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JP2014021152A - 識別媒体および識別方法 - Google Patents

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JP2014021152A
JP2014021152A JP2012156581A JP2012156581A JP2014021152A JP 2014021152 A JP2014021152 A JP 2014021152A JP 2012156581 A JP2012156581 A JP 2012156581A JP 2012156581 A JP2012156581 A JP 2012156581A JP 2014021152 A JP2014021152 A JP 2014021152A
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Shuichi Hoshino
秀一 星野
Itsuo Takeuchi
逸雄 竹内
Seiya Shibuya
聖也 渋谷
Wataru Ida
亘 井田
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Abstract

【課題】微細な図柄の劇的な変化が現れる識別媒体を提供する。
【解決手段】ホログラム表示を行なうための特定の方向に沿った配列を有したエンボス構造を有した蛍光二色性色素の層を有し、蛍光二色性色素の分子は、前記特定の方向に沿って配向している。例えば、蛍光二色性色素の層の配向の状態は、第1の方向に配向した第1の領域と、第2の方向に配向した第2の領域と、第3の方向に配向した第3の領域とを有し、第1の方向〜前記第3の方向は互いに異なる方向であり、第1の方向と第2の方向とがなす角度と第1の方向と第3の方向とがなす角度とが同じである。
【選択図】図3

Description

本発明は、パスポート、書類、各種カード、パス、紙幣、金券、証券、証書、商品券、絵画、切符、公共競技投票券、音楽や映像が記録された記録媒体、コンピュータソフトウェアが記録された記録媒体、各種部品、各種製品、およびそれらのパッケージ等の真正性(真贋性)を識別するための技術に関する。
特許文献1には、偏光発光する液晶化合物を配向基板へ塗工したものを対象物に貼り付け、偏光板を介して発光強度を測定する技術が記載されている。特許文献2には、蛍光二色性色素を配向基板へ塗工し、偏光情報が形成された潜像を、偏光板を介して判別する技術が記載されている。特許文献3には、エンボスを利用した回折構造を用いて液晶分子を配向させた光学的セキュリティ素子が記載されている。
特開2009−250817号公報 特開2011−131527号公報 特許第4768600号公報
光学識別媒体においては、偏光板の回転や切り替え等を行った場合に、微細な図柄の劇的な変化が観察できることが重要となる。これは、図柄が微細であれば、偽造がそれだけ困難であり、また、図柄の劇的な変化は、製造条件や構造の影響を大きく受け、その変化が劇的である程、偽造品で再現するのが難しくなるからである。ここで、特許文献1や2に記載されている技術では、配向処理により配向の方向を制御するので、微細な図柄の形成には手間がかかり実用的ではない。この点、特許文献3のエンボス構造を用いた配向制御は有利であるが、微細な図柄の劇的な変化という点で満足できるものではない。
このような背景において、本発明は、微細な図柄の劇的な変化が現れる識別媒体を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、ホログラム表示を行なうためのエンボス構造が設けられた偏光蛍光発光素材の層を備え、前記エンボス構造は、特定の方向に沿った配列を有し、前記偏光蛍光発光素材の層は、前記特定の方向に沿った方向に配向しており、前記特定の方向に配向した前記偏光蛍光発光素材の層は、配向の状態の異なる複数の領域を有していることを特徴とする識別媒体である。
請求項1に記載の発明において、偏光蛍光発光素材というのは、特定の方向に配向した状態あり、特定の光を照射した際に前記配向の方向に偏光方向が一致した直線偏光の蛍光を生じる素材のことをいう。偏光蛍光発光素材としては、紫外光の照射によって蛍光する配向状態にある蛍光二色性色素、または紫外光が照射されることで蛍光する配向状態にある液晶化合物が挙げられる。
エンボス構造は、型を用いて形成することができるので、微細な構造が作り易い。また、偏光蛍光発光素材は、特定の光が当たっている状況で直線偏光の光を発するので、直線偏光フィルタを介した観察において、劇的な見た目の変化を示す。このため、微細な図柄の劇的な変化が現れる識別媒体を得ることができる。なお、同様の光学機能は、蛍光の契機となる照射光を、直線偏光フィルタを介して照射した場合にも得ることができる。また、形成される図柄としては、図形、文字、各種の模様等を用いることができる。
請求項1に記載の発明を利用した識別媒体としては、反射型と透過型の何れもが実現可能である。透過型の構造であれば、当該識別媒体の向こう側から蛍光を生じさせるための光を照射した際に手前側に蛍光が生じる。勿論、反射型の構造において、蛍光を生じさせるための光が照射された面側から蛍光を観察することもできる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記複数の領域は、第1の方向に配向した第1の領域と、第2の方向に配向した第2の領域と、第3の方向に配向した第3の領域とを有し、前記第1の方向〜前記第3の方向は互いに異なる方向であり、前記第1の方向と前記第2の方向とがなす角度と前記第1の方向と前記第3の方向とがなす角度とが同じであることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、偏光蛍光発光素材の層に蛍光を生じさせる光が照射されている状態において、各領域から対応する方向の直線偏光の蛍光が発生する。この構成では、エンボス構造により、第1〜第3の領域の作り分けが行なわれる。例えば、紫外光で蛍光が生じる場合を考える。この場合、無偏光の紫外光を照射し、蛍光が生じている状態において、第1の方向に偏光した直線偏光の蛍光、第2の方向に偏光した直線偏光の蛍光、および第3の方向に偏光した直線偏光の蛍光が観察される。直線偏光フィルタを介してこれらの3種類の蛍光を観察すると、直線偏光フィルタの偏光の方向と各蛍光の偏光の方向との関係によって、3つの蛍光の強度に強弱が生じる。
この3種類の蛍光の強弱は、識別媒体に対して直線偏光フィルタを相対的に回転させるとそれぞれが個別に変化する。更に、特定の領域からの蛍光の偏光方向と直線偏光フィルタの偏光の方向が一致する関係となった相対回転位置で当該蛍光が優先的となり、他の2つの領域からの蛍光の強度が低下する。つまり、3つある領域の一つが優先的に見える。この一つの領域が他の2つの領域に比較して優先的に見える現象は、直線偏光フィルタと識別媒体の相対回転角度を変化させてゆくと、切り替わる。つまり、直線偏光フィルタと識別媒体の相対回転角度を変化させてゆくと、第1の領域が優先的に見える状態、第2の領域が優先的に見える状態、第3の領域が優先的に見える状態が切り替わる。
また、第1の領域が優先的に見える状況では、第2および第3の領域における偏光方向と直線偏光フィルタの偏光方向とが同じ関係となるので、第2の領域と第3の領域とは同じように見え、区別できない。つまり、第1の領域のみが浮かび上がって見える。勿論、直線偏光フィルタを回転させると、第2の領域により構成される図柄および第3の領域で構成される図柄を認識することができる。
ここでは、無偏光の紫外光を照射し、偏光蛍光発光素材からの蛍光を、直線偏光フィルタを介して観察する場合の例を説明したが、同様の光学機能は、直線偏光の紫外光を照射し、その際の蛍光を観察する場合でも同じである。この場合、照射する直線偏光の向きを回すことで、同様な光学機能が得られる。なお、この点は、他の請求項に係る説明においても同じである。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記第1の方向と前記第2の方向とがなす角度および前記第1の方向と前記第3の方向とがなす角度とが共に45°であることを特徴とする。請求項3に記載の発明によれば、第2の領域の配向方向に直線偏光フィルタの配向方向を合わせた場合に、当該直線偏光フィルタの偏光方向が、第3の領域の配向方向と直交するので、第3の領域の蛍光は観察されず、第2の領域の蛍光が優先的に観察される。同様の現象は、第2と第3の領域の関係を入れ替えた場合も生じる。このため、高い識別性が得られる。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記偏光蛍光発光素材の層は、前記第1〜第3の方向と異なる第4の方向に配向した第4の領域を有し、前記第4の方向と前記第1の方向とのなす角度が90°であることを特徴とする。この場合、第1の領域と第4の領域とは、蛍光の偏光方向が直交するので、一方が明の場合に他方は暗となり、更に高い識別性が得られる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発明において、前記偏光蛍光発光素材は紫外光の照射によって蛍光する蛍光二色性色素または紫外光が照射されることで蛍光する液晶化合物であることを特徴とする。例えば、紫外光の照射によって蛍光する蛍光二色性色素を用いることで、直線偏光フィルタを用いた観察において、紫外光の照射しない状態では各領域が区別し難く、紫外光を照射した状態で各領域を明瞭に識別できる。このため、配向の方向が異なる複数の領域により図柄を構成した識別媒体を、直線偏光フィルタを介して観察した場合に、紫外光の照射なしでは、見え難かった図柄が、紫外光の照射時に明瞭に見える光学機能が得られる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の発明において、前記複数の領域は、配向の方向が同じで配向のピッチが異なる複数の領域を有することを特徴とする。請求項6に記載の発明によれば、蛍光が生じていない状況において、第1の配向ピッチの領域のホログラム像の見え方と第2の配向ピッチの領域のホログラム像の見え方との違いが観察される。この違いは、蛍光が生じた状況で低下するので、蛍光を生じていない状態で見えていた図柄が蛍光を生じさせた状態で見え難くなる識別機能を得ることができる。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の発明において、前記偏光蛍光発光素材の層の前記エンボス構造の凹凸が樹脂により埋められていることを特徴とする。一般に樹脂の屈折率の値と偏光蛍光発光素材の層の屈折率の値は、近い値であるので、エンボス構造の凹凸が樹脂により埋められている状況では、紫外光の照射を行わない状態におけるエンボス構造界面での光の屈折および反射の程度は小さく、ホログラム像は見え難い。したがって、蛍光を生じさせる光の照射が行なわれていない状態においては、エンボス構造の違いにより区分けされた各領域が見え難い。これに対して、蛍光を生じさせる光を照射すると、偏光蛍光発光素材が蛍光するので、エンボス構造に起因する直線偏光した蛍光が観察可能となり、エンボス構造の違いにより区分けされた各領域が異なる方向の直線偏光を発し、各領域の見え方の違いの組み合わせによる特定の図柄が視認できるようになる。つまり、蛍光を生じさせる光を照射しない状態では隠れていた像が蛍光を生じさせる光の照射によって浮かび上がる潜像を得ることができる。なお、偏光蛍光発光素材の層のエンボス構造を埋める樹脂は、可視光と蛍光を生じさせる光を透過(勿論損失があってもよい)する性質のものが選択される。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、前記偏光蛍光発光素材の層の屈折率と前記樹脂の屈折率の比が0.8〜1.2の範囲にあることを特徴とする。偏光蛍光発光素材の層の屈性率と、この層のエンボス構造の凹凸を埋める樹脂の屈折率を上記範囲とすることで、蛍光を生じさせる光を照射しない状態において、エンボス構造の違いによる各領域の区分けが認識し難く、エンボス構造により構成された図柄が見えずに透明に近い状態に見える傾向がより顕著になる。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、前記偏光蛍光発光素材の層の屈折率は、前記配向した方向における屈折率と前記配向した方向に直交した方向における屈折率の平均値(中間値)であることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか一項に記載の発明において、前記偏光蛍光発光素材の層の前記エンボス面に接して、コレステリック液晶層が設けられており、前記エンボス面は、前記コレステリック液晶層の表面に形成されたホログラム形成用のエンボス構造を利用して形成されていることを特徴とする。請求項10に記載の発明によれば、コレステリック液晶層に形成されたホログラム形成用のエンボス構造を、更に偏光蛍光発光素材の配向制御にも利用する。この態様によれば、円偏光フィルタを用いた観察でコレステリック液晶層に形成されたエンボス構造に起因するホログラム像が選択的に観察され、蛍光させた状態での直線偏光フィルタを用いた観察において、偏光蛍光発光素材の層の配向状態に起因する蛍光画像を観察することができる。
請求項11に記載の発明は、請求項1〜10のいずれか一項に記載の識別媒体に対して、無偏光紫外光が照射されている状態において、直線偏光フィルタを介して当該識別媒体を観察することを特徴とする識別方法である。
請求項12に記載の発明は、請求項1〜10のいずれか一項に記載の識別媒体に対して、直線偏光紫外光が照射されている状態において、当該識別媒体を観察することを特徴とする識別方法である。
本発明によれば、微細な図柄の劇的な変化が現れる識別媒体が提供される。
実施形態の識別媒体の製造工程を段階的に示す工程断面図(A)〜(E)である。 エンボス面の状態を示す模式図である。 蛍光二色性色素の層の配向の状態を示す概念図(A)と、同一の配向方向とされた領域a〜dを示す概念図(B)である。 実施形態の識別媒体の見え方を示す正面図(A)〜(E)である。 実施形態の識別媒体の製造工程を段階的に示す工程断面図(A)〜(E)である。 実施形態の識別媒体の製造工程を段階的に示す工程断面図(A)〜(E)である。 実施形態の識別媒体の断面図である。 実施形態の識別媒体の断面図である。 実施形態の識別媒体の見え方を示す正面図である。
第1の実施形態
(構造および製造工程)
図1は、実施形態の識別媒体の製造工程を段階的に示す工程断面図である。図1(E)には、実施形態の識別媒体106が示されている。以下、識別媒体106の製造工程について説明する。まず、ホログラム加工が施されたエンボス面(回折格子面)101aを有する回折格子101を用意する(図1(A))。回折格子101は、ホログラム表示を行なうためのエンボス面を形成するための土台となる型部材であり、樹脂、ガラス、金属等により構成されている。
図2には、回折格子101の表面に形成されたエンボス面101aの一例が模式的に示されている。エンボス面101aは、光学干渉によりホログラムを形成するための凹凸を形成すための型であり、図示するように一方向(図2の場合は、Y軸方向)に配向した構造を有している。ここで、溝構造のピッチLは、0.3μm〜1.5μm程度から選択される。
回折格子101を用意したら、その上に偏光蛍光発光素材を用いた層の一つである蛍光二色性色素の層102を形成する(図1(B))。蛍光二色性色素の層102の厚さは、例えば0.5μm〜5μm程度とする。エンボス面101aに蛍光二色性色素の層102(図1参照)が形成されると、図2のY軸の方向に蛍光二色性色素の分子長軸が揃うように蛍光二色性式の層102の分子配向の状態が決定される。なお、蛍光二色性色素の層102の表面に形成されたエンボス面102aは、図2のエンボス面101aが転写された形状であり、図2に示すのと同様の表面形状を有している。蛍光二色性色素は、異方性を有した分子構造を有している。そして光学的には、可視領域に吸収帯を持っておらず、色素分子の長軸方向とそれと直交する方向によって、その吸光度および光の吸収に伴う蛍光発光強度が大きく異なる性質を有している。この蛍光二色性色素に紫外帯域の光を照射すると、それが吸収され、可視光帯域の光を含む蛍光が生じる。
例えば、蛍光二色性色素の分子が特定の方向に揃って配向している状態において、直線偏光の紫外光が照射される状況を考える。この際、紫外光の偏光方向が蛍光二色性色素の分子長軸の方向に一致していると、紫外光の吸収効率が最大となり、蛍光の発光強度も最大となる。この際の蛍光は、蛍光二色性色素分子の配向方向に偏光した直線偏光となる。これに対して、紫外光の偏光方向が蛍光二色性色素分子の長軸の方向に直交している場合、紫外光の吸収効率は低くなり、蛍光の発光強度も小さくなる。つまり、X軸方向に配向した蛍光二色性色素にX軸方向に偏光した直線偏光を照射すると、X軸方向に偏光した直線偏光の蛍光が相対的に強く生じ、当該蛍光二色性色素にY軸方向に偏光した直線偏光を照射すると、ほとんど蛍光は生じない。
また、配向した蛍光二色性色素に無偏光の紫外光を照射した場合、配向した方向の直線偏光が優先的に蛍光する。つまり、X軸方向に配向した蛍光二色性色素に無偏光(特定の偏光状態でない偏光)の紫外光を照射した場合、X軸方向に偏光した直線偏光が主に発光する。この際、Y軸方向に偏光した直線偏光は発生しない、あるいは発生したとしても弱い。
蛍光二色性色素としてはベンゾチジアゾール系色素などがあるが、他の色素を用いることもでき、例えば参考文献「ディスプレイと機能性色素、シーエムシー、p64−73」に記載されている種々の蛍光二色性色素を使用することができる。偏光蛍光発光素材としては、特開2009−250817号公報に記載されている偏光発光する液晶化合物を用いることもできる。
図1(B)の蛍光二色性色素の層102は、上述した蛍光二色性色素を含む溶液を回折格子101のエンボス面101aに塗布することで形成される。この際、必要に応じて塗布する溶液に添加物を加えることができる。回折格子101のエンボス面101aには、図2に例示する溝構造が形成されており、この溝構造に従って蛍光二色性色素の層102に含まれる蛍光二色性色素の分子が配向する。また、蛍光二色性色素の層102の回折格子101との界面の形状は、エンボス面101aのエンボス構造に倣った凹凸形状となる。つまり、蛍光二色性色素の層102の表面にホログラムを形成するための回折格子として機能するエンボス面102aが形成される。
図1(B)に示す状態を得たら、この状態における蛍光二色性色素の層102の露出面に支持フィルム103をラミネートする(図1(C))。支持フィルム103としては、TAC(トリアセチルセルロース)、アクリル、ポリカーカーボネイト等の屈折率異方性が無く、透過する光の偏光の状態を乱さない樹脂材料のフィルムが利用される。支持フィルム103の厚みは、必要とする強度が確保できる値であればよいが、例えば10μm〜100μm程度の値が選択される。
支持フィルム103をラミネートしたら、透明の粘着剤により構成される粘着層104を形成し図1(C)に示す状態を得る。粘着層104の厚みは、例えば5μm〜30μm程度の値が選択される。なお、図示省略するが、未使用状態において、粘着層104の露出面には、セパレータ(離型紙)が貼り付けられており、対象物に貼り付ける段階でこのセパレータが剥がされ、粘着層104を対象物に接触させることで、識別媒体106が対象物に貼り付けられる。また、透過型としないのであれば、粘着層104を透明にする必要はない。
図1(C)に示す状態を得たら、回折格子101を蛍光二色性色素の層102から剥離する。図1(D)には、図1(C)の状態から回折格子101を剥離した状態のものを上下反転させた状態が示されている。この状態では、支持フィルム103の一方の面の側に蛍光二色性色素の層102が保持され、支持フィルム103の他方の面の側に粘着層104が設けられている。また、蛍光二色性色素の層102の露出面には、回折格子101の表面に形成されたエンボス面101aのエンボス形状が転写されたエンボス面102aが形成されている。
図1(D)に示す状態を得たら、蛍光二色性色素の層102の露出面にTAC、アクリル、ポリカーカーボネイト等の屈折率異方性が無く、透過する光の偏光の状態を乱さない樹脂材料を粘着剤もしくは接着剤によりラミネートして保護層105を形成する。あるいは保護層105の形成は、ウレタン樹脂等の液状のものを塗布して硬化することで形成する方法がある。ここで、蛍光二色性色素の層102の表面に形成されたエンボス構造(凹凸構造)が、保護層105の粘着剤、接着剤もしくは樹脂によって埋めるようにすることが重要となる。保護層105の厚みは、例えば5μm〜100μm程度の値が選択される。
また、蛍光二色性色素の層102の屈折率と保護層105の屈折率との比が、0.8〜1.2、より好ましくは0.9〜1.1の範囲に納まるように設定する。ここで、蛍光二色性色素の層102の屈性率は、蛍光二色性色素の分子長軸方向(配向方向)の屈折率と、分子短軸方向(配向方向に直交する方向)の屈折率との平均(中間)の値を採用する。可視光帯域における蛍光二色性色素の層102と保護層105の屈折率の値を近い値とすることで、可視光が照射された環境で観察した場合に、後述する蛍光二色性色素の層102のパターンが見え難く、紫外光を照射した際に観察される潜像効果をより顕著に得ることができる。蛍光二色性色素の層102の屈折率と保護層105の屈折率との比が、上記の範囲から外れると、可視光が当たっている環境下において、後述する蛍光二色性色素の層102のパターンが視認される傾向が高くなり、紫外光を照射した際に観察され潜像効果、つまり紫外光を照射した際にそれまで見えていなかった像(図柄)が浮かび上がって見えてくる視覚効果が低くなる傾向が大きくなる。
(蛍光二色性色素の層のパターン)
蛍光二色性色素の層102は、一様ではなく、以下に述べるパターンが形成されている。図3には、蛍光二色性色素の層102を正面から見た場合におけるエンボス構造のパターンの状態が概念的に示されている。図3(A)には、全体の様子が示され、図3(B)には、矩形の領域の様子が示されている。図3(B)における領域a〜cの4つの矩形の領域は、図示する配向方向に沿ってエンボス構造が配列されており、その方向に複数の溝が延在する構造を有している(図2参照)。この溝構造が延在する方向が蛍光二色性色素の配向の方向となる。なお、この例において、領域a〜cのそれぞれの面内におけるエンボス構造は、一様なものとされている。
すなわち、矩形領域aとbでは、蛍光二色性色素の配向方向(分子長軸の方向)が互いに直交する関係にある。矩形領域cとdも、同様に蛍光二色性色素の配向方向が互いに直交する関係にある。矩形領域aとcは、蛍光二色性色素の配向方向が45°異なる関係にある。矩形領域bとdは、蛍光二色性色素の配向方向が45°異なる関係にある。なお、各領域の形状は矩形に限定されず、円形や矩形以外の多角形状(長方形や六角形)であってもよい。
(光学機能)
図4(A)には、自然光が当たる環境下において、識別媒体106を正面(保護層105の側)から観察した場合が示されている。この場合、蛍光二色性色素の蛍光は生じない(あるいは生じても弱く、観察し難い)。また、蛍光二色性色素の層102表面のエンボス構造が、蛍光二色性色素の層102に近い屈折率の保護層105によって埋められているので、蛍光二色性色素の層102表面のエンボス構造界面からの可視光の反射および屈折は弱く、当該エンボス構造に起因するホログラム効果は弱い。そのため、図3(A)に示す升目構造は観察し難く、識別媒体106はほぼ透明、あるいはよく見ると薄く図3(A)に示す升目構造が観察される。これは、直線偏光フィルタの使用に関係なく、直線偏光フィルタを使用しても使用しなくても同じである。この状態が図4(A)に示されている。
次に無偏光の紫外光が照射された環境下における場合を説明する。なお、以下の説明では、識別媒体106の背後を黒くした状態で観察を行なう場合を説明する。
図4(B)には、無偏光の紫外光が照射された環境下において、図3の領域bの配向方向に合致した方向の直線偏光を選択的に透過する直線偏光フィルタを介して、識別媒体106を観察した場合が示されている。この場合、領域aの部分では、使用する直線偏光フィルタの偏光方向と直交する方向の直線偏光の蛍光が生じる。この蛍光は、直線偏光フィルタで遮断され、観察できないので、領域aの部分は黒く見える。また、領域bの部分では、使用する直線偏光フィルタの偏光方向と平行な方向の直線偏光の蛍光が生じる。この蛍光は、直線偏光フィルタを透過するので、領域bの部分は明るく見える。また、領域cとdの部分で発生する蛍光は、直線偏光フィルタの偏光方向と45°ずれた直線偏光であるので、直線偏光フィルタでのロスが生じ、領域bより暗く、領域aより明るい状態、つまり領域dとaの中間の明度に見える。以上の結果、図4(B)に示すようなモザイク状の図柄が観察される。図4(B)に示す図柄は、紫外光の非照射時には見えず、紫外光の照射時に見える潜像となる。
図4(C)には、無偏光の紫外光が照射された環境下において、図3の領域aの配向方向に合致した方向の直線偏光を選択的に透過する直線偏光フィルタを介して、識別媒体106を観察した場合が示されている。この場合、領域aの部分では、使用する直線偏光フィルタの偏光方向と平行な方向の直線偏光の蛍光が生じる。この蛍光は、直線偏光フィルタを透過するので、領域aの部分は明るく見える。また、領域bの部分では、使用する直線偏光フィルタの偏光方向と直交する方向の直線偏光の蛍光が生じる。この蛍光は、直線偏光フィルタで遮断されるので、領域bの部分は黒く見える。また、領域cとdの部分で発生する蛍光は、直線偏光フィルタの偏光方向と45°ずれた直線偏光であるので、直線偏光フィルタでのロスが生じ、領域aより暗く、領域bよりも明るい状態、つまり領域aとbの中間の明度に見える。以上の結果、図4(C)に示すようなモザイク状の図柄が観察される。図4(C)に示す図柄は、紫外光の非照射時には見えず、紫外光の照射時に見える潜像となる。
図4(D)には、無偏光の紫外光が照射された環境下において、図3の領域dの配向方向に合致した方向の直線偏光を選択的に透過する直線偏光フィルタを介して、識別媒体106を観察した場合が示されている。この場合、領域cの部分では、使用する直線偏光フィルタの偏光方向と直交する方向の直線偏光の蛍光が生じる。この蛍光は、直線偏光フィルタで遮断されるので、領域cの部分は黒く見える。また、領域dの部分では、使用する直線偏光フィルタの偏光方向と平行な方向の直線偏光の蛍光が生じる。この蛍光は、直線偏光フィルタを透過するので、領域dの部分は明るく見える。また、領域aおよびbの部分で発生する蛍光は、直線偏光フィルタの偏光方向と45°ずれた直線偏光であるので、直線偏光フィルタでのロスが生じ、領域cより暗く、領域dより明るい状態、つまり領域cとdの中間の明度に見える。以上の結果、図4(D)に示すようなモザイク状の図柄が観察される。図4(D)に示す図柄は、紫外光の非照射時には見えず、紫外光の照射時に見える潜像となる。
図4(E)には、無偏光の紫外光が照射された環境下において、図3の領域cの配向方向に合致した方向の直線偏光を選択的に透過する直線偏光フィルタを介して、識別媒体106を観察した場合が示されている。この場合、領域cの部分では、使用する直線偏光フィルタの偏光方向と平行な方向の直線偏光の蛍光が生じる。この蛍光は、直線偏光フィルタを透過するので、領域cの部分は明るく見える。また、領域dの部分では、使用する直線偏光フィルタの偏光方向と直交する方向の直線偏光の蛍光が生じる。この蛍光は、直線偏光フィルタで遮断されるので、領域dの部分は黒く見える。また、領域aおよびbの部分で発生する蛍光は、直線偏光フィルタの偏光方向と45°ずれた直線偏光であるので、直線偏光フィルタでのロスが生じ、領域dより暗く、領域cより明るい状態、つまり領域dとcの中間の明度に見える。以上の結果、図4(E)に示すようなモザイク状の図柄が観察される。図4(E)に示す図柄は、紫外光の非照射時には見えず、紫外光の照射時に見える潜像となる。
図4(B)と(C)の場合、図3の領域cと領域dが区別し難い。これは、直線偏光フィルタの偏光の方向と、領域cの配向の方向との角度差をΔθ、直線偏光フィルタの偏光の方向と、領域dの配向の方向との角度差をΔθとした場合に、Δθ=Δθであり、領域cおよびdから観察者に届く光量が同じになるからである。また、図4(D)と(E)の場合、図3の領域aと領域bが区別し難い。これも、上述の場合と同じ理由による。
(優位性)
以上述べたように、識別媒体106は、蛍光二色性色素の層102を備えている。蛍光二色性色素の層102は、ホログラム表示を行なうための特定の方向に沿った配列を有したエンボス面102aを有している。そして、蛍光二色性色素の層102を構成する蛍光二色性色素の分子は、前記特定の方向に沿って配向している。更に、蛍光二色性色素の層102の配向の状態は、第1の方向に配向した第1の領域(例えば、図3の領域c)と、第2の方向に配向した第2の領域(例えば、図3の領域a)と、第3の方向に配向した第3の領域(例えば、図3の領域b)とを有し、第1の方向〜第3の方向は互いに異なる方向であり、第1の方向と第2の方向とがなす角度と第1の方向と第3の方向とがなす角度とが同じ(この場合は、45°)に設定されている。また、エンボス面102aの凹凸構造が蛍光二色性色素の層102と近い屈折率を有する透明な保護層105によって埋められている。
この構成によれば、可視光が当たっている状態において、識別媒体106の図柄が観察できない(あるいは観察し難い)が、無偏光紫外光を照射し、直線偏光フィルタを介して識別媒体106を観察すると、直線偏光フィルタと識別媒体106の相対角度位置に応じて、図4(B)〜(E)に示す潜像の図柄が観察される。しかもこの潜像は、図4(B)〜(E)に示すように見た目に劇的な変化を示す。
図4の光学機能は、識別媒体106の一方の面(上面または下面)から紫外光を照射し、それを他方の面(下面または上面)から観察した場合でも同様に得ることができる。また、直線偏光の紫外光を照射し、その際の蛍光を観察する場合も、照射する紫外光の偏光方向を変化させることで、同様な光学機能を得ることができる。
なお、図4に示す矩形のホログラム領域の組み合わせにより構成される図柄の精細の程度は特に限定されない。例えば、図3に例示する画素となる矩形の領域a〜dを小さく(例えば、数十μm角の大きさと)すれば、更に微細な画像を形成することができる。また、図4に例示されているモザイク状の図柄として、星型や文字が表示されるように矩形の領域の配置を決めることもできる。
第2の実施形態
(構造および製造工程)
図5には、実施形態の識別媒体206が示されている。以下、識別媒体206の製造工程について説明する。なお、第1の実施形態と共通する部分は、第1の実施形態の場合と同じである。
まず、支持フィルム201を用意する。支持フィルム201は、光透過性で透過する光の偏光特性を乱さない材質のものが選択される。支持フィルム201を用意したら、その上にホログラム形成層202を厚さ0.5μm〜5μm程度の厚さで形成する(図5(A))。ホログラム形成層202は、光透過性で透過する光の偏光特性を乱さない材質のものが選択される。ホログラム形成層202としては、例えばポリエステル系、アクリル系、ウレタン系の樹脂等が用いられる。
図5(A)に示す状態を得たら、ホログラム形成層202の露出面にホログラム型を型押しすることで、エンボス面(回折格子面)202aを形成する(図5(B))。正面から見たエンボス面202aの形成パターンは、図3に示す第1の実施形態の場合と同じである。
図5(B)に示す状態を得たら、エンボス面202aの上に透明蒸着層203として屈折率2以上の硫化亜鉛、二酸化チタン等の層を厚さ0.01μm〜0.1μm程度の厚さで形成する(図5(C))。透明蒸着層203は薄いので、透明蒸着層203は、図示するようにホログラム形成層202のエンボス面202aの凹凸構造に沿った断面形状となり、その表面はエンボス面202aと同様なエンボス面203aとなる。
図5(C)の状態を得たら、透明蒸着層203の上に蛍光二色色素の層204を形成し(図5(D))、更に蛍光二色性色素の層204の露出面に粘着層205を形成する(図5(E))。この際、蛍光二色性色素の層204がエンボス面203aの配向状態(図3(A)の配向状態)に倣って配向する。なお、図5(D)と(E)では、上下が反転された状態で表示されている。
(光学機能)
識別媒体206の紫外光を照射した状態で得られる識別機能は、第1の実施形態で説明した図1の識別媒体106と同じである。すなわち、無偏光紫外光が照射された状態における直線偏光フィルタを介した観察時に得られる光学機能、および直線偏光の紫外光を照射した際に得られる光学機能は、識別媒体206と106で同じである。
紫外光を照射せず、可視光が当たっている環境下で識別媒体206を観察すると、透明蒸着層203によりエンボス面202aおよび203aに起因するホログラム像(この場合は図3(A)のホログラム模様)を観察することができる。ただし、この状態では、紫外光が照射されていないので、蛍光二色性色素の蛍光、つまり直線偏光の蛍光は生じず、偏光フィルタを介して観察しても、図4(B)〜(E)に示すような図柄の変化は観察できない。このように可視光でのホログラム像の確認及び紫外光照射下でのホログラム画像の明暗変化の確認が可能となる。
第3の実施形態
図6には、図5の変形例が示されている。この場合、まずPETフィルム等のベース基板211上に剥離層212と保護層213を積層する。保護層213は、光透過性で透過する光の偏光の状態を乱さない材質を選択する。次に、ホログラム形成層202を形成し、図6(A)に示す状態を得る。次にホログラム形成層202の表面に型押しによりエンボス面202aを形成する(図6(B))。更に、透明蒸着層203を形成する。この際、透明蒸着層203の表面にエンボス面202aの形成に倣ったエンボス面203aが形成される(図6(C))。
次に、蛍光二色性色素の層204を形成する。この際、蛍光二色性色素の層204がエンボス面203aの配向状態(図3(A)の配向状態)に倣って配向する。そして、蛍光二色性色素の層204の露出面にホットメルト層(加熱により接着力を発現する層)207を形成し、図6(D)に示す識別媒体214を得る。これを被着体にホットスタンプすることにより、保護層213部分から剥離層212とベース基板211を除去し、ベース基板の無い薄い転写タイプの識別媒体214(図6(E))が得られる。なお、図6(E)では、上下を反転させた状態が示されている。識別媒体214の光学機能は、図5に示す識別媒体206と同じである。また、透明蒸着層203を設けなければ図1に示す識別媒体106と同じになる。
第4の実施形態
図7には、識別媒体220が示されている。識別媒体220は、粘着層221、支持フィルム222、ホログラム形成層223、アルミ蒸着層(光反射層)224、蛍光二色性色素の層225、保護層226と積層された構造を有している。識別媒体220は、反射型であり、保護層226の側から観察を行った場合にのみ識別機能が得られる。識別機能は、第3および第4の実施形態の場合と同じである。
第5の実施形態
図8には、図5の変形例が示される。図8には、識別媒体230が示されている。識別媒体230は、以下のようにして作製される。まず、支持フィルム201にコレステリック液晶208を0.5〜5μmの程度の厚さで形成する。支持フィルムは、透過する光の偏光の状態を乱さない材質のものが選択される。コレステリック液晶層208は、例えば正面から見て赤の右円偏光を選択的に反射する特性に設定されている。なお、選択反射する円偏光の旋回方向は左円偏光であってもよい。また、選択反射する波長は、他の値のもの(例えば、緑)であってもよい。そして、コレステリック液晶層208の露出面にホログラム型を型押しすることで、エンボス面(回折格子面)208aを形成する。エンボス面208aは、例えば図3に示すパターンに形成される。
次に、このエンボス面208aに蛍光二色色素の層204を形成する。この際、蛍光二色色素の層204のコレステリック液晶層208に接する界面がエンボス面208aと同様の表面構造となり、エンボス面208aの溝構造に沿った方向に蛍光二色性色素の204を構成する蛍光二色性色素の分子が配向する。蛍光二色性色素の層204を形成したら、その露出面に粘着層205を形成する。こうして図8に示す構造を得る。
識別媒体230は、支持フィルム201の側から観察される。まず、可視光が当たっている環境下で識別媒体230を観察すると、コレステリック液晶層208からの反射光が観察されるので、エンボス面208aに起因する赤色のホログラム画像が確認できる。ここで、観察されるホログラム画像は、図3に示すモザイク模様の画像となる。そして、更に傾けて観察すると反射光が短波長側に変化するカラーシフトが観察される。そして、可視光が当たっている環境下で、右円偏光を選択的に透過する右円偏光フィルタを介して識別媒体230を観察すると、目視と同様にホログラム画像が観察できる。この際、コレステリック液晶層208から選択反射される右円偏光が優先的に観察されるので、赤いホログラム画像が右円偏光フィルタを用いない場合に比較してより鮮明な状態で観察できる。一方、可視光が当たっている環境下で、左円偏光を選択的に透過する左円偏光フィルタを介して識別媒体230を観察すると、左円偏光フィルタによって右円偏光はカットされるためホログラム画像は見えなくなる。
また、紫外光が照射されている環境下においては、蛍光二色性色素の層204の蛍光が発生する。この蛍光は、図3の偏光のパターンで発生する。ここで、識別媒体230を直視すると、偏光の違いが視認できず、図3のパターン(すなわち、図4(B)〜(C)の図柄)は観察できない。一方、直線偏光フィルタを介して観察すると、第1の実施形態の場合と同様に、直線偏光フィルタの向きによって図4に示すような図柄の変化が観察される。このように識別媒体230は(1)目視、(2)目視+円偏光フィルタ、(3)紫外光+直線偏光フィルタの3種類の方法で観察が可能となる。
第6の実施形態
例えば、第2の実施形態において、エンボスの構造パターンを図9のように、溝方向が同じで溝のピッチが異なる2つのパターンを組み合わせたものとしても良い。図9には、溝の延在方向が同じである矩形の第1のパターンと丸形状の第2のパターンが示されている。ここで、第1のパターンの溝のピッチが相対的に大きく、第2のパターンの溝のピッチが相対的に狭く(つまりより細かく)設定されている。この場合、可視光が当たった環境下において、エンボス模様のピッチの違いに起因して、当該識別媒体を正面から傾けた際に、矩形の中に丸形状がある画像が観察される。つまり、矩形の第1のパターンと丸形状の第2のパターンとが区別できる状態で視認される。
他方において、紫外光が照射された環境下では、蛍光二色性色素は、溝方向が同じ状態で配向されているため、矩形と中の丸形状は同様に発光する。したがって、丸形状の第2のパターンは、矩形の第1のパターン内に埋没し、観察し難く、矩形の第1のパターンと丸型の第2のパターンとは区別し難くなる。このように溝方向が同じで、ピッチが異なるパターンを組み合わせることにより、可視光で観察されるホログラム像と、紫外光照射下で観察される図柄が異なる形態を実現できる。
本実施の形態を第2の実施の形態以外の実施の形態に適用することも可能である。また、図3の矩形パターン(領域a〜c)の一または複数を図9に示すパターンで置き換える構成も可能である。
(その他)
以上の例では、紫外光の照射で蛍光が生じる蛍光二色性色素の層を用いる場合の例を説明したが、赤外光等の紫外光以外の光の照射によって蛍光が生じる蛍光二色性色素の層を用いることも可能である。
本発明は、真贋の識別を行うための技術に利用することができる。
101…回折格子、101a…エンボス面(回折格子面)、102…蛍光二色性色素の層、103…支持フィルム、104…粘着層、105…保護層、106…識別媒体、201…支持フィルム、202…ホログラム形成層、202a…エンボス面、203a…エンボス面、203…透明蒸着層、204…蛍光二色性色素の層、205…粘着層、206…識別媒体、207…ホットメルト層、208…コレステリック液晶層、208a…エンボス面、220…識別媒体、221…粘着層、222…支持フィルム、223…ホログラム形成層、224…アルミ蒸着層、225…蛍光二色性色素の層、226…保護層、230…識別媒体。

Claims (12)

  1. ホログラム表示を行なうためのエンボス構造が設けられた偏光蛍光発光素材の層を備え、
    前記エンボス構造は、特定の方向に沿った配列を有し、
    前記偏光蛍光発光素材の層は、前記特定の方向に沿った方向に配向しており、
    前記特定の方向に配向した前記偏光蛍光発光素材の層は、配向の状態の異なる複数の領域を有していることを特徴とする識別媒体。
  2. 前記複数の領域は、第1の方向に配向した第1の領域と、第2の方向に配向した第2の領域と、第3の方向に配向した第3の領域とを有し、
    前記第1の方向〜前記第3の方向は互いに異なる方向であり、
    前記第1の方向と前記第2の方向とがなす角度と前記第1の方向と前記第3の方向とがなす角度とが同じであることを特徴とする請求項1に記載の識別媒体。
  3. 前記第1の方向と前記第2の方向とがなす角度および前記第1の方向と前記第3の方向とがなす角度とが共に45°であることを特徴とする請求項2に記載の識別媒体。
  4. 前記偏光蛍光発光素材の層は、前記第1〜第3の方向と異なる第4の方向に配向した第4の領域を有し、
    前記第4の方向と前記第1の方向とのなす角度が90°であることを特徴とする請求項3に記載の識別媒体。
  5. 前記偏光蛍光発光素材は紫外光の照射によって蛍光する蛍光二色性色素または紫外光が照射されることで蛍光する液晶化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の識別媒体。
  6. 前記複数の領域は、配向の方向が同じで配向のピッチが異なる複数の領域を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の識別媒体。
  7. 前記偏光蛍光発光素材の層の前記エンボス構造の凹凸が樹脂により埋められていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の識別媒体。
  8. 前記偏光蛍光発光素材の層の屈折率と前記樹脂の屈折率の比が0.8〜1.2の範囲にあることを特徴とする請求項7に記載の識別媒体。
  9. 前記偏光蛍光発光素材の層の屈折率は、前記配向した方向における屈折率と前記配向した方向に直交した方向における屈折率の平均値であることを特徴とする請求項8に記載の識別媒体。
  10. 前記偏光蛍光発光素材の層の前記エンボス面に接して、コレステリック液晶層が設けられており、前記エンボス面は、前記コレステリック液晶層の表面に形成されたホログラム形成用のエンボス構造を利用して形成されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の識別媒体。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の識別媒体に対して、無偏光紫外光が照射されている状態において、直線偏光フィルタを介して当該識別媒体を観察することを特徴とする識別方法。
  12. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の識別媒体に対して、直線偏光紫外光が照射されている状態において、当該識別媒体を観察することを特徴とする識別方法。
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