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JP2013241076A - サスペンション制御装置 - Google Patents

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JP2013241076A
JP2013241076A JP2012115077A JP2012115077A JP2013241076A JP 2013241076 A JP2013241076 A JP 2013241076A JP 2012115077 A JP2012115077 A JP 2012115077A JP 2012115077 A JP2012115077 A JP 2012115077A JP 2013241076 A JP2013241076 A JP 2013241076A
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damping force
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damper
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JP2012115077A
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Noriaki Itagaki
紀章 板垣
Takanori Fukao
隆則 深尾
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Hitachi Astemo Ltd
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Kobe University NUC
Hitachi Automotive Systems Ltd
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Abstract

【課題】 ブルブル感を抑制することができるサスペンション制御装置を提供する。
【解決手段】 スケジューリングパラメータ演算器14は、ばね上加速度a2ijに基づいて、スケジューリングパラメータpiを算出する。ゲインスケジュールドH∞制御器15は、ばね上速度v2ijとスケジューリングパラメータpiとに基づいて、制御器出力uij′を出力する。カルマンフィルタ16は、ばね上加速度a2ij、ばね下加速度a1ijおよび指令電流iijに基づいて、推定ピストン速度vpijとばね下速度v1ijを出力する。グランドフック制御器17は、ばね下速度v1ijに応じたばね下制振力uij″を出力する。目標減衰力算出器18は、制御器出力uij′とばね下制振力uij″とを加算して目標減衰力uijを算出する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば自動車等の車両に搭載され、車両の振動を制御するサスペンション制御装置に関する。
一般に、自動車等の車両に搭載されたサスペンション制御装置として、車体と各車軸との間に減衰力を調整可能な制御ダンパ(緩衝器)を設けると共に、制御器を用いて制御ダンパによる減衰力特性を調整する構成としたものが知られている(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)。特許文献1には、ロバストゲインスケジュールド制御器を用いて制御ダンパの減衰力を調整し、路面に対する乗り心地を向上させる構成が開示されている。非特許文献1には、アクティブスタビライザを用いて車体のロール振動を抑制する構成が開示されている。
特開2011−240824号公報
山本敬一、西村秀和,「操舵安定性改善のためのアクティブスタビライザと電動パワーステアリングの分散制御系設計」,日本機械学会論文集,C編,2010年5月,第76巻,第765号,p.1271−1279
ところで、特許文献1には、ロバストゲインスケジュールド制御器によって、ばね上の振幅の大きさに応じて利得を調整し、ばね上共振付近の周波数領域での振動(以下、フワフワ感という)とばね上共振とばね下共振間の周波数領域での振動(以下、ヒョコヒョコ感という)の抑制を両立させる構成が開示されている。しかし、この構成では、ばね下共振が不動点のため、ばね下共振付近の周波数領域での振動(以下、ブルブル感という)を抑制することができないという問題がある。また、非特許文献1にも、ブルブル感を抑制する構成については開示されていない。
本発明は、上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、ブルブル感を抑制することができるサスペンション制御装置を提供することにある。
上述した課題を解決するために、請求項1に係る発明は、車体と車輪との間に介装され、前記車体と前記車輪との間に減衰力を発生させることにより前記車体の振動を抑制するサスペンション制御装置であって、指令信号に応じて前記減衰力を発生させる制御ダンパと、前記車体の運動を検出する運動検出手段と、検出された車体運動に基づいて制御器出力を算出するフィードバック制御器と、前記検出された車体運動と前記指令信号とに基づいて前記制御ダンパの推定ピストン速度とばね下速度とを算出するオブザーバと、該オブザーバによるばね下速度に応じたばね下制振力を算出するグランドフック制御器と、前記フィードバック制御器による制御器出力と該グランドフック制御器によるばね下制振力とに基づいて目標減衰力を算出する目標減衰力算出器と、該目標減衰力算出器による目標減衰力と前記オブザーバによる推定ピストン速度とに基づいて前記指令信号を出力する信号出力器とを備える構成としている。
本発明によれば、ブルブル感を抑制することができる。
本発明の第1の実施の形態によるサスペンション制御装置を示すブロック図である。 ゲインスケジュールドH∞制御器の設計に用いる車両モデルを示す説明図である。 図3中のスタビライザモデルを示す説明図である。 1輪2自由度モデルにおける振動利得の周波数応答を示す特性線図である。 グランドフックダンパを適用した1輪2自由度モデルを示す説明図である。 第1の実施の形態によるゲインスケジュールドH∞制御器を設計するための車両モデルの拡大系を示すブロック図である。 第1の実施の形態によるゲインスケジュールドH∞制御器を設計するための一般化プラントを示すブロック図である。 周波数重み関数およびモデル化誤差の周波数特性を示す特性線図である。 路面速度からばね上速度までの閉ループ系の周波数応答を示す特性線図である。 第1の実施の形態によるカルマンフィルタを設計するための車両モデルを示す説明図である。 全状態量にプロセスノイズを考慮した状態空間ブロック線図である。 実際のピストン速度と推定ピストン速度との間のコヒーレンスの周波数特性を示す特性線図である。 横加速度および指令電流の時間変化を示す特性線図である。 ばね上加速度、ばね下加速度および指令電流の時間変化を示す特性線図である。 ばね上加速度のパワースペクトラム密度の周波数特性を示す特性線図である。 ばね下加速度のパワースペクトラム密度の周波数特性を示す特性線図である。 本発明の第2の実施の形態によるサスペンション制御装置を示すブロック図である。
以下、本発明の実施の形態によるサスペンション制御装置を例えば4輪自動車に適用した場合を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
なお、説明の煩雑化を避けるために、前,後を示す添字iと左,右を示す添字jとを符号に付して説明する。前,後を総称するときには添字iはそのままとし、前側を示すときには添字iはfとし、後側を示すときには添字iはrとする。また、左,右を総称するときには添字jはそのままとし、左側を示すときには添字jはlとし、右側を示すときには添字jはrとする。従って、右前(fr)、左前(fl)、右後(rr)、左後(rl)を総称するときには符号に添字ijを付して説明する。また、使用する記号の一覧は、以下の表1に示す通りである。




Figure 2013241076
図1は本発明の第1の実施の形態によるサスペンション制御装置を示している。第1の実施の形態では、図2および図3に示す車両モデル1を用いて後述のGSH∞制御器15を設計する。
車両モデル1は自動車全体を前側と後側で2つに分けた左右2輪モデルである。車体2は、車両のボディを構成する。車体2の下側には、前,後,左,右の車輪3ij(左前輪3fl、右前輪3fr、左後輪3rl、左後輪3rr)が設けられ、この車輪3ijはタイヤ4ijを含んで構成されている。このとき、タイヤ4ijは、路面の細かい凹凸を吸収するばねとして作用する。また、左側の車輪3ilと右側の車輪3irとの間には、スタビライザ5が設けられる。このスタビライザ5は、左右に離間した一対の取付ブッシュ5Aを介して車体2に取付けられる。そして、スタビライザ5は、ロールもしくは、左側の車輪3ilと右側の車輪3irとの間で上下動の差が発生することによって、ねじれ剛性Kstbi(Kstbr,Kstbr)によるスタビライザ反力Fstbi(Fstbr,Fstbr)を発生する。このとき、スタビライザ反力Fstbiは、以下の数1の式で表される。
Figure 2013241076
サスペンション装置6ijは、車体2と車輪3ijとの間に介装して設けられる。このサスペンション装置6ijは、懸架ばね7ij(以下、ばね7ijという)と、ばね7ijと並列になって車体2と車輪3ijとの間に設けられた制御ダンパとしての減衰力調整式ダンパ(以下、ダンパ8ijという)とにより構成されている。
ここで、サスペンション装置6ijのダンパ8ijは、例えばセミアクティブダンパ等の減衰力調整式の油圧緩衝器を用いて構成される。このダンパ8ijは、発生減衰力の特性(減衰力特性)をソフトな特性に固定するための固定部8Aと、ソフトとハードとの間で変化させるための可変部8Bとを備えている。このため、ダンパ8ijは、発生減衰力の特性(減衰力特性)をハードな特性(硬特性)からソフトな特性(軟特性)に調整するため、減衰力調整バルブ等からなるアクチュエータ(図示せず)を備えている。
また、ダンパ8ijは、車体2と車輪3ij間の推定ピストン速度vpijおよび目標減衰力uijに応じてその減衰力特性が調整される。そして、ダンパ8ijは、後述するコントローラ11から出力される指令電流iij(指令信号)に応じた減衰力を発生させる。
路面速度v0ijを外乱とし、状態変数を以下の数2に示すものとする。このとき、2輪モデルの状態方程式は数3の式で表される。
Figure 2013241076
Figure 2013241076
Figure 2013241076
ばね上加速度センサ9は、車体2に設けられる。ばね上加速度センサ9は、所謂ばね上側となる車体2側で上,下方向の振動加速度(以下、ばね上加速度a2ijという)を検出するため、例えばダンパ8ijの近傍となる位置で車体2に取付けられている。そして、ばね上加速度センサ9は、ばね上加速度a2ijを検出し、その検出信号を後述のコントローラ11に出力する。なお、ばね上加速度センサ9は、4個の車輪3ijに対応して4箇所に設ける構成としてもよく、4輪のうちいずれか3個に対応した位置に設け、残余の1箇所は幾何学的に算出する構成としてもよい。また、ばね上加速度a2ijを直接的に検出する加速度センサでもよく、GPS等を用いて間接的に検出するものでもよい。
ばね下加速度センサ10は、車輪3ij側に設けられる。ばね下加速度センサ10は、所謂ばね下側となる車輪3ij側で上,下方向の振動加速度(以下、ばね下加速度a1ijという)を検出し、その検出信号を後述のコントローラ11に出力する。
コントローラ11は、マイクロコンピュータ等により構成される。コントローラ11は、その入力側が加速度センサ9,10等に接続され、出力側がダンパ8ij等に接続されている。
図1に示すように、コントローラ11は、フィードバック信号演算器12(以下、FBS演算器12という)を備えている。このFBS演算器12は、例えば積分器によって構成され、ばね上加速度センサ9からの検出信号を積分することによって、車体運動として、車体2の上,下方向に対する速度となるばね上速度v2ijを演算する。このため、ばね上加速度センサ9およびFBS演算器12は、車体2の運動を検出する運動検出手段としての運動検出装置13を構成し、フィードバック信号としてのばね上速度v2ijを出力する。
また、コントローラ11は、後述するスケジューリングパラメータ演算器14(以下、SP演算器14という)と、フィードバック制御器となるゲインスケジュールドH∞制御器15(以下、GSH∞制御器15という)と、カルマンフィルタ16と、グランドフック制御器17(以下、GH制御器17という)と、非線形制御器20とを備えている。
SP演算器14は、車体運動となるばね上加速度a2ijに基づいて路面状態に応じたパラメータpiを算出する変動パラメータ算出手段を構成し、変動パラメータとしてのスケジューリングパラメータpi(以下、パラメータpiという)を演算する。このSP演算器14は、ばね上加速度a2ijに基づいてばね上共振成分およびロール共振成分を取り出し、これらの共振成分に応じたパラメータpiを算出する。
SP演算器14は、例えば特許文献1と同様に構成される。このため、SP演算器14は、バウンスレイトBRに基づく第1のパラメータpbiと、ピッチレイトPRに基づく第2のパラメータppiと、ロールレイトRRに基づく第3のパラメータpriとをそれぞれ演算し、これら第1〜第3のパラメータpbi,ppi,priのうち最大値を抽出し、この最大値をパラメータpiとして出力する。
GSH∞制御器15は、後述するように図7に示す一般化プラントGghi(pi)に基づいて設計され、運動検出装置13から出力されるばね上速度v2ijと、SP演算器14から出力されるパラメータpiとに基づいて、第1目標減衰力となる制御器出力uij′を演算する。具体的には、GSH∞制御器15は、ばね上加速度a2ijのうちばね上共振とロール共振に近い周波数成分に対しては利得が大きく、これら以外の周波数成分に対しては利得が小さくなるような周波数特性をもった制御器出力uij′を出力する。
また、GSH∞制御器15は、パラメータpiが最大値(pi=1)に近付くに従って制御器出力uij′の利得を上昇させ、最小値(pi=0)に近付くに従って制御器出力uij′の利得を低下させる。即ち、GSH∞制御器15は、ばね上共振付近やロール共振付近の振幅が大きいときには利得を上げてダンパ8ijの減衰力をハード特性側にし、ばね上共振付近やロール共振付近の振幅が小さいときには利得を下げてダンパ8ijの減衰力をソフト特性側にする。これにより、GSH∞制御器15は、ばね上の振幅の大きさに応じて利得を調整し、フワフワ感とヒョコヒョコ感の抑制を両立させると共に、左右の振られ感の低減を図っている。
さらに、GSH∞制御器15は、制御器出力uij′に加えて、制御器出力uij′の時間微分に応じた時間微分出力Δuij′も出力する。
カルマンフィルタ16は、ダンパ8ijの非線形ダイナミクスを考慮して減衰特性可変部に対する推定処理を行うオブザーバを構成する。カルマンフィルタ16は、ばね上加速度a2ij、ばね下加速度a1ijおよび指令電流iijに基づいて、推定ピストン速度vpijとばね下速度v1ijを出力する。このとき、推定ピストン速度vpijは、車体2と車輪3ijとの間の上,下方向の相対速度に対応している。また、カルマンフィルタ16は、後述するように、全状態量分のプロセスノイズwpnijを考慮して、オブザーバゲインLijが設計されている。
GH制御器17は、以下の数4に示すように、カルマンフィルタ16から出力されるばね下速度v1ijに応じたばね下制振力uij″を出力する。このとき、CghijはGH制御器17のゲインを示している。このとき、ばね下制振力uij″は、ばね下共振を抑制するように作用する。
Figure 2013241076
また、GH制御器17は、ばね下制振力uij″に加えて、ばね下速度v1ijとばね下加速度a1ijとに基づいてばね下制振力uij″の時間微分に応じた時間微分出力Δuij″を演算し、出力する。
目標減衰力算出器18は、GSH∞制御器15による制御器出力uij′と、GH制御器17によるばね下制振力uij″とに基づいて目標減衰力uijを算出する。具体的には、目標減衰力算出器18は、加算器によって構成され、以下の数5の式に示すように、制御器出力uij′とばね下制振力uij″とを加算した目標減衰力uijを出力する。
Figure 2013241076
時間微分目標減衰力算出器19は、GSH∞制御器15による時間微分出力Δuij′と、GH制御器17による時間微分出力Δuij″とに基づいて目標減衰力uijを時間微分した時間微分目標減衰力Δuijを算出する。具体的には、時間微分目標減衰力算出器19は、加算器によって構成され、以下の数6の式に示すように、時間微分出力Δuij′と時間微分出力Δuij″とを加算した時間微分目標減衰力Δuijを出力する。
Figure 2013241076
非線形制御器20は、カルマンフィルタ16から出力される推定ピストン速度vpijと、目標減衰力算出器18から出力される目標減衰力uijとに基づいて指令信号となる指令電流iijを出力する信号出力器を構成している。ここで、非線形制御器20は、推定ピストン速度vpijおよび目標減衰力uijに加えて、時間微分目標減衰力算出器19から出力される時間微分目標減衰力uijに基づいて、ダンパ8ijの非線形ダイナミクスを補償した指令電流iijを生成する。この非線形制御器20は、例えばバックステッピング法を適用することによって、加速度の過渡特性を改善してジャークを低減すると共に、ダンパ8ijの時間遅れを抑制している。
次に、GSH∞制御器15の設計方法について、図4ないし図8を参照しつつ説明する。
図4に1輪2自由度モデルにおける周波数応答を示す。図4中の破線、一点鎖線、二点鎖線は、このような車両モデルにおいて、減衰力の制御を行わないとき、減衰力の制御ゲインをミドルゲインにしたとき、減衰力の制御ゲインをハイゲインにしたときをそれぞれ示している。図4に示すように、ばね下共振のゲイン特性は、車両モデルのタイヤ−路面間の減衰がないと仮定すると、1輪2自由度モデルの周波数応答では、制御サスペンションでは改善できない不動点が存在する。
これに対し、図4中の実線に示すように、ブルブル成分を低減するには、ばね下速度に依存して減衰力を発生するグランドフックダンパGHが有効である(図5参照)。但し、図4中の実線は、理想的なグランドフックダンパGHを適用した場合を示している。
今回用いる2輪モデルPi(車両モデル1)にグランドフックダンパGHを導入すると、そのゲイン分だけモデル化誤差が大きくなる。このため、図6に示すように、予めグランドフックダンパGHのゲインCghi=diag(cghir,cghil)を導入した拡大系Pghiに対して、GSH∞制御器15となる制御器Ki(pi)を設計する。
まず、数5の式に示したように、目標減衰力ui=[uir,uilを、制御器出力ui′=[uir′,uil′]とばね下制振力ui″=[uir″,uil″]とを加算したものに変更する。このとき、制御器出力ui′は制御器Ki(pi)の出力である。次に、制御器Ki(pi)を設計するための2輪モデルPiに入力する数3の式中の目標減衰力uijに、数5の式を代入して、制御器出力uij′を制御器Ki(pi)の出力とし、ばね下制振力uij″を2輪モデルPiのシステム行列内に押し込めて拡大系Pghiを構築する(図6参照)。
制御器Ki(pi)を設計するために、拡大系Pghiに基づく一般化プラントをパラメータpiに依存した線形パラメータ変動システム(LPVシステム)に変換する。このとき、線形パラメータ変動システムは、車体2およびダンパ8ijに基づく線形システムであって、路面状況のパラメータpiに応じて変動する要素を有している。これにより、図7に示すように、パラメータpiを導入した一般化プラントGghi(pi)を構築する。但し、拡大系Pghiのままでは制御器Ki(pi)を設計できる条件を満たしていないので、平衡実現による低次元化手法を用いて9次から8次へ2輪モデルPiの動特性を損なわないように低次元化モデルPrghiを導出する。その上で、制御器出力uij′に係る重み関数WTiをパラメータpiに依存させ、ばね上振動状態やロール振動状態に応じてパラメータpiを変動させる。
なお、この一般化プラントGghi(pi)では、例えば車体2および車輪3ijに対して理想的なアクティブダンパが取り付けられたものを仮定している。この理想的なアクティブダンパは、例えば時間遅延することなく目標減衰力uijに応じた減衰力を発生させることができるものである。
また、一般化プラントGghi(pi)は、制御器出力ui′に応じた制御入力と、路面外乱dw2iおよび観測ノイズwniに応じた外乱入力wと、制御入力(制御器出力ui′)に周波数重み関数WTi(pi)を乗じた制御量ruiを含む評価出力rと、車体運動に応じた制御出力(観測出力)とを有している。これに加え、評価出力rは、制御性能およびモデル変動を評価するための出力ySiとして、低次元化モデルPrghiのばね上加速度、ロールレイト等に周波数重み関数WSiを乗じた制御量rSiも含んでいる。
ここで、路面外乱dw2iは低次元化モデルPrghiに作用し、観測ノイズwniは低次元化モデルPrghiの出力yiに加わる。また、図7中でyi,ySiは、以下の数7の式に示す通りである。
Figure 2013241076
一例として、図7に示す一般化プラントGghi(pi)を用いてフロントの制御器Ki(pi)を設計する際の重み関数WSf,WTfを図8に示す。ここで、重み関数WSf,WTfは、以下の数8の式に示す通りである。
Figure 2013241076
図8に示すように、周波数重み関数WTf(pf)は、パラメータpfに応じて利得が全体的に上昇または下降する。即ち、パラメータpfが1に近付くに従って、周波数重み関数WTf(pf)は、全体的に目標減衰力ufjがハイゲインとなり、ハードな特性となるように設定される。これに対し、パラメータpfが0に近付くに従って、周波数重み関数WTf(pf)は、全体的に目標減衰力ufjがローゲインとなり、ソフトな特性となるように設定される。
また、Wsf1はばね上加速度a2ijに係る重み関数であり、Wsf2はロール角θriに係る重み関数であり、Wsf4,Wsf5は定数重みである。なお、図8中に記載されたWsf3はばね下加速度a1ijに係る重み関数であるが、グランドフックダンパGHを導入せずに重み関数のみでばね下制振を試みた場合の一例を示したものであり、本発明では用いていない。図8中のErrorはグランドフックダンパGHの有無によるモデル化誤差を示したものである。
以上のような一般化プラントGghi(pi)に対してH制御問題を解くことによって、GSH∞制御器15を求める。即ち、一般化プラントGghi(pi)が内部安定化し、以下の数9の式に示すように、外乱入力wから評価出力rまでの伝達関数GrwのHノルムが定数γ未満になるように、GSH∞制御器15を設計する。
Figure 2013241076
具体的には、H制御問題の解が存在するように、定数γの値を十分に大きな値を設定し、例えば線形行列不等式(LMI)に基づく可解条件を調べる。2分法等のアルゴリズムを用いて、このような操作を繰り返し、H制御問題の解が存在する定数γの最小値を求める。定数γの最小値に対して、GSH∞制御器15を例えばMatlab等の設計CADを用いて数値計算により求める。これにより、GSH∞制御器15は、路面外乱dw2iおよび観測ノイズwniに対してロバスト安定となる。
以上の操作を、パラメータpiが最小となるとき(pi=0)と最大となるとき(pi=1)について行い、それぞれのGSH∞制御器15の利得(Ki(pi))を求める。これにより、GSH∞制御器15は、パラメータpiの変動に対してロバスト安定となる。また、GSH∞制御器15の利得はパラメータpiに応じて変化し、パラメータpiはばね上の振動に応じて変化する。このため、GSH∞制御器15の利得は、ばね上の振動に応じて変化することになる。
以上のように設計したGSH∞制御器15の効果を確認するために、路面速度v0ijからばね上速度v2ijまでの閉ループ系の周波数応答を調べた。その結果を図9に示す。なお、図9は、アクティブサスペンションと仮定した場合において、路面速度v0ijからばね上速度v2ijまでの閉ループ系の周波数応答を示している。
例えば、図9中の一点鎖線は、特許文献1と同様に、グランドフックダンパGHのゲインを0として制御器を設計した場合を示している。この場合、ばね下共振を抑制できていない。また、図9中の二点鎖線は、グランドフックダンパGHが無く、ばね下加速度a1ijに係る重み関数WSf3を用いてばね下共振を抑制する制御器を設計した場合を示している。この場合、重み関数WSf3によりばね下共振を抑制するものの、斜線で示す部分が膨らんでしまいブルブル感を低減することが困難である。これらに対し、図9中に実線で示すように、グランドフックダンパGHを適用した本実施の形態では、ばね下共振を抑制してブルブル感を低減している。
次に、カルマンフィルタ16の設計方法について、図10ないし図12を参照しつつ説明する。
まず、図10に示す、1輪2自由度の車両モデル21にダンパ応答遅れを考慮した拡大系を考える。この拡大系の状態方程式および出力方程式は、以下の数10の式で表される。なお、数10の式において、Aij,Bwij,Buijは、以下の数11の式に示す通りであり、Fuijはダンパ8ijの可変部8Bによる減衰力を示し、Tijは時定数を示している。
Figure 2013241076
Figure 2013241076
この系のオブザーバは、以下の数12の式のように構成される。ここで、Lijはオブザーバゲイン(カルマンゲイン)である。
Figure 2013241076
観測誤差を数13の式に示されるものとすると、数14の式を得る。
Figure 2013241076
Figure 2013241076
右辺の括弧内の固有値が全て負となるように、オブザーバゲインLijを定常カルマンフィルタによる方法を用いて求める。いま、数10の式において外乱を無視した系がガウス性白色雑音wij(t),vij(t)を受けるとすると、以下の数15の式を得る。
Figure 2013241076
このとき、雑音wij(t),vij(t)の平均値と共分散行列は、以下の数16の式に示すものとする。ここで、E{・}は期待値を示し、δはデルタ関数である。
Figure 2013241076
このとき、オブザーバゲインLijは、以下の数17に示すリカッチ方程式の非負定対称行列解Pijによって、数18の式のように決定される。
Figure 2013241076
Figure 2013241076
センサによる雑音を観測値に含まれる雑音として、Rを数19の式に示すものとする。但し、nrijは定数であり、mrは観測数である。このため、Imrは、mr次の単位行列である。
Figure 2013241076
外乱v0ijを入力値に含まれる雑音として、Qを数20の式に示すものとする。但し、nqijは定数であり、nは全状態量の次数であり、数11の式の場合は5次である。このため、Inは、n次の単位行列である。これらに基づいて、オブザーバゲインLijを得る。
Figure 2013241076
サスペンション制御の場合、ノイズ成分については路面外乱dw2i(dw2i∝v0ij)のみを考慮して、オブザーバゲインを設計する場合が多い。これに対し、本実施の形態では、全状態量分のプロセスノイズwpnijを考慮して、図11に示す状態空間ブロック図に示すように、Bopijを加える。
解析による悪路走行時において、路面外乱dw2iのみを考慮した場合と本実施の形態とについて、実際のピストン速度と推定ピストン速度とのコヒーレンスを調べた。その結果を図12に示す。
なお、路面外乱dw2iのみを考慮した場合には、Qを数21に示したものとして、オブザーバゲインLijを求めた。この場合、図12中に破線で示すように、ばね上共振とばね下共振との間のヒョコヒョコ感の周波数領域でコヒーレンスが低下している。これに対し、図12中に実線で示すように、本実施の形態では、ヒョコヒョコ感の周波数領域で90%以上のコヒーレンスが確保されており、この領域での推定精度が改善されている。
Figure 2013241076
本実施の形態によるサスペンション制御装置は、上述の如き構成を有するもので、次に、コントローラ11を用いてダンパ8ijの減衰力特性を可変に制御する処理について説明する。
まず、コントローラ11には、車両の走行時に図1および図2に示すように、ばね上加速度センサ7からばね上(車体2)側の上,下方向の振動加速度の検出信号が入力される。このとき、コントローラ11に設けられたFBS演算器12は、ばね上加速度センサ9による振動加速度の検出信号を積分し、車体2の上,下方向の速度をばね上速度v2ijとして算出する。また、コントローラ11に設けられたSP演算器14は、4輪のばね上加速度a2ijに基づいてばね上共振成分やロール共振付近に応じたパラメータpiを算出する。そして、GSH∞制御器15は、パラメータpiおよびばね上速度v2ijに基づいて制御器出力uij′を演算する。
また、カルマンフィルタ16は、ばね上加速度a2ij、ばね下加速度a1ijおよび指令電流iijに基づいて、推定ピストン速度vpijとばね下速度v1ijを出力する。GH制御器17は、ばね下速度v1ijに応じたばね下制振力uij″を出力する。目標減衰力算出器18は、GSH∞制御器15による制御器出力uij′と、GH制御器17によるばね下制振力uij″とを加算して、目標減衰力uijを算出する。これにより、コントローラ11は、目標減衰力uijに基づいてダンパ8ijの減衰力を調整し、ダンパ8ijを用いて車体2のバウンスレイト、ピッチレイト、ロールレイト等の運動をフィードバック制御する。
ここで、GSH∞制御器15は、ばね上共振を抑制する制御器出力uij′を演算する。また、GSH∞制御器15は、スタビライザ5を含む左右2輪モデルに基づいて設計され、スタビライザ反力Fstbiを考慮してロール共振を抑制する制御器出力uij′を演算する。これに加え、GH制御器17は、ばね下共振を抑制するばね下制振力uij″を演算する。このため、制御器出力uij′とばね下制振力uij″とを加算した目標減衰力uijに基づいてダンパ8ijの減衰力を調整するから、制御器出力uij′によってフワフワ感、ヒョコヒョコ感、左右の振られ感をいずれも低減することができると共に、ばね下制振力uij″によってブルブル感を低減することができる。
本実施の形態の有効性を検証するために、実車による走行試験を行った。その結果を図13ないし図16に示す。
図13は、ロールを励起する路面を走行した場合について、左右方向の加速度(横加速度)および指令電流iijの時間変化を示している。図13中の破線は、スタビライザ5を考慮しない1輪モデルを用いて制御器を設計した場合を示している。この場合、スタビライザ5を考慮していないため、ロール共振が低減されていない。これに対し、図13中の実線に示すように、左右2輪モデル(車両モデル1)を用いた本実施の形態では、ロール共振を低減しており、1輪モデルを用いて場合に比べて、ロール共振の低減効果が例えば38%程度向上している。
図14は、ばね下共振を励起する突起を乗り越した場合について、ばね上加速度a2ij、ばね下加速度a1ijおよび指令電流iijの時間変化を示している。図14中の破線は、GH制御器17を省いた場合を示し、図14中の実線は、GH制御器17を適用した本実施の形態を示している。本実施の形態とGH制御器17を省いた場合とを比較すると、両者のばね上加速度a2ijの制振効果はほぼ同程度であるが、本実施の形態では、GH制御器17を省いた場合に比べて、ばね下を制振して、ピークを抑えると共に、ばね下振動の収束も早くなっている。
図15および図16は、乗り心地試験用のコースを走行した場合について、ばね上加速度a2ijおよびばね下加速度a1ijのパワースペクトラム密度(PSD)を示している。図15および図16中の破線は、従来技術(特許文献1)としてGH制御器17を省いた場合を示し、図15および図16中の実線は、本実施の形態を示している。本実施の形態では、GH制御器17を省いた従来技術に比べて、フワフワ感、ヒョコヒョコ感、ブルブル感がいずれも低減している。
かくして、本実施の形態では、GSH∞制御器15による制御器出力uij′と、GH制御器17によるばね下制振力uij″とに基づく目標減衰力uijに応じて、制御ダンパ8ijが発生する減衰力を制御した。このため、GSH∞制御器15による制御器出力uij′に応じて、フワフワ感とヒョコヒョコ感を抑制することができると共に、GH制御器17によるばね下制振力uij″に応じて、ブルブル感を抑制することができる。
また、車体2および制御ダンパ8ijに基づく車両モデル1にGH制御器17を適用した拡大系Pghiを構築し、GSH∞制御器15は、該拡大系Pghiから導出された一般化プラントGghi(pi)に基づいて設計した。このため、GSH∞制御器15による制御器出力uij′と、GH制御器17によるばね下制振力uij″とに基づいて目標減衰力uijを算出するときでも、GH制御器17を考慮してGSH∞制御器15を設計することができる。この結果、GH制御器17の適用に伴うモデル化誤差を吸収して、サスペンション制御装置のロバスト性を確保することができる。
また、全状態量分のプロセスノイズwpnijを考慮してオブザーバゲインLijを設計したカルマンフィルタ16によってオブザーバを構成した。このため、例えば路面速度v0ijの外乱のみを考慮してオブザーバゲインを設計した場合に比べて、推定ピストン速度vpijやばね下速度v1ijの推定精度を高めることができる。この結果、GH制御器17によって算出されるばね下制振力uij″の精度も高めることができ、ブルブル感等の抑制効果を高めることができる。
さらに、GSH∞制御器15の設計に用いる車両モデル1は、左右の車輪3il,3ir間にスタビライザ5を設けた左右2輪モデルであるから、GSH∞制御器15は、スタビライザ反力Fstbiを考慮して制御器出力uij′を演算することができ、ロール共振を抑制して、左右の振られ感を低減することができる。
次に、図17は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、目標減衰力と推定ピストン速度に基づいて指令電流を出力する指令電流マップによって信号出力器を構成したことにある。なお、本実施の形態では前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
第2の実施の形態によるコントローラ31は、第1の実施の形態によるコントローラ11と同様に構成され、FBS演算器12、SP演算器14、GSH∞制御器15、カルマンフィルタ16、グランドフック制御器32(以下、GH制御器32という)、目標減衰力算出器18および指令電流マップ33を備えている。
GH制御器32は、数4の式を演算し、カルマンフィルタ16から出力されるばね下速度v1ijに応じたばね下制振力uij″を出力する。但し、GH制御器32には、ばね下加速度a1ijは入力されず、ばね下制振力uij″の時間微分も演算しない。この点で、GH制御器32は、第1の実施の形態によるGH制御器17とは異なっている。
指令電流マップ33は、信号出力器を構成し、カルマンフィルタ16から出力される推定ピストン速度vpijと、目標減衰力算出器18から出力される目標減衰力uijとに基づいて指令信号となる指令電流iijを出力する。具体的には、指令電流マップ33は、推定ピストン速度vpijおよび目標減衰力uijが特定されたときに、これらに応じた指令電流iijを決定するマップによって構成される。そして、ダンパ8ijは、指令電流マップ33から出力された指令電流iijに応じた減衰力を発生させる。
かくして、このように構成される本実施の形態によるコントローラ31を用いた場合でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
なお、前記第1の実施の形態では、一般化プラントGghi(pi)の評価出力には、制御入力(目標減衰力uij)に周波数重み関数WTi(pi)を乗じた制御量ruiに加えて、ばね上加速度等に周波数重み関数WSiを乗じた制御量rSiを含む構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、一般化プラントは、制御量rSiを省き、制御入力に周波数重み関数WTi(pi)を乗じた制御量ruiだけを評価出力とする構成としてもよい。
前記各実施の形態では、ロバストゲインスケジュールド制御器としてGSH∞制御器15を例に挙げて説明した。しかし、ロバストゲインスケジュールド制御器は、例えばゲインスケジューリング型スライディングモード制御器のように、安定性や制御性能の理論的な保証を与えるものであり、かつ観測値を用いて制御器のゲインをリアルタイムに調整できる制御器であればよい。
前記各実施の形態では、左右2輪モデルからなる車両モデル1に基づいてGSH∞制御器15を設計したが、例えば1輪モデルからなる車両モデルに基づいてGSH∞制御器を設計してもよい。
前記各実施の形態では、ロバスト制御器としてGSH∞制御器15を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばSP演算器14を省いたH∞制御器でもよい。
前記各実施の形態では、全状態量分のプロセスノイズを考慮してオブザーバゲインを設計したカルマンフィルタによってオブザーバを構成したが、従来技術と同様に、路面外乱に基づいてオブザーバゲインを設計してもよい。
前記各実施の形態では、制御ダンパがセミアクティブダンパからなる減衰力調整式ダンパ8ijである場合を例に説明したが、これに代えて、アクティブダンパ(電気アクチュエータ、油圧アクチュエータのいずれか)を用いるようにしてもよい。
次に、前記各実施の形態に含まれる発明について記載する。本発明によれば、検出された車体運動に基づいて制御器出力を算出するフィードバック制御器と、オブザーバによるばね下速度に応じたばね下制振力を算出するグランドフック制御器とを備える構成とした。このため、フィードバック制御器による制御器出力とグランドフック制御器によるばね下制振力とに基づく目標減衰力に応じて、制御ダンパが発生する減衰力を制御することができる。この結果、フィードバック制御器による制御器出力に応じて、フワフワ感とヒョコヒョコ感を抑制することができると共に、グランドフック制御器によるばね下制振力に応じて、ブルブル感を抑制することができる。
また、本発明によれば、前記車体および前記制御ダンパに基づく車両モデルに前記グランドフック制御器を適用した拡大系を構築し、前記フィードバック制御器は、該拡大系から導出された一般化プラントに基づいて設計され、路面外乱および観測ノイズに対してロバスト安定となるロバスト制御器によって構成した。このため、フィードバック制御器による制御器出力とグランドフック制御器によるばね下制振力とに基づいて目標減衰力を算出するときでも、グランドフック制御器を考慮してロバスト制御器を設計することができる。この結果、サスペンション制御装置のロバスト性を確保することができる。
また、本発明によれば、前記オブザーバは、全状態量分のプロセスノイズを考慮してオブザーバゲインを設計したカルマンフィルタによって構成した。このため、例えば路面外乱のみを考慮してオブザーバゲインを設計した場合に比べて、推定ピストン速度やばね下速度の推定精度を高めることができる。この結果、グランドフック制御器によって算出されるばね下制振力の精度も高めることができ、ブルブル感等の抑制効果を高めることができる。
また、本発明によれば、前記ロバスト制御器の設計に用いる前記車両モデルは、左右の車輪間にスタビライザを設けた左右2輪モデルである。このため、ロバスト制御器は、スタビライザ反力を考慮して制御器出力を演算することができ、ロール共振を抑制して、左右の振られ感を低減することができる。
また、本発明によれば、前記車両モデルは、線形システムであって、路面状況に応じて変動する要素を有する線形パラメータ変動システムからなり、前記ロバスト制御器は、該線形パラメータ変動システムと前記グランドフック制御器とに基づいて設計されたゲインスケジュールドH∞制御器によって構成し、前記運動検出手段によって検出された車体運動に基づいて路面状態に応じた変動パラメータを算出する変動パラメータ算出手段を備え、前記ゲインスケジュールドH∞制御器は、該変動パラメータ算出手段によって算出された変動パラメータに応じて前記制御器出力の利得を変化させる構成とした。これにより、例えばばね上共振成分やロール共振成分の大きさに応じて変動パラメータを変化させると共に、この変動パラメータに応じて制御器出力の利得を変化させることができる。この結果、フワフワ感とヒョコヒョコ感の抑制を両立させることができる。
また、本発明によれば、前記信号出力器は、バックステッピング法を用いて前記制御ダンパの非線形ダイナミクスを補償する前記指令信号を出力する非線形制御器である。これにより、制御ダンパの非線形ダイナミクスを補償した状態で制御ダンパの減衰力を発生させることができ、ジャーク(加速度の微分)を低減することができる。
また、本発明によれば、前記制御ダンパは、前記推定ピストン速度および前記目標減衰力に応じてその減衰力特性が調整される減衰力調整式ダンパである。これにより、例えば減衰力が推定ピストン速度および目標減衰力に依存するセミアクティブダンパにも適用することができる。
1 車両モデル
2 車体
ij 車輪
ij タイヤ
5 スタビライザ
ij サスペンション装置
ij 懸架ばね
ij 減衰力調整式ダンパ(制御ダンパ)
9 ばね上加速度センサ
10 ばね下加速度センサ
11,31 コントローラ
12 フィードバック信号演算器(FBS演算器:積分器)
13 運動検出装置(運動検出手段)
14 スケジューリングパラメータ演算器(SP演算器)
15 ゲインスケジュールドH∞制御器(GSH∞制御器)
16 カルマンフィルタ
17,32 グランドフック制御器(GH制御器)
18 目標減衰力算出器
20 非線形制御器(信号出力器)
33 指令電流マップ(信号出力器)

Claims (7)

  1. 車体と車輪との間に介装され、前記車体と前記車輪との間に減衰力を発生させることにより前記車体の振動を抑制するサスペンション制御装置であって、
    指令信号に応じて前記減衰力を発生させる制御ダンパと、
    前記車体の運動を検出する運動検出手段と、
    検出された車体運動に基づいて制御器出力を算出するフィードバック制御器と、
    前記検出された車体運動と前記指令信号とに基づいて前記制御ダンパの推定ピストン速度とばね下速度とを算出するオブザーバと、
    該オブザーバによるばね下速度に応じたばね下制振力を算出するグランドフック制御器と、
    前記フィードバック制御器による制御器出力と該グランドフック制御器によるばね下制振力とに基づいて目標減衰力を算出する目標減衰力算出器と、
    該目標減衰力算出器による目標減衰力と前記オブザーバによる推定ピストン速度とに基づいて前記指令信号を出力する信号出力器とを備えたサスペンション制御装置。
  2. 前記車体および前記制御ダンパに基づく車両モデルに前記グランドフック制御器を適用した拡大系を構築し、
    前記フィードバック制御器は、該拡大系から導出された一般化プラントに基づいて設計され、路面外乱および観測ノイズに対してロバスト安定となるロバスト制御器によって構成してなる請求項1に記載のサスペンション制御装置。
  3. 前記オブザーバは、全状態量分のプロセスノイズを考慮してオブザーバゲインを設計したカルマンフィルタによって構成してなる請求項2に記載のサスペンション制御装置。
  4. 前記車両モデルは、左右の車輪間にスタビライザを設けた左右2輪モデルである請求項2または3に記載のサスペンション制御装置。
  5. 前記車両モデルは、線形システムであって、路面状況に応じて変動する要素を有する線形パラメータ変動システムからなり、
    前記ロバスト制御器は、該線形パラメータ変動システムと前記グランドフック制御器とに基づいて設計されたゲインスケジュールドH∞制御器によって構成し、
    前記運動検出手段によって検出された車体運動に基づいて路面状態に応じた変動パラメータを算出する変動パラメータ算出手段を備え、
    前記ゲインスケジュールドH∞制御器は、該変動パラメータ算出手段によって算出された変動パラメータに応じて前記制御器出力の利得を変化させてなる請求項2ないし4のいずれかに記載のサスペンション制御装置。
  6. 前記信号出力器は、バックステッピング法を用いて前記制御ダンパの非線形ダイナミクスを補償する前記指令信号を出力する非線形制御器である請求項1ないし5のいずれかに記載のサスペンション制御装置。
  7. 前記制御ダンパは、前記推定ピストン速度および前記目標減衰力に応じてその減衰力特性が調整される減衰力調整式ダンパである請求項1ないし6のいずれかに記載のサスペンション制御装置。
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