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JP2014029777A - 全固体電池 - Google Patents

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JP2014029777A JP2012169400A JP2012169400A JP2014029777A JP 2014029777 A JP2014029777 A JP 2014029777A JP 2012169400 A JP2012169400 A JP 2012169400A JP 2012169400 A JP2012169400 A JP 2012169400A JP 2014029777 A JP2014029777 A JP 2014029777A
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Abstract

【課題】全固体電池において、安全性を確保しつつ電池性能を向上させる。
【解決手段】正極電極層と、負極電極層と、酸化物系リチウムイオン伝導性固体電解質によって構成される電解質層と、を備える全固体電池において、正極電極層は、正極活物質である硫黄(S)と、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質と、導電性カーボンと、を混合して形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、全固体電池に関するものである。
近年、携帯機器などの無線電子デバイス技術の発展や、自然エネルギーの貯蔵技術の発展、及び、電気自動車などの普及により、安全で高性能な二次電池の需要が高まっている。このような二次電池の例として、従来、リチウム二次電池では、電解質層として可燃性の有機溶媒にリチウム塩を溶解させた有機電解質層を用いる構成が知られている。しかしながら、液体の有機電解質層を用いた電池では、有機電解質層が漏れ出したり、発火したりする等の可能性があり、さらなる安全性の向上が望まれていた。そこで近年、より高い安全性を確保するために、液体の電解質層に代えて、固体電解質層を用いた全固体電池の開発が行なわれている。全固体電池の固体電解質層としては、酸化物系リチウムイオン伝導性固体電解質や硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質等が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特開2010−45019号公報 特開2009−140910号公報 特開2012−48890号公報
上記した固体電解質の中で、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質は、水分と反応して硫化水素を発生し得るため、安全性を高めるためには、固体電解質として酸化物系リチウムイオン伝導性固体電解質を用いることが望ましい。一方、固体電解質層及び一対の電極が酸化物系リチウムイオン伝導性固体電解質を含有する場合には、安全性は向上するものの、固体電解質層と電極との接触を良好にとることが困難となり、電池性能が低下する場合があった。例えば、固体電解質層と電極との界面において、電気接触状態が不十分であると、電池の内部抵抗の増大や、電池として機能するための十分な容量を確保できない等の電池性能の低下を招く場合がある。固体電解質層と電極との接触を向上させるための技術としては、固体電解質層と電極との積層体を高温(例えば、600℃〜1000℃)で焼結する技術が知られている。しかしながら、上記積層体が酸化物系リチウムイオン伝導性固体電解質を含有すると、高温環境下に積層体が晒された場合に、固体電解質層や電極の構成材料が反応し、電池の特性が変化して、電池性能が低下する可能性があった。そのため、安全性を確保しつつ、電池性能がより高い全固体電池が望まれていた。その他、従来の全固体電池においては、製造工程の簡素化、製造の容易化、および、電池製造時だけでなく電池使用時の安全性の向上等が望まれていた。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態(aspect)として実現することが可能である。
(1)本発明の第1の形態によれば、正極電極層と、負極電極層と、酸化物系リチウムイオン伝導性固体電解質によって構成される電解質層と、を備える全固体電池が提供される。この全固体電池において、前記正極電極層は、正極活物質である硫黄(S)と、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質と、導電性カーボンと、を混合して形成されている。この形態の全固体電池によれば、正極電極層が硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質を備えるため、酸化物系リチウムイオン伝導性固体電解質によって構成される電解質層と、正極活物質である硫黄とを組み合わせることによる、電池性能の向上が可能になる。
(2)上記第1の形態の全固体電池において、前記硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質は、以下の式(1);XLi2S−(1−X)P25 …(1);(式中、Xは、0.65≦X≦0.80である);で表わされる固体電解質であることとしてもよい。この形態の全固体電池によれば、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質の柔らかさを所望の状態にして、固体電解質層と電極との接触を良好に確保することが容易になる。
(3)上記第1の形態の全固体電池は、前記正極電極層において、前記硫黄と前記硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質との合計重量に対する、前記硫黄の重量の比を、A/100と表わしたときに、Aの値が30≦A≦70であることとしてもよい。この形態の全固体電池によれば、全固体電池の性能を向上させることができる。
(4)上記第1の形態の全固体電池は、前記正極電極層において、前記硫黄と前記硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質との合計重量に対する、前記硫黄の重量の比を、A/100と表わしたときに、Aの値が30≦A≦55であり、前記硫黄と前記硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質との合計重量に対する、前記導電性カーボンの重量の比を、B/100と表わしたときに、Bの値が3≦B≦100であることとしてもよい。この形態の全固体電池によれば、全固体電池の性能を向上させることができる。
(5)上記第1の形態の全固体電池は、前記正極電極層において、前記硫黄と前記硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質との合計重量に対する、前記硫黄の重量の比を、A/100と表わしたときに、Aの値が55<A≦70であり、前記硫黄と前記硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質との合計重量に対する、前記導電性カーボンの重量の比を、B/100と表わしたときに、Bの値が4≦B≦20であることとしてもよい。この形態の全固体電池によれば、全固体電池の性能を向上させることができる。
(6)上記第1の形態の全固体電池において、前記導電性カーボンは、ケッチェンブラックであることとしてもよい。この形態の全固体電池によれば、全固体電池の性能を向上させることができる。
(7)本発明の第2の形態によれば、正極電極層と、負極電極層と、酸化物系リチウムイオン伝導性固体電解質によって構成される電解質層と、を備える全固体電池が提供される。この全固体電池において、前記正極電極層は、正極活物質である金属硫化物と、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質と、を混合して形成されている。この形態の全固体電池によれば、正極電極層が硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質を備えるため、酸化物系リチウムイオン伝導性固体電解質によって構成される電解質層と、正極活物質である金属硫化物とを組み合わせることによる、電池性能の向上が可能になる。
(8)上記第2の形態の全固体電池において、前記正極活物質は、FeS2およびFeSから選択されることとしてもよい。この形態の全固体電池によれば、全固体電池の性能を向上させることができる。
(9)上記第2の形態の全固体電池において、前記硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質は、以下の式(1);XLi2S−(1−X)P25 …(1);(式中、Xは、0.65≦X≦0.80である);で表わされる固体電解質であることとしてもよい。この形態の全固体電池によれば、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質の柔らかさを所望の状態にして、固体電解質層と電極との接触を良好に確保することが容易になる。
(10)上記第2の形態の全固体電池において、前記正極活物質は、FeS2であり;前記正極電極層において、前記正極活物質と前記硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質との合計重量に対する、前記正極活物質の重量の比を、A/100と表わしたときに、Aの値が40≦A≦80であることとしてもよい。この形態の全固体電池によれば、全固体電池の性能を向上させることができる。
(11)上記第2の形態の全固体電池において、前記正極電極層には、さらに、導電性カーボンが混合されており;前記正極電極層において、前記正極活物質と前記硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質との合計重量に対する、前記導電性カーボンの重量の比を、B/100と表わしたときに、Bの値がB≦40であることとしてもよい。この形態の全固体電池によれば、全固体電池の性能を向上させることができる。
(12)上記第1の形態の全固体電池において、電流密度を0.064mA/cm2、放電カット電圧を1V、充電カット電圧を3Vとして、25℃にて定電流充放電を複数回行なったときの2サイクル目の放電容量が200mA/g以上であることとしてもよい。この形態の全固体電池によれば、高い電池性能を確保することができる。
(13)記第2の形態の全固体電池において、電流密度を0.064mA/cm2、放電カット電圧を0.3V、充電カット電圧を3Vとして、25℃にて定電流充放電を複数回行なったときの2サイクル目の放電容量が200mA/g以上であることとしてもよい。この形態の全固体電池によれば、高い電池性能を確保することができる。
(14)上記第1または第2の形態の全固体電池において、前記酸化物系リチウムイオン伝導性固体電解質は、以下の式(2);Li1+YAlY2-Y(PO43 …(2);(式中、Mは、ゲルマニウム、チタン、ハフニウム、ジルコニウムからなる群から選択される少なくとも1種であり、Yは、0<Y<1である);で表わされる固体電解質であることとしてもよい。この形態の全固体電池によれば、全固体電池の性能を向上させることができる。
(15)上記第1または第2の形態の全固体電池において、前記酸化物系リチウムイオン伝導性固体電解質は、式(2)中のMがゲルマニウムであることとしてもよい。この形態の全固体電池によれば、全固体電池の性能を向上させることができる。
(16)上記第1または第2の形態の全固体電池において、前記酸化物系リチウムイオン伝導性固体電解質は、式(2)中のY=0.5であることとしてもよい。この形態の全固体電池によれば、全固体電池の性能を向上させることができる。
本発明は、上記以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、電解質層と電極との積層体や、全固体電池の製造方法、あるいは全固体電池を電源として搭載した電子機器等の形態で実現することができる。
全固体電池の概略構成を表わす断面図である。 全固体電池の概略構成を表わす断面図である。 各サンプルの組成および性能を比較した結果を表わす図である。 各サンプルの組成および性能を比較した結果を表わす図である。 充放電測定を行なった結果を示す説明図である。 充放電測定を行なった結果を示す説明図である。 充放電測定を行なった結果を示す説明図である。 充放電測定を行なった結果を示す説明図である。 導電性カーボンの添加量と放電容量との関係をまとめた説明図である。 硫化鉄の混合割合と放電容量との関係をまとめた説明図である。 導電性カーボンの添加量と放電容量との関係をまとめた説明図である。
A.第1の実施形態:
A−1:全固体電池の構成:
図1は、本発明の第1の実施形態の全固体電池10の概略構成を表わす断面図である。図1に示すように、全固体電池10は、各層20,30,40が積層された電池本体15と、電池本体15を両面で挟持する一対の集電体50,60と、を備える。
電池本体15は、固体電解質層40と、固体電解質層40の一方の面上に形成された正極電極層20と、固体電解質層40の他方の面上に形成された負極電極層30と、を備える。集電体50,60は、導電性を有する板状部材である。集電体50,60は、例えば、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、およびこれらの合金から選択される導電性金属材料によって形成することができる。集電体50,60の構成材料としては、ステンレス鋼(SUS)が特に好ましい。あるいは、炭素材料により集電体50,60を形成してもよい。以下に、全固体電池10の電池本体15を構成する各部についてさらに詳しく説明する。
A−2.正極電極層の詳細構成:
正極電極層20は、正極活物質である硫黄(S)と、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質と、導電性カーボンと、を混合して形成されている。
硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質としては、例えば、Li2S−P25系、LiI−Li2S−P25系、LiI−Li2S−B23系、若しくはLiI−Li2S−SiS2系の固体電解質、チオリシコン、およびLi10GeP212等から選択される固体電解質を用いることができる。ここで、上記Li2S−P25系の固体電解質としては、以下に示す式(1)で表わされる固体電解質を用いることが好ましい。
XLi2S−(1−X)P25 …(1)
(式中、Xは、0.65≦X≦0.80である。)
また、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質は、イオン伝導率がより高いことが好ましい。具体的には、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質のイオン伝導率が、10-5S/cm以上であることが好ましく、10-4S/cm以上であることがより好ましい。また、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質は、十分に柔らかいこと、すなわち、ヤング率がより小さい材料であることが望ましい。具体的には、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質のヤング率が、0.08〜30GPaであることが好ましく、0.08〜20GPaであることがさらに好ましい。式(1)で表わした硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質では、式中のXを、0.65≦X≦0.80の範囲とすることにより、イオン伝導率およびヤング率を、容易に上記した好ましい範囲にすることができる。ただし、式(1)で表わした硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質において、式中のXを、上記した範囲外の値としてもよい。
硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質は、例えば、原料化合物をメカニカルミリングにより混合することで作製できる。例えば、Li2S−P25系の固体電解質を作製する場合には、所望の割合となるように秤量したLi2SとP25とを用意して、メカニカルミリングを行なえばよい。これにより、非晶質な(ガラス状の)Li2S−P25系の固体電解質が得られる。
なお、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質は、上記したメカニカルミリング以外の方法により作製してもよい。また、例えば全固体電池10の製造工程で硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質に熱が加わることにより、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質の少なくとも一部が結晶化してもよい。このように、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質は、全体が非晶質なガラスであってもよく、一部が結晶化したガラスセラミックス(非晶質と結晶の混合体)であってもよく、全体が結晶化したセラミックスであってもよい。
導電性カーボンとしては、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック(例えばデンカブラック、デンカブラックは登録商標)、およびファーネスブラック(例えば、カボット社製のバルカン)を挙げることができる。正極電極層20内における電子伝導性のネットワークを十分に確保して、正極電極層20の体積抵抗率を十分に小さくするために、導電性カーボンは、粒子径がより小さいことが望ましい。そのため、導電性カーボンとしては、ケッチェンブラックあるいはアセチレンブラックを用いることが望ましい。
正極電極層20において、正極活物質である硫黄と硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質との合計重量に対する、硫黄の重量の比を、A/100と表わすと、Aの値は、30≦A≦70であることが望ましい。このような構成とすることで、全固体電池10の性能を、容易に向上させることができる。具体的には、例えば、電流密度を0.064mA/cm2、放電カット電圧を1V、充電カット電圧を3Vとして、25℃の条件で、全固体電池10の定電流充放電を複数回行なったときの2サイクル目の放電容量を、容易に200mA/g以上にすることが可能になる。
このとき、硫黄と硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質との合計重量に対する、導電性カーボンの重量の比を、B/100と表わすと、Bの値は、2以上としてもよく、3以上としてもよい。また、Bの値は、20以下としてもよく、15以下としてもよい。ただし、上記Aの値は、30未満とすることも可能であり、70を超える値とすることも可能である。また、Bの値は、2未満の値とすることも可能であり、20を超える値とすることも可能である。
また、正極電極層20において、上記Aの値が30≦A≦55となる場合に、上記Bの値は3≦B≦100であることが望ましく、4≦B≦100であることがさらに望ましい。あるいは、正極電極層20において、上記Aの値が55<A≦70となる場合に、上記Bの値は3≦B≦20であることが望ましく、4≦B≦20であることがさらに望ましい。このような構成とすることで、全固体電池10の性能を、容易に向上させることができる。具体的には、例えば、電流密度を0.064mA/cm2、放電カット電圧を1V、充電カット電圧を3Vとして、25℃の条件で、全固体電池10の定電流充放電を複数回行なったときの2サイクル目の放電容量を、容易に200mA/g以上にすることが可能になる。
正極電極層20においては、正極活物質である硫黄と、イオン伝導助剤である硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質と、電子伝導助剤である導電性カーボンとが、十分に均一に分散していることが望ましい。そのため、正極電極層20内の硫黄の粒径は、200μm以下とすることが望ましく、75μm以下とすることがさらに望ましい。正極電極層20を作製する際には、硫黄と硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質と導電性カーボンとを、十分に微粒子化して均一に混合するために、例えば、メカニカルミリングによる混合を行なうことが望ましい。十分に混合した正極電極層の材料粉末を、例えばプレス成形することにより、正極電極層20を得ることができる。
メカニカルミリングは、例えば、遊星型ボールミル、回転ボールミル、振動ボールミル、攪拌ボールミル等の種々の装置を用いることができる。中でも、ポットが自転回転すると共に台盤が公転回転する遊星型ボールミルは、高い衝撃エネルギーを効率よく発生させることができる。そのため、正極電極層の材料を十分に微粒子化して均一に混合するためには、特に遊星型ボールミルを用いることが好ましい。
なお、正極電極層20の構成材料は、正極電極層20および正極電極層20を用いた全固体電池10の製造工程において、揮発・分解等により失われることがほとんど無い。そのため、全固体電池10の正極電極層20を構成する硫黄と、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質と、導電性カーボンとの割合、および硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質の組成は、製造時の仕込み割合に一致すると考えることができる。
また、正極活物質である硫黄は、全固体電池10を充電すると、硫化リチウム(Li2S)に変化する。そのため、正極電極層20における硫黄原子を含有する成分は、全固体電池10の充放電履歴に応じて、硫黄単体とLi2Sとが混合した状態となり得る。
A−3.負極電極層の詳細構成:
負極電極層30は、負極活物質を含む。負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵、放出、又は吸蔵と放出の両方を行うことが可能な物質を用いることができる。具体的には、例えば、リチウム金属や、リチウム合金を用いることができる。リチウム合金としては、例えば、リチウム−アルミニウム合金(Li−Al)、リチウム−スズ合金(Li−Sn)、リチウム−ケイ素合金(Li−Si)、リチウム−銀合金(Li−Ag)、およびリチウム−インジウム合金(Li−In)等を用いることができる。
負極電極層30は、上記負極活物質に加えて、さらに、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質が混合されていても良い。例えば、ヤング率が比較的大きい(比較的硬い)金属材料、例えばLi−Al合金、Li−Ag合金、あるいはLi−Sn合金等を、負極活物質として用いる場合には、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質を負極電極層30に混合することにより、全固体電池10の性能を向上させることができる。これは、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質が、負極電極層30をプレス成形するための、あるいは、負極電極層30と固体電解質層40とをプレス接合するためのバインダとして働くためである。また、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質は、負極電極層30に混在されると、イオン伝導助剤として機能することにより全固体電池10の性能を向上させることが可能になる。
負極電極層30を作製する際に、負極活物質に加えて硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質を混合する場合には、両者を十分に微粒子化して均一に混合するために、例えば、ボールミルによる混合を行なうことが望ましい。十分に混合した負極電極層の材料粉末を、例えばプレス成形することにより、負極電極層30を得ることができる。あるいは、負極電極層30を、負極活物質であるリチウム金属やリチウム合金のみによって構成する場合には、負極電極層30を金属板の形態で用意してもよい。
なお、正極電極層20および/または負極電極層30において、電極活物質の粒子同士を結着させ、固体電解質層40と接合するためのバインダとして、さらに樹脂を混合しても良い。このようなバインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、およびポリエチレンから選択される樹脂を用いることができる。
A−4:固体電解質層の詳細構成:
固体電解質層40は、酸化物系リチウムイオン伝導性固体電解質によって構成される板状部材である。酸化物系リチウムイオン伝導性固体電解質としては、例えば、以下の式(2)で表されるナシコン型構造を有するリン酸化合物又はその一部を他の元素で置換した置換体、Li7La3Zr212系リチウムイオン伝導体等のガーネット型構造又はガーネット型類似の構造を有するリチウムイオン伝導体、Li−La−Ti−O系リチウムイオン伝導体等のペロブスカイト構造又はペロブスカイト類似の構造を有するリチウムイオン伝導体等を用いることができる。
Li1+YAlY2-Y(PO43 …(2)
(式中、Mは、ゲルマニウム、チタン、ハフニウム、ジルコニウムからなる群から選択される少なくとも1種であり、Yは、0<Y<1である)
上記した酸化物系リチウムイオン伝導性固体電解質の中で、式(2)中のMがゲルマニウムおよびチタンから選択される1種である固体電解質は、リチウムイオン伝導性が特に優れている。また、上記した酸化物系リチウムイオン伝導性固体電解質の中で、式(2)中のMがゲルマニウム、ハフニウムおよびジルコニウムから選択される1種である固体電解質は、還元性が比較的低く、電極層を構成する成分との反応を抑えることができる。そのため、酸化物系リチウムイオン伝導性固体電解質としては、式(2)中のMがゲルマニウムである固体電解質を用いることが好ましい。式(2)中のMがゲルマニウムである固体電解質の中でも、式(2)中のY=0.5である固体電解質、すなわち、Li1.5Al0.5Ge1.5(PO43が、特に好ましい。
また、固体電解質層40は、緻密であることが望ましい。具体的には、固体電解質層40の理論密度に対する相対密度が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。ここで、相対密度は、アルキメデス法を利用して求めることができる。相対密度を80%以上とすることで、全固体電池10の内部抵抗を容易に低減できる。また、相対密度を80%以上とすることで、後述するように、固体電解質層40を介した短絡を抑制することができる。
また、固体電解質層40は、焼結体であることが好ましい。これにより、固体電解質層40の密度をより容易に向上させて、上記した相対密度を容易に実現可能となる。焼結体である固体電解質層40を作製するには、例えば固相反応法を用いればよい。固相反応法は、酸化物、炭酸塩、硝酸塩などの粉末原料を、所望の組成となるように秤量・混合した後に焼成する周知の方法である。ただし、十分に緻密な固体電解質層40が得られるならば、焼結を伴わない方法により固体電解質層40を製造してもよい。
また、固体電解質層40は、イオン伝導率が10-5S/cm以上であることが好ましく、10-4S/cm以上であることがより好ましい。こうすることで、全固体電池10の内部抵抗を低減でき、電池性能の低下を抑制できる。
A−5.全固体電池の製造方法:
全固体電池10を製造するには、既述した正極電極層20、固体電解質層40、および負極電極層30を用意し、これらをこの順序で積層し、電池本体15を作製すればよい。電池本体15を作製する際には、正極電極層20と固体電解質層40との接合が、加熱を抑えた状態で加圧することにより行なわれればよく、加熱を伴わない加圧により行なわれることが好ましい。そして、正極電極層20が、製造工程を通して、硫黄の融点以上の高温に曝されなければよい。以下の説明では、加熱を伴わない加圧をコールドプレスとも呼ぶ。なお、接合のための加圧時には、硫黄の融点未満の温度での加熱を行なっても差し支えない。
負極電極層30が硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質を混合している場合には、正極電極層20と共に、負極電極層30も同時に、加熱を抑えた加圧により固体電解質層40に接合することができる。あるいは、負極電極層30を、ヤング率が比較的小さい部材、具体的には、リチウム金属製の板状部材やLi−In合金性の板状部材により構成する場合にも、加圧による接合の際に特別な加熱を不要とすることができる。そのため、正極電極層20と同時に負極電極層30を固体電解質層40に接合して、製造工程を簡素化することが可能になる。特に、負極活物質としてリチウム金属を用いる場合に、負極電極層30を焼成する工程があると、リチウム金属が、固体電解質層40を構成する酸化物系リチウムイオン伝導性固体電解質と反応して、電池性能が低下する。加熱を抑えた加圧により負極電極層30を接合できることにより、負極活物質としてリチウム金属を用いる場合にも、電池性能を確保しつつ、製造工程を簡素化することができる。あるいは、固体電解質層40上に負極活物質を蒸着し堆積させることにより、正極電極層20の接合とは別途、負極電極層30を固体電解質層40上に形成してもよい。
電池本体15を作製した後は、一対の集電体50,60によって電池本体15を挟持して固定することにより、全固体電池10を完成することができる。
以上のように構成された第1の実施形態の全固体電池10によれば、固体電解質層40を酸化物系リチウムイオン伝導性固体電解質によって構成するため、全固体電池10において、水分と反応して硫化水素を発生し得る硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質の使用量を削減できる。そのため、全固体電池10の製造時および使用時の安全性を高めることができる。さらに、正極電極層20において、酸化物系リチウムイオン伝導性固体電解質よりもヤング率が小さい値を示す硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質が混合されているため、正極電極層20を接合する加圧時の加熱を抑えることができる。すなわち、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質は、一般に、酸化物系リチウムイオン伝導性固体電解質よりも柔らかく伸びやすい性質を有するため、加圧時の加熱を抑えても(例えばコールドプレスを行なっても)、正極電極層20と固体電解質層40との接触を良好に確保することができる。これにより、全固体電池10の内部抵抗を低減することができる。さらに、上記のように加圧時の加熱を抑えることにより、融点が比較的低い硫黄(斜方硫黄で112.8℃)を正極活物質として含有する正極電極層を固体電解質層に接合して、全固体電池を得ることが可能になる。硫黄は、1675mAh/gという極めて大きいな理論容量密度を示す。そのため、このように理論容量密度が大きな硫黄を正極活物質として用い、正極電極層20と固体電解質層40との間の界面を良好に形成することにより、全固体電池の性能を向上させることができる。
また、第1の実施形態の全固体電池10によれば、酸化物系リチウムイオン伝導性固体電解質によって構成される固体電解質層40が、緻密に形成されているため、全固体電池10の使用時に全固体電池10の温度が上昇する場合にも、固体電解質層40を介した短絡を抑制できる。すなわち、全固体電池10の温度が正極活物質の溶融温度以上となって正極活物質が溶融した場合であっても、溶融した正極活物質が固体電解質層40を介して負極電極層30側へと移動するのを抑え、短絡を抑制することが可能になる。
また、第1の実施形態の全固体電池10によれば、酸化物系リチウムイオン伝導性固体電解質によって構成される固体電解質層40が、緻密に形成されているため、全固体電池10内に水分が存在する事態が生じても、全固体電池10の短絡を抑制することができる。すなわち、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質は、水分が存在すると溶解する性質を有している。そのため、全固体電池10内に水分が存在する事態が生じると、電極層が備える硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質が溶解する可能性がある。このような場合であっても、固体電解質層40が緻密であるため、固体電解質層40内を通過して、溶解した硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質が移動することがなく、全固体電池10内部の短絡を抑えることができる。
さらに、第1の実施形態の全固体電池10によれば、正極電極層20が、柔らかい性質を有する硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質を備えるため、正極電極層20と固体電解質層40との界面の強度を良好に維持することができる。そのため、全固体電池10の充放電等に、全固体電池10の内部が膨張又は収縮した場合でも、電池内部にクラック等が生じる可能性を低減できる。
B.第2の実施形態:
図2は、第2の実施形態の全固体電池100の概略構成を表わす断面図である。第2の実施形態の全固体電池100は、正極電極層20に代えて正極電極層120を備えること以外は、第1の実施形態の全固体電池10と同様の構成を有している。そのため、第1の実施形態と共通する部分には、同じ参照番号を付して詳しい説明を省略する。
B−1.正極電極層の詳細構成:
正極電極層120は、正極活物質である金属硫化物と、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質と、を混合して形成されている。
金属硫化物としては、例えば、硫化鉄、硫化リチウム、硫化銅、硫化鉄、硫化チタン、硫化ニッケル等を用いることができる。硫化鉄としては、FeS2(二硫化鉄)、FeS(硫化鉄(II))、Fe23(硫化鉄(III))が挙げられる。電池性能を向上させるためには、特にFeS2を用いることが好ましい。
硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質としては、例えば、Li2S−P25系、LiI−Li2S−P25系、LiI−Li2S−B23系、若しくはLiI−Li2S−SiS2系の固体電解質、またはチオリシコン等を用いることができる。ここで、上記Li2S−P25系の固体電解質としては、以下に示す式(1)で表わされる固体電解質を用いることが好ましい。
XLi2S−(1−X)P25 …(1)
(式中、Xは、0.65≦X≦0.80である。)
また、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質は、イオン伝導率がより高いことが好ましい。具体的には、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質のイオン伝導率が、10-5S/cm以上であることが好ましく、10-4S/cm以上であることがより好ましい。また、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質は、十分に柔らかいこと、すなわち、ヤング率がより小さい材料であることが望ましい。具体的には、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質のヤング率が、0.08〜30GPaであることが好ましく、0.08〜20GPaであることがさらに好ましい。式(1)で表わした硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質では、式中のXを、0.65≦X≦0.80の範囲とすることにより、イオン伝導率およびヤング率を、容易に上記した好ましい範囲にすることができる。ただし、式(1)で表わした硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質において、式中のXを、上記した範囲外の値としてもよい。
硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質は、例えば、原料化合物をメカニカルミリングにより混合することで作製できる。例えば、Li2S−P25系の固体電解質を作製する場合には、所望の割合となるように秤量したLi2SとP25とを用意して、メカニカルミリングを行なえばよい。これにより、非晶質な(ガラス状の)Li2S−P25系の固体電解質が得られる。
なお、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質は、上記したメカニカルミリング以外の方法により作製してもよい。また、例えば全固体電池10の製造工程で硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質に熱が加わることにより、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質の少なくとも一部が結晶化してもよい。このように、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質は、全体が非晶質なガラスであってもよく、一部が結晶化したガラスセラミックス(非晶質と結晶の混合体)であってもよく、全体が結晶化したセラミックスであってもよい。
正極電極層120において、正極活物質としてFeS2を用いる場合には、FeS2と硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質との合計重量に対する、FeS2の重量の比を、A/100と表わすと、Aの値は、40≦A≦80であることが望ましい。また、上記Aの値は、50≦A≦80であることがより望ましく、50≦A≦70であることがさらに望ましい。このような構成とすることで、全固体電池100の性能を、容易に向上させることができる。具体的には、例えば、電流密度を0.064mA/cm2、放電カット電圧を0.3V、充電カット電圧を3Vとして、25℃の条件で、全固体電池100の定電流充放電を複数回行なったときの2サイクル目の放電容量を、容易に200mA/g以上にすることが可能になる。ただし、上記Aの値は、40未満とすることも可能であり、80を超える値とすることも可能である。
このとき、正極電極層120には、さらに、導電性カーボンが混合されていてもよい。導電性カーボンを混合することにより全固体電池の放電容量をさらに向上させるためには、正極電極層120において、FeS2と硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質との合計重量に対する、導電性カーボンの重量の比を、B/100と表わすと、Bの値がB≦40であることが望ましい。また、上記Bの値は、B≦30であることがさらに望ましい。
なお、正極電極層120において、FeS2以外の金属硫化物を正極活物質として用いる場合にも、導電性カーボンをさらに混合してもよい。例えば、金属硫化物の導電性が導電性カーボンよりも低い場合には、導電性カーボンを混合することにより、正極電極層120全体の導電性を高めて、正極電極層120の抵抗をより小さくできる。このように正極電極層120の抵抗を小さくすることにより、高負荷時であっても、全固体電池100からの放電量を十分に確保することが可能になる。
導電性カーボンとしては、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック(例えばデンカブラック、デンカブラックは登録商標)、およびファーネスブラック(例えば、カボット社製のバルカン)を挙げることができる。正極電極層120内における電子伝導性のネットワークを十分に確保して、正極電極層120の体積抵抗率を十分に小さくするために、導電性カーボンは、粒子径がより小さいことが望ましい。そのため、導電性カーボンとしては、ケッチェンブラックあるいはアセチレンブラックを用いることが望ましい。
正極電極層120においては、正極活物質である金属硫化物と、イオン伝導助剤である硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質と、さらに含まれる場合には電子伝導助剤である導電性カーボンとが、十分に均一に分散していることが望ましい。そのため、正極電極層120内の金属硫化物の粒径は、200μm以下とすることが望ましく、75μm以下とすることがさらに望ましい。正極電極層120を作製する際には、硫黄と硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質と導電性カーボンとを、十分に微粒子化して均一に混合するために、例えば、メカニカルミリングによる混合を行なうことが望ましい。十分に混合した正極電極層の材料粉末を、例えばプレス成形することにより、正極電極層120を得ることができる。
なお、正極電極層120の構成材料は、正極電極層120および正極電極層120を用いた全固体電池100の製造工程において、揮発・分解等により失われることがほとんど無い。そのため、全固体電池100の正極電極層120を構成する金属硫化物と、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質と、さらに含まれる場合には導電性カーボンとの割合、および硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質の組成は、製造時の仕込み割合に一致すると考えることができる。
以上のように構成された第2の実施形態の全固体電池100によれば、固体電解質層40を酸化物系リチウムイオン伝導性固体電解質によって構成するため、全固体電池100において、水分と反応して硫化水素を発生し得る硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質の使用量を削減できる。そのため、全固体電池100の安全性を高めることができる。さらに、正極電極層120において、酸化物系リチウムイオン伝導性固体電解質よりもヤング率が小さい値を示す硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質が混合されているため、正極電極層120を接合する加圧時の加熱を抑えることができる。すなわち、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質は、一般に、酸化物系リチウムイオン伝導性固体電解質よりも柔らかく伸びやすい性質を有するため、加圧時の加熱を抑えても(例えばコールドプレスを行なっても)、正極電極層120と固体電解質層40との接触を良好に確保することができる。これにより、全固体電池100の内部抵抗を低減することができる。さらに、上記のように加圧時の加熱を抑えることにより、融点が比較的低い金属硫化物を正極活物質として含有する正極電極層を電解質層に接合して、全固体電池を得ることが可能になる。金属硫化物は、一般に、極めて大きいな理論容量密度を示し、例えばFeS2の理論容量密度は、893.6mAh/gである。そのため、このように理論容量密度が大きな金属硫化物を正極活物質として用い、正極電極層120と固体電解質層40との間の界面を良好に形成することにより、全固体電池の性能を向上させることができる。
また、第2の実施形態の全固体電池100によれば、酸化物系リチウムイオン伝導性固体電解質によって構成される固体電解質層40が、緻密に形成されているため、全固体電池10内に水分が存在する事態が生じても、全固体電池100の短絡を抑制することができる。すなわち、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質は、水分が存在すると溶解する性質を有している。そのため、全固体電池100内に水分が存在する事態が生じると、電極層が備える硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質が溶解する可能性がある。このような場合であっても、固体電解質層40が緻密であるため、固体電解質層40内を通過して、溶解した硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質が移動することがなく、全固体電池100内部の短絡を抑えることができる。
さらに、第2の実施形態の全固体電池100によれば、正極電極層120が、柔らかい性質を有する硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質を備えるため、正極電極層120と固体電解質層40との界面の強度を良好に維持することができる。そのため、全固体電池100の充放電等に、全固体電池100の内部が膨張又は収縮した場合でも、電池内部にクラック等が生じる可能性を低減できる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例の記載に限定されるものではない。
図3および図4は、全固体電池として、サンプルS01〜S08、S11〜S17、S21〜S25、S31、S41、S51〜56、およびS61〜64を作製して、各サンプルの組成および性能を比較した結果を表わす図である。これらの各全固体電池は、正極電極層の構成が互いに異なっている。以下に、各サンプルの製造の詳細を示す。
[酸化物系リチウムイオン伝導性固体電解質の作製]
全固体電池である各サンプルは、固体電解質層を、酸化物系リチウムイオン伝導性固体電解質であるLi1.5Al0.5Ge1.5(PO43によって構成した。固体電解質層を構成する酸化物系リチウムイオン伝導性固体電解質は、以下の手順で作製した。まず、原料であるGeO2(関東化学製)、Li2CO3(和光純薬製)、(NH32HPO4(キシダ化学製)、およびAl23(高純度化学製)を、化学量論的組成で秤量した。その後、秤量した原料を、アルミナポット内にジルコニアボールと共に投入し、エタノール溶媒中で15時間粉砕混合した。次いで、エタノールを気化させて900℃、2時間にて熱処理(焼成)を行った。熱処理後の試料にセラミック用バインダーを添加し、添加後の試料をアルミナポット内にジルコニアボールと共に投入し、エタノール溶媒中で15時間粉砕混合した。粉砕混合後の試料を乾燥してエタノールを気化させ、酸化物系リチウムイオン伝導性固体電解質の成形前粉末(「LAPG粉末」とも呼ぶ。)を得た。次いで、冷間静水等方圧プレス機(以下、「CIPプレス機」とも呼ぶ。)を用いて、1.5t/cm2の静水圧を成形前粉末に印加して、成形体を得た。得られた成形体を850℃、12時間にて熱処理(焼成)し、酸化物系リチウムイオン伝導性固体電解質の焼結体(「LAGP焼結体」とも呼ぶ。)を得た。
[酸化物系リチウムイオン伝導性固体電解質の評価]
上記のようにLAGP焼結体を作製して、直径10mm、厚さ0.8mmの焼結体を用意した。このLAGP焼結体のかさ密度をアルキメデス法にて測定したところ、かさ密度は3.33g/cm3であった。このかさ密度に基づいて相対密度を求めたところ、相対密度は97.6%であった。
また、LAGP焼結体のイオン伝導率を、交流インピーダンス測定法により測定した。具体的には、ソーラトロン社製の周波数応答アナライザ1255Bとポテンショ/ガルバノスタット1470Eとを組み合わせた電気化学測定システムにより、測定を行なった。28℃でのリチウムイオン伝導率は、5.0×10-4S/cmであった。
[硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質の作製]
各サンプルの電極層に混合する硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質は、以下の手順により作製した、まず、アルゴン雰囲気グローブボックス(美和製作所製)中で、原料であるLi2S(フルウチ化学製)とP25(アルドリッチ社製)をモル比80:20で秤量した。遊星型ボールミル(フリッチュ社製、P−6型)を用いて、秤量した原料をジルコニアポット内にジルコニアボールと共に投入し、アルゴン雰囲気中、回転数540rpmで9時間メカニカルミリングを行った。メカニカルミリング後の試料を「硫化物ガラス」とも呼ぶ。
[第1の正極ペレットの作製(S01〜S08、S11〜S17、S21〜S25、S31)]
サンプルS01〜S08、S11〜S17、S21〜S25、およびS31の全固体電池の正極電極層は、正極活物質である硫黄と、硫化物ガラスと、導電性カーボンとを含む第1の正極ペレットによって構成した。第1の正極ペレットは、以下のように作製した。第1の正極ペレットを作製するために、まず、硫黄と硫化物ガラスと導電性カーボンとを原料とする正極合材を作製した。正極合材は、上記した各原料を、図3に示す所定の重量割合で秤量し、メカニカルミリングで混合することにより作製した。ここで、サンプルS31以外のサンプルでは、正極合材を作製するために用いる硫黄として、高純度化学製の試薬を粒径が200μm以下になるまで粉砕したものを用いた。また、サンプルS31では、正極合材を作製するために用いる硫黄として、高純度化学製の75μmメッシュパスの試薬を用いた。なお、上記粒径とは、試料を走査型電子顕微鏡にて観察したときの画像内の最大粒径をいう。メカニカルミリングにより得られた正極合材の内、サンプルS24の正極合材を走査型電子顕微鏡で観察したところ、含まれる硫黄の粒径は、150μm以下となっていた。サンプルS31の正極合材を走査型電子顕微鏡で観察したところ、含まれる硫黄の粒径は、70μm以下となっていた。なお、導電性カーボンとしては、ケッチェンブラック(三菱化学製、EC600JD。KBとも表記する)を用いた。
具体的には、各サンプルにおける原料の混合割合は、以下の通りである。図3に示すように、サンプルS01〜S08では、硫黄の重量と硫化物ガラスの重量との合計に対する硫黄の重量の割合を、33.3%とした。また、サンプルS11〜S17、およびS31では、硫黄の重量と硫化物ガラスの重量との合計に対する硫黄の重量の割合を、50%とした。また、サンプルS21〜S25では、硫黄の重量と硫化物ガラスの重量との合計に対する硫黄の重量の割合を、66.7%とした。そして、硫黄の重量と硫化物ガラスの重量との合計に対する硫黄の重量の割合が同じサンプル間では、導電性カーボンの添加割合を異ならせた。導電性カーボンの添加量は、硫黄の重量と硫化物ガラスの重量の合計を100としたときの、導電性カーボン重量の相対的な値として表わしている。
なお、図3および図4に示す他のサンプルも同様に、正極活物質および硫化物ガラスの混合量は、正極活物質と硫化物ガラスとの合計重量に対する、正極活物質あるいは硫化物ガラスの重量の比(重量%)として表わしている。また、導電性カーボンの添加量は、正極活物質と硫化物ガラスとの合計重量を100としたときの、導電性カーボン重量の相対的な値として表わしている。以下の説明および図3および図4では、便宜上、上記のような導電性カーボンの相対的な混合割合も、重量%と呼ぶ。
上記した硫黄の粉砕、および、各原料の秤量は、アルゴン雰囲気、露点−60℃以下のグローブボックス(美和製作所製)中で行なった。メカニカルミリングは、遊星ボールミル(フリッチュ社製、P−6型)にて、45ccのジルコニアポットとΦ4mmのジルコニアボール200個を用いて、アルゴン雰囲気中、回転数380rpmで1時間行なった。第1の正極ペレットは、加圧成形可能な直径10mmの円形型内で、集電体として用いるSUS基材と正極合材約15mgとをこの順番で積層し、360Mpaでプレス成形することにより作製した。
[第2の正極ペレットの作製(S51〜S56)]
サンプルS51〜S56の全固体電池の正極電極層は、正極活物質である硫化鉄と、硫化物ガラスとを含む第2の正極ペレットによって構成した。第2の正極ペレットを作製するために、まず、硫化鉄(高純度化学製)と硫化物ガラスとを原料とする正極合材を作製した。正極合材は、上記した各原料を、図4に示す所定の重量割合で秤量し、メカニカルミリングで混合することにより作製した。
具体的には、サンプルS51〜S56では、硫化鉄の重量と硫化物ガラスの重量との合計に対する硫化鉄の重量の割合を、20〜90%の範囲で変更した(図4参照)。なお、サンプルS51〜S56は、導電性カーボンを含有していない。
各原料の秤量は、アルゴン雰囲気、露点−60℃以下のグローブボックス(美和製作所製)中で行なった。メカニカルミリングの条件、および、集電体と共に正極合材をプレス成形して第2の正極ペレットを作製する条件は、第1の正極ペレットと同様とした。
[第3の正極ペレットの作製(S61〜S64)]
サンプルS61〜S64の全固体電池の正極電極層は、正極活物質である硫化鉄と、硫化物ガラスと、ケッチェンブラックとを含む第3の正極ペレットによって構成した。第3の正極ペレットを作製するために、まず、硫化鉄(高純度化学製)と、硫化物ガラスと、ケッチェンブラック(三菱化学製、EC600JD)とを原料とする正極合材を作製した。正極合材は、上記した各原料を、図4に示す所定の重量割合で秤量し、メカニカルミリングで混合することにより作製した。
具体的には、サンプルS61〜S64では、硫化鉄の重量と硫化物ガラスの重量との合計に対する硫化鉄の重量の割合は、50%で一定とした(図4参照)。そして、各サンプル間では、導電性カーボンの添加量を、0〜50重量%の範囲で異ならせた。
各原料の秤量の条件、メカニカルミリングの条件、および、集電体と共に正極合材をプレス成形して第3の正極ペレットを作製する条件は、第2の正極ペレットと同様とした。
[第4の正極ペレットの作製(S41)]
サンプルS41の全固体電池の正極電極層は、正極活物質であるLi4Ti512と、硫化物ガラスと、ケッチェンブラックとを含む第4の正極ペレットによって構成した。第4の正極ペレットを作製するために、まず、正極活物質であるLi4Ti512(石原産業製)と、硫化物ガラスと、ケッチェンブラック(三菱化学製、EC600JD)とを原料とする正極合材を作製した。正極合材は、上記したLi4Ti512と硫化物ガラスとケッチェンブラックとを、重量比70:30:10で秤量し、メカニカルミリングで混合することにより作製した。メカニカルミリングは、遊星ボールミル(フリッチュ社製、P−6型)にて、45ccのジルコニアポットとΦ4mmのジルコニアボール200個を用いて、アルゴン雰囲気にて、回転数230rpmで1時間行なった。第4の正極ペレットは、加圧成形可能な直径10mmの円形型内で、集電体として用いるSUS基材と正極合材約15mgとをこの順番で積層し、180Mpaでプレス成形することにより作製した。
[負極ペレットの作製(S41以外)]
サンプルS41以外の全固体電池が備える負極電極層を設けるために用いる負極ペレットは、以下のように作製した。負極ペレットを作製するために、まず、負極活物質としてのLiAl(本城金属製)と硫化物ガラスとを原料とする負極合材を作製した。負極合材は、上記したLiAlと硫化物ガラスとを、アルゴン雰囲気下にて、重量比50:50で秤量して乳鉢を用いて混合することで作製した。負極電極層を構成する負極ペレットは、加圧成形可能な直径10mmの円形型内で、集電体として用いるSUS基材と負極合材約50mgとをこの順番で積層し、360Mpaでプレス成形することにより作製した。
[負極ペレットの作製(S41)]
サンプルS41の全固体電池が備える負極電極層を設けるために用いる負極ペレットは、サンプルS41以外の全固体電池のための負極ペレットと同様の負極合材を用いて作製したが、プレス成形の条件が異なる。すなわち、加圧成形可能な直径10mmの円形型内で、集電体として用いるSUS基材と負極合材約15mgとをこの順番で積層し、180Mpaでプレス成形することにより作製した。
[電池作製]
各々の全固体電池は、以下のように作製した。まず、固体電解質層として、既述したようにLAGP焼結体を作製して、直径10mm、厚さ350μmの焼結体を用意した。また、各々の全固体電池に対応する正極ペレットおよび負極ペレットを作製した。その後、正極ペレット、LAGP焼結体、および負極ペレットの各部材を、この順序で、各ペレットのSUS集電体が外側に面するように積層して積層体を得た。そして、SUS集電体を介して約50MPaの圧力で積層体を挟持することで、各部材を固定して全固体電池を作製した。
[充放電測定]
各々の全固体電池について、充放電測定を行なった。硫黄を正極活物質としたサンプルS01〜S08、S11〜S17、S21〜S25、およびS31では、充放電測定としての定電流充放電試験は、電流密度0.064mA/cm2、放電カット電圧を1V、充電カット電圧を3Vとして、25℃の条件にて行なった。また、硫化鉄を正極活物質としたサンプルS51〜S56およびS61〜S64では、充放電測定としての定電流充放電試験は、電流密度0.064mA/cm2、放電カット電圧を0.3V、充電カット電圧を3Vとして、25℃の条件にて行なった。また、Li4Ti512を正極活物質としたサンプルS41では、充放電測定としての定電流充放電試験は、電流密度0.064mA/cm2、放電カット電圧を1V、充電カット電圧を1.7Vとして、25℃の条件にて行なった。いずれの場合も、上記定電流充放電試験には、(株)ナガノ製の充放電試験装置(BTS2004H)を用いた。また、上記充放電測定の結果に基づいて、各々の全固体電池について、放電容量を求めた。充放電測定は、2回繰り返して行ない、値がより安定する2サイクル目の放電容量を求めた。
図5〜図8は、充放電測定の一例として、サンプルS03、S13,S31、S62、およびS41の各々について充放電測定を行なった結果を示す説明図である。このような充放電測定の結果に基づいて求めた各々の全固体電池の放電容量を、図3および図4に示している。なお、放電容量は、正極活物質の単位重量当たりに換算して算出した。
図9は、サンプルS01〜S08、S11〜S17、およびS21〜S25の各々について放電容量を求めた結果に基づいて、導電性カーボンの添加量と放電容量との関係をまとめた説明図である。図9に示すように、硫黄の重量と硫化物ガラスの重量との合計に対する硫黄の割合が、33.3重量%、50重量%、66.7重量%のいずれの場合であっても、導電性カーボンの添加量が8.33重量%程度までは、導電性カーボンの添加量が増加するほど、放電容量も増加した。そして、導電性カーボンの添加量がそれ以上多くなると、導電性カーボンの添加量が増加するほど、放電容量は次第に低下した。
ここで、各サンプルの内、サンプルS02〜S07(A=33.3、4.17≦B≦100)、S12〜S16(A=50、4.17≦B≦100)、S22〜S24(A=66.7、4.17≦B≦16.7)は、放電容量の値として、Li4Ti512を正極活物質に用いたサンプルS41の放電容量よりも大きい200mAh/g以上の値を示した。なお、上記Aは、正極活物質と硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質との合計重量に対する、正極活物質の重量の比を、A/100と表わしたときのAの値である。また、上記Bは、正極活物質と硫化物ガラスとの合計重量に対する、導電性カーボンの重量の比を、B/100と表わしたときのBの値である。
これに対して、サンプルS01(A=33.3、B=2.08)、S08(A=33.3、B=150)、S11(A=50、B=2.08)、S17(A=50、B=150)、S21(A=66.7、B=2.08)、S25(A=66.7、B=66.7)では、放電容量の値は200mAh/g未満であった。サンプルS01、S11、S21については、導電性カーボンの混合量が少ないために、正極電極層内において十分な電子伝導パスが形成されず、放電容量が抑えられたと考えられる。また、サンプルS08、S17、S25については、導電性カーボンの混合量が過剰であって、硫化物ガラスの混合割合が相対的に少ないために、正極電極層内でイオン伝導パスの形成が不十分になり、放電容量が抑えられたと考えられる。
また、硫黄と硫化物ガラスの混合割合、および導電性カーボンの混合割合が同じであって(A=50、B=8.33)、硫黄の粒径が異なるサンプルS13とS31とを比較すると、粒径がより小さいサンプルS31の方が、放電容量が大きかった(図3参照)。
図10は、サンプルS51〜S56の各々について放電容量を求めた結果に基づいて、硫化鉄の混合割合と放電容量との関係をまとめた説明図である。図10に示すように、硫化鉄の重量と硫化物ガラスの重量との合計に対する硫化鉄の割合が50〜70重量%程度までは、硫化鉄の混合割合が増加するほど、放電容量も増加した。そして、硫化鉄の混合割合がそれ以上多くなると、硫化鉄の混合割合が増加するほど、放電容量は次第に低下した。
ここで、各サンプルの内、サンプルS52〜S55(30≦A≦80、B=0)は、放電容量の値として、Li4Ti512を正極活物質に用いたサンプルS41の放電容量よりも高い200mAh/g以上の値を示した。なお、上記Aの値およびBの値は、既述した通りである。これに対して、サンプルS51(A=20、B=0)、S56(A=90、B=0)では、放電容量の値は200mAh/g未満であった。サンプルS51については、導電性カーボンの混合量が少ないために、正極電極層内において十分な電子伝導パスが形成されず、放電容量が抑えられたと考えられる。また、サンプルS56については、導電性カーボンの混合量が過剰であって、硫化物ガラスの混合割合が相対的に少ないために、正極電極層内でイオン伝導パスの形成が不十分になり、放電容量が抑えられたと考えられる。
図11は、サンプルS53、S61〜S64の各々について放電容量を求めた結果に基づいて、導電性カーボンの添加量と放電容量との関係をまとめた説明図である。図11に示すように、導電性カーボンの添加量が5〜10重量%程度までは、導電性カーボンの添加量が増加するほど、放電容量も増加した。そして、導電性カーボンの添加量がそれ以上多くなると、導電性カーボンの添加量が増加するほど、放電容量は次第に低下した。また、図11に示すように、導電性カーボンの添加量が30重量%以下のサンプルでは、導電性カーボンを添加しないサンプル(S53)よりも放電容量が向上した。これに対し、導電性カーボンの添加量が50重量%のサンプル(S54)では、導電性カーボンを添加しないサンプルよりも放電容量が低下した。これは、導電性カーボンの添加による電子伝導パスの増加による影響よりも、導電性カーボンの添加によるイオン伝導パスの相対的な減少の影響が大きいためと考えられる。ただし、いずれのサンプルにおいても、放電容量の値は200mAh/g以上であった。
[初期抵抗の測定]
各全固体電池について、内部抵抗(初期抵抗)を測定した。初期抵抗は、交流インピーダンス法により測定した。具体的には、ソーラトロン社製の周波数応答アナライザ1255Bとポテンショ/ガルバノスタット1470Eとを組み合わせた電気化学測定システムにより、測定を行なった。28℃における各サンプルの初期抵抗の値を、図3,4に示す。
図3に示すように、正極活物質として硫黄を用いたサンプル(S01〜S08、S11〜S17、S21〜S25、S31)の中では、導電性カーボンの添加量が2.08重量%であるサンプルS01、S11、S21の初期抵抗は500Ωを超えていたが、それ以外のサンプルの初期抵抗は500Ω以下であった。また、正極活物質である硫黄の粒径が異なるサンプルS13とS31とを比較すると、硫黄の粒径の小さいサンプルS3の方が初期抵抗が小さかった(S13:200Ω、S31:130Ω)。
また、図4に示すように、正極活物質として、硫黄よりも導電性が高い硫化鉄を用いる場合(S51〜S56、S61〜64)には、硫化鉄の混合割合が30重量%以下であって導電性カーボンを添加しないサンプル(S51、S52)以外のサンプルは、初期抵抗が1000Ω以下であった。特に、サンプルS53とS61〜S64とを比較すると、導電性カーボンを添加することにより、初期抵抗が低減されることが確認された(S53:750Ω、S61〜S64:400Ω以下)。
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
10,100…全固体電池
15…電池本体
20,120…正極電極層
30…負極電極層
40…固体電解質層
50,60…集電体

Claims (16)

  1. 正極電極層と、負極電極層と、酸化物系リチウムイオン伝導性固体電解質によって構成される電解質層と、を備える全固体電池において、
    前記正極電極層は、正極活物質である硫黄(S)と、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質と、導電性カーボンと、を混合して形成されていることを特徴とする
    全固体電池。
  2. 請求項1記載の全固体電池であって、
    前記硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質は、以下の式(1)
    XLi2S−(1−X)P25 …(1)
    (式中、Xは、0.65≦X≦0.80である)
    で表わされる固体電解質であることを特徴とする全固体電池。
  3. 請求項1または2に記載の全固体電池であって、
    前記正極電極層において、前記硫黄と前記硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質との合計重量に対する、前記硫黄の重量の比を、A/100と表わしたときに、Aの値が30≦A≦70であることを特徴とする全固体電池。
  4. 請求項1または2に記載の全固体電池であって、
    前記正極電極層において、
    前記硫黄と前記硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質との合計重量に対する、前記硫黄の重量の比を、A/100と表わしたときに、Aの値が30≦A≦55であり、
    前記硫黄と前記硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質との合計重量に対する、前記導電性カーボンの重量の比を、B/100と表わしたときに、Bの値が3≦B≦100であることを特徴とする
    全固体電池。
  5. 請求項1または2に記載の全固体電池であって、
    前記正極電極層において、
    前記硫黄と前記硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質との合計重量に対する、前記硫黄の重量の比を、A/100と表わしたときに、Aの値が55<A≦70であり、
    前記硫黄と前記硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質との合計重量に対する、前記導電性カーボンの重量の比を、B/100と表わしたときに、Bの値が4≦B≦20であることを特徴とする
    全固体電池。
  6. 請求項1〜5までのいずれか1項に記載の全固体電池であって、
    前記導電性カーボンは、ケッチェンブラックであることを特徴とする全固体電池。
  7. 正極電極層と、負極電極層と、酸化物系リチウムイオン伝導性固体電解質によって構成される電解質層と、を備える全固体電池において、
    前記正極電極層は、正極活物質である金属硫化物と、硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質と、を混合して形成されていることを特徴とする
    全固体電池。
  8. 請求項7記載の全固体電池であって、
    前記正極活物質は、FeS2およびFeSから選択されることを特徴とする全固体電池。
  9. 請求項7または8に記載の全固体電池であって、
    前記硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質は、以下の式(1)
    XLi2S−(1−X)P25 …(1)
    (式中、Xは、0.65≦X≦0.80である)
    で表わされる固体電解質であることを特徴とする全固体電池。
  10. 請求項7〜9までのいずれか1項に記載の全固体電池であって、
    前記正極活物質は、FeS2であり、
    前記正極電極層において、前記正極活物質と前記硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質との合計重量に対する、前記正極活物質の重量の比を、A/100と表わしたときに、Aの値が40≦A≦80であることを特徴とする全固体電池。
  11. 請求項10記載の全固体電池であって、
    前記正極電極層には、さらに、導電性カーボンが混合されており、
    前記正極電極層において、前記正極活物質と前記硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質との合計重量に対する、前記導電性カーボンの重量の比を、B/100と表わしたときに、Bの値がB≦40であることを特徴とする
    全固体電池。
  12. 請求項1〜6までのいずれか1項に記載の全固体電池であって、
    電流密度を0.064mA/cm2、放電カット電圧を1V、充電カット電圧を3Vとして、25℃にて定電流充放電を複数回行なったときの2サイクル目の放電容量が200mA/g以上であることを特徴とする全固体電池。
  13. 請求項7〜11までのいずれか1項に記載の全固体電池であって、
    電流密度を0.064mA/cm2、放電カット電圧を0.3V、充電カット電圧を3Vとして、25℃にて定電流充放電を複数回行なったときの2サイクル目の放電容量が200mA/g以上であることを特徴とする全固体電池。
  14. 請求項1〜13までのいずれか1項に記載の全固体電池であって、
    前記酸化物系リチウムイオン伝導性固体電解質は、以下の式(2)
    Li1+YAlY2-Y(PO43 …(2)
    (式中、Mは、ゲルマニウム、チタン、ハフニウム、ジルコニウムからなる群から選択される少なくとも1種であり、Yは、0<Y<1である)
    で表わされる固体電解質であることを特徴とする全固体電池。
  15. 請求項14記載の全固体電池であって、
    前記酸化物系リチウムイオン伝導性固体電解質は、式(2)中のMがゲルマニウムであることを特徴とする全固体電池。
  16. 請求項15記載の全固体電池であって、
    前記酸化物系リチウムイオン伝導性固体電解質は、式(2)中のY=0.5であることを特徴とする全固体電池。
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