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JP2013180333A - 連続ラインにおけるルーパの制御方法およびルーパ制御装置 - Google Patents

連続ラインにおけるルーパの制御方法およびルーパ制御装置 Download PDF

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JP2013180333A JP2012046796A JP2012046796A JP2013180333A JP 2013180333 A JP2013180333 A JP 2013180333A JP 2012046796 A JP2012046796 A JP 2012046796A JP 2012046796 A JP2012046796 A JP 2012046796A JP 2013180333 A JP2013180333 A JP 2013180333A
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Abstract

【課題】能力の異なる設備間にルーパを備えた連続ラインにおいて、ルーパの設備能力を有効利用して、それぞれの設備における材料の速度の設定を最適化でき、連続ライン全体の設備能力を向上させること。
【解決手段】材料ごとに、中間ルーパにおけるルーパ蓄積量L、および後段の圧延セクションの中央速度Vaの初期値を設定する。中央速度や入側制約速度に基づいてルーパ減少量L1を算出して、払い出し後のルーパ蓄積量の最小値を算出する。ルーパ蓄積量の最小値が下限値Lmin以上になるように、材料ごとのルーパ蓄積量Lの最小値および中央速度Vaを、前段階の材料にさかのぼって順次繰り返し調整する。調整後、ルーパ回復量を算出して、中間ルーパの設備制約とから回復後のルーパ蓄積量の最大値を算出する。材料ごとのルーパ蓄積量の最小値および最大値に基づいて中間ルーパを制御する。
【選択図】図6

Description

本発明は、ルーパによって接続された複数の処理設備を備えた連続ラインにおけるルーパの制御方法およびルーパ制御装置に関する。
複数の設備を備えた連続ラインのうちの酸による洗浄を行う酸洗セクションは、連続ラインを流れる材料(鋼帯、鋼板、棒鋼、または形鋼)の表面に形成された酸化鉄を酸によって溶解させる設備である。この酸洗セクションにおいては、材料の通過速度が速すぎると、材料の表面に酸化鉄が残ってしまい品質欠陥につながる。反面、材料が酸洗セクションに必要以上に滞留すると、酸化鉄部分のみならず材料部分まで溶け出してしまい、過酸洗や変色などの欠陥が生じる原因となる。そのため、酸洗セクションを通過する際の通過速度として、材料ごとの制約速度として上限速度VPLおよび下限速度VPHとが設定されている。
また、複数の設備を備えた連続ラインのうちの圧延セクションは、入側の材料を所定の板厚まで圧延する設備である。この圧延セクションにおいては、圧延ロールと材料との間の摩擦係数は圧延速度によって変化する。そのため、圧延中における圧延速度の変更は板厚変動の要因になる。さらに、圧延速度の上限値は、駆動装置の最高速度と圧延に必要なトルクの制約に基づく速度との低い方の値になる。すなわち、比較的圧延負荷の小さい材料における圧延速度は、駆動装置の速度能力によって制約される一方、圧延負荷の大きい材料、硬質材、および高圧下率材における圧延速度は、駆動装置のパワーによって制約されることになる。
これらの酸洗セクションおよび圧延セクションを備えた連続ラインにおいては、それぞれのセクションにおいて、セクションごとの設備能力や必要な処理、入側コイルの装入処理、先行の材料と後行の材料との溶接、トリマー幅の変更、および圧延機の板厚変更などによって、通過速度が変更される。そのため、各セクションの間には、材料を蓄積してセクション間の速度差を吸収するルーパが設置されている。
また、従来の酸洗セクションや圧延セクションなどのセクションごとの通過速度(運転速度)は、オペレータが、設備状況を監視しつつ経験に基づいてセクションごとに決定していた。
ところが、運転方法に関してオペレータごとにばらつきがあった。すなわち、オペレータが運転速度を増加させすぎてルーパの容量が不足したり、逆にオペレータが運転速度を急激に減少させすぎて圧延セクションにおいて材料の板厚変動が生じたりすることがあった。一方で、オペレータが余裕を確保しすぎて全体的に速度を減少させることから、設備能力が最大限まで利用されずに抑制されてしまう傾向にあった。
このように、ルーパが設置された連続ラインにおいて、最適な運転速度を決定することは困難であることから、従来、入側ルーパなどの場合には、材料の後端と次の材料の先端とを溶接するための入側停止に備えて、定常運転中においては、入側ルーパのルーパ蓄積量を常に設備能力(設備制約)の上限になるようにしている。
さらに、入側ルーパの上流側において材料の走行が停止すると、入側での停止が解除された後は、停止時間中に減少したルーパ蓄積量を回復させ入側ルーパを早期に復旧させるために、オペレータは入側ルーパの材料の走行速度を中央速度よりも速い速度(追込速度)で運転するように制御する。ルーパ蓄積量の回復速度は追込速度と中央速度との差で決まる。そのため、オペレータは、ルーパ蓄積量の回復が間に合わないと判断した場合には、後段の設備における材料の中央速度を下げることにより速度差を確保して、入側ルーパのルーパ蓄積量を回復させる。特に、材料長の短い材料が連続する場合には、追い込み運転中に先行の材料と後続の材料との溶接のために減速したり停止したりする状況が生じるため、オペレータは、中央速度を大きく下げる制御を行う傾向にある。
また、圧延セクションにおいては、材料の接続部分(溶接点)を通過した時、板厚の変更時、および出側においてコイルを切断する時などに、1000mpm程度の通常の圧延速度から100〜250mpm程度まで減速される。この際、酸洗セクションにおける通過速度(酸洗速度)は減速された圧延速度よりも大きくなる。このとき、酸洗速度と圧延速度との速度差分の材料が中間ルーパに吸収されるため、中間ルーパのルーパ蓄積量は増加する。これにより、圧延セクションを含む連続ラインにおいては、前段の中間ルーパのルーパ蓄積量は常に下限値に制御され、圧延速度が低下した場合にも酸洗速度が変更されないように構成されている。
そして、材料の溶接部分の通過やコイルの切断処理の終了などといった圧延速度の減速要因が終了した後は、連続ラインの中間ルーパにおいて増加したルーパ蓄積量を当初の最小量まで払い出すために、酸洗速度より速い速度で運転が行われる。そのため、圧延セクションにおいては強制的に速度変更が行われ、圧延速度を一定速度にすることができない。また、このような中間ルーパの回復運転に備えて、オペレータは、圧延セクションにおいて常に圧延速度に余裕を持たせる運転を行うように制御する傾向になる。
そこで、これらの問題を解決するために、特許文献1、2に記載された技術が提案されている。特許文献1には、あらかじめコイルごとにそれぞれのセクションにおける平均速度を算出して、各セクションの速度差と処理時間とから必要なルーパ容量を算出し、必要なルーパ容量がルーパの能力を超えないように速度を決定する技術が提案されている。特許文献2には、ルーパ蓄積量があらかじめ計算された必要なルーパ蓄積量になるように、自動的にそれぞれのセクションにおける速度を変更する技術が提案されている。
特開平2−290611号公報 特開2007−144483号公報
しかしながら、上述した特許文献1,2に記載の技術においては、ルーパ蓄積量の目標値を固定化しているため、圧延連続ラインの能率を向上させたり材料の速度変更を最小限にしたりすることが極めて困難であった。
また、特許文献1,2に記載のように、ルーパ蓄積量の目標値を固定化するためには、次のような制御を行う必要がある。まず、先行する材料と後行する材料との接続部分(溶接点)の通過や、出側におけるコイルの切断などの処理のために、それぞれのセクションにおける材料の速度を増減させたり、材料の搬送を停止させたり、再起動させたりする。その後、これらの非定常状態から材料の速度を目標速度に戻した後、さらにルーパ蓄積量が目標値に達するまで、材料の速度を必要以上に加速させたり減速させたりする。
さらに、特許文献2においては、圧延速度を、影響のない範囲内で徐々に変動させる方法を採用している。しかしながら、この場合においても、ルーパ蓄積量の目標値を固定して、ルーパ蓄積量が目標値に達するまでに材料の速度の加減速が行われる。材料の材質を考慮すると、圧延速度が高速の場合と低速の場合とにおいて潤滑状態などが異なるため、品質を均一化させる要請から、圧延速度の速度変更は徐々に変更させるとしても好ましくない。
また、特許文献2に記載された方法においては、現に圧延処理を行っている材料と次に圧延処理を行う材料との関係だけから、ルーパ蓄積量を計算している。ところが、実際には、材料ごとに材料長が異なるため、材料が短い場合には酸洗セクションから圧延セクションの間に複数の材料が共存するようなタイミングも存在する。これにより、特許文献2に記載された方法では、実際の圧延処理を含む連続ラインの操業に採用できない場合があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は、異なる設備の間にルーパを備えた連続ラインにおいて、処理対象となる材料の中央速度を可能な限り大きくすることができ、ルーパの設備能力を最大限に利用して、それぞれの設備における材料の速度の設定を最適化でき、連続ラインの設備能力を向上できる連続ラインにおけるルーパの制御方法およびルーパ制御装置を提供することにある。
上述した課題を解決し、上記目的を達成するために、本発明に係る連続ラインにおけるルーパの制御方法は、連続して接合された複数の材料ごとに、第1の設備での第1の制約速度を算出する第1の制約速度算出ステップと、材料ごとに、第2の設備での第2の制約速度を算出する第2の制約速度算出ステップと、材料ごとに、少なくとも設備制約および第2の制約速度に基づいて第2の設備における処理速度を算出する速度算出ステップ、第1の設備と第2の設備との間のルーパが蓄積したルーパ蓄積量から払い出したルーパ減少量を、材料ごとに、少なくとも第1の制約速度および処理速度に基づいて算出するルーパ減少量算出ステップ、ルーパ減少量に基づいて材料ごとに払い出し時のルーパ蓄積量最小値を算出する最小値算出ステップ、およびルーパ蓄積量最小値がルーパの設備制約の範囲外である場合に処理速度を減少させる速度再計算ステップを、ルーパ蓄積量最小値がルーパの設備制約の範囲に収まるまで、順次少なくとも1回行う調整ステップと、材料ごとに、調整ステップにおいて算出された処理速度とルーパ蓄積量最小値とに基づいて、ルーパを制御するルーパ制御ステップと、を含むことを特徴とする。
本発明に係る連続ラインにおけるルーパの制御方法は、上記の発明において、材料ごとに、ルーパが蓄積しているルーパ蓄積量から回復させるルーパ回復量を、少なくともルーパの設備制約、第1の制約速度、および調整ステップにおいて算出された処理速度に基づいて算出するルーパ回復量算出ステップと、材料ごとに、ルーパ回復量、ルーパ蓄積量最小値、およびルーパの設備制約に基づいて、ルーパにおけるルーパ蓄積量最大値を算出する最大値算出ステップと、をさらに含み、ルーパ制御ステップが、材料ごとの、調整ステップにおいて算出された処理速度、ルーパ蓄積量最小値、およびルーパ蓄積量最大値に基づいて、ルーパを制御するステップであることを特徴とする。
本発明に係るルーパ制御装置は、連続して接合された複数の材料に対して第1の処理を行う第1の設備と、複数の材料に対して第2の処理を行う第2の設備との間に設けられたルーパを制御するルーパ制御装置において、材料ごとに、第1の設備での第1の制約速度を算出する第1の制約速度算出手段と、材料ごとに、第2の設備での第2の制約速度を算出する第2の制約速度算出手段と、材料ごとに、少なくとも第2の制約速度に基づいた第2の設備における処理速度の算出、少なくとも第1の制約速度および処理速度に基づいた、ルーパに蓄積したルーパ蓄積量から払い出すルーパ減少量の算出、ルーパ減少量に基づいたルーパ蓄積量最小値の算出、およびルーパ蓄積量最小値がルーパの設備制約の範囲外である場合に処理速度を減少させる計算を、ルーパ蓄積量最小値がルーパの設備制約の範囲に収まるまで、順次少なくとも1回行う調整手段と、調整手段が材料ごとに算出した処理速度およびルーパ蓄積量最小値に基づいて、ルーパを制御するルーパ制御手段と、を備えることを特徴とする。
本発明に係るルーパ制御装置は、上記の発明において、調整手段が、材料ごとに、ルーパが蓄積しているルーパ蓄積量から回復させるルーパ回復量を、少なくともルーパの設備制約、第1の制約速度、および処理速度に基づいて算出するルーパ回復量算出手段と、材料ごとに、ルーパ回復量、ルーパ蓄積量最小値、およびルーパの設備制約に基づいて、ルーパにおけるルーパ蓄積量最大値を算出する最大値算出手段と、を備え、ルーパ制御手段が、材料ごとの、調整手段によって算出された処理速度、ルーパ蓄積量最小値、およびルーパ蓄積量最大値に基づいて、ルーパを制御することを特徴とする。
本発明に係る連続ラインにおけるルーパの制御方法およびルーパ制御装置によれば、複数の設備の間にルーパ設備を備えた連続ラインにおいて、事前にルーパ蓄積量のシミュレーションを行っていることにより、異なる設備の間にルーパを備えた連続ラインにおいて、処理対象となる材料の中央速度を可能な限り大きくすることができ、ルーパの設備能力を最大限に利用して、それぞれの設備における材料の速度の設定を最適化でき、連続ラインの設備能力を向上することが可能となる。
図1は、本発明の一実施形態による圧延連続ラインの制御構成を示すブロック図である。 図2は、本発明の一実施形態による圧延連続ラインを示す構成図である。 図3は、本発明の一実施形態による連続ラインにおけるルーパでの材料の速度および蓄積量の時間変化を示すグラフである。 図4は、本発明の一実施形態による連続ラインにおけるルーパでの定常状態が存在する場合の材料の速度の時間変化を示すグラフである。 図5は、本発明の一実施形態による連続ラインにおけるルーパでの定常状態が存在しない場合の材料の速度の時間変化を示すグラフである。 図6は、本発明の一実施形態による圧延連続ラインのルーパの制御を行うシミュレーション方法の具体例を示すフローチャートである。 図7は、本発明の一実施形態による圧延連続ラインにおける、ルーパ蓄積量、および入側最高速度と中央速度との、材料ごとの変化を示すグラフである。 図8は、従来技術による圧延連続ラインにおける、ルーパ蓄積量、および入側最高速度と中央速度との、材料ごとの変化の実績を示すグラフである。 図9は、本発明の一実施形態に基づいた実施例を示す表である。 図10は、各実施例に対応する従来技術に基づいた比較例を示す表である。
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の一実施形態の全図においては、同一または対応する部分には同一の符号を付す。また、本発明は以下に説明する一実施形態によって限定されるものではない。
(連続ラインの制御構成)
まず、本発明の一実施形態による連続ラインの制御方法について説明する。図1は、この一実施形態による酸洗セクションと圧延セクションとの連続ラインに対する制御構成を示す。
図1に示すように、この一実施形態においては、生産計画用上位計算機1、プロセス用計算機2、酸洗主幹制御装置3、圧延主幹制御装置4、およびルーパ制御部7を有して連続ラインの制御装置が構成されている。そして、この制御装置によって、酸洗セクション10における複数のモータ駆動装置5a,5b,5c、圧延セクション20における複数のモータ駆動装置6a,6b,6c、および後述するループカー15a,15bが制御される。
すなわち、生産計画用上位計算機1は、材料諸元や材料の装入順などの材料8に関する材料データを演算して設定すると、これらの材料データを含む指示データをプロセス用計算機2に供給する。
また、酸洗主幹制御装置3は、モータ駆動装置5a〜5cにおいて実行される実際の酸洗速度(酸洗速度実績)、ルーパ位置情報、および溶接点位置情報をプロセス用計算機2に供給する。圧延主幹制御装置4は、モータ駆動装置6a〜6cにおいて実行される実際の圧延速度(圧延速度実績)、ルーパ位置情報、および溶接点位置情報をプロセス用計算機2に供給する。
プロセス用計算機2は、供給された指示データと、酸洗速度実績、圧延速度実績、ルーパ位置情報、および溶接点位置情報とに基づいて、酸洗セクション10における酸洗速度や圧延セクション20における圧延速度などの材料を搬送するための速度を演算する。プロセス用計算機2は、これらの酸洗セクション10および圧延セクション20における材料の速度を設定データとして生成する。
また、プロセス用計算機2は、酸洗セクション10における酸洗速度の設定データを酸洗主幹制御装置3に供給する。酸洗主幹制御装置3は、酸洗セクション10において、供給された酸洗速度の設定データに基づいてそれぞれのモータ駆動装置5a〜5cを制御して、材料を設定された酸洗速度で搬送させる。さらに、プロセス用計算機2は、圧延セクション20における圧延速度の設定データを圧延主幹制御装置4に供給する。圧延主幹制御装置4は、圧延セクション20において、供給された圧延速度の設定データに基づいてそれぞれのモータ駆動装置6a〜6cを制御して、材料を設定された圧延速度で搬送させる。
また、プロセス用計算機2は、ルーパにおけるルーパ蓄積量に関する演算を行い、このルーパ蓄積量の演算結果をルーパ制御部7に供給する。ルーパ制御部7は、連続ラインのルーパにおいて、供給されたルーパ蓄積量の設定データに基づいてルーパ蓄積量を調整するループカー15a、15bを制御する。これらのプロセス用計算機2およびルーパ制御部7によって、ルーパ制御手段が構成される。
次に、上述のように構成された連続ラインの制御装置によって制御される、酸洗セクションおよび圧延セクションを有する連続ラインについて説明する。図2は、酸洗セクションと圧延セクションとの連続ラインの装置構成を示す。
図2に示すように、この一実施形態においては、連続ラインは、第1の設備としての酸洗セクション10、および第2の設備としての圧延セクション20とが連続して構成されている。
酸洗セクション10は、ペイオフリール11、入側シャー12、溶接機13、テンションレベラー16、酸洗タンク17、およびサイドトリマー18を備える。これらの装置は、図1に示す複数のモータ駆動装置5a〜5cにより駆動される。また、図2に示すように、入側ルーパ14のルーパ蓄積量がループカー15aにより調整され、中間ルーパ19のルーパ蓄積量がループカー15bにより調整される。
そして、以上のように構成された酸洗セクション10においては、ペイオフリール11から装入された材料8が、入側シャー12においてその先端部分がカットされる。続いて、溶接機13において、先行する材料8の終端が到達した時点で、先行する材料8の終端と後行する材料8の先端とが溶接される。この溶接時において、溶接処理を行うために材料8の走行が所定時間停止する。入側ルーパ14は、この停止時間において、酸洗タンク17内の材料8の搬送を停止させずに連続して酸洗処理を行うために、材料8を払い出す。すなわち、溶接処理の際に入側ルーパ14の入側で材料8が停止している間は、入側ルーパ14に蓄積されている材料8が酸洗タンク17に払い出される。溶接処理が終了して材料8の停止が解除された後は、入側ルーパ14の入側における材料8の速度が増加して、材料8が入側ルーパ14に蓄積される。ルーパ蓄積量の調整は、ルーパ制御部7が制御するループカー15aが行う。
テンションレベラー16は、入側ルーパ14から払い出された材料8の形状を整える。その後、材料8は酸洗タンク17に供給され、表面が酸によって洗浄されてスケールが除去される。酸洗処理が行われた材料8は、サイドトリマー18によって搬送方向に対して左右の両端部分がカットされ、所定の幅に成形される。成形後の材料8は、中間ルーパ19に送り出される。
中間ルーパ19は、酸洗セクション10における酸洗速度やサイドトリマー18での幅の変更時における停止と、圧延セクション20における圧延速度との差を吸収するために設けられ、後段の圧延セクション20への材料8の払い出しを調整する。中間ルーパ19のルーパ蓄積量の調整は、ルーパ制御部7が制御するループカー15bにより行われる。なお、中間ルーパ19の制御方法の詳細については、後述する。
また、酸洗セクション10の下流側の圧延セクション20は、圧延機21、出側シャー22、およびテンションリール23を備える。これらの装置は、図1に示す複数のモータ駆動装置6a〜6cにより駆動される。すなわち、図2に示すように、圧延セクション20において、材料8は、圧延機21によって所定の板厚まで圧延された後、出側シャー22によって任意の長さにカットされ、テンションリール23に巻き取られてコイルとされる。
以上のようにして、中間ルーパ19を介して酸洗セクション10と圧延セクション20とを備えた連続ラインが構成され、材料8に対して酸洗処理および圧延処理が連続して行われる。
(ルーパ設備制御)
次に、上述のように構成された連続ラインにおける中間ルーパ19の制御について説明する。ここで、中間ルーパ19の制御の理解を容易にするため、ルーパの制御の基本原理について説明する。図3は、この基本原理を説明するためのルーパの速度の時間変化とルーパ蓄積量の時間変化との一例を示すグラフである。
図3(a)に示すように、定常状態である時間T0〜T1の間において、中間ルーパ19の入側における酸洗セクション10における材料8の速度(入側速度Ve)と、中間ルーパ19の出側における圧延セクション20による材料8の処理速度である中央速度Vaとが同期していると、入側速度Veと中央速度Vaとは等しくなる。また、図3(b)に示すように、この一実施形態においては、時間T0〜T1の間において中間ルーパ19における材料8のルーパ蓄積量は上限値になっている。
その後、例えば、サイドトリマー18における幅を変更する場合などにおいて、中間ルーパ19の入側で材料8を減速させ停止させる場合がある。この際、図3(a)に示すように、時間T1〜T2において材料8の入側速度Veを減少させて、時間T2〜T3(入側停止時間Te)の間停止させる。その後、時間T3〜T4において入側速度Veを増加させ、時点T4で中央速度Vaと同じ速度にする。これらの時間T1〜T4の間、入側速度Veは中央速度Va以下であるので、中間ルーパ19は蓄積している材料8を払い出すことになる。この払い出しによって、中間ルーパ19のルーパ蓄積量は、図3(b)に示すルーパ減少量L1だけ減少して、ルーパ蓄積量最小値となる。ルーパ減少量L1は、図3(a)に示す減速部分の面積S1と等しいので、以下の(1)式で得られる。
Figure 2013180333
ここで、αは入側減速率、βは入側加速率で、いずれも正数である。また、中央速度Vaは、材料8の制約または連続ラインの設備制約に基づいた制約速度になる。
なお、この(1)式は、時間T2〜T3の間において材料8を停止させた場合の式であるが、中間ルーパ19の入側において時間T2〜T3の間で停止させずに一定速度Vp(=V(T2)=V(T3))を維持する場合には、ルーパ減少量L1は、以下の(1)′式で得られる。
Figure 2013180333
その後、中間ルーパ19の追い込み運転を行う。この追い込み運転においては、中間ルーパ19が材料8を、時間T4〜T5の間で入側の設備における速度制約に基づいた最高速度である追込速度Vemaxまで加速させ、時間T5〜T6の間、追込速度Vemaxを維持して走行させた後、時間T6〜T7の間で中央速度Vaまで減速させる。この時点T7で、中間ルーパ19の入側速度Veと、圧延セクション20の圧延速度である中央速度Vaとが同期する。この時間T4〜T7の間、入側速度Veは中央速度Va以上になるので、中間ルーパ19は材料8を蓄積する。
中間ルーパ19のルーパ蓄積量が、定常状態の時点T0でのルーパ蓄積量まで回復すると、そのルーパ回復量は図3(a)に示す面積S2と等しくなる。なお、従来は、図3(b)に示すように、中間ルーパ19によってルーパ減少量L1だけ回復させていたため、面積S2と面積S1のルーパ減少量L1とは等しくなっていた。
次に、中間ルーパ19の追い込み運転によって回復可能なルーパ蓄積量の最大値を求める。図4は、中間ルーパ19により回復可能なルーパ蓄積量の最大値を求める方法を説明するための、入側速度Veおよび中央速度Vaの時間変化の一例を示すグラフである。この回復可能な量の上限は、材料8を、酸洗セクション10や中間ルーパ19の設備制約に基づく最高速度である追込速度Vemaxで走行させた場合の、中央速度Vaとの速度差に基づいて算出される。
すなわち、図4に示すように、材料8の入側速度Veが時点T11において0とされた後に時間T12〜T15に伴って変化した場合、中間ルーパ19によって材料8は、払い出しが終了した時点T12から時間T12〜T13の間加速し、時間T13〜T14(定常時間Tc)において一定の追込速度Vemaxで走行して、時間T14〜T15の間減速する。
このとき、材料8の加速の開始時点T12から、中間ルーパ19のルーパ蓄積量を回復させた場合、上述した面積S2の場合と同様に、中間ルーパ19に蓄積されるルーパ回復量は面積S3の部分になる。一方、時間T12〜T15において中間ルーパ19の入側を通過する材料8の長さ、すなわち実際に中間ルーパ19が引き込む材料8の材料長Lzは、面積S3と面積S4との合計(S3+S4)になる。
そこで、この材料長Lzとルーパ回復量との関係から、材料長Lzの1つの材料8において許容される定常時間Tcを算出する。図4に示す入側速度Veの時間変化において、材料8の中間ルーパ19の入側を実際に通過する長さは、加速している間の払出し長さと、材料8が定常状態である間の払出し長さと、減速している間の払出し長さとの合計値となる。そのため、中間ルーパ19が実際に引き込む材料長Lzは以下の(2)式で求められる。
Figure 2013180333
したがって、定常時間Tcは、以下の(3)式から算出される。
Figure 2013180333
(3)式から、定常時間Tcが確保できなくなる条件、すなわち定常時間Tcが負になる条件は、次の(4)式が成立する場合である。
Figure 2013180333
(4)式が成立するのは、材料長Lzが小さく、入側速度Veが連続ラインにおける設備制約や中間ルーパ19の設備制約に基づく入側制約速度の上限値Vemaxまで加速する前に、減速を開始する必要が生じる場合である。図5は、Tcがその境界値である0になる場合の入側速度Veの時間変化の一例を示すグラフである。図5から、Tc=0となる条件に基づいて、(2)式から以下の(5)式が導出される。
Figure 2013180333
この(5)式から、中間ルーパ19における材料8の入側での入側制約速度Vemaxは(6)式として導出される。
Figure 2013180333
(6)式から、中間ルーパ19の加速率および減速率が固定であるとすると、材料8ごとの材料長Lzに応じて、中間ルーパ19の入側制約速度Vemaxを算出することができる。
また、中間ルーパ19における材料8のルーパ回復量Lrは、(1)′式と同様にして、以下の(7)式から得られる。
Figure 2013180333
なお、中央速度Vaとしては、材料8の制約中央速度Vamaxと設備上の制約速度Vzmaxとの大きくない側の制約速度に設定する。この条件を(8)式に示す。
Figure 2013180333
(ルーパ蓄積量のシミュレーション)
次に、以上の式を用いたルーパ蓄積量のシミュレーションについて説明する。まず、図1に示す生産計画用上位計算機1は、各種定数を、材料8ごとまたは前後の材料8の関係に基づいて決定して設定する。各種定数としては、例えば連続ラインの入側における溶接時間やサイドトリマー18の幅の切替時間に基づく入側停止時間Te、材料8ごとの材料長Lz、酸洗セクション10における制約速度、圧延セクション20における制約速度などを挙げることができる。すなわち、生産計画用上位計算機1は、制約速度算出手段として構成されている。なお、生産計画用上位計算機1により設定される各種定数は、必ずしもこれらに限定されるものではない。
そして、生産計画用上位計算機1が設定した材料8の装入順に従って、プロセス用計算機2は、材料8ごとに、中間ルーパ19におけるルーパ蓄積量の時間変化を演算して、中間ルーパ19における制約速度の範囲内でルーパ蓄積量の最大値および最小値を算出する。
すなわち、プロセス用計算機2は、材料8ごとに、中間ルーパ19のルーパ回復量Lrに基づくルーパ蓄積量の最大値を算出して、この最大値と設備制約に基づくルーパ蓄積量の上限値Lmaxとの大きくない方を中間ルーパ19におけるルーパ蓄積量の最大値に設定する。
一方、プロセス用計算機2は、材料8ごとに、中間ルーパ19のルーパ減少量L1に基づくルーパ蓄積量の最小値を算出して、この最小値と中間ルーパ19の設備制約に基づくルーパ蓄積量の下限値Lminとを比較する。ルーパ蓄積量の最小値が下限値Lmin未満の場合、プロセス用計算機2は、現在の材料8または先行する前段階の材料8の中央速度Vaを減少させ、減少させた中央速度Vaに基づいてルーパ蓄積量の最小値を再度算出して調整する計算を行う。なお、この調整の計算は複雑であるため、プロセス用計算機2は、中央速度Vaを所定割合低下させて再計算する算出処理を、ルーパ蓄積量の最小値が下限値Lmin以上になるまで必要な回数繰り返し行う。プロセス用計算機2は、材料8ごとに、中央速度Vaと、下限値Lmin以上となった最終のルーパ蓄積量の最小値を算出して設定する。
以上のルーパ蓄積量における初期計算は、プロセス用計算機2が、生産計画用上位計算機1から装入予定の材料8の情報データが供給されたタイミングで行うことが好ましい。また、連続ラインの運転中においては、入側において材料8の走行が、例えば溶接やサイドトリマー18の幅の変更などに起因して停止するたびに、プロセス用計算機2が改めて計算を行うことが好ましい。
(シミュレーション計算の具体例)
次に、上述したルーパ蓄積量に関する制御原理およびシミュレーション方法に基づいて、中間ルーパ19に対する制御を行う前に行われるシミュレーション方法の具体例について説明する。図6は、このシミュレーション方法の具体例を示すフローチャートである。
まず、前段階において、生産計画用上位計算機1は、あらかじめ設定されている材料8の装入計画に従って、n本分(nは任意の自然数)の材料8ごとに、連続ラインの入側、酸洗セクション10および圧延セクション20における速度制約条件に基づいて、最高速度を設定する。具体的には、生産計画用上位計算機1は、酸洗セクション10において、酸洗能力に応じた操業実績から求められる速度制約、設備能力、および装入ピッチなどによって、速度制約条件を設定する。また、生産計画用上位計算機1は、圧延セクション20において、圧延モータのトルクの制約による速度制約や、材料8の圧延における品質上の操業制約などに基づいた圧延モデルに応じて速度制約条件を設定する。
その後、生産計画用上位計算機1は、ルーパ蓄積量の初期値からの変化量を、あらかじめ設定されている装入計画に基づいた材料8の先頭から順に算出していく。
すなわち、図6に示すように、まず、ステップST1においては、プロセス用計算機2が初期値の設定を行う。この初期値の設定においては、例えば、中間ルーパ19における現在のルーパ蓄積量Lの初期値を中間ルーパ19の設備上の上限値Lmaxとするとともに、装入順の最初の材料8の材料番号nをn=1に設定する。なお、中間ルーパ19のルーパ蓄積量の初期値としては、実際の操業における初期値を採用するなど、種々の値を採用することが可能である。その後、ステップST2に移行する。
ステップST2において、調整手段としてのプロセス用計算機2は、材料番号nの材料8における中央速度Vanを設定する。この中央速度Vanとしては、(8)式の条件から、材料番号nの材料8の制約速度Vamaxと、設備上の最高速度である制約速度Vzmaxとの、大きくない側の速度に設定する。その後、ステップST3に移行する。
ステップST3においては、上述した(1)式や(1)′式で求められる、材料8を払い出した際のルーパ減少量L1を算出する。その後、ステップST4に移行して、プロセス用計算機2は、ルーパ蓄積量Lがルーパ減少量L1にだけ減少した場合のルーパ蓄積量Lの最小値を算出して、算出すべきルーパ蓄積量Lの最小値とする。その後、ステップST5に移行する。
ステップST5においては、プロセス用計算機2が、ルーパ蓄積量Lの最小値が、中間ルーパ19の設備における下限値Lmin以上であるか否かを判断する。そして、プロセス用計算機2が、ルーパ蓄積量Lの最小値が、設備制約に基づくルーパ蓄積量の下限値Lmin未満であると判断した場合(ステップST5:No)、ステップST10に移行する。
ステップST10においては、プロセス用計算機2は、材料番号nが初期値である1より大きい場合に、材料番号のnの値を1だけ減算して置換する。なお、n=1の場合、材料番号nは初期値のn=1のままとする。ここで、ステップST10において材料番号nが1だけ減算されていることにより、中央速度Vanを算出する対象となる材料8は、1つ前の先行する材料8となる。
その後、ステップST11に移行して、プロセス用計算機2は、ステップST2において設定された中央速度Vanに対して例えば10%低下させた値(Van×0.9)を算出して、新たな中央速度Vanに置換して設定する。なお、中央速度Vanを低下させる比率については、必ずしも10%に限定されるものではなく、中央速度Vanの制約に応じて、種々の比率を採用することが可能である。その後、ステップST3に復帰する。ステップST3においては、新たに設定された中央速度Vanに基づいてルーパ減少量L1を算出し、続いてステップST4においてルーパ蓄積量Lの最小値の再計算を行う。
プロセス用計算機2は、ステップST5においてルーパ蓄積量Lの最小値が中間ルーパ19の設備上の下限値Lmin以上になるまで、ステップST3〜ST5およびステップST10,ST11を繰り返し行う。すなわち、ルーパ蓄積量Lは中間ルーパ19の設備制約の範囲内に収まるように、その最小値が算出される。
他方、ステップST5において、プロセス用計算機2が、この段階でのルーパ蓄積量Lの最小値が、設備制約上の下限値Lmin以上であると判断した場合(ステップST5:Yes)、ステップST6に移行する。
ステップST6において、ルーパ回復量算出手段としてのプロセス用計算機2は、材料8における上述した(7)式からルーパ回復量Lrを算出する。その後、ステップST7に移行して、ルーパ蓄積量最大値算出手段としてのプロセス用計算機2は、ステップST4において算出したルーパ蓄積量Lの最小値からルーパ回復量Lrにだけ増加した場合の中間ルーパ19のルーパ蓄積量Lの最大値を算出する。そして、プロセス用計算機2は、ルーパ蓄積量Lの最大値と中間ルーパ19の設備上の上限値Lmaxとのいずれか大きくない方を、ルーパ蓄積量Lの最大値として設定する。これにより、ルーパ蓄積量Lを、中間ルーパ19の設備制約の上限値Lmaxを超えないように設定できるとともに、ルーパ回復量Lrだけ増加させても上限値Lmaxに達しない場合には、従来に比してルーパ蓄積量Lの増加を必要最小限にとどめることができる。その後、ステップST8に移行する。
ステップST8においては、プロセス用計算機2は、ルーパ蓄積量Lの計算の対象となっている材料8の材料番号nが、生産計画用上位計算機1において設定された最後の材料番号nmaxであるか否かを判断する。プロセス用計算機2が、ルーパ蓄積量Lの計算の対象となっている材料の材料番号nが最後の材料番号nmaxではないと判断した場合(ステップST8:No)、ステップST9に移行する。
ステップST9においては、nの値に1を加算して新たな材料番号nとして置換した後、ステップST2に復帰する。プロセス用計算機2は、ルーパ蓄積量Lの計算の対象となっている材料の材料番号nが最後の材料番号nmaxになる(ステップST8:Yes)まで、ステップST2〜ステップST9、および必要に応じてステップST10,ST11を繰り返し行う。
そして、プロセス用計算機2は、以上のシミュレーション計算を、所定時間ごと、材料が変更される溶接点ごと、または逐次繰り返し実行する。これにより、プロセス用計算機2は、材料8ごとに、常にルーパ蓄積量Lの最大値および最小値と、中央速度Vanの最適値とを算出することができる。
また、以上のシミュレーションを行ったプロセス用計算機2は、このシミュレーション計算の結果のデータを、ルーパ制御部7および圧延主幹制御装置4に供給する。そして、以上のシミュレーション計算の結果のデータに基づいて、ルーパ制御部7がループカー15bを制御することで中間ルーパ19を制御するとともに、圧延主幹制御装置4がモータ駆動装置6a〜6cを制御することによって圧延セクション20における材料の圧延速度を制御する。
(従来技術との比較)
次に、上述の一実施形態に基づいたシミュレーション計算を行った後に、このシミュレーション結果に基づいてルーパを制御した場合と、従来技術による制御方法によってルーパを制御した場合とについて説明する。図7は、上述の一実施形態によるシミュレーション計算を行って、このシミュレーション計算に従ってルーパを制御した場合の装入材料ごとのルーパ蓄積量の変化を示すグラフである。図8は、従来技術による制御方法によって制御した場合における装入される材料ごとのルーパ蓄積量の変化を示すグラフである。
図8(a)に示すように、従来技術においては、材料を払い出した後のルーパにおいて、ルーパ蓄積量Lの最大値が常に設備制約の上限値Lmaxになるようにしている。これに対し、図7(a)に示すように、上述の一実施形態においては、材料8を払い出した後の中間ルーパ19において、ルーパ蓄積量Lの最大値を必ずしも設備上の上限値Lmaxにする必要がないことが分かる。これに基づいて、図8(b)と図7(b)とを比較すると、装入される材料ごとの入側の制約速度Vemaxの変化を従来技術の場合と一実施形態の場合とで同一条件としても、従来技術に比して一実施形態の方が中央速度Vaを大きくできる場合があることが分かる(図7(b)中、点線部)。
(実施例および比較例)
次に、上述した一実施形態によるルーパの制御方法に基づいて種々のサイズおよび材料長の材料に対して圧延を行った場合の各実施例、および、これらの各実施例と同一条件下において、従来技術によるルーパの制御方法に基づいて行った比較例について説明する。図9は、この一実施形態に基づく実施例1〜10を示す表であり、図10は、実施例1〜10のそれぞれに対応した比較例1〜10を示す表である。
図9および図10から、例えば、実施例1と比較例1とを比較すると、比較例1に対して実施例1において処理時間が6秒短縮され、中央速度Vaの具体例である圧延速度の平均(平均速度)が、15m/min程度向上していることが分かる。同様に、図9および図10から、各実施例2〜10と、各実施例2〜10に対応する各比較例2〜10とをそれぞれ比較すると、比較例に比して、実施例に関しては、いずれも平均速度が向上しており、実施例1〜10で平均すると、平均速度が約6%向上していることが分かる。すなわち、この一実施形態によるルーパの制御方法によれば、中央速度Vaを増加できることが分かる。
以上説明した本発明の一実施形態によれば、酸洗セクション10と圧延セクション20との間の中間ルーパ19において、圧延セクション20における圧延速度における速度制約と、中間ルーパ19の設備上の制約と、ルーパ蓄積量のルーパ減少量およびルーパ回復量とに基づいて、ルーパ蓄積量が最小になるように、プロセス用計算機2が材料ごとの中間ルーパ19のルーパ蓄積量の推移を算出し、このルーパ蓄積量の推移の算出結果に基づいて、中間ルーパ19を制御していることにより、後段に設けられた圧延セクション20における材料8の圧延速度(中央速度)を可能な限り大きな速度に設定できる。これによって、連続ラインにおける処理能力を向上させることができ、中間ルーパ19の設備能力を最大限有効利用しつつ、連続ラインを構成する各設備における材料8の速度の設定を最適化して、設備能力を有効に利用することができる。また、この一実施形態による連続ラインにおいては、圧延セクションにおける圧延速度の変更を最小限に抑制することができるので、材料が圧延されて製造された最終製品を安定して高品質に保つことが可能になる。
以上、本発明の一実施形態について具体的に説明したが、本発明は、上述の一実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば、上述の一実施形態および実施例において挙げた数値はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる数値を用いてもよい。
上述の一実施形態においては、連続ラインの隣り合う処理ラインとして、酸洗セクションと圧延セクションとの場合を例に説明したが、処理を行うセクションとしては、酸洗セクションや圧延セクション以外にも、焼鈍セクション、電解洗浄セクション、表面処理セクション、またはめっきセクションなどを含む連続ラインに適用することも可能である。
また、上述の一実施形態においては、本発明によって制御されるルーパとして、中間ルーパ19を採用した例について説明しているが、複数の設備の間に設けられるルーパであれば、あらゆるルーパの制御に適用することが可能である。具体的には、上述した一実施形態における入側ルーパ14の制御に適用することも可能である。このように、ルーパの設置状況に応じて、ルーパの入側より上流側の速度を中央速度にするとともにルーパの出側の速度を上述したルーパの速度に設定して、シミュレーションの計算を行うことも可能である。
また、上述の一実施形態において、プロセス用計算機2のシミュレーション結果を、例えば表示部(図示せず)に表示させてオペレータに開示してもよい。これによって、中間ルーパ19のルーパ蓄積量が設備制約の下限値Lminを下回る前に、オペレータが、材料長Lzの大きい材料を挿入するように制御を変更したりすることによって、連続ラインの運転における能率の向上を助力させるようにしても良い。
1 生産計画用上位計算機
2 プロセス用計算機
3 酸洗主幹制御装置
4 圧延主幹制御装置
5a,5b,5c,6a,6b,6c モータ駆動装置
7 ルーパ制御部
8 材料
10 酸洗セクション
11 ペイオフリール
12 入側シャー
13 溶接機
14 入側ルーパ
15a,15b ループカー
16 テンションレベラー
17 酸洗タンク
18 サイドトリマー
19 中間ルーパ
20 圧延セクション
21 圧延機
22 出側シャー
23 テンションリール

Claims (4)

  1. 連続して接合された複数の材料ごとに、第1の設備での第1の制約速度を算出する第1の制約速度算出ステップと、
    前記材料ごとに、第2の設備での第2の制約速度を算出する第2の制約速度算出ステップと、
    前記材料ごとに、少なくとも設備制約および前記第2の制約速度に基づいて前記第2の設備における処理速度を算出する速度算出ステップ、前記第1の設備と前記第2の設備との間のルーパが蓄積したルーパ蓄積量から払い出したルーパ減少量を、前記材料ごとに、少なくとも前記第1の制約速度および前記処理速度に基づいて算出するルーパ減少量算出ステップ、前記ルーパ減少量に基づいて前記材料ごとに払い出し時のルーパ蓄積量最小値を算出する最小値算出ステップ、および前記ルーパ蓄積量最小値が前記ルーパの設備制約の範囲外である場合に前記処理速度を減少させる速度再計算ステップを、前記ルーパ蓄積量最小値が前記ルーパの設備制約の範囲に収まるまで、順次少なくとも1回行う調整ステップと、
    前記材料ごとに、前記調整ステップにおいて算出された処理速度と前記ルーパ蓄積量最小値とに基づいて、前記ルーパを制御するルーパ制御ステップと、
    を含むことを特徴とする連続ラインにおけるルーパの制御方法。
  2. 前記材料ごとに、前記ルーパが蓄積しているルーパ蓄積量から回復させるルーパ回復量を、少なくとも前記ルーパの設備制約、前記第1の制約速度、および前記調整ステップにおいて算出された処理速度に基づいて算出するルーパ回復量算出ステップと、前記材料ごとに、前記ルーパ回復量、前記ルーパ蓄積量最小値、および前記ルーパの設備制約に基づいて、前記ルーパにおけるルーパ蓄積量最大値を算出する最大値算出ステップと、をさらに含み、前記ルーパ制御ステップが、前記材料ごとの、前記調整ステップにおいて算出された処理速度、前記ルーパ蓄積量最小値、および前記ルーパ蓄積量最大値に基づいて、前記ルーパを制御するステップであることを特徴とする請求項1に記載の連続ラインにおけるルーパの制御方法。
  3. 連続して接合された複数の材料に対して第1の処理を行う第1の設備と、前記複数の材料に対して第2の処理を行う第2の設備との間に設けられたルーパを制御するルーパ制御装置において、
    前記材料ごとに、前記第1の設備での第1の制約速度を算出する第1の制約速度算出手段と、
    前記材料ごとに、前記第2の設備での第2の制約速度を算出する第2の制約速度算出手段と、
    前記材料ごとに、少なくとも前記第2の制約速度に基づいた前記第2の設備における処理速度の算出、少なくとも前記第1の制約速度および前記処理速度に基づいた、前記ルーパに蓄積したルーパ蓄積量から払い出すルーパ減少量の算出、前記ルーパ減少量に基づいたルーパ蓄積量最小値の算出、および前記ルーパ蓄積量最小値が前記ルーパの設備制約の範囲外である場合に前記処理速度を減少させる計算を、前記ルーパ蓄積量最小値が前記ルーパの設備制約の範囲に収まるまで、順次少なくとも1回行う調整手段と、
    前記調整手段が前記材料ごとに算出した前記処理速度および前記ルーパ蓄積量最小値に基づいて、前記ルーパを制御するルーパ制御手段と、
    を備えることを特徴とするルーパ制御装置。
  4. 前記調整手段が、前記材料ごとに、前記ルーパが蓄積しているルーパ蓄積量から回復させるルーパ回復量を、少なくとも前記ルーパの設備制約、前記第1の制約速度、および前記処理速度に基づいて算出するルーパ回復量算出手段と、前記材料ごとに、前記ルーパ回復量、前記ルーパ蓄積量最小値、および前記ルーパの設備制約に基づいて、前記ルーパにおけるルーパ蓄積量最大値を算出する最大値算出手段と、を備え、前記ルーパ制御手段が、前記材料ごとの、前記調整手段によって算出された処理速度、前記ルーパ蓄積量最小値、および前記ルーパ蓄積量最大値に基づいて、前記ルーパを制御することを特徴とする請求項3に記載のルーパ制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN110385344A (zh) * 2019-07-26 2019-10-29 首钢集团有限公司 一种热连轧机活套自适应套量的控制方法及装置

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