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JP2013214591A - サーミスタ形成用厚膜組成物、ペースト組成物、およびそれを用いたサーミスタ - Google Patents

サーミスタ形成用厚膜組成物、ペースト組成物、およびそれを用いたサーミスタ Download PDF

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Katsuhiro Kawakubo
川久保勝弘
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Abstract

【課題】セラミック基板上に鉛を含まない厚膜サーミスタを形成するために用いられる厚膜サーミスタ形成用組成物、ペースト組成物、およびそれを用いた電圧の負荷等による抵抗値変化も小さく、信頼性に優れたサーミスタを提供する。
【解決手段】ルテニウム系導電性粒子(A)、ガラスフリット粉末(B)、およびPd−Ag系粉末(C)を含む厚膜サーミスタ形成用組成物であって、ルテニウム系導電性粒子(A)がYRu、NdRu、SmRu、またはGdRuから選ばれた少なくとも1種の導電性粒子で、ガラスフリット粉末(B)が、PbおよびCdを含有しない粉末であり、また、Pd−Ag系粉末(C)が、Ag粉末、Pd粉末あるいはPd−Ag合金粉末から選ばれ、AgとPdの重量比Pd/(Ag+Pd)が0〜60%の粉末からなり、かつ、各成分の含有量が、ルテニウム系導電性粒子(A)4〜60重量%、ガラスフリット粉末(B)10〜80重量%、およびPd−Ag系粉末(C)5〜60重量%であることを特徴とする厚膜サーミスタ形成用組成物などにより提供。
【選択図】なし

Description

本発明は、厚膜サーミスタ形成用組成物、ペースト組成物、およびそれを用いたサーミスタに関し、より詳しくは、セラミック基板上に鉛を含まない厚膜サーミスタを形成するために用いられる厚膜サーミスタ形成用組成物、ペースト組成物、およびそれを用いた電圧の負荷等による抵抗値変化も小さく、信頼性に優れたサーミスタに関する。
サーミスタは、温度変化に応じて抵抗値が変化する抵抗体であり、温度検出や温度制御、自己温度制御加熱器や電力計などに広く応用されている。サーミスタは温度が高くなるほど抵抗値が低くなるNTCと、逆に温度が高くなる抵抗値が高くなるPTCに分類されるが、通常サーミスタとはNTCのものをさす。サーミスタはディスク型、薄膜型、厚膜型があり、このうち厚膜型サーミスタは絶縁性のセラミック基板に導電性粒子とガラスフリットからなるペーストを塗布し焼成することによって製造され、小型で安価という利点がある。
厚膜型のサーミスタ組成物に関しては、特許第3907725号(特許文献1)、特開2008−192784(特許文献2)にRu系の導電性酸化物粒子を用いたものが提案されている。
この特許文献1には、Ru系の導電性酸化物粒子とBi2O3を含むガラスフリットからなる組成物が記載されている。しかしながら、抵抗値を100Ω以下にした場合に温度係数が十分にマイナスなものが得られていない。
また、特許文献2には、YRu、NdRu、SmRu、およびGdRuから選ばれた少なくとも1種類のルテニウム系導電性粒子とBiを含まないガラスフリットからなる組成物が記載されている。しかし、抵抗値を低くするためにはルテニウム系導電性粒子の含有率を高める必要があり、ルテニウム系導電性粒子の含有率を高くし過ぎると、焼成された厚膜にクラックが生じ易いという問題があった。また、ルテニウム系導電性粒子の含有率を高くし過ぎると、焼成時にRu酸化物が周囲に飛散し、セラミック基板の絶縁性が低下し信頼性が劣化したり、サーミスタの電極部分にRu酸化物が付着して電極へのはんだ濡れの阻害やメッキが付きにくくなるという問題がある。
特許第3907725号公報 特開2008−192784号公報
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、セラミック基板上に鉛を含まない厚膜サーミスタを形成するために用いられる厚膜サーミスタ形成用組成物、ペースト組成物、およびそれを用いた電圧の負荷等による抵抗値変化も小さく、信頼性に優れたサーミスタを提供することである。
本発明者は、上述した従来の課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、厚膜サーミスタ形成用組成物の組成を、(a)YRu、NdRu、SmRu、およびGdRuから選ばれた少なくとも1種類のルテニウム系導電性粒子4〜60重量%と;(b)鉛を含有しないガラスフリット粉末10〜80重量%と;(c)AgとPdの重量比Pd/(Ag+Pd)を0〜60%とするAgとPdの合計が5〜60重量%とすることにより、この厚膜サーミスタ形成用組成物を用いれば、従来達成できなかった、負に充分大きい抵抗温度係数を持ち、抵抗値の低いNTC特性を有する厚膜サーミスタが得られ、電圧の負荷等による抵抗値変化も小さく、信頼性に優れたものとなることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、ルテニウム系導電性粒子(A)、ガラスフリット粉末(B)、およびPd−Ag系粉末(C)を含む厚膜サーミスタ形成用組成物であって、ルテニウム系導電性粒子(A)がYRu、Nd2Ru2O7、SmRu、またはGdRuから選ばれた少なくとも1種の導電性粒子で、ガラスフリット粉末(B)が、PbおよびCdを含有しない粉末であり、また、Pd−Ag系粉末(C)が、Ag粉末、Pd粉末あるいはPd−Ag合金粉末から選ばれ、AgとPdの重量比Pd/(Ag+Pd)が0〜60%の粉末からなり、かつ、各成分の含有量が、ルテニウム系導電性粒子(A)4〜60重量%、ガラスフリット粉末(B)10〜80重量%、およびPd−Ag系粉末(C)5〜60重量%であることを特徴とする厚膜サーミスタ形成用組成物が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、ガラスフリット(B)は、Li、NaおよびKの含有率が0.1重量%以下であり、軟化点が870℃以下であることを特徴とする厚膜サーミスタ形成用組成物が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、ルテニウム系導電性粒子(A)の含有率が、30〜60重量%であることを特徴とする厚膜サーミスタ形成用組成物が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、ガラスフリット粉末(B)の含有率が、10〜40重量%であることを特徴とする厚膜サーミスタ形成用組成物が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、Pd−Ag系粉末の含有率が、5〜40重量%であることを特徴とする厚膜サーミスタ形成用組成物が提供される。
一方、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明の厚膜サーミスタ形成用組成物に、ClおよびBrの含有率が100ppmより小さい有機媒体(D)を配合し、その配合量を組成物100重量部に対して、15重量部以上としてなるペースト組成物が提供される。
さらに、本発明の第7の発明によれば、第6の発明のペースト組成物をセラミック基板に塗布し、酸化雰囲気下、750〜900℃の温度で焼成して形成されたサーミスタが提供される。
本発明の厚膜サーミスタ形成用組成物を用いれば、優れた抵抗温度係数を有し、バラツキの小さい低抵抗の小型の厚膜型サーミスタを安価に製造することができる。また、ルテニウム系導電性粒子の含有率が高過ぎないので、焼成された厚膜にクラックが生じにくく、焼成時にRu酸化物が周囲に飛散しないので作業性がよく、サーミスタの電極部分にRu酸化物が付着して電極へのはんだ濡れの阻害やメッキの付きを悪くすることがない。しかも、セラミック基板の絶縁性が低下しないので信頼性が劣化せず、さらに、本発明の組成物には人体に有害なPbおよびCdを含んでいないため、環境汚染を防止することができる。
1.厚膜サーミスタ組成物
本発明の厚膜サーミスタ組成物は、(a)YRu、NdRu、SmRu、およびGdRuから選ばれた少なくとも1種類のルテニウム系導電性粒子と;(b)PbおよびCdを含しないガラスフリット粉末;(c)Ag粉末とPd粉末あるいはこれらの合金粉末によって構成されている。
(A)ルテニウム系導電性粒子
ルテニウム系導電性粒子はYRu、NdRu、SmRu、GdRuのいずれか1種を用いるかあるいは2種以上を併用する。負の温度係数はこれらのルテニウム系導電性粒子によって得られている。
負の大きな抵抗温度係数が望まれる場合は、これらの中でYRuが最も好ましい。
ルテニウム系導電性粒子は、その粒径によって制限されないが、低温での抵抗値のバラツキを小さくし、電圧負荷による抵抗値変化を小さくするためには1μm以下とする。ルテニウム系導電性粒子の粒径は、好ましくは0.1μm以下にする。
ルテニウム系導電性粒子は、その形状によって制限されず、各種の製法で得られたものを使用できる。例えば、Ruをアルカリ溶解して得たNa2RuO4の水溶液に、アルコールを含むY、Nd,Sm,Gdから選ばれる1種以上の硝酸化合物水溶液を添加し、得られた沈殿物を洗浄、乾燥し、大気中600〜1000℃で1〜3時間焙焼して、YRuの粉末を得ることができる。
このほかに、RuO粉末とY、Nd、Sm、Gdのいずれかの粉末と混合し、焙焼したのち粉砕する方法によっても製造することができる。
本発明では、ルテニウム系導電性粒子の配合率を4〜60重量%とする。これより少ないと充分な負の抵抗温度係数が得られず、また、これより多いと焼成膜が脆く、焼成時にRu酸化物が周囲に飛散し易くなるからである。好ましい含有率が30〜60重量%であり、より好ましい含有率が40〜60重量%である。
(B)ガラスフリット粉末
本発明において、ガラスフリットは焼成されることによって軟化し導電性粒子を結合させ厚膜を形成し、さらにその厚膜を基板に密着させる働きを担っている。
また、近年では環境汚染を防止する観点から、電子部品にPbおよびCdを含有することが避けられている。本発明においても、PbおよびCdを含まないサーミスタを提供するために、ガラスフリットの組成はPbおよびCdを含有しないようにする。そして、電圧を負荷されたときの信頼性を劣化させないために、Li、NaおよびKのアルカリ金属成分の含有率が0.1重量%以下であるものが好ましい。
また、ガラス中のBが多いと、YRu、NdRu、SmRu、GdRuが焼成中に分解し、ルテニウム系導電性粒子の含有量が多い場合にRu酸化物が周囲に飛散しサーミスタの信頼性が低下したり、端子電極への接続が不完全になる場合がある。また、YRu、NdRu、SmRu、GdRuが分解すると負の温度係数が得られない恐れがある。そのため、ガラス組成中のBの含有量は換算で10重量%以下とすることが好ましい。
厚膜サーミスタを製造する際の焼成温度は、下限が750℃であり、経済的な観点からその上限が900℃である。ガラスの軟化点は、この焼成温度の範囲から870℃以下であることが好ましい。
ガラスフリットの配合率は、10〜80重量%の範囲とする。これより少ないと焼成膜が脆くなり、また、基板への密着力が乏しい。逆にこれよりも多い場合、相対的にルテニウム系導電性粒子の配合量が少なくなるため、抵抗値が高くなり過ぎ、不安定となる。好ましいガラスフリットの含有率は10〜40重量%であり、より好ましくは10〜30重量%である。
ガラスフリットはボールミル、ビーズミル等で粉砕されたものを用いれば良いが、定温での抵抗値のバラツキを小さくし、電圧負荷による抵抗値変化を小さくするためには、粒径は5μm以下である事が望ましい。
(C)Pd−Ag系粉末
本発明において、Pd−Ag系粉末、すなわちAg粉末とPd粉末あるいはこれらの合金粉末は、サーミスタの抵抗値をさげる目的で配合される。これらは焼成されることによって焼結する。Ag粉末、Pd粉末は、それぞれ単独の粉末であっても焼成中に完全に合金化する。AgとPdの重量比Pd/(Ag+Pd)は、0〜60%とする。これよりPdが多いと経済的ではない。一方、Pdを全く含まない場合は抵抗値のバラツキが大きくなる傾向が見られるようになる。したがって、好ましいAgとPdの重量比Pd/(Ag+Pd)は5〜60%である。
Ag粉末とPd粉末あるいはこれらの合金粉末の配合率は、5〜60重量%とする。5重量%よりも少ないと抵抗値を下げる効果が無く、60重量%よりも多いと負の抵抗温度係数が得られない。Pd−Ag系粉末の含有率は、5〜40重量%であることが好ましく、より好ましい含有率は5〜30重量%である。
Ag粉末とPd粉末あるいはこれらの合金粉末は、その製造方法や粒形状によって制限されないが、粒径が大き過ぎると抵抗値のバラツキが大きくなる。このため好ましい粒径は5μm以下である。
本発明の厚膜サーミスタ形成用組成物においては、上記の必須成分の他に、電気的特性を調整するために従来から使用されている様々な添加剤を加える事ができる。すなわち、面積抵抗値や抵抗温度係数の調整、膨張係数の調整、耐電圧性の向上やその他の改質を目的とした添加剤を含んでもなんら差し支えない。厚膜抵抗体用組成物の添加剤としては、MnO、CuO、TiO、Nb、Ta、SiO、Al、ZrO、ZrSiOなどが一般に用いられている。また、添加剤の割合は、ルテニウム系導電性粒子とガラス粉末の重量の合計に対して0.05〜20%が一般的である。
2.ペースト組成物
厚膜サーミスタ形成用組成物は、印刷あるいはディスペンサーで塗布できるペーストにするために、通常のペーストに使用されている有機溶媒に分散してペースト組成物とすることができる。
すなわち、本発明のペースト組成物は、上記厚膜サーミスタ形成用組成物に、ClおよびBrの含有率が100ppm未満の有機媒体(D)を特定量配合したものである。
(D)有機溶媒
有機溶媒としては、エチルセルロース等をターピネオール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテートに溶解したものなどが使用できる。
有機溶媒中に含まれる不純物のうちClおよびBrは、ペーストの焼成過程において有害な塩素化合物や臭素化合物が発生する可能性があるため、ClおよびBrは100ppmより低いものが好ましい。
ペーストを製造する際の有機溶媒は、その配合量によって制限されないが、YRu、NdRu、SmRu、およびGdRuから選ばれた少なくとも1種類のルテニウム系導電性粒子とPbおよびCdを含しないガラスフリット粉末とAg粉末とPd粉末あるいはこれらの合金粉末の合計100重量部に対して15重量部以上とする。これよりも少ないとペーストの粘度が高く印刷できない。有機溶媒の配合量は、20重量部以上が好ましく、30重量部以上がより好ましい。ペーストの製造は、ロールミルやビーズミルによって無機固形分を有機溶媒中に分散させればよく、その製法によって制限されるものではない。
3.サーミスタ
本発明により得られるサーミスタは、上記ペースト組成物をセラミック基板に塗布し、酸化雰囲気下、750〜900℃の温度で焼成して形成される。セラミック基板としては、例えば、アルミナやムライト、フォルステライト、窒化アルミが使用できる。
サーミスタは膜厚によって制限されず5μm以下でも、それ以上の厚膜サーミスタでも構わない。本発明によれば、10μm以上の厚膜サーミスタを得ることもできる。また、その抵抗温度係数はマイナスの度が大きく、平均面積抵抗値が10Ω〜10KΩの領域で充分なNTC特性を有するものとなる。
以下に実施例を用いて本発明による厚膜サーミスタ形成用組成物を説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例1〜9)
Ruをアルカリ溶解して得たNa2RuO4の水溶液に、エタノールを含むY(NO3)3の水溶液を添加して得られた沈殿物を洗浄、乾燥し、大気中800℃で2時間焙焼して、YRuの粉末を得た。このYRu粉末の平均粒径は100nmであった。
このYRu粉末と表1に示したガラスフリットと平均粒径1μmのAg粉末と平均粒径0.1μmのPd粉末を有機溶媒のターピネオールとともに、表2に示した配合で混合し、スリーロールミルで分散しペーストを作成した。
得られたペーストを、予めAgペーストを印刷、焼成して電極を形成したアルミナ基板に、幅1.0mm、電極間1.0mmのサイズで焼成後の膜厚が10μmになるように印刷し、150℃で10分乾燥したのちベルト炉によりピーク温度850℃で約9分間、大気焼成した。得られた厚膜サーミスタの常温での面積抵抗値の平均値と分散係数と抵抗温度係数を測定した。面積抵抗値の分散係数は、素子数25個の抵抗値の標準偏差を平均値で除して計算した。抵抗温度係数(TCR)は、−55℃から25℃の低温抵抗温度係数(C−TCR)と25℃から125℃の高温抵抗温度係数(H−TCR)を以下の式(1)、(2)により求めた。
C−TCR=((R−55−R25)/R25(−55−25))×10 ppm/℃ ・・・(1)
H−TCR=((R125−R25)/R25(125−25))×10 ppm/℃ ・・・(2)
(ただし、R25:25℃での抵抗値、R125 :125℃での抵抗値、R−55:−55℃での抵抗値である。)
得られた面積抵抗値の平均値、変動係数、抵抗温度係数を合わせて表2に示した。
実施例1〜8では、抵抗温度係数が大きくマイナスになっており、平均面積抵抗値が10Ω〜10KΩの領域で充分なNTC特性を有している。
なお、実施例9では、実施例2において、ガラスaの代わりに、表1に記載したBが10重量%を超えたガラスcを用いて実験した。抵抗温度係数はマイナスで充分なNTC特性を有していたが、素子周辺のセラミック基板や電極部分に黒い飛散物が見られた。この黒い飛散物を微小部X線回折で分析するとRuO2であった。しかし、ルテニウム系導電性粒子が本発明の範囲内で少ない場合は黒い飛散物が生じないことも確認している。
(比較例1)
実施例1において、YRu粉末とガラスフリットaに対するAg粉末とPd粉末の量を増やして、Ag+Pdが60重量部を超えるようにした(比較例1)。評価結果を表2に記載した。比較例1では面積抵抗値は1.5Ωと低いものの抵抗温度係数がプラスとなってNTCサーミスタにはならない。
Figure 2013214591
Figure 2013214591
(実施例10〜14)
Ruをアルカリ溶解して得たNa2RuO4の水溶液に、エタノールを含むNd(NO3)3の水溶液を添加して得られた沈殿物を洗浄、乾燥し、大気中800℃で2時間焙焼して、NdRuの粉末を得た。このNdRu粉末の平均粒径は130nmであった。ルテニウム系導電性粒子としてNdRuを用いた以外は、実施例1〜9と同様に行い、得られた面積抵抗値の平均値、変動係数、抵抗温度係数を合わせて表3に示した。
実施例10〜14では、抵抗温度係数が大きくマイナスになっており、平均面積抵抗値が10Ω〜12KΩの領域で充分なNTC特性を有している。
Figure 2013214591
(実施例15〜19)
Ruをアルカリ溶解して得たNa2RuO4の水溶液に、エタノールを含むSm(NO3)3の水溶液を添加して得られた沈殿物を洗浄、乾燥し、大気中800℃で2時間焙焼して、SmRuの粉末を得た。このNdRu粉末の平均粒径は90nmであった。ルテニウム系導電性粒子としてSmRuを用いた以外は、実施例1〜9と同様に行い、得られた面積抵抗値の平均値、変動係数、抵抗温度係数を合わせて表4に示した。
実施例15〜19では、抵抗温度係数が大きくマイナスになっており、平均面積抵抗値が20Ω〜20KΩの領域で充分なNTC特性を有している。
Figure 2013214591
(実施例20〜24)
Ruをアルカリ溶解して得たNa2RuO4の水溶液に、エタノールを含むGd(NO3)3の水溶液を添加して得られた沈殿物を洗浄、乾燥し、大気中800℃で2時間焙焼して、GdRuの粉末を得た。このNdRu粉末の平均粒径は100nmであった。ルテニウム系導電性粒子としてGdRuを用いた以外は、実施例1〜9と同様に行い、得られた面積抵抗値の平均値、変動係数、抵抗温度係数を合わせて表5に示した。
実施例20〜24では、抵抗温度係数が大きくマイナスになっており、平均面積抵抗値が10Ω〜1KΩの領域で充分なNTC特性を有している。
Figure 2013214591
「評価」
上記表2〜5に示す結果から、実施例1〜8では、本発明の組成物を用いたので、抵抗温度係数が大きくマイナスになっており、平均面積抵抗値が10Ω〜10KΩの領域で充分なNTC特性を有するサーミスタが得られている。また、実施例10〜14も本発明の組成物を用いたので、抵抗温度係数が大きくマイナスになっており、平均面積抵抗値が10Ω〜12KΩの領域で充分なNTC特性を有している。さらに、実施例15〜19も本発明の組成物を用いたので、抵抗温度係数が大きくマイナスになっており、平均面積抵抗値が20Ω〜20KΩの領域で充分なNTC特性を有しており、実施例19〜23でも、抵抗温度係数が大きくマイナスになっており、平均面積抵抗値が10Ω〜1KΩの領域で充分なNTC特性を有していることが分かる。
なお、実施例9では、Bが10重量%を超えたガラスを用いたので、抵抗温度係数はマイナスで充分なNTC特性を有しているが、素子周辺のセラミック基板や電極部分に黒い飛散物(RuO2)が生じ、この飛散物のためサーミスタとしては信頼性が損なわれてしまう。しかし、このような飛散物は、ルテニウム系導電性粒子の含有率が高く、かつガラス組成中のBが多い場合に生じる現象であり、ルテニウム系導電性粒子が少ない場合は問題にならない。
これに対して、比較例1ではYRu粉末とガラスフリットaに対するAg粉末とPd粉末の量を増やして、Ag+Pdが60重量部を超えるようにしたため、面積抵抗値は1.5Ωと低いものの抵抗温度係数がプラスとなってNTCサーミスタにはならなかった。
本発明によれば、厚膜サーミスタ形成用組成物の組成を、(a)YRu、NdRu、SmRu、およびGdRuから選ばれた少なくとも1種類のルテニウム系導電性粒子4〜60重量%と;(b)鉛を含しないガラスフリット粉末10〜80重量%と;(c)AgとPdの重量比Pd/(Ag+Pd)を0〜60%とするAgとPdの合計が5〜60重量%としているので、マイナスの抵抗温度係数を有し、バラツキの小さい低抵抗の小型の厚膜型サーミスタを安価に製造することができる。また、本発明の組成物には人体に有害なPbおよびCdを含んでいないため、環境汚染を防止することができ、産業上の利用可能性は極めて大きい。

Claims (7)

  1. ルテニウム系導電性粒子(A)、ガラスフリット粉末(B)、およびPd−Ag系粉末(C)を含む厚膜サーミスタ形成用組成物であって、
    ルテニウム系導電性粒子(A)がYRu、NdRu、SmRu、またはGdRuから選ばれた少なくとも1種の導電性粒子で、ガラスフリット粉末(B)が、PbおよびCdを含有しない粉末であり、また、Pd−Ag系粉末(C)が、Ag粉末、Pd粉末あるいはPd−Ag合金粉末から選ばれ、AgとPdの重量比Pd/(Ag+Pd)が0〜60%の粉末からなり、
    かつ、各成分の含有量が、ルテニウム系導電性粒子(A)4〜60重量%、ガラスフリット粉末(B)10〜80重量%、およびPd−Ag系粉末(C)5〜60重量%であることを特徴とする厚膜サーミスタ形成用組成物。
  2. ガラスフリット(B)は、Li、NaおよびKの含有率が0.1重量%以下であり、軟化点が870℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の厚膜サーミスタ形成用組成物。
  3. ルテニウム系導電性粒子(A)の含有率が、30〜60重量%であることを特徴とする請求項1に記載の厚膜サーミスタ形成用組成物。
  4. ガラスフリット粉末(B)の含有率が、10〜40重量%であることを特徴とする請求項1に記載の厚膜サーミスタ形成用組成物。
  5. Pd−Ag系粉末の含有率が、5〜40重量%であることを特徴とする請求項1に記載の厚膜サーミスタ形成用組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の厚膜サーミスタ形成用組成物に、ClおよびBrの含有率が100ppmより小さい有機媒体(D)を配合し、その配合量を組成物100重量部に対して、15重量部以上としてなるペースト組成物。
  7. 請求項6のペースト組成物をセラミック基板に塗布し、酸化雰囲気下、750〜900℃の温度で焼成して形成されたサーミスタ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017126709A (ja) * 2016-01-15 2017-07-20 住友金属鉱山株式会社 厚膜抵抗体組成物および抵抗体ペースト
CN110797135A (zh) * 2019-11-22 2020-02-14 湖南嘉业达电子有限公司 一种适用于多孔陶瓷的厚膜电阻浆料及其制备方法

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