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JP2013196948A - 正極セパレータ一体型電極及び光電変換素子 - Google Patents

正極セパレータ一体型電極及び光電変換素子 Download PDF

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JP2013196948A JP2012063736A JP2012063736A JP2013196948A JP 2013196948 A JP2013196948 A JP 2013196948A JP 2012063736 A JP2012063736 A JP 2012063736A JP 2012063736 A JP2012063736 A JP 2012063736A JP 2013196948 A JP2013196948 A JP 2013196948A
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仁 西野
Haruo Tomita
晴雄 冨田
Hiroaki Matsuyoshi
弘明 松好
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Abstract

【課題】光電変換素子を簡便に製造するためにスペーサーを用いた場合において、光電変換効率及び維持率を低下させない光電変換素子を製造可能な一体電極を提供する。
【解決手段】正極とセパレータとが一体化した一体電極であって、前記セパレータが、酸化チタンを含む多孔質体からなる、一体電極。当該一体電極は、特にセパレータの多孔質構造内に電解液を含むことが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、正極セパレータ一体型電極及び光電変換素子に関する。
色素増感太陽電池は、真空設備を必要としない低コストなプロセスで製造でき、構成原料も低コストなため、シリコン系太陽電池に続く太陽電池として注目されている。その構成は、シリコン系太陽電池とは異なり、通常対向する負極と正極の間に電解液を介した構造となっている。電解液は、正極と負極間の電荷を輸送する役目を担っており、高いイオン移動度が要求されている。それと同時に、正極と負極の間の短絡を防止する必要もある。このことから、電解液中イオンが移動しやすい構造になるようなスペーサー構造のセルが必要である。
スペーサーには、空間を確保できる形状とした中抜き型のフィルムが一般に用いられている(非特許文献1)。不織布等の多孔質体もスペーサーとして用いることが提案されている(特許文献1)。
また、上記スペーサーを用いることなく、電解液ではなく擬固体のゲル状電解質を用いられることもある(非特許文献2)。
特開2006−040827号公報 特許第3513738号 特許第3983533号 特許第4633179号 国際公開第00/40509号パンフレット 特許第3355442号 特開2002−338220号公報 特許第3569806号 特許第2546114号
Thin Solid Films 516, 4613-4619 (2008) フジクラ技報, 107, 73-78 (2004)
特許文献1のように、スペーサーとして、従来の多孔質層を正極上に形成すると、均質な電極距離を確保できる。また、デバイス作製工程を簡略化することができるが、ポアサイズが制限され、電流密度が低下する。そのため、色素増感太陽電池のように高電流密度を要するセルに適用すると、充分な電流が得られず、変換効率が低下した。また、非特許文献2のように、電解液をゲル状電解質としても、ゲル状電解質は不定形で柔らかな形状のため、特に折り曲げ可能な電池を作製する場合等には、ゲル状電解質だけでは一定の電極間距離を保持することが困難であるため、結局はスペーサーが必要となり、抜本的な解決にはならなかった。本発明は、このようなトレードオフを解決できる一体電極を提供することを目的とする。つまり、光電変換素子を簡便に製造するためにスペーサーを用いた場合において、光電変換効率及び維持率を低下させない光電変換素子を製造可能な一体電極を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、チタニアナノ粒子の多孔質体層(特に焼結体からなる多孔質層)を色素増感太陽電池の正極上に一体形成することで、前記課題を解決できることを見出した。本発明は、このような知見に基づき、さらに研究を重ね、完成したものである。すなわち、本発明は、以下の構成を包含する。
項1.正極とセパレータとが一体化した一体電極であって、
前記セパレータが、酸化チタンを含む多孔質体からなる、
一体電極。
項2.前記セパレータが、酸化チタンを含む多孔質焼結体からなる、項1に記載の一体電極。
項3.前記セパレータの膜厚が0.1〜5μmである、項2に記載の一体電極。
項4.前記多孔質体の比表面積が3〜150m/gである、項1〜3のいずれかに記載の一体電極。
項5.前記酸化チタンが、チタニアナノチューブを含む、項1〜4のいずれかに記載の一体電極。
項6.前記正極が、導電性基板を含む、項1〜5のいずれかに記載の一体電極。
項7.前記正極が、基板上に、導電性材料を含む導電層が形成されている、項1〜5のいずれかに記載の一体電極。
項8.前記正極が、導電性基板上に、導電性材料を含む導電層が形成されている、項1〜7のいずれかに記載の一体電極。
項9.前記導電層は、さらに結着剤を含有する、項7又は8に記載の一体電極。
項10.前記結着剤は、無機酸化物である、項9に記載の一体電極。
項11.前記無機酸化物は、酸化スズ、酸化チタン及び酸化亜鉛よりなる群から選ばれる少なくとも1種の酸化物である、項10に記載の一体電極。
項12.前記一体電極は、電解液を含有する、項1〜11のいずれかに記載の一体電極。
項13.前記電解液は、前記多孔質体の孔中に存在する、項12に記載の一体電極。
項14.前記電解液は、イオン液体を含む、項12又は13に記載の一体電極。
項15.前記イオン液体は、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビスフルオロスルホニルイミドである、項14に記載の一体電極。
項16.前記電解液は、ヨウ素及びヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウムを含むヨウ化物を含む電解質を含有し、且つ、
(1)前記ヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウムは、ヨウ化1−エチル−3−メチルイミダゾリウム及びヨウ化1,3−ジメチルイミダゾリウムを含む、
(2)前記電解液は、前記ヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウムを3.0モル/リットル以上含む、
(3)前記ヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウムは、ヨウ化1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムを含む
の少なくとも1つを満たす、項12〜15のいずれかに記載の一体電極。
項17.前記電解液は、
(1)前記ヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウムは、ヨウ化1−エチル−3−メチルイミダゾリウム及びヨウ化1,3−ジメチルイミダゾリウムを含む
を満たす、項16に記載の一体電極。
項18.前記電解液は、前記ヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウムを、溶媒1リットルに対して3.0モル以上含有する、項17に記載の一体電極。
項19.前記ヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウムは、さらに、ヨウ化1−メチル−3−プロピルイミダゾリウム及び/又はヨウ化1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムを含む、
項17又は18に記載の一体電極。
項20.項1〜19のいずれかに記載の一体電極の製造方法であって、
正極上に、酸化チタン又は酸化チタン前駆体を含むセパレータ形成用組成物を塗布及び焼結する工程
を備える、製造方法。
項21.項1〜19のいずれかに記載の一体電極を備える、光電変換素子。
項22.さらに、負極を備える、項21に記載の光電変換素子。
項23.負極及び項1〜19のいずれかに記載の一体電極を備える光電変換素子の製造方法であって、
前記負極に前記一体電極を直接張り合わせた後に封止する工程
を備える、製造方法。
項24.項21又は22に記載の光電変換素子を備える、色素増感太陽電池。
本発明の一体電極を用いれば、酸化チタンを含む多孔質体(特に多孔質焼結体)をスペーサーとして使用しており、このスペーサーの孔内に電解液を含ませることが可能であるため、負極と張り合わせるだけで、簡便に光電変換素子を製造することができる。
また、従来とは異なり、本発明の一体電極においては、多孔質スペーサーを用いているにもかかわらず、電流密度の低下がなく、優れた光電変換効率が得られる。
さらに、正極と負極の間隔を均一とすることができるため、色素増感太陽電池モジュールに組込んだときの出力特性も安定し、光電変換効率を維持できる。
チタニアナノ粒子のチューブ状集合体の表面形状を示す電子顕微鏡(SEM)写真である。 特許文献7の実施例1で得られた炭素質材料を構成する鉄−炭素複合体1本の電子顕微鏡(TEM)写真である。 特許文献7の実施例1で得られた炭素質材料における鉄−炭素複合体の存在状態を示す電子顕微鏡(TEM)写真である。 特許文献7の実施例1で得られた鉄―炭素複合体1本を輪切り状にした電子顕微鏡(TEM)写真である。なお、図4の写真中に示されている黒三角(▲)は、組成分析のためのEDX測定ポイントを示している。 カーボンチューブのTEM像の模式図を示し、(a−1)は、円柱状のナノフレークカーボンチューブのTEM像の模式図であり、(a−2)は、入れ子構造の多層カーボンナノチューブのTEM像の模式図である。
1.一体電極
本発明の一体電極は、正極とセパレータとが一体化した電極である。
(1)正極
正極は、導電性基板からなる単層構造でもよいし、基板(導電性基板でも非導電性基板でもよい)上に導電層が形成された複層構造でもよい。
基板としては、特に限定されず、材質、厚さ、寸法、形状等は目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属、無色又は有色ガラス、網入りガラス、ガラスブロック等が用いられる他、樹脂基板でもよい。
金属としては、白金、金、ニッケル、チタン、アルミニウム、銅、銀、タングステン等の金属を採用することが好ましい。
樹脂基板としては、導電性の樹脂基板であれば特に制限されないが、例えば、ポリエチレンナフタレート樹脂基板(PEN樹脂基板)、ポリエチレンテレフタレート樹脂基板(PET樹脂基板)等のポリエステル;ポリアミド;ポリスルホン;ポリエーテルサルホン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリフェニレンサルファイド;ポリカーボネート;ポリイミド;ポリメチルメタクリレート;ポリスチレン;トリ酢酸セルロース;ポリメチルペンテン等が挙げられる。
基板として導電性基板を採用する場合は、例えば金属、導電性炭素材料、導電性有機物等を使用することが好ましい。
基板としては、板厚が0.05〜10mm程度のものが好ましい。
導電層を構成する導電性材料としては、スズドープ酸化インジウム膜(ITO膜)、フッ素ドープ酸化スズ膜(FTO膜)、アンチモンドープ酸化スズ膜(ATO膜)アルミニウムドープ酸化亜鉛膜(AZO膜)、ガリウムドープ酸化亜鉛膜(GZO膜)等の他、白金、金、ニッケル、チタン、アルミニウム、銅、銀、タングステン等の金属、炭素材料、導電性有機物等の比抵抗の小さな材料も好ましく使用することができる。
また、前記導電層中には、結着剤が含まれていてもよい。前記導電性材料が結着剤により固着されることで、より強固な導電層を形成することができる。このような結着剤としては、無機酸化物(特に酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛等)が好ましい。
これらの導電層の膜厚は、0.02〜10μm程度とするのが好ましい。
また、正極の抵抗を下げる目的で金属リードを用いてもよい。金属リードは白金、金、ニッケル、チタン、アルミニウム、銅、銀、タングステン等の金属からなるのが好ましく、アルミニウム又は銀からなるのが特に好ましい。
(2)セパレータ
本発明において、セパレータは、酸化チタンを含む多孔質体からなり、特に多孔質焼結体からなることが好ましい。
[酸化チタン]
本発明において、「酸化チタン」又は「チタニア」とは、二酸化チタン(TiO)のみを指すものではなく、三酸化二チタン(Ti);一酸化チタン(TiO);Ti、Ti等に代表される二酸化チタンから酸素欠損した組成等も含む概念である。また、末端OH基に代表されるように一部酸化チタンの合成に起因するTi−O−Ti以外の基を含んでいてもよい。
本発明において、セパレータを構成する酸化チタンは、最終的に得られるセパレータが多孔質体(特に多孔質焼結体)であれば特に制限はなく、様々な形態の酸化チタンを採用し得る。具体的には、
(A)公知又は市販のチタニアナノ粒子
(B)アモルファス状チタニアナノチューブ
(C)チタニアナノ粒子のチューブ状集合体(チタニアナノ粒子が連なってなるチタニアナノチューブ)
等が挙げられる。
(A)チタニアナノ粒子
チタニアナノ粒子としては、市販又は公知のチタニアナノ粒子を使用してもよいし、例えば酸化チタン前駆体を用いてゾルゲル反応により合成してもよい。変換効率を考慮すると、酸化チタン前駆体を用いてゾルゲル反応により合成することが好ましい。この際使用できる酸化チタン前駆体としては、例えば、チタンテトライソプロポキシド等のチタンアルコキシド、二酸化チタン、水酸化チタン、塩化チタン、硫酸チタン等が挙げられる。
チタニアナノ粒子の結晶構造としては、とくに制限されるわけではないが、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン及びブルッカイト型酸化チタンよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、電子のリークによる内部短絡の点から、アナターゼ型酸化チタンを含むことがより好ましい。なお、チタニアナノ粒子(A)の結晶構造は、例えば、X線回折法、ラマン分光分析等により測定することができる。
チタニアナノ粒子の平均粒子径は、イオンが通過しやすいこと、及び、負極から入射光を有効に活用しやすい点から、10〜1000nmが好ましく、20〜500nmがより好ましい。なお、平均粒子径は、例えば、電子顕微鏡(SEM)観察等により測定することができる。
(B)アモルファス状チタニアナノチューブ
アモルファス状チタニアナノチューブとしては、公知又は市販のチタニアナノチューブを採用できる。例えば、特許文献2〜3等に記載のチタニアナノチューブ等が挙げられる。このように、チタニアナノチューブを使用すれば、チューブ内空間をイオンが移動するため、製膜性を確保しつつ、イオンが移動する空間を確保することができる。その結果、変換効率を向上させることができる。
(C)チタニアナノ粒子のチューブ状集合体(チタニアナノ粒子が連なってなるチタニアナノチューブ)
チタニアナノ粒子のチューブ状集合体としては、特許文献4に記載の材料を使用することができる。具体的には、以下のとおりである。
チタニアナノ粒子のチューブ状集合体は、チタニアナノ粒子が連なってなる。本発明において、「連なってなる」とは、チタニアナノ粒子が、粒子の形状を維持しながら、隣接するチタニアナノ粒子と密接に接していることを言う。つまり、アモルファス状のチタニアナノチューブとは異なる。
チタニアナノ粒子のチューブ状集合体は、チタニアナノ粒子が、チューブを形成するように連なって形成している。これにより、図1に示すように、チタニアナノ粒子のチューブ状集合体の表面には、微細な凹凸が存在している。これにより、イオンが移動する空間を確保するだけでなく、内部空間の極性、表面状態等をイオンが入りやすくすることができる。結果的に、アモルファス状チタニアナノチューブを使用した場合と比較しても、変換効率を向上させることができる。
チタニアナノ粒子の結晶構造としては、とくに制限されるわけではないが、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン及びブルッカイト型酸化チタンよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、原則として、内部短絡を抑制し、焼成温度が低く加工性に優れる点から、アナターゼ型酸化チタンを含むことがより好ましい。なお、電極との間の電子伝導をより抑制しつつ、イオン移動をより促進できる材料を選択することが好ましい。チタニアナノ粒子の結晶構造は、例えば、X線回折法、ラマン分光分析等により測定することができる。また、チタニアナノ粒子としては、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン及びブルッカイト型酸化チタンに加えて、さらに、2価チタンの酸化物、3価チタンの酸化物及び4価チタンの酸化物よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含んでもよい。
チタニアナノ粒子としては、他にも、マグネリ相構造の結晶形態を有する酸化チタンを含むことが好ましい。このマグネリ相構造の結晶形態を有する酸化チタンは、具体的な構成は明らかではないが、組成式:Ti2n−1(n:4〜10)で表され、金属と同程度の導電性を有する酸化チタンである。このマグネリ相構造の結晶形態を有する酸化チタンを少量含むことで、電極との電気コンタクトを避け、イオン移動を促進することが可能になり、優れた特性を示す。3重量%以下、好ましくは、1重量%以下で含有されるものがよい。
チタニアナノ粒子の平均粒子径は、イオンが通過しやすく、負極から入射光を有効に活用しやすい点から、10〜1000nmが好ましく、20〜500nmがより好ましい。なお、平均粒子径は、例えば、電子顕微鏡(SEM又はTEM)観察等により測定することができる。
チタニアナノ粒子のチューブ状集合体は、比表面積が20m/g以上が好ましく、比表面積が70m/g以上がより好ましく、80m/g以上がさらに好ましい。比表面積は、大きいほうが好ましく、上限値は特に制限されないが、3000m/g程度である。なお、比表面積は、BET法等により測定できる。
チタニアナノ粒子のチューブ状集合体は、内部にイオンの移動できる経路を有する点から、長軸に直交する平均内径が5〜500nm(特に10〜100nm)、長軸の平均長さが0.1〜50μm(1〜10μm)が好ましい。また、チタニアナノ粒子のチューブ状集合体の平均内径、平均長さは、例えば、電子顕微鏡(SEM)観察等により測定することができる。
チタニアナノ粒子のチューブ状集合体の肉厚は特に制限されないが、成膜性の点から、2〜500nm程度が好ましく、5〜50nm程度がより好ましい。また、チタニアナノ粒子のチューブ状集合体の肉厚は、例えば、電子顕微鏡(SEM又はTEM)観察等により測定することができる。
チタニアナノ粒子のチューブ状集合体は、例えば、
(I)棒状又は繊維状のナノスケールカーボンの表面に、チタンフルオロ錯体からの析出反応により、チタニアナノ粒子が連なってなる被覆層を形成し、酸化チタン被覆ナノスケールカーボンを作製する工程、及び
(II)酸化チタン被覆ナノスケールカーボン中に存在するナノスケールカーボンを消失させる工程
を備える方法により得られる。
工程(I)では、棒状又は繊維状のナノスケールカーボンの表面に、チタンフルオロ錯体からの析出反応により、チタニアナノ粒子が連なってなる被覆層を形成し、酸化チタン被覆ナノスケールカーボンを作製する。
具体的には、例えば、棒状又は繊維状のナノスケールカーボンを、硝酸、硫酸、塩酸等の酸で処理した後、分散剤を含む溶媒中に分散させ、その後、チタンフルオロ錯体及びホウ酸、塩化アルミニウム等のフッ化物イオン補足剤等を加えてチタニアナノ粒子を析出させる方法である。
ここで、チタンフルオロ錯体としては、特に制限されるわけではないが、例えば、ヘキサフルオロチタン酸アンモニウム、ヘキサフルオロチタン酸、ヘキサフルオロチタン酸カリウム等が挙げられる。
前記溶媒としては、特に制限されるものではないが、例えば、水、水とアルコールとの混合溶媒等、チタンフルオロ錯体が溶解する溶媒等が挙げられる。
また、分散剤としては、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物系分散剤、ポリカルボン酸塩系分散剤、マレイン酸α−オレフィン共重合体塩系分散剤、アニオン性界面活性剤等の陰イオン性分散剤;四級アンモニウム塩系分散剤、アルキルアミン塩等の陽イオン性分散剤;セルロース系分散剤、ポリビニルアルコール系分散剤、ポリエーテル系分散剤等の非イオン性分散剤;両性界面活性剤等のその他の分散剤等が挙げられる。これらのなかでも、非イオン性分散剤が好ましく、ポリエーテル系分散剤がより好ましい。
工程(I)で使用できるナノスケールカーボンについて、以下に詳述する。
ナノスケールカーボン
本発明で使用する棒状又は繊維状のナノスケールカーボンとしては、特に制限はないが、ナノスケールカーボンチューブを使用することが好ましい。このナノスケールカーボンチューブは、導電性を有する物質で形成されているのが好ましい。
また、この棒状又は繊維状のナノスケールカーボンは、鋳型になってチタニアをナノスケールで堆積するという点から、真直ぐな形状で溶液に分散することが好ましく、長軸に直交する平均直径が1〜100nm(特に1〜50nm)程度、長軸の平均長さが0.1〜1000μm程度(特に1〜50μm)、平均アスペクト比が5〜1000000(特に5〜10000、さらに10〜10000)程度が好ましい。なお、長軸に直交する平均直径、長軸の平均長さ及び平均アスペクト比は、例えば、電子顕微鏡(SEM又はTEM)観察により測定できる。
ナノスケールカーボンチューブ
ナノスケールカーボンチューブとしては、ナノサイズの直径を有するカーボンチューブを指し、該カーボンチューブのチューブ内空間部には鉄等が内包されていてもよい。
かかるナノスケールカーボンチューブとしては、
(1)単層カーボンナノチューブ又は多層カーボンナノチューブ、
(2)本出願人が開発したアモルファスナノスケールカーボンチューブ、
(3)ナノフレークカーボンチューブ、
(4)(a)ナノフレークカーボンチューブ及び入れ子構造の多層カーボンナノチューブよりなる群から選ばれるカーボンチューブと(b)炭化鉄又は鉄とからなり、該カーボンチューブ(a)のチューブ内空間部の10〜90%の範囲に(b)の炭化鉄又は鉄が充填されている鉄−炭素複合体、
(5)これらの2種以上の混合物
等を例示することができる。
カーボンナノチューブ
カーボンナノチューブは、黒鉛シート(即ち、黒鉛構造の炭素原子面ないしグラフェンシート)がチューブ状に閉じた中空炭素物質であり、その直径はナノメートルスケールであり、壁構造は黒鉛構造を有している。カーボンナノチューブのうち、壁構造が一枚の黒鉛シートでチューブ状に閉じたものは単層カーボンナノチューブと呼ばれ、複数枚の黒鉛シートがそれぞれチューブ状に閉じて、入れ子状になっているものは入れ子構造の多層カーボンナノチューブと呼ばれている。本発明では、これら単層カーボンナノチューブ及び入れ子構造の多層カーボンナノチューブがいずれも使用できる。
単層カーボンナノチューブとしては、長軸に直交する平均直径が1〜10nm(特に1〜5nm、さらに1〜2nm)程度、長軸の平均長さが0.1〜500μm(特に1〜100μm、さらに1〜20μm)程度、平均アスペクト比が10〜500000(特に10〜50000、さらに15〜30000、なかでも20〜20000)程度が好ましい。
また、入れ子構造の多層カーボンナノチューブとしては、長軸に直交する平均直径が1〜100nm程度(特に1〜50nm、さらに1〜40nm)、長軸の平均長さが0.1〜500μm程度(特に1〜100μm、さらに1〜20μm)、平均アスペクト比が1〜500000(特に5〜10000、さらに10〜10000)程度が好ましい。
アモルファスナノスケールカーボンチューブ
アモルファスナノスケールカーボンチューブは、特許文献5〜6に記載されており、カーボンからなる主骨格を有し、直径が0.1〜1000nmであり、アモルファス構造を有するナノスケールカーボンチューブであって、直線状の形態を有し、X線回折法(入射X線:CuKα)において、ディフラクトメーター法により測定される炭素網平面(002)の平面間隔(d002)が3.54Å以上、特に3.7Å以上であり、回折角度(2θ)が25.1度以下、特に24.1度以下であり、2θバンドの半値幅が3.2度以上、特に7.0度以上であることを特徴とする。
該アモルファスナノスケールカーボンチューブは、マグネシウム、鉄、コバルト、ニッケル等の金属の塩化物の少なくとも1種からなる触媒の存在下で、分解温度が200〜900℃である熱分解性樹脂、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール等を、励起処理することにより得られる。
出発原料としての熱分解性樹脂の形状は、フィルム状乃至シート状、粉末状、塊状等の任意の形状でよい。例えば、基板上に薄膜化アモルファスナノスケールカーボンチューブを形成させた炭素材料を得る場合には、基板上に熱分解性樹脂を塗布あるいは載置した状態で、適切な条件下に励起処理することが好ましい。
該励起処理としては、例えば、不活性雰囲気中、好ましくは450〜1800℃程度の温度域でかつ原料の熱分解温度以上で加熱する、室温〜3000℃程度の温度域でかつ原料の熱分解温度以上でプラズマ処理する等の処理が例示できる。
アモルファスナノスケールカーボンチューブは、アモルファス構造(非晶質構造)を有するナノスケールのカーボンナノチューブで、中空直線状であり、細孔が高度に制御されている。その形状は、主に円柱、四角柱などであり、先端の少なくとも一方が、キャップを有していない(開口している)場合が多い。先端が閉口している場合には、形状がフラット状である場合が多い。
該アモルファスナノスケールカーボンチューブとしては、平均外径が1〜100nm(特に1〜50nm)程度、平均長さが0.1〜1000μm(特に1〜50μm)程度、平均アスペクト比が1〜1000000(特に5〜10000、さらに10〜10000)程度が好ましい。
ここで、「アモルファス構造」とは、規則的に配列した炭素原子の連続的な炭素層からなる黒鉛質構造ではなく、不規則な炭素網平面からなる炭素質構造を意味し、多数の微細なグラフェンシートが不規則に配列している。代表的な分析手法である透過型電子顕微鏡による像からは、本発明で使用できる非晶質構造のナノスケールカーボンチューブは、炭素網平面の平面方向の広がりがアモルファスナノスケールカーボンチューブの直径の1倍より小さい。このように、アモルファスナノスケールカーボンチューブは、その壁部が黒鉛構造ではなく多数の微細なグラフェンシート(炭素網面)が不規則に分布したアモルファス構造を有しているため、最外層を構成する炭素網面は、チューブ長手方向の全長にわたって連続しておらず、不連続となっている。特に、最外層を構成する炭素網面の長さは、20nm未満、特に5nm未満である。
非晶質炭素は一般的にはX線回折を示さないが、ブロードな反射を示す。黒鉛質構造では、炭素網平面が規則的に積み重なっているので、炭素網平面間隔(d002)が狭くなり、ブロードな反射は高角側(2θ)に移行して、次第に鋭くなり(2θバンドの半値幅が狭くなり)、d002回折線として観測できるようになる(黒鉛的位置関係で規則正しく積み重なっている場合はd002=3.354Åである)。
これに対し、非晶質構造は、上記のように一般的にはX線による回折を示さないが、部分的に非常に弱い干渉性散乱を示す。X線回折法(入射X線=CuKα)において、ディフラクトメーター法により測定されるアモルファスナノスケールカーボンチューブの理論的な結晶学的特性は、以下の様に規定される:炭素網平面間隔(d002)は、3.54Å以上であり、より好ましくは3.7Å以上である;回折角度(2θ)は、25.1度以下であり、より好ましくは24.1度以下である;前記2θバンドの半値幅は、3.2度以上であり、より好ましくは7.0度以上である。
典型的には、アモルファスナノスケールカーボンチューブは、X線回折による回折角度(2θ)が18.9〜22.6度の範囲内にあり、炭素網平面間隔(d002)は3.9〜4.7Åの範囲内にあり、2θバンドの半値幅は7.6〜8.2度の範囲内にある。
アモルファスナノスケールカーボンチューブの形状を表す一つの用語である「直線状」なる語句は、次のように定義される。すなわち、透過型電子顕微鏡によるアモルファスナノスケールカーボンチューブ像の長さをLとし、そのアモルファスナノスケールカーボンチューブを伸ばした時の長さをLとした場合に、L/Lが0.9以上となる形状特性を意味するものとする。
かかるアモルファスナノスケールカーボンチューブのチューブ壁部分は、あらゆる方向に配向した複数の微細な炭素網平面(グラフェンシート)からなる非晶質構造であり、これらの炭素網平面の炭素平面間隔により活性点を有するためか、樹脂との親和性に優れているという利点を有する。
鉄−炭素複合体
また、鉄−炭素複合体(IV)は、特許文献7〜8に記載されており、(a)ナノフレークカーボンチューブ及び入れ子構造の多層カーボンナノチューブよりなる群から選ばれるカーボンチューブと(b)炭化鉄又は鉄とからなり、該カーボンチューブ(a)のチューブ内空間部の10〜90%の範囲に(b)の炭化鉄又は鉄が充填されている。即ち、チューブ内空間部の100%の範囲に完全に充填されているものではなく、上記炭化鉄又は鉄がそのチューブ内空間部の10〜90%の範囲に充填されている(即ち、部分的に充填されている)ことを特徴とするものである。壁部は、パッチワーク状ないし張り子状(いわゆるpaper mache状)のナノフレークカーボンチューブである。
本明細書において、「ナノフレークカーボンチューブ」とは、フレーク状の黒鉛シートが複数枚(通常は多数)パッチワーク状ないし張り子状(paper mache状)に集合して構成されている、黒鉛シートの集合体からなる炭素製チューブを指す。
かかる鉄−炭素複合体は、特許文献7に記載の方法に従って、
(1)不活性ガス雰囲気中、圧力を10−5Pa〜200kPaに調整し、反応炉内の酸素濃度を、反応炉容積をA(リットル)とし酸素量をB(Ncc)とした場合の比B/Aが1×10−10〜1×10−1となる濃度に調整した反応炉内でハロゲン化鉄を600〜900℃まで加熱する工程、及び
(2)上記反応炉内に不活性ガスを導入し、圧力10−5Pa〜200kPaで熱分解性炭素源を導入して600〜900℃で加熱処理を行う工程
を包含する製造方法により製造される。
ここで、酸素量Bの単位である「Ncc」は、気体の25℃での標準状態に換算したときの体積(cc)という意味である。
該鉄−炭素複合体は、(a)ナノフレークカーボンチューブ及び入れ子構造の多層カーボンナノチューブよりなる群から選ばれるカーボンチューブと(b)炭化鉄又は鉄とからなるものであって、該カーボンチューブ内空間部(即ち、チューブ壁で囲まれた空間)の実質上全てが充填されているのではなく、該空間部の一部、より具体的には10〜90%程度、特に30〜80%程度、好ましくは40〜70%程度が炭化鉄又は鉄により充填されている。
鉄−炭素複合体においては、特許文献7に記載されているように、炭素部分は、製造工程(1)及び(2)を行った後、特定の速度で冷却するとナノフレークカーボンチューブとなり、製造工程(1)及び(2)を行った後、不活性気体中で加熱処理を行い、特定の冷却速度で冷却することにより、入れ子構造の多層カーボンナノチューブとなる。
<(a−1)ナノフレークカーボンチューブ>
ナノフレークカーボンチューブ(a−1)と炭化鉄又は鉄(b)からなる鉄−炭素複合体は、典型的には円柱状であるが、そのような円柱状の鉄−炭素複合体(特許文献7の実施例1で得られたもの)の長手方向にほぼ垂直な断面の透過型電子顕微鏡(TEM)写真を図4に示し、側面のTEM写真を図2に示す。
また、図5の(a−1)にそのような円柱状のナノフレークカーボンチューブのTEM像の模式図を示す。図5の(a−1)において、100は、ナノフレークカーボンチューブの長手方向のTEM像を模式的に示しており、200は、ナノフレークカーボンチューブの長手方向にほぼ垂直な断面のTEM像を模式的に示している。
鉄−炭素複合体を構成するナノフレークカーボンチューブ(a−1)は、代表的には、中空円筒状の形態を有し、その断面をTEM観察した場合、弧状グラフェンシート像が同心円状に集合しており、個々のグラフェンシート像は、不連続な環を形成しており、その長手方向をTEMで観察した場合、略直線状のグラフェンシート像が、長手方向にほぼ並行に多層状に配列しており、個々のグラフェンシート像は、長手方向全長にわたって連続しておらず、不連続となっているという特徴を有している。
より詳しくは、鉄−炭素複合体を構成しているナノフレークカーボンチューブ(a−1)は、図4及び図5の(a−1)の200から明らかなように、その長手方向に垂直な断面をTEM観察した場合、多数の弧状グラフェンシート像が同心円状(多層構造のチューブ状)に集合しているが、個々のグラフェンシート像は、例えば210、214に示すように、完全に閉じた連続的な環を形成しておらず、途中で途切れた不連続な環を形成している。一部のグラフェンシート像は、211に示すように、分岐している場合もある。不連続点においては、一つの不連続環を構成する複数の弧状TEM像は、図5の(a−1)の222に示すように、層構造が部分的に乱れている場合もあれば、223に示すように隣接するグラフェンシート像との間に間隔が存在している場合もあるが、TEMで観察される多数の弧状グラフェンシート像は、全体として、多層状のチューブ構造を形成している。
また、図2及び図5の(a−1)の100から明らかなように、ナノフレークカーボンチューブ(a−1)の長手方向をTEMで観察した場合、多数の略直線状のグラフェンシート像が鉄−炭素複合体の長手方向にほぼ並行に多層状に配列しているが、個々のグラフェンシート像110は、鉄−炭素複合体の長手方向全長にわたって連続しておらず、途中で不連続となっている。一部のグラフェンシート像は、図5の(a−1)の111に示すように、分岐している場合もある。また、不連続点においては、層状に配列したTEM像のうち、一つの不連続層のTEM像は、図5の(a−1)の112に示すように、隣接するグラフェンシート像と少なくとも部分的に重なり合っている場合もあれば、113に示すように隣接するグラフェンシート像と少し離れている場合もあるが、多数の略直線状のTEM像が、全体として多層構造を形成している。
かかるナノフレークカーボンチューブ(a−1)の構造は、従来の多層カーボンナノチューブと大きく異なっている。即ち、図5の(a−2)の400に示すように、入れ子構造の多層カーボンナノチューブ(a−2)は、その長手方向に垂直な断面のTEM像が、410に示すように、実質上完全な円形のTEM像となっている同心円状のチューブであり、且つ、図5の(a−2)の300に示すように、その長手方向の全長にわたって連続する直線状グラフェンシート像310等が平行に配列している構造(同心円筒状ないし入れ子状の構造)である。
以上より、詳細は未だ完全には解明されていないが、鉄−炭素複合体を構成するナノフレークカーボンチューブ(a−1)は、フレーク状のグラフェンシートが多数パッチワーク状ないし張り子状に重なり合って全体としてチューブを形成しているようにみえる。
このようなナノフレークカーボンチューブ(a−1)とそのチューブ内空間部に内包された炭化鉄又は鉄(b)からなる鉄−炭素複合体は、特許文献9に記載されているような入れ子構造の多層カーボンナノチューブ(a−2)のチューブ内空間部に金属が内包された複合体に比し、カーボンチューブの構造において大きく異なっている。
鉄−炭素複合体を構成しているナノフレークカーボンチューブ(a−1)をTEM観察した場合において、その長手方向に配向している多数の略直線状のグラフェンシート像に関し、個々のグラフェンシート像の長さは、通常、2〜500nm程度、特に10〜100nm程度である。即ち、図5の(a−1)の100に示されるように、110で示される略直線状のグラフェンシートのTEM像が多数集まってナノフレークカーボンチューブ(a−1)の壁部のTEM像を構成しており、個々の略直線状のグラフェンシート像の長さは、通常、2〜500nm程度、特に10〜100nm程度である。
このように、鉄−炭素複合体においては、その壁部を構成するナノフレークカーボンチューブ(a−1)の最外層は、チューブ長手方向の全長にわたって連続していない不連続なグラフェンシートから形成されており、その最外面の炭素網面の長さは、通常、2〜500nm程度、特に10〜100nm程度である。
鉄−炭素複合体を構成するナノフレークカーボンチューブ(a−1)の壁部の炭素部分は、上記のようにフレーク状のグラフェンシートが多数長手方向に配向して全体としてチューブ状となっているが、X線回折法により測定した場合に、炭素網面間の平均距離(d002)が0.34nm以下の黒鉛質構造を有するものである。
また、鉄−炭素複合体のナノフレークカーボンチューブ(a−1)からなる壁部の厚さは、49nm以下、特に0.1〜20nm程度、好ましくは1〜10nm程度であって、全長に亘って実質的に均一である。
<(a−2)入れ子構造の多層カーボンナノチューブ>
前記のように、工程(1)及び(2)を行った後、特定の加熱工程を行うことにより、得られる鉄−炭素複合体を構成するカーボンチューブは、入れ子構造の多層カーボンナノチューブ(a−2)となる。
こうして得られる入れ子構造の多層カーボンナノチューブ(a−2)は、図5の(a−2)の400に示すように、その長手方向に垂直な断面のTEM像が実質的に完全な円を構成する同心円状のチューブであり、且つ、その長手方向の全長にわたって連続したグラフェンシート像が平行に配列している構造(同心円筒状ないし入れ子状の構造)である。
鉄−炭素複合体を構成する入れ子構造の多層カーボンナノチューブ(a−2)の壁部の炭素部分は、X線回折法により測定した場合に、炭素網面間の平均距離(d002)が0.34nm以下の黒鉛質構造を有するものである。
また、鉄−炭素複合体の入れ子構造の多層カーボンナノチューブ(a−2)からなる壁部の厚さは、49nm以下、特に0.1〜20nm程度、好ましくは1〜10nm程度であって、全長に亘って実質的に均一である。
<(b)内包されている炭化鉄又は鉄>
本明細書において、上記ナノフレークカーボンチューブ(a−1)及び入れ子構造の多層カーボンナノチューブ(a−2)よりなる群から選ばれるカーボンチューブ内空間部の炭化鉄又は鉄(b)による充填率(10〜90%)は、鉄−炭素複合体を透過型電子顕微鏡で観察し、各カーボンチューブの空間部(即ち、カーボンチューブのチューブ壁で囲まれた空間)の像の面積に対する、炭化鉄又は鉄(b)が充填されている部分の像の面積の割合である。
炭化鉄又は鉄(b)の充填形態は、カーボンチューブ内空間部に連続的に充填されている形態、カーボンチューブ内空間部に断続的に充填されている形態等があるが、基本的には断続的に充填されている。従って、本発明で使用できる鉄−炭素複合体は、金属内包炭素複合体ないし鉄化合物内包炭素複合体、炭化鉄又は鉄内包炭素複合体とも言うべきものである。
また、鉄−炭素複合体に内包されている炭化鉄又は鉄(b)は、カーボンチューブの長手方向に配向しており、結晶性が高く、炭化鉄又は鉄(b)が充填されている範囲のTEM像の面積に対する、結晶性炭化鉄又は鉄(b)のTEM像の面積の割合(以下「結晶化率」という)は、一般に、90〜100%程度、特に95〜100%程度である。
内包されている炭化鉄又は鉄(b)の結晶性が高いことは、鉄−炭素複合体の側面からTEM観察した場合、内包物のTEM像が格子状に配列していることから明らかであり、電子線回折において明確な回折パターンが得られることからも明らかである。
また、鉄−炭素複合体に炭化鉄又は鉄(b)が内包されていることは、電子顕微鏡、EDX(エネルギー分散型X線検出器)により容易に確認することができる。
<鉄−炭素複合体の全体形状>
鉄−炭素複合体は、湾曲が少なく、直線状であり、壁部の厚さが全長に亘ってほぼ一定の均一厚さを有しているので、全長に亘って均質な形状を有している。その形状は、柱状で、主に円柱状である。
該鉄−炭素複合体としては、平均外径が1〜100nm(特に1〜50nm)程度、平均長さが0.1〜1000μm(特に1〜400μm)程度、平均アスペクト比が1〜1000000(特に5〜10000、さらに10〜10000)程度が好ましい。
鉄−炭素複合体の形状を表す一つの用語である「直線状」なる語句は、次のように定義される。即ち、透過型電子顕微鏡により鉄−炭素複合体を含む炭素質材料を200〜2000nm四方の範囲で観察し、像の長さをWとし、該像を直線状に伸ばした時の長さをWoとした場合に、比W/Woが、0.8以上、特に、0.9以上となる形状特性を意味するものとする。
鉄−炭素複合体は、バルク材料としてみた場合、次の性質を有する。即ち、本発明では、上記のようなナノフレークカーボンチューブ(a−1)及び入れ子構造の多層カーボンナノチューブ(a−2)から選ばれるカーボンチューブのチューブ内空間部の10〜90%の範囲に鉄または炭化鉄(b)が充填されている鉄−炭素複合体は、顕微鏡観察によりかろうじて観察できる程度の微量ではなく、多数の該鉄−炭素複合体を含むバルク材料であって、鉄−炭素複合体を含む炭素質材料、或いは、炭化鉄又は鉄内包炭素質材料ともいうべき材料の形態で大量に得られる。
特許文献7の実施例1で製造されたナノフレークカーボンチューブ(a−1)とそのチューブ内空間部に充填された炭化鉄(b)からなる本発明で使用できる炭素質材料の電子顕微鏡写真を、図3に示す。
図3から判るように、鉄−炭素複合体を含む炭素質材料においては、基本的にはほとんど全ての(特に99%又はそれ以上の)カーボンチューブにおいて、その空間部(即ち、カーボンチューブのチューブ壁で囲まれた空間)の10〜90%の範囲に炭化鉄又は鉄(b)が充填されており、空間部が充填されていないカーボンチューブは実質上存在しないのが通常である。但し、場合によっては、炭化鉄又は鉄(b)が充填されていないカーボンチューブも微量混在することがある。
また、炭素質材料においては、上記のようなカーボンチューブ内空間部の10〜90%に鉄又は炭化鉄(b)が充填されている鉄−炭素複合体が主要構成成分であるが、鉄−炭素質複合体以外に、スス等が含まれている場合がある。そのような場合は、鉄−炭素質複合体以外の成分を除去して、炭素質材料中の鉄−炭素質複合体の純度を向上させ、実質上鉄−炭素複合体のみからなる炭素質材料を得ることもできる。
また、従来の顕微鏡観察で微量確認し得るに過ぎなかった材料とは異なり、鉄−炭素複合体を含む炭素質材料は大量に合成できるので、その重量を容易に1mg以上とすることができる。
炭素質材料は、該炭素質材料1mgに対して25mm以上の照射面積で、CuKαのX線を照射した粉末X線回折測定において、内包されている鉄又は炭化鉄(b)に帰属される40°<2θ<50°のピークの中で最も強い積分強度を示すピークの積分強度をIaとし、カーボンチューブの炭素網面間の平均距離(d002)に帰属される26°<2θ<27°のピークの積分強度Ibとした場合に、IaのIbに対する比R(=Ia/Ib)が、0.35〜5程度、特に0.5〜4程度であるのが好ましく、より好ましくは1〜3程度である。
本明細書において、上記Ia/Ibの比をR値と呼ぶ。このR値は、鉄−炭素複合体を含む炭素質材料を、X線回折法において25mm以上のX線照射面積で観察した場合に、炭素質材料全体の平均値としてピーク強度が観察されるために、TEM分析で測定できる1本の鉄−炭素複合体における内包率ないし充填率ではなく、鉄−炭素複合体の集合物である炭素質材料全体としての、炭化鉄又は鉄(b)充填率ないし内包率の平均値を示すものである。
尚、多数の鉄−炭素複合体を含む炭素質材料全体としての平均充填率は、TEMで複数の視野を観察し、各視野で観察される複数の鉄−炭素複合体における炭化鉄又は鉄(b)の平均充填率を測定し、更に複数の視野の平均充填率の平均値を算出することによっても求めることができる。かかる方法で測定した場合、鉄−炭素複合体からなる炭素質材料全体としての炭化鉄又は鉄(b)の平均充填率は、10〜90%程度、特に40〜70%程度である。
ナノフレークカーボンチューブ
上記の鉄又は炭化鉄(b)がナノフレークカーボンチューブ(a−1)のチューブ内空間に部分内包されている鉄−炭素複合体を酸処理することにより、内包されている鉄又は炭化鉄(b)が溶解除去され、チューブ内空間部に鉄又は炭化鉄(b)が存在しない中空のナノフレークカーボンチューブを得ることができる。
上記酸処理に使用する酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸等を例示でき、その濃度は0.1〜2N程度のものが好ましい。酸処理方法としては、種々の方法により行うことが可能であるが、例えば、1Nの塩酸100mlに対して、1gの鉄内包ナノフレークカーボンチューブを分散し、室温で6時間撹拌処理し、ろ過分離した後、さらに、2回1Nの塩酸100mlで同様の処理を行なうことで、中空のナノフレークカーボンチューブを得ることができる。
この酸処理によってもナノフレークカーボンチューブの基本的構成は特に変化を受けない。よって、チューブ内空間部に鉄又は炭化鉄(b)が存在しない中空のナノフレークカーボンチューブにおいても、その最外面を構成する炭素網面の長さは、500nm以下であり、特に2〜500nm、特に10〜100nmである。
酸化チタン被覆ナノスケールカーボン
このようにして得られる酸化チタン被覆ナノスケールカーボンは、チタニアナノ粒子が連なってなるチタニアナノチューブを得る点から、棒状又は繊維状のナノスケールカーボンの表面の酸化チタンの被覆率が、70〜100%、特には85〜100%であることが好ましい。また、カーボン/チタンの表面元素比率は、0/100〜70/30(原子比)が好ましく、0/100〜50/50(原子比)がより好ましい。なお、表面被覆率(カーボンの表面上の、粒子状酸化チタンが連なってなる被覆層で覆われている箇所の割合)は、例えば、電子顕微鏡(SEM又はTEM)観察等により、また、カーボン/チタンの表面元素比率は、例えば、X線光電子分光分析等により、測定することができる。
工程(II)では、工程(I)で得られた酸化チタン被覆ナノスケールカーボン中に存在するナノスケールカーボンを消失させ、チタニアナノ粒子のチューブ状集合体を作製する。これにより、酸化チタンがアナターゼ型結晶構造になるとともに密着性が増す利点がある。なお、工程(II)では、ナノスケールカーボンを消失させればよく、その手法は特に限定されるものではないが、酸化消失させるのが簡便である。例えば、空気中で加熱して酸化消失させる場合には、その加熱温度は、好ましくは450℃以上、より好ましくは550℃以上、さらに好ましくは600〜750℃、特に好ましくは600〜700℃である。
[形状]
本発明において、セパレータは、上述した酸化チタンの多孔質体からなり、特に多孔質焼結体からなることが好ましい。
セパレータを多孔質構造とすることで、後にセパレータが有する多孔質構造(特に孔)内に電解液を含ませることが可能となり、従来のセパレータ構造では、工程上、後から電解液を注入して再封入する必要があったが、予め電解液を含ませる場合は、電解液を染み込ませた後そのまま封入することができ、工程が簡便になるばかりでなく、再封止の必要がないため封止性能も向上する。また、粘性の高い電解液やゲル状電解質を注入する場合は、後からの注入が困難であったが、多孔質セパレータに電解液やゲル電解質を予め含浸させることにより、簡便かつ封止性の高い構造となる。
具体的には、セパレータを構成する多孔質体の比表面積は、3〜150m/g程度、特に5〜80m/g程度が好ましい。
また、セパレータの厚みは、0.1〜5μm程度、特に0.5〜3μm程度が好ましい。セパレータの厚みをこの程度とすることで、内部抵抗を上昇させずに、短絡をより効果的に抑制することができる。なお、従来不織布等をセパレータとして使用した場合、5μmより大きい(特には10μm以上)厚みが必要であったが、本発明においては、上記のとおり0.1〜5μm程度でより十分に短絡を抑制することができる。このため、より内部抵抗の上昇を抑制することができる。
[形成方法]
基板上にセパレータを形成する方法には特に制限はない。例えば、上記正極上に、酸化チタン又は酸化チタン前駆体を含むセパレータ形成用組成物を塗布及び乾燥することが好ましい。この際、正極に導電層が形成されている場合には、セパレータ形成用組成物は、導電層上に形成することが好ましい。
なお、酸化チタン前駆体としては、具体的には、チタンイソプロポキシド等のチタンアルコキシド、二酸化チタン、水酸化チタン、塩化チタン、硫酸チタン等が挙げられる。
この際、組成物の溶媒としては、水、有機溶媒等を用いることができる。
有機溶媒としては、上記の酸化チタン又は酸化チタン前駆体を分散できるものであれば、特に限定はない。例えば、エタノール、メタノール、テルピネオール等のアルコール類;エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類等を用いることができる。これらの溶媒は、分散性と揮発性、粘度を考慮し、通常混合して用いられる。組成物中の溶媒の割合としては、塗布時に流動性を持たせる点と塗布後の厚みを保持する点、また多孔質の酸化チタンを形成する点から、50〜90重量%が、特に60〜75重量%が好ましい。
分散液の成分として、上記の溶媒以外に、増粘剤等を含んでもよい。
増粘剤としては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース等のアルキルセルロース等が挙げられる。なかでも、アルキルセルロース、特にエチルセルロースを好適に用いることができる。
ペースト中の増粘剤の割合としては、塗布時の流動性と塗布後の厚みのバランスをとる点から、2〜20重量%が、特に3〜15重量%が好ましい。
ペースト中の固形分の割合としては、上記と同様に塗布時の流動性と塗布後の厚みのバランスの点から、5〜50重量%が、特に10〜30重量%が好ましい。
(3)電解液
本発明の一体電極は電解液を含むことが好ましい。具体的には、本発明の一体電極は、セパレータ(多孔質体)中に存在する多孔質構造(特に孔)内に電解液を含むことが好ましい。このように、本発明の一体電極内に電解液を含むことにより、後に負極と張り合わせるだけで、簡便に光電変換素子を作製することが可能である。特に、耐久性に優れるイオン液体や高沸点溶媒は一般に粘性が高く、このような高耐久性溶媒を従来手法で導入する場合、後からセルに注入するのは困難であり、さらに、耐久性にも悪影響を及ぼす再封止をしなくてはいけなかった。しかし、高粘性のイオン液体や高沸点溶媒、あるいはゲル電解質等は、予め電解液を含浸させておくことで、張り合わせるだけで簡便に光電変換素子を作製することが可能である。また、素子の周囲を囲う形のセパレータではなく、両極に接したセパレータであるため、セルを張り合わせた後も、正極と負極の隙間から、電解液を注入することができ、工程上、簡便かつ高耐久性の封止が可能となる。
なお、本発明の一体電極内(特にセパレータ中に存在する多孔質構造内)に電解液を含ませる方法は特に制限はなく、例えば、本発明の一体電極をあらかじめ作製した電解液中に含浸させることが好ましい。
電解液としては、特に制限されるわけではないが、蒸気圧がほぼゼロである、化学的安定性が高い、熱的安定性が高い等の理由により、高温での耐久性がより期待できることから、溶媒としてイオン液体を使用することが好ましい。
このように、溶媒としてイオン液体を使用する場合には、通常の溶媒と比較して、より粘度が高くなるため、電解液中に含まれるヨウ化物イオン(I)及び三ヨウ化物イオン(I )の拡散が遅くなる傾向がある。そのため、イオン液体を使用する場合には、粘度を過度に上昇させすぎない程度に電解質を多く含ませ、酸化還元対であるIとI との交換反応を多く行わせることにより電荷移動させることがより好ましい。
この観点から、電解液としては、ヨウ素及びヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウムを含むヨウ化物を含む電解質を含有し、且つ、
(1)前記ヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウムは、ヨウ化1−エチル−3−メチルイミダゾリウム及びヨウ化1,3−ジメチルイミダゾリウムを含む、
(2)前記電解液は、前記ヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウムを3.0モル/リットル以上含む、
(3)前記ヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウムは、ヨウ化1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムを含む
の少なくとも1つを満たすことが好ましい。
<第1の態様>
第1の態様における電解液は、
ヨウ素、ヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウムを含むヨウ化物及び溶媒を含有する電解液であって、
前記ヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウムは、ヨウ化1−エチル−3−メチルイミダゾリウム及びヨウ化1,3−ジメチルイミダゾリウムを含むことが好ましい。
電解質
電解液は、電解質として、ヨウ素と、ヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウムとしてヨウ化1−エチル−3−メチルイミダゾリウム及びヨウ化1,3−ジメチルイミダゾリウムヨウ化物とを含むことが好ましい。
ヨウ素とヨウ化物とは、本発明の電解液中で酸化還元対であるI/I を形成する(I存在下にIを添加することでI が生成する)。
その結果、チタニア伝導帯を下げて色素からチタニアへの電子注入速度をより向上させる効果がある。また、チタニアに注入された電子の輸送をより促進させる効果もある。これにより、短絡電流密度をより向上させ、結果的に光電変換効率をより向上させることができる。
本発明では、後述のとおり、イオン液体として、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビスフルオロスルホニルイミドを使用することが好ましい。後述のように、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビスフルオロスルホニルイミドは、高い極性を有しつつも疎水性を有し、水分進入による劣化をより抑制するはたらきがある。また、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビスフルオロスルホニルイミドは、25℃における粘度が19mPa・s程度であり、有機溶媒より粘度が高い(例えば、25℃における粘度が0.378mPa・sであるアセトニトリルの約50倍である)。このため、溶媒として有機溶媒を用いた電解液よりも、ヨウ化物イオン(I)及び三ヨウ化物イオン(I )の移動速度は遅くなる。このため、ヨウ化物イオン(I)及び三ヨウ化物イオン(I )の物理拡散よりも、ヨウ化物イオン(I)及び三ヨウ化物イオン(I )の交換反応による電荷移動を主として行わせるために、溶媒として有機溶媒を用いた電解液と比較し、ヨウ素及びヨウ化物の濃度を高めに設定することが好ましい。
この際、電解質の濃度を単に高くするのではなく、ヨウ化物イオン(I)源として使用しているヨウ化1−エチル−3−メチルイミダゾリウム及びヨウ化1,3−ジメチルイミダゾリウムの合計濃度を高く設定し、ヨウ素の添加量を抑制することで、光の吸収量をより抑制し、イオン伝導度をより高くすることが好ましい。
このような観点から、電解液中のヨウ素の濃度は、0.1〜10モル/リットル(特に0.2〜5モル/リットル)程度が好ましい。
また、電解液中のヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウムの濃度は、溶媒1リットルに対して3.0モル以上(特に5〜20モル、さらに7〜15モル)程度が好ましい。この範囲内とすることで、変換効率をより向上させることができる。
なお、ヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウムとして電解液中に存在するヨウ化1−エチル−3−メチルイミダゾリウム及びヨウ化1,3−ジメチルイミダゾリウムそれぞれの濃度は、同じでも異なっていてもよく、特に制限されないが、ヨウ化1−エチル−3−メチルイミダゾリウムが1.5モル/リットル以上(特に2.5〜10モル/リットル)程度、ヨウ化1,3−ジメチルイミダゾリウムが1.5モル/リットル以上(特に2.5〜10モル/リットル)程度が好ましい。
また、ヨウ化1−エチル−3−メチルイミダゾリウムとヨウ化1,3−ジメチルイミダゾリウムとの濃度の比は、特に制限されないが、共に単独では3モル/リットル以上溶解するのが困難であるが、共存させることで極性溶媒に溶解しやすくなるという理由から、1:9〜9:1(モル比)、特に4:6〜6:4(モル比)が好ましい。
なお、ヨウ化1−エチル−3−メチルイミダゾリウムとヨウ化1,3−ジメチルイミダゾリウムとは常温で固体であり、ともに単独では、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビススルホニルイミドに対して常温で3M程度までしか溶解しない。しかし、共存下で70℃程度に加熱すれば、3Mより多くの量(例えば30M程度)でも溶解させることができる。また、その後、常温に冷却しても析出することなく、多量に溶解させ続けることが可能である。
このように、ヨウ化物イオン(I)及び三ヨウ化物イオン(I )の交換反応による電荷移動を主として行わせれば、ヨウ化物イオン(I)及び三ヨウ化物イオン(I )の見かけの拡散速度を、有機溶媒を用いた電解液よりもさらに向上させ、結果的に光電変換効率をさらに向上させることも可能である。
本発明では、ヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウムとしては、上記のヨウ化1−エチル−3−メチルイミダゾリウム及びヨウ化1,3−ジメチルイミダゾリウム以外にも、ヨウ化1−メチル−3−プロピルイミダゾリウム、ヨウ化1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、ヨウ化1−メチル−3−ヘキシルイミダゾリウム等(好ましくはヨウ化1−メチル−3−プロピルイミダゾリウム等)の他のヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウムを含ませてもよい。
この際、他のヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウムの濃度は、本発明の効果を損ねない程度であればよい。
また、本発明では、ヨウ化物として、ヨウ化リチウムを含ませてもよい。
このヨウ化リチウムを使用することによっても、ヨウ素との間で酸化還元対であるI/I を形成することができるため、よりチタニア伝導帯を下げて色素からチタニアへの電子注入速度をさらに向上させることができる。また、チタニアに注入された電子の輸送をさらに促進させる効果もある。これにより、より短絡電流密度を向上させ、さらに光電変換効率を向上させることができる。
なお、ヨウ化リチウムの添加により生成するリチウムイオンは、色素増感太陽電池のチタニア負極等に用いられる多孔質チタニアに吸着すると考えられる。
また、色素増感太陽電池の開放電圧を充分に保持して充分な光電変換効率を得る観点から、ヨウ化物イオンIの主な供給源としてはヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウム(特にヨウ化1−エチル−3−メチルイミダゾリウム及びヨウ化1,3−ジメチルイミダゾリウム)とするのが好ましい。そのため、ヨウ化リチウムの濃度は、ヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウム(特にヨウ化1−エチル−3−メチルイミダゾリウム及びヨウ化1,3−ジメチルイミダゾリウム)と比較して少なくすることが好ましい。
この観点から、ヨウ化リチウムの濃度は、0.05〜0.3モル/リットル(特に0.1〜0.2モル/リットル)が好ましい。また、ヨウ化リチウムとヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウムとの濃度比は、1:30〜1:300(モル比)、特に1:60〜1:200(モル比)、さらに1:70〜1:120(モル比)が好ましい。
イオン液体
イオン液体は、一般に吸水性が高く、ゲル化しても水分との親和性はもとのイオン液体の特性に大きく依存するところ、電解質ゲルへの水分侵入を抑制してより光電変換効率を向上させる観点から、溶媒として使用するイオン液体としては、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビススルホニルイミドが好ましい。1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビススルホニルイミドの融点は−14℃、25℃における粘度は19mPa・sであり、疎水性である。
この1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビススルホニルイミドの25℃における粘度は、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオンを有するイオン液体の中では低い部類で、従来から使用されている、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムチオシアネート(23.1mPa・S;融点は−50℃)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド(28mPa・S;融点は−16℃)等よりも低い値であり、ヨウ化物イオン(I)及び三ヨウ化物イオン(I )が拡散しやすいという面で有利である。
また、1−メチル−3−イミダゾリウムテトラシアノボレートは25℃における粘度は20mPa・Sと1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビススルホニルイミドとほぼ同程度であるが、融点が13℃であり、冬場など温度が低い環境では、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビストリフルオロメタンスルホニルイミドのほうがより好ましい。さらに、テトラシアノボレートアニオン(B(CN) )が、ヨウ化物イオン(I)及び三ヨウ化物イオン(I )の移動を阻害する可能性があるため、短絡電流密度(Jsc)、変換効率及び高温耐久性の観点から、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビストリフルオロメタンスルホニルイミドのほうがより好ましい。
また、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビスフルオロスルホニルイミドは疎水性を有することから、水分進入による性能劣化をより効率的に抑制することができる。
なお、溶媒としては、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビススルホニルイミドと有機溶媒又は他のイオン液体との混合溶媒とすることも考えられる。しかし、高温耐久性及び安定性を考慮すると、蒸気圧を有する有機溶媒との混合溶媒とすることや、カチオン及びアニオンの種類を増加させることになる他のイオン液体との混合溶媒とすること等と比較すると、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビススルホニルイミドを単独で使用することが好ましい。
その他の成分
電解液には、上記した成分以外にも、塩基性物質、例えば、4−ターシャルブチルピリジン、N−メチルベンズイミダゾール等を含有させることもできる。これらの塩基性物質を含有させれば、光電変換素子を作製した際に、チタニア電極のチタニア表面に吸着し、チタニア電極からの逆電子移動を防ぐことができ、開放電圧をより向上させるとともに、光電変換効率をより向上させることができる。
また、チタニアに吸着した増感色素を脱離させないため、電解液中の塩基性物質の添加量は、0.01〜1モル/リットル程度とすることが好ましい。特に、金属錯体色素を使用する場合は、0.1〜1.0モル/リットル程度、特に0.3〜0.8モル/リットル程度が好ましい。また、有機色素を使用する場合は、0.01〜0.1モル/リットル程度、特に0.03〜0.08モル/リットル程度が好ましい。
他にも、本発明で使用する電解液には、上述のヨウ化リチウムと同様に、チタニアの伝導帯を下げて色素からチタニアへの電子注入速度を向上させる効果のあるグアニジンチオシアネート等も添加することができる。この場合、これらの添加量は、0.1〜1.0モル/リットル程度とすればよい。
なお、本発明で使用する電解液においては、上記成分以外にも、粘度調整剤(ポリエチレングリコール等)や脱水剤(ゼオライト、シリカゲル等)等を、本発明の効果を損なわない範囲内で含ませることができる。
<第2の態様>
本発明で使用する第2の態様における電解液は、
ヨウ素、ヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウムを含むヨウ化物及び溶媒を含有する電解液であって、
前記ヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウムを3.0モル/リットル以上含むことが好ましい。
電解質
電解液は、電解質として、ヨウ素と、ヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウムとを含むことが好ましい。
ヨウ素とヨウ化物とは、本発明の電解液中で酸化還元対であるI/I を形成する(I存在下にIを添加することでI が生成する)。
その結果、チタニア伝導帯を下げて色素からチタニアへの電子注入速度をより向上させる効果がある。また、チタニアに注入された電子の輸送をより促進させる効果もある。これにより、短絡電流密度をより向上させ、結果的に光電変換効率をより向上させることができる。
ヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウムとしては、ヨウ化1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、ヨウ化1,3−ジメチルイミダゾリウム、ヨウ化1−メチル−3−プロピルイミダゾリウム、ヨウ化1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、ヨウ化1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、ヨウ化1−メチル−3−ヘキシルイミダゾリウム等が好ましい。
これらのなかでも、高温耐久性の観点から、ヨウ化1−エチル−3−メチルイミダゾリウム及びヨウ化1,3−ジメチルイミダゾリウムが好ましい。
ただし、ヨウ化1−エチル−3−メチルイミダゾリウムとヨウ化1,3−ジメチルイミダゾリウムとは常温で固体であり、ともに単独では、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビススルホニルイミドに対して常温で3M程度までしか溶解しない。しかし、70℃程度に加熱すれば、3Mより多くの量(例えば30M程度)でも溶解させることができる。また、その後、常温に冷却しても析出することなく、多量に溶解させ続けることが可能である。
一方、ヨウ化1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムは常温で液体であるため、そのまま電解液中に多量に含ませることができる。このことから、ヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウムとして、ヨウ化1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムを採用してもよい。当然のことながら、ヨウ化1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムを上述のヨウ化1−エチル−3−メチルイミダゾリウム及びヨウ化1,3−ジメチルイミダゾリウムと併用してもよい。
本発明では、後述のとおり、イオン液体として、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビスフルオロスルホニルイミドを使用することが好ましい。後述のように、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビスフルオロスルホニルイミドは、高い極性を有しつつも疎水性を有し、水分進入による劣化をより抑制するはたらきがある。また、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビスフルオロスルホニルイミドは、25℃における粘度が19mPa・s程度であり、有機溶媒より粘度が高い(例えば、25℃における粘度が0.378mPa・sであるアセトニトリルの約50倍である)。本発明の電解質ゲルにおいては、ゲル化しているためさらに粘度が高くなる。このため、溶媒として有機溶媒を用いた電解液よりも、ヨウ化物イオン(I)及び三ヨウ化物イオン(I )の移動速度は遅くなる。このため、ヨウ化物イオン(I)及び三ヨウ化物イオン(I )の物理拡散よりも、ヨウ化物イオン(I)及び三ヨウ化物イオン(I )の交換反応による電荷移動を主として行わせるために、溶媒として有機溶媒を用いた電解液と比較し、ヨウ素及びヨウ化物の濃度を高めに設定することが好ましい。
この際、電解質の濃度を単に高くするのではなく、ヨウ化物イオン(I)源として使用しているヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウムの濃度を高く設定し、ヨウ素の添加量を抑制することで、光の吸収量をより抑制し、イオン伝導度をより高くすることができる。
このような観点から、ヨウ素の濃度は、0.1〜10モル/リットル(特に0.2〜5モル/リットル)程度が好ましい。
また、ヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウムの濃度は、溶媒1リットルに対して3.0モル(特に5〜20モル、さらに7〜15モル)程度が好ましい。この範囲内とすることで、変換効率をより向上させることができる。
なお、ヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウムとしてヨウ化1−エチル−3−メチルイミダゾリウム及びヨウ化1,3−ジメチルイミダゾリウムを使用する場合、電解液中に存在するヨウ化1−エチル−3−メチルイミダゾリウム及びヨウ化1,3−ジメチルイミダゾリウムそれぞれの濃度は、同じでも異なっていてもよく、特に制限されないが、ヨウ化1−エチル−3−メチルイミダゾリウムが1.5モル/リットル以上(特に2.5〜10モル/リットル)程度、ヨウ化1,3−ジメチルイミダゾリウムが1.5モル/リットル以上(特に2.5〜10モル/リットル)程度が好ましい。
また、ヨウ化1−エチル−3−メチルイミダゾリウムとヨウ化1,3−ジメチルイミダゾリウムとを使用する場合、その濃度の比は、特に制限されないが、共に単独では3モル/リットル以上溶解するのが困難であるが、共存させることで極性溶媒に溶解しやすいという理由から、1:9〜9:1(モル比)、特に4:6〜6:4(モル比)が好ましい。
ヨウ化1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムを上述のヨウ化1−エチル−3−メチルイミダゾリウム及びヨウ化1,3−ジメチルイミダゾリウムと併用する場合には、合計で、ヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウムの濃度が3モル/リットル以上(特に5〜20モル/リットル)程度となるように設定すればよい。ただし、高温耐久性を維持する観点から、ヨウ化1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムの添加量は、0.1〜5モル/リットル(特に0.1〜3モル/リットル)程度とすることが好ましい。
また、本発明では、ヨウ化物として、ヨウ化リチウムを含ませてもよい。
このヨウ化リチウムを使用することによっても、ヨウ素との間で酸化還元対であるI/I を形成することができるため、よりチタニア伝導帯を下げて色素からチタニアへの電子注入速度をさらに向上させることができる。また、チタニアに注入された電子の輸送をさらに促進させる効果もある。これにより、より短絡電流密度を向上させ、さらに光電変換効率を向上させることができる。
なお、ヨウ化リチウムの添加により生成するリチウムイオンは、色素増感太陽電池のチタニア負極等に用いられる多孔質チタニアに吸着すると考えられる。
また、色素増感太陽電池の開放電圧を充分に保持して充分な光電変換効率を得る観点から、ヨウ化物イオンIの主な供給源としてはヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウムとするのが好ましい。そのため、ヨウ化リチウムの濃度は、ヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウムと比較して少なくすることが好ましい。
この観点から、ヨウ化リチウムの濃度は、0.05〜0.3モル/リットル(特に0.1〜0.2モル/リットル)が好ましい。また、ヨウ化リチウムとヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウムとの濃度比は、1:30〜1:300(モル比)、特に1:60〜1:200(モル比)、さらに1:70〜1:120(モル比)が好ましい。
イオン液体
イオン液体は、一般に吸水性が高く、ゲル化しても水分との親和性はもとのイオン液体の特性に大きく依存するところ、電解質ゲルへの水分侵入を抑制してより光電変換効率を向上させる観点から、溶媒として使用するイオン液体としては、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビススルホニルイミドを使用することが好ましい。1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビススルホニルイミドの融点は−14℃、25℃における粘度は19mPa・sであり、疎水性である。
この1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビススルホニルイミドの25℃における粘度は、1−エチル−3-メチルイミダゾリウムカチオンを有するイオン液体の中では低い部類で、従来から使用されている、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムチオシアネート(23.1mPa・S;融点は−50℃)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド(28mPa・S;融点は−16℃)等よりも低い値であり、ヨウ化物イオン(I)及び三ヨウ化物イオン(I )が拡散しやすいという面で有利である。
また、1−メチル−3−イミダゾリウムテトラシアノボレートは25℃における粘度は20mPa・Sと1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビススルホニルイミドとほぼ同程度であるが、融点が13℃であり、冬場など温度が低い環境では、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビストリフルオロメタンスルホニルイミドのほうがより好ましい。さらに、テトラシアノボレートアニオン(B(CN) )が、ヨウ化物イオン(I)及び三ヨウ化物イオン(I )の移動を阻害する可能性があるため、短絡電流密度(Jsc)、変換効率及び高温耐久性の観点から、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビストリフルオロメタンスルホニルイミドのほうがより好ましい。
また、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビスフルオロスルホニルイミドは疎水性を有することから、水分進入による性能劣化をより効率的に抑制することができる。
なお、溶媒としては、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビススルホニルイミドと有機溶媒又は他のイオン液体との混合溶媒とすることも考えられる。しかし、高温耐久性及び安定性を考慮すると、蒸気圧を有する有機溶媒との混合溶媒とすることや、カチオン及びアニオンの種類を増加させることになる他のイオン液体との混合溶媒とすること等と比較すると、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビススルホニルイミドを単独で使用することが好ましい。
その他の成分
本発明で使用する電解液には、上記した成分以外にも、塩基性物質、例えば、4−ターシャルブチルピリジン、N−メチルベンズイミダゾール等を含有させることもできる。これらの塩基性物質を含有させれば、光電変換素子を作製した際に、チタニア電極のチタニア表面に吸着し、チタニア電極からの逆電子移動を防ぐことができ、開放電圧をより向上させるとともに、光電変換効率をより向上させることができる。
また、チタニアに吸着した増感色素を脱離させないため、電解液中の塩基性物質の添加量は、0.01〜1モル/リットル程度とすることが好ましい。特に、金属錯体色素を使用する場合は、0.1〜1.0モル/リットル程度、特に0.3〜0.8モル/リットル程度が好ましい。また、有機色素を使用する場合は、0.01〜0.1モル/リットル程度、特に0.03〜0.08モル/リットル程度が好ましい。
他にも、本発明で使用する電解液には、上述のヨウ化リチウムと同様に、チタニアの伝導帯を下げて色素からチタニアへの電子注入速度を向上させる効果のあるグアニジンチオシアネート等も添加することができる。この場合、これらの添加量は、0.1〜1.0モル/リットル程度とすればよい。
なお、本発明で使用する電解液においては、上記成分以外にも、粘度調整剤(ポリエチレングリコール等)や脱水剤(ゼオライト、シリカゲル等)等を、本発明の効果を損なわない範囲内で含ませることができる。
<第3の態様>
本発明で使用する第3の態様における電解液は、
ヨウ素、ヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウムを含むヨウ化物及び溶媒を含有する電解液であって、
前記ヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウムは、ヨウ化1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムを含むことが好ましい。
電解質
電解液は、電解質として、ヨウ素と、ヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウムとしてヨウ化1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムとを含む。
ヨウ素とヨウ化物とは、本発明の電解液中で酸化還元対であるI/I を形成する(I存在下にIを添加することでI が生成する)。
その結果、チタニア伝導帯を下げて色素からチタニアへの電子注入速度をより向上させる効果がある。また、チタニアに注入された電子の輸送をより促進させる効果もある。これにより、短絡電流密度をより向上させ、結果的に光電変換効率をより向上させることができる。
本発明では、後述のとおり、イオン液体として、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビスフルオロスルホニルイミドを使用することが好ましい。後述のように、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビスフルオロスルホニルイミドは、高い極性を有しつつも疎水性を有し、水分進入による劣化をより抑制するはたらきがある。また、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビスフルオロスルホニルイミドは、25℃における粘度が19mPa・s程度であり、有機溶媒より粘度が高い(例えば、25℃における粘度が0.378mPa・sであるアセトニトリルの約50倍である)。このため、溶媒として有機溶媒を用いた電解液よりも、ヨウ化物イオン(I)及び三ヨウ化物イオン(I )の物理拡散よりも、ヨウ化物イオン(I)及び三ヨウ化物イオン(I )の交換反応による電荷移動を主として行わせるために、溶媒として有機溶媒を用いた電解液と比較し、ヨウ素及びヨウ化物の濃度を高めに設定することが好ましい。
この際、電解質の濃度を単に高くするのではなく、ヨウ化物イオン(I)源として使用しているヨウ化1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムの濃度を高く設定し、ヨウ素の添加量を抑制することで、光の吸収量をより抑制し、イオン伝導度をより高くすることが好ましい。
このような観点から、電解液中のヨウ素の濃度は、0.1〜10モル/リットル(特に0.2〜5モル/リットル)程度が好ましい。
また、添加するヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウム(特にヨウ化1−エチル−3−メチルイミダゾリウム及びヨウ化1,3−ジメチルイミダゾリウムをヨウ化1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムに対して加える濃度は、ヨウ化1−メチル−3−プロピルイミダゾリウム自身の6Mに対して、ヨウ化1−メチル−3−プロピルイミダゾリウム1リットルに対する濃度とした)の濃度は、1モル/リットル以上(特に3〜9モル/リットル)程度が好ましい。この範囲内とすることで、変換効率をより向上させることができる。
なお、ヨウ化1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムは常温で液体であるため、そのまま電解液中に多量に含ませることができる。
本発明では、ヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウムとしては、上記のヨウ化1−メチル−3−プロピルイミダゾリウム以外にも、ヨウ化1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、ヨウ化1,3−ジメチルイミダゾリウム、ヨウ化1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、ヨウ化1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、ヨウ化1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、ヨウ化1−メチル−3−ヘキシルイミダゾリウム等(好ましくはヨウ化1−エチル−3−メチルイミダゾリウム及びヨウ化1,3−ジメチルイミダゾリウム)の他のヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウムを含ませてもよい。
ただし、ヨウ化1−エチル−3−メチルイミダゾリウムとヨウ化1,3−ジメチルイミダゾリウムとは常温で固体であり、ともに単独では、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビススルホニルイミドに対して常温で3M程度までしか溶解しない。しかし、70℃程度に加熱すれば、3Mより多くの量(例えば30M程度)でも溶解させることができる。また、その後、常温に冷却しても析出することなく、多量に溶解させ続けることが可能である。
この際、他のヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウムの濃度は、上記のヨウ化1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムと合計で、ヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウムの濃度が3モル/リットル以上(特に5〜20モル/リットル)程度となるように設定することが好ましい。ただし、高温耐久性を維持する観点から、他のヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウムの添加量は、0.1〜5モル/リットル(特に0.1〜3モル/リットル)程度とすることが好ましい。
また、本発明では、ヨウ化物として、ヨウ化リチウムを含ませてもよい。
このヨウ化リチウムを使用することによっても、ヨウ素との間で酸化還元対であるI/I を形成することができるため、よりチタニア伝導帯を下げて色素からチタニアへの電子注入速度をさらに向上させることができる。また、チタニアに注入された電子の輸送をさらに促進させる効果もある。これにより、より短絡電流密度を向上させ、さらに光電変換効率を向上させることができる。
なお、ヨウ化リチウムの添加により生成するリチウムイオンは、色素増感太陽電池のチタニア負極等に用いられる多孔質チタニアに吸着すると考えられる。
また、色素増感太陽電池の開放電圧を充分に保持して充分な光電変換効率を得る観点から、ヨウ化物イオンIの主な供給源としてはヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウム(特にヨウ化1−メチル−3−プロピルイミダゾリウム)とするのが好ましい。そのため、ヨウ化リチウムの濃度は、ヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウム(特にヨウ化1−メチル−3−プロピルイミダゾリウム)と比較して少なくすることが好ましい。
この観点から、ヨウ化リチウムの濃度は、0.05〜0.3モル/リットル(特に0.1〜0.2モル/リットル)が好ましい。また、ヨウ化リチウムとヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウムとの濃度比は、1:30〜1:300(モル比)、特に1:60〜1:200(モル比)、さらに1:70〜1:120(モル比)が好ましい。
イオン液体
イオン液体は、一般に吸水性が高く、ゲル化しても水分との親和性はもとのイオン液体の特性に大きく依存するところ、電解質ゲルへの水分侵入を抑制してより光電変換効率を向上させる観点から、溶媒として使用するイオン液体としては、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビススルホニルイミドを使用することが好ましい。1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビススルホニルイミドの融点は−14℃、25℃における粘度は19mPa・sであり、疎水性である。
この1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビススルホニルイミドの25℃における粘度は、1−エチル−3-メチルイミダゾリウムカチオンを有するイオン液体の中では低い部類で、従来から使用されている、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムチオシアネート(23.1mPa・S;融点は−50℃)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド(28mPa・S;融点は−16℃)等よりも低い値であり、ヨウ化物イオン(I)及び三ヨウ化物イオン(I )が拡散しやすいという面で有利である。
また、1−メチル−3−イミダゾリウムテトラシアノボレートは25℃における粘度は20mPa・Sと1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビススルホニルイミドとほぼ同程度であるが、融点が13℃であり、冬場など温度が低い環境では、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビススルホニルイミドのほうがより好ましい。さらに、テトラシアノボレートアニオン(B(CN) )が、ヨウ化物イオン(I)及び三ヨウ化物イオン(I )の移動を阻害する可能性があるため、短絡電流密度、変換効率及び高温耐久性の観点から、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビススルホニルイミドのほうがより好ましい。
また、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビスフルオロスルホニルイミドは疎水性を有することから、水分進入による性能劣化をより効率的に抑制することができる。
なお、溶媒としては、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビススルホニルイミドと有機溶媒又は他のイオン液体との混合溶媒とすることも考えられる。しかし、高温耐久性及び安定性を考慮すると、蒸気圧を有する有機溶媒との混合溶媒とすることや、カチオン及びアニオンの種類を増加させることになる他のイオン液体との混合溶媒とすること等と比較すると、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビススルホニルイミドを単独で使用することが好ましい。
その他の成分
本発明で使用する電解液には、上記した成分以外にも、塩基性物質、例えば、4−ターシャルブチルピリジン、N−メチルベンズイミダゾール等を含有させることもできる。これらの塩基性物質を含有させれば、光電変換素子を作製した際に、チタニア電極のチタニア表面に吸着し、チタニア電極からの逆電子移動を防ぐことができ、開放電圧をより向上させるとともに、光電変換効率をより向上させることができる。
また、チタニアに吸着した増感色素を脱離させないため、電解液中の塩基性物質の添加量は、0.01〜1モル/リットル程度とすることが好ましい。特に、金属錯体色素を使用する場合は、0.1〜1.0モル/リットル程度、特に0.3〜0.8モル/リットル程度が好ましい。また、有機色素を使用する場合は、0.01〜0.1モル/リットル程度、特に0.03〜0.08モル/リットル程度が好ましい。
他にも、本発明で使用する電解液には、上述のヨウ化リチウムと同様に、チタニアの伝導帯を下げて色素からチタニアへの電子注入速度を向上させる効果のあるグアニジンチオシアネート等も添加することができる。この場合、これらの添加量は、0.1〜1.0モル/リットル程度とすればよい。
なお、電解液においては、上記成分以外にも、粘度調整剤(ポリエチレングリコール等)や脱水剤(ゼオライト、シリカゲル等)等を、本発明の効果を損なわない範囲内で含ませることができる。
2.光電変換素子及び色素増感太陽電池
本発明の光電変換素子は、導電性基板(負極基板)、半導体層、及び本発明の一体電極(正極)から少なくとも構成される。
導電性基板(負極基板)は、通常、基板上に導電膜を有するものである。基板としては、特に限定されず、材質、厚さ、寸法、形状等は目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属、無色又は有色ガラス、網入りガラス、ガラスブロック等が用いられる他、無色又は有色の樹脂でも良い。かかる樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、トリ酢酸セルロース、ポリメチルペンテン等が挙げられる。なお、本発明における基板とは、常温において平滑な面を有するものであり、その面は平面あるいは曲面であってもよく、また応力によって変形するものであってもよい。
また、電極として作用する導電膜の材料は特に限定されないが、例えば、金、銀、クロム、銅、タングステン、チタン等の金属や金属薄膜、金属酸化物からなる導電膜等が挙げられる。金属酸化物としては、例えば、錫や亜鉛等の金属酸化物に、他の金属元素を微量ドープしたIndium Tin Oxide(ITO(In:Sn))、Fluorine doped Tin Oxide(FTO(SnO:F))、Aluminum doped Zinc Oxide(AZO(ZnO:Al))、Antimony doped Tin Oxide(ATO(SnO:Sb))等が好適なものとして用いられる。
導電膜の膜厚は、通常100〜10000nm、好ましくは300〜2000nmである。また、表面抵抗(抵抗率)は適宜選択されるところであるが、通常0.5〜500Ω/sq、好ましくは1〜50Ω/sqである。
導電膜の形成法は特に限定されるものではなく、用いる金属や金属酸化物の種類により公知の方法を適宜採用することができる。通常、真空蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法又はスパッタリング法等が用いられる。いずれの場合も基板温度が20〜700℃の範囲内で形成されるのが望ましい。
半導体層としては、酸化チタン材料を使用する。例えば、公知又は市販のチタニアナノ粒子、アモルファス状チタニアナノチューブ(特許文献2〜3等)、チタニアナノ粒子のチューブ状集合体(特許文献4)等を単独又は混合して使用することができる。
導電性基板(負極基板)上に半導体層を形成する方法としては、特に制限はなく、例えば、上記の酸化チタン材料を含むペーストを調製し、導電性基板(負極基板)上に塗布して焼成する方法等が挙げられる。この際、ペーストの溶媒としては、水、有機溶媒等を用いることができる。
有機溶媒としては、上記の酸化チタン材料を分散できるものであれば、特に限定はない。例えば、エタノール、メタノール、テルピネオール等のアルコール類;エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類等を用いることができる。これらの溶媒は、分散性と揮発性、粘度を考慮し、通常混合して用いられる。ペースト中の溶媒の割合としては、塗布時に流動性を持たせる点と塗布後の厚みを保持する点、また多孔質の酸化チタンを形成する点から、50〜90重量%が、特に60〜75重量%が好ましい。
分散液の成分として、上記の溶媒以外に、増粘剤等を含んでもよい。
増粘剤としては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース等のアルキルセルロース等が挙げられる。なかでも、アルキルセルロース、特にエチルセルロースを好適に用いることができる。
ペースト中の増粘剤の割合としては、塗布時の流動性と塗布後の厚みのバランスをとる点から、2〜20重量%が、特に3〜15重量%が好ましい。
ペースト中の固形分の割合としては、上記と同様に塗布時の流動性と塗布後の厚みのバランスの点から、10〜50重量%が、特に10〜30重量%が好ましい。
本発明の光電変換素子においては、半導体層の光吸収効率を向上すること等を目的として、半導体層に色素を担持(吸着、含有など)させたものが用いられる。
色素は、可視域や近赤外域に吸収特性を有し、半導体層の光吸収効率を向上(増感)させる色素であれば特に限定されないが、金属錯体色素、有機色素、天然色素、半導体等が好ましい。また、半導体層への吸着性を付与するために、色素の分子中にカルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホニル基、ホスホニル基、カルボキシルアルキル基、ヒドロキシアルキル基、スルホニルアルキル基、ホスホニルアルキル基等の官能基を有するものが好適に用いられる。
金属錯体色素としては、例えば、ルテニウム、オスミウム、鉄、コバルト、亜鉛、水銀の錯体(例えば、メリクルクロム等)や、金属フタロシアニン、クロロフィル等を用いることができる。また、有機色素としては、例えば、シアニン系色素、ヘミシアニン系色素、メロシアニン系色素、キサンテン系色素、トリフェニルメタン系色素、金属フリーフタロシアニン系色素等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。色素として用いることができる半導体としては、i型の光吸収係数が大きなアモルファス半導体や直接遷移型半導体、量子サイズ効果を示し、可視光を効率よく吸収する微粒子半導体が好ましい。通常、各種の半導体や金属錯体色素や有機色素の一種、又は光電変換の波長域をできるだけ広くし、かつ変換効率を上げるため、二種類以上の色素を混合することができる。また、目的とする光源の波長域と強度分布に合わせるように、混合する色素とその割合を選ぶことができる。
色素を半導体層に吸着させる方法としては、例えば、溶媒に色素を溶解させた溶液を、半導体層上にスプレーコートやスピンコート等により塗布した後、乾燥する方法により形成することができる。この場合、適当な温度に基板を加熱しても良い。また、半導体層を溶液に浸漬して吸着させる方法を用いることもできる。浸漬する時間は色素が充分に吸着すれば特に制限されることはないが、好ましくは10分〜30時間、より好ましくは1〜20時間である。また、必要に応じて浸漬する際に溶媒や基板を加熱しても良い。溶液にする場合の色素の濃度としては、1〜1000mmol/L、好ましくは10〜500mmol/L程度である。
用いる溶媒は特に制限されるものではないが、水及び有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール類;アセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリル、グルタロニトリル等のニトリル類;ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン等の芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;シクロヘキサン等の脂環式炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、2−ブタノン等のケトン類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ニトロメタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホアミド、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、スルホラン、ジメトキシエタン、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジオキソラン、スルホラン、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸エチルジメチル、リン酸トリブチル、リン酸トリペンチル、リン酸トリへキシル、リン酸トリヘプチル、リン酸トリオクチル、リン酸トリノニル、リン酸トリデシル、リン酸トリス(トリフフロロメチル)、リン酸トリス(ペンタフロロエチル)、リン酸トリフェニルポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
色素間の凝集等の相互作用を低減するために、界面活性剤としての性質を持つ無色の化合物を色素吸着液に添加し、半導体層に共吸着させてもよい。このような無色の化合物の例としては、カルボキシル基やスルホ基を有するコール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、タウロデオキシコール酸等のステロイド化合物やスルホン酸塩類等が挙げられる。
未吸着の色素は、吸着工程後、速やかに洗浄により除去するのが好ましい。洗浄は湿式洗浄槽中でアセトニトリル、アルコール系溶媒等を用いて行うのが好ましい。
色素を吸着させた後、アミン類、4級アンモニウム塩、少なくとも1つのウレイド基を有するウレイド化合物、少なくとも1つのシリル基を有するシリル化合物、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等を用いて、半導体層の表面を処理してもよい。好ましいアミン類の例としては、ピリジン、4−t−ブチルピリジン、ポリビニルピリジン等が挙げられる。好ましい4級アンモニウム塩の例としては、テトラブチルアンモニウムヨージド、テトラヘキシルアンモニウムヨージド等が挙げられる。これらは有機溶媒に溶解して用いてもよく、液体の場合はそのまま用いてもよい。
このように、負極基板上に半導体層を形成して負極を作製した後、上記のように電解液を含ませた一体電極と負極とを、セパレータと半導体層とが接するように張り合わせることで、本発明の光電変換素子を簡便に製造することができる。また、一体電極と負極とを、セパレータと半導体層とが接するように張り合わせた後、電解液を注入してもよい。
本発明の色素増感太陽電池は、本発明の光電変換素子をモジュール化するとともに、所定の電気配線を設けることによって製造することができる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらのみに限定されるものではない。
実施例1
[チタニアを含むセパレータ形成用組成物の作製]
チタンイソプロポキシド0.05molに酢酸0.05molを加えて15分撹拌した。蒸留水73mlを加えて1時間撹拌した。さらに濃硝酸1mlを加えて80℃で75分間加熱及び撹拌を行った。蒸留水を加えて全量を93mlとしてチタニアゾル水溶液を得た。このチタニアゾル水溶液40mLを内容積125mlの圧力反応容器に入れて250℃で12時間加熱した。得られた白色沈殿物(チタニア)をエタノールで溶媒置換した後、100mlエタノール分散液とした。これにα−テルピネオール7gとエチルセルロースの10重量%エタノール溶液8.65gを加えて撹拌した。十分に撹拌した後、エバポレータを用いてエタノールを留去してチタニアを含む膜形成用組成物10gを得た。
[一体電極の作製]
フッ素ドープ酸化スズ(FTO)膜付きガラス(日本板硝子(株)製;4mm厚)に白金を50nmスパッタした基板に、ポリエステル製スクリーン印刷版(225メッシュ)を用いて、上記で作製したチタニアを含む膜形成用組成物を、5ミリ角の大きさに1回スクリーン印刷を行った。さらに電気炉に入れて500℃にて1時間焼成を行うことで、膜厚1.5μm、比表面積71m/g、厚み1.1μmの多孔質酸化チタン層(セパレータ)と負極が一体化した電極を得た。
[チタニア負極の作製]
フッ素ドープ酸化スズ(FTO)膜付きガラス(日本板硝子(株)製;4mm厚)にポリエステル製スクリーン印刷版(225メッシュ)を用いて、上記で作製したチタニアを含む膜形成用組成物を、5ミリ角の大きさに膜厚14μmになるまで繰り返しスクリーン印刷を行った。さらに電気炉に入れて500℃にて1時間焼成を行った。
[増感色素の固定]
ダイソル社製のN−719色素をターシャルブチルアルコールとアセトニトリルの容量比1:1の混合溶媒に0.5ミリモル/リットルの濃度で溶解したものに上記500℃で焼成したチタニア負極を25℃で20時間浸漬して色素を固定した。
[小型セルの組み立て]
上記一体電極を電解液中に含浸させることで、一体電極のセパレータの多孔質構造内に電解液を含ませ、色素を固定した上記チタニア負極と張り合わせ、紫外線効果樹脂を用いて周囲をシールすることで光電変換素子(小型セル)を作製した。この小型セルを用いて、後述のとおり性能を評価した。結果を表1に示す。
電解液の組成は、以下のとおりとした。
<電解液>
ヨウ素(I):0.2M
ヨウ化リチウム(LiI):0.1M
4−ターシャルブチルピリジン(TBP):0.5M
ヨウ化1−メチル−3−プロピルミダゾリウム(MPImI):6M
[小型セルの性能評価]
作製した小型セルに(株)三永電機製作所製のソーラーシミュレータでAM1.5(JISC8912Aランク)の条件下の100mW/cmの強度の光を照射して上記小型セルの光電変換特性を25℃にて評価した。
[小型セルの85℃耐久評価]
作製した小型セルを85℃の乾燥炉に入れて、1000時間保持した。1000時間保持した後、上記の性能評価と同様に、小型セルの光電変換特性を評価した。
比較例1
色素を固定した上記チタニア負極に、スペーサー兼シール剤として厚さ50μm、低密度ポリエチレンフィルム(デュポン社製バイネル)を用いて、白金をスパッタしたフッ素ドープ酸化スズ(FTO)膜付きガラス(ピルキントン社製;2.2mm厚)を貼り合わせた。つまり、セパレータとして、酸化チタンを含む多孔質体を使用しなかった。その後、実施例1で用いた電解液を注入して封止を行い、光電変換素子を作製した。結果を表1に示す。
実施例2
特許文献4の実施例1に記載の方法にしたがい、外径100nm、内径30nm、長さ約2000nmの、平均粒径10nm程度のチタニアナノ粒子のチューブ状集合体を作製した。チタニアを含むセパレータ形成用組成物中に作製したチタニアナノ粒子のチューブ状集合体を5重量%混合したこと以外は実施例1と同様に、小型セルを作製し、評価を行った。なお、この際セパレータの膜厚は1.5μm、比表面積は75m/gであった。結果を表1に示す。
実施例3
50%SnOメタノール分散液4.8gとケッチェンブラック3.6gを混合し、10%エチルセルロースのエタノール溶液30gを加え超音波処理し、さらにテルピネオール32gを加えて、エタノールを溜去することで、膜形成用組成物を得た。この膜形成用組成物をチタン金属板にスクリーン印刷で1.5μm塗布して炭素材からなる正極を作製した。この正極上を、実施例1で用いた白金スパッタ基板の代わりに使用し、実施例1と同様に、チタニアを含むセパレータ組成物をスクリーン印刷、焼成し、小型セルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2013196948
実施例4
電解液の組成を以下のようにしたこと以外は実施例1と同様に小型セルを作製し、評価を行った。結果を表2に示す。
<電解液>
ヨウ素(I):0.2M
ヨウ化リチウム(LiI):0.1M
4−ターシャルブチルピリジン(TBP):0.5M
ヨウ化1−エチル−3−メチルイミダゾリウム(EMImI):2.0M
ヨウ化1,3−ジメチルイミダゾリウム(DMImI):2.0M
イオン液体としては、1−メチル−3−エチルイミダゾリウムビスフルオロスルホニルイミド(EMIm−FSI)を使用した。
実施例5
電解液の組成を以下のようにしたこと以外は実施例1と同様に小型セルを作製し、評価を行った。結果を表2に示す。
<電解液>
ヨウ素(I):0.2M
ヨウ化リチウム(LiI):0.1M
4−ターシャルブチルピリジン(TBP):0.5M
ヨウ化1−エチル−3−メチルイミダゾリウム(EMImI):5.0M
ヨウ化1,3−ジメチルイミダゾリウム(DMImI):5.0M
イオン液体としては、1−メチル−3−エチルイミダゾリウムビスフルオロスルホニルイミド(EMIm−FSI)を使用した。
実施例6
電解液の組成を以下のようにしたこと以外は実施例1と同様に小型セルを作製し、評価を行った。結果を表2に示す。
<電解液>
ヨウ素(I):0.2M
ヨウ化リチウム(LiI):0.1M
4−ターシャルブチルピリジン(TBP):0.5M
ヨウ化1−エチル−3−メチルイミダゾリウム(EMImI):10.0M
ヨウ化1,3−ジメチルイミダゾリウム(DMImI):10.0M
イオン液体としては、1−メチル−3−エチルイミダゾリウムビスフルオロスルホニルイミド(EMIm−FSI)を使用した。
実施例7
一体電極の作製において、チタニアを含む膜形成用組成物として日揮触媒化成(株)製のPST400Cを用いたこと以外は実施例6と同様に小型セルを作製し、評価を行った。この際セパレータの比表面積は5m/g、厚みは3μmとなった。結果を表2に示す。
Figure 2013196948

Claims (24)

  1. 正極とセパレータとが一体化した一体電極であって、
    前記セパレータが、酸化チタンを含む多孔質体からなる、
    一体電極。
  2. 前記セパレータが、酸化チタンを含む多孔質焼結体からなる、請求項1に記載の一体電極。
  3. 前記セパレータの膜厚が0.1〜5μmである、請求項2に記載の一体電極。
  4. 前記多孔質体の比表面積が3〜150m/gである、請求項1〜3のいずれかに記載の一体電極。
  5. 前記酸化チタンが、チタニアナノチューブを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の一体電極。
  6. 前記正極が、導電性基板を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の一体電極。
  7. 前記正極が、基板上に、導電性材料を含む導電層が形成されている、請求項1〜5のいずれかに記載の一体電極。
  8. 前記正極が、導電性基板上に、導電性材料を含む導電層が形成されている、請求項1〜7のいずれかに記載の一体電極。
  9. 前記導電層は、さらに結着剤を含有する、請求項7又は8に記載の一体電極。
  10. 前記結着剤は、無機酸化物である、請求項9に記載の一体電極。
  11. 前記無機酸化物は、酸化スズ、酸化チタン及び酸化亜鉛よりなる群から選ばれる少なくとも1種の酸化物である、請求項10に記載の一体電極。
  12. 前記一体電極は、電解液を含有する、請求項1〜11のいずれかに記載の一体電極。
  13. 前記電解液は、前記多孔質体の孔中に存在する、請求項12に記載の一体電極。
  14. 前記電解液は、イオン液体を含む、請求項12又は13に記載の一体電極。
  15. 前記イオン液体は、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビスフルオロスルホニルイミドである、請求項14に記載の一体電極。
  16. 前記電解液は、ヨウ素及びヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウムを含むヨウ化物を含む電解質を含有し、且つ、
    (1)前記ヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウムは、ヨウ化1−エチル−3−メチルイミダゾリウム及びヨウ化1,3−ジメチルイミダゾリウムを含む、
    (2)前記電解液は、前記ヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウムを3.0モル/リットル以上含む、
    (3)前記ヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウムは、ヨウ化1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムを含む
    の少なくとも1つを満たす、請求項12〜15のいずれかに記載の一体電極。
  17. 前記電解液は、
    (1)前記ヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウムは、ヨウ化1−エチル−3−メチルイミダゾリウム及びヨウ化1,3−ジメチルイミダゾリウムを含む
    を満たす、請求項16に記載の一体電極。
  18. 前記電解液は、前記ヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウムを、溶媒1リットルに対して3.0モル以上含有する、請求項17に記載の一体電極。
  19. 前記ヨウ化1,3−ジアルキルイミダゾリウムは、さらに、ヨウ化1−メチル−3−プロピルイミダゾリウム及び/又はヨウ化1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムを含む、
    請求項17又は18に記載の一体電極。
  20. 請求項1〜19のいずれかに記載の一体電極の製造方法であって、
    正極上に、酸化チタン又は酸化チタン前駆体を含むセパレータ形成用組成物を塗布及び焼結する工程
    を備える、製造方法。
  21. 請求項1〜19のいずれかに記載の一体電極を備える、光電変換素子。
  22. さらに、負極を備える、請求項21に記載の光電変換素子。
  23. 負極及び請求項1〜19のいずれかに記載の一体電極を備える光電変換素子の製造方法であって、
    前記負極に前記一体電極を直接張り合わせた後に封止する工程
    を備える、製造方法。
  24. 請求項21又は22に記載の光電変換素子を備える、色素増感太陽電池。
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