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JP2013245355A - Al−Zn合金めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

Al−Zn合金めっき鋼板の製造方法 Download PDF

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Isao Nagano
勲 永野
Hikari Yaegashi
光 八重樫
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Abstract

【課題】ポストアニール処理をより簡便に行なって、処理コストを大幅に削減しながらめっき鋼板の加工性を向上できるAl−Zn合金めっき鋼板の製造方法を提供する。
【解決手段】Al−Zn合金めっき鋼板をコイル状に巻き取ってコイル状鋼板1を形成し、これを、バッチ式の焼鈍炉2の炉本体3の内部に収容して、そのコイル外側の温度が280〜360℃になるまで加熱する。そののち、直ちに1℃/分以下の冷却速度で冷却して、コイル状鋼板1が低温になるまでの間に、コイル状鋼板1の自熱によってAlリッチ相におけるZnの析出を促進して、めっき層を改質し軟質化させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、曲げ加工によってめっき層にクラックが発生するのを抑制して加工性を向上したAl−Zn合金めっき鋼板の製造方法に関する。
この種のめっき鋼板は、亜鉛めっき鋼板に比べて耐食性が高く、素地のまま、あるいは塗装を施して壁材や屋根材などに広く利用されている。高い耐食性を発揮できるのは、Alによる被覆防食効果とZnの犠牲防食効果によるものである。しかし、この種のめっき鋼板は、曲げ加工等によってめっき層にクラックを生じやすく、このクラックによって鋼板表面に施した塗装膜が引き裂かれ、鋼板が露出して外観を悪化させてしまう。こうした、クラックの発生を防止するために、Al−Zn合金めっき鋼板にポストアニール処理を施して、めっき層を改質することが従来から行われている。
例えば、特許文献1のAl−Zn合金めっき鋼板の製造方法においては、Al−Zn合金めっき鋼板を100〜130℃の温度域まで加熱した後、その状態を400時間保持し、その後冷却してめっき層を改質し軟質化している。また、特許文献2のAl−Zn合金めっき鋼板の製造方法においては、150〜350℃の温度域まで加熱し、その状態を0.5時間以上保持した後、0.8℃/分の冷却速度で室温まで冷却してめっき層を改質し軟質化している。さらに、ポストアニール処理によって硬化した鋼板の機械的性質を改善するため、別途スキンパス圧延を行っている。
特許第3742596号公報 特許第4090051号公報
特許文献1および特許文献2のAl−Zn合金めっき鋼板の製造方法によれば、ポストアニール処理を施すことによってめっき層を軟質化して、Al−Zn合金めっき鋼板の加工性を向上できる。しかし、特許文献1のAl−Zn合金めっき鋼板においては、100〜130℃の温度域まで加熱した状態を400時間保持する必要があるので、ポストアニール処理を施すのに長時間を要し、生産性が低い点に問題がある。また、ポストアニール処理時に大量の燃料あるいは電力を消費するので、Al−Zn合金めっき鋼板の製造コストが嵩むのを避けられない。同様に、特許文献2のAl−Zn合金めっき鋼板においては、ポストアニール処理に加えてスキンパス圧延を行うので、Al−Zn合金めっき鋼板の製造に要する時間が余分に掛かり、さらに圧延加工に要する電力コストが必要なため、全体としてAl−Zn合金めっき鋼板の製造コストが嵩むのを避けられない。
本発明者等は、上記のような問題点を解消するために、できるだけ短時間で、しかもスキンパス圧延処理などを追加する必要もなく、高い加工性をAl−Zn合金めっき鋼板に付与することを検討した。具体的には、ポストアニール処理の加熱温度、および冷却速度等を最適化することを検討した。
ポストアニール処理時の加熱温度は、基本的には冶金工学的に求まる理想条件に従えばよいが、加熱設備や被加熱物の状態によってはこの理想条件を実現させることが困難な場合がある。冶金工学的に求まる理想条件は、Al−Zn共析反応温度(277℃)によって推定することができる。また、めっき層を改質する目的は、Al−Znの共析反応を促進させてAlリッチ相中の過飽和Znを析出させることと、微細なZn粒子を粗大化させることにある。このふたつの目的は、Al−Zn共析反応温度よりも低い温度に加熱し、Alリッチ相中をZn原子が拡散移動することで実現される。
Alリッチ相中におけるZn原子の拡散速度はFickの法則によって理解することができ、この法則によれば、加熱温度が高まるとZn原子の拡散速度が指数関数的に増加することが分かる。このことから、Al−Zn共析反応温度以下の温度範囲においても100℃程度の比較的低温に保持した場合はZnの拡散速度が遅く、目的の改質結果が得られるまでには長時間その温度に保持する必要がある。例えば、特許文献1のAl−Zn合金めっき鋼板の場合には加熱時間が400時間にも達している。
しかし、加熱温度がAl−Zn共析反応温度を超える場合には、Alリッチ相中のZn固溶量が増加し逆効果になる。また、加熱温度が高温であると、積層した鋼板同士が拡散接合によって癒着するおそれがあるため好ましくない。以上を勘案すると、冶金工学的に求まるポストアニール処理時の加熱温度は277℃か、これより幾分低い温度であることが好ましいといえる。
因みに、冶金工学的に求まる理想温度条件は、工業的に実施可能な条件とは異なる。これは、加熱対象物が大きく、伝熱に時間を要するためである。ポストアニール処理の対象となるめっき鋼板は、多くの場合、コイル状に巻取った形態で生産される。鋼板の厚さは0.2〜0.3mm程度であるが、これを500〜10000回巻取ったコイル体を加熱することは、厚さ数百〜数千mmの鋼塊を加熱するに相当する。このような鋼塊を加熱する場合には、外側は容易に加熱されるものの、その内部は熱伝達の時間差の分だけ遅れて加熱される。そのため、コイル体の外側および内部の温度を均一化するには、所定の温度状態を数時間〜数百時間にわたって保持することが必須となってしまう。
本発明者等は、ポストアニール処理を再検討するために、昇温後の保持時間および冷却速度など最適化することをねらいとして製造設備を用いた実験を行った。その結果、コイルの巻厚が100〜1000mmの場合に、コイル外面の温度が310〜320℃になるまで(約20時間)コイル体を加熱し、冷却速度1℃/分で冷却すると、先の温度状態を保持し続ける時間(保持時間)をゼロにしながら、めっき層を改質できることを見出した。保持時間を必要としないのは、Al−Zn共析反応温度を超えた外側の部位ではAlリッチ相中に固溶されるZn量が一時的に増えるものの、その後の冷却過程でZn粒子として析出させることで十分な加工性を得ることができたからであると推測される。
本発明は上記の知見にもとづき提案されたものであって、その目的は、ポストアニール処理をより簡便に短時間で行なって、処理コストを大幅に削減しながらAl−Zn合金めっき鋼板の加工性を向上できる、Al−Zn合金めっき鋼板の製造方法を提供することにある。
本発明に係るAl−Zn合金めっき鋼板の製造方法においては、溶融Al−Znめっき鋼板をコイル状に巻き取ってコイル状鋼板1を形成し、これを、バッチ式の焼鈍炉2の炉本体3の内部に収容して、そのコイル外側の温度が280〜360℃になるまで加熱する。そののち、直ちに1℃/分以下の冷却速度で冷却して、コイル状鋼板1の自熱によってめっき層の金属組織を改質して軟質化させることを特徴とする。
焼鈍炉2に設けた燃焼バーナー4で炉内の雰囲気を加熱して、コイル状鋼板1のコイル外側の温度を320℃、コイル内部の温度を275℃にまで昇温させたのち加熱を停止し、冷却速度が1℃/分になるように焼鈍炉2の内部温度を調整した状態で、コイル状鋼板1のコイル外側の温度を320℃から200℃まで冷却し、さらに、冷却を継続してコイル外側の温度を100℃まで冷却する。
溶融Al−Znめっき鋼板は、55重量%のAlと、1.6重量%のSiと、残部がZnからなるめっき合金を、鋼板に対して連続溶融めっき処理を施して形成する。
本発明においては、係るポストアニール処理においては、Al−Zn共析反応温度より幾分高い温度(280〜360℃)にまでコイル状鋼板1を加熱したのち、その温度状態を保持することもなく、直ちに1℃/分以下の冷却速度で冷却するようにした。このように、コイル状鋼板1を冷却する過程において、コイル状鋼板1の自己熱によってAl−Zn共析反応を進行させると、100〜130℃の温度域まで加熱した状態を400時間保持する必要があった特許文献1のポストアニール処理に比べて、処理時間を著しく短縮できる。また、特許文献2のポストアニール処理において必要であった、150〜350℃の温度域まで加熱したのち、その状態を0.5時間以上保持する必要がない。
従って、本発明のAl−Zn合金めっき鋼板の製造方法によれば、ポストアニール処理をより簡便に短時間で行なって、同処理に要する燃料コスト、あるいは電力コストを大幅に削減しながらAl−Zn合金めっき鋼板の加工性を向上できる。また、コイル状鋼板1を高い温度状態のまま所定時間保持する必要がないので、その分だけエネルギーを節減できる。本発明のポストアニール処理における熱処理条件は、加熱温度が従来のポストアニール処理の加熱温度より幾分高め(100〜200℃)であるが、鋼板同士が癒着することはなく、めっき層のみを適切に改質することができた。
なお、コイル状鋼板1が冷却する過程においては、めっき層中のAlリッチ相におけるZnの析出が進行し、Zn析出物の粒子数増加とその粗大化が起こる。これによってAlリッチ相が軟質となり、曲げ加工を施したときに同じくめっき層中に存在する脆いSi析出物への応力集中が緩和される。そのため、Si析出物を起点としたクラックが、めっき層に発生するのを良く防止でき、これにより加工部の外観が良好な状態に保たれるものである。
コイル状鋼板1のコイル外側の温度を320℃、コイル内部の温度を275℃にまで昇温させるのは、コイル外側の温度状態とコイル内部の温度状態とを概ね均一な温度状態に保持して、Al−Zn共析反応を均一に進行させるためである。コイル状鋼板1に対する加熱を停止したのち一定時間が経過するまでは、コイル外側の温度は、焼鈍炉2内の雰囲気温度の低下に対応して所定の温度勾配で低下し、逆にコイル内部の温度は、高温のコイル外層の温度を受けて所定の温度勾配で上昇する傾向がある。従って、上記のように、コイル外側の温度を320℃、コイル内部の温度を275℃にまで昇温させた状態で加熱を停止すると、コイル状鋼板1の温度を概ね均一な温度状態に保持できる。また、コイル外側の温度を320℃から200℃まで冷却する過程で、冷却速度が1℃/分になるように焼鈍炉2の内部温度を調整すると、Alリッチ相におけるZnの析出を長い時間にわたって進行させて、めっき層の改質をさらに確実に行うことができる。
55重量%のAlと、1.6重量%のSiと、残部がZnからなるめっき合金を、鋼板に対してめっき処理したAl−Zn合金めっき鋼板に、上記のポストアニール処理を施すと、めっき層を軟質化してAl−Zn合金めっき鋼板の加工性を向上できる。とくに、前記組成のめっき合金をめっき処理したAl−Zn合金めっき鋼板の場合には、めっき処理後2から6週間で硬化してしまうが、こうしためっき層の硬化を解消して、Al−Zn合金めっき鋼板の加工性を向上できる。
本発明に係るポストアニール処理の概略を示す、バッチ式焼鈍炉の断面図である。 Al−Zn合金めっき鋼板の曲げ試験結果1を示す正面図である。 Al−Zn合金めっき鋼板の曲げ試験結果2を示す正面図である。 Al−Zn合金めっき鋼板の曲げ試験結果3を示す正面図である。 Al−Zn合金めっき鋼板の曲げ試験結果4を示す正面図である。 Al−Zn合金めっき鋼板の曲げ試験結果5を示す正面図である。 Al−Zn合金めっき鋼板の曲げ試験結果6を示す正面図である。 本発明に係るAl−Zn合金めっき層の金属組織図である。 比較例に係るAl−Zn合金めっき層の金属組織図である。
(実施例) 以下に、本発明に係るめっき鋼板の製造方法の実施例を示す。ポストアニール処理の対象となるAl−Zn合金めっき鋼板は、例えば、連続溶融めっき設備で製造される。めっき処理される鋼板の板厚や幅に制限はなく、めっきの付着量についても何等制限はない。しかし、めっきの付着量が少ない場合には、めっき鋼板に曲げ加工を施した場合に、加工部の外観上の劣化状態が表れにくくなるので、この実施例ではめっきの付着量を、JIS−G3321に規定されている表示記号AZ150に一致させ、実際のめっきの付着量が鋼板の両面で160g/m2 になるようにした。鋼板の板厚は0.40mm、板幅は985mmとして、全長が3500mのAl−Zn合金めっき鋼板をコイル形状に巻取った。
コイル巻きされたコイル状鋼板1は、図1に示すバッチ式の焼鈍炉2を使用して、めっき層にポストアニール処理を施す。詳しくは、コイル状鋼板1をバッチ式の焼鈍炉2の炉本体3の内部に収容して複数段に積み上げ、燃焼バーナー4が組込まれたカバー5を炉本体3にかぶせた状態で、燃焼バーナー4に点火してコイル状鋼板1を加熱する。このときの焼鈍炉2内の雰囲気は、大気、不活性ガス雰囲気、還元雰囲気のいずれであってもよい。
焼鈍炉2内の雰囲気温度を調節しながら、燃焼バーナー4による加熱開始から19時間後にコイル状鋼板1のコイル外側の温度を320℃、コイル内部の温度を275℃にまで昇温させる。このときの平均的な加熱速度は15.79℃/時間となる。その後、燃焼バーナー4を消火して、320℃から200℃まで冷却する。このときの冷却速度は、炉本体3の保温効果により1℃/分になる。さらに、冷却を継続してコイル外側の温度を100℃まで冷却する。一連の冷却処理に要する時間は、計算上4時間となる。特段の冷却装置を用いない限り、コイルの温度が低下するのに従って冷却速度は遅くなり、実際の冷却処理には20時間程度となる。
冷却された状態のコイル状鋼板1を炉本体3内から取出して塗装工程へ移送する。塗装工程においては、連続カラーラインにおいてアクリル系塗料を塗装する。なお、塗料の塗装厚みは10μmとした。得られた塗装めっき鋼板は、プレス加工を施して屋根材、壁材に加工されて最終製品となる。
上記のように、ポストアニール処理が施されたコイル状鋼板1は、めっき層中のAlリッチ相におけるZnの析出が進行し、Zn析出物の粒子数増加とその粗大化が起こる。これによってAlリッチ相が軟質となり、曲げ加工を施したときに、めっき層中に存在する脆いSi析出物への応力集中が緩和されるため、Si析出物を起点としたクラックがめっき層に発生するのを良く防止できる。従って、加工部の外観を良好な状態に保つことができる。なお、ポストアニール処理を施すときのコイル状鋼板1の加熱温度は、コイル外側の温度で320℃と、従来の熱処理条件に比べて100〜200℃程度高温であるが、鋼板同士の癒着は発生しなかった。
上記の熱処理方法で製造したコイル状鋼板1のめっき層の改質効果を確かめるために、コイル状鋼板1で複数の試験片を形成し、各試験片を折曲げたときの、曲げ加工部におけるクラックの発生状況を折曲げ試験によって確認した。折曲げ試験用の試験片は、幅×長さを50×100mmとして短冊状に形成した。厚みは0.40mmである。比較のために、ポストアニール処理を施さないまま、同じ条件でアクリル系塗料を塗装した比較例の鋼板についても、先の試験片と同じサイズの比較用供試片を用意して、先の試験片と同じ条件で曲げ試験を行った。
曲げ試験においては、試験片の内側に試験片と同じ厚さの指標板を所定の枚数挟み、長手方向の中央部分において試験片および比較用供試片を180度折曲げて、クラックの発生状況を確認した。試験片の内側に配置される指標板の枚数は0T(0枚)、1T(1枚)、2T(2枚)、3T(3枚)、4T(4枚)、5T(5枚)として、6段階でクラックの発生状況を評価した。なお、0Tにおける試験片および比較用供試片の折曲げ半径は0.4mm、以下、1T(0.6mm)、2T(0.8mm)、3T(1.0mm)、4T(1.2mm)、5T(1.4mm)とした。
曲げ試験の試験結果1〜6を図2〜図7に示している。図2において、指標板を挟みこまない状態(0T)では、試験片および比較用供試片のいずれの場合にも、開口幅が40μm以上のクラックが生じ、優位差は認められなかった。また、図3に示すように、1枚の指標板を挟みこんで試験片および比較用供試片を折曲げた場合(1T)には、比較用供試片では開口幅が40μm以上のクラックが生じたが、ポストアニール処理を施した試験片の場合には、開口幅が40μm未満の微細なクラックが見られるだけであった。さらに、図4ないし図7に示すように、2Tから5Tのいずれの場合にも、ポストアニール処理を施した試験片ではクラックの発生が見られなかった。一方、比較用供試片の場合には、2Tから4Tのいずれの場合にも、開口幅が40μm未満のクラックの発生が確認され、図7に示す5Tの場合に限ってクラックの発生が見られなかった。両者の比較から、ポストアニール処理を施すことによりめっき層が改質されていることを確認した。
上記の曲げ試験に供した試験片と、比較用供試片のめっき層の金属組織を走査型電子顕微鏡で確認した。詳しくは、ポストアニール処理を施した鋼板と、ポストアニール処理を施していない比較用の鋼板を用意し、各鋼板を切断して切断面に機械研磨を施した後、イオンビームによって精密研磨した状態でめっき層の金属組織を確認した。走査型電子顕微鏡による観察結果を図8および図9に示す。図8から理解できるように、ポストアニール処理を施しためっき層では、Alリッチ相中にZn粒子(白斑状の模様)が無数に析出しているのが判る。これに対して、比較用の鋼板の場合には、図9に示すようにAlリッチ相中にZn粒子が殆ど析出していない。
以上のように、上記の実施例に係るポストアニール処理方法によれば、従来のポストアニール処理方法よりも短時間(最短で40時間)でめっき層を軟質化でき、従って、Al−Zn合金めっき鋼板に高度の加工性を付与することができる。また、従来のポストアニール処理に比べて、より短い時間でポストアニール処理を行なうことができるので、ポストアニール処理時に消費される燃料量あるいは電力量を著しく削減して、Al−Zn合金めっき鋼板の製造コストを削減できる。
本発明に係るコイル状鋼板のコイル外側の温度は、目的とする性能をめっき層に付与するために280〜360℃であることが好ましい。コイル外側の温度が280℃未満であると、Alリッチ相中の過飽和Znの析出が進まず、本発明の特徴である、より短い時間でポストアニール処理を行なって、めっき層を軟質化することができない。また、コイル外側の温度が360℃を越えると、Alリッチ相中のZn固溶量が増加するため、本発明が目的とする高度の加工性が得られにくくなる。さらに、コイル外側の温度が360℃を越える場合には、積層した鋼板同士が癒着するおそれがあるため好ましくない。コイル外側の温度は、300〜340℃の範囲内で選定することがさらに好ましい。また、コイル状鋼板1を加熱するのに要する時間は、コイル状鋼板1の全体積によって決定すべきであり、例えば、コイルの巻き厚が薄くなれば昇温時間は短く、逆に厚くなれば昇温時間を長くして、コイル全体の温度分布に大きな偏りが生じるのを避ける必要がある。
めっき以後のポストアニール処理は、バッチ式焼鈍炉で行うのが好ましい。ポストアニール処理を行なうには、コイル状鋼板1の加熱に20時間前後がかかり、さらに、1℃/分という冷却速度の場合には、300℃から室温まで冷却するのに4時間以上要する。従って、一連のポストアニール処理を、塗装ラインのように連続的に行なう場合には、生産設備のエネルギー消費の点、および設備が大型化する点で非効率になってしまうからである。
上記の実施例では、コイル状鋼板1を燃焼バーナー4で加熱したがその必要はなく、電熱でコイル状鋼板1を加熱してもよい。コイル状鋼板1の冷却速度1℃/分以下としたが、冷却速度が1℃/分を越えると、冷却過程でAlリッチ相におけるZnの析出を充分に進行させるのが難しくなり、Zn析出物の粒子数を増加することとその粗大化とを達成するのが困難となる。
1 コイル状鋼板
2 焼鈍炉
3 炉本体
4 燃焼バーナー
5 カバー

Claims (3)

  1. Al−Zn合金めっき鋼板をコイル状に巻き取ったコイル状鋼板(1)を、バッチ式の焼鈍炉(2)の炉本体(3)の内部に収容して、そのコイル外側の温度が280〜360℃になるまで加熱した後、直ちに1℃/分以下の冷却速度で冷却して、コイル状鋼板(1)の自熱によってめっき層の金属組織を改質して軟質化させることを特徴とするAl−Zn合金めっき鋼板の製造方法。
  2. 焼鈍炉(2)に設けた燃焼バーナー(4)で炉内の雰囲気を加熱して、コイル状鋼板(1)のコイル外側の温度を320℃、コイル内部の温度を275℃にまで昇温させたのち加熱を停止し、冷却速度が1℃/分になるように焼鈍炉(2)の内部温度を調整した状態で、コイル状鋼板(1)のコイル外側の温度を320℃から200℃まで冷却し、さらに、冷却を継続してコイル外側の温度を100℃まで冷却する請求項1に記載のAl−Zn合金めっき鋼板の製造方法。
  3. Al−Zn合金めっき鋼板が、55重量%のAlと、1.6重量%のSiと、残部がZnからなるめっき合金を、鋼板に対して連続溶融めっき処理を施して形成してある請求項1または2に記載のAl−Zn合金めっき鋼板の製造方法。
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