JP2013525491A - 心血管障害を治療または予防し心血管保護を提供する方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、治療、予防および/または寛解を必要とするヒトにおける少なくとも1つの心血管障害を治療、予防および/または寛解する方法であって、前記ヒトに、少なくとも1つのGLP‐1活性を有する少なくとも1つのポリペプチドおよび/または少なくとも1つのGLP‐1アゴニストを含んでなる医薬組成物を投与することを含んでなる方法を提供する。
Description
本国際出願は、2010年5月4日に出願された米国特許仮出願第61/331,010号明細書、2010年6月1日に出願された同第61/350,144号明細書、および2010年12月14日に出願された同第61/422,701号明細書の優先権を主張し、該仮出願のすべては参照によりそれら全体が本明細書に取り込まれる。
本発明は、GLP‐1活性を有する化合物および/またはGLP‐1アゴニストを使用して、心血管障害を治療または予防し、および/または心血管保護を提供する方法および医薬組成物に関する。
血中グルコース濃度を下げるために、血糖降下薬が1型および2型糖尿病の両方の治療に使用されうる。インスリン分泌促進ペプチドは、糖尿病治療の可能性のある治療薬とされてきた。インスリン分泌促進ペプチドとしては、例えば胃抑制ペプチド(GIP)およびグルカゴン様ペプチド‐1(GLP‐1)といったインクレチンホルモン、ならびにその断片、変異体、および/または抱合体が挙げられるが、これらに限定されない。また、インスリン分泌促進ペプチドとして、例えばエキセンディン3およびエキセンディン4が挙げられる。GLP‐1は、食品の摂取に応えてL細胞によって腸内に分泌される天然の36アミノ酸長インクレチンホルモンである。GLP‐1は、生理的およびグルコース依存的にインスリン分泌を刺激し、グルカゴン分泌を減少し、胃内容排出を阻害し、食欲を減少し、β細胞の増殖を刺激することが示されている。非臨床的な実験において、GLP‐1は、グルコース依存インスリン分泌に重要な遺伝子の転写を刺激すること、およびベータ細胞新生を促進することによって、継続したベータ細胞応答能を促進する(Meier, et al. Biodrugs. 2003; 17 (2): 93-102)。
健常な人において、GLP‐1は、膵臓によるグルコース依存インスリン分泌を刺激することによって食後の血液グルコースレベルを調整する重要な役割を果たし、結果として末梢でのグルコース吸収の増加をもたらす。また、GLP‐1は、グルカゴン分泌を抑制し、肝臓のグルコース生産の減少につながる。くわえて、GLP‐1は、胃内容排出を遅延させ、小腸運動性を遅くして、食品吸収を遅延させる。
GLP‐1の主要な生理作用は、血糖管理と関連するが、GLP‐1が心血管生理においても重要な役割を果たしうることを示す証拠が増えてきている。また、GLP‐1受容体は、心血管組織にも発現され、アゴニストによるGLP‐1受容体の活性化は、広範囲の心血管系作用をもたらす(Grieve, et al., British Journal of Pharmacology. 2009;157(8):1340)。最近になって、GLP‐1が、生体外(ex vivo)(Ban, et al., Circulation. 2008;117:2340)および生体内(in vivo)(Bose, et al., Diabetes. 2005;54:146.)の両方において、心筋虚血再かん流傷害に対して心臓を保護することが示された。さらに重要なことには、72時間のGLP‐1の短期間注入は、急性心筋梗塞(AMI)をもつ患者における心機能を著しく改善することが報告されており、GLP‐1および模倣剤が、心不全に対する新規の治療方法として使用されうることを示唆している(Sokos, et al., J Card Fail. 12:694 (2006))。
自然のGLP‐1は、極めて短い血清半減期(<5分)を有する。したがって、現在のところ、自然のGLP‐1を体外から投与することは、糖尿病に対する治療的な処置として実現可能ではない。エクセナチド(バイエッタ(Byetta)(商標))のような市販のインクレチン模倣剤は、T2DMをもつ患者に皮下投与(5μgまたは10μg、BID)したとき、絶食中および食後のグルコース濃度を減じることによって、血糖管理を改善する。
アルビグルタイドは、二量体としてDPP‐IV抵抗型のペプチドのヒトアルブミンへの遺伝子融合を通して合成される新規のGLP‐1類似体であり、約5〜7日の半減期で長く続くGLP‐1活性を提供する。
よって、治療を提供することができ、および/また心筋虚血または他の心血管障害からの心血管保護を提供することができる長く続くインクレチン模倣剤およびGLP‐1アゴニストが必要である。
本発明の1つの実施形態では、ヒトにおける少なくとも1つの心血管障害を治療、予防および/または寛解する方法であって、前記ヒトに、少なくとも1つのGLP‐1活性を有する少なくとも1つのポリペプチドおよび/または少なくとも1つのGLP‐1アゴニストを含んでなる医薬組成物を投与することを含んでなる方法が、提供される。1つの実施形態では、少なくとも1つのGLP‐1活性を有するポリペプチドは、アルビグルタイドである。
別の実施形態では、ヒトにおける心臓組織でのグルコース代謝を制御する方法であって、少なくとも1つのGLP‐1活性を有する少なくとも1つのポリペプチドおよび/または少なくとも1つのGLP‐1アゴニストを含んでなる医薬組成物を、それを必要とする前記ヒトに投与することを含んでなる方法が、提供される。1つの実施形態では、少なくとも1つのGLP‐1活性を有するポリペプチドは、アルビグルタイドである。
別の実施形態では、それを必要とするヒトにおける心機能を増加する方法であって、前記ヒトに、少なくとも1つのGLP‐1活性を有する少なくとも1つのポリペプチドおよび/または少なくとも1つのGLP‐1アゴニストを含んでなる医薬組成物を投与することを含んでなる方法が、提供される。1つの実施形態では、少なくとも1つのGLP‐1活性を有するポリペプチドは、アルビグルタイドである。
別の実施形態では、ヒトにおける梗塞サイズを減少する方法であって、少なくとも1つのGLP‐1活性を有する少なくとも1つのポリペプチドおよび/または少なくとも1つのGLP‐1アゴニストを含んでなる医薬組成物を投与することを含んでなる方法が、提供される。1つの実施形態では、少なくとも1つのGLP‐1活性を有するポリペプチドは、アルビグルタイドである。
別の実施形態では、ヒトに心血管保護を提供する方法であって、前記ヒトに、アルビグルタイドを含んでなる医薬組成物を投与することを含んでなる方法が、提供される。ある例では、ヒトは2型糖尿病を有する。
定義
本明細書において使用される「GLP‐1アゴニスト」とは、インクレチンホルモンならびに/またはその断片、変異体および/もしくは抱合体、ならびにインクレチン模倣剤ならびに/またはその断片、変異体および/もしくは抱合体を含むが、これらに限定されない、少なくとも1つのGLP‐1活性を刺激すること、ならびに/または有することができる任意の化合物または組成物を意味する。
本明細書において使用される「GLP‐1アゴニスト」とは、インクレチンホルモンならびに/またはその断片、変異体および/もしくは抱合体、ならびにインクレチン模倣剤ならびに/またはその断片、変異体および/もしくは抱合体を含むが、これらに限定されない、少なくとも1つのGLP‐1活性を刺激すること、ならびに/または有することができる任意の化合物または組成物を意味する。
本明細書において使用される「インクレチンホルモン」とは、インスリン分泌を高めるか、またはそうでなければインスリンのレベルを上げる任意のホルモンを意味する。インクレチンホルモン一例が、GLP‐1である。GLP‐1は、食品の摂取に応えて腸L細胞によって分泌されるインクレチンである。健常な人において、GLP‐1は、膵臓によるグルコース依存インスリン分泌を刺激することによって食後の血液グルコースレベルを調整する重要な役割を果たし、結果として末梢でのグルコース吸収の増加をもたらす。また、GLP‐1は、グルカゴン分泌を抑制し、肝臓のグルコース生産の減少につながる。くわえて、GLP‐1は、胃内容排出時間を遅延させ、小腸運動性を遅くして、食品吸収を遅延させる。GLP‐1は、グルコース依存インスリン分泌にかかわる遺伝子の転写を刺激すること、およびベータ細胞新生を促進することによって、継続したベータ細胞応答能を促進する(Meier, et al. Biodrugs. 2003; 17 (2): 93-102)。
本明細書において使用される「GLP‐1活性」とは、血中および/または血漿グルコースを減少させること、グルコース依存インスリン分泌を刺激するか、またはそうでなければインスリンのレベルを上げること、グルカゴン分泌を抑制すること、フルクトサミンを減少させること、脳へのグルコース送達および代謝を増加すること、胃内容排出を遅延すること、ならびにベータ細胞応答能および/または新生を促進することを含むが、これらに限定されない1つ以上の天然のヒトGLP‐1の活性を意味する。これらの活性およびのGLP‐1活性に関連する他の活性のいずれも、GLP‐1活性を有する組成物またはGLP‐1アゴニストによって直接的または間接的に引き起こされうる。例として、GLP‐1活性を有する組成物は、グルコース依存インスリン分泌を直接的または間接的に刺激しうる一方、インスリン生産の刺激は、哺乳類における血漿グルコースレベルを間接的に減少しうる。
本明細書において使用される「インクレチン模倣剤」は、インスリン分泌を高めるか、またはそうでなければインスリンのレベルを上げることができる化合物である。インクレチン模倣剤は、インスリン分泌を刺激すること、ベータ細胞新生を増加すること、ベータ細胞アポトーシスを阻害すること、グルカゴン分泌を阻害すること、胃内容排出を遅延すること、および哺乳類における満腹を誘導することができうる。インクレチン模倣剤としては、限定されないがその任意の断片および/または変異体および/または抱合体を含むエキセンディン3およびエキセンディン4を含む、GLP‐1活性を有する任意のポリペプチドが挙げられうるが、これらに限定されない。
本明細書において使用される「血糖降下薬」とは、血中グルコースを減少することができる化合物を含んでなる任意の化合物または組成物を意味する。血糖降下薬としては、インクレチンホルモンまたはインクレチン模倣剤、GLP‐1ならびに/またはその断片、変異体および/もしくは抱合体を含む任意のGLP‐1アゴニストが挙げられうるが、これらに限定されない。他の血糖降下薬としては、インスリン分泌を増加する薬(例えば、グリピジドグリピジド、クロルプロパミド、グリメピリドを含むスルホニル尿素(SU)およびメグリチニド)、GLP‐1分解を阻害する薬(例えば、DPP‐IV阻害剤)、グルコース利用を増加する薬(例えば、グリタゾン、チアゾリジンジオン(TZD)および/またはpPARアゴニスト)、肝グルコース生産を減少する薬(例えば、メトホルミン)、ならびにグルコース吸収を遅延する薬(例えば、α‐グルコシダーゼ阻害剤)が挙げられるが、これらに限定されない。スルホニル尿素としては、例えば、アセトヘキサミド、クロルプロパミド、トラザミド、グリピジド、グリクラジド、グリベンクラミド(グリブリド)、グリキドン、およびグリメピリドが挙げられるが、これらに限定されない。グリタゾンおよび/またはチアゾリジンジオンとしては、例えば、ロシグリタゾンおよびピオグリタゾンが挙げられるが、これらに限定されない。他の血糖降下薬としては、アルファ‐グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボース、ミグリトール);ジペプチジルペプチダーゼ阻害剤(例えば、シタグリプチン、サクサグリプチン);麦角アルカロイド(例えば、プリモクリプチン);およびビグアナイド(biquanides)(例えば、メトホルミン);メグリチニド(例えば、ナテグリニド、レパグリニド);ならびに上記の組合せ薬剤が挙げられるが、これらに限定されない。
「ポリヌクレオチド」とは、一般に、改変されていないRNAもしくはDNA、または改変されたRNAもしくはDNAでありうる任意のポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドを指す。「ポリヌクレオチド」としては、一本鎖および二本鎖DNA、一本鎖および二本鎖領域または一本鎖、二本鎖および三本鎖領域の混合物であるDNA、一本鎖および二本鎖RNA、ならびに一本鎖および二本鎖領域の混合物であるRNA1本鎖、またはより典型的に二本鎖もしくは三本鎖領域、または一本鎖および二本鎖領域の混合物でありうるDNAおよびRNAを含んでなる混成分子が挙げられるが、これらに限定されない。くわえて、本明細書において使用される「ポリヌクレオチド」とは、RNAまたはDNAまたはRNAおよびDNA両方を含んでなる三本鎖領域を指す。そのような領域中の鎖は、同一分子からまたは異なる分子からでありうる。また、本明細書で使用される場合、「ポリヌクレオチド」という用語は、1つ以上の修飾された塩基を含んでなる上記のDNAまたはRNAを含みうる。三重らせん領域の分子の1つは、しばしばオリゴヌクレオチドである。また、本明細書で使用される場合、「ポリヌクレオチド」という用語は、1つ以上の修飾された塩基を含んでなる上記のDNAまたはRNAを含む。よって、安定性または他の理由で修飾された骨格をもつDNAまたはRNAは、その用語が本明細書において意図されたように、「ポリヌクレオチド」である。そのうえ、ほんの2例を挙げると、イノシンのようなまれな塩基、またはトリチル化塩基のような修飾された塩基を含んでなるDNAまたはRNAは、その用語が本明細書において使用されるように、ポリヌクレオチドである。当業者に公知の多くの有用な目的を果たす、非常にさまざまな修飾がDNAおよびRNAになされていることが理解されよう。本明細書において用いられているように「ポリヌクレオチド」という用語は、ポリヌクレオチドのそのような化学的、酵素的、または代謝的に修飾された形態、ならびに例えば、単純および複雑型細胞を含むウイルスおよび細胞の特徴を示すDNAおよびRNAの化学形態を包含する。また、「ポリヌクレオチド」は、しばしばオリゴヌクレオチドと呼ばれる短いポリヌクレオチドを包含する。
「ポリペプチド」とは、ペプチド結合または改変されたペプチド結合、すなわち、ペプチドイソスターによって互いにつながれた2つ以上のアミノ酸を含んでなる任意のペプチドまたはタンパク質を指す。「ポリペプチド」は、通常、ペプチド、オリゴペプチドまたはオリゴマーと呼ばれる短い鎖、および一般に、タンパク質と呼ばれるより長い鎖の両方を指す。ポリペプチドは、遺伝子によりコードされる20のアミノ酸以外のアミノ酸を含みうる。「ポリペプチド」は、翻訳後プロセシングのような自然のプロセス、または当該技術分野において周知である化学修飾技術のいずれかによって修飾されたアミノ酸配列を含む。そのような修飾は、基本的な教科書、より詳細なモノグラフ、および膨大な研究文献に十分に記載されている。修飾は、ペプチド骨格、アミノ酸側鎖およびアミノまたはカルボキシル末端を含む、ポリペプチドのどこにでも起こることができる。あるポリペプチドにおいて、同一タイプの修飾が、同じまたはさまざまな度合いで数個の部位に存在しうることが理解されよう。また、あるポリペプチドは多くのタイプの修飾を含有しうる。ポリペプチドは、ユビキチン化の結果として分岐されることがあり、それらは分岐をもつまたはもたない環状でありうる。環状、分岐および分岐環状ポリペプチドは、翻訳後の自然プロセスに起因しうるか、または合成法によって作られうる。修飾としては、アセチル化、アシル化、ADPリボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスファチジルイノシトール(phosphotidylinositol)の共有結合、架橋結合、環化、ジスルフィド結合構造、脱メチル化、共有結合架橋の形成、システインの形成、ピログルタミン酸の形成、ホルミル化、ガンマ‐カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質分解処理、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化(selenoylation)、硫酸化、アルギニル化のような転移RNAにより媒介されるアミノ酸のタンパク質への添加、およびユビキチン化が挙げられる。例えば、PROTEINS - STRUCTURE AND MOLECULAR PROPERTIES, 2nd Ed., T. E. Creighton, W. H. Freeman and Company, New York, 1993 and Wold, F., Posttranslational Protein Modifications: Perspectives and Prospects, pgs. 1-12 in POSTTRANSLATIONAL COVALENT MODIFICATION OF PROTEINS, B. C. Johnson, Ed., Academic Press, New York, 1983; Seifter, et al., "Analysis for protein modifications and nonprotein cofactors", Meth. Enzymol. (1990) 182:626-646 and Rattan, et al., “Protein Synthesis: Posttranslational Modifications and Aging", Ann NY Acad Sci (1992) 663:48-62を参照されたい。
「変異体」とは、その用語が本明細書において使用されるように、それぞれ、基準ポリヌクレオチドまたはポリペプチドと異なるが、本質的な特性を保持するポリヌクレオチドまたはポリペプチドである。ポリヌクレオチドの典型的な変異体は、ヌクレオチド配列の点でもう一方の基準ポリヌクレオチドと異なる。その変異体のヌクレオチド配列中の変更は、基準ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドのアミノ酸配列を改変することもしないこともありうる。以下に述べるように、ヌクレオチドの変更は、基準配列によってコードされるポリペプチド中のアミノ酸の置換、付加、削除、融合および切断をもたらしうる。ポリペプチドの典型的な変異体は、アミノ酸配列の点でもう一方の基準ポリペプチドと異なる。一般には、基準ポリペプチドおよび変異体の配列は、全体的に極めて類似し、多くの領域では同一であるように、差異が制限される。変異体および基準ポリペプチドは、1つ以上の置換、付加、削除の任意の組み合わせによって、アミノ酸配列の点で異なりうる。置換または挿入されたアミノ酸残基は、遺伝子コードによってコード化されたものであることもないこともありうる。ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの変異体は、対立遺伝子変異体のような天然のものでありうるか、または天然に起こることが知られていない変異体でありうる。ポリヌクレオチドおよびポリペプチドの非天然の変異体は、突然変異生成技術または直接合成によって作られうる。また、変異体としては、1つ以上のそのアミノ酸側基の化学修飾を有するポリペプチドまたはその断片が挙げられるが、これらに限定されない。化学修飾としては、化学部分を付加すること、新しい結合を創り出すこと、および化学部分を取り除くことが挙げられるが、これらに限定されない。アミノ酸側基においての修飾としては、リジン‐ε‐アミノ基のアシル化、アルギニン、ヒスチジン、またはリジンのN‐アルキル化、グルタミン酸またはアスパラギン酸のカルボン酸基のアルキル化、およびグルタミンまたはアスパラギンの脱アミノ化が挙げられるが、これらに限定されない。末端アミノ基の修飾としては、des‐アミノ、N‐低級アルキル、N‐ジ‐低級アルキル、およびN‐アシル修飾が挙げられるが、これらに限定されない。末端カルボキシ基の修飾としては、アミド、低級アルキルアミド、ジアルキルアミド、および低級アルキルエステル修飾が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、1つ以上の側基、または末端基は、タンパク質化学分野技術者に公知の保護基によって保護されうる。
本明細書において使用される場合、「断片」は、ポリペプチドに関して使用されるとき、全天然のポリペプチドのアミノ酸配列の一部と同一であるがすべてとは同一ではないアミノ酸配列を有するポリペプチドである。断片は、「独立」でありうるか、または単一のより大きいポリペプチド中の単一の連続した領域として部分または領域を形成する、より大きいポリペプチド内に含まれてなりうる。例として、天然のGLP‐1の断片は、天然のアミノ酸1〜36のアミノ酸7〜36を含むことになる。さらに、ポリペプチドの断片はまた、天然の部分的な配列の変異体でもありうる。例えば、天然のGLP‐1のアミノ酸7〜30を含んでなるGLP‐1の断片はまた、その部分的な配列内にアミノ酸置換を有する変異体でありうる。
本明細書において使用する場合、「抱合体」または「抱合された」とは、互いに結合された2分子を指す。例えば、第一のポリペプチドが、共有結合的または非共有結合的に、第二のポリペプチドに結合される。その第一のポリペプチドは、化学リンカーによって共有結合的に結合されうるか、または遺伝学的に第二ポリペプチドに融合され、そこにおいて第一および第二ポリペプチドは、共通のポリペプチド骨格を共有する。
本明細書において使用する場合、「直列に配向された(tandemly oriented)」とは、同一分子の一部として、互いに隣接する2つ以上のポリペプチドを指す。それらは、共有結合的または非共有結合的のいずれかで連結されうる。直列に配向された2つ以上のポリペプチドは、同一のポリペプチド骨格の一部を形成しうる。直列に配向されたポリペプチドは、順もしくは逆方向を有し、および/または他のアミノ酸配列によって隔てられうる。
本明細書で使用される場合、血中または血漿グルコースを「減少する」または「減少すること」とは、血糖降下薬を投与した後に対象の血液において観察される血中グルコースの量の減少を指す。血中または血漿グルコースの減少は、個人毎に、または対象群の平均変化として測定および評価されることができる。くわえて、血液または血漿グルコース平均減少は、基準値からの平均変化として、および/またはプラシーボを投与された対象の血中または血漿グルコースの平均変化と比較された平均変化として、治療された対象群について測定および評価されることができる。
本明細書において使用される場合、「心血管保護」、「心保護」およびその文法的派生語は、既存の心血管疾患もしくは障害の治療および/または管理、ならびに将来の心血管疾患もしくは障害の予防および/または既存の疾患もしくは障害の心血管症状の悪化の予防を指す。心血管保護は、例えば、既存の心血管疾患もしくは障害の症状の緩和、ならびに/または心臓組織でのグルコース代謝の調節、心機能の増加、運動能力の改善、ならびに/または心事故の頻度および/もしくは重症度の減少によって観察されうる。
本明細書において使用する場合、「梗塞サイズを減少する」とは、冠動脈閉塞より遠位の領域における左室に心筋細胞アポトーシスおよび/または壊死を減少することを含むが、これらに限定されない局所虚血に起因する心血管組織における凝固および/または壊死の領域の減少を指す。
本明細書において使用される場合、「強心剤」とは、任意の心血管疾患または障害の治療、寛解または予防に対して投与されうるあらゆる薬剤を指す。強心剤としては、単独または互いに組み合せて投与されうる1つ以上の以下の薬剤:ベータアドレナリン受容体拮抗剤(アテノロール、ビソプロロール、カルベジロール、エスモロール、ラベタロール、メトプロロール、ナドロール、ネビボロール、ピンドロール、プロプラノロールを含む);ベータアドレナリン受容体アゴニスト(ドブタミン、ドーパミン、エピネフリン、ノルエピネフリン、フェニレフリンを含む);ホスホジエステラーゼ‐3阻害剤(アムリノン、ミルリノンを含む);ホスホジエステラーゼ‐5阻害剤(シルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィルを含む);アンジオテンシン変換酵素阻害剤(ベナゼプリル、カプトプリル、エナラプリル、ホシノプリル、リシノプリル、モエキシプリル、キナプリル、ラミプリル、トランドラプリルを含む);アンジオテンシン受容体遮断薬(カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、テルミサルタン、バルサルタンを含む);レニン拮抗剤;ヒドララジン;ニトロプルシド;ネシリチド;ラノラジン;シロスタゾール;カルシウムチャネル遮断薬(ジルチアゼム、ベラパミル、アムロジピン、ニフェジピン、ニカルジピン、フェロジピン、ニソルジピン(nislodipine)を含む);ジゴキシン;クマジン;ヘパリン;抗血小板薬(アスピリン、ジピリダモール、クロピドグレル、プラスグレル、チクロピジンを含む);グリコプロテインIIb/IIIa拮抗剤(アブシキシマブ、チロフィバン、エプチフィバチドを含む);血栓溶解薬(アルテプラーゼ、レテプラーゼ、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、テネクテプラーゼを含む);スピロノラクトン;利尿剤(フロセミド、ブメタニド、ヒドロクロロチアジド、メトラゾン、アセタゾラミド、エタクリン酸を含む);硝酸薬(二硝酸イソソルビド、一硝酸イソソルビド、ニトログリセリンを含む);スタチン(アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチンを含む);エゼチミブ;フィブラート(ベザフィブラート(bezfibrate)、フェノフィブラート、ゲムフィブロジルを含む);および抗不整脈薬(アミオダロン、ジソピラミド、ドロネダロン、フレカイニド、プロカインアミド、プロパフェノン、キニジン、ソタロールを含む)が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書において使用する場合、「GLP‐1活性を増強する」とは、いくらかのおよび/またはすべての自然のGLP‐1に関連する活性の増加を指す。例として、GLP‐1活性を増強することは、GLP‐1活性を有する少なくとも1つのポリペプチドの対象への投与後に測定され、同じ対象におけるGLP‐1活性を有するポリペプチドの投与前のGLP‐1活性と比較、またはプラシーボを投与された第二の対象と比較されることができる。
本明細書において使用される場合、「高血中グルコースに関連した疾患」は、1型および2型糖尿病、耐糖能障害、高血糖症、代謝障害、およびアルツハイマー病が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書において使用される場合、「同時投与」または「同時投与すること」とは、本明細書において使用されるように、同じ患者への2つ以上の化合物の投与を指す。そのような化合物の同時投与は、同時もしくはほとんど同時(例えば、1時間内)でありうるか、または互いに数時間もしくは数日以内でありうる。例えば、第一の化合物は、週に1回投与されうる一方で、第二の化合物は、毎日同時投与される。
本明細書において使用される場合、「最大血漿濃度」または「Cmax」とは、哺乳類への物質の投与後、その哺乳類血漿における物質(例えば、GLP‐1活性を有するポリペプチドまたはGLP‐1アゴニスト)の最も高い観察濃度を意味する。
本明細書において使用される場合、「濃度曲線下面積」または「AUC」は、血漿中の物質の濃度の時間に対するプロットの曲線の下の面積である。AUCは、時間区間中の瞬間濃度の積分の尺度であることができ、単位、質量×時間/容積を有し、nM×日のようなモル濃度×時間として表わされることもできる。AUCは、典型的には、台形法(例えば、線形、線形対数)によって算出される。AUCは、通常、ゼロから無限大の時間区間について与えられ、他の時間区間(例えば、AUC(t1,t2)、ここでt1およびt2は、区間の開始および終了時間である)が示される。よって、本明細書において使用されるように、「AUC0‐24h」とは、24時間にわたるAUCを指し、「AUC0‐4h」は、4時間にわたるAUCを指す。
本明細書において使用される場合、「加重平均AUC」は、AUCが計算される時間にわたる時間区間で除されたAUCである。例えば、加重平均AUC0‐24hは、24時間で除されたAUC0‐24hを表わすことになる。
本明細書において使用される場合、「信頼区間」または「CI」は、ある確率、pに対応して、測定または試行が収まる区間であり、ここでpは90%または95%CIを指し、算術平均、幾何平均、または最小二乗平均のいずれかの前後に算出される。本明細書で使用される場合、幾何平均は、累乗法を通じて逆変換された自然対数変換値の平均であり、最小二乗平均はまた、幾何平均である場合もない場合もあるが、固定効果を使用する分散分析(ANOVA)モデルに由来する。
本明細書において使用される場合、「変動係数(CV)」は、ばらつきの測定値であり、平均値に対する標準偏差の比率として定義される。上記計算を100で乗じることによって割合(%)として表示される(%CV)。
本明細書において使用される場合、「Tmax」は、哺乳類への物質の投与後、その哺乳類の血漿中の物質の最大濃度に達する観察時間を指す。
本明細書において使用する場合、「血清または血漿半減期」とは、哺乳類に投与された物質の量の半分が、正常な生物学的プロセスによって代謝または哺乳類の血清または血漿から排せつされるのに必要な時間を指す。
本明細書において使用される場合、「心血管障害」としては、動脈動脈瘻、動静脈瘻孔、脳動静脈奇形、先天性心欠損症、肺動脈閉鎖症、およびシミター症候群のような心血管異常が挙げられるが、これらに限定されない。先天性心欠損症としては、大動脈縮窄症、三心房心、冠血管異常、右胸心、動脈管開存症、エプスタイン奇形、アイゼメンガー複合、左心低形成症候群、右胸心、ファロー四徴症、大血管転位症、両大血管右室起始症、三尖弁閉鎖症、総動脈幹遺残、ならびに大動脈肺動脈中隔欠損症、心内膜床欠損症、リュタンバッシェ症候群、卵円孔開存、および心房または心室中隔欠損症のような心中隔欠損症が挙げられるが、これらに限定されない。
また、心血管障害としては、慢性心不全、不整脈、カルチノイド心疾患、高心拍出量、低心拍出量、心タンポナーデ、心内膜炎(細菌性のものを含む)、心臓動脈瘤、心停止、うっ血性心不全、うっ血性心筋症、発作性呼吸困難、肺水腫、心肥大、うっ血性心筋症、左室肥大、右室肥大、梗塞後心臓破裂、心室中隔破裂、心臓弁疾患、心筋疾患、心筋虚血、心嚢液貯留、心膜炎(収縮性および結核性のものを含む)、心膜気腫、心膜切開術後症候群、肺性心疾患、リウマチ性心疾患、心室機能不全、心血管系妊娠合併症、シミター症候群、心血管感染症のような心疾患が挙げられるが、これらに限定されない。
不整脈としては、洞不整脈、心房細動、心房粗動、徐脈、期外収縮、アダムス・ストークス症候群、脚ブロック、洞房ブロック、QT延長症候群、副収縮、ラウン・ギャノン・レバイン症候群、早期興奮症候群、ウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群、洞不全症候群、心房および心室頻拍、および心室細動が挙げられるが、これらに限定されない。頻拍としては、発作性頻拍、上室頻拍、促進心室固有調律、房室結節性リエントリー性頻拍、異所性心房頻拍、異所性接合部頻拍、洞房結節リエントリー性頻拍、洞性頻拍、トルサードドポアント、および心室頻拍が挙げられる。
心臓弁疾患としては、大動脈弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症、心雑音(hear murmurs)、大動脈弁逸脱症、僧帽弁逸脱症、三尖弁逸脱、僧帽弁閉鎖不全症、僧帽弁狭窄症、肺動脈閉鎖症、肺動脈弁閉鎖不全症、肺動脈弁狭窄症、三尖弁閉鎖症、三尖弁閉鎖不全症、および三尖弁狭窄症が挙げられるが、これらに限定されない。
心筋疾患としては、アルコール性心筋症、糖尿病性心筋症、うっ血性心筋症、肥大型心筋症、大動脈弁下狭窄、肺動脈弁下部狭窄症、拘束型心筋症、シャーガス心筋症、心内膜線維弾性症、心内膜心筋線維症、カーンズ症候群、心筋再潅流傷害、および心筋炎が挙げられるが、これらに限定されない。
心筋虚血としては、冠動脈疾患、狭心症、冠動脈瘤、冠動脈硬化、冠動脈血栓症、冠動脈血管れん縮、心筋梗塞、気絶心筋、不安定狭心症、および急性冠症候群が挙げられるが、これらに限定されない。
また、心血管疾患としては、血管病(例えば動脈瘤)、血管形成異常、血管腫症、細菌性血管腫症、フォンヒッペル・リンダウ病、クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群、スタージ・ウェーバー症候群、血管神経性浮腫、大動脈疾患、高安動脈炎、大動脈炎、レリシュ症候群、動脈閉鎖性疾患、動脈炎、動脈内膜炎(enarteritis)、結節性多発動脈炎、脳血管障害、糖尿病性血管障害、糖尿病性網膜症、塞栓症、血栓症、先端紅痛症(erythromelaigia)、痔核、肝臓静脈閉鎖的な疾患、高血圧、低血圧、虚血、末梢血管疾患、静脈炎、肺静脈閉塞症、レイノー病、CREST症候群、網膜静脈閉塞症、シミター症候群、上大静脈症候群、末梢血管拡張症、末梢血管拡張性運動失調症(atacia telangiectasia)、遺伝性出血性末梢血管拡張症、精索静脈瘤、静脈瘤、静脈瘤性潰瘍、血管炎、および静脈還流不全が挙げられる。
GLP‐1アゴニストによって治療、予防または寛解されうる疾患および障害としては、左室または右室機能不全;左または右心不全;低または高心拍出量;急性非代償性心不全;慢性うっ血性心不全;限定されないが遺伝的要因、冠動脈疾患、心筋梗塞、人工弁(structural valve)疾患、感染症、先天性心疾患、高血圧、アルコール消費、糖尿病、左室肥大、心筋炎、アミロイドーシス、ヘモクロマトーシス、糖原病、代謝障害、グルコースまたは脂質代謝の障害、炎症性疾患に起因する心筋症を含む、あらゆる原因の心筋症;冠動脈疾患;心筋虚血;急性心筋梗塞;急性冠症候群または不安定狭心症;肺水腫;左または右室肥大;心停止;心筋炎;限定されないが遺伝的要因、末梢血管疾患、悪液質、がん、慢性心不全、慢性肺疾患、炎症性疾患に起因する骨格筋機能障害または骨格筋症;運動能力障害;および/または末梢血管疾患が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の1つの実施形態では、ヒトにおける少なくとも1つの心血管障害を治療、予防および/または寛解する方法であって、前記ヒトに、少なくとも1つのGLP‐1活性を有する少なくとも1つのポリペプチドおよび/または少なくとも1つのGLP‐1アゴニストを含んでなる医薬組成物を投与することを含んでなる方法が、提供される。別の実施形態では、ヒトにおける心臓組織におけるグルコース代謝を制御する方法であって、少なくとも1つのGLP‐1活性を有する少なくとも1つのポリペプチドおよび/または少なくとも1つのGLP‐1アゴニストを含んでなる医薬組成物を、それを必要とする前記ヒトに投与することを含んでなる方法が、提供される。別の実施形態では、それを必要とするヒトにおける心機能を増加する方法であって、前記ヒトに、少なくとも1つのGLP‐1活性を有する少なくとも1つのポリペプチドおよび/または少なくとも1つのGLP‐1アゴニストを含んでなる医薬組成物を投与することを含んでなる方法が、提供される。別の実施形態では、ヒトにおける梗塞サイズを減少する方法であって、少なくとも1つのGLP‐1活性を有する少なくとも1つのポリペプチドおよび/または少なくとも1つのGLP‐1アゴニストを含んでなる医薬組成物を投与することを含んでなる方法が、提供される。1つの実施形態では、少なくとも1つのGLP‐1活性を有するポリペプチドは、アルビグルタイドである。
当該技術分野で理解されるように、「心不全」は、多くの異なる病因または疾患兆候をもつ臨床症状を定義する。典型的には、うっ血性心不全は、心臓がその内容物を正常に放出することができないことに起因し、肺および全身のうっ血をもたらす肺静脈圧の増加を指す。この状態は、遺伝的要因、冠動脈疾患、心筋梗塞、人工弁(structural valve)疾患、感染症、先天性心疾患、高血圧、アルコール消費、糖尿病、左室肥大、心筋炎、アミロイドーシス、ヘモクロマトーシス、糖原病、代謝障害、グルコースまたは脂質代謝の障害、および/または炎症性疾患を含むが限定されない心機能の障害につながることができる多くの異なる病理過程によって引き起こされることができる。本発明は、グルコース効率および心室収縮性を増加することによって、低下した心筋機能に対処する方法を記載する。よって、本発明の方法は、本明細書において記載されている多くの心血管疾患の治療、予防および/または寛解に使用されることができる。
本発明の1つの態様では、GLP‐1アゴニストは、配列番号1を含んでなる。本明細書において使用されるとき、配列番号1は、アルビグルタイドの主要なポリペプチド配列である(図16を参照されたい)。
発明の実施形態は、GLP‐1またはその断片、変異体、および/もしくは抱合体であるが、これらに限定されないGLP‐1アゴニストを含んでなる。本発明のGLP‐1断片および/または変異体および/または抱合体は、典型的に、少なくとも1つのGLP‐1活性を有する。GLP‐1またはその断片、変異体、および/もしくは抱合体は、ヒト血清アルブミンを含んでなりうる。ヒト血清アルブミンは、GLP‐1またはその断片および/もしくは変異体抱合されうる。ヒト血清アルブミンは、注入前に(GLP‐1のような)インクレチンホルモンならびに/または(エキセンディン3およびエキセンディン4のような)インクレチン模倣剤ならびに/またはその断片および/もしくは変異体に、化学リンカーを通して抱合されうるか、または生体内(in vivo)で自然のヒト血清アルブミンに化学的に連結されうる(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,593,295号明細書および米国特許第6,329,336号明細書を参照されたい)。あるいは、ヒト血清アルブミンは、GLP‐1ならびに/またはその断片および/もしくは変異体、またはエキセンディン−3またはエキセンディン−4のような他のGLP‐1アゴニストならびに/またはその断片および/もしくは変異体に、遺伝学的に融合されうる。遺伝学的にヒト血清アルブミンと融合されたGLP‐1ならびにその断片および/または変異体は、次のPCT出願に提供されている:国際公開第2003/060071号、国際公開第2003/59934号、国際公開第2005/003296号、国際公開第2005/077042号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
GLP‐1活性を有するポリペプチドまたはGLP‐1アゴニストは、少なくとも1つのヒトGLP‐1の断片および/または変異体を含んでなりうる。2つのヒトGLP‐1の天然の断片を配列番号2に示す。
ここで、37位のXaaは、Gly(以降「GLP‐1(7‐37)」とする)か、または‐NH2(以降「GLP‐1(7‐36)」とする)である。GLP‐1断片は、ヒトGLP‐1のアミノ酸7〜36(GLP‐1(7‐36))を含んでなるか、または代替的にヒトGLP‐1のアミノ酸7〜36(GLP‐1(7‐36))からなるGLP‐1の分子が挙げられるが、これらに限定されない。GLP‐1の変異体またはその断片は、限定されないが、1、2、3、4、5以上のアミノ酸置換を、野生型GLP‐1または配列番号2に示されるGLP‐1天然の断片に含みうる。変異体GLP‐1またはGLP‐1の断片は、限定されないが、アラニンがグリシンに変異されるように、野生型GLP‐1のアラニン8にアラニン残基類似体の置換を含みうる(以降「A8G」とする)(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,545,618号明細書に開示された変異体を参照されたい)。
幾つかの態様では、GLP‐1の少なくとも1つの断片および変異体は、GLP‐1(7‐36(A8G))を含んでなり、遺伝学的にヒト血清アルブミンに融合される。さらなる実施形態では、発明のポリペプチドは、ヒト血清アルブミンまたはその変異体のNまたはC末端に融合された、1、2、3、4、5以上の、GLP‐1ならびに/またはその断片および/もしくは変異体の直列に配向された分子を含んでなる。他の実施形態は、アルブミンまたはその変異体のNまたはC末端に融合されたそのようなA8Gポリペプチドを有する。ヒト血清アルブミンのN末端に融合された2つの直列に配向されたGLP‐1(7‐36)(A8G)断片および/または変異体の例は、配列番号1を含んでなり、図16に示される。別の態様では、GLP‐1の少なくとも1つの断片および変異体は、少なくとも2つのGLP‐1(7‐36(A8G))を直列に含んでなり、遺伝学的にヒト血清アルブミンに融合される。少なくとも2つのGLP‐1(7‐36(A8G))は、遺伝学的にヒト血清アルブミンのN末端に融合されうる。少なくとも1つのGLP‐1活性を有するポリペプチドは、配列番号1を含んでなりうる。幾つかの態様では、少なくとも1つのGLP‐1活性を有するポリペプチドは、アルビグルタイドである。
GLP‐1(7‐37)の変異体は、例えば、GLP‐1(7‐37)OHの22位に通常見出されるグリシンがグルタミン酸で置換されているGLP‐1変異体であるGlu22‐GLP‐1(7‐37)OH、GLP‐1(7‐37)OHの8位に通常見出されるアラニン、および22位に通常見出されるグリシンが、それぞれバリンおよびグルタミン酸で置換されているGLP‐1化合物であるVal8‐Glu22‐GLP‐1(7‐37)OHが示される。GLP‐1の変異体としては、例えば、以下が挙げられるが、これらに限定されない。
また、GLP‐1の変異体としては、1つ以上のそのアミノ酸側基の化学修飾を有するGLP‐1またはそのGLP‐1断片が挙げられるが、これらに限定されない。化学修飾としては、化学部分を付加すること、新しい結合を創り出すこと、および化学部分を取り除くことが挙げられるが、これらに限定されない。アミノ酸側基においての修飾としては、リジン‐ε‐アミノ基のアシル化、アルギニン、ヒスチジン、またはリジンのN‐アルキル化、グルタミン酸またはアスパラギン酸のカルボン酸基のアルキル化、およびグルタミンまたはアスパラギンの脱アミノ化が挙げられるが、これらに限定されない。末端アミノ基の修飾としては、des‐アミノ、N‐低級アルキル、N‐ジ‐低級アルキル、およびN‐アシル修飾が挙げられるが、これらに限定されない。末端カルボキシ基の修飾としては、アミド、低級アルキルアミド、ジアルキルアミド、および低級アルキルエステル修飾が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、1つ以上の側基、または末端基は、タンパク質化学分野技術者に公知の保護基によって保護されうる。
また、GLP‐1断片または変異体は、1つ以上のアミノ酸が、前記断片または変異体のGLP‐1(7−37)OHのN末端および/またはC末端に付加されているポリペプチドを含みうる。アミノ酸がN末端および/またはC末端に付加されているGLP‐1のアミノ酸は、GLP‐1(7‐37)OHの対応するアミノ酸と同じ番号により示される。例えば、2つのアミノ酸をGLP‐1(7‐37)OHのN末端に付加することによって得られたGLP‐1化合物のN末端アミノ酸は、5位であり、1つのアミノ酸をGLP‐1(7‐37)OHのC末端に付加することによって得られたGLP‐1化合物のC末端アミノ酸は、38位である。よって、これらのGLP‐1化合物の両方において、GLP‐1(7‐37)OHのように、12位がフェニルアラニンで占められ、22位がグリシンで占められる。アミノ酸がN末端に付加されているGLP‐1のアミノ酸1〜6は、GLP‐1(7−37)OHの対応する位置にあるアミノ酸と同一か、またはその保存的置換でありうる。アミノ酸がC末端に付加されているGLP‐1のアミノ酸38〜45は、グルカゴンまたはエキセンディン‐4の対応する位置にあるアミノ酸と同一か、またはその保存的置換でありうる。
本明細書において記載される薬物動態(例えば、限定されないが、Cmax、AUC、Tmax、血中半減期)および薬物力学(例えば、限定されないが、血清、血漿および血中グルコースレベル)パラメーターを測定および計算するさまざまな方法を、当業者であれば理解するであろう。さらに、統計的比較(例えば、限定されないが、ベースラインから処理後の変化の比較および/もしくは治療群の間での比較)、ならびに/または本明細書において記載される薬物動態および薬物力学パラメーターの分析を行うさまざまな方法を、さらに、薬物動態、薬物力学および他の臨床データを収集および分析するさまざまな他の方法を、当業者であれば理解し、用いることができるであろう。
当該技術分野で理解されるように、本発明の医薬組成物は、皮下に投与されることができる。皮下注射は、例えば、限定されないが、1回注射当たり約0.01mL〜約5.0mLのボリュームで、単回注射として投与されることができる。あるいは、皮下注射は、連続的に投与されることができる。くわえて、皮下注射は、単回および連続的中注入の組合せとして、ならびに皮下および他の投与の経路の組合せとして投与されることができる。本発明の医薬組成物は、全身投与および局所投与両方を含む任意の好適な投与経路によって投与しうる。全身投与としては、経口投与、非経口投与、経皮投与、直腸投与、および吸入による投与が挙げられる。非経口投与とは、腸内、経皮、または吸入による投与以外の投与の経路、典型的には、注射または注入をさす。非経口投与としては、静脈内、筋肉内、および皮下注射または注入が挙げられる。吸入とは、口を通してまたは鼻腔を通して吸入されるであろうとなかろうと患者の肺への投与をさす。局所投与としては、皮膚への適用、ならびに眼内投与、耳投与、膣内投与、および経鼻投与が挙げられる。幾つかの態様では、前記医薬組成物は、限定されないが3.75mg/mlを含む、投与量当たり約4.0mg未満の配列番号1を含んでなる。別の態様では、前記医薬組成物は、限定されないが1.88mg/mlを含む、投与量当たり約2.0mg未満の配列番号1を含んでなる。医薬組成物は、低い投与量にて毎週1回投与されることができる。例えば、アルビグルタイドを含んでなる医薬組成物は、週に1回、注射により、約0.25mg、0.5mg、0.75mg、1.0mg、1.25mg、1.5mg、1.75mg、1.88mg、2.0mg、2.25mg、2.5mg、2.75mg、3.0mg、3.25mg、3.5mg、3.75mg、4.0mg、15mg、または30mgの量で投与されうる。本発明の医薬組成物は、例えば、6ヶ月未満の期間にわたって毎週投与されうる。あるいは、それは、例えば、より長い期間または長期間にわたって毎週投与されうる。幾つかの態様では、医薬組成物は、少なくとも1つのボーラス注入として投与されうる。
別の態様では、医薬組成物は、前記ヒトにおける心乳酸流出の量を減少する。本発明の医薬組成物は、少なくとも1つの第二の強心剤と同時投与されることができる。当該技術分野で理解されるように、強心剤としては、硝酸薬、ベータ遮断薬、ACE阻害剤、アンジオテンシンII受容体遮断薬、利尿剤、血管拡張薬、ベータアドレナリン受容体拮抗剤、ベータアドレナリン受容体アゴニスト、ホスホジエステラーゼ‐3阻害剤、ホスホジエステラーゼ‐5阻害剤、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、アンジオテンシン受容体遮断薬、レニン拮抗剤のような抗狭心症薬;ヒドララジン;ニトロプルシド;ネシリチド;ラノラジン;シロスタゾール;カルシウムチャネル遮断薬、ジゴキシン;クマジン;ヘパリン;抗血小板薬、グリコプロテインIIb/IIIa拮抗剤、血栓溶解薬、スピロノラクトン;利尿剤、硝酸薬、スタチン、エゼチミブ;フィブラートおよび/または抗不整脈薬が挙げられるが、これらに限定されない。
別の態様では、医薬組成物が、前記ヒトにおける心機能を改善する方法が提供される。他の態様では、医薬組成物は、前記ヒトにおける血管拡張を増加し、および/またはNO生産または利用可能性を増加する。
1つの実施形態では、ヒトは慢性の心臓の状態を有する。別の態様では、ヒトは急性の心臓の状態を有する。また、本発明の方法は、慢性および急性の心臓の状態を有するか、またはどちらか一方もしくは両方のリスクがあるヒトの治療を提供する。ある例では、ヒトは、虚血性のうっ血性心不全を有する。別の例では、ヒトは、非虚血性のうっ血性心不全を有する。幾つかの実施形態では、ヒトは、急性心筋梗塞(AMI)を有する。
また、本発明は、ヒトが、慢性心不全、心疾患、不整脈、カルチノイド心疾患、高心拍出量、低心拍出量、心タンポナーデ、心内膜炎(細菌性のものを含む)、心臓動脈瘤、心停止、うっ血性心不全、うっ血性心筋症、発作性呼吸困難、肺水腫、心肥大、うっ血性心筋症、左室肥大、右室肥大、梗塞後心臓破裂、心室中隔破裂、心臓弁疾患、心筋疾患、心筋虚血、心嚢液貯留、心膜炎、心膜気腫、心膜切開術後症候群、肺性心疾患、リウマチ性心疾患、心室機能不全、充血、心血管系妊娠合併症、シミター症候群、心血管梅毒、心血管結核、アルコール性心筋症、糖尿病性心筋症、うっ血性心筋症、肥大型心筋症、大動脈弁下狭窄、肺動脈弁下部狭窄症、拘束型心筋症、シャーガス心筋症、心内膜線維弾性症、心内膜心筋線維症、カーンズ症候群、心筋再潅流傷害、心筋炎;狭心症、冠動脈瘤、冠動脈硬化、冠動脈血栓症、冠動脈血管れん縮、のような冠動脈疾患、心筋梗塞、気絶心筋、血管病(例えば動脈瘤)、血管形成異常、血管腫症、細菌性血管腫症、フォンヒッペル・リンダウ病、クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群、スタージ・ウェーバー症候群、血管神経性浮腫、大動脈疾患、高安動脈炎、大動脈炎、レリシュ症候群、動脈閉鎖性疾患、動脈炎、動脈内膜炎(enarteritis)、結節性多発動脈炎、脳血管障害、糖尿病性血管障害、糖尿病性網膜症、塞栓症、血栓症、先端紅痛症(erythromelaigia)、痔核、肝臓静脈閉鎖的な疾患、高血圧、低血圧、虚血、末梢血管疾患、静脈炎、肺静脈閉塞症、レイノー病、CREST症候群、網膜静脈閉塞症、シミター症候群、上大静脈症候群、末梢血管拡張症、末梢血管拡張性運動失調症(atacia telangiectasia)、遺伝性出血性末梢血管拡張症、精索静脈瘤、静脈瘤、静脈瘤性潰瘍、血管炎、および静脈還流不全の群からから選択される少なくとも1つの疾患を有する方法を提供する。
1つの実施形態では、ヒトは、少なくとも1つの次に疾患または障害を有する:左もしくは右心室機能不全;左もしくは右心不全;低もしくは高心拍出量;急性非代償性心不全;慢性うっ血性心不全;限定されないが遺伝的要因、冠動脈疾患、心筋梗塞、人工弁(structural valve)疾患、感染症、先天性心疾患、高血圧症、アルコール消費、糖尿病、左室肥大、心筋炎、アミロイドーシス、ヘモクロマトーシス、糖原病、代謝障害、グルコースもしくは脂質代謝障害、炎症性疾患に起因する心筋症を含む、いかなる原因の心筋症;冠動脈疾患;心筋虚血;急性心筋梗塞;急性冠症候群もしくは不安定狭心症;肺水腫;左もしくは右室肥大;心停止;心筋炎;限定されないが遺伝的要因、末梢血管疾患、悪液質、がん、慢性心不全、慢性肺疾患、炎症性疾患に起因する骨格筋機能障害もしくは骨格筋症;運動能力障害;末梢血管疾患。
他の実施形態では、ヒトは、2型糖尿病を有する。ヒトは、高血糖症を有しうるか、または前糖尿病性もしくは糖尿病を発症するリスクがあると診断されうる。また、本発明の医薬組成物は、前記ヒトにおける少なくとも1つの次の機能を改善する:心筋グルコース利用、心筋効率、左室機能、および/または運動耐容能。
また、本発明は、本明細書において記載された少なくとも1つの心血管疾患または障害を治療する薬剤の製造における、少なくとも1つのGLP‐1活性を有するポリペプチドおよび/または少なくとも1つのGLP‐1アゴニストの使用を提供する。また、本発明は、左もしくは右心室機能不全;左もしくは右心不全;低もしくは高心拍出量;急性非代償性心不全;慢性うっ血性心不全;限定されないが遺伝的要因、冠動脈疾患、心筋梗塞、人工弁(structural valve)疾患、感染症、先天性心疾患、高血圧症、アルコール消費、糖尿病、左室肥大、心筋炎、アミロイドーシス、ヘモクロマトーシス、糖原病、代謝障害、グルコースもしくは脂質代謝障害、炎症性疾患に起因する心筋症を含む、いかなる原因の心筋症;冠動脈疾患;心筋虚血;急性心筋梗塞;急性冠症候群もしくは不安定狭心症;肺水腫;左もしくは右室肥大;心停止;心筋炎;限定されないが遺伝的要因、末梢血管疾患、悪液質、がん、慢性心不全、慢性肺疾患、炎症性疾患に起因する骨格筋機能障害もしくは骨格筋症;運動能力障害;および/または末梢血管疾患を治療、予防および/または寛解するGLP‐1アゴニストの使用を含むが、これに限定されない本明細書において記載された少なくとも1つのGLP‐1活性を有するポリペプチド、および/または少なくとも1つのGLP‐1アゴニストの任意の使用を提供する。1つの実施形態では、少なくとも1つのGLP‐1活性を有するポリペプチドは、アルビグルタイドである。
1つの実施形態では、ヒトに心血管保護を提供する方法であって、前記ヒトに、アルビグルタイドを含んでなる医薬組成物を投与することを含んでなる方法が、提供される。幾つかの態様では、医薬組成物は、約3.75mg、15mgまたは30mgのアルビグルタイドを含んでなる。他の態様では、医薬組成物は、約4mg未満のアルビグルタイドを含んでなる。医薬組成物は、アルビグルタイドを、投与量当たり、0.25mg、0.5mg、0.75mg、1.0mg、1.25mg、1.5mg、1.75mg、1.88mg、2.0mg、2.25mg、2.5mg、2.75mg、3.0mg、3.25mg、3.5mg、3.75mg、4.0mg、15mg、30mgから選択される量で含んでなりうる。アルビグルタイドを含んでなる医薬組成物は、週1回投与されうる皮下注射によって送達されうる。
本発明は、アルビグルタイドを、単回投与量中に、1mg、0.25mg、0.5mg、0.75mg、1.0mg、1.25mg、1.5mg、1.75mg、1.88mg、2.0mg、2.25mg、2.5mg、2.75mg、3.0mg、3.25mg、3.5mg、3.75mg、4.0mg、15mg、30mgから選択される量で含んでなる医薬組成物の、心血管保護を提供するための使用を提供する。ある例では、心血管保護は、ヒトに提供される。
また、ALDOC、CPT1B、IGF1R、PDHA1、GSK3B、GYS1、SLC2A1を含むが、これらに限定されない解糖およびグリコーゲン生成に関連する少なくとも1つの遺伝子の遺伝子発現を増加する方法が、本明細書において提供される。ある例では、遺伝子発現が、アルビグルタイドでの治療後のI/R心臓で、非虚血性の領域で増加される。ある例では、次の遺伝子:ACSL1、CPT1B、GAPDH、IGF1R、SLC2A4、HK2、GYS1、ESSRA、HIF1A、PPARGC1A、PDHA1、ALDOC、GSK3B、およびAKT1の少なくとも1つの遺伝子発現が、アルビグルタイドを含んでなる医薬組成物の投与後に増加される。
以下の例により、本発明のさまざまな非限定的な態様を説明する。
例1 心筋虚血モデルにおけるアルビグルタイドの心機能への前臨床評価
本研究において、本発明者らは、アルビグルタイドが心筋虚血再かん流傷害のげっ歯類モデルにおいて心保護的な効果があるという仮説を立てた。ラット心筋虚血再かん流傷害モデルは、臨床的に関連のある、翻訳可能な動物モデルである。また、そのモデルは潜在的な心不全治療の化合物の初期テストに広く使用されているモデルである。GLP‐1(7〜36および9〜36)ならびに同模倣剤(エキセンディン‐4およびリラグルチド)はすべて、虚血再かん流傷害のげっ歯類モデルにおいて心保護性であることが示されている。
本研究において、本発明者らは、アルビグルタイドが心筋虚血再かん流傷害のげっ歯類モデルにおいて心保護的な効果があるという仮説を立てた。ラット心筋虚血再かん流傷害モデルは、臨床的に関連のある、翻訳可能な動物モデルである。また、そのモデルは潜在的な心不全治療の化合物の初期テストに広く使用されているモデルである。GLP‐1(7〜36および9〜36)ならびに同模倣剤(エキセンディン‐4およびリラグルチド)はすべて、虚血再かん流傷害のげっ歯類モデルにおいて心保護性であることが示されている。
雄スプラーグ・ドーリー(Sprague‐Dawley)ラット(〜300g体重)を本研究に使用した。以下の5つの試験群を研究に含めた:
群1:ビヒクル(ビヒクルで処置した虚血/再かん流傷害ラット);n=8〜10
群2:rHSA(rHSAで処置した虚血/再かん流傷害ラット);n=8〜10
群3:アルビグルタイド(アルビグルタイド、1mg/kgで処置した虚血/再かん流傷害ラット);n=8〜10
群4:アルビグルタイド(アルビグルタイド、3mg/kgで処置した虚血/再かん流傷害ラット);n=8〜10
群5:アルビグルタイド(アルビグルタイド、10mg/kgで処置した虚血/再かん流傷害ラット);n=8〜10
群1:ビヒクル(ビヒクルで処置した虚血/再かん流傷害ラット);n=8〜10
群2:rHSA(rHSAで処置した虚血/再かん流傷害ラット);n=8〜10
群3:アルビグルタイド(アルビグルタイド、1mg/kgで処置した虚血/再かん流傷害ラット);n=8〜10
群4:アルビグルタイド(アルビグルタイド、3mg/kgで処置した虚血/再かん流傷害ラット);n=8〜10
群5:アルビグルタイド(アルビグルタイド、10mg/kgで処置した虚血/再かん流傷害ラット);n=8〜10
実験プロトコール
心筋虚血‐再かん流(I/R)傷害を、麻酔(ネンブタール、60mg/kg、IP)下で行った。絶食していないラットを、開胸手術に供し、心筋I/R傷害を、左前下行(LAD)動脈を30分間閉塞し、続いて24時間再かん流することによって誘発した。図2に示すように、ラットをビヒクル、組み換えヒトアルブミン(rHSA)またはアルビグルタイドで3日間、前処置した。ラットに、虚血の48時間、24時間および2時間前に、皮下注射で2.7mg/kgの投与量にてrHSAを投与し、次に30分間の虚血および24時間の再かん流に供した。他のラットに、虚血の48時間、24時間および2時間前に、皮下注射で1mg/kg、3mg/kg、または10mg/kgの投与量にてアルビグルタイドを投与し、次に30分間の虚血および24時間の再かん流に供した。血液試料を、虚血の直前および再かん流の24時間後に採集した(図2)。
心筋虚血‐再かん流(I/R)傷害を、麻酔(ネンブタール、60mg/kg、IP)下で行った。絶食していないラットを、開胸手術に供し、心筋I/R傷害を、左前下行(LAD)動脈を30分間閉塞し、続いて24時間再かん流することによって誘発した。図2に示すように、ラットをビヒクル、組み換えヒトアルブミン(rHSA)またはアルビグルタイドで3日間、前処置した。ラットに、虚血の48時間、24時間および2時間前に、皮下注射で2.7mg/kgの投与量にてrHSAを投与し、次に30分間の虚血および24時間の再かん流に供した。他のラットに、虚血の48時間、24時間および2時間前に、皮下注射で1mg/kg、3mg/kg、または10mg/kgの投与量にてアルビグルタイドを投与し、次に30分間の虚血および24時間の再かん流に供した。血液試料を、虚血の直前および再かん流の24時間後に採集した(図2)。
右頸動脈を経て左室に挿入した1.8F Millar Mikro‐Tip圧カテーテルトランスデューサーを使用して、30分間の虚血および24時間の再かん流障害後に心機能を評価した。
研究終了時に、ラットの心臓を摘出し、1%の塩化トリフェニルテトラゾリウム(TTC)リン酸緩衝溶液でかん流し、壊死および生存心筋の境界を明示した。続いて、LAD動脈を前の閉塞箇所で再び結び、心臓にエバンスブルー染料をかん流し、リスク領域および非虚血性の領域の境界を明示した。心臓を、横に5つの切片に切り、それら切片をデジタルカメラ使用して写真に撮った。梗塞サイズおよびリスク領域を、Image−Pro Plusを使用して測定した。
インスリンは、MDSラットインスリンキットを使用して測定した。血中グルコースおよび乳酸は、オリンパス(Olympus)AU640臨床化学分析器を使用して測定した。
血行動態測定および死後分析
I/R研究終了時(再かん流後24時間)に、動物をイソフルレン(酸素中2%)で麻酔し、2F Millar Mikro‐tipカテーテルトランスデューサーを右頸動脈を経て左室に挿入し、以前に報告(18,19)されているように、左室内圧、生じたピーク圧上昇および下降の変化(それぞれ、+dP/dtmaxおよび−dP/dtmin)を測定した。血行動態測定後、心臓を摘出し、生理食塩水でかん流し、残存血液を大動脈カニューレ(18ゲージ針)を通して洗い流した。生存心筋から梗塞した組織の境界を明示するために、次に心臓を、リン酸バッファー中の2,3,5‐塩化トリフェニルテトラゾリウム(TTC)の1%溶液(pH7.4、37℃)でかん流した。生存心筋が赤に染色され、梗塞した心筋が白に染色された。リスク領域(虚血性の領域)の境界を明示するために、次に冠動脈を前の閉塞箇所で結び、大動脈起始部を、通常の生理食塩水中の1%Evansブルー染料(シグマ社)でかん流した。この手順の結果として、先に閉塞した冠動脈(リスク領域)によって供給されたLVの部分が特定された一方で、残りのLVが紺青色に染色された。両心房および右室組織を切除した後、心臓を凍結した。LVを、横薄片に切り、それらをデジタルカメラ使用して写真に撮った。心臓画像の梗塞、虚血性、非虚血性の領域の境界を明らかにし、Image−Pro Plusを使用して測定し、これら測定値から梗塞サイズを虚血性の領域の%割合として計算した。虚血性の領域を、LV領域の%割合として計算した。
I/R研究終了時(再かん流後24時間)に、動物をイソフルレン(酸素中2%)で麻酔し、2F Millar Mikro‐tipカテーテルトランスデューサーを右頸動脈を経て左室に挿入し、以前に報告(18,19)されているように、左室内圧、生じたピーク圧上昇および下降の変化(それぞれ、+dP/dtmaxおよび−dP/dtmin)を測定した。血行動態測定後、心臓を摘出し、生理食塩水でかん流し、残存血液を大動脈カニューレ(18ゲージ針)を通して洗い流した。生存心筋から梗塞した組織の境界を明示するために、次に心臓を、リン酸バッファー中の2,3,5‐塩化トリフェニルテトラゾリウム(TTC)の1%溶液(pH7.4、37℃)でかん流した。生存心筋が赤に染色され、梗塞した心筋が白に染色された。リスク領域(虚血性の領域)の境界を明示するために、次に冠動脈を前の閉塞箇所で結び、大動脈起始部を、通常の生理食塩水中の1%Evansブルー染料(シグマ社)でかん流した。この手順の結果として、先に閉塞した冠動脈(リスク領域)によって供給されたLVの部分が特定された一方で、残りのLVが紺青色に染色された。両心房および右室組織を切除した後、心臓を凍結した。LVを、横薄片に切り、それらをデジタルカメラ使用して写真に撮った。心臓画像の梗塞、虚血性、非虚血性の領域の境界を明らかにし、Image−Pro Plusを使用して測定し、これら測定値から梗塞サイズを虚血性の領域の%割合として計算した。虚血性の領域を、LV領域の%割合として計算した。
生体内心臓エネルギー評価
心I/R傷害後の心臓エネルギープロフィール(例えば、ATP、PCr、ATP/PCr)への、アルビグルタイドの効果を検討するために、上記のように、ラットを、ビヒクルまたはアルビグルタイド(10mg/kg/日、3日間)で処置した(各群n=10)。ラットを、30分間の虚血、続いて24時間の再かん流に供し、疑似手術したラットを対照としてこの試験に含めた(n=5)。再かん流の24時間後、磁気共鳴画像法(MRI)/スペクトロスコピー(MRS)実験のために、ラットを2.0%のイソフルレン(アボット・ラボラトリーズ(Abbott Laboratories)、シカゴ、イリノイ州)で麻酔した。生体内MRI/S実験のすべては、9.4T/30cm Bruker Biospecシステム(Billerica、マサチューセッツ州)上で、複調(double tune)(1H、31P)コンセントリック表面高周波(RF)コイル設定を使用して行った。コンセントリック表面RFコイル(M2M Imaging Corp、オハイオ州)デザインは、外側の400.44MHzに合わせられる1Hちょう形コイル(35mm)、および内側の162.10MHzに合わせられる31P円形コイル(25mm)からなる。トリパイロット(tripilot)グラディエントエコー画像の後、短軸心臓画像を、後ろ向き心電同期(retrospectively cardiac gated)fast low angle shot(FLASH)シーケンスを使用して得た。シネループが、心周期をカバーするのに十分な数の遅延をもってして、心室を通して各イメージング薄片に対して生成された。イメージングパラメーターは、次の通りであった:マトリックス寸法、128×128;TR/TE、7/1.5ms;薄片の厚さ、2.0mm;FOV、5.0cm;繰り返し数、250;シネループ、10画像。左室(LV)機能パラメーターを分析した(Analyze AVW ソフトウェア、AnalyzeDirect、Lenexa、カンザス州)。イメージング直後に、31P MRSを、同一のRFハードウェアを使用して行い、心臓の空間的に局在したスペクトロスコピーを、外体積抑制(TR =4s、NS=512、SW=10kHz、1kデータ)をもつ3次元イメージ選択生体内スペクトロスコピー(3−D Image Selected In Vivo Spectroscopy)(ISIS)シーケンスを使用して行った。目的サイズのスペクトロスコピーのボクセルは、15.8×11×17mmであり、全3直交方向に斜面でLVをカバーするように位置を合わせた。31P NMRスペクトルを、指数フィルターおよびベースライン平低化を使用して処理した。ホスホクレアチン(PCr)ピークを0ppmに設定し、〜4.9〜5.3ppmの無機リン酸(Pi)ピーク(細胞内および細胞外両方のPiを含む)および−16ppmのβ‐アデノシン三リン酸(ATP)ピークを、それぞれ、PCr/PiおよびPCr/ATP比を計算するために取り込んだ(Nuts NMR処理ソフトウェア、Acorn NMR Inc.、Fremont、カリフォルニア州)。細胞内のpHを、以前に記載されているように、細胞内のPiおよびPCr間の化学シフト差を使用して計算した(Taylor, et al., Magn Reson Med 1986 February;3(1):44-54)。
心I/R傷害後の心臓エネルギープロフィール(例えば、ATP、PCr、ATP/PCr)への、アルビグルタイドの効果を検討するために、上記のように、ラットを、ビヒクルまたはアルビグルタイド(10mg/kg/日、3日間)で処置した(各群n=10)。ラットを、30分間の虚血、続いて24時間の再かん流に供し、疑似手術したラットを対照としてこの試験に含めた(n=5)。再かん流の24時間後、磁気共鳴画像法(MRI)/スペクトロスコピー(MRS)実験のために、ラットを2.0%のイソフルレン(アボット・ラボラトリーズ(Abbott Laboratories)、シカゴ、イリノイ州)で麻酔した。生体内MRI/S実験のすべては、9.4T/30cm Bruker Biospecシステム(Billerica、マサチューセッツ州)上で、複調(double tune)(1H、31P)コンセントリック表面高周波(RF)コイル設定を使用して行った。コンセントリック表面RFコイル(M2M Imaging Corp、オハイオ州)デザインは、外側の400.44MHzに合わせられる1Hちょう形コイル(35mm)、および内側の162.10MHzに合わせられる31P円形コイル(25mm)からなる。トリパイロット(tripilot)グラディエントエコー画像の後、短軸心臓画像を、後ろ向き心電同期(retrospectively cardiac gated)fast low angle shot(FLASH)シーケンスを使用して得た。シネループが、心周期をカバーするのに十分な数の遅延をもってして、心室を通して各イメージング薄片に対して生成された。イメージングパラメーターは、次の通りであった:マトリックス寸法、128×128;TR/TE、7/1.5ms;薄片の厚さ、2.0mm;FOV、5.0cm;繰り返し数、250;シネループ、10画像。左室(LV)機能パラメーターを分析した(Analyze AVW ソフトウェア、AnalyzeDirect、Lenexa、カンザス州)。イメージング直後に、31P MRSを、同一のRFハードウェアを使用して行い、心臓の空間的に局在したスペクトロスコピーを、外体積抑制(TR =4s、NS=512、SW=10kHz、1kデータ)をもつ3次元イメージ選択生体内スペクトロスコピー(3−D Image Selected In Vivo Spectroscopy)(ISIS)シーケンスを使用して行った。目的サイズのスペクトロスコピーのボクセルは、15.8×11×17mmであり、全3直交方向に斜面でLVをカバーするように位置を合わせた。31P NMRスペクトルを、指数フィルターおよびベースライン平低化を使用して処理した。ホスホクレアチン(PCr)ピークを0ppmに設定し、〜4.9〜5.3ppmの無機リン酸(Pi)ピーク(細胞内および細胞外両方のPiを含む)および−16ppmのβ‐アデノシン三リン酸(ATP)ピークを、それぞれ、PCr/PiおよびPCr/ATP比を計算するために取り込んだ(Nuts NMR処理ソフトウェア、Acorn NMR Inc.、Fremont、カリフォルニア州)。細胞内のpHを、以前に記載されているように、細胞内のPiおよびPCr間の化学シフト差を使用して計算した(Taylor, et al., Magn Reson Med 1986 February;3(1):44-54)。
心代謝関連遺伝子発現分析
定量TaqMan逆転写(RT)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)分析を、上記のようにビヒクルまたはアルビグルタイド(10mg/kg/日、3日間)で処置されたSDラットの亜群(subgroup)(各群n=8)におけるLVから抽出した全RNAで行った。24の鍵となる代謝、ミトコンドリア、およびストレス関連遺伝子を、正常LVならびにI/R実験からの虚血性および非虚血性のLVにおいて評価した。これらの遺伝子は、ACSL1、CPT1B、GAPDH、IGF1R、SLC2A4、HK2、GYS1、ESSRA、HIF1A、PPARGC1A、PDHA1、ALDOC、GSK3B、AKT1、SLC2A1、PYGL、PRKAA2、PPARG、HK1、PDK1、UCP2、ACTB、LDHA、UCP3からなる。遺伝子発現データを、Omics Studio(商標)ソフトウェアを使用して正規化した。その後、一元配置分散分析(one‐way ANOVA)およびPCAを行った。
定量TaqMan逆転写(RT)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)分析を、上記のようにビヒクルまたはアルビグルタイド(10mg/kg/日、3日間)で処置されたSDラットの亜群(subgroup)(各群n=8)におけるLVから抽出した全RNAで行った。24の鍵となる代謝、ミトコンドリア、およびストレス関連遺伝子を、正常LVならびにI/R実験からの虚血性および非虚血性のLVにおいて評価した。これらの遺伝子は、ACSL1、CPT1B、GAPDH、IGF1R、SLC2A4、HK2、GYS1、ESSRA、HIF1A、PPARGC1A、PDHA1、ALDOC、GSK3B、AKT1、SLC2A1、PYGL、PRKAA2、PPARG、HK1、PDK1、UCP2、ACTB、LDHA、UCP3からなる。遺伝子発現データを、Omics Studio(商標)ソフトウェアを使用して正規化した。その後、一元配置分散分析(one‐way ANOVA)およびPCAを行った。
統計的分析
データは、平均値±SEMとして示す。群間の差を、対応のある、および対応のないスチューデント(Student)t検定、または一元配置分散分析(one‐way ANOVA)によって比較し、続いてボンフェローニ(Bonferroni)テストで多重比較した。<0.05のp値を、統計的に有意とみなした。
データは、平均値±SEMとして示す。群間の差を、対応のある、および対応のないスチューデント(Student)t検定、または一元配置分散分析(one‐way ANOVA)によって比較し、続いてボンフェローニ(Bonferroni)テストで多重比較した。<0.05のp値を、統計的に有意とみなした。
試料採集:
血液試料を、ベースライン時(虚血前)および再かん流の24時間後に、EDTAチューブを使用して集めた。
血液試料を、ベースライン時(虚血前)および再かん流の24時間後に、EDTAチューブを使用して集めた。
動物飼料:通常のげっ歯類飼料
以下の薬物物質を、研究に使用した:
1)アルビグルタイド
2)rHSA(組み換えヒト血清アルブミン)
3)ビヒクル(10mMリン酸ナトリウム、153mMマンニトール、117mMトレハロース、0.01%(w/v)ポリソルベート80、pH7.2)
ラットに、虚血の48時間、24時間および2時間前に、皮下注射で1mL/kgの投与量にてrHSAを投与し、次に30分間の虚血および24時間の再かん流に供した。
1)アルビグルタイド
2)rHSA(組み換えヒト血清アルブミン)
3)ビヒクル(10mMリン酸ナトリウム、153mMマンニトール、117mMトレハロース、0.01%(w/v)ポリソルベート80、pH7.2)
ラットに、虚血の48時間、24時間および2時間前に、皮下注射で1mL/kgの投与量にてrHSAを投与し、次に30分間の虚血および24時間の再かん流に供した。
調製ビヒクル/薬/試薬:
約900mLのHPLCグレード水を、ビーカーに加えた。無菌の撹拌子を加え、次のものをマグネチック撹拌プレート上で混ぜた:0.41±0.01gのリン酸二水素ナトリウム・一水和物、0.99±0.01gの無水リン酸水素二ナトリウム、44.26±0.1gのD‐トレハロース(無水)、27.87±0.1gのマンニトール、および10mLの1%ポリソルベート80ストック溶液。pHを測定し、必要に応じて、1N水酸化ナトリウムまたはリン酸を使用して、pHを7.2に調整した。溶液を、1000mL容メスフラスコに移し、HPLCグレード水を1000mLの最終容積に達するまで加えた後、20分間撹拌した。緩衝液を、0.2ミクロンフィルターユニット組立体を通してろ過した。フラスコを、アルミホイルで包むことによって光から保護して、4℃に保存した。−20℃の冷凍庫に保存したrHSA粉末を、ビヒクルに溶かし、2.7mg/mLの濃度の投与溶液(dosing solution)とした。−80℃の冷凍庫に保存したストック溶液(131mg/mL)を、ビヒクルで希釈し、3mg/mLまたは30mg/mLのアルビグルタイドの作業溶液にした。
約900mLのHPLCグレード水を、ビーカーに加えた。無菌の撹拌子を加え、次のものをマグネチック撹拌プレート上で混ぜた:0.41±0.01gのリン酸二水素ナトリウム・一水和物、0.99±0.01gの無水リン酸水素二ナトリウム、44.26±0.1gのD‐トレハロース(無水)、27.87±0.1gのマンニトール、および10mLの1%ポリソルベート80ストック溶液。pHを測定し、必要に応じて、1N水酸化ナトリウムまたはリン酸を使用して、pHを7.2に調整した。溶液を、1000mL容メスフラスコに移し、HPLCグレード水を1000mLの最終容積に達するまで加えた後、20分間撹拌した。緩衝液を、0.2ミクロンフィルターユニット組立体を通してろ過した。フラスコを、アルミホイルで包むことによって光から保護して、4℃に保存した。−20℃の冷凍庫に保存したrHSA粉末を、ビヒクルに溶かし、2.7mg/mLの濃度の投与溶液(dosing solution)とした。−80℃の冷凍庫に保存したストック溶液(131mg/mL)を、ビヒクルで希釈し、3mg/mLまたは30mg/mLのアルビグルタイドの作業溶液にした。
SDラットにおけるアルビグルタイ薬物動態分析
試料採集:
SDラットの別の群(n=4)において、アルビグルタイド(15mg/kg、皮下注射)のCmax、AUC、t1/2などを得るために、PK試験を行った。処置の0、0.5、1、3、6、8、および24時間後に、血液試料を、EDTAチューブ(250μL/チューブ)を使用して集めた。
試料採集:
SDラットの別の群(n=4)において、アルビグルタイド(15mg/kg、皮下注射)のCmax、AUC、t1/2などを得るために、PK試験を行った。処置の0、0.5、1、3、6、8、および24時間後に、血液試料を、EDTAチューブ(250μL/チューブ)を使用して集めた。
分析方法:
ラット血漿試料を、試料希釈に基づいた分析方法を使用して、アルビグルタイドについて分析し、続いて免疫アッセイ分析をした。ラット血漿の100μL分注を使用して、アルビグルタイドの定量下限(LLQ)は、100ng/mLであり、定量上限(HLQ)は、2500ng/mLであった。この試験においてデータの取得および定量に使用したコンピューターシステムは、Wallac1420ワークステーションバージョン3.0改訂(Revision)5およびSMS2000バージョン2.1を含んだ。適用分析実行は、所定の実行受け入れ基準を満たした。
ラット血漿試料を、試料希釈に基づいた分析方法を使用して、アルビグルタイドについて分析し、続いて免疫アッセイ分析をした。ラット血漿の100μL分注を使用して、アルビグルタイドの定量下限(LLQ)は、100ng/mLであり、定量上限(HLQ)は、2500ng/mLであった。この試験においてデータの取得および定量に使用したコンピューターシステムは、Wallac1420ワークステーションバージョン3.0改訂(Revision)5およびSMS2000バージョン2.1を含んだ。適用分析実行は、所定の実行受け入れ基準を満たした。
データ分析
データは、平均値±SEMとして示す。群間の差を、対応のある、および対応のないスチューデント(Student)t検定、または一元配置分散分析(one‐way ANOVA)によって比較し、続いてボンフェローニ(Bonferroni)テストで多重比較した。<0.05のp値を、統計的に有意とみなした。
データは、平均値±SEMとして示す。群間の差を、対応のある、および対応のないスチューデント(Student)t検定、または一元配置分散分析(one‐way ANOVA)によって比較し、続いてボンフェローニ(Bonferroni)テストで多重比較した。<0.05のp値を、統計的に有意とみなした。
結果
初めに、15mg/kgのアルビグルタイドの単回皮下投薬後の血液薬物動態を評価した。1、3および10mg/kg投与量のモデリングに基づき、心保護試験の投与量を、アルビグルタイドで達成される臨床的な投与量と比較して選択した。図1は、pk試験で評価した実際の血液濃度、ならびに15mg/kg投与量のモデリングを、図解している。
初めに、15mg/kgのアルビグルタイドの単回皮下投薬後の血液薬物動態を評価した。1、3および10mg/kg投与量のモデリングに基づき、心保護試験の投与量を、アルビグルタイドで達成される臨床的な投与量と比較して選択した。図1は、pk試験で評価した実際の血液濃度、ならびに15mg/kg投与量のモデリングを、図解している。
心保護試験に関しては、I/R傷害の48時間、24時間、および2時間前に、動物に投薬した(図2)。T左冠動脈前下行枝を、30分間閉塞した後、24時間再かん流した。試験の終了時に、リスク領域および梗塞サイズ決定のために心臓を摘出した。心臓の5つのTTC染色された心臓切片の代表的な写真を、図3に示す。心筋梗塞は白に染色され(TTC陰性)、虚血性の領域は赤に染色され、非虚血性の領域は紺青色に染色された。また、代表的な薄片中の梗塞領域を手作業で分けたトレース(manually segmented trace)を示す。5つの薄片すべての梗塞サイズの合計を使用して、全体的なリスク領域および虚血性の領域を左室リスク領域の%割合として求めた。30分間の虚血および24時間の再かん流障害後のリスク領域は、群の間で類似しており、動物は類似した虚血性傷害に供された(図4、表1)。心筋梗塞サイズを、30分間の虚血および24時間の再かん流後の左室リスク領域の%として表わした(図4、表1)。30分間虚血‐24時間再かん流プロトコール後のビヒクルと比較したとき、低い投与量(1mg/kg)では、アルビグルタイドは、梗塞サイズに僅か〜14%(NS)の減少をもたらした一方で、3および10mg/kgの投与量は、リスク領域に対して正規化された梗塞サイズに26%の減少(P<0.01)をもたらした。組み換えヒト血清アルブミン(rHSA)を、アルビグルタイドに対するさらなる対照として検討した。使用した投与量は、2.7mg/kg(3mg/kgのアルビグルタイドに相当する投与量)であり、図2に概略を示したように投与した。このヒト血清アルブミン相当投与量は、いかなる観察される心保護をもたらさなかった(図5)。くわえて、心拍数は、アルビグルタイドによって影響を受けなかった一方で、左室収縮性(+dP/dt)は、3mg/kgの投与量のアルビグルタイドで顕著に増加し、10mg/kgの投与量では、+dP/dt、−dP/dt、およびEDPのすべてが改善した(表1)。
表1 アルビグルタイドの梗塞サイズおよび左室血行動態への効果。データは、各群n=8〜10であり、平均値±SEMとして示す。t検定を用いて、*p<0.05 対ビヒクル; **p<0.01 対ビヒクル
血漿グルコース、乳酸、およびインスリンの臨床化学測定値を、虚血前(虚血手術時)および再かん流の24時間後(試験の終了)の両方に測定した。虚血性傷害前に測定したとき、アルビグルタイドは、すべての投与量にて血漿グルコースの減少、およびインスリンの増加を、投与量に関係なくもたらした(表2)。また、乳酸は、3および10mg/kgの投与量で増加した。しかしながら、再かん流の24時間後、アルビグルタイドのグルコースおよびインスリンへの効果は失われ、一方で乳酸レベルは、変わらず増加した(表2)。
表2 アルビグルタイドの体重、臨床化学、および最終pkへの効果。データは、各群n=8〜10であり、平均値±SEMとして示す。t検定を用いて*p<0.05 対ビヒクル; **p<0.01 対ビヒクル
アルビグルタイド投薬の2日後、ラットは、ビヒクル群(表2、図6)と比較して摂餌量および体重増加の減少の点で投与量線形応答を有した。試験終了時のアルビグルタイドの最終血漿濃度は、1mg/kg、3mg/kg、および10mg/kgの投与量に対して、それぞれ、574ng/mL、1238ng/mL、および8636ng/mLであった(表2)。
心臓の虚血性のおよび非虚血性の領域におけるcAMPレベルを、動物の別の群で測定した。非虚血性のLVでは、cAMP濃度はアルビグルタイド処置(10mg/kg)後に上昇していなかった一方で、虚血性の領域では、cAMPレベルは、正常化されていた。
代謝関連遺伝子転写
10mg/kgのアルビグルタイドでの処置の3日後、グルコースおよび脂肪代謝の調節に関与する24の遺伝子の精密なパネルを使用して、自然のおよびI/R心臓組織の両方において、Taqman(商標)RT−PCR分析を行った。ACSL1、CPT1B、GAPDH、IGF1R、SLC2A4、HK2、GYS1、ESSRA、HIF1A、PPARGC1A、PDHA1、ALDOC、GSK3B、AKT1が、アルビグルタイドでの処置後の心臓において顕著に増加していた(表3)。数少ない遺伝子(GYS1、SLC2A4)が、I/R心臓の虚血性の領域において著しく上方制御されていたが、解糖およびグリコーゲン生成に関連する幾つかの遺伝子(ALDOC、CPT1B、IGF1R、PDHA1、GSK3B、GYS1、SLC2A1)が、アルビグルタイドでの処置後のI/R心臓の非虚血性の領域において著しく増加していた。3つの心臓組織試料のすべてから集めた遺伝子発現データの主成分分析(PCA)は、アルビグルタイドでの処置後の正常および非虚血性のデータの両方のクラスター形成を示唆し、それは、心臓の自然および非虚血性の領域におけるグルコースおよび脂肪代謝遺伝子の調節での明確な変化と一致する。
10mg/kgのアルビグルタイドでの処置の3日後、グルコースおよび脂肪代謝の調節に関与する24の遺伝子の精密なパネルを使用して、自然のおよびI/R心臓組織の両方において、Taqman(商標)RT−PCR分析を行った。ACSL1、CPT1B、GAPDH、IGF1R、SLC2A4、HK2、GYS1、ESSRA、HIF1A、PPARGC1A、PDHA1、ALDOC、GSK3B、AKT1が、アルビグルタイドでの処置後の心臓において顕著に増加していた(表3)。数少ない遺伝子(GYS1、SLC2A4)が、I/R心臓の虚血性の領域において著しく上方制御されていたが、解糖およびグリコーゲン生成に関連する幾つかの遺伝子(ALDOC、CPT1B、IGF1R、PDHA1、GSK3B、GYS1、SLC2A1)が、アルビグルタイドでの処置後のI/R心臓の非虚血性の領域において著しく増加していた。3つの心臓組織試料のすべてから集めた遺伝子発現データの主成分分析(PCA)は、アルビグルタイドでの処置後の正常および非虚血性のデータの両方のクラスター形成を示唆し、それは、心臓の自然および非虚血性の領域におけるグルコースおよび脂肪代謝遺伝子の調節での明確な変化と一致する。
表3:心臓におけるアルビグルタイドの代謝性遺伝子転写変化への効果
心臓のエネルギー
心MRIを使用して、I/R傷害の24時間後にLV機能を評価した。疑似と比較して、ビヒクルで処置したラットでは、顕著にLV駆出分画率が減少し、LV収縮期末の容積が増加していたが、アルビグルタイド処置は、有害な心臓リモデリングおよび機能低下を防いだ(図7A、B)。31P MRSスペクトロスコピーを行い、心臓での高エネルギーリン酸ピーク(PCr、ATP、Pi)を測定した。PCr/ATP比率はさまざまであり、ビヒクル群ではより低いように見えたが、その傾向は、有意ではなかった(図7C)。しかしながら、疑似に対してビヒクル群ではPCr/Pi比率および細胞内pHが減少(p<0.05)していた一方、アルビグルタイドは、これらのパラメーターの変化を防いだ(それぞれ、図7D、E)。くわえて、疑似およびアルビグルタイドで処置した心臓と比較して、ビヒクルで処置した心臓では、絶対総心臓ATPおよびPCr濃度が、著しく低かった(図7F、G)。
心MRIを使用して、I/R傷害の24時間後にLV機能を評価した。疑似と比較して、ビヒクルで処置したラットでは、顕著にLV駆出分画率が減少し、LV収縮期末の容積が増加していたが、アルビグルタイド処置は、有害な心臓リモデリングおよび機能低下を防いだ(図7A、B)。31P MRSスペクトロスコピーを行い、心臓での高エネルギーリン酸ピーク(PCr、ATP、Pi)を測定した。PCr/ATP比率はさまざまであり、ビヒクル群ではより低いように見えたが、その傾向は、有意ではなかった(図7C)。しかしながら、疑似に対してビヒクル群ではPCr/Pi比率および細胞内pHが減少(p<0.05)していた一方、アルビグルタイドは、これらのパラメーターの変化を防いだ(それぞれ、図7D、E)。くわえて、疑似およびアルビグルタイドで処置した心臓と比較して、ビヒクルで処置した心臓では、絶対総心臓ATPおよびPCr濃度が、著しく低かった(図7F、G)。
考察
アルビグルタイドは、投与量依存的に心筋虚血再かん流傷害後の心筋梗塞サイズを顕著に減少した。また、アルビグルタイドは、虚血後の左室心機能を改善した。アルビグルタイドが観察された心保護を提供する厳密な機序を、本研究では検討していないが、この保護は、少なくとも部分的に、虚血後のインスリン分泌の増加およびグルコース代謝に関連しうる。アルビグルタイドで観察された体重の減少は、飼料摂取の減少、および満腹を増すことに関するGLP‐1アゴニストの予想された薬理と一致した。これらのデータは、アルビグルタイドが、冠動脈疾患をもつ患者に安全であると思われることだけではなく、アルビグルタイドが、急性MIまたは慢性心不全をもつ患者に有益な効果を有しうることを示唆する。
アルビグルタイドは、投与量依存的に心筋虚血再かん流傷害後の心筋梗塞サイズを顕著に減少した。また、アルビグルタイドは、虚血後の左室心機能を改善した。アルビグルタイドが観察された心保護を提供する厳密な機序を、本研究では検討していないが、この保護は、少なくとも部分的に、虚血後のインスリン分泌の増加およびグルコース代謝に関連しうる。アルビグルタイドで観察された体重の減少は、飼料摂取の減少、および満腹を増すことに関するGLP‐1アゴニストの予想された薬理と一致した。これらのデータは、アルビグルタイドが、冠動脈疾患をもつ患者に安全であると思われることだけではなく、アルビグルタイドが、急性MIまたは慢性心不全をもつ患者に有益な効果を有しうることを示唆する。
例2 アルビグルタイドは、インスリン非依存的に心臓のグルコース取り込みおよび代謝を増加する。
方法
生体内2‐デオキシグルコース実験
留置頸動脈および頸静脈カテーテルをもつ、チャールス・リバー(Charles River)社から購入した雄Sprague‐Dawleyラット(体重、〜250〜350g)を、研究に使用した。次の試験群を研究に含めた:
群1:ビヒクル;n=15
群2:アルビグルタイド(10mg/kg);n=16
方法
生体内2‐デオキシグルコース実験
留置頸動脈および頸静脈カテーテルをもつ、チャールス・リバー(Charles River)社から購入した雄Sprague‐Dawleyラット(体重、〜250〜350g)を、研究に使用した。次の試験群を研究に含めた:
群1:ビヒクル;n=15
群2:アルビグルタイド(10mg/kg);n=16
生体外ランゲンドルフ心臓かん流実験
チャールス・リバー社から購入した雄Sprague‐Dawleyラット(体重、〜250〜300g)を、研究に使用した。次の試験群を研究に含めた:
群1:ビヒクル;n=13
群2:アルビグルタイド(10mg/kg);n=13
チャールス・リバー社から購入した雄Sprague‐Dawleyラット(体重、〜250〜300g)を、研究に使用した。次の試験群を研究に含めた:
群1:ビヒクル;n=13
群2:アルビグルタイド(10mg/kg);n=13
実験プロトコール
生体内2‐デオキシグルコース実験
目的:[3h]‐2‐デオキシグルコースのトレーサー量(体重100g当たり10μci)を使用して、心臓組織によるグルコース取り込みの量を推定すること。
生体内2‐デオキシグルコース実験
目的:[3h]‐2‐デオキシグルコースのトレーサー量(体重100g当たり10μci)を使用して、心臓組織によるグルコース取り込みの量を推定すること。
動物プロトコール:
1. 頸静脈および頸動脈カニューレを所定の位置にもつ、チャールス・リバー社から購入したラット。2‐デオキシグルコース(2‐DG)実験の48時間、24時間および2時間前に、ラットに、1mL/kgの容積にて、ビヒクルまたは10mg/kgのアルビグルタイドを皮下注射で投与した。ラットを一晩絶食させ、その後2‐DG投与を開始した(図8)。
2. 2‐[3H]DG、(〜30μCi、体重1kg当たり100μCi)を、頸静脈カテーテルを通して、頸静脈にボーラスとして注入した。
3. トレーサー注入の直前、ならびにその5、10および20分後に、血液(〜200μL)を、同じカテーテルからサンプリングした。
4. 最終血液(1mL)を、トレーサー注入の30分後に採った。
5. 血液を、抗凝固剤を含有する注射器に集め、マイクロ遠心分離チューブに移し、遠心分離して血漿を分離した。試料を−80℃冷凍庫に保存した。
6. 研究完了後、全心臓を、迅速にバラバラに切断し、液体窒素で瞬間凍結した。
7. 後日、これら試料の放射能を評価した。
1. 頸静脈および頸動脈カニューレを所定の位置にもつ、チャールス・リバー社から購入したラット。2‐デオキシグルコース(2‐DG)実験の48時間、24時間および2時間前に、ラットに、1mL/kgの容積にて、ビヒクルまたは10mg/kgのアルビグルタイドを皮下注射で投与した。ラットを一晩絶食させ、その後2‐DG投与を開始した(図8)。
2. 2‐[3H]DG、(〜30μCi、体重1kg当たり100μCi)を、頸静脈カテーテルを通して、頸静脈にボーラスとして注入した。
3. トレーサー注入の直前、ならびにその5、10および20分後に、血液(〜200μL)を、同じカテーテルからサンプリングした。
4. 最終血液(1mL)を、トレーサー注入の30分後に採った。
5. 血液を、抗凝固剤を含有する注射器に集め、マイクロ遠心分離チューブに移し、遠心分離して血漿を分離した。試料を−80℃冷凍庫に保存した。
6. 研究完了後、全心臓を、迅速にバラバラに切断し、液体窒素で瞬間凍結した。
7. 後日、これら試料の放射能を評価した。
組織抽出プロトコール:
血漿グルコース濃度の決定:血漿(60μL)を、水(540μL)で希釈し、0.3NのBa(OH)2および0.3NのZnSO4を各300μL加えることによってタンパク質を除去し、10,000gで(4℃にて10分間)遠心分離した。
血漿グルコース濃度の決定:血漿(60μL)を、水(540μL)で希釈し、0.3NのBa(OH)2および0.3NのZnSO4を各300μL加えることによってタンパク質を除去し、10,000gで(4℃にて10分間)遠心分離した。
血漿2‐[3H]DGおよび組織2‐[3H]DG‐6‐Pの決定:脱タンパクされた血漿(200μL)中の3H含有量を、1mLのOptiphase supermix中でのシンチレーション測定によって決定し、200μLのこの放射性混合物を、Micorbeta unitでカウントした。生のカウント(raw counts)が示された。
組織の一部(200〜300mg)を計量し、組織溶解器(lyzer)上で、6mmセラミックビーズを使用して、500μLの0.5M氷冷過塩素酸中でホモジナイゼーションした。ホモジナイゼーションしたものを、遠心分離し(10,000で10分間)、結果として得られた上澄みを、pH試験紙を用いて、5MKOHと0.5M塩酸トリエタノールアミンで中和(pH〜7.4)し、遠心分離した(10,000gで10分間)。論文で示されていたのとは異なって、手順のほとんどを室温にて行った。中和した抽出物の一部(200μL)を、1mLのOptiphase supermixに再溶解し、200μLのこの放射性混合物を、Micorbeta unitでカウントし、全放射能(2‐[3H]DGと2‐[3H]DG‐6‐P)にアクセスした。別の分注(200μL)を、200μLの0.3NのBa(OH)2および0.3NのZnSO4と混ぜた。この混合物を、遠心分離し、上澄みを使用して、非リン酸化2‐[3H]DGのレベルを決定し、中和した抽出物の一部(200μL)を、1mLのOptiphase supermixに再溶解し、200μLのこの放射性混合物を、Micorbeta unitでカウントした。この時点では、クエンチ補正をしなかった。組織2‐[3H]DG‐6‐Pを、合計と2‐[3H]DG値との間の差として計算した。
抽出物のpHの調整:ほとんどの抽出物を、40μL(4滴、200μLピペットチップ)の5NKOH、および200μL(+50または100μL)の0.5N塩酸トリエタノールアミンで中和した。
グルコース処理流量の決定:グルコース処理流量の決定は、以下の方程式、ならびにその主要な成分(すなわち平均血漿グルコース濃度(PGC平均)、心臓組織放射能(HR終期)、および血漿グルコース糖放射能AUC(PR合計_グルコース濃度曲線下面積)に基づいた。
生体外ランゲンドルフ心臓かん流実験
目的:この研究の目的は、アルビグルタイドが心臓において直接的にグルコース代謝を促進することができるかどうかを決めることである。
目的:この研究の目的は、アルビグルタイドが心臓において直接的にグルコース代謝を促進することができるかどうかを決めることである。
生体内心グルコース取り込み測定
生体内における心臓のグルコース処理に関するアルビグルタイドの役割を検討するために、上記のように、ラットにビヒクルまたはアルビグルタイド(10mg/kg/日、3日間)を投与した(各群n=14〜15)。次に、ラットに、2‐[3H]デオキシグルコース(2‐[3H]DG)を静注した。血漿試料を、30分まで5分毎に集めて、血漿の放射能クリアランスを決定した。心臓をフリーズクランプし、過塩素酸で抽出した。タンパク質を取り除いた血漿(200μL)を、1mLのOptiphase supermixに加え、3H含有量を、Microbeta Trilux Unit(パーキン・エルマー(PerkinElmer)社、モデル1450‐02)を使用するシンチレーション測定によって決定した。生のカウント(raw counts)が示された。組織2‐[3H]DG‐6‐Pを、全放射能と2‐[3H]DG値との間の差として計算した。グルコース処理流量を、平均血漿グルコース濃度、最終的な心臓組織放射能、および血漿グルコース糖放射能AUC(濃度曲線下面積)を使用して、以前に記載されているように決定した(Kraegen、et al. Am J Physiol 1985 March;248(3 Pt 1):E353-E362)。
生体内における心臓のグルコース処理に関するアルビグルタイドの役割を検討するために、上記のように、ラットにビヒクルまたはアルビグルタイド(10mg/kg/日、3日間)を投与した(各群n=14〜15)。次に、ラットに、2‐[3H]デオキシグルコース(2‐[3H]DG)を静注した。血漿試料を、30分まで5分毎に集めて、血漿の放射能クリアランスを決定した。心臓をフリーズクランプし、過塩素酸で抽出した。タンパク質を取り除いた血漿(200μL)を、1mLのOptiphase supermixに加え、3H含有量を、Microbeta Trilux Unit(パーキン・エルマー(PerkinElmer)社、モデル1450‐02)を使用するシンチレーション測定によって決定した。生のカウント(raw counts)が示された。組織2‐[3H]DG‐6‐Pを、全放射能と2‐[3H]DG値との間の差として計算した。グルコース処理流量を、平均血漿グルコース濃度、最終的な心臓組織放射能、および血漿グルコース糖放射能AUC(濃度曲線下面積)を使用して、以前に記載されているように決定した(Kraegen、et al. Am J Physiol 1985 March;248(3 Pt 1):E353-E362)。
ランゲンドルフかん流心臓における直接心グルコース取り込み測定
心臓のグルコース処理に関するアルビグルタイドの直接的な役割を検討するために、かん流心臓における生体外測定の前に、ラットにビヒクルまたはアルビグルタイド(10mg/kg/日、3日間)を、上記のように投与した(各群n=13)。ランゲンドルフかん流心臓調製は、以前に記載されている(Willette, et al., J Pharmacol Exp Ther 2008 August;326(2):443-52)。安定化期間(15分)の後、ベースライン溶液を集め、心臓を、定圧(75mmHg)下にて、ビヒクルまたはアルビグルタイド(0.12μM)を含有する再循環溶液(〜60mL)を用いてかん流する前のベースライングルコースおよび乳酸濃度を決定した。かん流時間(30分)終了時に、かん流溶液を集め、容積ならびにグルコースおよび乳酸濃度を測定した。グルコースおよび乳酸は、オリンパスAU640分析器(米国オリンパス社(Olympus America Inc.)、Melville、ニューヨーク州)を使用して測定した。グルコース流量は、(グルコースの濃度(初期)−濃度(最終))×(かん流容積/心臓湿重量(g)/時間(時))として決定し、乳酸流量は、(乳酸の濃度(最終)−濃度(初期))×(かん流容積/心臓湿重量(g)/時間(時))として決定した。
心臓のグルコース処理に関するアルビグルタイドの直接的な役割を検討するために、かん流心臓における生体外測定の前に、ラットにビヒクルまたはアルビグルタイド(10mg/kg/日、3日間)を、上記のように投与した(各群n=13)。ランゲンドルフかん流心臓調製は、以前に記載されている(Willette, et al., J Pharmacol Exp Ther 2008 August;326(2):443-52)。安定化期間(15分)の後、ベースライン溶液を集め、心臓を、定圧(75mmHg)下にて、ビヒクルまたはアルビグルタイド(0.12μM)を含有する再循環溶液(〜60mL)を用いてかん流する前のベースライングルコースおよび乳酸濃度を決定した。かん流時間(30分)終了時に、かん流溶液を集め、容積ならびにグルコースおよび乳酸濃度を測定した。グルコースおよび乳酸は、オリンパスAU640分析器(米国オリンパス社(Olympus America Inc.)、Melville、ニューヨーク州)を使用して測定した。グルコース流量は、(グルコースの濃度(初期)−濃度(最終))×(かん流容積/心臓湿重量(g)/時間(時))として決定し、乳酸流量は、(乳酸の濃度(最終)−濃度(初期))×(かん流容積/心臓湿重量(g)/時間(時))として決定した。
心代謝流量評価
心中間代謝を検討するために2つの別々の実験を行った。1)遊離脂肪酸酸化に対する相対的な炭水化物酸化を、生体内グルコースクランプ実験後に評価し、ならびに2)乳酸流量および酸化をランゲンドルフかん流心臓において評価した。両実験では、ラットを、上記のように、ビヒクルまたはアルビグルタイド(10mg/kg/日、3日間)で処置した。
心中間代謝を検討するために2つの別々の実験を行った。1)遊離脂肪酸酸化に対する相対的な炭水化物酸化を、生体内グルコースクランプ実験後に評価し、ならびに2)乳酸流量および酸化をランゲンドルフかん流心臓において評価した。両実験では、ラットを、上記のように、ビヒクルまたはアルビグルタイド(10mg/kg/日、3日間)で処置した。
グルコースクランプ実験に関しては、ラット(各群n=5)を、120分間継続する正常インスリン‐高血糖クランプ(頸静脈を経た連続[1−13C]グルコース(8mg/kg/分)/ソマトスタチン(1.5μg/分)注入)に供した。この時間は、解糖およびトリカルボン酸回路中間体に十分であり、定常状態の濃縮を達成した。クランプ実験終了時に、心臓を迅速に摘出し、液体N2中に置いた。過塩素酸抽出物を、凍結した心臓組織から調製し、KOHで中和し、凍結乾燥し、続いて500μLのD2Oに溶かした。組織抽出物中の代謝産物13C濃縮のPOCE(Proton Observe Carbon Enhanced)1H MRS測定を、9.4T分光計で、以前に報告されているように行った(Yue, et al., J Pharmacol Exp Ther 2008 May; 325(2):466-74; Jucker, et al. Am J Physiol 1997 July; 273 (1 Pt 1):E139-E148; Jucker, et al. . J Biol Chem 1997 April 18;272(16):10464-73; and Yue, et al. Circulation 2003 November 11;108(19):2393-9)。アセチルCoA酸化への相対的な基質寄与の点から、相対的な心臓の炭水化物(グルコース、グリコーゲン、ピルビン酸、および乳酸を含む)酸化ならびに遊離脂肪酸(FFA)/ケトン酸化を、代謝産物プール濃縮から次のように評価した:相対的な炭水化物酸化率は、(4‐13Cグルタミン酸濃縮)/(3‐13Cアラニン濃縮)として計算し、相対的な脂肪酸化は、1‐(4‐13Cグルタミン酸濃縮)/(3‐13Cアラニン濃縮)として計算した。
乳酸酸化および流量を評価することに関しては、かん流心臓実験を、その実験では、3−13C乳酸を乳酸酸化測定のための前駆体として使用した。パラダイムに続いて、ラット(各群n=10)を、ネンブタール(60mg/kg、腹腔内注射)で麻酔し、ヘパリンナトリウム(200U/kg、腹腔内注射)で凝血防止した。心臓を、迅速に切除し、118.5mM NaCl、4.7mM KCl、1.2mM CaCl2、1.2mM MgSO4、25mM NaHCO3、1.2mM KH2PO4、11mMグルコースからなる、pH7.4の氷冷緩衝クレブス・ヘンゼライト(KH)溶液に移した。スチール大動脈カニューレを使用して、大動脈にカニューレを挿入した後、ランゲンドルフ装置(Isolated Heart Size 1(IH‐1);ハーバードアパレイタス社(Harvard Apparatuss Inc.)、Holliston、マサチューセッツ州)に接続し、70mmHgの定圧にて、KH溶液(37℃)を用い、ガラスフリットを通して95%O2、5%CO2のガスを供給してかん流した。安定化時間の後、アルビグルタイド(120nM)またはビヒクルを、118.5mM NaCl、4.7mM KCl、1.2mM CaCl2、1.2mM MgSO4、25mM NaHCO3、1.2mM KH2PO4、11mM グルコース、3% BSA(本質的に脂肪酸を含まない)、1mM 3‐13C乳酸ナトリウム、0.1mM ピルビン酸ナトリウムおよび0.4 パルミチン酸ナトリウムからなる、pH7.4の改変KH溶液に加えた。心臓を60分間かん流し、その間、流入および流出試料を集め、乳酸濃度をオリンパスAU640分析器を使用して分析した。流入および流出3−13C乳酸濃縮および心臓組織3−13C乳酸に加えて、3−13Cアラニンおよび4−13Cグルタミン酸濃縮を、NMRスペクトロスコピーによって測定し、アセチルCoAへの基質寄与としての相対的乳酸酸化を、(4−13Cグルタミン酸濃縮)/(3−13Cアラニン濃縮)として計算した。
動物プロトコール:心臓を摘出し、再循環緩衝溶液でかん流する48時間、24時間および2時間前に、ラットに、1mL/kgの容積にて、ビヒクルまたは10mg/kgのアルビグルタイドを皮下注射で投与した(図11)。心臓の摘出時のアルビグルタイドの予想される血漿濃度に従って、アルビグルタイド(0.12μM)をかん流溶液に加えた。ラットを、ネンブタール(60mg/kg、腹腔内注射)で麻酔し、ヘパリンナトリウム(200U/kg、腹腔内注射)で凝血防止した。心臓を、迅速に切除し、118.5mM NaCl、4.7mM KCl、1.2mM CaCl2、1.2mM MgSO4、25mM NaHCO3、1.2mM KH2PO4、11mM グルコースからなる、pH7.4の氷冷緩衝クレブス・ヘンゼライト(KH)溶液に移した。スチール大動脈カニューレを使用して、大動脈にカニューレを挿入した。大動脈にカニューレを挿入した後、ランゲンドルフ装置(Isolated Heart Size 1(IH‐1);ハーバードアパレイタス社(Harvard Apparatuss Inc.)、Holliston、マサチューセッツ州)に接続し、70mmHgの定圧にて、KH溶液(37℃)を用い、ガラスフリットを通して95%O2、5%CO2のガスを供給してかん流した。安定化時間の後、ベースライン緩衝溶液を集め、ベースライングルコースおよび乳酸濃度を決定し、次に心臓を、再循環緩衝溶液(〜60mL)で1時間、定圧(75mmHg)でかん流した。かん流終了時に、かん流緩衝溶液を集め、その容積ならびにグルコースおよび乳酸濃度を測定した。心臓湿重量も測定した。グルコースおよび乳酸は、オリンパスAU640分析器を使用して、臨床化学研究室で測定した。グルコース流量は、(グルコースの濃度(初期)−濃度(最終))×(かん流容積/心臓湿重量(g)/時間(時))として決定し、乳酸流量は、(乳酸の濃度(最終)−濃度(初期))×(かん流容積/心臓湿重量(g)/時間(時))として決定した。
飼料:通常のげっ歯類飼料
分析測定:インスリンは、MDSラットインスリンキットを使用して測定した。血中グルコースおよび乳酸は、オリンパスAU640臨床化学分析器を使用して決定した。血漿グルコースは、グルコースアッセイキット(192ウェル:Cat No:10009582、Lot No:0414573)を使用して測定した。生体内実験の間、血中グルコースを、ACCU CHECK Advantage(Cat/Type:3288650):Accu−check comfort curve(100テストストリップ、ロシュ社(Roche)、Lot No:551017)を使用して測定した。
薬および材料
次の薬物質を、本試験で使用した:
1)アルビグルタイド
2)ビヒクル(10mMリン酸ナトリウム、153mMマンニトール、117mMトレハロース、0.01%(w/v)ポリソルベート80、pH7.2
次の薬物質を、本試験で使用した:
1)アルビグルタイド
2)ビヒクル(10mMリン酸ナトリウム、153mMマンニトール、117mMトレハロース、0.01%(w/v)ポリソルベート80、pH7.2
ビヒクル/薬/試薬調製:
約900mLのHPLCグレード水を、ビーカーに加えた。無菌の撹拌子を加え、次のものを、マグネチック撹拌プレート上で混ぜた:0.41±0.01gのリン酸二水素ナトリウム・一水和物、0.99±0.01gの無水リン酸水素二ナトリウム、44.26±0.1gのD‐トレハロース(無水)、27.87±0.1gのマンニトール、および10mLの1%ポリソルベート80ストック溶液。pHを測定し、必要ならば、1N水酸化ナトリウムまたはリン酸を使用して、pHを7.2に調整した。溶液を、1000mL容メスフラスコに移し、HPLCグレード水を1000mLの最終容積に達するまで加えた後、20分間撹拌した。緩衝液を、0.2ミクロンフィルターユニット組立体を通してろ過した。フラスコを、アルミホイルで包むことによって光から保護して、4℃に保存した。−80℃の冷凍庫に保存したストック溶液(131mg/mL)を、ビヒクルで希釈し、3mg/mLまたは30mg/mLのアルビグルタイドの作業溶液にした。
約900mLのHPLCグレード水を、ビーカーに加えた。無菌の撹拌子を加え、次のものを、マグネチック撹拌プレート上で混ぜた:0.41±0.01gのリン酸二水素ナトリウム・一水和物、0.99±0.01gの無水リン酸水素二ナトリウム、44.26±0.1gのD‐トレハロース(無水)、27.87±0.1gのマンニトール、および10mLの1%ポリソルベート80ストック溶液。pHを測定し、必要ならば、1N水酸化ナトリウムまたはリン酸を使用して、pHを7.2に調整した。溶液を、1000mL容メスフラスコに移し、HPLCグレード水を1000mLの最終容積に達するまで加えた後、20分間撹拌した。緩衝液を、0.2ミクロンフィルターユニット組立体を通してろ過した。フラスコを、アルミホイルで包むことによって光から保護して、4℃に保存した。−80℃の冷凍庫に保存したストック溶液(131mg/mL)を、ビヒクルで希釈し、3mg/mLまたは30mg/mLのアルビグルタイドの作業溶液にした。
データ分析
データは、平均値±SEMとして示す。群間の差を、対応のある、および対応のないスチューデント(Student)t検定によって比較した。P<0.05のp値を、統計的に有意とみなした。グラブス外れ値検定を、生体内2‐DG取り込み実験の主要成分(すなわち、平均グルコース濃度、心臓組織放射能、およびAUC血漿放射能)について使用した。(z(外れ値)>z_棄却(critical)(2.6))のとき、明らかな外れ値があると決定した。
データは、平均値±SEMとして示す。群間の差を、対応のある、および対応のないスチューデント(Student)t検定によって比較した。P<0.05のp値を、統計的に有意とみなした。グラブス外れ値検定を、生体内2‐DG取り込み実験の主要成分(すなわち、平均グルコース濃度、心臓組織放射能、およびAUC血漿放射能)について使用した。(z(外れ値)>z_棄却(critical)(2.6))のとき、明らかな外れ値があると決定した。
結果
処置群では、体重が顕著に減少した(図9)。また、ビヒクル群は、実験前一晩絶食の結果として、多少の体重減少を示した。
処置群では、体重が顕著に減少した(図9)。また、ビヒクル群は、実験前一晩絶食の結果として、多少の体重減少を示した。
心グルコース取り込み測定における観察されたばらつきを最小限にするために、平均血漿グルコース、心臓組織放射能、および血漿グルコース放射能(AUC)を含む生体内2‐DG実験のすべての主成分を、本研究における統計的外れ値について注意深く検討した。グラブス検定を使用して、グルコース流量測定の主要な成分を外れ値について検討したとき、1頭のビヒクル動物で、心臓組織放射能に明らかな外れ値(z(3.2)>z_棄却(critical)(2.6))があると決定された。くわえて、1頭のアルビグルタイドで処置した動物の平均血漿グルコースが、高いことが判明した(z(2.7)>z_棄却(critical)(2.6))。1頭のビヒクル動物および1頭のアルビグルタイドで処置した動物を除いて、ビヒクル処理(N=14)と比較して、アルビグルタイド(N=15)での処置後に、心臓での2−DG取り込みが顕著に増加した(70%、P=0.022)(図10)。
アルビグルタイド投薬後の2日、血漿グルコース、乳酸、非エステル化脂肪酸、またはインスリンに関して、群の間に有意差はなかった。
生体外グルコース処理(グルコース取り込みおよび乳酸流出)を、ランゲンドルフ心臓かん流設定で、生体内2‐DG試験に使用されたものと同じ生体内投薬プロトコールを使用して評価し、続いて120nM(生体内試験終了時の到達血漿濃度)でのアルビグルタイドの連続かん流した(図10)。ランゲンドルフ逆行性かん流調製における再循環槽の概略図を、図12に示す。生体内2‐DG実験の場合もそうであったように、アルビグルタイドで処置したラットでは、投薬パラダイムの間、重量が減少した。ビヒクルで処置した心臓と比較して、グルコース処理は、アルビグルタイドで処置した心臓において59%(P<0.05)増加した(図13)一方で、乳酸流出は、アルビグルタイドで処置した心臓において減少した(↓55%、P<0.05)(図13)。
心グルコース中間代謝
アルビグルタイドの心臓の中間グルコース代謝への効果を決定するために、代謝基質利用を、1‐13Cグルコース正常インスリン‐高血糖クランプを使用して評価した。ビヒクル‐およびアルビグルタイド‐処置心臓の間のアラニンおよび乳酸濃縮には、差がなかった(図14A)。しかしながら、TCA回路の中間体である4‐13Cグルタミン酸の濃縮は、ビヒクル‐処置心臓と比較してアルビグルタイド‐処置心臓で顕著に高く、TCA回路への解糖流量の増加を示している(図14A)。さらに、アラニンのアイソトポマー分析およびグルタミン酸濃縮(図14B)によって計算されるように、アルビグルタイドでの処置は、脂肪酸化に対する炭水化物酸化の相対的な比率の顕著な増加をもたらした(↑112%、p<0.05対ビヒクル)。心グリコーゲン濃度は、アルビグルタイドおよびビヒクルで処置した心臓の両方で類似していた(それぞれ、12.2±1.7対11.4±3.5μmol/g)。しかしながら、アルビグルタイドは、虚血性の心臓における代謝プロフィールを変えなかった。
アルビグルタイドの心臓の中間グルコース代謝への効果を決定するために、代謝基質利用を、1‐13Cグルコース正常インスリン‐高血糖クランプを使用して評価した。ビヒクル‐およびアルビグルタイド‐処置心臓の間のアラニンおよび乳酸濃縮には、差がなかった(図14A)。しかしながら、TCA回路の中間体である4‐13Cグルタミン酸の濃縮は、ビヒクル‐処置心臓と比較してアルビグルタイド‐処置心臓で顕著に高く、TCA回路への解糖流量の増加を示している(図14A)。さらに、アラニンのアイソトポマー分析およびグルタミン酸濃縮(図14B)によって計算されるように、アルビグルタイドでの処置は、脂肪酸化に対する炭水化物酸化の相対的な比率の顕著な増加をもたらした(↑112%、p<0.05対ビヒクル)。心グリコーゲン濃度は、アルビグルタイドおよびビヒクルで処置した心臓の両方で類似していた(それぞれ、12.2±1.7対11.4±3.5μmol/g)。しかしながら、アルビグルタイドは、虚血性の心臓における代謝プロフィールを変えなかった。
アルビグルタイド処置の心臓の乳酸代謝への効果をさらに調べるために、3‐13C乳酸心臓流量および酸化を、生理的状態の基質供給可能性(すなわち、生理的レベルでのグルコース、乳酸、ピルビン酸、FFAの包含)の下でランゲンドルフかん流心臓において評価した。アルビグルタイドは、30分間にわたって、かん流心臓への乳酸流入を一時的に増加したが(図15A)(負の流出)、この実験での心臓の乳酸濃度に影響はなかった(図15B)。しかしながら、アイソトポマー分析によって評価すると、標識されたグルコースを前駆体として使用した前の生体内知見と一致して、ビヒクルと比較してアルビグルタイド処置は、相対的乳酸酸化の増加をもたらした(↑63%、p<0.05、図15C)。
考察
アルビグルタイドは、正常心臓における心臓のグルコース取り込みの顕著な増加を、2つの異なる測定方法(生体内2‐デオキシグルコース取り込み、および生体外ランゲンドルフかん流心臓)を使用して確かめた。データは、心臓によるグルコース取り込みにおけるこの増加は、GLP‐1注入を用いて以前に示されているように、インスリン非依存的機序に媒介されることを示唆している(Ban, et al. Circulation. 2008;117:2340) (Zhao, et al. J Pharmacol Exp Ther. 2006;317(3):1106)。くわえて、かん流心臓設定における乳酸流出の減少によって示されたように、正常な心臓において、非酸化(例えば、グリコーゲン合成)または酸化(好気的解糖)グルコース処理のいずれかがアルビグルタイドで刺激された。アルビグルタイドで観察された体重の減少は、飼料摂取の減少、および満腹を増すことに関するGLP‐1アゴニストの予想された薬理と一致した。これらのデータは、アルビグルタイドで処置した、虚血再かん流傷害を受けたラットにおいて観察された心保護が、部分的には、心臓によるグルコース処理および代謝の増加よって説明されうることを示唆する。
アルビグルタイドは、正常心臓における心臓のグルコース取り込みの顕著な増加を、2つの異なる測定方法(生体内2‐デオキシグルコース取り込み、および生体外ランゲンドルフかん流心臓)を使用して確かめた。データは、心臓によるグルコース取り込みにおけるこの増加は、GLP‐1注入を用いて以前に示されているように、インスリン非依存的機序に媒介されることを示唆している(Ban, et al. Circulation. 2008;117:2340) (Zhao, et al. J Pharmacol Exp Ther. 2006;317(3):1106)。くわえて、かん流心臓設定における乳酸流出の減少によって示されたように、正常な心臓において、非酸化(例えば、グリコーゲン合成)または酸化(好気的解糖)グルコース処理のいずれかがアルビグルタイドで刺激された。アルビグルタイドで観察された体重の減少は、飼料摂取の減少、および満腹を増すことに関するGLP‐1アゴニストの予想された薬理と一致した。これらのデータは、アルビグルタイドで処置した、虚血再かん流傷害を受けたラットにおいて観察された心保護が、部分的には、心臓によるグルコース処理および代謝の増加よって説明されうることを示唆する。
例3 非虚血性心筋症およびNYHAクラスII/IIIうっ血性心不全をもつ患者におけるアルビグルタイドの安全性、ならびにその心筋代謝、心筋機能および運動耐容能への効果を評価するための多施設、プラシーボ対照試験
正常なヒト心筋では、心機能のためのエネルギーの大部分(60〜90%)が、脂肪酸酸化(FAO)に由来し、残り(10〜40%)がグルコース酸化(GO)に由来する。正常な心臓は、基質利用可能性に応えて心筋のFAOとGOの割合を、動的に調節することができ、次いで心臓は、高エネルギーリン酸、特にATPおよびホスホクレアチンの形態でエネルギーを保存することができる。これにより、心臓は基本的な機能を維持することおよび需要の増加に応えて収縮性を増加することの両方のために、十分なエネルギー貯蔵の維持を確かにする。しかしながら、拡張型心筋症をもつ患者では、約20%のエネルギーしかFAOにより供給されず、残りはGOにより供給される(Davila-Roman VG, et al. JACC 2002)。グルコース優先のこの代謝基質シフトは、部分的には、脂肪と比べてグルコースがエネルギー的により高い効率(より低い酸素使用)であるという結果でありうる。しかしながら、グルコースへの相対的により高い依存にもかかわらず、グルコース取り込みおよび利用が損なわれること、心筋のインスリン耐性がこれら患者において持続することの両方の証拠がある。脂肪酸およびグルコースを代謝する能力のこの減少は、心筋のATP含有量の減少および全体的な高エネルギーリン酸利用可能性の減少に関連し、この損なわれたエネルギー状態が、疾患を特徴付ける心筋機能障害に寄与する可能性が高い。総合して、これらの観察は、拡張型心筋症およびCHFをもつ患者において、心筋のグルコース代謝の活性化またはグルコースの心筋への利用可能性の増加が、心筋のエネルギーの改善および心機能の改善をもたらしうるという仮説を示唆している。よって、GLP‐1アゴニストのような治療は、心筋のインスリン作用を増加し、グルコース酸化の改善、最終的には心室の効率および運動耐容能の改善をもたらしうる。
正常なヒト心筋では、心機能のためのエネルギーの大部分(60〜90%)が、脂肪酸酸化(FAO)に由来し、残り(10〜40%)がグルコース酸化(GO)に由来する。正常な心臓は、基質利用可能性に応えて心筋のFAOとGOの割合を、動的に調節することができ、次いで心臓は、高エネルギーリン酸、特にATPおよびホスホクレアチンの形態でエネルギーを保存することができる。これにより、心臓は基本的な機能を維持することおよび需要の増加に応えて収縮性を増加することの両方のために、十分なエネルギー貯蔵の維持を確かにする。しかしながら、拡張型心筋症をもつ患者では、約20%のエネルギーしかFAOにより供給されず、残りはGOにより供給される(Davila-Roman VG, et al. JACC 2002)。グルコース優先のこの代謝基質シフトは、部分的には、脂肪と比べてグルコースがエネルギー的により高い効率(より低い酸素使用)であるという結果でありうる。しかしながら、グルコースへの相対的により高い依存にもかかわらず、グルコース取り込みおよび利用が損なわれること、心筋のインスリン耐性がこれら患者において持続することの両方の証拠がある。脂肪酸およびグルコースを代謝する能力のこの減少は、心筋のATP含有量の減少および全体的な高エネルギーリン酸利用可能性の減少に関連し、この損なわれたエネルギー状態が、疾患を特徴付ける心筋機能障害に寄与する可能性が高い。総合して、これらの観察は、拡張型心筋症およびCHFをもつ患者において、心筋のグルコース代謝の活性化またはグルコースの心筋への利用可能性の増加が、心筋のエネルギーの改善および心機能の改善をもたらしうるという仮説を示唆している。よって、GLP‐1アゴニストのような治療は、心筋のインスリン作用を増加し、グルコース酸化の改善、最終的には心室の効率および運動耐容能の改善をもたらしうる。
グルカゴン(Glucogan)様ペプチド‐1(GLP‐1)は、栄養摂取に応答して腸L細胞によって分泌されるインクレチンホルモンである。GLP‐1は、インスリン分泌を刺激すること、グルカゴン分泌を阻害すること、胃内容排出を遅延すること、満腹を増進ずることによって、グルコースホメオスタシスを制御する。GLP‐1の主要な生理作用は、血糖管理と関連するが、GLP‐1が心血管生理においても重要な役割を果たしうること示す証拠が増えてきている。また、GLP‐1受容体は、心血管組織にも発現され、アゴニストによるGLP‐1受容体の活性化は、広範囲の心血管系作用をもたらす(Grieve, et al.)。GLP‐1は、心臓においてインスリン模倣剤として機能することが示されており、心臓でのグルコース代謝を直接的に調節することができる(Ban, et al. Circulation. 2008;117:2340)。GLP‐1が、生体外(Ban, et al., Circulation. 2008;117:2340)および生体内(Bose, et al. Circulation. 2008;117:2340)の両方において、心筋虚血再かん流傷害に対して心臓を保護することが示された。最も大切なこととして、72時間のGLP‐1の短期注入が、心不全患者における心機能を顕著に改善することが報告されており、GLP‐1および模倣剤が心不全の新規の治療方法として使用されうることを示唆している(Nikolaidis, et al. Circulation. 2004;109:962-5)。
この試験では、本発明者らは、FDG‐PETを使用して、心筋のインスリン作用およびグルコース酸化の代わりの尺度として、心筋のグルコース取り込みを測定するであろう。グルコース取り込みは、左心効率および運動耐容能の変化と相関付けられるであろう。
末期の心不全が、心臓の2つの主要な代謝基質である脂肪酸およびグルコースを代謝する能力の障害により特徴付けられることを示す証拠が増加している。低下した心筋のATPおよびホスホクレアチン含有量の形での、結果として生じる心筋のエネルギー枯渇は、心室機能障害および心拍出量の減少に寄与する有力なものであると考えられている。特に、心筋のインスリン耐性は、糖尿病に関連する心不全の発症において重要な役割をすると見られている。
多数の急性の心筋傷害および慢性心不全の動物モデルの研究は、GLP‐1受容体アゴニストの投与が、心筋傷害の減少および心筋機能の改善をもたらすことを示している(Timmers L, et al., J Am Coll Cardiol 2009; 53:501; Noyan-Ashraf M., et al., Diabetes 2009;58:975; Ban K, et al., Circulation 2008;117:2340; Nikolaidis L, Circulation 2004;110:955)。本明細書の実施例1に示すように、ラットの急性心筋虚血/再かん流傷害モデルにおいて、アルビグルタイドは、顕著に梗塞サイズを減少する。また、本明細書の実施例1および2に示すように、梗塞サイズの顕著な減少は、投与量依存的であった。虚血後の左室心機能もまた、改善した。げっ歯類モデルにおいて、アルビグルタイドが心保護可能である厳密な機序は調査されなかったが、増加したインスリン分泌の間接的な効果、または心筋上のGLP‐1受容体作動の直接的な効果であると仮定されることができる。心筋のグルコース取り込みを検討するための進行中の実験では、予備データは、GLP‐1ペプチドおよびアルビグルタイドの両方の、生体内およびインビトロでのグルコース取り込みを増加する能力を示している。
GLP‐1受容体作動の心筋機能への効果は、GLP‐1ペプチドの連続注入を使用する幾つかの予備的臨床研究で調査されている。これらの研究により、GLP‐1ペプチド注入が、慢性心不全をもつ対象における運動耐容能を増加すること(Sokos G, et al., J Cardiac Failure 2006; 12:684)、急性心筋梗塞をもつ患者における左心駆出分画を改善すること(Nikolaidis L, et al., Circulation 2004; 109:962)、および心臓手術後の患者における昇圧薬の静脈内投与の必陽性を減少すること(Sokos G, et al., Am J Cardiol 2007; 100:824)が報告されている。各ケースにおいてGLP‐1投与が心機能に有益な効果を生み出す主要な機序は、心筋のインスリン耐性の寛解および心筋グルコース利用の改善を通してであると考えられている。GLP‐1ペプチドがGLP‐1アゴニストの心筋機能への有益な効果をサポートするという既存の前臨床データおよび臨床的な証拠に基づいて、本発明者らは、アルビグルタイドの投与が、慢性心不全および心室機能障害をもつ患者における心筋のグルコース取り込みおよび利用/酸化を促進し、心筋のインスリン作用の増加することによって、全体的な心臓エネルギー効率を改善することおよび心機能を増強すると仮定する。
概念研究のこの調査報告は、慢性の非虚血性の拡張型心筋症に伴う、安定なニューヨーク心臓協会(New York Heart Association)(NYHA)クラスII〜III心不全をもつ患者で行われるであろう。主要評価項目は、アルビグルタイド投与が、FDG‐PETによって測定される心筋におけるグルコース取り込みおよび利用を増加し、心筋効率の増加および運動耐容能の増加をもたらすという仮説をテストすることに向けられている。1つ以上の主要評価項目への統計的に有意な効果、または心筋の生理への臨床的に関連する効果を示唆する総合的なシグナルのいずれかとして定義される肯定的な結果は、慢性心不全集団におけるさらなる発症に、進行可能性の証拠を提供することになる。
投与量理論的根拠
この第II相概念実証研究は、プラシーボと比較して、アルビグルタイドの投与量の範囲の投与量応答、有効性、安全性、および忍容性を、12週間の治療期間にわたって、NYHAクラスII/III心不全をもつ患者において評価するであろう。週1回皮下注射として投与される予定される投与量は、3.75mg、15mg、および30mgである。投与量範囲は、以前の研究からのアルビグルタイドに関する安全性および忍容性データ、うっ血性心不全をもつ患者における心機能へのGLP‐1の効果を評価した既報の臨床研究からのその有効性データ、および前臨床実験におけるアルビグルタイドに関する薬力学データに基づいて選択された。
この第II相概念実証研究は、プラシーボと比較して、アルビグルタイドの投与量の範囲の投与量応答、有効性、安全性、および忍容性を、12週間の治療期間にわたって、NYHAクラスII/III心不全をもつ患者において評価するであろう。週1回皮下注射として投与される予定される投与量は、3.75mg、15mg、および30mgである。投与量範囲は、以前の研究からのアルビグルタイドに関する安全性および忍容性データ、うっ血性心不全をもつ患者における心機能へのGLP‐1の効果を評価した既報の臨床研究からのその有効性データ、および前臨床実験におけるアルビグルタイドに関する薬力学データに基づいて選択された。
有効性の標的濃度を確立するために、既報のデータを、慢性心不全をもつ患者(Sokos, et al. J Cardiac Failure; 2006; 12:684)および成功した再かん流後の急性心筋梗塞および左心機能不全をもつ患者(Nikoladis, et al. Circulation, 2004; 109:962-965)におけるGLP‐1の心機能への効果および臨床転帰を検討した2つの研究から精査した。これらの研究では、〜50〜100pMの範囲内のGLP‐1血漿濃度が、肯定的な結果を生み出した。Sokosらは、標準的治療にくわえてGLP‐1の5週間注入(2.5pmol/kg/分)を使用して、NYHAクラスIII/IV慢性心不全をもつ患者(n=12)において、GLP‐1の使用を調べた(Sokos, et al. J Cardiac Failure; 2006; 12:684)。長期のGLP‐1治療は、左心駆出分画率(21±3%から27±3%、p<0.01)、最大心筋酸素消費(10.8±0.9mL/O2/分/kgから13.9±0.6mg/O2/分/kg、p<0.001)、6分間歩行距離(232±15mから286±12m、p<0.001)およびミネソタ心不全(Minnesota Living with Heart Failure)クオリティ・オブ・ライフスコア(64±4から44±5、p<0.01)の顕著な改善をもたらした。対照患者(n=9)では、顕著な効果は、これらパラメーターのいずれにも見られなかった。2つ目の研究では、GLP‐1投与(1.5pmol/kg/分、72時間)は、標準的治療を受けた対照群と比較して、成功した直接的血管形成術後の急性心筋梗塞をもつ10患者における左心駆出分画率(29±2%から39±2%、p<0.01)の顕著な改善をもたらした。くわえて、心室全体の壁運動スコアおよび局所的な壁運動スコア指数の改善が、観察された(それぞれ、1.94±0.11から1.63±0.09、p<0.01、および2.53±0.08から2.02±0.11、p<0.01)(Nikoladis, et al. Circulation, 2004; 109:962-965)。この場合も先と同様に、これら肯定的な効果は、対照群(n=11)では見られなかった。
インビトロ細胞培養研究により、アルビグルタイドは、GLP‐1受容体アゴニストとしての効力がGLP‐1より約10倍弱いことが示された。既報の臨床研究で達成されたGLP‐1濃度から決定した有効性に必要とされるGLP‐1範囲の上限を使用し、効力および分子量の違いを考慮して、約77ng/mLのアルビグルタイドの標的濃度が、左心(LV)機能への臨床的に重要な効果を生み出すのに必要であると予想された。しかしながら、必要標的濃度のこの推定に不確実な可能性があるため、以前の研究(2型糖尿病対象においてアルビグルタイドをバイエッタ(商標)と比較する、16週間投与量決定試験)によって開発された薬物動態モデルを使用してシミュレーションを行い、この研究で提案された投与量範囲が、自然のGLP‐1の潜在的効力と比較して、広い範囲のアルビグルタイドの潜在的効力で与えられた推定標的濃度を満足するかどうかを評価した。ありうる投与量およびありうる効力の差の範囲についての標的達成率を、表4に示す。自然のGLP‐1に対する想定効力範囲の範囲内で、アルビグルタイドの効力が、自然のGLP‐1の効力より10〜100倍低い場合、この研究の提案した投与量範囲は、効果のある濃度を達成する高い可能性を有する。アルビグルタイドのCHFに対する効力が、これより低い場合、標的濃度に達する確率はかなり低く、30mgより高い投与量が恐らく必要とされることになる。
週30mgより高い投与量は、重篤なGI有害事象に関連するので、週30mgの現行最高開始投与量が選択された。アルビグルタイドが、週1回30mgとして投与されたとき、吐き気および/または嘔吐の頻度は29.0%であった(Rosenstock, et al. Diabetes Care 2009; 32:1880-1886)。それに比較して、2週間毎に50mgまたは毎月100mgとして投与されたとき、頻度は54.3%および55.9%であった。50mgの投与量に伴う消化管(GI)事象は、その後の投薬とともに減退したので、必要に応じて、30mgより高い投与量に漸増することが可能である。
最低投与量は、インビトロ効力データに基づいて予想90%標的達成率を達成するために3.75mgとして選択された。1.88mgおよび7.5mgの投与量は、この研究に選択されなかった。1.88mgの投与量は、自然のGLP‐1と比較して1/10のアルビグルタイド効力で、予想標的達成率90%を達成しない。7.5mg投与量は、3.75mg投与量と比較して、投与量応答カーブを描くのに役立つさらなる情報を少ししか提供しないことが予想される。
表4 GLP‐1ペプチドに相対的なアルビグルタイド想定効力の範囲に基づく、定常状態での平均血漿濃度の標的達成率(Cpavess)
目的
一次
・プラシーボと比較したアルビグルタイドの投与量の、NYHAクラスII/III心不全をもつ患者における心筋のグルコース取り込みへの治療効果を3ヵ月間にわたって決定すること。
・プラシーボと比較したアルビグルタイドの投与量の、NYHAクラスII/III心不全をもつ患者における心筋効率への治療効果を3ヵ月間にわたって決定すること。
・プラシーボと比較したアルビグルタイドの投与量の、NYHAクラスII/III心不全をもつ患者における運動能力への治療効果を3ヵ月間にわたって決定すること。
二次
・プラシーボと比較したアルビグルタイドの投与量の、左室機能への治療効果を、心エコー検査を使用して決定すること。
・単施設で行われるサブスタディでは、プラシーボと比較したアルビグルタイドの投与量の、左および右心室容積、駆出分画率および心筋重量への治療効果を、心磁気共鳴画像法(CMR)を使用して決定すること。
・プラシーボと比較したアルビグルタイドの投与量の、6分間歩行距離への治療効果を決定すること。
・プラシーボと比較したアルビグルタイドの投与量の、CHFの重症度の指標である血清BNPへの治療効果を決定すること。
・プラシーボと比較したアルビグルタイドの投与量の、グルコース代謝のバイオマーカーへの治療効果を決定すること。
・プラシーボと比較したアルビグルタイドの投与量の、グルコース代謝のバイオマーカーへの治療効果を決定すること。
・プラシーボと比較したアルビグルタイドの投与量の、クオリティ・オブ・ライフ尺度への治療効果を決定すること。
・NYHAクラスII/III心不全をもつ患者におけるアルビグルタイドの安全性および忍容性を3ヶ月治療期間にわたって評価すること。
・診査薬物動態/薬力学分析も、アルビグルタイドのトラフ血漿濃度を使用して行われうる。
一次
・プラシーボと比較したアルビグルタイドの投与量の、NYHAクラスII/III心不全をもつ患者における心筋のグルコース取り込みへの治療効果を3ヵ月間にわたって決定すること。
・プラシーボと比較したアルビグルタイドの投与量の、NYHAクラスII/III心不全をもつ患者における心筋効率への治療効果を3ヵ月間にわたって決定すること。
・プラシーボと比較したアルビグルタイドの投与量の、NYHAクラスII/III心不全をもつ患者における運動能力への治療効果を3ヵ月間にわたって決定すること。
二次
・プラシーボと比較したアルビグルタイドの投与量の、左室機能への治療効果を、心エコー検査を使用して決定すること。
・単施設で行われるサブスタディでは、プラシーボと比較したアルビグルタイドの投与量の、左および右心室容積、駆出分画率および心筋重量への治療効果を、心磁気共鳴画像法(CMR)を使用して決定すること。
・プラシーボと比較したアルビグルタイドの投与量の、6分間歩行距離への治療効果を決定すること。
・プラシーボと比較したアルビグルタイドの投与量の、CHFの重症度の指標である血清BNPへの治療効果を決定すること。
・プラシーボと比較したアルビグルタイドの投与量の、グルコース代謝のバイオマーカーへの治療効果を決定すること。
・プラシーボと比較したアルビグルタイドの投与量の、グルコース代謝のバイオマーカーへの治療効果を決定すること。
・プラシーボと比較したアルビグルタイドの投与量の、クオリティ・オブ・ライフ尺度への治療効果を決定すること。
・NYHAクラスII/III心不全をもつ患者におけるアルビグルタイドの安全性および忍容性を3ヶ月治療期間にわたって評価すること。
・診査薬物動態/薬力学分析も、アルビグルタイドのトラフ血漿濃度を使用して行われうる。
評価項目
一次
・FDG−PETイメージングによって評価した心筋のグルコース利用
・安静時に評価した心筋の効率(遂行作業/MVO2):
・心エコーにより計算されるSV
・11C‐アセテートPETイメージングによって評価されるMVO2
・自転車心肺運動負荷試験によって評価したピーク酸素取り込み(VO2max)
二次
・全施設での、心エコー図によって評価した左心室機能(LVEF、心収縮期および心拡張期におけるLV容積)
・また、単施設で行われるサブスタディでは、LVおよびRV機能も心磁気共鳴画像法(CMR)によって評価されるであろう(LVEF、心収縮期および心拡張期におけるLVおよびRV容積、LV質量)
・6分間歩行試験によって評価される運動耐容能
・血清NT‐BNPレベル
・グルコース、インスリン、遊離脂肪酸の血漿レベル;HOMA指標
・ミネソタ心不全質問表(Minnesota Living with Heart Failure Questionnaire)によって評価されるクオリティ・オブ・ライフ
・AUC、CMAXおよびCtを含む(これらに限定されない)診査のPKパラメーターが測定されうる。
一次
・FDG−PETイメージングによって評価した心筋のグルコース利用
・安静時に評価した心筋の効率(遂行作業/MVO2):
・心エコーにより計算されるSV
・11C‐アセテートPETイメージングによって評価されるMVO2
・自転車心肺運動負荷試験によって評価したピーク酸素取り込み(VO2max)
二次
・全施設での、心エコー図によって評価した左心室機能(LVEF、心収縮期および心拡張期におけるLV容積)
・また、単施設で行われるサブスタディでは、LVおよびRV機能も心磁気共鳴画像法(CMR)によって評価されるであろう(LVEF、心収縮期および心拡張期におけるLVおよびRV容積、LV質量)
・6分間歩行試験によって評価される運動耐容能
・血清NT‐BNPレベル
・グルコース、インスリン、遊離脂肪酸の血漿レベル;HOMA指標
・ミネソタ心不全質問表(Minnesota Living with Heart Failure Questionnaire)によって評価されるクオリティ・オブ・ライフ
・AUC、CMAXおよびCtを含む(これらに限定されない)診査のPKパラメーターが測定されうる。
安全性評価項目:
・以下を含むがこれらに限定されない安全性評価項目:
a.大動脈駆出音(Aes)の発生率および重症度
b.全原因死亡率
c.心不全による入院
・以下を含むがこれらに限定されない安全性評価項目:
a.大動脈駆出音(Aes)の発生率および重症度
b.全原因死亡率
c.心不全による入院
治験計画
研究デザイン/概略
これは、無作為に選ばれた、約120名の慢性の非虚血性の拡張型心筋症に伴う安定NYHAクラスII〜III心不全をもつ対象を登録する、多施設、無作為化、プラシーボ対照、単盲検の(対象および治験責任医師は内容を知らされないであろう)、並行群間デザインであろう。無作為に選ばれた対象について〜20%の無作為化後脱落率を仮定し、この数から、各治療群(プラシーボ、3.75mg、15mgおよび30mgアルビグルタイド)で〜25名の評価対象となるであろう。
研究デザイン/概略
これは、無作為に選ばれた、約120名の慢性の非虚血性の拡張型心筋症に伴う安定NYHAクラスII〜III心不全をもつ対象を登録する、多施設、無作為化、プラシーボ対照、単盲検の(対象および治験責任医師は内容を知らされないであろう)、並行群間デザインであろう。無作為に選ばれた対象について〜20%の無作為化後脱落率を仮定し、この数から、各治療群(プラシーボ、3.75mg、15mgおよび30mgアルビグルタイド)で〜25名の評価対象となるであろう。
対象は、音声自動応答システム(IVRS)を用いて性別の層別化をする研究に、最適に無作為化され、以下に列挙される治療計画の1つを受けるであろう。
A:アルビグルタイド(3.75mg)
B:アルビグルタイド(15mg)
C:アルビグルタイド(30mg)
D:アルビグルタイドに整合したプラシーボ
A:アルビグルタイド(3.75mg)
B:アルビグルタイド(15mg)
C:アルビグルタイド(30mg)
D:アルビグルタイドに整合したプラシーボ
アルビグルタイドまたはプラシーボに無作為に選ばれた対象は、病院を訪れ、現場スタッフによる毎週皮下注射を受けるであろう。安全性、PKおよびPD分析用血液試料、ならびにイメージング、運動試験、安全性および忍容性評価(AE、バイタルサイン、ECG、などを含む)は、計画予定表に示された試験のための訪問時に採集/評価されるであろう。この試験の間、第1週と第13週の2回の一泊の滞在があり、イメージングと運動試験が可能であろう。その一泊の滞在の詳細は、試験手順マニュアル(SPM)に概説されるであろう。追跡調査の訪問は、試験薬の最終投薬の28日(±3日)後に行われるであろう。
対象が時期尚早に中止する場合、治験責任医師と相談して治験依頼者の裁量で追加の対象が登録されうる。追加のデータが、安全性、忍容性の確立、またはPKおよびPDパラメーターもしくは試験追加投与量レベルのより良い特徴付けに必要であるならば、進行中の安全性、PKおよびPDデータに基づいて、追加の対象は所定のレベルにて投薬されうる。
この試験への参加の期間は、審査から追跡調査まで約20週間であると予想されている。
CMRサブスタディ
また、単施設に登録される資格のある対象は、ベースライン(第1週)にCMRスキャニングを受けた後、アルビグルタイドまたはアルビグルタイドに整合したプラシーボの最初の投与を受け、第13週の試験の治療期間の終わりに、CMRスキャニングを受けるであろう。
また、単施設に登録される資格のある対象は、ベースライン(第1週)にCMRスキャニングを受けた後、アルビグルタイドまたはアルビグルタイドに整合したプラシーボの最初の投与を受け、第13週の試験の治療期間の終わりに、CMRスキャニングを受けるであろう。
治療割り当て
対象は、有効な内部ソフトウェアを使用して、試験の開始前に、Discovery Biometricsによって作製された無作為化スケジュールに従って、並行治療群列に割り当てられるであろう。
対象は、有効な内部ソフトウェアを使用して、試験の開始前に、Discovery Biometricsによって作製された無作為化スケジュールに従って、並行治療群列に割り当てられるであろう。
対象は、音声自動応答システム(IVRS)を用いて、試験に無作為化され、以下に列挙された治療計画の1つを受ける。
投与量調整/中止有効性基準
現行の投与量レベルの効果、および十分な薬力学効果を達成しない投与量レベルへの継続した無作為化の利用を評価するために、中間の分析がこの試験に計画される。
現行の投与量レベルの効果、および十分な薬力学効果を達成しない投与量レベルへの継続した無作為化の利用を評価するために、中間の分析がこの試験に計画される。
この試験の適格性基準は、以下を含むであろう:
対象は、以下の基準のすべてに当てはまる場合のみ、この試験に含まれる資格があるであろう:
・非虚血性起源の慢性拡張型心筋症
・審査/ベースライン訪問の少なくとも3ヶ月間の最適治療法での臨床的安定
・直近12ヶ月の任意の測定によって評価された左心室駆出分画率≦35%
・登録の最短6ヶ月間のNYHAクラスII/III心不全
・同意書にサインする時点で年齢21歳以上75歳以下の男性または女性。しかしながら、この試験の最適な年齢範囲は、年齢40〜65歳と思われる。
・女性対象は、以下の場合、参加する資格がある:
・文書で記録された卵管結紮もしくは子宮摘出を受けた閉経期前の女性として定義される妊娠可能性がない、または12月間の自然な無月経として定義される閉経後である(疑わしい症例では、血液試料で、卵巣刺激ホルモン(FSH)>40MlU/mLおよびエストラジオール<40pg/mL(<140pmol/L)を同時に確認)。(ホルモン置換治療(HRT)を受けており、閉経に関する状態が不確かな女性は、試験中にHRTを継続したいならば、1つの避妊方法を使用することが求められるであろう。そうでなければ、彼女らは、試験登録前に閉経期後の状態を確認できるようにHRTを中止しなければならない。たいていの形態のHRTについて、治療の休止と採血との間は、少なくとも2〜4週間経るであろう。この間隔は、HRTのタイプおよび投与量に依存する。彼女らの閉経期後状態の確認に続いて、彼女らは、試験中、避妊方法の使用なしにHRTの使用を再開することができる。)
・妊娠可能性があり、適切な(製品ラベルまたは治験責任医師により決定された)期間の間、その時点での妊娠の恐れを十分に最小限にするための1つの避妊方法の使用に同意する。女性対象は、最終投薬の〜28日後の追跡調査の訪問まで、避妊薬を使用することに同意しなければならない。
・同意書に列挙される必要および制限事項へのコンプライアンスを含む、書面インフォームドコンセントを付与する能力。
・脚ブロックをもつ対象では、QTcBもしくはQTcF<450msec;またはQTc<480msecの確認。
・ASTおよびALT<2×ULN;アルカリホスファターゼおよいビリルビン>1.5×ULN(ビリルビンが分画され、直接ビリルビン<35%である場合、単離ビリルビン>1.5xULNは許容可能)。
・対象は、能力/運動試験を行うことができなければならない。
対象は、以下の基準のすべてに当てはまる場合のみ、この試験に含まれる資格があるであろう:
・非虚血性起源の慢性拡張型心筋症
・審査/ベースライン訪問の少なくとも3ヶ月間の最適治療法での臨床的安定
・直近12ヶ月の任意の測定によって評価された左心室駆出分画率≦35%
・登録の最短6ヶ月間のNYHAクラスII/III心不全
・同意書にサインする時点で年齢21歳以上75歳以下の男性または女性。しかしながら、この試験の最適な年齢範囲は、年齢40〜65歳と思われる。
・女性対象は、以下の場合、参加する資格がある:
・文書で記録された卵管結紮もしくは子宮摘出を受けた閉経期前の女性として定義される妊娠可能性がない、または12月間の自然な無月経として定義される閉経後である(疑わしい症例では、血液試料で、卵巣刺激ホルモン(FSH)>40MlU/mLおよびエストラジオール<40pg/mL(<140pmol/L)を同時に確認)。(ホルモン置換治療(HRT)を受けており、閉経に関する状態が不確かな女性は、試験中にHRTを継続したいならば、1つの避妊方法を使用することが求められるであろう。そうでなければ、彼女らは、試験登録前に閉経期後の状態を確認できるようにHRTを中止しなければならない。たいていの形態のHRTについて、治療の休止と採血との間は、少なくとも2〜4週間経るであろう。この間隔は、HRTのタイプおよび投与量に依存する。彼女らの閉経期後状態の確認に続いて、彼女らは、試験中、避妊方法の使用なしにHRTの使用を再開することができる。)
・妊娠可能性があり、適切な(製品ラベルまたは治験責任医師により決定された)期間の間、その時点での妊娠の恐れを十分に最小限にするための1つの避妊方法の使用に同意する。女性対象は、最終投薬の〜28日後の追跡調査の訪問まで、避妊薬を使用することに同意しなければならない。
・同意書に列挙される必要および制限事項へのコンプライアンスを含む、書面インフォームドコンセントを付与する能力。
・脚ブロックをもつ対象では、QTcBもしくはQTcF<450msec;またはQTc<480msecの確認。
・ASTおよびALT<2×ULN;アルカリホスファターゼおよいビリルビン>1.5×ULN(ビリルビンが分画され、直接ビリルビン<35%である場合、単離ビリルビン>1.5xULNは許容可能)。
・対象は、能力/運動試験を行うことができなければならない。
以下の基準のいずれかが適応される場合、対象は、この試験に含まれる資格がないであろう:
・審査前3ヶ月以内、試験前B型肝炎表面抗原陽性またはC型肝炎抗体結果陽性
・薬物/アルコール依存歴
・HIV抗体テスト陽性
・カルシトニン>100pg/mL
・トリグリセリド>850mg/dL
・胃バイパスおよび胃バンディング術、幽門洞切除術、ルーワイ(Roux−en−Y)バイパス、胃迷走神経切離術、小腸切除術、または上部消化管機能に大きく影響すると考えられる手術を含む重大な消化管手術歴
・以下で定義される試験6ヶ月以内の通常アルコール摂取歴:
・英国用:平均の毎週の摂取、男性、>21ユニットまたは、女性、>14ユニット。1ユニットは、8gのアルコール:半パイント(〜240 mL)のビール、1杯(125mL)のワイン、または1(25mL)量り(measure)のスピリッツに相当する。
・米国用:平均の毎週の摂取、男性、>14杯(drinks)または女性、>7杯。1杯(drink)は、12gのアルコール:12オンス(360mL)のビール、5オンス(150mL)のワイン、または1.5オンス(45mL)の80プルーフ蒸留スピリッツに相当する。
・対象は、臨床試験に参加し、現試験の最初の投薬日前に以下の期間に治験薬を受け取る:30日、5半減期、または治験薬の生物学的作用の2倍の期間(どちらか長い方)。
・最初の投薬日前12ヶ月以内の4つより多い新しい化学物質への暴露
・アルビグルタイド、他のいずれかのGLP‐1類似体、またはパン酵母に対する、既知のアレルギーまたは感受性の既往歴
・試験に参加した際、56日の期間内に、血液または血液生成物を、500mLを超えて提供する結果になる。
・審査時または投薬前に血清または尿hCG試験陽性により決定された妊娠女性
・授乳中の女性
・プロトコールに概略された手順に従うことを避けようとすることまたは従うことができないこと(例えば、精神障害に関連して)。
・対象が、精神的または法的無能力である。
・既知の糖尿病の診断、空腹時グルコース>140mg/dL、またはHbA1c>7%
・異常甲状腺刺激ホルモン(TSH)としての未矯正の甲状腺疾患兆候(審査時、基準範囲外)
・1年未満の平均余命の他の医学的問題
・以下を含む心筋症または左心機能不全他の原因:
i.未矯正の原発性の閉塞性または逆流性弁膜症
ii.アミロイドーシス、ヘモクロマトーシス、サルコイドーシスまたは他の原因による拘束型心筋症
iii.壁厚>1.5cmの心肥大
iv.アルコールにより誘発される心筋症
v.出産後12ヶ月間に心不全をもつ女性
vi.複雑心奇形
vii.アントラサイクリンに誘発される心筋症
・骨格筋の遺伝障害(例えば、デュシェンヌ型筋ジストロフィー)をもつ対象
・臨床的に重大な心膜疾患
・ステータス1Aまたは1Bとして心膜移植待機リストに載る
・深部静脈血栓症または既知の凝固障害の既往歴
・膵炎の既往歴
・甲状腺髄様癌の既往歴または家族歴
・多発性内分泌腫瘍症2型の既往歴または家族歴
・以下のいずれかを含む臨床的に重大なCADの既往歴:
i.区域壁運動異常につながる前STEMI
ii.前冠動脈造影からの構造に基づいた>70%主要血管の障害のあるCADの存在
iii.過去6ヶ月以内の不安定狭心症による入院
iv.PIの判断でのCADをもつ高いリスク
・審査時、推定GFR<60mL/分の腎機能障害の既往歴
・安静時収縮期血圧<85mmHg、もしくは>170mmHg;または審査時、拡張期血圧>110mgHg
・患者が、イメージング評価の完了に、延べ合計最高4時間、横たわることができない。
・以下を含むがそれらに限定されないMRIスキャニングへの禁忌を有する対象は、CMRサブスタディを行う単施設に登録されないであろう:
・適切な手術立体構造をもつ頭蓋内動脈瘤クロップ(杉田(Sugita)クリップの除く)
・眼窩内の金属片の既往歴
・ペースメーカーまたは非MR適合心臓弁
・内耳埋め込み
・治験責任医師により重大と見なされる閉所恐怖症の既往歴
・審査前3ヶ月以内、試験前B型肝炎表面抗原陽性またはC型肝炎抗体結果陽性
・薬物/アルコール依存歴
・HIV抗体テスト陽性
・カルシトニン>100pg/mL
・トリグリセリド>850mg/dL
・胃バイパスおよび胃バンディング術、幽門洞切除術、ルーワイ(Roux−en−Y)バイパス、胃迷走神経切離術、小腸切除術、または上部消化管機能に大きく影響すると考えられる手術を含む重大な消化管手術歴
・以下で定義される試験6ヶ月以内の通常アルコール摂取歴:
・英国用:平均の毎週の摂取、男性、>21ユニットまたは、女性、>14ユニット。1ユニットは、8gのアルコール:半パイント(〜240 mL)のビール、1杯(125mL)のワイン、または1(25mL)量り(measure)のスピリッツに相当する。
・米国用:平均の毎週の摂取、男性、>14杯(drinks)または女性、>7杯。1杯(drink)は、12gのアルコール:12オンス(360mL)のビール、5オンス(150mL)のワイン、または1.5オンス(45mL)の80プルーフ蒸留スピリッツに相当する。
・対象は、臨床試験に参加し、現試験の最初の投薬日前に以下の期間に治験薬を受け取る:30日、5半減期、または治験薬の生物学的作用の2倍の期間(どちらか長い方)。
・最初の投薬日前12ヶ月以内の4つより多い新しい化学物質への暴露
・アルビグルタイド、他のいずれかのGLP‐1類似体、またはパン酵母に対する、既知のアレルギーまたは感受性の既往歴
・試験に参加した際、56日の期間内に、血液または血液生成物を、500mLを超えて提供する結果になる。
・審査時または投薬前に血清または尿hCG試験陽性により決定された妊娠女性
・授乳中の女性
・プロトコールに概略された手順に従うことを避けようとすることまたは従うことができないこと(例えば、精神障害に関連して)。
・対象が、精神的または法的無能力である。
・既知の糖尿病の診断、空腹時グルコース>140mg/dL、またはHbA1c>7%
・異常甲状腺刺激ホルモン(TSH)としての未矯正の甲状腺疾患兆候(審査時、基準範囲外)
・1年未満の平均余命の他の医学的問題
・以下を含む心筋症または左心機能不全他の原因:
i.未矯正の原発性の閉塞性または逆流性弁膜症
ii.アミロイドーシス、ヘモクロマトーシス、サルコイドーシスまたは他の原因による拘束型心筋症
iii.壁厚>1.5cmの心肥大
iv.アルコールにより誘発される心筋症
v.出産後12ヶ月間に心不全をもつ女性
vi.複雑心奇形
vii.アントラサイクリンに誘発される心筋症
・骨格筋の遺伝障害(例えば、デュシェンヌ型筋ジストロフィー)をもつ対象
・臨床的に重大な心膜疾患
・ステータス1Aまたは1Bとして心膜移植待機リストに載る
・深部静脈血栓症または既知の凝固障害の既往歴
・膵炎の既往歴
・甲状腺髄様癌の既往歴または家族歴
・多発性内分泌腫瘍症2型の既往歴または家族歴
・以下のいずれかを含む臨床的に重大なCADの既往歴:
i.区域壁運動異常につながる前STEMI
ii.前冠動脈造影からの構造に基づいた>70%主要血管の障害のあるCADの存在
iii.過去6ヶ月以内の不安定狭心症による入院
iv.PIの判断でのCADをもつ高いリスク
・審査時、推定GFR<60mL/分の腎機能障害の既往歴
・安静時収縮期血圧<85mmHg、もしくは>170mmHg;または審査時、拡張期血圧>110mgHg
・患者が、イメージング評価の完了に、延べ合計最高4時間、横たわることができない。
・以下を含むがそれらに限定されないMRIスキャニングへの禁忌を有する対象は、CMRサブスタディを行う単施設に登録されないであろう:
・適切な手術立体構造をもつ頭蓋内動脈瘤クロップ(杉田(Sugita)クリップの除く)
・眼窩内の金属片の既往歴
・ペースメーカーまたは非MR適合心臓弁
・内耳埋め込み
・治験責任医師により重大と見なされる閉所恐怖症の既往歴
心筋のグルコース取り込み
[18F]フルオロ‐2‐デオキシ−グルコース陽電子放射断層撮影(FDG‐PET)イメージングが、ベースラインおよび治療終了時(第13週)に行われ、心筋のグルコース取り込みを評価するであろう。対象は、各イメージング/注入試験の前の夕方に、各イメージング施設のそれぞれの研究ユニットまたはそのコンポーネントに収容されるであろう。18:00時に、対象は、体重1kg当たり約12kcalを含有する標準的な食事を摂る。炭水化物、脂肪、およびタンパク質は、総エネルギー摂取量のそれぞれ約55、30、および15%に相当するであろう。20:00時に、対象は、〜250kcal、40gの炭水化物、6.1gの脂肪、および8.8gのタンパク質を含有する規定の液体調合軽食を摂るであろう。この軽食後、対象は全員、翌日の試験の完了まで絶食するであろう。概日リズムの心筋代謝への影響を最小にするために、すべての試験は、〜8:00時に開始されるであろう。
[18F]フルオロ‐2‐デオキシ−グルコース陽電子放射断層撮影(FDG‐PET)イメージングが、ベースラインおよび治療終了時(第13週)に行われ、心筋のグルコース取り込みを評価するであろう。対象は、各イメージング/注入試験の前の夕方に、各イメージング施設のそれぞれの研究ユニットまたはそのコンポーネントに収容されるであろう。18:00時に、対象は、体重1kg当たり約12kcalを含有する標準的な食事を摂る。炭水化物、脂肪、およびタンパク質は、総エネルギー摂取量のそれぞれ約55、30、および15%に相当するであろう。20:00時に、対象は、〜250kcal、40gの炭水化物、6.1gの脂肪、および8.8gのタンパク質を含有する規定の液体調合軽食を摂るであろう。この軽食後、対象は全員、翌日の試験の完了まで絶食するであろう。概日リズムの心筋代謝への影響を最小にするために、すべての試験は、〜8:00時に開始されるであろう。
心筋効率
心筋効率の1つの尺度は、Lindnerら(J Nucl Med, 47, 378-3832005)で検討されたwork metabolic index(WMI)である。
心筋効率の1つの尺度は、Lindnerら(J Nucl Med, 47, 378-3832005)で検討されたwork metabolic index(WMI)である。
11 C−アセテートを使用するMVO 2 測定:TCA回路を通した総合的な心筋の酸化の流量を表わす心筋の11C‐活性のクリアランスの速度を測定することによって、各試験について、心筋の酸素消費(MVO2)が推定されるであろう(2)。心筋の11C活性のクリアランスに単一指数関数を適合することによって、各心筋の関心領域(ROI)について、速度定数Km(分−1)が測定されるであろう。11C‐アセテート曲線の直線部の外側のデータポイントを含むことを防ぐために、直線部の最初および最後のデータポイントは、データを適合する前に作業者によって視覚的に選択されるであろう。所定の試験について、Kmの平均値およびSDは、3つの心室中部前外側のROIから得られるKm値を平均することによって計算されるであろう。このKm値は、前方LV仕事の心エコー測定と併せて使用されるであろう。
酸素取り込み:
ピーク酸素取り込みは、ベースラインおよび第13週に測定されるであろう。患者は、自転車エルゴメータで、呼吸困難または疲労が現れない程度の最大運動試験を行うであろう。安静期間の後、作業負荷は、3分毎に25ワットづつ段階的に増加するであろう。運動中ずっと、呼吸毎のガス交換および心拍数が、測定されるであろう。各3分作業負荷の間、ボルグRPEおよび血圧が得られるであろう。ピークの運動時、心拍数、血圧、およびボルグRPEが記録されるであろう。ガス交換評価項目は、ピークVO2、Ve/VCO2スロープ、RER、運動時間、ならびに換気閾値でのVO2ならびに時間を含む。
ピーク酸素取り込みは、ベースラインおよび第13週に測定されるであろう。患者は、自転車エルゴメータで、呼吸困難または疲労が現れない程度の最大運動試験を行うであろう。安静期間の後、作業負荷は、3分毎に25ワットづつ段階的に増加するであろう。運動中ずっと、呼吸毎のガス交換および心拍数が、測定されるであろう。各3分作業負荷の間、ボルグRPEおよび血圧が得られるであろう。ピークの運動時、心拍数、血圧、およびボルグRPEが記録されるであろう。ガス交換評価項目は、ピークVO2、Ve/VCO2スロープ、RER、運動時間、ならびに換気閾値でのVO2ならびに時間を含む。
左心駆出分画率
診査CMRサブスタディは、LV容積、RV容積、両室EFおよびLV質量のさらなる測定を含むであろう。サブスタディは、正式に動いていておらず、採用は、実現可能性に基づくであろう。しかしながら、CMRの精度は、心エコー検査法のそれより実質的に高い。Bellengerら(2000年)は、心エコー検査に対して駆出分画率での同等の変化の測定に関して標本の大きさの80%もの減少を推定している。
診査CMRサブスタディは、LV容積、RV容積、両室EFおよびLV質量のさらなる測定を含むであろう。サブスタディは、正式に動いていておらず、採用は、実現可能性に基づくであろう。しかしながら、CMRの精度は、心エコー検査法のそれより実質的に高い。Bellengerら(2000年)は、心エコー検査に対して駆出分画率での同等の変化の測定に関して標本の大きさの80%もの減少を推定している。
左心駆出分画率(心エコー検査法)
心エコー検査法が、ベースラインおよび第13週に、脈波、連続波、組織ドップラーを使用して行なわれるであろう。評価項目は、左室構造および機能:左室拡張期末および収縮期末容積(2D)、左心駆出分画率(2D)、心拍出量、心指標およびTDIによるEm(拡張機能)の測定からなるであろう。
心エコー検査法が、ベースラインおよび第13週に、脈波、連続波、組織ドップラーを使用して行なわれるであろう。評価項目は、左室構造および機能:左室拡張期末および収縮期末容積(2D)、左心駆出分画率(2D)、心拍出量、心指標およびTDIによるEm(拡張機能)の測定からなるであろう。
左心駆出分画率(CMRI)
ベースラインおよび3ヶ月処置段階後に、非コントラストCMRが、運動試験後安静期間に続いて行われるであろう。Kramerら(2008年)により推奨された順序を含めて3T MRI検査が、LV構造および機能の評価のために、総検査時間が約90分を超えないように行われるであろう。測定は、Cerqueiraら(2002年)の推奨に一致して、定量的容積分析法を使用してなされ、報告されるであろう。
ベースラインおよび3ヶ月処置段階後に、非コントラストCMRが、運動試験後安静期間に続いて行われるであろう。Kramerら(2008年)により推奨された順序を含めて3T MRI検査が、LV構造および機能の評価のために、総検査時間が約90分を超えないように行われるであろう。測定は、Cerqueiraら(2002年)の推奨に一致して、定量的容積分析法を使用してなされ、報告されるであろう。
6分間歩行試験(6MWT)
6分間歩行試験が、ベースラインおよび試験終了時(第13週)に行われるであろう。患者全員が標準的な指示を受け、歩行距離が測定されるであろう。
6分間歩行試験が、ベースラインおよび試験終了時(第13週)に行われるであろう。患者全員が標準的な指示を受け、歩行距離が測定されるであろう。
評価項目の組み合わせ
単一の一次評価項目または評価項目の組み合せが、薬力学的機序の証明に導くことができる複数のシナリオがある。例えば、LVEFまたは6MWTの増加と連動した心筋効率における観察された有効性は、1つのそのようなシナリオである。
単一の一次評価項目または評価項目の組み合せが、薬力学的機序の証明に導くことができる複数のシナリオがある。例えば、LVEFまたは6MWTの増加と連動した心筋効率における観察された有効性は、1つのそのようなシナリオである。
例4:GLP‐1および心血管保護
序論:以前の研究は、グルカゴン様ペプチド‐1(GLP‐1)が、その末梢血糖管理における役割に非依存的な心血管有益性を引き起こすことを示している。しかしながら、心保護に関する正確な機序は、未解決のままである。この例は、GLP‐1が、ラットにおいて、心筋グルコース利用を増強すること、およびエネルギー的に好ましい代謝基質の切り換えを促進することによって、直接的な心保護の役割を果たすことを示す。
序論:以前の研究は、グルカゴン様ペプチド‐1(GLP‐1)が、その末梢血糖管理における役割に非依存的な心血管有益性を引き起こすことを示している。しかしながら、心保護に関する正確な機序は、未解決のままである。この例は、GLP‐1が、ラットにおいて、心筋グルコース利用を増強すること、およびエネルギー的に好ましい代謝基質の切り換えを促進することによって、直接的な心保護の役割を果たすことを示す。
方法:スピローグ・ドーリー(Sprague Dawley)(SD)ラットを、無作為化し、ビヒクルもしくは4.8pmol/kg/分のGLP−1を、30分間の心虚血、それに続く24時間の再かん流(心I/R傷害)の間に投与するか、または300pmol/kg/分のGLP−1を最高3.5時間(基質切り換え)投与した。正常またはI/R傷害心臓における相対的な炭水化物酸化および脂肪酸酸化を、1‐13CグルコースクランプおよびNMRをベースにしたアイソトポマー分析の後に測定した。O2消費は、成体ラット心室筋細胞(ARVM)で測定した。グルコース利用および乳酸生産は、正常な心臓において、[3H]‐2‐デオキシグルコースまたはランゲンドルフかん流を使用して評価した。
結果:GLP‐1は、I/R傷害心臓において心筋梗塞サイズを減少し(↓27虚血性の領域の%、p<0.05、N=6)、収縮性を増加した(↑20%の+dP/dt、p<0.05、N=6)。また、GLP‐1は、LV非虚血性境界域における脂肪酸化に対する炭水化物酸化の比率を増加する(↑14%、p<0.01、N=6)ことによって、代謝基質の切り換えを誘導した。cAMP(↑106%、p<0.05、N=5)および乳酸(↑121%、p<0.01、N=6)の増加にもかかわらず、LV虚血性域では、基質の切り換えは起こらなかった。また、GLP‐1は、正常な心臓における生体内グルコース取り込み(↑64%、p<0.05、N=8)をグリコーゲンレベルに影響を及ぼすことなく増加し、ランゲンドルフかん流心臓におけるグルコース取り込みおよび乳酸生産をそれぞれ1.9倍および2.6倍増加した。GLP‐1処置ARVM(↓23%、p<0.05、N=4)では、酸素消費の減少が観察され、これは、脂肪酸化から炭水化物酸化への切り換えと一致する。
結論:これらの結果は、観察された心保護が、GLP‐1の心筋への直接的な役割に由来しうることを示す。嫌気的解糖は、虚血性の心保護に寄与しうるが、健康な、非虚血性の心筋における、よりエネルギー的に好ましい炭水化物酸化へのシフトは心収縮性の維持に有益な役割を果たしうる。
本出願が優先権を主張するあらゆる特許出願はまた、特定の刊行物および参照文献について上記に記載した方法で、参照によりその全体が本明細書に取り込まれる。
Claims (36)
- 治療、予防および/または寛解を必要とするヒトにおける少なくとも1つの心血管障害を治療、予防および/または寛解する方法であって、前記ヒトに、少なくとも1つのGLP‐1活性を有する少なくとも1つのポリペプチドおよび/または少なくとも1つのGLP‐1アゴニストを含んでなる医薬組成物を投与することを含んでなる方法。
- ヒトにおける心臓組織におけるグルコース代謝を制御する方法であって、少なくとも1つのGLP‐1活性を有する少なくとも1つのポリペプチドおよび/または少なくとも1つのGLP‐1アゴニストを含んでなる医薬組成物を、前記ヒトに投与することを含んでなる方法。
- ヒトにおける心機能を増加する方法であって、前記ヒトに、少なくとも1つのGLP‐1活性を有する少なくとも1つのポリペプチドおよび/または少なくとも1つのGLP‐1アゴニストを含んでなる医薬組成物を投与することを含んでなる方法。
- ヒトにおける心筋梗塞サイズを減少する方法であって、少なくとも1つのGLP‐1活性を有する少なくとも1つのポリペプチドおよび/または少なくとも1つのGLP‐1アゴニストを含んでなる医薬組成物を投与することを含んでなる方法。
- 前記少なくとも1つのGLP‐1活性を有する少なくとも1つのポリペプチドおよび/または少なくとも1つのGLP‐1アゴニストが、配列番号1を含んでなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記医薬組成物が、皮下に投与される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
- 前記医薬組成物が、前記ヒトにおける心臓組織からの乳酸流出を減少する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
- 前記医薬組成物が、前記ヒトの心筋組織におけるグルコース取り込みを増加する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
- 前記医薬組成物が、少なくとも1つの第2の強心剤と、同時投与される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
- 前記医薬組成物が、1投与量当たり約4.0mg未満の配列番号1を含んでなる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
- 前記医薬組成物が、1投与量当たり約2.0mg未満の配列番号1を含んでなる、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
- 前記医薬組成物が、低い投与量にて、週に1回投与される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
- 前記医薬組成物が、前記ヒトにおける心臓効率を改善する、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
- 前記医薬組成物が、前記ヒトにおける血管拡張を増加し、および/またはNO含有量もしくは供給を増加する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
- 前記医薬組成物が、前記ヒトにおける運動能力または運動耐容能を改善する、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
- 前記医薬組成物が、前記ヒトにおける心疾患の症状を減少するか、またはクオリティ・オブ・ライフを改善する、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
- 前記医薬組成物が、前記ヒトにおける生存を改善する、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
- 前記ヒトが、慢性の心臓の状態を有する、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
- 前記ヒトが、急性の心臓の状態を有する、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
- 前記医薬組成物が、6ヶ月未満の期間にわたって、週に1回投与される、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
- 前記医薬組成物が、少なくとも1つのボーラス注入として投与される、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
- 前記ヒトが、虚血性うっ血性心不全を有する、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
- 前記ヒトが、非虚血性うっ血性心不全を有する、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
- 前記ヒトが、急性心筋梗塞(AMI)を有する、請求項1〜23のいずれか一項に記載の方法。
- 前記ヒトが、左室機能不全もしくは右室機能不全;左心不全もしくは右心不全;低心拍出量もしくは高心拍出量;急性非代償性心不全;慢性うっ血性心不全;限定されないが遺伝的要因、冠動脈疾患、心筋梗塞、人工弁疾患、感染症、先天性心疾患、高血圧症、アルコール消費、糖尿病、左室肥大、心筋炎、アミロイドーシス、ヘモクロマトーシス、糖原病、代謝障害、グルコースもしくは脂質代謝障害、炎症性疾患に起因する心筋症を含むいかなる原因の心筋症;冠動脈疾患;心筋虚血;急性心筋梗塞;急性冠症候群もしくは不安定狭心症;肺水腫;左室肥大もしくは右室肥大;心停止;心筋炎;限定されないが遺伝的要因、末梢血管疾患、悪液質、がん、慢性心不全、慢性肺疾患、炎症性疾患に起因する骨格筋機能障害もしくは骨格筋症;運動能力障害;および/または末梢血管疾患を有する、請求項1〜24のいずれか一項に記載の方法。
- 前記ヒトが、2型糖尿病を有する、請求項1〜25のいずれか一項に記載の方法。
- 前記ヒトが、高血糖症を有する、請求項1〜26のいずれか一項に記載の方法。
- 前記医薬組成物が、前記ヒトにおける以下の機能:心筋グルコース利用、心筋効率、左室機能、および/または運動耐容能の少なくとも1つを改善する、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
- 少なくとも1つのGLP‐1活性を有するポリペプチドおよび/または少なくとも1つのGLP‐1アゴニストを含んでなる医薬組成物の、ヒトにおける少なくとも1つの心血管疾患または障害を治療、寛解または予防するための使用。
- ヒトに心血管保護を提供する方法であって、前記ヒトに、アルビグルタイドを含んでなる医薬組成物を投与することを含んでなる方法。
- 該医薬組成物が、約3.75mg、15mgまたは30mgのアルビグルタイドを含んでなる、請求項30の方法。
- 該医薬組成物が、約4mg以下のアルビグルタイドを含んでなる、請求項30の方法。
- 該医薬組成物が、アルビグルタイドを、1mg、1.5mg、1.88mg、2.0mg、2.5mg、3.0mg、3.25mg、3.5mg、3.75mgおよび4mgから選択される量で含んでなる、請求項32の方法。
- 前記アルビグルタイドを含んでなる医薬組成物が、前記ヒトに皮下注射として、週に1回投与される、請求項30〜33のいずれか一項の方法。
- 前記ヒトが、2型糖尿病を有する、請求項30〜34のいずれか一項の方法。
- アルビグルタイドを、1mg、1.5mg、1.88mg、2.0mg、2.5mg、3.0mg、3.25mg、3.5mg、3.75mg、4mg、15mg、および30mgから選択される量で含んでなる医薬組成物の、心血管保護を提供するための使用。
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