるアルカリ脱脂、酸中和、二塩化スズ溶液におけるセンシタイジングを行った。
上記樹脂粒子を、イオン吸着剤により5分間処理し、次に硫酸パラジウム水溶液に添加した。その後、ジメチルアミンボランを加えて還元処理し、ろ過し、洗浄することにより、パラジウムが付着された樹脂粒子を得た。
(芯物質複合化工程)
パラジウム触媒が付与された樹脂粒子10gをイオン交換水300mLに分散させ、分散液を作製した。分散液に金属ニッケル粒子(平均粒子径50nm)1gを3分間かけて添加し、金属ニッケル粒子が付着した樹脂粒子を作製した。
(無電解ニッケルめっき工程)
次に、イオン交換水500mLにコハク酸ナトリウムを溶解させたコハク酸ナトリウム1重量%溶液を調製した。この溶液に金属ニッケル粒子とパラジウムが付着された樹脂粒子10gを加え、混合し、スラリーを調製した。スラリーに硫酸を添加し、スラリーのpHを5に調整した。
ニッケルめっき液として、硫酸ニッケル10重量%、次亜リン酸ナトリウム10重量%、水酸化ナトリウム4重量%及びコハク酸ナトリウム20重量%を含む前期ニッケルめっき溶液を調製した。pH5に調整された上記スラリーを80℃に加温した後、スラリーに前期ニッケルめっき溶液を連続的に滴下し、20分間攪拌することによりめっき反応を進行させた。水素が発生しなくなったことを確認し、めっき反応を終了した。
次に、硫酸ニッケル20重量%、ジメチルアミンボラン5重量%及び水酸化ナトリウム5重量%を含む後期ニッケルめっき溶液を調製した。前期ニッケルめっき溶液によるめっき反応を終えた溶液に、後期ニッケルめっき液を連続的に滴下し、1時間攪拌することによりめっき反応を進行させた。このようにして、樹脂粒子の表面にニッケル層を形成し、導電性粒子Aを得た。なお、ニッケル層の厚みは0.1μmであった。
(絶縁性粒子の作製工程)
4ツ口セパラブルカバー、攪拌翼、三方コック、冷却管及び温度プローブを取り付けた1000mLセパラブルフラスコに、メタクリル酸グリシジル45mmol、メタクリル酸メチル380mmol、ジメタクリル酸エチレングリコール13mmol、アシッドホ
スホオキシポリオキシエチレングリコールメタクリレート0.5mmol、及び2,2’−アゾビス{2−[N−(2−カルボキシエチル)アミジノ]プロパン}1mmolを含むモノマー組成物を入れた。該モノマー組成物を固形分が10重量%となるように蒸留水を添加した後、150rpmで攪拌し、窒素雰囲気下60℃で24時間重合を行った。反応終了後、凍結乾燥して、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールメタクリレートに由来するP−OH基を表面に有する第1の絶縁性粒子(平均粒子径400nm)を得た。
また、上記の撹拌速度を300rpm、重合温度を80℃に変更したこと以外は同様の方法で、第2の絶縁性粒子(平均粒子径180nm)を得た。
(絶縁性粒子付き導電性粒子の作製工程)
上記で得られた絶縁性粒子をそれぞれ超音波照射下で蒸留水に分散させ、絶縁性粒子の10重量%水分散液を得た。得られた導電性粒子A10gを蒸留水500mLに分散させ、第1の絶縁性粒子の水分散液4gと第2の絶縁性粒子の水分散液2gとの混合液を添加し、室温で8時間攪拌した。3μmのメッシュフィルターで濾過した後、更にメタノールで洗浄、乾燥し、絶縁性粒子付き導電性粒子を得た。
走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、絶縁性粒子付き導電性粒子は、突起を有する導電性粒子の表面に、絶縁性粒子による被覆層が形成されていた。
(実施例2〜9)
第1,第2の絶縁性粒子の水分散液の添加量を下記の表1に示ように変更したこと以外は実施例1と同様にして、絶縁性粒子付き導電性粒子を得た。
(比較例1)
上記で得られた第1,第2の絶縁性粒子をそれぞれ超音波照射下で蒸留水に分散させ、第1の絶縁性粒子の10重量%水分散液と第2の絶縁性粒子の10重量%水分散液とを得た。得られた導電性粒子A10gを蒸留水500mLに分散させ、第2の絶縁性粒子の水分散液1gを添加し、室温で4時間攪拌した。3μmのメッシュフィルターで濾過した後、更にメタノールで洗浄、乾燥し、第2の絶縁性粒子付き導電性粒子を得た。その後、再度蒸留水500mLに分散させ、第1の絶縁性粒子の水分散液2gを添加し、室温で4時間攪拌した。3μmのメッシュフィルターで濾過した後、更にメタノールで洗浄、乾燥し、絶縁性粒子付き導電性粒子を得た。
(比較例2,3)
第1,第2の絶縁性粒子の水分散液の添加量を下記の表1に示ように変更したこと以外は比較例1と同様にして、絶縁性粒子付き導電性粒子を得た。
(評価)
(1)第2の絶縁性粒子の全個数の内、導電性粒子に接触しないように第1の絶縁性粒子の表面上に配置されている第2の絶縁性粒子の個数の割合X1
得られた絶縁性粒子付き導電性粒子において、第2の絶縁性粒子の全個数の内、導電性粒子に接触しないように第1の絶縁性粒子の表面上に配置されている第2の絶縁性粒子の個数の割合X1(%)を求めた。該個数の割合X1を下記の基準で判定した。
SEMにより絶縁性粒子付き導電性粒子20個の表面を撮影し、導電性粒子の表面を被覆されている第1の絶縁性粒子、及び第2の絶縁性粒子をカウントした。
[第2の絶縁性粒子の全個数の内、導電性粒子に接触しないように第1の絶縁性粒子の表面上に配置されている第2の絶縁性粒子の個数の割合X1の判定基準]
A:個数の割合X1が30%以上
B:個数の割合X1が10%以上、30%未満
C:個数の割合X1が0%を超え、10%未満
D:個数の割合X1が0%
(2)第2の絶縁性粒子の全個数の内、第1の絶縁性粒子における導電性粒子側とは反対の表面上に配置されている第2の絶縁性粒子の個数の割合X2
得られた絶縁性粒子付き導電性粒子において、第2の絶縁性粒子の全個数の内、第1の絶縁性粒子における導電性粒子側とは反対の表面上に配置されている第2の絶縁性粒子の個数の割合X2(%)を求めた。該個数の割合X2を下記の基準で判定した。
[第2の絶縁性粒子の全個数の内、第1の絶縁性粒子における導電性粒子側とは反対の表面上に配置されている第2の絶縁性粒子の個数の割合X2の判定基準]
A:個数の割合X2が20%以上
B:個数の割合X2が5%以上、20%未満
C:個数の割合X2が5%未満
(3)第2の絶縁性粒子の全個数の内、第1の絶縁性粒子に接触しないように導電性粒子の表面上に配置されている第2の絶縁性粒子の個数の割合X3
得られた絶縁性粒子付き導電性粒子において、第2の絶縁性粒子の全個数の内、第1の絶縁性粒子に接触しないように導電性粒子の表面上に配置されている第2の絶縁性粒子の個数の割合X3(%)を求めた。該個数の割合X3を下記の基準で判定した。
[第2の絶縁性粒子の全個数の内、第1の絶縁性粒子に接触しないように導電性粒子の表面上に配置されている第2の絶縁性粒子の個数の割合X3の判定基準]
A:個数の割合X3が15%以上
B:個数の割合X3が10%以上、15%未満
C:個数の割合X3が0%を超え、10%未満
D:個数の割合X3が0%
(4)導電性粒子1個当たりの、導電性粒子の表面上に配置されている第1の絶縁性粒子の平均個数Y1
得られた絶縁性粒子付き導電性粒子において、導電性粒子1個当たりの、導電性粒子の表面上に配置されている第1の絶縁性粒子の平均個数Y1を求めた。該平均個数Y1を下記の基準で判定した。
[導電性粒子1個当たりの、導電性粒子の表面上に配置されている第1の絶縁性粒子の平均個数Y1の判定基準]
A:平均個数Y1が10個以上、100個以下
B:平均個数Y1が3個以上、10個未満
C:平均個数Y1が3個未満
(5)第1の絶縁性粒子1個当たりの、第1の絶縁性粒子の表面上に配置されている第2の絶縁性粒子の平均個数Y2
得られた絶縁性粒子付き導電性粒子において、第1の絶縁性粒子1個当たりの、第1の絶縁性粒子の表面上に配置されている第2の絶縁性粒子の平均個数Y2を求めた。該平均個数Y2を下記の基準で判定した。
[第1の絶縁性粒子1個当たりの、第1の絶縁性粒子の表面上に配置されている第2の絶縁性粒子の平均個数Y2の判定基準]
A:平均個数Y2が3個以上、100個以下
B:平均個数Y2が1個以上、3個未満
C:平均個数Y2が1個未満
(6)導通性(上下の電極間)
得られた絶縁性粒子付き導電性粒子を含有量が10重量%となるように、三井化学社製「ストラクトボンドXN−5A」に添加し、分散させ、異方性導電ペーストを得た。
L/Sが30μm/30μmであるITO電極パターンが上面に形成された透明ガラス基板を用意した。また、L/Sが30μm/30μmである銅電極パターンが下面に形成された半導体チップを用意した。
上記透明ガラス基板上に、得られた異方性導電ペーストを厚さ30μmとなるように塗工し、異方性導電ペースト層を形成した。次に、異方性導電ペースト層上に上記半導体チップを、電極同士が対向するように積層した。その後、異方性導電ペースト層の温度が185℃となるようにヘッドの温度を調整しながら、半導体チップの上面に加圧加熱ヘッドを載せ、1MPaの圧力をかけて異方性導電ペースト層を185℃で硬化させて、接続構造体を得た。
得られた20個の接続構造体の上下の電極間の接続抵抗をそれぞれ、4端子法により測定した。なお、電圧=電流×抵抗の関係から、一定の電流を流した時の電圧を測定することにより接続抵抗を求めることができる。導通性を下記の基準で判定した。
[導通性の判定基準]
○:抵抗値が5Ω以下の接続構造体の個数の割合が80%以上
△:抵抗値が5Ω以下の接続構造体の個数の割合が50%以上、80%未満
×:抵抗値が5Ω以下の接続構造体の個数の割合が50%未満
(7)絶縁性(横方向に隣り合う電極間)
上記(6)導通性の評価で得られた20個の接続構造体において、隣接する電極間のリークの有無を、テスターで抵抗を測定することにより評価した。絶縁性を下記の基準で判定した。
[絶縁性の判定基準]
○:抵抗値が108Ω以上の接続構造体の個数の割合が80%以上
△:抵抗値が108Ω以上の接続構造体の個数の割合が50%以上、80%未満
×:抵抗値が108Ω以上の接続構造体の個数の割合が50%未満
結果を下記の表1に示す。