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JP2013227384A - ポリエステル樹脂 - Google Patents

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JP2013227384A
JP2013227384A JP2012099153A JP2012099153A JP2013227384A JP 2013227384 A JP2013227384 A JP 2013227384A JP 2012099153 A JP2012099153 A JP 2012099153A JP 2012099153 A JP2012099153 A JP 2012099153A JP 2013227384 A JP2013227384 A JP 2013227384A
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dicarboxylic acid
acid
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JP2012099153A
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Takashi Hirokane
岳志 広兼
Takuya Minezaki
琢也 峯崎
Yasuaki Yoshimura
康明 吉村
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Original Assignee
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Abstract

【課題】透明性、耐熱性及び熱安定性に優れたポリエステル樹脂を提供する。
【解決手段】主としてジオール単位とジカルボン酸単位とを含むポリエステル樹脂であって、前記ジオール単位中の1〜70モル%が、特定のグリコール化合物に由来する単位であり、前記ジオール単位中の99〜30モル%が他のジオール単位であり、前記ジカルボン酸単位中の30モル%以上が芳香族ジカルボン酸単位であり、かつ下記条件(1)〜(3)のすべてを満たす、ポリエステル樹脂。
(1)測定温度260℃、剪断速度100s-1で測定した際の溶融粘度が100〜2000Pa・sの範囲内である。
(2)示差走査型熱量計で測定されるポリエステル樹脂のガラス転移温度が85℃以上であり、かつ降温時結晶化発熱ピークの熱量が5J/g以下である。
(3)ポリエステル樹脂中のリン原子の濃度が10〜500ppmの範囲内である。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステル樹脂に関し、詳しくは、トリシクロデカン又はペンタシクロペンタデカン骨格を有する特定のグリコールに由来する単位を有するポリエステル樹脂に関する。
ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」ということがある。)は、透明性、機械的強度、溶融安定性、耐溶剤性、保香性、リサイクル性に優れるという特長を有し、フィルム、シート、中空容器等に広く利用されているポリエステル樹脂である。しかしながら、PETはガラス転移温度が必ずしも十分に高いとはいえず、また、厚肉成形体を得る場合にはその結晶性により透明性が損なわれることがあるため、共重合による改質が広く行われている。
トリシクロデカンジメタノールやペンタシクロペンタデカンジメタノールは嵩高く、剛直な骨格を有しているため、これらを用いたポリエステル樹脂はガラス転移温度が高くなり、結晶性が抑制されて成形体の透明性が向上することが期待される(特許文献1及び2を参照)。
特開2007−238856号公報 特開昭58−174419号公報
しかしながら、上記特許文献に開示されたポリエステル樹脂は、熱安定性が不十分で、高温環境下で着色するという問題がある。
本発明が解決しようとする課題は、透明性、耐熱性及び熱安定性に優れたポリエステル樹脂を提供することにある。
本発明は、以下のポリエステル樹脂に関する。
主としてジオール単位とジカルボン酸単位とを含むポリエステル樹脂であって、前記ジオール単位中の1〜70モル%が、下記式(i)で表されるトリシクロデカンジメタノール、下記式(ii)で表されるペンタシクロペンタデカンジメタノール、及び下記式(iii)で表されるペンタシクロペンタデカンジメタノールからなる群から選ばれるグリコール化合物に由来する単位であり、前記ジオール単位中の99〜30モル%が他のジオール単位であり、前記ジカルボン酸単位中の30モル%以上が芳香族ジカルボン酸単位であり、かつ下記条件(1)〜(3)のすべてを満たす、ポリエステル樹脂。
(1)測定温度260℃、剪断速度100s-1で測定した際の溶融粘度が100〜2000Pa・sの範囲内である。
(2)示差走査型熱量計で測定されるポリエステル樹脂のガラス転移温度が85℃以上であり、かつ降温時結晶化発熱ピークの熱量が5J/g以下である。
(3)ポリエステル樹脂中のリン原子の濃度が10〜500ppmの範囲内である。
Figure 2013227384
本発明のポリエステル樹脂は、透明性、耐熱性及び熱安定性に優れ、成形時の着色、高温環境下での使用時の着色を抑えることができる。
本発明のポリエステル樹脂は、主としてジオール単位とジカルボン酸単位とを含むポリエステル樹脂であって、前記ジオール単位中の1〜70モル%が、下記式(i)で表されるトリシクロデカンジメタノール、下記式(ii)で表されるペンタシクロペンタデカンジメタノール、及び下記式(iii)で表されるペンタシクロペンタデカンジメタノールからなる群から選ばれるグリコール化合物に由来する単位であり、前記ジオール単位中の99〜30モル%が他のジオール単位であり、前記ジカルボン酸単位中の30モル%以上が芳香族ジカルボン酸単位であり、かつ下記条件(1)〜(3)のすべてを満たす。
(1)測定温度260℃、剪断速度100s-1で測定した際の溶融粘度が100〜2000Pa・sの範囲内である。
(2)示差走査型熱量計で測定されるポリエステル樹脂のガラス転移温度が85℃以上であり、かつ降温時結晶化発熱ピークの熱量が5J/g以下である。
(3)ポリエステル樹脂中のリン原子の濃度が10〜500ppmの範囲内である。
Figure 2013227384
本発明のポリエステル樹脂に含まれるジオール単位において、前記式(i)〜(iii)のいずれかで表されるトリシクロデカンジメタノール又はペンタシクロペンタデカンジメタノールに由来する単位の合計の割合は、全ジオール単位中の1〜70モル%であり、好ましくは3〜60モル%、更に好ましくは5〜50モル%である。
上記のトリシクロデカンジメタノール又はペンタシクロペンタデカンジメタノールに由来する単位を上記割合でジオール単位中に含有することにより、本発明のポリエステル樹脂のガラス転移温度の上昇が達成され、当該ポリエステル樹脂は耐高温性が向上する。加えて、結晶性が低下し、厚肉成形体を成形する際の結晶化による白化、脆化が起こらない。上記のトリシクロデカンジメタノール又はペンタシクロペンタデカンジメタノールに由来する単位の割合が全ジオール単位中1モル%未満であると、ポリエステル樹脂のガラス転移温度の上昇効果が十分に得られず、また、結晶性の低下効果も十分に得られないことがあり、好ましくない。一方、これらの単位の割合が全ジオール単位中70モル%を超えるとポリエステル樹脂の溶融粘度が著しく高くなることがあり、好ましくない。
前記式(i)で表されるトリシクロデカンジメタノールの具体例としては、3,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02-6]デカン、3,9−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02-6]デカン、4,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02-6]デカン、4,9−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02-6]デカン、5,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02-6]デカン、5,9−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02-6]デカン等が挙げられる。
前記式(ii)で表されるペンタシクロペンタデカンジメタノールの具体例としては、4,10−ビス(ヒドロキシメチル)ペンタシクロ[6.5.1.13-6.02-7.09-13]ペンタデカン、4,11−ビス(ヒドロキシメチル)ペンタシクロ[6.5.1.13-6.02-7.09-13]ペンタデカン、4,12−ビス(ヒドロキシメチル)ペンタシクロ[6.5.1.13-6.02-7.09-13]ペンタデカン、5,10−ビス(ヒドロキシメチル)ペンタシクロ[6.5.1.13-6.02-7.09-13]ペンタデカン、5,11−ビス(ヒドロキシメチル)ペンタシクロ[6.5.1.13-6.02-7.09-13]ペンタデカン、5,12−ビス(ヒドロキシメチル)ペンタシクロ[6.5.1.13-6.02-7.09-13]ペンタデカン等が挙げられる。
前記式(iii)で表されるペンタシクロペンタデカンジメタノールの具体例としては、5,12−ビス(ヒドロキシメチル)ペンタシクロ[9.2.1.14-7.02-10.03-8]ペンタデカン、5,13−ビス(ヒドロキシメチル)ペンタシクロ[9.2.1.14-7.02-10.03-8]ペンタデカン、6,12−ビス(ヒドロキシメチル)ペンタシクロ[9.2.1.14-7.02-10.03-8]ペンタデカン、6,13−ビス(ヒドロキシメチル)ペンタシクロ[9.2.1.14-7.02-10.03-8]ペンタデカン等が挙げられる。
ガラス転移温度上昇効果は前記式(i)で表されるトリシクロデカンジメタノールよりも前記式(ii)又は(iii)で表されるペンタシクロペンタデカンジメタノールの方が大きい。そのため、ポリエステル樹脂のガラス転移温度を上げる観点からは、全ジオール単位中の1〜70モル%が、前記式(ii)で表されるペンタシクロペンタデカンジメタノール及び/又は前記式(iii)で表されるペンタシクロペンタデカンジメタノールに由来する単位であることが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂に含まれるジオール単位において、上記のトリシクロデカンジメタノール又はペンタシクロペンタデカンジメタノールに由来する単位以外のジオール単位(他のジオール単位)としては、特に限定はされない。
他のジオール単位としては、脂肪族ジオール類、脂環式ジオール類、ポリエーテル化合物類、ビスフェノール類及びそのアルキレンオキシド付加物、芳香族ジヒドロキシ化合物及びそのアルキレンオキシド付加物等に由来する単位が例示できる。
脂肪族ジオール類としては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。
脂環式ジオール類としては、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,3−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,4−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,5−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,6−デカヒドロナフタレンジメタノール、2,7−デカヒドロナフタレンジメタノール、テトラリンジメタノール等が挙げられる。
ポリエーテル化合物類としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等が挙げられる。
ビスフェノール類としては、4,4’−(1−メチルエチリデン)ビスフェノール、メチレンビスフェノール(ビスフェノールF)、4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノール(ビスフェノールZ)、4,4’−スルホニルビスフェノール(ビスフェノールS)等が挙げられる。
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、ヒドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルベンゾフェノン等が挙げられる。
ポリエステル樹脂の機械強度、耐熱性、及びジオールの入手容易性の観点からは、エチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等に由来する単位が好ましく、エチレングリコール単位が特に好ましい。
これらのジオール単位は、単独で又は2種以上を組み合わせて含んでもよい。
本発明のポリエステル樹脂に含まれるジカルボン酸単位において、芳香族ジカルボン酸単位の割合は、全ジカルボン酸単位中の30モル%以上であり、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、更に好ましくは90モル%以上、特に好ましくは100モル%である。芳香族ジカルボン酸単位を上記割合でジカルボン酸単位中に含有することにより、本発明のポリエステル樹脂は耐熱性、機械物性が優れたものとなる。
芳香族ジカルボン酸単位としては、特に限定はされないが、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2−メチルテレフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、テトラリンジカルボン酸等に由来する単位が例示できる。ポリエステル樹脂の機械強度、耐熱性、入手容易性の観点からは、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する単位が好ましく、経済性の観点からは、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸に由来する単位が特に好ましい。なお、本明細書中、カルボン酸は、カルボン酸と炭素数1〜6のアルコールとのエステル体として使用してもよい。
芳香族ジカルボン酸単位は、単独で又は2種以上を組み合わせて含んでもよい。
本発明のポリエステル樹脂に含まれるジカルボン酸単位において、芳香族ジカルボン酸単位以外のジカルボン酸単位(他のジカルボン酸単位)としては、特に限定はされない。
他のジカルボン酸単位の具体例としては、脂肪族ジカルボン酸に由来する単位が例示できる。
脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸、トリシクロデカンジカルボン酸、ペンタシクロドデカンジカルボン酸、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−カルボキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、5−カルボキシ−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−カルボキシエチル)−1,3−ジオキサン、ダイマー酸等が挙げられる。なお、これらの脂肪族ジカルボン酸は、脂肪族ジカルボン酸と炭素数1〜6のアルコールとのエステル体として使用してもよい。
本発明のポリエステル樹脂は、主としてジオール単位とジカルボン酸単位とを含むが、溶融粘弾性や分子量等を調整するために、本発明の目的を損なわない範囲で、モノアルコールに由来する単位、3価以上の多価アルコールに由来する単位、モノカルボン酸に由来する単位、多価カルボン酸に由来する単位、オキシ酸に由来する単位を含んでもよい。
モノアルコールとしては、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール等が挙げられる。3価以上の多価アルコールとしては、トリメチロールプロパン、グリセリン、1,3,5−ペンタントリオール、ペンタエリスリトール等が挙げられる。モノカルボン酸としては、安息香酸、プロピオン酸、酪酸等が挙げられる。多価カルボン酸としては、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。オキシ酸としては、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシイソ酪酸、ヒドロキシ安息香酸等が挙げられる。
本発明のポリエステル樹脂は、リン原子を10〜500ppmの範囲で含有する。本発明のポリエステル樹脂中のリン原子の濃度は、好ましくは15〜300ppm、より好ましくは20〜200ppm、更に好ましくは30〜100ppmである。
リン原子を上記範囲で含有することで、本発明のポリエステル樹脂は、成形時の着色や高温環境下での使用時の着色を抑制することができる。リン原子の含有量が10ppm未満では、着色の抑制効果が十分に得られないことがあり、好ましくない。一方、リン原子の含有量が500ppmを超えると、重合速度が著しく遅くなったり、十分な重合度まで上げることができないことがあり好ましくない。加えて、リン原子の含有量が500ppmを超える場合に、それ以上の着色抑制効果は得られず、好ましくない。
本発明のポリエステル樹脂に含有されるリン原子は、樹脂の製造時のいかなるタイミングで含有させてもよい。特に限定はされないが、例えば、原料仕込み時、エステル交換又はエステル化反応の開始時又は途中、重縮合反応の開始時、途中又は終了時に、反応系にリン化合物を加えることで、ポリエステル樹脂にリン原子を含有させることができる。
本発明のポリエステル樹脂に含有されるリン原子はリン化合物由来のものであり、特に限定されない。
リン化合物としては、リン酸、亜リン酸、リン酸エステル、亜リン酸エステル等を挙げることができる。リン酸エステルとしては、リン酸メチル、リン酸エチル、リン酸ブチル、リン酸フェニル、リン酸ジメチル、リン酸ジエチル、リン酸ジブチル、リン酸ジフェニル、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリブチル、リン酸トリフェニル等を挙げることができる。亜リン酸エステルとしては、亜リン酸メチル、亜リン酸エチル、亜リン酸ブチル、亜リン酸フェニル、亜リン酸ジメチル、亜リン酸ジエチル、亜リン酸ジブチル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリブチル、亜リン酸トリフェニル等を挙げることができる。
これらの中で、ポリエステル樹脂にリン原子を定量的に含有させることができるという観点から、リン酸が特に好ましい。これらは単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明のポリエステル樹脂を製造する方法は特に制限されず、従来公知のポリエステルの製造方法を適用することができる。例えばエステル交換法、直接エステル化法等の溶融重合法、又は溶液重合法等を挙げることができる。
本発明のポリエステル樹脂の製造時には、通常のポリエステル樹脂の製造時に用いるエステル交換触媒、エステル化触媒、重縮合触媒を使用することができる。これらの触媒としては特に限定は無いが、例えば、亜鉛、鉛、セリウム、カドミウム、マンガン、コバルト、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、ニッケル、マグネシウム、バナジウム、アルミニウム、チタン、アンチモン、ゲルマニウム、スズ等の金属の化合物(例えば、脂肪酸塩、炭酸塩、リン酸塩、水酸化物、塩化物、酸化物、アルコキシド)や金属マグネシウム等が挙げられる。これらは単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
触媒としては、上記した中でマンガン、コバルト、亜鉛、チタン、カルシウム、アンチモン、ゲルマニウムの化合物が好ましく、マンガン、アンチモンの化合物がより好ましく、酢酸マンガン、三酸化アンチモンが特に好ましい。これらの触媒の使用量は、特に限定は無いが、ポリエステル樹脂の原料に対して金属成分としての量が、好ましくは1〜1000ppm、より好ましくは5〜500ppm、更に好ましくは10〜250ppmである。
また、本発明のポリエステル樹脂の製造時には、エーテル化防止剤、熱安定剤、光安定剤等の各種安定剤、重合調整剤等を使用することができる。
本発明のポリエステル樹脂には、本発明の目的を損なわない範囲で、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、増量剤、艶消し剤、乾燥調節剤、帯電防止剤、沈降防止剤、界面活性剤、流れ改良剤、乾燥油、ワックス類、フィラー、着色剤、補強剤、表面平滑剤、レベリング剤、硬化反応促進剤、増粘剤等の各種添加剤、成形助剤を添加することができる。
本発明のポリエステル樹脂は、測定温度260℃、剪断速度100s-1で測定した際の溶融粘度が100〜2000Pa・sの範囲内であり、好ましくは200〜1500Pa・s、より好ましくは300〜1000Pa・sである。
溶融粘度を上記範囲内とすることで、本発明のポリエステル樹脂は十分な機械物性及び良好な成形性を発現することができる。溶融粘度が100Pa・s未満であると耐衝撃性に劣る等、十分な機械物性が得られないことがあり、好ましくない。一方、溶融粘度が2000Pa・sを超えると、例えば射出成形時に金型への転写を十分に行いにくくなる等、成形性に問題が出ることがあり、好ましくない。
なお、溶融粘度は、上記範囲内であれば、成形方法や用途に応じて適宜選択することができる。溶融粘度は、キャピラリー径1mmφ及びキャピラリー長10mmの条件で測定される。
本発明のポリエステル樹脂は、示差走査型熱量計で測定されるガラス転移温度が85℃以上であり、かつ降温時結晶化発熱ピークの熱量が5J/g以下である。ガラス転移温度は昇温速度20℃/分で測定され、降温時結晶化発熱ピークの熱量は降温速度5℃/分で測定される。
ガラス転移温度が85℃以上であることで、本発明のポリエステル樹脂は、PETに比べて耐熱性が向上する。ガラス転移温度は、上記観点から、好ましくは90℃以上、より好ましくは100℃以上、更に好ましくは110℃以上、特に好ましくは120℃以上である。ガラス転移温度の上限値は、特に制限はないが、ポリエステル樹脂の単位の種類及びその組成を考慮すると、通常160℃である。
また、降温時結晶化発熱ピークの熱量が5J/g以下であることで、本発明のポリエステル樹脂は、結晶性が抑えられ、厚肉成形時の結晶化による透明性の低下を抑制することができる。降温時結晶化発熱ピークの熱量は、上記観点から、好ましくは3J/g以下、より好ましくは1J/g以下、更に好ましくは0J/gである。
本発明のポリエステル樹脂は、種々の用途に用いることができる。例えば、射出成形体、シート、フィルム、パイプ等の押し出し成形体、ボトル、発泡体、粘着材、接着剤、塗料等に用いることができる。
シートは単層でも多層でもよく、フィルムも単層でも多層でもよく、また未延伸のものでも、一方向、又は二方向に延伸されたものでもよく、鋼板等に積層してもよい。ボトルはダイレクトブローボトルでもインジェクションブローボトルでもよく、射出成形されたものでもよい。発泡体は、ビーズ発泡体でも押し出し発泡体でもよい。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によりその範囲を限定されるものではない。なお、評価方法は次の通りである。
<ポリエステル樹脂の評価方法>
(1)樹脂組成
ポリエステル樹脂中のジオール単位及びジカルボン酸単位の割合は、1H−NMR測定にて算出した。測定装置は、核磁気共鳴装置(日本電子(株)製、商品名:JNM−AL400)を用い、400MHzで測定した。溶媒には重トリフルオロ酢酸/重クロロホルム(1/9:質量比)を用いた。
(2)ガラス転移温度(Tg)
ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量計((株)島津製作所製、商品名:DSC/TA−60WS)を使用し、ポリエステル樹脂約10mgをアルミニウム製非密封容器に入れ、窒素ガス(30ml/分)気流中、昇温速度20℃/分で280℃まで加熱、溶融したものを急冷して測定用試料とした。該試料を同条件で測定し、DSC曲線の転移前後における基線の差の1/2だけ変化した温度をガラス転移温度とした。
(3)降温時結晶化発熱量(ΔHc)
ポリエステル樹脂の降温時結晶化発熱量は、上記Tgを測定後280℃で1分間保持した後、5℃/分の降温速度で降温した際に現れる発熱ピークの面積から算出した。
(4)溶融粘度
ポリエステル樹脂の溶融粘度は、キャピラリーレオメータ((株)東洋精機製作所製、商品名:キャピログラフ1C)を用い、260℃、予熱時間1分で測定した。キャピラリー径1mmφ及びキャピラリー長10mmの条件で測定し、剪断速度100s-1の値を溶融粘度とした。
(5)リン原子の濃度
ポリエステル樹脂中のリン原子の濃度は、ICP発光分析装置((株)島津製作所製、商品名:ICPE−9000)を用いて測定した。
(6)熱安定性
ポリエステル樹脂の熱安定性は、ペレットを120℃の熱風乾燥機にて24時間保持した前後のYI値をJIS K7103に従って反射法にて測定して評価した。測定は、測色色差計(日本電色工業(株)製、商品名:カラーメーターZE−2000)を用いて行った。
(7)透明性
ポリエステル樹脂の透明性は、3.2mm厚の射出成形体の円盤をサンプルとして、JIS K7105に従って透過法にて全光線透過率及びヘイズを測定して評価した。測定は、色差/濁度測定機(日本電色工業(株)製、商品名:COH−400)を用いて行った。なお、射出成形は、射出成形機(住友重機械工業(株)製、商品名:SE130DU−HP)を用いて、シリンダー温度240〜260℃、金型温度35℃の温度条件で行った。
実施例1及び比較例1
〔ポリエステル樹脂の製造、評価〕
分縮器、全縮器、コールドトラップ、撹拌機、加熱装置、窒素導入管を備えた6Lのポリエステル製造装置に、表1に記載の原料モノマーを仕込み、0.3MPaの窒素加圧下、250℃まで昇温してエステル化反応を行った。ジカルボン酸成分の反応転化率を90%以上とした後、ジカルボン酸成分に対して、酸化アンチモン(III)0.01モル%及び表1に記載の量のリン酸又はリン酸トリエチルを加え、昇温と減圧を徐々に行い、最終的に280℃、0.1kPa以下で重縮合を行った。適度な溶融粘度になった時点で反応を終了し、ポリエステル樹脂をそれぞれ製造した。
実施例2及び比較例2〜4
〔ポリエステル樹脂の製造、評価〕
分縮器、全縮器、コールドトラップ、撹拌機、加熱装置、窒素導入管を備えた6Lのポリエステル製造装置に、表2に記載の原料モノマーを仕込み、ジカルボン酸成分に対して酢酸マンガン4水和物0.03モル%をエステル交換触媒として窒素雰囲気下、225℃まで昇温してエステル交換反応を行った。ジカルボン酸成分の反応転化率を90%以上とした後、ジカルボン酸成分に対して、酸化アンチモン(III)0.01モル%及び表2に記載の量のリン酸又はリン酸トリエチルを加え、昇温と減圧を徐々に行い、最終的に280℃、0.1kPa以下で重縮合を行った。適度な溶融粘度になった時点で反応を終了し、ポリエステル樹脂をそれぞれ製造した。
なお、表中の略記の意味は下記の通りである。
PTA:テレフタル酸
NDCM:2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル
DMT:テレフタル酸ジメチル
EG:エチレングリコール
TCDDM:トリシクロデカンジメタノール(オクセア・ジャパン社製)
PCPDM:ペンタシクロペンタデカンジメタノール
TEP:リン酸トリエチル
Figure 2013227384
Figure 2013227384
本発明のポリエステル樹脂は、透明性、耐熱性及び熱安定性に優れ、成形時の着色、高温環境下での使用時の着色を抑えることができる。本発明のポリエステル樹脂を用いることで、厚肉で、透明性、耐熱性及び耐熱性に優れた成形体を製造することができるので、本発明の工業的意義は大きい。

Claims (5)

  1. 主としてジオール単位とジカルボン酸単位とを含むポリエステル樹脂であって、前記ジオール単位中の1〜70モル%が、下記式(i)で表されるトリシクロデカンジメタノール、下記式(ii)で表されるペンタシクロペンタデカンジメタノール、及び下記式(iii)で表されるペンタシクロペンタデカンジメタノールからなる群から選ばれるグリコール化合物に由来する単位であり、前記ジオール単位中の99〜30モル%が他のジオール単位であり、前記ジカルボン酸単位中の30モル%以上が芳香族ジカルボン酸単位であり、かつ下記条件(1)〜(3)のすべてを満たす、ポリエステル樹脂。
    (1)測定温度260℃、剪断速度100s-1で測定した際の溶融粘度が100〜2000Pa・sの範囲内である。
    (2)示差走査型熱量計で測定されるポリエステル樹脂のガラス転移温度が85℃以上であり、かつ降温時結晶化発熱ピークの熱量が5J/g以下である。
    (3)ポリエステル樹脂中のリン原子の濃度が10〜500ppmの範囲内である。
    Figure 2013227384
  2. 前記ジオール単位中の1〜70モル%が、前記式(ii)で表されるペンタシクロペンタデカンジメタノール及び/又は前記式(iii)で表されるペンタシクロペンタデカンジメタノールに由来する単位である、請求項1に記載のポリエステル樹脂。
  3. 前記芳香族ジカルボン酸単位がテレフタル酸及び/又はイソフタル酸に由来する単位である、請求項1又は2に記載のポリエステル樹脂。
  4. 前記他のジオール単位がエチレングリコールに由来する単位である、請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル樹脂。
  5. リン原子がリン酸由来のリン原子である、請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル樹脂。
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