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JP2013231128A - (メタ)アクリル樹脂組成物 - Google Patents

(メタ)アクリル樹脂組成物 Download PDF

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JP2013231128A
JP2013231128A JP2012103791A JP2012103791A JP2013231128A JP 2013231128 A JP2013231128 A JP 2013231128A JP 2012103791 A JP2012103791 A JP 2012103791A JP 2012103791 A JP2012103791 A JP 2012103791A JP 2013231128 A JP2013231128 A JP 2013231128A
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acrylic resin
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Takuro Niimura
卓郎 新村
Atsushi Matsumura
敦 松村
Hiroyuki Konishi
啓之 小西
Hidemi Kurita
日出美 栗田
Hidetaka Tamura
英孝 田村
Chu Ozawa
宙 小澤
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

【課題】透明性が高く、硬度が高く、強度が高く、飽和吸水率が低く、寸法変化が小さく、且つ外観良好な薄肉且つ広面積の成形品を高い生産効率で得ることができる(メタ)アクリル樹脂組成物を提供する。
【解決手段】メタクリル酸メチルに由来する構造単位80〜100質量%およびアクリル酸エステルに由来する構造単位0〜20質量%を含む(メタ)アクリル樹脂100質量部と、 炭素原子および水素原子のみから構成される5員環もしくは6員環構造を分子中に2〜4個有し、常温における沸点が250℃以上で且つ分子量が400未満である化合物1〜15質量部とを含有し、 230℃および3.8kg荷重の条件におけるメルトフローレートが10g/10分以上である(メタ)アクリル樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、(メタ)アクリル樹脂組成物に関する。より詳細に、本発明は、透明性が高く、硬度が高く、強度が高く、飽和吸水率が低く、寸法変化が小さく、且つ外観良好な、薄肉且つ広面積の成形品を高い生産効率で得ることができる(メタ)アクリル樹脂組成物に関する。
(メタ)アクリル樹脂は透明性、耐光性、表面硬度などに優れている。(メタ)アクリル樹脂を含む(メタ)アクリル樹脂組成物を成形することによって、導光板、レンズなどの種々の光学部材を得ることができる。
近年、軽量かつ広面積の液晶表示装置への需要が高く、それに対応して光学部材も薄肉化および広面積化が要求されている。さらに、表示装置の高画質化に伴って、屈折率やレタデーションなどの光学特性に高い精度が求められている。薄肉且つ広面積の成形品は、吸湿や熱などに伴う寸法変化が光学特性に大きく影響しやすい。そのため、光学部材の原料である(メタ)アクリル樹脂組成物には、高い透明性、低い吸湿性、高い耐熱性、小さい寸法変化、高い硬度、高い成形性などが強く要求される。
透明性と低吸水性を両立を目指したメタクリル樹脂として、例えば、特許文献1にはメタクリル酸シクロヘキシルとメタクリル酸メチルの共重合体が、特許文献2はメタクリル酸i−ブチルとメタクリル酸メチルの共重合体が開示されている。
また、吸湿性を低くすることを目指したものとして、例えば、特許文献3に、エステル部分に炭素数5〜22の脂環式炭化水素基を有するメタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステル5〜40質量部、メタクリル酸メチル50〜80質量部、N−置換マレイミド5〜40質量部、メタクリル酸ベンジル0〜30質量部、及びエステル部分に炭素数1〜5の炭化水素基を有するアクリル酸エステルまたは芳香族ビニル化合物1〜10質量部を、総質量部を100質量部として、得られる樹脂の配向複屈折の絶対値が1×10-6未満、メルトフローレートが15g/10分以上、及び曲げ破壊強度が50MPa以上となるような組成比で共重合することにより得られる樹脂を含有してなる光学用樹脂組成物が開示されている。
特開昭58−5318号公報 特開昭60−26014号公報 特開2004−18710号公報
日本油脂株式会社技術資料「有機化酸化物の水素引抜き能と開始剤効率」(2003年4月作成) D. W. VAN KREVELEN著,PROPERTIES OF POLYMERS、第3版(Third Ed)、Elsevier Science、1990年、p.72〜75.
ところが、上記先行技術文献にて開示されている(メタ)アクリル樹脂は硬度や強度などが低下する傾向があった。
そこで、本発明の目的は、透明性が高く、硬度が高く、強度が高く、飽和吸水率が低く、寸法変化が小さく、且つ外観良好な薄肉且つ広面積の成形品を高い生産効率で得ることができる(メタ)アクリル樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った。その結果、以下の態様を包含する発明を完成するに至った。
〔1〕メタクリル酸メチルに由来する構造単位80〜100質量%およびアクリル酸エステルに由来する構造単位0〜20質量%を含む(メタ)アクリル樹脂100質量部と、 炭素原子および水素原子のみから構成される5員環もしくは6員環構造を分子中に2〜4個有し、常温における沸点が250℃以上で且つ分子量が400未満である化合物1〜15質量部とを含有し、
230℃および3.8kg荷重の条件におけるメルトフローレートが10g/10分以上である(メタ)アクリル樹脂組成物。
〔2〕前記化合物は、原子団寄与法により求めた分子半径が0.30〜0.45nmである〔1〕に記載の(メタ)アクリル樹脂組成物。
〔3〕前記化合物が環集合化合物である、〔1〕または〔2〕に記載の(メタ)アクリル樹脂組成物。
〔4〕前記化合物が芳香族環集合化合物である、〔1〕または〔2〕に記載の(メタ)アクリル樹脂組成物。
〔5〕前記化合物がビフェニル基、テルフェニル基およびクアテルフェニル基からなる群から選ばれる少なくともひとつを有する化合物である、〔1〕または〔2〕に記載の(メタ)アクリル樹脂組成物。
〔6〕飽和吸水率が1.7質量%以下である〔1〕〜〔5〕のいずれかひとつに記載の(メタ)アクリル樹脂組成物。
〔7〕前記の〔1〕〜〔6〕のいずれかひとつに記載の(メタ)アクリル樹脂組成物からなる成形品。
〔8〕厚さに対する樹脂流動長さの比が380以上である〔7〕に記載の成形品。
本発明の(メタ)アクリル樹脂組成物を用いると、透明性が高く、硬度が高く、強度が高く、飽和吸水率が低く、寸法変化が小さく、且つ外観良好な薄肉且つ広面積の成形品を高い生産効率で得ることができる。
本発明の(メタ)アクリル樹脂組成物は、(メタ)アクリル樹脂と環構造を有する化合物を含有するものである。
本発明に用いられる(メタ)アクリル樹脂は、全単量体単位のうちに、メタクリル酸メチルに由来する構造単位を80〜100質量%、好ましくは80〜96質量%含むものである。また、本発明に用いられる(メタ)アクリル樹脂は、全単量体単位のうちに、アクリル酸エステルに由来する構造単位を0〜20質量%、好ましくは4〜20質量%含むものである。
アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルへキシルなどのアクリル酸アルキル;アクリル酸フェニルなどのアクリル酸アリール;アクリル酸シクロへキシル、アクリル酸ノルボルネニルなどのアクリル酸シクロアルキルなどが挙げられる。
本発明に用いられる(メタ)アクリル樹脂は、メタクリル酸メチルおよびアクリル酸エステル以外の単量体に由来する構造単位を含んでいてもよい。係る単量体としては、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどのメタクリル酸メチル以外のメタクリル酸アルキル;メタクリル酸フェニルなどのメタクリル酸アリール;メタクリル酸シクロへキシル、メタクリル酸ノルボルネニルなどのメタクリル酸シクロアルキル;アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレンなどその他のビニル系単量体;などの一分子中に重合性アルケニル基を一つだけ有する非架橋性ビニル系単量体が挙げられる。該単量体に由来する構造単位の量は、全単量体単位のうちに、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
(メタ)アクリル樹脂は、重量平均分子量(以下、Mwと略称することがある。)が、好ましくは3.5万〜10万、より好ましくは4万〜8万、特に好ましくは4.5万〜6万である。Mwが小さすぎると(メタ)アクリル樹脂組成物から得られる成形品の耐衝撃性や靭性が低下傾向になる。Mwが大きすぎると(メタ)アクリル樹脂組成物の流動性が低下し成形加工性が低下傾向になる。
(メタ)アクリル系樹脂は、重量平均分子量/数平均分子量の比(以下、この比を分子量分布と表記することがある。)が、好ましくは1.7〜2.5、より好ましくは1.7〜2.3、特に好ましくは1.7〜2.0である。分子量分布が小さいと(メタ)アクリル樹脂組成物の成形加工性が低下傾向になる。分子量分布が大きいと(メタ)アクリル樹脂組成物から得られる成形品の耐衝撃性が低下傾向になり、脆くなりやすい。
なお、重量平均分子量および数平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)で測定した標準ポリスチレン換算の分子量である。
また、(メタ)アクリル系樹脂の分子量や分子量分布は、後述する重合開始剤および連鎖移動剤の種類や量などを調整することによって制御できる。
(メタ)アクリル樹脂は、上記質量比のメタクリル酸メチルとアクリル酸エステルとを少なくとも含む単量体混合物を重合させることによって得られる。
(メタ)アクリル樹脂の原料であるメタクリル酸メチル、アクリル酸エステルおよびその他の単量体は、イエロインデックスが2以下であることが好ましく、1以下であることがより好ましい。単量体のイエロインデックスが小さいと、得られる(メタ)アクリル樹脂組成物を成形した場合に、着色が殆んどない成形品が高い生産効率で得られやすい。後述するように(メタ)アクリル樹脂の重合反応においては、重合転化率をあまり高くしないので、未反応の単量体が重合反応液中に残る。未反応単量体は重合反応液から回収して再び重合反応に使用することができる。回収された単量体のイエロインデックスは回収時などに加えられる熱によって高くなることがある。回収された単量体は、適切な方法で精製して、イエロインデックスを小さくすることが好ましい。なお、イエロインデックスは、日本電色工業株式会社製の測色色差計ZE−2000を用い、JIS Z−8722に準拠して測定した値である。
単量体混合物の重合反応は、好ましくは塊状重合法または溶液重合法、より好ましくは塊状重合法で行う。重合反応は単量体混合物に重合開始剤を添加することによって開始される。また、必要に応じて連鎖移動剤を単量体混合物に添加することによって、得られる重合体の分子量などを調節できる。なお、単量体混合物は、溶存酸素量が好ましくは10ppm以下、より好ましくは5ppm以下、さらに好ましくは4ppm以下、最も好ましくは3ppm以下である。このような範囲の溶存酸素量にすると重合反応がスムーズに進行し、シルバーや着色の無い成形品が得られやすくなる。
本発明で用いられる重合開始剤は、反応性ラジカルを発生するものであれば特に限定されない。例えば、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート 、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエ−ト、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエ−ト、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、ベンゾイルパーオキシド 、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)が挙げられる。これらのうちt−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)が好ましい。
これらのうち、重合開始剤は、1時間半減期温度が60〜140℃のものが好ましく、80〜120℃のものがより好ましい。また、塊状重合に用いられる重合開始剤は、水素引抜き能が20%以下のものが好ましく、10%以下のものがより好ましく、5%以下のものがさらに好ましい。これら重合開始剤は1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、重合開始剤の添加量や添加方法などは、目的に応じて適宜設定すればよく特に限定されるものでない。例えば、塊状重合に用いられる重合開始剤の量は、単量体混合物100質量部に対して、好ましくは0.0001〜0.02質量部、より好ましくは0.001〜0.01質量部である。
なお、水素引抜き能は、重合開始剤製造業者の技術資料(例えば、非特許文献1)などによって知ることができる。また、α−メチルスチレンダイマーを使用したラジカルトラッピング法、即ちα−メチルスチレンダイマートラッピング法によって測定することができる。当該測定は、一般に、次のようにして行われる。まず、ラジカルトラッピング剤としてのα−メチルスチレンダイマーの共存下で重合開始剤を開裂させてラジカル断片を生成させる。生成したラジカル断片のうち、水素引抜き能が低いラジカル断片はα−メチルスチレンダイマーの二重結合に付加して捕捉される。一方、水素引抜き能が高いラジカル断片はシクロヘキサンから水素を引き抜き、シクロヘキシルラジカルを発生させ、該シクロヘキシルラジカルがα−メチルスチレンダイマーの二重結合に付加して捕捉され、シクロヘキサン捕捉生成物を生成する。そこで、シクロヘキサン、またはシクロヘキサン補足生成物を定量することで求められる、理論的なラジカル断片発生量に対する水素引抜き能が高いラジカル断片の割合(モル分率)を水素引抜き能とする。
連鎖移動剤としては、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、エチレングリコールビスチオプロピオネート、ブタンジオールビスチオグリコレート、ブタンジオールビスチオプロピオネート、ヘキサンジオールビスチオグリコレート、ヘキサンジオールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス−(β−チオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネートなどのアルキルメルカプタン類;α−メチルスチレンダイマー;テルピノレンなどが挙げられる。これらのうちn−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタンなどの単官能アルキルメルカプタンまたはペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネートが好ましい。これら連鎖移動剤は1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。連鎖移動剤の使用量は、単量体混合物100質量部に対して、好ましくは0.1〜1質量部、より好ましくは0.2〜0.8質量部、さらに好ましくは0.3〜0.6質量部である。
溶液重合に用いられる溶媒は、原料である単量体混合物と生成物である(メタ)アクリル樹脂に対して溶解能を有するものであれば特に制限されないが、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素が好ましい。これらの溶媒は1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。かかる溶媒の使用量は、単量体混合物100質量部に対して、好ましくは0〜100質量部、より好ましくは0〜90質量部である。溶媒の使用量が多いほど、反応液の粘度が下がり取り扱い性が良好となるが生産性が低下する傾向がある。
単量体混合物の重合転化率は、好ましくは20〜80質量%、より好ましくは30〜70質量%、さらに好ましくは35〜65質量%にする。重合転化率が、このような範囲にあると、メルトフローレートを後述する範囲に調整することが容易である。なお、重合転化率が高すぎると粘度上昇のために大きな攪拌動力が必要となる傾向がある。重合転化率が低すぎると脱揮不十分となりやすく、得られた(メタ)アクリル樹脂組成物を成形した場合に、成形品にシルバーなどの外観不良を起こす傾向がある。
塊状重合法または溶液重合法を行う装置としては、攪拌機付きの槽型反応器、攪拌機付きの管型反応器、静的攪拌能力を有する管型反応器などが挙げられる。これら装置を1基以上用いてよいし、また、異なる反応器2基以上を組み合せて用いてもよい。また、反応装置は回分式または連続流通式のどちらであってもよい。用いる攪拌機は、反応器の様式に応じて選択することができる。攪拌機として、例えば、動的撹拌機、静的攪拌機が挙げられる。本発明に用いられる(メタ)アクリル樹脂を得るために最も好適な装置は、連続流通式槽型反応器を少なくとも一つ有するものである。複数の連続流通式槽型反応器は直列に繋いでもよいし、並列に繋いでもよい。
槽型反応器には、通常、反応槽内の液を撹拌するための撹拌手段、単量体混合物や重合副資材などを反応槽に供給するための供給部、反応槽から反応生成物を抜き出すための抜出部とを有する。連続流通式の反応では、反応槽に供給する量と反応槽から抜き出す量とをバランスさせて、反応槽内の液量がほぼ一定になるようにする。反応槽内の液量は、反応槽の容積に対して、好ましくは1/4〜3/4、より好ましくは1/3〜2/3である。
撹拌手段としては、マックスブレンド式撹拌装置、中央に配した縦型回転軸の回りを回転する格子状の翼を有する撹拌装置、プロペラ式撹拌装置、スクリュー式撹拌装置などが挙げられる。これらのうちでマックスブレンド式撹拌装置が均一混合性の点から好ましく用いられる。
メタクリル酸メチル、アクリル酸エステル、重合開始剤および連鎖移動剤は、それら全てを反応槽に供給する前に混合して反応槽に供給してもよいし、それらを別々に反応槽に供給してもよい。本発明においては全てを反応槽に供給する前に混合して反応槽に供給する方法が好ましい。
メタクリル酸メチル、アクリル酸エステル、重合開始剤および連鎖移動剤の混合は、窒素ガスなどの不活性雰囲気中で行うことが好ましい。また、連続流通式の操業を円滑に行うために、メタクリル酸メチル、アクリル酸エステル、重合開始剤および連鎖移動剤を貯留するタンクからそれぞれを管を介して反応槽の前段に設けた混合器に供給し連続的に混合し、該混合物を反応槽に連続的に流すことが好ましい。該混合器は動的撹拌機または静的攪拌機を備えたものであることができる。
重合反応時の温度は、好ましくは100〜150℃、より好ましくは110〜140℃である。重合反応時の温度がこのような範囲にあると、メルトフローレートなどを後述する範囲に調整することが容易である。
重合反応の時間は、0.5〜4時間が好ましく、1〜3時間がより好ましい。なお、連続流通式反応器の場合、重合反応時間は反応器における平均滞留時間である。重合反応時間が短すぎると重合開始剤の必要量が増える。また重合開始剤の増量により重合反応の制御が難しくなるとともに、分子量の制御が困難になる傾向がある。一方、重合反応時間が長すぎると反応が定常状態になるまでに時間を要し、生産性が低下する傾向がある。また、重合は窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。
重合終了後、必要に応じて、未反応の単量体および溶剤を除去する。除去方法は特に制限されないが、加熱脱揮が好ましい。脱揮法としては、平衡フラッシュ方式や断熱フラッシュ方式が挙げられる。特に断熱フラッシュ方式では、好ましくは200〜300℃、より好ましくは220〜270℃の温度で脱揮を行う。200℃未満では脱揮に時間を要し、脱揮不十分になりやすい。脱揮が不十分なときには成形品にシルバーなどの外観不良を起こすことがある。逆に300℃を超えると酸化、焼けなどによって(メタ)アクリル樹脂組成物が着色する傾向がある。
本発明に用いられる環構造を有する化合物は、炭素原子および水素原子のみから構成される5員環もしくは6員環構造を分子中に2〜4個有する化合物である。該化合物は環集合化合物であることが好ましく、芳香族環集合化合物であることがより好ましい。なお、環集合化合物とは、2以上の芳香環または脂環が共有原子を持たず、単結合または二重結合を介して連結した構造を有する化合物である。芳香族環集合化合物は、2以上の芳香環が共有原子を持たず、単結合または二重結合を介して連結した構造を有する化合物である。
該化合物は、常温における沸点が250℃以上、好ましくは300〜400℃である、また、当該化合物は分子量が400未満、好ましくは150〜300である。前記化合物は、原子団寄与法を用いた理論計算により求めた分子半径が好ましくは0.30〜0.45nm、より好ましくは0.32〜0.40nmである。原子団寄与法は、まず、分子を官能基の集合とみなして便宜上分割する。例えば、ビフェニルの場合は、2個のフェニル基に分割する。分割した各官能基のファンデルワールス体積VW,iを全て合算して分子のファンデルワールス体積を算出した。該体積から、分子を球状と仮定することにより分子半径を算出した。なお、各官能基のファンデルワールス体積VW,iは、非特許文献2のTABLE4.2に記載された数値を用いた。具体的な計算は次式による。なお、Rは分子半径、NAはアボガドロ数である。
Figure 2013231128
該化合物の具体例としては、ビフェニルなどのビフェニル基を有する化合物;m−テルフェニル、p−テルフェニル、5’−フェニル−m−テルフェニルなどのテルフェニル基を有する化合物;1,1’:3’,1”:3”,1”−クアテルフェニル、1,1’:3’,1”:4”,1”’−クアテルフェニルなどのクアテルフェニル基を有する化合物;ビシクロヘキシル、ビシクロペンチル、ビ(シクロヘキサ−2−エン−1−イル)、ビ(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−イル、ビ(シクロペンタ−2,4−ジエン−1−イルデン)、1,1’:3’,1”−テルシクロヘキサン、クアテルシクロペンテン、1,4−ジ(シクロヘキシル)ベンゼンなどが挙げられる。これらのうち、ビフェニル基、テルフェニル基およびクアテルフェニル基からなる群から選ばれる少なくともひとつを有する化合物が好ましく、m−テルフェニル、ビフェニル、または1,4−ジ(シクロヘキシル)ベンゼンが好ましい。該化合物の量は、(メタ)アクリル樹脂100質量部に対して、1〜15質量部、好ましくは1〜10質量部、より好ましくは2〜7質量部である。環構造を有する化合物をこのような量で(メタ)アクリル樹脂に配合すると、透明性が高く、硬度が高く、強度が高く、飽和吸水率が低く、寸法変化が小さく、外観良好な成形品が得られやすい。
本発明に係る(メタ)アクリル樹脂組成物は、(メタ)アクリル樹脂と前記環構造を有する化合物とを、上述の質量比にて、溶融混練することによって得られる。溶融混練手段としては、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ブラベンダー、オープンロール、ニーダーなどの公知の混練機が挙げられる。これらの中でも、生産性に優れ、効率的な溶融混練ができることから、二軸押出機が好ましい。溶融混練する際の樹脂温度は、好ましくは170℃以上、より好ましくは180〜280℃、さらに好ましくは200〜260℃である。溶融混練した後、120℃以下の温度に冷却する。冷却は溶融状態のストランドを冷水を溜めた槽に浸すなどの方法で行うことができる。
本発明の(メタ)アクリル樹脂組成物は、その他必要に応じて各種の添加剤を0.5質量%以下で、好ましくは0.2質量%以下で含有していてもよい。
添加剤としては、酸化防止剤、熱劣化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、離型剤、高分子加工助剤、帯電防止剤、難燃剤、染顔料、光拡散剤、有機色素、艶消し剤、耐衝撃性改質剤、蛍光体などが挙げられる。
酸化防止剤は、酸素存在下においてそれ単体で樹脂の酸化劣化防止に効果を有するものである。例えば、リン系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤などが挙げられる。これらの酸化防止剤は1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中、着色による光学特性の劣化防止効果の観点から、リン系酸化防止剤やヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましく、リン系酸化防止剤とヒンダードフェノール系酸化防止剤との併用がより好ましい。
リン系酸化防止剤とヒンダードフェノール系酸化防止剤とを併用する場合、その割合は特に制限されないが、リン系酸化防止剤/ヒンダードフェノール系酸化防止剤の質量比で、好ましくは1/5〜2/1、より好ましくは1/2〜1/1である。
リン系酸化防止剤としては、2,2−メチレンビス(4,6−ジt−ブチルフェニル)オクチルホスファイト(旭電化社製;商品名:アデカスタブHP−10)、トリス(2,4−ジt−ブチルフェニル)ホスファイト(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;商品名:IRUGAFOS168)などが好ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;商品名IRGANOX1010)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;商品名IRGANOX1076)などが好ましい。
熱劣化防止剤は、実質上無酸素の状態下で高熱にさらされたときに生じるポリマーラジカルを捕捉することによって樹脂の熱劣化を防止できるものである。
該熱劣化防止剤としては、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(住友化学社製;商品名スミライザーGM)、2,4−ジ−t−アミル−6−(3’,5’−ジ−t−アミル−2’−ヒドロキシ−α−メチルベンジル)フェニルアクリレート(住友化学社製;商品名スミライザーGS)などが好ましい。
紫外線吸収剤は、紫外線を吸収する能力を有する化合物である。紫外線吸収剤は、主に光エネルギーを熱エネルギーに変換する機能を有すると言われる化合物である。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、トリアジン類、ベンゾエート類、サリシレート類、シアノアクリレート類、蓚酸アニリド類、マロン酸エステル類、ホルムアミジン類などが挙げられる。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、ベンゾトリアゾール類、または波長380〜450nmにおけるモル吸光係数の最大値εmaxが1200dm3・mol-1cm-1以下である紫外線吸収剤が好ましい。
ベンゾトリアゾール類は、紫外線被照による着色などの光学特性低下を抑制する効果が高いので、本発明の(メタ)アクリル樹脂組成物を上記のような特性が要求される用途に適用する場合に用いる紫外線吸収剤として好ましい。
ベンゾトリアゾール類としては、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;商品名TINUVIN329)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;商品名TINUVIN234)などが好ましい。
また、波長380〜450nmにおけるモル吸光係数の最大値εmaxが1200dm3
mol-1cm-1以下である紫外線吸収剤は、得られる成形品の黄色味を抑制できる。該紫外線吸収剤は、本発明の(メタ)アクリル樹脂組成物をこのような特性が要求される用途に適用する場合に用いる紫外線吸収剤として好ましい。
なお、紫外線吸収剤のモル吸光係数の最大値εmaxは、次のようにして測定する。シク
ロヘキサン1Lに紫外線吸収剤10.00mgを添加し、目視による観察で未溶解物がないように溶解させる。この溶液を1cm×1cm×3cmの石英ガラスセルに注入し、日立製作所社製U−3410型分光光度計を用いて、波長380〜450nmでの吸光度を測定する。紫外線吸収剤の分子量(Mw)と、測定された吸光度の最大値(Amax)とから次式により計算し、モル吸光係数の最大値εmaxを算出する。
εmax=[Amax/(10×10-3)]×Mw
波長380〜450nmにおけるモル吸光係数の最大値εmaxが1200dm3・mol-1cm-1以下である紫外線吸収剤としては、2−エチル−2’−エトキシ−オキサルアニリド(クラリアントジャパン社製;商品名サンデユボアVSU)などが挙げられる。
これら紫外線吸収剤の中、紫外線被照による樹脂劣化が抑えられるという観点からベンゾトリアゾール類が好ましく用いられる。
光安定剤は、主に光による酸化で生成するラジカルを捕捉する機能を有すると言われる化合物である。好適な光安定剤としては、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン骨格を持つ化合物などのヒンダードアミン類が挙げられる。
離型剤は、成形品の金型からの離型を容易にする機能を有する化合物である。離型剤としては、セチルアルコール、ステアリルアルコールなどの高級アルコール類;ステアリン酸モノグリセライド、ステアリン酸ジグリセライドなどのグリセリン高級脂肪酸エステルなどが挙げられる。本発明においては、離型剤として、高級アルコール類とグリセリン脂肪酸モノエステルとを併用することが好ましい。高級アルコール類とグリセリン脂肪酸モノエステルとを併用する場合、その割合は特に制限されないが、高級アルコール類/グリセリン脂肪酸モノエステルの質量比が、好ましくは2.5/1〜3.5/1、より好ましくは2.8/1〜3.2/1である。
高分子加工助剤は、(メタ)アクリル樹脂組成物を成形する際において、厚さ精度および薄膜化に効果を発揮する化合物である。高分子加工助剤は、通常、乳化重合法によって製造することができる、0.05〜0.5μmの粒子径を有する重合体粒子である。
該重合体粒子は、単一組成比および単一極限粘度の重合体からなる単層粒子であってもよいし、また組成比または極限粘度の異なる2種以上の重合体からなる多層粒子であってもよい。この中でも、内層に低い極限粘度を有する重合体層を有し、外層に5dl/g以上の高い極限粘度を有する重合体層を有する2層構造の粒子が好ましいものとして挙げられる。
高分子加工助剤は、剤全体としての極限粘度が3〜6dl/gであることが好ましい。
極限粘度が小さすぎると成形性の改善効果が低い。極限粘度が大きすぎると(メタ)アクリル樹脂組成物の溶融流動性の低下を招きやすい。
本発明の(メタ)アクリル樹脂組成物には、耐衝撃性改質剤を用いてもよい。耐衝撃性改質剤としては、アクリル系ゴムもしくはジエン系ゴムをコア層成分として含むコアシェル型改質剤;ゴム粒子を複数包含した改質剤などが挙げられる。
有機色素としては、樹脂に対しては有害とされている紫外線を可視光線に変換する機能を有する化合物が好ましく用いられる。
光拡散剤や艶消し剤としては、ガラス微粒子、ポリシロキサン系架橋微粒子、架橋ポリマー微粒子、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどが挙げられる。
蛍光体として、蛍光顔料、蛍光染料、蛍光白色染料、蛍光増白剤、蛍光漂白剤などが挙げられる。
これらの添加剤は、(メタ)アクリル樹脂を製造する際の重合反応液に添加してもよいし、重合反応により製造された(メタ)アクリル樹脂に前記の環構造を有する化合物を添加する際に一緒に添加してもよいし、本発明の(メタ)アクリル樹脂組成物に添加してもよい。
本発明の(メタ)アクリル樹脂組成物は、230℃および3.8kg荷重の条件におけるメルトフローレートが10g/10分以上、好ましくは10〜35g/10分、より好ましくは10〜32g/10分である。なお、メルトフローレートは、JIS K7210に準拠して、230℃、3.8kg荷重、10分間の条件で測定した値である。
本発明の好適な(メタ)アクリル樹脂組成物は、飽和吸水率が、好ましくは1.7質量%以下、より好ましくは1.6質量%以下である。
このような本発明の(メタ)アクリル樹脂組成物を、射出成形、圧縮成形、押出成形、真空成形などの従来より知られる溶融加熱成形することによって各種成形品を得ることができる。特に本発明の(メタ)アクリル樹脂組成物は、透明性が高く、硬度が高く、飽和吸水率が低く、寸法変化が小さく、且つ外観良好な薄肉且つ広面積の成形品を高い生産効率で提供することができる。
本発明の(メタ)アクリル樹脂組成物からなる成形品としては、例えば、広告塔、スタンド看板、袖看板、欄間看板、屋上看板などの看板部品;ショーケース、仕切板、店舗ディスプレイなどのディスプレイ部品;蛍光灯カバー、ムード照明カバー、ランプシェード、光天井、光壁、シャンデリアなどの照明部品;ペンダント、ミラーなどのインテリア部品;ドア、ドーム、安全窓ガラス、間仕切り、階段腰板、バルコニー腰板、レジャー用建築物の屋根などの建築用部品;航空機風防、パイロット用バイザー、オートバイ、モーターボート風防、バス用遮光板、自動車用サイドバイザー、リアバイザー、ヘッドウィング、ヘッドライトカバーなどの輸送機関係部品;音響映像用銘板、ステレオカバー、テレビ保護マスク、自動販売機などの電子機器部品;保育器、レントゲン部品などの医療機器部品;機械カバー、計器カバー、実験装置、定規、文字盤、観察窓などの機器関係部品;液晶保護板、導光板、導光フィルム、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ、各種ディスプレイの前面板、拡散板などの光学関係部品;道路標識、案内板、カーブミラー、防音壁などの交通関係部品;自動車内装用表面材、携帯電話の表面材、マーキングフィルムなどのフィルム部材;洗濯機の天蓋材やコントロールパネル、炊飯ジャーの天面パネルなどの家電製品用部材;その他、温室、大型水槽、箱水槽、時計パネル、バスタブ、サニタリー、デスクマット、遊技部品、玩具、熔接時の顔面保護用マスクなどが挙げられる。これらのうち、厚さが1mm以下の薄肉の射出成形品が好ましく、特に厚さに対する樹脂流動長さの比が380以上の薄肉且つ広面積の射出成形品に好適である。薄肉且つ広面積の射出成形品の好例としては導光板が挙げられる。
なお、樹脂流動長さとは射出成形金型のゲートとゲートから最も離れた金型内壁との間の距離である。フィルムゲートにおける樹脂流動長さは射出成形金型のランナーとスプルゥとの取り付け部と該取り付け部から最も離れた金型内壁との間の距離である。
本発明に係る薄肉且つ広面積の成形品を得るための金型のゲートはフィルムゲートであることが好ましい。フィルムゲートは切削機で切断し、ルータ等で仕上げ処理を行う。液晶表示装置に用いられる導光板を得るための金型では、光源を設置する予定の無い端面にゲートを設けることが好ましい。また本発明に係る成形品を得るための金型のゲートとしてピンポイントゲート(別名:センターゲートまたはピンゲート)を用いることができる。ピンポイントゲートはランナーとの切断が自動的に為され、仕上げ処理などの手間が少ない。
以下に実施例および比較例を示して本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例によって制限されるものではない。また、本願発明は、以上までに述べた、特性値、形態、製法、用途などの技術的特徴を表す事項を、任意に組み合わせて成るすべての態様を包含している。
実施例および比較例における物性値の測定等は以下の方法によって実施した。
(重合転化率)
島津製作所社製ガスクロマトグラフ GC−14Aに、カラムとしてGL Sciences Inc.製 INERT CAP 1(df=0.4μm、0.25mmI.D.×60m)を繋ぎ、injection温度を250℃に、detector温度を250℃に、カラム温度を60℃(5分間保持)→昇温速度10℃/分→250℃(10分間保持)に設定して、分析を行い、それに基づいて算出した。
(イエロインデックス)
イエロインデックスは、日本電色工業株式会社製の測色色差計ZE−2000を用い、JIS Z−8722に準拠して測定した。
(メルトフローレート)
JIS K7210に準拠して、230℃、3.8kg荷重、10分間の条件で測定した。
(飽和吸水率)
厚さ2mmの平板を、縦100mm、横290mmに切断し試験片を得た。温度50℃、5mmHgの条件下において3日間試験片を真空乾燥させ、絶乾時の試験片W0の質量を測定した。その後、絶乾試験片を温度60℃、湿度90%の条件下で200時間放置した。その後、試験片の質量W1を測定した。以下、次式により百分率(%)で示される飽和吸水率(%)を求めた。
飽和吸水率={W1−W0}/W0×100
(ロックウェル硬度)
JIS K7202−2に従い、射出成形で得られた500mm×500mm×厚さ4mmの平板を用いてMスケールで測定した。
(曲げ強度)
実施例、比較例で得られたペレット状の(メタ)アクリル樹脂から作製した80mm×10mm×4mmの成形品を用いて、JIS K7203に準拠して測定した。
(外観評価)
後述する方法により作製した平板Tの外観を肉眼で観察した。ヒケなどの成形不良の有り無しで成形性の良否を判断した。
○;ヒケ、白濁、シルバーなどの不良が無い。
×;ヒケ、白濁またはシルバーが発生
(寸法変化率)
平板を温度60℃で相対湿度90%の恒温器に入れて大気中で500時間放置した。恒温器から平板を取り出して、長さ方向の寸法を測定した。恒温器に入れる前の長さ方向の寸法からの寸法変化率を算出した。
製造例1
攪拌機および採取管付オートクレーブに、精製されたメタクリル酸メチル95.5質量部、およびアクリル酸メチル4.5質量部を入れて単量体混合物を調製した。単量体混合物のイエロインデックスは0.9であった。単量体混合物に重合開始剤(2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル(AIBN)、水素引抜能:1%、1時間半減期温度:83℃)0.006および連鎖移動剤(n−オクチルメルカプタン)0.37質量部を加え溶解させて原料液を得た。窒素により製造装置内の酸素を追出した。
前記原料液を、オートクレーブから一定量で排出し、温度140℃に制御された連続流通式槽型反応器に、平均滞留時間120分間となるように、一定流量で供給して、塊状重合させた。反応器の採取管より反応液を分取し、ガスクロマトグラフィーによって測定したところ、重合転化率は55質量%であった。
反応器から排出される液を230℃に加温し、260℃に制御された二軸押出機に一定流量で供給した。該二軸押出機において未反応単量体を主成分とする揮発分が分離除去されて、樹脂成分がストランド状に押し出された。該ストランドをペレタイザーでカットし、ペレット状の(メタ)アクリル樹脂を得た。
製造例2
単量体混合物を、メタクリル酸メチル45質量部およびスチレン55質量部からなるものに変えた以外は実施例1と同じ手法によって、ペレット状のMS樹脂を得た。
製造例3
攪拌機および採取管付オートクレーブに、精製されたメタクリル酸メチル95.5質量部、およびアクリル酸メチル4.5質量部を入れて単量体混合物を調製した。単量体混合物のイエロインデックスは0.9であった。単量体混合物に重合開始剤(2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル(AIBN)、水素引抜能:1%、1時間半減期温度:83℃)0.005および連鎖移動剤(n−オクチルメルカプタン)0.17質量部を加え溶解させて原料液を得た。窒素により製造装置内の酸素を追出した。
前記原料液を、オートクレーブから一定量で排出し、温度140℃に制御された連続流通式槽型反応器に、平均滞留時間120分間となるように、一定流量で供給して、塊状重合させた。反応器の採取管より反応液を分取し、ガスクロマトグラフィーによって測定したところ、重合転化率は50質量%であった。
反応器から排出される液を230℃に加温し、260℃に制御された二軸押出機に一定流量で供給した。該二軸押出機において未反応単量体を主成分とする揮発分が分離除去されて、樹脂成分がストランド状に押し出された。該ストランドをペレタイザーでカットし、ペレット状の(メタ)アクリル樹脂を得た。
実施例1
製造例1で得られた(メタ)アクリル樹脂100質量部、およびm−テルフェニル5質量部を、二軸混練押出機(TEX−44α、L/D=40、日本製鋼所社製)を用いてシリンダー温度240℃、スクリュー回転数200rpmで混練押出して、ペレット状(メタ)アクリル樹脂組成物を得た。メルトフローレートを測定した。m−テルフェニルは、沸点が379℃、分子量が230、分子半径が0.38nmである。
ペレット状(メタ)アクリル樹脂組成物を、シリンダ温度280℃、金型温度75℃、成形サイクル1分で10回射出成形して、所定の大きさの平板を製造した。飽和吸水率、ロックウエル硬度、曲げ強度および寸法変化を測定した。
住友重機械工業株式会社製射出成形機:SE−180DU−HPを使用し、ペレット状の(メタ)アクリル樹脂組成物を、シリンダ温度280℃、金型温度75℃、成形サイクル1分で射出成形して、長さ205mm、幅160mm、厚さ0.5mmの平板Tを製造した。厚さに対する樹脂流動長さ(190mm)の比が380である。外観評価を行った。それらの結果を表1に示す。
実施例2
m−テルフェニルをビフェニルに変えた以外は実施例1と同じ手法によって、ペレット状の本発明の(メタ)アクリル樹脂組成物を得た。これらのペレット状(メタ)アクリル樹脂組成物の各種物性を実施例1と同じ手法で測定した。それらの結果を表1に示す。ビフェニルは、沸点が256℃、分子量が154、分子半径が0.33nmである。
実施例3
m−テルフェニルを1,4−ジ(シクロヘキシル)ベンゼンに変えた以外は実施例1と同じ手法によって、ペレット状の本発明の(メタ)アクリル樹脂組成物を得た。これらのペレット状(メタ)アクリル樹脂組成物の各種物性を実施例1と同じ手法で測定した。それらの結果を表1に示す。1,4−ジ(シクロヘキシル)ベンゼンは、沸点が195℃/13mmHg、分子量が242、分子半径が0.40nmである。
比較例1
m−テルフェニルを添加しなかった以外は実施例1と同じ手法によって、ペレット状の(メタ)アクリル樹脂組成物を得た。これらのペレット状(メタ)アクリル樹脂組成物の各種物性を実施例1と同じ手法で測定した。それらの結果を表1に示す。この(メタ)アクリル樹脂組成物は吸水率が高かく、これによって得られる射出成形品は寸法変化率が高かった。
比較例2
(メタ)アクリル樹脂を製造例2で得られたMS樹脂に変えた以外は比較例1と同じ手法によって、ペレット状の(メタ)アクリル樹脂組成物を得た。これらのペレット状の(メタ)アクリル樹脂組成物の各種物性を実施例1と同じ手法で測定した。それらの結果を表1に示す。この(メタ)アクリル樹脂組成物は硬度が低かった。
比較例3
(メタ)アクリル樹脂を製造例3で得られた樹脂に変えた以外は実施例1と同じ手法によって、ペレット状の(メタ)アクリル樹脂組成物を得た。これらのペレット状の(メタ)アクリル樹脂組成物の各種物性を実施例1と同じ手法で測定した。それらの結果を表1に示す。この(メタ)アクリル樹脂組成物は射出成形時にヒケが発生し、良好な外観の平板Tを得ることができなかった。そのため、寸法変化は測定しなかった。
比較例4
m−テルフェニルの量を0.5質量部に変えた以外は実施例1と同じ手法によって、ペレット状(メタ)アクリル樹脂組成物を得た。これらのペレット状(メタ)アクリル樹脂組成物の各種物性を実施例1と同じ手法で測定した。それらの結果を表1に示す。この(メタ)アクリル樹脂組成物は吸水率が高く、これによって得られる射出成形品は寸法変化率が高かった。
比較例5
m−テルフェニルをナフタレンに変えた以外は実施例1と同じ手法によって、ペレット状の(メタ)アクリル樹脂組成物の作製を試みたが、発泡が発生し、良好なペレットを得ることが出来なかったため、各種物性測定は実施しなかった。ナフタレンは、沸点が218℃、分子量が128.18、分子半径が0.31nmである。
比較例6
m−テルフェニルをヘキサフェニルベンゼンに変えた以外は実施例1と同じ手法によって、ペレット状の(メタ)アクリル樹脂組成物の作製を試みたが、ペレットに白濁が見られたため、各種物性測定は実施しなかった。ヘキサフェニルベンゼンは、沸点が450℃以上、分子量が535、分子半径が0.50nmである。
Figure 2013231128
表1に示すように、本発明の(メタ)アクリル樹脂組成物を用いると、透明性が高く、硬度が高く、強度が高く、飽和吸水率が低く、寸法変化が小さく、且つ外観良好な薄肉且つ広面積の成形品を高い生産効率で得ることができる。

Claims (8)

  1. メタクリル酸メチルに由来する構造単位80〜100質量%およびアクリル酸エステルに由来する構造単位0〜20質量%を含む(メタ)アクリル樹脂100質量部と、 炭素原子および水素原子のみから構成される5員環もしくは6員環構造を分子中に2〜4個有し、常温における沸点が250℃以上で且つ分子量が400未満である化合物1〜15質量部とを含有し、
    230℃および3.8kg荷重の条件におけるメルトフローレートが10g/10分以上である(メタ)アクリル樹脂組成物。
  2. 前記化合物は、原子団寄与法により求めた分子半径が0.30〜0.45nmである請求項1に記載の(メタ)アクリル樹脂組成物。
  3. 前記化合物が環集合化合物である、請求項1または2に記載の(メタ)アクリル樹脂組成物。
  4. 前記化合物が芳香族環集合化合物である、請求項1または2に記載の(メタ)アクリル樹脂組成物。
  5. 前記化合物がビフェニル基、テルフェニル基およびクアテルフェニル基からなる群から選ばれる少なくともひとつを有する化合物である、請求項1または2に記載の(メタ)アクリル樹脂組成物。
  6. 飽和吸水率が1.7%以下である請求項1〜5のいずれかひとつに記載の(メタ)アクリル樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかひとつに記載の(メタ)アクリル樹脂組成物からなる成形品。
  8. 厚さに対する樹脂流動長さの比が380以上である請求項7に記載の成形品。
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