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JP2013209256A - 複合炭素材及びその製造方法、その複合炭素材を用いた負極並びに蓄電デバイス - Google Patents

複合炭素材及びその製造方法、その複合炭素材を用いた負極並びに蓄電デバイス Download PDF

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JP2013209256A
JP2013209256A JP2012081555A JP2012081555A JP2013209256A JP 2013209256 A JP2013209256 A JP 2013209256A JP 2012081555 A JP2012081555 A JP 2012081555A JP 2012081555 A JP2012081555 A JP 2012081555A JP 2013209256 A JP2013209256 A JP 2013209256A
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carbon material
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composite carbon
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JP2012081555A
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Aoi Sakai
葵 酒井
Takeya Arikawa
雄也 有川
Nobuhiko Ueno
信彦 上野
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

【課題】充放電時の金属錫の膨張・収縮が小さく、それによるパス切れが起こりにくくサイクル維持率に優れ、そして錫の特徴である高容量の効果を十分に発揮した種々の蓄電デバイスに使用可能な炭素材及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】炭素質物と、Sn及びSnOとの複合炭素材を製造する方法であって、炭素質物及び二価の錫化合物を混合する工程と、前記炭素質物と二価の錫化合物との混合物をアルカリ物質と接触させて炭素質物/錫化合物複合体を得る工程と、前記炭素質物/錫化合物複合体を非還元性雰囲気にて350〜900℃で焼成する工程とを有することを特徴とする複合炭素材の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、複合炭素材及びその製造方法と、その複合炭素材を用いて形成された負極と、その負極を有する蓄電デバイスに関するものである。
近年、電子機器の小型化に伴い、高容量の二次電池に対する需要が高まってきている。特に、ニッケル・カドミウム電池や、ニッケル・水素電池に比べ、よりエネルギー密度の高く、大電流充放電特性に優れたリチウムイオン二次電池が注目されてきている。
リチウムイオン二次電池の負極材料としては、コストと耐久性の面で、黒鉛材料や非晶質炭素が使用されることが多い。しかしながら、非晶質炭素は、実用化可能な材料範囲での可逆容量が小さいといった問題点があった。
一方黒鉛材料については、例えば特許文献1に、リチウムイオン二次電池の負極材料として黒鉛を使用することが記載されている。
特に、黒鉛化度の大きい黒鉛をリチウムイオン二次電池用の負極活物質として用いると、黒鉛のリチウム吸蔵の理論容量である372mAh/gに近い容量が得られ、活物質として好ましいことが知られている。しかし、372mAh/g以上の容量は得られないため、よりリチウム理論容量の大きなSiやSn、Al、Ni、Cr、Sr、Baなどの金属を黒鉛に混合して用いることが検討されてきた。
しかし、これらの金属含有複合炭素材は、充放電時のリチウムの挿入、脱離に伴い大きな体積膨張・収縮を示すため、金属活物質の割れや導電パス切れがおこり、これにより電池の急激なサイクル劣化が起こることが知られている。
そこで、これらの問題点を解決する技術として特許文献2には、SnO及び/又はSnOと、ポリ塩化ビニル樹脂粉末等の熱可塑性樹脂とを混合したものを非酸化性雰囲気下にて500〜2000℃で焼成処理した後、解砕・造粒して二次電池活物質を得る技術が開示されている。
特許文献3には、強酸化性液中で加熱して得られた酸化黒鉛を、酢酸錫などの脂肪酸金属塩の水溶液に添加して、前記水溶液を酸化黒鉛に付着させ、乾燥した後、不活性ガス若しくは真空雰囲気中、250〜800℃で熱処理することにより、熱分解酸化黒鉛の表面の少なくとも一部が、SnOまたはSnOのいずれか一方または両方を含む非晶質の金属化合物で被覆された負極材料を得る技術が開示されている。
特許文献4には、人造黒鉛などの炭素材料と、四塩化スズ五水和物などのリチウムと合金を形成することができる金属の化合物とを水中で混合・攪拌した後に、水酸化リチウムを加えることで、人造黒鉛表面に水酸化錫を析出させ、その後、還元性雰囲気下で300〜1000℃で焼成することで、人造黒鉛上に錫を担持させた複合炭素質材料を得て、これを負極活物質として用いるという技術が開示されている。
特開昭57−208079号公報 特開平10−334921号公報 特開2002-8653号公報 特開2002-270170号公報
しかしながら本発明者らの検討によると、特許文献2に記載の技術では活物質の芯材となる炭素質物が存在しないため、電池を作製する際に電極シート内に空隙が生じやすく、電池の充放電過程でのパス切れが起こりやすいと考えられ、サイクル維持率が十分でないという問題がある。
特許文献3の技術では、特に実施例では酢酸錫の添着した酸化黒鉛を不活性ガス若しくは真空雰囲気中にて低温で焼成しており、生成する錫化合物の大半がSnOまたはSnOであると考えられると記載されており、初回充電過程におけるSnOまたはSnOのコンバージョン反応による電池の損失容量が大きいと考えられ、充放電効率が低いという問題がある。
特許文献4の技術では、炭素材料表面に水酸化錫等を析出させたものを還元性雰囲気下で焼成するため、金属の化合物が錫の場合には低融点の金属錫が多く生成し、溶融した金属錫が凝集して大粒径の金属錫粒子が生成する傾向があると考えられ、電池の充放電時の金属錫の膨張・収縮によりパス切れが起こりやすいと考えられ、サイクル維持率が十分でないという問題がある。
そこで、本発明はかかる背景技術に鑑みて、充放電時の金属錫の膨張・収縮が小さく、それによるパス切れが起こりにくくサイクル維持率に優れ、そして錫の特徴である高容量の効果を十分に発揮した種々の蓄電デバイス、例えば、二次電池、キャパシタ、燃料電池等の電極、より具体的な用途として、リチウムイオン二次電池やナトリウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池、リチウムイオンキャパシタ等の電気二重層キャパシタ等に使用可能な炭素材及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、炭素質物の内部及び/又は表面に、今までに製造することができなかった特定の粒子サイズのSn及びSnO(Sn−SnO複合体を含む)を特定の製造方法にて担持させることで複合炭素材を製造し、それを負極材に用いることにより、高容量且つサイクル劣化の少ない蓄電デバイスが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の趣旨は、
炭素質物と、Sn及びSnOとの複合炭素材を製造する方法であって、
炭素質物及び二価の錫化合物を混合する工程と、
前記炭素質物と二価の錫化合物との混合物をアルカリ物質と接触させて炭素質物/錫化合物複合体を得る工程と、
前記炭素質物/錫化合物複合体を非還元性雰囲気にて350〜900℃で焼成する工程と
を有することを特徴とする複合炭素材の製造方法に存する。
本発明の第二の趣旨は、
炭素質物と、Sn及びSnOとを含む複合炭素材であって、
前記炭素質物の内部及び/又は表面に、
粒径が1〜100nmのSn粒子及びSnO粒子が存在するか、
粒径が1〜100nmのSn粒子及びSn−SnO複合体粒子が存在するか、
粒径が1〜100nmのSn粒子、SnO粒子及びSn−SnO複合体粒子が存在するか、
粒径が1〜100nmのSnO粒子及びSn−SnO複合体粒子が存在するか、又は
粒径が1〜100nmのSn−SnO複合体粒子が存在することを特徴とする複合炭素材に存する。
本発明の複合炭素材の製造方法においては、Snと焼成温度より融点の高いSnOとが共存して生成するため、Snが溶融して粗大化するのが抑制され、特定の小さい粒子サイズの、Sn粒子及びSnO粒子又は、Sn粒子及びSn−SnO複合体粒子又は、Sn粒子、SnO粒子及びSn−SnO複合体粒子又は、SnO粒子及びSn−SnO複合体粒子又は、Sn−SnO複合体粒子が炭素質物の内部及び/又は表面に形成される。
リチウム理論容量の高いSnとSnOとが炭素質物に担持され、特に理論容量の高いSnと、充放電サイクルにおける体積膨張が小さいSnOとが共存し、且つSn、SnO及びSn−SnO複合体の粒子サイズが小さいことにより、理論容量に近い値の高い放電容量を有しながら、充放電サイクルにおける活物質の体積膨張によるパス切れが抑制され、サイクル特性の良好な蓄電デバイスを提供することができる。
実施例1で作製された複合炭素材のSEM写真である。 比較例1で作製された複合炭素材のSEM写真である。
以下、本発明の内容を詳細に述べる。なお、以下に記載する発明構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨をこえない限り、これらの形態に特定されるものではない。
[複合炭素材]
以下、本発明の炭素質物と、Sn及びSnOとを含む複合炭素材(以下単に「本発明の複合炭素材」ともいう)の特性等について、その製造方法と併せて説明する。
〔複合炭素材の製造方法〕
本発明の複合炭素材の製造方法は、
(1)炭素質物及び二価の錫化合物を混合する工程と、
(2)前記炭素質物と二価の錫化合物との混合物をアルカリ物質と接触させて炭素質物/錫化合物複合体を得る工程と、
(3)前記炭素質物/錫化合物複合体を非還元性雰囲気にて350〜900℃で焼成する工程と
を有することを特徴としている。以下これら各工程(1)〜(3)について説明する。
<工程(1)>
工程(1)では、前記炭素質物及び二価の錫化合物を混合する。混合の方法は公知であり、特に制限されない。
(・炭素質物の種類)
前記炭素質物は、本発明の複合炭素材の原料である。炭素質物としては、例えば、黒鉛から非晶質のものにいたるまで種々の黒鉛化度の炭素質物が挙げられる。
また、商業的にも容易に入手可能であるという点で、黒鉛又は黒鉛化度の小さいものが好ましい。黒鉛を炭素質物として用いると、他の負極活物質を用いた場合よりも、蓄電デバイスにおいて高電流密度での充放電特性の改善効果が著しく大きいので特に好ましい。
前記黒鉛としては、天然黒鉛、人造黒鉛の何れを用いてもよい。黒鉛としては、不純物の少ないものが好ましく、必要に応じて種々の精製処理を施して用いる。
前記天然黒鉛の具体例としては、鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土壌黒鉛等が挙げられる。前記人造黒鉛としては、ピッチ原料を高温熱処理して製造した、コークス、ニードルコークス、高密度炭素材料等の黒鉛質粒子が挙げられる。好ましくは、低コストと電極作製のし易さの点で、天然黒鉛である。
天然黒鉛の中でも、更に好ましくは、粒子の充填性や充放電負荷特性の観点から、高純度化した鱗片状黒鉛に更に球形化処理を施した球形化黒鉛である。
前記球形化処理に用いる装置としては、例えば、衝撃力を主体に粒子の相互作用も含めた圧縮、摩擦、せん断力等の機械的作用を繰り返し粒子に与える装置を挙げることができる。具体的には、ケーシング内部に多数のブレードを設置したローターを有し、そのローターが高速回転することによって、内部に導入された黒鉛に対して衝撃圧縮、摩擦、せん断力等の機械的作用を与え、表面処理を行なう装置が好ましい。
また、黒鉛を循環させることによって機械的作用を繰り返して与える機構を有する装置が好ましい。好ましい装置として、例えば、ハイブリダイゼーションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロン(アーステクニカ社製)、CFミル(宇部興産社製)、メカノフュージョンシステム(ホソカワミクロン社製)、シータコンポーザ(徳寿工作所社製)等が挙げられる。これらの中で、奈良機械製作所社製のハイブリダイゼーションシステムが好ましい。
次に、上記人造黒鉛の具体例としては、コールタールピッチ、石炭系重質油、常圧残油、石油系重質油、芳香族炭化水素、窒素含有環状化合物、硫黄含有環状化合物、ポリフェニレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリビニルブチラール、天然高分子、ポリフェニレンサイルファイド、ポリフェニレンオキシド、フルフリルアルコール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、イミド樹脂などの有機物を、通常2500℃以上3200℃以下の範囲の温度で焼成し、黒鉛化したものが挙げられる。
(・炭素質物の物性)
以上説明した、本発明において使用される炭素質物としては、以下の物性のいずれか1つ以上を示すものが好ましい。なお、本発明における下記各特性の測定方法は、下記に記載がない場合には、実施例に記載の測定方法に準じる。
(1)炭素質物の平均粒径(d50)
炭素質物の平均粒径(d50)については特に制限が無いが、本発明において使用される範囲として、通常50μm以下、好ましくは30μm以下、更に好ましくは25μm以下であり、通常1μm以上、好ましくは4μm以上、更に好ましくは10μm以上である。粒径が大きすぎると本発明の複合炭素材を用いて極板を作製した際に、極板形成材料の筋引きなどの工程上の不都合が出る傾向があり、また、粒径が小さすぎると、炭素材の表面積が大きくなり過ぎるため、電解液と炭素材との反応活性を抑制しにくくなる傾向がある。
なお平均粒径の測定方法は、以下の通りである。界面活性剤であるポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートの0.2質量%水溶液10mLに、炭素質物0.01gを懸濁させ、市販のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置に導入し、28kHzの超音波を出力60Wで1分間照射した後、測定装置における体積基準のメジアン径として測定したものを、本発明におけるd50と定義する。
(2)炭素質物のBET比表面積(SA)
本発明に使用される炭素質物のBET法で測定した比表面積については、通常1m/g以上、好ましくは1.2m/g以上、より好ましくは、1.5m/g以上である。また、通常11m/g以下、好ましくは10m/g以下、より好ましくは9m/g以下、更に好ましくは8m/g以下である。比表面積が小さすぎると、例えば本発明の複合炭素材をリチウムイオン二次電池用負極材として用いた場合、Liが出入りする部位が少なく、高速充放電特性・出力特性に劣り、一方、比表面積が大きすぎると、負極活物質の電解質に対する反応活性が過剰になり、電池の初期不可逆容量が大きくなるため、高容量電池を製造できない傾向がある。
なおBET比表面積は、比表面積測定装置を用いて、窒素ガス吸着流通法によりBET5点法にて測定する。
(3)炭素質物の(002)面の面間隔(d002)
本発明に使用される炭素質物の、広角X線回折法(XRD)により求められる(002)面の面間隔(d002)は、通常0.335nm以上0.340nm未満であり、好ましくは0.339nm以下、更に好ましくは0.337nm以下である。d002値が大きすぎると炭素質物の結晶性が低下し、蓄電デバイスの初期不可逆容量が増加する場合がある。一方下限の0.335nmは黒鉛の理論値である。
(4)炭素質物のタップ密度
本発明に使用される炭素質物のタップ密度は、通常0.7g/cm以上、好ましくは1g/cm以上である。また、通常1.4g/cm以下、1.3g/cm以下が好ましく、1.1g/cm以下がより好ましい。タップ密度が低すぎると、蓄電デバイスが高速充放電特性に劣り、一方タップ密度が高すぎると、粒子内炭素密度が上昇し、本発明の複合炭素材を使用して負極を作製する場合に、前記炭素材を含む負極形成材料が圧延性に欠け、高密度の負極シートを形成することが難しくなる傾向がある。
(5)炭素質物のラマンスペクトル(Raman)スペクトル(ラマンR値)
本発明に使用される炭素質物のラマンR値は、1580cm−1付近のピークPの強度Iと、1360cm−1付近のピークPの強度Iとを測定し、その強度比R(R=I/I)を算出して定義する。なお、本明細書において「1580cm−1付近」とは1580〜1620cm-1の範囲を、「1360cm−1付近」とは1350〜1370cm-1の範囲を指す。
前記ラマンR値は通常0.01以上であり、1以下であることが好ましく、0.6以下であることがより好ましい。ラマンR値が小さすぎると、炭素質物粒子表面の結晶性が高くなり過ぎて、本発明の複合炭素材を負極の形成に使用したときに、負極活物質層を高密度化した場合に電極板と平行方向に結晶が配向し易くなり、負荷特性の低下を招く傾向がある。一方、この範囲を上回ると、粒子表面の結晶が乱れ、前記負極と電解液との反応性が増し、効率の低下やガス発生の増加を招く傾向がある。
なお、ラマンスペクトルはラマン分光器で測定できる。具体的には、測定対象粒子を測定セル内へ自然落下させることで試料充填し、測定セル内にアルゴンイオンレーザー光を照射しながら、測定セルをこのレーザー光と垂直な面内で回転させながら測定を行なう。
アルゴンイオンレーザー光の波長 :514.5nm
試料上のレーザーパワー :25mW
分解能 :4cm−1
測定範囲 :1100cm−1〜1730cm−1
ピーク強度測定、ピーク半値幅測定:バックグラウンド処理、スムージング処理(単純平均によるコンボリューション5ポイント)
(6)炭素質物の表面官能基量
本発明に使用される炭素質物の下記式1で表される表面官能基量O/C値は、通常0.01%以上、好ましくは0.05%以上、より好ましくは0.07%以上である。また、通常10%以下、好ましくは8%以下、より好ましくは7%以下である。
式1
O/C値(%)=(X線光電子分光法(XPS)分析におけるO1sのスペクトルのピーク面積に基づいて求めたO原子濃度/XPS分析におけるC1sのスペクトルのピーク面積に基づいて求めたC原子濃度)×100
この表面官能基量が少なすぎると、本発明の複合炭素材を使用して負極を作製した場合に、それの電解液との反応性が乏しく、安定な固体電解質界面(SEI)形成ができなくなる傾向がある。一方、表面官能基量が多すぎると、炭素質物粒子表面の結晶が乱れ、負極と電解液との反応性が増し、効率の低下やガス発生の増加を招く傾向がある。また、O/C値の調整が困難となり、製造処理を強く長時間行う必要が生じたり、工程数を増加させる必要が生じたりする傾向があり、生産性の低下、コストの上昇を招く場合がある。
表面官能基量はX線光電子分光法(XPS)を用いて測定することができる。前記表面官能基量O/C値は、X線光電子分光法測定としてX線光電子分光器を用い、測定対象を表面が平坦になるように試料板に載せ、アルミニウムのKα線をX線源とし、マルチプレックス測定により、C1s(280〜300eV)とO1s(525〜545eV)のスペクトルを測定する。得られたC1sのピークトップを284.3eVとして帯電補正し、C1sとO1sのスペクトルのピーク面積を求め、更に装置感度係数を掛けて、CとOの表面原子濃度をそれぞれ算出する。得られたそのOとCの原子濃度比O/C(O原子濃度/C原子濃度)を炭素質物の表面官能基量O/C値と定義する。
(・二価の錫化合物)
本発明の複合炭素材の製造方法における工程(1)においては、以上説明した炭素質物と二価の錫化合物とを混合する。前記錫化合物は、錫の価数が+2であり、炭素質物と複合体を形成しうる限り特に制限されないが、その例として、二価の錫酸化物、錫水酸化物及び錫ハロゲン化物が挙げられる。
前記二価の錫ハロゲン化物としては、二塩化錫、二臭化錫、二ヨウ化スズが挙げられる。
また、前記二価の錫酸化物、錫水酸化物及び錫ハロゲン化物のいずれも、種々の水和物が可能である場合、それらを含むものとする。
(・二価の錫化合物の使用量)
本発明の複合炭素材の製造方法における工程(1)において、炭素質物と二価の錫化合物との混合割合については、炭素質物と二価の錫化合物の合計100質量%に占める二価の錫化合物の質量割合が、通常0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上となる混合割合とする。また、通常80質量%以下、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下となる混合割合である。二価の錫化合物の割合が大きすぎると、焼成により形成されるSn粒子等の最大粒径が大きくなる傾向があり、高容量且つサイクル劣化の少ない蓄電デバイスが得られるという本発明の効果が奏されない傾向がある。一方二価の錫化合物の割合が小さすぎると、Sn添加の効果が得られず、蓄電デバイスにおいて高容量を達成できない傾向がある。
(・混合の態様)
上述の通り工程(1)における混合の方法は公知であり特に制限されないが、次工程(2)におけるアルカリ物質との接触によって錫化合物等を炭素質物の内部及び/又は表面に析出させるため、溶液、特に水溶液中で混合を実施することが好ましい。
ここで、前記接触による析出を徐々に行い、析出する錫化合物等の粒径を小さくそろえるため、前記溶液に塩酸などの酸を加えて、溶液を酸性(通常pHが0.6以上1以下)にして、混合を行うことが好ましい(なお、炭素質物は溶解しない)。
<工程(2)>
工程(2)では、炭素質物と二価の錫化合物との混合物をアルカリ物質と接触させることにより、前記錫化合物の加水分解反応が起こり、錫水酸化物及び/又は酸化物が生成し、これらが炭素質物の内部及び/又は表面に析出する。上記反応により、錫化合物が炭素質物に担持された炭素質物/錫化合物複合体が得られる。
前述の工程(1)で炭素質物と二価の錫化合物との混合を酸性の溶液中で行っておくと、前記錫化合物が溶液中で均一に拡散し、アルカリ物質との接触による前記錫化合物の加水分解反応及び生成物の炭素質物上での析出が徐々に行われ、引き続き工程(3)の焼成処理によって形成されるSn等の粒子の粒径を容易に小さくそろえることができるので好ましい。なお、工程(1)で炭素質物と二価の錫化合物とを混合し、工程(2)のアルカリ物質との接触を行う前に、溶液を酸性にしてもよい。
前記アルカリ物質とは、水に溶解してアルカリ性を示す(水酸化物イオンを生成する)物質のことであり、その例としては、アンモニア、アミン、アルカリ金属の水酸化物・酸化物・炭酸塩・燐酸塩、アルカリ土類金属の水酸化物・酸化物が挙げられるが、ハロゲン化物との反応により沈殿を生じないものであれば、上記に限定されず、好適に用いることができる。アルカリ水溶液の濃度や添加速度を適宜調整することにより、反応系のpH変化速度を調整し、錫水酸化物及び/又は酸化物の生成速度を制御することができる。なお、これらのアルカリ物質は1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アルカリ物質は、アルカリ水溶液として前記炭素質物と二価の錫化合物との混合物に添加してもよいし、またアンモニアのように気体であり、水に溶解する物質である場合には、前記混合物を溶液とし、それを気体アルカリ物質に曝露してもよい。
アルカリ物質の使用量は、引き続き工程(3)において炭素質物上に形成されるSn粒子等の粒径を容易に制御できる範囲であることが好ましく、具体的には、二価の錫化合物に対して0.1〜20倍のモル比の水酸化物イオンを生成する量であることが好ましく、0.2〜10倍のモル比の水酸化物イオンを生成する量であることがより好ましい。
また前記混合物とアルカリ物質との接触の際の温度は特に制限されないが、5〜90℃とすることが好ましい。温度が上記範囲より低いと、水の粘度上昇や凍結のために反応系が均一に攪拌され難く、錫化合物の凝集が起こりやすくなる傾向にある。温度が上記範囲より高いと、水が揮発することにより反応系が濃縮され、錫化合物が凝集した状態で析出し、引き続き工程(3)の焼成処理によって形成されるSn等の粒子の粒径が大きくなる傾向にある。
工程(2)が終了した後は通常、炭素質物/錫化合物複合体を含む溶液(分散液)を濾過し、前記複合体を回収する。必要に応じて加熱乾燥を実施してもよい。また乾燥は減圧下で実施してもよい。
このようにして炭素質物/錫化合物複合体を精製することによって、次工程の工程(3)により、より優れた複合炭素材が得られる。
<被覆工程>
本発明においては通常工程(2)の次に下記で説明する工程(3)が実施されるが、その前に工程(2)で得られた炭素質物/錫化合物複合体を有機化合物で被覆する工程を実施してもよい。
(・有機化合物)
前記有機化合物とは、焼成を行うことによって非晶質炭素質物となる原料であり、より具体的には、炭素質物/錫化合物複合体の表面の少なくとも一部に炭素層を形成するための原料である。本発明でいう炭素層とは、非晶質炭素質物が含有されているものを指す。
本発明においては、非晶質炭素質物を形成することが知られている種々の公知の有機化合物が使用可能であるが、特にその具体例を挙げれば、以下の通りである。
含浸ピッチ、コールタールピッチ、石炭液化油等の石炭系重質油、アスファルテン等の直留系重質油、分解系重質油等の石油系重質油等の易黒鉛化性有機化合物、芳香族炭化水素、窒素含有環状化合物、硫黄含有環状化合物、又はそれらの前駆体等の縮合多環式炭化水素及び複素多環化合物等。
このような有機化合物を上記工程(2)(さらに通常行われる精製工程)で得られた炭素質物/錫化合物複合体と混合し、焼成を行うことによって被覆がなされる。前記炭素質物/錫化合物複合体に有機化合物を混合する方法としては、例えば粉末混合法、溶融混合法、溶液混合法等が挙げられる。
ここで、炭素質物/錫化合物複合体と有機化合物との混合割合は、前記複合体の質量(100質量%)に対して通常0.1質量%以上、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは、0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上となる割合である。また、通常200質量%以下、好ましくは100質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは40質量%以下となる量である。
また前記混合における温度は通常は常温〜150℃であり、有機化合物の種類により適宜決定することができる。また混合時間は、通常10分〜1時間である。
また、炭素質物/錫化合物複合体と有機化合物との溶液混合法に用いる溶媒は、当該有機化合物を溶解または分散する水又は有機溶媒の中から、適宜選択することができる。なお、異なる2種以上の溶媒を混合して用いてもよい。
前記溶液混合法を用いた場合は、混合後、通常40〜200℃の範囲で乾燥させる。乾燥時間は、用いた溶媒の種類に応じて適宜決めることができるが、通常1〜24時間である。また乾燥は減圧下で行ってもよい。
以上の操作によって有機化合物被覆炭素質物/錫化合物複合体が得られる。この有機化合物被覆炭素質物/錫化合物複合体を焼成することによって、被覆処理が完成する。この焼成処理は本発明の複合炭素材の製造方法における工程(3)の焼成で併せて行うことができるので、工程コストの点からそのようにすることが好ましい。
<工程(3)>
本発明の複合炭素材の製造方法における工程(3)では、工程(2)または上記の被覆工程を経た(有機化合物被覆)炭素質物/錫化合物複合体を非還元性雰囲気にて350〜900℃で焼成する。
これにより、まず前記複合体中の二価の錫水酸化物及び/又は酸化物を含む二価の錫化合物が、加熱による脱水反応によって一酸化錫となり、さらに熱分解が起こって金属錫(Sn)及び二酸化錫(SnO)が形成されると考えられる。その結果、炭素質物の内部及び/又は表面に、Sn粒子及びSnO粒子又は、Sn粒子及びSn−SnO複合体粒子又は、Sn粒子、SnO粒子及びSn−SnO複合体粒子又は、SnO粒子及びSn−SnO複合体粒子又は、Sn−SnO複合体粒子が形成された本発明の複合炭素材が得られる。
工程(3)における焼成処理は非還元性雰囲気下、例えば窒素やアルゴン雰囲気下にて行う。還元性の雰囲気で行うと、特許文献4のように低融点の金属錫が多く生成し、溶融した金属錫が凝集して大粒子が生成してしまい、蓄電デバイスの充放電時の金属錫の膨張・収縮によりパス切れ等が起こり、このためサイクル維持率に優れた蓄電デバイスは得られない。
また、焼成温度は前記の通り350〜900℃である。350℃未満の低温焼成では一酸化錫からの熱分解反応が不十分となると考えられ、炭素質物の内部及び/又は表面に形成されるSn及びSnOの良好な割合が達成できず、またSnOも炭素質物上に多く残存すると考えられ、蓄電デバイスにおいて高い充放電効率を達成することができない。また炭化が十分に進行せず、蓄電デバイスの充放電初期の不可逆容量が増大する虞もある。一方焼成温度が900℃を超えて高温になると、二酸化錫から更に熱分解(還元)反応が進行して金属錫が多く形成されてしまうと考えられ、特許文献4の場合のように溶融した金属錫が凝集して大粒子が生成してしまい、サイクル維持率に優れた蓄電デバイスは得られない。
このような点から、焼成温度は400〜850℃であることが好ましく、450〜800℃であることがより好ましい。
このように焼成により形成されるSn等が大粒子とならないように処理条件を適切に設定しているため、本発明の製造方法により得られる複合炭素材においては、Sn粒子、SnO粒子及びSn−SnO複合体粒子の粒径が非常に小さく制御されている。
前記焼成処理の条件について、熱履歴温度条件、昇温速度、冷却速度、熱処理時間等は、適宜設定する。また、比較的低温領域で熱処理した後、所定の温度に昇温することもできる。なお、本工程に用いる反応機は回分式でも連続式でも、また一基でも複数基でもよい。
焼成に使用する炉は上記要件を満たせば特に制約はないが、例えば、シャトル炉、トンネル炉、リードハンマー炉、ロータリーキルン、オートクレーブ等の反応槽、コーカー(コークス製造の熱処理槽)、タンマン炉、アチソン炉等を用いることができ、加熱方式も、高周波誘導加熱炉、直接式抵抗加熱、間接式抵抗加熱、直接燃焼加熱、輻射熱加熱等、種々の方式を採用することができる。なお、処理時には、必要に応じて攪拌を行なってもよい。
<その他の工程>
上記工程を経た複合炭素材に対しては、必要に応じて、再度粉砕、解砕、分級処理等の粉体加工を行い、所望の粒径の複合炭素材を得る。
前記粉砕や解砕に用いる装置に特に制限はないが、例えば、粗粉砕機としてはせん断式ミル、ジョークラッシャー、衝撃式クラッシャー、コーンクラッシャー等が挙げられ、中間粉砕機としてはロールクラッシャー、ハンマーミル等が挙げられ、微粉砕機としてはボールミル、振動ミル、ピンミル、攪拌ミル、ジェットミル等が挙げられる。
前記分級処理に用いる装置としては特に制限はないが、例えば、乾式篩い分けの場合は、回転式篩い、動揺式篩い、旋動式篩い、振動式篩い等を用いることができ、乾式気流式分級の場合は、重力式分級機、慣性力式分級機、遠心力式分級機(クラシファイア、サイクロン等)等を用いることができ、また、湿式篩い分け、機械的湿式分級機、水力分級機、沈降分級機、遠心式湿式分級機等を用いることもできる。
以上説明した方法により、本発明の複合炭素材を製造することできる。ただし、下記で説明する本発明の複合炭素材は、上記製造方法で製造されたものに限定されない。
〔複合炭素材〕
例えば以上説明した方法によって製造される本発明の複合炭素材は、炭素質物と、Sn及びSnOとを含み、前記炭素質物の内部及び/又は表面に、粒径が1〜100nmの、Sn粒子及びSnO粒子又は、Sn粒子及びSn−SnO複合体粒子又は、Sn粒子、SnO粒子及びSn−SnO複合体粒子又は、SnO粒子及びSn−SnO複合体粒子又は、Sn−SnO複合体粒子が存在することを特徴としている。以下、本発明の複合炭素材及びその構成要素の特性について説明する。
(1)Sn粒子、SnO粒子及びSn−SnO複合体粒子の粒径
本発明の複合炭素材においては、1〜100nmと粒径の小さいSn粒子、SnO粒子及びSn−SnO複合体粒子が上記いずれかの組み合わせで存在している。このように本発明の複合炭素材の核を構成する炭素質物の内部及び/又は表面に、小粒径のSn等が存在することによって、当該炭素材を使用して得られる蓄電デバイスにおいて、錫に基づく高い容量が達成され、またSn等は粒径が小さいので、特許文献4の技術のような、パス切れが起こりやすく蓄電デバイスのサイクル維持率が不十分であるという問題も克服している。なお、粒径の測定方法の詳細は、実施例にて説明する。
蓄電デバイスの高容量及び高サイクル維持率の観点からは、前記粒径は1〜80nmの範囲にあることが好ましく、1〜50nmの範囲にあることがより好ましい。
本発明の複合炭素材における、炭素質物の内部及び/又は表面上に形成されたSn粒子等の粒径は、例えば以上説明した本発明の複合炭素材の製造方法において、焼成温度を調整することによって、適宜調整することができる。
一般に、工程(3)における焼成の温度が高いと、二酸化錫の還元が進行して金属錫が多く生成し、本発明の複合炭素材におけるSn粒子等の粒径が大きくなる傾向がある。
また、一般に二価の錫化合物の使用量が多いと、形成されるSn粒子等の粒径が大きくなる傾向がある。
(2)複合炭素材中の小粒径Sn粒子数比率
本発明の複合炭素材中の上記Sn粒子、SnO粒子及びSn−SnO複合体粒子は、いずれも大多数が小粒径であるので、前記複合炭素材について走査型電子顕微鏡(SEM)により、少なくとも100個のSn原子含有粒子が存在している1.3×1.9μmの視野を任意に10箇所観察し、各視野について、観察される粒径が1nm以上のSn原子含有粒子の総個数に対する、小粒径(1〜100nm)のSn粒子、SnO粒子及びSn−SnO複合体粒子の合計個数の比率を求めたとき、その平均は50%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは99%以上、特に好ましくは100%である。
なお、前記Sn原子含有粒子とは、本発明の複合炭素材中に存在しうる、Sn原子を含有する粒子のことであり、具体的にはSn粒子、SnO粒子、Sn−SnO複合体粒子及び複合炭素材の製造過程で生じうるその他のSn原子を含有する粒子であり、好ましくはSn粒子、SnO粒子及びSn−SnO複合体粒子である。
前記の通り本発明の複合炭素材中においては、炭素質物に担持されているSn粒子等の大多数が小粒径であるため、Snによる高容量の効果を達成しつつ、Sn等によるサイクル維持率低下の不利益を回避することに成功している。
(3)Sn含量
本発明の複合炭素材におけるSn含量(Sn原子含有粒子の含量)は、通常複合炭素材100質量%中0.1〜60質量%であり、好ましくは2〜40質量%である。なお、Sn含量の測定方法の詳細は、実施例にて説明する。
Sn含量が少なすぎると、Snによる蓄電デバイス容量の上昇等の効果が得られない場合があり、一方Sn含量が多すぎると、焼成後に形成されるSn粒子等の粒径が大きくなり、充放電時のサイクル劣化が起こりやすくなる傾向にある。
Sn含量は、本発明の複合炭素材の製造の際における二価の錫化合物の使用量によって調整することができる。
(4)XRD強度比(Iox/Ired
本発明の複合炭素材においては、その核である炭素質物の内部及び/又は表面に、Sn粒子、SnO粒子及びSn−SnO複合体粒子が上記いずれかの組み合わせでバランス良く形成され、特にSnとSnOとの生成比(Sn−SnO複合体については、SnとSnOとが生成しているとみなす)という観点からバランス良く形成されており、小粒径が達成されている。
そのため、本発明の複合炭素材についてX線回折法により得られたSn回折ピーク強度Iredに対するSnO回折ピーク強度Ioxの比(Iox/Ired)は、通常0.05以上15以下である。
SnとSnOとの生成比のバランスの観点からは、前記比は好ましくは0.06以上10以下であり、より好ましくは0.08以上5以下である。
前記比は、例えば本発明の複合炭素材の製造方法において、焼成温度を調整することによって、適宜調整することができる。
前述の通り、一般に焼成温度が高いとSnの生成割合が増える傾向にあるので、焼成温度を高くすると前記比が低くなり、焼成温度を低くすると前記比が高くなる傾向がある。
(5)複合炭素材の粒径
本発明の複合炭素材の粒径については特に制限が無いが、使用される範囲として、d50が通常50μm以下、好ましくは30μm以下、更に好ましくは25μm以下、通常1μm以上、好ましくは4μm以上、更に好ましくは10μm以上である。この粒径範囲を超えると、本発明の複合炭素材を使用して負極を調製した際に、筋引きなどの工程上の不都合が出ることが多く、また、この範囲未満であると、炭素材の表面積が大きくなりすぎて、負極と電解液との反応活性を抑制することが難しくなる。
なお粒径の測定方法は、上述の炭素質物の平均粒径(d50)の測定方法と同様である。
(6)複合炭素材のBET比表面積(SA)
本発明の複合炭素材のBET法で測定した比表面積は、通常0.5m/g以上30m/g以下であり、下限について好ましくは2m/g以上であり、上限について好ましくは20m/g以下、より好ましくは15m/g以下である。
比表面積がこの範囲を下回ると、例えば本発明の複合炭素材を使用してリチウムイオン二次電池を調製した場合、Liイオンが出入りする部位が少なく、高速充放電特性・出力特性に劣り、一方、比表面積がこの範囲を上回ると、負極活物質の電解液に対する反応活性が過剰になり、初期不可逆容量が大きくなるため、電池において高容量を達成できない可能性がある。
なおBET比表面積の測定は、比表面積測定装置を用いて、窒素ガス吸着流通法によりBET5点法にて実施する。
(7)複合炭素材の(002)面の面間隔(d002)
本発明の複合炭素材の広角X線回折法(XRD)により求められる(002)面の面間隔(d002)は、通常0.335nm以上0.340nm未満であり、好ましくは0.339nm以下、更に好ましくは0.337nm以下である。d002値が大きすぎると複合炭素材の結晶性が低下し、前記炭素材を使用してリチウムイオン二次電池を調製した場合に、電池の初期不可逆容量が増加する場合がある。一方0.335nmは、本発明の複合炭素材を構成する炭素質物として好ましく用いられる黒鉛の理論値である。
なお、広角X線回折の測定方法は、上述の炭素質物の(d002)の測定方法と同様である。
(8)複合炭素材のタップ密度
本発明の複合炭素材のタップ密度は、0.7g/cm以上であることが好ましく、1g/cm以上であることがより好ましい。また、1.9g/cm以下であることが好ましく、1.6g/cm以下であることがより好ましい。タップ密度が低すぎると、本発明の複合炭素材を使用して蓄電デバイスを調製した場合に、それが高速充放電特性に劣り、一方タップ密度が高すぎると、粒子内炭素密度が上昇し、炭素材が後述するバインダと混合されてスラリーとされたときに、圧延性に欠け、高密度の負極シートを形成することが難しくなる場合がある。
なお、タップ密度の測定方法は、上述の炭素質物のタップ密度の測定方法と同様である。
(9)複合炭素材のラマンスペクトル(Raman)スペクトル(ラマンR値)
本発明の複合炭素材のラマンR値(定義及び測定方法は上述の炭素質物のラマンR値と同様である。)は、0.15以上であることが好ましい。また、0.4以下であることが好ましく、0.3以下であることがより好ましい。
<その他の金属粒子>
本発明の複合炭素材は、以上説明したSn粒子、SnO粒子、Sn−SnO複合体粒子のほかに、種々の金属粒子を、本発明の効果を損なわない範囲で含んでいてもよい。なお、本明細書でいう金属粒子は、該粒子の質量に占める単一の金属元素の質量割合が95%以上である粒子である。
具体的には、Liイオンを吸蔵可能な金属であれば、特に制限されないが、第3族〜第15族、ランタノイド及びアクチノイドの金属が好ましく、例えば、アルミニウム、シリコン、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、インジウム、アンチモン、ランタン、ガドリニウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、タリウム、鉛の少なくとも1つの金属である。
更に、複合炭素材中に前記金属粒子の他に、上記金属粒子に例示した金属の元素と、当該金属元素と異なる一種以上の元素とからなる金属の化合物粒子を含有していてもよい。
金属の化合物粒子に含まれる当該金属元素と異なる元素は特に制限されないが、水素及び第13族〜第17族の元素が好ましく、中でも水素、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、リン、硫黄、セレン、テルル、塩素、臭素、ヨウ素が好ましい。
すなわち、金属の化合物粒子としては水素化合物、ホウ化物、炭化物、窒化物、酸化物、硫化物、セレン化物、テルル化物、オキソ酸、水酸化物、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、酢酸塩、金属錯体(配位化合物)が好ましい。
<他の炭素材との混合>
本発明の複合炭素材は、何れか一種を単独で、又は二種以上を任意の組成及び組み合わせで併用して、蓄電デバイスの材料として好適に使用することができるが、一種又は二種以上を、他の一種又は二種以上のその他の炭素材と混合し、これを蓄電デバイス、好ましくは非水電解質二次電池、リチウムイオンキャパシタの電極材料、さらに好ましくはリチウムイオン二次電池の負極材料として用いることができる。
本発明の複合炭素材にその他の炭素材を混合する場合、複合炭素材とその他の炭素材の総量(100質量%)に対するその他の炭素材の混合割合は、通常10質量%以上、好ましくは20質量%以上、また、通常90質量%以下、好ましくは80質量%以下の範囲である。その他の炭素材の混合割合が前記範囲を下回ると、添加した効果が現れ難い傾向がある。一方、前記範囲を上回ると、複合炭素材の特性が現れ難い傾向がある。
その他の炭素材としては、天然黒鉛、人造黒鉛、非晶質被覆黒鉛、非晶質炭素からなる群より選ばれる少なくとも1種の材料を用いることができる。
[負極]
本発明の負極(以下適宜「電極シート」ともいう。)は、集電体と、該集電体上に形成された活物質層とを備え、該活物質層が、本発明の複合炭素材を含有することを特徴とする。
前記活物質層は、本発明の複合炭素材にバインダを配合したものを分散媒でスラリーとし、これを集電体に塗布し、乾燥して前記集電体上に活物質層を形成することで得ることができる。
<バインダ>
前記バインダとしては、分子内にオレフィン性不飽和結合を有するものを用いる。その種類は特に制限されないが、具体例としては、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、スチレン・イソプレン・スチレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体などが挙げられる。このようなオレフィン性不飽和結合を有するバインダを用いることにより、活物質層の電解液に対する膨潤性を低減することができる。中でも入手の容易性から、スチレン−ブタジエンゴムが好ましい。
分子内にオレフィン性不飽和結合を有するバインダとしては、その分子量が大きいものか、或いは、不飽和結合の割合が大きいものが望ましい。具体的に、分子量が大きいバインダの場合には、その重量平均分子量が通常1万以上、好ましくは5万以上、また、通常100万以下、好ましくは30万以下の範囲にあるものが望ましい。また、不飽和結合の割合が大きいバインダの場合には、全バインダの1g当たりのオレフィン性不飽和結合のモル数が、通常2.5×10−7以上、好ましくは8×10−7以上、また、通常1×10−6以下、好ましくは5×10−6以下の範囲にあるものが望ましい。
バインダとしては、これらの分子量に関する規定と不飽和結合の割合に関する規定のうち、少なくとも何れか一方を満たしているものであればよいが、両方の規定を同時に満たすものがより好ましい。オレフィン性不飽和結合を有するバインダの分子量が小さ過ぎると機械的強度に劣る傾向があり、大き過ぎると可撓性に劣る傾向がある。また、バインダ中のオレフィン性不飽和結合の割合が小さ過ぎると強度向上効果が薄れる場合があり、大き過ぎると可撓性に劣る場合がある。
また、オレフィン性不飽和結合を有するバインダは、その不飽和度が、通常15%以上、好ましくは20%以上、より好ましくは40%以上、また、通常90%以下、好ましくは80%以下の範囲にあるものが望ましい。なお、不飽和度とは、ポリマーの繰り返し単位数に対する二重結合の割合(%)を表す。
本発明においては、オレフィン性不飽和結合を有さないバインダも、本発明の効果が失われない範囲において、上述のオレフィン性不飽和結合を有するバインダと併用することができる。オレフィン性不飽和結合を有するバインダに対する、オレフィン性不飽和結合を有さないバインダの混合比率は、通常150質量%以下、好ましくは120質量%以下の範囲である。
オレフィン性不飽和結合を有さないバインダを併用することにより、スラリーの塗布性を向上することができる。また、オレフィン性不飽和結合を有さないバインダを単独で使用することもできる。
オレフィン性不飽和結合を有さないバインダの例としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、カラギナン、プルラン、グアーガム、ザンサンガム(キサンタンガム)等の増粘多糖類、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル類、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のビニルアルコール類、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸等のポリ酸、或いはこれらポリマーの金属塩、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の含フッ素ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのアルカン系ポリマー及びこれらの共重合体などが挙げられる。
<負極の形成>
本発明の負極は、上述の通り本発明の複合炭素材とバインダとを分散媒に分散させてスラリーとし、これを集電体に塗布することにより形成される。前記分散媒としては、N−メチルピロリドンなどの有機溶媒や、水やアルコールなどの水系溶媒を用いることができる。
このスラリーには更に、所望により導電剤を加えてもよい。導電剤としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラックなどのカーボンブラック、平均粒径1μm以下のCu、Ni又はこれらの合金からなる微粉末などが挙げられる。導電剤の添加量は、本発明の複合炭素材100質量%に対して通常10質量%以下程度である。
スラリーを塗布する集電体としては、従来公知のものを用いることができる。具体的には、圧延銅箔、電解銅箔、ステンレス箔等の金属薄膜が挙げられる。集電体の厚さは、通常4μm以上、好ましくは6μm以上であり、通常30μm以下、好ましくは20μm以下である。
スラリーを集電体上に塗布した後、通常60℃以上、好ましくは80℃以上、また、通常200℃以下、好ましくは195℃以下の温度で、乾燥空気又は不活性雰囲気下で乾燥し、活物質層を形成する。
スラリーを塗布、乾燥して得られる活物質層の厚さは、通常5μm以上、好ましくは20μm以上、更に好ましくは30μm以上、また、通常200μm以下、好ましくは100μm以下、更に好ましくは75μm以下である。活物質層が薄すぎると、活物質の粒径との兼ね合いから負極としての実用性に欠け、厚すぎると、高密度の電流値に対する十分なLiの吸蔵・放出の機能が得られにくい。
活物質層における複合炭素材の密度は、用途により異なるが、容量を重視する用途では、好ましくは1.55g/cm3以上、とりわけ1.60g/cm3以上が好ましい。密度が低すぎると、単位体積あたりの電池の容量が必ずしも充分ではない。また、密度が高すぎるとレート特性が低下するので、1.9g/cm以下が好ましい。
以上説明した本発明の複合炭素材を用いて負極を作製する場合、その手法や他の材料の選択については、特に制限されない。また、この負極を用いて種々の蓄電デバイス(二次電池、キャパシタ、燃料電池等の電極、より具体的な用途として、リチウムイオン二次電池やナトリウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池、リチウムイオンキャパシタ等の電気二重層キャパシタ等)、好ましくは非水電解質二次電池を作製する場合も、電池を構成する正極、電解液等の電池構成上必要な部材の選択については特に制限されない。
以下、本発明の複合炭素材を用いた非水電解質二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)の詳細を例示するが、使用し得る材料や作製の方法等は以下の具体例に限定されるものではない。
[非水電解質二次電池]
本発明の非水電解質二次電池、特にリチウムイオン二次電池の基本的構成は、従来公知のリチウムイオン二次電池と同様であり、通常、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに電解質を備える。負極としては、上述した本発明の負極を用いる。
〔正極〕
正極は、正極活物質及びバインダを含有する正極活物質層を、集電体上に形成したものである。なお、評価用の非水電解質二次電池を作製する場合には、簡便のため金属リチウムそのものを正極として使用してもよい。
<正極活物質>
以下に正極に使用される正極活物質(リチウム遷移金属系化合物)について述べる。
〈リチウム遷移金属系化合物〉
リチウム遷移金属系化合物とは、Liイオンを脱離、挿入することが可能な構造を有する化合物であり、例えば、硫化物やリン酸塩化合物、リチウム遷移金属複合酸化物などが挙げられる。前記硫化物としては、TiSやMoSなどの二次元層状構造をもつ化合物や、一般式MeMo(MeはPb,Ag,Cuをはじめとする各種遷移金属であり、xは通常0以上0.5以下である。)で表される強固な三次元骨格構造を有するシュブレル化合物などが挙げられる。前記リン酸塩化合物としては、オリビン構造に属するものが挙げられ、一般的にはLiMePO(Meは少なくとも1種の遷移金属)で表され、具体的にはLiFePO、LiCoPO、LiNiPO、LiMnPOなどが挙げられる。前記リチウム遷移金属複合酸化物としては、三次元的拡散が可能なスピネル構造や、リチウムイオンの二次元的拡散を可能にする層状構造に属するものが挙げられる。スピネル構造を有するものは、一般的にLiMe(Meは少なくとも1種の遷移金属)と表され、具体的にはLiMn、LiCoMnO、LiNi0.5Mn1.5、LiCoVOなどが挙げられる。層状構造を有するものは、一般的にLiMeO(Meは少なくとも1種の遷移金属)と表される。具体的にはLiCoO、LiNiO、LiNi1−xCo、LiNi1−x−yCoMn、LiNi0.5Mn0.5、Li1.2Cr0.4Mn0.4、Li1.2Cr0.4Ti0.4、LiMnOなどが挙げられる(yは本発明の効果を発揮する範囲で適宜設定すれば問題はない)。
〈組成〉
また、リチウム含有遷移金属化合物としては、例えば、下記組成式(A)または(B)で示されるリチウム遷移金属系化合物であるものが挙げられる。
1)下記組成式(A)で示されるリチウム遷移金属系化合物である場合
Li1+xMO …(A)
ただし、xは通常0以上0.5以下である。Mは、Ni及びMn、或いは、Ni、Mn及びCoから構成される元素であり、Mn/Niモル比は通常0.1以上5以下である。Ni/Mモル比は通常0以上0.5以下である。Co/Mモル比は通常0以上0.5以下である。なお、xで表されるLiのリッチ分は、遷移金属サイトMに置換している場合もある。
なお、上記組成式(A)においては、酸素量の原子比は便宜上2と記載しているが、多少の不定比性があってもよい。また、上記組成式中のxは、リチウム遷移金属系化合物の製造段階での仕込み組成である。通常、市場に出回る電池は、電池を組み立てた後に、エージングを行っている。そのため、充放電に伴い、正極のLi量は欠損している場合がある。その場合、組成分析上、3Vまで放電した場合のxが−0.65以上1以下に測定されることがある。
また、リチウム遷移金属系化合物としては、正極活物質の結晶性を高めるために酸素含有ガス雰囲気下で高温焼成を行って焼成されたものが電池特性に優れる。
さらに、組成式(A)で示されるリチウム遷移金属系化合物は、以下の一般式(A’)のとおり、213層と呼ばれるLiMOとの固溶体であってもよい。
αLiMO・(1−α)LiM’O・・・(A’)
一般式中、αは、0<α<1を満たす数である。
Mは、平均酸化数が4である少なくとも一種の金属元素であり、具体的には、Mn、Zr、Ti、Ru、Re及びPtからなる群より選択される少なくとも一種の金属元素である。
M’は、平均酸化数が3である少なくとも一種の金属元素であり、好ましくは、V、Mn、Fe、Co及びNiからなる群より選択される少なくとも一種の金属元素であり、より好ましくは、Mn、Co及びNiからなる群より選択される少なくとも一種の金属元素である。
2)下記一般式(B)で表されるリチウム遷移金属系化合物である場合。
Li[LiaMn2−b−a]O4+δ・・・(B)
ただし、Mは、Ni、Cr、Fe、Co、Cu、Zr、AlおよびMgから選ばれる遷移金属のうちの少なくとも1種から構成される元素である。
bの値は通常0.4以上0.6以下である。
bの値がこの範囲であれば、リチウム遷移金属系化合物における単位重量当たりのエネルギー密度が高い。
また、aの値は通常0以上0.3以下である。また、上記組成式中のaは、リチウム遷移金属系化合物の製造段階での仕込み組成である。通常、市場に出回る電池は、電池を組み立てた後に、エージングを行っている。そのため、充放電に伴い、正極のLi量は欠損している場合がある。その場合、組成分析上、3Vまで放電した場合のaが−0.65以上1以下に測定されることがある。
aの値がこの範囲であれば、リチウム遷移金属系化合物における単位重量当たりのエネルギー密度を大きく損なわず、かつ、良好な負荷特性が得られる。
さらに、δの値は通常±0.5の範囲である。
δの値がこの範囲であれば、結晶構造としての安定性が高く、このリチウム遷移金属系化合物を用いて作製した正極を有する電池のサイクル特性や高温保存が良好である。
ここでリチウム遷移金属系化合物の組成であるリチウムニッケルマンガン系複合酸化物におけるリチウム組成について、以下により詳細に説明する。
上記リチウム遷移金属系化合物の組成式のa,bを求めるには、各遷移金属とリチウムを誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP−AES)で分析して、Li/Ni/Mnの比を求める事で計算される。
構造的視点では、aに係るリチウムは、同じ遷移金属サイトに置換されて入っていると考えられる。ここで、aに係るリチウムによって、電荷中性の原理によりMとマンガンの平均価数が3.5価より大きくなる。
また、上記リチウム遷移金属系化合物は、フッ素置換されていてもよく、その場合LiMn4‐x2xと表記される。
〈ブレンド〉
上記の組成のリチウム遷移金属系化合物の具体例としては、例えば、Li1+xNi0.5Mn0.5、Li1+xNi0.85Co0.10Al0.05、Li1+xNi0.33Mn0.33Co0.33、Li1+xNi0.45Mn0.45Co0.1、Li1+xMn1.8Al0.2、Li1+xMn1.5Ni0.5等が挙げられる。これらのリチウム遷移金属系化合物は、一種を単独で用いてもよく、二種以上をブレンドして用いてもよい。
〈異元素導入〉
また、リチウム遷移金属系化合物には、異元素が導入されてもよい。異元素としては、B,Na,Mg,Al,K,Ca,Ti,V,Cr,Fe,Cu,Zn,Sr,Y,Zr,Nb,Ru,Rh,Pd,Ag,In,Sb,Te,Ba,Ta,Mo,W,Re,Os,Ir,Pt,Au,Pb,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Bi,N,F,S,Cl,Br,I,As,Ge,P,Pb,Sb,SiおよびSnの何れか1種以上の中から選択されるものが挙げられる。これらの異元素は、リチウム遷移金属系化合物の結晶構造内に取り込まれていてもよく、あるいは、リチウム遷移金属系化合物の結晶構造内に取り込まれず、その粒子表面や結晶粒界などに単体もしくは化合物として偏在していてもよい。
<非水電解質二次電池用正極>
非水電解質二次電池用正極は、上述の非水電解質二次電池正極材料用リチウム遷移金属系化合物粉体及び結着剤を含有する正極活物質層を集電体上に形成してなるものである。
前記正極活物質層は、通常、正極材料と結着剤と更に必要に応じて用いられる導電材及び増粘剤等を、乾式で混合してシート状にしたものを正極集電体に圧着するか、或いはこれらの材料を液体媒体中に溶解又は分散させてスラリー状にして、正極集電体に塗布、乾燥することにより作成される。
正極集電体の材質としては、通常、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ、チタン、タンタル等の金属材料や、カーボンクロス、カーボンペーパー等の炭素材料が挙げられる。また、形状としては、金属材料の場合、金属箔、金属円柱、金属コイル、金属板、金属薄膜、エキスパンドメタル、パンチメタル、発泡メタル等が、炭素材料の場合、炭素板、炭素薄膜、炭素円柱等が挙げられる。なお、薄膜は適宜メッシュ状に形成してもよい。
正極集電体として薄膜を使用する場合、その厚さは任意であるが、通常1μm以上100μm以下の範囲が好適である。上記範囲よりも薄いと、集電体として必要な強度が不足する可能性がある一方で、上記範囲よりも厚いと、取り扱い性が損なわれる可能性がある。
正極活物質層の製造に用いる結着剤は特に限定されず、塗布法の場合は、電極製造時に用いる液体媒体に対して安定な材料であればよいが、具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、芳香族ポリアミド、セルロース、ニトロセルロース等の樹脂系高分子、SBR(スチレン・ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、フッ素ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム等のゴム状高分子、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体及びその水素添加物、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体)、スチレン・エチレン・ブタジエン・エチレン共重合体、スチレン・イソプレンスチレンブロック共重合体及びその水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体等の軟質樹脂状高分子、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子、アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物等が挙げられる。なお、これらの物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
正極活物質層100質量%中の結着剤の割合は、通常0.1質量%以上80質量%以下である。結着剤の割合が低すぎると、正極活物質を十分保持できずに正極の機械的強度が不足し、サイクル特性等の電池性能を悪化させてしまう可能性がある一方で、高すぎると、電池容量や導電性の低下につながる可能性がある。
正極活物質層には、必要に応じて、導電性を高めるために導電材を含有させる。その種類に特に制限はないが、その具体例としては、銅、ニッケル等の金属材料や、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト)、アセチレンブラック等のカーボンブラック、ニードルコークス等の無定形炭素等の炭素材料などを挙げることができる。なお、これらの物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。正極活物質層中の導電材の割合は、通常0.01質量%以上50質量%以下である。導電材の割合が低すぎると導電性が不十分になることがあり、逆に高すぎると電池容量が低下することがある。
スラリーを形成するための液体媒体としては、正極材料であるリチウム遷移金属系化合物粉体、結着剤、並びに必要に応じて使用される導電材及び増粘剤を溶解又は分散することが可能な溶媒であれば、その種類に特に制限はなく、水系溶媒と有機系溶媒のどちらを用いてもよい。前記水系溶媒の例としては水、アルコールなどが挙げられ、前記有機系溶媒の例としてはN−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、アセトン、ジメチルエーテル、ジメチルアセタミド、ヘキサメチルホスファルアミド、ジメチルスルホキシド、ベンゼン、キシレン、キノリン、ピリジン、メチルナフタレン、ヘキサン等を挙げることができる。
特に水系溶媒を用いる場合、増粘剤に併せて分散剤を加え、SBR等のラテックスを用いてスラリー化する。なお、これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
正極活物質層100質量%中の正極材料としてのリチウム遷移金属系化合物粉体の含有割合は、通常10質量%以上99.9質量%以下である。正極活物質層中のリチウム遷移金属系化合物粉体の割合が多すぎると正極の強度が不足する傾向にあり、少なすぎると容量の面で不十分となることがある。
また、正極活物質層の厚さは、通常10〜200μm程度である。
正極のプレス後の電極密度は、通常2.2g/cm以上4.2g/cm以下である。
なお、塗布、乾燥によって得られた正極活物質層は、正極活物質の充填密度を上げるために、ローラープレス等により圧密化することが好ましい。
かくして、非水電解質二次電池用正極が調製できる。
<非水電解質>
非水電解質としては、例えば公知の非水系電解液、高分子固体電解質、ゲル状電解質、無機固体電解質等を用いることができるが、中でも非水系電解液が好ましい。非水系電解液は、非水系溶媒に溶質(電解質)を溶解させて構成される。
<電解質>
前記非水系電解液に用いられる電解質には特に制限はなく、電解質として用いられる公知のものを任意に採用することができる。前記電解質としては、リチウム塩が好ましい。そのような電解質の具体例としては、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムジフルオロオキサラトボレート、リチウムテトラフルオロオキサラトホスフェート、リチウムジフルオロビス(オキサラト)フォスフェート、フルオロスルホン酸リチウム等が挙げられる。これらの電解質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
リチウム塩の非水系電解液中の濃度は任意であるが、通常0.5mol/L以上、好ましくは0.6mol/L以上、より好ましくは0.8mol/L以上、また、通常3mol/L以下、好ましくは2mol/L以下、より好ましくは1.5mol/L以下の範囲である。リチウムの総モル濃度が上記範囲内にあることにより、非水系電解液の電気伝導率が十分となり、一方、粘度上昇による電気伝導度の低下、電池性能の低下を防ぐことができる。
<非水系溶媒>
非水系電解液が含有する非水系溶媒は、電池として使用した際に、電池特性に対して悪影響を及ぼさない溶媒であれば特に制限されないが、通常使用される非水系溶媒の例としては、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の鎖状カーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状カーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等の鎖状カルボン酸エステル、γ−ブチロラクトン等の環状カルボン酸エステル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン等の鎖状エーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテル、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、ブチロニトリル、バレロニトリル等のニトリル、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル等のリン酸エステル、エチレンサルファイト、1,3−プロパンスルトン、メタンスルホン酸メチル、スルホラン、ジメチルスルホン等の含硫黄化合物等が挙げられ、これら化合物は、水素原子が一部ハロゲン原子で置換されていてもよい。これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもよいが、2種以上の化合物を併用することが好ましい。例えば、環状カーボネートや環状カルボン酸エステル等の高誘電率溶媒と、鎖状カーボネートや鎖状カルボン酸エステル等の低粘度溶媒とを併用するのが好ましい。
ここで、高誘電率溶媒とは、25℃における比誘電率が20以上の化合物を意味する。高誘電率溶媒の中でも、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、及び、それらの水素原子をハロゲン等の他の元素又はアルキル基等で置換した化合物が、非水系電解液中に含まれることが好ましい。高誘電率溶媒の非水系電解液に占める割合は、好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、最も好ましくは25質量%以上である。高誘電率溶媒の含有量が上記範囲よりも少ないと、所望の電池特性が得られない場合がある。
<助剤>
非水系電解液には、上述の電解質、非水系溶媒以外に、目的に応じて適宜助剤を配合してもよい。負極表面に皮膜を形成して電池の寿命を向上させる効果を有する助剤としては、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、エチニルエチレンカーボネート等の不飽和環状カーボネート、フルオロエチレンカーボネート等のフッ素原子を有する環状カーボネート、4−フルオロビニレンカーボネート等のフッ素化不飽和環状カーボネート等が挙げられる。
非水電解質二次電池が過充電等の状態になった際に電池の破裂・発火を効果的に抑制する過充電防止剤として、ビフェニル、シクロヘキシルベンゼン、ジフェニルエーテル、t−ブチルベンゼン、t−ペンチルベンゼン、ジフェニルカーボネート、メチルフェニルカーボネート等の芳香族化合物等が挙げられる。
電池のサイクル特性や低温放電特性を向上させる助剤として、モノフルオロリン酸リチウム、ジフルオロリン酸リチウム、フルオロスルホン酸リチウム、リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムジフルオロオキサラトボレート、リチウムテトラフルオロオキサラトホスフェート、リチウムジフルオロビス(オキサラト)フォスフェート等のリチウム塩等が挙げられる。
高温保存後の電池の容量維持特性やサイクル特性を向上させることができる助剤として、エチレンサルファイト、プロパンスルトン、プロペンスルトン等の含硫黄化合物、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸等のカルボン酸無水物、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリル等のニトリル化合物が挙げられる。
これら助剤の配合量は特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。
〔セパレータ〕
正極と負極との間には、短絡を防止するために、通常はセパレータを介在させる。この場合、非水系電解液は、通常はこのセパレータに含浸させて用いる。
セパレータの材料や形状については特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知のものを任意に採用することができる。中でも、非水系電解液に対し安定な材料で形成された、樹脂、ガラス繊維、無機物等が用いられ、保液性に優れた多孔性シート又は不織布状の形態の物等を用いることが好ましい。
樹脂、ガラス繊維セパレータの材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、芳香族ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルスルホン、ガラスフィルター等を用いることができる。中でも好ましくはガラスフィルター、ポリオレフィンであり、さらに好ましくはポリオレフィンである。これらの材料は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
セパレータの厚さは任意であるが、通常1μm以上であり、5μm以上が好ましく、10μm以上がさらに好ましく、また、通常50μm以下であり、40μm以下が好ましく、30μm以下がさらに好ましい。セパレータが、上記範囲より薄過ぎると、セパレータの絶縁性や機械的強度が低下する場合がある。また、上記範囲より厚過ぎると、レート特性等の電池性能が低下する場合があるばかりでなく、非水電解質二次電池全体としてのエネルギー密度が低下する場合がある。
さらに、セパレータとして多孔性シートや不織布等の多孔質のものを用いる場合、セパレータの空孔率は任意であるが、通常20%以上であり、35%以上が好ましく、45%以上がさらに好ましく、また、通常90%以下であり、85%以下が好ましく、75%以下がさらに好ましい。空孔率が上記範囲より小さ過ぎると、膜抵抗が大きくなってレート特性が悪化する傾向がある。また、上記範囲より大き過ぎると、セパレータの機械的強度が低下し、絶縁性が低下する傾向にある。
また、セパレータの平均孔径も任意であるが、通常0.5μm以下であり、0.2μm以下が好ましく、また、通常0.05μm以上である。平均孔径が上記範囲を上回ると、短絡が生じ易くなる。また、上記範囲を下回ると、膜抵抗が大きくなりレート特性が低下する場合がある。
一方、無機物の材料としては、例えば、アルミナや二酸化ケイ素等の酸化物、窒化アルミや窒化ケイ素等の窒化物、硫酸バリウムや硫酸カルシウム等の硫酸塩が用いられ、粒子形状もしくは繊維形状のものが用いられる。
セパレータの形態としては、不織布、織布、微多孔性フィルム等の薄膜形状のものが用いられる。薄膜形状では、孔径が0.01〜1μm、厚さが5〜50μmのものが好適に用いられる。上記の独立した薄膜形状以外に、樹脂製の結着材を用いて上記無機物の粒子を含有する複合多孔層を正極及び/又は負極の表層に形成させてなるセパレータを用いることができる。例えば、正極の両面に90%粒径が1μm未満のアルミナ粒子を、フッ素樹脂を結着材として多孔層を形成させることができる。
セパレータの非水電解質二次電池における特性を、ガーレ値で把握することができる。ガーレ値とは、フィルム厚さ方向の空気の通り抜け難さを示し、100mlの空気が該フィルムを通過するのに必要な秒数で表されるため、数値が小さい方が通り抜け易く、数値が大きい方が通り抜け難いことを意味する。すなわち、その数値が小さい方がフィルムの厚さ方向の連通性が良いことを意味し、その数値が大きい方がフィルムの厚さ方向の連通性が悪いことを意味する。
連通性とは、フィルム厚さ方向の孔のつながり度合いである。セパレータのガーレ値が低ければ、様々な用途に使用することが出来る。例えば非水電解質二次電池のセパレータとして使用した場合、ガーレ値が低いということは、リチウムイオンの移動が容易であることを意味し、電池性能に優れるため好ましい。
セパレータのガーレ値は、任意ではあるが、好ましくは10〜1000秒/100mlであり、より好ましくは15〜800秒/100mlであり、更に好ましくは20〜500秒/100mlである。ガーレ値が1000秒/100ml以下であれば、実質的には電気抵抗が低く、セパレータとして好ましい。
〔電池設計〕
<電極群>
電極群は、上記の正極板と負極板とを上記のセパレータを介してなる積層構造のもの、及び上記の正極板と負極板とを上記のセパレータを介して渦巻き状に捲回した構造のもののいずれでもよい。電極群の体積が電池内容積に占める割合(以下、電極群占有率と称する)は、通常40%以上であり、50%以上が好ましく、また、通常90%以下であり、80%以下が好ましい。
電極群占有率が上記範囲を下回ると、電池容量が小さくなる。また、上記範囲を上回ると空隙スペースが少なく、電池が高温になることによって部材が膨張したり電解質の液成分の蒸気圧が高くなったりして内部圧力が上昇し、電池としての充放電繰り返し性能や高温保存等の諸特性を低下させたり、さらには、内部圧力を外に逃がすガス放出弁が作動する場合がある。
<外装ケース>
外装ケースの材質は用いられる非水系電解液に対して安定な物質であれば特に制限されない。具体的には、ニッケルめっき鋼板、ステンレス、アルミニウム又はアルミニウム合金、マグネシウム合金等の金属類、又は、樹脂とアルミ箔との積層フィルム(ラミネートフィルム)が用いられる。軽量化の観点から、アルミニウム又はアルミニウム合金の金属、ラミネートフィルムが好適に用いられる。
金属類を用いる外装ケースでは、レーザー溶接、抵抗溶接、超音波溶接により金属同士を溶着して封止密閉構造とするもの、若しくは、樹脂製ガスケットを介して上記金属類を用いてかしめ構造とするものが挙げられる。上記ラミネートフィルムを用いる外装ケースでは、樹脂層同士を熱融着することにより封止密閉構造とするもの等が挙げられる。シール性を上げるために、上記樹脂層の間にラミネートフィルムに用いられる樹脂と異なる樹脂を介在させてもよい。特に、集電端子を介して樹脂層を熱融着して密閉構造とする場合には、金属と樹脂との接合になるので、介在する樹脂として極性基を有する樹脂や極性基を導入した変成樹脂が好適に用いられる。
<保護素子>
保護素子として、異常発熱や過大電流が流れた時に抵抗が増大するPTC(Positive Temperature Coefficient)サーミスター、温度ヒューズ、異常発熱時に電池内部圧力や内部温度の急激な上昇により回路に流れる電流を遮断する弁(電流遮断弁)等を使用することができる。上記保護素子は高電流の通常使用で作動しない条件のものを選択することが好ましく、保護素子がなくても異常発熱や熱暴走に至らない設計にすることがより好ましい。
<外装体>
本発明の非水電解質二次電池は、通常、上記の非水電解質、負極、正極、セパレータ等を外装体内に収納して構成される。この外装体は、特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知のものを任意に採用することができる。外装体の材質は任意であるが、通常は、例えばニッケルメッキを施した鉄、ステンレス、アルミウム又はその合金、ニッケル、チタン等が用いられる。
また、外装体の形状も任意であり、例えば円筒型、角形、ラミネート型、コイン型、大型等のいずれであってもよい。
次に実施例により本発明の具体的態様を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
(測定方法)
(1)BET比表面積(SA)
BET比表面積は、比表面積測定装置を用いて、窒素ガス吸着流通法によりBET5点法にて測定した。
(2)(002)面の面間隔(d002)
(002)面の面間隔(d002)は、広角X線回折法(XRD)により求めた。広角X線回折の測定では、試料板に試料を配向しないように充填し、市販のX線回折装置で、CuKα線にて出力50kV、200mAで測定した。得られた26.5°付近の(002)及び54.6°付近の(004)の両ピークから(002)面の面間隔(d002)を算出した。
(3)タップ密度
タップ密度は、粉体密度測定器を用い、直径1.6cm、体積容量20cmの円筒状タップセルに、目開き300μmの篩を通して試料を落下させて、セルに満杯に充填した後、ストローク長10mmのタップを1000回行なって、その時のセルの体積と試料の重量から求めた密度をタップ密度として定義した。
(4)Sn含量
複合炭素材中のSn含量は、該複合炭素材を湿式分解後、誘導結合プラズマ−発光分析装置(ICP−AES)によりSn元素を定量することによって求めた。
(5)複合炭素材中の小粒径Sn粒子数比率
複合炭素材中のSn原子含有粒子の粒径を、フィールドエミッションタイプの走査型電子顕微鏡(SEM)装置(日立製作所(株)製SEM S−4100)を使用して加速電圧5kV、観察倍率60000倍で取得した画像から求めた。前記画像からSn原子含有粒子(Sn粒子、SnO粒子及びSn−SnO複合体粒子)を特定し、特定したSn原子含有粒子の長径の値をその粒径とした。
同条件で複合炭素材について、少なくとも100個のSn原子含有粒子が存在している1.3×1.9μmの視野を任意に10箇所観察し、取得した画像から特定されるSn原子含有粒子の個数と各粒子の粒径を求め、粒径が1〜100nmである、Sn粒子、SnO粒子及びSn−SnO複合体粒子の個数が、画像中で特定される粒径1nm以上のSn原子含有粒子の総数に占める比率を各視野について求め、その平均を小粒径Sn粒子数比率とした。この比率が90%以上であれば「90%以上」と下記表1において表記した。
(6)XRD強度比(Iox/Ired
複合炭素材のXRD強度比Iox/Iredは、CuKα線を使用した粉末X線回折測定における回折角2θが32.0°付近に存在するSn(101)回折ピーク強度Iredに対する33.8°付近に存在するSnO(101)回折ピーク強度Ioxの比の数値(Iox/Ired)で表される。
粉末X線回折測定では、リガク社製のX線回折装置(ROTAFLEX)を使用し、X線源としてCuKαを用い、印加電圧を50kV及び電流を200mAに設定して、スキャンモード2θ/θで、2θが20゜から60゜までの範囲で0.02゜間隔で、表面が平坦になるように試料板に載せた複合炭素材試料にX線を照射して反射強度を測定した。得られた回折プロファイルからバックグラウンドを差し引いてIred及びIoxを求めることにより、Iox/Iredを算出した。
(7)Sn等粒子組成
複合炭素材中のSn粒子等の粒子組成を前記XRD強度比(Iox/Ired)により決定し、以下の表1に結果を示した。具体的には、XRD強度比(Iox/Ired)が0.03未満であればSn等粒子組成はSnであるとし、XRD強度比(Iox/Ired)が0.03以上であれば粒子組成はSn/SnOであるとした。
(8)電池評価方法
非水電解質二次電池を用いて、下記の測定方法で電池充放電時の初期放電容量及びサイクル維持率を測定した。
0.1mA/cmの一定電流によりリチウム対極に対して1mVまで充電した後に、1mVの一定電圧で電流が0.01mA/cmに低下するまで充電を行った。放電は0.2mA/cmの一定電流で電圧が2.5Vに達するまで行った。これを1サイクルとして、同様に3サイクル繰り返した。1サイクル目の放電容量を初期放電容量とした。また、3サイクル目の放電容量を初期放電容量で割り、百分率で示した値をサイクル維持率とした。なお、非水電解質二次電池は以下の通り作製した。
(i)電極シートの作製
実施例及び比較例の複合炭素材を負極材料として用い、活物質層密度1.60±0.05g/cmの活物質層を有する極板を作製した。
具体的にはまず、以下a)またはb)のいずれかの方法で電極塗布用のスラリーを得た。
・スラリー作製方法
a)負極材料4.75gにバインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)のN−メチル‐2-ピロリドン(NMP)5質量%溶液10g(固形分換算で0.5g)と導電剤としてカーボンブラック(CB)0.25gを添加し、THINKY製軟膏調剤・製剤機 なんこう練太郎で5分間撹拌し、30秒脱泡してスラリーを得た。
b)負極材料5.0gにバインダとしてカルボキシメチルセルロース(CMC)の1質量%水溶液15g(固形分換算で0.15g)とスチレン−ブタジエンゴム(SBR)40質量%水分散液0.375g(固形分換算で0.15g)を添加し、THINKY製軟膏調剤・製剤機 なんこう練太郎で5分間撹拌し、30秒脱泡してスラリーを得た。
・電極シート作製方法
これらのスラリーをそれぞれ、集電体である厚さ18μmの銅箔上に、負極材料が7.5±0.3mg/cm付着するように、ドクターブレードを用いて幅5cmに塗布し、室温で風乾を行った。更に110℃で30分乾燥後、直径20cmのローラを用いてロールプレスして、活物質層の密度が1.60±0.05g/cmになるよう調整して電極シートを得た。
(ii)非水電解質二次電池の作製
上記方法で作製した電極シートを直径12.5mmの円板状に打ち抜き、リチウム金属箔を直径14mmの円板状に打ち抜き対極とした。両極の間には、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートの混合溶媒(容量比=3:7)に、LiPFを1mol/Lになるように溶解させた非水電解質を含浸させたセパレータ(多孔性ポリエチレンフィルム製)を置き、2016コイン型電池をそれぞれ作製した。
[実施例1]
平均粒径d50、(002)面の面間隔(d002)、タップ密度、比表面積がそれぞれ21μm、0.336nm、0.91g/cm、4.7m/gである球形化黒鉛を原料として用いた。
水60gに二塩化錫(SnCl)2.28gと1mol/l塩酸12mlを加えて二塩化錫を溶解し、該水溶液に上記球形化黒鉛8.3gを添加して黒鉛分散液を得た(pH0.7)。該黒鉛分散液を密閉系内にて、55℃でアンモニア蒸気に曝露し、二塩化錫の加水分解反応により黒鉛の内部及び/又は表面に錫化合物を担持させた。
反応後の分散液を濾過し、水で数回洗浄後、110℃で4時間減圧乾燥して炭素質物/錫化合物複合体を得た。得られた炭素質物/錫化合物複合体をアルミナトレーに均一の厚みに広げてKOYO社製小型ボックス炉KBF−542N−Sに入れ、窒素流量6L/minで1時間炉内の窒素置換を行った後に、室温から700℃まで10℃/minで昇温した。700℃に2時間保持して焼成した後に、窒素気流下で自然放冷で室温まで冷却し、複合炭素材を得た。
[実施例2]
黒鉛分散液に0.4質量%アンモニア水溶液250gを添加する以外は、実施例1と同様にして炭素質物/錫化合物複合体を得た。得られた炭素質物/錫化合物複合体を実施例1と同様の方法にて焼成して、複合炭素材を得た。
[実施例3]
黒鉛分散液に0.8質量%アンモニア水溶液250gを添加する以外は、実施例1と同様にして炭素質物/錫化合物複合体を得た。
得られた炭素質物/錫化合物複合体の質量(100質量%)に対して30質量%のコールタールピッチを含むN−メチル‐2-ピロリドン(NMP)溶液を添加して攪拌した後、110℃での減圧乾燥によりNMPを除去した。得られたコールタールピッチ被覆炭素質物/錫化合物複合体を、600℃に2時間保持した以外は実施例1と同様の方法にて焼成して、複合炭素材を得た。
[比較例1]
黒鉛の使用量を2gとした以外は実施例1と同様にして炭素質物/錫化合物複合体を得た。得られた4バッチ分の炭素質物/錫化合物複合体を、焼成温度を950℃、保持時間を30分とした以外は実施例1と同様の方法にて焼成して、複合炭素材を得た。
[比較例2]
球形化黒鉛7.9gと二酸化錫(SnO)粉末2.66gとをバイアル管に入れて蓋をした後、20回以上振ることで混合し、炭素質物/錫化合物混合物を得た。得られた炭素質物/錫化合物混合物を、焼成温度を950℃、保持時間を30分とした以外は実施例1と同様の方法にて焼成して、複合炭素材を得た。
以上の実施結果を表1に示す。
実施例1及び比較例1で得られた複合炭素材を使用して、前記スラリー作製法a)により電極シートを作製し、前記方法により非水電解質二次電池を作製して電池評価を行った。実施結果を下記表2に示す。
実施例2及び3並びに比較例2で得られた複合炭素材を使用して、前記スラリー作製法b)により電極シートを作製し、前記方法により非水電解質二次電池を作製して電池評価を行った。実施結果を下記表3に示す。
実施例1では炭素質物と二価の錫化合物を混合し、非還元性雰囲気にて350〜900℃の範囲の温度で焼成することにより、炭素質物の内部及び/又は表面に、粒径が1〜100nmである、Sn粒子及びSnO粒子又は、Sn粒子及びSn−SnO複合体粒子又は、Sn粒子、SnO粒子及びSn−SnO複合体粒子又は、SnO粒子及びSn−SnO複合体粒子又は、Sn−SnO複合体粒子が存在することを特徴とする複合炭素材が得られ(図1参照)、比較例1と比べてSn含量が低いにも関わらず高い初期放電容量及び高いサイクル維持率を示した。比較例1で得られた複合炭素材のSEM写真を図2に示す。
実施例1ではSn粒子等が炭素質物に多数分散して担持されていることにより、Sn粒子等が効果的に充放電に寄与し、高い放電容量が発現していると考えられる。また、該Sn粒子等の大多数の粒径が1〜100nmと小さいため、充放電サイクルにおける活物質の体積膨張によるパス切れが抑制され、高いサイクル維持率が得られたと考えられる。
また、実施例2及び3は比較例2と比べて顕著に高い初期放電容量を示すとともに、高いサイクル維持率を示した。実施例2及び3ではSn粒子等が炭素質物に多数分散して担持されていること、及び該Sn粒子等の大多数の粒径が1〜100nmと小さいことから、実施例1の場合と同様の効果により、高い初期放電容量及び高いサイクル維持率を示したと考えられる。一方比較例2の複合炭素材を使用して得られた負極においては、粒径が1〜100nm以内の小さな粒子は生成しておらず、大粒子が生成してしまったため、初期放電容量及びサイクル維持率のいずれも、実施例2及び3に比べて低いものとなったと考えられる。
また、実施例2及び3の複合炭素材は、スラリー作製法b)により、すなわち電極作製時に水溶性バインダを用い、水スラリーを使用して電池を作製し、評価したものである。従来のSn系化合物の電池作製においては、Sn系化合物の膨張・収縮に由来するパス切れを抑制するため、電極作製時に非水溶性バインダを用い、有機溶剤スラリーとして電池を作製するのが一般的であるのに対し、表3の電池評価結果から、本発明の複合炭素材は水溶性バインダの適用時にも良好な特性を示すといえる。
本発明の複合炭素材は、炭素質物の内部及び/又は表面に、リチウム理論容量の大きい、Sn粒子及びSnO粒子又は、Sn粒子及びSn−SnO複合体粒子又は、Sn粒子、SnO粒子及びSn−SnO複合体粒子又は、SnO粒子及びSn−SnO複合体粒子又は、Sn−SnO複合体粒子が形成された粒子である。しかも前記Sn粒子等の大多数は小さい粒径を有した粒子であるため、前記複合炭素材を使用すれば、高い放電容量を有しながら、サイクル劣化が少なく、初期充放電効率が高い非水電解質二次電池を提供することができる。
さらにその結果として、蓄電デバイス、例えば、二次電池、キャパシタ、燃料電池等の電極、より具体的な用途として、リチウムイオン二次電池やナトリウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池、リチウムイオンキャパシタ等の電気二重層キャパシタ等において、小型・軽量且つ長寿命のデバイスを提供することができる。

Claims (10)

  1. 炭素質物と、Sn及びSnOとの複合炭素材を製造する方法であって、
    炭素質物及び二価の錫化合物を混合する工程と、
    前記炭素質物と二価の錫化合物との混合物をアルカリ物質と接触させて炭素質物/錫化合物複合体を得る工程と、
    前記炭素質物/錫化合物複合体を非還元性雰囲気にて350〜900℃で焼成する工程と
    を有することを特徴とする複合炭素材の製造方法。
  2. 前記二価の錫化合物が、二価の錫酸化物、錫水酸化物及び錫ハロゲン化物からなる群より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする、請求項1に記載の複合炭素材の製造方法。
  3. 前記炭素質物及び二価の錫化合物を混合する工程を、pH0.6以上の溶液中にて実施することを特徴とする請求項1又は2に記載の複合炭素材の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合炭素材の製造方法で得られた複合炭素材。
  5. 炭素質物と、Sn及びSnOとを含む複合炭素材であって、
    前記炭素質物の内部及び/又は表面に、
    粒径が1〜100nmのSn粒子及びSnO粒子が存在するか、
    粒径が1〜100nmのSn粒子及びSn−SnO複合体粒子が存在するか、
    粒径が1〜100nmのSn粒子、SnO粒子及びSn−SnO複合体粒子が存在するか、
    粒径が1〜100nmのSnO粒子及びSn−SnO複合体粒子が存在するか、又は
    粒径が1〜100nmのSn−SnO複合体粒子が存在することを特徴とする複合炭素材。
  6. 前記複合炭素材について走査型電子顕微鏡(SEM)により、少なくとも100個のSn原子含有粒子が存在している1.3×1.9μmの視野を任意に10箇所観察し、
    各視野について、観察される粒径が1nm以上のSn原子含有粒子の総個数に対する、前記粒径が1〜100nmであるSn粒子、SnO粒子及びSn−SnO複合体粒子の合計個数の比率を求めたとき、
    その平均が90%以上であることを特徴とする請求項5に記載の複合炭素材。
  7. 前記複合炭素材について、X線回折法により得られたSn回折ピーク強度Iredに対するSnO回折ピーク強度Ioxの比(Iox/Ired)が0.05以上15以下であることを特徴とする請求項5又は6に記載の複合炭素材。
  8. 集電体と、該集電体上に形成された活物質層とを備え、該活物質層が、請求項4〜7のいずれか1項に記載の複合炭素材を含有することを特徴とする負極。
  9. 正極及び負極、並びに電解質を備える蓄電デバイスであって、
    前記負極が、請求項8に記載の負極であることを特徴とする、蓄電デバイス。
  10. 前記蓄電デバイスが非水電解質二次電池であり、前記正極及び負極がリチウムイオンを吸蔵・放出可能であることを特徴とする、請求項9に記載の蓄電デバイス。
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